説明

呼吸器系疾患を治療するためのニトロ誘導されたステロイドと気管支拡張剤との組合せ

NO-供与性ステロイドおよび少なくとも1つの気管支拡張剤を含む、呼吸器系疾患を治療するための医薬組成物を提供する。NO-供与性ステロイドおよび少なくとも1つの気管支拡張剤を投与することを含む、炎症を伴う呼吸器系疾患を治療する方法も提供する。呼吸器系疾患を治療するための、NO-供与性ステロイドと少なくとも1つの気管支拡張剤との組合せの使用も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管支拡張剤との組合せで、改善された薬理活性を有する、NO-修飾されたステロイドまたはNO-修飾されたコルチコステロイドのようなNO-供与性化合物を含む組成物に関する。本発明は、さらに、呼吸器系疾患を治療するために患者に投与される、この組合せの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
長時間作用性のβ-アゴニスト(LABA)と共に長時間作用性の吸入コルチコステロイド剤(ICS)の投与が、喘息および一般的にCOPDと略され、そのような例が気腫および慢性気管支炎である慢性閉塞性肺疾患の治療に長年利用されている。例えば、ブデソニド(ICS)およびホルモテロール(LABA)の組合せが、商品名Symbicort(商標)で利用可能であり、the National Institute of Healthのthe National Asthma Education and Prevention Programにより、中程度および重症の持続的な喘息症状の長期間のコントロールおよび予防に対して推奨されている。この組合せは、AstraZenecaによりTurbuheler(商標)として市販されて乾燥粉末吸入装置中で与えられる。COPDの治療に広く用いられるもう1つの組合せの構成は、短時間作用性の抗コリン作用薬、イプラトロピウムに短時間作用性のβ-アゴニスト(SABA)、アルブテロール(商品名Combivent(商標)で)をプラスしたものである。
【0003】
ニトロ誘導されたステロイドは、種々の発行済み特許ならびに特許出願、例えば、U.S.特許6,610,676(WO 98/15568)ならびにU.S.特許出願公開番号2006/0052594(WO 03/064443)および2007/0238882(WO 02/094758)に広く記載されており、その内容は参照として本明細書に組み込まれる。
【0004】
そのようなニトロ誘導されたステロイド化合物の1つ(本明細書中でTPI-1020として表される)は、次の化学構造(式2)を有するブデソニドの吸入NO-供与性誘導体である:
【化1】

【0005】
ブデソニドは、商品名Pulmicort(登録商標)でAstraZenecaにより全世界で販売され、広く処方される、数十億ドルのICSである。前臨床研究で、TPI-1020は、ブデソニドより改善されかつより広い薬物治療的性質を有することが示された。TPI-1020は、気道炎症および肺疾患のげっ歯類のモデルで、炎症細胞(好中球)の漸増を有意にブロックすることが示された。好中球は、COPDの病理および増悪において中心的な役割を果たす免疫細胞である。TPI-1020は、肺において、炎症の重要なメディエイターの放出を有意に減少することも示された。
【0006】
サルブタモールは、平滑筋上のβ-受容体部位に結合することによって、肺を直接刺激して広げる短時間作用性のβ-アゴニスト(SABA)である。サルブタモールは、喘息、気管支炎、気腫のような肺の閉塞性障害および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のようなその他の肺関連の障害に伴う気管支攣縮(喘鳴、咳および息切れ)を治療するのに用いられる。サルブタモールおよびその他のβ-アゴニストは、気流が肺の中をより自由に循環し、呼吸を改善することができるように、肺の気道の筋肉を弛緩することで作用する。
【0007】
ホルモテロールは、ヨーロッパで救急医薬品として用いられる長時間作用性のβ-アゴニスト(LABA)である。しかしながら、米国においてFDAでただ1つ承認されている適応は、予防的なLABAとしてである。ホルモテロールは、気管支拡張作用の急速な発現を有し、これは、主に収縮した気道の平滑筋への弛緩作用により介される。緩和剤としてのホルモテロールは、悪化の間の症状の急速かつ持続的な緩和を与える。ホルモテロールに応答する気管支拡張は、耐性の急速な発生(しかし、これは進展しない)により治療の開始中にわずかの減少を示す。
【0008】
チオトロピウムは、COPDの管理に用いられる長時間作用性の抗コリン作用性(LAAC)の気管支拡張剤である。吸入用のチオトロピウムブロマイドカプセルは、商品名Spiriva(商標)で、Boehringer-IngelheimおよびPfizerにより共同販売されている。カプセルは、メーカー独自のHandiHaler(商標)装置により吸入される。チオトロピウムは、しばしば抗ムスカリン様作用剤または抗コリン作用剤として呼ばれるムスカリン受容体アンタゴニストである。それは特定のムスカリン受容体に対して選択性を示さないが、局所適用において、それは、気道にあるM3ムスカリン性受容体に主に作用し、平滑筋の弛緩を生み、そのようにして、気管支拡張効果を生じる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、米国で死因の第4番目である。2002年だけで、COPDは120,000の命を奪った。1070万以上の成人アメリカ人がCOPDを有していると考えられ、約2400万人のその他が、考えられるCOPDの初期の徴候である損なわれた肺機能を有すると考えられる。女性は、男性より2倍以上でCOPDを患うようであり、2002年において、男性より女性が多くCOPDにより亡くなった(61,000対59,000)。COPDに伴う医療費は天文学的になり得る。2004年において、COPDは、米国保健医療制度に、直接的な医療費の209億ドル、間接的な疾病での74億ドル、および間接的な死亡費用での89億ドルを含めて、推定372億ドルを費やさせた。市販の薬剤は、COPDに伴う肺機能の長期の低下を停止しないが、気管支拡張剤は、悪化の頻度および重篤度を減少し、健康状態を改善し、運動負荷試験を改善する。分類として、気管支拡張剤は、平滑筋の緊張を減少することにより、1秒間強制呼気容量(FEV1)およびいくつかの他の肺活量のパラメータを改善する。幾人かの患者は、FEV1において対応する改善がなしに、運動負荷試験における改善を経験し得ることに注目することが重要である。気管支拡張剤は、COPDの患者に見られる2つの重要な病態生理学的異常の空気トラッピングおよび過膨張も、休息時および身体活動中において減ずることができる。
【0010】
喘息は、可逆的な気道の閉塞および気管支の過感応性により特徴付けられる下気道の炎症性疾患である。それは、地球全体で約1億3000万人に影響を及ぼす、先進工業国における最も一般的な疾病の1つである。USAは最も急成長している喘息市場があり(2001〜2006年の間の予測で、年当たり17%の増大対ヨーロッパは5%)、それは、また最も大きい市場である(全喘息市場の48%対ヨーロッパは33%)。2001年にUSAで1700万の診断された喘息患者があった。
【0011】
炎症が役割を果たす呼吸器系疾患のその他の例は、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、肺高血圧、嚢胞性線維症および気管支拡張症を含む。喘息は、気道炎症、可逆的閉塞および気道の過感応性により定義される。この疾病において、好中球およびマクロファージも重要であり得るが、関与する炎症細胞は主に好中球、Tリンパ球および肥満細胞である。ありとあらゆるサイトカインおよびケモカインが、気道中で増加し、炎症、閉塞および過感応性を促進することにより、この疾病の病態生理学で役割を果たすことが示されている。
【0012】
急性気管支炎は、感染または例えば、汚染、埃、気体または化学物質による刺激性事象中に起こる下気道の急性疾患である。慢性気管支炎は、2年間、その年の少なくとも3ヶ月間のほとんどの日における咳および痰の産生の存在により定義される。急性または慢性気管支炎中に、気道内で、炎症細胞、主に好中球を多岐のケモカインおよびサイトカインと一緒に見出すことができる。これらのメディエイターは、炎症、症状およびこれらの疾病によって起きる粘液産生において、役割を果たすと考えられる。
【0013】
好酸球性咳は、慢性の咳および気道閉塞または過感応性の存在しない患者の気道内での炎症細胞、主に好酸球の存在によって特徴付けられる。いくつかのサイトカンおよびケモカインが、それらは主に好酸球指向的であるが、これらの疾病中で増加する。好酸球は補充され、気道内で活性化され、炎症および咳の永続化に役割を果たす酵素および酸素ラジカルを放出する可能性がある。
【0014】
サルコイドーシスは、慢性の非乾酪変性肉芽腫が組織内で起こる原因不明の疾病である。肺が、最も一般的に影響を受ける器官である。肺の気管支肺胞洗浄は、リンパ球、マクロファージおよび時々好中球ならびに好酸球における増加を示す。これらの細胞も、補充され、サイトカインまたはケモカインにより活性化され、疾病の病因に関与し得る。
【0015】
肺線維症は、慢性の呼吸器不全をもたらすであろう進行性および慢性の線維症(瘢痕化)により特徴付けられる、肺組織の疾病である。異なるタイプおよび異なる原因の肺線維症が存在するが、全ては、肺組織における、コラーゲンの沈着を伴う炎症細胞の流入および残存、線維芽細胞の活性化および増殖により特徴付けられる。これらの事象は、肺組織内でのサイトカインおよびケモカインの放出に関係するようである。
【発明の概要】
【0016】
本主題発明は、次の:
呼吸器系疾患の治療に有用な少なくとも1つのコルチコステロイド;および
少なくとも1つの気管支拡張剤;および
NO-供与体が、NO-基を供与することができる不活性担体、NO-供与性部分をコルチコステロイドに結合する結合基、およびNO-供与性部分を気管支拡張剤に結合する結合基からなる群から選択されるNO-供与体
の治療的有効量を、それを必要とする患者への投与を含む、ヒトの患者における炎症を伴う呼吸器系疾患を治療することに関する。NO-供与体がコルチコステロイドまたは気管支拡張剤に結合することに関する化学は、当該技術で現在利用可能な教示および知識を用いる当業者の技術の充分な範囲にある。
【0017】
したがって、NO-供与体は、コルチコステロイド、気管支拡張剤に結合させることができるか、または該コルチコステロイドもしくは気管支拡張剤とは別に提供される化合物、すなわち、該コルチコステロイドもしくは気管支拡張剤と化学的に結合されていない化合物である。治療のコルチコステロイド、気管支拡張剤およびNO-供与体成分は、異なる時間に別の組成物として、別々に投与され得るが、好ましくは、同時にまたは付随して投与される。さらに、NO-供与体は、コルチコステロイドに結合されたNO-供与体が気管支拡張剤と組み合せて投与され得るか、または気管支拡張剤に結合されたNO-供与体がコルチコステロイドと組み合せて投与され得るように、コルチコステロイド成分または気管支拡張性成分に結合され得る。これらの作用剤は、3つの別々の組成物として製剤化され得るか、または1以上の組合せ組成物と記載されるような配合剤として製剤化され得る。
【0018】
好ましい態様の1つにおいて、本発明は、それを必要とする患者における炎症を伴う呼吸器系疾患を治療するための、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および(ii) ニトロ誘導された少なくとも1つのステロイド、好ましくは、ニトロ誘導されたコルチコステロイド、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物の治療的有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0019】
好ましくは、気管支拡張剤は、β-アゴニスト、抗コリン作用薬、メチルキサンチンおよびホスホジエステラーゼ阻害剤、またはそれらの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群より選択される。好ましい態様において、気管支拡張剤は、付加的な治療効果をもたらすのに適した量で提供され、より好ましくは、気管支拡張剤の用量が、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で提供され得る。
【0020】
本主題発明に基づいて有用な、好ましいステロイド化合物は、コルチコステロイド、より好ましくは当該技術分野で周知の吸入コルチコステロイド(ICS)を含む。ステロイド成分またはコルチコステロイドは、ヒトにおける吸入による呼吸器系疾患の治療に適した量で提供され、より好ましくは、コルチコステロイドの用量は、単独で投与された場合の最適用量より少ない以下の用量で提供され得る。
【0021】
より好ましい態様において、コルチコステロイド、気管支拡張剤およびNO-供与体の組合せは、それらの作用剤の1つを欠いた治療と比較して、ヒトの患者において相乗効果を与える。
【0022】
もう1つの好ましい態様において、本主題発明の組成物またはその使用は、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で提供される前記のコルチコステロイド、気管支拡張剤もしくはNO-供与体の少なくとも1つを含み、ヒスタミンまたはメタコリンのような気管支収縮-誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを実質的に含まない組成物と比較して有意な減少を与える。より好ましくは、本主題組成物は、統計的に有意なp<0.05で、より好ましくは統計的に有意なp<0.01で気管支収縮における減少のレベルを与える。
【0023】
本主題発明の好ましい態様のもう1つの様相において、本組成物またはその使用は、気管支収縮-誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを実質的に含まない組成物と比較して少なくとも50%の減少を与える。より好ましくは、気管支収縮または気道過反応(AHR)の減少は、約70%〜約100%の間である。最も好ましい態様において、本主題発明の組成物またはその使用は、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で、前記のコルチコステロイド、気管支拡張剤またはNO-供与体の少なくとも1つを含む。
【0024】
1つの様相によれば、本発明は、喘息およびCOPDのような慢性の肺疾患に罹患している患者の気管支収縮を緩和するように、患者における呼吸器系疾患を治療するために、気管支拡張剤とニトロ誘導されたステロイドが同時または連続投与される、新規な組合せの治療を提供する。これらのニトロ誘導されたステロイド化合物は、C-11、C-17もしくC-21でステロイドまたはコルチコステロイド残基に結合されたNO-供与性部分を含むように修飾される、ステロイド骨格もしくは残基、好ましくはコルチコステロイド骨格もしくは残基を有する医薬的に活性な化合物を包含する。参考の都合上、本主題発明のそのような化合物は、本明細書中で「NO-修飾されたステロイド」または「NO-修飾されたコルチコステロイド」と呼ばれ得る。
【0025】
1つの態様において、ニトロ誘導されたステロイドは、次の式3の化合物である:
A − W 3
(ここで、Aは、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルオシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニスプロン ナトリウム21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサセトニド、およびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択されるコルチコステロイドであり、
【0026】
Wは、それに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる酸化窒素(NO)供与性部分である)。好ましい態様において、Wは、呼吸器系疾患を有しウイルス感受性またはウイルス感染を有する患者に対して、インビボでヒドロラーゼを介する加水分解により任意に開裂可能な結合構造によりステロイド骨格に結合させられたNO-供与性部分を含む。
【0027】
本発明の好ましい態様は、前記の化合物A-Wの治療的有効量と組み合せて、気管支拡張剤を投与することを含む、動物ホストまたは患者を治療するための組成物および方法を指向し、ここで、Wは、次に示す式1で表わされる:
【化2】

(式中、Aは前記のステロイドまたはコルチコステロイド残基であり、
XはC1-C5の分枝鎖状または直鎖状のアルキルであり、
Yは(ONO2)または(ONO)のどちらかである;但し、Aは、ステロイドもしくはコルチコステロイドの残基のC-11もしくはC-17位、好ましくはC-21が存在する場合、ステロイドまたはコルチコステロイド残基の21-位で直接もしくは間接的に式1Bに結合している)。
【0028】
1つの様相によれば、本発明は、それを必要とする患者における炎症を伴う呼吸器系疾患の治療のための、気管支拡張剤およびニトロ誘導されたステロイド、好ましくは次の式4のニトロ誘導されたコルチコステロイドを含む新規な組成物に関する:
【0029】
【化3】

(式中、Wはそれに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる酸化窒素(NO)供与性部分である)。特定の好ましい態様において、Wは本明細書で定義された部分であり、この書類の詳細な説明部分ならびに添付のクレームに記載された式A〜Gの1つから選択される。
【0030】
もう1つの好ましい様相において、本発明は、
呼吸器系疾患の治療に有用な少なくとも1つのコルチコステロイド;および
少なくとも1つの気管支拡張剤;および
供与体が、不活性担体、NO-をコルチコステロイドに結合する結合基、およびNO-供与性部分を気管支拡張剤に結合する結合基からなる群から選択されるNO-供与体
の治療的有効量の同時または連続投与を含む、それを必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患を治療する方法を提供する。
【0031】
好ましくは、本主題発明の方法は、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および(ii) 本発明のニトロ誘導されたステロイドの治療的有効量の投与を含む。
【0032】
さらにもう1つの様相において、本発明は、それを必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療のための、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および(ii) 本発明のニトロ誘導されたステロイドまたはその溶媒和物の治療的有効量の使用を提供する。
【0033】
さらにもう1つの様相において、本発明は、治療を必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療用医薬の製造における、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および(ii) 本発明のニトロ誘導されたステロイドまたはその溶媒和物の治療的有効量の使用を提供する。
【0034】
もう1つの態様において、ニトロ誘導されたステロイドは、約100μg〜約3000μgの用量で吸入により投与される。さらなる態様において、ニトロ誘導されたステロイドは、約100μg〜約2400μg、約200μg〜約2000μg、約400μg〜約1500μg、または約600μg〜約1200μgの用量で吸入により投与される。
【0035】
本発明の最も好ましい態様は、ブデソニド 21-(4'-ニトロオキシメチル)ベンゾエート(「TPI-1020」として表される)もしくはTP-1020を含む組成物と組み合わせて気管支拡張剤を投与することを含む。
【0036】
1つの様相において、呼吸器系疾患は慢性の肺疾患である。もう1つの様相において、慢性の肺疾患は喘息およびCOPDから選択される。
【0037】
本発明の他の目的物、特徴および利点は、本発明の以下の詳細な説明および添付の図面を考慮すれば、当業者にとって明らかであろう。
本発明は、添付の図面を考慮して、今ここにより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1A〜1Dは、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、ヒスタミンで誘発された気管支収縮への処置に対する気道の感応性を示す。これらの結果は、ビヒクル;または種々の用量のTPI-1020(図1A)、0.32 mg/mlブデソニド(図1B)、種々の用量のサルブタモール(図1C)もしくはTPI-1020の種々の用量と一定用量のサルブタモール(図1D)のいずれかで処置された動物に対する%sGawを示す。
【図2】図2A〜2Dは、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、ヒスタミンで誘発された気管支収縮への処置に対する気道の感応性を測定するための別のもう1組の実験を示す。これらの結果は、ビヒクル;または種々の用量のTPI-1020(図2A)、0.63 mg/mlのTPI-1020対等モル用量のブデソニド(図2B)、種々の用量のS-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)(図2C)、サルブタモール+TPI-1020、ブデソニド+SNAP、サルブタモール+ブデソニド、サルブタモール+SNAPまたはサルブタモール+ブデソニド+SNAPの組合せと比較された、特定用量のTPI-1020、ブデソニド、SNAPおよびサルブタモール(図2D)のいずれかで処置された動物に対する%sGawを示す。
【図3】図3は、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、ヒスタミンで誘発された気管支収縮に対する、サルブタモールおよびTPI-1020の予防効果の持続時間を示す。これらの結果は、ヒスタミン惹起後、30、60または90分に与えられた処置に対しての結果を示す。
【図4】図4Aおよび4Bは、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、ヒスタミンで誘発された気管支収縮へのホルモテロールでの処置に対する気道の感応性を示す。これらの結果は、ビヒクル;または種々の用量のホルモテロール(図4A)、特定の用量のホルモテロール、種々の用量のTPI-1020、および特定の用量のホルモテロール+種々の用量のTPI-1020(図4B)のいずれかで処置された動物に対する%sGawを示す。
【図5】図5A〜5Cは、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、メタコリンで誘発された気管支収縮へのチオトロピウムでの処置に対する気道の感応性を示す。これらの結果は、種々の用量のチオトロピウム(図5A)、種々の用量のTPI-1020(図5B)、および特定の用量のチオトロピウム+TPI-1020の組合せと比較された、この特定の用量のチオトロピウムまたはTPI-1020(図5C)で処置された動物での%sGawを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
1つの様相において、本明細書の発明は、治療的成績の改善、すなわち、先行技術の製品と比較したとき、本発明の意図するNO-供与性ステロイド化合物と組み合せて吸入で投与されたときの気管支拡張剤の薬物療法学的な効果の改善に関する。
【0040】
本明細書で示されるNO-供与性ステロイド化合物の用語は、それに結合した酸化窒素(NO)-供与性部分と一体となったステロイド骨格を有する化合物を意味する。特定の生理学的条件下で、これらの化合物は、a) 一酸化窒素種の生物学的活性が作用の意図した部位で発現できるように;および/または2) インビボで内因性の酸化窒素の産生を刺激するように;および/または3) インビボで内因性の酸化窒素のレベルを高めるように、一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができ、前記のこと全ては、さらにU.S.特許7,282,519および7,244,753に記載されており、それらはそっくりそのまま本明細書に参照として組み込まれる。
【0041】
ニトロシル化された化合物もしくは部分およびニトロ化された(nitrosated)化合物もしくは部分の用語が、それぞれ少なくとも1つのNOもしくはNO2での置換を意味することは、当業者により十分理解されるであろう。「ニトロ」の用語は、基NO2を意味し、したがって、「ニトロ化された」はそれで置換された化合物を意味する。「ニトロソ」の用語は、基NOを意味し、したがって、「ニトロシル化された」はそれで置換された化合物を意味する。「チオナイトレート」は-S-NO2を意味する。「チオナイトライト」および「ニトロソチオール」は-S-NOを意味する。「ニトリル」および「シアノ」は-CNを意味する。一般的に、酸化窒素供与性基は、それに限定されないが、例えば、酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフヒドリル縮合)および/または窒素のような1以上の部位により加えられる。
【0042】
化合物をニトロ化およびニトロシル化する公知の方法は、U.S.特許番号5,380,758、5,859,053、5,703,073、6,297,260および6,696,592に記載されれおり、それらのそれぞれの内容、ならびにWO 94/03421、WO 94/04484、WO 94/12463、WO 95/09831、WO 95/19952、WO 95/30641、WO 97/27749、WO 98/09948、WO 98/19672、WO 98/21193、WO 00/51988、WO 00/61604、WO 00/72838、WO 01/00563、WO 01/04082、WO 01/10814、WO 01/12584、WO 01/45703、WO 00/61541、WO 00/61537、WO 02/11707、WO 02/30866およびOaeら、Org. Prep. Proc. Int., 15(3):165-198 (1983)はそっくりそのまま本明細書に参照として組み込まれる。こららの参照文献に記載されているステロイド化合物をニトロ化および/またはニトロシル化する方法は、本明細書に記載のニトロ化および/またはニトロシル化されたあらゆる化合物を製造するために、当業者により適用され得る。さらに、気管支拡張剤をニトロ化および/またはニトロシル化する方法が記載されているか、または容易に洞察され、そしてその方法は、本明細書に記載のニトロ化および/またはニトロシル化されたあらゆる気管支拡張剤を製造するために、当業者により適用され得る。
【0043】
さらに、本発明は、ステロイド療法を用いる呼吸器系疾患の治療に対して、臨床的に適用される患者における吸入ステロイドの予測される全身レベルよりも低くすることに関する。吸入ステロイドは、多くの全身性の副作用を引き起こすことが知られている。1つの副作用は、HPA(視床下部‐脳下垂体‐副腎)系の機能の抑制である。この抑制は、子供の成長抑制および大人の骨密度の減少のような副作用と関係がある。この望ましくないHPA系抑制は、一般的に、尿のコルチゾール排泄の減少により測定される。
【0044】
このHPA系への影響は、より高いレベルが一般的により大きな抑制を招く体循環中のステロイドのレベルと直接関係がある。全身のステロイドの負荷は、一般的に、より高いAUCレベルが全身ステロイドのより高いレベルと相関する患者のAUCデータに反映される。本発明において使用が意図されるステロイドは、減少した尿の遊離のコルチゾールレベルで示され得るHPA系の抑制のような望ましくない全身性の副作用の減少と共に呼吸器の治療的な効果を有利に達成すると同時に、全身のステロイドのレベルを減少させるために与えられる。
【0045】
本発明に基づいて用いられるこれらの化合物(それらの対応する立体異性体、塩、エステル体、溶媒和物、水和物、多形体、プロドッグ、およびそれらの類縁物質を含む)は、次に示されるコルチゾールと同じ一般的な環構造を有するコルチコステロイドのクラスから誘導されるNO供与性のステロイド誘導体である。
【化4】

【0046】
本発明に基づく使用が意図される化合物のコルチコステロイド骨格を形成するために用いられ得るこのクラスの化合物は、限定されないが、次のステロイド:21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルオシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニスプロン ナトリウム21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドが例として挙げられる。
【0047】
前記ステロイドファミリーの構造は全て、コルチゾールの環構造に似ているけれども、環に結合した、特にC-11、C-16およびC-17位に存在する官能基に関して、以下に示されるいくつかの周知の化合物で示されるように、化合物から化合物で種々の構造的差異が起こり得ることは、さらに十分に理解されるであろう。したがって、NO供与性部分が結合されるステロイド骨格は、選択されたステロイドに基づいて、結合のための複数の部位ならびにそこに存在するそのような部位の利用能を有し得る。
【化5】

【0048】
本発明に基づいて、ステロイド骨格は、当業者に簡単に知られている種々の周知の合成経路により、NO-供与性化合物(例えば、以下に示される4'-ニトロオキシメチル安息香酸を参照)で置換されるのが好ましい。
【化6】

【0049】
例えば、ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許6,696,592は、ニトロオキシアルキル安息香酸置換基を、ステロイド上に存在する種々のヒドロキシ部位、最も好ましくはC-11またはC-17炭素に直接または離れて間接的のどちらかに位置したヒドロキシでステロイド骨格に結合することができる種々の経路を示している。
【0050】
前記のように、NO-供与性部分の結合のための部位は、言うまでもなく、そのような結合のための受容体として選択されるステロイド骨格の構造に依存するであろう。さらに、結合のための部位はまた、立体障害、結合形成の制約、合成制限などのような考慮についてが、置換に対する化学的な助けとなるに違いないことを、当該技術者は十分に理解するであろう。その上、置換により得られる化合物に複数のNO供与効果を与えるそのような複数の部位から離れて同一または異なったNO供与性部分で同時に置換され得るが、しかしならが、それらで置換される部位の特徴ならびに部分の特徴が、そのような複数の置換に対する化学的な助けとなり、そしてそれらの認識は当業者にとって容易に明らかであろう。
【0051】
さらなる例として、その結合がカルボキシ末端により助長され、それにより、化学的に遮るものがなくかつNO供与機能を果たすことができる構造のNO供与性部分を与えるに違いないこと、同時に、NO供与性部分のカルボキシ末端はステロイドとエステル結合を形成することは、前記の安息香酸構造から容易に明らかであろう。
【0052】
それゆえ、1つの態様において、本発明に基づく使用が意図されるNO-供与性化合物の一般的な構造は、親ステロイドとNO供与部分とのエステル結合の形成に基づいている。そのような結合は、ステロイド骨格が、環内に位置する炭素に直接結合して存在するヒドロキシ基を有する場合であるように、環構造に直接隣接し得るか、あるいは該結合は環構造に対してより遠位に形成され得る。どちらの場合も、該結合は、ヒドロラーゼを介する加水分解、この場合はエステラーゼを介する加水分解により、インビボで開裂可能であり、分子の両部分の治療的効果を最大にするのに最適な、親ステロイドとNO供与部分の解離を与えるであろう。
【0053】
そのような開裂可能な結合基(linkers)の例は、限定されないが、インビボで加水分解によって開裂可能なエステル、アミド、カルバメートおよびカーボネートであり、NO供与部分と親ステロイドを生じる。1つの態様において、直ぐ下に例示されるように、開裂可能な部位は、C-21ヒドロキシ基に対して直末端に設定されるが、それに結合していて開裂の後に残った部分が、ステロイドの治療的機能性またはNO供与性基の治療的機能性のどちらも妨げないという条件で、開裂の部位は、C-21位よりもステロイド骨格に対してより末端に定められ得る。
【化7】

【0054】
前記の4'-ニトロオキシメチル安息香酸の場合で述べたように、NO-供与性部分は、親ステロイド骨格上に存在し得るいくつかの利用可能なあらゆる官能基、好ましくはヒドロキシとエステル化反応を受けることができる、その末端カルボキシ基によりステロイドに結合する。その特定および有用性が当業者に直ぐに明白であるこれらの基は、安定なエステル結合形成のために必要な適切な立体的および化学的結合の特性を有さなければならないことは、容易に理解されるであろう。
【0055】
例えば、前記のU.S.特許6,696,592に加えて、U.S.特許5,837,698、5,792,758および5,985,862(3つ全て、ここで、本明細書に参照として組み込まれる)は、本発明に基づいて作られる化合物を構成するために適合され得る複数のヒドロキシ結合部位と合成方法を記載している。
【0056】
さらにもう1つの態様において、分子はインビボで開裂されず、むしろそのままで留まり、したがって、開裂可能部位を任意にする。そのような態様において、結合構造の開裂可能部分(例えば、エステル、アミドまたはカルバメート結合)は、非存在(non-existent)かあるいは化学的に保護されるかである。。前記の場合、そのようなあらゆる結合構造は、NO供与性基ならびに親ステロイド化合物の両方の治療的機能性と共存できなければならないことは、当業者に十分理解されることであろう。同じことに関する適切な考慮には、限定されないが、全体の大きさ、分子量、溶解性、立体障害のような課題が含まれるであろう。
【0057】
前記のように、本発明は、喘息およびCOPDのような慢性の肺疾患に罹患している患者の気管支収縮を緩和するような、患者の呼吸器系疾患を治療するために、気管支拡張剤および本明細書で意図されるニトロ誘導されたステロイドが、同時にまたは連続で投与される新規な組合せの治療を指向している。
【0058】
本発明の気管支拡張剤と併用されうるこれらのニトロ誘導された化合物のいくつかの例は、次の一般式、式3を有し、以下に例示される:
A − W 3
(ここで、Aは、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルオシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニスプロン ナトリウム21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択されるコルチコステロイドであり、
Wは、それらを必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療のために、インビボでヒドロラーゼを介する加水分解により任意に開裂可能な結合構造によりステロイド骨格に結合させられた、それに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる、あらゆる酸化窒素(NO)供与性部分である)。
【0059】
具体的には、Wは、以下にさらに記載の式A〜Gの1つから選択される:
【0060】
式Aの化合物は、
-C(O)-L-(XO)-(X1)-NO2で表される(ここで、本明細書に参照として組み込まれる、公開されたU.S.特許出願公開番号 2006/0052594に記載されている):
[ここで、Lは(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'aおよびn''aは互いに同一または異なって、0〜6、好ましくは1〜3の整数であり;n'b、n''bおよびn'''bは互いに同一または異なって、0または1に等しい整数であり、R4'、R5'、R4''、R5''は互いに同一または異なって、H、C1-C5、好ましくはC1-C3の直鎖状または分枝鎖状のアルキルから選択され;
X0=O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキルである)であり;
ステロイド骨格と結合基X1との間の結合は、エステルまたはアミド型であり、
X1は、次の:
【化8】

(ここで、n3は0〜5の整数であり、n3'は1〜3の整数である);
【化9】

(ここで、n3およびn3'は前記の意味を有する)、または
【化10】

(ここで、
nIXは0〜10、好ましくは1〜3の整数であり;
nIIXは1〜10、好ましくは1〜5の整数であり;
RTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'は互いに同一または異なって、HまたはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルであり、好ましくはRTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'はHであり;
Y3は、1〜3、好ましくは1〜2のヘテロ原子を含む5または6原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の複素環であり、該へテロ原子は同一または異なって、窒素、酸素、硫黄から選択され、好ましくは窒素であり;
t3は0または1であり;
Zは次の意味:
【化11】

(ここで、
* はONO2基の位置を示し;
T は次の意味:
-COX3-、-X3CO-(ここで、X3 = S または前記で定義されたXOである);
前記で定義された-X3-であり;
n3およびn'3は前記で定義されたとおりである)
を有する)
から選択される2価の基である]。
【0061】
1つの好ましい態様において、Y3は次の2価の基:
【化12】

【化13】

から選択される。
【0062】
次の:窒素原子に対してオルト位に2つの自由原子価を有する(Y12);2つのへテロ原子に結合した2つの原子価を揺する(Y16)、(ピラゾール)3,5-ジ置換(Y1)がY3の好ましい態様であり、(Y16)がそのうえに好ましい。
【0063】
1つの好ましい態様において、Lはna=n'b=1、n'a=2、n''b=n'''b=n''a=nb=0、R4=CH3、R5=R4''=R5''=Hである。酸素の自由原子価がHで飽和され、末端の炭素原子の自由原子価がカルボキシもしくはヒドロキシもしくアミノ(amminic)基のいずれかで飽和されれている前記で定義された)2価の基X1の前駆体は、市販の製品であるか、またはそれらは当該技術分野の既知の方法に基づいて合成され得る。
【0064】
本発明の式Aに基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、ここで参照として本明細書にそっくりそのまま取り込まれる、公開されたU.S.特許出願公開番号 2006/0052594に開示されたようにして、容易に製造することができる。
【0065】
具体的には、式Aの化合物の第1の変形は、-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表され得る(ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号 6,610,676に記載されている):
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、LおよびXは、LおよびX0として前記で定義されたとおりであるが、X1はY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジであり、
ここで、Y-Oについて、Yは、直鎖状または可能な場合は分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくは2〜5の炭素原子を有するアルキレン、または任意に置換されていてもよい5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであり;
Y1について、Yは、前記で定義されたYAR1、YAR2およびYPから選択され、より具体的には
【化14】

(ここで、n3は0〜3の整数である);
【化15】

【化16】

(ここで、nf'は1〜6、好ましくは2〜4の整数である);または
【化17】

(ここで、R1f=H、CH3であり、nfは1〜6、好ましくは2〜4の整数である)である]。
【0066】
この第1の変形の前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、ここで参照として本明細書にそっくりそのまま組み込まれる、U.S.特許番号 6,610,676に開示されたようにして、容易に製造され用いられることができる。
【0067】
式Aの化合物の第2の変形は、-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表され得る(ここで、本明細書に全てが参照として組み込まれるU.S.特許番号 7,056,905、7,205,288、7,196,075、7,160,871および7,157,4506に記載されている):
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、
Lは前記で定義されたとおりであり;ここで、na、n'aおよびn''aは、互いに同一または異なって0〜6、好ましくは1〜3の整数であり;nb、n'b、n''bおよびn'''bは0または1に等しい整数であり;R4およびR5は、互いに同一または異なって、H、直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜5、好ましくは1〜3の炭素原子を有するアルキルから群から選択され;
Xは、O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、OH、CH3、Cl、N(-CH2-CH3)2、SCH2F、SH、
【化18】

である)に等しく、
X1は、前記で定義されたY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジである]。
【0068】
本発明のこの第2の変形に基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、ここで参照として本明細書にそっくりそのまま組み込まれる、発行されたU.S.特許番号 7,056,905、7,205,288、7,196,075、7,160,871および7,157,450、ならびにU.S.特許出願公開番号 2007/0238882に開示されたようにして、容易に製造され用いられることができる。
【0069】
式Aの化合物の最も好ましい態様は、C(O)-L-(X0)-(X1)-NO2で表される:
[ここで、Lは、(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'a、n''a、n'b、n''bおよびn'''bは0である)(したがって、LはCH2Oである)であり、
X0はC=Oであり、
X1は2価の連結基YAR1、好ましくは、
【化19】

である]。
【0070】
式Bの化合物は、-C(O)CH2O-XZ(ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号7,297,808に記載されている)あるいは-C(O)CH2OC(O)-XZで表される:
[ここで、Xzは次のとおり定義される:
【化20】

(式中、XはO、S、NHまたはNHR1(ここで、R1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)であり;
Yは次のa)〜h)の意味を有する2価の基である:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはTO(ここで、TOは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20、好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキレン;あるいは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;
b)
【化21】

c)
【化22】

(ここで、上記のb)およびc)について、nは0〜20の整数であり、n1は0〜20の整数である)
d)
【化23】

(ここで、n1は上記で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり;X1は-OCO-または-OCO-であり、R2はHまたはCH3である)
e)
【化24】

(ここで、n1、n2、R2およびX1は前記で定義されたとおりであり;Y1は-CH2-CH2-または-CH2=CH2-(CH2)n2-のいずれかである)
f)
【化25】

(ここで、n1およびR2は前記で定義されたとおりであり;R3はHまたはCOCH3である);但し、Yがb)〜f)で述べられた2価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1に結合している;
g)
【化26】

(ここで、X2はOまたはSであり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は前記で定義されたとおりである)
h)
【化27】

(ここで、n4は0〜10の整数であり;n5は1〜10の整数であり;R4、R5、R6およびR7は同一または異なって、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C10アルキルであり;好ましくは、R4、R5、R6およびR7はHである)、ここで、-ONO2基は次の構造に結合している:
【化28】

(ここで、n5は前記で定義されたとおりであり);
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、複素環式の飽和、不飽和または芳香族の5または6員環であり、次の構造H1〜H13から選択される:
【化29】

【0071】
本発明の式Bに基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、ここで参照として本明細書にそっくりそのまま組み込まれる、発行されたU.S.特許番号 7,297,808に開示されたようにして、容易に製造され用いられることができる。
【0072】
式Cの化合物は、-C(O)CH2O-(X1-ONO2)S(ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号 7,217,733に記載されている)あるいは-C(O)CH2OC(O)-(X1-ONO2)Sで表される:
(ここで、sは1または2に等しい整数であり、X1は少なくとも1つのハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C6、好ましくは3〜5の炭素原子を有するアルキレンであるか、またはX1は-(CH2-CH2-O)2-または-(CH2-CH2-S)2-に等しい2価の基である)。本発明の式Cに基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、前記で述べられたように、参照として本明細書にそっくりそのまま組み込まれる、前記の特許に開示されたようにして、容易に製造され用いられることができる。
【0073】
式Dの化合物は、-C(O)CH2O-B-Cで表される(ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号 7,199,258に記載されている):
[ここで、X1は次の式で表わされるとおりである:
【化30】

(式中、R1-R12は、同一または異なって、独立して、水素、アリールで任意に置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6アルキルであり;m、n、o、q、rおよびsは、それぞれ独立して0〜6の整数であり、pは0または1であり、XはO、S、SO、SO2、NR13もしくはPR13(ここで、R13は水素、C1-C6アルキルである)であるか、またはXは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;1以上のハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜4の炭素原子を含むアルキルまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6パーフルオロアルキルで任意に置換されていてもよいアリレン;前記の構造H1〜H13から選択される、5または6員の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環から選択される)]。
【0074】
本発明の式Dに基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の物質および方法を用いて、および、特に、ここに参照として本明細書にそっくりそのまま組み込まれる、発行済みU.S.特許7,199,258に開示されたようにして、容易に製造され用いられることができる。
【0075】
式Eの化合物は、-C(O)CH2O-B-CZで表される:それらの種々の化合物は、U.S.特許5,837,698ならびにU.S.特許5,792,758および5,985,862(3つ全てここで本明細書に参照として組み込まれる)に開示および/または例示されており、CZは有機ナイトライトもしくはナイトレート化合物、または他の酸化窒素供与性部分であり、Bはステロイド骨格をC-21位の直末端のヒドロキシで、該21位に隣接して誘導されたアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネート結合を介して該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーである。
【0076】
本発明の種々の態様に基づき、1つの態様は、式Hの化合物[ここで、B-CZはR1(ここで、R1は、亜硝酸エステル(-ONO)、硝酸エステル(-ONO2)、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロールナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような、非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体の1つから選択される]を用いることを提供する。
【0077】
あるいは、R1は、NO-供与性基で適当に置換された次の化学的部分:置換または非置換(本発明に基づいて要求されるようなNO供与基での必要な置換を除く、この但し書きは、この段落の下に記載の残りの基の全てに適用され得る)の低級アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非置換のシクロ-アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非置換のヘテロ環式;置換または非置換のチオール、置換または非置換のアルキルメルカプタン、ニトロソチオール、およびニトロソアミンのいずれから選択され得る。
【0078】
さらにもう1つの態様において、B-CZは次の構造に等しい:
【化31】

(ここで、nは1〜4の整数であり;X=OまたはS;Y=メチレン、OまたはNH2;Z=OまたはNH2)。
【0079】
もう1つの態様において、開裂可能な部位は、式Eにおけるより、ステロイド骨格に対してより末端に位置される。ただし、開裂に続いてステロイドに結合して残る部分は、ステロイドまたはNO供与性基の治療的機能性のいずれも妨げない。そのような態様に基づいて、W= 式E'で、E'は-C(O)CH2O-(B'-CZ)である[ここで、B'はステロイド骨格をC-21位の直に隣接したヒドロキシで、該21位に隣接していないアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネート結合により該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーである]。
【0080】
本発明の種々の態様に基づいて、1つの態様は、(B'-CZ)がR'1である式E'の化合物(ここで、R'1は、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロールナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体から選択される)の使用を提供する。
【0081】
あるいは、R1は、NO-供与性基で適当に置換された次の化学的部分:置換または非置換(本発明に基づいて要求されるようなNO供与基での必要な置換を除く、この但し書きは、この段落の下に記載の残りの基の全てに適用され得る)の低級アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非置換のシクロ-アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非置換のヘテロ環式;置換または非置換のチオール、置換または非置換のアルキルメルカプタン、ニトロソチオール、およびニトロソアミンのいずれから選択され得る。
【0082】
本発明の種々の態様に基づいて、さらにもう1つの態様は、式Eまたはここで本明細書に参照として組み込まれる、U.S.特許5,837,698、5,792,758および5,985,862から容易に識別される代わりの構造を有するE'の化合物を用いることを提供する。本発明の式EまたはE'に基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の原料および方法を用いて、ならびに特に前記の特許に開示されたようにして容易に製造され得る。
【0083】
式Fの化合物は、-C(O)CH2O-K(ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許7,282,519に記載されている)あるいは-C(O)CH2OC(O)-Kで表される:
[ここで、Kは次のとおり定義される:
-Y-(CR4R4')p-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')o-[フェニル]-T-(CR4R4')p-ONO2
(ここで、Tはオルト、メタまたはパラである);
-Y-B-[ピペラジニル]-W-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-B-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-C(O)-(CR4R4')p-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-C(Z)-(CH2)q-T-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')o-(W)q-(CH2)q-V-(CR4R4')o-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-O-NRj-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2]。
【0084】
本発明の種々の態様に基づいて、さらにもう1つの態様は、前記で述べたように、そこで本明細書に参照として組み込まれたU.S.特許7,282,519から容易に識別される、代わりの構造を有する式Fの化合物を用いることを提供する。
【0085】
本発明の式Fに基づく構造を有する前記の化合物は、当該分野で周知の原料および方法を用いて、ならびに、特に、前記の特許に開示されたようにして容易に製造され得る。
【0086】
式Gの化合物は、-C(O)CH2O-X1(両方、ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許7,256,205および7,244,753に記載されている)あるいは-C(O)CH2OC(O)-X1で表される:
[ここで、X1は次のとおり定義される:
-C=A-R2(ここで、Aは(CH)、NまたはSであり、R2は孤立電子対、ニトリル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルカルボニル基、カルボキシアミド基、カルボン酸エステルまたはシクロアルキルアルキル基である);
あるいはX1はさらに次のとおり定義されるKに等しい:
-Wa-Eb-[C-(Re)(Rf)]p-Ec-[C-(Re)(Rf)]x-Wd-[C-(Re)(Rf)]y-(U)-(V);
(ここで、-(U)-(V)は、-Wi-Ej-Wg-[C-(Re)(Rf)]z-T-Qに等しいか;あるいは
UおよびVは、独立して、UはO、Sまたは-N(Ra)(Ri)であり、Vはニトロ、ニトロソまたは水素であり;
a、b、c、d、g、iおよびjは、それぞれ独立して0〜3の整数であり;
p、x、yおよびzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり;
Wa、Wd、WiおよびWgは、独立して-C(O)-、-C(S)-、-T-、-[C-(Re)(Rf)]h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環または-(CH2CH2O)q-であり;
Eは、それぞれ存在するときは、独立して-T-、アルキル基、アリール基、-[C-(Re)(Rf)]h-、複素環、アリール複素環もしく-(CH2CH2O)q-であり;
hは1〜10の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
ReおよびRfは、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、アリールカルボキシアミド、アミジル、カルボキシ、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、スルホン酸エステル、カルバモイル、ウレア、ニトロ、-T-Q、もしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるか;またはReおよびRfは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、カルボニル、メタンチアール、複素環、シクロアルキル基、架橋されたシクロアルキル基であり;
kは1〜3の整数であり;
Tは、それぞれそれぞれ存在するときは、独立して、共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)(Ri)-であり;
oは0〜2の整数であり;
Raは、孤立電子対、水素またはアルキル基であり;
Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボシキアミド、アリールカルボキシアミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキシアミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)または-(N2O2)- ・M+(ここで、M+は有機もしくは無機のカチオンである)である、但し、Riが-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)もしくは-(N2O2)- ・M+ であるとき、またはReもしくはRfがT-Qもしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるとき、Xとして表される「-T-Q」サブグループは、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、複素環またはアリール基であることができる]。
【0087】
ReおよびRfが複素環であるかまたはReおよびRfが一緒になって複素環である場合、Riは、Riがここで定義される基に含まれるジ置換窒素上の置換基であり得る。
【0088】
順に存在する可変部の多様な意味が、「共有結合」として選択されるか、または整数が0である場合、それは、1つの基をもう1つの基に結合する単独の共有結合を意味することを意図する。例えば、E0は共有結合を意味する、一方、E2は(E-E)を意味し、[C-(Re)(Rf)]2は-C(Re)(Rf)-C(Re)(Rf)-を意味する。
【0089】
本発明の種々の態様に基づいて、さらにもう1つの態様は、前記で述べたように、そこで本明細書の参照として組み込まれるU.S.特許7,256,205および7,244,753から容易に識別される、代わりの構造を有する式Gの化合物を用いることを提供する。
【0090】
本発明の式Gに基づく構造を有する前記の化合物は、当分野で周知の原料および方法を用いて、および、特に前記の特許に開示されたようにして容易に製造され得る。
【0091】
本発明の使用を意図される前記の化合物のさらなる別の態様は、U.S.特許番号 7,238,814、7,235,237、7,186,753、7,186,708、7,160,920、7,122,539、7,087,588、6,987,120、6,909,007、6,869,974、6,828,342、6,794,372、6,469,065、6,645,965、6,635,273、6,613,784、6,593,347、6,579,863、6,465,463、6,433,182、6,417,207、6,197,762、6,143,734、6,043,232、5,780,495、5,621,000、5,189,034、RE37,116ならびにU.S.特許出願公開番号 20070248676、20070238740、20070197499、20070112194、20070072854、20070060586、20070010571、20060154905、2006000943、20050176694、20040082652および200462243に記載の種々のNO-供与性基を用いて容易に製造され得ることは、当業者によって十分に理解されるであろう。
【0092】
Wは、ステロイド部分のC-17で結合されたように上記で示されるが、Wは、ステロイド部分のC-11でも結合され得ることは理解されことであろうし、本明細書に明白に開示されており、ここで、Wは前記で定義されたとおりであり、選択的な式A〜Gを含む。さらに、NO-供与性基はC-21が存在するコルチコステロイドのC-21で結合し得る。
【0093】
本発明に基づき、前記の化合物は、気管支拡張剤と共に患者に与えられる。治療は、肺組織への必要とされる薬剤の送達を含む。肺に送達される薬剤は2つのタイプ:抗コリン作用剤またはβ-アゴニストのような気管支拡張剤、およびその抗炎症作用は維持されている上に気管支拡張剤の薬物治療的効果を増強するための前で示されたNO-供与性化合物である。
【0094】
具体的には、1つの態様において、本発明は、i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、およびii) 前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つの治療的有効量を含む、それを必要する患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療用医薬組成物を提供する。
【0095】
もう1つの態様において、本発明は、i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、および前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つの治療的有効量を同時にまたは連続的に投与することを含む、それを必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患を治療するための方法を提供する。
【0096】
さらにもう1つの態様において、本発明は、それを必要する患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療のために、i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、およびii) 前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つの治療的有効量の使用を提供する。
【0097】
さらにもう1つの態様において、本発明は、それを必要する患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療用医薬の製造における、i) 少なくとも1つの気管支拡張剤、またはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物、およびii) 前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つの治療的有効量の使用を提供する。
【0098】
1つの態様において、呼吸器系疾患は慢性の肺疾患である。もう1つの態様において、慢性の肺疾患は、喘息のような肺の閉塞性障害または気腫または慢性気管支炎のよう慢性閉塞性肺疾患から選択される。もう1つの態様において、呼吸器系疾患は、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、肺高血圧、嚢胞性線維症および気管支拡張症もまた含み得る。
【0099】
本発明の文脈中の「連続投与」の用語は、独立した用量での、少なくとも1つの気管支拡張剤および前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つの投与を意味し、ここで、これらの用量は、互いに別に1時間以内に投与される。具体的には、気管支拡張剤およびNO-供与性化合物は、互いに30分以内に独立した用量で患者に投与される。
【0100】
一般的な抗コリン作用性気管支拡張剤は、チオトロピウムおよびイプラトロピウムを含む。本発明においての使用のための代表的なβ2-アゴニストは、サルブタモール(米国でアルブテロールとして知られている)、ビトルテロール メシレート、ホルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、サルメテロール、ターブタリンおよびフェノテロールを含み得る。β-アドレナリン受容体の中に3つの別個の群:β1、β2およびβ3があり、それらは、心臓、気道の平滑筋および脂肪組織中でそれぞれ古典的に確認されている。呼吸器系疾患の治療に関する本発明の文脈において、「β-アドレナリン受容体」および「β-受容体」の用語は、β2-アドレナリン受容体を意味し、「β-アゴニスト」の用語はβ2-アゴニストを意味する。β2-アドレナリン受容体の分子メカニズムは、十分に立証されており、その内容が本明細書に参照として組み込まれる、J Allergy Clin Immunol.2006 Jan;117(1):18-24におけるJohnson, M.に概説されている。
【0101】
全てのGタンパク質共役型受容体のように、β2-受容体は7回膜貫通型α-ヘリクッスを有する。アミノ-末端である1つを有する3つの細胞外ループとカルボキシ-末端を有する3つの細胞内ループがある。受容体は、N-グリコシル化されており、これらの修飾が、細胞膜中への挿入およびアゴニスト-誘発の受容体交換にとって重要である。ヒトβ2-受容体の1つのシステインがパルミトイル化され、カルボキシ-末端を膜に固定する働きをする。ヒトの肺のオートラジオグラフィー研究は、β2-アドレナリン受容体は広く分布しており、気道の平滑筋中(細胞当り30〜40,000)においてばかりでなく、上皮および内皮の細胞、II型細胞および肥満細胞のような、肺におけるその他の細胞上に存在することを提示している。しかしながら、後者の細胞上の受容体密度は、平滑筋中より実質的に低い。
【0102】
β2-受容体には活性型および不活性型の2つの形体がある。休止状態下では、これらの2つの形体は、不活性状態が優勢な平衡状態にある。β2-アドレナリン受容体は、それがグアノシントリホスフェート(GTP)の分子と一緒にGsタンパク質のα-サブユニットと結合すると活性化された形体になる。グアノシンジホスフェートによるGTPの交換は、受容体に対するα-サブユニットの親和性を劇的に減少させ、解離を引き起こし、受容体をその低エネルギーの不活性型に戻すことを誘発する。
【0103】
β2-アドレナリン受容体の活性化は、増加した細胞内のcAMPレベルによって仲介されることは認められている。これは、アデノシントリホスフェートのcAMPへの変換を触媒するアデニル酸シクラーゼの刺激の結果である。β2-アドレナリ受容体のアデニル酸シクラーゼへの結合は、(アデニル酸シクラーゼを刺激する)α-サブユニットおよび(その他のシグナルに変換する)βγ-サブユニットからなる3両体のGsタンパク質により影響を受ける。次いで、cAMPレベルが、それを5'-AMPに退化するホスホジエステラーゼ アイソザイム/イソフォームの活性により調整される。
【0104】
β2-アゴニストの分子構造は、それがβ2-アドレナリン受容体と相互作用する仕方を決める。アルブテロールのような、性質上、親水性である短時間作用性のβ2-アゴニストは、細胞外液の水性コンパートメントから直接β2-アドレナリン受容体の活性部位に接近する。それゆえ、迅速な作用の開始がある。しかしながら、これらの薬剤は急速に再-平衡化し、受容体の活性部位でのそれらの滞留時間は制限され、作用が生じる時間(4〜6時間)は短い。
【0105】
ホルモテロールは長時間作用性β2-アゴニストの一例である。ホルモテロールは適度の脂溶性であり、それはデポー(depot)の形体で細胞膜中に吸収され、そこから、それは、β2-アドレナリン受容体の活性部位と相互作用するために徐々に浸出する。デポーの大きさは、適用されるホルモテロールの濃度または用量により決定される。ホルモテロールの作用の開始は、アルブテロールのそれに比べていくぶん遅れ、活性の持続時間はより長くなり、濃度依存的である。このプロファイルは喘息患者において、気管支拡張作用が、6、12および24μgの投与量後、それぞれ8、10および12時間観測され、臨床的に確認されている。
【0106】
一方、サルメテロールは、アルブテロールより10,000倍以上、より脂溶性である。該分子は、細胞膜内に迅速に(<1分)分配され、次いで、膜を通してβ2-アドレナリン受容体の活性部位に到達するために、ゆっくりのようである(>30分間)この過程で、側面に沿って拡散する。それゆえ、気道平滑筋におけるサルメテロールの作用開始は、アルブテロールおよびホルモテロールのようなその他のβ2-アゴニストよりゆっくりである。サルメテロールの作用メカニズムは、該分子の側鎖の補助的結合部位(エキソサイト)、β2-アドレナリン受容体の第4のドメイン内の高親和性アミノ酸のドメインとの相互作用を含む。サルメテロールは本質的に長時間作用性であるように思われ、その効果は、エキソサイトの結果として用量に依存しない。
【0107】
リガンドの親和性は、その受容体に対する結合の結合活性の尺度である。イソプロテレノールよりずっと大きな親和性を有するβ2-アゴニストはほとんど明らかになっていないし、実際、アルブテロールはβ2-アドレナリン受容体に対して比較的低い親和性を有している。対照的に、サルメテロールおよびホルモテロールは、アルブテロールよりβ2-アドレナリン受容体に対して3-から4-倍の高い親和性を有する。
【0108】
異なるβ2-アゴニストは、自律神経系におけるβ2-アドレナリン受容体を刺激し、気管支攣縮の間に締め付けられ得る気道の周りの筋肉を弛緩させることによって気道を広げ、呼吸困難を和らげる一般的な役割を共有する。
【0109】
β2-アゴニストおよび抗コリン作用剤に加えて、その他の気管支拡張性の化合物が、本発明において用いられ得る。これらは、エフェドリンおよびキサンチンのような他の薬剤を含み得る。代表的なキサンチンは、テオフィリン、アミノフィリンおよびオキシトリフィリンを含む。キサンチンは一般的には吸入により与えられず、他の方法(経口、筋肉内、静脈内、または坐剤により)で投与され得る。
【0110】
ある場合に、望まれる投与形態は、重篤な状態を有する患者による使用に対して意図される。本発明は、薬剤の適切なレベルを維持し、衰弱した状態を有する患者が単回の送達作業の間に意図する用量を達成することが出来る投薬法も指向する。望まれる薬剤は、薬剤の送達が、治療の送達に打ち込まれなければならない日の割り当てで、薬剤の送達が患者に不合理な投薬計画を要求しないように比較的長く作用することができる。
【0111】
本発明において、それらが混合され、共に投与され得るビヒクルが必要とされる。ビヒクルは、溶液もしくは懸濁液または乾燥粉末もしくは懸濁剤の吸入による薬剤の送達のために医薬的に許容される種々のビヒクルを含む。次に述べられるように、吸入による投与のための製剤は、明細書に記載さているか、あるいは、ここで、本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号 5,458,135およびU.S.番号 5,447,150に記載されているようなエアゾール化された医薬としての使用のために製造され得る。
【0112】
本発明のもう1つの態様において、サルブタモールのような気管支拡張剤および少なくとも1つの前記のNO-供与性化合物が、限定されないが、30%DMSO、30%エタノールおよび40%生理食塩水の溶液を含む種々の医薬的に許容されるビヒクル中で提供され得る。
【0113】
本発明のもう1つの態様において、吸入薬剤は、気管支拡張剤およびNO-供与性化合物の治療的有効量を含む。「治療的有効な」量とは、無毒性でかつ所望の治療効果を与えるための化合物の十分な量を意味し、それは、本件の場合、治療される病状または疾病の症状、例えば、喘息およびDOPDのような呼吸器系疾患を和らげる、改善するまたは予防するために効果的な、気管支拡張剤および前記のNO-供与性化合物の用量であろう。
【0114】
もう1つの態様において、少なくとも1つの気管支拡張剤は、β2-アゴニストおよび抗コリン作用剤から選択される気管支拡張剤である。
【0115】
もう1つの態様において、気管支拡張剤は、β2-アゴニストである。さらにもう1つの態様において、β2-アゴニストは、サルブタモール、ビトルテロール メシレート、ホルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、サルメテロール、ターブタリンおよびフェノテロールからなる群から選択される。さらにもう1つの態様において、β2-アゴニストは、サルブタモールのような短時間作用性のβ2-アゴニストである。さらにもう1つの態様において、β2-アゴニストは、ホルモテロールのような長時間作用性のβ2-アゴニストである。
【0116】
もう1つの態様において、気管支拡張剤は、チオトロピウムおよびイプラトロピウムのような抗コリン作用剤である。
【0117】
さらにもう1つの態様において、少なくとも1つの気管支拡張剤は、β2-アゴニストおよび抗コリン作用剤を含む2つの気管支拡張剤である。もう1つの態様において、β2-アゴニスト成分は、サルブタモール、ビトルテロール メシレート、ホルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、サルメテロール、ターブタリンおよびフェノテロールからなる群から選択され、抗コリン性作用成分は、チロトロピウムまたはイプラトロピウムからなる群から選択される。
【0118】
1つの態様において、NO-供与性化合物は、約100μg〜4800μgの1日用量で投与される。もう1つの態様において、1日用量は、約100μg〜2400μgである。
【0119】
本発明における使用のための気管支拡張剤の許容される用量は、当業者に知られている。例えば、Spiriva(商標)の商品名で販売されている抗コリン作用剤のチオトロピウムは、1日当り約5〜30μgの容量でソフト ミスト(soft mist)吸入器から粉末形態で投与され得る。
【0120】
Atrovent(商標)の商品名で販売されている抗コリン作用剤のイプラトロピウムは、1日当り4回、約10μg〜320μg、好ましくは1日当り4回、約40μg〜80μg(全1日の用量約1280μgまで)の用量で、計量式吸入器により投与され得る。噴霧療法のためのイプラトロピウム溶液は、一般的に、1日当り4回、約60μg〜2mg、好ましくは1日当り4回、約250μg〜500μg(全1日の用量約8mgまで)の用量で大人に投与され、1日当り4回、約30μg〜1mg、好ましくは1日当り4回、約125μg〜250μg(全1日の用量約4mgまで)の用量で子供に投与される。
【0121】
β2-アゴニストの許容される用量は、当業者に知られてもいる。
【0122】
Oxeze(商標)またはForadil(商標)の商品名で販売されているホルモテロールは、1日2回、約1μg〜100μg、好ましくは1日2回、約6μg〜24μg(全1日の用量約200μgまで)の用量で、乾燥粉末吸入器または計量式吸入器により投与され得る。
【0123】
Serevent(商標)の商品名で販売されているサルメテロールは、1日2回、約10μg〜200μg、好ましくは1日2回、約50μg(全1日の用量約400μgまで)の用量で、乾燥粉末吸入器または計量式吸入器により投与され得る。
【0124】
Ventolin(商標)の商品名で販売されているサルブタモールは、1日4回、約25μg〜800μg、好ましくは1日4回、約100μg〜200μg(全1日の用量約3.2mgまで)の用量で、乾燥粉末吸入器または計量式吸入器により投与され得る。噴霧器により投与されるとき、許容される用量は、1日4回、約300μg〜20mg、好ましくは1日4回、約1.25mg〜5mg(全1日の用量約80mgまで)である。
【0125】
エフェドリンおよびキサンチンのような他の気管支拡張剤の許容される用量は、当業者に知られてもいる。例えば、エフェドリンは、1日4回、約6mg〜100mg、好ましくは約25mg(全1日の用量400mgまで)の用量で投与され得る。前記のように、キサンチンは、経口(液体の形態、長時間作用性または短時間作用性の丸剤の形態)、筋肉内、静脈内で、または坐剤で投与され得る。テオフィリンは、1日当り約25mg〜5g、好ましくは1日当り約100〜1200mgの用量で投与され得る。アミノフィリンは、1日当り約25mg〜6g、好ましくは1日当り約100mg〜1500mgの用量で投与され得る。オキシトリフィリンは、1日当り約25mg〜6.5g、好ましくは1日当り100〜1600mgの用量で投与され得る。
【0126】
前記NO-供与性化合物に対する気管支拡張剤の吸入製剤においての使用に適した重量比は、前記の計量を用いて決定され得る。例えば、本発明による乾燥粉末吸入器または計量吸入器による吸入による投与のための組成物における、サルブタモールに対するNO-供与性化合物の重量比は、好ましくは約1:8〜4:1の範囲内である。
【0127】
前記の気管支拡張剤およびNO-供与性化合物の好適な生理学的に許容される変形(対応する医薬的に許容される立体異性体、塩、溶媒和物、エステル、水和物、多形体、プロドラッグおよびそれらの類縁物質を含む)が、本発明において用いられ得るし、それらは当業者に知られている。
【0128】
例えば、好適な生理学的に許容される塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、4-メトキシ安息香酸塩、2-もしくは4-ヒドロキシ安息香酸塩、4-クロロ安息香酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、トリカルバリル酸塩、ヒドロキシナフタレンカルボン酸塩またはオレイン酸塩のような、無機および有機酸から誘導される酸付加塩を含み得る。
【0129】
本発明の吸入薬剤は、無菌の単位投与量治療(unit dose treatment)でも提供される。さらに、本発明の無菌の製剤は、該製剤が長期間保存(例えば棚の上で)できるのに好適な吸入溶液で提供されることが期待される。
【0130】
1つの態様において、少なくとも1つの気管支拡張剤および前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つが、同時に投与される。
【0131】
もう1つの態様において、少なくとも1つの気管支拡張剤および前記のNO-供与性化合物の少なくとも1つのTPI-1020が連続的に投与される。
【0132】
1つの態様において、意図する用量の投薬法は、乾燥粉末吸入器もしくは計量吸入器からの吸入により、1日4回の投与、または患者により必要とされるときの投与に対するものであり、ここで、サルブタモールの好適な1日の用量は、100μg〜約3.2mg、好ましくは約400μg〜800μgの範囲にあり、TPI-1020に対する好適な1日の用量は、約100μg〜1600μgの好ましい1日の用量を有する約100μg〜2400μgである。
【0133】
用いられる特定の用量が、投与方法(吸入器のタイプ、経口投与形態対吸入等)、患者(年齢、体重等)および疾病の重篤度(軽い、中程度の、重篤な喘息等)に強く依存するだろうことを、当業者は理解しているであろう。
【0134】
吸入による投与に対して、本発明の組成物は、慣用の方法で製造された加圧型計量吸入器の形態またはVolumatic(Glaxoグループの商標)装置のようなスペーサー装置(spacer divice)との組合せのような、慣用の方法で都合よく送達される。計量吸入器の場合、計量バルブが、組成物の計量された量を与えるために備えられる。噴霧組成物は、例えば、水溶液または懸濁液として製剤化され、噴霧器から吸入され得る。エアゾール噴霧製剤も、例えば、活性成分が、任意に1以上の安定化剤と共に噴射剤(propellant)中に懸濁される場合に、用いられ得る。最も頻繁に用いられるクロロフルオロカーボン噴霧剤は、トリクロロモノフルオロメタン(噴霧剤11)、ジクロロジフルオロメタン(噴霧剤12)、ジクロロテトラフルオロエタン(噴霧剤114)、テトラフルオロエタン(噴霧剤134a)および1,1-ジフルオロエタン(噴霧剤152a)である。ソルビタン トリオレエート、レシチン、ジナトリウム ジオクチルスルホスクシネートまたはオレイン酸のような界面活性剤の低濃度も、物理的安定性を改善するために用いられ得る。2つの薬剤は、同じ方法で別々に投与され得る。
【0135】
あるいは、吸入または通気(insufflation)による投与に対して、本発明の組成物は、例えば、活性成分と乳糖のような適当な担体との粉末混合のような乾燥粉末組成物の形態が取られ得る。粉末組成物は、例えば、粉末がRotahaler(商標)吸入器またはTurbuhaler(商標)吸入器のような吸入器の助けで、またはブリスターパックの場合、Diskhaler(商標)吸入器の方法で投与され得る、カプセル、カートリッジまたはブリスターパックの単位投与形態で提供され得る。
【0136】
一般的に無毒性で医薬に対して化学的に不活性である希釈剤または担体、例えば、医薬に所望の味を与える乳糖、デキストラン、マンニトールもしくはグルコースまたはあらゆる添加剤が、粉末の医薬に加えられ得る。
【0137】
無遵守の薬物治療および服用間違いが、相当な問題である。これらの問題は、前もって包装された、前もって混合された、前もって計量された量の気管支拡張剤とNO-供与性化合物を患者に提供することにより、有意に減少され得る。このようにして、これらの化合物を提供することは、それが、適切な投与量を調製するときの便利さを増し、かつ困惑を除去するので、治療を単純にする。
【0138】
もう1つの態様において、本発明は、喘息およびCOPDのような、気管支攣縮を含む呼吸器系疾患を伴う症状の軽減における使用のための装置も含む。
【0139】
選択的な態様において、本発明のシステムおよび/またはキットは、喘息またはCOPDの治療のための、前もって包装された、前もって混合されたおよび/または単回単位用量の形態の、少なくとも1つの気管支拡張剤と少なくとも1つのNO-供与性化合物の治療的に有効な量を含む吸入製剤を含む。
【0140】
本発明は、少なくとも1つの気管支拡張剤と少なくとも1つのNO-供与性化合物の治療的な有効量の単回単位用量を含む、前もって包装された、前もって計量された、前もって混合された、無菌の吸入製剤を作る方法も提供する。
【0141】
もう1つの態様において、気管支拡張剤およびNO-供与性化合物は、吸入以外の経路により投与され得る。例えば、サルブタモールは、1日当り3〜4回、約0.5mg〜16mg、好ましくは約2mg〜4mg(全1日の用量約200μgまで)の量の液体製剤で、大人に経口で投与され得る。年齢2〜6歳の子供の場合、この様式での投与によるサルブタモールの許容される用量は、0.1mg/kg/日と見積もられ得る。サルブタモールは、徐放の丸剤の形態でも利用可能であり、それは1日2回、約0.5mg〜16mg、好ましくは1日2回、約2mg〜4mg(全1日の用量約32mgまで)の用量で投与され得る。ターブタリンは、1日3〜4回、約1mg〜20mg、好ましくは約5mg(全1日の用量約80mg)の用量の丸剤の形態で、または1日2回、約2mg〜30mg、好ましくは約7.5mg(全1日の用量約60mgまで)の量の徐放の経口の投与形態で、経口的に投与され得る。
【0142】
したがって、本発明は、1以上の医薬的に許容される担体および任意に1以上の他の治療的成分と一緒の対応する医薬製剤における、これらの化合物の使用を提供する。該担体は、製剤中の他の成分と共存でき、それらの受容者にとって有害でないという意味で、「許容される」でなければならない。
【0143】
該製剤は、最も適した経路は、例えば受容者の状態および疾患に依存し得るが、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内)および局所(皮膚、口腔および舌下を含む)投与に適したものを含む。該製剤は、都合よく、単位投与形態で提供され、製薬の分野で周知の方法のいずれかにより製造され得る。
【0144】
全ての方法は、対応する医薬的に許容される立体異性体、塩、溶媒和物、エステル、水和物、多形体、プロドラッグおよびそれらの類縁物質(「活性成分」)を含む前記で定義された製造または化合物を、1以上の補助的な成分を構成する担体と会合した状態にする工程を含む。一般的に、該製剤は、活性成分を液体の担体もしくは細かく分割された固体の担体、または両方と、均一にかつ深く会合した状態にし、次いで、必要なら、生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。
【0145】
本発明での使用を意図した、経口投与に適した製剤は、それぞれ活性成分の所定量を含む、カプセル剤、カシェ剤もしくは錠剤のような独立した単位として;粉末剤もしくは顆粒剤として;水溶性の液体もしくは非水溶性の液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型の液体エマルジョンもしくは油中水型の液体エマルジョンとして提供され得る。活性成分は、ボーラス、舐剤または軟膏としても提供され得る。
【0146】
錠剤は、任意に1以上の補助的な成分とともに、圧縮または成形によって作られ得る。圧縮錠剤は、粉末または顆粒のような流れるように動く活性成分を、任意に結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、潤滑剤(lubricating)、界面活性剤または分散剤と混合して、適当な機械中で圧縮することによって製造され得る。成形錠剤は、粉末状の化合物を不活性な液体の希釈剤で湿らせた混合物を、適当な機械中で成形することによって作られ得る。錠剤は、任意にコーティングされるか、または刻み目をつけられてもよく、そして、錠剤は、そこで活性成分をゆっくりまたは制御して放出するように製剤化され得る。
【0147】
非経口投与のための製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を意図する受容者の血液と等張にする溶質を含み得る水性または非水性の無菌注射溶液;懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の無菌懸濁液を含む。該製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル中で提供され、使用の直前に、無菌の液体担体、例えば、生理食塩水、注射用水の添加のみを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥された)の状態で保存され得る。即時の注射溶液および懸濁液は、前記の種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0148】
口中の局所、例えば口腔または舌下の投与のための製剤は、ショ糖およびアカシアもしくはトラガカントのような味の付いた基剤中に活性成分を含むトローチ剤、ならびにゼラチンとグリセリンまたはショ糖とアカシアのような基剤中に活性成分を含む香錠を含む。
【0149】
吸入による投与のための製剤は、前記ならびにここで本明細書に参照として組み込まれるU.S.特許番号 5,458,135およびU.S.特許番号 5,447,150に記載の様式のようなエアゾール化された医薬としての使用のために製造され得る。
【0150】
好ましい単位用量製剤は、以下に記載のように活性成分の有効用量またはその適当な画分を含むものである。
【0151】
特に前記の成分に加えて、この発明の製剤は、問題の製剤のタイプを考慮して、当該技術分野で慣用な他の物質を含み得る。例えば、経口投与のために適したものは、香料添加剤を含み得る。
【0152】
本発明に基づく使用が意図されるNO-供与性化合物は、一般的に、投与の方法および当業者によく知られている他の臨床的因子に依存して、1日当り約100μg〜1gに匹敵する量で投与され得る。例えば、経口投与のための投薬量は、1日当り約100μg〜約250mgの範囲にあり得る、一方、静脈内で投与される投薬量は、1日当り約100μg〜約1gの範囲にあり得るが、好ましい投与経路は、1日当り約100μg〜約2500μgの範囲の投薬量の吸入によるものである。
【0153】
本発明と共に用いられる化合物は、好ましくは吸入で投与され、第2の選択肢として経口または注射(静脈内または皮下)で投与される。患者に投与される化合物の正確な量は、付随の医者の責務であろう。しかしながら、用いられる用量は、患者の年齢および性別、治療される正確な疾患、およびその重篤度を含む多くの因子に依存する。投与経路も、状態およびその重篤度に依存して変化し得る。
【0154】
有利にも、NO-修飾されたステロイドまたはステロイド(好ましくはコルチコステロイド)の存在中でのNO-供与性化合物が、気管支拡張剤、例えばβ-アゴニストまたはムスカリン性アンタゴニスト等の作用を増強することができるか、または相乗的に影響を及ぼすことができることを発見した。この有利な使用は、組み合せて使用される活性な医薬成分(APIs)の1以上の用量の減少を可能とし得るか、または本明細書に記載されているような組合せで用いられないとき、その同じ用量での効果と比較して、1つまたは両方のAPIsの効果を高めることができる。
【実施例】
【0155】
以下の実施例は、本主題発明に基づく組み合わされた投与および組合せ組成物によって示される有利な増強作用または相乗作用を示すために行なわれた実験研究を記載している。
【0156】
以下に記載のこれらの実施例に記載されている全ての実験は、以下の材料および方法もしくは実験的手順を用いて行なわれた。
【0157】
材料および方法
動物
始終、体重350〜450gの6匹の雄性Dunkin-Hartleyモルモットのグループが用いられた。食餌と水を自由に摂取させた動物を、12時間サイクルで、室内(22 +/- 2℃)に維持した。この作業は、動物(科学的処置)法1986による実験動物の管理と使用のガイドラインにしたがった。
【0158】
呼吸器機能の測定
覚醒モルモットの全身のプレチスモグラフィーを、気道の機能をモニターするために用い、特異的気道コンダクタンス(sGaw)として記録した。該方法は、当初のオシロスコープおよびアングル レゾルバーをコンピュータ化されたデータの取得システムに交換したけれど(Danahayら. Clin. Exp. Allergy 1997; 28: 513-522)、Griffiths-Johnsonらによって(J. Pharmacol. Meth. 1988; 11: 233-240)、記載されている。動物はフェースマスクが取り付けられ、次いで、プレチスモグラフチャンバー内に滑り込まされたレストレイナー(restrainer)に置かれた。コンピュータを、Biopackデータ取得システムを用いてAcqKnowledgeソフトウエアを実行した。このシステムは、動物が呼吸するとき、呼吸流量計(Mercury FIL)を通る空気を参照として、データを取得し保存することを可能とした。ボックスの容積(圧力)において生じる変化が、同時に測定された。
【0159】
気流およびボックスの圧力の変化が、UP1およびUP2圧力変換器(transducer)を用いてそれぞれ測定された。次いで、得られる波形は、流量が0につながる、すなわち終末の呼吸量の点での流量とボックスの圧力の傾きを比較することにより、迅速に解析することができた。空気の圧力と動物の体重を斟酌して、これら2つのパラメータの関数は、特異的気道コンダクタンス(sGaw)に対しての得られる値を与えた。各動物に対して、5呼吸の最小を各時点で解析し、平均値を得、それを報告値とする。
【0160】
本明細書に記載の実験例において、sGaw測定の報告値が、処置をしないヒスタミンまたは抗コリン作用剤惹起に続いて取得された。このヒスタミンまたはメタコリン惹起後の測定された処置前sGaw値が、慣例により、動物に対する100%気管支収縮を確定した。本主題発明の一部である物質を含む、実験物質での処置に続いて、sGaw値(気管支収縮のレベル)が、処置前の値のパーセントとして示された。したがって、100%の処置前sGaw値と比較された10%の処置後sGaw値は、気管支収縮における90%の減少か、または気道過反応(AHR)の90%の減少である。20%の処置後sGaw値は、気管支収縮またはAHRの80%の減少に対応する。したがって、処置後sGaw値が低くなるにつれて、気管支収縮またはAHRの減少が改善する。本主題発明の目的に対して、より望まれる応答は、より低いsGaw値(より小さいヒスタミン-またはメタコリン-誘発気管支収縮、およびより小さいAHR)である。
【0161】
各実験前に、ストレスを減少するために、動物は装置に触れさせ、かつ馴れさせた。記録の合間、動物はプレチスモグラフから移動させ、待機ケージに入れた。
【0162】
スパスモーゲン曝露
ベースラインsGaw値は、20秒間、3mMのヒスタミンまたはメタコリン(0.3mg/ml)に曝露する前の各30分の1日目および2日目に取得された。フェースマスクを鼻に直ぐ付け、密閉したプレチスモグラフチャンバーに入れた。曝露後、0、5および10分にsGawの読み取りを行なった。
【0163】
薬剤/ビヒクル曝露
2日目に、動物はTPI-1020(0.1、0.3および0.63mg/ml)、サルブタモール(3、10、20および30μg/ml;Sigma-Aldrich(製品番号 S5013)からのサルブタモール ヘミスルフェート塩)、ブデソニド(0.32mg/ml;0.63mg/mlのTPI-1020と等モル量)、チオトロピウム(1、3および10μg/ml)、ホルモテロール(0.3、1および3μg/ml)、またはビヒクル(DMSO 30%、エタノール 30%、生理食塩水 40%)への15分間の吸入曝露で処置された。全ての薬剤またはビヒクルは、全身曝露チャンバーで与えられた。次いで、動物は気管支収縮剤、例えばヒスタミンまたはメタコリンに曝露され、sGawの測定が行われた。
【0164】
実施例1:TPI-1020がサルブタモールの気管支拡張作用を増強する
この実施例は、モルモットでのヒスタミン誘発気管支攣縮の除去に対する、TPI-1020とサルブタモールとの組合せの相乗または増強効果に関する。
【0165】
図1Aの結果は、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、モルモットでのヒスタミン誘発気管支攣縮除去における、TPI-1020種々の用量の効果を示している。ベースラインは、ヒスタミン惹起(3mM)の前30分の1日目、2日目に取得された。ヒスタミン曝露に続いて、sGaw値が100%気管支収縮またはAHRを決めるために測定された。2日目に、動物がヒスタミン惹起の前15分にビヒクル(活性量「0」)またはTPI-1020の特定用量(0.1mg/ml、0.3mg/mlまたは0.63mg/ml)のいずれかで処置された。各用量でのsGawが、ヒスタミン曝露後の0、5および10分で得られた記録から決定され、平均sGawが決定された。2日目のsGaw値が、1日目のsGaw値(100%)と比較した気管支収縮の阻害パーセントとして表された。各先端部または報告値は、平均+/- S.E.M(n=6)を表す。統計的有意性は、スチューデントのペアt検定を用いてp<0.05に対して決定された。
【0166】
図1Aに示されるように、TPI-1020の0.1mg/mlでの処置は、79% sGawまたは気道過反応(AHR)の21%阻害(無有意差阻害)を生じ、TPI-1020の0.3mg/mlは、52% sGaw(ヒスタミンに対するAHRの48%阻害)(p<0.05)を生じた。一方、動物がTPI-1020の0.63mg/mlで処置されたとき、AHRは95%(5% sGaw)(p<0.01)まで減少した。
【0167】
対照的に、図1Bに示されるように、ブデソニドの等モル量(0.32mg/ml)は、0.63mg/ml用量でのTPI-1020の95%の阻害作用に比較して、ヒスタミン惹起の気管支収縮のたった35%の阻害(p<0.05)を生じた。
【0168】
サルブタモールでの処置もヒスタミン惹起の気管支収縮に対する予防効果をもたらした。図1Cに示されるように、30μg/mlの用量でのサルブタモールでの処置は、ヒスタミンに対して84%(p<0.05)でAHRを減少した。しかしながら、サルブタモールは、3、10および20μ/mlのより低用量で有意な阻害効果を有さなかった。
【0169】
動物がTPI-1020の0.3mg/mlおよびサルブタモールの20μg/mlの組合せで処置されたとき、AHRは完全に撤廃された(p<0.01)(図1D)。各活性体のこれらの同じ用量のみでは、それぞれたった48%および2%の阻害を示した(図1Aおよび1C参照)。サルブタモールの20μg/mlと組み合せて、TPI-1020の用量を0.1mg/mlへ減少させることは、有意な気管支拡張効果を維持した(77%の阻害、p<0.05)。
【0170】
これらの結果は、サルブタモールの特定の用量と組み合わされたTPI-1020の特定の用量が、ヒスタミン惹起で誘発された気管支収縮を有意に阻害することにより、増強または相乗効果を引き起こすことを示した。
【0171】
図1A〜1Dに示した実験結果は、次の表1に示される。
【表1】

【0172】
実施例2:NO-供与体+ステロイド+気管支拡張剤
この実施例は、モルモットのヒスタミン誘発気道攣縮の除去に対する、NO-供与体、ステロイドおよび気管支拡張剤の組合せの相乗または増強効果を示すために行なわれた実験に関する。
実施例1のように、これらの実験において、ヒスタミン-誘発気管支収縮またはAHRに対する100%値を決定するために、ベースラインの読み取りが、処置の前(処置前)の1日目に行なわれた。2日目に、コントロールとしてビヒクルを用い、動物をビヒクル、またはビヒクル+1つの活性体もしくは活性体の組合せで処置した。ヒスタミン曝露後(処置後)、0、5および10分で得たsGawの記録から、平均sGawを決定した。2日目のsGaw値を、100%に設定された1日目のsGaw値からのパーセントとして表した。各先端部は、平均+/- S.E.M(n=6)を表す。統計的有意性は、スチューデントのペアt検定を用いてp<0.05に対して決定された。
【0173】
図2A〜2Dは、NO-供与体単独(例えばTPI-1020またはSNAP);ステロイド単独(例えばブデソニド);気管支拡張剤と組み合せたステロイド(例えばブデソニド+サルブタモール);NO-供与体と組み合せたステロイド(例えばブデソニド+SNAP)、ステロイド存在下でのNO-供与体の気管支拡張剤との組合せ(例えばSNAP+サルブタモール+ブデソニド)と比較して、モルモットを、ヒスタミン-誘発気管支収縮後に、TPI-1020またはS-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)のようなNO-供与体とサルブタモールのような気管支拡張剤との組合せで処置することによって気道の感応性が増強されることを示した結果を表したものである。
【0174】
図2Aの結果は、特異的気道コンダクタンス(sGaw)により測定された、モルモットでのヒスタミン-誘発気管支攣縮除去における、TPI-1020種々の用量の効果を示している。ベースラインの読み取りは、ヒスタミンにより誘発された100%の気管支収縮またはAHRを決定するために、ヒスタミン惹起(3mM)の前30分の1日目、2日目に行なわれた。2日目に、動物がビヒクル(veh)またはTPI-1020の特定用量(0.1mg/ml、0.3mg/mlまたは0.63mg/ml)のいずれかで処置された。図2Aに示されるように、TPI-1020の0.1mg/mlでの処置は、気道過反応(AHR)の17%阻害(無有意性阻害)を生じ、TPI-1020の0.3mg/mlでの処置は、ヒスタミンに対するAHRの50%阻害(p<0.05)を生じた。一方、動物がTPI-1020の0.63mg/mlで処置されたとき、AHRは72%まで減少した(p<0.05)。この気管支収縮の阻害は、ブデソニドの等モル量(0.32mg/ml)単独を用いてのAHRのたった35%の減少(p<0.05)であるのと対照的に、、TPI-1020により示された。0.15および0.31mg/mlのS-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)でのAHRの阻害は、図2Cに示され、それぞれ19%および47%の減少を生じた。0.31mg/mlの使用のみ、統計学的有意性(p<0.05)を示した。
【0175】
図2Dにおいて、TPI-1020(0.11mM)、ブデソニドの0.11mM、SNAPの0.7mMおよびサルブタモールの20μg/mlは、AHRのほんのわずかの減少を引き起こすことが示された(グラフの左側からバー2〜5)。サルブタモールと組み合わされたブデソニドの同量も、AHRの有意な減少を与えることはできなかった(グラフのバー8)。これらの結果は、サルブタモールとTPI-1020の組合せを用いて増強作用または相乗作用を示す(77%、グラフのバー6)、TPI-1020の0.11mM+サルブタモールの20μg/mlの再度の結果と対照的である。これらの結果も、増強作用または相乗作用はTPI-1020のステロイド部分の結果ではないことを示している。
【0176】
図2Dはまた、サルブタモールのような気管支拡張剤が、TPI-1020(NO-修飾コルチコステロイド)またはSNAP(NO-供与体)+ブデソニド(コルチコステロイド)のような、ステロイド存在下で投与されるときのNO-供与性化合物により増強されることを示すことを目的とした実験の結果を示している。具体的に、図2Dは、NO-供与体(例えばTPI-1020またはSNAP)、ステロイド(例えブデソニド)または気管支拡張剤(例えばサルブタモール)の投与は、単独で用いられたとき、AHRを有意に減少しないことを示している。さらに、ステロイド(ブデソニド)とNO-供与体の組合せも、AHRを有意に減少しない。さらに、NO-供与体(SNAP)と気管支拡張剤(サルブタモール)の組合せは、AHRの有意な減少を示す(54%阻害、p<0.05)。しかしながら、NO-供与体とステロイド(TPI-1020)ならびに気管支拡張剤(サルブタモール)が組み合わされるとき、NO-供与体と気管支拡張剤でのものより、AHRにおいてより大きな有意な減少が観察される。
【0177】
2つの作用剤、サルブタモール+TPI-1020の組合せは、ヒスタミン惹起で気道収縮の最も大きな減少(77%)を与えたのに対して、3つの作用剤、サルブタモール+ブデソニド+SNAPの組合せは、同等の気管支収縮の減少(AHRの73%減少)を与えた。このことは、3つの成分(気管支拡張剤/NO-供与体/ステロイド)が、ヒスタミンに対する応答でのAHRを有意に減少することに最も効果的であることを示唆している。
【0178】
これらの結果は、ヒスタミン惹起での気管支収縮において予測されなかった相乗的または増強された減少を与えることができる好ましい処置は、ステロイド成分、気管支拡張剤成分およびNO-供与体成分を提供する1以上の作用剤の投与から生じることの発見と一致する。具体的には、これらの結果は、ステロイド、気管支拡張剤およびNO-供与体の各成分を提供しないこれらの作用剤のいくつかの組合せと対比して、サルブタモール(気管支拡張剤)、ブデソニド(ステロイド)およびSNAP(NO-供与体)の投与が、ヒスタミン-誘発気管支収縮において増強された減少を与えることを実証している。さらに、これらの結果は、1以上が単独の作用剤と組み合わされるとき、これらの3つの成分の提供により目的を達成することができることを実証している。例えば、これらの結果は、サルブタモール(気管支拡張剤)+ステロイド成分とNO-供与体成分の両方を提供するTPI-1020との組合せにより、増強作用または相乗作用が達成されることを確証している。
【0179】
図2A〜2Dで示される結果が、次の表2で示される。
【表2−1】

【0180】
【表2−2】

【0181】
実施例3:TPI-1020+サルブタモールの気管支拡張作用の持続
この実施例は、モルモットのヒスタミンで誘発された気管支攣縮の除去に対する、ニトロ誘導されたコルチコステロイド(TPI-1020)と気管支拡張剤(サルブタモール)との組合せの相乗または増強効果の持続を実証するために行なわれた実験に関する。
【0182】
図3は、ヒスタミンで誘発された気管支収縮に対する、NO-供与体(サルブタモール)とNO-供与体(TPI-1020)との組合せの予防効果の持続を示している。ヒスタミンで誘発された100%の気管支収縮またはAHRを決定するために、ベースラインの読み取りが処置の前(処置前)の1日目に行なわれた。2日目に、動物が、ヒスタミン惹起の前、30、60または90分に、ビヒクル、サルブタモール、TPI-1020のいずれか、またはTPI-1020とサルブタモールとの組合せで処置された。ヒスタミン曝露後(処置後)、0、5および10分に、sGawの記録が行なわれた。2日目のsGaw値は、100%に設定された1日目のsGaw値のパーセントとして表される。各先端部は、平均+/- S.E.M(n=6)を表す。統計的有意性は、スチューデントのペアt検定を用いてp<0.05に対して決定された。図3は、気管支拡張剤と組み合せてNO-修飾ステロイドを用いる組合せ処置は、処置後少なくとも90分間、AHRを有意に減少し、一方、NO-修飾ステロイド(TPI-1020)単独は、たった30分間、AHRを有意に減少し、気管支拡張剤(サルブタモール)はたった60分間、AHRを有意に減少した。
【0183】
図3に示される実験の結果は、次の表3に示される。
【表3】

【0184】
実施例4:TPI-1020+ホルモテロールの気管支拡張効果
この実施例は、モルモットでのヒスタミン誘発の気管支攣縮の除去に対する、TPI-1020とホルモテロールとの組合せの効果を示すことによって、TPI-1020が長時間作用性のβ-アゴニスト(LABAs)を含むβ-アゴニストクラス中の他の気管支拡張剤の作用を増強することを実証するために行なった実験に関する。
【0185】
図4Aは、ヒスタミン誘発の気管支収縮におけるホルモテロールでの処置に対する気道の応答性を示す。ベースラインの読み取りが、ヒスタミンで誘発された100%気道収縮またはAHRを決定するために処置の前(処置前)の1日目に行なわれた。2日目に、動物が、ヒスタミン惹起の前90分に、ビヒクル、サルブタモールまたはホルモテロールの0.3、1.0または3.0μg/mlのいずれかで処置された。ヒスタミン曝露後(処置後)、0、5および10分に、sGawの記録が行なわれた。2日目のsGaw値は、100%に設定された1日目のsGaw値のパーセントとして表される。各先端部は、平均+/- S.E.M(n=6)を表す。統計的有意性は、One way ANOva、ポスト-ホック Tukeysを用いてp<0.05に対して決定された。
【0186】
ホルモテロールの各用量は、ヒスタミン惹起でのAHRにおける有意な減少を示したが、0.3および1.0μg/ml用量の両方は、40%未満でAHRを減少した。1.0μg/mlのホルモテロールと組み合わされたTPI-1020の0.3mg/mlは、64%までAHRを有意に減少した(図4B)。このことは、TPI-1020と組み合せで用いられたとき、ホルモテロールのような気管支拡張剤のより低用量を用いて有効性が達成され得ることを示唆している。
【0187】
図4Aおよび4Bで示される実験の結果が、次の表4に示される。
【表4】

【0188】
実施例5:TPI-1020+チオトロピウムの気管支拡張効果
この実施例は、モルモットでのメタコリン誘発の気管支攣縮の除去に対するTPI-1020とチオトロピウムとの組合せの効果を示すことによって、TPI-1020がβ-アゴニストクラス以外の他のクラスの気管支拡張剤の作用を増強することを実証するために行なわれた実験に関する。
【0189】
図5は、メタコリンで誘発された気管支収縮におけるチオトロピウムでの処置に対する気道の応答性を示す。チオトロピウムは、前記のサルブタモールのようなβ-アゴニスト気管支拡張剤と異なる、抗ムスカリン作動性または抗コリン作動性の気管支拡張剤である。ヒスタミンで誘発された100%の気管支収縮またはAHRを決定するために、ベースラインの読み取りが処置の前(処置前)の1日目に行なわれた。ヒスタミン曝露後(処置後)、0、5および10分に、sGawの記録が行なわれた。3日目のsGaw値は、100%に設定された定義のメタコリン惹起後(処置前)の1日目のsGaw値のパーセントとして表される。各先端部は、平均+/- S.E.M(n=6)を表す。統計的有意性は、スチューデントのペアt検定を用いてp<0.05に対して決定された。
【0190】
3日目に、動物は、ビヒクル単独、チオトロピウムの1.0、3.0または10.0μg/mlで処置された。図5Aは、3.0および10.0μg/mlのチオトロピウムを用いたとき、処置前に対してAHRの有意な減少(それぞれ、AHRの約73%および85%の減少)を示している。チオトロピウムの0.1μg/mlの用量は、40%未満のAHRの減少を与えた。図5Bは、3日目に、0.3mg/mlのTPI-1020の投与は、メタコリン惹起前の30分に投与されたとき、処置前に測定されたAHRと比較して、AHRの80%以上の減少与えるが、メタコリン惹起前の90分に投与されたとき、AHRの40%未満の減少を与えることを示している。TPI-1020の0.1mg/mlの投与は、メタコリン惹起前の30分または90分に与えられたとき、処置前に測定されたAHRと比較して、15%未満の減少を与える。しかしながら、図5Cに示されるように、チオトロピウムの1.0μg/ml用量との組合せの0.1mg/mlほどの少ない用量のTPI-1020はAHRにおいて有意な減少を示した。具体的には、図5Cは、TPI-1020の0.1mg/mlと1.0μg/mlのチオトロピウムとの組合せは、80%までAHRの減少を示している、一方、1.0μg/mlのチオトロピウム単独では40%未満AHRを減少し、0.1mg/mlのTPI-1020単独では15%未満AHRを減少することを示している。
【0191】
図5A〜5Cで示される実験の結果が、次の表5に示される。
【表5】

【0192】
前記のことは、この発明の例証、説明および実施態様の記載のために提供される。これらの態様に対しての修飾および適合は、当業者にとって明らかであろうし、この発明の範囲または精神から逸脱することなしになされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 呼吸器系疾患の治療に有用な少なくとも1つのコルチコステロイド;および
(ii) β-アゴニスト、抗コリン作用薬、メチルキサンチンおよびホスホジエステラーゼ阻害剤からなる群より選択される少なくとも1つの気管支拡張剤、またはそれらの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物;および
(iii) 供与体が、不活性担体、NO-をコルチコステロイドに結合する結合基、およびNO-を気管支拡張剤に結合する結合基からなる群から選択されるNO-供与体
を含む、ヒトの患者における炎症を伴う呼吸器系疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
NO-供与体がコルチコステロイドに結合している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
NO-供与体が気管支拡張剤に結合している、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
NO-供与体がコルチコステロイドおよび気管支拡張剤とは別の化合物である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
吸入により投与可能な、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
コルチコステロイドが、ヒトでの吸入による呼吸器系疾患の治療に適した量にある、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
気管支拡張剤が付加的な治療効果をもたらすのに適した量にある、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
コルチコステロイド、気管支拡張剤およびNO-供与体の組合せが、それらの作用剤の1つを欠いた患者の治療と比較して、ヒトの患者において相乗効果を与える、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記のコルチコステロイド、気管支拡張剤またはNO-供与体の少なくとも1つが、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で与えられ、気管支収縮-誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを実質的に含まない組成物と比較して有意な減少を与える、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
気管支収縮-誘発剤がヒスタミンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
気管支収縮-誘発剤がメタコリンである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
気管支収縮における有意な減少が統計的に有意なp<0.05である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項13】
気管支収縮における有意な減少が統計的に有意なp<0.01である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項14】
組成物が、気管支収縮-誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを実質的に含まない組成物と比較して少なくとも50%の減少を与える、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
気管支収縮または気道過反応(AHR)の減少が、約70%〜約100%の間にある、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記のコルチコステロイド、気管支拡張剤またはNO-供与体の少なくとも1つが、単独で投与される場合の最適用量より少ない用量で含まれる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
コルチコステロイドの用量が、単独で投与される場合の最適用量より少ない、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項18】
気管支拡張剤の用量が、単独で投与された場合の最適用量より少ない、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項19】
コルチコステロイドが、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルオシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニスプロン ナトリウム21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
製剤が、ニューロキニン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、マストセル安定化剤、CD137アゴニスト、IL-4、IL-5、IL-9、IL-13および/またはそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをアンタゴナイズするサイトカインアンタゴニスト、抗IgE抗体、5-リポオキシゲナーゼ阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、合成トリプタミン、粘液溶解剤、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、およびあらゆる前記の組合せからなる群から選択される追加の活性剤をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項21】
NO-供与体がコルチコステロイドに結合して、式(3):
A − W (3)
(式中、Aはコルチコステロイドであり、Wはそれに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる酸化窒素(NO)供与性部分である)
の化合物を与える、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項22】
NO-供与体がコルチコステロイドに結合して、式(4):
【化1】

(式中、Wはそれに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる酸化窒素(NO)供与性部分である)
の化合物を与える、請求項1または21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
Wが、さらに式A〜Gの1つから選択される、請求項14に記載の医薬組成物組成物:
式Aの化合物は、-C(O)-L-(XO)-(X1)-NO2で表される:
[ここで、Lは(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'aおよびn''aは互いに同一または異なって、0〜6、好ましくは1〜3の整数であり;n'b、n''bおよびn'''bは互いに同一または異なって、0または1に等しい整数であり、R4'、R5'、R4''、R5''は互いに同一または異なって、H、C1-C5、好ましくはC1-C3の直鎖状または分枝鎖状のアルキルから選択され;
X0=O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキルである)であり;
ステロイド骨格と結合基X1との間の結合は、エステルまたはアミド型であり、
X1は、次から選択される2価の結合基である:
【化2】

(ここで、n3は0〜5の整数であり、n3'は1〜3の整数である);
【化3】

(ここで、n3およびn3'は前記の意味を有する)、または
【化4】

(ここで、
nIXは0〜10、好ましくは1〜3の整数であり;
nIIXは1〜10、好ましくは1〜5の整数であり;
RTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'は互いに同一または異なって、HまたはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルであり、好ましくはRTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'はHであり;
Y3は、1〜3、好ましくは1〜2のヘテロ原子を含む5または6原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の複素環であり、該へテロ原子は同一または異なって、窒素、酸素、硫黄から選択され、好ましくは窒素であり;
t3は0または1であり;
Zは次の意味:
【化5】

(ここで、
* はONO2基の位置を示し;
T は次の意味:
-COX3-、-X3CO-(ここで、X3=Sまたは前記で定義されたXOである);
前記で定義された-X3-であり;
n3およびn'3は前記で定義されたとおりである)
を有する、
【化6】

または、Y3は次の2価の基から選択される:
【化7】

または
-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表される:
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、LおよびXは、LおよびX0として前記で定義されたとおりであるが、X1はY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジであり、
ここで、Y-Oについて、Yは、直鎖状または可能な場合は分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくは2〜5の炭素原子を有するアルキレン、または任意に置換されていてもよい5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであり;
Y1について、Yは、前記で定義されたYAR1、YAR2およびYPから選択され、より具体的には
【化8】

(ここで、n3は0〜3の整数である);
【化9】

【化10】

(ここで、nf'は1〜6、好ましくは2〜4の整数である);または
【化11】

(ここで、R1f=H、CH3であり、nfは1〜6、好ましくは2〜4の整数である)である]、または
-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表される:
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、
Lは前記で定義されたとおりであり;ここで、na、n'aおよびn''aは、互いに同一または異なって0〜6、好ましくは1〜3の整数であり;nb、n'b、n''bおよびn'''bは0または1に等しい整数であり;R4およびR5は、互いに同一または異なって、H、直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜5、好ましくは1〜3の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され;
Xは、O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、OH、CH3、Cl、N(-CH2-CH3)2、SCH2F、SH、
【化12】

である)に等しく、
X1は、前記で定義されたY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジである]、または
C(O)-L-(X0)-(X1)-NO2で表される:
[ここで、Lは、(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'a、n''a、n'b、n''bおよびn'''bは0である)(したがって、LはCH2Oである)であり、
X0はC=Oであり、
X1は2価の結合基YAR1、好ましくは、
【化13】

である]、
式Bの化合物は、-C(O)CH2O-XZあるいは-C(O)CH2OC(O)-XZで表される:
[ここで、Xzは次のとおり定義される:
【化14】

(式中、XはO、S、NHまたはNHR1(ここで、R1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)であり;
Yは次のa)〜h)の意味を有する2価の基である:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはTO(ここで、TOは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20、好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキレン;あるいは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;
b)
【化15】

c)
【化16】

(ここで、上記のb)およびc)について、nは0〜20の整数であり、n1は0〜20の整数である)
d)
【化17】

(ここで、n1は上記で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり;X1は-OCO-または-OCO-であり、R2はHまたはCH3である)
e)
【化18】

(ここで、n1、n2、R2およびX1は前記で定義されたとおりであり;Y1は-CH2-CH2-または-CH2=CH2-(CH2)n2-のいずれかである)
f)
【化19】

(ここで、n1およびR2は前記で定義されたとおりであり;R3はHまたはCOCH3である);但し、Yがb)〜f)で述べられた2価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1に結合している;
g)
【化20】

(ここで、X2はOまたはSであり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は前記で定義されたとおりである)
h)
【化21】

(ここで、n4は0〜10の整数であり;n5は1〜10の整数であり;R4、R5、R6およびR7は同一または異なって、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C10アルキルであり;好ましくは、R4、R5、R6およびR7はHであり;ここで、-ONO2基は次の構造:
【化22】

(ここで、n5は前記で定義されたとおりである)に結合しており;
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、複素環式の飽和、不飽和または芳香族の5または6員環であり、次の構造H1〜H13から選択される:
【化23】

式Cの化合物は、-C(O)CH2O-(X1-ONO2)Sあるいは-C(O)CH2OC(O)-(X1-ONO2)Sで表される:
(ここで、sは1または2に等しい整数であり、X1は少なくとも1つのハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なとき分枝鎖状のC1-C6、好ましくは3〜5の炭素原子を有するアルキレンであるか、またはX1は-(CH2-CH2-O)2-または-(CH2-CH2-S)2-に等しい2価の基である);
式Dの化合物は、-C(O)CH2O-B-Cで表される:
[ここで、X1は次のとおり定義される:
【化24】

(式中、R1-R12は、同一または異なって、独立して、水素、アリールで任意に置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6アルキルであり;m、n、o、q、rおよびsは、それぞれ独立して0〜6の整数であり、pは0または1であり、XはO、S、SO、SO2、NR13もしくはPR13(ここで、R13は水素、C1-C6アルキルである)であるか、またはXは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;1以上のハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜4の炭素原子を含むアルキルまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6パーフルオロアルキルで任意に置換されていてもよいアリレン;前記の構造H1〜H13から選択される、5または6員の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環から選択される)];
式Eの化合物は、-C(O)CH2O-B-CZで表される:
[ここで、CZは有機ナイトライトもしくはナイトレート化合物、または他の酸化窒素供与性部分であり、Bはステロイド骨格をC-21位の直末端のヒドロキシで、該21位に隣接して誘導されたアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネート結合を介して該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーであり;
ここで、B-CZはR1(ここで、R1は、亜硝酸エステル(-ONO)、硝酸エステル(-ONO2)、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロールナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような、非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体の1つから選択されるか、または
B-CZは次の構造に等しい:
【化25】

(ここで、nは1〜4の整数であり;X=OまたはS;Y=メチレン、OまたはNH2;Z=OまたはNH2);または
W= 式E'で、E'は-C(O)CH2O-(B'-CZ)である
[ここで、B'はステロイド骨格をC-21位の直に隣接したヒドロキシで、該21位に隣接していないアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネート結合を介して該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーである];または
(B'-CZ)がR'1である式E'
(ここで、R'1は、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロールナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体から選択されるか、または
R1は、NO供与性基で適当に置換された、次の化学部分:置換または非置換の低級アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非置換のシクロ-アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非無置換のヘテロ-サイクル;置換または非置換のチオール;置換または非無置換のアルキルメルカプタン、ニトロソチオールおよびニトロソアミンのいずれかから選択され得る)
式Fの化合物は、-C(O)CH2O-Kあるいは-C(O)CH2OC(O)-Kで表される:
[ここで、Kは次のとおり定義される:
-Y-(CR4R4')p-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')o-[フェニル]-T-(CR4R4')p-ONO2
(ここで、Tはオルト、メタまたはパラである);
-Y-B-[ピペラジニル]-W-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-B-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-C(O)-(CR4R4')p-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-C(Z)-(CH2)q-T-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')o-(W)q-(CH2)q-V-(CR4R4')o-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-O-NRj-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2];
式Gの化合物は、-C(O)CH2O-X1あるいは-C(O)CH2OC(O)-X1で表される:
[ここで、X1は次のとおり定義される:
-C=A-R2(ここで、Aは(CH)、NまたはSであり、R2は孤立電子対、ニトリル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルカルボニル基、カルボキシアミド基、カルボン酸エステルまたはシクロアルキルアルキル基である);
あるいはX1はさらに次のとおり定義されるKに等しい:
-Wa-Eb-[C-(Re)(Rf)]p-Ec-[C-(Re)(Rf)]x-Wd-[C-(Re)(Rf)]y-(U)-(V);
(ここで、-(U)-(V)は、-Wi-Ej-Wg-[C-(Re)(Rf)]z-T-Qに等しいか;あるいは
UおよびVは、独立して、UはO、Sまたは-N(Ra)(Ri)であり、Vはニトロ、ニトロソまたは水素であり;
a、b、c、d、g、iおよびjは、それぞれ独立して0〜3の整数であり;
p、x、yおよびzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり;
Wa、Wd、WiおよびWgは、独立して-C(O)-、-C(S)-、-T-、-[C-(Re)(Rf)]h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環または-(CH2CH2O)q-であり;
Eは、それぞれ存在するときは、独立して-T-、アルキル基、アリール基、-[C-(Re)(Rf)]h-、複素環、アリール複素環または-(CH2CH2O)q-であり;
hは1〜10の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
ReおよびRfは、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、アリールカルボキシアミド、アミジル、カルボキシ、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、スルホン酸エステル、カルバモイル、ウレア、ニトロ、-T-Q、もしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるか;またはReおよびRfは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、カルボニル、メタンチアール、複素環、シクロアルキル基、または架橋されたシクロアルキル基であり;
kは1〜3の整数であり;
Tは、それぞれ存在するときは、独立して、共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)(Ri)-であり;
oは0〜2の整数であり;
Raは、孤立電子対、水素またはアルキル基であり;
Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボシキアミド、アリールカルボキシアミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキシアミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)または-(N2O2)- ・M+(ここで、M+は有機もしくは無機のカチオンである)である、但し、Riが-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)もしくは-(N2O2)- ・M+ であるとき、またはReもしくはRfがT-Qもしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるとき、Xとして表される「-T-Q」サブグループは、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、複素環またはアリール基であることができ、ここで、ReおよびRfが複素環であるかまたはReおよびRfが一緒になって複素環である場合、RiはRiがここで定義される基に含まれるジ置換窒素上の置換基であり得る]。
【請求項24】
コルチコステロイドとNO-供与体が式1の構造を有する、請求項1〜2のいずれか1つに記載の医薬組成物:
【化26】

(ここで、
Aは、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニソン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオトメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニゾロン ナトリウム 21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン、ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサアセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択されるコルチコステロイドであり;
Xは、C1-C5の分枝鎖状または直鎖状のアルキルであり;
Yは、(ONO2)または(ONO)のいずれかである;但し、Aは、C-11もしくはC-17位により式1の残り部分に結合している)。
【請求項25】
Aがブデソニドから選択され、XがCH2であり、Yが(ONO2)であり、AがC-17位で式1の残りの部分に結合している、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項26】
コルチコステロイドがブデソニドであり、NO-供与体がブデソニドに結合して、式2:
【化27】

の化合物を与える、請求項1〜2および5〜14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項27】
気管支拡張剤がβ2-アゴニストである、請求項1〜26のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項28】
少なくとも1つの気管支拡張剤が抗コリン作用薬である、請求項1〜26のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項29】
β2-アゴニストが、サルブタモール、ビトルテロール メシレート、ホルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、サルメテロール、ターブタリンおよびフェノテロールから選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項30】
β2-アゴニストが短時間作用性のβ2-アゴニストである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項31】
短時間作用性のβ2-アゴニストがサルブタモールである、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
式1の化合物:サルブタモールの重量比が約1:8〜約4:1である、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
β2-アゴニストが長時間作用性のβ2-アゴニストである、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項34】
長時間作用性のβ2-アゴニストが、ホルモテロールまたはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
抗コリン作用薬がチオトロピウムまたはイプラトロピウムから選択される、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの気管支拡張剤が、β2-アゴニストおよび抗コリン作用薬を含む、請求項1〜35のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項37】
呼吸器系疾患が慢性の肺疾患である、請求項1〜35のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項38】
慢性の肺疾患が喘息およびCOPDから選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
呼吸器系疾患が、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、肺高血圧、嚢胞性線維症および気管支拡張症から選択される、請求項1〜35のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【請求項40】
NO-供与体がS-ニトロソ-N-アセチルペニシラミン(SNAP)である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項41】
コルチコステロイドがブデソニドである、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
治療を必要とする患者における炎症を伴う呼吸器系疾患の治療用医薬の製造における、(ii) β-アゴニスト、抗コリン作用薬、メチルキサンチンおよびホスホジエステラーゼ阻害剤、またはそれらの生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される少なくとも1つの気管支拡張剤;および(iii) 供与体が、不活性担体、NO-をコルチコステロイドに結合する結合基、およびNO-を気管支拡張剤に結合する結合基からなる群から選択されるNO-供与体と、(i) 同時にまたは連続的に投与される、呼吸器系疾患の治療に有用な少なくとも1つのコルチコステロイドの治療的有効量の使用。
【請求項43】
NO-供与体がコルチコステロイドに結合している、請求項42に記載の使用。
【請求項44】
NO-供与体が気管支拡張剤に結合している、請求項42に記載の使用。
【請求項45】
NO-供与体がコルチコステロイドおよび活性剤とは別の化合物である、請求項42に記載の使用。
【請求項46】
吸入により投与され得る、請求項42に記載の使用。
【請求項47】
コルチコステロイドが、ヒトでの吸入による呼吸器系疾患の治療に適した量にある、請求項44に記載の使用。
【請求項48】
気管支拡張剤が付加的な治療効果をもたらすのに適した量にある、請求項42に記載の使用。
【請求項49】
コルチコステロイド、活性剤、およびNO-供与体の組合せが、それらの1つを欠いて患者を治療する場合と比較して、ヒトの患者における相乗効果をもたらす、請求項42に記載の使用。
【請求項50】
コルチコステロイドの用量が単独で投与された場合の最適用量より少ない、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
活性剤の用量が、単独で投与された場合の最適用量より少ない、請求項41に記載の使用。
【請求項52】
前記のコルチコステロイド、気管支拡張剤またはNO-供与体の少なくとも1つが、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で提供され、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを実質的に含まない組成物と比較して、気管支収縮誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において有意な減少をもたらす、請求項41に記載の使用。
【請求項53】
気管支収縮-誘発剤がヒスタミンである、請求項52に記載の使用。
【請求項54】
気管支収縮-誘発剤がメタコリンである、請求項52に記載の使用。
【請求項55】
気管支収縮における有意な減少が統計的に有意なp<0.05である、請求項52に記載の使用。
【請求項56】
気管支収縮における有意な減少が統計的に有意なp<0.01である、請求項52に記載の使用。
【請求項57】
組成物が、気管支収縮-誘発剤への曝露に続く気管支収縮または気道過反応(AHR)において、前記のコルチコステロイド、活性剤またはNO-供与体の少なくとも1つを含まない組成物と比較して、少なくとも50%の減少をもたらす、請求項41に記載の使用。
【請求項58】
気管支収縮または気道過反応(AHR)の減少が、約70%〜約100%の間にある、請求項57に記載の使用。
【請求項59】
前記コルチコステロイド、気管支拡張剤またはNO-供与体の少なくとも1つが、単独で投与された場合の最適用量より少ない用量で提供される、請求項57に記載の使用。
【請求項60】
コルチコステロイドが、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニゾン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルオシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオロメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニスプロン ナトリウム21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択される、請求項42に記載の使用。
【請求項61】
ニューロキニン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、マストセル安定化剤、CD137アゴニスト、IL-4、IL-5、IL-9、IL-13および/またはそれらの組合せからなる群から選択されるサイトカインをアンタゴナイズするサイトカインアンタゴニスト、抗-IgE抗体、5-リポオキシゲナーゼ阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、合成トリプタミン、粘液溶解剤、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、および上記の組合せからなる群から選択される、追加の活性剤の同時または連続投与をさらに含む、請求項42に記載の使用。
【請求項62】
呼吸器系疾患が慢性の肺疾患である、請求項42〜61のいずれか1つに記載の使用。
【請求項63】
慢性の肺疾患が喘息およびCOPDから選択される、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
呼吸器系疾患が、好酸球性咳、気管支炎、サルコイドーシス、肺線維症、肺高血圧、嚢胞性線維症および気管支拡張症から選択される、請求項42〜61のいずれか1つに記載の使用。
【請求項65】
少なくとも1つの気管支拡張剤が、β2-アゴニストおよび抗コリン作用薬から選択される、請求項42〜61のいずれか1つに記載の使用。
【請求項66】
気管支拡張剤がβ2-アゴニストである、請求項65に記載の使用。
【請求項67】
β2-アゴニストが短時間作用性のβ2-アゴニストである、請求項66に記載の使用。
【請求項68】
短時間作用性のβ2-アゴニストがサルブタモールまたはその生理学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
コルチコステロイドが、サルブタモールまたは生理学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物に対して、重量比で約1:8〜約4:1で投与される、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
β2-アゴニストが長時間作用性のβ2-アゴニストである、請求項66に記載の使用。
【請求項71】
長時間作用性のβ2-アゴニストが、ホルモテロールまたは生理学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物である、請求項70に記載の使用。
【請求項72】
気管支拡張剤が抗コリン作用性薬である、請求項42に記載の使用。
【請求項73】
抗コリン作用薬がチオトロピウムまたはイプラトロピウムから選択される、請求項72に記載の使用。
【請求項74】
気管支拡張剤が経口で投与される、請求項50〜73のいずれか1つに記載の使用。
【請求項75】
気管支拡張剤および式1の化合物が吸入で投与される、請求項50〜73のいずれか1つに記載の使用。
【請求項76】
NO-供与体がコルチコステロイドに結合して、式(4):
【化28】

(式中、Wはそれに結合して一酸化窒素の3つのレドックス型(NO+、NO-、NO・)のいずれかを供与、放出および/またはいずれかに直接もしくは間接的に転移することができる酸化窒素(NO)供与性部分である)
の化合物を与える、請求項50〜73のいずれか1つに記載の使用。
【請求項77】
Wが、さらに式A〜G、ここで
式Aの化合物は、-C(O)-L-(XO)-(X1)-NO2で表される:
[ここで、
Lは、(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'aおよびn''aは互いに同一または異なって、0〜6、好ましくは1〜3の整数であり;n'b、n''bおよびn'''bは互いに同一または異なって、0または1に等しい整数であり、R4'、R5'、R4''、R5''は互いに同一または異なって、H、C1-C5、好ましくはC1-C3の直鎖状または分枝鎖状のアルキルから選択され;
X0=O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状、または環状のアルキルである)であり;
ステロイド骨格と結合基X1との間の結合はエステルまたはアミド型であり、
X1は、次から選択される2価の結合基である:
【化29】

(ここで、n3は0〜5の整数であり、n3'は1〜3の整数である);
【化30】

(ここで、n3およびn3'は前記の意味を有する)、または
【化31】

(ここで、
nIXは0〜10、好ましくは1〜3の整数であり;
nIIXは1〜10、好ましくは1〜5の整数であり;
RTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'は互いに同一または異なって、HまたはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルであり、好ましくはRTIX、RTIX'、RTIIX、RTIIX'はHであり;
Y3は、1〜3、好ましくは1〜2のヘテロ原子を含む5または6原子を有する、飽和、不飽和または芳香族の複素環であり、該へテロ原子は同一または異なって、窒素、酸素、硫黄、好ましくは窒素から選択され;
t3は0または1であり;
Zは次の意味:
【化32】

(ここで、
* はONO2基の位置を示し;
T は次の意味:
-COX3-、-X3CO-(ここで、X3 = S または前記で定義されたXOである);
前記で定義された-X3-であり;
n3およびn'3は前記で定義されたとおりである)
を有するか、または
Y3は次の2価の基:
【化33】

【化34】

から選択される):
あるいは-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表される:
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、LおよびXはLおよびX0として前記で定義されたとおりであるが、X1はY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジであり、
ここで、Y-Oについて、Yは直鎖状または可能な場合は分枝鎖状のC1-C20、好ましくは2〜5の炭素原子を有するアルキレン、または任意に置換されていてもよい5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであり;
Y1について、Yは前記で定義されたYAR1、YAR2およびYPから選択され、より具体的には
【化35】

(ここで、n3は0〜3の整数である);
【化36】

【化37】

(ここで、nf'は1〜6、好ましくは2〜4の整数である);または
【化38】

(ここで、R1f=H、CH3、nfは1〜6、好ましくは2〜4の整数である)である]、
あるいは-(CO-L)t-(X)t1-X1-NO2で表される:
[ここで、tおよびt1は1に等しい整数であり、
Lは前記で定義されたとおりであり;ここで、na、n'aおよびn''aは、互いに同一または異なって0〜6、好ましくは1〜3であり;nb、n'b、n''bおよびn'''bは0または1に等しい整数であり;R4およびR5は、互いに同一または異なって、H、1〜5、好ましくは1〜3の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルからなる群から選択され;
Xは、O、C=O、NH、NR1c(ここで、R1cはC1-C10、好ましくはC1-C4の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、OH、CH3、Cl、N(-CH2-CH3)2、SCH2F、SH、
【化39】

である)に等しく、
X1は、前記で定義されたY-OおよびY1からなる群から選択される2価の結合ブリッジである]、
あるいはC(O)-L-(X0)-(X1)-NO2で表される:
[ここで、Lは、(CR4R5)na(O)nb(CR4'R5')n'a(CO)n'b(O)n''b(CO)n'''b(CR4''R5' ')n''a(ここで、naおよびnb=1;R4およびR5=H;n'a、n''a、n'b、n''bおよびn'''bは0である)(したがって、LはCH2Oである)であり、
X0はC=Oであり、
X1は2価の連結基YAR1、好ましくは、
【化40】

である]
式Bの化合物は、-C(O)CH2O-XZまたは-C(O)CH2OC(O)-XZで表される:
[ここで、
Xzは次のとおり定義される:
【化41】

(式中、XはO、S、NHまたはNHR1(ここで、R1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)であり;
Yは次のa)〜h)の意味を有する2価の基である:
a) ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはTO(ここで、TOは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20、好ましくは1〜10の炭素原子を有するアルキレン;あるいは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;
b)
【化42】

c)
【化43】

(ここで、上記のb)およびc)について、nは0〜20の整数であり、n1は0〜20の整数である)
d)
【化44】

(ここで、n1は上記で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり;X1は-OCO-または-OCO-であり、R2はHまたはCH3である)
e)
【化45】

(ここで、n1、n2、R2およびX1は前記で定義されたとおりであり;Y1は-CH2-CH2-または-CH2=CH2-(CH2)n2-のいずれかである)
f)
【化46】

(ここで、n1およびR2は前記で定義されたとおりであり;R3はHまたはCOCH3である);但し、Yがb)〜f)で述べられた2価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1に結合している;
g)
【化47】

(ここで、X2はOまたはSであり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は前記で定義されたとおりである)
h)
【化48】

(ここで、n4は0〜10の整数であり;n5は1〜10の整数であり;R4、R5、R6およびR7は同一または異なって、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C10アルキルであり;好ましくは、R4、R5、R6およびR7はHであり;ここで、-ONO2基は次の構造:
【化49】

(ここで、n5は前記で定義されたとおりである)に結合しており;
Y2は窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、複素環式の飽和、不飽和または芳香族の5または6員環であり、次の構造H1〜H13から選択される:
【化50】

式Cの化合物は、-C(O)CH2O-(X1-ONO2)Sあるいは-C(O)CH2OC(O)-(X1-ONO2)Sで表される:
(ここで、sは1または2に等しい整数であり、X1は少なくとも1つのハロゲン原子で任意に置換されていてもよい、直鎖状または可能なときは分枝鎖状のC1-C6、好ましくは3〜5の炭素原子を有するアルキレンであるか、またはX1は-(CH2-CH2-O)2-または-(CH2-CH2-S)2-に等しい2価の基である);
式Dの化合物は、-C(O)CH2O-B-Cで表される:
[ここで、X1は次のとおり定義される:
【化51】

(式中、R1-R12は、同一または異なって、独立して、水素、アリールで任意に置換されていてもよい直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6アルキルであり;m、n、o、q、rおよびsは、それぞれ独立して、0〜6の整数であり、pは0または1であり、XはO、S、SO、SO2、NR13もしくはPR13(ここで、R13は水素、C1-C6アルキルである)であるか、またはXは、環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、好ましくはCH3である)で置換されていてもよい、シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン;1以上のハロゲン原子、直鎖状もしくは分枝鎖状の1〜4の炭素原子を含むアルキル基または直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6パーフルオロアルキルで任意に置換されていてもよいアリレン;前記の構造H1〜H13から選択される、5または6員の飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環から選択される)];
式Eの化合物は、-C(O)CH2O-B-CZで表される:
[ここで、CZは有機ナイトライトもしくはナイトレート化合物、または他の酸化窒素供与性部分であり、Bはステロイド骨格をC-21位の直末端のヒドロキシで、該21位に隣接して誘導されたアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネーと結合を介して、該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーであり;
ここで、B-CZはR1(ここで、R1は、亜硝酸エステル(-ONO)、硝酸エステル(-ONO2)、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロールナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体の1つから選択されるか、または
B-CZは次の構造に等しい:
【化52】

(ここで、nは1〜4の整数であり;X=OまたはS;Y=メチレン、OまたはNH2;Z=OまたはNH2);または
W= 式E'で、E'は-C(O)CH2O-(B'-CZ)である
[ここで、B'はステロイド骨格をC-21位の直に隣接のヒドロキシで、該21位に隣接していないアミド、エステル、カルバメートまたはカーボネート結合を介して該化合物CzのNO供与性部分に結合させる、好ましくは12以下の炭素原子を含むスペーサーである];または
(B'-CZ)がR'1である式E'
(ここで、R'1は、1〜20の炭素を有するニトロオキシアルキル、ニトロオキシアルカノイルおよびニトロオキシアリール、ならびにグリセロール ナイトレート、アミルナイトレート、イソソルビド モノナイトレート、イソソルビド ジナイトレート、マンニトール ナイトレート、ペンタエリスリトール ナイトレート、プロパチル ナイトレートのような非限定的なその他の典型的NO供与性部分、およびフロキサンのNO供与性誘導体から選択されるか、または
R1は、NO供与性基で適当に置換された、次の化学部分:置換または非無置換の低級アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非無置換のシクロ-アルキル/アルケニル/アルキニル;置換または非無置換のヘテロ-サイクル;置換または非無置換のチオール;置換または非無置換のアルキルメルカプタン、ニトロソチオールおよびニトロソアミンのいずれかから選択され得る)
式Fの化合物は、-C(O)CH2O-Kあるいは-C(O)CH2OC(O)-Kで表される:
[ここで、Kは次のとおり定義される:
-Y-(CR4R4')p-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')o-[フェニル]-T-(CR4R4')p-ONO2
(ここで、Tはオルト、メタまたはパラである);
-Y-B-[ピペラジニル]-W-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-B-T-(CR4R4')p-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-C(O)-(CR4R4')p-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-C(Z)-(CH2)q-T-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-T-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')p-V-(CH2)q-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-Y-(CR4R4')o-(W)q-(CH2)q-V-(CR4R4')o-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-V-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-NRj-O-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2
-O-NRj-(CH2)o-(W)q-(CR4R4')q-(CH2)-ONO2];
式Gの化合物は、-C(O)CH2O-X1あるいは-C(O)CH2OC(O)-X1で表される:
[ここで、X1は次のとおり定義される:
-C=A-R2(ここで、Aは(CH)、NまたはSであり、R2は孤立電子対、ニトリル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルカルボニル基、カルボキシアミド基、カルボン酸エステルまたはシクロアルキルアルキル基である);
あるいはX1はさらに次のように定義されるKに等しい:
-Wa-Eb-[C-(Re)(Rf)]p-Ec-[C-(Re)(Rf)]x-Wd-[C-(Re)(Rf)]y-(U)-(V);
(ここで、-(U)-(V)は、-Wi-Ej-Wg-[C-(Re)(Rf)]z-T-Qに等しいか;あるいは
UおよびVは、独立して、UはO、Sまたは-N(Ra)(Ri)であり、Vはニトロ、ニトロソまたは水素であり;
a、b、c、d、g、iおよびjは、それぞれ独立して0〜3の整数であり;
p、x、yおよびzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり;
Wa、Wd、WiおよびWgは、独立して-C(O)-、-C(S)-、-T-、-[C-(Re)(Rf)]h-、アルキル基、アリール基、複素環、アリール複素環または-(CH2CH2O)q-であり;
Eは、それぞれ存在するときは、独立して-T-、アルキル基、アリール基、-[C-(Re)(Rf)]h-、複素環、アリール複素環もしく-(CH2CH2O)q-であり;
hは1〜10の整数であり;
qは1〜5の整数であり;
ReおよびRfは、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アリール複素環、アルキルアリール、シクロアルキルアルキル、複素環アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルコキシハロアルキル、ハロアルコキシ、スルホン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールアルコキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、アミノアルキル、アミノアリール、アルコキシ、アリール、アリールアルキル、アルキルアリール、カルボキシアミド、アルキルカルボキシアミド、アリールカルボキシアミド、アミジル、カルボキシ、カルバモイル、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、エステル、カルボン酸エステル、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、ハロアルコキシ、スルホンアミド、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、スルホン酸エステル、カルバモイル、ウレア、ニトロ、-T-Q、もしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるか;またはReおよびRfは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、カルボニル、メタンチアール、複素環、シクロアルキル基、または架橋されたシクロアルキル基であり;
kは1〜3の整数であり;
Tは、それぞれそれぞれ存在するときは、独立して、共有結合、カルボニル、酸素、-S(O)o-または-N(Ra)(Ri)-であり;
oは0〜2の整数であり;
Raは、孤立電子対、水素またはアルキル基であり;
Riは、水素、アルキル、アリール、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルカルボン酸エステル、アリールカルボン酸エステル、アルキルカルボシキアミド、アリールカルボキシアミド、アルキルアリール、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、カルボキシアミド、カルボン酸エステル、アミノアルキル、アミノアリール、-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)または-(N2O2)- ・M+(ここで、M+は有機もしくは無機のカチオンである)である、但し、Riが-CH2-C-(T-Q)(Re)(Rf)もしくは-(N2O2)- ・M+ であるとき、またはReもしくはRfがT-Qもしくは-[C-(Re)(Rf)]k-T-Qであるとき、Xとして表される「-T-Q」サブグループは、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、複素環またはアリール基であることができ、ここで、ReおよびRfが複素環であるかまたはReおよびRfが一緒になって複素環である場合、RiはRiがここで定義される基に含まれるジ置換された窒素上の置換基であり得る]
の1つから選択される、請求項76に記載の使用。
【請求項78】
コルチコステロイドおよびNO-供与体が、式1:
【化53】

(ここで、
Aは、21-アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベクロメタゾン ジプロピオネート、ベタメタゾン、ブデソニド、クロルプレドニソン、シクレソニド、クロベタソール、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチカゾール、コルチコステロン、コルチゾン、デフラザコート、デソニド、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドネート、エノキソロン、フルアザコート、フルシノロン アセトニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオトメトロン、フルオシノニド、フルオコルチン-ブチル、フルオコルトロン、フルペロロン アセテート、フルプレドニデン アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、フルチカゾン、フルチカゾン プロピオネート、フルチカゾン フオロネート、ホルモコルタール、ハルシノニド、ハロメタゾン、ハロプレドノン アセテート、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン ホスフェート、ヒドロコルチゾン ターブテート、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン フロエート、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン 21-ジエチルアミノアセテート、プレドニゾロン ナトリウム スクシネート、プレドニゾロン ナトリウム ホスフェート、プレドニゾロン ナトリウム 21-m-スルホ-ベンゾエート、プレドニゾロン 21-ステアロイルグリコレート、プレドニゾロン ターブテート、プレドニゾロン 21-トリメチルアセテート、プレドニバール、プレドニリデン、プレドニリデン 21-ジエチルアミノアセテート、チキソコルトール、トリアムシノロン、ベネトニド、トリアムシノロン ヘキサアセトニドおよびトリアムシノロン アセトニドからなる群から選択されるコルチコステロイドであり;
Xは、C1-C5の分枝鎖状または直鎖状のアルキルであり;
Yは、(ONO2)または(ONO)のいずれかである;但し、AはC-11もしくはC-17位により式1の残り部分に結合している)
の構造を有する、請求項50〜74のいずれか1つに記載の使用。
【請求項79】
Aがブデソニドから選択され、XがCH2であり、Yが(ONO2)であり、AがC-17位で式1の残りの部分に結合している、請求項78に記載の使用。
【請求項80】
コルチコステロイドがブデソニドであり、NO-供与体がブデソニドに結合して、式2:
【化54】

の化合物を与える、請求項50〜75のいずれか1つに記載の使用。
【請求項81】
治療を必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患を治療するために、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤または生理学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物、および(ii) 式2:
【化55】

の化合物の治療的有効量の使用。
【請求項82】
治療を必要とする患者の炎症を伴う呼吸器系疾患の治療用医薬の製造における、(i) 少なくとも1つの気管支拡張剤または生理学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物および(ii) 式2:
【化56】

の化合物の治療的有効量の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−501730(P2011−501730A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519545(P2010−519545)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/003405
【国際公開番号】WO2009/037584
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】