説明

吸音型防音パネル

【課題】建築及び産業用製品に多様に適用でき、広い周波数帯域に対して良好な吸音特性を有し、見栄えの良い外観効果を演出できる吸音型防音パネルを提供する。
【解決手段】本発明は吸音型防音パネルに関するものであり、より具体的には、前面と後面を有し、水平方向に沿って伸び、前面と後面間に空間部が形成された本体;及び上記本体の空間部に収容され、前面及び後面に対してそれぞれ離隔配置された吸音材を含み、前記本体の前面には垂直方向に沿って凹部と凸部が交互に形成され複数の吸音ホールが形成されるが、全体吸音ホールの断面積は前面の断面積の20%以上であることを特徴とし、本発明にかかる吸音型防音パネルは建築および産業用製品に多様に適用でき、広い周波数帯域に対して良好な吸音特性を有し、見栄えの良い外観効果を演出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音型防音パネルに関するものであり、より具体的には、建築及び産業用製品に多様に適用でき、広い周波数帯域に対して良好な吸音特性を有し、見栄えの良い外観効果を演出できる吸音型防音パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、防音壁は住宅街と隣接した道路や線路、騒音がひどく発生する各種施設物、及び工事の騒音が発生する地域の周辺に設けられて、このような騒音及び振動を遮断する役割をする。
【0003】
通常、防音壁は機能別に遮音型、吸音型及び共鳴型に分けられ、遮音型防音壁としては、素材別にポリカーボネート又はポリアクリル等の透明型防音壁と、圧縮性型セメントパネル、プラスチックパネル等があり、吸音型防音壁としてはアルミニウムと亜鉛めっき鋼板からなる金属型防音壁と防腐木を利用した木材型防音壁、軽量コンクリート防音壁等がある。
【0004】
このような防音壁のうち吸音型の場合は、多孔性物質、例えばガラス繊維、ポリエステル(PET)等を使用して吸音効果を表すようにした。しかし、このような多孔性吸音材を使用する場合は高周波帯域では優れた吸音性能を有するが、低周波帯域では制限的であり、高い吸音性能を表すために多孔性吸音材を厚く形成し、インテリア性を付与するために別の素材と接合させた後に使用しなければならないという問題点があった。
【0005】
また、ポリエステルは、雨が降ると水を吸収するため、表面に撥水処理を施さなければならなく、この撥水処理によって吸音率が低下するという問題点があり、グラスウールやロックウールの場合は、飛散等の問題により表面にフィルム類でコーティングしなければならなく、このフィルムによって吸音率が劣るという問題点があった。
【0006】
一方、金属型防音壁は、煤煙及び雨水により腐食及び変色する可能性が高く、木材型防音壁は、主に防腐木を使用しているため、長期間使用時には表面汚染、クラック及び変色の恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008‐144580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためのものであり、本発明の目的は建築及び産業用製品に多様に適用でき、広い周波数帯域に対して良好な吸音特性を有し、見栄えの良い外観効果を演出できる吸音型防音パネルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記の目的を達成するために、
本発明の一側面によると、
前面と後面を有し、水平方向に沿って延び、前面と後面間に空間部が形成された本体;及び
前記本体の空間部に収容され、前面及び後面に対してそれぞれ離隔配置され、単量400g/m以上の極細糸素材で形成された吸音材を含み、
前記本体の前面には、垂直方向に沿って凹部と凸部、及び複数の吸音ホールが形成されたことを特徴とする吸音型防音パネルを提供する。
【発明の効果】
【0010】
以上の通り、本発明にかかる吸音型防音パネルは、建築及び産業用製品に多様に適用でき、広い周波数帯域に対して良好な吸音特性を有し、見栄えの良い外観効果を演出できる。
【0011】
また、本発明にかかる吸音型防音パネルは、押出し成形して一体型に製作できるため、製作及び施工が簡便で、合成木材からなるため天然質感が表れ、優れた耐水性及び耐候性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの断面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの斜視図である。
【図4】本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの切開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルを添付の図面を参考して詳しく説明する。添付の図面は、本発明の例示的な形態を図示したものであり、これは本発明をより詳しく説明するために提供するものであるだけで、これによって本発明の技術的な範囲が限定されるのではない。
【0014】
図1及び図2は本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの断面図で、図3は本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの斜視図で、図4は本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルの切開斜視図である。
【0015】
本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネル1は、本体10及び前記本体内に配置された吸音材20を含む。
【0016】
ここで、前記本体10は前面11と後面15を有し、水平方向に沿って延び、前面11と後面15間に空間部30,40が形成される。
【0017】
また、前記本体10の前面11には垂直方向に沿って凹部12と凸部13が交互に形成され、複数の吸音ホール14が形成されて、前記本体10はオレフィン系列のプラスチック樹脂と木粉を混合したコンパウンドを押出し成形して一体に製作でき、凹凸構造を有する前面11はルーバー形態を表し、空間部30,40は騒音を減衰させる役割をする。
【0018】
一方、前記凹部12と凸部13には、表面に複数の凹凸を形成することができ、これにより表面で乱反射が起こるため、騒音が消散するという効果を得ることができる。
【0019】
前記空間部30,40は、吸音材20を基準に、吸音材20と本体10の前面11間に形成された第1共鳴部30と、吸音材20と本体10の後面15間に形成された第2共鳴部40に区分され、吸音ホール14から流れ込む騒音は1次的に第1共鳴部30で消散され、順に吸音材20と第2共鳴部40により順次的に吸音及び消散される。
【0020】
つまり、前記吸音ホール14はヘルムホルツ共鳴器の役割をし、吸音ホール14の形状は吸音性能及び外観効果を考慮して決定でき、これに制限はされないが、例えばスリット(slit)又は円形でもよい。前記吸音ホール14の直径もまた、吸音性能を考慮して多様に決定でき、吸音ホール14の全体面積は高い吸音性能のために前面11の全体面積の20%以上であることが好ましい。このとき、吸音ホール14の全体面積が前記数値より低いと吸音性能が劣り、前記数値より大きい場合は特に制限はないが、外観効果等を考慮して30〜40%以下であることが好ましい。
【0021】
前記吸音材20は、優れた吸音または遮音性能を有する材料で形成でき、これに制限されるのではないが、例えばポリウレタン発泡フォーム、ポリウレア発泡フォーム、ポリ塩化ビニル発泡フォーム、ポリプロピレン発泡フォーム、ポリエチレン発泡フォーム、ポリスチレン発泡フォーム、ポリビニルアセテート発泡フォーム、メラミン発泡フォーム、フェノール発泡フォーム、アクリル発泡フォーム、不織布、繊維織物、グラスウール、ミネラルウール及びロックウールからなるグループから選ばれた一つ又は二つ以上が積層または接合されたものでもよい。
【0022】
好ましくは、前記吸音材20は環境にやさしい樹脂であるオレフィン系樹脂を利用した単量400g/mの極細糸からなり、これにより吸音材20形成の厚さを20〜30mm(好ましくは約26mm)に薄く形成できるため、防音型吸音パネルは全体の厚さが80mm以下に形成できるため、スリム化が可能になる。
【0023】
また、前記本体10には前記本体10の空間部30,40を複数の領域に区画するための隔壁16が形成でき、前記吸音材20を本体10の前面11及び後面15に対してそれぞれ離隔配置させることができるように、前記隔壁及び本体の内面には固定ガイド17が突出形成できる。
【0024】
吸音材20と本体10の後面15間に形成された第2共鳴部40は、ヘルムホルツ共鳴器の役割をし、低周波領域で吸音性能を発揮するように構成される。現在のKS企画であるKSF4770−3では、250Hz、500Hz、1000Hz、2000Hzの吸音率を算出平均して0.7以上が満たされるように規定されており、よって本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネルでは、第2共鳴部40が500〜1000Hzで共鳴構造を有するものが好ましく、吸音材20は1000Hz以上で高い吸音率を有する素材で形成されるものが好ましい。
【0025】
第1共鳴部30の場合は、吸音ホール14の面積と第1共鳴部30の体積によって騒音を減衰させる周波数帯域が決定され、本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネル1では一つの吸音ホール14に従って二つの共鳴構造30,40を有することにより、高い吸音性能が表れる。
【0026】
また、前記本体10の前面11(特に凹部12)及び後面15にはそれぞれ内側に突出された補強突起Rがそれぞれ形成され、このような補強突起Rは吸音型防音パネル10の構造的安定性に寄与し、第1及び第2共鳴部30,40を複数の空間に区画する機能を行う。
【0027】
また、図2を参照すると、施工時の組立てを容易にするために吸音型防音パネル1の本体10の垂直方向の上段と下段には締結突起18とこれに対応する締結溝19がそれぞれ形成されている。
【0028】
本発明の一実施例にかかる吸音型防音パネル1は、本体10が押出し物のため、長さ方向の両終端が開放されており、これによって吸音ホール14から流れ込んだ騒音が本体10の開放された側面から外部に伝播され得るため、これを防止するために本体10の両側面に装着されるサイドカバー50を更に含むことができ、このようなサイドカバー50には装着を容易にするための突起51が形成できる。
【0029】
このように構成された吸音型防音パネル1の施工方法は、セメント又はコンクリートで形成された基礎に固定され、Hビーム間に防音パネル1を積層して挿入できる。このとき積層された防音パネル1がHビームから離脱しないように締結クリップを使用できる。
【0030】
上で説明した本発明の好ましい実施例は、例示の目的のために開示したものであり、本発明に対する通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更、付加が可能なものであり、このような修正、変更及び付加は下記の特許請求の範囲に属すると見なさなければならない。
【符号の説明】
【0031】
1………吸音型防音パネル
10………本体
11………前面
12………凹部
13………凸部
14………吸音ホール
15………後面
20………吸音材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と後面を有し、水平方向に沿って延び、前面と後面間に空間部が形成された本体;及び
前記本体の空間部に収容され、前面及び後面に対してそれぞれ離隔配置され、単量400g/m以上の極細糸素材で形成された吸音材を含み、
前記本体の前面には垂直方向に沿って凹部と凸部及び複数の吸音ホールが形成されたことを特徴とする吸音型防音パネル。
【請求項2】
全体吸音ホールの断面積は、本体前面の断面積の20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項3】
前記本体の前面及び後面には、それぞれ内側に突出された複数の補強突起が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項4】
前記本体には、空間部を複数の領域に区画する隔壁が形成されており、前記隔壁には吸音材を支持するために突出された固定ガイドが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項5】
前記吸音材と本体の後面間に形成された共鳴部は、500〜1000Hz帯域で共鳴構造を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項6】
前記吸音材は、オレフィン系樹脂で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項7】
前記吸音材は、厚さが20〜30mmであることを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。
【請求項8】
前記本体の垂直方向の上段と下段には締結突起とこれに対応する締結溝がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音型防音パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−530931(P2012−530931A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515967(P2012−515967)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【国際出願番号】PCT/KR2010/003623
【国際公開番号】WO2010/147324
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】20,Yoido−dong,youngdungpo−gu,Seoul150−721,Republic of Korea
【Fターム(参考)】