説明

呼セットアップ(setup:設定)を行う方法及び装置

着信端末(B)との第1の通信セッション(308)について発信端末(A)から呼セットアップ要求を受信した後、発信端末にリングバックプレゼンテーションを提供する方法及び装置である。第1の通信セッションとは独立して、発信端末とのパケットベースの第2の通信セッション(310)が確立され、第2の通信セッションを介して、所定のメディアコンテンツが、リングバックプレゼンテーション(312)として発信端末に提供される。これによって、待機している発信者に対するリングバックプレゼンテーションを、視覚メディアも含む、非常に多様なメディアタイプから選択することができる。また、発信ユーザが、呼がいつ応答されるかには関係なく、リングバックプレゼンテーションの再生または表示を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般的には、リングバック機能(ring-back function)を用いて呼をセットアップする方法及び装置に関するものである。特に、本発明は、呼セットアップ手順中に応答を待機する間に、例えば、情報、エンタテイメント、グリーティングメッセージ、あるいはその類のマルチメディアコンテンツを発信者(コーリングパーティ:calling party)に提示する新規のソリューションを提供する。
【0002】
背景技術
3G移動電話の出現で、パケットを利用する新規の通信技術が、マルチメディアコンテンツを通信するために開発されている。例えば、GPRS(General Packet Radio Service:汎用パケット無線サービス)及びWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access:広帯域符号分割多元接続)技術は、従来の回線交換方式の音声呼に加えて、画像、テキスト、文書、アニメーション、オーディオファイル、ビデオファイル等を表現するデータのパケット交換通信を介在する、無線マルチメディアテレフォニーサービスをサポートする。本明細書において、用語「マルチメディアコンテンツ」は、パケット交換転送によって通信される、任意の所定データを表現するためにも使用される。
【0003】
移動体ネットワークは、音声搬送用の回線交換(CS)部分と、その他のデータ(典型的には、マルチメディアコンテンツ)の搬送用のIP技術に基づくパケット交換(PS)部分とに分けられる、マルチメディアセッションを処理するように設計されている。このようにして、音声については従来型の全二重チャネルに関連付けられた高性能が得られる一方で、マルチメディアサービスに関わるその他のデータは、通常はそれほど遅延に敏感ではないため、パケット交換によって適切にサポートされ得る。また、この構成は、例えば、GPRSネットワークのように、回線交換方式の送信用の既存のリソースを利用することによって、ネットワークオペレータのコストを減らすことができる。
【0004】
このソリューションは、図1で概略的に示される。ここで、2つの典型的な移動端末A及びBは、音声とマルチメディアコンテンツの両方を含むマルチメディアセッションを行っている。従来型の無線インタフェースによって、端末Aは、アクセスネットワーク100Aに接続され、端末Bは、別のアクセスネットワーク100Bに接続されている。典型的には、アクセスネットワーク100A及び100Bは、図においてネットワークをCSドメインとPSドメインとに分けている点線で示すように、回線交換方式の搬送用とパケット交換方式の搬送用それぞれのアーキテクチャ及び論理システムを有している。
【0005】
従って、音声は回線交換方式の呼セッション102において通信され、他方、マルチメディアコンテンツはパケット交換方式のマルチメディアセッション104において通信される。簡潔にするためここでは示されていないが、セッション102及び104のそれぞれにおいて、他の各種の中間ネットワーク及びリンクが含まれていても良い。セッション102及び104は、呼管理及び搬送チャネルに関しては、基本的には相互に独立しており、各セッションは、他方に関係なく、開始及び終了することができる。典型的には、CSベースの音声呼がまず確立され、次いで、呼の間のある時点で、PSベースのセッションを確立することによって、マルチメディアが会話に導入され得る。例えば、DTM(Dual Transfer Mode)ケイパビリティを備えるWCDMAもしくはGSMに基づいて、CSセッションとPSセッションへの同時アクセスが可能になるであろう。
【0006】
近年では、パケットドメイン内でマルチメディアサービスを提供するために、「IPマルチメディアサブシステム」(IMS)と呼ばれるネットワークアーキテクチャが、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によってオープンスタンダードとして開発されている。IMSは、使用されるアクセス技術には多かれ少なかれ依存しない、IPトランスポートに基づくサービスを可能にする一般的なプラットフォームであり、基本的には、いかなる一連の限られた特定のサービスにも限定されない。
【0007】
「SIP」(IETF RFC3261標準等に従う、セッション開始プロトコル)と呼ばれるセッションセットアップの仕様が定められている。これは、パケット交換論理を介してセッションを生成し、変更し、そして、終了するためのアプリケーションレイヤの制御(シグナリング)プロトコルである。SIPは、一般的には、マルチメディアセッション、例えば、セッション104を確立するためのIMSサービスネットワークによって使用される。図1の場合には、IMSネットワークは、ネットワーク100A、100BそれぞれのPS部分に統合されても良い。
【0008】
現在、消費者(コンシューマ)市場では、多くの様々なタイプの端末が利用可能であるため、マルチメディア通信を行おうとする2つの端末は異なるケイパビリティ(capability:機能)を有することがあり、各端末は、最初は相手のケイパビリティの知識を持っていない。従って、マルチメディアセッションを確立するためには、自身の専用のケイパビリティ及びプリファレンスに関する情報を交換することによって、セッションセットアップ手順において最初にセッションパラメータが選択され、決定されなければならない。SIPでは、セッションを開始するために呼セットアップの間に端末同士が自身のケイパビリティを交換する「招待(INVITE)」と呼ばれる方法が定義されている。
【0009】
発信(calling)パーティAと着信(called)パーティBの間での、従来型の回線交換方式の音声呼のセットアップ中に、着信端末で呼出信号が起動されていることを示すために、着信端末では単純なリングバックトーンが発信される。パーティBは、例えば、音楽の一部、振動、もしくは録音された音等の任意のタイプの呼出信号を着信端末で事前に選択することができるが、発信端末で与えられるリングバックトーンは、通常は、単一のトーンの繰返音で構成されており、これは、着信ユーザの応答が遅い場合には、聞いていても多少退屈であることがある。
【0010】
今日、「音楽(ミュージック)リングバックトーン」と呼ばれる、回線交換通話用のよく知られているサービスが、着信パーティからの応答を待機する間に発信パーティを楽しませるためにしばしば使用されている。このサービスは、例えば、電話の待ち行列に置かれている場合等、応答が大幅に遅れる可能性がある場合に、行政機関や企業の電話交換機によって使用されることが多い。その後、着信パーティが応答するまで、事前に録音された音楽の一部または情報が、発信パーティに対して再生される。
【0011】
図2aは、アクセスネットワーク1に接続している発信端末Aと別のアクセスネットワーク2に接続している着信端末Bの間の、従来型の回線交換方式の呼セットアップのためのシグナリング図を示している。以下のステップが基本的に実行される。
【0012】
200:端末Aのユーザが端末Bの電話番号を入力すると、端末Aは、着信先のBの番号を含む呼セットアップメッセージをネットワーク1へ送信する。
【0013】
202:ネットワーク1は、受信したBの番号に基づいてネットワーク2を識別し、Aの番号を含む呼セットアップメッセージをネットワーク2へ送信する。
【0014】
204:ネットワーク2は、呼セットアップメッセージを端末Bへ送信する。発番号提示サービスが適用される場合、この呼セットアップメッセージはAの番号も含んでいる。次いで、端末Bは、そのユーザへアラートを行うために音を鳴らすまたは振動することを開始する。また、端末AB間の回線交換チャネルは、現在、その呼のために確保されている。
【0015】
206:端末Bは、アラートメッセージをネットワーク2へ送信することによって応答し、着信端末Bにおいて呼出(リンギング)信号が起動されたことを示す。
【0016】
208:次いで、ネットワーク2は、アラートメッセージをネットワーク1へ送信する。
【0017】
210:同時に、ユーザが応答することを待機している間、ネットワーク2は、確保されているチャネルを介して、即ち、「インバンド(in-band)」で、リングバック「音」を生成する。このリングバック音は、典型的には、単調な繰返音であるが、端末Bの加入者によって事前に選択されている、例えば、音楽もしくはメッセージのような、事前に録音されている任意の音声の一部であっても良い。
【0018】
212:ここで、アラートメッセージは、発信端末Aに達し、端末Bが呼出信号を発信していることを示す。それに応じて、端末Aは、確保されているチャネルに接続し、「インバンド」でリングバック「音」を聞く。
【0019】
214:しばらくして、端末Bのユーザが呼に応答する。
【0020】
216:端末Bは、接続メッセージをネットワーク2へ送信して、端末Bのユーザが呼に応答していることを示し、そして、その結果、ネットワーク2は、リングバック音の生成を停止する。
【0021】
218:接続メッセージが、ネットワーク2からネットワーク1へ送信される。
【0022】
220:接続メッセージが、ネットワーク1から発信端末Aへ送信される。
【0023】
222:呼セットアップがこれで完了し、実際の呼セッションが開始され得る。
【0024】
上述の従来の呼セットアップ手順に従って、リングバック音もしくは音声の一部が、CSドメイン、即ち、セットアップされる呼のために確保されているCSチャネルでの接続によって、常に「インバンド」で発信端末Aへ転送される。このことは基本的には図2bで示されている。図2bでは、点線のブロック222は、CSベースのネットワーク1及び2にそれぞれ接続されている、端末Aと端末Bの間のCSドメインにおける従来の呼セットアップ手順を示している。ブロック222の中の点線矢印224は、設定される呼のために確保されているCSチャネルによって、呼セットアップ222の間に端末Aへ送信されるリングバック音声の一部を示している。従って、リングバックのメカニズムは、CSベースの呼セットアップ手順222の一部として完全に統合されている。
【0025】
しかしながら、従来の呼セットアップ手順は、接続のCSという性質により、ユーザは、事前に録音されている音声の一部、例えば、音楽や声の一部を提示することしかできないため、待機中の発信者にはそれが制限となる。移動体マルチメディア通信の現在の環境においては、他のタイプのメディア、特に、視覚メディアも同様に導入することによって、音声ベースのリングバックプレゼンテーションの現在制現されている範囲を拡張することが望ましいであろう。
【0026】
更に、発信ユーザは、特に、何か重要な情報が提示される場合に、提示されている音声の一部を聞くのを終了したいと思うことがある。従来の呼セットアップ手順では、再生されているリングバック音声シーケンスは、着信パーティが応答する、即ち、受話器をあげると同時に、そのシーケンスがどのくらい再生されているかに関わらず、自動的に中断される。従って、たとえ着信ユーザが応答している場合でも、発信者がリングバック音声シーケンスを聞き続けられるようにすることも望ましいであろう。一方、発信者は、再生される音声の一部が邪魔であると感じることもあり、たとえ着信パーティが応答する前であっても、それを聞くのを止めたいと思うこともあるだろうが、現在では、受話器を耳から放すことによってしかそれができない。そのようにすると、発信者は、当然、着信パーティが応答するかどうか聞くこともできないだろうし、このソリューションは滋養的でない。
【0027】
要約
本発明の目的は、上述したいくつかの問題点のうち少なくとも一部に対して、一般的に取り組むことである。より具体的には、本発明の目的は、予め録音された音声、例えば、音楽や音声メッセージを待機中の発信者に提示することだけに制限されている端末ユーザの問題点に対するソリューションを可能にすることである。本発明のもう1つの目的は、いつ呼が実際に応答されるかに関わらず、端末ユーザがリングバックプレゼンテーションの再生を制御できるようにすることである。
【0028】
これらの目的及びその他の目的は、添付の独立請求項に従って、着信端末との第1の通信セッションに対する呼セットアップリクエストを発信端末から受信した後に、発信端末へリングバックプレゼンテーションを提供する方法及び装置によって達成することができる。
【0029】
本発明の方法は、第1のセッションとは独立して、発信端末とのパケットベースの第2の通信セッションを確立することと、第2の通信セッションによって、リングバックプレゼンテーションを示す所定のメディアコンテンツを発信端末へ提供することとを含んでいる。これによって、視覚メディアを含む任意のタイプのメディアを、リングバックプレゼンテーションとして提供することができる。
【0030】
所定のメディアコンテンツは、着信端末に記憶されていてもよく、その場合、第2の通信セッション中に、メディアコンテンツは、着信端末から発信端末へ送信される。メディアコンテンツは、第2の通信セッション中に、着信端末から送信される少なくとも1つのファイルとして、あるいは、第2の通信セッションに対して、着信端末からのセッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、発信端末へ提供されても良い。
【0031】
選択的には、所定のメディアコンテンツは、サーバに記憶されていて、その場合、メディアコンテンツは、第2の通信セッションによって、発信端末へ配信するために、サーバから検索される。このサーバは、メディアコンテンツが発信端末へそこから直接ダウンロードされる、RTSPであっても良い。その場合、ダウンロードを可能にするために、RTSPサーバのネットワークアドレスとメディアコンテンツへの適切な参照情報が、第2の通信セッションに対して、着信端末からのセッション開始メッセージで発信端末へ送信される。
【0032】
また、サーバはメディアサーバであっても良く、その場合、エージェントは、メディアサーバからメディアコンテンツをフェッチし、第2の通信セッション中にそのメディアコンテンツを発信端末へ配信する。可能であれば、着信端末は、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを発信端末へ送信することが好ましく、次いで、エージェントは、セッション開始メッセージを発信端末へ送信する前に、自身が送信側であることを示すためにセッション開始メッセージを変更する。変更されたセッション開始メッセージに応じて、発信端末からの応答確認メッセージを受信する場合、エージェントは、セッション招待が拒否されることを示し、かつ、自身がそのメッセージの送信側であることを示すために、発信端末Aからの応答確認メッセージを変更してもよく、次いで、変更した拒否メッセージを着信端末へ送信する。
【0033】
また、サーバは、第1の通信セッションがセットアップされることを示す通知に応じて、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを発信端末へ送信するネットワークサーバであっても良い。次いで、メディアコンテンツは、第2のセッション中に、ネットワークサーバから送信される少なくとも1つのファイルとして、発信端末へ提供されることが好ましい。選択的には、メディアコンテンツは、セッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、発信端末に提供されても良い。
【0034】
典型的には、所定のメディアコンテンツは、少なくとも視覚メディアを含んでいる。
【0035】
リングバックプレゼンテーションが受信されていることを、自身のユーザに通知するために、発信端末で、オーディオあるいは振動による指示が起動されても良い。この場合、この指示は、第2の通信セッションの並行するパケット交換ベアラを介する端末Aへの着信シグナリングが現在確立されている第1の通信セッションに関連していると判定する場合に起動されることが好ましい、あるいは、単純に、セッション開始メッセージの受信に応じて起動されても良い。また、視覚もしくは振動による指示は、呼が応答されていることを自身のユーザに通知するために、発信端末で起動されても良い、これは、ユーザが自分の端末を耳から離している場合に役立つことになる。
【0036】
本発明を使用する場合、異なるリングバックプレゼンテーションが、現在の日時、時間、週あるいは季節、及びユーザステータスの少なくとも一方に依存して、異なる潜在的な発信者に対して定義されている。好ましくは、第2の通信セッションを処理するために、標準化されたSIPメッセージが使用される。
【0037】
本装置は、第1のセッションとは独立して、発信端末とのパケットベースの第2の通信セッションを確立する手段と、第2の通信セッションによって、リングバックプレゼンテーションを示す所定のメディアコンテンツを発信端末に提供する手段とを含んでいる。
【0038】
一実施形態において、着信端末は、所定のメディアコンテンツを記憶し、それを第2の通信セッション中に発信端末へ送信するように構成されている。着信端末は、更に、第2の通信セッション中に少なくとも1つのファイルを送信することによって、メディアコンテンツを発信端末に提供するように構成されていても良い。選択的には、着信端末は、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、メディアコンテンツを発信端末に提供するように構成されていても良い。
【0039】
別の実施形態において、本発明の装置は、所定のメディアコンテンツが記憶されているサーバを含み、このサーバは、第2の通信セッションによって、発信端末へメディアコンテンツを配信するように構成されている。
【0040】
サーバは、メディアコンテンツを発信端末に直接ダウンロードできるような、RTSPサーバであっても良い。この場合、着信端末は、ダウンロードを可能にするために、RTSPサーバのネットワークアドレスとメディアコンテンツへの適切な参照情報が、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージで発信端末へ送信するように構成されていても良い。
【0041】
また、サーバは、メディアサーバであってもよく、本発明の装置は、更に、メディアサーバからメディアコンテンツをフェッチして、かつ第2の通信セッション中にそのメディアコンテンツを発信端末へ配信するように構成されているエージェントを含んでいても良い。この場合、着信端末は、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを発信端末へ送信するように構成されていても良く、また、エージェントは、セッション開始メッセージを発信端末へ送信する前に、自身が送信側であることを示すためにセッション開始メッセージを変更するように構成されていても良い。更に、その変更されたセッション開始メッセージに応じて、発信端末からの応答確認メッセージを受信する場合、エージェントは、セッション招待が拒否されることを示し、かつ自身がそのメッセージの送信側であることを示すために、端末Aからの応答確認メッセージを変更し、その変更した応答確認メッセージを着信端末へ送信するように構成されていても良い。
【0042】
別の実施形態において、サーバは、第1の通信セッションがセットアップされることを示す通知に応じて、第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを発信端末へ送信するように構成されているネットワークサーバである。その場合、ネットワークサーバは、更に、第2の通信セッション中に、少なくとも1つのファイルを送信することによって、メディアコンテンツを発信端末に提供するように構成されていても良い。また、ネットワークサーバは、セッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、メディアコンテンツを発信端末に提供するように構成されていても良い。
【0043】
発信端末は、リングバックプレゼンテーションが受信されていることをユーザに通知するために、オーディオあるいは振動による指示を起動するように構成されていることが好ましい。この場合、発信端末は、更に、第2の通信セッションの並行するパケット交換ベアラを介する端末Aへの着信シグナリングが現在確立されている第1のセッションに関連していることを判定することによって指示を起動するように構成されていてもよいし、あるいは、単純に、セッション開始メッセージの受信に応じて指示を起動するように構成されていても良い。また、発信端末は、呼が応答されることを自身のユーザへ通知するために、視覚あるいは振動による指示を起動するように構成されていても良い。
【0044】
また、本発明の装置は、現在の日時、時間、週あるいは季節、及びユーザステータスの少なくとも一方に依存して、異なる潜在的な発信者に対する異なるリングバックプレゼンテーションを定義する手段を更に含んでいても良い。
【0045】
本発明の更なる特徴とその利点は、以下の詳細説明で説明されるであろう。
【0046】
詳細説明
最初に、一態様による基本的なソリューションについて、図3に示される通信状況を参照して簡単に説明する。ここで、図3aでは、発信端末Aが第1のネットワーク1に接続されていて、かつ、着信端末Bが第2のネットワーク2に接続されている。図1に関して説明されるように、移動ネットワークは、典型的には、CS部分とPS部分とに分けられる。それゆえ、図3aのネットワーク1は、CSベースのネットワーク300とPSベースのネットワーク302との両方を含んでいて、後者は、典型的には、IMSネットワークである。同様に、ネットワーク2は、CSベースのネットワーク304とPSベースのネットワーク306とを含んでいる。
【0047】
図2bの従来のCSベースの呼セットアップにおいて、リングバック音声の一部は、来たるべき呼のために確保されているCSチャネルによって発信パーティに送信され得る。これにより、呼セットアップ手順に全体的に統合されている。しかしながら、図3aに示されるソリューションは、リングバックプレゼンテーション(presentation:提示)を発信端末Aへ搬送するために、好ましくは、IMSプラットフォームを使用するPSセッションを採用する。本明細書の中で、用語「リングバックプレゼンテーション(ring-back presentation)」は、PSセッションによって発信者と通信され得る任意のメディア形式で、例えば、情報、エンタテイメント、挨拶メッセージ等を搬送する、発信者に提供される任意のタイプの所定のメディアコンテンツを示すために使用される。
【0048】
本態様に従えば、点線ブロック308によって示されるように、第1の通信セッション用の従来の呼セットアップ手順が行われ、また、点線ブロック310に示されるように、進行中の呼セットアップ308の間に、完全に別のパケット交換方式の第2のセッションが更に確立される。リングバックプレゼンテーション312は、呼セットアップ308とは独立して、PSセッション310によって発信端末Aに提供される。同時に、点線矢印314で示されるように、リングバック機能が、従来の手順に従って呼セットアップ308の中に、例えば、「バックグランド」リングバックトーンとして任意で提供されても良い。
【0049】
リングバックプレゼンテーション312の実際のメディアコンテンツを端末Aに提供するために、様々なメカニズムを使用することができ、これについては、様々な実施形態を参照して以下でより詳細に説明する。従って、別個のPSセッションを使用することによって、応答を待機しながら、ビデオクリップ、画像、テキスト、文書、アニメーション、オーディオクリップ、そしてそれらの任意の組み合わせ等の、広範囲な様々なメディアタイプをリングバックプレゼンテーションとしてプロビジョン(provision)することが可能になる。
【0050】
PSセッション310は呼セットアップ308による影響は受けないので、リングバックプレゼンテーションを受信する発信者は、呼が実際にいつ応答されるかに関係なく、リングバックプレゼンテーションを再生するかあるいは表示するかを自由に決定することができ、また、その再生をいつ停止するかも同様に自由に決定することができる(但し、単純に、プレゼンテーションが自動的に開始されるようにすることは便利であろう)。例えば、着信パーティからの興味深いビデオクリップが、応答を待つ間、発信者の端末上で再生されても良く、そして、着信パーティが応答したら、ビデオクリップがまだ再生されている間は、それを話題にしても良い。画像がリングバックプレゼンテーションを構成する場合、呼の間はそれが表示され続けても良い。
【0051】
一方、発信者も、例えば、退屈な音楽やビデオクリップの一部のようなリングバックプレゼンテーションの再生を、たとえそれが実際には端末に提供されていても、自由にやめてもよいだろう。また、このソリューションによって、予め選択されている発信者が特定のリングバックプレゼンテーションを受信し、それ以外の者は受信しないように、発信番号に基づく選択的なリングバックプレゼンテーションが可能になる。また、特定の潜在的な発信者のグループが、異なるリングバックプレゼンテーションを受信するために定義されても良い。また、例えば、現在の日時、日、週あるいは季節等の様々な時間要素に依存して異なるリングバックプレゼンテーションを定義することも可能である。更にまた、応答が次第に遅延する場合には、一連の多様なリングバックプレゼンテーションが提供されても良い。更に、例えば、「ビジー」、更には「ビジー:会議中」、「ビジー:映画鑑賞中」、「ビジー:睡眠中」等のユーザステータスに依存して、ユーザに対して、様々なリングバックプレゼンテーションを定義することも可能である。
【0052】
図3bは、例えば、図3aに示す状況に対応する、別の態様に従う呼セットアップ手順中のリングバック機能を提供する方法を一般的に示すフローチャートである。第1のステップ314において、第1の通信セッションのために、着信端末に向けられる従来の呼セットアップメッセージが発信端末から受信される。典型的には、このメッセージは、図3aのようなCS音声呼を開始することを意図しているが、この状況においては任意のタイプの呼またはセッションも可能である。
【0053】
ステップ316において、所定のリングバックプレゼンテーションが、呼セットアップメッセージに応じて、例えば、上述の潜在的な発信者の所定リストに基づいて、発信端末に提供されるべきであるかが判定される。提供されるべきでない場合、ステップ318において、呼セットアップ手順の従来のリングバック機能だけが使用されて、従来のリングバックトーンもしくは所定の録音済の音声の一部が、上述の図2a及び2bで示される方法で提供する。従来の呼セットアップ手順に従えば、着信パーティが呼に応答するとすぐに、ステップ320においてリングバック機能は停止される。ここで、ステップ318及び320につながるNOの選択肢は、本発明の範囲外にあることに注意されたい。
【0054】
しかしながら、リングバックプレゼンテーションが提供されるべきであると、ステップ316において判定される場合、ステップ322において、パケット交換方式の第2の通信セッションが発信者との間で確立される。その後、最終ステップ324において、所定のリングバックプレゼンテーションに従うメディアコンテンツが、確立された第2のセッションを用いて発信者に提供される。ここで、この場合、ステップ322及び324を用いて第2のセッションを介してメディアコンテンツが提供されると同時に、呼セットアップ手順の従来のリングバック機能が、点線で示されるように、例えば、「バックグランド」で単純なリングバックトーンを発信者に提供するため起動されても良いことに注意されたい。
【0055】
本ソリューションにおいて、第1の通信セッションは、CSセッションあるいはPSセッションのどちらかであって良い。このソリューションがCSベースの第1の通信セッションについて機能するための要件は、端末AとBが両方とも、CSセッションとPSセッションを同時に提供できる移動アクセスネットワークに接続されていなければならないということである。これは、基本的には、マルチ無線ベアラ機能を備えるWCDMAアクセスによって、そして、DTM(Dual Transfer Mode)機能を備えるGSMアクセスによって実現される。従って、音声呼については、回線交換方式の音声ベアラとパケット交換方式のデータベアラが、同時に処理される。最初の通信セッションがビデオ呼である場合、回線交換方式のデータベアラとパケット交換方式のデータベアラが、同時に処理される。
【0056】
このソリューションを実装する場合、以下の実施形態に従って発信者にメディアコンテンツを提供するための様々なメカニズムを採用することができる。以下の図において、いくつかの構成要素は図3aの対応する構成要素と同一の番号を有している。具体的には、PSネットワーク1 302、PSネットワーク2 306、CSセッション308、そして、PSセッション310である。これらは、以下では再度説明しない。更に、これらの例においては一般に、標準化されているSIPメッセージが、パケット交換方式の第2の通信に使用されるが、本発明は基本的にそれに限定されるものではない。
【0057】
図4a及び4bは、着信端末Bに記憶されている「メディアコンテンツファイル」が、リングバックプレゼンテーションとして発信端末Aに提供される、第1の実施形態を示している。メディアコンテンツファイルは、上述の例のように、任意のフォーマットもしくはタイプであっても良く、端末Aがそれを受信し再生することができる場合に配信することができる。従って、簡潔にするためにここでは示していないが、CS呼セットアップ手順308は、第1の通信セッション用として、A及びBが接続されているCSネットワークを用いて実行される。同時進行のPSベースの第2の通信セッションは、この場合IMSセッション310であるが、これもまた、PSネットワーク302及び306を介して確立される。端末Bに記憶されているメディアコンテンツファイル400、例えば、ビデオクリップまたは画像は、矢印402で示されるように、直接、端末Bからリングバックプレゼンテーションとして提供される。ここで、リングバックプレゼンテーションを構成するために、例えば、適切な方法で多重化される1つ以上のファイルが、端末Bから提供されても良いことに注意されたい。
【0058】
図4bは、第1の実施形態に従うソリューションを示すシグナリング図である。この例において、通常のCS音声呼が、第1の通信セッションである。発信端末Aは、CSドメインとPSドメインとを有するネットワークAに接続されている。これらは、ここでは、CSコアA及びPSコアAによって示されている。着信端末Bは、同様に、CSコアB及びPSコアBを含むネットワークBに接続されている。この例において、PSコアA及びBは、シグナリングプロトコルとしてSIPを用いるIMSネットワークであるが、本発明は、一般的に、この点に限定されるものではない。
【0059】
第1のステップ404において、CSベースの従来の呼セットアップメッセージは、Aの電話番号を含めて、端末AからCSコアA及びCSコアBを介して端末Bへ送信される。これは、図2aのステップ200乃至204に対応する。Aの番号は、「CLID(Calling Line Identity)」と呼ばれる既存の機能を用いて、メッセージの中で提供されても良い。ステップ406において、端末Bは、着信端末Bにおいて呼出信号が起動されていることを示すアラートメッセージをCSコアB及びCSコアAを介して送信することによって、応答する。上述のように、従来のリングバックトーンもしくはその類は、端末Aに対して任意で「インバンド」で提供されても良い。これまでのところ、この手順は、基本的には、図2aのステップ200乃至212と同一である。
【0060】
しかしながら、ある別個のリングバックプレゼンテーションが提供されると判定した後は、このソリューションに従って、パケット交換方式の第2の通信セッションが端末Aとの間で確立される。従って、この実施形態の次のステップ408において、PSベースのセッションを端末Aと開始するために、端末Bは、Aの電話番号に向けられる「SIP招待(INVITE)」メッセージを送信する。典型的には、「SIP招待」メッセージは、例えば、必要なコーデック(群)及びファイルサイズのような、送信対象のメディアに関する情報を含んでいる。このメッセージがパケット交換によってAへとルーティングするために、このメッセージは、まず、PSコアBによって受信され、このPSコアBは、ステップ410によって示されるように、受信されたAの電話番号を有効なSIP URL(Uniform Resource Locator)への翻訳を行う。これは、電話番号はSIPルーティングについては有効でないからである。
【0061】
この番号翻訳は、従来の手順を用いて行われてもよく、そして、受信された電話番号からSIP URLを導出するために、典型的には、「ENUM」と呼ばれる方法が使用される。次いで、PSコアBが、周知のIETF標準を使って、受信した番号を有効なSIP URLに翻訳する。端末Aが、例として、MSISDN番号0709123456を有する移動電話である場合、PSコアBは、それを、例えば、0709123456@op.comと翻訳してもよいし、あるいは、一般的なname@op.comと翻訳しても良い。
【0062】
ここで「SIP招待」メッセージは、端末Aの導出されたSIP URLを用いて、PSコアBからPSコアAへ搬送され得り、そして、一般的なステップ412によって全体として示されるように、PSコアAはセッション招待を端末Aへ送信する。セッション招待である「SIP招待」は、基本的には、端末Bは別個のリングバックプレゼンテーション、例えば、ビデオクリップまたは画像を送信することを意図していることを端末Aに示す。「SIP招待」メッセージは、送信対象のメディアのタイプを示す「SDP(Session Data Protocol)」と呼ばれるフィールドを含んでいる。
【0063】
この招待を受信する場合、端末Aは、必要なコーデック(群)及びファイルサイズに対応できるかどうかを自動的に判定する。端末Aは、更に、例えば、「0709123456からビデオクリップを受信中。今再生しますか?」あるいは「0709123456から画像を受信中。今表示しますか?」というようなテキストメッセージを表示することによって、手動でユーザが承諾するために、そのユーザを更に促しても良い。選択的には、端末Aはリングバックプレゼンテーションを自動的に承諾することができ、実用上では、自動的に承諾する方がよりよいソリューションであると言えるであろう。リングバックプレゼンテーションの手動での承諾と自動での承諾との選択は、端末Aにおけるプリファレンスとして設定されても良い。この例では、セッション招待は何らかの形で受諾され、次のステップ414は、端末Aがその受諾を示すために、応答確認メッセージ「SIP200OK」をPSコアA及びBを介して端末Bへ送信することによって応答することを示している。
【0064】
ここで、リングバックプレゼンテーションのメディアコンテンツ(例えば、ビデオクリップまたは画像)は、ステップ416において、メッセージ「MSRP送信(MSRP=Message Session Relay Protocol)」の中に含まれていて、PSコアB及びAを介して端末Bから端末Aへ送信され得る。それによって、リングバックプレゼンテーションをAに提供する。このステップは、図4aでリングバックプレゼンテーション402としてPSセッション310を介して送信される、記憶されたファイル400に対応する。この状況において、「ファイル」400は、一般的には、任意の実際のファイル数で、任意の所定のメディアコンテンツを示すことができる。例えば、ビデオクリップは、送信用の視覚コンテンツと適切に多重化される音声コンテンツを含んでも良い。また、端末Aは、第1のセッションを介して受信される従来のリングバックトーンを第2のセッションを介して受信される任意の音声コンテンツと「多重化」し、ユーザに対してその両方を再生するように構成されることが好ましい。また、ユーザに対して、リングバックトーンのみが聞こえるようにビデオクリップの音声成分をミュートすることもできる。
【0065】
どのような場合でも、端末Aのユーザは、端末Bのユーザからの応答を待機しながら、リングバックプレゼンテーションを楽しむことができる。1)いつプレゼンテーションが受信されるか、及び、2)いつBユーザが応答しているかについて、Aユーザの注意をどのようにして向けるかについて、解決すべき実際的な問題がいくつか存在する可能性があり、これらについては、この後述する。
【0066】
メディアコンテンツを受信する場合、端末Aは、ステップ418において、コンテンツの適切な受信を示すために、別の応答確認メッセージ「SIP200OK」をPSコアA及びBを介して端末Bへ送信する。ファイル転送が完了した後、ステップ420において、端末Bが「SIP BYE」メッセージをPSコアB及びAを介して端末Aへ送信することによって、第2のセッションが解放される。これに、PSコアA及びBを介して端末Aから端末Bへの別の応答確認メッセージ「SIP200OK」が、ステップ422において続くことになる。
【0067】
ステップ408−422の間またはその後の任意の時点で、Bユーザは、呼に応答することができ、次いで端末Bは、ステップ424において、CSコアB及びCSコアAを介して端末Aへ搬送される、図2aのステップ214−218に対応する接続メッセージを送信する。次いで、最終ステップ426において、呼、または第1のセッションが実行される。しかしながら、ここで、第1のCSベースのセッションに関連するステップ424及び426の実行は、第2のPSベースのセッションに関連するステップ408−422に必ずしも影響しないことに注意されたい。従って、Bユーザがいつ応答するかに関係なく、リングバックプレゼンテーションは提供され、再生/表示され得る、そして、Aユーザは、それを独立して制御することができる。しかしながら、呼に対して応答がある場合、端末Aにおいて自動的にプレゼンテーションを中断することもまた可能である。そのためには、第1のセッションのアプリケーションと端末Aにおけるプレゼンテーションの再生/表示との間で適切な調整ロジックが必要となる。ここで、それは、本発明の範囲外であり、従ってここではこれ以上説明しない。プレゼンテーションの再生/表示の継続とその自動中断との間の選択は、端末Aのプリファレンスとして設定されても良い。
【0068】
ステップ408−422に従って端末Aにメディアコンテンツを提供する手順は、非常に高速で実行することができ、通常は、Bユーザが応答することを管理する前に、ビデオクリップ及びオーディオクリップの少なくとも一方が、端末Aでかなり長い間再生されても良い。好ましくは、最初のパケットが到着するとすぐに、Aでの再生が開始することを意味する、いわゆる「プログレッシブダウンロード(progressive download)」を使用することができる。この機能の実装は、例えば、ファイル400のサイズや端末Aの再生バッファ深度のような、いくつかの事例固有の要因に依存することになる。いずれにせよ、このソリューションによって、Bユーザが応答した後でさえも基本的にAユーザが、例えば、ビデオクリップを再生したり、画像を眺めたり等のプレゼンテーションの視聴を継続できるようにすること、あるいはBユーザが応答する前にプレゼンテーションを中断できるようにすることは、大きな利点である。また、ビデオクリップ及び音声クリップの少なくとも一方の再生は、自動もしくは手動で繰り返されても良い。
【0069】
図5a及び5bは、メディアコンテンツが、リングバックプレゼンテーションとして端末Aに提供されることになる、端末Bに記憶されている所定の英数字文字列である、第2の実施形態を示している。制限されているテキスト列は、標準的なSIPメッセージに収容され得る。このことは、本実施形態を第1の実施形態より幾分単純にする。図5aにおいて、端末Aに記憶されているテキスト列500は、そこから直接、リングバックプレゼンテーション502として提供される。
【0070】
図5bは、図5aの第2の実施形態についてのシグナリング図である。AとB間の通常のCS音声呼、即ち、第1の通信セッションをセットアップする第1のステップ504及び506は、それぞれ、第1の実施形態のステップ404及び406と同一である。この例では、リングバックプレゼンテーションが提供対象であると判定された後、次のステップ508において、端末BがAの電話番号に向けられている「SIPメッセージ」と呼ばれるメッセージを送信することによって、端末Aとの間でパケット交換方式の第2の通信セッションが確立される。ここで、単純にテキスト列500をこのメッセージに組み込むことによって、このリングバックプレゼンテーション502が直ちに提供され得る。従って、開始「SIP招待」が送信されることはなく、端末Aによって最初にコーデック(群)あるいはファイルのサイズが確立され、かつ応答確認される必要はない。
【0071】
上述のステップ410と同様に、ステップ508の「SIPメッセージ」中の端末Aの電話番号は、ステップ510において、PSコアBによって有効なSIP URLへと翻訳され、次のステップ512において、このメッセージは、PSコアAを介してPSコアBから端末Aへ送信される。この「SIPメッセージ」は、端末Bがリングバックプレゼンテーション、この場合は、テキスト列、を提供することを意図していることを、端末Aに示す。この「SIPメッセージ」が適切に受信された場合、端末Aは、次のステップ514において、PSコアA及びBを介して端末Bに応答確認メッセージ「SIP200OK」を送信することによって応答する。このメッセージを受信している場合、端末Aは、例えば、「0709123456からテキスト列を受信中。今読み上げますか?」というようなテキストメッセージを表示することによって、再度、ユーザが手動で承諾するために、そのユーザを促しても良い。選択的には、端末Aは、受信したテキスト列を自動的に表示しても良い。
【0072】
Bユーザが呼に応答する場合、ステップ516において、端末Bは、接続メッセージをCSコアB及びCSコアAを介して端末Aへ送信し、そして、呼あるいは第1のセッションは、最終ステップ518において、上述のステップ424及び426と同様に実行することができる。呼が開始すると、テキスト列は、端末Aで表示されたままでもよいし、手動でまたは自動で削除されても良い。
【0073】
図6a及び図6bは、第1の通信セッションがパケット交換方式のセッションである、例えば、「ボイスオーバIP」を介在する、第3の実施形態を示している。従って、図6aにおいて、パケット交換方式の第1のセッションのためのセットアップ手順600が実行され、そして、パケット交換方式の第2のセッション602がリングバック機能のために確立される。第1の実施形態と同様、メディアコンテンツは、端末Bに記憶されているファイル604であり、そこから直接、リングバックプレゼンテーション606として端末Aに提供されることになる。
【0074】
図6bは、第3の実施形態に従うソリューションを示すシグナリング図である。この例では、ボイスオーバIPのためのPSベースのセッションが、第1の通信セッションである。第1のステップ608において、発信端末Aは、端末BとPSセッションを開始するために、Bの電話番号に向けられる「SIP招待」メッセージを送信する。このメッセージは、最初にPSコアAによって受信され、PSコアAは、メッセージがパケット交換によって端末Bへ転送するために、受信したBの電話番号を、ステップ610において、有効なSIP URLに(ENUMに従って)翻訳する。ステップ608における「SIP招待」メッセージは、端末AのSIP URLを、有効で、かつ、PSドメイン内で、即ち、PSコアA及びBによって、使用することができるソースアドレスとして含んでいる。
【0075】
ここで、ステップ612において、端末Aからの「SIP招待」メッセージは、端末Bの導出されたSIP URLを用いてPSコアAから端末BへPSコアBを介して更に搬送することができる。この「SIP招待」メッセージは、必要なコーデック(群)と来たるべきボイスオーバIPセッションに必要な他の通信パラメータとに関する情報を含んでおり、そして端末Aは、提案された条件を受諾できるかどうか自動的に判定する。次のステップ614において、端末Bは、「SIP180呼出中(ringing)」と呼ばれる標準的なメッセージをPSコアB及びAを介して端末Aへ送信することによって応答し、これは、呼出信号が端末Bにおいて起動されたことを示すことになる。
【0076】
ここまでは、PSベースの第1セッションのセットアップ手順が、標準的なルーチンに従って行われている。しかしながら、リングバックプレゼンテーションが提供対象であることが判定された後は、ファイル604を端末Aに提供するために、パケット交換方式の第2の通信セッションが端末Aとの間で確立される。これは、基本的には第1の実施形態の場合と同様に実行することができる。このように、次のステップ616において、端末Bは、端末Aとの第2のセッションを開始するために、端末AのSIP URLに対する「SIP招待」メッセージを送信する。しかしながら、この場合、ステップ608の「SIP招待」メッセージで与えられているソースアドレスからSIP URLが既に利用可能であるので、ENUM翻訳は必要とされない。
【0077】
以前の実施形態と同様に、リングバックプレゼンテーションが迫っていることを示す招待を受信する場合、端末Aは、それを受信して再生/表示することに手動で同意するために、そのユーザを促しても良い、あるいはリングバックプレゼンテーションを自動で受諾しても良い。ここで、次のステップ618において、端末Aは、セッション招待の受諾を示すために、PSコアA及びBを介して応答確認メッセージ「SIP200OK」を端末Bへ送信することによって応答する。
【0078】
ここで、リングバックプレゼンテーションのメディアコンテンツ、即ち、ファイル604は、ステップ620において、第2のセッション602によって端末Bから端末AへPSコアB及びAを介して、メッセージ「MSRP送信」で送信することができる。これによって、リングバックプレゼンテーションを端末Aに提供する。メディアコンテンツを受信する場合、ステップ622において、端末Aは、コンテンツの適切な受信を示すために、別の応答確認メッセージである「SIP200OK」をPSコアA及びBを介して端末Bへ送信する。ファイル転送が完了した後、ステップ624において、端末Bが「SIP BYE」メッセージをPSコアB及びAを介して端末Aへ送信することによって、第2のセッションが解放される。これに、PSコアA及びBを介して端末Aから端末Bへの別の応答確認メッセージ「SIP200OK」が、ステップ626において続くことになる。
【0079】
ステップ616−626の間の任意の時点で、Bユーザは、最初のボイスオーバIPによる呼に応答しても良く、次いで、端末Bは、ステップ628で示されるように、CSコアB及びCSコアB上で端末Aへ搬送される、「SIP200OK」メッセージを送信することになる。次いで、ボイスオーバIPの呼あるいは第1のセッションは、最終ステップ632において実行されるが、これはリングバックプレゼンテーション機能には影響せず、このリングバックプレゼンテーションは、好ましくは、Aユーザの選択によって楽しむことができてもできなくても良い。ここで、第1のセッションは、他のすべての実施形態においても同様に、パケット交換方式のセッションであっても良いことに注意されたい。
【0080】
上記の実施形態は、「端末間」のメディア配信を提供する。図7a及び7bは、端末Aにリングバックプレゼンテーションとして提供されることになるメディアコンテンツがRTSP(Real Time Streaming Server)サーバ700に記憶されている、第4の実施形態を示している。ここで、このサーバ700は、メディアコンテンツを自身からフェッチするために端末Aによってアクセスされ得る。端末Bに呼を発信する場合、端末Aは、メディアストリーム702としてそこからプレゼンテーションを受信するために、RTSPサーバ700に接続することが指示される。この実施形態は、これによって、「サーバと端末」間のメディア配信を提供する。RTSPサーバは、基本的には、どこに位置してもよいが、ネットワークBに存在することが好ましい。
【0081】
このように、この実施形態において、端末Bは、リングバック関連のメディアを記憶すること、呼が受信される毎にリングバックプレゼンテーションを送信することから解放され、これは、記憶空間及び貴重な無線帯域幅を節約することになる。一般的に、サーバは移動端末より記憶容量が大きいので、より複雑なリングバックプレゼンテーションを発信者に提供することができる。また、端末Bのユーザは、端末Bで記憶空間を消費することなく、様々な発信者に対して非常に多数の異なるプレゼンテーションを予め定義することができる。
【0082】
図7bは、第4の実施形態に従うシグナリング図である。AとB間で通常のCS音声呼をセットアップする第1のステップ704及び706は、それぞれ、第1の実施形態のステップ404及び406と同一である。この例において、リングバックプレゼンテーションが提供対象であることが判定された後、次のステップ708において、端末BがAの電話番号に向けられている「SIPメッセージ」を送信することによって、パケット交換方式の第2の通信セッションが端末Aとの間で確立される。ここで、この「SIPメッセージ」は、RSTPサーバ700のネットワークアドレスと、意図されているリングバックプレゼンテーションを構成する、その中に記憶されているメディアコンテンツへの適切な参照情報とを含んでいる。例えば、現在のSIPプロトコルにおいて、既存の「SIPメッセージ」は、この目的で使用するための適切なメッセージである。
【0083】
第1の実施形態におけるステップ410と同様に、ステップ704の設定メッセージで与えられている端末Aの電話番号は、ステップ710において、PSコアBによって有効なSIP URLに翻訳され、次のステップ712において、「SIPメッセージ」がPSコアAを介してPSコアBから端末Aへ送信される。この「SIPメッセージ」は、リングバックプレゼンテーションがRTPサーバ700で利用可能であることを、端末Aに効果的に通知する。ここで、このリングバックプレゼンテーションは、例えば、ビデオ、オーディオ、画像、テキスト等の任意のタイプのメディアであっても良い。次いで、端末Aは、次のステップ714において、応答確認メッセージである「SIP200OK」をPSコアA及びBを介して端末Bへ送信することによって応答する。「SIPメッセージ」を受信することによって、端末Aは、例えば、「ビデオクリップがmml.op.com/0709123456_video_lで利用可能です。今フェッチしますか?」のようなテキストメッセージを表示することによって、手動でユーザが承諾するために、そのユーザを促しても良い。選択的には、端末Aは、RTSPサーバから自動でそのクリップをフェッチしても良い。
【0084】
受諾される場合、端末Aは、ここで、一般的なステップ716によって示される従来のセッションセットアップルーチンを実行することによって、RTSPサーバ700からの指示されているメディアコンテンツのダウンロードを開始する。このルーチンは、送受信される不図示の様々なメッセージを含んでいて、典型的には、端末AからRTSPサーバへのメッセージである「RTSP設定」と、RTSPサーバからの応答メッセージである「RTSP OK」と、端末AからRTSPサーバへのメッセージである「RTSP再生」と、そして、RTSPサーバからのもう1つの応答メッセージである「RTSP OK」とを含んでいる。セットアップが完了する場合、ステップ718において、RTSPサーバから端末Aへメディアストリームをダウンロードすることができ、また、同時にプレゼンテーションが再生されても良い。
【0085】
ある時点でBユーザが呼に応答する場合、端末Bは、ステップ720において、接続メッセージをCSコアB及びCSコアAを介して端末Aへ送信し、そして、呼あるいは第1のセッションが、ステップ722において、第1の実施形態のステップ424及び426と同様に実行することができる。呼が開始する場合、端末Aへのメディアストリームはそのまま継続してもよく、また、呼は、進行中のダウンロード手順に影響を与えないことが好ましい。メディアストリームが完了する場合、メッセージ「RSTP分解」が、ステップ424において、端末AからRSTPサーバへ送信され、最終ステップ726において、応答「RSTP OK」によって応答確認される。ここで、呼が応答される前にメディアストリームが完了する場合、ステップ720及び722の前に、代わりにステップ724及び726が実行されても良いことに注意されたい。
【0086】
図8a及び8bは、第4の実施形態と同様に、端末Aにリングバックプレゼンテーションとして提供されるメディアコンテンツがメディアサーバ800に記憶される、第5の実施形態を示している。しかしながら、端末Bが呼び出される場合、エージェント802が関連するメディアコンテンツをメディアサーバ800からフェッチして、次いで、それをリングバックプレゼンテーション804として端末Aに提供するように、「エージェント」802が使用される。その後、たとえサーバと端末間のメディア配信が実際に提供されてる場合でさえも、端末A及びBは両方とも、リングバックプレゼンテーションを端末間のメディア配信であると知覚することになる。従って、技術的には、端末Aは、エージェント802を着信端末であるとみなし、端末Bは、エージェント802を発信端末であるとみなすことになる。エージェント802は、基本的には、端末をエミュレートするように構成されているノードであり、また、これは、ネットワークBに位置していてもよく、それに対して、メディアサーバはどこに位置しても良いが、これもネットワークBに位置することが好ましい。
【0087】
この実施形態においても、端末Bは、呼を受信する場合に、リングバックプレゼンテーションを送信することから解放される。この構成に従うエージェントの使用は、主に、ネットワークAが端末間のメディア配信を依然として採用する一方で、ネットワークBが性能を向上させるために、サーバと端末間のメディア配信を採用するためにアップグレードされる場合の、ある潜在的な「レガシー」の問題を回避するために考え出されている。それゆえ、ネットワークAの端末は、サーバと端末間での方法に従って動作することができないであろうが、この実施形態のように、端末間での方法を「エミュレート」することによって、この問題を解決することができる。
【0088】
図8bは、第5の実施形態に従うシグナリング図である。AとBとの間で通常のCS音声呼をセットアップする最初のステップ806及び808、即ち、最初の通信セッションは、それぞれ、ここでも第1の実施形態のステップ404及び406と同一である。リングバックプレゼンテーションが提供対象であることを判定した後、端末Bは、次のステップ810において、Aの電話番号に向けられている「SIP招待」メッセージを送信する。これは、PSコアBによって受信される。
【0089】
しかしながら、この実施形態において、PSコアBは、このセッション招待を端末Aに向けて搬送するのではなく、ステップ812において、代わりにそれをエージェント802へ送信する。次いで、エージェントは、ステップ814の「リライト(書き直し)」で示されるように、自身を送信側として示すためにメッセージを変更し、その後、パケット交換方式の第2の通信セッションを端末Aと確立するために、次のステップ816において、それをPSコアAを介して端末Aへ搬送する。次いで、端末Aは、ステップ818において、PSコアAを介して応答確認メッセージ「SIP200OK」をエージェントに送信することによって応答する。以前の実施形態と同様、端末Aは、最初に、リングバックプレゼンテーションへのユーザによる手動での承諾のために、そのユーザに促してもよいし、それを自動で受諾しても良い。
【0090】
ここでエージェントは、「書き直し」ステップ820によって示されるように、セッション招待が実際には拒否されることを示すために、また、自身が送信側として示すために、端末Aからの応答確認メッセージを変更する。次いで、作成された拒否メッセージは、次のステップ822において、PSコアBを介して端末Bへ送信される。ステップ822の拒否メッセージは、変更された「SIP200OK」メッセージであっても良いし、これが他の何らかの適切な拒否コードで置き換えられても良い。
【0091】
拒否メッセージを受信している場合、端末Bは、任意のメディアコンテンツをリングバックプレゼンテーションとして端末Aへ送信することはない。一方、エージェント802は、メディアサーバ800のネットワークアドレスと、意図されているリングバックプレゼンテーションを構成する、それに記憶されているメディアコンテンツへの参照情報とを検索する。このエージェントは、メディアコンテンツへの参照情報を別の方法で取得することもできる。PSコアBに記憶されている加入者データから、あるいは、いわゆる「セルフサービスゲートウェイ」によってエンドユーザから検索されても良いし、A及びBのアイデンティティに基づくアルゴリズムによって算出されてもよいし、ステップ810の「SIP招待」メッセージで与えられても良い。
【0092】
次に、ステップ824において、エージェントは、メディアコンテンツに対するリクエストをメディアサーバ800へ送信し、次のステップ826において、それを受信する。その後、ステップ828によって示されるように、エージェントは、メディアコンテンツを端末AにPSコアAを介してMSRP送信メッセージで提供し、ここでリングバックプレゼンテーションは端末Aで再生及び表示の少なくとも一方を行うことができる。ステップ828でメディアコンテンツの配信が完了する場合、ステップ830で一般的に示されるように、第2のセッションを終了させるためにルーチン手順が実行される。このセッション終了手順は、図4bの第1の実施形態のステップ418乃至422に対応する。
【0093】
最後に、Bユーザが、ステップ806及び808によって開始される呼にある時点で応答する場合、端末Bは、ステップ832において、接続メッセージを端末AへCSコアB及びCSコアAを介して送信することになり、また、呼あるいは第1のセッションは、第1の実施形態の中のステップ424及び426と同様に、ステップ834において実行することができる。ネットワークA及びBに著しい影響を与えないので、上述の第5の実施形態によって、サーバと端末間のリングバック機能を提供する方法の早期の展開が可能になる。
【0094】
上述の第1−第5の実施形態は、基本的には、実際のメディアコンテンツ自身を送信するために、あるいは、サーバもしくはエージェントにコンテンツを送信するために、着信端末が何らかの形でリングバックプレゼンテーションを発信端末に提供する手順を開始することを必要とする。例えば、SIPがこれらの実施形態の中で使用される場合、上述のように、端末Bは、「SIP招待」と「SIPメッセージ」のいずれか一方を端末Aへ送信しなければならない。
【0095】
ここで、呼が着信すると同時にリングバックプレゼンテーションのプロビジョンの開始のために、何らかの動作を行うことから着信端末がまったく解放される、第6の実施形態について、図9a及び9bを参照しながら説明する。リングバックプレゼンテーションとして端末Aに提供されるメディアコンテンツは、ネットワークサーバ900に記憶される。図7a及び7b並びに図8a及び8bに示す実施形態と同様に、第6の実施形態は、それによって「サーバと端末間」のメディア配信902を提供して、端末Bをリングバック関連のメディアを記憶して送信することから解放することで、上述の利点を提供する。サーバ900は、基本的には、どこに位置しても良いが、この場合、ネットワークBに位置している。
【0096】
この実施形態を含めて、サーバと端末間の配信に関係するすべての実施形態において、端末Bのユーザは、前もって、例えば、インターネットのポータルを介して、異なる発信者には異なるように、あるいは、全ての発信者に一様に、何らかの形でリングバックプレゼンテーションのコンテンツ(テキスト、画像、ビデオクリップ等)をネットワークサーバ900内で構成しなければならない。
【0097】
図9bは、第6の実施形態に従うシグナリング図である。AとB間で通常のCS音声呼セットアップを開始する最初のステップ904及び906、即ち、第1の通信セッションは、それぞれ、第1の実施形態のステップ404及び406とほとんど同一である。しかしながら、この実施形態では、CSコアBはCSセットアップメッセージをステップ904において受信する場合、ステップ908において適切な呼通知メッセージを送信することによって、着信するCS呼についてネットワークサーバ900に通知する。次いで、ネットワークサーバは、リングバックプレゼンテーションが提供対象であることを判定することができ、従って、パケット交換方式の第2の通信セッションを端末Aと確立する。次いで、ネットワークサーバ900は、次のステップ910において、メッセージに組み込まれているテキスト列を配信するための「SIPメッセージ」、あるいは画像、クリップ、もしくは他のタイプのファイルを配信するための「SIP招待」のいずれかを、Aの電話番号に対して送信しても良い。
【0098】
第1の実施形態のステップ410と同様に、ステップ704のセットアップメッセージで与えられる端末Aの電話番号は、ステップ912において、PSコアBによって有効なSIP URLへと翻訳され、そして、次のステップ914において、PSコアBから端末AへPSコアAを介して、ネットワークサーバからの「SIPメッセージ」または「SIP招待」が送信される。「SIPメッセージ」または「SIP招待」を受信すると、これまでの実施形態において説明されるように、端末Aは、そのユーザに受諾を促しても良いし、あるいは、リングバックプレゼンテーションを自動的に受諾しても良い。セッション招待は何らかの形で受諾され、端末Aは、次のステップ916において、「SIP 200OK」をPSコアA及びBを介してネットワークサーバ900へ送信することによって応答する。
【0099】
ステップ910及び912において「SIP招待」が送信された場合、ここでリングバックプレゼンテーションのメディアコンテンツは、「MSRP送信」メッセージ内に含まれて、ステップ918においてネットワークサーバ900から端末AへとPSコアB及びAを介して送信することができ、これによってリングバックプレゼンテーションをAに提供する。次いで、一般的なステップ920によって示す従来の終了セッション手順によって、第2のセッションが完了する。リングバックプレゼンテーションのメディアコンテンツがステップ910及び912の「SIPメッセージ」で完全に提供される場合、ステップ918及び920は、もちろん省略されることになる
最後に、Bユーザがある時点で呼に応答する場合、端末Bは、ステップ922において、接続メッセージを端末AへCSコアB及びCSコアAを介して送信することになり、また、第1のセッションは、第1の実施形態のステップ424及び426と同様に、ステップ924において実行することができる。これまでの実施形態の場合のように、プレゼンテーションのコンテンツの再生/表示は、呼の最中も依然として端末Aにおいて継続していても良い。
【0100】
上述の第1−第6の実施形態は、リングバックプレゼンテーションを発信端末にどのように提供できるかについてのほんの数例であり、本発明から逸脱することなく、その各種の変更が可能である。例えば、記載されている回線交換方式の第1の通信セッションは、その代わりにパケット交換方式のセッションであっても良く、その逆も同様である。記載されている特定のメッセージは、一般的にはSIPプロトコルから得られるものであるが、他のプロトコルに対する他の対応するメッセージ等が用いられても良い。図8a、bの第5の実施形態において説明されるように端末をエミュレートするためにエージェント802を使用するソリューションは、図9a、bの第6の実施形態に適用することができる。図9a、bの第6の実施形態において、記載されているネットワークサーバ900の代わりにRTSPサーバを使用することができ、その場合、ステップ910及び914の「SIPメッセージ」は、図7a、bの第4の実施形態におけるステップ716、718、724、726と同様に、端末Bがプレゼンテーションコンテンツをそこからダウンロードすることができるように、RTSPサーバのネットワークアドレスを含んでいても良い。
【0101】
本記載の中で上述したように、リングバックプレゼンテーションの開始時、また、Bユーザが応答する場合にも、Aユーザにアラートを行うためにいくつかの方策が取られても良い。端末Aにおけるビデオクリップの再生は、Aユーザがハンズフリー装置を使用していない場合、または呼のセットアップ中に端末のディスプレイを見ない場合、少なくとも部分的には気付かれない状態で進行する可能性がある。一方、例えば、視覚的な挨拶メッセージを楽しんでいる場合、AユーザはBパーティが応答する場合に、直には聞いていない可能性がある。これらの状況は、以下のようにして回避することができる。
【0102】
第1に、Bユーザが応答する前の呼セットアップ中に、第2のセッションの並行PSベアラを介して端末Aに着信するSIPシグナリングが、現在確立されている第1のセッションにそれが関連するかどうか判定するために、チェックされても良い。例えば、端末Aは、着信する信号の発アドレスを、確立中の呼のBの番号/Bのアドレスと比較することができる。これらのアドレスが一致する場合、端末Aは、視覚的なリングバックプレゼンテーションが受信されていることをAユーザに通知するために、オーディオまたは振動による指示を起動するようにプログラムされ得る。より直接的な選択肢においては、「SIP招待」もしくは「SIPメッセージ」が受信される場合にはいつでも、端末Aが、無条件に指示を起動する。
【0103】
第2に、視覚的プレゼンテーション(例えば、ビデオクリップ)を楽しんでいる場合、Aユーザは、Bパーティが応答する場合はすぐには聞いていないかもしれない。また、応答が聞こえたとしても、ビデオの挨拶メッセージを最後まで見続けたい可能性がある。端末Aにおいて、それも同様に示すために、特定のアラート機能、例えば、画面上の何らかの視覚的な指示もしくは振動がプログラムされ得る。応答時に、単純にその提示の再生/表示を中断することも可能である。
【0104】
従って、セットアップされている第1のセッションに加えて、別個の第2のPSベースの通信セッションを使用することによって、待機中の発信者へのリングバックプレゼンテーションとして広範囲なメディアタイプの選択を可能にするソリューションが提供される。また、発信端末のユーザは、呼が実際にいつ応答されるかに関係なく、リングバックビデオ及びオーディオシーケンスの少なくとも一方の再生、あるいは、画像やその類の表示を制御することができ、またそれをいつ停止するかを決定することができる。
【0105】
本発明は、特定の典型的な実施形態を参照しながら記載しているが、この記載は、一般的には、本発明の概念を例示することだけが意図されているのであって、本発明の範囲を限定するものとして取られるべきではなく、本発明の範囲は、添付の請求項によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来の方法に従う、マルチメディアを含む通信セッションの概略図である。
【図2a】従来の呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図2b】従来技術に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図3a】一態様に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図3b】別の態様に従う、呼セットアップ手順の間にリングバック機能を提供する基本な手順を示すフローチャートである。
【図4a】第1の実施形態に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図4b】第1の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図5a】第2の実施形態に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図5b】第2の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図6a】第3の実施形態に従う、リングバック機能を含むパケット交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図6b】第3の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図7a】第4の実施形態に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図7b】第4の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図8a】第5の実施形態に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図8b】第5の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。
【図9a】第6の実施形態に従う、リングバック機能を含む回線交換方式の呼セットアップ手順の基本的な図である。
【図9b】第6の実施形態に従う、リングバック機能を含む呼セットアップ手順を示すシグナリング図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信端末(B)との第1の通信セッション(308)に対する、呼セットアップリクエストを発信端末(A)から受信した後に、前記発信端末へリングバックプレゼンテーションを提供する方法であって、
前記第1の通信セッションとは独立して、前記発信端末とのパケットベースの第2の通信セッション(310)を確立するステップと、
前記第2の通信セッションによって、前記リングバックプレゼンテーションを示す所定のメディアコンテンツを前記発信端末へ提供するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定のメディアコンテンツ(400、500)は、前記着信端末に記憶されていて、該所定のメディアコンテンツは、前記第2の通信セッション中に、該着信端末から前記発信端末へ送信される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メディアコンテンツは、前記第2の通信セッション中に、前記着信端末から送信される少なくとも1つのファイルとして、前記発信端末へ提供される
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メディアコンテンツは、前記第2の通信セッションに対して、前記着信端末からのセッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、前記発信端末へ提供される
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記所定のメディアコンテンツは、サーバ(700、800、900)に記憶されていて、また、前記第2の通信セッションによって、前記発信端末へ配信するために前記サーバから検索される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記サーバは、RTSPサーバ(700)であり、前記メディアコンテンツは、前記発信端末へ前記RTSPサーバから直接ダウンロードされる
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ダウンロードを可能にするために、前記RTSPのネットワークアドレスと前記メディアコンテンツの適切な参照情報が、前記第2の通信セッションに対して、前記着信端末からのセッション開始メッセージで前記発信端末へ送信される
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記サーバは、メディアサーバ(800)であり、エージェット(802)は、前記メディアサーバから前記メディアコンテンツをフェッチし、かつ前記第2の通信セッション中に、前記メディアコンテンツを前記発信端末へ配信する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記着信端末は、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを前記発信端末へ送信し、
前記エージェントは、前記セッション開始メッセージを前記発信端末へ送信する前に、自身が送信側であることを示すために前記セッション開始メッセージを変更する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記変更されたセッション開始メッセージに応じて、前記発信端末からの応答確認メッセージを受信する場合、前記エージェントは、セッション招待が拒否されることを示し、かつ自身がその前記メッセージの送信側であることを示すために、前記発信端末からの前記応答確認メッセージを変更し、その変更した応答確認メッセージを前記着信端末へ送信する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サーバは、前記第1の通信セッションがセットアップされることを示す通知に応じて、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを前記発信端末へ送信するネットワークサーバ(900)である
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記メディアコンテンツは、前記第2の通信セッション中に、前記ネットワークサーバから送信される少なくとも1つのファイルとして、前記発信端末へ提供される
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記メディアコンテンツは、前記セッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、前記発信端末へ提供される
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記所定のメディアコンテンツは、少なくとも視覚メディアを含んでいる
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記リンクバックプレゼンテーションが受信されていることを、自身のユーザへ通知するために、前記発信端末で、オーディオあるいは振動による指示が起動される
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記指示は、前記第2の通信セッションの並行するパケット交換ベアラを介する発信端末への着信シグナリングが現在確立されている前記第1の通信セッションに関連していると判定する場合に起動される、あるいは、前記セッション開始メッセージの受信に応じて起動される
ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
視覚あるいは振動による指示は、前記呼が応答されることを自身のユーザへ通知するために、前記発信端末で起動される
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
異なるリングバックプレゼンテーションが、現在の日時、時間、週あるいは季節、及びユーザステータスの少なくとも一方に依存して、異なる潜在的な発信者に対して定義されている
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の通信セッションを処理するために、標準化されたSIPメッセージが使用される
ことを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
着信端末(B)との第1の通信セッション(308)に対する、呼セットアップリクエストを発信端末(A)から受信した後に、前記発信端末へリングバックプレゼンテーションを提供する装置であって、
前記第1の通信セッションとは独立して、前記発信端末とのパケットベースの第2の通信セッション(310)を確立する手段と、
前記第2の通信セッションによって、前記リングバックプレゼンテーションを示す所定のメディアコンテンツを前記発信端末へ提供する手段と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項21】
前記着信端末は、前記所定のメディアコンテンツ(400、500)を記憶し、前記第2の通信セッション中に、前記所定のメディアコンテンツを前記発信端末へ送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記着信端末は、更に、前記第2の通信セッション中に少なくとも1つのファイルを送信することによって、前記メディアコンテンツを前記発信端末へ提供するように構成されている
ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記着信端末は、更に、前記メディアコンテンツを、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、前記発信端末へ提供するように構成されている
ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記所定のメディアコンテンツが記憶されている、サーバ(700、800、900)を更に備え、前記サーバは、前記第2の通信セッションによって、前記発信端末へ前記メディアコンテンツを配信するように構成されている
ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項25】
前記サーバは、RTSPサーバ(700)であり、前記メディアコンテンツは、前記発信端末へ前記RTSPサーバから直接ダウンロードされる
ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記着信端末は、ダウンロードを可能にするために、前記RTSPのネットワークアドレスと前記メディアコンテンツの適切な参照情報が、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージで前記発信端末へ送信されるように構成されている
ことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記サーバは、メディアサーバ(800)であり、前記メディアサーバから前記メディアコンテンツを前記メディアサーバからフェッチし、かつ前記第2の通信セッション中に、前記メディアコンテンツを前記発信端末へ配信するように構成されているエージェント(302)を更に備える
ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記着信端末は、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを前記発信端末へ送信するように構成されていて、
前記エージェントは、前記セッション開始メッセージを前記発信端末へ送信する前に、自身が送信側であることを示すために前記セッション開始メッセージを変更するように構成されている
ことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記変更されたセッション開始メッセージに応じて、前記発信端末からの応答確認メッセージを受信する場合、前記エージェントは、セッション招待が拒否されることを示し、かつ自身がその前記メッセージの送信側であることを示すために、前記発信端末からの前記応答確認メッセージを変更し、その変更した応答確認メッセージを前記着信端末へ送信する
ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記サーバは、前記第1の通信セッションがセットアップされることを示す通知に応じて、前記第2の通信セッションに対するセッション開始メッセージを前記発信端末へ送信するように構成されているネットワークサーバ(900)である
ことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項31】
前記ネットワークサーバは、更に、前記第2の通信セッション中に、少なくとも1つのファイルを送信することによって、前記メディアコンテンツを前記発信端末へ提供するように構成されている
ことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記ネットワークサーバは、前記セッション開始メッセージに組み込まれるテキスト列として、前記メディアコンテンツを前記発信端末へ提供するように構成されている
ことを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記所定のメディアコンテンツは、少なくとも視覚メディアを含んでいる
ことを特徴とする請求項20乃至32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記発信端末は、前記リンクバックプレゼンテーションが受信されていることを、自身のユーザへ通知するために、オーディオあるいは振動による指示を起動するように構成されている
ことを特徴とする請求項20乃至33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記発信端末は、更に、前記第2の通信セッションの並行するパケット交換ベアラを介する発信端末への着信シグナリングが現在確立されている前記第1の通信セッションに関連していることを判定することによって前記指示を起動する、あるいは、前記セッション開始メッセージの受信に応じて前記指示を起動するように構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項36】
前記発信端末は、前記呼が応答されることを自身のユーザへ通知するために、視覚あるいは振動による指示を起動するように構成されている
ことを特徴とする請求項20乃至35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
現在の日時、時間、週あるいは季節、及びユーザステータスの少なくとも一方に依存して、異なる潜在的な発信者に対する異なるリングバックプレゼンテーションを定義する手段を更に備える
ことを特徴とする請求項20乃至36のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2008−544638(P2008−544638A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516793(P2008−516793)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000740
【国際公開番号】WO2006/137781
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】