説明

回路部品の実装装置

【課題】外形にばらつきを有する複数のチップを実装する際に、これらのチップを互いに接触しない位置で実装し、かつ高密度化を支障なく達成すること。
【解決手段】1番目に実装されるチップ1aの上方にカメラ5を移動させ、チップを上方から撮像する。該チップをパターンマッチング手法により認識し、該チップの位置及び外形サイズを取得する。該チップを所定の実装位置に実装し、2番目に実装されるチップ1bを所定の実装位置まで移動したら、搭載精度・外形サイズを含めて該チップ同士が接触するか否かを演算領域20bで演算する。接触しない場合は2番目のチップ1bを前記所定の実装位置で実装し、接触する場合はチップ同士の接触量をオフセット補正し、2番目のチップ1bを移動させて実装する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路部品の実装装置に係り、特に、基板上に設定された複数の実装箇所に、例えば、チップと呼称される半導体集積回路等を、チップ同士を接触させないで実装する回路部品の実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路部品の実装装置としては、例えば、特許文献1に示すものがあり、この発明は、本発明に最も近い発明であるので、以下、特許文献1に開示されている技術について説明する。
まず、同文献の頁2・段落番号0003〜0004には、以下の課題が開示されている。
【0003】
(特許文献1記載の課題)
複数のチップを基板上に設定された複数の実装箇所に順次実装を行う場合、特に、チップが表面実装型LEDである場合には、実装後の各LEDが相互に整列されていることが求められる。しかしながら、基板の実装箇所に形成された電極を基準に次のチップの位置決めを順次行うと、一般にパターン形成される電極は位置精度が比較的低いため、各チップの相対位置にばらつきが生じることがある。基板上に設定された複数の実装箇所にチップを順次実装する際に、チップ間の相対位置のばらつきを排除する実装装置および実装方法を提供すること。
次に、同文献の頁3・段落番号0010〜頁3・段落番号0013には、以下の構成が開示されている。
【0004】
(特許文献1記載の構成)
基板とチップはテーブル上に載置されている。テーブルはXテーブルとYテーブルを積層した移動テーブル上に装着されており、移動テーブルの駆動により水平移動する。基板は、複数の電極(基板側電極)が形成された面を上向きにした状態でテーブル上に載置されており、チップは、複数の電極(チップ側電極)が形成された面を下向きにした状態でチップホルダに複数配列されている。基板には、チップを実装する複数の実装箇所が形成されている。テーブルの上方には実装ヘッドが配設されている。実装ヘッドは昇降機構に装着されており、昇降機構の駆動によりテーブルに対して接離する。また、実装ヘッドは吸引機構および加熱機構が備えられており、実装ヘッドの下部に装着された熱圧着ツールに吸着したチップを基板に加熱押圧して実装する機能を有している。実装ヘッドは、複数の実装箇所のそれぞれに形成された基板側電極にチップの一方の面に形成されたチップ側電極を搭載するチップ搭載手段として機能する。テーブルと実装ヘッドの間には、対象物を位置認識するためのカメラ等の認識手段が配設されている。カメラは上下方向を同時に撮像することができ、撮像時には撮像対象物の上方または下方に移動するための移動機構に装着されている。移動テーブル、実装ヘッド、昇降機構、カメラ、移動機構等の各駆動部は制御部との間で通信可能に導通されており、制御部から送信される制御信号に基づいて動作制御される。制御部には演算領域、記憶領域、画像処理領域が含まれており、演算領域は、記憶領域に予め記憶された制御プログラムや各種データに基づいて実装装置の各駆動部の駆動量や駆動時間等を演算する。画像処理領域は、カメラにより撮像された撮像対象物の画像を処理して位置認識を行う。この位置認識結果に基づいて演算領域においてテーブルの移動量を演算し、チップや基板の位置決めが行われる。
次に、同文献の頁4・段落番号0015〜頁5・段落番号0023には、以下の動作が開示されている。
【0005】
(特許文献1記載の動作)
テーブル上に載置された複数のチップのうち先に実装されるチップの上方にカメラを移動させ、チップを上方から撮像する。撮像されたチップの画像は画像処理領域に送信され、チップの外形のパターンマッチング手法により、チップの位置認識が行われる。チップの位置認識結果に基づいて実装ヘッド(熱圧着ツール)とチップを位置合わせするためのテーブルの移動量が演算領域において演算される。テーブルを移動させて熱圧着ツールの鉛直下方にチップを位置決めした後、熱圧着ツールを下降させてチップを吸着する。テーブルを移動させて熱圧着ツールに吸着されたチップの鉛直下方に基板上に設定された複数の実装箇所のうち先に実装される実装箇所を位置決めする。チップと実装箇所の間にカメラを移動させ、チップを下方から、実装箇所を上方から撮像する。画像処理領域においてチップの電極と実装箇所に形成されている電極の外形のパターンマッチング手法によりチップと実装箇所の位置ずれが認識される。この位置ずれ認識結果に基づいてチップと実装箇所を位置合わせするためのテーブルの移動量が演算領域において演算される。テーブルを移動させてチップと実装箇所を位置合わせした後、熱圧着ツールを下降させてチップの電極を実装箇所に形成されている電極に搭載して加熱するとともに押圧する。これにより、チップが基板に形成された実装箇所に搭載されて実装される(チップ搭載工程)。チップの実装を終えると、次にチップを実装箇所に隣接する実装箇所に実装する。チップは、先に実装されたチップの実装位置を基準として実装される。なぜなら、チップの実装の場合と同様に基板上に形成された電極の位置を基準としてチップの実装を行うと、電極の位置精度の影響がチップとチップとの相対位置における誤差として顕在化するからであり、基板に複数実装するチップ間の相対位置にばらつきが生じるのを防止するためである。上述したチップの場合と同様に熱圧着ツールにチップを吸着した後、先に実装されたチップの上方にカメラを移動させ、チップを上方から撮像する。チップ基材は板状の透光性基材から構成されているので、カメラはチップ基材を透過する光によりチップ基板の上面側から下面側の電極を撮像することができる。撮像された電極の画像は画像処理領域に送信され、電極の外形のパターンマッチング手法により、チップの位置認識が行われる(認識工程)。熱圧着ツールに吸着されたチップの下方にカメラを移動させ、チップを下方から撮像する。画像処理領域においてチップの電極の外形のパターンマッチング手法により、チップの位置認識が行われる。記憶領域には、基板に形成された実装箇所間のピッチデータが予め記憶されており、チップの位置認識結果および実装箇所に搭載されたチップの電極の位置認識結果、実装箇所と実装箇所間のピッチデータに基づいてチップと実装箇所を位置合わせするためのテーブルの移動量が演算領域により演算される。テーブルを移動させてチップと実装箇所の位置合わせを行い(位置決め工程)、その後熱圧着ツールを下降させてチップの電極を実装箇所に形成されている電極に搭載して加熱するとともに押圧する。これにより、チップが基板に形成された実装箇所に搭載されて実装される。このように、基板上に設定された複数の実装箇所に板状の透光性基材からなるチップを順次実装する際に、先に実装されたチップのチップ側電極の位置を基準として後に実装するチップの実装位置の位置決めを行うので、各チップ間の相対位置のばらつきを排除することが可能になる。特に、チップが表面実装型LEDである場合には、各LED間の位置や姿勢のばらつきを排除して整列した状態で実装することができる。
【0006】
なお、この分野の他の公知例として、例えば、特許文献2には、半導体チップの外形を精度良く認識する半導体チップの外形認識方法、および前記外形認識方法を利用して半導体チップの位置補正および角度補正を一括して行う方法を提供することを意図し、半導体チップ101をxy直交座標系平面を有するステージ上に載置し、xy直交座標系平面内でx軸に平行にかつy座標の値が増加するように複数の仮想ライン401を走査し、これら複数の仮想ライン401と半導体チップ101の外周との複数の交点420,421,422を利用することによって半導体チップ101の外形を認識する。これによって、半導体チップ101の角度および位置補正を一括して行うことができ、補正精度が極めて高く、従来の補正方法に比べて工程数が少なく、半導体チップ101の角度と位置補正を容易に実施でき、半導体チップ101の載置位置を正確に補正できるので、ボンディング時の不良品率を減少させることができる技術を開示している。
【0007】
また、特許文献3には、チップ間距離が部分的に異なっても、最適量のピッチ移動によりすべてのチップを正確かつ迅速に位置決めすることを意図し、可動テーブル上に搭載されて所定ピッチで格子状に整列配置された多数のチップをカメラにより撮像し、そのカメラによる映像信号を画像処理部で画像処理して得られた認識データに基づいて、前記可動テーブルを移動させながらチップを所定ポジションに配置するに際して、直前に位置する複数のチップTn-1 ,Tn-2 ,Tn-3 の認識データからチップ間距離Pn ,Pn-1 ,Pn-2 及び配列方向を算出し、その算出結果に基づいて次に認識対象とするチップTn+1 までのチップ間距離Pn+1 及び配列方向を予測し、その予測データに基づいて可動テーブルをピッチ移動させる技術を開示している。
【0008】
さらに、特許文献4には、複数のチップ形状の光デバイスのパターンを所定の位置関係に極めて精密に整列させつつ基板上に搭載する光モジュールの製造技術を提供することを意図し、チップの表面パターンとこれに対応して位置合わせ用治具に付設されたマーカとを位置合わせし、チップを治具の所定の位置に仮固定用粘着材により仮固定を行い、これを繰り返して複数のチップを治具上の各々の所定の位置に仮固定し、基板上のマーカと治具に付設されたマーカとを位置合わせし、治具に仮固定されたチップを溶融半田又は接着剤を介して基板上に治具共に押し付け、基板上の所定の位置にチップを接着し、所定の温度で治具を取外し、チップ形状の光デバイスを基板上に一括して転写搭載する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−266425号公報
【特許文献2】特開2008−124336号公報
【特許文献3】特開平9−17841号公報
【特許文献4】特開平11−145487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記背景技術で述べた従来の回路部品の実装装置にあっては、複数のチップを実装する際に、チップ外形のばらつきを考慮して、チップ同士が接触しないように離れた位置に搭載する必要があったが、このために複数のチップ実装の高密度化が阻害されるという問題点が生じていた。
本発明の回路部品の実装装置は、以下に示す主要な構成要件から成る。
(1) 複数のチップを実装する基板上の高密度実装手段において、対象チップを撮影するカメラを備え、上記カメラが撮影した画像でチップの中心から端部までの距離を計測する手段と、隣り合うチップのチップの中心間の所定の距離と、上記計測した隣り合うチップそれぞれの中心から端部までの距離の合計の距離とを大小比較する手段と、上記比較の結果、上記計測した合計距離が中心間の所定の距離より大きい場合は、隣り合うチップの間隔を所定の距離より離して実装する手段を備えて、チップ同士の接触を避けること。
(2) (1)の構成要件において、チップの中心から端部までの距離をチップの外形パターン(またはマーク)から把握すること。
【0011】
他方、前述の特許文献1〜4に開示されている技術は、上記構成要件(1)〜(2)のいずれかの手段が欠けている。特に、「複数のチップを実装する際にチップ外形のばらつきを考慮して、チップ同士が接触しないように搭載する」という課題を解決するためには、「隣り合うチップの中心間の距離が所定の距離以上の場合は、所定の距離以上に離す」という手段が欠かせないが、このような手段は、前述の特許文献1〜4には開示されていない。
また、前述の特許文献1に開示されている技術の場合、透光性基材から成るチップを順次実装する実装装置であるため、非透光性のチップには適用することが不可能である。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、例えば、実装部品がチップと呼称される半導体集積回路である場合、複数のチップ外形サイズのばらつきを考慮して、隣り合うチップ同士が互いに接触する場合は、両チップの間隔を引き離すことを可能にして、チップ同士が接触しないで実装することができる回路部品の実装装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係る回路部品の実装装置は、2つの回路部品の各々について、その中心と、該中心から最も遠い端部との間の距離を計測する計測手段と、載置台に置かれた前記2つの回路部品を、実装予定箇所に各々配置させる配置手段と、記2つの回路部品のうち、任意の一方の回路部品を該回路部品の実装予定箇所に実装する第1の実装手段と、前記計測手段による計測結果と、実装予定箇所に各々配置された前記2つの回路部品の所定の中心間の距離とに基づいて、前記2つの回路部品の前記端部間の距離を演算する演算手段と、前記演算手段による演算結果に基づいて前記2つの回路部品が接触するか否かを判断する接触判定手段と、前記接触判定手段の判定結果により、前記2つの回路部品が接触する場合は未実装の方の回路部品を移動させて、前記実装済の回路部品と接触しない位置に位置決めする補正手段と、前記補正手段により位置決めされた前記回路部品を、該位置決めされた位置で実装する第2の実装手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、例えば、実装部品がチップと呼称される半導体集積回路である場合、このようなチップを複数実装する場合において、各チップの外形サイズのばらつきを考慮すると共に、隣り合うチップの中心間の距離が所定の距離以上の場合は、所定の距離以上に離すように構成したので、チップ同士が接触しないように実装することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の他の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置を用いて回路部品を実装した後の基板2とチップ1a,1bの配置を示す説明図である。
【図4】図1,2に示す回路部品の実装装置の制御部20の動作を示すフローチャート図である。
【図5】マーク付のチップの1例を示す説明図である。
【図6】角度補正を行って実装する場合のチップ同士の接触の判定例を示す説明図である。
【図7】角度補正を行わずに実装する場合のチップ同士の接触の判定例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る回路部品の実装装置は、チップの実装位置を位置決めする位置決め手段と、チップ実装手段と、チップ実装位置を演算する演算手段と、演算結果を記憶する記憶手段と、画像処理手段と、パターンマッチング手法を実行する演算手段と、で構成される。
本発明に係る回路部品の実装方法は、1番目以降に実装されるチップの外形サイズを認識し、1番目以降のチップの所定の実装位置に実装したら搭載精度・外形サイズを含めてチップ同士が接触するかを演算領域で演算し、接触しない場合は2番目のチップを所定の実装位置に維持したままで実装し、接触する場合はチップ同士の接触量をオフセット補正して移動させて実装することを特徴とする。
この特徴により、チップ外形サイズのばらつきを踏まえて、複数のチップ同士が接触しないように実装する効果が生まれる。
【0017】
以下、本発明の回路部品の実装装置及び回路部品の実装方法の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の構成を示す構成図である。
但し、同図では、本実装装置を回路部品の実装に使用する使用方法も示している。
同図に示す本実施形態に係る回路部品の実装装置は、上面にチップが実装される基板2と、実装前のチップが置かれるチップテーブル3と、XY方向に水平移動可能な移動テーブル4と、対象物を位置認識するためのカメラ5と、昇降機構に装着されているヘッド6と、基板2を固定するステージ7と、ヘッド6の下部に装着された熱圧着ツール8と、制御部20と、を備える。
制御部20は、演算領域20aと、記憶領域20bと、画像処理領域20cと、を備えて構成される。
なお、図1において、符号1aは1番目に実装するチップであり、符号1bは2番目に実装するチップである。
【0018】
以下、図1に示す本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の機能を説明する。
1番目に実装するチップ1a、2番目に実装するチップ1bは、各々複数の電極(チップ側電極)が形成された面を上向きにした状態でチップテーブル3上に置かれる。即ち、前記の各チップは、チップテーブル3上に複数配列されている。
基板2は、複数の電極(基板側電極)が形成された面を上向きにした状態でステージ7上に配列される。基板2の上面に前記の各チップが配置されて実装されることになる。
チップテーブル3は、前記の各チップを置いた状態で移動テーブル4上に固定されている。
移動テーブル4は、移動機構(図示は省略)に装着されており、XY方向に水平移動可能である。移動テーブル4の上にはチップテーブル3とステージ7が固定されている。
カメラ5は対象物(ここでは前記の各チップ)を位置認識するための撮像を行う撮像装置であり、ヘッド6に固定されている。
【0019】
ヘッド6は昇降機構(図示は省略)に装着されており、上下方向に移動可能であり、昇降機構の駆動によりステージ7に対して接離する。また、ヘッド6には吸引機構及び加熱機構(いずれも図示は省略)が備えられており、ヘッド6の下部に装着された熱圧着ツール8に吸着された前記の各チップを基板2に加熱押圧して実装する機能を有している。
ステージ7は、基板2を吸着固定するための台座である。
移動テーブル4の移動機構、ヘッド6の昇降機構、カメラ5、ヘッド6の吸引機構、及びヘッド6の加熱機構等の各駆動部は、制御部20との間で通信可能に接続されており、制御部20から送信される制御信号に基づいて動作が制御される。
【0020】
制御部20の演算領域20aは、記憶領域20bに予め記憶された制御プログラムや各種データに基づいて、本実装装置の前記各駆動部の駆動量(移動距離)や、駆動時間等を演算する。また、画像処理領域20cにおける位置認識結果に基づいて移動テーブル4の移動量を演算し、前記の各駆動部を制御して前記各チップや基板5の位置決めを行なう。
制御部20の画像処理領域20cは、カメラ5により撮像された撮影対象物(ここでは前記の各チップ)の画像を処理して該撮影対象物の位置認識を行なう。演算領域20aは、この位置認識結果に基づいて移動テーブル4の移動量を演算する。撮影対象物は、画像処理領域20cにおいて、カメラ5により撮影された画像をパターン認識による解析を行なうことにより位置認識され、この位置認識結果は記憶領域20bに記憶される。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の他の構成を示す構成図である。
但し、同図では、本実装装置を回路部品の実装に使用する使用方法も示している。
同図に示す本実施形態に係る回路部品の実装装置は、上面にチップが実装される基板32と、実装前のチップが置かれるチップテーブル33と、XY方向に水平移動可能な移動テーブル34と、対象物を位置認識するためのカメラ35及びカメラ39と、昇降機構に装着されているヘッド36と、基板32を固定するステージ37と、ヘッド36の下部に装着された熱圧着ツール38と、制御部40と、を備える。
制御部40は、演算領域40aと、記憶領域40bと、画像処理領域40cと、を備えて構成される。
なお、図2において、符号31aは1番目に実装するチップであり、符号31bは2番目に実装するチップである。
【0022】
以下、図2に示す本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置の機能を説明する。
1番目に実装するチップ31a、2番目に実装するチップ31bは、各々複数の電極(チップ側電極)が形成された面を上向きにした状態でチップテーブル33上に置かれる。即ち、前記の各チップは、チップテーブル33上に複数配列されている。
基板32は、複数の電極(基板側電極)が形成された面を上向きにした状態でステージ37上に配列される。基板32の上面に前記の各チップが配置されて実装されることになる。
チップテーブル33は、前記の各チップを置いた状態で移動テーブル34上に固定されている。
移動テーブル34は、移動機構(図示は省略)に装着されており、XY方向に水平移動可能であり、その上にはチップテーブル33とステージ37が固定されている。
カメラ35は対象物(ここでは前記の各チップ)を位置認識するための撮像を行う撮像装置であり、ステージ37に固定されている。
カメラ39は対象物(ここでは前記の各チップ)を位置認識するための撮像を行う撮像装置であり、ヘッド36に固定されている。
【0023】
ヘッド36は昇降機構(図示は省略)に装着されており、上下方向に移動可能であり、昇降機構の駆動によりステージ37に対して接離する。また、ヘッド36には吸引機構及び加熱機構(いずれも図示は省略)が備えられており、ヘッド36の下部に装着された熱圧着ツール38に吸着された前記の各チップを基板32に加熱押圧して実装する機能を有している。
ステージ37は、基板32を吸着固定するための台座である。
移動テーブル4の移動機構、ヘッド36の昇降機構、カメラ35及びカメラ39、ヘッド6の吸引機構、及びヘッド6の加熱機構等の各駆動部は、制御部40との間で通信可能に接続されており、制御部40から送信される制御信号に基づいて動作が制御される。
移動テーブル34、ヘッド36、前記の昇降機構、カメラ35、カメラ39、前記の吸引機構及び加熱機構等の各駆動部は制御部40との間で通信可能に接続されており、制御部40から送信される制御信号に基づいて動作が制御される。
【0024】
制御部40の演算領域40aは、記憶領域40bに予め記憶された制御プログラムや各種データに基づいて、本実装装置の前記各駆動部の駆動量(移動距離)や、駆動時間等を演算する。また、画像処理領域40cにおける位置認識結果に基づいて移動テーブル4の移動量を演算し、前記の各駆動部を制御して前記各チップや基板35の位置決めを行なう。
制御部40の画像処理領域40cは、カメラ35により撮像された撮影対象物(ここでは前記の各チップ)の画像を処理して該撮影対象物の位置認識を行なう。演算領域40aは、この位置認識結果に基づいて移動テーブル34の移動量を演算する。撮影対象物は、画像処理領域40cにおいて、カメラ35により撮影された画像をパターン認識による解析を行なうことにより位置認識され、この位置認識結果は記憶領域40bに記憶される。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る回路部品の実装装置を用いて回路部品を実装した後の基板2とチップ1a,1bの配置を示す説明図である。
同図に示すように、チップ1a,1bは、互いに接触しないように基板2上に実装されている。
【0026】
(動作の説明)
図4は、図1,2に示す回路部品の実装装置の制御部20の動作を示すフローチャート図である。
以下の動作の説明では、距離(x1-x2)を、初期の実装予定箇所に各々配置された2つのチップの中心間の距離(設計段階で予め求められている距離であり、即ち所定の距離である)とし、距離α(以下、単に「α」と記載する)を、1番目に実装するチップの中心と該中心に最も遠い端部(以下、単に「端部」と略称する)との間の距離とし、距離β(以下、単に「β」と記載する)を、2番目に実装するチップの中心とその端部との間の距離とする。
なお、x1-x2>α+βのときはチップ同士が接触せず、x1-x2≦α+βのときにはチップ同士が接触することになる。
以下、図1を参照しながら、図4に示すフローチャート図を用いて、図1に示す回路部品の実装装置の制御部20の動作を説明する。
【0027】
(ステップS1)
まず、ステップS1では、制御部20は、移動テーブル4の移動機構を介して、移動テーブル4を移動させ、カメラ5の位置が、チップテーブル3上に載置された複数のチップのうち1番目に実装されるチップ1aの上方を撮影できる位置となるようにする。
(ステップS2)
次に、ステップS2では、制御部20は、ヘッド6の昇降機構を制御し、チップ1aをカメラ5を介してチップ1aの上方から撮像する。撮像されたチップ1aの画像は、制御部20の画像処理領域20cに送出される。
【0028】
(ステップS3)
次に、ステップS3では、制御部20の演算領域20aは、記憶領域20bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ1aを認識すると共に、チップ1aの位置及び外形サイズを取得する。また、演算領域20aは、この結果を用いて、1番目に実装するチップ1aの中心と端部との距離αを演算する。さらに、演算領域20aは、チップ1aの前記の位置及び外形サイズに基づいて、ヘッド6とチップ1aとを位置合わせするための移動テーブル4の移動量を演算する。
(ステップS4)
次に、ステップS4では、制御部20は、移動テーブル4の移動機構を介して移動テーブル4を移動させ、また、ヘッド6の昇降機構を介して熱圧着ツール8を下降させ、ヘッド6の吸引機構を使用してチップ1aを吸着する。
【0029】
(ステップS5)
次に、ステップS5では、制御部20は、移動テーブル4の移動機構を介して移動テーブル4を再び移動させて、熱圧着ツール8に吸着されたチップ1aの鉛直下方に、基板2上に設定された実装箇所を位置決めする。熱圧着ツール8を下降させてチップ1aを基板2に搭載し、ヘッド6の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド6の昇降機構を介して押圧する。これにより、チップ1aが基板2に実装される。実装されたチップ1aをカメラ5で撮像する。その後、演算領域20aを介して、記憶領域20bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、実装されたチップ1aを認識すると共に、チップ1aの実装位置を取得し、該実装位置情報を記憶領域20bに格納する。
【0030】
図示は省略するが、この後、制御部20は、2番目に実装するチップ1bに対しても、上記のステップS1〜S5と同様のステップを適用し、チップテーブル3上でのチップ1bの画像をカメラ5を用いて撮像し、記憶領域20bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングによりチップ1aを認識すると共に、チップ1bの位置及び外形サイズを取得し、実装位置への位置付けを行って、該実装位置情報を記憶領域20bに格納する。但し、この段階では、ステップS5においては、チップ1bを、基板2上に設定された実装箇所に位置決めすると共に、熱圧着ツール8を下降させてチップ1bを基板2に搭載するまでの動作とし、チップ1bの実装は未だ行わない。
【0031】
(ステップS6)
次に、ステップS6では、制御部20の演算領域20aは、前記の各実装箇所情報に基づいて、実装されたチップ1a及び2番目に実装するチップ1bのエッジ位置(即ち、中心と端部の位置)を、それぞれ取得し、1番目に実装するチップ1aの中心と端部との距離α、及び2番目に実装するチップ1bの中心と端部との距離βを、それぞれ演算する。
(ステップS7)
次に、ステップS7では、制御部20の演算領域20aは、既に実装されたチップ1aと、2番目に実装するチップ1bとが、互いに接触するか否かを検証し、既に実装されたチップ1aと、2番目に実装するチップ1bとが、互いに接触する場合はステップS8に移り、既に実装されたチップ1aと、2番目に実装するチップ1bとが、互いに接触しない場合はステップS10に進む。
【0032】
以下、前記の検証方法について説明する。
上記の検証は、前記の各実装箇所情報に基づいてなされ、搭載精度・外形サイズを含めて上記チップ同士が接触するか否かを制御部20の演算領域20aで演算する。チップ中心同士の距離(=x1-x2 )が、実装済の1番目のチップ1aの中心と端部との距離αと、2番目に実装するチップ1bの中心と端部との距離βの和より大きい場合は上記チップ同士は接触しないものと判断され、他方、チップ中心同士の距離(=x1-x2)が、実装済の1番目のチップ1aの中心と端部との距離αと、2番目に実装するチップ1bの中心と端部との距離βの和よりも大きくない場合は上記チップ同士は接触するものと判断する。
【0033】
(ステップS8)
ステップS8では、制御部20は、チップ同士の接触量(=(x1-x2)−(α+β))以上の距離を演算領域20aを介して計算し、移動テーブル4の移動機構を介して移動テーブル4をオフセット補正して移動させる。
(ステップS9)
ステップS9では、制御部20は、熱圧着ツール8に吸着されたチップ1bの鉛直下方に、基板2上に設定された実装箇所を位置決めする。熱圧着ツール8を下降させてチップ1bを基板2に搭載し、ヘッド6の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド6の昇降機構を介して押圧する。これにより、上記のオフセット補正がなされた位置でチップ1bが基板2に実装される。その後、実装されたチップ1bをカメラ5で撮像し、予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングによりチップ1bを認識すると共に、チップ1bの位置及び外形サイズを取得する(これらの情報は、さらに他のチップを実装する際に参照される)。これにより、処理を終了するか、またはステップS1に戻って、さらに他のチップの実装を行う。
【0034】
(ステップS10)
ステップS10では、制御部20は、熱圧着ツール8を下降させてチップ1bを基板2に搭載し、ヘッド6の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド6の昇降機構を介して押圧する。これにより、計画されていた所定の位置のままでチップ1bが基板2に実装される。その後、実装されたチップ1bをカメラ5で撮像し、記憶領域20bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ1bを認識すると共に、チップ1bの位置及び外形サイズを取得する(これらの情報は、さらに他のチップを実装する際に参照される)。これにより、処理を終了するか、またはステップS1に戻って、さらに他のチップの実装を行う。
なお、ステップS7及びステップS8の処理において、チップ1a以外に、既に実装されている他のチップが存在する場合は、チップ1bが、この他のチップとも接触しないように考慮する。
【0035】
以下、図2を参照しながら、図4に示すフローチャート図を用いて、図2に示す回路部品の実装装置の制御部40の動作を説明する。
(ステップS1)
まず、ステップS1では、制御部40は、移動テーブル34の移動機構を介して、移動テーブル34を移動させ、カメラ35の位置が、チップテーブル33上に載置された複数のチップのうち1番目に実装されるチップ31aの上方を撮影できる位置となるようにする。
(ステップS2)
次に、ステップS2では、制御部40は、ヘッド36の昇降機構を制御し、チップ31aをカメラ39を介してチップ31aの上方から撮像する。撮像されたチップ31aの画像は、制御部40の画像処理領域40cに送出される。
【0036】
(ステップS3)
次に、ステップS3では、制御部40の演算領域40aは、記憶領域40bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ31aを認識すると共に、チップ31aの位置及び外形サイズを取得する。また、演算領域40aは、この認識結果を用いて、1番目に実装するチップ31aの中心と端部との距離αを演算する。さらに、演算領域40aは、チップ31aの前記の位置及び外形サイズに基づいて、ヘッド36とチップ31aとを位置合わせするための移動テーブル34の移動量を演算する。
(ステップS4)
次に、ステップS4では、制御部40は、移動テーブル34の移動機構を介して移動テーブル34を移動させ、また、ヘッド36の昇降機構を介して熱圧着ツール38を下降させ、ヘッド36の吸引機構を使用してチップ31aを吸着する。
【0037】
(ステップS5)
次に、ステップS5では、制御部40は、移動テーブル34の移動機構を介して移動テーブル34を再び移動させて、熱圧着ツール38に吸着されたチップ31aの鉛直下方に、基板32上に設定された実装箇所を位置決めする。熱圧着ツール38を下降させてチップ31aを基板32に搭載し、ヘッド36の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド36の昇降機構を介して押圧する。これにより、チップ31aが基板32に実装される。実装されたチップ31aをカメラ39で撮像する。その後、演算領域40aを介して、記憶領域40bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、実装されたチップ31aを認識すると共に、チップ31aの実装位置を取得し、該実装位置情報を記憶領域40bに格納する。
【0038】
図示は省略するが、この後、制御部40は、2番目に実装するチップ31bに対しても、上記のステップS1〜S5と同様のステップを適用し、熱圧着ツール38に吸着されたチップ31bの画像をカメラ35を用いて下から撮像し、記憶領域40bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ31bを認識すると共に、チップ31bの位置及び外形サイズを取得し、実装位置への位置付けを行って、該実装位置情報を記憶領域40bに格納する。但し、この段階では、ステップS5においては、チップ31bを、基板32上に設定された実装箇所に位置決めすると共に、熱圧着ツール38を下降させてチップ31bを基板32に搭載するまでの動作とし、チップ31bの実装は未だ行わない。
【0039】
(ステップS6)
次に、ステップS6では、制御部40の演算領域40aは、前記の各実装箇所情報に基づいて、実装されたチップ31a及び2番目に実装するチップ31bのエッジ位置(即ち、中心と端部の位置)を、それぞれ取得し、1番目に実装するチップ31aの中心と端部との距離α、及び2番目に実装するチップ31bの中心と端部との距離βを、それぞれ演算する。
(ステップS7)
次に、ステップS7では、制御部40の演算領域40aは、既に実装されたチップ31aと、2番目に実装するチップ31bとが、互いに接触するか否かを検証し、既に実装されたチップ31aと、2番目に実装するチップ31bとが、互いに接触する場合はステップS8に移り、既に実装されたチップ31aと、2番目に実装するチップ31bとが、互いに接触しない場合はステップS10に進む。
なお、前記の検証方法については、図1に示す回路部品の実装装置の制御部20の動作で説明した検証方法のとおりである。
【0040】
(ステップS8)
ステップS8では、制御部40は、チップ同士の接触量(=(x1-x2)−(α+β))以上の距離を演算領域40aを介して計算し、移動テーブル34の移動機構を介して移動テーブル34をオフセット補正して移動させる。
(ステップS9)
ステップS9では、制御部40は、熱圧着ツール38に吸着されたチップ31bの鉛直下方に、基板32上に設定された実装箇所を位置決めする。熱圧着ツール38を下降させてチップ31bを基板32に搭載し、ヘッド36の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド36の昇降機構を介して押圧する。これにより、上記のオフセット補正がなされた位置でチップ31bが基板32に実装される。その後、実装されたチップ31bをカメラ35で撮像し、記憶領域40bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ31bを認識すると共に、チップ31bの位置及び外形サイズを取得する(これらの情報は、さらに他のチップを実装する際に参照される)。これにより、処理を終了するか、またはステップS1に戻って、さらに他のチップの実装を行う。
【0041】
(ステップS10)
ステップS10では、制御部40は、熱圧着ツール38を下降させてチップ31bを基板32に搭載し、ヘッド36の加熱機構を使用して加熱すると共にヘッド36の昇降機構を介して押圧する。これにより、計画されていた所定の位置のままでチップ31bが基板32に実装される。その後、実装されたチップ31bをカメラ35で撮像し、記憶領域40bに予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、チップ31bを認識すると共に、チップ31bの位置及び外形サイズを取得する(これらの情報は、さらに他のチップを実装する際に参照される)。これにより、処理を終了するか、またはステップS1に戻って、さらに他のチップの実装を行う。
【0042】
なお、ステップS7及びステップS8の処理において、チップ31a以外に、既に実装されている他のチップが存在する場合は、チップ31bが、この他のチップとも接触しないように考慮するものとする。
また、図2に示す回路部品の実装装置の制御部40の動作については、必ずしも図4に示すフローチャートの手順に従う必要はなく、例えば、チップ31aに対する処理とチップ31bに対する処理とは、互いに入れ換えることが可能である。また、前記2つの処理の実行順序も入れ換えることが可能である。
【0043】
図5は、マーク付のチップの1例を示す説明図である。
同図に示すチップの場合、左上と右下の各コーナー部に黒塗りの鍵括弧がマークされている。
図6は、角度補正を行って実装する場合のチップ同士の接触の判定例を示す説明図である。
同図に示す両チップは、角度補正がなされて両チップとも長辺がX軸方向に揃っているので、αはチップの中心(X1,Y1)からチップ右端までの距離となり、βはチップの中心(X2,Y2)からチップ左端までの距離となるので、両中心間の距離は(X1−X2)となる。
図7は、角度補正を行わずに実装する場合のチップ同士の接触の判定例を示す説明図である。
同図に示す両チップは、角度補正がなされず、両チップとも長辺がX軸方向に揃っていないので、この例ではαはチップの中心(X1,Y1)からチップの右上角までの距離となり、βはチップの中心(X2,Y2)からチップの左上角までの距離となるが、この場合も、両中心間の距離は(X1−X2)としてよい。
【0044】
(他の実施形態)
チップテーブルへのチップの供給は手動でもよいし、チップ供給部でも構わない。
ステージへの基板の供給は手動でもよいし、基板供給部でも構わない。
また、チップの外形を認識し所定の大きさ以上のチップだと判別した場合は、そのチップの実装を中止してもよい。この場合、アラームを発生し、作業者にその旨を伝えてもよい。
また、チップの外形だけではなく、チップのマークをパターンマッチングさせてもよい。カメラの視野にチップが全て入りきらない場合は、外形もしくはマークを2回撮像してもよい。この場合、カメラは移動して対角の外形もしくはマークを撮像する。2つのマーク位置からチップの中心を算出する。
【0045】
さらに、実装装置にθ補正がない場合は、例えば、図7に示すように、1番目に実装するチップの中心と角との間の距離α'と2番目に実装するチップの中心と角との間の距離β'の和と、チップ中心同士の距離(=x1-x2)とを比較して、搭載位置を演算してもよい。
この場合、チップ中心同士の距離(=x1-x2)が1番目に実装するチップの中心と角との間の距離α'と2番目に実装するチップの中心と角との間の距離β'の和より大きい場合、即ち、両チップが接触しない場合は、2番目のチップを所定の実装位置に維持したままとする。
【0046】
他方、この場合、チップ中心同士の距離(=x1-x2)が、1番目に実装するチップの中心と端部との間の距離α'と2番目に実装するチップの中心と端部との間の距離β'の和以下の場合、即ち、両チップが接触する場合は、該チップ同士の接触量(=(x1-x2)−(α'+β'))以上の距離をオフセット補正して移動させて実装するものとする。
また、前述のチップのマークの認識には、X線撮像装置や赤外線顕微鏡等を用いてもよい。さらに、上向きカメラと下向きカメラを有する上下2視野カメラを用いてもよい。
また、移動テーブル4上にチップテーブル3とステージ7とが固定されXY方向に稼動されているが、ヘッド6が移動テーブルに固定されヘッドがXY方向に稼動してもよい。
また、2番目のチップの外形サイズを認識した時点で、搭載精度・外形サイズを含めてチップ同士が接触しないチップ搭載位置を制御部20の演算領域20bで演算し、オフセット補正して移動させて実装してもよい。
【0047】
また、接合品質向上を目的として窒素雰囲気中で実装してもよい。
さらに、実装工法としては、加熱押圧するだけでなく、超音波振動でもレーザー加熱でもよい。
また、モーターのエンコーダーを読み取ることでチップの実装位置を認識してもよい。 なお、本発明に係る回路部品の実装装置の各構成要素の処理の少なくとも一部をコンピュータ制御により実行するものとし、かつ、上記処理を、図4のフローチャートで示した手順によりコンピュータに実行せしめるプログラムは、半導体メモリを始め、CD−ROMや磁気テープなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配付してもよい。そして、少なくともマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ、汎用コンピュータを範疇に含むコンピュータが、上記の記録媒体から上記プログラムを読み出して、実行するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、回路部品の実装装置の構築に適用可能であり、特に、基板上に設定された複数の実装箇所に、例えば、チップと呼称される半導体集積回路等を、チップ同士を接触させないで実装するための回路部品の実装装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1a,31a 1番目に実装するチップ
1b,31b 2番目に実装するチップ
2,32 基板
3,33 チップテーブル
4,34 移動テーブル
5,35,39 カメラ
6,36 ヘッド
7,37 ステージ
8,38 熱圧着ツール
20,40 制御部
20a,40a 演算領域
20b,40b 記憶領域
20c,40c 画像処理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの回路部品の各々について、その中心と、該中心から最も遠い端部との間の距離を計測する計測手段と、
載置台に置かれた前記2つの回路部品を、実装予定箇所に各々配置させる配置手段と、
前記2つの回路部品のうち、任意の一方の回路部品を該回路部品の実装予定箇所に実装する第1の実装手段と、
前記計測手段による計測結果と、実装予定箇所に各々配置された前記2つの回路部品の所定の中心間の距離とに基づいて、前記2つの回路部品の前記端部間の距離を演算する演算手段と、
前記演算手段による演算結果に基づいて前記2つの回路部品が接触するか否かを判断する接触判定手段と、
前記接触判定手段の判定結果により、前記2つの回路部品が接触する場合は未実装の方の回路部品を移動させて、前記実装済の回路部品と接触しない位置に位置決めする補正手段と、
前記補正手段により位置決めされた前記回路部品を、該位置決めされた位置で実装する第2の実装手段と、
を備えたことを特徴とする回路部品の実装装置。
【請求項2】
前記計測手段は、前記2つの回路部品の各々をカメラで撮影した撮像に基づいて、予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングにより、前記2つの回路部品の各々を認識すると共に、前記2つの回路部品の各々の外形を認識し、該認識結果に基づいて前記の中心から最も遠い端部との間の距離を各々取得することを特徴とする請求項1記載の回路部品の実装装置。
【請求項3】
前記カメラの設置台数を1以上としたことを特徴とする請求項2記載の回路部品の実装装置。
【請求項4】
前記カメラの設置台数を複数とする場合は、少なくとも1台のカメラは、前記2つの回路部品の一方を上方から撮影し、少なくとも1台の他のカメラは前記回路部品の他方を下方から撮影するものであることを特徴とする請求項3記載の回路部品の実装装置。
【請求項5】
前記配置手段は、前記認識結果に基づいて前記2つの回路部品の各々の前記認識地点での位置を取得し、該位置に基づいて前記2つの回路部品の各々の実装予定箇所までの移動量を各々計算することを特徴とする請求項2記載の回路部品の実装装置。
【請求項6】
前記補正手段により移動される前記未実装の回路部品の補正の移動量は、前記の中心から最も遠い端部との間の距離と、前記2つの回路部品の前記所定の中心間の距離とに基づいて決定されることを特徴とする請求項2記載の回路部品の実装装置。
【請求項7】
前記の予め記憶されている所定の回路部品パターンとのパターンマッチングは、当該回路部品の外形、若しくは当該回路部品のマークをパターンマッチング対象として実行されることを特徴とする請求項2記載の回路部品の実装装置。
【請求項8】
前記実装手段は、前記回路部品を、前記実装箇所に搭載して加熱すると共に押圧する手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の回路部品の実装装置。
【請求項9】
前記接触判定手段は、前記2つの回路部品以外で既に実装済の他の回路部品が存在する場合は、前記未実装の方の回路部品と前記実装済の他の回路部品との接触も判定し、前記補正手段は、前記接触判定手段により、前記未実装の方の回路部品が前記実装済の他の回路部品と接触すると判定された場合は、前記未実装の方の回路部品を移動させて、前記未実装の方の回路部品が、前記実装済の他の回路部品とも接触しない位置に位置決めすることを特徴とする請求項1記載の回路部品の実装装置。
【請求項10】
前記回路部品は、半導体集積回路を含むチップであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回路部品の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−181675(P2011−181675A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44324(P2010−44324)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】