説明

回路基板の製造方法および回路基板の製造に用いられる紫外線照射装置

【課題】 回路基板のパターン上に塗布したソルダーレジストのにじみを少なくする回路基板の製造方法と、その製造方法において使用される紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】 基板上に回路パターンを形成する第1の工程と、形成された回路パターン上にソルダーレジストを塗布する第2の工程の間に、第2の工程においてソルダーレジストが塗布される領域の回路基板の表面を改質し濡れ性を高める表面改質処理工程を設け、表面改質処理を行った領域にソルダーレジストを塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の製造方法、および回路基板の製造に用いられる紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、高集積化と高密度実装の要求に対応して、リードの多ピン化と微小化が進んでいる。この多ピン化や微小化に有利なことから、半導体チップをフィルムテープに設けた多数のリード線と接続するフィルム回路基板が、広く用いられている。
図6に、フィルム回路基板の一つであるTAB(Tape Automated Bonding)テープの製造工程の一例を示す。
【0003】
図6(1)。TABテープの基材Wは、厚さ20〜150μm程度、幅35〜165mm程度の有機化合物のフィルム(ポリイミド)F上に金属箔(銅箔)Cが貼りつけられて構成されている。
図6(2)。TABテープの基材Wの銅箔C上にホトレジストPRが塗布される。
【0004】
図6(3)。露光装置により、回路パターンを形成したマスクを介して基材上のホトレジストPRに露光光が照射され、回路パターンが露光される。TABテープの露光装置としては、例えば特許文献1に記載されたような装置が知られている。
露光処理が終わった基材Wは、現像機により現像され、銅箔C上にはホトレジストPRによるパターンが形成される。
【0005】
図6(4)。続いて、エッチング処理が行なわれる。エッチングにより、ホトレジストPRがない部分の銅箔Cが基材Wから削られる。その後、ホトレジストPRが剥離されことにより、基材W上には銅箔Cによる回路パターンPが形成される。
この回路パターンPは、具体的には、TABテープ上に実装される半導体チップを、外部回路と電気的に接続するためのパターンであり、パターンの一端は、インナーリードILと呼ばれ半導体チップと接続される。また、他端は、アウターリードOLと呼ばれ外部回路と接続される。
【0006】
図6(5)。回路パターンPのアウターリードOLからインナーリードILまでの間に、回路パターンPを保護のためソルダーレジストSRが塗布される。
図7に、ソルダーレジストが塗布されたTABテープの一例を示す。ソルダーレジストSRは絶縁性であり、回路パターン上を覆うことにより、パターンへのごみの付着や、回路パターン間のショートを防ぐとともに、パターンに欠けやはがれが生じるのを防ぐ。
図6(6)。回路パターンPのアウターリードOLとインナーリードILが錫めっきされ、その後、回路パターンが正しく形成されているか検査され、合格したものが出荷される。
【0007】
【特許文献1】特許第2886675号公報
【特許文献2】特開平2−7353号公報
【非特許文献1】“Adhesive Property Enhancement by Photochemical Modification on Polyimide Sheet Surface by Irradiation with Excimer Lamp”Mat.Res.Soc.Symo.Proc. Vol.379(1996)555-559.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、上記で説明した図6(5)において回路パターン上に塗布されたソルダーレジストが、塗布後、回路パターンに沿って、ソルダーレジストを塗布しないインナーリードやアウターリードの部分にまでにじんでくるという問題があった。
図8は、図7の丸印A部を拡大して示した図であり、回路パターン上に塗布したソルダーレジストがパターンに沿ってにじんでいる状態を示す模式図である。なお、パターンPの間隔(ピッチ)dは約30μmである。
【0009】
同図に示すように、ソルダーレジストは、塗布された領域から塗布していない領域に向かって、パターンPに沿い100μm程度にじみが生じる。
このにじみにより、ソルダーレジストが、塗布していない領域の回路パターンPの上にかぶさってしまっている部分もあり、どこまでがソルダーレジストを塗布した領域なのか、境界がわからないような状態になる。
【0010】
回路基板にソルダーレジストが塗布される場合、通常、スクリーン印刷と呼ばれる方法が使われる。その手順を簡単に説明する。
(1)ソルダーレジストを塗布する形に形成された細かい目の網(メッシュ)を準備する。
(2)このメッシュの上にソルダーレジストを乗せる。
【0011】
(3)メッシュの位置とTABテープのソルダーレジストを塗布する位置とを合せ、両者を100μm程度に近接させる。
(4)ソルダーレジストの乗ったメッシュをTABテープに押しつける。
(5)メッシュの網の目からソルダーレジストが抜け出し、TABテープの回路パターン上に、ソルダーレジストがメッシュの形状に塗布される。
【0012】
ソルダーレジストが、にじむ原因として、ソルダーレジストをスクリーン印刷により塗布する際のメッシュの押さえつけの作用と、配線パターン間の毛細管現象とが考えられている。
このようにソルダーレジストがパターンに沿って、もともとの塗布領域を越えてにじむと、図8に示すように、本来ソルダーレジストを塗布したくないインナーリードやアウターリードの部分も、ソルダーレジストに覆われてしまう場合がある。
【0013】
上記したように、ソルダーレジストは絶縁性であるので、インナーリードやアウターリードがソルダーレジストにより覆われてしまうと、半導体チップや外部回路と接続する時に、接触不良を生じ、その後の検査で不合格になることがある。
そのため、従来は、ソルダーレジストのにじみを考慮し、ソルダーレジストを塗布する領域から、半導体チップや外部回路と接続する部分までの距離を長くして、ソルダーレジストがにじんだとしても、半導体チップや外部回路と接続する部分まで達さないようにしていた。
【0014】
しかし、近年、TABテープ上に形成される配線パターンの微細化(ファインピッチ化)が進み、回路パターンのピッチが、従来35μm〜40μm以上であったものが、30μm以下になってきている。
そのため毛細管現象が増大し、にじみの幅が100μmからそれ以上と、大きくなってきている。
【0015】
そのため、回路パターンの半導体チップや外部回路と接続する部分が、ソルダーレジストにより覆われないように、ソルダーレジストを塗布する領域から、半導体チップや外部回路と接続する部分までの距離を、従来以上に長くしなければならず、ソルダーレジストのにじみは回路基板の小型化を阻む原因になっている。
【0016】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであって、回路基板のパターン上に塗布したソルダーレジストのにじみを少なくする回路基板の製造方法と、その製造方法において使用される紫外線照射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明においては、上記課題を次のようにして解決する。
(1)基板上に回路パターンを形成する第1の工程と、形成された回路パターン上にソルダーレジストを塗布する第2の工程を備えた回路基板の製造方法において、第1と第2の工程の間に、第2の工程においてソルダーレジストが塗布される領域の回路基板の表面を改質し、濡れ性を高める表面改質処理工程を設け、表面改質処理を行った領域にソルダーレジストを塗布する。
(2)上記(1)において、表面改質処理はプラズマ照射により行なう。
【0018】
(3)上記(1)において、表面改質処理は紫外線照射により行なう。
(4)上記(3)において、紫外線照射は、波長172nmを含む光を放射するエキシマランプにより行なう。
(5)上記(3)または(4)において、紫外線照射を行なう紫外線照射装置は、回路パターンへのソルダーレジストの塗布前に、回路パターンの一部を残してその他を覆うマスクを介して回路基板に紫外線を照射する。
【0019】
ソルダーレジストが塗布される領域の回路基板の表面は、濡れ性を高める表面改質処理を行なうことにより、表面改質処理を行っていない領域に比べて表面エネルギーが大きくなる。
図9は、改質処理を行なって濡れ性を高めた表面と改質処理を行なっていない表面でのソルダーレジストの接触角の違いを示す模式図である。
【0020】
ソルダーレジストは樹脂であり、溶剤に溶かされて塗布されるが、図9(a)に示すように、改質処理を行った領域は表面エネルギーが大きくなって濡れ性が高くなり、表面に置かれるソルダーレジストSRの接触角θが小さくなる(なじみやすくなる)。このことは、例えば非特許文献1により知られている。
一方、表面改質処理を行わない領域の表面エネルギーは変化せず、表面エネルギーは小さいままであり、表面に置かれたソルダーレジストSRの接触角θは大きい。
【0021】
そのため、図9(b)に示すように、表面改質を行なった領域と行わない領域を作り、表面改質を行なった領域にソルダーレジストSRを塗布すると、ソルダーレジストSRは、表面改質処理が行われ表面エネルギーが大きく濡れ性の高い領域内は、接触角θの小さい状態で広がる。
しかし、ソルダーレジストSRが広がって、表面改質処理が行われていない領域に達すると、その領域の表面エネルギーは低いので、表面改質を行なった領域と行わない領域の境界線で接触角θが大きくなる。
このため、ソルダーレジストSRは、表面エネルギーの大きく濡れ性の高い領域に留まろうとして、それ以上広がらなくなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)ソルダーレジストを塗布する領域の回路基板の表面に改質処理を行なうので、ソルダーレジストを塗布する領域の表面エネルギーは、ソルダーレジストを塗布しない領域に比べて大きくなる。
したがって、その境界線では表面のエネルギー状態に段差が生じ、ソルダーレジストが、ソルダーレジストを塗布した領域から塗布しない領域に広がることを防ぐことができる。
【0023】
(2)表面エネルギーを大きくして濡れ性を高める改質処理は、プラズマ照射や紫外線照射により行うことができ、特に紫外線照射の場合は、波長172nmを含む光を放射するエキシマランプを使うことにより、容易に行うことができる。
(3)回路パターンの一部を残してその他を覆うマスクを介して回路基板に紫外線またはプラズマを照射することにより、ソルダーレジストを塗布する領域の回路基板の表面のみ改質処理を行ない、ソルダーレジストを塗布する領域と塗布しない領域の表面エネルギーの差を容易に生じさせることができる。
【0024】
したがって、紫外線またはプラズマが照射され面改質処理が行われた領域に塗布したソルダーレジストが、マスクにより覆われて表面改質が行われなかった領域ににじむのを防ぐことができ、半導体チップや外部配線と接続されるインナーリードやアウターリードがソルダーレジストにより覆われることがなくなる。
以上により、回路基板において、ソルダーレジストを塗布する領域から、半導体チップや外部回路と接続する部分までの距離を短くすることができ、回路基板の小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の第1の実施例を示す図であり、紫外線照射により表面改質を行なう。
同図を用いて紫外線照射によるTABテープの表面改質とソルダーレジスト塗布の手順を説明する。
(1)エッチングとレジストが剥離後の回路パターンPが形成されたTABテープTPが、送り出しロールR1から送り出され、紫外線照射装置10に送られる。
【0026】
(2)紫外線照射装置10は、紫外線照射部11、マスクMを保持するマスクステージMS、紫外線照射時にTABテープTPを吸着保持するワークステージWSを備える。
(3)紫外線照射部11は、放電容器内にキセノンガスを含むエキシマランプ12を有し、波長172nmを含む紫外線を出射する。なお、このようなエキシマランプについては、例えば特許文献2に示されている。
【0027】
(4)マスクステージMSにはマスクMが保持される。マスクMにはTABテープTPの表面改質処理を行いたい部分、即ちソルダーレジストSRが塗布される領域に対してのみ、紫外線が透過するような透光部が形成されている。
(5)ワークステージWSの表面には、真空吸着用の溝または孔が形成されており、送られてきたTABテープTPを吸着保持する。
【0028】
(6)ワークステージWSに吸着保持されたTABテープTPに対して、紫外線照射部11からの紫外線がマスクMを介して照射され、ソルダーレジストSRが塗布される領域の表面が改質処理される。
【0029】
図2に、紫外線照射装置による表面改質の手順の詳細を示す。
上記したように、TABテープTPには回路パターンPが形成されており、一方、マスクステージMSに保持されているマスクMには、TABテープTPの表面改質処理を行いたい部分、即ちソルダーレジストSRが塗布される領域(配線パターンのインナーリードとアウターリード以外の部分)に対してのみ紫外線が透過する透光部51と、上記以外の領域を遮光する遮光部52が形成されている。
【0030】
マスクMの材質は、貫通孔により透光部を形成した金属板でもよいし、透明基板にクロム等の金属膜を蒸着して遮光部を形成したものでも良い。ただし、後者の場合、透明基板は、紫外線、例えば波長172nmの光を透過する材質でなければならない。
紫外線照射装置10において、ワークステージWSに吸着保持されたTABテープTPは、マスクステージMSに保持されたマスクMと位置合せがなされる。
【0031】
位置合せは、マスクMに形成されたアライメントマークと、TABテープTPに形成されたアライメントマークが、所定の位置関係になるよう、マスクステージMSとワークステージWSを相対的に移動させて行われる。
また、マスクMは、紫外線照射時、光が遮光部の下の紫外線照射を所望しない領域(ソルダーレジストを塗布しない領域)に回り込まないように、TABテープTPと近接して配置される。なお、マスクMとTABテープTPとは接して配置しても良い。
【0032】
マスクMとTABテープTPの位置合せ終了後、紫外線照射部11から紫外線(エキシマランプ12から放射された波長172nmを含む紫外線)が出射される。
紫外線照射部11から出射した紫外線は、マスクMの透光部51を通過し、TABテープTPのソルダーレジストSRが塗布される領域(配線パターンPのインナーリードILとアウターリードOL以外の部分)にのみ照射される。それ以外の領域はマスクMの遮光部52により覆われているので照射されない。
【0033】
(7)図1にもどり、紫外線照射装置10の紫外線照射により表面改質が行なわれたTABテープTPは、続いてソルダーレジスト塗布装置20に送られ、表面改質がなされた領域にソルダーレジストSRが塗布される。
図3に、ソルダーレジスト塗布装置によるソルダーレジストの塗布の詳細を示す。
上記したように、ソルダーレジストSRの塗布は、スクリーン印刷と呼ばれる方法が使われる。
【0034】
ソルダーレジストを塗布する形に形成された細かい目の網(メッシュ)21上に、塗布するソルダーレジスト21を乗せ、メッシュ21の位置とTABテープTPのソルダーレジストを塗布する位置とを合せ、両者を100μm程度に近接させる。
ソルダーレジストSRの乗ったメッシュ21を、へら22を使ってTABテープTPに押しつける。
【0035】
へら22の押し付ける力により、メッシュ21がTABテープTPに密着するとともに、メッシュ21からソルダーレジストSRが抜け出し、ソルダーレジストSRが、TABテープTPの回路パターンP上に、メッシュ21の形状に塗布される。
なお、図3の丸印B部を一部拡大して示すように、ソルダーレジストを塗布する領域は、紫外線照射により表面を改質した領域に対して、数十μm内側にする。
【0036】
これは、ソルダーレジストを塗布する領域と表面を改質した領域とを完全に一致させると、へら22の押し付ける力により、ソルダーレジストSRが、表面を改質した領域からはみ出してしまうことがあるからである。
(8)図1にもどり、ソルダーレジストSRの塗布が終わったTABテープTPは、巻き取りロールR2により巻き取られる。
【0037】
図4に、上記第1の実施例により表面を改質しソルダーレジストを塗布した結果を模式的に示す。同図(a)は、TABテープTPを上から見た図、(b)は横から見た図である。
なお、表面改質のための紫外線照射の条件は、紫外線光源として、放電容器内にキセノンガスを含み、波長172nm付近に強い発光を有するエキシマランプを使用し、TABテープ上での172nm放射照度が約100mW/cmであり、照射時間は30秒ある。
【0038】
マスクは、貫通孔を有する金属板を使用した。また、TABテープTPの配線パターンPのピッチdは約30μmである。
同図に示すように、ソルダーレジストSRは、はっきりと、紫外線を照射し表面改質した領域と紫外線を照射していない領域の境界線上に盛り上がって留まり、にじみはほとんど生じなかった。
【0039】
なお、発明者らは、TABテープを傾けたりゆすったりしたが、多少の傾斜や振動では、ソルダーレジストは、紫外線が照射されていない領域に流れ込むことはなかった。
これは、塗布されたソルダーレジストが、紫外線照射によりエネルギーが大きくなっている表面の方に強く引きつけられるためであると考えられる。
【0040】
なお、この、エネルギーの大きい表面に塗布された液体が、エネルギーの大きい表面に引きつけられるという現象は、ソルダーレジストに限らず他の種類の液体でも生じると考えられる。
したがって、本実施例で使用したソルダーレジストと異なる種類のソルダーレジストであっても、効果に多少の差が生じる可能性はあるが、基本的には同様に、紫外線を照射し表面改質した領域に塗布したソルダーレジストが、紫外線が照射されていない領域との境界線上で留まり、にじみが生じないという効果が期待できると考えられる。
【0041】
上記の第1の実施例では、紫外線照射により回路基板の表面のエネルギーを大きくし濡れ性を高める例を示したが、同様の処理はプラズマ照射によっても可能である。
図5は、本発明の第2の実施例を示す図であり、プラズマ照射により表面改質を行なう。
【0042】
同図を用いて、プラズマ照射によるTABテープの表面改質の手順を説明する。なお、第1の実施例と同じ部分については説明を省略する。
第1の実施例と異なる部分は、紫外線照射装置に替えてプラズマ照射装置50が設けられる点である。
【0043】
プラズマ照射装置50は、プラズマ照射部51を備え、その他は紫外線照射装置と同様に、マスクMを保持するマスクステージMS、紫外線照射時にTABテープTPを吸着保持するワークステージWSを備える。
プラズマ照射部51は、例えばマグネトロン52を有し、マイクロ波を出力する。
【0044】
プラズマ発生用のガス種は、例えば酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム等であり、プラズマ照射部51からのマイクロ波を、上記のガスに照射することにより、プラズマが生成される。
マスクには、TABテープTPの表面改質処理を行いたい部分、即ちソルダーレジストが塗布される領域に対してのみ、発生したプラズマが通過する貫通孔が形成されている。
【0045】
ワークステージWSに吸着保持されたTABテープTPは、マスクステージMSに保持されたマスクMと位置合せがなされる。
なお、マスクMは、プラズマ照射時、プラズマがマスクMとTABテープTPの間に回り込まないように、両者は密着して配置される。
【0046】
プラズマ照射部51により発生したプラズマが、マスクMを介してTABテープTPに照射され、TABテープTPのソルダーレジストSRが塗布される領域(配線パターンPのインナーリードILとアウターリードOL以外の部分)の表面改質が行なわれる。
プラズマが照射された領域の表面エネルギーは、プラズマが照射されない領域に比べて大きくなる。
【0047】
表面改質が行なわれたTABテープTPは、続いてソルダーレジスト塗布装置20に送られ、表面改質がなされた領域にソルダーレジストSRが塗布される。
以下は第1の実施例と同様である。
【0048】
なお、本実施例では、回路パターンを形成する回路基板として、フィルム回路基板を例にして説明したが、リジッドなガラスエポキシ基板上に回路パターンを製造する場合においても、同様に、配線パターン上にソルダーレジストを塗布する。
したがって、上記で説明した製造方法や紫外線照射装置を適用し、ソルダーレジストのにじみを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】紫外線照射装置による表面改質の手順の詳細を示す図である。
【図3】ソルダーレジスト塗布装置によるソルダーレジストの塗布の詳細を示す図である。
【図4】第1の実施例により表面を改質しソルダーレジストを塗布した結果を示す模式図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図6】TABのテープの製造工程の一例を示す図である。
【図7】ソルダーレジストが塗布されたTABテープの一例を示す図である。
【図8】図7の丸印A部を拡大して示した図である。
【図9】改質処理を行なって濡れ性を高めた表面と改質処理を行なっていない表面でのソルダーレジストの接触角の違いを示す模式図である。
【符号の説明】
【0050】
10 紫外線照射装置
11 紫外線照射部
12 ランプ
20 ソルダーレジスト塗布装置
21 メッシュ
22 へら
30 プラズマ照射装置
31 プラズマ照射部
32 マグネトロン
51 透光部
52 遮光部
F フィルム
W 基材
C 金属箔(銅箔)
PR ホトレジスト
SR ソルダーレジスト
P 回路パターン
IL インナーリード
OL アウターリード
R1 送り出しロール
R2 巻き取りロール
TP TABテープ
M マスク
MS マスクステージ
WS ワークステージ
d パターンのピッチ
θ 接触角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に回路パターンを形成する第1の工程と、上記形成された回路パターン上にソルダーレジストを塗布する第2の工程を備えた回路基板の製造方法において、
上記第1と第2の工程の間に、第2の工程においてソルダーレジストが塗布される領域の回路基板の表面を改質する表面改質処理工程を備えたことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項2】
上記表面改質処理は、プラズマ照射により行われることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項3】
上記表面改質処理は、紫外線照射により行われることを特徴とする請求項1に記載の回路基板の製造方法。
【請求項4】
上記紫外線照射は、波長172nmを含む光を放射するエキシマランプにより行なわれることを特徴とする請求項3に記載の回路基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の紫外線照射を行なう紫外線照射装置であって、回路パターンへのソルダーレジストの塗布前に、上記回路パターンの一部を残してその他を覆うマスクを介して、回路基板に紫外線を照射することを特徴とする紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−34471(P2008−34471A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203511(P2006−203511)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】