説明

固体原料の還元のための装置および方法

固体金属化合物等の固体原料の還元のための方法において、電解装置の中で、原料の一部分が、2つ以上の電解槽(50、60、70、80)のそれぞれの中に配置される。溶融塩は、各槽の中に電解質として提供される。溶融塩は、塩が槽のそれぞれを通って流動するように、溶融塩容器(10)から循環させられる。原料は、各槽の中の電極にわたって電位を印加することによって、各槽の中で還元され、その電位は、原料の還元を引き起こすのに十分である。また、本発明は、本方法を実装するための装置も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体原料の還元のための、具体的には、固体金属酸化物の還元による金属の生成のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、金属酸化物等の金属化合物を含む固体原料を還元して、生成物を形成することに関する。従来技術から既知の通り、かかるプロセスを使用して、例えば、金属化合物もしくは半金属化合物を、金属、半金属、もしくは部分的還元化合物に還元するか、または金属化合物の混合物を還元して合金を形成することができる。反復を回避するために、金属という用語は、本明細書で、金属、半金属、合金、金属間化合物、および部分還元生成物等の全てのかかる生成物を包含するために使用される。
【0003】
近年、固体原料、例えば、固体金属酸化物原料の還元による金属の直接生成に高い関心が払われている。1つのかかる還元プロセスは、Cambridge FFC電気分解プロセスである(国際公開第99/64638号に記載される)。FFC方法では、固体化合物、例えば、固体金属酸化物は、融解塩を含む電解槽の中でカソードと接触して配置される。電位は、固体化合物が還元されるように、槽のカソードとアノードとの間に印加される。FFCプロセスでは、固体化合物を還元する電位は、融解塩からの陽イオンに対する析出電位よりも低い。例えば、融解塩が塩化カルシウムである場合、固体化合物が還元されるカソード電位は、塩からの析出カルシウムに対する析出電位よりも低い。
【0004】
国際公開第03/076690号に記載されるPolarプロセスおよび国際公開第03/048399号に記載されるプロセス等の、カソード接続された固体金属化合物の形態で原料を還元するための他の還元プロセスが提案されている。
【0005】
溶融塩を含む電解槽の中での、固体原料の金属への還元が研究室の規模で数年間行われているが、生成を産業レベルにまで拡大することは容易でないことが判明している。
【0006】
典型的な電解還元プロセスでは、電解槽は、カソード、アノード、および溶融塩と接触して配置される原料を含む。塩は、槽内で溶融状態になるまで加熱され、還元プロセス中に、塩は、原料から発展した要素により、ならびに汚染物質および電極との反応によって汚染される。かかる槽を用いて電解還元を行うとき、槽全体が、塩が溶融する温度に加熱させられる必要があり、それは相当なエネルギーと時間を要する。一旦還元が完了すると、塩を含む槽全体が冷却される必要があり、塩を加熱するためにシステムに投入されたエネルギーは失われる。
【0007】
固体原料の電解還元のための改善された装置および方法を提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ここで参照するべきである、添付の独立請求項に定義される装置および方法を提供する。本発明の好ましいまたは有利な特徴は、従属する下位請求項に提示される。
【0009】
したがって、本発明の第1の態様は、固体原料を還元する方法、例えば、電解装置の中の固体原料の還元によって金属を生成する方法を提供することができる。本方法は、好ましくは、複数の電解槽のそれぞれの中でカソードまたはカソード要素と接触して、複数の電解槽のそれぞれの中に原料の一部を配置するステップ、塩が電解槽を通って流動するように、溶融塩容器から溶融塩を循環させるステップ、および槽のそれぞれの電極にわたって電位を印加するステップを含む。印加された電位は、槽内で原料の還元、例えば原料の金属への還元を引き起こすのに十分である。原料の還元をもたらすために、電位がアノードとカソードとの間に印加されることを可能にするように、各電解槽が電力供給に結合されたアノードおよびカソードを含むことが好ましい。
【0010】
有利に、本方法は、槽を通る溶融塩の流動を、第1の容器に収容された第1の塩から第2の容器に収容された第2の塩へと切り替えるステップを含んでもよい。第2の塩の組成は、第1の塩の組成と異なってもよい。
【0011】
還元の異なる段階に対する異なる塩組成の使用は、後述の幾つかの利点を有することができる。例えば、この方法は、還元反応を開始するためにより高いレベルの溶存酸素イオンを含有する第1の塩を用い、次いで還元生成物からの酸素の最終部分を除去するためにより低いレベルの酸化物イオンを有する第2の塩へと切り替えることによって、より高い率で低酸素レベルの金属が形成されることを有利に可能にし得る。
【0012】
さらなる利点として、最初に精製塩を用いて還元を行い、次いで還元の最終段階で、不純物として、必要とされる所定のレベルの元素を含有する塩へと切り替えることによって、元素、例えば、ホウ素でまたはリンでドープされた還元生成物を生成することが可能であり得る。次いで不純物/ドーパント元素が還元生成物に浸透して、ドープ生成物を提供することができる。
【0013】
また、還元反応の反応率に影響を及ぼすために、異なる容器の中に異なる温度で塩を維持することも可能であり得る。
【0014】
本方法は、還元反応中に、溶融塩の流動を、2つを超える容器の間で、例えば、3つの容器または4つの容器の間で切り替えることを含んでもよい。
【0015】
本方法は、有利に、還元反応の完了後に、電解槽を装置から除去し、除去された槽を、還元されていない原料を含有する新しい槽と置き換えるステップを含んでもよい。好ましくは、槽の置き換えは、溶融塩が装置のうちの他の槽を通って流動を継続する間に行われる。槽の置き換えは、物理的除去および槽の置き換えを含んでもよく、または塩流動を、除去された槽から、装置の中の他の箇所の置き換え槽へ転用することのみを含んでもよい。
【0016】
装置は、任意の時点で、還元の異なる段階の原料を含有する電解槽を含んでもよい。幾つかの槽は、新しい還元されていない原料を含有してもよく、幾つかの槽は、部分的に還元された原料を含有してもよく、また幾つかの槽は、完全に還元された原料を含有してもよい。したがって、本発明は、それらの槽の中の還元反応が完了に到達するのに応じて槽を絶えず置き換えることによって、原料を継続的に還元することを可能にすることができる。
【0017】
好ましくは、第1の塩容器または各塩容器内の溶融塩レベルは、所定のレベルに維持される。電解槽が装置内で絶えず置き換えられている場合、幾つかの溶融塩は各置き換えにより失われることになるため、このステップは、特に有利であり得る。
【0018】
有利に、溶融塩容器または各溶融塩容器内の溶融塩は、塩中の所望でない不純物を除去し、容器の中の塩の組成を維持するために、精製システムを通って循環させてもよい。かかる精製システムは、ろ過および電解プロセスを含んでもよい。
【0019】
好ましくは、原料の還元は、電気分解によって発生する。電気分解、特に金属酸化物または金属酸化物の混合物の電気分解(電気脱酸)は、固体金属化合物を含む固体原料から直接に金属を生成する方法である。
【0020】
本発明の第2の態様は、固体原料の還元のための装置、例えば、固体原料の還元による金属の生成のため装置を提供することができる。好ましくは、装置は、それぞれ電極を有し、固体原料の一部を含有する複数の電解槽、および塩が電解槽のそれぞれを通って流動するように、そこから溶融塩を循環させることができる第1の溶融塩容器を備える。
【0021】
電位は、還元反応を開始するために各槽の電極にわたって印加され得、その電位は、固体原料の還元を引き起こすのに十分である。
【0022】
好ましくは、各電解槽は、溶融塩入口、溶融塩出口、筐体内に位置付けられるアノード、および筐体内に位置付けられるカソードを有する筐体を備える。このようにして、電位は、槽のアノードとカソードとの間に印加され得る。
【0023】
好ましくは、固体原料の一部は、複数の電解槽のそれぞれの中で、カソードまたはカソード要素と接触して保持される。
【0024】
装置は、溶融塩を循環させるための少なくとも1つの溶融塩輸送回路を備えてもよい。かかる回路は、200℃〜1200℃または600℃〜1200℃であってもよい温度で、容器から1つ以上の電解槽に、そして再び容器に、溶融塩の流動を転送するのに好適な導管または配管を備えるであろう。また、塩輸送回路または各塩輸送回路は、塩の流動を調節するためのポンプ、および/またはフィルター、および/または弁を備えてもよい。1つを超える塩輸送回路は、装置の構成に応じて有利に使用することができる。
【0025】
塩は1つまたは複数の溶融塩回路の周辺でポンプ送出されることが好ましい。しかしながら、回路または各回路の一部が重力により供給されるように、システムまたは装置を配置することが可能であり得る。例えば、中心的な塩容器を槽よりも高く位置付けることができ、塩は、重力の影響下で槽を通って流動することができる。
【0026】
この装置の利点は、溶融塩を加熱および維持するように設計された塩容器の中で塩を加熱することができ、次いでこの塩を、別個の電解槽であり得る、複数の電解槽の1つ以上に供給できるということである。容器内の塩は、適切な所定の温度で、例えば、還元反応のための作業温度で有利に維持され、次いで還元のために槽が準備されたとき、電解槽に直接移されてもよい。装置の電解槽の中で還元反応が完了したとき、その槽から溶融塩を排出させ、冷却することができる。塩容器内の塩は、還元された原料が槽から回収される度に冷却される必要はなく、したがって、その熱エネルギーを失う必要はない。容器内の塩が、特定の還元反応のための作業温度またはその前後で維持される場合、それは、別の還元反応に使用するための別の槽に直接供給されてもよい。
【0027】
別個の溶融塩容器の使用は、さらなる利点を有することができる。塩容器内の溶融塩の組成は、所定の範囲内に監視され、維持されてもよい。典型的な従来技術の電解槽では、溶融塩の全てが、内部で還元が発生している槽内に含有される。このようにして、塩は、還元されている原料からの、および槽自体との反応、例えば汚染物質および/または電極との反応からの不純物ですぐに汚染される可能性がある。還元が進行するにつれて、溶融塩内の不純物のレベルは上昇する傾向がある。本発明の利点は、塩の流動が、装置の中に備えられた各電解槽の筐体を通して提供されることである。このようにして、各槽内の溶融塩は、新しい塩によって絶えず補充され、置き換えられている。汚染物質は、塩の流動によって、原料を包囲する反応領域から取り除かれるが、これは有利に、還元生成物が汚染されることを防止する一助となり得、還元反応の率を加速し得る。
【0028】
溶融塩輸送回路もしくは各溶融塩輸送回路内および/または容器自体の中での、または別個の塩精製回路内でのろ過および/または精製要素の監視を含めることによって、還元プロセス中に、溶融塩の組成を所定の組成範囲に維持することが可能であり得る。これは、還元プロセスを使用しながら、酸素または炭素等の不純物に不耐性である金属を製造する場合、例えば、チタニウムまたはタンタルの製造の際に、特に有利であり得る。
【0029】
塩容器内の塩の容積が、複数の電解槽内および溶融塩回路内の塩の総容積以上であることが好ましい。好ましくは、容器内の塩の容積は、この容積の2倍または3倍超である。
【0030】
電解還元中に形成された不純物は、このシステムにおいて、典型的な従来技術の電解還元システムにおけるよりも高い塩の容積が存在するという事実によって、効率的に希釈される。このシステムにおける塩の容積は、還元されている原料の量と比較して高いため、任意の不純物が還元生成物のプロセス動力学または純度に対して有し得る悪影響を改善することができる。
【0031】
有利に、装置は、第2の溶融塩の流動を複数の槽に供給するための第2の塩容器を備えてもよい。第2の塩容器は、好ましくは、第1の塩容器と同一の1つまたは複数の塩輸送回路に結合され、次いでこれらの回路内の弁は、槽を通って流動している溶融塩の源が第1の容器から第2の容器へ、およびその逆へと切り替えられることを可能にすることができる。
【0032】
代替的に、第2の塩容器は、複数の電解槽のそれぞれに対してその独自の入口および出口を備える、その独自の別個の1つまたは複数の溶融塩輸送回路を有してもよい。
【0033】
第2の塩容器を使用する1つの利点は、電解プロセス中に電解槽内の塩組成を変化させることが可能となることであり得る。例として、金属酸化物の電解還元のためにFFCプロセスを用いる場合、比較的高濃度の酸化物イオン、例えば、溶存酸化カルシウム、好ましくは0.2〜1.0重量%、およびより好ましくは0.3〜0.6重量%の溶存酸化カルシウムを含有する塩化カルシウム塩を含有する溶融塩を用いてプロセスを開始することが有利であり得る。溶融物内の酸化カルシウムの存在は、電気分解反応が比較的容易に開始されることを可能にすると思われる。幾つかの金属、例えば、タンタルの生成について、最終生成物中の酸素含量は、低くなければならず、溶融塩内の高濃度の酸化物イオンの存在は、金属中で所望される低レベルの酸素が生成されることを妨げる可能性がある。
【0034】
溶融塩の第2の容器を用いることによって、比較的高い酸化物含量を有する溶融塩を用いて電気分解反応を開始し、次いで低酸化物濃度を有する塩を用いて塩源を切り替えて、反応を終了させることが可能となる。このようにして、第1の塩が溶存酸化カルシウムを含有する塩化カルシウムを含む場合、第2の塩は、塩中に溶存する酸化カルシウムが実質的にない塩化カルシウムを含んでもよい。かかる塩源の切り替えは、全体の反応が開始され、経済的に実行可能な率で進行することを可能にしながら、最終生成物中の酸素レベルが顕著に還元されることを有利に可能にし得る。
【0035】
還元反応中に塩源を切り替えることが所望される他の理由が存在し得る。それは、第1の容器内の塩源が電解プロセス中に汚染され、第2の塩源へと切り替えて、それによって新しい汚染されていない塩を電解槽に供給することが、汚染物質の少ない金属の生成を可能にし得る場合であり得る。
【0036】
反対に、次いで還元生成物に組み入れるか、溶解させることができるある種の意図的な汚染物質またはドーパントを含有する塩供給へと切り替えることが望ましい場合がある。例えば、ある種の金属を微量の不純物でドープすることが有利であり得、かかるドープ物質を生成する簡便な方法は、還元プロセスの最終部分のために、ドーパント物質で汚染された塩中に物質を浸すことであり得る。
【0037】
本装置は、2つを超える塩容器、例えば、3つまたは4つの塩容器を備えてもよく、それぞれ、還元プロセス中の使用のために異なる組成を有する塩を含有することができる。
【0038】
有利に、槽のそれぞれは、個々に、その槽を供給する塩輸送回路と着脱可能に結合可能である。このようにして、残りの電解槽を通る塩の流動を維持しながら、塩供給を特定の電解槽に隔離することが可能であり得る。次いで流動がその中で隔離された槽は、回路から完全に除去することができる。電解還元反応を経ている他の電解槽に影響を及ぼすことなく、ある電解槽をオフラインにするこの能力は、部分継続的プロセスの進行を可能にし得る。
【0039】
典型的な従来技術の電解還元プロセスでは、塩電解質は、槽の中で行われる各電解反応のために、低温からその作業温度になるまで上昇させる必要がある。電解反応が終了した後、塩は冷却されなければならない。加熱および冷却は、相当なエネルギーと時間の双方を必要とする。有利に、溶融塩を、反応槽の単複にかかわらず、所定の温度に、好ましくは所定の組成で長期間維持する能力を有する装置を用いることによって、エネルギーと時間の双方を節減することができる。任意の特定の槽の中で還元プロセスが終了したとき、その槽をシステムから除去するか、または排水し、次いでシステムから除去して、還元された原料の除去を可能にすることができる。有利に、還元されていない原料を含有する新たな電解槽は、除去された電解槽を、それが除去されたほぼ直後に置き換えることができる。
【0040】
各槽が独立して、装置と着脱可能に結合可能となるように、1つまたは複数の塩輸送回路は、各槽からの塩流動を選択的に制限するように作動可能な弁を備えてもよい。このようにして、装置が動作状態にある間に、各槽を交換することができる。
【0041】
装置が1つまたは複数の容器の中の溶融塩の精製のための手段を備えることが有利であり得る。かかる精製手段は、塩中に形成した任意のスカムまたはスラグを除去するための塩のろ過を含んでもよい。また、精製は、所望でない要素を除去するための手段を含んでもよく、例えば、装置は、塩からのあらゆる過剰な溶存酸素を除去するゲッターを含んでもよい。
【0042】
精製のための手段は、さらに原料の還元中に形成されるか、または塩が大気から捕捉した不純物を除去するために、塩の電解のための手段を含んでもよい。このようにして、塩容器または各塩容器内の塩の組成は、ある種の所定の範囲内に維持することができ、還元反応を一貫させ、制御可能にする一助となり得る。
【0043】
精製手段が精製回路内に組み込まれることが有利であり得る。このようにして、塩は、容器または各容器から流出し、1つ以上の精製要素または装置を通って、再び容器または各容器内に流入する。
【0044】
システム内の塩のレベルは、電解槽の1つが回路から除去される度に低減されてもよい。必須ではないが、槽がオフラインにされる前に排水される場合でも、槽の内部表面上および還元生成物上に幾らかの塩が保持されるであろう。したがって、装置が、新しい溶融塩を塩容器または各塩容器に供給するための補給塩容器をさらに備えることが有利であり得る。
【0045】
室温の塩を作業温度になるまで上昇させること(ほぼ750℃〜1200℃程度であり得る)は、数時間の緩加熱を含んでもよい。一旦作業温度になると、塩が大気から捕捉し得たあらゆる水を除去するために、新しい塩は、例えば、化学または電解処理によって精製される必要があり得る。このようにして、補給塩容器は、中心的な塩容器から分離して、新しい塩が作業温度になるまで加熱され、処理されて、作業組成物を提供することを有利に可能にし得る。この加熱および調製が行われた後、新しい溶融塩が、塩レベルを維持するために、装置の塩容器または各塩容器に添加されてもよい。
【0046】
使用するとき、溶融塩は、幾つかの異なるイオン種を含有してもよい。装置が動作状態にあるとき、槽と容器との間に溶融塩を介して電気的接続が生じ得るリスクがある。あらゆるかかる電気的接続は、塩容器または塩輸送回路等の装置の要素の腐食、およびそれによる塩の汚染のリスクを有意に増加させ得るため、所望されない場合がある。
【0047】
この問題に対処するために、溶融塩回路は、溶融塩を槽から容器または各容器に戻すための戻り部分または区分を有利に備えてもよく、ここで塩流動は、槽と1つまたは複数の容器との間の電気的接続を防止するために戻り部分の間で中断される。液体の流動のかかる中断は、単に塩を流動が中断される高さから容器中へ落下させることによって達成されてもよく、または戻り部分の液体の流動経路に堰を組み込むことによって達成されてもよい。
【0048】
本発明の第2の態様に従って記載される装置は、原料の還元のための任意の形態の電解槽と共に有利に使用することができる。装置は、双極性要素のそれぞれの1つの表面がカソードとして作用する、複数の双極性要素を備える電解槽との使用に特に有利であり得る。双極性要素を備える電解槽の使用は、各電解槽内で還元され得る原料の容積を有利に増加させることができ、また出願人の共同出願PCT特許出願に記載される通り、複数のかかる双極性槽を有する装置を用いることによって、装置は産業規模での使用により魅力的となり得、この出願は英国特許0908152.2号からの優先権を主張し、この出願の双方は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
上述される本発明の種々の態様は、商業規模での、大量の群の固体原料の還元に特に役立つ。特に、装置内の双極性要素の垂直配置を備える実施形態は、小さい設備の設置面積内で多数の双極性要素が配置されることを可能にし、プロセス設備の単位領域当たりで得ることができる還元生成物の量を効率的に増加させる。
【0050】
上述の本発明の種々の態様の方法および装置は、固体金属酸化物を備える固体原料の還元による金属の生成に特に適している。純粋な金属は、純粋な金属酸化物を還元することによって形成することができ、合金および金属間化合物は、混合金属酸化物または純粋な金属酸化物の混合物を含む原料を還元することによって形成することができる。
【0051】
幾つかの還元プロセスは、プロセスに使用される溶融塩または電解質が、金属酸化物または還元されている化合物よりも安定な酸化物を形成する金属種(反応金属)を含むときのみ作動し得る。かかる情報は、熱力学データ、具体的にはギブズ自由エネルギーデータの形態で容易に入手可能であり、標準エリンガムダイアグラムまたは優先ダイアグラムまたはギブズ自由エネルギーダイアグラムから簡便に決定することができる。酸化物安定性に関する熱力学データおよびエリンガムダイアグラムは、電気化学者および抽出冶金技術者にとって利用可能であり、また彼らによって理解される(この場合の当業者であればかかるデータおよび情報を十分理解するであろう)。
【0052】
したがって、還元プロセスのために好ましい電解質は、カルシウム塩を含んでもよい。カルシウムは、ほとんどの他の金属よりも安定な酸化物を形成し、したがって酸化カルシウムよりも安定性の低い任意の金属酸化物の還元を促進するように作用することができる。他の場合には、他の反応金属を含有する塩が使用されてもよい。例えば、本明細書に記載される本発明の任意の態様に従った還元プロセスは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、またはイットリウムを含む塩を用いて行われてもよい。塩化物または他の塩の混合物を含む、塩化物または他の塩が使用されてもよい。
【0053】
適切な電解質を選択することによって、ほぼいずれの金属酸化物も、本明細書に記載される本方法および装置を用いて還元することができる。特に、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロミウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、ならびにランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウムを含むランタニド、ならびにアクチニウム、トリウム、プロトアクチニウム、ウラニウム、ネプツニウム、およびプルトニウムを含むアクチニドの酸化物を、好ましくは塩化カルシウムを含む溶融塩を用いて還元することができる。
【0054】
当業者であれば、特定の金属酸化物を還元するための適切な電解質を選択することができるであろうが、ほとんどの場合は、塩化カルシウムを含む電解質が好適であろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
ここから、次の図を参照して本発明の具体的な実施形態が説明される:
【図1】本発明の第1の実施形態に従った装置の略図、
【図2】本発明の第1の実施形態による使用に好適な双極性電解槽の略図、
【図3】除去された電解槽を示す、本発明の第1の実施形態の装置の略図、
【図4】装置に結合された単一の電解槽を示す、本発明の第1の実施形態の装置の略図、
【図5】本発明の第2の実施形態の略図、
【図6】図5の本発明の第2の実施形態の略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明の第1の実施形態に従った装置を例証する。装置は、容器内の塩を加熱および溶融させるため、ならびに塩を所定の作業温度に維持するための加熱器20に結合された溶融塩容器10を備える。容器10から流出し、再び容器10に流入する塩輸送回路30は、ステンレス鋼導管または配管および輸送回路ポンプ40を備える。
【0057】
溶融塩回路30は、溶融塩を容器10から複数の別個の電解槽50、60、70、80のそれぞれに送達するように配置される。槽のそれぞれは、溶融塩入口100および溶融塩出口110を有する筐体を備え、この入口および出口は、溶融塩が入口を通って各電解槽の筐体内へ流入し、筐体の内部部分を通って、出口を介して電解槽から流出するように、筐体の正反対端に位置付けられている。
【0058】
図3に示される通り、溶融塩回路30は、T分岐点31で2つの部分に分かれる。流動の1つの部分は、塩流入チャネル32に沿って進み、流動の第2の部分は、塩流出チャネル33に沿って通過する。塩流入チャネル32および塩流出チャネル33は、塩が容器10に再び入る前にT分岐点34で再び合流する。
【0059】
複数の槽供給チャネル(51に一般的に示される)は、塩流入チャネル32から延長する。各供給チャネルは、チャネルと槽の入口100との接続を可能にするように結合して終結する。溶融塩の流動は、弁52を用いて、これらの槽供給チャネルのそれぞれを通して調節される。
【0060】
複数の槽供給チャネル51に相当する複数の槽流出チャネル53は、塩流出チャネル33に結合される。これらのチャネルのそれぞれは、1つの終端で塩流出チャネル33に開口し、もう1つの終端で電解槽の出口に結合可能である。槽流出チャネルのそれぞれにおける溶融塩の流動は、出口弁54によって調節される。
【0061】
この具体的な実施形態では、各電解槽は、双極性スタックを備える双極性槽である。例示的な双極性槽は、図2を参照して説明される。
【0062】
図2は、本発明の第1の実施形態による使用に好適な双極性電解槽の略図である。槽50は、直径150cmおよび300cmの高さの円形基部を有する実質的に円筒状の筐体51を備える。筐体は、内部空洞または空間を画定するステンレス鋼からなる壁、ならびに溶融塩が筐体内へ流入し、筐体から流出することを可能にするための入口100および出口110を有する。筐体壁は、任意の安定な物質からなってもよい。かかる物質は、炭素鋼、ステンレス鋼、およびニッケル合金を含んでもよい。溶融塩入口100は、筐体壁の下部を通じて画定され、溶融塩出口110は、筐体壁の上部を通じて画定される。このようにして、溶融塩は、使用されるとき、低地点から筐体内へ流入し、筐体を通って上方へ流動し、最終的に出口を通って筐体から排出する。
【0063】
筐体の内部壁は、筐体の内部表面が電気的に絶縁されるように、不活性電気絶縁体、例えば、窒化ホウ素またはアルミナで被覆される。
【0064】
アノード52は、筐体の上部内に配置される。アノードは、100cmの直径および5cmの厚さを有する炭素の円盤である。アノードは、筐体の壁を通って延長し、アノード端子を形成する、電気的結合53を介して電力供給源に結合される。
【0065】
カソード54は、筐体の下部に配置される。カソードは、100cmの直径を有する不活性金属合金、例えば、チタニウム、タンタル、モリブデン、またはタングステンの円板である。カソード物質の選択は、還元されている原料のタイプによって影響を受け得る。還元生成物は、好ましくは、槽作動条件下で、カソード物質と反応しないか、カソード物質に実質的に付着しない。カソード54は、筐体壁の下部を通って延長する電気的結合55によって電力供給源に接続され、カソード端子を形成する。カソードの外周は、カソードのトレイ様の上面を形成する、上方に延長する縁によって囲まれる。
【0066】
カソード54の上面は、カソードの真上の双極性要素57を支持するように働く、幾つかの電気的絶縁分離メンバー56を支持する。分離メンバーは、10cmの高さを有する窒化ホウ素、イットリウム酸化物、またはアルミニウム酸化物の柱である。装置の作動条件下で、分離メンバーが電気的に絶縁されて、実質的に不活性であることは重要である。分離メンバーは、装置の作動サイクルにわたって機能するために、十分に不活性でなければならない。一群の原料の還元後、装置の作動サイクル中に、分離メンバーは、必要な場合、置き換えられてもよい。また、それらは、複数の双極性要素を備える槽スタックの重量を支持することもできなければならない。分離メンバーは、カソードの外周の周りで等間隔を空けられ、カソードの真上の双極性要素57を支持する。
【0067】
各双極性要素57は、カソードである上部58およびアノードである下部59を有する複合構造から形成される。いずれの場合も、アノード部分は、直径100cmおよび厚さ3cmの炭素の円盤であり、カソードである上部58は、100cmの直径、およびカソード部分58の上部がトレイを形成するように、上方に延長する縁またはフランジを有する円形の金属板である。
【0068】
槽は、10個のかかる双極性要素80を備え、各双極性要素は、電気的絶縁分離メンバー56により、前の双極性要素の上に垂直に支持される。(明確にするために、4個の双極性要素のみが図2の略図に示される。)装置は、筐体内に位置付けられ、アノードとカソードとの間で相互に垂直に間隔を空けられた、必要とされる数と同数の双極性要素を備えることができ、それによってアノード端子、カソード端子、および双極性要素を備える双極性スタックを形成する。各双極性要素は、他の双極性要素から電気的に絶縁される。最上部の双極性要素は、いずれの電気的絶縁分離メンバーも支持せず、アノード端子52の垂直下に位置付けられる。
【0069】
カソード端子の上面および双極性要素のそれぞれの上面は、固体原料61のための支持体として働く。
【0070】
本明細書に記載される具体的な実施形態は、双極性電極を用いる電解槽に関するが、本発明は、単極性槽、すなわち単純なアノードおよびカソード構造を有する槽を利用する装置にも同様に適用可能である。
【0071】
再び図1を参照すると、装置はさらに、新しい溶融物を作り出すための容器200を備える。これは補給容器として機能する。新しい溶融物容器200は、導管210および弁220を介して、中心的な溶融塩容器10とつながっている。弁220の作動は、中心的な容器内の塩のレベルを補充するために、新しい溶融物容器からの溶融物が中心的な容器10に入ることを可能にする。
【0072】
溶融塩のためのさらなる回路は、ポンプ310によって駆動され、容器10から流出し、容器10内に再び流入する。この溶融物浄化回路300は、装置の作動中、継続的に動作し、また容器10からの塩を精製し、精製された塩を容器内に再循環させるための、ろ過手段および電解手段等の種々の精製手段を備える。
【0073】
中心的な塩容器10に含有された塩の容積は、4つの電解槽および溶融塩流動回路を組み合わせた容積の少なくとも2倍である。
【0074】
上述の装置を用いる例示的な方法では、中心的な塩容器10は、塩化カルシウムを充填される。次いで容器は、塩化カルシウムの融点(約772℃)を超える温度、典型的には、塩化カルシウムがその温度で完全に溶融する800℃に加熱される。次いで溶融塩または融解塩は、所望でない過剰な水および/または塩が大気から捕捉した他の汚染物質を排除するために、容器10内で「前電解」手順を経る。次いで塩容器は、所望の作業温度に維持される。
【0075】
金属酸化物をその金属に還元するために、例えば、二酸化チタンをチタニウムに還元するために装置が使用されている場合、適した作業温度は、800℃〜1200℃であり得る。
【0076】
塩容器10から始まり、塩容器内へ再び流入する、溶融塩の流動のための2つの回路が存在する。これらの回路の1つは、塩を導管300に通過させ、溶融塩溶融物浄化および精製デバイスを通して溶融塩ポンプ310によってポンプ送出される。一旦溶融塩容器10内の塩がその作業温度に到達すると、継続的溶融物浄化回路は、作動状態にされ、継続的に塩を容器から引き出し、塩を種々の精製段階に通過させ、精製された塩を容器に戻す。
【0077】
また溶融塩輸送回路も、導管30によって画定され、溶融塩ポンプ40によって駆動する。この溶融塩輸送回路は、溶融塩を容器から取り出し、溶融塩を容器10に戻す。溶融塩は、塩ポンプ40を用いて、輸送回路30を通って流動するように誘導することができる。回路内の任意の電解槽の非存在下では、入口弁52および出口弁54は閉じられている。これは、溶融塩が出口チャネル53または供給チャネル51から流出するのを防止し、この場合の塩は、塩入口チャネル32および塩出口チャネル33を介して循環して容器10に直接戻る。
【0078】
装置50の電解槽は、溶融塩流動回路に着脱可能に結合可能である。各槽は、固体原料の必要量、例えば、二酸化チタンの必要量を充填され、槽入口100は、供給チャネル51の端子終端に結合され、槽出口110は、槽出口チャネル53の端子終端に結合される。
【0079】
図4は、1つの槽50のみが塩輸送回路30に結合された装置を例証する。
【0080】
一旦回路内に適切に位置付けられると、各電解槽50の内部部分は、加温される。これは、槽の1つの終端のガス入口チャネルおよび槽のもう1つの終端の出口チャネルを通して、高温ガスを槽に通過させることにより達成される(ガス入口および出口チャネルは図に示されない)。一旦各電解槽の内部温度が適した作業温度に到達すると、入口および出口弁(52および54)は、塩が電解槽を通って流動することを可能にするために開かれてもよい。
【0081】
各電解槽の陽および陰端子は、電力供給源に接続され、固体原料を還元するために、安定な電位差がアノード端子とカソード端子との間に印加される。
【0082】
原料の生成中に発展したガスは、電解槽の上端に立ち上り、排出される。かかる排出ガスは、高温であり、有利に、還元サイクルの開始時にオンラインにされる新たに補充された槽を予熱するために再循環させることができるか、または他の形態の熱回復システムを通して循環させることができる。
【0083】
槽を通って流動する溶融塩は、原料の電解反応中に、および溶融塩と種々の槽構成要素、例えば、筐体の内部部分またはアノードもしくはカソード物質との反応中に形成された不純物を除去する。このようにして、溶融塩回路30を介して塩容器10に戻る塩は、汚染される可能性がある。
【0084】
回路の容積および回路内に搭載される任意の電解槽と比較して大容積の溶融塩容器は、任意の不純物が塩内で比較的希薄であることを意味する。さらに、継続的溶融物浄化プロセスは、塩を汚染し得た固体および化学不純物を除去する一助となる。
【0085】
複数の槽のそれぞれは、個々に搭載されてもよく、したがって各槽内の電解反応は、異なる時間で開始された可能性がある。その結果、各槽の中の電解還元は、異なる時間に終了し得ることになる。一旦任意の槽の中の還元が完了すると、溶融塩の流動は、入口および出口弁(52および54)を閉じることによって停止されてもよい。次いで槽内の溶融塩は、出口または排水弁または排水ポート(図示せず)を用いて槽から排出されてもよい。次いで槽は、例えば、アルゴンまたはヘリウム等の不活性ガスでパージすることによって迅速に冷却することができ、槽内の還元された原料を回収することができる。
【0086】
複数の結合可能および着脱可能な電解槽の使用は、反応が完了した槽が、ほぼ即座に、還元されていない原料を有する新たな槽と置き換えられることを可能にする。
【0087】
ある割合の溶融塩は、槽がオフラインになる度に失われる。槽から排出される塩を容器10に直接戻すことができる一方で、幾らかの塩は、電解槽の内部表面に付着することによって失われるであろう。このようにして、塩容器10内の塩は、新しい溶融物容器200の中で調製された新しい溶融塩により継続的に補給される。
【0088】
図5および6は、上述の第1の実施形態に類似しているが、若干異なる構成の電解槽を有する、本発明の第2の実施形態に従った装置を例証する。装置500は、容器510の周辺で間隔を空けて分配された複数の別個の電解槽520、530、540、550のそれぞれを通る循環のために、溶融塩を供給するように配置される中心的な溶融塩容器510を備える。槽のそれぞれは、溶融塩入口560および溶融塩出口570を有する筐体を備え、この入口および出口は、溶融塩が入口を通って各電解槽の筐体内へ流入し、筐体の内部部分を通って、出口を介して電解槽から流出するように、筐体の正反対端に配置されている。
【0089】
槽のそれぞれは、溶融塩容器580から通じるステンレス鋼管および槽から容器590へと通じるステンレス鋼管を備える独自の別個の溶融塩輸送回路を有する。また各溶融塩輸送回路は、溶融塩を循環させるための溶融塩ポンプ(図示せず)を含む。このようにして、槽に関連する溶融塩回路を作動させることによって、必要に応じて槽のうちの任意の1つに塩を供給することができる。容器内の塩は、一定の温度で維持することができ、組成が規定の公差内に維持されるように監視することができる。
【0090】
本発明の第2の実施形態の他の詳細は、本発明の第1の実施形態に関して上述した内容と同一である。例えば、槽520、530、540、550のそれぞれは、双極性スタックを備える双極性槽である(上述の通りおよび図2で例証した通り)。
【0091】
本明細書に記載される具体的な実施形態は、実質的に円筒状の筐体内に含有された双極性電解槽を利用するが、電解質として溶融塩を用いる任意の電解槽を用いてもよいことは明白である。
【0092】
さらに、単一の溶融塩容器の使用が説明された一方で、2つ以上のかかる容器の使用は、本発明の範囲内であることが想定される。電解槽を通って流動する溶融塩の源は、1つまたは複数の回路内の適切な弁を開くことおよび閉じることによって、第1の容器から第2の容器へと変更されてもよい。1つを超える溶融塩組成を恐らくは含有する、1つを超える溶融塩容器を用いる利点が上で検討されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解装置における固体原料の還元のための方法であって、
複数の電解槽のそれぞれの中に前記原料の一部を配置するステップと、
塩が前記電解槽のそれぞれを通って流動するように、第1の溶融塩容器から溶融塩を循環させるステップと、
前記槽のそれぞれの電極にわたって電位を印加するステップであって、前記電位は、前記原料の前記還元を引き起こすのに十分である、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記槽を通る溶融塩の前記流動を、前記第1の容器に収容された塩から第2の容器に収容された塩へと切り替えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記原料は、前記複数の電解槽のそれぞれの中で、カソードまたはカソード要素と接触して配置される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記装置から還元された原料を収容する電解槽を取り外し、それを還元されていない原料を含有する電解槽と置き換えるステップを含み、前記槽の置き換えは、溶融塩が、前記装置のうちの他の槽を通って流動を継続する間に行われる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のおよび/または第2の溶融塩容器内の前記溶融塩を、所定のレベルに維持するステップを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1のおよび/または第2の溶融塩容器内の前記溶融塩は、不純物を除去し、前記容器内の前記塩の組成を維持するために、精製装置を通して循環させられる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記原料の前記還元は、電気分解により発生する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
溶融塩は、前記槽を通ってポンプ送出される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
溶融塩は、重力の影響下で、前記第1の容器から、かつ前記槽を通って流動する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
溶融塩が前記槽を通って循環するのを可能にする前に前記槽を予熱するさらなるステップを含み、好ましくは、加熱は、前記槽を通って高温ガスを通過させることにより発生するか、または代替的に、前記槽の加熱は、抵抗加熱もしくは誘導加熱によって発生する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
固体原料の還元のための装置であって、
複数の電解槽であって、各槽が電極を有し、固体原料の一部を収容する、電解槽と、
第1の溶融塩容器であって、塩が前記電解槽のそれぞれを通って流動するように、そこから溶融塩を循環させることができる、第1の溶融塩容器と、
を備え、前記固体原料の還元を引き起こすのに十分な電位が、各槽の前記電極にわたって印加され得る、装置。
【請求項12】
各電解槽が筐体を備え、筐体は、溶融塩入口と、溶融塩出口と、前記筐体内に位置付けられるアノードと、前記筐体内に位置付けられるカソードと、を有し、前記電位は、前記槽の前記アノードおよび前記カソードにわたって印加され得る、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記固体原料の一部は、前記複数の電解槽のそれぞれの中で、カソードまたはカソード要素と接触して保持される、請求項11または12に記載の装置。
【請求項14】
溶融塩を循環させるための少なくとも1つの溶融塩輸送回路を備える、請求項11、12、または13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の容器から、前記複数の槽のそれぞれを通って前記第1の容器へと戻るように、前記溶融塩を循環させるための、1つを超える溶融塩輸送回路を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の容器から、前記複数の槽のそれぞれを通って前記第1の容器へと戻るように、前記溶融塩を循環させるための、単一溶融塩輸送回路を備える、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
第2の塩容器であって、そこから前記複数の槽を通って第2の溶融塩を循環させることができる、第2の塩容器をさらに備える、請求項11〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記第1の塩容器から前記第2の塩容器へ、およびその逆へと切り替えられるように、溶融塩の源が前記槽を通って流動するのを可能にする、弁を備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記槽のそれぞれが、塩輸送回路と着脱可能に結合可能である、請求項11〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記塩輸送回路は、各槽へのおよび各槽からの塩流動を選択可能に制限し、前記装置が動作状態にある間に、各槽が交換されるのを可能にするように作動可能な弁を備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記塩容器、または各塩容器が、前記複数の槽の全ての複合容積以上の容積を有する、請求項11〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記第1のおよび/または第2の塩容器内の前記溶融塩を精製するための、精製装置をさらに備える、請求項11〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記第1のおよび/または第2の塩容器内の塩のレベルを維持するように、新しい溶融塩を供給するための補給塩容器を備える、請求項11〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記槽から前記容器、または各容器へ溶融塩を戻すための戻り部分を備える溶融塩回路を有し、前記戻り部分が前記槽と前記容器との間の電気的接続を防止する間、液体の流動が中断される、請求項11〜23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
少なくとも1つの電解槽が複数の双極性要素を備え、前記要素のそれぞれの1つの表面が、カソードとして作用する、請求項11〜24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
実質的に、本出願において、かつ図面を参照して記載される、装置。
【請求項27】
実質的に、本出願において、かつ図面を参照して記載される、方法。
【請求項28】
実質的に本出願において記載される任意の方法を使用して生成される、金属、半金属、化合物、金属間化合物、または合金。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−526918(P2012−526918A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510364(P2012−510364)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000960
【国際公開番号】WO2010/131000
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(511185520)メタリシス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】