説明

回路アセンブリ及び電子アセンブリの製造方法

【課題】第1及び第2回路基板の間をコンパクト且つ高性能で接続する。
【解決手段】第1回路基板12は、信号路に接続された第1信号接点26が設けられた第1主面を有する。第2回路要素16は、第1主面と平行で反対側の第2主面を有すると共に、この第2主面に第1信号接点に対応して設けられた第2信号接点を有する。第1及び第2信号接点間にコラム要素(14)を設ける。コラム要素の軸が第1及び第2主面と垂直であり、コラム要素は、第1及び第2信号接点に電気的に接続された内部導体を有すると共に、内部導体を包囲すると共に電気的に分離するシールドを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子相互接続に関し、特に、回路基板間の高性能接続の回路アセンブリ及び電子アセンブリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器及び他の装置は、しばしば、電子システム及びサブシステムのアセンブリ(組立体)である。効率的に製造するために、異なる複数のシステムを異なる複数のサブストレートに配置する。これらは、次に、更に大きなサブストレート、即ち、「マザーボード(マザー基板)」に取り付けられる。しかし、これらの接続には、いくつかの制限がある。
【0003】
基板対基板の接続の制限の1つは、従来の接続が1つの基板の縁で行われ点である。この基板の縁には、導電ストリップがあり、マザーボードのコネクタがこれら導電ストリップを受ける。よって、非常に多くの数の接続が必要な場合、縁の寸法によっては、接続の数が必要な数未満となってしまう。さらに、従来の縁コネクタは、マザーボードと、取り付けられた基板との間が垂直な関係にする必要があり、アセンブリを収めるために必要な空間が増えた。
【0004】
ボール・グリッド・アレイを用いて、大きな基板と平行になり且つ被さるようになった基板の間を接続できる。これは、いくつかのアプリケーションでは効果的であるが、性能が犠牲にされる。半田ボール接続は、容量性であり、高速アプリケーションを阻害する過度な電気的寄生が生じる。さらに、この種の接続は、電気的クロストークを発生したり、他の接続からの電気的クロストークの影響を受けたりしやすい。これは、従来の半田ボール接続は、信号路の他の部分にはあるシールド(遮蔽)がないためである。なお、シールドのある信号路としては、基板上の信号路、ケーブル、電子機器の内部及び外部の他の接続である。
【0005】
【特許文献1】特開平8−162767号公報
【特許文献2】特開2001−168516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、回路基板の間をコンパクト且つ高性能で接続することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回路アセンブリは;信号路に接続された第1信号接点が(36)設けられた第1主面(22)を有する第1回路要素(12)と;第1主面と平行で反対側の第2主面を有すると共に、第2主面に第1信号接点に対応して設けられた第2信号接点(66)を有する第2回路要素(16)と;第1信号接点及び第2信号接点の間のコラム要素(42)とを具え; コラム要素の軸が第1主面及び第2主面と垂直であり;コラム要素は、第1信号接点及び第2信号接点に電気的に接続された内部導体(52)を有し;コラム要素は、内部導体を包囲すると共に電気的に分離するシールド(56)を有することを特徴とする。なお、括弧内の参照符号は、実施例との関係を単に示すものである。
本発明の電子アセンブリの製造方法は;複数の第1信号接点(36)を第1面(22)に有する第1回路基板(12)を設けるステップと;第1信号接点に対応する複数の第2信号接点(66)を第2面に有する第2回路基板(16)を設けるステップと;第2面に第1面が対向するように第1回路基板及び第2回路基板を互いに平行に位置決めするステップと;対応する第1信号接点及び第2信号接点の対の各間に、複数の導電性コラム要素(42)を位置決めするステップと;コラム要素を第1及び第2信号接点に電気的に接続するステップとを具え;回路基板の各々が信号接点の近傍に接地接点を有し;コラム要素の各々は、中心信号導体を包囲する外側が導電性のスリーブを有し;電気的に接続するステップは、スリーブを接地接点の各々に接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
よって、本発明は、コラム(柱状)要素により、第1及び第2回路基板の間をコンパクト且つ高性能で接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
回路アセンブリは、互いに平行であり、また互いに対向した主面を有する2個の回路基板を有する。主面の各々は、信号路に接続された信号接点を有する。少なくとも1個の主面は、信号接点を包囲する接点コンタクトを有する。信号接点及び接地接点は、コラム(柱状)要素により接続されており、このコラム要素の軸は、基板面に垂直になっている。コラム要素は、信号接点に電気的に接続された内部導体と、この内部導体を包囲し且つ電気的に分離された(絶縁された)シールドとを有する。多くのコラム要素と、半田要素とは、キャリアに包囲されている。このキャリアは、基板の間に配置されて電気的接続処理を行うが、なくてもよい。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の好適な実施例について説明する。図1は、回路アセンブリ10を示す。この回路アセンブリ10は、主回路基板(回路要素)12と、コネクタ・マトリクス要素14と、従回路基板(回路要素)16とを有する。第2回路基板16には、集積回路チップ20が設けられている。この図は、典型的な回路アセンブリを簡略化したものであり、1個の第2回路基板に1個のチップのみが示されている。好適なアプリケーションにおいて、主回路基板は、いくつかの従回路基板を保持し、各従回路基板は、いくつかのチップ及びその他の回路要素を有するサブアセンブリである。回路基板は、任意のサブストレート又はキャリア要素でもよく、従来のプリント回路基板材料に制限されるものではない。従回路基板自体が、後述のように、主回路基板に接続する同様な手段を有する集積回路又はチップ・キャリアでもよい。
【0011】
主回路基板12の主要な上面22は、導電パッド・パターン26のグリッド・アレイ24を有する。これら導電パッド・パターン26の各々は、信号路(図示せず)により回路基板上の他の回路に接続されている。信号路は、基板の面上、又は基板内の層の内側で延びている。主回路基板は、コンピュータのマザーボードでもよいし、任意の電子機器のシステム又はサブシステムの回路基板でもよい。
【0012】
回路基板12の上で、コネクタ・マトリクス要素14は、導電要素30のグリッドを含む固形物であり、回路基板12のグリッド・アレイ24と同じにグリッドが配置されている。よって、導電要素30は、パッド24に対応している(位置合わせされている)。
【0013】
従回路基板16は、その上面にチップ20が設けられ、その下面にマトリクス要素14及び主回路基板アレイ24と同じ間隔且つ構成に接点のパターンが設けられている。
【0014】
図2は、接続機能の詳細を示す。主回路基板12の接点(導電パット・パターン)26は、2個の異なる形式の一方である。一方の形式である同心接点32を左側に示す。ここでは、大きな環状のシールド接点34が中央信号接点36を包囲し且つ分離している。これら接点の各々は、他の回路の面又は内部接続部に接続される。他方の形式である簡単な接続パッド40を右側に示す。ここでは、接続パッド40を用いている。この接続パッドは、高速信号を伝送しないが、電力及び接地用の接続として用いる。
【0015】
導電要素30には、2つの異なる形式がある。一方の形式として、同心接点32には、同心コラム(柱状)要素42を用いる。このコラム要素42は、柱状であり、その軸44は、回路基板の面と垂直になっている。コラム要素42の下側端面46及び上側端面50は、軸44と垂直となる。コラム要素42は、中心導電性信号導体52と、包囲用誘電体層54とを有し、これらが導電シールド・スリーブ56に囲まれている。このシールド・スリーブ56は、半田層60に被覆されている。この半田層を配置することにより、その後の処理により、接続を行う。好適実施例において、信号導体は、直径が0.20〜0.25mmの銅線であり、誘電体は、厚さが0.15〜0.20mmのテフロン(登録商標)、ガラス、セラミック又は接着剤でもよく、シールドは、外径が0.6〜0.75mmのCuにメッキしたNi−Au(ニッケル−金)で形成してもよい。半田層は、厚さが0.10〜0.25mmで、コラム要素の直径を0.70〜1.00mmにする。コラム要素の長さは、0.50〜3.00mmである。
【0016】
コネクタ・マトリクス要素14の筒状開口の1つを占める導電要素の他の形式は、半田ボール62である。この半田ボール62の直径は、マトリクス要素の開口内にぴったりとはまるものである。好適実施例において、マトリクス要素14は、熱耐性がある半田に敏感な(solder phobic)材料であり、厚さが0.4〜2.5mmであり、開口の中心間の距離が0.80〜1.50mmであり、直径が0.75〜1.05mmである。開口の直径とマトリクスの間隔がほぼ同じであるので、加熱期間中に、半田が運ばれて、上下の回路基板の両方を接触させる。別の実施例では、マトリクス要素14をポリ酸化樹脂及び溶融紙の如き水溶性溶剤樹脂材料により形成するので、洗浄された後に、半田付け処理が続く。マトリクス要素14を組み立てるには、(1)配列面/リフロー・キャリア内に要素を挿入するが、開口のグリッド(直径が同軸コラムよりも大きくて、リフロー期間中の半田湿潤力により自己配列できる)が回路基板上のパッド・パターンに対応しているか、(2)導電要素の配列の周囲で溶融マトリクスを鋳造又はモールドする。アプローチ(1)では、サブストレートを配置し、整列させ、マトリクス要素のグリッドにリフローする。これら要素は、キャリア内で同一平面であり、キャリアの上にはみ出して、半田ぬれ及び取り付けを確実にする。
【0017】
上側回路基板16は、下面に接点を有するが、これら接点は、主回路基板の上面に示す接点と基本的に同じである。コラム要素に接続するために、環状接点(接地パッド)64がシールド・スリーブ56に接続し、中心信号接点66が信号導体52に接続する。回路基板16の上面には、半田バンプ又は任意の他の手段を介してチップとの接続を可能にする接点がある。回路基板には、接地プレーン(接地面)70の如きいくつかの内部層があり、これら接地プレーン70がパッド64に接続する。これらは、信号路が通過する部分に開口を有する。下面上の同様なパッド72は、半田ボールへの接続を行い、接地板に接続される。
【0018】
図3は、2つの形式の回路基板の接続を行う処理を示す。マトリクス要素を埋めた後に、このマトリクス要素と回路基板とが互いに対応するように配置し、リフロー処理で半田溶融温度以上に加熱する。アライメント(位置決め)を確実にするために、エポキシ(導電性又は非導電性)を用いて、リフロー処理の前にこれらの部分を互いに接着する。図示の実施例において、マトリクス要素が溶解し、半田が電気接続の他に機械的接続も行っている。コラム要素42の上の半田層60が流れて、各回路基板上の接地パッド34、64での丸みとなり、半田ボール62は、同様に安定した位置に流れる。
【0019】
回路基板の内側層及び導電体の詳細を図3に示す。接地スリーブ74は、接地パッド64から接地プレーン70に延びる筒状管であり、信号ビア76の周囲にシールドを提供する。このビア76は、パッド(中心信号接点)66から内部導電路80に延びる。この導電路80がチップ20に接続する。各回路基板の信号路を簡略化した例として表示する。好適実施例において、これら信号路は、任意の従来構成でもよく、適切なシールド及びインピーダンスを提供する。ここでは、シールド路は、共通層の信号路や、信号路の上下の層のシールド層に近接する。
【0020】
図4は、異なる接点構造であるサブストレート120に用いる別のコラム要素100を示す。コラム要素100は、点線で示す中心信号コア102を有する。ここでは、上述のように、コラム要素の上面から上側回路基板への接続を行う。コア102は、コラム要素の下面に延び、直角に曲がって、端部104が横方向に延びる。この端部104は、誘電体106、シールド110及び半田層112を越えて延びる。これら誘電体、シールド及び半田層を切断して、逃げ溝114とする。この逃げ溝114は、底面のコラム要素の中心から放射状に周辺に延びるので、コア102と他の層との間に隙間ができる。好適実施例において、コア102が曲げられて、圧入により誘電体に挿入され、同様に半田被覆シールド層に収まる。
【0021】
回路基板120は、好適実施例のものと類似であり、半田ボール接続のコラムの接点のグリッド・アレイとなる。しかし、コラム接続用のパターンは、図示のように、円形接地パッド122に放射状の隙間124を形成し、この隙間124が円形周辺の中心点126から延びる。信号路130は、中心から延び、接地パッド及び信号路の間の全ての側面に隙間132がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好適実施例の斜視図である。
【図2】図1の実施例の拡大部分図である。
【図3】図1の実施例の拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
10 回路アセンブリ
12 主回路基板(回路要素)
14 コネクタ・マトリクス要素
16 従回路基板(回路要素)
20 集積回路チップ
22 上面
24 グリッド・アレイ
26 導電パット・パターン
30 導電要素
32 同心接点
34 シールド接点
40 接続パッド
42 コラム要素
46 下側端面
50 上側端面
52 信号導体
54 誘電体層
56 シールド・スリーブ
60 半田層
62 半田ボール
64 接地パッド
66 中心信号接点
70 接地プレーン
72 パッド
74 接地スリーブ
76 信号ビア
80 内部導電路
100 コラム要素
102 信号接点コア
104 端部
106 誘電体
110 シールド
112 半田層
114 逃げ溝
120 サブストレート
122 円形接地パッド
124 隙間
130 信号路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号路に接続された第1信号接点が設けられた第1主面を有する第1回路要素と、
上記第1主面と平行で反対側の第2主面を有すると共に、上記第2主面に上記第1信号接点に対応して設けられた第2信号接点を有する第2回路要素と、
上記第1信号接点及び上記第2信号接点の間のコラム要素とを具え、
上記コラム要素の軸が上記第1主面及び上記第2主面と垂直であり、
上記コラム要素は、上記第1信号接点及び上記第2信号接点に電気的に接続された内部導体を有し、
上記コラム要素は、上記内部導体を包囲すると共に電気的に分離するシールドを有することを特徴とする回路アセンブリ。
【請求項2】
上記シールドは、円柱管であることを特徴とする請求項1の回路アセンブリ。
【請求項3】
上記第1及び第2主面の少なくとも一方は、上記シールドに接続された接地を有することを特徴とする請求項1の回路アセンブリ。
【請求項4】
上記シールドは、接地接点に接続されていることを特徴とする請求項1の回路アセンブリ。
【請求項5】
複数の第1信号接点を第1面に有する第1回路基板を設けるステップと、
上記第1信号接点に対応する複数の第2信号接点を第2面に有する第2回路基板を設けるステップと、
上記第2面に上記第1面が対向するように上記第1回路基板及び上記第2回路基板を互いに平行に位置決めするステップと、
対応する上記第1信号接点及び上記第2信号接点の対の各間に、複数の導電性コラム要素を位置決めするステップと、
上記コラム要素を上記第1及び第2信号接点に電気的に接続するステップとを具え、
上記回路基板の各々が上記信号接点の近傍に接地接点を有し、
上記コラム要素の各々は、中心信号導体を包囲する外側が導電のスリーブを有し、
上記電気的に接続するステップは、上記スリーブを上記接地接点の各々に接続することを特徴とする電子アセンブリの製造方法。
【請求項6】
上記位置決めするステップは、複数の導電性コラム要素を支持するキャリアを設けることを特徴とする請求項5の電子アセンブリの製造方法。
【請求項7】
上記第1回路基板の接点を上記第2回路基板の接点に半田で直接接続することを特徴とする請求項5の電子アセンブリの製造方法。
【請求項8】
中心導体を誘電体スリーブに挿入し、上記誘電体スリーブをシールドに挿入することにより上記コラム要素を形成することを特徴とする請求項5の電子アセンブリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−227924(P2007−227924A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38295(P2007−38295)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(391002340)テクトロニクス・インコーポレイテッド (234)
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
【Fターム(参考)】