説明

噴霧またはシャワー構成およびシャワー・インサート

シャワーまたは車両洗浄機には、フロアの下または中に設置されて、使用済み噴霧水から回収した熱を使用して流入冷水を予熱する薄いシート金属の熱交換器要素が設けられている。この熱交換器要素(15)は、矩形波形断面を有することによって、より大きい伝熱面積を提供し、かつ重い垂直負荷に耐えることができる。矩形波の垂直部分(13)には、金属に打ち抜き加工された凹部(6a、6b)の形の垂直強化リブが有利に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添付の請求項1のプリアンブルに記載された噴霧またはシャワー構成に関し、添付の請求項13のプリアンブルに記載されたシャワー・インサートに関する。
【0002】
本発明は、シャワーやその他の噴霧構成における使用済み水からの熱回収に関する。噴霧された水からの熱が排水設備内に消失される前に、この熱を流入する冷水に部分的に伝えて、冷水を予熱してから流入熱水と混合し、それによってシャワーまたは噴霧ヘッドから所望の温度の温水を得るのに必要とされる熱水の量を減らすことができれば、水加熱コストを大幅に節約することができる。
【背景技術】
【0003】
当技術分野では、熱交換器要素を使用して、シャワーの使用済み水から熱を抽出することによって、流入冷水を予熱することが知られている。たとえば、独国特許出願公開第44 06 971号明細書、欧州特許出願公開第0 275 237号明細書、独国特許出願公開第33 19 638号明細書、独国特許出願公開第37 17 720号明細書、独国特許出願公開第196 08 404号明細書には、それぞれシャワー・システムが記載されており、熱交換器がシャワー・ベイスンの下に設置されている。こうしたシステムではそれぞれ、使用済みシャワー水は熱交換器の片側を流れてから排水設備内に流れ出る。流入冷水は熱交換器要素の他方側にある渦巻状の流路内に流れ、それによって予熱されてから、ミキサ内で熱水と混合される。それぞれこうした参考文書では、チャネルは一般に丸形断面のものである。しかし、独国特許出願公開第37 17 720号明細書は、ダイアモンド形、すなわち先端に45°の角度を付けた正方形の断面の流入冷水用チャネルを記載している。
【0004】
使用済みシャワー水は、このダイアモンド形断面の管上のシャワー・フロアを通って流れ落ちる。この熱交換器構成は、個々のダイアモンド形断面の管を互いに端導管で連結する必要があるため、組立てが難しい。欧州特許出願公開第0 275 237号は、シャワー・フロアの下のレンズ形導管を記載している。この導管は、円形断面の管よりも大きい伝熱表面積を可能にするが、やはり個々の導管のために配置および連結が難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この背景技術に対して、本発明は、簡単かつ低コストで製造され、薄型で従来の設計よりも広い熱交換表面を可能にすると同時に下方に向けた負荷に耐えることができる熱交換器シートを有する熱交換構成および/またはインサートを提供して、問題に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記その他の利点は、請求項1の特徴となる節に列挙された特徴を有する請求項1のプリアンブルに記載されたタイプの構成、および請求項12の特徴となる節に列挙された特徴を有する請求項12のプリアンブルに記載されたタイプのインサートによって得られる。
【0007】
矩形波形の金属伝熱シートはコンパクトであり、同時に伝熱のための広い表面積を可能にする。薄型であるために迅速かつ容易に伝熱し、たとえばシャワー・ベイスンまたは車両洗浄機で使用される場合に加えられる可能性がある下向きの力に耐えることができる。これは特に、請求項2に記載された垂直強化リブが設けられた金属シートに当てはまる。
【0008】
次に添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、排水口トラップ2を有し、流入する冷水用の入口4と出口3を有するシャワー・フロア・ベイスン1を上から見た図である。ベイスン1はガッタ5を有し、ガッタ5内に噴霧水を集めて排水口2に流する。
【0010】
図2は、底部10と頂部7を有する熱交換器ユニットを示す幾つかの異なる図である。図2aは上から見た図であり、図2bは端面図であり、排水出口9と、熱交換器ユニットで予熱すべき流入冷水用の熱交換器入口チャネル4aと熱交換器出口チャネル3aが示されている。図2(e)には、使用済みシャワー水を受ける排水熱交換器入口8がある。図2(e)はカバー7が乗せられた熱交換器ユニットを示す斜視図であり、図2(d)は、カバー7を取り除いて金属シート15の形態の熱交換器要素を見せている同じユニットを示す。この金属シート15は図2(c)で見ることができるように矩形波の断面を有するように形成されている。図2(c)は熱交換器ユニットの一部をかなり拡大した断面図である。
【0011】
図2(c)で見ることができるように、矩形波金属シート15は、厚さが非常に薄いため、熱エネルギを迅速かつ効果的に伝達することができる。波は、比較的長い垂直部分13と寸法aの比較的短い水平部分14を有する。冷たい流入水は、シャワー・ミキサに到達する前に、入口4を通って入口チャネル4a内に導入されて排水熱交換器入口8の近くの遠端まで流れ、さらにシート金属要素15の下側にあるチャネルを通って流れて、要素の反対側の使用済みシャワー水の熱を吸収してからチャネル3aおよび出口3を通って出て、そこから予熱されて従来のシャワー・ミキサに流れ、シャワー・ミキサでいくらかの追加の熱水が混合されて、水が所望の快適な温度になされてシャワー・ヘッドから出される。
【0012】
図2(f)は押しボタン式遮断弁16を示す。この押しボタン式遮断弁16は、排水口2を通して消毒剤を充填することによって、熱交換器の排水路を消毒すべき場合に、定期的に手で作動され、消毒剤をある期間熱交換器内に保持することができるようにし、押しボタンを再び作動して排水路を開け、消毒剤液を流し出すことができるようにする。押しボタン式遮断弁16は、図2(g)に拡大して示されている。
【0013】
熱交換器要素が非常に薄いシート金属からなるため、シャワーが止められ、使用済み水が熱交換器の外に下水設備内に流れた後に、金属シートの片側に冷水が存在し他方側には空気が存在するために、シート金属が非常に迅速に冷却される。この温度の低下によって細菌の増殖が抑制される。任意選択で、シャワーを止めた後に、ベイスンに排水口付近に弁開口を開けることができ、冷水を数秒間流して、システムを有効に冷却することができる。シャワーを比較的長期間使用しない場合に、この弁を定期的に開放して新しい冷水でシステムを流すように設定こともできる。
【0014】
細菌を殺すために、冷水の入口と出口間に電圧を加えることも可能であり、これはシャワーの使用者に気づかれず、または影響を与えずに行われる。
【0015】
図3(a)は、図1、2で示したトラップ排水口2のより詳細な斜視図である。トラップ出口18は、水トラップ用の排水口のベースよりも高い位置にあり、下水臭が戻って浴室内に出ることができないようになされている。トラップ排水口2は、タブ21によって洗浄または交換のために除去することができる第1のフィルタ19を有する。第2のフィルタ20は第1のフィルタ19の下に配置される。第2のフィルタ20が除去されると、ばね22が栓21を上方に移動させて排水口が閉鎖される。それによって、熱交換器が、そうでなければ衛生上の問題を起こす可能性がある石鹸やシャンプーの残留物、毛髪や皮膚の残存物、その他の汚染物で詰まらないように保護するフィルタ無しで熱交換器が使用されないように保護される。
【0016】
図4は、矩形波形状の熱交換器要素のさらに有利な実施形態を示す概略斜視図である。1つの波長分だけが示されている。垂直部分13には、それぞれリブ6a、6bがエンボス加工されているが、金属シートは、金属シートが最終的な形状に屈曲されるまでは平坦である。垂直リブは、図で示したように全て右に向けられた凹部の形態である。リブの列は、全て互いに真直ぐに整列して配置されており、シートの両側に水の曲がりくねったジグザグ通路が作成されるようになされている。それによって、伝熱表面が大幅に増大され、同時に熱交換器要素が垂直の下向きの負荷に対して強化される。熱交換器要素は薄いシート金属で作成することができる。
【0017】
当業者には当然理解されるように、添付の特許請求の範囲に記載された本発明を、車両洗浄機が含まれる多くのタイプの熱いシャワー構成など、使用済み水からの熱回収が所望される幾つかの異なる態様で実現することもできる。
【0018】
たとえば、既存の冷水および排水管路に連結して、既存のシャワーまたは車両洗浄機に据え付けることができるプレハブ式インサートの形態で本発明を実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】それぞれシャワー・フロア・ベイスンを示す平面図、および2つの斜視図である。
【図2】シャワー・フロア・ベイスンの下に設置された熱交換ユニットを示す異なる図である。
【図3】構成で使用されるトラップを有する排水口を示す様々な図である。
【図4】垂直リブが設けられた金属熱交換器要素の一部を示す概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収を備えた噴霧またはシャワー構成であって、
(a)少なくとも1つの噴霧ヘッドに通じる冷水/熱水ミキサと、
(b)少なくとも1つの噴霧ヘッドと、
(c)前記噴霧ヘッド・ミキサへの冷水送出管路と、
(d)前記噴霧ヘッド・ミキサへの熱水送出管路と、
(e)前記噴霧ヘッドから噴霧された水を収集するためのベイスン(1)と、
(f)前記収集された噴霧水から前記冷水送出管路内の水に伝熱して前記水を予熱するための前記ベイスンの下に配置された少なくとも1つの熱交換器要素(15)とを備え、
前記熱交換器要素が交互の垂直(13)と水平(14)パネルを備える実質的に矩形波形断面の金属シートを含み、予熱のため、前記シャワー・ヘッドから前記収集された噴霧水が前記金属シートの片側を流れ、前記冷水送出管路内の水が前記金属シートの他方側を流れることを特徴とする構成。
【請求項2】
前記金属シートの各垂直パネルに打ち抜き加工された凹部によって作成された一連の実質的に垂直の強化リブ(6a、6b)を特徴とする請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記強化リブを作成する前記打ち抜き加工された凹部全てが同じ向きに方向付けられ、強化リブの各列がそれぞれ他の列と真直ぐに整列して、前記金属シート(15)の両側を流れる水用の曲がりくねった通路が作成されることを特徴とする請求項2に記載の構成。
【請求項4】
前記収集された噴霧水が、前記金属シートの頂部上を流れ、冷水が圧力下で前記金属シートの下側を流れることを特徴とする請求項1に記載の構成。
【請求項5】
前記熱交換器要素が、互いに上に積み重ねられた矩形波形断面の複数の金属シートを備えることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項6】
前記熱交換器要素の上流にある排水口トラップ(2)を特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項7】
前記排水口トラップが、少なくとも1つのフィルタ(20)、およびフィルタ(20)が定位置に存在しない場合に排水を自動的に遮断するように配置された弁手段(21)を有することを特徴とする請求項6に記載の構成。
【請求項8】
前記構成が浴室のシャワー設備の一部であることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項9】
前記構成が車両洗浄機の一部であることを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項10】
前記1つまたは複数の金属シートが、下向きの圧力を受けた場合に、前記ベイスンを支持することを特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項11】
前記熱交換器要素からの排水出口にある遮断弁(16)を特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項12】
前記噴霧ヘッドを遮断したときに即座に、または前記噴霧またはシャワー構成が使用されない場合に断続的に、短期間開放してシステムを冷水で流す自動弁を特徴とする先行する請求項のいずれか一項に記載の構成。
【請求項13】
熱回収が無い既存のシャワー設備で使用して請求項1に記載の構成を実現するためのインサートであって、
a)カセットと、
b)ベイスンを形成するトップ・カバーと、
c)前記トップ・カバーの片側またはその中にあるトラップを有する排水口と、
d)矩形波形断面を有する金属シートの形態の少なくとも1つの熱交換器要素と、
e)前記要素と前記トップ・カバーを受けるように適合されたインサート底部と、
f)前記インサート底部への、およびそれからの冷給水用の入口と出口カップリングとを備え、
前記排水口が、収集された噴霧水が前記金属シートの上部側に接触して流れるように方向付け、前記入口と出口カップリングおよびインサート底部が、冷給水が前記金属シートの下側に接触して流れるように方向付けることを特徴とするインサート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−500512(P2008−500512A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527113(P2007−527113)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000719
【国際公開番号】WO2005/111511
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506386170)
【Fターム(参考)】