回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置
【課題】回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制する。
【解決手段】回転式現像装置2の各現像器3は、現像容器5の現像開口に面して配設され且つ現像剤Gを保持して回転搬送する現像剤保持体6と、現像容器5内に設けられ、現像剤保持体6に面した部位及び現像剤保持体6に面していない部位の間で現像剤Gが循環するように当該現像剤Gを搬送する搬送経路7(例えば7a,7b)と、この搬送経路7のうち現像剤保持体6の回転軸方向に沿って延びる回転軸15の周囲に螺旋状の羽根部材16が設けられ且つ回転することで搬送経路7に沿って現像剤Gを撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材8(例えば8a,8b)と、この複数の撹拌搬送部材8の少なくとも一部に対向する現像容器5の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部10と、を備える。
【解決手段】回転式現像装置2の各現像器3は、現像容器5の現像開口に面して配設され且つ現像剤Gを保持して回転搬送する現像剤保持体6と、現像容器5内に設けられ、現像剤保持体6に面した部位及び現像剤保持体6に面していない部位の間で現像剤Gが循環するように当該現像剤Gを搬送する搬送経路7(例えば7a,7b)と、この搬送経路7のうち現像剤保持体6の回転軸方向に沿って延びる回転軸15の周囲に螺旋状の羽根部材16が設けられ且つ回転することで搬送経路7に沿って現像剤Gを撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材8(例えば8a,8b)と、この複数の撹拌搬送部材8の少なくとも一部に対向する現像容器5の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部10と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置である。
【背景技術】
【0002】
従来における画像形成装置で用いられる回転式現像装置としては、例えば特許文献1〜3記載のものが既に知られている。
特許文献1には、トナー容器と現像器間を結ぶ搬送路内のトナーが現像ロータリの回転によって逆戻りしてしまうことを防止するために、次回の画像形成時にトナー補給を行う場合、前回の画像形成時における現像ロータリの回転パターンに応じてトナーの補給量を補正する技術が開示されている。
特許文献2には、揺動しても現像剤担持体上のトナーの層が途切れない現像器を提供するために、ハウジング内に現像剤担持体を有する現像器において、ハウジング内の容積を変更する容積調節手段を設け、現像器の揺動に応じてハウジング内の容積を変更し、現像剤の粉体面を一定に保つ技術が開示されている。
特許文献3には、回転保持体の回転量を計測する回転量計測手段と、各現像器の現像動作に伴う駆動量を計測する現像駆動量計測手段と、回転量計測手段にて計測された回転保持体の回転量に応じた所定期間で現像駆動量計測手段にて計測される駆動量が所定以下である低使用現像器に対して所定時間空駆動させる空駆動制御手段とを備えた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−271955号公報(発明の実施の形態,図8)
【特許文献2】特開2010−60778号公報(発明を実施するための最良の形態,図2)
【特許文献3】特開2008−233718号(発明を実施するための最良の形態,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制する回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、像保持体上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器と、予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器が回転方向に沿って配列されるように各現像器を搭載する回転保持体と、前記像保持体に対向する現像位置及び現像位置以外の待機位置を各現像器の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器を前記現像位置に順次回転移動させ、現像器が当該現像位置に停止した状態で当該現像器が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置に最後に位置した現像器を予め決められた初期待機位置に戻すように、前記回転保持体及び前記各現像器を制御する現像制御手段とを備え、前記各現像器は、像保持体に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が収容される現像容器と、この現像容器の現像開口に面して配設され且つ現像剤を保持して回転搬送する現像剤保持体と、前記現像容器内に設けられ、前記現像剤保持体に面した部位及び前記現像剤保持体に面していない部位の間で現像剤が循環するように当該現像剤を搬送する搬送経路と、この搬送経路のうち前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って延びる回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が設けられ且つ回転することで前記搬送経路に沿って現像剤を撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材と、この複数の撹拌搬送部材の少なくとも一部に対向する現像容器の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材の羽根部材の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部と、を備えたことを特徴とする回転式現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る回転式現像装置において、前記凸部は、当該凸部を有する現像器が前記現像位置に位置するとき、搬送経路内の現像剤とは非接触であることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る回転式現像装置において、前記凸部は、撹拌搬送部材の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、現像容器を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものであることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面していない部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、対向する撹拌搬送部材の羽根部材の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材の回転軸方向に沿う寸法が長く設定されていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれかに係る回転式現像装置において、前記搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材に対向した現像容器の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材の回転軸の径方向に沿う又は前記凸部の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部を有することを特徴とする回転式現像装置である。
【0007】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれかに係る回転式現像装置において、前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口を有する回転式現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9いずれかに係る回転式現像装置において、前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口と、前記現像容器の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口と、を有することを特徴とする回転式現像装置である。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記現像剤排出口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向し、少なくとも前記現像剤排出口に隣接した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項12に係る発明は、請求項9ないし11いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記現像剤補給口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向して設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項13に係る発明は、予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体と、この像保持体に対向して設けられ且つ当該像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する請求項1ないし12いずれかに係る回転式現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項14に係る発明は、請求項13に係る画像形成装置において、前記現像制御手段は、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、現像動作時における現像剤の搬送挙動に影響を与えることなく、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを広範囲に亘って抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、搬送経路での現像剤の搬送空間を十分に確保でき、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内の現像剤保持体に面していない部位での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内の現像剤保持体に面した部位での現像剤の乱れを抑制することができ、現像剤保持体に供給する現像剤の分布を略均等に保つことができる。
請求項7に係る発明によれば、回転保持体の回転時における凸部による現像剤の戻し量を多く確保することができ、本構成を有さない態様に比べて、回転保持体の回転に起因する現像剤の乱れをより良好に抑制することができる。
請求項8に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像剤の挙動として、搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向上流側端部での現像剤の偏りを抑制することができる。
請求項9に係る発明によれば、現像器が現像剤を補給する態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項10に係る発明によれば、現像器が現像剤を補給・排出する態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項11に係る発明によれば、現像器が現像剤排出口に通じる搬送経路を備えた態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像剤排出口からの現像剤の過剰な排出現象を抑制することができる。
請求項12に係る発明によれば、現像器が現像剤補給口に通じる搬送経路を備えた態様であっても、回転保持体の回転に起因する前記現像剤補給口に通じる搬送経路での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項13に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することが可能な回転式現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
請求項14に係る発明によれば、単色による作像処理が連続して行われたとき、仮に、回転保持体の複数回転に起因して低使用現像器内で現像剤の乱れが生じたとしても、この現像剤の乱れを有効に修復することが可能な画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)の回転式現像装置に搭載される現像器の構成例を示す説明図、(c)は(b)中でC方向から見た矢視図である。
【図2】(a)は図1(b)の現像器を平面的に示す模式図、(b)は凸部を有していない比較の態様に係る回転式現像装置で生ずる低使用現像器を複数回転させたときの現像剤の偏り動作を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成の要部を示す説明図である。
【図4】図3に示す現像器の詳細を示す説明図である。
【図5】図4中V−V線断面説明図である。
【図6】(a)は実施の形態1の現像剤排出口付近の詳細を示す説明図、(b)はその要部斜視図である。
【図7】図3に示す回転式現像装置に搭載される現像器の全体構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す現像器から現像剤補給容器を取り外した状態を示す説明図である。
【図9】本実施の形態で用いられる現像剤補給容器を示す説明図である。
【図10】本実施の形態で用いられる現像器のうち現像剤補給容器との連結部を示す説明図である。
【図11】実施の形態1で用いられる現像器を一部破断し、かつ、上蓋を一部仮想線で示した斜視図である。
【図12】(a)は図11に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図、(b)は(a)中B−B線断面説明図である。
【図13】(a)は図11に示す現像器の平面説明図で、上蓋を一部仮想線で示した説明図、(b)は撹拌搬送部材と案内凸部との関係を模式的に示す説明図である。
【図14】実施の形態1で用いられる制御系(駆動制御系、濃度制御系)を示す説明図である。
【図15】実施の形態1に係る回転式現像装置の回転保持体を1回転させたときの現像器内の現像剤の挙動を示す説明図である。
【図16】図15に示す現像器内の現像剤の挙動を撹拌搬送部材との関係で示す説明図である。
【図17】図15に示す現像器内の現像剤の挙動につき、撹拌搬送部材と案内凸部との関係で模式的に示す説明図である。
【図18】実施の形態2に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す一部破断説明図である。
【図19】図18に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図である。
【図20】実施の形態3に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す一部破断した説明図である。
【図21】図20に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図である。
【図22】(a)は実施の形態4に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図、(b)は撹拌搬送部材と案内突片との関係を示す説明図、(c)は本実施の形態で用いられる案内突片の構成例を示す説明図である。
【図23】実施の形態5に係る回転式現像装置で採用される制御処理の一例である現像剤偏りに伴う画質不良検査処理を示す説明図である。
【図24】(a)は低使用現像器の空駆動前の現像剤の偏り状態を示す説明図、(b)は低使用現像器の空駆動後の現像剤の均一状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要について説明する。
図1(a)は画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体1と、この像保持体1に対向して設けられ且つ当該像保持体1に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する回転式現像装置2と、を備えたものである。
この回転式現像装置2は、像保持体1上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器3(3a〜3d)と、予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器3が回転方向に沿って配列されるように各現像器3を搭載する回転保持体4と、前記像保持体1に対向する現像位置P1及び現像位置P1以外の待機位置P2〜P4を各現像器3の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器3を前記現像位置P1に順次回転移動させ、現像器3が当該現像位置P1に停止した状態で当該現像器3が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置P1に最後に位置した現像器3を予め決められた初期待機位置P0に戻すように、前記回転保持体4及び前記各現像器3を制御する現像制御手段20とを備えている。
この種の回転式現像装置2は、作像ジョブが行われない場合には全ての現像器3が現像位置P1に対向しないような初期待機位置P0に現像器3を初期待機させるようになっており、像保持体1への不必要なトナー及びキャリアの流出や現像剤の溜まりなどを防止し、各現像器3の現像性能を良好に保つように配慮されていることが多い。
【0011】
本実施の形態において、回転式現像装置2の各現像器3(3a〜3d)は、図1(b)(c)及び図2(a)に示すように、像保持体1に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤Gが収容される現像容器5と、この現像容器5の現像開口に面して配設され且つ現像剤Gを保持して回転搬送する現像剤保持体6と、前記現像容器5内に設けられ、前記現像剤保持体6に面した部位及び前記現像剤保持体6に面していない部位の間で現像剤Gが循環するように当該現像剤Gを搬送する搬送経路7(例えば7a,7b)と、この搬送経路7のうち前記現像剤保持体6の回転軸方向に沿って延びる回転軸15の周囲に螺旋状の羽根部材16が設けられ且つ回転することで前記搬送経路7に沿って現像剤Gを撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材8(例えば8a,8b)と、この複数の撹拌搬送部材8の少なくとも一部に対向する現像容器5の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部10と、を備えたものである。尚、このような現像器3にあっては、後述するように現像剤補給機構や現像剤排出機構を付加するようにしてもよい。
【0012】
ここで、上述した凸部10を有していない比較の態様に係る回転式現像装置2においては、図2(b)に示すように、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合を想定すると、一回の特定単色ジョブが終わる毎に、現像器3(例えば現像器3a)は現像位置P1から初期待機位置P0に略1回転して移動し、次の特定単色ジョブが指定されると、再び初期待機位置P0から現像位置P1へと移動し、特定単色ジョブを行う。
このとき、現像に供される現像器3aは、作像ジョブ終了後に回転保持体4の回転動作に伴って、現像位置P1→待機位置P2→待機位置P3→待機位置P4→初期待機位置P0→現像位置P1へと移動していく。再び現像位置P1に戻るまでの1回転の間、現像器3a内の撹拌搬送部材8(8a,8b)は駆動停止状態にあるが、回転保持体4の回転動作に伴って撹拌搬送部材8(例えば8b)に対応する部位にある現像剤Gが撹拌搬送部材8の搬送方向に沿って移動する。しかし、現像に供される現像器3aは、次の作像ジョブによる現像動作に伴う撹拌搬送部材8(例えば8b)の駆動により移動した現像剤Gは直ちに均される。
ところが、長い間現像に供されない使用回数の低い低使用現像器3(例えば3b〜3d)にあっては、図2(b)に示すように、回転保持体4の回転が複数回繰り返されると、低使用現像器3(例えば3b〜3d)内の撹拌搬送部材8(8a,8b)は駆動停止状態にあり、回転保持体4の複数回転動作に伴って撹拌搬送部材8(例えば8b)に対応する部位にある現像剤Gが撹拌搬送部材8の搬送方向に沿って順次移動する(図2(b)矢印A、参照)。このように、低使用現像器3(例えば3b〜3d)では、回転保持体4の回転数が増加するにつれて現像剤Gの移動量も嵩み、現像剤Gの偏りが大きくなってしまい、現像剤分布に疎密が生じてしまう。この現像剤Gの偏りがある限界を超えた状態で、当該低使用現像器3(例えば3b〜3d)が現像に供されると、層厚規制部材にて現像剤Gの層厚を規制したとしても、その層厚差を解消することができず、濃度むらなどの画質不良が生じ易い。
尚、図2(b)では、撹拌搬送部材8bを例に挙げて現像剤Gの戻り現象を説明したが、これに限られるものではなく、程度に差はあるものの、他の撹拌搬送部材8aについても同様な現像剤Gの戻り現象は生じ得る。
更に、上述した現像剤Gの偏り現象は、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合以外であっても起こり得る。例えば特定の現像器に対して、現像剤Gの排出動作を行う場合や、各種動作情報を通信可能な記録媒体に書き込む動作を行う場合や、作像位置や作像濃度を制御するような作像プロセス制御を行う場合には、特定の現像器を現像位置に移動させることに伴って、他の現像器も強制的に回転することになるため、低使用現像器内の現像剤Gの偏りが加速されることになる。
本実施の形態では、このような現像剤Gの戻り現象を抑制するために、現像器3の構成要件として凸部10を付加するようにしたものである。
【0013】
このような技術的手段において、回転保持体4は予め決められた方向に回転するものであればよく、回転保持体4に搭載される現像器3の配列方向は適宜選定して差し支えない。
また、現像制御手段20としては、少なくとも作像指示に従って単色又は複合色による現像動作を実施し、作像処理が終了したときに回転保持体4を回転させ、各現像器3を初期待機位置P0に戻すようにすればよい。
このとき、各現像器3の初期待機位置P0については適宜選定して差し支えないが、現像器3の現像位置P1への移動時間を短縮するという観点からすれば、現像位置P1に最も近い部位に使用回数の高い高使用現像器3(例えば3a)を配置することが好ましい。
更に、搬送経路7としては、少なくとも現像剤が循環する循環搬送経路7aを備えていればよく、この循環搬送経路7aから分岐する分岐搬送経路7b、例えば補給現像剤を搬送するための現像剤補給経路などを備えていてもよいことは勿論である。
また、回転保持体4を1回転させるときに、撹拌搬送部材8の羽根部材16に沿って現像剤が逆流方向に移動する懸念があるが、凸部10はその傾斜によって羽根部材16に沿って移動した現像剤を元の位置方向に戻そうとする働きをする。このとき、現像剤を元の位置に戻す量は凸部10の傾斜方向に沿った長さ、深さによって決まるため、羽根部材16の1ピッチ分により移動する現像剤量を元に戻せるように選定することが好ましい。
そしてまた、凸部10は、現像容器5の内壁を構成する部材(例えば上蓋5a)に一体的に形成してもよいし、凸部10を有する別部材を設けるようにしてもよい。ここで、凸部10は現像容器5の内壁に凸状に設けられていればよく、内壁表面から突出する態様は勿論であるが、内壁に凹部を形成して相対的に凸部を確保するように内壁表面から突出していない態様も含む。また、現像器3が現像位置P1に位置するとき、当該現像器3の凸部10は現像剤と非接触であってもよいし、接触していてもよい。
更に、凸部10は全ての撹拌搬送部材8(8a〜8c)に対向して設ける必要はなく、回転保持体4の回転に伴って搬送経路7内の現像剤が乱れる可能性の高い部位に対して主に設けるようにすればよい。また、凸部10は少なくとも一つ備えていればよく、必要に応じて複数備えるようにすればよい。
【0014】
次に、本実施の形態に係る回転式現像装置2の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、凸部10の好ましい態様としては、当該凸部10を有する現像器3が前記現像位置P1に位置するとき、搬送経路7内の現像剤とは非接触である態様が挙げられる。本態様では、現像器3が現像位置P1に位置するとき、凸部10が搬送経路7内の現像剤と非接触であることから、現像動作時に現像剤を撹拌搬送するに当たり、凸部10が現像剤の搬送に当たって抵抗にならない点で好ましい。
また、凸部10の別の好ましい態様としては、撹拌搬送部材8の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられている態様が挙げられる。複数の凸部10の夫々が現像剤を夫々戻すため、複数の凸部10を設けるようにすれば、現像剤を戻す作用領域を広げることが可能である。
更に、凸部10の代表的態様としては、現像容器5を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものが挙げられる。本態様では、凸部10が現像容器5の内壁表面から突出しないため、搬送経路7内にて凸部10と接触しない状態で現像剤を搬送する断面空間を広く確保することが可能である。
更にまた、凸部10の代表的配置例としては、搬送経路7のうち前記現像剤保持体6に面していない部位に設けられる態様が挙げられる。搬送経路7のうち現像剤保持体6に面した部位では、現像剤保持体6により現像剤が通常磁力などで保持されているため、回転保持体4が回転しても、現像剤の偏りは少ない。これに対し、搬送経路7のうち現像剤保持体6に面していない部位ではこのような現像剤保持力が働かないので、回転保持体4の回転に伴って現像剤が偏り易いが、本態様ではこれを抑制することが可能である。
【0015】
また、凸部10の他の代表的配置例としては、図1(b)に二点鎖線で示すように、搬送経路7のうち現像剤保持体6に面した部位7aに設けられる態様が挙げられる。搬送経路7のうち現像剤保持体6の面した部位7aでは、回転保持体4の回転に伴って現像剤が撹拌搬送部材8(8a)の羽根部材16に沿って逆流すると、現像剤保持体6の回転軸15方向に沿って現像剤の分布が偏る懸念があるが、本態様では、凸部10がこのような現像剤の偏りを抑制する。
更に、凸部10の好ましい態様としては、対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材8の回転軸15方向に沿う寸法が長く設定されている態様が挙げられる。凸部10の構成については、必要な現像剤の戻し量を得るように長さ、深さなどのパラメータを選定する必要があるが、本態様は、凸部10の長さや深さを充分に確保し難い条件で現像剤の戻し量を多く確保する上で有効である。
更にまた、凸部10を付加した態様のより好ましい態様としては、搬送経路7のうち撹拌搬送部材8による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材8に対向した現像容器5の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材8の回転軸15の径方向に沿う又は前記凸部10の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部(図示せず)を有する態様が挙げられる。本態様では、他の凸部は前述した凸部10のような現像剤の戻し作用を実施しないため、回転保持体4が回転したとしても、搬送経路7のうち撹拌搬送部材8による現像剤の搬送方向の上流側端部に対して現像剤を押し戻すことはない。
【0016】
−現像剤補給機構,現像剤排出機構−
本実施の形態において、回転式現像装置2に搭載される現像器3としては現像剤補給機構や現像剤排出機構を備えた態様がある。
現像剤補給機構としては、図2(a)に示すように、現像容器5の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口11を有するものが挙げられる。この種の現像剤補給機構としては、通常回転式現像装置2に組み込まれるが、外部に設けた態様も含むものであり、少なくとも現像剤補給口11を有していればよい。
ここで、現像剤補給機構のみが付加される態様では、補給される現像剤としてはトナーを補給するようにすればよい。
更に、この種の現像剤補給機構に更に現像剤排出機構を付加した態様にあっては、現像器3は、現像容器5の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口11と、現像容器5の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口12と、を有する態様が挙げられる。本態様では、現像器3は、現像剤を補給し、かつ、余剰現像剤を排出することから、現像器3内に収容される現像剤を新しい状態に保つことが可能である。
また、現像剤排出機構を付加した態様の好ましい態様としては、凸部10は、現像剤排出口12に通じる搬送経路7(循環搬送経路7a)に配設された撹拌搬送部材8(例えば8b)に対向し、少なくとも現像剤排出口12に隣接した部位に設けられている態様が挙げられる。本態様では、凸部10は回転保持体4の回転に伴って現像剤排出口12に向かう余剰現像剤の動きを抑制する。
更に、現像剤補給機構を付加した態様の好ましい態様としては、例えば図2(b)凸部10は、現像剤補給口11に通じる搬送経路7(本例では分岐搬送経路7b)に配設された撹拌搬送部材8(例えば8c)に対向して設けられる態様が挙げられる。本態様では、凸部10は回転保持体4の回転に伴って現像剤補給口11に通じる搬送経路7(本例では分岐搬送経路7b)での現像剤の逆流現象を抑制し、分岐搬送経路7bの途中にて現像剤に偏りを生じ難くする。
【0017】
このように、本実施の形態では、現像器3は、現像容器5内に凸部10を付加した構成を備えているが、例えば凸部10による現像剤の戻し量が充分に確保できないような状況では、使用回数が極めて少ない低使用現像器3は、徐々にではあるが、回転保持体4の複数回転に伴って現像剤の偏り現象が生ずる懸念がある。
このような状況にあっては、現像制御手段20として、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器3に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有する態様が好ましい。
このように、現像制御手段20に空駆動制御部を付加することで、仮に、回転保持体4の複数回転に起因して低使用現像器3内で現像剤の乱れが生じたとしても、低使用現像器3を空駆動することで、低使用現像器3内の現像剤をならすことが可能である。
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、例えば感光体などの像保持体30と、この像保持体30に形成された静電潜像を単色又はフルカラーにて可視像化可能な回転式現像装置40とを備えたものである。
ここで、像保持体30への作像形成方式としては例えば電子写真方式が採用され、図示外の帯電器にて像保持体30を帯電した後、露光装置にて静電潜像を書き込むようにしたものである。尚、像保持体30としては静電潜像を保持して回転式現像装置40にて可視像化するものであればよく、誘電体などを用い、この誘電体に帯電器やイオンなどの書込装置にて静電潜像を書き込むようにしてもよい。
また、回転式現像装置40は、回転可能な回転保持体41を有し、この回転保持体41に複数の現像器50(具体的には50a〜50d)を搭載している。この各現像器50は例えばブラック(K)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の四色の二成分現像剤を使用するものである。
特に、本実施の形態では、回転式現像装置40は、各現像器50の設定位置として、像保持体30に対向する部位を現像位置P1とし、回転保持体41の回転方向に向かって約90度毎に待機位置P2〜P4として設定すると共に、いずれの現像器50も現像位置P1に対向しない初期待機位置P0を設定したものである。
【0019】
−現像器の全体構成−
本実施の形態において、各現像器50は、図4ないし図6に示すように、図3に示す現像位置P1に対向して開口し且つ各色成分トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像容器51を有し、この現像容器51の開口に面した部位にロール状の現像剤保持体52を回転可能に配設すると共に、現像容器51の現像剤保持体52の背面側には現像剤保持体52の回転軸方向に沿って一対の撹拌搬送部材53,54を回転可能に配設し、この撹拌搬送部材53,54間に位置する現像容器51に仕切り板55を設けると共に、この仕切り板55の両端付近に現像剤の通過口56,57を開設し、撹拌搬送部材53,54で搬送する現像剤が前記通過口56,57を介して循環する循環搬送経路58を確保するようにしたものである。
ここで、現像容器51は、例えばABS樹脂等の合成樹脂にて形成されており、現像剤の収容空間を確保し且つ像保持体30に対向する側方及び上方が開口した略箱状の容器本体51aと、この容器本体51aの上方開口を塞ぐ上蓋51bとを備えている。
また、現像剤保持体52は回転可能な非磁性筒体52aの内部に適宜数の磁極が配列された磁極部材52bを固定的に設けたものであり、この現像剤保持体52には現像域へ搬送する現像剤の層厚を規制する層厚規制部材59が通常設けられている。
更に、一対の撹拌搬送部材53,54は例えば回転軸60の周囲に螺旋状の羽根部材61,62を設けたものが用いられており、撹拌搬送部材53,54の螺旋状の羽根部材61,62は同一方向に回転した場合に現像剤の搬送方向が逆方向になるように形成されている。
尚、撹拌搬送部材53,54の両端部には通過口56,57を介して現像剤を循環搬送可能にするための逆方向螺旋状羽根63,64が設けられている。
【0020】
−現像剤補給機構−
更に、本実施の形態では、現像器50は現像剤補給機構70を備えている。本実施の形態では、後述する現像剤排出機構を付加する態様であるため、補給現像剤としてはキャリアが含まれるトナーが用いられている。
この現像剤補給機構70は、現像容器51の循環搬送経路58の長手方向に沿って現像剤保持体52から離れた側に前記循環搬送経路58から分岐した分岐搬送経路71を設け、この分岐搬送経路71に沿って撹拌搬送部材72を回転可能に配設すると共に、撹拌搬送部材72による現像剤の搬送方向下流側には分岐搬送経路71と循環搬送経路58との間の分岐口73を設けるようにしたものである。
この撹拌搬送部材72は循環搬送経路58内の撹拌搬送部材53,54と同様に回転軸75の周囲に螺旋状の羽根部材76を設けたものであり、この螺旋状の羽根部材76は駆動停止状態で回転保持体41が回転すると分岐搬送経路71内にて分岐口73から離間する方向に現像剤が移動可能であるように形成されている。
更にまた、分岐搬送経路71の現像剤搬送方向上流側には現像剤補給口74が設けられており、この現像剤補給口74には補給容器80が接続されている。
この補給容器80は、図7ないし図10に示すように、現像容器51の上蓋51b上に形成された受部65に着脱可能に装着されている。
本例では、補給容器80は、補給用現像剤が収容される収容室81と現像容器51の余剰現像剤が回収される回収室82とに内部が分かれており、収容室81の内部には螺旋バネ状の搬送部材(図示せず)を設けると共に、収容室81の一部に前記現像剤補給口74に対向して補給口83を開設する一方、回収室82の一部には回収口84を開設し、これらの補給口83、回収口84をシャッタ85にて開閉するようになっている。
【0021】
−現像剤排出機構−
また、本実施の形態では、現像器50は余剰現像剤が排出可能な現像剤排出機構90を備えている。
この現像剤排出機構90は、図5、図6(a)(b)及び図10に示すように、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52から離れた側の撹拌搬送部材54が収容される部分で且つ通過口56に対向した現像容器51の側壁に設けられている。
この現像剤排出機構90は現像容器51の側壁の適宜位置に開口した現像剤排出口91を有し、この現像剤排出口91には開閉蓋92が回転可能に設けられている。この開閉蓋92は循環搬送経路58内の現像剤が増加し、その現像剤の増加量が所定量を超えた場合に現像剤排出動作を補助すると共に、回転保持体41回転時に現像器50の姿勢が変わった際に現像剤の過剰な排出を防止するように閉じた状態になるものである。尚、符号93は現像容器51の一部に設けられて現像剤排出口91から排出された余剰現像剤を一時的に回収する一時回収受け、94は一時回収受け93に通じる現像剤回収口(図10参照)である。
本例では、現像容器51の受部65には現像剤補給口74及び現像剤排出口91が開設されており、これらは補給容器80側のシャッタ85と係わり合って開閉する現像容器51側のシャッタ95を有しており、現像容器51の受部65に補給容器80が装着されたときには、両シャッタ85,95が係わり合って開き、補給容器80の補給口83、回収口84が現像容器51の現像剤補給口74,現像剤回収口94にそれぞれ接続されるようになっている。
【0022】
−現像剤案内機構−
更に、本実施の形態では、現像器50は、回転保持体41の回転に伴って現像容器51内の現像剤の挙動を案内する現像剤案内機構100を備えている。
<案内凸部>
この現像剤案内機構100は、図11ないし図13に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に案内凸部101を形成したものである。
本例では、案内凸部101は、現像容器51の上蓋51bの内壁のうち、循環搬送経路58の現像剤保持体52に面していない部位に配設された撹拌搬送部材54に対向して凸状に設けられ、この撹拌搬送部材54の羽根部材62の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びるものである。
ここで、案内凸部101は、図12(a)(b)及び図13(a)(b)に示すように、上蓋51bの内壁に例えば切削加工により凹部102を形成し、当該凹部102で囲まれる部位を凹部102の底に対して寸法hだけ相対的に突出させたものであり、上蓋51bの内壁表面からは突出していない。
そして、この案内凸部101は、現像器50が現像位置P1に位置するとき、循環搬送経路58内の現像剤とは非接触に配置され、撹拌搬送部材54の回転軸方向に対し予め決められた間隔pkを空けて複数設けられている。この間隔pkは適宜選定して差し支えないが、本例では、撹拌搬送部材54の羽根部材62のピッチpmに略相当若しくはそれよりも長くなるように選定されている。
また、案内凸部101は、これに対向する撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対し傾斜角度θkだけ傾斜して配置されている。この傾斜角度θkは、案内凸部101に対向する部位において撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対する羽根部材62の傾斜角度θmと略同じ大きさで、傾斜方向が逆向きになっているものである。
更に、この案内凸部101は撹拌搬送部材54の回転軸60方向の略全域に亘って設けられており、現像剤排出口91の付近まで及んでいる。
<抑制凸部>
特に、本実施の形態において、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位には、案内凸部101とは異なる抑制凸部103が設けられている。この抑制凸部103は、撹拌搬送部材54に対向した上蓋51bの内壁に凸状に設けられるものであるが、案内凸部101の傾斜方向とは逆方向に傾斜するように構成されている。この抑制凸部103は、撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対して傾斜角度θnだけ傾斜するものであり、撹拌搬送部材54の羽根部材62の傾斜方向に略沿って設けられている。尚、この抑制凸部103は、必ずしも傾斜角度θnで傾斜する必要はなく、撹拌搬送部材54の回転軸60の径方向に略沿って形成するようにしてもよい。
【0023】
−制御系−
図14は本実施の形態に係る回転式現像装置に対する制御系を示す。
同図において、符号110はマイクロコンピュータ等からなる制御装置であり、回転式現像装置40の駆動制御及び濃度制御を行うものである。
回転式現像装置40の駆動制御の対象は、回転保持体41をギア等の駆動伝達機構111を介して駆動する駆動モータ112、現像位置P1にて現像器50の現像剤保持体52、撹拌搬送部材53,54をギア等の駆動伝達機構113を介して駆動する駆動モータ114、現像位置P1にて現像器50の撹拌搬送部材72にギア等の駆動伝達機構115を介して駆動する駆動モータ116であり、操作部120からの作像モード(単色黒モード(BWモード)、フルカラーモード(FCモード))等の指示信号や回転保持体41が回転したことを検知する回転検知器130からの信号を制御装置110にて受け取り、各駆動モータ112,114,116に対して所定の駆動制御信号を送出するようになっている。尚、回転検知器130としては、回転保持体41の回転動作を検知するエンコーダなどが用いられる。
また、回転式現像装置40の濃度制御は、例えば現像器50内の現像剤のトナー濃度が検知可能な濃度検知器(例えば透磁率を検知する検知器などを使用)140から現像剤内のトナー濃度を把握し、これに基づいて現像剤補給動作を制御するものである。
尚、濃度検知方式としては、現像器50内の現像剤から直接検知する方式に限られず、例えば図14に二点鎖線で示すように、像保持体30に画像濃度検知パターンを形成し、これを光学式の濃度検知器141で検知するようにしてもよい。
【0024】
−画像形成装置の作動−
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について回転式現像装置を中心に説明する。
今、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合を想定すると、一回の特定単色ジョブが終わる毎に、現像器50(例えば現像器50a)は現像位置P1から初期待機位置P0に略1回転して移動し、次の特定単色ジョブが指定されると、再び初期待機位置P0から現像位置P1へと移動し、特定単色ジョブを行う。
ここで、現像器50(例えば現像器50a)が現像位置P1から略1回転すると、現像器50の現像容器51内の現像剤Gは、図15に示すように、現像器50の回転に伴う姿勢変化によって撹拌搬送部材53,54の周りを移動するような挙動を示す。
このような現像剤Gの挙動において、例えば撹拌搬送部材54に着目すると、図16に示すように、現像器50aが現像位置P1→待機位置P2→待機位置P3→待機位置P4→初期待機位置P0→現像位置P1に至る間、現像剤Gが撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って本来の搬送方向とは逆方向に移動しようする。具体的には現像器50が1回転すると、図17に示すように、羽根部材62の1ピッチpm分に相当する現像剤量Gmが逆流しようとする。
このとき、現像剤案内機構100に着目すると、現像器50(例えば現像器50a)が現像位置P1から順次待機位置P2〜P4に回転していく間、現像容器51の案内凸部101のある部位に現像剤Gが移動していき、現像剤Gは案内凸部101の傾斜方向に沿って案内凸部101間の間隔pkに相当する現像剤量Gkだけ押し戻される。
この場合において、羽根部材62の1ピッチpm分に相当する現像剤量Gm(現像剤逆流量に相当)と、案内凸部101間の間隔pkに相当する現像剤量Gk(現像剤戻し量に相当)とを略同程度になるように選定しておけば、現像剤Gは、現像器50(例えば現像器50a)の回転に伴って撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って逆流しようとするが、現像剤案内機構100の存在により逆流方向とは異なる反対方向へと押し戻される。この結果、現像器50(例えば現像器50a)の回転に伴って、現像器50内の現像剤Gが撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って逆流するという現象は抑えられる。
【0025】
特に、本実施の形態では、現像剤案内機構100は、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に対応して設けられているため、現像器50の回転に伴って、撹拌搬送部材54に沿った部位での現像剤Gの逆流が起こり難くなる。このため、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位では、循環搬送経路58の経路面積が比較的広く、現像剤保持体52の磁力による現像剤Gの保持力などが作用しないことから、現像器50の回転に伴って現像剤Gが移動し易い領域ではあるが、現像剤Gの逆流現象が起こり難く、現像剤Gの偏りは生じ難い。
それゆえ、現像に供される使用回数の高い高使用現像器50(例えば現像器50a)であっても、長い間現像に供されない使用回数の低い低使用現像器50(例えば50b〜50d)であっても、現像器50の回転に伴う現像剤Gの逆流現象は有効に抑えられる。
また、本実施の形態では、現像剤排出口91につながる循環搬送経路58部分に現像剤案内機構100を設けたので、現像器50の回転に伴って現像剤排出口91付近で現像剤Gの逆流は起こり難くなる。このため、現像器50の回転に伴って、現像器50内の現像剤Gが逆流することにより、現像剤排出口91から余剰でない現像剤Gが排出される事態は有効に抑えられる。
更に、本実施の形態では、現像剤案内機構100は、案内凸部101の他に、抑制凸部103を有しているため、現像器50の回転に伴って、案内凸部101が現像剤Gを押し戻す働きをするが、循環搬送経路58のうち撹拌搬送部材54による現像剤Gの搬送方向上流側端部では、抑制凸部103の存在によって循環搬送経路58の端部に現像剤Gが不必要に押し付けられる事態は抑えられる。このため、現像剤案内機構100の存在により、循環搬送経路58のうち撹拌搬送部材54による現像剤Gの搬送方向上流側端部で現像剤Gが密に詰まる事態(いわゆるパッキング)は生じ難くなる。
【0026】
更にまた、本実施の形態では、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位では、現像剤保持体52の磁力による現像剤Gの保持力が作用することから、現像器50を回転したとしても、現像剤Gが撹拌搬送部材53の羽根部材61に沿って逆流し難いので、この部位に対しては、現像剤案内機構100を備えていない。
また、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71については、循環搬送経路58に比べて経路面積が狭く、補給用の現像剤Gが充填していることから、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に比べて、現像器50の回転に伴う現像剤Gの逆流の程度は少ないので、本例では、この部位に対しても現像剤案内機構100を備えていない。
尚、本実施の形態では、回転式現像装置40の全ての現像器50に現像剤案内機構100を設けているが、これに限られるものではなく、低使用現像器50に対してのみ現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。
つまり、高使用現像器50(例えば現像器50a)については、長い間現像に供されないということがないため、仮に、現像剤案内機構100を備えていない場合には、現像器50の回転に伴って例えば撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って現像剤Gが逆流することになるが、その現像剤Gの逆流の程度が少ないので、次の作像ジョブによる現像動作に伴う撹拌搬送部材54の駆動により逆流した現像剤Gは直ちに均される。
【0027】
また、現像剤排出機構90の作動については、図15に示すように、現像器50が現像位置P1に位置するとき、余剰現像剤が多くなると、開閉蓋92(図6参照)が開いて現像剤排出口91を介して一時回収受け93に一時的に回収される。
この状態において、現像器50が略1回転すると、一時回収受け93に一時的に回収されていた余剰現像剤は現像剤回収口94を介して補給容器80の回収室82に回収され、一時回収受け93は空の状態に戻る。
【0028】
◎実施の形態2
図18は実施の形態2で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1と異なっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位の撹拌搬送部材54に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けるほか、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71の撹拌搬送部材72に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けたものである。
ここで、現像剤補給機構70に設けられた案内凸部101及び抑制凸部103は撹拌搬送部材72のピッチや径を考慮し、実施の形態1と略同様に、図19に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に設けるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様な作用を奏するほか、現像器50の回転に伴って、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71での現像剤の逆流現象を抑えることが可能である。
尚、本実施の形態において、現像器50の回転に伴って現像剤補給機構70での現像剤の逆流現象を主として抑えたいという要望については、現像剤補給機構70に対応した部位だけに現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。
【0029】
◎実施の形態3
図20は実施の形態3で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1,2と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1,2と異なっている。尚、実施の形態1,2と同様な構成要素については実施の形態1,2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、実施の形態2と略同様に、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位の撹拌搬送部材54に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けると共に、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71の撹拌搬送部材72に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けることに加え、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位の撹拌搬送部材53に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けたものである。
ここで、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位に設けられた案内凸部101及び抑制凸部103は、撹拌搬送部材53のピッチや径を考慮し、実施の形態2と略同様に、図21に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に設けるようにすればよい。本例では、上蓋51bは現像剤保持体52をも覆うように水平方向に対して斜め上方に向かって傾斜した形状を有しており、この傾斜した部位に現像剤案内機構100を設けるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様な作用を奏するほか、現像器50の回転に伴って、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位での現像剤の逆流現象を抑えることが可能である。このため、現像剤保持体52に面した部位に位置する現像剤に偏りが生ずることはなくなり、現像剤保持体52に供給される現像剤の現像剤保持体52の軸方向における分布を略均一に保つことが可能である。
尚、本実施の形態において、現像器50の回転に伴って、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位での現像剤の逆流現象を主として抑えたいという要望については、前記現像剤保持体52に面した部位に対応して現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。更に、現像剤補給機構70に対応した部位での現像剤の逆流現象を抑えたいという要望に対しては、これに対応した部位に現像剤案内機構100を付加するようにしてもよい。
【0030】
◎実施の形態4
図22(a)は実施の形態4で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1と異なっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、現像容器51の上蓋51bの内壁に対向する撹拌搬送部材54の回転軸方向に沿って複数の案内突片105を所定の間隔(撹拌搬送部材54の羽根部材62のピッチに対応)毎に垂れ下げたものである。この案内突片105は略L字状に折り曲げた可撓性フィルム材からなり、上蓋51bの内壁に上側の折り曲げ片106を固定し、下側に突出片107を垂れ下がるようにしたものである。そして、この突出片107は、図22(b)(c)に示すように、例えば撹拌搬送部材54の羽根部材62に対応した切欠108を有し、この羽根部材62の傾斜方向と逆方向に傾斜して撹拌搬送部材54の羽根部材62に弾性的に接触して配置されている。尚、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向上流側端部に対応した部位には、案内突片105とは異なる方向又は撹拌搬送部材54の回転軸60の径方向に沿って延びる抑制突片(図示せず)を設けるようにしてもよい。
本態様によれば、現像器50が回転すると、これに伴って、現像器50内の現像剤が撹拌搬送部材54に沿って逆流しようとするが、現像剤案内機構100の案内突片105が逆流しようとする現像剤を押し戻すように働く。尚、抑制突片を用いるようにすれば、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向上流側端部での現像剤の詰まりは有効に抑えられる。
尚、本実施の形態では、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に現像剤案内機構100を設けているが、実施の形態2,3に示すように、他の部位に現像剤案内機構100を設けるようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
◎実施の形態5
本実施の形態は、制御装置による現像剤偏りに伴う画質不良検査処理を付加したものである。
本実施の形態において、回転式現像装置40の基本的構成は、例えば実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、制御装置による現像剤偏りに伴う画質不良検査処理(図23参照)を付加したものである。
制御装置110は、図23に示すように、作像ジョブが終了したか否かを判断し、作像ジョブが終了した後であれば、作像ジョブが単色黒モード(BWモード)であるか否かをチェックし、単色黒モードであれば回転数カウンタの計数値が規定値m以上か否かをチェックする。
ここで、回転数カウンタは、回転式現像装置40の回転数を計数するためのものであり、また、規定値mは低使用現像器50が回転保持体41の回転動作に伴って複数回回転した後、使用に供された際に現像剤偏りに伴って画質不良が生ずる状況を想定して設定したものである。
回転数カウンタの計数値が規定値m以上である場合には、例えば現像駆動量が0の低使用現像器50の有無をチェックする。本例では、フルカラーモードが指定されない限り、イエロ、マゼンタ、シアンの現像器が低使用現像器50であることが理解されるため、単色黒モードが所定回数継続した場合に低使用現像器50が存在すると判断する。
そして、低使用現像器50があれば駆動モータ112及び駆動モータ114を制御することで当該低使用現像器50を現像位置P1に移動させた状態で所定時間空駆動させ、空駆動が終了した時点で現像器50の現像駆動量をゼロクリアし、しかる後、回転数カウンタをゼロクリアする。
一方、作像ジョブがフルカラーモードである場合には低使用現像器50を現像に供することになるため、この現像に供した段階で低使用現像器50に対する空駆動制御は不要になり、この段階で回転数カウンタをゼロクリアする。
本態様によれば、図示外の現像剤案内機構を備えているので、実施の形態1と略同様に、現像器50の回転に伴う現像器50内の現像剤の逆流現象は抑えられるが、撹拌搬送部材54による現像剤の逆流する量が現像剤案内機構による現像剤の戻し量よりも多いような状況では、特定単色ジョブ(単色黒ジョブ)が連続的に実施されると、図24(a)に示すように、低使用現像器50の循環搬送経路58内の現像剤が偏るが、これに対して所定の空駆動制御を施すようにしたため、図24(b)に示すように、循環搬送経路58内の現像剤の偏りは均される。
尚、本実施の形態では、回転式現像装置40が実施の形態1に示す態様であるが、これに限られるものではなく、例えば実施の形態2〜4に示す回転式現像装置40に対し本実施の形態を組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1…像保持体,2…回転式現像装置,3(3a〜3d)…現像器,4…回転保持体,5…現像容器,5a…上蓋,6…現像剤保持体,7…搬送経路,7a…循環搬送経路,7b…分岐搬送経路,8(8a〜8c)…撹拌搬送部材,10…凸部,11…現像剤補給口,12…現像剤排出口,15…回転軸,16…羽根部材,20…現像制御手段,G…現像剤,P0…初期待機位置,P1…現像位置,P2〜P4…待機位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置である。
【背景技術】
【0002】
従来における画像形成装置で用いられる回転式現像装置としては、例えば特許文献1〜3記載のものが既に知られている。
特許文献1には、トナー容器と現像器間を結ぶ搬送路内のトナーが現像ロータリの回転によって逆戻りしてしまうことを防止するために、次回の画像形成時にトナー補給を行う場合、前回の画像形成時における現像ロータリの回転パターンに応じてトナーの補給量を補正する技術が開示されている。
特許文献2には、揺動しても現像剤担持体上のトナーの層が途切れない現像器を提供するために、ハウジング内に現像剤担持体を有する現像器において、ハウジング内の容積を変更する容積調節手段を設け、現像器の揺動に応じてハウジング内の容積を変更し、現像剤の粉体面を一定に保つ技術が開示されている。
特許文献3には、回転保持体の回転量を計測する回転量計測手段と、各現像器の現像動作に伴う駆動量を計測する現像駆動量計測手段と、回転量計測手段にて計測された回転保持体の回転量に応じた所定期間で現像駆動量計測手段にて計測される駆動量が所定以下である低使用現像器に対して所定時間空駆動させる空駆動制御手段とを備えた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−271955号公報(発明の実施の形態,図8)
【特許文献2】特開2010−60778号公報(発明を実施するための最良の形態,図2)
【特許文献3】特開2008−233718号(発明を実施するための最良の形態,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制する回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、像保持体上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器と、予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器が回転方向に沿って配列されるように各現像器を搭載する回転保持体と、前記像保持体に対向する現像位置及び現像位置以外の待機位置を各現像器の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器を前記現像位置に順次回転移動させ、現像器が当該現像位置に停止した状態で当該現像器が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置に最後に位置した現像器を予め決められた初期待機位置に戻すように、前記回転保持体及び前記各現像器を制御する現像制御手段とを備え、前記各現像器は、像保持体に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が収容される現像容器と、この現像容器の現像開口に面して配設され且つ現像剤を保持して回転搬送する現像剤保持体と、前記現像容器内に設けられ、前記現像剤保持体に面した部位及び前記現像剤保持体に面していない部位の間で現像剤が循環するように当該現像剤を搬送する搬送経路と、この搬送経路のうち前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って延びる回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が設けられ且つ回転することで前記搬送経路に沿って現像剤を撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材と、この複数の撹拌搬送部材の少なくとも一部に対向する現像容器の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材の羽根部材の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部と、を備えたことを特徴とする回転式現像装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る回転式現像装置において、前記凸部は、当該凸部を有する現像器が前記現像位置に位置するとき、搬送経路内の現像剤とは非接触であることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る回転式現像装置において、前記凸部は、撹拌搬送部材の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、現像容器を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものであることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面していない部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、対向する撹拌搬送部材の羽根部材の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材の回転軸方向に沿う寸法が長く設定されていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれかに係る回転式現像装置において、前記搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材に対向した現像容器の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材の回転軸の径方向に沿う又は前記凸部の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部を有することを特徴とする回転式現像装置である。
【0007】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8いずれかに係る回転式現像装置において、前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口を有する回転式現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項1ないし9いずれかに係る回転式現像装置において、前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口と、前記現像容器の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口と、を有することを特徴とする回転式現像装置である。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記現像剤排出口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向し、少なくとも前記現像剤排出口に隣接した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項12に係る発明は、請求項9ないし11いずれかに係る回転式現像装置において、前記凸部は、前記現像剤補給口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向して設けられていることを特徴とする回転式現像装置である。
請求項13に係る発明は、予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体と、この像保持体に対向して設けられ且つ当該像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する請求項1ないし12いずれかに係る回転式現像装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
請求項14に係る発明は、請求項13に係る画像形成装置において、前記現像制御手段は、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項2に係る発明によれば、現像動作時における現像剤の搬送挙動に影響を与えることなく、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項3に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを広範囲に亘って抑制することができる。
請求項4に係る発明によれば、搬送経路での現像剤の搬送空間を十分に確保でき、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内の現像剤保持体に面していない部位での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内の現像剤保持体に面した部位での現像剤の乱れを抑制することができ、現像剤保持体に供給する現像剤の分布を略均等に保つことができる。
請求項7に係る発明によれば、回転保持体の回転時における凸部による現像剤の戻し量を多く確保することができ、本構成を有さない態様に比べて、回転保持体の回転に起因する現像剤の乱れをより良好に抑制することができる。
請求項8に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像剤の挙動として、搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向上流側端部での現像剤の偏りを抑制することができる。
請求項9に係る発明によれば、現像器が現像剤を補給する態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項10に係る発明によれば、現像器が現像剤を補給・排出する態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項11に係る発明によれば、現像器が現像剤排出口に通じる搬送経路を備えた態様であっても、回転保持体の回転に起因する現像剤排出口からの現像剤の過剰な排出現象を抑制することができる。
請求項12に係る発明によれば、現像器が現像剤補給口に通じる搬送経路を備えた態様であっても、回転保持体の回転に起因する前記現像剤補給口に通じる搬送経路での現像剤の乱れを抑制することができる。
請求項13に係る発明によれば、回転保持体の回転に起因する現像器内での現像剤の乱れを抑制することが可能な回転式現像装置を含む画像形成装置を容易に構築することができる。
請求項14に係る発明によれば、単色による作像処理が連続して行われたとき、仮に、回転保持体の複数回転に起因して低使用現像器内で現像剤の乱れが生じたとしても、この現像剤の乱れを有効に修復することが可能な画像形成装置を容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は本発明が適用された回転式現像装置及びこれを用いた画像形成装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)の回転式現像装置に搭載される現像器の構成例を示す説明図、(c)は(b)中でC方向から見た矢視図である。
【図2】(a)は図1(b)の現像器を平面的に示す模式図、(b)は凸部を有していない比較の態様に係る回転式現像装置で生ずる低使用現像器を複数回転させたときの現像剤の偏り動作を示す説明図である。
【図3】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成の要部を示す説明図である。
【図4】図3に示す現像器の詳細を示す説明図である。
【図5】図4中V−V線断面説明図である。
【図6】(a)は実施の形態1の現像剤排出口付近の詳細を示す説明図、(b)はその要部斜視図である。
【図7】図3に示す回転式現像装置に搭載される現像器の全体構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す現像器から現像剤補給容器を取り外した状態を示す説明図である。
【図9】本実施の形態で用いられる現像剤補給容器を示す説明図である。
【図10】本実施の形態で用いられる現像器のうち現像剤補給容器との連結部を示す説明図である。
【図11】実施の形態1で用いられる現像器を一部破断し、かつ、上蓋を一部仮想線で示した斜視図である。
【図12】(a)は図11に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図、(b)は(a)中B−B線断面説明図である。
【図13】(a)は図11に示す現像器の平面説明図で、上蓋を一部仮想線で示した説明図、(b)は撹拌搬送部材と案内凸部との関係を模式的に示す説明図である。
【図14】実施の形態1で用いられる制御系(駆動制御系、濃度制御系)を示す説明図である。
【図15】実施の形態1に係る回転式現像装置の回転保持体を1回転させたときの現像器内の現像剤の挙動を示す説明図である。
【図16】図15に示す現像器内の現像剤の挙動を撹拌搬送部材との関係で示す説明図である。
【図17】図15に示す現像器内の現像剤の挙動につき、撹拌搬送部材と案内凸部との関係で模式的に示す説明図である。
【図18】実施の形態2に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す一部破断説明図である。
【図19】図18に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図である。
【図20】実施の形態3に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す一部破断した説明図である。
【図21】図20に示す現像容器の上蓋を内側から見た説明図である。
【図22】(a)は実施の形態4に係る回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図、(b)は撹拌搬送部材と案内突片との関係を示す説明図、(c)は本実施の形態で用いられる案内突片の構成例を示す説明図である。
【図23】実施の形態5に係る回転式現像装置で採用される制御処理の一例である現像剤偏りに伴う画質不良検査処理を示す説明図である。
【図24】(a)は低使用現像器の空駆動前の現像剤の偏り状態を示す説明図、(b)は低使用現像器の空駆動後の現像剤の均一状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用される画像形成装置の実施の形態の概要について説明する。
図1(a)は画像形成装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、画像形成装置は、予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体1と、この像保持体1に対向して設けられ且つ当該像保持体1に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する回転式現像装置2と、を備えたものである。
この回転式現像装置2は、像保持体1上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器3(3a〜3d)と、予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器3が回転方向に沿って配列されるように各現像器3を搭載する回転保持体4と、前記像保持体1に対向する現像位置P1及び現像位置P1以外の待機位置P2〜P4を各現像器3の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器3を前記現像位置P1に順次回転移動させ、現像器3が当該現像位置P1に停止した状態で当該現像器3が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置P1に最後に位置した現像器3を予め決められた初期待機位置P0に戻すように、前記回転保持体4及び前記各現像器3を制御する現像制御手段20とを備えている。
この種の回転式現像装置2は、作像ジョブが行われない場合には全ての現像器3が現像位置P1に対向しないような初期待機位置P0に現像器3を初期待機させるようになっており、像保持体1への不必要なトナー及びキャリアの流出や現像剤の溜まりなどを防止し、各現像器3の現像性能を良好に保つように配慮されていることが多い。
【0011】
本実施の形態において、回転式現像装置2の各現像器3(3a〜3d)は、図1(b)(c)及び図2(a)に示すように、像保持体1に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤Gが収容される現像容器5と、この現像容器5の現像開口に面して配設され且つ現像剤Gを保持して回転搬送する現像剤保持体6と、前記現像容器5内に設けられ、前記現像剤保持体6に面した部位及び前記現像剤保持体6に面していない部位の間で現像剤Gが循環するように当該現像剤Gを搬送する搬送経路7(例えば7a,7b)と、この搬送経路7のうち前記現像剤保持体6の回転軸方向に沿って延びる回転軸15の周囲に螺旋状の羽根部材16が設けられ且つ回転することで前記搬送経路7に沿って現像剤Gを撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材8(例えば8a,8b)と、この複数の撹拌搬送部材8の少なくとも一部に対向する現像容器5の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部10と、を備えたものである。尚、このような現像器3にあっては、後述するように現像剤補給機構や現像剤排出機構を付加するようにしてもよい。
【0012】
ここで、上述した凸部10を有していない比較の態様に係る回転式現像装置2においては、図2(b)に示すように、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合を想定すると、一回の特定単色ジョブが終わる毎に、現像器3(例えば現像器3a)は現像位置P1から初期待機位置P0に略1回転して移動し、次の特定単色ジョブが指定されると、再び初期待機位置P0から現像位置P1へと移動し、特定単色ジョブを行う。
このとき、現像に供される現像器3aは、作像ジョブ終了後に回転保持体4の回転動作に伴って、現像位置P1→待機位置P2→待機位置P3→待機位置P4→初期待機位置P0→現像位置P1へと移動していく。再び現像位置P1に戻るまでの1回転の間、現像器3a内の撹拌搬送部材8(8a,8b)は駆動停止状態にあるが、回転保持体4の回転動作に伴って撹拌搬送部材8(例えば8b)に対応する部位にある現像剤Gが撹拌搬送部材8の搬送方向に沿って移動する。しかし、現像に供される現像器3aは、次の作像ジョブによる現像動作に伴う撹拌搬送部材8(例えば8b)の駆動により移動した現像剤Gは直ちに均される。
ところが、長い間現像に供されない使用回数の低い低使用現像器3(例えば3b〜3d)にあっては、図2(b)に示すように、回転保持体4の回転が複数回繰り返されると、低使用現像器3(例えば3b〜3d)内の撹拌搬送部材8(8a,8b)は駆動停止状態にあり、回転保持体4の複数回転動作に伴って撹拌搬送部材8(例えば8b)に対応する部位にある現像剤Gが撹拌搬送部材8の搬送方向に沿って順次移動する(図2(b)矢印A、参照)。このように、低使用現像器3(例えば3b〜3d)では、回転保持体4の回転数が増加するにつれて現像剤Gの移動量も嵩み、現像剤Gの偏りが大きくなってしまい、現像剤分布に疎密が生じてしまう。この現像剤Gの偏りがある限界を超えた状態で、当該低使用現像器3(例えば3b〜3d)が現像に供されると、層厚規制部材にて現像剤Gの層厚を規制したとしても、その層厚差を解消することができず、濃度むらなどの画質不良が生じ易い。
尚、図2(b)では、撹拌搬送部材8bを例に挙げて現像剤Gの戻り現象を説明したが、これに限られるものではなく、程度に差はあるものの、他の撹拌搬送部材8aについても同様な現像剤Gの戻り現象は生じ得る。
更に、上述した現像剤Gの偏り現象は、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合以外であっても起こり得る。例えば特定の現像器に対して、現像剤Gの排出動作を行う場合や、各種動作情報を通信可能な記録媒体に書き込む動作を行う場合や、作像位置や作像濃度を制御するような作像プロセス制御を行う場合には、特定の現像器を現像位置に移動させることに伴って、他の現像器も強制的に回転することになるため、低使用現像器内の現像剤Gの偏りが加速されることになる。
本実施の形態では、このような現像剤Gの戻り現象を抑制するために、現像器3の構成要件として凸部10を付加するようにしたものである。
【0013】
このような技術的手段において、回転保持体4は予め決められた方向に回転するものであればよく、回転保持体4に搭載される現像器3の配列方向は適宜選定して差し支えない。
また、現像制御手段20としては、少なくとも作像指示に従って単色又は複合色による現像動作を実施し、作像処理が終了したときに回転保持体4を回転させ、各現像器3を初期待機位置P0に戻すようにすればよい。
このとき、各現像器3の初期待機位置P0については適宜選定して差し支えないが、現像器3の現像位置P1への移動時間を短縮するという観点からすれば、現像位置P1に最も近い部位に使用回数の高い高使用現像器3(例えば3a)を配置することが好ましい。
更に、搬送経路7としては、少なくとも現像剤が循環する循環搬送経路7aを備えていればよく、この循環搬送経路7aから分岐する分岐搬送経路7b、例えば補給現像剤を搬送するための現像剤補給経路などを備えていてもよいことは勿論である。
また、回転保持体4を1回転させるときに、撹拌搬送部材8の羽根部材16に沿って現像剤が逆流方向に移動する懸念があるが、凸部10はその傾斜によって羽根部材16に沿って移動した現像剤を元の位置方向に戻そうとする働きをする。このとき、現像剤を元の位置に戻す量は凸部10の傾斜方向に沿った長さ、深さによって決まるため、羽根部材16の1ピッチ分により移動する現像剤量を元に戻せるように選定することが好ましい。
そしてまた、凸部10は、現像容器5の内壁を構成する部材(例えば上蓋5a)に一体的に形成してもよいし、凸部10を有する別部材を設けるようにしてもよい。ここで、凸部10は現像容器5の内壁に凸状に設けられていればよく、内壁表面から突出する態様は勿論であるが、内壁に凹部を形成して相対的に凸部を確保するように内壁表面から突出していない態様も含む。また、現像器3が現像位置P1に位置するとき、当該現像器3の凸部10は現像剤と非接触であってもよいし、接触していてもよい。
更に、凸部10は全ての撹拌搬送部材8(8a〜8c)に対向して設ける必要はなく、回転保持体4の回転に伴って搬送経路7内の現像剤が乱れる可能性の高い部位に対して主に設けるようにすればよい。また、凸部10は少なくとも一つ備えていればよく、必要に応じて複数備えるようにすればよい。
【0014】
次に、本実施の形態に係る回転式現像装置2の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、凸部10の好ましい態様としては、当該凸部10を有する現像器3が前記現像位置P1に位置するとき、搬送経路7内の現像剤とは非接触である態様が挙げられる。本態様では、現像器3が現像位置P1に位置するとき、凸部10が搬送経路7内の現像剤と非接触であることから、現像動作時に現像剤を撹拌搬送するに当たり、凸部10が現像剤の搬送に当たって抵抗にならない点で好ましい。
また、凸部10の別の好ましい態様としては、撹拌搬送部材8の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられている態様が挙げられる。複数の凸部10の夫々が現像剤を夫々戻すため、複数の凸部10を設けるようにすれば、現像剤を戻す作用領域を広げることが可能である。
更に、凸部10の代表的態様としては、現像容器5を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものが挙げられる。本態様では、凸部10が現像容器5の内壁表面から突出しないため、搬送経路7内にて凸部10と接触しない状態で現像剤を搬送する断面空間を広く確保することが可能である。
更にまた、凸部10の代表的配置例としては、搬送経路7のうち前記現像剤保持体6に面していない部位に設けられる態様が挙げられる。搬送経路7のうち現像剤保持体6に面した部位では、現像剤保持体6により現像剤が通常磁力などで保持されているため、回転保持体4が回転しても、現像剤の偏りは少ない。これに対し、搬送経路7のうち現像剤保持体6に面していない部位ではこのような現像剤保持力が働かないので、回転保持体4の回転に伴って現像剤が偏り易いが、本態様ではこれを抑制することが可能である。
【0015】
また、凸部10の他の代表的配置例としては、図1(b)に二点鎖線で示すように、搬送経路7のうち現像剤保持体6に面した部位7aに設けられる態様が挙げられる。搬送経路7のうち現像剤保持体6の面した部位7aでは、回転保持体4の回転に伴って現像剤が撹拌搬送部材8(8a)の羽根部材16に沿って逆流すると、現像剤保持体6の回転軸15方向に沿って現像剤の分布が偏る懸念があるが、本態様では、凸部10がこのような現像剤の偏りを抑制する。
更に、凸部10の好ましい態様としては、対向する撹拌搬送部材8の羽根部材16の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材8の回転軸15方向に沿う寸法が長く設定されている態様が挙げられる。凸部10の構成については、必要な現像剤の戻し量を得るように長さ、深さなどのパラメータを選定する必要があるが、本態様は、凸部10の長さや深さを充分に確保し難い条件で現像剤の戻し量を多く確保する上で有効である。
更にまた、凸部10を付加した態様のより好ましい態様としては、搬送経路7のうち撹拌搬送部材8による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材8に対向した現像容器5の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材8の回転軸15の径方向に沿う又は前記凸部10の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部(図示せず)を有する態様が挙げられる。本態様では、他の凸部は前述した凸部10のような現像剤の戻し作用を実施しないため、回転保持体4が回転したとしても、搬送経路7のうち撹拌搬送部材8による現像剤の搬送方向の上流側端部に対して現像剤を押し戻すことはない。
【0016】
−現像剤補給機構,現像剤排出機構−
本実施の形態において、回転式現像装置2に搭載される現像器3としては現像剤補給機構や現像剤排出機構を備えた態様がある。
現像剤補給機構としては、図2(a)に示すように、現像容器5の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口11を有するものが挙げられる。この種の現像剤補給機構としては、通常回転式現像装置2に組み込まれるが、外部に設けた態様も含むものであり、少なくとも現像剤補給口11を有していればよい。
ここで、現像剤補給機構のみが付加される態様では、補給される現像剤としてはトナーを補給するようにすればよい。
更に、この種の現像剤補給機構に更に現像剤排出機構を付加した態様にあっては、現像器3は、現像容器5の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口11と、現像容器5の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口12と、を有する態様が挙げられる。本態様では、現像器3は、現像剤を補給し、かつ、余剰現像剤を排出することから、現像器3内に収容される現像剤を新しい状態に保つことが可能である。
また、現像剤排出機構を付加した態様の好ましい態様としては、凸部10は、現像剤排出口12に通じる搬送経路7(循環搬送経路7a)に配設された撹拌搬送部材8(例えば8b)に対向し、少なくとも現像剤排出口12に隣接した部位に設けられている態様が挙げられる。本態様では、凸部10は回転保持体4の回転に伴って現像剤排出口12に向かう余剰現像剤の動きを抑制する。
更に、現像剤補給機構を付加した態様の好ましい態様としては、例えば図2(b)凸部10は、現像剤補給口11に通じる搬送経路7(本例では分岐搬送経路7b)に配設された撹拌搬送部材8(例えば8c)に対向して設けられる態様が挙げられる。本態様では、凸部10は回転保持体4の回転に伴って現像剤補給口11に通じる搬送経路7(本例では分岐搬送経路7b)での現像剤の逆流現象を抑制し、分岐搬送経路7bの途中にて現像剤に偏りを生じ難くする。
【0017】
このように、本実施の形態では、現像器3は、現像容器5内に凸部10を付加した構成を備えているが、例えば凸部10による現像剤の戻し量が充分に確保できないような状況では、使用回数が極めて少ない低使用現像器3は、徐々にではあるが、回転保持体4の複数回転に伴って現像剤の偏り現象が生ずる懸念がある。
このような状況にあっては、現像制御手段20として、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器3に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有する態様が好ましい。
このように、現像制御手段20に空駆動制御部を付加することで、仮に、回転保持体4の複数回転に起因して低使用現像器3内で現像剤の乱れが生じたとしても、低使用現像器3を空駆動することで、低使用現像器3内の現像剤をならすことが可能である。
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
−画像形成装置の全体構成−
図3は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1を示す。
同図において、画像形成装置は、例えば感光体などの像保持体30と、この像保持体30に形成された静電潜像を単色又はフルカラーにて可視像化可能な回転式現像装置40とを備えたものである。
ここで、像保持体30への作像形成方式としては例えば電子写真方式が採用され、図示外の帯電器にて像保持体30を帯電した後、露光装置にて静電潜像を書き込むようにしたものである。尚、像保持体30としては静電潜像を保持して回転式現像装置40にて可視像化するものであればよく、誘電体などを用い、この誘電体に帯電器やイオンなどの書込装置にて静電潜像を書き込むようにしてもよい。
また、回転式現像装置40は、回転可能な回転保持体41を有し、この回転保持体41に複数の現像器50(具体的には50a〜50d)を搭載している。この各現像器50は例えばブラック(K)、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の四色の二成分現像剤を使用するものである。
特に、本実施の形態では、回転式現像装置40は、各現像器50の設定位置として、像保持体30に対向する部位を現像位置P1とし、回転保持体41の回転方向に向かって約90度毎に待機位置P2〜P4として設定すると共に、いずれの現像器50も現像位置P1に対向しない初期待機位置P0を設定したものである。
【0019】
−現像器の全体構成−
本実施の形態において、各現像器50は、図4ないし図6に示すように、図3に示す現像位置P1に対向して開口し且つ各色成分トナー及びキャリアを含む二成分現像剤が収容される現像容器51を有し、この現像容器51の開口に面した部位にロール状の現像剤保持体52を回転可能に配設すると共に、現像容器51の現像剤保持体52の背面側には現像剤保持体52の回転軸方向に沿って一対の撹拌搬送部材53,54を回転可能に配設し、この撹拌搬送部材53,54間に位置する現像容器51に仕切り板55を設けると共に、この仕切り板55の両端付近に現像剤の通過口56,57を開設し、撹拌搬送部材53,54で搬送する現像剤が前記通過口56,57を介して循環する循環搬送経路58を確保するようにしたものである。
ここで、現像容器51は、例えばABS樹脂等の合成樹脂にて形成されており、現像剤の収容空間を確保し且つ像保持体30に対向する側方及び上方が開口した略箱状の容器本体51aと、この容器本体51aの上方開口を塞ぐ上蓋51bとを備えている。
また、現像剤保持体52は回転可能な非磁性筒体52aの内部に適宜数の磁極が配列された磁極部材52bを固定的に設けたものであり、この現像剤保持体52には現像域へ搬送する現像剤の層厚を規制する層厚規制部材59が通常設けられている。
更に、一対の撹拌搬送部材53,54は例えば回転軸60の周囲に螺旋状の羽根部材61,62を設けたものが用いられており、撹拌搬送部材53,54の螺旋状の羽根部材61,62は同一方向に回転した場合に現像剤の搬送方向が逆方向になるように形成されている。
尚、撹拌搬送部材53,54の両端部には通過口56,57を介して現像剤を循環搬送可能にするための逆方向螺旋状羽根63,64が設けられている。
【0020】
−現像剤補給機構−
更に、本実施の形態では、現像器50は現像剤補給機構70を備えている。本実施の形態では、後述する現像剤排出機構を付加する態様であるため、補給現像剤としてはキャリアが含まれるトナーが用いられている。
この現像剤補給機構70は、現像容器51の循環搬送経路58の長手方向に沿って現像剤保持体52から離れた側に前記循環搬送経路58から分岐した分岐搬送経路71を設け、この分岐搬送経路71に沿って撹拌搬送部材72を回転可能に配設すると共に、撹拌搬送部材72による現像剤の搬送方向下流側には分岐搬送経路71と循環搬送経路58との間の分岐口73を設けるようにしたものである。
この撹拌搬送部材72は循環搬送経路58内の撹拌搬送部材53,54と同様に回転軸75の周囲に螺旋状の羽根部材76を設けたものであり、この螺旋状の羽根部材76は駆動停止状態で回転保持体41が回転すると分岐搬送経路71内にて分岐口73から離間する方向に現像剤が移動可能であるように形成されている。
更にまた、分岐搬送経路71の現像剤搬送方向上流側には現像剤補給口74が設けられており、この現像剤補給口74には補給容器80が接続されている。
この補給容器80は、図7ないし図10に示すように、現像容器51の上蓋51b上に形成された受部65に着脱可能に装着されている。
本例では、補給容器80は、補給用現像剤が収容される収容室81と現像容器51の余剰現像剤が回収される回収室82とに内部が分かれており、収容室81の内部には螺旋バネ状の搬送部材(図示せず)を設けると共に、収容室81の一部に前記現像剤補給口74に対向して補給口83を開設する一方、回収室82の一部には回収口84を開設し、これらの補給口83、回収口84をシャッタ85にて開閉するようになっている。
【0021】
−現像剤排出機構−
また、本実施の形態では、現像器50は余剰現像剤が排出可能な現像剤排出機構90を備えている。
この現像剤排出機構90は、図5、図6(a)(b)及び図10に示すように、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52から離れた側の撹拌搬送部材54が収容される部分で且つ通過口56に対向した現像容器51の側壁に設けられている。
この現像剤排出機構90は現像容器51の側壁の適宜位置に開口した現像剤排出口91を有し、この現像剤排出口91には開閉蓋92が回転可能に設けられている。この開閉蓋92は循環搬送経路58内の現像剤が増加し、その現像剤の増加量が所定量を超えた場合に現像剤排出動作を補助すると共に、回転保持体41回転時に現像器50の姿勢が変わった際に現像剤の過剰な排出を防止するように閉じた状態になるものである。尚、符号93は現像容器51の一部に設けられて現像剤排出口91から排出された余剰現像剤を一時的に回収する一時回収受け、94は一時回収受け93に通じる現像剤回収口(図10参照)である。
本例では、現像容器51の受部65には現像剤補給口74及び現像剤排出口91が開設されており、これらは補給容器80側のシャッタ85と係わり合って開閉する現像容器51側のシャッタ95を有しており、現像容器51の受部65に補給容器80が装着されたときには、両シャッタ85,95が係わり合って開き、補給容器80の補給口83、回収口84が現像容器51の現像剤補給口74,現像剤回収口94にそれぞれ接続されるようになっている。
【0022】
−現像剤案内機構−
更に、本実施の形態では、現像器50は、回転保持体41の回転に伴って現像容器51内の現像剤の挙動を案内する現像剤案内機構100を備えている。
<案内凸部>
この現像剤案内機構100は、図11ないし図13に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に案内凸部101を形成したものである。
本例では、案内凸部101は、現像容器51の上蓋51bの内壁のうち、循環搬送経路58の現像剤保持体52に面していない部位に配設された撹拌搬送部材54に対向して凸状に設けられ、この撹拌搬送部材54の羽根部材62の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びるものである。
ここで、案内凸部101は、図12(a)(b)及び図13(a)(b)に示すように、上蓋51bの内壁に例えば切削加工により凹部102を形成し、当該凹部102で囲まれる部位を凹部102の底に対して寸法hだけ相対的に突出させたものであり、上蓋51bの内壁表面からは突出していない。
そして、この案内凸部101は、現像器50が現像位置P1に位置するとき、循環搬送経路58内の現像剤とは非接触に配置され、撹拌搬送部材54の回転軸方向に対し予め決められた間隔pkを空けて複数設けられている。この間隔pkは適宜選定して差し支えないが、本例では、撹拌搬送部材54の羽根部材62のピッチpmに略相当若しくはそれよりも長くなるように選定されている。
また、案内凸部101は、これに対向する撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対し傾斜角度θkだけ傾斜して配置されている。この傾斜角度θkは、案内凸部101に対向する部位において撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対する羽根部材62の傾斜角度θmと略同じ大きさで、傾斜方向が逆向きになっているものである。
更に、この案内凸部101は撹拌搬送部材54の回転軸60方向の略全域に亘って設けられており、現像剤排出口91の付近まで及んでいる。
<抑制凸部>
特に、本実施の形態において、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位には、案内凸部101とは異なる抑制凸部103が設けられている。この抑制凸部103は、撹拌搬送部材54に対向した上蓋51bの内壁に凸状に設けられるものであるが、案内凸部101の傾斜方向とは逆方向に傾斜するように構成されている。この抑制凸部103は、撹拌搬送部材54の回転軸60方向に対して傾斜角度θnだけ傾斜するものであり、撹拌搬送部材54の羽根部材62の傾斜方向に略沿って設けられている。尚、この抑制凸部103は、必ずしも傾斜角度θnで傾斜する必要はなく、撹拌搬送部材54の回転軸60の径方向に略沿って形成するようにしてもよい。
【0023】
−制御系−
図14は本実施の形態に係る回転式現像装置に対する制御系を示す。
同図において、符号110はマイクロコンピュータ等からなる制御装置であり、回転式現像装置40の駆動制御及び濃度制御を行うものである。
回転式現像装置40の駆動制御の対象は、回転保持体41をギア等の駆動伝達機構111を介して駆動する駆動モータ112、現像位置P1にて現像器50の現像剤保持体52、撹拌搬送部材53,54をギア等の駆動伝達機構113を介して駆動する駆動モータ114、現像位置P1にて現像器50の撹拌搬送部材72にギア等の駆動伝達機構115を介して駆動する駆動モータ116であり、操作部120からの作像モード(単色黒モード(BWモード)、フルカラーモード(FCモード))等の指示信号や回転保持体41が回転したことを検知する回転検知器130からの信号を制御装置110にて受け取り、各駆動モータ112,114,116に対して所定の駆動制御信号を送出するようになっている。尚、回転検知器130としては、回転保持体41の回転動作を検知するエンコーダなどが用いられる。
また、回転式現像装置40の濃度制御は、例えば現像器50内の現像剤のトナー濃度が検知可能な濃度検知器(例えば透磁率を検知する検知器などを使用)140から現像剤内のトナー濃度を把握し、これに基づいて現像剤補給動作を制御するものである。
尚、濃度検知方式としては、現像器50内の現像剤から直接検知する方式に限られず、例えば図14に二点鎖線で示すように、像保持体30に画像濃度検知パターンを形成し、これを光学式の濃度検知器141で検知するようにしてもよい。
【0024】
−画像形成装置の作動−
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について回転式現像装置を中心に説明する。
今、特定単色ジョブ(例えば単色黒ジョブ)が連続的に行われるような場合を想定すると、一回の特定単色ジョブが終わる毎に、現像器50(例えば現像器50a)は現像位置P1から初期待機位置P0に略1回転して移動し、次の特定単色ジョブが指定されると、再び初期待機位置P0から現像位置P1へと移動し、特定単色ジョブを行う。
ここで、現像器50(例えば現像器50a)が現像位置P1から略1回転すると、現像器50の現像容器51内の現像剤Gは、図15に示すように、現像器50の回転に伴う姿勢変化によって撹拌搬送部材53,54の周りを移動するような挙動を示す。
このような現像剤Gの挙動において、例えば撹拌搬送部材54に着目すると、図16に示すように、現像器50aが現像位置P1→待機位置P2→待機位置P3→待機位置P4→初期待機位置P0→現像位置P1に至る間、現像剤Gが撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って本来の搬送方向とは逆方向に移動しようする。具体的には現像器50が1回転すると、図17に示すように、羽根部材62の1ピッチpm分に相当する現像剤量Gmが逆流しようとする。
このとき、現像剤案内機構100に着目すると、現像器50(例えば現像器50a)が現像位置P1から順次待機位置P2〜P4に回転していく間、現像容器51の案内凸部101のある部位に現像剤Gが移動していき、現像剤Gは案内凸部101の傾斜方向に沿って案内凸部101間の間隔pkに相当する現像剤量Gkだけ押し戻される。
この場合において、羽根部材62の1ピッチpm分に相当する現像剤量Gm(現像剤逆流量に相当)と、案内凸部101間の間隔pkに相当する現像剤量Gk(現像剤戻し量に相当)とを略同程度になるように選定しておけば、現像剤Gは、現像器50(例えば現像器50a)の回転に伴って撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って逆流しようとするが、現像剤案内機構100の存在により逆流方向とは異なる反対方向へと押し戻される。この結果、現像器50(例えば現像器50a)の回転に伴って、現像器50内の現像剤Gが撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って逆流するという現象は抑えられる。
【0025】
特に、本実施の形態では、現像剤案内機構100は、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に対応して設けられているため、現像器50の回転に伴って、撹拌搬送部材54に沿った部位での現像剤Gの逆流が起こり難くなる。このため、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位では、循環搬送経路58の経路面積が比較的広く、現像剤保持体52の磁力による現像剤Gの保持力などが作用しないことから、現像器50の回転に伴って現像剤Gが移動し易い領域ではあるが、現像剤Gの逆流現象が起こり難く、現像剤Gの偏りは生じ難い。
それゆえ、現像に供される使用回数の高い高使用現像器50(例えば現像器50a)であっても、長い間現像に供されない使用回数の低い低使用現像器50(例えば50b〜50d)であっても、現像器50の回転に伴う現像剤Gの逆流現象は有効に抑えられる。
また、本実施の形態では、現像剤排出口91につながる循環搬送経路58部分に現像剤案内機構100を設けたので、現像器50の回転に伴って現像剤排出口91付近で現像剤Gの逆流は起こり難くなる。このため、現像器50の回転に伴って、現像器50内の現像剤Gが逆流することにより、現像剤排出口91から余剰でない現像剤Gが排出される事態は有効に抑えられる。
更に、本実施の形態では、現像剤案内機構100は、案内凸部101の他に、抑制凸部103を有しているため、現像器50の回転に伴って、案内凸部101が現像剤Gを押し戻す働きをするが、循環搬送経路58のうち撹拌搬送部材54による現像剤Gの搬送方向上流側端部では、抑制凸部103の存在によって循環搬送経路58の端部に現像剤Gが不必要に押し付けられる事態は抑えられる。このため、現像剤案内機構100の存在により、循環搬送経路58のうち撹拌搬送部材54による現像剤Gの搬送方向上流側端部で現像剤Gが密に詰まる事態(いわゆるパッキング)は生じ難くなる。
【0026】
更にまた、本実施の形態では、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位では、現像剤保持体52の磁力による現像剤Gの保持力が作用することから、現像器50を回転したとしても、現像剤Gが撹拌搬送部材53の羽根部材61に沿って逆流し難いので、この部位に対しては、現像剤案内機構100を備えていない。
また、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71については、循環搬送経路58に比べて経路面積が狭く、補給用の現像剤Gが充填していることから、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に比べて、現像器50の回転に伴う現像剤Gの逆流の程度は少ないので、本例では、この部位に対しても現像剤案内機構100を備えていない。
尚、本実施の形態では、回転式現像装置40の全ての現像器50に現像剤案内機構100を設けているが、これに限られるものではなく、低使用現像器50に対してのみ現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。
つまり、高使用現像器50(例えば現像器50a)については、長い間現像に供されないということがないため、仮に、現像剤案内機構100を備えていない場合には、現像器50の回転に伴って例えば撹拌搬送部材54の羽根部材62に沿って現像剤Gが逆流することになるが、その現像剤Gの逆流の程度が少ないので、次の作像ジョブによる現像動作に伴う撹拌搬送部材54の駆動により逆流した現像剤Gは直ちに均される。
【0027】
また、現像剤排出機構90の作動については、図15に示すように、現像器50が現像位置P1に位置するとき、余剰現像剤が多くなると、開閉蓋92(図6参照)が開いて現像剤排出口91を介して一時回収受け93に一時的に回収される。
この状態において、現像器50が略1回転すると、一時回収受け93に一時的に回収されていた余剰現像剤は現像剤回収口94を介して補給容器80の回収室82に回収され、一時回収受け93は空の状態に戻る。
【0028】
◎実施の形態2
図18は実施の形態2で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1と異なっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位の撹拌搬送部材54に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けるほか、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71の撹拌搬送部材72に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けたものである。
ここで、現像剤補給機構70に設けられた案内凸部101及び抑制凸部103は撹拌搬送部材72のピッチや径を考慮し、実施の形態1と略同様に、図19に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に設けるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様な作用を奏するほか、現像器50の回転に伴って、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71での現像剤の逆流現象を抑えることが可能である。
尚、本実施の形態において、現像器50の回転に伴って現像剤補給機構70での現像剤の逆流現象を主として抑えたいという要望については、現像剤補給機構70に対応した部位だけに現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。
【0029】
◎実施の形態3
図20は実施の形態3で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1,2と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1,2と異なっている。尚、実施の形態1,2と同様な構成要素については実施の形態1,2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、実施の形態2と略同様に、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位の撹拌搬送部材54に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けると共に、現像剤補給機構70の分岐搬送経路71の撹拌搬送部材72に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けることに加え、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位の撹拌搬送部材53に対向して案内凸部101及び抑制凸部103を設けたものである。
ここで、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位に設けられた案内凸部101及び抑制凸部103は、撹拌搬送部材53のピッチや径を考慮し、実施の形態2と略同様に、図21に示すように、現像容器51の上蓋51bの内壁に設けるようにすればよい。本例では、上蓋51bは現像剤保持体52をも覆うように水平方向に対して斜め上方に向かって傾斜した形状を有しており、この傾斜した部位に現像剤案内機構100を設けるようにすればよい。
本実施の形態によれば、実施の形態2と同様な作用を奏するほか、現像器50の回転に伴って、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位での現像剤の逆流現象を抑えることが可能である。このため、現像剤保持体52に面した部位に位置する現像剤に偏りが生ずることはなくなり、現像剤保持体52に供給される現像剤の現像剤保持体52の軸方向における分布を略均一に保つことが可能である。
尚、本実施の形態において、現像器50の回転に伴って、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面した部位での現像剤の逆流現象を主として抑えたいという要望については、前記現像剤保持体52に面した部位に対応して現像剤案内機構100を設けるようにしてもよい。更に、現像剤補給機構70に対応した部位での現像剤の逆流現象を抑えたいという要望に対しては、これに対応した部位に現像剤案内機構100を付加するようにしてもよい。
【0030】
◎実施の形態4
図22(a)は実施の形態4で用いられる回転式現像装置に搭載される現像器の要部を示す説明図である。
同図において、現像器50は、実施の形態1と略同様な構成を備えているが、現像剤案内機構100が実施の形態1と異なっている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、現像剤案内機構100は、現像容器51の上蓋51bの内壁に対向する撹拌搬送部材54の回転軸方向に沿って複数の案内突片105を所定の間隔(撹拌搬送部材54の羽根部材62のピッチに対応)毎に垂れ下げたものである。この案内突片105は略L字状に折り曲げた可撓性フィルム材からなり、上蓋51bの内壁に上側の折り曲げ片106を固定し、下側に突出片107を垂れ下がるようにしたものである。そして、この突出片107は、図22(b)(c)に示すように、例えば撹拌搬送部材54の羽根部材62に対応した切欠108を有し、この羽根部材62の傾斜方向と逆方向に傾斜して撹拌搬送部材54の羽根部材62に弾性的に接触して配置されている。尚、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向上流側端部に対応した部位には、案内突片105とは異なる方向又は撹拌搬送部材54の回転軸60の径方向に沿って延びる抑制突片(図示せず)を設けるようにしてもよい。
本態様によれば、現像器50が回転すると、これに伴って、現像器50内の現像剤が撹拌搬送部材54に沿って逆流しようとするが、現像剤案内機構100の案内突片105が逆流しようとする現像剤を押し戻すように働く。尚、抑制突片を用いるようにすれば、撹拌搬送部材54による現像剤の搬送方向上流側端部での現像剤の詰まりは有効に抑えられる。
尚、本実施の形態では、循環搬送経路58のうち現像剤保持体52に面していない部位に現像剤案内機構100を設けているが、実施の形態2,3に示すように、他の部位に現像剤案内機構100を設けるようにしてもよいことは勿論である。
【0031】
◎実施の形態5
本実施の形態は、制御装置による現像剤偏りに伴う画質不良検査処理を付加したものである。
本実施の形態において、回転式現像装置40の基本的構成は、例えば実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、制御装置による現像剤偏りに伴う画質不良検査処理(図23参照)を付加したものである。
制御装置110は、図23に示すように、作像ジョブが終了したか否かを判断し、作像ジョブが終了した後であれば、作像ジョブが単色黒モード(BWモード)であるか否かをチェックし、単色黒モードであれば回転数カウンタの計数値が規定値m以上か否かをチェックする。
ここで、回転数カウンタは、回転式現像装置40の回転数を計数するためのものであり、また、規定値mは低使用現像器50が回転保持体41の回転動作に伴って複数回回転した後、使用に供された際に現像剤偏りに伴って画質不良が生ずる状況を想定して設定したものである。
回転数カウンタの計数値が規定値m以上である場合には、例えば現像駆動量が0の低使用現像器50の有無をチェックする。本例では、フルカラーモードが指定されない限り、イエロ、マゼンタ、シアンの現像器が低使用現像器50であることが理解されるため、単色黒モードが所定回数継続した場合に低使用現像器50が存在すると判断する。
そして、低使用現像器50があれば駆動モータ112及び駆動モータ114を制御することで当該低使用現像器50を現像位置P1に移動させた状態で所定時間空駆動させ、空駆動が終了した時点で現像器50の現像駆動量をゼロクリアし、しかる後、回転数カウンタをゼロクリアする。
一方、作像ジョブがフルカラーモードである場合には低使用現像器50を現像に供することになるため、この現像に供した段階で低使用現像器50に対する空駆動制御は不要になり、この段階で回転数カウンタをゼロクリアする。
本態様によれば、図示外の現像剤案内機構を備えているので、実施の形態1と略同様に、現像器50の回転に伴う現像器50内の現像剤の逆流現象は抑えられるが、撹拌搬送部材54による現像剤の逆流する量が現像剤案内機構による現像剤の戻し量よりも多いような状況では、特定単色ジョブ(単色黒ジョブ)が連続的に実施されると、図24(a)に示すように、低使用現像器50の循環搬送経路58内の現像剤が偏るが、これに対して所定の空駆動制御を施すようにしたため、図24(b)に示すように、循環搬送経路58内の現像剤の偏りは均される。
尚、本実施の形態では、回転式現像装置40が実施の形態1に示す態様であるが、これに限られるものではなく、例えば実施の形態2〜4に示す回転式現像装置40に対し本実施の形態を組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1…像保持体,2…回転式現像装置,3(3a〜3d)…現像器,4…回転保持体,5…現像容器,5a…上蓋,6…現像剤保持体,7…搬送経路,7a…循環搬送経路,7b…分岐搬送経路,8(8a〜8c)…撹拌搬送部材,10…凸部,11…現像剤補給口,12…現像剤排出口,15…回転軸,16…羽根部材,20…現像制御手段,G…現像剤,P0…初期待機位置,P1…現像位置,P2〜P4…待機位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器と、
予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器が回転方向に沿って配列されるように各現像器を搭載する回転保持体と、
前記像保持体に対向する現像位置及び現像位置以外の待機位置を各現像器の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器を前記現像位置に順次回転移動させ、現像器が当該現像位置に停止した状態で当該現像器が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置に最後に位置した現像器を予め決められた初期待機位置に戻すように、前記回転保持体及び前記各現像器を制御する現像制御手段とを備え、
前記各現像器は、像保持体に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が収容される現像容器と、
この現像容器の現像開口に面して配設され且つ現像剤を保持して回転搬送する現像剤保持体と、
前記現像容器内に設けられ、前記現像剤保持体に面した部位及び前記現像剤保持体に面していない部位の間で現像剤が循環するように当該現像剤を搬送する搬送経路と、
この搬送経路のうち前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って延びる回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が設けられ且つ回転することで前記搬送経路に沿って現像剤を撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材と、
この複数の撹拌搬送部材の少なくとも一部に対向する現像容器の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材の羽根部材の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部と、を備えたことを特徴とする回転式現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、当該凸部を有する現像器が前記現像位置に位置するとき、搬送経路内の現像剤とは非接触であることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、撹拌搬送部材の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、現像容器を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものであることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面していない部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、対向する撹拌搬送部材の羽根部材の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材の回転軸方向に沿う寸法が長く設定されていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材に対向した現像容器の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材の回転軸の径方向に沿う又は前記凸部の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部を有することを特徴とする回転式現像装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口を有する回転式現像装置。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口と、
前記現像容器の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口と、を有することを特徴とする回転式現像装置。
【請求項11】
請求項10記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記現像剤排出口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向し、少なくとも前記現像剤排出口に隣接した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項12】
請求項9ないし11いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記現像剤補給口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向して設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項13】
予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体と、
この像保持体に対向して設けられ且つ当該像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する請求項1ないし12いずれかに記載の回転式現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像形成装置において、
前記現像制御手段は、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
像保持体上に保持された予め決められた色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する複数の現像器と、
予め決められた方向に回転可能に設けられ且つ前記複数の現像器が回転方向に沿って配列されるように各現像器を搭載する回転保持体と、
前記像保持体に対向する現像位置及び現像位置以外の待機位置を各現像器の停止位置とし、単色又は複合色による一連の作像処理で使用される一又は複数の使用現像器を前記現像位置に順次回転移動させ、現像器が当該現像位置に停止した状態で当該現像器が現像可能に駆動する一方、単色又は複合色による作像処理で前記現像位置に最後に位置した現像器を予め決められた初期待機位置に戻すように、前記回転保持体及び前記各現像器を制御する現像制御手段とを備え、
前記各現像器は、像保持体に対向して現像開口を有し、トナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が収容される現像容器と、
この現像容器の現像開口に面して配設され且つ現像剤を保持して回転搬送する現像剤保持体と、
前記現像容器内に設けられ、前記現像剤保持体に面した部位及び前記現像剤保持体に面していない部位の間で現像剤が循環するように当該現像剤を搬送する搬送経路と、
この搬送経路のうち前記現像剤保持体の回転軸方向に沿って延びる回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材が設けられ且つ回転することで前記搬送経路に沿って現像剤を撹拌して搬送する複数の撹拌搬送部材と、
この複数の撹拌搬送部材の少なくとも一部に対向する現像容器の内壁に凸状に設けられ且つ対向する撹拌搬送部材の羽根部材の傾斜方向とは逆方向に傾斜して延びる凸部と、を備えたことを特徴とする回転式現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、当該凸部を有する現像器が前記現像位置に位置するとき、搬送経路内の現像剤とは非接触であることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、撹拌搬送部材の回転軸方向に対し間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、現像容器を構成する部材の内壁に凹部を形成し、当該凹部で囲まれる部位を凹部の底に対して相対的に突出させたものであることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面していない部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記搬送経路のうち前記現像剤保持体に面した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、対向する撹拌搬送部材の羽根部材の1ピッチに比べて当該撹拌搬送部材の回転軸方向に沿う寸法が長く設定されていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記搬送経路のうち撹拌搬送部材による現像剤の搬送方向の上流側端部に対応した部位で且つ当該撹拌搬送部材に対向した現像容器の内壁に凸状に設けられ、当該撹拌搬送部材の回転軸の径方向に沿う又は前記凸部の傾斜方向とは逆方向に傾斜する他の凸部を有することを特徴とする回転式現像装置。
【請求項9】
請求項1ないし8いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられて少なくともトナーが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口を有する回転式現像装置。
【請求項10】
請求項1ないし9いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記現像器は、前記現像容器の一部に設けられてトナー及びキャリアが含まれる新規な現像剤が補給可能な現像剤補給口と、
前記現像容器の一部に設けられて余剰現像剤が排出可能な現像剤排出口と、を有することを特徴とする回転式現像装置。
【請求項11】
請求項10記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記現像剤排出口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向し、少なくとも前記現像剤排出口に隣接した部位に設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項12】
請求項9ないし11いずれかに記載の回転式現像装置において、
前記凸部は、前記現像剤補給口に通じる搬送経路に配設された撹拌搬送部材に対向して設けられていることを特徴とする回転式現像装置。
【請求項13】
予め決められた複数の色成分の静電潜像を選択的に保持する像保持体と、
この像保持体に対向して設けられ且つ当該像保持体に保持された各色成分の静電潜像を対応する色の現像剤で現像する請求項1ないし12いずれかに記載の回転式現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像形成装置において、
前記現像制御手段は、単色による作像処理が予め決められた閾値以上連続して実施されたときに、予め決められた使用回数以下の低使用現像器に対して予め決められた時間空駆動させる空駆動制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−168395(P2012−168395A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29932(P2011−29932)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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