回収部品の選別支援装置及び部品実装装置
【課題】回収部品を再使用する際にその選別の作業性を向上させる。
【解決手段】部品実装装置は、トレイフィーダ5と、このトレイフィーダ5から部品を吸着して搬送する実装用ヘッド20と、吸着部品を撮像する部品認識カメラ18と、不良部品の回収用トレイTと、コントローラ30と、各種表示を行うモニタ24とを含む。コントローラ30は、部品認識カメラ18から入力される画像データに基づき部品の外観検査を行うとともに不合格部品を回収用トレイTに回収すべく実装用ヘッド20等を制御する主制御手段32と、不合格部品の回収位置及び当該部品の検査結果を含む回収部品データを記憶するデータ記憶手段36とを含む。主制御手段32は、回収用トレイTに回収された回収部品の回収部品データに基づき回収部品の不良内容等をモニタ24に表示させる機能を含む。
【解決手段】部品実装装置は、トレイフィーダ5と、このトレイフィーダ5から部品を吸着して搬送する実装用ヘッド20と、吸着部品を撮像する部品認識カメラ18と、不良部品の回収用トレイTと、コントローラ30と、各種表示を行うモニタ24とを含む。コントローラ30は、部品認識カメラ18から入力される画像データに基づき部品の外観検査を行うとともに不合格部品を回収用トレイTに回収すべく実装用ヘッド20等を制御する主制御手段32と、不合格部品の回収位置及び当該部品の検査結果を含む回収部品データを記憶するデータ記憶手段36とを含む。主制御手段32は、回収用トレイTに回収された回収部品の回収部品データに基づき回収部品の不良内容等をモニタ24に表示させる機能を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板上に部品を実装する部品実装装置に関連するものであり、特に、実装動作中に基板上に実装されることなく不良部品として回収された部品を再使用のための選別作業を支援するための選別支援装置およびこの選別支援装置を含む部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部品移載用の移動可能なヘッドを有し、このヘッドにより部品供給部から部品を吸着してプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板上に搬送、搭載(実装)する部品実装装置が公知である。この種の部品実装装置は、CCDカメラ等の撮像手段を備えており、搬送中の部品を画像認識することにより部品の外観検査を行い、不良部品ついては、これを基板上に実装することなく所定の回収ボックに回収する。
【0003】
なお、回収された部品は、そのまま廃棄される場合が多いが、例えばリード(端子)の変形等、手直し可能な軽度の不良部品については、再使用することも行われる。そのため、最近では、このような再使用を想定し、回収ボックスの内底面等に部品を整然と並べた状態で回収する部品実装装置が提案されている(例えば特許文献1)。このような部品実装装置によれば、回収ボックス内に乱雑に積層した状態で部品が回収される場合に比べ、部品の取出しを容易に行うことが可能であり、さらに、回収部品の中から再使用可能な部品を取り出すに際しての選別作業の作業性が向上するという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−224098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される部品実装装置では、不良内容に拘わらず種々の部品が入り交じった状態で回収されるため、選別作業時に部品の不良内容を特定することが困難な場合がある。また、外観が共通又は類似する異品種部品が隣接する位置に回収されると、誤った部品を再使用するといった作業ミスの発生も否定できない。さらに、部品の種類によっては、はんだ付け性の劣化や特性の経時劣化などとの関係から使用期限が設定されているものもあり、このような部品については、選別作業時にその部品の製造ロットを調べた上で、さらにその製造ロットの使用期限を調べるといった作業が必要となり、部品の選別作業が非常に煩雑なものになる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み、基板上に実装されることなく回収された部品を再使用する際に、回収部品の中から必要な部品を取り出すための選別作業の作業性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、不良部品と判定された複数種の部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、部品回収部に回収される回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、および回収位置を含む情報を記憶する第1記憶手段と、回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、第1記憶手段に記憶された情報に基づき、回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、およびその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報を、表示手段に表示させる表示制御手段とを含むものである。
【0008】
この選別支援装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係を速やかに把握することが可能となる。従って、上記選別作業をより円滑に進めることが可能となる。
【0009】
なお、請求項の記載において「選別」とは、不良部品と判定された部品を再使用する際に、複数種の回収部品の中から手直し対象の部品を取り出すための選別作業、回収部品の使用可否、修正可否の判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業等の行為を広く指す意味である。
【0010】
上記の選別支援装置において、前記第1記憶手段は、前記部品回収部に回収される回収部品の不良内容を追加記憶し、前記表示制御手段は、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させるものが好適である。
【0011】
この選別支援装置によれば、回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報をさらに参照することが可能となるため、より一層、上記選別作業を円滑に進めることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る他の選別支援装置は、不良部品と判定された部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、前記部品回収部に回収される回収部品の回収位置および不良内容を含む情報を記憶する第1記憶手段と、前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品とその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報、および回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むものである。
【0013】
この選別支援装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報および回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容を速やかに把握することが可能となる。従って、上記選別作業をより円滑に進めることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る部品実装装置は、基板上に実装される部品を供給する部品供給部と、前記部品供給部から部品を吸着して前記基板上に実装するヘッドと、前記ヘッドにより部品供給部から取り出された部品の基板上への実装に先立ち、当該部品を撮像する撮像手段と、この撮像手段による撮像結果に基づき部品の外観検査を行いその不良内容を特定する部品検査手段と、この部品検査手段により不良部品と判断された部品を回収するための部品回収部と、前記不良部品と判断された部品の前記部品回収部における回収位置を特定し、その特定位置に前記不良部品を回収すべく前記ヘッドを制御するヘッド制御手段と、前記部品回収部に回収された回収部品を選別するための作業を支援するための選別支援手段とを含み、この選別支援手段として、上記のような回収部品の選別支援装置を備えているものである。
【0015】
この部品実装装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報や回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容を速やかに把握することが可能となる。従って、部品実装装置において上記選別作業を円滑に進めることが可能となる。
【0016】
なお、上記の選別支援装置においては、前記部品の使用期限を特定可能な情報および当該部品の製造ロットを特定可能な情報のうち少なくとも一方を記憶する第2記憶手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記第2記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品詳細情報として、さらに前記回収部品の使用期限および製造ロットのうち少なくとも一方を含む情報を前記表示手段に表示させるものであるのが好適である。
【0017】
この構成によれば、表示手段により表示される回収部品詳細情報を参照することにより、部品の使用期限や製造ロットを速やかに把握することが可能となる。従って、回収部品の再使用に際して、部品の使用期限やロットの使い分けが求められる場合でも、それらの制約内容を容易に把握しながら選別作業を進めることが可能となる。
【0018】
なお、上記の選別支援装置においては、前記表示手段による表示上で選択操作入力を受け付ける入力手段を備えており、前記表示制御手段は、前記回収部品特定情報として回収部品をその回収位置に従って表示するグラフィック画像を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段が当該グラフィック画像上で回収部品の画像の選択を受け付けると、当該選択された回収部品に対応する前記回収部品詳細情報の認識が可能となるように前記表示手段の表示を制御するものであるのが好適である。
【0019】
このような構成によれば、部品回収部の実際の部品回収の状態に対応したグラフィック画像が表示手段により表示される。そのため、作業者は、グラフィック画像上で所望の回収部品を直感的に選択しながら、その回収部品の不良内容等の回収部品詳細情報を認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明の選別支援装置及び部品実装装置によれば、表示手段により表示される回収部品特定情報および回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部における回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容等を速やかに把握することが可能となる。従って、回収部品の選別作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る部品実装装置を示す模式図である。
【図2】部品実装装置の主用部を示す斜視図である。
【図3】部品実装装置のうちヘッドユニットとその駆動機構を示す正面図である。
【図4】部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】供給部品データの一例を示す図である。
【図6】コントローラ(主制御手段)による部品実装動作の動作制御を説明するフローチャートである。
【図7】主制御手段による回収部品情報の記録制御を説明するフローチャートである。
【図8】主制御手段による回収部品の選別支援制御を説明するフローチャートである。
【図9】モニタによる表示の一例を示す図である。
【図10】グラフィック画像表示に対応する回収用トレイの部品回収状態を示す模式図である。
【図11】本発明に係る部品実装装置の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0023】
図1〜図3は、本発明に係る部品実装装置を概略的に示しており、図1は装置全体を模式的に、図2は部品実装装置の主要部を斜視図で、図3は部品実装装置のうち後記ヘッドユニットとその駆動機構を正面図でそれぞれ示している。
【0024】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置される基板搬送用のコンベア2と、部品供給部3,4と、部品実装用のヘッドユニット6と、このヘッドユニット6を駆動するためのヘッドユニット駆動機構と、部品認識カメラ16,18等とを備えている。
【0025】
前記コンベア2は、特定方向に互いに平行に延びる一対のベルトコンベアからなり、プリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板Pを前記特定方向に搬送しながら所定の実装作業位置に対して基板Pを搬入、搬出する。当例では、コンベア2の長手方向の略中間位置が実装作業位置とされ、基板Pはコンベア2に沿って前記特定方向の一方側から実装作業位置に搬入され、部品実装の後、他方側に搬出される。なお、以下の説明では、コンベア2による基板Pの搬送方向をX方向、水平面上でこれと直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ軸方向とする。
【0026】
前記部品供給部3,4はコンベア2の外側に備えられている。これら部品供給部3,4のうち、コンベア2の一方側(装置前側)に位置する部品供給部3は、コンベア2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ3aを有する。各テープフィーダ3aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながらコンベア2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。
【0027】
一方、コンベア2の他方側(装置後側)に位置する部品供給部4は、トレイフィーダ5を有する。このトレイフィーダ5は、QFP、BGA等のパッケージ型部品をそれぞれマトリクス状に載置した複数のトレイTが上下多段に収容されるトレイ収納部5aと、このトレイ収納部5a内のトレイTをコンベア2側の部品供給位置(図2のトレイTの位置)に出し入れする出し入れ機構5bとを含み、上下多段に収容されたトレイTのうち被実装部品が配列されたトレイTを部品供給位置に引き出すことにより部品を供給する。
【0028】
トレイ収納部5aのうち特定の段に収容されるトレイTは、部品回収用のトレイT(本発明の部品回収部に相当する)とされている。この部品回収用のトレイTは、トレイフィーダ5により供給されたQFP等のパッケージ型部品のうち、後述する部品の外観検査により不良部品と認定された部品を回収するものである。このように部品回収用のトレイTに回収されるパッケージ型部品のうち、特に端子(リード)の変形等、手直し可能な軽微な不良を伴う部品については、適当なタイミングでトレイTから取出され、手直しされた後に再使用されることとなる。すなわち、部品供給位置からトレイ収納部5aに戻された部品回収用のトレイTを、適当なタイミングで作業者が取り出すとともに、このトレイTから不良を伴う部品を取り出して手直しし、手直しした部品を正常な部品が収納された別のトレイTに追加収納することで、部品の再使用が可能とされる。
【0029】
なお、以下の説明においては、トレイ収納部5a内のトレイTのうち、QFP等の部品が配列される部品供給用のトレイTを単にトレイTと称し、不良部品が回収されるトレイTを回収用トレイTと称す。
【0030】
前記ヘッドユニット6は、前記部品供給部3,4から部品を取り出して基板P上に移載(実装)するものであり、コンベア2及び部品供給部3,4等の上方に配置されている。
【0031】
このヘッドユニット6は、前記複数のテープフィーダ3a及びトレイフィーダ5から任意の部品を取り出し可能となるように、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向及びY方向に移動可能とされている。詳しくは、ヘッドユニット駆動機構は、基台フレーム1aに設けられY方向に延びる一対の固定レール7と、基台フレーム1aに支持されたY軸サーボモータ9と、固定レール7に移動可能に支持されるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY方向に延びかつY軸サーボモータ9により駆動されるボールねじ(図示省略)と、前記ユニット支持部材11に固定されて前記ヘッドユニット6をX方向に移動可能に支持する一対の固定レール14と、ユニット支持部材11に支持されたX軸サーボモータ15と、ヘッドユニット6に螺合挿入されてX方向に延びかつX軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ13とを含む。つまり、X軸サーボモータ15の駆動によりヘッドユニット6がX方向に移動するとともに、Y軸サーボモータ9の駆動によりユニット支持部材11をY方向に移動し、この構成により、ヘッドユニット駆動機構は、前記ヘッドユニット6を一定の領域内でX方向及びY方向に移動させる。
【0032】
ヘッドユニット6は、複数の実装用ヘッド20と、これら実装用ヘッド20を個別に昇降及び回転(Z方向と平行な軸回りの回転)させるための実装用ヘッド駆動機構と、基板認識カメラ22とを備える。
【0033】
実装用ヘッド20は、下端に吸着ノズルを備え、この吸着ノズルにより部品を吸着、保持するものであり、当例では、X方向に一定間隔で並ぶ6本(図3参照)の実装用ヘッド20がヘッドユニット6に搭載されている。
【0034】
基板認識カメラ22は、基板P上に記される各種マーク等を撮像するものであり、CCD等の撮像素子を有するカメラ本体と、このカメラ本体の周囲に所定の配列で配置されるLED等を有する照明装置とを含む。この基板認識カメラ22は、基板Pをその真上から撮像すべく下向きに指向する状態でヘッドユニット6に固定されている。
【0035】
前記部品認識カメラ16,18(前側部品認識カメラ16、後側部品認識カメラ18という)は、前記実装用ヘッド20に吸着された部品の当該吸着状態を認識するとともに部品の外観検査を行うために当該部品を撮像するものであり、部品供給部3,4に配置されている。具体的には、前側部品認識カメラ16は、装置前側の部品供給部3に、後側部品認識カメラ18は装置後側の部品供給部4にそれぞれ配置されている。
【0036】
これら部品認識カメラ16,18のうち、前側部品認識カメラ16は、ヘッドユニット6に搭載される前記基板認識カメラ22と同様、CCD等の撮像素子を有するカメラ本体と、このカメラ本体の周囲に所定の配列で配置されるLED等を有する照明装置とを含む。この前側部品認識カメラ16は、前記実装用ヘッド20に保持された部品をその真下から撮像することが可能となるように上向きに指向する状態で基台1上に固定されている。
【0037】
後側部品認識カメラ18は、2種類のカメラ18a、18b(第1認識カメラ18a、第2認識カメラ18bという)を含む。第1認識カメラ18aは、前記前側部品認識カメラ16と同一構成であり、前記カメラ本体と照明装置とを含み、実装用ヘッド20に吸着された部品をその真下から撮像するものである。他方、第2認識カメラ18bは、前記カメラ本体と照明装置とを含む点で第1認識カメラ18aと構成が共通するが、第2認識カメラ18bは実装用ヘッド20に吸着された部品を斜め下側から撮像できるように前記基台1上に配置されている。つまり、後側部品認識カメラ18は、これら第1、第2の認識カメラ18a、18bにより複数方向から部品を撮像することが可能であり、これによりパッケージ型部品のリード(端子)の状態、例えばリードコプラナリティ等の画像認識に適した部品画像を取得可能となっている。なお、第2認識カメラ18bについては、実装用ヘッド20に吸着された部品を真横から撮像できるように前記基台1上に配置されるものであってもよい。
【0038】
部品実装装置の基台1上には、図示を省略するが、外観不良や吸着不良を伴うチップ部品(テープフィーダ3aにより供給された部品)を廃棄するための廃棄ボックが設置されている。なお、外観不良等を伴うチップ部品は、QFP等のパッケージ型部品と異なり、再使用されることなく全てのこの廃棄ボックに廃棄される。
【0039】
部品実装装置は、さらにその動作を統括的に制御するためのコントローラ30を備えている。図4は、このコントローラ30の機能構成をブロック図で示している。なお、同図は、主に本発明に関連する機能構成を示したものである。
【0040】
コントローラ30は、論理演算を実行するCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを記憶するROM、種々のデータを一時的に記憶するRAMおよびHDD等から構成されており、主な機能構成として、主制御手段32、実装部プログラム記憶手段34、データ記憶手段36、画像処理手段38及び外部入出力手段40等を含んでいる。
【0041】
主制御手段32は、実装部プログラム記憶手段34に予め記憶されているプログラムに従って実装作業を進めるとともに、その作業に必要な各種演算処理を行うものである。
【0042】
この主制御手段32は、前記ヘッドユニット6等の駆動を統括的に制御するヘッド制御部32a(本発明のヘッド制御手段に相当する)と、パッケージ型部品の画像データに基づき当該パッケージ型部品の端子(リード)コプラナリティ、端子ピッチ、端子抜け、接点高さ等の外観検査を行い、その不良内容を特定する部品検査部32a(本発明の部品検査手段に相当する)と、その検査結果等の情報を後記モニタ24に画像表示させるためのモニタ表示制御部32b(本発明の表示制御手段に相当する)とを含む。このモニタ表示制御部32bは、検査結果等、必要な情報を後記モニタ24にGUI(グラフィカルユーザインタフェース)表示させる。
【0043】
なお、前記ヘッド制御部32aは、部品検査部32aの外観検査において不良部品と認定された部品が発生した場合には、回収用トレイT内における当該不良部品の回収位置を特定し、その特定位置に不良部品を回収すべく前記ヘッドユニット6等の駆動を制御する。また、図示を省略するが、主制御手段32は、テープフィーダ3a及びトレイフィーダ5の駆動を制御するフィーダ制御部も含む。
【0044】
データ記憶手段36は、部品供給部3,4から供給される各部品に関する各種データ(供給部品データ37a)、画像データ37b、不良部品としてトレイフィーダ5の前記回収用トレイTに回収されるパッケージ型部品の不良内容等の各種データ(回収部品データ37bと称す)を記憶するものである。すなわち、当例では、このデータ記憶手段36が本発明の第1記憶手段及び第2記憶手段を兼ねる。
【0045】
ここで、前記供給部品データ37aは、部品の形状(寸法)、端子ピッチ及び端子数等、部品の外観検査に必要な検査用データや、図5に示すような部品の製造ロットID、開封時期、使用期限等、部品管理に必要な部品管理用データ等の各種データを含む。なお、「開封時期」とは、QFP等のパッケージ型部品のうち真空状態で納品される部品の開封日時であり、「使用期限」とは、当該パッケージ型部品について予め定められた性能保証期間であって前記開封日時から起算される期間である。つまり、QFP等のパッケージ型部品のなかには、はんだ付け性の劣化(酸化、湿気等の影響による劣化)等を避けるために、予めトレイTに収納された状態で真空パックされ、かつ、その開封日時からの保証期間が定められたものがあり、このような部品の「開封時期」や「使用期限」がデータ記憶手段36に記憶される。一方、回収部品データ37bは、不良部品として回収用トレイTに回収されたパッケージ型部品の外観検査の不良内容等の詳細データや当該検査に使用された部品の画像データ等を含む。
【0046】
画像処理手段は、前記基板認識カメラ22、部品認識カメラ16、18から入力される画像データに所定の画像処理を施すものであり、前記主制御手段32は、その処理後の画像データに基づいて実装作業位置における基板Pの位置を認識し、また、各実装用ヘッド20による吸着部品の外観検査及び吸着状態の認識を行う。
【0047】
外部入出力手段40は、部品実装装置に付設される各種機器との間で各種信号の伝送および受信を行うものであり、作業者に各種情報を提供するための表示装置や主制御手段32に各種指示を与えるための入力装置が接続されている。具体的には、表示装置としてモニタ24(表示部24a;本発明の表示手段に相当する)が接続され、入力装置としてタッチパネル24a、キーボード26、マウス27及びQRコードリーダ28が接続されている。タッチパネル24aは、モニタ24に組み込まれている。
【0048】
なお、QRコードリーダ28は、部品段取り時に供給部品データ37aをデータ記憶手段36に記憶させるためのものである。部品の包装袋等には部品の製造ロットIDや保証期間に関する情報等がQRコードにより記録されており、部品段取り時に作業者がこのQRコードをQRコードリーダ28によって読み取ることにより製造ロットID等の情報がコントローラ30に入力される。この場合、保証期間が設定されているQFP等のパッケージ型部品については、QRコードの読み取り情報(保証期間)とその読み取り時刻とに基づき前記主制御手段32により使用期限(日時)が演算され、その結果が供給部品データ37aとしてデータ記憶手段36に記憶される。
【0049】
次に、上記コントローラ30(主制御手段32)による実装動作制御について図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
この部品実装装置において実装動作シーケンスがスタートすると、主制御手段32は、部品吸着動作を実行する(ステップS1)。
【0051】
この際、テープフィーダ3aによる供給部品を吸着する場合には、主制御手段32は、対象となるテープフィーダ3aの部品供給位置の上方に対応する実装用ヘッド20が位置するようヘッドユニット6を移動させた後、実装用ヘッド20を昇降駆動する。これにより当該実装用ヘッド20により部品を吸着させる。他方、トレイフィーダ5による供給部品を吸着する場合には、主制御手段32は、出し入れ機構5bを駆動制御することにより、対象部品が収納された供給トレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置に引き出した後、対象部品の上方に対応する実装用ヘッド20が位置するようヘッドユニット6を移動させて実装用ヘッド20を昇降駆動する。これによりトレイT上の部品を実装用ヘッド20により吸着させる。なお、このような部品取り出し動作において、主制御手段32は、可能な場合には、複数の実装用ヘッド20により複数の部品を同時に吸着させる。
【0052】
実装用ヘッド20による部品吸着が完了すると、主制御手段32は、吸着部品の認識動作を実行する(ステップS3)。
【0053】
具体的には、主制御手段32は、まず所定の経路に沿ってヘッドユニット6を移動させることにより、吸着部品を部品認識カメラ16,18により撮像させる。
【0054】
この際、各実装用ヘッド20による吸着部品がチップ部品のみである場合、つまり装置前側の部品供給部3からのみ部品が取り出された場合には、主制御手段32は、各部品が前側部品認識カメラ16の上を通過するようにヘッドユニット6を制御し、前側部品認識カメラ16により各部品を撮像させることにより、各吸着部品の真下からの画像データを取得する。他方、各実装用ヘッド20による吸着部品がQFP等のパッケージ型部品を含む場合には、主制御手段32は、各部品が後側部品認識カメラ18上、詳しくは第1認識カメラ18a及び第2認識カメラ18b上を順次通過するようにヘッドユニット6を制御することにより、チップ部品については各吸着部品の真下からの画像を取得し、パッケージ型部品については真下に加え、斜め下方からの画像を取得する。
【0055】
各吸着部品の画像データを取得し、データ記憶手段36に画像データ37bを記憶すると、主制御手段32は、この画像データ37bに基づき各実装用ヘッド20に吸着部品の外観検査、例えば部品の欠け、端子(リード)コプラナリティ、端子ピッチ、端子抜け、接点高さ等、部品の品種毎に予め定められた項目の外観検査を行うとともに、吸着状態の認識、具体的には実装用ヘッド20に対する吸着部品の吸着ずれの認識を行い、実装用ヘッド20のうちに認識NGヘッドが無いか、つまり、吸着部品の外観検査及び吸着状態の認識結果について不合格ものが無いかを判断する(ステップS5)。なお、主制御手段32は、吸着状態については、吸着ずれ量が設定値を超えている場合など、部品実装時の吸着ずれ補正が不能な場合には吸着不良と判断する。
【0056】
ステップS5においてYESと判断した場合には、主制御手段32は、ヘッドユニット6を基板P上方に移動させ、各実装用ヘッド20を駆動することにより各吸着部品を順次基板P上の所定位置に実装する。
【0057】
これに対して、各実装用ヘッド20の吸着部品の何れかに外観検査及び吸着状態の認識結果に不合格と判断されるものがあると判断した場合には(ステップS5でNO)、主制御手段32は、当該部品を不良部品として回収すべくヘッドユニット6等を制御する(ステップS7)。
【0058】
具体的には、該当する部品がチップ部品の場合には、主制御手段32は、ヘッドユニット6を駆動制御し、前記廃棄ボックス上方に当該吸着部品を配置した後、実装用ヘッド20による当該部品の吸着状態を解除することにより当該部品を廃棄ボックス内に落下させる。
【0059】
他方、不合格部品がQFP等のパッケージ型部品の場合には、主制御手段32は、当該部品を回収用トレイT内に回収すべく、回収用トレイT内における当該部品の回収位置を特定し、並行してトレイフィーダ5の出し入れ機構5bを駆動制御することにより部品供給用のトレイTを部品供給位置からトレイ収納部5aに収納し、代わりに回収用トレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置と同じ位置に引き出した後、回収用トレイT内の前記回収位置に部品を載置すべくヘッドユニット6を水平駆動し実装用ヘッド20を昇降駆動する。
【0060】
こうして部品を回収ボックス又は回収用トレイに回収すると、主制御手段32は、当該回収部品のうち回収用トレイTに回収されたパッケージ型部品に関する前記回収部品データ37bをデータ記憶手段36に記憶する(ステップS9)。この処理は、図7のフローチャートに従う。
【0061】
すなわち、主制御手段32は、先ず、回収用トレイTに回収された回収部品について、その回収位置(座標)と、当該回収部品の品種(部品名)と、検査結果(エラー種別)とを順次関連づけて記憶する(ステップS21〜S25)。
【0062】
次いで、主制御手段32は、当該回収部品が製造ロットID管理対象部品であるか否かを判断し(ステップS27)、対象部品であると判断した場合には、さらに供給部品データ37aから当該回収部品の製造ロットIDデータを読み出して記憶する(ステップS29)。
【0063】
主制御手段32は、さらに当該回収部品が期限管理対象部品であるか否かを判断し(ステップS31)、対象部品であると判断した場合には、供給部品データ37aから当該回収部品の使用期限データを読み出して記憶する(ステップS33)。
【0064】
以上により、主制御手段32は、当該回収部品の回収部品データ37bとして、当該回収部品の品種(部品名)、回収位置(座標)、検査結果(エラー種別)、製造ロットIDおよび使用期限を含むデータをデータ記憶手段36に記憶する。
【0065】
なお、QFP等のパッケージ型部品の不合格部品の回収用トレイT内への回収制御において、回収用トレイT内に不合格部品を回収した時点で次の不合格部品の回収スペースがない場合、主制御手段32は、ヘッドユニット6の残りの実装用ヘッド20に吸着された良品の部品を全て実装するとともに、満杯の回収用トレイTをトレイ収納部5aへ収納し、このトレイ収納部5a内に別の空の回収用トレイTがある場合は、部品供給用のトレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置に引き出して実装生産を継続し、その後の外観検査における不合格部品に対しては、部品供給位置のトレイTを別の空の回収用トレイTに入れ替え、この回収用トレイT内に不合格部品を回収する。一方、トレイ収納部5a内に空の回収用トレイTがない場合は、主制御手段32は、ヘッドユニット6の残りの実装用ヘッド20に吸着された良品の部品を全て実装するとともに、満杯の回収用トレイTをトレイ収納部5aへ収納した後、実装機を停止させ、モニタ24に別の空の回収用トレイTをトレイ収納部5aに挿入すべく促す警告表示を行わせる。
【0066】
図6のフローチャートに戻って、回収部品データ37bの記録が完了すると、主制御手段32は、ステップS11に移行し、廃棄や回収がされなかった各実装用ヘッド20の良品の吸着部品を基板P上の所定位置に実装する。
【0067】
部品の実装処理が終了すると、主制御手段32は、当該基板Pに対して全部品の実装が完了したか否かを判断する(ステップS13)。ここで、完了していないと判断した場合には、主制御手段32は、ステップS1に移行して次の部品吸着動作を実行する。他方、完了したと判断した場合には本フローチャートを終了する。
【0068】
次に、主制御手段32による回収部品の選別作業の支援動作制御について図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0069】
回収用トレイTに回収されるQFP等のパッケージ型部品のうち、端子(リード)の変形等、軽微な外観不良を伴う部品は、手直し後に再使用することが可能である。この部品実装装置では、回収用トレイT上に回収された複数種の回収部品の中から手直し対象となる部品を取り出すための選別作業、回収部品の使用可否等の選別作業、および手直しされて回収用トレイT上に仮置きされた回収部品を再利用のために移し変える作業等を、円滑に進めることができるように作業者を支援すべく、前記モニタ24に所定の画面表示を行わせることが可能となっている。なお、このような選別作業は、通常、基板Pの生産品種や生産ロットの切り換え時に実行される。
【0070】
主制御手段32は、選別作業開始の指示入力がなされるのを待って(ステップS41)、前記指示入力があったと判断すると、データ記憶手段36に記憶されている回収部品データ37bに基づきモニタ24に所定の画像表示(選別支援表示という)を行う(ステップS43)。なお、前記指示入力は、モニタ24にグラフィック表示されるGUIの指示入力のためのボタンをタッチパネル24b等により作業者が選択することにより入力される。
【0071】
図9は、モニタ24に表示された選別支援表示の一例であり、回収用トレイT内に図10に示すような状態で部品が回収されている場合に対応するものである。
【0072】
ここで、このモニタ表示の具体的な表示内容について説明すると、このモニタ表示は、GUI表示であり、回収用トレイTのグラフィック表示52、詳細内容表示54、表示内容選択用表示56、再使用ボタン表示58及び消去ボタン表示60などを含む。
【0073】
グラフィック表示52(本発明の回収部品特定情報に相当する)は、供給部品データ37aの部品の形状等のデータと回収部品データ37bの回収位置のデータに基づき、各回収部品をそれぞれの回収位置にそれぞれ部品の輪郭と部品名別符号(部品種毎の識別情報)で表示したものである。つまり、このグラフィック表示52は、回収用トレイT上における実際の部品の回収状態(図10に示す状態)に対応している。これにより、回収部品種が複数ある場合でも、種別毎に回収部品の手直し作業をする場合の選別が容易となる。
【0074】
なお、グラフィック表示52における部品輪郭形状や部品種別符号を参考に、作業者が回収部品の画像に触れることによりタッチパネル24bを介して特定の回収部品を選択すると、主制御手段32はその部品画像を着色表示する等、選択部品を視認可能な表示に切換える。
【0075】
詳細内容表示54(本発明の回収部品詳細情報に相当する)は、部品名別の符号、部品名、部品(部品名)の検査結果(エラー種別)、製造ロットID及び使用期限を示すものである。主制御手段32は、上記のように作業者がグラフィック表示52上で回収部品が選択されると、当該選択部品の一行の背景を着色表示するとともに、詳細内容表示54の欄の対応する部品の欄を着色表示する等し、選択部品および当該選択部品の詳細情報を視認し易い表示に切換える。これにより回収トレイTに同一部品名の回収部品が複数存在する場合でも、選択部品に対する部品(部品名)、検査結果(エラー種別)、製造ロットID、及び使用期限等の内容を、確認し易くできる。図9の例では、グラフィック表示52及び詳細表示54の網掛け部分がそれぞれ選択部品を示している。
【0076】
なお、グラフィック表示52における部品形状内の部品種別符号の表示を中止し、代わりに部品名別の識別色(部品種毎の識別情報)で部品を表示するとともに、詳細表示54における符号欄を廃止し、各行の背景をグラフィック表示52と同一の部品名別の識別色で区別できるように表示しても良い。この場合、画像に触れることにより選択する選択部品の一行の欄を太線で枠取りするようにする。
【0077】
表示内容選択用表示56は、この詳細内容表示54の表示内容を選択するためのものである。主制御手段32は、作業者がこの表示内容選択用表示56に従ってタッチパネル24bを介して表示内容を選択すると、詳細内容表示54として当該選択された表示内容を表示する。これにより作業者は、回収部品を修正(修理)して使用可能か否か、また、どの様な修正が必要か等の判断がし易くなる。
【0078】
再使用ボタン表示58および消去ボタン表示60は、回収用トレイT上の回収部品の修正作業を支援するためのものである。すなわち、作業者が回収用トレイTから選択部品を取り出して再使用可能な状態に修正した後、この部品を回収用トレイT上の元の位置に戻して再使用ボタン表示58に触れると、主制御手段32は、詳細内容表示54の該当部品欄を再使用が可能なことを示す表示にするとともに、グラフィック表示52における対応部品表示を、同様に再使用が可能なことを示す表示にする。一方、作業者がグラフィック表示52上で回収部品を選択した上で、この選択部品を取り出して目視検査した結果又は修正中に再使用不能と判断して部品を廃棄した後、作業者が消去ボタン表示60に触れると、主制御手段32は、廃棄された部品についてのグラフィック表示52における表示、詳細内容表示54における当該部品についての情報表示をそれぞれ消去する。これによって順次部品を取り出して修正する作業において、回収部品の中から必要な部品を取り出すための選別作業の作業性を向上させることができる。
【0079】
なお、回収された全ての部品に対する修正作業が終了後、作業者はグラフィック表示52における再使用可能な部品の部品種別の表示を参照しながら、部品種毎に回収用トレイT上から部品供給用トレイTへの移し変えを行う。
【0080】
図8のフローチャートに戻って、主制御手段32は、次に選別作業(修正可否判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業、および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業)の終了指示入力がなされたか否かを判断する(ステップS45)。この指示入力は、作業者がモニタ24上に表示される作業終了表示(図示省略)を、タッチパネル24bを介して操作することにより入力される。ここで、選別作業の終了指示入力がなされたと判断した場合には、主制御手段32は、モニタ24の表示を例えば部品実装作業中に表示される通常画面に戻して、本フローチャートを終了する。
【0081】
以上のような部品実装装置によれば、外観検査で不合格と認定されたQFP等のパッケージ型部品を不良部品として回収するが、その際、上記の通り部品をトレイフィーダ5の回収用トレイTに整然と並べた状態で回収することが可能なため、端子(リード)の変形等、軽微な外観不良を伴う部品を再使用する際には、当該部品を容易に回収用トレイTから取り出して使用することができる。
【0082】
そして作業者は、モニタ24の表示内容を確認することで、回収部品種が複数ある場合でも、種別毎に回収部品の手直し作業をする場合の、選別取出しが容易となる。すなわち、回収トレイT上に外観形状が共通又は類似する異品種部品が互いに接近して置かれているような場合でも、部品を取り違えるといった作業ミスを抑制することが可能となる。
【0083】
しかも、この部品実装装置によれば、回収用トレイTへの部品回収時に、当該回収部品の品種(部品名)、回収位置(座標)、検査結果(エラー種別)、製造ロットIDおよび使用期限を含む回収部品データ37bをデータ記憶手段36に記憶しておき、部品再使用時の選別作業の際には、この回収部品データ37bに基づきモニタ24に所定の選別支援表示を表示させることができるので、作業者は、この表示を参照しながら選別作業を迅速かつ正確に行うことが可能となる。すなわち、作業者は、モニタ24の表示内容を確認することで、回収用トレイT内の各回収部品の検査結果を容易に把握することが可能なため、再使用の可能性がある部品と、再使用が不可能な部品を速やかに特定することができることに加え、使用期限が設定される部品や製造ロットを容易に判別することができる。
【0084】
特に、この選別支援表示には、回収用トレイT上の実際の部品回収状態に対応するグラフィック表示52と検査結果(エラー種別)等を示す詳細内容表示54とが含まれており、作業者がグラフィック表示52上で回収部品を選択すると詳細内容表示54中の当該選択部品の内容欄が特定されるため、作業者は、直感的な操作により、回収用トレイTの回収部品の検査結果(エラー種別)等を把握することができる。具体的には、作業者が回収用トレイTを見ながら図10中に矢印で示す部品Cの検査結果(エラー種別)等を知りたい場合には、グラフィック表示52中から対応する部品を選択するだけで、図9中に網掛けで示すように、詳細内容表示54中の選択部品の対応欄が特定され、これにより検査結果(エラー種別)等を把握することができる。従って、所望の回収部品の検査結果(エラー種別)等を速やかにかつ正確に把握することができる。
【0085】
なお、以上説明した部品実装装置は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、トレイフィーダ5の特定の段に収容されるトレイTを部品回収部として不良部品と判断された部品を回収するようにしているが、勿論、基台1上に専用の部品回収部を配備し、この部品回収部に部品を回収するようにしてもよい。
【0087】
また、モニタ24に表示される前記選別支援表示の態様や具体的な表示内容は、図9の表示に限定されるものではなく、回収用トレイT(部品回収部)に不良部品として回収された回収部品の検査結果(エラー種別)等を作業者が容易に把握できるものであればよい。
【0088】
また、上記実施形態の説明では、回収用トレイTにおける部品の回収位置の詳細については言及していないが、部品の回収位置は、部品同士が互いに重なることなく平面的に並んだ状態で回収されるように定められていればよい。その場合、回収用トレイT上を複数のエリアに分割し、回収部品を品種別、不良内容別、若しくは再使用の可否別にそれぞれエリア分けして回収するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、部品実装装置に搭載されるモニタ24に前記選別支援表示が表示されるが、これとは別のモニタに表示させる構成であってもよい。例えば図11に示すように、部品実装装置の装置本体とは別に、当該装置本体にオンライン接続されたパソコン等の端末装置60を配備し、回収用トレイTへの部品回収時に、部品実装装置の装置本体から端末装置60に回収部品データ37bを送信、格納しつつ、必要に応じてこの端末装置60のモニタ62上に選別支援表示を表示させるようにしてもよい。すなわち、端末装置60が、回収部品データ37bを記憶する記憶機能と、選別支援表示をモニタ62に表示させるモニタ表示制御の機能を有する構成としてもよい。このような構成によれば、作業者がトレイフィーダ5から回収用トレイTを取り出し、オフラインで上記のような回収部品の選別作業(修正可否判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業、および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業)を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
3,4 部品供給部
5 トレイフィーダ
6 ヘッドユニット
16 前側部品認識カメラ
18 後側部品認識カメラ
20 実装用ヘッド
22 基板認識カメラ
24 モニタ
24a 表示部
24b タッチパネル
30 コントローラ
32 主制御手段
32a 部品検査部
32b モニタ表示制御部
36 データ記憶手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板上に部品を実装する部品実装装置に関連するものであり、特に、実装動作中に基板上に実装されることなく不良部品として回収された部品を再使用のための選別作業を支援するための選別支援装置およびこの選別支援装置を含む部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、部品移載用の移動可能なヘッドを有し、このヘッドにより部品供給部から部品を吸着してプリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板上に搬送、搭載(実装)する部品実装装置が公知である。この種の部品実装装置は、CCDカメラ等の撮像手段を備えており、搬送中の部品を画像認識することにより部品の外観検査を行い、不良部品ついては、これを基板上に実装することなく所定の回収ボックに回収する。
【0003】
なお、回収された部品は、そのまま廃棄される場合が多いが、例えばリード(端子)の変形等、手直し可能な軽度の不良部品については、再使用することも行われる。そのため、最近では、このような再使用を想定し、回収ボックスの内底面等に部品を整然と並べた状態で回収する部品実装装置が提案されている(例えば特許文献1)。このような部品実装装置によれば、回収ボックス内に乱雑に積層した状態で部品が回収される場合に比べ、部品の取出しを容易に行うことが可能であり、さらに、回収部品の中から再使用可能な部品を取り出すに際しての選別作業の作業性が向上するという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−224098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される部品実装装置では、不良内容に拘わらず種々の部品が入り交じった状態で回収されるため、選別作業時に部品の不良内容を特定することが困難な場合がある。また、外観が共通又は類似する異品種部品が隣接する位置に回収されると、誤った部品を再使用するといった作業ミスの発生も否定できない。さらに、部品の種類によっては、はんだ付け性の劣化や特性の経時劣化などとの関係から使用期限が設定されているものもあり、このような部品については、選別作業時にその部品の製造ロットを調べた上で、さらにその製造ロットの使用期限を調べるといった作業が必要となり、部品の選別作業が非常に煩雑なものになる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み、基板上に実装されることなく回収された部品を再使用する際に、回収部品の中から必要な部品を取り出すための選別作業の作業性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、不良部品と判定された複数種の部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、部品回収部に回収される回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、および回収位置を含む情報を記憶する第1記憶手段と、回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、第1記憶手段に記憶された情報に基づき、回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、およびその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報を、表示手段に表示させる表示制御手段とを含むものである。
【0008】
この選別支援装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係を速やかに把握することが可能となる。従って、上記選別作業をより円滑に進めることが可能となる。
【0009】
なお、請求項の記載において「選別」とは、不良部品と判定された部品を再使用する際に、複数種の回収部品の中から手直し対象の部品を取り出すための選別作業、回収部品の使用可否、修正可否の判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業等の行為を広く指す意味である。
【0010】
上記の選別支援装置において、前記第1記憶手段は、前記部品回収部に回収される回収部品の不良内容を追加記憶し、前記表示制御手段は、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させるものが好適である。
【0011】
この選別支援装置によれば、回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報をさらに参照することが可能となるため、より一層、上記選別作業を円滑に進めることが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る他の選別支援装置は、不良部品と判定された部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、前記部品回収部に回収される回収部品の回収位置および不良内容を含む情報を記憶する第1記憶手段と、前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品とその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報、および回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むものである。
【0013】
この選別支援装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報および回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容を速やかに把握することが可能となる。従って、上記選別作業をより円滑に進めることが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る部品実装装置は、基板上に実装される部品を供給する部品供給部と、前記部品供給部から部品を吸着して前記基板上に実装するヘッドと、前記ヘッドにより部品供給部から取り出された部品の基板上への実装に先立ち、当該部品を撮像する撮像手段と、この撮像手段による撮像結果に基づき部品の外観検査を行いその不良内容を特定する部品検査手段と、この部品検査手段により不良部品と判断された部品を回収するための部品回収部と、前記不良部品と判断された部品の前記部品回収部における回収位置を特定し、その特定位置に前記不良部品を回収すべく前記ヘッドを制御するヘッド制御手段と、前記部品回収部に回収された回収部品を選別するための作業を支援するための選別支援手段とを含み、この選別支援手段として、上記のような回収部品の選別支援装置を備えているものである。
【0015】
この部品実装装置によれば、回収部品の選別作業の際に、表示手段により表示される回収部品特定情報や回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部に回収された回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容を速やかに把握することが可能となる。従って、部品実装装置において上記選別作業を円滑に進めることが可能となる。
【0016】
なお、上記の選別支援装置においては、前記部品の使用期限を特定可能な情報および当該部品の製造ロットを特定可能な情報のうち少なくとも一方を記憶する第2記憶手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記第2記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品詳細情報として、さらに前記回収部品の使用期限および製造ロットのうち少なくとも一方を含む情報を前記表示手段に表示させるものであるのが好適である。
【0017】
この構成によれば、表示手段により表示される回収部品詳細情報を参照することにより、部品の使用期限や製造ロットを速やかに把握することが可能となる。従って、回収部品の再使用に際して、部品の使用期限やロットの使い分けが求められる場合でも、それらの制約内容を容易に把握しながら選別作業を進めることが可能となる。
【0018】
なお、上記の選別支援装置においては、前記表示手段による表示上で選択操作入力を受け付ける入力手段を備えており、前記表示制御手段は、前記回収部品特定情報として回収部品をその回収位置に従って表示するグラフィック画像を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段が当該グラフィック画像上で回収部品の画像の選択を受け付けると、当該選択された回収部品に対応する前記回収部品詳細情報の認識が可能となるように前記表示手段の表示を制御するものであるのが好適である。
【0019】
このような構成によれば、部品回収部の実際の部品回収の状態に対応したグラフィック画像が表示手段により表示される。そのため、作業者は、グラフィック画像上で所望の回収部品を直感的に選択しながら、その回収部品の不良内容等の回収部品詳細情報を認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明の選別支援装置及び部品実装装置によれば、表示手段により表示される回収部品特定情報および回収部品詳細情報を参照することにより、部品回収部における回収部品とその回収位置との関係、および各回収部品の不良内容等を速やかに把握することが可能となる。従って、回収部品の選別作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る部品実装装置を示す模式図である。
【図2】部品実装装置の主用部を示す斜視図である。
【図3】部品実装装置のうちヘッドユニットとその駆動機構を示す正面図である。
【図4】部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図5】供給部品データの一例を示す図である。
【図6】コントローラ(主制御手段)による部品実装動作の動作制御を説明するフローチャートである。
【図7】主制御手段による回収部品情報の記録制御を説明するフローチャートである。
【図8】主制御手段による回収部品の選別支援制御を説明するフローチャートである。
【図9】モニタによる表示の一例を示す図である。
【図10】グラフィック画像表示に対応する回収用トレイの部品回収状態を示す模式図である。
【図11】本発明に係る部品実装装置の他の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について詳述する。
【0023】
図1〜図3は、本発明に係る部品実装装置を概略的に示しており、図1は装置全体を模式的に、図2は部品実装装置の主要部を斜視図で、図3は部品実装装置のうち後記ヘッドユニットとその駆動機構を正面図でそれぞれ示している。
【0024】
部品実装装置は、基台1と、この基台1上に配置される基板搬送用のコンベア2と、部品供給部3,4と、部品実装用のヘッドユニット6と、このヘッドユニット6を駆動するためのヘッドユニット駆動機構と、部品認識カメラ16,18等とを備えている。
【0025】
前記コンベア2は、特定方向に互いに平行に延びる一対のベルトコンベアからなり、プリント配線板(PWB;Printed wiring board)等の基板Pを前記特定方向に搬送しながら所定の実装作業位置に対して基板Pを搬入、搬出する。当例では、コンベア2の長手方向の略中間位置が実装作業位置とされ、基板Pはコンベア2に沿って前記特定方向の一方側から実装作業位置に搬入され、部品実装の後、他方側に搬出される。なお、以下の説明では、コンベア2による基板Pの搬送方向をX方向、水平面上でこれと直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ軸方向とする。
【0026】
前記部品供給部3,4はコンベア2の外側に備えられている。これら部品供給部3,4のうち、コンベア2の一方側(装置前側)に位置する部品供給部3は、コンベア2に沿ってX方向に並ぶ複数のテープフィーダ3aを有する。各テープフィーダ3aは、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を収納、保持したテープが巻回されたリールを備え、このリールから間欠的にテープを繰り出しながらコンベア2近傍の所定の部品供給位置に部品を供給する。
【0027】
一方、コンベア2の他方側(装置後側)に位置する部品供給部4は、トレイフィーダ5を有する。このトレイフィーダ5は、QFP、BGA等のパッケージ型部品をそれぞれマトリクス状に載置した複数のトレイTが上下多段に収容されるトレイ収納部5aと、このトレイ収納部5a内のトレイTをコンベア2側の部品供給位置(図2のトレイTの位置)に出し入れする出し入れ機構5bとを含み、上下多段に収容されたトレイTのうち被実装部品が配列されたトレイTを部品供給位置に引き出すことにより部品を供給する。
【0028】
トレイ収納部5aのうち特定の段に収容されるトレイTは、部品回収用のトレイT(本発明の部品回収部に相当する)とされている。この部品回収用のトレイTは、トレイフィーダ5により供給されたQFP等のパッケージ型部品のうち、後述する部品の外観検査により不良部品と認定された部品を回収するものである。このように部品回収用のトレイTに回収されるパッケージ型部品のうち、特に端子(リード)の変形等、手直し可能な軽微な不良を伴う部品については、適当なタイミングでトレイTから取出され、手直しされた後に再使用されることとなる。すなわち、部品供給位置からトレイ収納部5aに戻された部品回収用のトレイTを、適当なタイミングで作業者が取り出すとともに、このトレイTから不良を伴う部品を取り出して手直しし、手直しした部品を正常な部品が収納された別のトレイTに追加収納することで、部品の再使用が可能とされる。
【0029】
なお、以下の説明においては、トレイ収納部5a内のトレイTのうち、QFP等の部品が配列される部品供給用のトレイTを単にトレイTと称し、不良部品が回収されるトレイTを回収用トレイTと称す。
【0030】
前記ヘッドユニット6は、前記部品供給部3,4から部品を取り出して基板P上に移載(実装)するものであり、コンベア2及び部品供給部3,4等の上方に配置されている。
【0031】
このヘッドユニット6は、前記複数のテープフィーダ3a及びトレイフィーダ5から任意の部品を取り出し可能となるように、前記ヘッドユニット駆動機構により一定の領域内でX方向及びY方向に移動可能とされている。詳しくは、ヘッドユニット駆動機構は、基台フレーム1aに設けられY方向に延びる一対の固定レール7と、基台フレーム1aに支持されたY軸サーボモータ9と、固定レール7に移動可能に支持されるユニット支持部材11と、このユニット支持部材11に螺合挿入されてY方向に延びかつY軸サーボモータ9により駆動されるボールねじ(図示省略)と、前記ユニット支持部材11に固定されて前記ヘッドユニット6をX方向に移動可能に支持する一対の固定レール14と、ユニット支持部材11に支持されたX軸サーボモータ15と、ヘッドユニット6に螺合挿入されてX方向に延びかつX軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ13とを含む。つまり、X軸サーボモータ15の駆動によりヘッドユニット6がX方向に移動するとともに、Y軸サーボモータ9の駆動によりユニット支持部材11をY方向に移動し、この構成により、ヘッドユニット駆動機構は、前記ヘッドユニット6を一定の領域内でX方向及びY方向に移動させる。
【0032】
ヘッドユニット6は、複数の実装用ヘッド20と、これら実装用ヘッド20を個別に昇降及び回転(Z方向と平行な軸回りの回転)させるための実装用ヘッド駆動機構と、基板認識カメラ22とを備える。
【0033】
実装用ヘッド20は、下端に吸着ノズルを備え、この吸着ノズルにより部品を吸着、保持するものであり、当例では、X方向に一定間隔で並ぶ6本(図3参照)の実装用ヘッド20がヘッドユニット6に搭載されている。
【0034】
基板認識カメラ22は、基板P上に記される各種マーク等を撮像するものであり、CCD等の撮像素子を有するカメラ本体と、このカメラ本体の周囲に所定の配列で配置されるLED等を有する照明装置とを含む。この基板認識カメラ22は、基板Pをその真上から撮像すべく下向きに指向する状態でヘッドユニット6に固定されている。
【0035】
前記部品認識カメラ16,18(前側部品認識カメラ16、後側部品認識カメラ18という)は、前記実装用ヘッド20に吸着された部品の当該吸着状態を認識するとともに部品の外観検査を行うために当該部品を撮像するものであり、部品供給部3,4に配置されている。具体的には、前側部品認識カメラ16は、装置前側の部品供給部3に、後側部品認識カメラ18は装置後側の部品供給部4にそれぞれ配置されている。
【0036】
これら部品認識カメラ16,18のうち、前側部品認識カメラ16は、ヘッドユニット6に搭載される前記基板認識カメラ22と同様、CCD等の撮像素子を有するカメラ本体と、このカメラ本体の周囲に所定の配列で配置されるLED等を有する照明装置とを含む。この前側部品認識カメラ16は、前記実装用ヘッド20に保持された部品をその真下から撮像することが可能となるように上向きに指向する状態で基台1上に固定されている。
【0037】
後側部品認識カメラ18は、2種類のカメラ18a、18b(第1認識カメラ18a、第2認識カメラ18bという)を含む。第1認識カメラ18aは、前記前側部品認識カメラ16と同一構成であり、前記カメラ本体と照明装置とを含み、実装用ヘッド20に吸着された部品をその真下から撮像するものである。他方、第2認識カメラ18bは、前記カメラ本体と照明装置とを含む点で第1認識カメラ18aと構成が共通するが、第2認識カメラ18bは実装用ヘッド20に吸着された部品を斜め下側から撮像できるように前記基台1上に配置されている。つまり、後側部品認識カメラ18は、これら第1、第2の認識カメラ18a、18bにより複数方向から部品を撮像することが可能であり、これによりパッケージ型部品のリード(端子)の状態、例えばリードコプラナリティ等の画像認識に適した部品画像を取得可能となっている。なお、第2認識カメラ18bについては、実装用ヘッド20に吸着された部品を真横から撮像できるように前記基台1上に配置されるものであってもよい。
【0038】
部品実装装置の基台1上には、図示を省略するが、外観不良や吸着不良を伴うチップ部品(テープフィーダ3aにより供給された部品)を廃棄するための廃棄ボックが設置されている。なお、外観不良等を伴うチップ部品は、QFP等のパッケージ型部品と異なり、再使用されることなく全てのこの廃棄ボックに廃棄される。
【0039】
部品実装装置は、さらにその動作を統括的に制御するためのコントローラ30を備えている。図4は、このコントローラ30の機能構成をブロック図で示している。なお、同図は、主に本発明に関連する機能構成を示したものである。
【0040】
コントローラ30は、論理演算を実行するCPU、そのCPUを制御する種々のプログラムなどを記憶するROM、種々のデータを一時的に記憶するRAMおよびHDD等から構成されており、主な機能構成として、主制御手段32、実装部プログラム記憶手段34、データ記憶手段36、画像処理手段38及び外部入出力手段40等を含んでいる。
【0041】
主制御手段32は、実装部プログラム記憶手段34に予め記憶されているプログラムに従って実装作業を進めるとともに、その作業に必要な各種演算処理を行うものである。
【0042】
この主制御手段32は、前記ヘッドユニット6等の駆動を統括的に制御するヘッド制御部32a(本発明のヘッド制御手段に相当する)と、パッケージ型部品の画像データに基づき当該パッケージ型部品の端子(リード)コプラナリティ、端子ピッチ、端子抜け、接点高さ等の外観検査を行い、その不良内容を特定する部品検査部32a(本発明の部品検査手段に相当する)と、その検査結果等の情報を後記モニタ24に画像表示させるためのモニタ表示制御部32b(本発明の表示制御手段に相当する)とを含む。このモニタ表示制御部32bは、検査結果等、必要な情報を後記モニタ24にGUI(グラフィカルユーザインタフェース)表示させる。
【0043】
なお、前記ヘッド制御部32aは、部品検査部32aの外観検査において不良部品と認定された部品が発生した場合には、回収用トレイT内における当該不良部品の回収位置を特定し、その特定位置に不良部品を回収すべく前記ヘッドユニット6等の駆動を制御する。また、図示を省略するが、主制御手段32は、テープフィーダ3a及びトレイフィーダ5の駆動を制御するフィーダ制御部も含む。
【0044】
データ記憶手段36は、部品供給部3,4から供給される各部品に関する各種データ(供給部品データ37a)、画像データ37b、不良部品としてトレイフィーダ5の前記回収用トレイTに回収されるパッケージ型部品の不良内容等の各種データ(回収部品データ37bと称す)を記憶するものである。すなわち、当例では、このデータ記憶手段36が本発明の第1記憶手段及び第2記憶手段を兼ねる。
【0045】
ここで、前記供給部品データ37aは、部品の形状(寸法)、端子ピッチ及び端子数等、部品の外観検査に必要な検査用データや、図5に示すような部品の製造ロットID、開封時期、使用期限等、部品管理に必要な部品管理用データ等の各種データを含む。なお、「開封時期」とは、QFP等のパッケージ型部品のうち真空状態で納品される部品の開封日時であり、「使用期限」とは、当該パッケージ型部品について予め定められた性能保証期間であって前記開封日時から起算される期間である。つまり、QFP等のパッケージ型部品のなかには、はんだ付け性の劣化(酸化、湿気等の影響による劣化)等を避けるために、予めトレイTに収納された状態で真空パックされ、かつ、その開封日時からの保証期間が定められたものがあり、このような部品の「開封時期」や「使用期限」がデータ記憶手段36に記憶される。一方、回収部品データ37bは、不良部品として回収用トレイTに回収されたパッケージ型部品の外観検査の不良内容等の詳細データや当該検査に使用された部品の画像データ等を含む。
【0046】
画像処理手段は、前記基板認識カメラ22、部品認識カメラ16、18から入力される画像データに所定の画像処理を施すものであり、前記主制御手段32は、その処理後の画像データに基づいて実装作業位置における基板Pの位置を認識し、また、各実装用ヘッド20による吸着部品の外観検査及び吸着状態の認識を行う。
【0047】
外部入出力手段40は、部品実装装置に付設される各種機器との間で各種信号の伝送および受信を行うものであり、作業者に各種情報を提供するための表示装置や主制御手段32に各種指示を与えるための入力装置が接続されている。具体的には、表示装置としてモニタ24(表示部24a;本発明の表示手段に相当する)が接続され、入力装置としてタッチパネル24a、キーボード26、マウス27及びQRコードリーダ28が接続されている。タッチパネル24aは、モニタ24に組み込まれている。
【0048】
なお、QRコードリーダ28は、部品段取り時に供給部品データ37aをデータ記憶手段36に記憶させるためのものである。部品の包装袋等には部品の製造ロットIDや保証期間に関する情報等がQRコードにより記録されており、部品段取り時に作業者がこのQRコードをQRコードリーダ28によって読み取ることにより製造ロットID等の情報がコントローラ30に入力される。この場合、保証期間が設定されているQFP等のパッケージ型部品については、QRコードの読み取り情報(保証期間)とその読み取り時刻とに基づき前記主制御手段32により使用期限(日時)が演算され、その結果が供給部品データ37aとしてデータ記憶手段36に記憶される。
【0049】
次に、上記コントローラ30(主制御手段32)による実装動作制御について図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0050】
この部品実装装置において実装動作シーケンスがスタートすると、主制御手段32は、部品吸着動作を実行する(ステップS1)。
【0051】
この際、テープフィーダ3aによる供給部品を吸着する場合には、主制御手段32は、対象となるテープフィーダ3aの部品供給位置の上方に対応する実装用ヘッド20が位置するようヘッドユニット6を移動させた後、実装用ヘッド20を昇降駆動する。これにより当該実装用ヘッド20により部品を吸着させる。他方、トレイフィーダ5による供給部品を吸着する場合には、主制御手段32は、出し入れ機構5bを駆動制御することにより、対象部品が収納された供給トレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置に引き出した後、対象部品の上方に対応する実装用ヘッド20が位置するようヘッドユニット6を移動させて実装用ヘッド20を昇降駆動する。これによりトレイT上の部品を実装用ヘッド20により吸着させる。なお、このような部品取り出し動作において、主制御手段32は、可能な場合には、複数の実装用ヘッド20により複数の部品を同時に吸着させる。
【0052】
実装用ヘッド20による部品吸着が完了すると、主制御手段32は、吸着部品の認識動作を実行する(ステップS3)。
【0053】
具体的には、主制御手段32は、まず所定の経路に沿ってヘッドユニット6を移動させることにより、吸着部品を部品認識カメラ16,18により撮像させる。
【0054】
この際、各実装用ヘッド20による吸着部品がチップ部品のみである場合、つまり装置前側の部品供給部3からのみ部品が取り出された場合には、主制御手段32は、各部品が前側部品認識カメラ16の上を通過するようにヘッドユニット6を制御し、前側部品認識カメラ16により各部品を撮像させることにより、各吸着部品の真下からの画像データを取得する。他方、各実装用ヘッド20による吸着部品がQFP等のパッケージ型部品を含む場合には、主制御手段32は、各部品が後側部品認識カメラ18上、詳しくは第1認識カメラ18a及び第2認識カメラ18b上を順次通過するようにヘッドユニット6を制御することにより、チップ部品については各吸着部品の真下からの画像を取得し、パッケージ型部品については真下に加え、斜め下方からの画像を取得する。
【0055】
各吸着部品の画像データを取得し、データ記憶手段36に画像データ37bを記憶すると、主制御手段32は、この画像データ37bに基づき各実装用ヘッド20に吸着部品の外観検査、例えば部品の欠け、端子(リード)コプラナリティ、端子ピッチ、端子抜け、接点高さ等、部品の品種毎に予め定められた項目の外観検査を行うとともに、吸着状態の認識、具体的には実装用ヘッド20に対する吸着部品の吸着ずれの認識を行い、実装用ヘッド20のうちに認識NGヘッドが無いか、つまり、吸着部品の外観検査及び吸着状態の認識結果について不合格ものが無いかを判断する(ステップS5)。なお、主制御手段32は、吸着状態については、吸着ずれ量が設定値を超えている場合など、部品実装時の吸着ずれ補正が不能な場合には吸着不良と判断する。
【0056】
ステップS5においてYESと判断した場合には、主制御手段32は、ヘッドユニット6を基板P上方に移動させ、各実装用ヘッド20を駆動することにより各吸着部品を順次基板P上の所定位置に実装する。
【0057】
これに対して、各実装用ヘッド20の吸着部品の何れかに外観検査及び吸着状態の認識結果に不合格と判断されるものがあると判断した場合には(ステップS5でNO)、主制御手段32は、当該部品を不良部品として回収すべくヘッドユニット6等を制御する(ステップS7)。
【0058】
具体的には、該当する部品がチップ部品の場合には、主制御手段32は、ヘッドユニット6を駆動制御し、前記廃棄ボックス上方に当該吸着部品を配置した後、実装用ヘッド20による当該部品の吸着状態を解除することにより当該部品を廃棄ボックス内に落下させる。
【0059】
他方、不合格部品がQFP等のパッケージ型部品の場合には、主制御手段32は、当該部品を回収用トレイT内に回収すべく、回収用トレイT内における当該部品の回収位置を特定し、並行してトレイフィーダ5の出し入れ機構5bを駆動制御することにより部品供給用のトレイTを部品供給位置からトレイ収納部5aに収納し、代わりに回収用トレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置と同じ位置に引き出した後、回収用トレイT内の前記回収位置に部品を載置すべくヘッドユニット6を水平駆動し実装用ヘッド20を昇降駆動する。
【0060】
こうして部品を回収ボックス又は回収用トレイに回収すると、主制御手段32は、当該回収部品のうち回収用トレイTに回収されたパッケージ型部品に関する前記回収部品データ37bをデータ記憶手段36に記憶する(ステップS9)。この処理は、図7のフローチャートに従う。
【0061】
すなわち、主制御手段32は、先ず、回収用トレイTに回収された回収部品について、その回収位置(座標)と、当該回収部品の品種(部品名)と、検査結果(エラー種別)とを順次関連づけて記憶する(ステップS21〜S25)。
【0062】
次いで、主制御手段32は、当該回収部品が製造ロットID管理対象部品であるか否かを判断し(ステップS27)、対象部品であると判断した場合には、さらに供給部品データ37aから当該回収部品の製造ロットIDデータを読み出して記憶する(ステップS29)。
【0063】
主制御手段32は、さらに当該回収部品が期限管理対象部品であるか否かを判断し(ステップS31)、対象部品であると判断した場合には、供給部品データ37aから当該回収部品の使用期限データを読み出して記憶する(ステップS33)。
【0064】
以上により、主制御手段32は、当該回収部品の回収部品データ37bとして、当該回収部品の品種(部品名)、回収位置(座標)、検査結果(エラー種別)、製造ロットIDおよび使用期限を含むデータをデータ記憶手段36に記憶する。
【0065】
なお、QFP等のパッケージ型部品の不合格部品の回収用トレイT内への回収制御において、回収用トレイT内に不合格部品を回収した時点で次の不合格部品の回収スペースがない場合、主制御手段32は、ヘッドユニット6の残りの実装用ヘッド20に吸着された良品の部品を全て実装するとともに、満杯の回収用トレイTをトレイ収納部5aへ収納し、このトレイ収納部5a内に別の空の回収用トレイTがある場合は、部品供給用のトレイTをトレイ収納部5aから部品供給位置に引き出して実装生産を継続し、その後の外観検査における不合格部品に対しては、部品供給位置のトレイTを別の空の回収用トレイTに入れ替え、この回収用トレイT内に不合格部品を回収する。一方、トレイ収納部5a内に空の回収用トレイTがない場合は、主制御手段32は、ヘッドユニット6の残りの実装用ヘッド20に吸着された良品の部品を全て実装するとともに、満杯の回収用トレイTをトレイ収納部5aへ収納した後、実装機を停止させ、モニタ24に別の空の回収用トレイTをトレイ収納部5aに挿入すべく促す警告表示を行わせる。
【0066】
図6のフローチャートに戻って、回収部品データ37bの記録が完了すると、主制御手段32は、ステップS11に移行し、廃棄や回収がされなかった各実装用ヘッド20の良品の吸着部品を基板P上の所定位置に実装する。
【0067】
部品の実装処理が終了すると、主制御手段32は、当該基板Pに対して全部品の実装が完了したか否かを判断する(ステップS13)。ここで、完了していないと判断した場合には、主制御手段32は、ステップS1に移行して次の部品吸着動作を実行する。他方、完了したと判断した場合には本フローチャートを終了する。
【0068】
次に、主制御手段32による回収部品の選別作業の支援動作制御について図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0069】
回収用トレイTに回収されるQFP等のパッケージ型部品のうち、端子(リード)の変形等、軽微な外観不良を伴う部品は、手直し後に再使用することが可能である。この部品実装装置では、回収用トレイT上に回収された複数種の回収部品の中から手直し対象となる部品を取り出すための選別作業、回収部品の使用可否等の選別作業、および手直しされて回収用トレイT上に仮置きされた回収部品を再利用のために移し変える作業等を、円滑に進めることができるように作業者を支援すべく、前記モニタ24に所定の画面表示を行わせることが可能となっている。なお、このような選別作業は、通常、基板Pの生産品種や生産ロットの切り換え時に実行される。
【0070】
主制御手段32は、選別作業開始の指示入力がなされるのを待って(ステップS41)、前記指示入力があったと判断すると、データ記憶手段36に記憶されている回収部品データ37bに基づきモニタ24に所定の画像表示(選別支援表示という)を行う(ステップS43)。なお、前記指示入力は、モニタ24にグラフィック表示されるGUIの指示入力のためのボタンをタッチパネル24b等により作業者が選択することにより入力される。
【0071】
図9は、モニタ24に表示された選別支援表示の一例であり、回収用トレイT内に図10に示すような状態で部品が回収されている場合に対応するものである。
【0072】
ここで、このモニタ表示の具体的な表示内容について説明すると、このモニタ表示は、GUI表示であり、回収用トレイTのグラフィック表示52、詳細内容表示54、表示内容選択用表示56、再使用ボタン表示58及び消去ボタン表示60などを含む。
【0073】
グラフィック表示52(本発明の回収部品特定情報に相当する)は、供給部品データ37aの部品の形状等のデータと回収部品データ37bの回収位置のデータに基づき、各回収部品をそれぞれの回収位置にそれぞれ部品の輪郭と部品名別符号(部品種毎の識別情報)で表示したものである。つまり、このグラフィック表示52は、回収用トレイT上における実際の部品の回収状態(図10に示す状態)に対応している。これにより、回収部品種が複数ある場合でも、種別毎に回収部品の手直し作業をする場合の選別が容易となる。
【0074】
なお、グラフィック表示52における部品輪郭形状や部品種別符号を参考に、作業者が回収部品の画像に触れることによりタッチパネル24bを介して特定の回収部品を選択すると、主制御手段32はその部品画像を着色表示する等、選択部品を視認可能な表示に切換える。
【0075】
詳細内容表示54(本発明の回収部品詳細情報に相当する)は、部品名別の符号、部品名、部品(部品名)の検査結果(エラー種別)、製造ロットID及び使用期限を示すものである。主制御手段32は、上記のように作業者がグラフィック表示52上で回収部品が選択されると、当該選択部品の一行の背景を着色表示するとともに、詳細内容表示54の欄の対応する部品の欄を着色表示する等し、選択部品および当該選択部品の詳細情報を視認し易い表示に切換える。これにより回収トレイTに同一部品名の回収部品が複数存在する場合でも、選択部品に対する部品(部品名)、検査結果(エラー種別)、製造ロットID、及び使用期限等の内容を、確認し易くできる。図9の例では、グラフィック表示52及び詳細表示54の網掛け部分がそれぞれ選択部品を示している。
【0076】
なお、グラフィック表示52における部品形状内の部品種別符号の表示を中止し、代わりに部品名別の識別色(部品種毎の識別情報)で部品を表示するとともに、詳細表示54における符号欄を廃止し、各行の背景をグラフィック表示52と同一の部品名別の識別色で区別できるように表示しても良い。この場合、画像に触れることにより選択する選択部品の一行の欄を太線で枠取りするようにする。
【0077】
表示内容選択用表示56は、この詳細内容表示54の表示内容を選択するためのものである。主制御手段32は、作業者がこの表示内容選択用表示56に従ってタッチパネル24bを介して表示内容を選択すると、詳細内容表示54として当該選択された表示内容を表示する。これにより作業者は、回収部品を修正(修理)して使用可能か否か、また、どの様な修正が必要か等の判断がし易くなる。
【0078】
再使用ボタン表示58および消去ボタン表示60は、回収用トレイT上の回収部品の修正作業を支援するためのものである。すなわち、作業者が回収用トレイTから選択部品を取り出して再使用可能な状態に修正した後、この部品を回収用トレイT上の元の位置に戻して再使用ボタン表示58に触れると、主制御手段32は、詳細内容表示54の該当部品欄を再使用が可能なことを示す表示にするとともに、グラフィック表示52における対応部品表示を、同様に再使用が可能なことを示す表示にする。一方、作業者がグラフィック表示52上で回収部品を選択した上で、この選択部品を取り出して目視検査した結果又は修正中に再使用不能と判断して部品を廃棄した後、作業者が消去ボタン表示60に触れると、主制御手段32は、廃棄された部品についてのグラフィック表示52における表示、詳細内容表示54における当該部品についての情報表示をそれぞれ消去する。これによって順次部品を取り出して修正する作業において、回収部品の中から必要な部品を取り出すための選別作業の作業性を向上させることができる。
【0079】
なお、回収された全ての部品に対する修正作業が終了後、作業者はグラフィック表示52における再使用可能な部品の部品種別の表示を参照しながら、部品種毎に回収用トレイT上から部品供給用トレイTへの移し変えを行う。
【0080】
図8のフローチャートに戻って、主制御手段32は、次に選別作業(修正可否判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業、および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業)の終了指示入力がなされたか否かを判断する(ステップS45)。この指示入力は、作業者がモニタ24上に表示される作業終了表示(図示省略)を、タッチパネル24bを介して操作することにより入力される。ここで、選別作業の終了指示入力がなされたと判断した場合には、主制御手段32は、モニタ24の表示を例えば部品実装作業中に表示される通常画面に戻して、本フローチャートを終了する。
【0081】
以上のような部品実装装置によれば、外観検査で不合格と認定されたQFP等のパッケージ型部品を不良部品として回収するが、その際、上記の通り部品をトレイフィーダ5の回収用トレイTに整然と並べた状態で回収することが可能なため、端子(リード)の変形等、軽微な外観不良を伴う部品を再使用する際には、当該部品を容易に回収用トレイTから取り出して使用することができる。
【0082】
そして作業者は、モニタ24の表示内容を確認することで、回収部品種が複数ある場合でも、種別毎に回収部品の手直し作業をする場合の、選別取出しが容易となる。すなわち、回収トレイT上に外観形状が共通又は類似する異品種部品が互いに接近して置かれているような場合でも、部品を取り違えるといった作業ミスを抑制することが可能となる。
【0083】
しかも、この部品実装装置によれば、回収用トレイTへの部品回収時に、当該回収部品の品種(部品名)、回収位置(座標)、検査結果(エラー種別)、製造ロットIDおよび使用期限を含む回収部品データ37bをデータ記憶手段36に記憶しておき、部品再使用時の選別作業の際には、この回収部品データ37bに基づきモニタ24に所定の選別支援表示を表示させることができるので、作業者は、この表示を参照しながら選別作業を迅速かつ正確に行うことが可能となる。すなわち、作業者は、モニタ24の表示内容を確認することで、回収用トレイT内の各回収部品の検査結果を容易に把握することが可能なため、再使用の可能性がある部品と、再使用が不可能な部品を速やかに特定することができることに加え、使用期限が設定される部品や製造ロットを容易に判別することができる。
【0084】
特に、この選別支援表示には、回収用トレイT上の実際の部品回収状態に対応するグラフィック表示52と検査結果(エラー種別)等を示す詳細内容表示54とが含まれており、作業者がグラフィック表示52上で回収部品を選択すると詳細内容表示54中の当該選択部品の内容欄が特定されるため、作業者は、直感的な操作により、回収用トレイTの回収部品の検査結果(エラー種別)等を把握することができる。具体的には、作業者が回収用トレイTを見ながら図10中に矢印で示す部品Cの検査結果(エラー種別)等を知りたい場合には、グラフィック表示52中から対応する部品を選択するだけで、図9中に網掛けで示すように、詳細内容表示54中の選択部品の対応欄が特定され、これにより検査結果(エラー種別)等を把握することができる。従って、所望の回収部品の検査結果(エラー種別)等を速やかにかつ正確に把握することができる。
【0085】
なお、以上説明した部品実装装置は、本発明に係る部品実装装置の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、トレイフィーダ5の特定の段に収容されるトレイTを部品回収部として不良部品と判断された部品を回収するようにしているが、勿論、基台1上に専用の部品回収部を配備し、この部品回収部に部品を回収するようにしてもよい。
【0087】
また、モニタ24に表示される前記選別支援表示の態様や具体的な表示内容は、図9の表示に限定されるものではなく、回収用トレイT(部品回収部)に不良部品として回収された回収部品の検査結果(エラー種別)等を作業者が容易に把握できるものであればよい。
【0088】
また、上記実施形態の説明では、回収用トレイTにおける部品の回収位置の詳細については言及していないが、部品の回収位置は、部品同士が互いに重なることなく平面的に並んだ状態で回収されるように定められていればよい。その場合、回収用トレイT上を複数のエリアに分割し、回収部品を品種別、不良内容別、若しくは再使用の可否別にそれぞれエリア分けして回収するようにしてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、部品実装装置に搭載されるモニタ24に前記選別支援表示が表示されるが、これとは別のモニタに表示させる構成であってもよい。例えば図11に示すように、部品実装装置の装置本体とは別に、当該装置本体にオンライン接続されたパソコン等の端末装置60を配備し、回収用トレイTへの部品回収時に、部品実装装置の装置本体から端末装置60に回収部品データ37bを送信、格納しつつ、必要に応じてこの端末装置60のモニタ62上に選別支援表示を表示させるようにしてもよい。すなわち、端末装置60が、回収部品データ37bを記憶する記憶機能と、選別支援表示をモニタ62に表示させるモニタ表示制御の機能を有する構成としてもよい。このような構成によれば、作業者がトレイフィーダ5から回収用トレイTを取り出し、オフラインで上記のような回収部品の選別作業(修正可否判断作業、廃棄あるいは修正のための取り出し作業、および部品種毎の再利用可能部品の移し変え作業)を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
3,4 部品供給部
5 トレイフィーダ
6 ヘッドユニット
16 前側部品認識カメラ
18 後側部品認識カメラ
20 実装用ヘッド
22 基板認識カメラ
24 モニタ
24a 表示部
24b タッチパネル
30 コントローラ
32 主制御手段
32a 部品検査部
32b モニタ表示制御部
36 データ記憶手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不良部品と判定された複数種の部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、
前記部品回収部に回収される回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、および回収位置を含む情報を記憶する第1記憶手段と、
前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、
前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、およびその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報を、前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むことを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記第1記憶手段は、前記部品回収部に回収される回収部品の不良内容を追加記憶し、前記表示制御手段は、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項3】
不良部品と判定された部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、
前記部品回収部に回収される回収部品の回収位置および不良内容を含む情報を記憶する第1記憶手段と、
前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、
前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品とその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報、および回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むことを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記部品の使用期限を特定可能な情報および当該部品の製造ロットを特定可能な情報のうち少なくとも一方を記憶する第2記憶手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記第2記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品詳細情報として、さらに前記回収部品の使用期限および製造ロットのうち少なくとも一方を含む情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記表示手段による表示上で選択操作入力を受け付ける入力手段を備えており、
前記表示制御手段は、前記回収部品特定情報として回収部品をその回収位置に従って表示するグラフィック画像を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段が当該グラフィック画像上で回収部品の画像の選択を受け付けると、当該選択された回収部品に対応する前記回収部品詳細情報の認識が可能となるように前記表示手段の表示を制御することを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項6】
基板上に実装される部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給部から部品を吸着して前記基板上に実装するヘッドと、
前記ヘッドにより部品供給部から取り出された部品の基板上への実装に先立ち、当該部品を撮像する撮像手段と、
この撮像手段による撮像結果に基づき部品の外観検査を行いその不良内容を特定する部品検査手段と、
この部品検査手段により不良部品と判断された部品を回収するための部品回収部と、
前記不良部品と判断された部品の前記部品回収部における回収位置を特定し、その特定位置に前記不良部品を回収すべく前記ヘッドを制御するヘッド制御手段と、
前記部品回収部に回収された回収部品を選別するための作業を支援するための選別支援手段とを含み、
この選別支援手段として、請求項1乃至5の何れか一項に記載された回収部品の選別支援装置を備えていることを特徴とする部品実装装置。
【請求項1】
不良部品と判定された複数種の部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、
前記部品回収部に回収される回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、および回収位置を含む情報を記憶する第1記憶手段と、
前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、
前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品の部品形状、部品種毎の識別情報、およびその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報を、前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むことを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記第1記憶手段は、前記部品回収部に回収される回収部品の不良内容を追加記憶し、前記表示制御手段は、前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品特定情報に加え回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項3】
不良部品と判定された部品を回収する部品回収部を備えた部品実装装置に用いられる回収部品の選別支援装置であって、
前記部品回収部に回収される回収部品の回収位置および不良内容を含む情報を記憶する第1記憶手段と、
前記回収部品に関する情報を表示するための表示手段と、
前記第1記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品とその回収位置とを特定可能な回収部品特定情報、および回収部品の不良内容を含む回収部品詳細情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを含むことを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記部品の使用期限を特定可能な情報および当該部品の製造ロットを特定可能な情報のうち少なくとも一方を記憶する第2記憶手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記第2記憶手段に記憶された情報に基づき、前記回収部品詳細情報として、さらに前記回収部品の使用期限および製造ロットのうち少なくとも一方を含む情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の回収部品の選別支援装置において、
前記表示手段による表示上で選択操作入力を受け付ける入力手段を備えており、
前記表示制御手段は、前記回収部品特定情報として回収部品をその回収位置に従って表示するグラフィック画像を前記表示手段に表示させ、かつ、前記入力手段が当該グラフィック画像上で回収部品の画像の選択を受け付けると、当該選択された回収部品に対応する前記回収部品詳細情報の認識が可能となるように前記表示手段の表示を制御することを特徴とする回収部品の選別支援装置。
【請求項6】
基板上に実装される部品を供給する部品供給部と、
前記部品供給部から部品を吸着して前記基板上に実装するヘッドと、
前記ヘッドにより部品供給部から取り出された部品の基板上への実装に先立ち、当該部品を撮像する撮像手段と、
この撮像手段による撮像結果に基づき部品の外観検査を行いその不良内容を特定する部品検査手段と、
この部品検査手段により不良部品と判断された部品を回収するための部品回収部と、
前記不良部品と判断された部品の前記部品回収部における回収位置を特定し、その特定位置に前記不良部品を回収すべく前記ヘッドを制御するヘッド制御手段と、
前記部品回収部に回収された回収部品を選別するための作業を支援するための選別支援手段とを含み、
この選別支援手段として、請求項1乃至5の何れか一項に記載された回収部品の選別支援装置を備えていることを特徴とする部品実装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−151231(P2012−151231A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7965(P2011−7965)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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