周期的に分極された非線形材料の、効率がよくコンパクトな可視マイクロチップレーザ光源
コンパクトで、光学的にポンピングされる固体マイクロチップレーザ装置は、低コストの緑色及び青色レーザ光源を得るため、効率的な非線形キャビティ内周波数変換を使用する。レーザは、Nd:YVO4などの固体ゲイン媒質および非線形結晶を含む。非線形結晶は、周期的に分極されたニオブ酸リチウムまたは周期的に分極されたリチウム・タンタル酸塩で形成され、その結晶は、高い信頼性を確実にするために、MgOでドープされたか、ZnOでドープされたか、または、ストイキオメトリックである。非線形結晶は、赤外線ポンプレーザ・ビームから可視波長範囲へエネルギーを転換するため、効率的な周波数倍増を提供する。レーザ装置は、出力ビームのための出力開口を有するパッケージに組み付けされ、レーザアセンブリを収容する光学台と一体化される。パッケージは、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ、光学台プラットフォームおよび電気リードに囲み、ヒートシンクを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的に分極された非線形材料を使用するマイクロチップ可視レーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
可視スペクトル範囲のコンパクトで、効率的かつ低コストのレーザ光源は、様々なアプリケーションのために長い間求められてきた。これらのアプリケーションは、レーザー・ベースの投影ディスプレイ、光記憶装置、バイオ分析器具、半導体検査および分光学を含む。半導体レーザは、例えば、近赤外スペクトル領域において最も効率的にレーザ光線を出すInGaAIPなどの材料システムに依存し、低コストで、コンパクトなかつ効率的なプラットフォームを提供する。〜650nm(赤色)までの効率的な動作は、重大な技術的挑戦がなくても成し遂げられ、いくつかの半導体レーザ設計は、効率および信頼性を減少させて〜635nmまで拡張できる。可視領域の短い波長側では、GaNシステムが近年開発され、青紫色(〜400nmから〜445nmまで)のスペクトル範囲のレーザが、商業化されている。しかし、効率的および信頼性が高い手法で、波長>460nmを成し遂げることは、重大な挑戦となる。このように、大部分の可視スペクトル(すなわち〜460nmの青から〜635nmの赤まで)は、現在のところ効率的な半導体レーザの解決案がない。
【0003】
これらの色(波長)のうち緑色が欠如していることは、この色が人間の目の最大感度に対応するため、おそらく最も注目に値する。実際は、緑色の半導体レーザの直接的な解決策は、現在商用されていない。1990年代から商業化されている間接的な解決策は、例えばNd:Y3Al5O12(Nd:YAG)またはNd:YVO4などのネオジム(Nd)ベースの固体レーザの非線形周波数倍増(第2高調波発生またはSHGとしても知られている)に基づくものである。これらの固体ゲイン材料は、赤外の半導体レーザにより(例えば〜808nmまたは〜880nmで)ポンピングされることができ、〜1064nmの波長でレーザ放射を生じる。この1064nmの放射は、その後、チタン酸リン酸カリウム(KTP)または三ほう酸リチウム(LBO)などの非線形結晶を使用して、緑色の532nmの波長に周波数倍増されることができる。同様の技術は、青色、例えば946nmの固体レーザを周波数倍増することによる473nmを得るために用いることができる。さらに、固体ゲイン・チップおよび非線形結晶がモノリシックなレーザキャビティを形成するために接着される、いわゆるマイクロチップ技術を用いることにより低コストなプラットフォームを得ることができる。マイクロチップ実装は、ムラディアンによって提案された(米国特許第5365539号参照)。
【0004】
しかし、現在利用可能なマイクロチップレーザは、多くのアプリケーションで必要とされる効率および柔軟性を欠いている。コンパクトさと効率性の仕様は、特に、携帯、電池式プロジェクタなどのモバイル、消費者向け電子機器アプリケーションで重要である。既存のプラットフォームのこれらの限界は、主にKTPなどの従来の非線形材料の周波数変換の非効率性に起因する。KTPベースのマイクロチップレーザから高効率の緑色出力を得るために、基本的な赤外線レーザに対して大きなパワーマージンを提供しなければならず、それは、レーザシステム設計全体に熱、寸法およびコストの制限を課す。さらに、KTPなどの従来のバルクの非線形材料は、周波数変換の範囲に関して制限される。例えば、KTPは、周波数倍増して緑色にするために使われるが、実際には周波数倍増して青色にするためには使われることができず、そのため効率、信頼性およびコストの自身の制限に合う異なる非線形材料を探さなければならない。また、低コストの緑色レーザーポインタで広く使われているKTP結晶は、結晶の光誘起吸収と関係する「グレートラッキング」と呼ばれる信頼性の課題に悩まされる。
【0005】
ローレル(米国特許第6259711号参照)は、このような制限の多くは、周期的に分極された非線形結晶を用いて克服できることを提案した。これらの結晶は、所望の変換波長に対して高い非線形性を提供するよう設計されることができる。従って、マイクロチップ・アーキテクチャにおいて実装されるこの種のレーザ設計は、従来のバルクの非線形材料に関連した制限の多くに対処できる。
【0006】
しかし、その発明の実施例は、我々の知る限りではこのプラットフォームの商業化を阻止し、今日まで、可視波長マイクロチップレーザは、KTPおよびKbNO3などのバルクの非線形材料に依存し続けるという重大な制限を受けている。後者の材料は青色を生じるために用いられる(公開されたPCT出願WO2005/036703号参照)。この種の制限は、ローレルの発明で提案された周期的に分極された非線形結晶、すなわちKTiOPO4(KTP)、LiNbO3(LN)およびLiTaO3(LT)の選択に原因がある。これらの材料は、高い非線形性を有しており、直ちに周波数倍増のための周期的な構造に分極できる。しかし、これらの材料の実用は非常に制限される。バルクのKTPや周期的に分極されたKTPのようなものは、低パワーレベル(可視で数ミリワットか場合によっては数十ミリワット)でよく機能できるが、より高いパワーレベルで誘起吸収(「グレートラッキング」)を受ける。また、KTP結晶の製造は、家電ディスプレイなどのアプリケーションで必要とされるように、低コストで容易に大量へと拡張可能ではない。LiNbO3およびLiTaO3は、大量生産に拡張可能であり、直ちに周期的に分極できるが、可視光誘起劣化(「光屈折率損傷」)を受け、それがわずか数ミリワットの可視光を激しい劣化なく生じるために、これらの結晶を使用できなくする。光屈折率損傷は、上昇した温度(>摂氏150℃)で減少できる。しかし、これには、非線形結晶を高温に維持するオーブンを使用することが必要である。特にマイクロチップ・ジオメトリーにおいて、このようなオーブンは、低コストで、効率的なレーザ装置の製作と相容れない。このように、ローレルにより記載されたレーザ設計は、高パワー、低コスト、コンパクトおよび効率的なアーキテクチャで実装できない。同様に、ブラウン(公開された特許出願US2005/0063441号参照)は、コンパクトなレーザパッケージについての設計を提案しており、それは低コストのアプリケーションに適しているようである。しかし、ブラウンの教示は、依然としてKTPおよびLBOなどの従来の非線形材料を中心としている。PPLN(周期的に分極されたニオブ酸リチウム)およびPPKTP(周期的に分極されたチタンリン酸カリウム)の使用可能性が言及されているが、これらの結晶の制限、特に上述した信頼性の制限をどのように克服できるかは教示されていない。
【0007】
コングルエントLiNbO3およびLiTaO3が、可視光によって光屈折損傷を受けることが知られており、この課題を解決するいくつかの方法が提案されている。前述の高温動作はこの課題を部分的に解決するが、大部分のアプリケーションに適していない。他の提案された解決策は、光屈折率損傷メカニズムを抑制するために、結晶成長の間にコングルエント材料をドープすることである。高いストイキオメトリを有するバルク結晶を成長させることが、光屈折率損傷を抑制する他の方法として提案されている。しかし、従来技術の者はだれも、大量生産に適した低コスト設計での高効率な緑および青色光を生じるために、マイクロチップ・アーキテクチャにおいて、高出力パワーで、安定な周囲温度操作可能な周波数倍増レーザを実現する手段を教示していない。
【0008】
近年、いくつかの方法が、周期的に分極された材料に基づく可視レーザ光源についての信頼性の制約を克服するために提案された。特に、信頼性の課題を解決するため、MgO、ZnOまたは他のドーパントを有する材料を使用して周期的に分極されたニオブ酸リチウムおよびリチウム・タンタル酸塩の使用が示唆された。しかし、この種の可視レーザ光源の大部分のアーキテクチャは、シンプルなマイクロチップ・アーキテクチャと比較して十分にシンプルではなかった。
【0009】
特に、コーニング社(バティアらによる米国特許出願2008/0089373参照)は、効率的に近赤外半導体レーザを周波数倍増するため、MgOでドープされた周期的に分極されたニオブ酸リチウムに基づいて、非線形導波管ジオメトリーを使用することを提案した。しかし、このアーキテクチャは、非常に高価であり、その理由は高コストの部品(位相制御を有する特別な「DBR」半導体レーザ、周期的に分極されたバルクのMgOドープ材料を対向する導波路)の使用と、レーザ光源の寿命の間、配列が維持されなければならない、2つのシングルモード光導波路のサブミクロン配列を含む高コストな配列ステップに依存するためである。
【0010】
オスラム・セミコンダクタ社(Kuehneltらによる米国特許出願US2007/0081564参照)は、光学ポンピング、表面放射半導体レーザのキャビティ内周波数倍増のため、周期的に分極されたMgOドープのニオブ酸リチウムを使用することを提案している。それがシングルモード導波路に関連した厳しい公差を除去する反面、このアーキテクチャは、より低い光学ゲイン(従って限られた全体の効率)のため、マイクロチップ・アーキテクチャと比較して大きな不利益があり、複数の別々の光学部品を組み立てて配列する必要がある。
【0011】
要するに、既知の技術的アプローチは、高効率の可視出力(特に緑色)に対して信頼性が高く、費用効果に優れかつコンパクトな周波数変換レーザ装置を提供することができない。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、周期的に分極されたMgOでドープされたニオブ酸リチウム結晶での非線形周波数変換に基づいて可視光放射線を生じる、低コストで効率的なマイクロチップレーザ光源を説明する。可視レーザ光源の高い効率および高い信頼性は、高効率な固体ゲイン結晶を使用し、キャビティ内周波数倍増のために、高効率な周期的に分極されたMgOでドープされたか、ZnOでドープされたか、ストイキオメトリックな、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)またはリチウム・タンタル酸塩の(LiTaO3)結晶を用いることにより成し遂げられる。配列が自由なモノリシックなマイクロチップ・キャビティ・アーキテクチャにより、低コストが達成される。マイクロチップ・アーキテクチャは、厚い(好ましくは0.5mmより厚い)周期的に分極されMgOでドープされたニオブ酸リチウムの結晶であり、ゲイン結晶とのロバストでモノリシックな接着をもたらす十分な表面積を提供する結晶により可能になる。
【0013】
最も高い効率の非線形材料を選択する際に、我々は、周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3の結晶がストイキオメトリックな(準ストイキオメトリックな)ものの0.05%の範囲内である場合、数ワットまでの可視波長出力パワーで安定にするのにいかなるドーパントも必要としないことを見出した。ストイキオメトリックなものの0.6%の範囲内である結晶については、ZnOまたはMgOの約0.1から約1.8モル%まででドープすることは、ストイキオメトリックな、周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3の結晶で得られるものと実質的に同じ有益な結果が得られる。さらにまた、コングルエントに成長したLiNbO3またはLiTaO3の結晶について、MgOまたはZnOを約4から約7モル%まででドープすることは、結果として光誘発損傷に対して高い抵抗を有する材料になる。
【0014】
本発明は、ドーパントとしてMgOまたはZnOとして含み、および/または、これらの材料について高い信頼性を確実にするストイキオメトリの特定された程度の周期的に分極された材料に基づいたコンパクトで、効率的でおよび低コストな周波数変換レーザ装置を教示する。ZnOまたはMgOでドープされたLiNbO3およびLiTaO3は、それらのコングルエントなドープされていない相対物とは非常に異なる材料であり、それらの変えられた強誘電性特性は、これらの材料を短い期間に可視スペクトル範囲への周波数変換に必要な数ミクロン長の領域に分極化することを非常に困難にする。
【0015】
周期的に分極されたZnOまたはMgOでドープされたおよびストイキオメトリックなLiNbO3およびLiTaO3を生じる際の技術的チャレンジは克服され、これらの材料はうまく製造されることができる。青、緑およびより長い波長範囲へのレーザ変換に適した分極周期を有する結晶が製作され、このような製造プロセスのための技術は、S.S.エサイアンにより、スペクトラルス社に譲渡された米国特許第7413635号に記載され、その内容はすべての目的に関し参照として本明細書に組み入れられる。
【0016】
本発明は、信頼性が高く、コストがかからずかつコンパクトな周波数変換レーザを提供する課題を解決する。低コストで、効率的なおよび信頼性が高い固体レーザー・アーキテクチャが、MgOまたはZnOなどのドーパントを含みおよび/またはこれらの材料についての高い信頼性を確実にするストイキオメトリの特定された程度を有する周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3に基づいて開示される。
【0017】
本発明は、コンパクトで、効率的で、信頼性が高くおよび低コストな固体レーザ装置であり、直射的な半導体レーザでは容易に利用可能でない波長範囲、すなわち青、緑、黄色、オレンジおよび赤の波長領域へ、すなわち、約450nm〜630nmの波長へ周波数変換された装置を説明する。
【0018】
本発明は、少なくとも数十ミリワットの出力パワーレベルと既存の技術では容易に達成できないレベルを有する、コンパクトで効率的な可視レーザ光源を製造する方法を教示する。
【0019】
本発明の一態様は、抑えられた周波数スペクトルを有する周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の結晶軸の方向は、互いに非整列でもよく、ゲイン素子の長さ、非線形周波数倍増結晶の長さ、および、結晶軸の間の角度は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリで複屈折のスペクトル選択メカニズムを形成し、出力ビームの周波数範囲を非線形周波数倍増結晶のスペクトル許容帯域幅の範囲内に抑えるように選択されてもよい。
【0020】
本発明の他の態様は、周波数倍増可視出力ビームを提供し、支持プレートにより提供される機械的剛性を有する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。支持プレートは、モノリシックに接着されたゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の側面に、固定して取り付けられる、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリに機械的剛性を提供する。これらのプレートは、マイクロチップ・ゲイン素子からの効率的な熱除去にも用いることができる。このため、シリコンまたはサファイアなどの高い熱伝導率材料が、支持プレートに用いることができる。
【0021】
本発明のさらに他の態様は、周期的な分極または摂動を受けた周期の分極を有する非線形結晶を用いて周波数倍増可視出力ビームを提供し、温度、波長および角度の公差を許容する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。非線形周波数倍増結晶は、一定の間隔で周期的に分極されることができ、または、非線形変換プロセスにおいてより良好な公差を達成するため、摂動を受けた分極定期性を有することができる。この開示のために、「周期的に分極された」の指定が使われるいずれにおいても、非線形周波数変換プロセスの温度、波長および角度の公差を制御可能にする「準周期的」または摂動を受けた周期的な分極を用いることができる。
【0022】
本発明の更に他の態様は、可視出力ビームを提供するパッケージ化レーザ装置である。パッケージ化レーザ装置は、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ、光学台プラットフォーム、出力開口を有するパッケージ、および、電気接続のためのリードを備える。半導体ダイオード・ポンプレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する。ポンプダイオードの出力波長は、よりよいポンピング効率を達成し、ポンプダイオードについての所望の出力波長およびスペクトルをよりよく制御するため、内部または外部のグレーティングによって安定されてもよい。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。半導体ダイオード・ポンプレーザおよび非線形周波数倍増結晶は、光学台プラットフォームに一体化される。(他の実施例によれば、円形ホルダの円筒タイプパッケージのアセンブリなど他の統合方法も、本発明の範囲内である)。パッケージは、光学台と一体化され、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび光学台プラットフォームを囲みヒートシンクを提供し、ポンプダイオードおよび任意のフォトダイオード・モニタなどのパッケージ内部で、アクティブな要素に電気接続を提供する。代替で任意の実施例によれば、パッケージは、サーミスタおよびペルチェ冷却器および/または抵抗性ヒータなどの温度制御要素も提供する。
【0023】
また、本発明の一態様は、ビームスプリッタ出力窓を介して可視出力ビームを提供するパッケージ化レーザ装置である。パッケージ化レーザ装置は、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ、光学台プラットフォーム、出力開口を有するパッケージ、および、ビームスプリッタを備える。半導体ダイオード・ポンプレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。半導体ダイオード・ポンプレーザおよび非線形周波数倍増結晶は、光学台プラットフォームに一体化される。パッケージは、光学台と一体化され、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび光学台プラットフォームに囲みヒートシンクを提供する。ビームスプリッタは、出力開口で出力ビーム光路に配置され、パッケージと固定して一体化される。ビームスプリッタは、出力ビームをほんのわずかに分岐しパワーモニタにあたるように機能する。一実施例によれば、ビームスプリッタは、出力開口をカバーする出力窓として一体化される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明のマイクロチップレーザ光源の実施例を示す。
【図2】図2は、スペクトルまたは空間モード制御のためキャビティのいずれかの側面に、独立したミラーを有する本発明の実施例を示す。
【図3】図3は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図4】図4は、支持プレートを有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図5】図5は、固体ゲイン結晶および周期的に分極された非線形結晶に対して異なる断面寸法を有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図6】図6は、共通のプラットフォーム上に組み立てられる可視マイクロチップレーザ光源を示す。
【図7】図7は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、軸方向に配向された電気接続がある円筒状パッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図8】図8は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、横方向の電気接続がある平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図9】図9は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、長手方向の電気接続がある平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図10】図10は、図9の平坦なパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【図11】図11は、図9の円筒状のパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【図12】図12は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、統合ビームスプリッタ出力窓を実装する平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図13】図13は、図12の平坦なパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明のマイクロチップレーザ光源の実施例を示す。ポンプダイオードレーザ1は、ゲイン材料(素子)8による効率のよい吸収のために、ビーム2を例えば800から900nmの間の波長で、例えば〜808nmまたは〜885nmの波長で放出する。ビーム2は通常、非点収差を有し、ポンプビーム2をビーム4に変換するのにビーム整形光学素子3が有利に用いられて、ビーム4はゲイン媒体8の表面7上に所望の大きさ及び形状の断面(すなわち、垂直および水平のビームサイズがほぼ等しい)を形成する。この種のポンピング構成は当該技術分野において既知であって、これはゲイン素子におけるポンプ領域を、キャビティ内循環ビームに効率よくオーバーラップさせることができ、それは効率のよい非線形周波数倍増のために単一空間モード(またはTEM00)でなければならないものである。ゲイン素子8上のポンプスポットについての好適な直径は、20から300ミクロンの範囲内であり、特に好適な直径は、40から80ミクロンの範囲内である。ビーム整形光学素子はマイクロレンズ、屈折率分布型レンズ、またはそのような光学素子の組合せであってもよい。「ピコ・プロジェクタ」などの超小型レーザ光源を必要とする応用においては、レーザ源全体の寸法が重要性を増し、ビーム整形光学素子3をなくしてもよい。選択肢として、アセンブリはダイオードレーザ1のスペクトル放出を狭めるのに用いられる体積ブラッググレーティングを含んでもよい。吸収深さの大きな変化と、その結果として生じる熱レンズ効果なしで、制御されたポンプボリュームをつくることに役立つため、ポンプレーザのスペクトル出力を狭めることは、レーザシステムの効率性にとって有利である。ポンプダイオードレーザ1に一体化されるグレーティングを含む、グレーティングの他の変化もこの目的のために役立つ。
【0026】
高いレーザ光源効率をもたらすことは本発明の一利点である。効率性を最大化し、ポンピングされたゲイン要素からの熱除去を向上するために、サファイア、ドープされていないYVO4またはドープされていないY3Al5O12(YAG)などの高い熱伝導性を有する実質的に透明な光学材料6を用いる。こうして、サポート素子6はゲイン素子8に結合されてヒートシンクとして作用する。ゲイン要素8の表面5および7は、例えば808nmのポンプレーザ波長での高い透過率のためにコーティングされる。一表面7のコーティングはまた、例えば1064nmのような基本波レーザ波長での高い反射率をも提供し、固体レーザキャビティの第1のミラーとして作用する。サポート素子6として用いるのに好適である光学的に透明なヒートシンク材料のいくつかの例は、サファイア、ドープされていないYVO4およびドープされていないYAGを含む。これらの素子のうち、サファイアは、その高い熱伝導率と、Nd:YVO4に対する良好な熱膨張率の適合とにより、最も効率的である。このレーザ光源の低パワーの実施例(<1Wの吸収ポンプパワー)においては、ゲイン素子を銅または別の高い熱伝導率を有する搭載部上に搭載することなど、吸収ポンプパワーにより発生した熱を除去する従来的なヒートシンク方法も受入可能であり、この発明の範囲に含まれる。効率とマイクロチップ・アセンブリからの熱除去の他の方法の開示のため、後述する図3も参照。サポート素子6の使用は、本発明を実践するために厳密に必要ではなく、効率を向上させるよう作用する実践のオプションを示すものとして開示する。
【0027】
ゲイン媒体8は好ましくは、ゲイン素子8がレーザキャビティに対してゲイン制御および偏光制御の両方をもたらすように、Nd:YVO4、Nd:GdVO4またはNd:YGdVO4のような、ある軸のほうがゲインが高い、Ndでドープされた素子である。本発明においてレーザの効率性を最大化するためのNdドーピングのレベルは、典型的には0.5%atmから4%atm(原子パーセント)の範囲内にある。素子8はまた、ゲイン誘導および熱レンズ効果によってフラット−フラット・レーザキャビティでなければ、横モード制御をも提供する。
【0028】
その結晶軸の1つに沿ったゲインが他の結晶軸に沿うものよりも大きい結晶を使用してゲイン素子8を形成する態様は、偏波識別である。これは、効果的な非線形変換を可視範囲(特に緑の波長)にする技術的な目標を実現するのに役立つ。第二高調波発生(SHG)の非線形プロセスは、偏光感度が高い傾向がある。このように、偏波識別を有するゲイン結晶を選択することは有用である。
【0029】
非線形結晶10は、基本波長(すなわち近赤外)および第2高調波波長(典型的には可視)の両方で信頼性のある結晶動作を確実にする、ドープされているかまたはストイキオメトリックな非線形材料の族に属する周期的に分極された非線形結晶である。具体的には、これらの材料は、PPMgOLN(周期的に分極されたMgOでドープされたコングルエントLiNbO3)、PPMgOLT(周期的に分極されたMgOでドープされたコングルエントLiTaO3)、PPZnOLN(周期的に分極されたZnOでドープされたコングルエントLiNbO3)、PPZnOLT(周期的に分極された適合ZnOでドープされたコングルエントLiTaO3)、PPSLN(周期的に分極されたストイキオメトリックなニオブ酸リチウム)、またはPPSLT(周期的に分極されたストイキオメトリックなタンタル酸リチウム)を含む。ドーピングおよびストイキオメトリのレベルは、光屈折率損傷および可視光線誘起赤外吸収(緑色光についてGRIIRAおよび青色光についてBLIIRAとして公知である)のような光劣化効果を抑制するよう選択される。このような周期的に分極された結晶を大量生産するための方法は、本発明の共同発明者の1人であるS.エサイアンにより、本願と共通して譲渡された公開米国特許7413635に記載されている。
【0030】
非線形結晶10の分極周期は、基本波ビームの第2高調波発生の効率を最大化するよう選択される。例えば、1064nmを532nmに周波数倍増するためのPPMgOLNの分極周期は、約6.95ミクロンである。このような材料に対する効果的な非線形係数は約16pm/Vとかなり高い。非線形結晶の高い非線形性および高い信頼性は、本発明のレーザシステムの非常に有益な利点である。非線形変換の効率性が非線形係数の二乗でスケーリングするので、KTP(緑色波長への変換には〜3.5pm/V)またはLBO(〜1pm/V非線形係数)のような従来の材料の代わりにPPMgOLNのような材料を使用すると、従来のバルク材料の場合よりもコンパクトで消費電力が少なく高いパワー出力のシステムを構築することが可能になる。本発明の実施例において使用する高効率な非線形結晶(PPMgOLNのような材料)の結果として、短い長さの緑/青色レーザー・マイクロチップ(および、対応する短いレーザキャビティ)が、現実的な設計成果となる。このマイクロチップレーザ設計は、大きな縦モードスペーシングを可能にし、一つの周波数放射を発生させる傾向があり、それには多くの器具アプリケーションを必要とする。例えば、本発明の実施例に従う緑色レーザー・マイクロチップの長さは、1mm未満の要件を満たすことができる。
【0031】
高い信頼性のために最適なドーピングおよびストイキオメトリを使用することは、光劣化を抑制するために非線形結晶を加熱する高価で場所を取るオーブンを必要とすることなく、信頼性のあるレーザ製品を製造することを可能にする。最後に、本発明を実行する上で有用であるPPMgOLNおよび他の結晶の大量生産可能性は、家庭用電子製品の大きな市場に、コンパクトな可視レーザを大量生産することを可能にする。従って、商業的に実用可能なダイレクト半導体ダイオードレーザ(特に緑色)を使用しても入手できない色が獲得できることを指摘することは重要である。
【0032】
非周期的な(チャープされた)または非平行な(ファンアウト)分極パターンを有する非線形結晶の使用もまた、本発明の範囲内である。PPMgOLNのような本発明の材料の高い効率性によって得られる利点とは、それらが設計に余裕をもたらすことである。これは、発生された第2高調波パワーに重大なペナルティを課すことなく、第2高調波発生に対する温度または角度の許容可能帯域幅のような他のパラメータに対して、有効非線形性がトレードオフできることを意味する。これは、キャビティ内第2高調波発生が、レーザが基本波長で放出可能であるパワーの最大量によって限定されているためである。このように、周期的に分極された結晶は、バルク全体にわたり厳密に周期的である必要はなく、実際は、ポーリング構造なく、周期的か他の部分を有してもよい。
【0033】
キャビティ内第2高調波発生において、最大第2高調波(周波数変換された)パワーは最大の基本波周波数パワーにより制限され、レーザが最適な鏡アウトカップリングで生じることができる。レーザ制限に達した後、結晶の非線形性、長さ、またはビームの焦点絞りの増加は、第2高調波パワーをそれ以上増加させないことができる。従来のバルクの非線形結晶は、連続波レーザ動作においてはこのレジームにまず到達し得ないのに対し、本発明の高い非線形性の周期的に分極された結晶は、そこに到達する。その結果、全アセンブリが全体として制御されるときでも、非線形結晶の長さを減少させ、分極パターンを修正することにより、そして特に固有の温度勾配のためにいくらか効率性が限定される低コストでモノリシックなマイクロチップレーザキャビティアセンブリを用いることにより、レーザー・コストを減らし性能を向上させることができる。
【0034】
このように、好ましい実施例では、非線形結晶10は、例えば光学的接触によって、レーザーゲイン素子8に接着される。非線形結晶の入力面9は、コーティングを有し、基本波長での高い透過と第2高調波波長での高い反射を確実にするために、光学的に良く磨かれている。この配置は、発生した可視光が、レーザ動作に不利益になりえるポンプダイオードレーザへ入射することを防ぐ。本発明において好まれる接着剤(エポキシ)なしで接着することは、最近重要な進展にみられ、従って、ここに開示されるモノリシックなアセンブリは、直ちに製造されることができることに留意されたい。
【0035】
非線形結晶の出力表面12は、キャビティの第2のミラーとして作用する。したがって、それは基本波レーザ波長での高い反射率と、第2高調波波長での高い透過率のために、コーティングされることが好ましい。記載された配置の縦および横の寸法は、レーザ設計の分野において既知であるように高い効率性について最適化される。我々は、532nm(緑色)波長で数百ミリワットのパワーを得るために、非線形結晶の長さが1−2mmを超える必要がないことを見出した。光ビーム11は、基本波長でのキャビティ内レーザビームを示す。ビームは、ゲイン素子8から遠ざかる方向に伝搬するキャビティモードを示す。後方に伝搬するキャビティモードは、この前方に伝搬するビームとオーバーラップするので、図示されていない。同様に、第2高調波ビームは前方向と後方向との両方において発生される。後方向に発生される第2高調波ビームは光学表面9で反射されて、前方向に発生される第2高調波ビームと再び合成され、単一のビーム13がレーザキャビティから出射する。
【0036】
前方向に発生される第2高調波と後方向に発生される第2高調波との両方は互いに対してコヒーレントである(すなわち、明確な位相関係を有する)ので、それらが互いに光学的に干渉して非線形変換の効率性をいくらか減じ得ることに留意されたい。1つの方法は、結晶温度(できるだけ建設的干渉に近くするために干渉を最大化することと、非線形変換効率を最大化することの間の最適ポイント)を制御することによりこの効果を制御することである。好適な温度範囲は約20℃から約80℃であり、低コストの抵抗ヒータ素子を利用して容易に達成することができる。
【0037】
本発明のマイクロチップ・アセンブリのさらなる利点は、容易に扱いかつ他の結晶に接着されるのに十分な厚みの周期的に分極された結晶を用いることができることである。最近まで、一般的に認められていた意見では、PPMgOLNのような材料は青緑色への変換についてはせいぜい薄いウェハ(0.5mm厚さ以下)での分極しか可能ではなく、生産、非研究環境においては全く分極しないとされていた。今や、米国特許第7413635号(その特許と本願は共通して譲渡された)においてS.エサイアンによって記載された方法を用いることにより、高い歩留まりで1mmもの厚さの結晶を製造することが可能である。厚みは、接着される表面に対して十分な接触領域を提供するため、ロバストな光学的接触を確立するのに極めて有用である。最近までは、0.5mmのPPMgOLN結晶だけが、商業的に、可視光非線形変換アプリケーションに使用可能だった。より厚い結晶は、マイクロチップレーザを構築するのに重大な利点をもたらす。このように、結晶技術におけるこの最近の業績を使用することで、既存のプラットフォームの能力(すなわち、力、効率、信頼性およびコスト)を凌ぐモノリシックなマイクロチップレーザ・プラットフォームを得ることができる。
【0038】
図2を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティのための独立したミラーを有する本発明の実施例が図示される。非モノリシックなとき、いくつかの事例では、周期的に分極された非線形材料によりもたらされる効率的の利点を保ちながら、独立ミラーアセンブリが正当化できる。
【0039】
一例を挙げると、ミラーは、周波数制御要素として役割を果たすことができる。これは、固体レーザの放射が所望の周波数範囲、例えば、非線形結晶の許容帯域幅に合致する周波数(波長)範囲の中に拘束されなければならない例において、又は、(低いノイズを必要としているアプリケーションのため)レーザのシングル縦モード動作を行うため、役立つことがありうる。適切な周波数選択ミラー202は、体積ブラックグレーティングとすることができる。このようなグレーティングは、Optigrate社、PD−LD社およびOndax社など会社により製造され、以前から半導体レーザの発光スペクトルを制御するために用いられている。
【0040】
他の例において、ミラーは、空間モード制御要素として役割を果たすことができる。
これは、レーザ設計の分野で既知のように、伝統的に湾曲ミラーでなされ、本発明の範囲内である(すなわち、図2のミラー202は、光学ガラスでできている湾曲ミラーとすることができる)。ミラー202の内面203は、キャビティで所望のレーザ発振モードプロファイルを決めるよう、選択された曲率半径でカーブすることができる。表面203は、通常、固体レーザの基本波長、例えば1064nmの波長での、高い反射率(HR)のためにコーティングされている。外面204は、通常平坦で、基本波長での高い透過のためにコーティングされている。面203および204の双方は、通常、第2高調波波長、例えば532nmでの高い透過を有するようにコーティング仕様を有する。非線形結晶10の外面201は、基本波波長および第2高調波波長の双方での高い透過のために好ましくはコーティングされている。
【0041】
図3を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリが図示される。この実施例は、固体ゲイン素子910および周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920を有し、それらは、組合せて対向する端部でコーティングされたミラー930、940とともに、伝搬軸に沿ってともに配置される。ゲイン素子910、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920およびミラー930、940は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900を形成する。ミラー930、940は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900をポンピングするために使われるポンプ(基本周波数)ビーム(図6、10および11参照)の周波数で反射するように選ばれる。図3に示す基本的なレーザー・マイクロチップ・アーキテクチャは、透明なヒートシンク(図1および2の要素6)を含まないが、(このようなヒートシンクありなしの)両実施例は、本発明の範囲内であるものと理解される。
【0042】
周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920は、名目上周期的に分極された結晶性材料から選択される。周期的に分極されたLiNbO3(MgOまたはZnOでドープされた)、周期的に分極されたLiTaO3(MgOまたはZnOでドープされた)、ストイキオメトリックであるか準ストイキオメトリックな周期的に分極されたLiNbO3およびストイキオメトリックであるか準ストイキオメトリックな周期的に分極されたLiTaO3はすべて、この光学要素として使用するのに適している。
【0043】
各種実施例において実装できる有益な特徴は、ゲイン素子910および非線形周波数倍増結晶920の結晶軸方向を、互いに並ばないように配置することである。これにより、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの複屈折スペクトル選択メカニズムを作成し、レーザのスペクトル出力を所望のスペクトル窓に拘束する。レーザが、非線形第二高調波発生プロセスの許容帯域幅の範囲内である周波数バンドにおいて作動するように、周波数(波長)フィルタが望ましい。これは、許容帯域幅から外れ、効率的に可視光へ周波数変換されることができないレーザ発振モードを抑えることにより、プロセスの効率を向上させる。この場合、支配的なゲイン軸を有するゲイン素子910は、キャビティ内複屈折素子(ここでは、非線形結晶)に基づいて周波数選択を容易にするキャビティ内偏光子として作用する。不整列の角度は、周波数識別(より大きい角度のため最も強い)と、非線形変換プロセスに効果的に関与しない分極の存在による非線形変換効率における損失との間のトレードオフに基づいて選択される。我々は、多くの場合、Nd:YVO4(ゲイン素子)のc軸とPPMgOLNのZ軸の間の小さな角度、例えば〜10度の角度は、有益なトレードオフ(効率においてほとんどペナルティがない十分な周波数識別)に十分であることを見出した。
【0044】
マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900の全長が長さ約1mm未満に構築されると、実質的にシングル縦モード動作がよくサポートされる。シングル縦モード動作は、低ノイズ器具アプリケーションに有益である。
【0045】
図4を参照すると、支持プレートを有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリが図示される。この実施例は、固体ゲイン素子1010および周期的に分極された非線形周波数倍増結晶1020を有し、モノリシック的に接着される。ミラー1030、1040は、固体ゲイン素子1010と周期的に分極された非線形周波数倍増結晶1020の組合せの対向端部でコーティングされている。
【0046】
一対の支持プレート1050は、モノリシック的に接着されたゲイン素子1010と非線形周波数倍増結晶1020の対向する側面に固定して取り付けられ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1000に機械的剛性を提供する。2枚のプレート1050だけが図示の実施例で示されているが、本発明は、3または4枚目のプレートをマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1000の側面に固定して取り付けて実行することを含む。プレートは、機械的支持を提供することに加えて、熱的安定性を強化する。実装されるプレート1050の数は、機械的支持の所望の程度、熱的安定性の所望の程度またはその両方に基づいて選択される。プレート1050の材料は高熱伝導率を有するよう選ばれ、例えばシリコンである。
【0047】
ゲイン素子1010および非線形周波数倍増結晶1020のキャビティ内接着の光学面は、任意にコーティングしてないままにされることができ、それは多くの状況においてよく機能する。一方、いくつかの実施例において、ゲイン素子1010に入射する後方向に発生する緑の第2高調波ビームについて望ましくなく、それは、第2高調波発生ビームに対する損失と脱分極をもたらす傾向があるためである。損失を回避するため、ゲイン素子1010および非線形周波数倍増結晶1020のキャビティ内接着の光学面の一方または双方はコーティングされ、周波数を倍増したビームに対して高い反射率を提供する。脱分極を回避するため、キャビティ内接着の光学面の一方または両方はコーティングされ、ゲイン結晶に入射数周波数倍増されたビームの分極状態の変化を防止し、線形に分極化する出力を確実にする。
【0048】
図5を参照すると、別の実施例によるマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1100が図示される。このアセンブリ1100は、固体ゲイン結晶1110および周期的に分極された非線形結晶1120について異なる断面寸法を有する。本発明の実行は、ゲイン結晶および非線形結晶が同様の寸法を有するアセンブリに限られない。このジオメトリーは、互いに整列されていない固体ゲイン結晶1110および周期的に分極された非線形結晶1120の結晶軸を有する設計の具体例としても役立つ。例えば、結晶軸は、図4に示される結晶の端に整列配置されることができる。
【0049】
図6を参照すると、共通のプラットフォーム上で組み立てられた可視マイクロチップレーザ光源が図示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200は、ポンピングレーザダイオード1260によってポンピングされ、出力ビームが、ビームスプリッタ1264を介して突出するビーム軸1262に沿って現れる。一部の出力ビームは、二次軸1266に沿ってパワーモニタ1268に投射するために、ビームスプリッタ1264により分割される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200、ポンピングレーザダイオード1260、ビームスプリッタ1264およびパワーモニタ1268はすべて、共通の光学台プラットフォーム1270に、固定して載置される。サーミスタ1272も、光学台プラットフォーム1270に固定して載置され、熱制御のために温度検知を提供する。
【0050】
本実施例において、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200は、良好な熱伝導特性を有するカバー1205の下に配置されるとして示される。図示のカバー1205は、本発明の実施のために任意のものあり、必須ではない。
【0051】
図示の光学台プラットフォーム1270は、好適には、金属、合金または高い熱伝導率を有する他の材料から形成される。光学台プラットフォーム1270に対する適切な材料の例は、銅、銅タングステンまたはニッケル−コバルト鉄を含む合金である。本発明の実行に適している一般タイプのニッケル−コバルト鉄を含む合金は、Kovar(登録商標)の下で販売される。選択される非金属材が高い熱伝導率を有する限り、若干の非金属も光学台プラットフォーム1270を形成するために実用的である。適切な材料は、シリコン、窒化アルミニウム他である。
【0052】
図7を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、軸方向に配向された電気リード1312を有する円筒状パッケージ1310を有するパッケージ化レーザ光源製品1300が図示される。円筒状パッケージ1310の一端のポータル1314は、出力レーザビームが出射することを可能にする。有利には、パッケージ全体は密封され、金属、セラミックまたはそれらの組み合わせで形成される。しかし、パッケージを密封することは、本発明を実行するために厳密に必要でなく、この種の封止がもっともよく回避されるときの実施態様がある(例えば高い真空または高圧への照射)。パッケージは、信頼性が高いレーザエンクロージャ、ヒートシンク、温度制御、電気接続およびレーザビームのための出力開口を提供するため、すべてのレーザ部品を一体化する。
【0053】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1300は、図11の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1700、ポンピングレーザダイオード1760、ビームスプリッタ1764、パワーモニタ1768およびサーミスタ1772は全て、共通の光学台プラットフォーム1770に固定して載置される。光学台プラットフォーム1770は次に、円筒状パッケージ1310のベース1316に機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1760、パワーモニタ1768およびサーミスタ1772は、電気リード1312に電気的に接続される。図13にも図示されるように、パワーモニタへビームの一部を屈折させるビームスプリッタは、出力窓を有する1つの要素と併用されることができる。
【0054】
図8を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ(図示せず)を実装し、横方向の電気リード1412がある平坦なパッケージ1410を有するパッケージ化レーザ光源製品1400が図示される。平坦なパッケージ1410の一端のポータル1414は、出力レーザビームが出射することを可能にする。この実施例によるマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、図6、7および11に関して図示され上述されたものと同様である。
【0055】
図9を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、長手方向の電気リード1512がある平坦なパッケージ1510を有するパッケージ化レーザ光源製品1500が図示される。平坦なパッケージ1510の一端のポータル1514は、出力レーザビームが出射することを可能にする。
【0056】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1500は、図10の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1600、ポンピングレーザダイオード1660、ビームスプリッタ1664、パワーモニタ1668およびサーミスタ1672は全て、共通の光学台プラットフォーム1670に固定して載置する。光学台プラットフォーム1670は次に、平坦なパッケージ1510のベース1516に、機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1660、パワーモニタ1668およびサーミスタ1672は、電気リード1512に電気的に接続してされる。
【0057】
図12を参照すると、平坦なパッケージの実施例が、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装しているパッケージ化レーザ光源製品1800の統合ビームスプリッタ出力窓を実装して図示される。パッケージ化レーザ光源製品1800は、長手方向の電気リード1812と統合ビームスプリッタ出力窓1814がある平坦なパッケージ1810を有する。
【0058】
窓1814は、赤外線および可視波長で光学的に透明でもよく、その一方または双方の表面はコーティングされ、(ポンプダイオード波長およびマイクロチップレーザ・キャビティの基本波長で)可視光出力の大部分を透過しおよび赤外線を遮断し、可視光のわずかな部分をパワーモニタへ偏向する。あるいは、窓1814は、赤外線を遮断し可視領域で高い透過性を有するフィルタ・ガラスから作られることができる。パワーモニタへ偏向される光線と、外に送信される光線の間の所望のパワー比を提供するため、光学コーティングが塗布されることができる。さらに他の実施例においては、窓1814はコーティングしなくてもよく、部品コストが下げられ、所望のパワー分岐がコーティングしてない表面によって達成されるように、可視出力ビームに対してブルースター角に近い角度で配向されることができる。出力ビームの選択された分極に応じて、窓は図12に示すように垂直偏光に対して配向され、または水平偏光に対して他の平面で傾けられることができる。
【0059】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1800は、図13の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1900、ポンピングレーザダイオード1960、ビームスプリッタ1964、パワーモニタ1968およびサーミスタ1972は全て、共通の光学台プラットフォーム1970に固定して載置される。光学台プラットフォーム1970は、温度制御されたプレート1974からベース1816までの良好な温度条件を提供するように、温度制御されたプレート1974の上に固定され、それは次に平坦なパッケージ1810ベース1816に機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1960、パワーモニタ1968、サーミスタ1972および温度制御されたプレート1974は、電気リード1812に電気的に接続される。
【0060】
温度制御されたプレート1974は、温度電気冷却器(TEC)(例えばペルチェセル)を使用して、好適に実現される。あるいは、温度制御されたプレート1974は、電気的に駆動される発熱体により実現される。別の実施例によれば、TEC要素自体は光学台プラットフォームとして作用し、パッケージを非常にコンパクトにするためにレーザパッケージ全体のベースとして作用する。
【0061】
本発明の変形例によると、半導体ダイオード・ポンプレーザは、光学台プラットフォームに載置されたサブマウントに配置される半導体レーザー・チップとして実現される。あるいは、半導体レーザー・チップは、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリと同じ光学台プラットフォームに直接載置される。この直接マウントの代替例によれば、光学台は、半導体ポンプレーザのためのサブマウントとしても作用する。この直接マウント構成は、構成要素の数および組み立てステップを減らすことで、コストおよび組み立て時間を節約する。
【0062】
本発明の他の変形例によると、ポンプビームは、マイクロレンズまたは屈折率分布型レンズなどのビーム成形光学系を経て、ゲイン素子に向かう。ビーム成形光学系は、本発明を実行するのに必須ではなく、代替的には、ポンプビームはビーム成形光学系を使用せずゲイン素子に伝達される。
【0063】
パッケージの実施例の一態様は、所望の可視出力を透過するが、半導体ポンプ・レーザダイオードおよびマイクロチップレーザ・キャビティからの残留赤外線を遮断する材料でできている窓を有する出力開口である。
【0064】
パッケージの実施例の電気接続は「ピン」であると記載したが、ピンの形態は、本発明の実行に不可欠ではない。電気接続は、プリント回路基板またはフレキシブル回路基板または他のタイプの電気リードとして好適に形成されることもできる。
【0065】
本発明によるパッケージで一体化されるマイクロチップレーザの実装のために、電力を供給し、半導体レーザー・ポンプ・ダイオード、サーミスタ、温度調節要素を含む部品を制御するレーザドライバが好適に設けられている。レーザドライバは、装置の測定および制御にパワーモニタを利用するよう実現されることもできる。
【0066】
本発明のマイクロチップレーザ・ソースの適切な使用形態は、RGB投影ディスプレイシステムの主要光源のうちの1つとして用いることである。RGB投影ディスプレイシステムで使用するレーザ光源は、空間光変調器マイクロ・ディスプレイでの色配列動作のためパルスモードで駆動される。
【0067】
周期的に分極された非線形材料を有する可視マイクロチップレーザ光源が、記載された。本発明は、開示される本発明の範囲内において、他のいろいろな形で実現されることができ、本明細書に記載される例および実施例はすべての点で例示的なものであり限定的なものではないことが当業者によって理解されよう。本発明の分野の当業者は、本明細書に記載される概念を用いた他の実施例も可能であることに気づくであろう。更に、請求項の構成要素に対する例えば冠詞“a”、“an”または“the”を用いた単数の参照は、構成要素を単数に限定するものとして解釈されない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的に分極された非線形材料を使用するマイクロチップ可視レーザ光源に関する。
【背景技術】
【0002】
可視スペクトル範囲のコンパクトで、効率的かつ低コストのレーザ光源は、様々なアプリケーションのために長い間求められてきた。これらのアプリケーションは、レーザー・ベースの投影ディスプレイ、光記憶装置、バイオ分析器具、半導体検査および分光学を含む。半導体レーザは、例えば、近赤外スペクトル領域において最も効率的にレーザ光線を出すInGaAIPなどの材料システムに依存し、低コストで、コンパクトなかつ効率的なプラットフォームを提供する。〜650nm(赤色)までの効率的な動作は、重大な技術的挑戦がなくても成し遂げられ、いくつかの半導体レーザ設計は、効率および信頼性を減少させて〜635nmまで拡張できる。可視領域の短い波長側では、GaNシステムが近年開発され、青紫色(〜400nmから〜445nmまで)のスペクトル範囲のレーザが、商業化されている。しかし、効率的および信頼性が高い手法で、波長>460nmを成し遂げることは、重大な挑戦となる。このように、大部分の可視スペクトル(すなわち〜460nmの青から〜635nmの赤まで)は、現在のところ効率的な半導体レーザの解決案がない。
【0003】
これらの色(波長)のうち緑色が欠如していることは、この色が人間の目の最大感度に対応するため、おそらく最も注目に値する。実際は、緑色の半導体レーザの直接的な解決策は、現在商用されていない。1990年代から商業化されている間接的な解決策は、例えばNd:Y3Al5O12(Nd:YAG)またはNd:YVO4などのネオジム(Nd)ベースの固体レーザの非線形周波数倍増(第2高調波発生またはSHGとしても知られている)に基づくものである。これらの固体ゲイン材料は、赤外の半導体レーザにより(例えば〜808nmまたは〜880nmで)ポンピングされることができ、〜1064nmの波長でレーザ放射を生じる。この1064nmの放射は、その後、チタン酸リン酸カリウム(KTP)または三ほう酸リチウム(LBO)などの非線形結晶を使用して、緑色の532nmの波長に周波数倍増されることができる。同様の技術は、青色、例えば946nmの固体レーザを周波数倍増することによる473nmを得るために用いることができる。さらに、固体ゲイン・チップおよび非線形結晶がモノリシックなレーザキャビティを形成するために接着される、いわゆるマイクロチップ技術を用いることにより低コストなプラットフォームを得ることができる。マイクロチップ実装は、ムラディアンによって提案された(米国特許第5365539号参照)。
【0004】
しかし、現在利用可能なマイクロチップレーザは、多くのアプリケーションで必要とされる効率および柔軟性を欠いている。コンパクトさと効率性の仕様は、特に、携帯、電池式プロジェクタなどのモバイル、消費者向け電子機器アプリケーションで重要である。既存のプラットフォームのこれらの限界は、主にKTPなどの従来の非線形材料の周波数変換の非効率性に起因する。KTPベースのマイクロチップレーザから高効率の緑色出力を得るために、基本的な赤外線レーザに対して大きなパワーマージンを提供しなければならず、それは、レーザシステム設計全体に熱、寸法およびコストの制限を課す。さらに、KTPなどの従来のバルクの非線形材料は、周波数変換の範囲に関して制限される。例えば、KTPは、周波数倍増して緑色にするために使われるが、実際には周波数倍増して青色にするためには使われることができず、そのため効率、信頼性およびコストの自身の制限に合う異なる非線形材料を探さなければならない。また、低コストの緑色レーザーポインタで広く使われているKTP結晶は、結晶の光誘起吸収と関係する「グレートラッキング」と呼ばれる信頼性の課題に悩まされる。
【0005】
ローレル(米国特許第6259711号参照)は、このような制限の多くは、周期的に分極された非線形結晶を用いて克服できることを提案した。これらの結晶は、所望の変換波長に対して高い非線形性を提供するよう設計されることができる。従って、マイクロチップ・アーキテクチャにおいて実装されるこの種のレーザ設計は、従来のバルクの非線形材料に関連した制限の多くに対処できる。
【0006】
しかし、その発明の実施例は、我々の知る限りではこのプラットフォームの商業化を阻止し、今日まで、可視波長マイクロチップレーザは、KTPおよびKbNO3などのバルクの非線形材料に依存し続けるという重大な制限を受けている。後者の材料は青色を生じるために用いられる(公開されたPCT出願WO2005/036703号参照)。この種の制限は、ローレルの発明で提案された周期的に分極された非線形結晶、すなわちKTiOPO4(KTP)、LiNbO3(LN)およびLiTaO3(LT)の選択に原因がある。これらの材料は、高い非線形性を有しており、直ちに周波数倍増のための周期的な構造に分極できる。しかし、これらの材料の実用は非常に制限される。バルクのKTPや周期的に分極されたKTPのようなものは、低パワーレベル(可視で数ミリワットか場合によっては数十ミリワット)でよく機能できるが、より高いパワーレベルで誘起吸収(「グレートラッキング」)を受ける。また、KTP結晶の製造は、家電ディスプレイなどのアプリケーションで必要とされるように、低コストで容易に大量へと拡張可能ではない。LiNbO3およびLiTaO3は、大量生産に拡張可能であり、直ちに周期的に分極できるが、可視光誘起劣化(「光屈折率損傷」)を受け、それがわずか数ミリワットの可視光を激しい劣化なく生じるために、これらの結晶を使用できなくする。光屈折率損傷は、上昇した温度(>摂氏150℃)で減少できる。しかし、これには、非線形結晶を高温に維持するオーブンを使用することが必要である。特にマイクロチップ・ジオメトリーにおいて、このようなオーブンは、低コストで、効率的なレーザ装置の製作と相容れない。このように、ローレルにより記載されたレーザ設計は、高パワー、低コスト、コンパクトおよび効率的なアーキテクチャで実装できない。同様に、ブラウン(公開された特許出願US2005/0063441号参照)は、コンパクトなレーザパッケージについての設計を提案しており、それは低コストのアプリケーションに適しているようである。しかし、ブラウンの教示は、依然としてKTPおよびLBOなどの従来の非線形材料を中心としている。PPLN(周期的に分極されたニオブ酸リチウム)およびPPKTP(周期的に分極されたチタンリン酸カリウム)の使用可能性が言及されているが、これらの結晶の制限、特に上述した信頼性の制限をどのように克服できるかは教示されていない。
【0007】
コングルエントLiNbO3およびLiTaO3が、可視光によって光屈折損傷を受けることが知られており、この課題を解決するいくつかの方法が提案されている。前述の高温動作はこの課題を部分的に解決するが、大部分のアプリケーションに適していない。他の提案された解決策は、光屈折率損傷メカニズムを抑制するために、結晶成長の間にコングルエント材料をドープすることである。高いストイキオメトリを有するバルク結晶を成長させることが、光屈折率損傷を抑制する他の方法として提案されている。しかし、従来技術の者はだれも、大量生産に適した低コスト設計での高効率な緑および青色光を生じるために、マイクロチップ・アーキテクチャにおいて、高出力パワーで、安定な周囲温度操作可能な周波数倍増レーザを実現する手段を教示していない。
【0008】
近年、いくつかの方法が、周期的に分極された材料に基づく可視レーザ光源についての信頼性の制約を克服するために提案された。特に、信頼性の課題を解決するため、MgO、ZnOまたは他のドーパントを有する材料を使用して周期的に分極されたニオブ酸リチウムおよびリチウム・タンタル酸塩の使用が示唆された。しかし、この種の可視レーザ光源の大部分のアーキテクチャは、シンプルなマイクロチップ・アーキテクチャと比較して十分にシンプルではなかった。
【0009】
特に、コーニング社(バティアらによる米国特許出願2008/0089373参照)は、効率的に近赤外半導体レーザを周波数倍増するため、MgOでドープされた周期的に分極されたニオブ酸リチウムに基づいて、非線形導波管ジオメトリーを使用することを提案した。しかし、このアーキテクチャは、非常に高価であり、その理由は高コストの部品(位相制御を有する特別な「DBR」半導体レーザ、周期的に分極されたバルクのMgOドープ材料を対向する導波路)の使用と、レーザ光源の寿命の間、配列が維持されなければならない、2つのシングルモード光導波路のサブミクロン配列を含む高コストな配列ステップに依存するためである。
【0010】
オスラム・セミコンダクタ社(Kuehneltらによる米国特許出願US2007/0081564参照)は、光学ポンピング、表面放射半導体レーザのキャビティ内周波数倍増のため、周期的に分極されたMgOドープのニオブ酸リチウムを使用することを提案している。それがシングルモード導波路に関連した厳しい公差を除去する反面、このアーキテクチャは、より低い光学ゲイン(従って限られた全体の効率)のため、マイクロチップ・アーキテクチャと比較して大きな不利益があり、複数の別々の光学部品を組み立てて配列する必要がある。
【0011】
要するに、既知の技術的アプローチは、高効率の可視出力(特に緑色)に対して信頼性が高く、費用効果に優れかつコンパクトな周波数変換レーザ装置を提供することができない。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、周期的に分極されたMgOでドープされたニオブ酸リチウム結晶での非線形周波数変換に基づいて可視光放射線を生じる、低コストで効率的なマイクロチップレーザ光源を説明する。可視レーザ光源の高い効率および高い信頼性は、高効率な固体ゲイン結晶を使用し、キャビティ内周波数倍増のために、高効率な周期的に分極されたMgOでドープされたか、ZnOでドープされたか、ストイキオメトリックな、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)またはリチウム・タンタル酸塩の(LiTaO3)結晶を用いることにより成し遂げられる。配列が自由なモノリシックなマイクロチップ・キャビティ・アーキテクチャにより、低コストが達成される。マイクロチップ・アーキテクチャは、厚い(好ましくは0.5mmより厚い)周期的に分極されMgOでドープされたニオブ酸リチウムの結晶であり、ゲイン結晶とのロバストでモノリシックな接着をもたらす十分な表面積を提供する結晶により可能になる。
【0013】
最も高い効率の非線形材料を選択する際に、我々は、周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3の結晶がストイキオメトリックな(準ストイキオメトリックな)ものの0.05%の範囲内である場合、数ワットまでの可視波長出力パワーで安定にするのにいかなるドーパントも必要としないことを見出した。ストイキオメトリックなものの0.6%の範囲内である結晶については、ZnOまたはMgOの約0.1から約1.8モル%まででドープすることは、ストイキオメトリックな、周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3の結晶で得られるものと実質的に同じ有益な結果が得られる。さらにまた、コングルエントに成長したLiNbO3またはLiTaO3の結晶について、MgOまたはZnOを約4から約7モル%まででドープすることは、結果として光誘発損傷に対して高い抵抗を有する材料になる。
【0014】
本発明は、ドーパントとしてMgOまたはZnOとして含み、および/または、これらの材料について高い信頼性を確実にするストイキオメトリの特定された程度の周期的に分極された材料に基づいたコンパクトで、効率的でおよび低コストな周波数変換レーザ装置を教示する。ZnOまたはMgOでドープされたLiNbO3およびLiTaO3は、それらのコングルエントなドープされていない相対物とは非常に異なる材料であり、それらの変えられた強誘電性特性は、これらの材料を短い期間に可視スペクトル範囲への周波数変換に必要な数ミクロン長の領域に分極化することを非常に困難にする。
【0015】
周期的に分極されたZnOまたはMgOでドープされたおよびストイキオメトリックなLiNbO3およびLiTaO3を生じる際の技術的チャレンジは克服され、これらの材料はうまく製造されることができる。青、緑およびより長い波長範囲へのレーザ変換に適した分極周期を有する結晶が製作され、このような製造プロセスのための技術は、S.S.エサイアンにより、スペクトラルス社に譲渡された米国特許第7413635号に記載され、その内容はすべての目的に関し参照として本明細書に組み入れられる。
【0016】
本発明は、信頼性が高く、コストがかからずかつコンパクトな周波数変換レーザを提供する課題を解決する。低コストで、効率的なおよび信頼性が高い固体レーザー・アーキテクチャが、MgOまたはZnOなどのドーパントを含みおよび/またはこれらの材料についての高い信頼性を確実にするストイキオメトリの特定された程度を有する周期的に分極されたLiNbO3またはLiTaO3に基づいて開示される。
【0017】
本発明は、コンパクトで、効率的で、信頼性が高くおよび低コストな固体レーザ装置であり、直射的な半導体レーザでは容易に利用可能でない波長範囲、すなわち青、緑、黄色、オレンジおよび赤の波長領域へ、すなわち、約450nm〜630nmの波長へ周波数変換された装置を説明する。
【0018】
本発明は、少なくとも数十ミリワットの出力パワーレベルと既存の技術では容易に達成できないレベルを有する、コンパクトで効率的な可視レーザ光源を製造する方法を教示する。
【0019】
本発明の一態様は、抑えられた周波数スペクトルを有する周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の結晶軸の方向は、互いに非整列でもよく、ゲイン素子の長さ、非線形周波数倍増結晶の長さ、および、結晶軸の間の角度は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリで複屈折のスペクトル選択メカニズムを形成し、出力ビームの周波数範囲を非線形周波数倍増結晶のスペクトル許容帯域幅の範囲内に抑えるように選択されてもよい。
【0020】
本発明の他の態様は、周波数倍増可視出力ビームを提供し、支持プレートにより提供される機械的剛性を有する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。支持プレートは、モノリシックに接着されたゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の側面に、固定して取り付けられる、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリに機械的剛性を提供する。これらのプレートは、マイクロチップ・ゲイン素子からの効率的な熱除去にも用いることができる。このため、シリコンまたはサファイアなどの高い熱伝導率材料が、支持プレートに用いることができる。
【0021】
本発明のさらに他の態様は、周期的な分極または摂動を受けた周期の分極を有する非線形結晶を用いて周波数倍増可視出力ビームを提供し、温度、波長および角度の公差を許容する固体マイクロチップレーザ光源である。固体マイクロチップレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、ポンプビームを受光するよう配置されたモノリシックなマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを有する。レーザキャビティ・アセンブリは、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ゲイン素子および非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、2つのミラーは、ゲイン素子と非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される。非線形周波数倍増結晶は、一定の間隔で周期的に分極されることができ、または、非線形変換プロセスにおいてより良好な公差を達成するため、摂動を受けた分極定期性を有することができる。この開示のために、「周期的に分極された」の指定が使われるいずれにおいても、非線形周波数変換プロセスの温度、波長および角度の公差を制御可能にする「準周期的」または摂動を受けた周期的な分極を用いることができる。
【0022】
本発明の更に他の態様は、可視出力ビームを提供するパッケージ化レーザ装置である。パッケージ化レーザ装置は、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ、光学台プラットフォーム、出力開口を有するパッケージ、および、電気接続のためのリードを備える。半導体ダイオード・ポンプレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する。ポンプダイオードの出力波長は、よりよいポンピング効率を達成し、ポンプダイオードについての所望の出力波長およびスペクトルをよりよく制御するため、内部または外部のグレーティングによって安定されてもよい。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。半導体ダイオード・ポンプレーザおよび非線形周波数倍増結晶は、光学台プラットフォームに一体化される。(他の実施例によれば、円形ホルダの円筒タイプパッケージのアセンブリなど他の統合方法も、本発明の範囲内である)。パッケージは、光学台と一体化され、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび光学台プラットフォームを囲みヒートシンクを提供し、ポンプダイオードおよび任意のフォトダイオード・モニタなどのパッケージ内部で、アクティブな要素に電気接続を提供する。代替で任意の実施例によれば、パッケージは、サーミスタおよびペルチェ冷却器および/または抵抗性ヒータなどの温度制御要素も提供する。
【0023】
また、本発明の一態様は、ビームスプリッタ出力窓を介して可視出力ビームを提供するパッケージ化レーザ装置である。パッケージ化レーザ装置は、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ、光学台プラットフォーム、出力開口を有するパッケージ、および、ビームスプリッタを備える。半導体ダイオード・ポンプレーザは、選択された波長でのポンプビームを提供する。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、ポンプビームを受光するよう配置され、2つのミラー、固体ゲイン素子、および、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であるバルクを含む。各ミラーは、コーティングされた表面によって規定される。固体ゲイン素子は、半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、2つのミラーの間に配置される。周期的に分極された非線形周波数倍増結晶のバルクは、2つのミラーの間に配置され、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3で形成される。半導体ダイオード・ポンプレーザおよび非線形周波数倍増結晶は、光学台プラットフォームに一体化される。パッケージは、光学台と一体化され、半導体ダイオード・ポンプレーザ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび光学台プラットフォームに囲みヒートシンクを提供する。ビームスプリッタは、出力開口で出力ビーム光路に配置され、パッケージと固定して一体化される。ビームスプリッタは、出力ビームをほんのわずかに分岐しパワーモニタにあたるように機能する。一実施例によれば、ビームスプリッタは、出力開口をカバーする出力窓として一体化される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明のマイクロチップレーザ光源の実施例を示す。
【図2】図2は、スペクトルまたは空間モード制御のためキャビティのいずれかの側面に、独立したミラーを有する本発明の実施例を示す。
【図3】図3は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図4】図4は、支持プレートを有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図5】図5は、固体ゲイン結晶および周期的に分極された非線形結晶に対して異なる断面寸法を有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを示す。
【図6】図6は、共通のプラットフォーム上に組み立てられる可視マイクロチップレーザ光源を示す。
【図7】図7は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、軸方向に配向された電気接続がある円筒状パッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図8】図8は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、横方向の電気接続がある平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図9】図9は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、長手方向の電気接続がある平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図10】図10は、図9の平坦なパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【図11】図11は、図9の円筒状のパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【図12】図12は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、統合ビームスプリッタ出力窓を実装する平坦なパッケージを有するパッケージ化レーザ光源製品の斜視図を示す。
【図13】図13は、図12の平坦なパッケージ化レーザ光源製品の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明のマイクロチップレーザ光源の実施例を示す。ポンプダイオードレーザ1は、ゲイン材料(素子)8による効率のよい吸収のために、ビーム2を例えば800から900nmの間の波長で、例えば〜808nmまたは〜885nmの波長で放出する。ビーム2は通常、非点収差を有し、ポンプビーム2をビーム4に変換するのにビーム整形光学素子3が有利に用いられて、ビーム4はゲイン媒体8の表面7上に所望の大きさ及び形状の断面(すなわち、垂直および水平のビームサイズがほぼ等しい)を形成する。この種のポンピング構成は当該技術分野において既知であって、これはゲイン素子におけるポンプ領域を、キャビティ内循環ビームに効率よくオーバーラップさせることができ、それは効率のよい非線形周波数倍増のために単一空間モード(またはTEM00)でなければならないものである。ゲイン素子8上のポンプスポットについての好適な直径は、20から300ミクロンの範囲内であり、特に好適な直径は、40から80ミクロンの範囲内である。ビーム整形光学素子はマイクロレンズ、屈折率分布型レンズ、またはそのような光学素子の組合せであってもよい。「ピコ・プロジェクタ」などの超小型レーザ光源を必要とする応用においては、レーザ源全体の寸法が重要性を増し、ビーム整形光学素子3をなくしてもよい。選択肢として、アセンブリはダイオードレーザ1のスペクトル放出を狭めるのに用いられる体積ブラッググレーティングを含んでもよい。吸収深さの大きな変化と、その結果として生じる熱レンズ効果なしで、制御されたポンプボリュームをつくることに役立つため、ポンプレーザのスペクトル出力を狭めることは、レーザシステムの効率性にとって有利である。ポンプダイオードレーザ1に一体化されるグレーティングを含む、グレーティングの他の変化もこの目的のために役立つ。
【0026】
高いレーザ光源効率をもたらすことは本発明の一利点である。効率性を最大化し、ポンピングされたゲイン要素からの熱除去を向上するために、サファイア、ドープされていないYVO4またはドープされていないY3Al5O12(YAG)などの高い熱伝導性を有する実質的に透明な光学材料6を用いる。こうして、サポート素子6はゲイン素子8に結合されてヒートシンクとして作用する。ゲイン要素8の表面5および7は、例えば808nmのポンプレーザ波長での高い透過率のためにコーティングされる。一表面7のコーティングはまた、例えば1064nmのような基本波レーザ波長での高い反射率をも提供し、固体レーザキャビティの第1のミラーとして作用する。サポート素子6として用いるのに好適である光学的に透明なヒートシンク材料のいくつかの例は、サファイア、ドープされていないYVO4およびドープされていないYAGを含む。これらの素子のうち、サファイアは、その高い熱伝導率と、Nd:YVO4に対する良好な熱膨張率の適合とにより、最も効率的である。このレーザ光源の低パワーの実施例(<1Wの吸収ポンプパワー)においては、ゲイン素子を銅または別の高い熱伝導率を有する搭載部上に搭載することなど、吸収ポンプパワーにより発生した熱を除去する従来的なヒートシンク方法も受入可能であり、この発明の範囲に含まれる。効率とマイクロチップ・アセンブリからの熱除去の他の方法の開示のため、後述する図3も参照。サポート素子6の使用は、本発明を実践するために厳密に必要ではなく、効率を向上させるよう作用する実践のオプションを示すものとして開示する。
【0027】
ゲイン媒体8は好ましくは、ゲイン素子8がレーザキャビティに対してゲイン制御および偏光制御の両方をもたらすように、Nd:YVO4、Nd:GdVO4またはNd:YGdVO4のような、ある軸のほうがゲインが高い、Ndでドープされた素子である。本発明においてレーザの効率性を最大化するためのNdドーピングのレベルは、典型的には0.5%atmから4%atm(原子パーセント)の範囲内にある。素子8はまた、ゲイン誘導および熱レンズ効果によってフラット−フラット・レーザキャビティでなければ、横モード制御をも提供する。
【0028】
その結晶軸の1つに沿ったゲインが他の結晶軸に沿うものよりも大きい結晶を使用してゲイン素子8を形成する態様は、偏波識別である。これは、効果的な非線形変換を可視範囲(特に緑の波長)にする技術的な目標を実現するのに役立つ。第二高調波発生(SHG)の非線形プロセスは、偏光感度が高い傾向がある。このように、偏波識別を有するゲイン結晶を選択することは有用である。
【0029】
非線形結晶10は、基本波長(すなわち近赤外)および第2高調波波長(典型的には可視)の両方で信頼性のある結晶動作を確実にする、ドープされているかまたはストイキオメトリックな非線形材料の族に属する周期的に分極された非線形結晶である。具体的には、これらの材料は、PPMgOLN(周期的に分極されたMgOでドープされたコングルエントLiNbO3)、PPMgOLT(周期的に分極されたMgOでドープされたコングルエントLiTaO3)、PPZnOLN(周期的に分極されたZnOでドープされたコングルエントLiNbO3)、PPZnOLT(周期的に分極された適合ZnOでドープされたコングルエントLiTaO3)、PPSLN(周期的に分極されたストイキオメトリックなニオブ酸リチウム)、またはPPSLT(周期的に分極されたストイキオメトリックなタンタル酸リチウム)を含む。ドーピングおよびストイキオメトリのレベルは、光屈折率損傷および可視光線誘起赤外吸収(緑色光についてGRIIRAおよび青色光についてBLIIRAとして公知である)のような光劣化効果を抑制するよう選択される。このような周期的に分極された結晶を大量生産するための方法は、本発明の共同発明者の1人であるS.エサイアンにより、本願と共通して譲渡された公開米国特許7413635に記載されている。
【0030】
非線形結晶10の分極周期は、基本波ビームの第2高調波発生の効率を最大化するよう選択される。例えば、1064nmを532nmに周波数倍増するためのPPMgOLNの分極周期は、約6.95ミクロンである。このような材料に対する効果的な非線形係数は約16pm/Vとかなり高い。非線形結晶の高い非線形性および高い信頼性は、本発明のレーザシステムの非常に有益な利点である。非線形変換の効率性が非線形係数の二乗でスケーリングするので、KTP(緑色波長への変換には〜3.5pm/V)またはLBO(〜1pm/V非線形係数)のような従来の材料の代わりにPPMgOLNのような材料を使用すると、従来のバルク材料の場合よりもコンパクトで消費電力が少なく高いパワー出力のシステムを構築することが可能になる。本発明の実施例において使用する高効率な非線形結晶(PPMgOLNのような材料)の結果として、短い長さの緑/青色レーザー・マイクロチップ(および、対応する短いレーザキャビティ)が、現実的な設計成果となる。このマイクロチップレーザ設計は、大きな縦モードスペーシングを可能にし、一つの周波数放射を発生させる傾向があり、それには多くの器具アプリケーションを必要とする。例えば、本発明の実施例に従う緑色レーザー・マイクロチップの長さは、1mm未満の要件を満たすことができる。
【0031】
高い信頼性のために最適なドーピングおよびストイキオメトリを使用することは、光劣化を抑制するために非線形結晶を加熱する高価で場所を取るオーブンを必要とすることなく、信頼性のあるレーザ製品を製造することを可能にする。最後に、本発明を実行する上で有用であるPPMgOLNおよび他の結晶の大量生産可能性は、家庭用電子製品の大きな市場に、コンパクトな可視レーザを大量生産することを可能にする。従って、商業的に実用可能なダイレクト半導体ダイオードレーザ(特に緑色)を使用しても入手できない色が獲得できることを指摘することは重要である。
【0032】
非周期的な(チャープされた)または非平行な(ファンアウト)分極パターンを有する非線形結晶の使用もまた、本発明の範囲内である。PPMgOLNのような本発明の材料の高い効率性によって得られる利点とは、それらが設計に余裕をもたらすことである。これは、発生された第2高調波パワーに重大なペナルティを課すことなく、第2高調波発生に対する温度または角度の許容可能帯域幅のような他のパラメータに対して、有効非線形性がトレードオフできることを意味する。これは、キャビティ内第2高調波発生が、レーザが基本波長で放出可能であるパワーの最大量によって限定されているためである。このように、周期的に分極された結晶は、バルク全体にわたり厳密に周期的である必要はなく、実際は、ポーリング構造なく、周期的か他の部分を有してもよい。
【0033】
キャビティ内第2高調波発生において、最大第2高調波(周波数変換された)パワーは最大の基本波周波数パワーにより制限され、レーザが最適な鏡アウトカップリングで生じることができる。レーザ制限に達した後、結晶の非線形性、長さ、またはビームの焦点絞りの増加は、第2高調波パワーをそれ以上増加させないことができる。従来のバルクの非線形結晶は、連続波レーザ動作においてはこのレジームにまず到達し得ないのに対し、本発明の高い非線形性の周期的に分極された結晶は、そこに到達する。その結果、全アセンブリが全体として制御されるときでも、非線形結晶の長さを減少させ、分極パターンを修正することにより、そして特に固有の温度勾配のためにいくらか効率性が限定される低コストでモノリシックなマイクロチップレーザキャビティアセンブリを用いることにより、レーザー・コストを減らし性能を向上させることができる。
【0034】
このように、好ましい実施例では、非線形結晶10は、例えば光学的接触によって、レーザーゲイン素子8に接着される。非線形結晶の入力面9は、コーティングを有し、基本波長での高い透過と第2高調波波長での高い反射を確実にするために、光学的に良く磨かれている。この配置は、発生した可視光が、レーザ動作に不利益になりえるポンプダイオードレーザへ入射することを防ぐ。本発明において好まれる接着剤(エポキシ)なしで接着することは、最近重要な進展にみられ、従って、ここに開示されるモノリシックなアセンブリは、直ちに製造されることができることに留意されたい。
【0035】
非線形結晶の出力表面12は、キャビティの第2のミラーとして作用する。したがって、それは基本波レーザ波長での高い反射率と、第2高調波波長での高い透過率のために、コーティングされることが好ましい。記載された配置の縦および横の寸法は、レーザ設計の分野において既知であるように高い効率性について最適化される。我々は、532nm(緑色)波長で数百ミリワットのパワーを得るために、非線形結晶の長さが1−2mmを超える必要がないことを見出した。光ビーム11は、基本波長でのキャビティ内レーザビームを示す。ビームは、ゲイン素子8から遠ざかる方向に伝搬するキャビティモードを示す。後方に伝搬するキャビティモードは、この前方に伝搬するビームとオーバーラップするので、図示されていない。同様に、第2高調波ビームは前方向と後方向との両方において発生される。後方向に発生される第2高調波ビームは光学表面9で反射されて、前方向に発生される第2高調波ビームと再び合成され、単一のビーム13がレーザキャビティから出射する。
【0036】
前方向に発生される第2高調波と後方向に発生される第2高調波との両方は互いに対してコヒーレントである(すなわち、明確な位相関係を有する)ので、それらが互いに光学的に干渉して非線形変換の効率性をいくらか減じ得ることに留意されたい。1つの方法は、結晶温度(できるだけ建設的干渉に近くするために干渉を最大化することと、非線形変換効率を最大化することの間の最適ポイント)を制御することによりこの効果を制御することである。好適な温度範囲は約20℃から約80℃であり、低コストの抵抗ヒータ素子を利用して容易に達成することができる。
【0037】
本発明のマイクロチップ・アセンブリのさらなる利点は、容易に扱いかつ他の結晶に接着されるのに十分な厚みの周期的に分極された結晶を用いることができることである。最近まで、一般的に認められていた意見では、PPMgOLNのような材料は青緑色への変換についてはせいぜい薄いウェハ(0.5mm厚さ以下)での分極しか可能ではなく、生産、非研究環境においては全く分極しないとされていた。今や、米国特許第7413635号(その特許と本願は共通して譲渡された)においてS.エサイアンによって記載された方法を用いることにより、高い歩留まりで1mmもの厚さの結晶を製造することが可能である。厚みは、接着される表面に対して十分な接触領域を提供するため、ロバストな光学的接触を確立するのに極めて有用である。最近までは、0.5mmのPPMgOLN結晶だけが、商業的に、可視光非線形変換アプリケーションに使用可能だった。より厚い結晶は、マイクロチップレーザを構築するのに重大な利点をもたらす。このように、結晶技術におけるこの最近の業績を使用することで、既存のプラットフォームの能力(すなわち、力、効率、信頼性およびコスト)を凌ぐモノリシックなマイクロチップレーザ・プラットフォームを得ることができる。
【0038】
図2を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティのための独立したミラーを有する本発明の実施例が図示される。非モノリシックなとき、いくつかの事例では、周期的に分極された非線形材料によりもたらされる効率的の利点を保ちながら、独立ミラーアセンブリが正当化できる。
【0039】
一例を挙げると、ミラーは、周波数制御要素として役割を果たすことができる。これは、固体レーザの放射が所望の周波数範囲、例えば、非線形結晶の許容帯域幅に合致する周波数(波長)範囲の中に拘束されなければならない例において、又は、(低いノイズを必要としているアプリケーションのため)レーザのシングル縦モード動作を行うため、役立つことがありうる。適切な周波数選択ミラー202は、体積ブラックグレーティングとすることができる。このようなグレーティングは、Optigrate社、PD−LD社およびOndax社など会社により製造され、以前から半導体レーザの発光スペクトルを制御するために用いられている。
【0040】
他の例において、ミラーは、空間モード制御要素として役割を果たすことができる。
これは、レーザ設計の分野で既知のように、伝統的に湾曲ミラーでなされ、本発明の範囲内である(すなわち、図2のミラー202は、光学ガラスでできている湾曲ミラーとすることができる)。ミラー202の内面203は、キャビティで所望のレーザ発振モードプロファイルを決めるよう、選択された曲率半径でカーブすることができる。表面203は、通常、固体レーザの基本波長、例えば1064nmの波長での、高い反射率(HR)のためにコーティングされている。外面204は、通常平坦で、基本波長での高い透過のためにコーティングされている。面203および204の双方は、通常、第2高調波波長、例えば532nmでの高い透過を有するようにコーティング仕様を有する。非線形結晶10の外面201は、基本波波長および第2高調波波長の双方での高い透過のために好ましくはコーティングされている。
【0041】
図3を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリが図示される。この実施例は、固体ゲイン素子910および周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920を有し、それらは、組合せて対向する端部でコーティングされたミラー930、940とともに、伝搬軸に沿ってともに配置される。ゲイン素子910、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920およびミラー930、940は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900を形成する。ミラー930、940は、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900をポンピングするために使われるポンプ(基本周波数)ビーム(図6、10および11参照)の周波数で反射するように選ばれる。図3に示す基本的なレーザー・マイクロチップ・アーキテクチャは、透明なヒートシンク(図1および2の要素6)を含まないが、(このようなヒートシンクありなしの)両実施例は、本発明の範囲内であるものと理解される。
【0042】
周期的に分極された非線形周波数倍増結晶920は、名目上周期的に分極された結晶性材料から選択される。周期的に分極されたLiNbO3(MgOまたはZnOでドープされた)、周期的に分極されたLiTaO3(MgOまたはZnOでドープされた)、ストイキオメトリックであるか準ストイキオメトリックな周期的に分極されたLiNbO3およびストイキオメトリックであるか準ストイキオメトリックな周期的に分極されたLiTaO3はすべて、この光学要素として使用するのに適している。
【0043】
各種実施例において実装できる有益な特徴は、ゲイン素子910および非線形周波数倍増結晶920の結晶軸方向を、互いに並ばないように配置することである。これにより、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの複屈折スペクトル選択メカニズムを作成し、レーザのスペクトル出力を所望のスペクトル窓に拘束する。レーザが、非線形第二高調波発生プロセスの許容帯域幅の範囲内である周波数バンドにおいて作動するように、周波数(波長)フィルタが望ましい。これは、許容帯域幅から外れ、効率的に可視光へ周波数変換されることができないレーザ発振モードを抑えることにより、プロセスの効率を向上させる。この場合、支配的なゲイン軸を有するゲイン素子910は、キャビティ内複屈折素子(ここでは、非線形結晶)に基づいて周波数選択を容易にするキャビティ内偏光子として作用する。不整列の角度は、周波数識別(より大きい角度のため最も強い)と、非線形変換プロセスに効果的に関与しない分極の存在による非線形変換効率における損失との間のトレードオフに基づいて選択される。我々は、多くの場合、Nd:YVO4(ゲイン素子)のc軸とPPMgOLNのZ軸の間の小さな角度、例えば〜10度の角度は、有益なトレードオフ(効率においてほとんどペナルティがない十分な周波数識別)に十分であることを見出した。
【0044】
マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ900の全長が長さ約1mm未満に構築されると、実質的にシングル縦モード動作がよくサポートされる。シングル縦モード動作は、低ノイズ器具アプリケーションに有益である。
【0045】
図4を参照すると、支持プレートを有するマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリが図示される。この実施例は、固体ゲイン素子1010および周期的に分極された非線形周波数倍増結晶1020を有し、モノリシック的に接着される。ミラー1030、1040は、固体ゲイン素子1010と周期的に分極された非線形周波数倍増結晶1020の組合せの対向端部でコーティングされている。
【0046】
一対の支持プレート1050は、モノリシック的に接着されたゲイン素子1010と非線形周波数倍増結晶1020の対向する側面に固定して取り付けられ、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1000に機械的剛性を提供する。2枚のプレート1050だけが図示の実施例で示されているが、本発明は、3または4枚目のプレートをマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1000の側面に固定して取り付けて実行することを含む。プレートは、機械的支持を提供することに加えて、熱的安定性を強化する。実装されるプレート1050の数は、機械的支持の所望の程度、熱的安定性の所望の程度またはその両方に基づいて選択される。プレート1050の材料は高熱伝導率を有するよう選ばれ、例えばシリコンである。
【0047】
ゲイン素子1010および非線形周波数倍増結晶1020のキャビティ内接着の光学面は、任意にコーティングしてないままにされることができ、それは多くの状況においてよく機能する。一方、いくつかの実施例において、ゲイン素子1010に入射する後方向に発生する緑の第2高調波ビームについて望ましくなく、それは、第2高調波発生ビームに対する損失と脱分極をもたらす傾向があるためである。損失を回避するため、ゲイン素子1010および非線形周波数倍増結晶1020のキャビティ内接着の光学面の一方または双方はコーティングされ、周波数を倍増したビームに対して高い反射率を提供する。脱分極を回避するため、キャビティ内接着の光学面の一方または両方はコーティングされ、ゲイン結晶に入射数周波数倍増されたビームの分極状態の変化を防止し、線形に分極化する出力を確実にする。
【0048】
図5を参照すると、別の実施例によるマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1100が図示される。このアセンブリ1100は、固体ゲイン結晶1110および周期的に分極された非線形結晶1120について異なる断面寸法を有する。本発明の実行は、ゲイン結晶および非線形結晶が同様の寸法を有するアセンブリに限られない。このジオメトリーは、互いに整列されていない固体ゲイン結晶1110および周期的に分極された非線形結晶1120の結晶軸を有する設計の具体例としても役立つ。例えば、結晶軸は、図4に示される結晶の端に整列配置されることができる。
【0049】
図6を参照すると、共通のプラットフォーム上で組み立てられた可視マイクロチップレーザ光源が図示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200は、ポンピングレーザダイオード1260によってポンピングされ、出力ビームが、ビームスプリッタ1264を介して突出するビーム軸1262に沿って現れる。一部の出力ビームは、二次軸1266に沿ってパワーモニタ1268に投射するために、ビームスプリッタ1264により分割される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200、ポンピングレーザダイオード1260、ビームスプリッタ1264およびパワーモニタ1268はすべて、共通の光学台プラットフォーム1270に、固定して載置される。サーミスタ1272も、光学台プラットフォーム1270に固定して載置され、熱制御のために温度検知を提供する。
【0050】
本実施例において、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1200は、良好な熱伝導特性を有するカバー1205の下に配置されるとして示される。図示のカバー1205は、本発明の実施のために任意のものあり、必須ではない。
【0051】
図示の光学台プラットフォーム1270は、好適には、金属、合金または高い熱伝導率を有する他の材料から形成される。光学台プラットフォーム1270に対する適切な材料の例は、銅、銅タングステンまたはニッケル−コバルト鉄を含む合金である。本発明の実行に適している一般タイプのニッケル−コバルト鉄を含む合金は、Kovar(登録商標)の下で販売される。選択される非金属材が高い熱伝導率を有する限り、若干の非金属も光学台プラットフォーム1270を形成するために実用的である。適切な材料は、シリコン、窒化アルミニウム他である。
【0052】
図7を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、軸方向に配向された電気リード1312を有する円筒状パッケージ1310を有するパッケージ化レーザ光源製品1300が図示される。円筒状パッケージ1310の一端のポータル1314は、出力レーザビームが出射することを可能にする。有利には、パッケージ全体は密封され、金属、セラミックまたはそれらの組み合わせで形成される。しかし、パッケージを密封することは、本発明を実行するために厳密に必要でなく、この種の封止がもっともよく回避されるときの実施態様がある(例えば高い真空または高圧への照射)。パッケージは、信頼性が高いレーザエンクロージャ、ヒートシンク、温度制御、電気接続およびレーザビームのための出力開口を提供するため、すべてのレーザ部品を一体化する。
【0053】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1300は、図11の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1700、ポンピングレーザダイオード1760、ビームスプリッタ1764、パワーモニタ1768およびサーミスタ1772は全て、共通の光学台プラットフォーム1770に固定して載置される。光学台プラットフォーム1770は次に、円筒状パッケージ1310のベース1316に機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1760、パワーモニタ1768およびサーミスタ1772は、電気リード1312に電気的に接続される。図13にも図示されるように、パワーモニタへビームの一部を屈折させるビームスプリッタは、出力窓を有する1つの要素と併用されることができる。
【0054】
図8を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ(図示せず)を実装し、横方向の電気リード1412がある平坦なパッケージ1410を有するパッケージ化レーザ光源製品1400が図示される。平坦なパッケージ1410の一端のポータル1414は、出力レーザビームが出射することを可能にする。この実施例によるマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、図6、7および11に関して図示され上述されたものと同様である。
【0055】
図9を参照すると、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装し、長手方向の電気リード1512がある平坦なパッケージ1510を有するパッケージ化レーザ光源製品1500が図示される。平坦なパッケージ1510の一端のポータル1514は、出力レーザビームが出射することを可能にする。
【0056】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1500は、図10の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1600、ポンピングレーザダイオード1660、ビームスプリッタ1664、パワーモニタ1668およびサーミスタ1672は全て、共通の光学台プラットフォーム1670に固定して載置する。光学台プラットフォーム1670は次に、平坦なパッケージ1510のベース1516に、機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1660、パワーモニタ1668およびサーミスタ1672は、電気リード1512に電気的に接続してされる。
【0057】
図12を参照すると、平坦なパッケージの実施例が、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリを実装しているパッケージ化レーザ光源製品1800の統合ビームスプリッタ出力窓を実装して図示される。パッケージ化レーザ光源製品1800は、長手方向の電気リード1812と統合ビームスプリッタ出力窓1814がある平坦なパッケージ1810を有する。
【0058】
窓1814は、赤外線および可視波長で光学的に透明でもよく、その一方または双方の表面はコーティングされ、(ポンプダイオード波長およびマイクロチップレーザ・キャビティの基本波長で)可視光出力の大部分を透過しおよび赤外線を遮断し、可視光のわずかな部分をパワーモニタへ偏向する。あるいは、窓1814は、赤外線を遮断し可視領域で高い透過性を有するフィルタ・ガラスから作られることができる。パワーモニタへ偏向される光線と、外に送信される光線の間の所望のパワー比を提供するため、光学コーティングが塗布されることができる。さらに他の実施例においては、窓1814はコーティングしなくてもよく、部品コストが下げられ、所望のパワー分岐がコーティングしてない表面によって達成されるように、可視出力ビームに対してブルースター角に近い角度で配向されることができる。出力ビームの選択された分極に応じて、窓は図12に示すように垂直偏光に対して配向され、または水平偏光に対して他の平面で傾けられることができる。
【0059】
この実施例によるパッケージ化レーザ光源製品1800は、図13の部分断面に示される。マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ1900、ポンピングレーザダイオード1960、ビームスプリッタ1964、パワーモニタ1968およびサーミスタ1972は全て、共通の光学台プラットフォーム1970に固定して載置される。光学台プラットフォーム1970は、温度制御されたプレート1974からベース1816までの良好な温度条件を提供するように、温度制御されたプレート1974の上に固定され、それは次に平坦なパッケージ1810ベース1816に機械的に固定される。ポンピングレーザダイオード1960、パワーモニタ1968、サーミスタ1972および温度制御されたプレート1974は、電気リード1812に電気的に接続される。
【0060】
温度制御されたプレート1974は、温度電気冷却器(TEC)(例えばペルチェセル)を使用して、好適に実現される。あるいは、温度制御されたプレート1974は、電気的に駆動される発熱体により実現される。別の実施例によれば、TEC要素自体は光学台プラットフォームとして作用し、パッケージを非常にコンパクトにするためにレーザパッケージ全体のベースとして作用する。
【0061】
本発明の変形例によると、半導体ダイオード・ポンプレーザは、光学台プラットフォームに載置されたサブマウントに配置される半導体レーザー・チップとして実現される。あるいは、半導体レーザー・チップは、マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリと同じ光学台プラットフォームに直接載置される。この直接マウントの代替例によれば、光学台は、半導体ポンプレーザのためのサブマウントとしても作用する。この直接マウント構成は、構成要素の数および組み立てステップを減らすことで、コストおよび組み立て時間を節約する。
【0062】
本発明の他の変形例によると、ポンプビームは、マイクロレンズまたは屈折率分布型レンズなどのビーム成形光学系を経て、ゲイン素子に向かう。ビーム成形光学系は、本発明を実行するのに必須ではなく、代替的には、ポンプビームはビーム成形光学系を使用せずゲイン素子に伝達される。
【0063】
パッケージの実施例の一態様は、所望の可視出力を透過するが、半導体ポンプ・レーザダイオードおよびマイクロチップレーザ・キャビティからの残留赤外線を遮断する材料でできている窓を有する出力開口である。
【0064】
パッケージの実施例の電気接続は「ピン」であると記載したが、ピンの形態は、本発明の実行に不可欠ではない。電気接続は、プリント回路基板またはフレキシブル回路基板または他のタイプの電気リードとして好適に形成されることもできる。
【0065】
本発明によるパッケージで一体化されるマイクロチップレーザの実装のために、電力を供給し、半導体レーザー・ポンプ・ダイオード、サーミスタ、温度調節要素を含む部品を制御するレーザドライバが好適に設けられている。レーザドライバは、装置の測定および制御にパワーモニタを利用するよう実現されることもできる。
【0066】
本発明のマイクロチップレーザ・ソースの適切な使用形態は、RGB投影ディスプレイシステムの主要光源のうちの1つとして用いることである。RGB投影ディスプレイシステムで使用するレーザ光源は、空間光変調器マイクロ・ディスプレイでの色配列動作のためパルスモードで駆動される。
【0067】
周期的に分極された非線形材料を有する可視マイクロチップレーザ光源が、記載された。本発明は、開示される本発明の範囲内において、他のいろいろな形で実現されることができ、本明細書に記載される例および実施例はすべての点で例示的なものであり限定的なものではないことが当業者によって理解されよう。本発明の分野の当業者は、本明細書に記載される概念を用いた他の実施例も可能であることに気づくであろう。更に、請求項の構成要素に対する例えば冠詞“a”、“an”または“the”を用いた単数の参照は、構成要素を単数に限定するものとして解釈されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源であって、該固体マイクロチップレーザ光源は、
選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、
前記ポンプビームを受光するよう配置されたマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリであって、
コーティングされた表面によって規定される2つのミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、前記2つのミラーの間に配置される固体ゲイン素子と、
前記2つのミラーの間に配置された、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であり、該結晶は、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3の群から選択されるバルクと
を有し、
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、前記2つのミラーは、前記ゲイン素子と前記非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供され、
前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の相対的な方向は、安定で効率的な出力を最大化して周波数倍増の可視ビームにするよう選択される前記レーザキャビティ・アセンブリと
を備えた前記固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項2】
前記ゲイン素子は、その結晶軸の1つに沿ったゲインが他の結晶軸に沿うものよりもより大きい結晶を有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項3】
前記ゲイン素子は、Nd:YVO4、Nd:GdVO4、または、Nd:YGdVO4を含む群から選択される材料を有する請求項2に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項4】
出力波長は、可視スペクトルの緑の部分の範囲内である請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項5】
前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度が、実質的にゼロである請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項6】
前記ゲイン素子の長さ、前記非線形周波数倍増結晶の長さ、および、前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度が、実質的にシングル縦モードでの動作をサポートするよう選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項7】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの全長は、実質的にシングル縦モードの動作をサポートするように選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項8】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの全長は、約1mm未満に選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項9】
前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度は、実質的にゼロより大きい請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項10】
前記ゲイン素子の長さ、前記非線形周波数倍増結晶の長さ、および、前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度は、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ内で複屈折のスペクトル選択メカニズムを形成するように選択されて、出力ビームの周波数範囲を、前記非線形周波数倍増結晶のスペクトル許容帯域幅の範囲内に抑える請求項9に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項11】
モノリシックに接着された前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶の側面に、固定して取り付けられ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリに機械的剛性を提供するひとつまたは複数の支持プレートをさらに有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項12】
モノリシックに接着されたゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の側面に対する支持プレートの取付けにより、光ビームは遮断されない請求項11に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項13】
前記支持プレートは、高い熱伝導率を有する材料を含む請求項11に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項14】
前記非線形周波数倍増結晶は、摂動を受ける分極の周期性を有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項15】
前記非線形周波数倍増結晶は、周期的なポーリング構造のない部分を有する請求項14に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項16】
前記ダイオード・ポンプレーザは、ダイオード・ポンプレーザのスペクトル放出を狭める内部グレーティングを有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項17】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記固体ゲイン素子と前記ダイオード・ポンプレーザの間に配置され、前記ダイオード・ポンプレーザのスペクトル放出を狭める体積ブラックグレーティングをさらに有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項18】
前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記非線形周波数倍増結晶が光学台プラットフォームに一体化される該光学台プラットフォームと、
出力ビームのための出力開口を有し、前記光学台と一体化されているパッケージであって、前記半導体ダイオード・ポンプレーザ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび前記光学台プラットフォームを囲んでヒートシンクを提供するパッケージと
をさらに備える請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項19】
前記パッケージ内部の出力ビーム光路に配置されたビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより分岐された出力ビームの一部を受光するよう配置されたパワーモニタと
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記パワーモニタに対する電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項20】
パッケージ内部に配置され、前記光学台プラットフォームと熱交換する、温度電気冷却器
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記温度電気冷却器に電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項21】
前記パッケージはパッケージベースを有し、前記光学台プラットフォーム、前記パッケージベースおよび前記温度電気冷却器は、単一の一体的部分として一体化される請求項20に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項22】
前記パッケージ内部に配置され、前記光学台プラットフォームと熱交換する電気駆動の発熱体
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記発熱体に電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項23】
前記光学台プラットフォームは、高い熱伝導率を有する材料を含む請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項24】
前記パッケージは、セラミック材料を含むベースを有する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項25】
前記パッケージは、金属を含むベースを有する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項26】
前記出力開口は窓を有し、該窓は、出力ビームを透過し、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリからの残留赤外線を遮断する材料を含む請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項27】
前記出力開口で出力ビーム光路に配置され、前記パッケージに固定的に一体化されたビームスプリッタである請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項28】
周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源であって、該固体マイクロチップレーザ光源は、
選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、
前記ポンプビームを受光するよう配置されたマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリであって、
コーティングされた表面によって規定される第1のミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、前記第1のミラーが、前記半導体ダイオード・ポンプレーザに面する固体ゲイン素子の端面での光学的コーティングとして形成される該固体ゲイン素子と、
前記固体ゲイン素子の付近に配置された、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であり、該結晶は、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3の群から選択されるバルクと
を有し、
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、前記2つのミラーは、前記ゲイン素子と前記非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される前記レーザキャビティ・アセンブリと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザの反対側に前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの横で、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリから間隔を置いて配置される第2のミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび第2のミラーが、光学台プラットフォームに一体化される該光学台プラットフォームと
を備えた前記固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項29】
前記第2のミラーは、周波数選択性を提供すする体積ブラックグレーティングを有する請求項28に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項30】
前記第2のミラーは、空間モード制御を提供する湾曲ミラーを有する請求項28に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項1】
周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源であって、該固体マイクロチップレーザ光源は、
選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、
前記ポンプビームを受光するよう配置されたマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリであって、
コーティングされた表面によって規定される2つのミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、前記2つのミラーの間に配置される固体ゲイン素子と、
前記2つのミラーの間に配置された、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であり、該結晶は、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3の群から選択されるバルクと
を有し、
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、前記2つのミラーは、前記ゲイン素子と前記非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供され、
前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の相対的な方向は、安定で効率的な出力を最大化して周波数倍増の可視ビームにするよう選択される前記レーザキャビティ・アセンブリと
を備えた前記固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項2】
前記ゲイン素子は、その結晶軸の1つに沿ったゲインが他の結晶軸に沿うものよりもより大きい結晶を有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項3】
前記ゲイン素子は、Nd:YVO4、Nd:GdVO4、または、Nd:YGdVO4を含む群から選択される材料を有する請求項2に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項4】
出力波長は、可視スペクトルの緑の部分の範囲内である請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項5】
前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度が、実質的にゼロである請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項6】
前記ゲイン素子の長さ、前記非線形周波数倍増結晶の長さ、および、前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度が、実質的にシングル縦モードでの動作をサポートするよう選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項7】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの全長は、実質的にシングル縦モードの動作をサポートするように選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項8】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの全長は、約1mm未満に選択される請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項9】
前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度は、実質的にゼロより大きい請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項10】
前記ゲイン素子の長さ、前記非線形周波数倍増結晶の長さ、および、前記ゲイン素子の結晶軸と前記非線形周波数倍増結晶の結晶軸の間の角度は、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリ内で複屈折のスペクトル選択メカニズムを形成するように選択されて、出力ビームの周波数範囲を、前記非線形周波数倍増結晶のスペクトル許容帯域幅の範囲内に抑える請求項9に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項11】
モノリシックに接着された前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶の側面に、固定して取り付けられ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリに機械的剛性を提供するひとつまたは複数の支持プレートをさらに有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項12】
モノリシックに接着されたゲイン素子および非線形周波数倍増結晶の側面に対する支持プレートの取付けにより、光ビームは遮断されない請求項11に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項13】
前記支持プレートは、高い熱伝導率を有する材料を含む請求項11に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項14】
前記非線形周波数倍増結晶は、摂動を受ける分極の周期性を有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項15】
前記非線形周波数倍増結晶は、周期的なポーリング構造のない部分を有する請求項14に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項16】
前記ダイオード・ポンプレーザは、ダイオード・ポンプレーザのスペクトル放出を狭める内部グレーティングを有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項17】
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記固体ゲイン素子と前記ダイオード・ポンプレーザの間に配置され、前記ダイオード・ポンプレーザのスペクトル放出を狭める体積ブラックグレーティングをさらに有する請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項18】
前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記非線形周波数倍増結晶が光学台プラットフォームに一体化される該光学台プラットフォームと、
出力ビームのための出力開口を有し、前記光学台と一体化されているパッケージであって、前記半導体ダイオード・ポンプレーザ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび前記光学台プラットフォームを囲んでヒートシンクを提供するパッケージと
をさらに備える請求項1に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項19】
前記パッケージ内部の出力ビーム光路に配置されたビームスプリッタと、
前記ビームスプリッタにより分岐された出力ビームの一部を受光するよう配置されたパワーモニタと
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記パワーモニタに対する電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項20】
パッケージ内部に配置され、前記光学台プラットフォームと熱交換する、温度電気冷却器
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記温度電気冷却器に電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項21】
前記パッケージはパッケージベースを有し、前記光学台プラットフォーム、前記パッケージベースおよび前記温度電気冷却器は、単一の一体的部分として一体化される請求項20に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項22】
前記パッケージ内部に配置され、前記光学台プラットフォームと熱交換する電気駆動の発熱体
をさらに備え、
前記パッケージは、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記発熱体に電気接続を提供する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項23】
前記光学台プラットフォームは、高い熱伝導率を有する材料を含む請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項24】
前記パッケージは、セラミック材料を含むベースを有する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項25】
前記パッケージは、金属を含むベースを有する請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項26】
前記出力開口は窓を有し、該窓は、出力ビームを透過し、前記半導体ダイオード・ポンプレーザおよび前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリからの残留赤外線を遮断する材料を含む請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項27】
前記出力開口で出力ビーム光路に配置され、前記パッケージに固定的に一体化されたビームスプリッタである請求項18に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項28】
周波数倍増可視出力ビームを提供する固体マイクロチップレーザ光源であって、該固体マイクロチップレーザ光源は、
選択された波長でのポンプビームを提供する半導体ダイオード・ポンプレーザと、
前記ポンプビームを受光するよう配置されたマイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリであって、
コーティングされた表面によって規定される第1のミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザによってポンピングされ、前記第1のミラーが、前記半導体ダイオード・ポンプレーザに面する固体ゲイン素子の端面での光学的コーティングとして形成される該固体ゲイン素子と、
前記固体ゲイン素子の付近に配置された、周期的に分極された非線形周波数倍増結晶であり、該結晶は、周期的に分極されMgOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されMgOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiNbO3、周期的に分極されZnOでドープされたLiTaO3、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiNbO3、および、周期的に分極されたストイキオメトリックなLiTaO3の群から選択されるバルクと
を有し、
前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリは、前記ゲイン素子および前記非線形周波数倍増結晶のモノリシックな接着により形成され、前記2つのミラーは、前記ゲイン素子と前記非線形周波数倍増結晶の端面の光学的コーティングにより提供される前記レーザキャビティ・アセンブリと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザの反対側に前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリの横で、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリから間隔を置いて配置される第2のミラーと、
前記半導体ダイオード・ポンプレーザ、前記マイクロチップレーザ・キャビティ・アセンブリおよび第2のミラーが、光学台プラットフォームに一体化される該光学台プラットフォームと
を備えた前記固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項29】
前記第2のミラーは、周波数選択性を提供すする体積ブラックグレーティングを有する請求項28に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【請求項30】
前記第2のミラーは、空間モード制御を提供する湾曲ミラーを有する請求項28に記載の固体マイクロチップレーザ光源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2013−504200(P2013−504200A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527853(P2012−527853)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056014
【国際公開番号】WO2011/028207
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(508222494)スペクトラルス・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】SPECTRALUS CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056014
【国際公開番号】WO2011/028207
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(508222494)スペクトラルス・コーポレイション (2)
【氏名又は名称原語表記】SPECTRALUS CORPORATION
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]