説明

周波数切替え方法、周波数切替え装置および撮像装置

【課題】 回路規模が大きくなるのを抑えることができ、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができる周波数切替え方法を提供する。
【解決手段】 出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット状態にし(S2)、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数C1に変更し(S4)、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数2Nに変更する(S5)。その後、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14のリセット状態を解除して(S6)、分周数を目標周波数に対応した分周数Nに変更する(S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数切替え方法および周波数切替え装置に関し、特にシステムの動作中に周波数の切替えを行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像撮影装置付きの携帯電話機(いわゆるカメラ付き携帯電話機)が知られている。従来のカメラ付き携帯電話機は、画像処理を行う画像処理部と無線通信を行う無線部を備えており、PLL回路からの出力信号を動作クロックとして動作している。この従来のカメラ付き携帯電話機においては、画像処理部の動作クロック周波数の高調波が無線部の無線周波数に重畳した場合、無線部側がノイズを受け、無線機としての機能に支障をきたすおそれがある。したがって、画像処理部の動作クロック周波数を変更したい場合がある。この場合には、あらかじめ画像処理部の動作クロック周波数を無線周波数に対して倍数関係にならない周波数とする手段が考えられる。
【0003】
カメラ付き携帯電話機が画像処理部の後段に既存の表示制御系回路を備えている場合には、動作許容周波数の制限により動画処理時と静止画処理時で動作周波数を変更したい場合がある。この場合には、画像処理部を後段の表示制御系回路へ画像データを伝送できる動作クロック周波数に変更するために、画像処理部の回路動作中に動作クロック周波数を切り替えるという方法も考えられる。しかし、画像処理部の回路動作中に動作クロック周波数を単に切り替えるという処理を行うと、以下に説明するように、後段の表示制御系回路が異常動作(停止や暴走など)を起こしてしまうおそれがあるという問題があった。
【0004】
図9は、PLL回路に含まれる逓倍設定回路の従来の動作を示した図である。図9に示すように、逓倍設定回路はカウンタ機能を備えており、カウンタ値は0からCmaxまで増加して、Cmaxになると0に戻る。逓倍数は、任意に設定される数であり、1からCmaxまでの整数が設定される。例えば、C1を逓倍数として設定した場合には、カウンタ値は0からC1まで増加して0に戻る。次に、例えば、逓倍数をC2(ここでC2>C1とする)からC1へ切り替えた場合を考える。この場合、逓倍数をC2からC1へ切り替えたときに、カウンタ値がX(C1<X<C2)であると、カウンタ値はXからCmaxまでカウントアップされてから0に戻り、再度カウントをスタートしてC1までカウントし、ここで落ち着く。このように、逓倍数を切り替えるタイミングによって、カウンタ値がCmaxに達してしまい、その結果、電圧制御発振回路(VCO回路ともいう)から出力されるVCO出力信号の周波数が最大値にまで達してしまうことがある。VCO回路から出力されるVCO出力信号の周波数が最大値まで達してしまうと、出力信号の周波数(動作クロック周波数)が高速すぎる(限界周波数を超えてしまう)ために、後段の回路が異常動作(停止や暴走など)を起こしてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、PLL回路からの出力信号を動作クロックとして動作している回路において、回路動作中にPLL回路出力周波数を切り替える場合には、切り替える前の低域通過フィルタ(LPF回路ともいう)への入力電圧値を記録できる回路構成とする方法が考えられる。また、PLL回路を複数準備し、使用するPLL回路そのものを切り換えるという方法も考えられる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−110431号公報(第2−4頁、第1図、第6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の周波数の切替え方法では、入力電圧値を記録できる回路を追加したり、複数のPLL回路を準備する必要があり、回路規模が大きくなるという問題があった。また、従来の周波数の切替え方法では、複数のPLL回路間での位相調整が必要になるという問題があった。
【0007】
また、回路規模が大きくなるのを抑えて、画像処理部の回路動作中に動作クロック周波数を単に切り替えるという処理を行うと、上述のように、後段の表示制御系回路が異常動作(停止や暴走など)を起こしてしまうおそれがあるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、回路規模が大きくなることを抑えることができ、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きることを防ぐことができる周波数切替え方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の周波数切替え方法は、第1入力信号と第2入力信号を比較し位相差に応じてUP信号またはDN信号を生成し、前記UP信号または前記DN信号に応じて電圧を増減させた電圧増減信号を生成し、前記電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号を生成し、前記発振信号の周波数を所定の逓倍数に応じて逓倍して前記第2入力信号を生成し、前記発振信号の周波数を所定の分周数に応じて分周して生成する出力信号の周波数を切り替える周波数切替え方法であって、前記出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を停止し、前記電圧増減信号の電圧を増減させるのを停止し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを停止し、前記逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を再開して前記UP信号または前記DN信号を生成し、前記電圧増減信号を生成するのを再開し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを再開し、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更する構成を有している。
【0010】
この構成により、出力信号の周波数を動作中に切り替えるときに、第1入力信号と第2入力信号の比較を停止して、電圧増減信号の電圧を増減するのを停止する。そうすると、その電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号が生成される。この発振信号が分周されて出力信号が生成される。このとき、発振信号を逓倍する処理は行わず、カウンタ値は0にリセットされる。この状態(リセット状態ともいう)で、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数に変更する。この場合、電圧増減信号の電圧レベルは最低のレベル(Lレベル)であるので、発振信号の周波数はLレベルの電圧に応じた最低の周波数まで低減する。そして、逓倍数を切り替えるときにカウンタ値が0であるので、カウンタ値は0から目標周波数に対応した逓倍数まで増加して0に戻る。したがって、カウンタ値がCmaxに達してしまうのを防ぐことができ、その結果、発振信号の周波数が最大値まで達してしまうのを防ぐことができる。このリセット状態で、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更する。その後、第1入力信号と第2入力信号の比較を再開してUP信号またはDN信号を生成する。そして、UP信号またはDN信号に応じて電圧を増減させた電圧増減信号を生成するのを再開し、発振信号の周波数を逓倍するのを再開する。そうすると、過渡応答により発振信号の周波数が変動し、その結果、出力信号の周波数も変動することになる。この場合、分周数が仮分周数に設定されており、この仮分周数が目標周波数に対応した分周数より大きいので、出力信号の周波数は目標周波数より低くなる。したがって、過渡応答により出力信号の周波数が変動しても、出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。そして最後に、分周数を目標周波数に対応した分周数に変更する。このように出力信号の周波数を動作中に切り替えることにより、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができる。また、この場合、入力電圧値を記録できる回路を追加したり、複数のPLL回路を準備する必要がないので、従来に比べて回路規模が大きくなるのを抑えることができる。
【0011】
また、本発明の周波数切替え方法では、前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を停止し、前記電圧増減信号の電圧を増減させるのを停止し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを停止した後、前記出力信号の周波数の変動が安定するまでの所定の停止後ウェイト時間が経過した後に、前記逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更する構成を有している。
【0012】
この構成により、出力信号の周波数が安定した状態で、逓倍数と分周数の変更を行うことができる。逓倍数と分周数を変更すると出力信号の周波数が変動する。この場合、出力信号の周波数が低減して十分に安定した後、逓倍数と分周数の変更を行う。したがって、逓倍数と分周数の変更後に、過渡応答により出力信号の周波数が変動しても、出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の周波数切替え方法では、前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を再開し、前記電圧増減信号を生成するのを再開し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを再開した後、前記出力信号の周波数の変動が安定するまでの所定の再開後ウェイト時間が経過した後に、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更する構成を有している。
【0014】
この構成により、出力信号の周波数が安定した状態で、分周数を変更することができる。分周数を目標周波数に対応した分周数に変更すると出力信号の周波数が増大する。この場合、過渡応答による出力信号の周波数の変動が終わって十分に安定した後、分周数の変更を行う。したがって、過渡応答によって出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の周波数切替え装置は、第1入力信号と第2入力信号を比較し位相差に応じてUP信号またはDN信号を出力する位相周波数比較手段と、前記UP信号が入力されたときに電圧を増加させ、前記DN信号が入力されたときに電圧を減少させた電圧増減信号を出力する電圧増減手段と、前記電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号を出力する電圧制御発振手段と、前記発振信号の周波数を所定の逓倍数に応じて逓倍して、前記位相周波数比較手段の前記第2入力信号として出力する逓倍設定手段と、前記発振信号の周波数を所定の分周数に応じて分周して、出力信号として出力する分周手段と、前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段の動作を停止させるリセット手段と、前記逓倍設定手段で用いる逓倍数を設定する逓倍数設定手段と、前記分周手段で用いる分周数を設定する分周数設定手段と、前記リセット手段、前記逓倍数設定手段、前記分周数設定手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、前記リセット手段を制御して、前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段の動作を停止させ、前記逓倍数設定手段を制御して、前記逓倍設定手段で用いる逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、前記分周数設定手段を制御して、前記分周手段で用いる分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、前記リセット手段を制御して、前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段を起動させ、前記分周数設定手段を制御して、前記分周手段で用いる分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更する構成を有している。
【0016】
この構成によっても、上記のように、出力信号の周波数を動作中に切り替えるときに、位相周波数比較手段、電圧増減手段、逓倍設定手段の動作を停止する。そうすると、電圧増減手段では、電圧を増減させずに電圧増減信号が生成される。電圧制御発振手段からは、電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号が出力される。この発振信号が分周手段で分周されて出力信号が出力される。このとき、逓倍設定手段は発振信号を逓倍する処理を行わず、カウンタ値は0にリセットされる。この状態(リセット状態ともいう)で、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数に変更する。この場合、電圧増減信号の電圧レベルは最低のレベル(Lレベル)であるので、発振信号の周波数はLレベルの電圧に応じた最低の周波数まで低減する。そして、逓倍数を切り替えるときにカウンタ値が0であるので、カウンタ値は0から目標周波数に対応した逓倍数まで増加して0に戻る。したがって、カウンタ値がCmaxに達してしまうのを防ぐことができ、その結果、発振信号の周波数が最大値まで達してしまうのを防ぐことができる。このリセット状態で、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更する。その後、位相周波数比較手段、電圧増減手段、逓倍設定手段を起動する。位相周波数比較手段は、第1入力信号と第2入力信号を比較してUP信号またはDN信号を出力し、電圧増減手段は、UP信号またはDN信号に応じて電圧を増減させた電圧増減信号を出力する。逓倍設定手段は、発振信号の周波数を逓倍する。そうすると、過渡応答により発振信号の周波数が変動し、その結果、出力信号の周波数も変動することになる。この場合、分周数が仮分周数に設定されており、この仮分周数が目標周波数に対応した分周数より大きいので、出力信号の周波数は目標周波数より低くなる。したがって、過渡応答により出力信号の周波数が変動しても、出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。そして最後に、分周数を目標周波数に対応した分周数に変更する。このように出力信号の周波数を動作中に切り替えることにより、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができる。また、この場合、入力電圧値を記録できる回路を追加したり、複数のPLL回路を準備する必要がないので、従来に比べて回路規模が大きくなるのを抑えることができる。
【0017】
本発明の撮像装置は、撮像手段と、前記撮像手段から得られた映像信号に画像処理を施す画像処理手段と、前記映像信号の垂直ブランキング期間を検出する垂直ブランキング期間検出手段と、上記の周波数切替え装置と、を備え、前記周波数切替え装置は、前記垂直ブランキング期間に前記画像処理手段の動作クロック周波数の切替えを行う構成を有している。
【0018】
この構成により、垂直ブランキング期間中に画像処理手段の動作クロック周波数の切替えを行うことができる。したがって、動作クロック周波数を切り替えるときに、表示画像が乱れるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、第1入力信号と第2入力信号の比較、電圧増減信号の電圧の増減、発振信号の周波数の逓倍を停止し、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数に変更し、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、第1入力信号と第2入力信号の比較、電圧増減信号の電圧の増減、発振信号の周波数の逓倍を再開し、分周数を目標周波数に対応した分周数に変更することにより、従来のように回路規模が大きくなるのを抑えることができ、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができるという効果を有する周波数切替え方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の周波数切替え方法、周波数切替え装置および撮像装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、撮像装置がカメラ付き携帯電話機であり、周波数切替え装置が周波数切替え器である場合を例示する。周波数切替え器は、カメラ付き携帯電話機の画像処理部等の動作中に動作クロック周波数の切替えを行うものである。
【0021】
本発明の実施の形態のカメラ付き携帯電話機を図2に示す。図2は、カメラ付き携帯電話機の構成を示すブロック図である。図2に示すように、カメラ付き携帯電話機1は、CCDやCMOSなどで構成された撮像素子2と、撮像素子2で撮影した画像に画像処理を施す画像処理部3と、無線通信を行う無線部4を備えている。また、カメラ付き携帯電話機1は、画像処理部3の動作クロック周波数の切替えを行う周波数切替え器5と、撮像素子2から得られた映像信号の垂直ブランキング期間を検出する垂直ブランキング期間検出部6を備えている。ここでは、撮像素子2が、本発明の撮像手段に相当し、画像処理部3が、本発明の画像処理手段に相当する。また、垂直ブランキング期間検出部6が、本発明の垂直ブランキング期間検出手段に相当する。
【0022】
図3は、周波数切替え器5の構成を示すブロック図である。図3に示すように、周波数切替え器5は、PLL回路7と、PLL回路7の動作を制御する制御部8を備えている。本実施の形態では、この制御部8によりPLL回路7の動作を制御して、動作クロック周波数の切替えを行う。具体的には、基準周波数の入力信号(第1入力信号)がPLL回路7に入力されると、制御部8がPLL回路7の動作を制御して、逓倍・分周された周波数の出力信号がデジタル信号処理回路9に出力される。すなわち、本実施の形態の周波数切替え方法は、PLL回路7の制御方法であるともいえる。
【0023】
ここでは、まず、PLL回路7の構成について説明する。図3に示すように、PLL回路7は、位相周波数比較器10と、チャージポンプ回路11と、低域通過フィルタ12(LPF回路12ともいう)と、電圧制御発振器13(VCO回路13ともいう)と、逓倍設定回路14と、分周回路15を備えている。本実施の形態では、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11とLPF回路12とVCO回路13と逓倍設定回路14によって、位相周波数同期ループが構成されており、VCO回路13の後段に分周回路15が備えられている。そして、分周回路15から出力された出力信号が、デジタル信号処理回路9へ動作クロック信号として入力される。このデジタル信号処理回路9が、カメラ付き携帯電話機1の画像処理部3や無線部4などである。
【0024】
位相周波数比較器10は、第1入力信号と第2入力信号を比較し位相差に応じてUP信号またはDN信号を出力する。第1入力信号は、PLL回路7に入力される基準周波数の基準クロック信号である。第2入力信号は、位相周波数同期ループによって基準周波数を逓倍した周波数の逓倍クロック信号である。この場合、位相周波数比較器10は、第2入力信号の周波数が第1入力信号の周波数よりも低い場合には、チャージポンプ回路11へUP信号を出力し、第2入力信号の周波数が第1入力信号の周波数よりも高い場合には、チャージポンプ回路11へDN信号を出力する。なお、第1入力信号の周波数と第2入力信号の周波数が等しい場合には、チャージポンプ回路11への出力は行わず、現状の周波数を維持する。この位相周波数比較器10は、本発明の位相周波数比較手段に相当する。
【0025】
チャージポンプ回路11は、UP信号が入力されたときには電圧増加信号を出力し、DN信号が入力されたときには電圧減少信号を出力する。このチャージポンプ回路11は、本発明の電圧増減手段に相当し、電圧増加信号および電圧減少信号は、本発明の電圧増減信号に相当する。
【0026】
低域通過フィルタ12(LPF回路12)は、所定のしきい周波数よりも低い周波数の信号のみを通過させる。本実施の形態では、電圧増減信号に含まれる高調波(高周波)のノイズがLPF回路12によって除去されて、VCO入力信号が出力される。
【0027】
電圧制御発振器13(VCO回路13)は、入力されるVCO入力信号の電圧に応じた周波数のVCO出力信号を出力する。図4は、VCO回路13の動作特性を示す説明図である。図4に示すように、VCO入力信号の電圧が大きいほど、VCO出力信号の周波数は高くなり、VCO入力信号の電圧が小さいほど、VCO出力信号の周波数は低くなる。このVCO回路13が、本発明の電圧制御発振手段に相当し、VCO出力信号が、本発明の発振信号に相当する。
【0028】
逓倍設定回路14は、VCO出力信号の周波数を逓倍数に応じて逓倍して、位相周波数比較器10への第2入力信号として出力する。図5は、逓倍設定回路14の動作の説明図である。逓倍設定回路14はカウンタ機能を備えており、カウンタ値は0からCmaxまで増加して、Cmaxになると0に戻る。逓倍数は、任意に設定される数であり、1からCmaxまでの整数が設定される。例えば、C1を逓倍数として設定した場合には、カウンタ値は0からC1まで増加して0に戻る。ここでは、この逓倍設定回路14が、本発明の逓倍設定手段に相当する。
【0029】
分周回路15は、VCO出力信号の周波数を分周数に応じて分周して、出力信号としてデジタル信号処理回路9へ出力する。本実施の形態では、この出力信号が、カメラ付き携帯電話機1の画像処理部3等の動作クロック信号である。ここでは、この分周回路15が、本発明の分周手段に相当する。
【0030】
つぎに、制御部8の構成について説明する。図3に示すように、制御部8は、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14へ動作を停止させるリセット信号を送るリセット部16と、逓倍設定回路14で用いる逓倍数を設定する逓倍数設定部17と、分周回路15で用いる分周数を設定する分周数設定部18を備えている。また、制御部8は、後述する所定のウェイト時間(停止後ウェイト時間、再開後ウェイト時間)を計測するウェイト時間計測部19を備えている。そして、制御部8は、マイコン等で構成されており、この制御部8によって、リセット部16、逓倍数設定部17、分周数設定部18、ウェイト時間計測部19の動作が制御されている。ここでは、リセット部16が、本発明のリセット手段に相当する。また、逓倍数設定部17が、本発明の逓倍数設定手段に相当し、分周数設定部18が、本発明の分周数設定手段に相当する。そして、制御部8が、本発明の制御手段に相当する。
【0031】
以上のように構成されたカメラ付き携帯電話機1について、図面を用いてその動作を説明する。ここでは、画像処理部3の動作クロック周波数の切替えを行うときの周波数切替え器5の動作について説明する。
【0032】
図1は、周波数切替え器5で動作クロック周波数の切替えを行うときのフロー図であり、図6は、周波数切替え器5の各回路の設定値と入出力値の表である。また、図7は、周波数切替え器5からの出力信号の説明図であり、図8は、垂直ブランキング期間の説明図である。ここでは、図6および図7に示すように、出力信号の周波数(動作クロック周波数)をf7からf6に切り替えるときの動作について説明する。この場合、f6が本発明の目標周波数である。
【0033】
(垂直ブランキング期間検出)
図1に示すように、本実施の形態のカメラ付き携帯電話機1において、画像処理部3の動作クロック周波数の切替えを行うときには、垂直ブランキング期間が開始したか否かの判断を行う(S1)。本実施の形態では、図8に示すように、垂直ブランキング信号をトリガとして、垂直ブランキング期間検出部6が垂直ブランキング期間の開始を検出する。垂直ブランキング期間の開始が検出されると、制御部8がPLL回路7の制御を開始して、動作クロック周波数の切替えを開始する。
【0034】
図6に示すように、動作クロック周波数の切替えを開始したときの出力信号の周波数はf7である。このとき、分周回路15の分周数はNに設定されており、逓倍設定回路14の逓倍数はC2に設定されている。また、VCO入力信号の電圧はV3であり、VCO出力信号の周波数はF3である。
【0035】
(リセット処理)
動作クロック周波数の切替えを開始すると、まず、制御部8によってリセット部16を制御して、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14にリセット信号を入力する(S2)。このときの位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14の状態をリセット状態ともいう。図7では、時間t1において、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット状態にした例が図示されている。
【0036】
リセット信号が入力された位相周波数比較器10は、第1入力信号(基準クロック信号)と第2入力信号(逓倍クロック信号)の比較動作を停止する。この場合、位相周波数比較器10からの出力がLレベルに固定されているともいえる。
【0037】
リセット信号が入力されたチャージポンプ回路11は、電圧増減動作を停止し、電圧を増減させずに電圧増減信号を出力する。このとき、電圧増減信号のレベルはLレベルである。
【0038】
LPF回路12では、コンデンサに充電された電圧が放電によって低下し、VCO入力信号の電圧は最小値V1になる。VCO入力信号の電圧が低下すると、VCO回路13から出力されるVCO出力信号の周波数も低減し、VCO回路13が出力できる最低の周波数F1になる。リセット信号が入力された逓倍設定回路14は、カウンタ値を0にリセットして、カウンタ動作を停止する。つまり、逓倍設定回路14は、VCO出力信号の周波数の逓倍を行わずに、そのままの周波数で第2入力信号として出力する。
【0039】
位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット状態にすると、VCO回路13から出力されるVCO出力信号の周波数は、F3からF1へ向かって徐々に小さくなっていき(図4参照)、それに伴って分周回路15からの出力信号の周波数もf7からf2へ向かって徐々に小さくなっていく(図7参照)。このとき、逓倍設定回路14の逓倍数はC2のままであり、分周回路15の分周数もNのままである(図6参照)。
【0040】
(リセット後の発振安定)
位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット状態した後、所定の停止後ウェイト時間が経過したか否かの判断を行う(S3)。この停止後ウェイト時間は、VCO出力信号の周波数がF1となるまでの時間(出力信号の周波数がf2となるまでの時間)を、シミュレーション等で予め見積ることによって決められる。本実施の形態では、ウェイト時間計測部19によって、リセット信号の入力後からの経過時間が計測され、制御部8によって、停止後ウェイト時間が経過したか否かが判断される。このようにして、出力信号の周波数の変動(低減変化)が安定するまで、停止後ウェイト時間が経過するのを待ってから次の処理に移行する。この停止後ウェイト時間には、ある程度のマージンを付加しておくことが望ましい。図7に示した例では、時間t1からt2までの期間が、停止後ウェイト時間である。
【0041】
(逓倍数設定処理)
次に、逓倍設定回路14の逓倍数を、目標周波数に対応した逓倍数C1に設定する(S4)。本実施の形態では、制御部8によって逓倍数設定部17が制御されて、逓倍設定回路14の逓倍数がC1に設定される。この逓倍数C1は、出力信号の周波数がf2となる(VCO出力信号の周波数がF2となる)ときの逓倍数である。逓倍設定回路14がリセット状態のとき、図5に示すように、逓倍設定回路14のカウンタ値は、リセット信号の入力によりリセットされて0となる。したがって、例えば、逓倍数をC2(ここでC2>C1とする)からC1へ切り替えたときに、カウンタ値がX(C1<X<C2)であっても、カウンタ値はXから0に戻ってから、カウントを再開してC1までカウントする。つまり、この場合には、カウンタ値がCmaxまでカウントアップされず、VCO出力信号の周波数が最大値にまで達してしまうことが防止される。
【0042】
(仮分周数設定処理)
次に、分周回路15の分周数を、目標周波数に対応した分周数Nよりも大きい仮分周数2Nに設定する(S5)。本実施の形態では、制御部8によって分周数設定部18が制御されて、分周回路15の分周数が仮分周数2Nに設定される。分周数Nは、出力信号の周波数がf2となる(VCO出力信号の周波数がF2となる)ときの分周数であり、仮分周数2Nは、その2倍の分周数である。なお、分周数は、分周比の逆数であり、分周数Nは分周比1/Nに対応し、仮分周数2Nは仮分周比1/2Nに対応する。したがって、この場合、分周回路15の分周比を、目標周波数に対応した分周比1/Nの半分の仮分周比1/2Nに設定するともいえる。
【0043】
このとき、分周回路15にはリセット信号が入力されていないので、分周回路15はリセット状態になっていない。したがって、分周回路15の分周数を仮分周数2Nに設定すると、出力信号の周波数がf2からf1に減少する(図7参照)。図7に示した例では、時間t3のときに、出力信号の周波数が仮分周数2Nに対応する周波数f1になっている。この出力信号の周波数f1は、デジタル信号処理回路9の動作保証最低周波数よりも大きくなくてはならない。したがって、分周回路15の仮分周数2Nは、仮分周数2Nに対応する周波数f1が動作保証最低周波数よりも小さくならないような値に設定する。
【0044】
(リセット解除処理)
次に、制御部8によってリセット部16を制御して、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14へリセット信号を入力するのを停止する(S6)。このときの位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14の状態をリセット解除状態ともいう。図7では、時間t4において、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット解除状態にした例が図示されている。
【0045】
リセット解除された位相周波数比較器10は、第1入力信号と第2入力信号の比較動作を再開する。つまり、位相周波数比較器10は、第2入力信号の周波数が第1入力信号の周波数よりも低い場合には、チャージポンプ回路11へUP信号を出力し、第2入力信号の周波数が第1入力信号の周波数よりも高い場合には、チャージポンプ回路11へDN信号を出力する。
【0046】
リセット解除されたチャージポンプ回路11は、電圧増減動作を再開し、UP信号が入力されたときには電圧増加信号を出力する。また、DN信号が入力されたときには電圧減少信号を出力する。この電圧増減信号(電圧増加信号および電圧減少信号)は、LPF回路12へ入力されて高調波ノイズが除去される。VCO回路13では、VCO入力信号の電圧に応じた周波数のVCO出力信号が出力される。
【0047】
リセット解除された逓倍設定回路14は、逓倍数C1に基づいてVCO出力信号の周波数を逓倍し、第2入力信号として位相周波数比較器10へ出力する。
【0048】
位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14のリセット状態を解除すると、VCO入力信号の電圧はV1からV2へ変化し、VCO出力信号の周波数もF1からF2へ変化する。そうすると、それに伴って分周回路15からの出力信号の周波数もf1からf4へ変化する。
【0049】
このとき、PLL回路7には、位相周波数同期ループが形成されているので、また、PLL再起動時の過渡応答によって、VCO入力信号の電圧はV1からV4の間で変動(振動)し、VCO出力信号の周波数もF1からF4の間で変動(振動)する(V1<V2<V4、F1<F2<F4)。そして、出力信号の周波数もf3からf5の間で変動(振動)する(f3<f4<f5)。この過渡応答が終了すると、VCO入力信号の電圧はV2で安定し、VCO出力信号の周波数もF2で安定する。そして、出力信号の周波数はf4で安定する。
【0050】
(リセット後の発振安定)
本実施の形態では、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14のリセット状態を解除した後、所定の再開後ウェイト時間が経過したか否かの判断を行う(S7)。この再開後ウェイト時間は、過渡応答が終了して、VCO出力信号の周波数がF2で安定するまでの時間(出力信号の周波数がf4で安定するまでの時間)を、シミュレーション等で予め見積ることによって決められる。本実施の形態では、ウェイト時間計測部19によって、リセット信号の解除後からの経過時間が計測され、制御部8によって、再開後ウェイト時間が経過したか否かが判断される。このようにして、出力信号の周波数の変動(振動)が安定するまで、再開後ウェイト時間が経過するのを待ってから次の処理に移行する。この再開後ウェイト時間には、ある程度のマージンを付加しておくことが望ましい。図7に示した例では、時間t4からt6までの期間が、停止後ウェイト時間である。
【0051】
(分周数設定処理)
次に、分周回路15の分周数を、目標周波数に対応した分周数Nに設定する(S8)。本実施の形態では、制御部8によって分周数設定部18が制御されて、分周回路15の分周数がNに設定される。分周回路15の分周数をNに設定すると、出力信号の周波数が直ちにf4からf6に変更される(図7参照)。図7に示した例では、時間t7のときに、分周回路15の分周数を、目標周波数に対応した分周数Nに設定している。
【0052】
以上のような手順により、カメラ付き携帯電話機1の画像処理部3の動作中に動作クロック周波数をf7からf6に切り替える。このように動作クロック周波数を切り替えることにより、過度に高いクロック周波数の出力信号が後段のデジタル信号処理回路9に入力されることを防ぐことができる。したがって、PLL回路7から動作クロックが供給されるシステム全体の回路動作を停止、もしくは暴走させることなく動作クロック周波数を切り替えることができる。
【0053】
このような発明の実施の形態のカメラ付き携帯電話機1によれば、出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14をリセット状態にし、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数に変更し、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、位相周波数比較器10とチャージポンプ回路11と逓倍設定回路14のリセットを解除して、分周数を目標周波数に対応した分周数に変更することにより、周波数切替え器5の回路規模が大きくなるのを抑えることができ、画像処理部3の動作中に動作クロック周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができる。
【0054】
すなわち、本実施の形態では、出力信号の周波数(動作クロック周波数)を画像処理部3の動作中に切り替えるときに、位相周波数比較器10、チャージポンプ回路11、逓倍設定回路14の動作を停止する。そうすると、チャージポンプ回路11では、電圧が増減されずに電圧増減信号が生成される。そして、電圧制御発振器13からは、その電圧増減信号の電圧に応じた周波数のVCO出力信号が出力される。このVCO出力信号が分周回路15で分周されて出力信号が出力される。このとき、逓倍設定回路14はVCO出力信号を逓倍する処理を行わず、カウンタ値は0にリセットされる。この状態(リセット状態ともいう)で、逓倍数を目標周波数に対応した逓倍数に変更する。この場合、DN信号の電圧レベルは最低のレベル(Lレベル)であるので、VCO出力信号の周波数はLレベルの電圧に応じた最低の周波数まで低減する。そして、逓倍数を切り替えるときにカウンタ値が0であるので、カウンタ値は0から目標周波数に対応した逓倍数まで増加して0に戻る。したがって、カウンタ値がCmaxに達してしまうのを防ぐことができ、その結果、VCO出力信号の周波数が最大値まで達してしまうのを防ぐことができる。
【0055】
また、本実施の形態では、このリセット状態で、分周数を目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更する。その後、位相周波数比較器10、チャージポンプ回路11、逓倍設定回路14を起動する。位相周波数比較器10は、第1入力信号と第2入力信号を比較してUP信号またはDN信号を出力し、チャージポンプ回路11は、UP信号またはDN信号に応じて電圧を増減させた電圧増減信号を出力する。逓倍設定回路14は、VCO出力信号の周波数を逓倍する。そうすると、過渡応答によりVCO出力信号の周波数が変動し、その結果、出力信号の周波数も変動することになる。この場合、分周数が仮分周数に設定されており、この仮分周数が目標周波数に対応した分周数より大きいので、出力信号の周波数は目標周波数より低くなる。したがって、過渡応答により出力信号の周波数が変動しても、出力信号の周波数がデジタル信号処理回路9の限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。そして最後に、分周数を目標周波数に対応した分周数に変更する。このように出力信号の周波数(動作クロック周波数)を画像処理部3の動作中に切り替えることにより、画像処理部3の動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができる。また、この場合、入力電圧値を記録できる回路を追加したり、複数のPLL回路7を準備する必要がないので、従来に比べて回路規模が大きくなるのを抑えることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、停止後ウェイト時間が経過して、出力信号の周波数が安定した状態で、逓倍数と分周数の変更を行う。逓倍数と分周数を変更すると出力信号の周波数が変動する。この場合、出力信号の周波数が低減して十分に安定した後、逓倍数と分周数の変更を行うことができる。したがって、逓倍数と分周数の変更後に、過渡応答により出力信号の周波数が変動しても、出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。
【0057】
また、本実施の形態では、再開後ウェイト時間が経過して、出力信号の周波数が安定した状態で、分周数を変更する。分周数を目標周波数に対応した分周数に変更すると出力信号の周波数が増大する。この場合、過渡応答による出力信号の周波数の変動が終わって十分に安定した後、分周数の変更を行うことができる。したがって、過渡応答によって出力信号の周波数が限界周波数を超えるのを防ぐことができ、異常動作(停止や暴走など)が起こるのを防ぐことができる。
【0058】
また、本実施の形態では、垂直ブランキング期間中に画像処理手段の動作クロック周波数の切替えを行うことができる。したがって、動作クロック周波数を切り替えるときに、表示画像が乱れるのを防ぐことができる。
【0059】
このように、本実施の形態では、PLL回路7から動作クロックを供給しているシステム全体の回路動作を停止、もしくは暴走させることなく動作クロック周波数を切り替えることが可能である。したがって、画像処理分野において、本手法を垂直ブランキング中に適応することにより、表示画像を乱すことなくフレームレートを変更することができる。
【0060】
また、このようなPLL回路7の制御方法をカメラ付き携帯電話機1(画像撮影装置付き携帯電話機1)に適用した場合には、画像処理部3の動作クロック周波数が無線部4の無線周波数と干渉する場合であっても、画像撮影装置を停止することなく、画像撮影装置の動作クロックを変更することができる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる周波数切替え方法は、回路規模が大きくなるのを抑えることができ、動作中に周波数を切り替えたときに異常動作が起きるのを防ぐことができるという効果を有し、カメラ付き携帯電話機等に用いられ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における周波数切替え方法のフロー図
【図2】本発明の実施の形態におけるカメラ付き携帯電話機のブロック図
【図3】本発明の実施の形態における周波数切替え器のブロック図
【図4】本発明の実施の形態におけるVCO回路の入出力信号の説明図
【図5】本発明の実施の形態における逓倍設定回路の動作の説明図
【図6】本発明の実施の形態における周波数切替え器の各回路の設定値と入出力値の表
【図7】本発明の実施の形態における周波数切替え器の出力信号の説明図
【図8】本発明の実施の形態における垂直ブランキング期間の説明図
【図9】従来の逓倍設定回路の動作の説明図
【符号の説明】
【0064】
1 カメラ付き携帯電話機
2 撮像素子
3 画像処理部
5 周波数切替え器
6 垂直ブランキング期間検出部
7 PLL回路
8 制御部
9 デジタル信号処理回路
10 位相周波数比較器
11 チャージポンプ回路
13 電圧制御発振器(VCO回路)
14 逓倍設定回路
15 分周回路
16 リセット部
17 逓倍数設定部
18 分周数設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力信号と第2入力信号を比較し位相差に応じてUP信号またはDN信号を生成し、
前記UP信号または前記DN信号に応じて電圧を増減させた電圧増減信号を生成し、
前記電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号を生成し、
前記発振信号の周波数を所定の逓倍数に応じて逓倍して前記第2入力信号を生成し、
前記発振信号の周波数を所定の分周数に応じて分周して生成する出力信号の周波数を切り替える周波数切替え方法であって、
前記出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、
前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を停止し、
前記電圧増減信号の電圧を増減させるのを停止し、
前記発振信号の周波数を逓倍するのを停止し、
前記逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、
前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、
前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を再開して前記UP信号または前記DN信号を生成し、
前記電圧増減信号を生成するのを再開し、
前記発振信号の周波数を逓倍するのを再開し、
前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更することを特徴とする周波数切替え方法。
【請求項2】
前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を停止し、前記電圧増減信号の電圧を増減させるのを停止し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを停止した後、
前記出力信号の周波数の変動が安定するまでの所定の停止後ウェイト時間が経過した後に、前記逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更することを特徴とする請求項1に記載の周波数切替え方法。
【請求項3】
前記第1入力信号と前記第2入力信号の比較を再開し、前記電圧増減信号を生成するのを再開し、前記発振信号の周波数を逓倍するのを再開した後、
前記出力信号の周波数の変動が安定するまでの所定の再開後ウェイト時間が経過した後に、前記分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の周波数切替え方法。
【請求項4】
第1入力信号と第2入力信号を比較し位相差に応じてUP信号またはDN信号を出力する位相周波数比較手段と、
前記UP信号が入力されたときに電圧を増加させ、前記DN信号が入力されたときに電圧を減少させた電圧増減信号を出力する電圧増減手段と、
前記電圧増減信号の電圧に応じた周波数の発振信号を出力する電圧制御発振手段と、
前記発振信号の周波数を所定の逓倍数に応じて逓倍して、前記位相周波数比較手段の前記第2入力信号として出力する逓倍設定手段と、
前記発振信号の周波数を所定の分周数に応じて分周して、出力信号として出力する分周手段と、
前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段の動作を停止させるリセット手段と、
前記逓倍設定手段で用いる逓倍数を設定する逓倍数設定手段と、
前記分周手段で用いる分周数を設定する分周数設定手段と、
前記リセット手段、前記逓倍数設定手段、前記分周数設定手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記出力信号の周波数を目標周波数に切り替えるときに、前記リセット手段を制御して、前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段の動作を停止させ、前記逓倍数設定手段を制御して、前記逓倍設定手段で用いる逓倍数を前記目標周波数に対応した逓倍数に変更し、前記分周数設定手段を制御して、前記分周手段で用いる分周数を前記目標周波数に対応した分周数より大きい仮分周数に変更した後、前記リセット手段を制御して、前記位相周波数比較手段、前記電圧増減手段、前記逓倍設定手段を起動させ、前記分周数設定手段を制御して、前記分周手段で用いる分周数を前記目標周波数に対応した分周数に変更することを特徴とする周波数切替え装置。
【請求項5】
撮像手段と、
前記撮像手段から得られた映像信号に画像処理を施す画像処理手段と、
前記映像信号の垂直ブランキング期間を検出する垂直ブランキング期間検出手段と、
請求項4に記載の周波数切替え装置と、
を備え、
前記周波数切替え装置は、前記垂直ブランキング期間に前記画像処理手段の動作クロック周波数の切替えを行うことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−172385(P2008−172385A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1917(P2007−1917)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】