説明

吸音体およびこれを用いた移動体

【課題】移動体の周囲の騒音を効果的に吸収する。
【解決手段】移動体を構成するボディー1の外側面11には、パネル状の吸音体2が取り付けられている。
吸音体2としての低周波吸音材2aは、シート状の低周波吸音材2aと、低周波吸音材2aの前面側に配置される板状の補強層3と、低周波吸音材2aと補強層3間に配置される保護層4とを備えている。
低周波吸音材2aは無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21と、膜21の内側面側に積層された多孔質体層22とを備えている。
補強層3はパンチングメタル等で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音体およびこれを用いた移動体に係り、特に、バス等の移動体に騒音低減機能を搭載した移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、バス等の移動体においては、エンジン等から発生する騒音を低減するため、エンジンの下方をカバーで覆うことや、エンジンを収納するルームの内面に吸音材を貼り付けることが行なわれている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、このような構成の移動体においては、次のような難点があった。
【0004】
第1に、エンジンの下方をカバーで覆うことや、エンジン収納ルームの内面にガラスウール等から成る吸音材を貼り付けた構成では、トンネル内を走行する際の反響音を吸収することができないという難点があった。すなわち、このような騒音低減機能を搭載したバス等の移動体においては、走行時に発生するトンネルの壁面からの反響音を吸収することができないため、当該反響音が移動体の室内に到達するおそれがあった。
【0005】
第2に、ガラスウール等から成る吸音材においては、200Hz以下の低周波領域の騒音を吸収することができないという難点があった。
【0006】
第3に、単に吸音材を取り付けた移動体においては、移動体自身の重量アップを抑えることができず、軽量化を目指すバス等の移動体に適用することができないという難点があった。
【0007】
【特許文献1】実開平6−83500号公報
【特許文献2】特公昭63−18010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、バス等の移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等を効果的に吸収することができる吸音体およびこれを用いた移動体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様である吸音体は、移動体のボディーの外側面にボディーの外側面と平行に配設されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の外側面側に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層とを備えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様である吸音体は、移動体のボディーの外側面にボディーの外側面と平行に配設されるシート状の低周波吸音材と、低周波吸音材の外側面側に低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、低周波吸音材と補強層間に配設される保護層とを備えるものである。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の内側面側に積層される多孔質体層とを備えるものである。
【0012】
本発明の第4の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の外側面側に積層される多孔質体層と、膜の内側面側に積層される他の多孔質体層とを備えるものである。
【0013】
本発明の第5の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、低周波吸音材は、ボディーの外側面に空気層を介して平行に配設されるゴムまたはアクリル樹脂から成る膜を備えるものである。
【0014】
本発明の第6の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の内側面側に積層されボディーの外側面に空気層を介して平行に配設される多孔質体層とを備えるものである。
【0015】
本発明の第7の態様は、第1の態様または第2の態様である吸音体において、低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、膜の外側面側に積層される多孔質体層と、膜の内側面側に積層されボディーの外側面に空気層を介して平行に配設される他の多孔質体層とを備えるものである。
【0016】
本発明の第8の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、低周波吸音材を保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体から成るものである。
【0017】
本発明の第9の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体から成るものである。
【0018】
本発明の第10の態様は、第1の態様乃至第7の態様の何れかの態様である吸音体において、補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルから成るものである。
【0019】
本発明の第11の態様は、第9の態様である吸音体において、板状体の開口率は、40〜70%とされているものである。
【0020】
本発明の第12の態様は、第3の態様乃至第12の態様の何れかの態様である吸音体において、ゴムは、シリコーンゴムから成るものである。
【0021】
本発明の第13の態様は、第12の態様である吸音体において、膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下とされているものである。
【0022】
本発明の第14の態様は、第12の態様または第13の態様である吸音体において、膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下とされているものである。
【0023】
本発明の第15の態様は、第3の態様乃至第11の態様の何れかの態様である吸音体において、ゴムは、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムから成るものである。
【0024】
本発明の第16の態様は、第3の態様乃至第15の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、無機化合物および/または炭素繊維を含むものである。
【0025】
本発明の第17の態様は、第16の態様である吸音体において、無機化合物は、Si、Ca、Sr、Baの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Baの何れか1種を含む化合物の混合物から成るものである。
【0026】
本発明の第18の態様は、第16の態様である吸音体において、炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部とされているものである。
【0027】
本発明の第19の態様は、第3の態様乃至第18の態様の何れかの態様である吸音体において、多孔質体層は、難燃性を有する材料で形成されているものである。
【0028】
本発明の第20の態様は、第3の態様乃至第19の態様の何れかの態様である吸音体において、多孔質体層は、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るものである。
【0029】
本発明の第21の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、多孔質体層と一体化しているものである。
【0030】
本発明の第22の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、多孔質体層および他の多孔質体層のうち何れか一方と一体化しているものである。
【0031】
本発明の第23の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、接着により多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化しているものである。
【0032】
本発明の第24の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、熱融着により多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化しているものである。
【0033】
本発明の第25の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、シリコーングラフト反応により多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化しているものである。
【0034】
本発明の第26の態様は、第3の態様乃至第20の態様の何れかの態様である吸音体において、膜は、膜の一部が多孔質体層および/または他の多孔質体層の孔部に入り込むことで多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化しているものである。
【0035】
本発明の第27の態様は、第1の態様乃至第26の態様の何れかの態様である吸音体において、保護層は、金属板に多数個の微細穿孔を設けて成る微細穿孔板、金属製不織布若しくは板状の金属多孔質体の何れかまたはこれらを組み合わせたものから成るものである。
【0036】
本発明の第28の態様である移動体は、第1の態様乃至第27の態様の何れかの態様の吸音体を備え、当該吸音体は、移動体のボディーの外側面に吸音体を構成する補強層を外側に向けてボディーの外側面と平行に配設されているものである。
【0037】
本発明の第29の態様は、第28の態様である移動体において、移動体のボディーの外側面に凹陥部が設けられ、凹陥部に吸音体が配設されているものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明の第1の態様乃至第29の態様の吸音体およびこれを用いた移動体によれば、次のような効果がある。
【0039】
第1に、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体としての低周波吸音材を配置することで、移動体の周囲の騒音(バス等の移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)を効果的に吸収することができる。
【0040】
第2に、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に配置する吸音体としての低周波吸音材の仕様を変えることで、騒音源の周波数特性に応じた吸音を行なうことができる。
【0041】
第3に、軽量化を目指すバス等の移動体において、低周波吸音材として空気層を有する膜状吸音体を使用することで、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音(トンネル内の壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)を効果的に吸収することができる。
【0042】
第4に、吸音体としての低周波吸音材自身に建築基準法における難燃の規格に適合する難燃性が付与されているので、当該吸音体を難燃性が必要とされる場所に適用することができる。
【0043】
第5に、吸音体としての低周波吸音材を構成する難燃剤として、ハロゲン系難燃剤や鉛系化合物が使用されていないので、燃焼時に有毒ガスが発生する虞がなく、環境保全対策を施した吸音体およびこれを用いた移動体を提供することができる。
【0044】
第6に、吸音体としての低周波吸音材の外側面側に補強層や保護層が設けられているので、吸音体としての低周波吸音材の損傷を防止することができる。
【0045】
第7に、吸音体を構成する低周波吸音材として、膜が多孔質体層および/または他の多孔質体層と一体化されたものを使用することで、製品形態の自由度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の吸音体およびこの吸音体を用いた移動体の好ましい実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は本発明の吸音体を用いた移動体の好ましい実施の形態例を示す説明図、図2は本発明の吸音体の好ましい実施の形態例を示す断面図である。
【0047】
図1において、本発明における移動体、例えば40人乗りのバス等の移動体はボディー1を備えており、当該ボディーの外側面11に設けられた窓部12の下方部位には、例えば30枚程度のパネル状の吸音体2が取り付けられている。なお、図1(b)においては、説明を簡単にするため6枚の吸音体2が図示されている。
【0048】
各吸音体2は、それぞれ矩形状を呈しており、これらの吸音体2は、図2に示すように、それぞれ移動体を構成するボディー1の外側面11と平行に配設されるシート状の低周波吸音材2aと、低周波吸音材2aの前面側(ボディー1の外側面11と対向しない側)に低周波吸音材2aと平行に配置される板状の補強層3と、必要に応じて低周波吸音材2aと補強層3間に低周波吸音材2aと平行に配置される保護層4とを備えている。
【0049】
補強層3は、後述する低周波吸音材2aを機械的に保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体で構成されている。具体的には多数の開口を有する金属製の板状体、例えば開口率が40〜70%程度で厚さが4mm程度のステンレス製のパンチングメタル若しくはエキスパンドメタル等で構成されている。ここで、板状体の開口率を40〜70%としたのは、開口率が40%未満では音が十分に透過せず、また、開口率が70%を超えると板状体の全体的な機械的強度が弱くなり、低周波吸音材2aの保護が不十分となるからである。
【0050】
保護層4は、後述する低周波吸音材2aを物理的な衝撃から保護し得るものであって、前述の補強層3よりも厚さが薄いもので構成され、またそれ自身に形成される孔(板の穿孔や発泡体の孔等)や隙間(不織布の隙間)の大きさは後述するように前述の補強層3の開口よりも遥かに小さいもので構成されている。具体的には、厚さが1〜2mm程度のアルミニウム等から成る金属板に直径が1.0mm以下の多数個の微細穿孔を散点状に設けて成る微細穿孔板(MPP)、金属製不織布若しくは三次元網目構造を持つ板状の金属多孔質体(発泡金属)の何れか若しくはこれらの材料(微細穿孔板(MPP)、金属製不織布若しくは板状の金属多孔質体)を複数組み合わせて成るもの構成され、このような保護層4を設けることで、低周波吸音材2aを物理的な衝撃から保護することができると得ると共に、吸音特性をより一層向上させることができる。
【0051】
低周波吸音材2aとしては、100Hz乃至200Hzの低周波領域において優れた吸音特性を発揮する材料、具体的には、本発明者等が先に開発し出願している吸音材が好適する。
【0052】
この低周波吸音材は、保護層4の内側面側(ボディー1の外側面11と対向する側)に配置される無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21と、膜21の内側面側に積層された多孔質体層(以下「第1の多孔質体層」という。)22とを備えている。
【0053】
膜21は、難燃性を有し、かつ燃焼時に有害ガスを発生しない材料で形成されている。具体的には、膜21は、シリコーンゴムに2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物を混入したもので形成されている。
【0054】
このような構成の膜21においては、ネットワーク構造のシリコーンゴムの多孔室部分に嵩さ密度が高くかつ粒径の小さい硫酸バリウム等を混入することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する膜を形成することができる。
【0055】
図3は、本発明の実施例における膜21の吸音率、面密度、膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0056】
ここで、本実施例における膜21は、シリコーンゴムに2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウムを混入したもので形成されており、比較例としてウレタンから成る膜が使用されている。
【0057】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0058】
同図より、本実施例における膜21は、その膜厚を比較例の膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m・10sec未満にすることができる。
【0059】
次に、このような構成の膜21に要求される諸性能について説明する。
【0060】
第1に、膜21としては単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/m以下のものを使用することが好ましい。膜21の単位体積当たりの燃焼発熱量が8MJ/mを越えると、本実施例による製品の適用法規である建築基準法第2条第9号に規定される不燃グレードに適合できないからである。なお、膜21の燃焼発熱量は膜21の原料用樹脂に配合させる無機フィラーの種類や配合量などにより調節することができる。
【0061】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱量試験において、単位体積当たりの燃焼発熱量を8MJ/m以下にすることができる。
【0062】
第2に、膜21としては燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10sec以下のもの使用することが好ましい。膜21の燃焼発熱速度が[200kW/m] ・10secを越えると、建築基準法第2条第9号に規定の不燃グレードに適合しないからである。
【0063】
このような無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21によれば、幅100mm、長さ100mm、厚さ3〜50mmの試験片において、ISO5660で規定する燃焼発熱速度試験において、燃焼発熱速度を[200kW/m] ・10sec以下にすることができる。
【0064】
次に、多孔質体層22は、難燃性を有する材料で形成されている。具体的には、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るもので形成されている。ここで、多孔質体層22は、厚さが1〜50mm、望ましくは10〜25mmのもので形成されている。このような構成の多孔質体層22においては、低周波数領域から高周波数領域までの広範囲に亘って吸音特性が優れており、また固体伝搬音や振動の低減にも効果的な制振性を発揮する。
【0065】
この実施例において、膜21の内側面側に多孔質体層22を積層するのは、膜21の部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、多孔質体層22の部分がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
【0066】
なお、膜21は、製品形態の自由度を向上させ、現場における施工を簡単にするため、接着やシリコーングラフト反応等により、多孔質体層22と一体化することが好ましい。
【0067】
図4は、第1の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示している。ここで、図中、破線L1は、多孔質体層(グラスウール)の厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性、実線L2は、膜(シリコーンゴム膜)21の厚さを0.5mm、多孔質体層(グラスウール)22の厚さを75mmとした第1の実施の形態における低周波吸音材2aの吸音特性を示している。
【0068】
同図より、従来の吸音材は、200Hz程度を超える高周波領域では吸音率が高いものの、200Hz程度以下の低周波領域では吸音率が低く、これに対して、第1の実施の形態における吸音材は、200Hz以上の高周波領域では吸音率が低いものの、200Hz以下の低周波領域では吸音率が高いことが分かる。従って、第1の実施の形態における低周波吸音材2aを使用すれば、低周波領域に対応可能な吸音材を提供することができる。
【0069】
次に、このように構成された低周波吸音材2aをバス等の移動体のボディー1の外側面11に取り付ける方法について説明する。
【0070】
図1および図2において、先ず、バス等の移動体を構成するボディー1の外側面11に、複数本の金属製のライナー5a、5b、5c、・・・、例えば幅が40mm、高さが80mmの角柱のステンレス製のライナーを例えば910mmの間隔をおいて平行に布設する。これにより、バス等のボディーの外側面に低周波吸音材2aを布設するための収納溝が形成される。ここで、各ライナー5a、5b、5c、・・・の高さ(収納溝の深さ)は、低周波吸音材2aの厚さと略同程度、若しくはそれより若干高くなるような寸法に設計されている。
【0071】
次いで、このようにして形成された各収納溝に矩形状でかつパネル状の低周波吸音材2a(例えば縦幅:607mm、横幅:910mm、厚さ75mm)を、多孔質体層22をバス等のボディー1の外側面11側に向けてそれぞれ収納する。
【0072】
次に、各ライナー5a、5b、5c、・・・の頂部(図2中右部)間に矩形状の金属板から成る微細穿孔板(例えば縦幅:607mm、横幅:910mm、厚さ1mm)から成る保護層4を各低周波吸音材2aの外側面を覆うように載置し、さらに保護層の外側面に厚さが2mm程度で開口率が40%程度のステンレス製のパンチングメタルから成る矩形状の補強層3を配設する。これにより、各低周波吸音材2aは、ライナー5a、5b、5c、・・・によって区画された収納溝および保護層4(微細穿孔板)および/または補強層3(パンチングメタル)により機械的に保護されることになる。なお、これらのライナー5a、5b、5c、保護層4および補強層3は、常套手段によってバス等のボディー1の外側面11に取り付けられている。
【0073】
図5は、トンネル内を時速60kmで走行させた際のバスの室内における騒音レベルの測定結果を示している。ここで、比較例は、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を取り付けていない、いわゆる騒音低減機能を搭載していない通常の移動体のパワーレベルを示しており、実施例は、バス等のボディーの外側面に、厚さ0.5mmのシリコーンゴムから成る膜21に厚さ75mmの32Kフェルトのガラスウール(32kg/mの硬いガラスウール)から成る多孔質体層22を積層した低周波吸音材2a、縦幅607mm、横幅910mm、厚さ1mmの微細穿孔板から成る保護層4および厚さ2mm程度で開口率が40%程度のステンレス製のパンチングメタルから成る補強層3を配置した第1の実施の形態に係る移動体のパワーレベルを示している。なお、騒音レベルはJISA1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」により測定した。
【0074】
同図より、本実施例における移動体は、比較例に対して、室内の卓越騒音である200Hzの吸音特性でおよそ7dBの優位差が認められ、本発明における吸音体を用いた移動体が反響音防止対策として非常に有効であることが判る。
【0075】
以上のように、本発明の吸音体を用いた移動体によれば、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体としての低周波吸音材を配置することで、バス等の移動体の周囲の騒音(バス等の移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)を効果的に吸収することができる。
[第2の実施の形態]
図6は、本発明における吸音体の第2の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図2と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
この実施例においては、図6に示すように、図2に示す低周波吸音材2aに代えて、膜21の外側面側に多孔質体層(以下「第1の多孔質体層」という。)22を、内側面側に他の多孔質体層(以下「第2の多孔質体層」という。)23を積層した低周波吸音材2bが用いられている。
【0077】
ここで、樹脂膜21に第1、第2の多孔質体層22、23を積層するのは、膜21部分が付加質量、すなわち錘の役割として作用し、第1、第2の多孔質体層22、23がバネ、すなわち空気バネの役割として作用し、膜振動による吸音を行わせるためである。
【0078】
なお、第1、第2の多孔質体層22、23は、図2に示す多孔質体層22と同様のもので形成されている。また、樹脂膜21は、第1、第2の多孔質体層22、23のうち少なくとも何れか一方と、前述と同様の手段により、一体化させることが好ましい。
【0079】
図7は、第2の実施の形態における低周波吸音材2bの吸音特性を示している。ここで、図中、破線L1は、図4に示すものと同様に、多孔質体層(グラスウール)の厚さを100mmとした従来の吸音材の吸音特性、実線L3は、膜(シリコンゴム膜)21の厚さを0.5mm、第1の多孔質体層(グラスウール)22の厚さを25mm、第2の多孔質体層(グラスウール)23の厚さを50mmとした第2の実施の形態における吸音材の吸音特性を示している。
【0080】
同図より、従来の吸音材は、前述と同様に、200Hz程度を超える高周波領域では吸音率が高いものの、200Hz程度以下の低周波領域では吸音率が低く、これに対して、第2の実施の形態における低周波吸音材は、200Hz程度以下の低周波領域のみならず、200Hz程度以上の高周波領域にわたって、優れた吸音特性を示していることが分かる。
【0081】
図8は、トンネル内を時速60kmで走行させた際のバスの室内における騒音レベルの測定結果を示している。ここで、比較例は、前述と同様に、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を取り付けていない、いわゆる通常の移動体のパワーレベルを示しており、実施例は、バス等のボディーの外側面に、厚さ0.5mmのシリコーンゴムから成る膜21の外側面側に厚さ25mmの32Kフェルトのガラスウール(32kg/mの硬いガラスウール)から成る第1の多孔質体層22を、内側面側に厚さ50mmの32Kフェルトのガラスウール(32kg/mの硬いガラスウール)から成る第2の多孔質体層23を積層した低周波吸音材2b、縦幅607mm、横幅910mm、厚さ1mmの微細穿孔板から成る保護層4および厚さ2mm程度で開口率が40%程度のステンレス製のパンチングメタルから成る補強層3を配置した、第2の実施の形態に係る移動体のパワーレベルを示している。なお、騒音レベルは前述の実施例と同様にJISA1409:1998「残響室法吸音率の測定方法」により測定した。
【0082】
同図より、本実施例における移動体は、比較例に対して、室内の卓越騒音である200Hzの吸音特性でおよそ30dBの優位差が認められ、本発明における吸音体を用いた移動体が反響音防止対策として非常に有効であることが判る。
【0083】
この実施例においては、バス等の移動体を構成するボディー1の外側面11に吸音体としての低周波吸音材2bを配置することで、バス等の移動体の周囲の騒音(バス等の移動体がトンネル内を走行する際に発生するトンネルの壁面からの反響音や移動体内部の騒音等)のうち、200Hz程度以下の低周波領域の騒音および200Hz程度を超える高周波領域の騒音をも効果的に吸収することができる。
[第3の実施の形態]
図9は、本発明における吸音体の第3の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図2と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0084】
図9において、この実施例においては、図2に示す低周波吸音材2aに代えて膜状の低周波吸音材2cが用いられている。
【0085】
この実施例における膜状の低周波吸音材2cは、保護層4の内側面側に配置される無機化合物を含むシリコーンゴムから成る膜21を備えており、当該膜21は、空気層6を介してバス等のボディー1の外側面11に当該ボディー1の外側面11と平行に配置されている。
【0086】
このような構成の膜状の低周波吸音材2cを用いた移動体においては、前述と同様に、低周波吸音材としての膜21の質量に対して空気層6がバネとして作用し、単一共振系を形成し、音波の周波数がこの単一共振系の共振周波数と一致したとき膜21が振動し内部摩擦により吸音されることになる。
【0087】
この実施例においては、バス等のボディー1の外側面11に吸音体としての膜状の低周波吸音材2cを配置することで、バス等の移動体の周囲の騒音(200Hz程度以下の低周波領域の騒音)を効果的に吸収することができ、また、空気層を有する吸音体が用いられていることから、バス等の移動体自身の重量アップを抑えることができる。
[第4の実施の形態]
図10は、本発明における吸音体の第4の実施の形態を示す断面図である。なお、同図において、図2および図9と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0088】
図10において、この実施例においては、図2に示す低周波吸音材2aに代えて当該低周波吸音材2aよりも薄厚の低周波吸音材2a´が用いられている。
【0089】
この実施例における低周波吸音材2a´は、膜21の内側面側に図1に示す多孔質体層22よりも厚さを薄く形成した薄厚の多孔質体層22´が積層されており、当該薄厚の多孔質体層22´が空気層6を介してバス等の移動体を構成するボディー1の外側面11に当該ボディー1の外側面11と平行に配置されている。
【0090】
この実施例においては、第1の実施例と比較すれば多孔質体層の厚さを薄く形成した分だけ若干吸音特性が低下するものの、ボディー1の外側面11と多孔質体層22´間にいわゆる背後空気層を存在させることで、全体として吸音体およびこれを用いた移動体の軽量化および低コスト化を図ることができる。従って、この実施例を軽量化を目指すバス等の移動体に適用した場合には、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
[第5の実施の形態]
図11は、本発明における第5の実施の形態を示す吸音体の断面図である。なお、同図において、図6および図9と共通する部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0091】
図11において、この実施例においては、図6に示す低周波吸音材2bに代えて低周波吸音材2bよりも薄厚の低周波吸音材2b´が用いられている。
【0092】
この実施例における低周波吸音材2b´は、膜21の内側面側に図6に示す第2の多孔質体層23よりも厚さを薄く形成した薄厚の第2の多孔質体層23´が積層されており、当該薄厚の第2の多孔質体層23´が空気層6を介してバス等の移動体を構成するボディー1の外側面11に当該ボディー1の外側面11と平行に配置されている。
【0093】
この実施例においても、第2の実施例と比較すれば第2の多孔質体層の厚さを薄く形成した分だけ若干吸音特性が低下するものの、バス等の移動体を構成するボディー1の外側面11と第2の多孔質体層23´間にいわゆる背後空気層を存在させることで、全体として吸音体およびこれを用いた移動体の軽量化および低コスト化を図ることができる。従って、この実施例においても、軽量化を目指す移動体に適用した場合には、移動体自身の重量アップを抑えつつ移動体の周囲の騒音を効果的に吸収することができる。
[第6の実施の形態]
前述の実施例では、膜21を無機化合物を含むシリコーンゴムで形成した場合について述べているが、当該膜21は、アクリル樹脂に2:1〜1:1の比で、Si、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物またはSi、Ca、Sr、Ba、Al、Mgの何れか1種を含む化合物の混合物から成る無機化合物、並びに次に示す炭素繊維を混入したもので形成してもよい。
【0094】
このような構成の膜21においては、アクリル樹脂に炭素繊維を添加することで、不燃性でかつ柔軟性がある上、所定の面密度を有する樹脂膜を形成することができる。
【0095】
ここで炭素繊維としては、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部のものを使用することが好ましい。ここで、繊維径を10〜30μmとしたのは、繊維径を10μm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、繊維径が30μmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。また、長さの平均値が0.3〜2mmとしたのは、長さの平均値を0.3mm未満にすると樹脂間の結合が低下するからであり、長さの平均値が2mmを超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。さらに、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部としたのは、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5部未満では樹脂間の結合が低下するからであり、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し10部を超えると樹脂の柔軟性が低下するからである。
【0096】
図12は、第6の実施の形態における樹脂膜の吸音率、面密度、膜厚、発熱量、発熱速度を比較例とともに示した説明図である。
【0097】
ここで、第6の実施の形態における膜21は、アクリル樹脂に2:1の比でシリカ、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを混入したもの形成されており、比較例としてウレタンから成る樹脂膜が使用されている。
【0098】
なお、発熱量は建築基準法第2条第9号に規定する方法により、発熱速度はISO5660に規定する方法により測定した。
【0099】
同図より、第6の実施の形態における膜21は、その膜厚を比較例の膜厚より略1/3程度薄くしても、比較例と同等の吸音率および面密度を得ることができる。また、建築基準法第2条第9号に規定する不燃グレードに適合させることができ、さらに、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec未満にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
【0101】
第1に、前述の実施例においては、ボディーの外側面に直接吸音体を配設する場合について述べているが、移動体を構成するボディーの外側面の下方部位に吸音体を配設するに十分な凹陥部を設け、当該凹陥部にパネル状の吸音体をボディーの外側面と平行に配設してもよい。
【0102】
第2に、前述の実施例においては、バス等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を配設した場合について述べているが、トラックや新幹線等の移動体を構成するボディーの外側面に吸音体を配設してもよい。
【0103】
第3に、前述の実施例においては、吸音体としての低周波吸音材と補強層との間に保護層を配設した場合について述べているが、補強層のみで吸音体としての低周波吸音材を機械的に保護できる場合には保護層を配設しなくてもよい。
【0104】
第4に、前述の実施例においては、膜としてシリコーンゴムを使用した場合について説明しているが、シリコーンゴムに代えて、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムを使用してもよい。
【0105】
第5に、前述の実施例においては、膜を接着やシリコーングラフト反応等の手段により多孔質体層(または他の多孔質体層)と一体化させる場合について述べているが、膜および/または多孔質体層(または他の多孔質体層)を加熱し、膜および/または多孔質体層(または他の多孔質体層)が軟化する温度(例えば、80℃)になったときに、多少の圧力を付与することで両者を一体化させてもよい。
【0106】
第6に、前述の実施例においては、膜の燃焼発熱量および燃焼発熱速度について述べているが、低周波吸音材自身の燃焼発熱量を8MJ/m以下、燃焼発熱速度を[200kW/m]・10sec以下としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明における吸音体を用いた移動体の説明図で、分図(a)は移動体の正面図、分図(b)は移動体の側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における吸音体の断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるシリコーンゴムとフィラーの混合比を示す説明図。
【図4】本発明の第1の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示す説明図。
【図5】本発明の第1の実施の形態における吸音体を用いた移動体のパワーレベルと周波数との関係を示す説明図。
【図6】本発明の第2の実施の形態における吸音体の断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態における低周波吸音材の吸音特性を示す説明図。
【図8】本発明の第2の実施の形態における吸音体を用いた移動体のパワーレベルと周波数との関係を示す説明図。
【図9】本発明の第3の実施の形態における吸音体の断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態における吸音体の断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態における吸音体の断面図。
【図12】本発明の他の実施の形態におけるアクリル樹脂とフィラーの混合比を示す説明図。
【符号の説明】
【0108】
1・・・ボディー
11・・・外側面
2a、2b、2c、2d、2e、2f・・・低周波吸音材
21・・・膜
22・・・第1の多孔質体層(多孔質体層)
23・・・第2の多孔質体層(他の多孔質体層)
3・・・補強層
4・・・保護層
5a、5b、5c・・・ライナー
6・・・空気層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体のボディーの外側面に前記ボディーの外側面と平行に配設されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の外側面側に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層とを備えることを特徴とする吸音体。
【請求項2】
移動体のボディーの外側面に前記ボディーの外側面と平行に配設されるシート状の低周波吸音材と、前記低周波吸音材の外側面側に前記低周波吸音材と平行に配置される板状の補強層と、前記低周波吸音材と前記補強層間に配設される保護層とを備えることを特徴とする吸音体。
【請求項3】
前記低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の内側面側に積層される多孔質体層とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項4】
前記低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の外側面側に積層される多孔質体層と、前記膜の内側面側に積層される他の多孔質体層とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項5】
前記低周波吸音材は、前記ボディーの外側面に空気層を介して平行に配設されるゴムまたはアクリル樹脂から成る膜を備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項6】
前記低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の内側面側に積層され前記ボディーの外側面に空気層を介して平行に配設される多孔質体層とを備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項7】
前記低周波吸音材は、ゴムまたはアクリル樹脂から成る膜と、前記膜の外側面側に積層される多孔質体層と、前記膜の内側面側に積層され前記ボディーの外側面に空気層を介して平行に配設される他の多孔質体層とを備える特徴とする請求項1または請求項2記載の吸音体。
【請求項8】
前記補強層は、前記低周波吸音材を保護し、かつ音を透過させる性質を有する板状体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の吸音体。
【請求項9】
前記補強層は、多数の開口を有する金属製の板状体から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の吸音体。
【請求項10】
前記補強層は、パンチングメタルまたはエキスパンドメタルから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7何れか1項記載の吸音体。
【請求項11】
前記板状体の開口率は、40〜70%であることを特徴とする請求項9記載の吸音体。
【請求項12】
前記ゴムは、シリコーンゴムから成ることを特徴とする請求項3乃至請求項11何れか1項記載の吸音体。
【請求項13】
前記膜の燃焼発熱量は、8MJ/m以下であることを特徴とする請求項12記載の吸音体。
【請求項14】
前記膜の燃焼発熱速度は、[200kW/m]・10sec以下であることを特徴とする請求項12または請求項13記載の吸音体。
【請求項15】
前記ゴムは、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムから成ることを特徴とする請求項3乃至請求項11何れか1項記載の吸音体。
【請求項16】
前記膜は、無機化合物および/または炭素繊維を含むことを特徴とする請求項3乃至請求項15何れか1項記載の吸音体。
【請求項17】
前記無機化合物は、Si、Ca、Sr、Baの何れか1種を含む化合物または前記Si、Ca、Sr、Baの何れか1種を含む化合物の混合物から成ることを特徴とする請求項16記載の吸音体。
【請求項18】
前記炭素繊維は、繊維径が10〜30μm、長さの平均値が0.3〜2mm、添加量が主剤のアクリル樹脂に対し0.5〜10部であることを特徴とする請求項16記載の吸音体。
【請求項19】
前記多孔質体層は、難燃性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項3乃至請求項18何れか1項記載の吸音体。
【請求項20】
前記多孔質体層は、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成ることを特徴とする請求項3乃至請求項19何れか1項記載の吸音体。
【請求項21】
前記膜は、前記多孔質体層と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項22】
前記膜は、前記多孔質体層および前記他の多孔質体層のうち何れか一方と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項23】
前記膜は、接着により前記多孔質体層および/または前記他の多孔質体層と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項24】
前記膜は、熱融着により前記多孔質体層および/または前記他の多孔質体層と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項25】
前記膜は、シリコーングラフト反応により前記多孔質体層および/または前記他の多孔質体層と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項26】
前記膜は、前記膜の一部が前記多孔質体層および/または前記他の多孔質体層の孔部に入り込むことで前記多孔質体層および/または前記他の多孔質体層と一体化していることを特徴とする請求項3乃至請求項20何れか1項記載の吸音体。
【請求項27】
前記保護層は、金属板に多数個の微細穿孔を設けて成る微細穿孔板、金属製不織布若しくは板状の金属多孔質体の何れかまたはこれらを組み合わせたものから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項26何れか1項記載の吸音体。
【請求項28】
請求項1乃至請求項27何れか1項記載の吸音体を備え、前記吸音体は、移動体のボディーの外側面に前記吸音体を構成する補強層を外側に向けて前記ボディーの外側面と平行に配設されていることを特徴とする移動体。
【請求項29】
前記移動体のボディーの外側面に凹陥部が設けられ、前記凹陥部に前記吸音体が配設されていることを特徴とする請求項28項記載の移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−223496(P2007−223496A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48111(P2006−48111)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(306013119)昭和電線デバイステクノロジー株式会社 (118)
【Fターム(参考)】