説明

吸音材の製造方法

【課題】 不織布と有孔フィルムとが積層貼合されてなる吸音材において、吸音性能に優れた吸音材の製造方法を提供する。
【解決手段】 不織布と二つの融点を持つ有孔フィルムとを積層した積層物を得る。この積層物を、有孔フィルムの二つの融点の間の温度に加熱された加圧ロールに通す。二つの融点差は10℃程度である。そして、有孔フィルムを軟化又は溶融させて粘着性を与え、この粘着性により不織布と有孔フィルムとを接着貼合して吸音材を得る。不織布は、繊度1.7〜6.6デシテックスの短繊維をカード法で開繊した後、ニードルパンチ法で短繊維相互間を交絡した、目付150〜450g/m2程度の短繊維不織布が用いられる。有孔フィルムは、直径0.5〜1.0mmである円形孔が、開孔率は0.8〜4.9%程度となっているものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として自動車や事務用機器等に用いる吸音材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車や事務用機器等に用いる吸音材として、不織布と有孔フィルムを貼合してなるものが知られている(特許文献1の請求項4)。この吸音材は、音波の入射する側に有孔フィルムが配され、自動車や事務用機器等の内壁面側に不織布が配されて用いられる。この吸音材の吸音作用は以下のとおりである。すなわち、有孔フィルムの非孔領域に衝突した音波は、有孔フィルムの振動により振動エネルギーに変換され、音波の反射が低減され吸音される。また、有孔フィルムの孔部を通過した音波は、不織布の構成繊維の振動による振動エネルギーに変換されると共に、構成繊維相互間を通過する際の摩擦による熱エネルギーに変換されて、そのエネルギーが低減され吸音される。
【0003】
特許文献1に記載された吸音材は、不織布と有孔フィルムとを以下のような方法で貼合している。すなわち、不織布の構成繊維として熱接着性合成繊維を用い、これを接着剤として有孔フィルムと貼合している(特許文献1の段落0033)。
【0004】
【特許文献1】特開2008−231596号公報(請求項4及び段落0037)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された吸音材は、その吸音性能が不十分であった。本発明者等は、その原因を検討していたところ、不織布と有孔フィルムとの貼合が不十分なのではないかと想い至った。
【0006】
そこで、不織布と有孔フィルムとを貼合する方法として、接着剤を介在させて両者を接着する方法を検討した。しかしながら、接着剤を介在させる方法は、接着剤を均一に塗布しにくいということや、接着剤が有孔フィルムの孔を塞ぐということがあり、採用することはできなかった。
【0007】
また、本発明者等は、不織布と有孔フィルムとを貼合する方法として、有孔フィルムを軟化又は溶融させ、有孔フィルムに粘着性を与えて両者を接着する方法を検討した。その結果、有孔フィルムとして特定のものを採用すると、吸音性能が向上することを見出し、本発明に到達した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、不織布と少なくとも二つの融点を持つ有孔フィルムとを積層した積層物を、前記二つの融点の間の温度に該有孔フィルムを加熱し、該有孔フィルムに粘着性を与えると共に加圧し、該粘着性により該不織布と該有孔フィルムとを接着貼合することを特徴とする吸音材の製造方法に関するものである。
【0009】
本発明においては、まず不織布を準備する。不織布としては、従来吸音材の材料として用いられている公知の不織布が用いられるが、一般的には短繊維不織布が好ましく用いられる。不織布の目付は吸音性能の観点からは高ければ高い方がよく、また、自動車や事務機器等の軽量化の観点からは低ければ低い方がよい。したがって、両者の兼ね合いで適宜決定され、本発明においては150〜450g/m2程度がよい。
【0010】
短繊維不織布の製造方法としては、吸音性能を向上させるため、嵩高性を出すという観点から、ニードルパンチ法を採用するのがよい。短繊維不織布の厚みは7〜18mm程度が好ましい。短繊維不織布の構成繊維としては、従来公知のものが用いられ、ポリエステル系短繊維やポリオレフィン系短繊維が用いられる。これら短繊維の繊度は、嵩高性を出す観点からはなるべく太い方が好ましく、また吸音性能の観点からはなるべく低い方が好ましい。したがって、両者のバランスから、ニードルパンチ法を採用し、短繊維の繊度は1.7〜6.6デシテックス程度のものを用いるのが好ましい。
【0011】
また、短繊維不織布の形態安定性を向上させるため、構成繊維の全部又は一部に、熱接着性を有する複合型短繊維を用いるのがよい。すなわち、低融点成分を鞘部とし、高融点成分を芯部とする熱接着性芯鞘複合型短繊維を用いるのがよい。具体的には、低融点ポリエステルを鞘部とし高融点ポリエステルを芯部とする芯鞘複合型ポリエステル短繊維や、ポリエチレンを鞘部としてポリエステルを芯部とする芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維を用いるのがよい。これらの複合型短繊維は、ニードルパンチによって構成繊維相互間を絡合した後、鞘部が溶融又は軟化する程度の温度に加熱処理すると、構成繊維相互間が接着し、形態安定性が向上する。
【0012】
本発明においては、つぎに有孔フィルムを準備する。有孔フィルムは、一般に市販されている30μm程度の無孔フィルム全体に均一に孔開け加工(有孔加工)を施して得られる。全体に均一に孔開け加工するには、格子状に孔を配列するのが一般的である。有孔フィルムに設けられる孔は、一般的に円形であり、直径が0.5〜1.0mm程度のものである。この孔が大きすぎると、有孔フィルム全体が振動しにくくなり、音波を振動エネルギーに変換しにくくなる傾向が生じる。また、孔が小さすぎると、音波がその孔を通過しにくくなり、不織布による吸音作用が低下する傾向が生じる。
【0013】
有孔フィルムの開孔率は、孔の直径と孔間のピッチで決定される。本発明では、開孔率は0.8〜4.9%程度が好ましい。開孔率が高いと、有孔フィルム全体が振動しにくくなり、音波を振動エネルギーに変換しにくくなる傾向が生じる。また、開孔率が低いと、孔を通過する音波の少なくなり、不織布による吸音作用が低下する傾向が生じる。
【0014】
本発明で用いる有孔フィルムは、少なくとも二つの融点を持っている。二つの融点を持つ有孔フィルムは、融点の異なる二種の高分子を混合したものを原料として、押し出し成形等の公知のフィルム形成法で得ることができる。また、分子量分布の広い1種の高分子を原料として、押し出し成形等の公知のフィルム形成法で得ることができる。分子量分布の広い高分子の場合、二つの融点を持つことがある。本発明でいう融点とは、以下の測定方法によって測定されるものである。すなわち、走査型差動熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下で10mgの試料を10℃/分の速度で200℃まで昇温し、その後、10℃/分の速度で20℃まで降温し、再び10℃/分の速度で200℃まで昇温したとき、観測される吸熱カーブのピーク温度(℃)を融点とした。この測定方法において、二回昇温する理由は、一回目の昇温では二種の高分子が均一に混合されているため、両高分子の融点が近接していると、ピーク温度が一つしか観測されないことがあるからである。つまり、一回目の昇温及び降温で二種の高分子をある程度分離して再結晶させ、二回目の昇温で各々の結晶の融解に伴うピーク温度を観測するのである。
【0015】
融点の異なる二種の高分子としては、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、エチレンとその他のモノマーとの共重合体、低融点ポリエステル及び高融点ポリエステル等から二種を選択すればよい。本発明においては、ポリオレフィン系高分子の二種を選択するのが好ましい。また、二つの融点を持つ分子量分布の広い高分子としては、線状低密度ポリエチレン又は高密度ポリエチレン等の一種を選択すればよい。異なる融点の差は、約10℃程度であるのが好ましい。融点差が小さくなりすぎると、加熱された加圧ロールの温度管理が困難になる傾向が生じる。融点差が大きくなりすぎると、均質な有孔フィルムを得にくくなる。
【0016】
不織布と有孔フィルムとが積層された積層物が、加熱された加圧ロール間に通されて、不織布と有孔フィルムとが積層貼合される。加圧ロールの加熱温度の条件は、有孔フィルムが二つの融点の間の温度に加熱されるような条件である。これによって、有孔フィルム中の融点の低い高分子が軟化又は溶融し、有孔フィルムに粘着性が与えられる。そして、この粘着性と、積層物が加圧ロールで加圧されているにより、不織布と有孔フィルムとが貼合される。すなわち、有孔フィルムは全体が軟化又は溶融するのではなく、有孔フィルム中の融点の低い高分子のみが軟化又は溶融して粘着性を呈すると共にこの有孔フィルムが不織布に対して加圧されるので、有孔フィルムは均一性を維持したまま、両者が貼合されるのである。このため、不織布と有孔フィルムとは均一に強固に接着することになる。たとえば、融点を一つしか持たない有孔フィルムと不織布とを積層し、有孔フィルムが軟化又は溶融する温度で加熱加圧して貼合すると、有孔フィルム全体が軟化又は溶融し、その均一性を維持したまま貼合されないので、好ましくないのである。また、有孔フィルムの均一性を維持したまま貼合しようとすると、有孔フィルムが殆ど軟化していない状態で接着しなければならず、強固な接着が得られず、好ましくないのである。
【0017】
以上のようにして得られた吸音材は、表面に有孔フィルムが配され、裏面に不織布が配された態様となっている。そして、自動車のエンジン近傍に用いられるときは、エンジン音のする側に有孔フィルムが配され、エンジンを囲む内壁に不織布が配されるようにして吸音材として用いられる。また、事務機器に用いるときも、事務機器の筐体内壁に不織布が配され、事務機器内部のローラ音等がする側に有孔フィルムが配されて吸音材として用いられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る製造方法で得られた吸音材は、有孔フィルムがその均一性を維持したまま不織布と強固に接着している。したがって、有孔フィルムの非孔領域に当たった音波は、有孔フィルム全体を均一に振動させると共に、その振動が不織布によって吸収され、音波の反射が良好に低減されるのである。たとえば、有孔フィルムがその均一性を維持せずに不織布と接着していると、有孔フィルムの非孔領域に音波が当たっても、有孔フィルム全体を均一に振動させにくくなり、その振動を不織布によって吸収しにくくなり、吸音性能は向上しにくい。また、有孔フィルムと不織布が強固に接着していないと、有孔フィルムの振動を不織布が吸収しにくくなり、吸音性能は向上しにくいのである。したがって、本発明に係る製造方法で得られた吸音材は、従来の吸音材に比べて、吸音性能に優れているという効果を奏するのである。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、有孔フィルムとして二つの融点を持つものを採用すると、有孔フィルムの均一性を維持したまま強固に不織布と接着でき、その結果、吸音性能に優れた吸音材が得られるとの知見に基づくものとして解釈されるべきである。
【0020】
実施例1
以下の単相型ポリエステル短繊維(1)60質量%、芯鞘複合型ポリエステル短繊維(2)20質量%及び芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維(3)20質量%を混合して、カード法で開繊し、目付150g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブにニードルパンチを施した後、145℃のオーブンにて加熱処理を施して、厚み7mmの短繊維不織布(1)を得た。
[単相型ポリエステル短繊維(1)]
素材; 融点264℃の高融点ポリエステル
繊度; 1.7デシテックス
繊維長;51mm
[芯鞘複合型ポリエステル短繊維(2)]
鞘部; 融点110℃の低融点ポリエステル
芯部; 融点264℃の高融点ポリエステル
芯鞘比;芯:鞘=50:50(質量比)
繊度; 2.2デシテックス
繊維長;51mm
[芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維(3)]
鞘部; 融点130℃のポリエチレン
芯部; 融点264℃の高融点ポリエステル
芯鞘比;芯:鞘=50:50(質量比)
繊維長;51mm
【0021】
一方、107℃と117℃の二つの融点を持つ線状低密度ポリエチレンを含むポリエチレンフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名「TUX−TCS」、厚み30μm)に、孔径0.5mmでピッチ間隔2.0mmで格子状の有孔加工を施して、開孔率4.9%の有孔フィルム(1)を得た。そして、短繊維不織布(1)と有孔フィルム(1)とを積層した積層物を、120℃に加熱された熱ロールと常温のバックアップロールとからなるカレンダーロールに、熱ロールが有孔フィルム(1)に当接するようにして通し、吸音材を得た。この吸音材の目付は180g/m2で厚みは6mmであった。
【0022】
実施例2
実施例1で用いたポリエチレンフィルムに、孔径1.0mmでピッチ間隔10.0mmで格子状の有孔加工を施して、開孔率0.8%の有孔フィルム(2)を得た。そして、実施例1で用いた短繊維不織布と有孔フィルム(2)とを積層し、実施例1と同様にして目付180g/m2で厚み6mmの吸音材を得た。
【0023】
実施例3
実施例1で用いたポリエチレンフィルムに、孔径0.8mmでピッチ間隔6.0mmで格子状の有孔加工を施して、開孔率2.8%の有孔フィルム(3)を得た。そして、実施例1で用いた短繊維不織布と有孔フィルム(3)とを積層し、実施例1と同様にして目付180g/m2で厚み6mmの吸音材を得た。
【0024】
実施例4
単相型ポリエステル短繊維(1)80質量%、芯鞘複合型ポリエステル短繊維(2)10質量%及び芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維(3)10質量%を混合して、カード法で開繊し、目付150g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブにニードルパンチを施した後、145℃のオーブンにて加熱処理を施して、厚み7mmの短繊維不織布(2)を得た。
短繊維不織布(2)と有孔フィルム(1)を用いて実施例1と同一の方法で目付180g/m2で厚み6mmの吸音材を得た。
【0025】
実施例5
単相型ポリエステル短繊維(1)60質量%、芯鞘複合型ポリエステル短繊維(2)20質量%及び芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維(3)20質量%を混合して、カード法で開繊し、目付450g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブにニードルパンチを施した後、145℃のオーブンにて加熱処理を施して、厚み18mmの短繊維不織布(3)を得た。
短繊維不織布(3)と有孔フィルム(1)を用いて実施例1と同一の方法で目付480g/m2で厚み15mmの吸音材を得た。
【0026】
実施例6
以下の単相型ポリエステル短繊維(4)60質量%、芯鞘複合型ポリエステル短繊維(2)20質量%及び芯鞘複合型ポリエステル/ポリエチレン短繊維(3)20質量%を混合して、カード法で開繊し、目付150g/m2の繊維ウェブを得た。この繊維ウェブにニードルパンチを施した後、145℃のオーブンにて加熱処理を施して、厚み8mmの短繊維不織布(4)を得た。
[単相型ポリエステル短繊維(4)]
素材; 融点264℃の高融点ポリエステル
繊度; 6.6デシテックス
繊維長;51mm
短繊維不織布(4)と有孔フィルム(1)を用いて実施例1と同一の方法で目付180g/m2で厚み7mmの吸音材を得た。
【0027】
比較例1
107℃の一つの融点を持つポリエチレンフィルム(厚み30μm)に、孔径0.5mmでピッチ間隔2.0mmで格子状の有孔加工を施して、開孔率4.9%の有孔フィルム(4)を得た。そして、短繊維不織布(1)と有孔フィルム(4)とを積層した積層物を、110℃に加熱された熱ロールと常温のバックアップロールとからなるカレンダーロールに、熱ロールが有孔フィルム(4)に当接するようにして通し、吸音材を得た。この吸音材の目付は180g/m2で厚みは6mmであった。
【0028】
比較例2
短繊維不織布(1)をそのまま吸音材とした。
【0029】
比較例3
実施例1で用いたポリエチレンフィルムに有孔加工を施さない他は、実施例1と同一の方法で吸音材を得た。この吸音材の目付は190g/m2で厚みは6mmであった。
【0030】
実施例1〜6及び比較例1〜3に係る吸音材について、通気性(cm3/cm2/s)及び剥離強度(cN)を、以下の方法で測定し、その結果を表1に示した。
(1)通気性(cm3/cm2/s)
JIS L−1096の6.27.1(A)法で測定した。
(2)剥離強度(cN)
JIS L 1089に記載の方法に準拠した測定した。
【0031】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
通気性 剥離強度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 6 283
実施例2 1 251
実施例3 12 257
実施例4 8 153
実施例5 4 213
実施例6 7 267
比較例1 18 54
比較例2 134 −
比較例3 − 212
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【0032】
実施例1〜6及び比較例1〜3に係る吸音材について、以下の二種の吸音率(%)を測定した。すなわち、JIS A−1405に基づき、垂直入射吸音率(%)とランダム入射吸音率(%)を測定した。垂直入射吸音率(%)については、2000Hz、4000Hz及び6300Hzの吸音率を測定した。また、ランダム入射吸音率(%)については、2000Hz、4000Hz、6300Hz及び8000Hzの吸音率を測定した。この結果を表2及び表3に示した。
【0033】
[表2]
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垂直入射吸音率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2000Hz 4000Hz 6300Hz
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 21 73 96
実施例2 23 84 84
実施例3 23 82 98
実施例4 32 84 90
実施例5 52 86 99
実施例6 36 90 89
比較例1 22 60 90
比較例2 15 29 45
比較例3 23 86 76
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0034】
実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1の方が4000Hz及び6300Hzの周波数において、吸音性能が高くなっている。また、比較例2はいずれの周波数においても実施例1〜6よりも吸音性能が低く、比較例3は6300Hzの周波数において実施例1〜6よりも吸音性能が低くなっている。
【0035】
[表3]
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ランダム入射吸音率(%)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2000Hz 4000Hz 6300Hz 8000Hz
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 61 87 96 85
実施例2 58 83 87 72
実施例3 54 83 87 99
実施例4 61 82 87 93
実施例5 71 95 98 98
実施例6 72 91 90 83
比較例1 58 60 63 73
比較例2 37 32 45 44
比較例3 60 83 65 59
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0036】
実施例1と比較例1とを対比すると、いずれの周波数においても、実施例1の方が吸音性能が高くなっている。また、比較例2はいずれの周波数においても実施例1〜6よりも吸音性能が低く、比較例3は6300Hz及び8000Hzの周波数において実施例1〜6よりも吸音性能が低くなっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布と少なくとも二つの融点を持つ有孔フィルムとを積層した積層物を、前記二つの融点の間の温度に該有孔フィルムを加熱し、該有孔フィルムに粘着性を与えると共に加圧し、該粘着性により該不織布と該有孔フィルムとを接着貼合することを特徴とする吸音材の製造方法。
【請求項2】
不織布がニードルパンチ法で得られた短繊維不織布である請求項1記載の吸音材の製造方法。
【請求項3】
短繊維不織布の目付が150〜450g/m2であり、短繊維不織布の構成繊維の繊度が1.7〜6.6デシテックスである請求項2記載の吸音材の製造方法。
【請求項4】
短繊維不織布の構成繊維の全部又は一部に、熱接着性芯鞘複合型短繊維を用いる請求項2記載の吸音材の製造方法。
【請求項5】
有孔フィルムの孔は略円形であり、直径が0.5〜1.0mmである請求項1記載の吸音材の製造方法。
【請求項6】
有孔フィルムの開孔率は0.8〜4.9%である請求項5記載の吸音材の製造方法。
【請求項7】
有孔フィルムは線状低密度ポリエチレンを含有している請求項1記載の吸音材の製造方法。

【公開番号】特開2013−96014(P2013−96014A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236612(P2011−236612)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(591025082)日泉化学株式会社 (19)
【出願人】(592134583)愛媛県 (53)
【出願人】(595031775)シンワ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】