説明

固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法

【課題】アルカリ現像によって、赤外領域における遮光性が高く、耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性など)に優れるとともに、所望の矩形形状を有するパターンを高感度で形成可能な固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供する。
【解決手段】 (A)赤外線遮蔽材、(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(C)酸の作用により架橋反応を示す化合物、及び、(D)バインダー樹脂を含有する固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法に関し、特にソルダーレジストの形成に好適に使用しうる固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、固体撮像素子、及び、パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する場合、目的とする部材上に感光層を形成するに際しては、液状の感光性組成物をスピンコート法、スクリーン印刷法、スプレー印刷法を用いて塗膜を形成させ乾燥させる方法、仮支持体上に感光性組成物を塗布し、乾燥することにより感光層を有する積層フィルムとし、これを真空ラミネーターやロールラミネーターを用いて部材上に感光層のみを転写する方法が用いられている。ソルダーレジスト等の永久パターンを形成する方法としては、例えば、永久パターンが形成されるシリコンウエハ上、配線されたシリコンウエハ上、或いは、銅張積層板等の基体上に、前記の方法で感光層を形成し、該積層体における感光層に対して露光を行い、露光後、感光層を現像してパターンを形成させ、その後、硬化処理等を行うことにより永久パターンを形成する方法等が知られている。
【0003】
前記永久パターンの形成は、半導体チップとプリント基板の間に介装されるパッケージ基板にも適用される。前記パッケージ基板は、近年、より一層の高密度化が求められており、配線ピッチの狭幅化やソルダーレジスト層の高強度化、絶縁性の向上、薄膜化などが進んでいる。このため、繰り返しの冷熱衝撃耐性(サーマルサイクルテスト耐性、TCT耐性)がより強く求められ、また、バイアの小径化も求められており、パターン形状が矩形であることが実装性の観点から求められている。
【0004】
一方、携帯電話や、デジタルカメラ、デジタルビデオ、監視カメラ等に使用される固体撮像素子(イメージセンサ)は、半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子である。近年、固体撮像素子は、携帯電話、及びデジタルカメラの小型化、軽量化にともなってより一層の小型化が望まれている。
固体撮像素子の小型化の為に、貫通電極の応用、及びシリコンウエハを薄膜化する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。シリコンウエハを研磨して薄膜化することで小型化は実現できるが、シリコンウエハの薄膜化により、800nm以下の光の遮光性は維持されるが、波長800nm以上の光を透過し易くなってきた。固体撮像素子に使用されるフォトダイオードは、800nm以上1200nm以下の光にも反応してしまうために、800nm以上の光の透過により画質が低下してしまうという新たな問題が生じることがわかった。
【0005】
固体撮像素子の構成は、フォトダイオードの一方に隣接して、カラーフィルタ及びレンズがあり、カラーフィルタ或いはレンズ付近には赤外カットフィルタが存在して、800−1200nmの光を遮断しているが、カラーフィルタの反対側には、金属配線及びソルダーレジストなどが存在する。金属配線間などはソルダーレジストで埋められることが多いが、携帯電話やデジタルカメラ等の内部入ってくる漏れ光などの赤外光を遮断できない問題があった。そこで、従来、赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側にさらに赤外線遮光性の層を設け、赤外遮光性を確保する手段が講じられるが、一般的に、ソルダーレジスト上は配線などにより段差が存在するために、赤外線遮光性層材料を段差のある基板表面に均一の膜厚で塗布することが難しく、薄い部分が存在するとそこから光が透過してしまう問題があった。
【0006】
赤外線遮光性層を所望の部分のみに設けるためには、感光性を有し、露光によるパターニングが可能なフォトリソグラフィーの性能を有することが好ましい。フォトリソグラフィーを有する遮光性の感光性組成物としては、LCDカラーフィルタの形成に用いられるカーボンブラックを使用したブラックレジストが挙げられるが、カーボンブラックは、可視域の遮光性は高いものの赤外域での遮光性は低く、このようなブラックレジストをソルダーレジストとして適用しようとする場合、赤外域での必要な遮光性を確保する量のカーボンブラックを添加すると、可視域の遮光性が非常に高くなりすぎ、通常、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光を遮光してしまい、光硬化性が十分に得られず、アルカリ現像液を用いた現像工程を経ても優れたパターンが得られないという問題がある。
また、現状では、ソルダーレジストを塗布法により形成した後に、赤外線遮光性層を別に設けるため、ソルダーレジストの形成と赤外線遮光性層の形成において、複数回の塗布、露光、現像、後加熱など工程が必要であり、工程が煩雑でありコストアップの要因ともなるため改善が望まれていた。
そこで、ソルダーレジスト自体に遮光性をもたせることが試みられ、例えば、黒色着色剤と、黒色以外の着色剤と、多官能エポキシ化合物とを含有する黒色ソルダーレジスト組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この組成物は、黒色以外の着色剤と併用することで黒色着色剤の含有量を低く抑えることを特徴するものであり、遮光性、特に、赤外領域での遮光性と、パターン形成性との両立という観点からは実用上不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−194396号公報
【特許文献2】特開2008−257045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上を鑑み、冷熱衝撃耐性に優れ、赤外領域における遮光性が高く、かつ、アルカリ現像によって優れたパターンを形成可能な硬化性組成物が求められているのが実状である。
【0009】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、アルカリ現像によって、赤外領域における遮光性が高く、耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性など)に優れるとともに、所望の矩形形状を有するパターンを高感度で形成可能な固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
【0011】
〔1〕 (A)赤外線遮蔽材、
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(C)酸の作用により架橋反応を示す化合物、及び、
(D)バインダー樹脂
を含有する固体撮像素子用硬化性組成物。
〔2〕 前記化合物(C)が、オキシラン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はフェノール基を有する化合物である上記〔1〕に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔3〕 前記化合物(C)が、オキシラン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はフェノール基を2個以上で有する化合物である上記〔2〕に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔4〕 前記化合物(B)がオニウム塩化合物である上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔5〕 前記バインダー樹脂(D)が、酸基を有する上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔6〕 前記バインダー樹脂(D)が、ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂の少なくとも一方である上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔7〕 前記バインダー樹脂(D)が、ウレタン樹脂である上記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔8〕 前記赤外線遮蔽材(A)が、タングステン化合物である上記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔9〕 25℃における粘度が、200mPas〜1000mPasである上記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
〔10〕 上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される感光層。
〔11〕 上記〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される永久パターン。
〔12〕 前記永久パターンがソルダーレジスト層である上記〔11〕の永久パターン。
〔13〕 前記永久パターンが赤外線遮光膜である上記〔11〕に記載の永久パターン。
〔14〕 レンズと、前記レンズの周縁部に形成された上記〔11〕に記載の永久パターンとを有するウエハレベルレンズ。
〔15〕 上記〔11〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の永久パターンを有する固体撮像素子。
〔16〕 一方の面に撮像素子部が形成された固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の他方の面側に設けられた赤外線遮光膜とを有する固体撮像素子であって、前記赤外線遮光膜が上記〔13〕に記載の永久パターンである固体撮像素子。
〔17〕 上記〔10〕に記載の感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アルカリ現像によって、赤外領域における遮光性が高く、耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性など)に優れるとともに、所望の矩形形状を有するパターンを高感度で形成可能な固体撮像素子用硬化性組成物、並びに、これを用いた感光層、永久パターン、ウエハレベルレンズ、固体撮像素子、及び、パターン形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る固体撮像素子の概略断面図である。
【図3】ウエハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。
【図4】図3に示すA−A線断面図である。
【図5】基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。
【図6】図6A〜図6Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。
【図7】図7A〜図7Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。
【図8】ウエハレベルレンズアレイの一例を示す断面図である。
【図9】図9A〜図9Cは、遮光膜形成工程の他の態様を示す概略図である。
【図10】図10A〜図10Cは、パターン状の遮光膜を有する基板にレンズを成形する工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。また、本明細書において、粘度値は25℃における値を指す。
【0015】
本明細書中における「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、g線、h線、i線等の水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線(EB)等を意味する。また、本発明において光とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、EUV光などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
【0016】
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、赤外線遮蔽材、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、酸の作用により架橋反応を示す化合物、及び、バインダー樹脂を含有する。
本発明に係る固体撮像素子用硬化性組成物は、例えばネガ型の組成物であり、典型的にはネガ型のレジスト組成物である。以下、この組成物の構成を説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリルはアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、質量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基を言う。
【0017】
[1](A)赤外線遮蔽材
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、赤外線遮蔽材を含有する。
本発明に使用される赤外線遮蔽材としては、波長が800〜1200nmの光を吸収する化合物であれば、特に制限なく使用することができ、赤外線吸収染料、赤外線吸収顔料のいずれでもよい。
本発明において赤外線遮光材として使用できる赤外線吸収染料としては、シアニン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、インモニウム色素、アミノウム色素、キノリウム色素、ピリリウム色素、Ni錯体色素などの金属錯体色素などが挙げられることができる。
【0018】
本発明において赤外線遮蔽材として使用しうる色素は市販品としても入手可能であり、例えば、以下の市販色素が好適に挙げられる。
【0019】
FEW Chemicals社製 S0345,S0389,S0450,S0253,S0322,S0585,S0402,S0337,S0391,S0094,S0325,S0260,S0229,S0447,S0378,S0306,S0484
American Dye Source, Inc.製 ADS795WS,ADS805WS,ADS819WS,ADS820WS,ADS823WS,ADS830WS,ADS850WS,ADS845MC,ADS870MC,ADS880MC,ADS890MC,ADS920MC,ADS990MC,ADS805PI,ADSW805PP,ADS810CO,ADS813MT,ADS815EI,ADS816EI,ADS818HT,ADS819MT,ADS819MT,ADS821NH,ADS822MT,ADS838MT,ADS840MT,ADS905AM,ADS956BP,ADS1040P,ADS1040T,ADS1045P,ADS1040P,ADS1050P,ADS1065A,ADS1065P,ADS1100T,ADS1120F
【0020】
山本化成株式会社製 YKR−4010,YKR−3030,YKR−3070,MIR−327,MIR−371,SIR−159,PA−1005,MIR−369,MIR−379,SIR−128,PA−1006,YKR−2080,MIR−370,YKR−3040,YKR−3081,SIR−130,MIR−362,YKR−3080,SIR−132,PA−1001
林原生物化学研究所製 NK−123,NK−124,NK−1144,NK−2204,NK−2268,NK−3027,NKX−113,NKX−1199,NK−2674,NK−3508,NKX−114,NK−2545,NK−3555,NK−3509,NK−3519
【0021】
これら色素のなかでも、耐熱性の観点から、フタロシアニン色素及び金属錯体色素が好ましい。
これらの染料は、単独で使用してもよいが、波長が約800〜1200nmの光に対する良好な遮光性を発現させる目的で、これらのうち目的に応じた2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】
本発明において赤外線遮光材として使用できる赤外線吸収顔料としては、例えば、亜鉛華、鉛白、リトポン、酸化チタン、酸化クロム、酸化鉄、沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉、鉛丹、酸化鉄赤、黄鉛、亜鉛黄(亜鉛黄1種、亜鉛黄2種)、ウルトラマリン青、プロシア青(フェロシアン化鉄カリ)、ジルコングレー、プラセオジムイエロー、クロムチタンイエロー、クロムグリーン、ピーコック、ビクトリアグリーン、紺青(プルシアンブルーとは無関係)、バナジウムジルコニウム青、クロム錫ピンク、陶試紅、サーモンピンク、チタンブラック、タングステン化合物、金属ホウ化物等が挙げられ、さらに、黒色顔料として、Co、Cr、Cu、Mn、Ru、Fe、Ni、Sn、Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物、金属窒素物或いはそれらの混合物などを用いることができる。
【0023】
本発明では、赤外光に対して高い遮光性を有するとともに、波長500nm以下の光源を用いたパターン形成における解像性や感度の観点から、赤外線遮蔽材は、以下に記載するタングステン化合物又は金属ホウ化物であることがより好ましく、タングステン化合物であることが最も好ましい。
タングステン化合物は、赤外線(波長が約800〜1200nmの光)に対しては吸収が高く(すなわち、赤外線に対する遮光性(遮蔽性)が高く)、可視光に対しては吸収が低い赤外線遮蔽材である。よって、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物が、タングステン化合物を含有することにより、赤外領域における遮光性が高いのみならず、可視光領域における透光性が高いパターンを形成できる。
【0024】
一般に、固体撮像素子の製造過程において半導体基板の位置を可視光センサーによって検出することを目的に、固体撮像素子における半導体基板の金属配線及びソルダーレジスト側の表面(すなわち、カラーフィルタやレンズとは反対側の表面)の所定位置には、しばしば、凸状、凹状等の位置を検出させる為にアライメントマークが設けられている。
赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側にさらに赤外線遮光性の層を設ける形態においては、赤外線遮光性の層が可視光に対して遮光性を有する層であったとしても、赤外線遮光の目的においては、この層の厚みをさほど大きくする必要がないため(ソルダーレジスト層よりも薄い膜で、赤外線遮光の目的を達成できるため)、アライメントマークが赤外線遮光性の層で被覆されても、可視光センサーによる検出には大きな支障はないことが多い。しかしながら、上記特許文献2のように、特に、ソルダーレジスト自体に遮光性を持たせるために、ソルダーレジスト組成物に黒色着色剤を含有させる形態においては、アライメントマークがソルダーレジスト層で被覆されると、ソルダーレジスト層の厚みに起因してか、可視光センサーによってアライメントマークが検出されないという不具合が、より発生しやすくなる。
【0025】
しかしながら、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物がタングステン化合物を含有すれば、上記したように、可視光領域における透光性が高いパターンを形成できるので、上記不具合が生じにくいという利点が生じる。
【0026】
また、上記したように、タングステン化合物は、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光(波長500nm以下の光源)に対しても吸収が小さい。よって、このようなタングステン化合物が、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の他の成分と組み合わされることにより、解像性や感度に優れたパターンが得られる。
【0027】
タングステン化合物としては、酸化タングステン系化合物、ホウ化タングステン系化合物、硫化タングステン系化合物などを挙げることができ、下記一般式(I)(組成式)で表される酸化タングステン系化合物であることがより好ましい。
・・・(I)
Mは金属、Wはタングステン、Oは酸素を表す。
0.001≦x/y≦1.1
2.2≦z/y≦3.0
【0028】
Mの金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Sn、Pb、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Biが挙げられるが、アルカリ金属であることが好ましい。Mの金属は1種でも2種以上でも良い。
【0029】
Mはアルカリ金属であることが好ましく、Rb又はCsであることが好ましく、Csであることがより好ましい。
【0030】
x/yが0.001以上であることにより、赤外線を十分に遮蔽することができ、1.1以下であることにより、タングステン化合物中に不純物相が生成されることをより確実に回避することできる。
z/yが2.2以上であることにより、材料としての化学的安定性をより向上させることができ、3.0以下であることにより赤外線を十分に遮蔽することができる。
【0031】
上記一般式(I)で表される酸化タングステン系化合物の具体例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができ、Cs0.33WO又はRb0.33WOであることが好ましく、Cs0.33WOであることが更に好ましい。
【0032】
タングステン化合物は微粒子であることが好ましい。タングステン微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、タングステン微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、タングステン微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
【0033】
タングステン化合物は市販品として入手可能であるが、タングステン化合物が、例えば酸化タングステン系化合物である場合、酸化タングステン系化合物は、タングステン化合物を不活性ガス雰囲気若しくは還元性ガス雰囲気中で熱処理する方法により得ることができる(特許4096205号参照)。
また、酸化タングステン系化合物は、例えば、住友金属鉱山株式会社製のYMF−02などのタングステン微粒子の分散物としても、入手可能である。
【0034】
タングステン化合物と同様、金属ホウ化物も、赤外線(波長が約800〜1200nmの光)に対しては吸収が高く、可視光に対しては吸収が低く、画像形成に用いられる、高圧水銀灯、KrF、ArFなどの露光に用いられる可視域より短波の光に対しても吸収が小さい。よって、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物が金属ホウ化物を含有すれば、タングステン化合物を含有する場合と同様に、赤外領域における遮光性が高く、可視光領域における透光性が高く、解像性や感度に優れたパターンを得ることができる。
【0035】
金属ホウ化物としては、ホウ化ランタン(LaB)、ホウ化プラセオジウム(PrB)、ホウ化ネオジウム(NdB)、ホウ化セリウム(CeB)、ホウ化イットリウム(YB)、ホウ化チタン(TiB)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)、ホウ化ハフニウム(HfB)、ホウ化バナジウム(VB)、ホウ化タンタル(TaB)、ホウ化クロム(CrB、CrB)、ホウ化モリブデン(MoB、Mo、MoB)、ホウ化タングステン(W)などの1種又は2種以上を挙げることができ、ホウ化ランタン(LaB)であることがより好ましい。
【0036】
金属ホウ化物は微粒子であることが好ましい。金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、金属ホウ化物微粒子が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、金属ホウ化物微粒子の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
【0037】
金属ホウ化物は市販品として入手可能であり、例えば、住友金属鉱山株式会社製のKHF−7等の金属ホウ化物微粒子の分散物としても、入手可能である。
【0038】
赤外線遮蔽材の含有量は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、1質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが最も好ましい。
また、赤外線遮蔽材は2種以上を使用することが可能である。
【0039】
[2](B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」又は「化合物(B)」とも言う)を含有する。
活性光線又は放射線の照射により酸発生剤から発生する酸は、pKaが3以下の酸を発生させることが好ましい。酸発生剤は、熱により酸を発生しうる化合物であってもよい。
活性光線又は放射線の照射により酸発生剤から発生する酸としては、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、スルフィン酸、硫酸、亜硫酸、硫酸モノエステル、塩酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロ硼酸等の4級硼素酸などが挙げられる。
酸を発生する化合物としては、例えば、有機ハロゲン化化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オキシムエステル化合物、オニウム塩化合物、が挙げられる。
【0040】
上記有機ハロゲン化化合物としては、具体的には、若林等、「Bull Chem.Soc Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)」筆に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:S−トリアジン化合物が挙げられる。
【0041】
より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2―n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−ナトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0042】
有機ホウ素化合物としては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特開2000−131837、特開2002−107916、特許第2764769号、特願2000−310808号、等の各公報、及び、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19−22,1998,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩、特開平6−157623号公報、特開平6−175564号公報、特開平6−175561号公報に記載の有機ホウ素スルホニウム錯体或いは有機ホウ素オキソスルホニウム錯体、特開平6−175554号公報、特開平6−175553号公報に記載の有機ホウ素ヨードニウム錯体、特開平9−188710号公報に記載の有機ホウ素ホスホニウム錯体、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられる。
【0043】
上記ジスルホン化合物としては、特開昭61−166544号、特願2001−132318公報等記載される化合物が挙げられる。
【0044】
上記オキシムエステル化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979)1653−1660)、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385記載の化合物の化合物が挙げられるが、感度の観点から好ましくは、スルホン酸エステルであることが好ましい。
【0045】
上記オニウム塩化合物としては、例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号明細書、特開平4−365049号等に記載のアンモニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号の各明細書に記載のホスホニウム塩、欧州特許第104、143号、米国特許第339,049号、同第410,201号の各明細書、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、欧州特許第370,693号、同390,214号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号の各明細書に記載のスルホニウム塩、
【0046】
J.V.Crivello et al,Macromolecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩等が挙げられる。
【0047】
特に、反応性、及び、安定性の面から、酸発生剤は、上記オキシムエステル化合物、又はオニウム塩化合物であることが好ましい。
オニウム塩化合物としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩が好適に挙げられる。
【0048】
本発明において好適に用いられるオニウム塩は、下記一般式(RI−I)〜(RI−III)で表されるオニウム塩である。
【0049】
【化1】

【0050】
式(RI−I)中、Ar11はアリール基(好ましくは炭素数20以下)を表す。アリール基は置換基(好ましくは1〜6個の置換基)を有していてもよく、このような置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、アルケニル基(好ましくは炭素数1〜12)、アルキニル基(好ましくは炭素数1〜12)、アリール基(好ましくは炭素数1〜12)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12)、アリーロキシ基(好ましくは炭素数1〜12)、ハロゲン原子、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12)、ジアルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12)、アルキルアミド基(好ましくは炭素数1〜12)又はアリールアミド基(好ましくは炭素数6〜12)、カルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホニル基、チオアルキル基(好ましくは炭素数1〜12)、チオアリール基(好ましくは炭素数6〜12)が挙げられる。
11は1価の陰イオンを表し、陰イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン、スルフィン酸イオン、チオスルホン酸イオン及び硫酸イオンが挙げられる。陰イオンは、安定性の面から過塩素酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン、スルホン酸イオン又はスルフィン酸イオンであることが好ましい。
【0051】
式(RI−II)中、Ar21、Ar22は、各々独立に、アリール基(好ましくは炭素数20以下)を表す。アリール基は置換基(好ましくは1〜6個の置換基)を有していてもよく、このような置換基としては、上記式(RI−I)におけるAr11としてのアリール基が有していても良い置換基で説明したものを同様に挙げることができる。
21は1価の陰イオンを表し、その具体例は、上記式(RI−I)におけるZ11で説明したものと同様であり、好ましい例としては、上記式(RI−I)におけるZ11で説明したものと、カルボン酸イオンを挙げることができる。
【0052】
式(RI−III)中、R31、R32、R33は、各々独立に、アリール基、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を表し、反応性、安定性の面から、アリール基であることが望ましい。
アリール基、アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、置換基(好ましくは1〜6個の置換基)を有していてもよく、このような置換基としては、上記式(RI−I)におけるAr11としてのアリール基が有していても良い置換基で説明したものを同様に挙げることができる。
31は1価の陰イオンを表し、その具体例及び好ましい例は、上記式(RI−I)におけるZ11で説明したものと同様である。
【0053】
化合物(B)は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。
【0054】
[3](C)酸の作用により架橋反応を示す化合物
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、酸の作用により架橋反応を示す化合物(以下、「架橋剤」又は化合物(C)とも言う)を含有する。
化合物(C)としては、例えば、オキシラン基(エポキシ基、オキセタニル基など)、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、又はフェノール性水酸基を有する化合物などが挙げられる。
【0055】
パターン形成における感度や解像性、安定性の観点から、化合物(C)は、オキシラン基(エポキシ基、オキセタニル基など)、ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物、フェノール性水酸基を有する化合物であることが好ましく、ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物、又は、フェノール性水酸基を有する化合物であることがより好ましい。
【0056】
アルコキシメチル基におけるアルキル部位は、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよく、アルコキシメチル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0057】
化合物(C)は、オキシラン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、又はフェノール性水酸基を、2個以上で有することが好ましく、2個〜10個で有することが好ましく、2個〜6個で有することが更に好ましい。
【0058】
ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物は、一分子中に、ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を2個以上で有する化合物が硬化性の観点から好ましく、該基を4個以上で有する化合物がより好ましい。
ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物の具体例としては、2,6−ジメチロールフェノール部位を有する化合物、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサ(メトキシメチル)メラミンなどが挙げられる。
【0059】
また、ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物は、下記一般式(I)で表される基を有する化合物であることも好ましい。
【0060】
【化2】

【0061】
(上記一般式(I)中、T1及びT2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アセチル基を表す。)
【0062】
ここで、一般式(I)におけるT1及びT2がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は1〜8であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜4である。具体的には、メチル基、エチル、iso−プロピル基、tert−ブチル基等が好ましい。
また、T1及びT2がアルケニル基である場合、そのアルケニル基の炭素数は2〜18であることが好ましく、より好ましくは、炭素数2〜4である。
更に、T1及びT2がアシル基である場合、そのアシル基の炭素数は2〜18であることが好ましく、より好ましくは、炭素数2〜4である。
上記一般式(I)で表される構造の具体例としては、メトキシメチロールアミン基、ジメトキシメチルアミノ基、ジメチロールアミノ基(ジヒドロキシアミノ基)、ジエトキシメチルアミノ基等が挙げられる。
【0063】
ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物は、一般式(I)で表される基を、分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、このような化合物としては、メラミン骨格を有する化合物、ベンゾグアナミン骨格を有する化合物、グリコールウリル骨格を有する化合物、尿素骨格を有する化合物が挙げられる。また、一般式(I)で表される基を有する化合物を2価の連結基を介して縮合した縮合体であってもよい。
【0064】
また、本発明においては、これらの中でも、下記一般式(II)で表されるアミノ化合物が好ましい。
【0065】
【化3】

【0066】
(上記一般式(II)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アセチル基を表す。)
【0067】
ここで、一般式(II)のR〜Rにおける水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アセチル基は、前記一般式(I)のT及びTにおける水素原子、アルキル基、アルケニル基、アシル基、アセチル基と同義である。
【0068】
以下に、本発明に好適に用いられる特定アミノ化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0069】
【化4】

【0070】
【化5】

【0071】
【化6】

【0072】
【化7】

【0073】
【化8】

【0074】
ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシメチル基を有する化合物としては、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物も好適に挙げることができる。
【0075】
【化9】

【0076】
一般式(I)中、X〜XはCHOH又はHを示し、X〜Xのうち少なくとも3つはCHOHである。一般式(II)中、Y〜YはCHOCH、CHOH又はHを示し、Y〜Yのうち少なくとも3つはCHOCH又はCHOHであり、そのうち少なくとも一つはCHOCHである。好ましくはX〜Xのうち4つ以上がCHOH、Y〜Yのうち4つ以上がCHOCH又はCHOHでありそのうち一つ以上がCHOCHである。さらに好ましくはX〜Xの全てがCHOH、Y〜Yの全てがCHOCH又はCHOHでありそのうち一つ以上がCHOCHである。
【0077】
オキシラン基を有する化合物としては、それぞれ、1分子内に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物、及び、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物を、好適に挙げることができる。
前記1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ化合物(「YX4000;ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ化合物(「TEPIC;日産化学工業社製」、「アラルダイトPT810;BASFジャパン社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物(エポトートYDF−170;東都化成株式会社製)、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾ−ルノボラック型エポキシ化合物、ハロゲン化エポキシ化合物(例えば、低臭素化エポキシ化合物、高ハロゲン化エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物、ジフェニルジメタノール型エポキシ化合物、フェノールビフェニレン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(「HP−7200、HP−7200H;DIC株式会社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ化合物(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ化合物(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT−300、GT−400、EHPE3150;ダイセル化学工業製」等、)、
【0078】
イミド型脂環式エポキシ化合物、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、テトラフェニロールエタン型エポキシ化合物、グリシジルフタレート化合物、テトラグリシジルキシレノイルエタン化合物、ナフタレン基含有エポキシ化合物(ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、4官能ナフタレン型エポキシ化合物、市販品としては「ESN−190、ESN−360;新日鉄化学社製」、「HP−4032、EXA−4750、EXA−4700;DIC株式会社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ化合物、環状含リン構造を有するエポキシ化合物、α―メチルスチルベン型液晶エポキシ化合物、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ化合物、アゾフェニル型液晶エポキシ化合物、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ化合物、ビナフチル型液晶エポキシ化合物、アジン型エポキシ化合物、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ化合物(「CP−50S、CP−50M;日油株式会社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ化合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
また、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることができ、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β−アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ−アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ−アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0080】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、室温における保存安定性の観点から、前記固体撮像素子用硬化性組成物中に含まれる前記エポキシ化合物全量中における、全エポキシ基中のβ−アルキル置換グリシジル基の割合が、30モル%以上であるのが好ましく、40モル%以上であるのがより好ましく、50モル%以上であるのが特に好ましい。
β−アルキル置換グリシジル基としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、β−プロピルグリシジル基、β−ブチルグリシジル基、などが挙げられ、これらの中でも、前記固体撮像素子用硬化性組成物の保存安定性を向上させる観点、及び合成の容易性の観点から、β−メチルグリシジル基が好ましい。
【0081】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、多価フェノール化合物とβ−アルキルエピハロヒドリンとから誘導されたエポキシ化合物が好ましい。
また、β−アルキルエピハロヒドリンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−メチルエピクロロヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン、β−メチルエピフロロヒドリン等のβ−メチルエピハロヒドリン;β−エチルエピクロロヒドリン、β−エチルエピブロモヒドリン、β−エチルエピフロロヒドリン等のβ−エチルエピハロヒドリン;β−プロピルエピクロロヒドリン、β−プロピルエピブロモヒドリン、β−プロピルエピフロロヒドリン等のβ−プロピルエピハロヒドリン;β−ブチルエピクロロヒドリン、β−ブチルエピブロモヒドリン、β−ブチルエピフロロヒドリン等のβ−ブチルエピハロヒドリン;などが挙げられる。これらの中でも、前記多価フェノールとの反応性及び流動性の観点から、β−メチルエピハロヒドリンが好ましい。
【0082】
多価フェノール化合物としては、1分子中に2以上の芳香族性水酸基を含有する化合物であれば、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ビフェノール、テトラメチルビフェノール等のビフェノール化合物、ジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等のナフトール化合物、フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物等のフェノールノボラック化合物、クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物、ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物、フェノールと炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノールとホルムアルデヒドとの共重縮合物、フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物などが挙げられる。これらの中でも、例えば、流動性及び保存安定性を向上させる目的で選択する場合には、前記ビスフェノール化合物が好ましい。
【0083】
β位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビフェノール化合物のジ−β−アルキルグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフタレンのジ−β−アルキルグリシジルエーテル、ビナフトールのジ−β−アルキルグリシジルエーテル等のナフトール化合物のβ−アルキルグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;クレゾール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のモノアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;キシレノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等の炭素数1〜10のジアルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;ビスフェノールA−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル等のビスフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;フェノール化合物とジビニルベンゼンの重付加物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテル;などが挙げられる。
【0084】
これらの中でも、下記一般式(D−1)で表されるビスフェノール化合物、及びこれとエピクロロヒドリンなどから得られる重合体から誘導されるβ−アルキルグリシジルエーテル、及び下記一般式(D−2)で表されるフェノール化合物−ホルムアルデヒド重縮合物のポリ−β−アルキルグリシジルエーテルが好ましい。
【0085】
【化10】

【0086】
前記一般式(D−1)中、RD1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜20の整数を表す。
前記一般式(D−2)中、RD1は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、RD2は水素原子、又はCHを表し、nは0〜20の整数を表す。
上記一般式(D−1)及び一般式(D−2)中に、複数存在するRD1及びRD2は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
これらβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また1分子中に少なくとも2つのエポキシ環を有するエポキシ化合物、及びβ位にアルキル基を有するエポキシ基を含むエポキシ化合物を併用することも可能である。
【0087】
前記エポキシ化合物の骨格としては、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、脂環式基含有型エポキシ化合物、及び難溶性エポキシ化合物から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0088】
前記1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン化合物としては、例えば、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する樹脂など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0089】
フェノール性水酸基を有する化合物は、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等のフェノール樹脂を挙げることができる。フェノール樹脂は、公知のものをいずれも使用することができる。
【0090】
また、化合物(C)としては、特開平5−9407号公報記載のポリイソシアネート化合物を用いることができ、該ポリイソシアネート化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族、環式脂肪族又は芳香族基置換脂肪族化合物から誘導されていてもよい。具体的には、2官能イソシアネート(例えば、1,3−フェニレンジイソシアネートと1,4−フェニレンジイソシアネートとの混合物、2,4−及び2,6−トルエンジイソシアネート、1,3−及び1,4−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネート−フェニル)メタン、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)、トリメチロールプロパン、ペンタリスルトール、グリセリン等の多官能アルコール、及び該多官能アルコールのアルキレンオキサイド付加体と、前記2官能イソシアネートとの付加体;ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート及びその誘導体等の環式三量体;などが挙げられる。なお、前記ポリイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、BL317(住友バイエルウレタン社製)などが挙げられる。
【0091】
化合物(C)の別の例として、前記ポリイソシアネート及びその誘導体のイソシアネート基にブロック剤を反応させて得られる化合物が挙げられる。
前記イソシアネート基ブロック剤としては、アルコール類(例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール等)、ラクタム類(例えば、ε−カプロラクタム等)、フェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−sec−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等)、複素環式ヒドロキシル化合物(例えば、3−ヒドロキシピリジン、8−ヒドロキシキノリン等)、活性メチレン化合物(例えば、ジアルキルマロネート、メチルエチルケトキシム、アセチルアセトン、アルキルアセトアセテートオキシム、アセトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等)などが挙げられる。これらの他、特開平6−295060号公報記載の分子内に少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つのブロックイソシアネート基のいずれかを有する化合物などを用いることができる。
【0092】
化合物(C)は、分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましく、1500以下の低分子化合物であることがより好ましく、分子量900以下の低分子化合物であることが更に好ましい。ここで、本発明における低分子化合物とは、不飽和結合を持った化合物(いわゆる重合性モノマー)を、開始剤を使用しつつその不飽和結合を開裂させ、連鎖的に結合を成長させることによって得られる、いわゆるポリマーやオリゴマーではなく、分子量2000以下(より好ましくは1500以下、更に好ましくは900以下)の一定の分子量を有する化合物(実質的に分子量分布を有さない化合物)である。なお、分子量は、通常、100以上である。
【0093】
化合物(C)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0094】
化合物(C)の含有量は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の全固形分質量に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
【0095】
[4](D)バインダー樹脂
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、バインダー樹脂を含有する。
【0096】
バインダー樹脂は、アルカリ可溶性バインダーであることが好ましく、これにより、硬化性組成物から得られる膜にパターン形成をするべく、露光を行った場合、未露光部をアルカリ現像液でより確実に除去することができ、アルカリ現像によってより優れたパターンを形成できる。
【0097】
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性基を有しており、アルカリ可溶性基としては、酸基、アルコール性水酸基、ピロリドン基、アルキレンオキシド基などを挙げることができ、より好ましくは酸基である。
酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、活性メチレン基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水基等が挙げられ、カルボキシル基、活性メチレン基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
【0098】
酸基を有するアルカリ可溶性バインダーは、特に限定されないが、モノマー成分として、酸基を有する重合性化合物を用いて得られた重合体であることが好ましく、酸価の調節の観点から、酸基を有する重合性化合物と、酸基を有さない重合性化合物とを共重合することよって得られた共重合体であることがより好ましい。
【0099】
酸基を有する重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンが好ましい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0100】
酸基を有さない重合性化合物としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)を好適に挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルのアルキルエステル部位におけるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアリールエステル部位におけるアリール基は、炭素数6〜14のアリール基であることが好ましく、炭素数6〜10のアリール基であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルのアラルキルエステル部位におけるアラルキル基は、炭素数7〜20のアラルキル基であることが好ましく、炭素数7〜12のアラルキル基であることがより好ましい。
【0101】
酸基を有する重合性化合物に対応するモノマーと酸基を有さない重合性化合物に対応するモノマーとのモル比は、通常、1:99〜99:1であり、30:70〜99:1であることが好ましく、50:50〜99:1であることがより好ましい。
前記酸基のアルカリ可溶性バインダーにおける含有量は、特に制限はないが、0.4meq/g〜4.0meq/gであることが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gであることがより好ましい。前記含有量が、0.5meq/g以上であることによりアルカリ現像性が十分に得られ、優れたパターンをより確実に得ることができる。前記含有量が4.0meq/g以下であることにより、永久パターンの強度が損なわれる虞れを確実に回避できる。
【0102】
バインダー樹脂としては線状有機ポリマーを用いることが好ましい。
上記の線状有機ポリマーとしては、側鎖にカルボキシル基を有するポリマーが好ましい。例えば特開昭59-44615号、特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-25957号、特開昭59-53836号、特開昭59-71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられる。
【0103】
これらの中では特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。
このほか、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの等も有用なものとして挙げられる。該ポリマーは任意の量で混合して用いることができる。
【0104】
バインダーポリマーの具体的な構成単位については、特に(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が好適である。ここで(メタ)アクリル酸はアクリル酸とメタクリル酸を合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0105】
前記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0106】
また、前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH=CR、CH=C(R)(COOR)〔ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、Rは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を表し、Rは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜12のアラルキル基を表す。〕、等を挙げることができる。
【0107】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい共重合可能な他の単量体は、CH=CR、CH=C(R)(COOR)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンから選択される少なくとも1種であり、特に好ましくは、CH=CR及び/又はCH=C(R)(COOR)である。
【0108】
バインダー樹脂は、架橋性基を有する樹脂であっても良く、その場合、側鎖に架橋性基を有する樹脂であることが好ましく、これにより、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
ここで架橋性基とは、硬化性組成物から得られた感光層を露光又は加熱した際に感光層中で起こる架橋反応の過程でバインダー樹脂を架橋させる基のことである。
このような機能の基であれば特に限定されないが、例えば、架橋性基としては、フェノール基、エチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。エチレン性不飽和結合基としては、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が挙げられ、露光前の架橋性基の安定性と、永久パターンの強度との両立の観点からは、(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
【0109】
バインダー樹脂中の架橋性基の含有量は、特に制限はないが、0.3meq/g〜3.0meq/gが好ましく、1.0meq/g〜3.0meq/gがより好ましく、1.5meq/g〜2.8meq/gが特に好ましい。前記含有量が0.3meq/g以上であることにより、硬化反応量が充分であり、高い感度が得られ、3.0meq/g以下であることにより、硬化性組成物の保存安定性を高くすることができる。
ここで、前記含有量(meq/g)は、例えば、ヨウ素価滴定により測定することができる。
【0110】
本発明に使用しうる架橋性基を有する樹脂(以下、適宜、特定バインダー樹脂Aと称する。特定バインダー樹脂Aは、好ましくは、アルカリ可溶性バインダーである。)は、その構造において、非画像部除去性などの諸性能を向上させるために、樹脂が、より確実にアルカリ可溶となるための酸基と、架橋性基を有することが好ましい。このような部分構造を有するバインダー樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の化合物を本発明にも使用することができる。
これら架橋性基を含有するバインダー樹脂の例を以下に示すが、分子内にCOOH基、OH基等のアルカリ可溶性基と架橋性基とが含まれていれば、下記に限定されない。
(1)予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を少なくとも1つ含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂。
(2)カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂。
(3)OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂。
上記のうち、特に(1)及び(2)の樹脂が好ましい。
【0111】
本発明に用いうる架橋性基を有するバインダーポリマーは、エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有するポリマーやエポキシアクリレートポリマーなど、重合性基を少なくとも1つ有するバインダーポリマーであってもよい。
【0112】
また、前記エチレン性不飽和二重結合を少なくとも1つ有するポリマーとしては、更に、酸基を少なくとも1つ有することが好ましい。
酸基としては、上記したものが挙げられるが、原料入手の点からカルボキシル基が好ましい。
【0113】
前記特定バインダー樹脂Aにおける架橋性基としては、例えば、(メタ)アクリレート基又は(メタ)アクリルアミド基等の(メタ)アクリル基、カルボン酸のビニルエステル、ビニルエーテル、アリルエーテル等の各種重合性二重結合を用いることができ、特定バインダー樹脂Aとしては、具体的には、酸基としてカルボキシル基を含有するアクリル樹脂に、環状エーテル基含有重合性化合物、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、桂皮酸等の不飽和脂肪酸のグリシジルエステルや、脂環式エポキシ基(例えば同一分子中にシクロヘキセンオキシド等のエポキシ基)と(メタ)アクリロイル基を有する化合物等のエポキシ基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物等が挙げられる。また、酸基及び水酸基を含有するアクリル樹脂に、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有の重合性化合物を付加させて得られる化合物、無水物基を含有するアクリル樹脂に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する重合性化合物を付加させて得られる化合物等も挙げられる。また、グリシジルメタクリレート等の環状エーテル基含有重合性化合物と(メタ)アクリロイルアルキルエステル等のビニルモノマーを共重合し、側鎖のエポキシ基に(メタ)アクリル酸を付加させて得られる化合物等も挙げられる。
これらの例は、特許第2763775号公報、特開平3−172301号公報、及び、特開2000−232264号公報等に記載される化合物が挙げられる。
【0114】
これらの中で、特定バインダー樹脂Aが、高分子化合物の酸基の一部に環状エーテル基(例えばエポキシ基、オキセタン基を部分構造に有する基)含有重合性化合物を付加させたもの、及び高分子化合物の環状エーテル基の一部又は全部にカルボキシル基含有重合性化合物を付加させたもののいずれかから選択された高分子化合物であることが、更に好ましい。この際、酸基と環状エーテル基を有する化合物との付加反応は触媒存在下で実施するのが好ましく、特に、その触媒が酸性化合物及び中性化合物から選択されるものであることが好ましい。
その中でも、固体撮像素子用硬化性組成物の経時での現像安定性の点から、特定バインダー樹脂Aは、側鎖にカルボキシル基を含み、且つ、側鎖に、ヘテロ環を含んでもよい芳香族基及びエチレン性不飽和結合を含む高分子化合物が好ましい。
【0115】
前記ヘテロ環を含んでもよい芳香族基(以下、単に「芳香族基」と称することもある。)としては、例えば、ベンゼン環、2個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したもの等が挙げられる。
前記芳香族基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、ベンゾピロール環基、ベンゾフラン環基、ベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、イソキサゾール環基、イソチアゾール環基、インダゾール環基、ベンゾイソキサゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンズイミダゾール環基、ベンズオキサゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キナゾリン環基、キノキサリン環基、アシリジン環基、フェナントリジン環基、カルバゾール環基、プリン環基、ピラン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、インドール環基、インドリジン環基、クロメン環基、シンノリン環基、アクリジン環基、フェノチアジン環基、テトラゾール環基、トリアジン環基等が挙げられる。これらの中では、炭化水素芳香族基が好ましく、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0116】
前記芳香族基は、置換基を有していてもよく、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアミノ基、アルコキシカルボニル基、水酸基、エーテル基、チオール基、チオエーテル基、シリル基、ニトロ基、シアノ基、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0117】
特定バインダー樹脂Aにおける酸基の含有量は、1.0meq/g〜4.0meq/gが好ましく、1.5meq/g〜3.0meq/gがより好ましい。酸基の含有量が、1.0meq/g以上となることにより、アルカリ現像性が十分に得られ、優れたパターンをより確実に得ることができる。前記含有量が4.0meq/g以下であることにより、永久パターンの強度が損なわれる虞れを確実に回避できる。
前記特定バインダー樹脂Aにおける、架橋性基の含有量の好ましい範囲は、アルカリ可溶性バインダー中の架橋性基の含有量の好ましい範囲として前記したものと同様である。
【0118】
本発明においてバインダー樹脂として用いられる別の好ましい例としては、ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂の少なくとも一方(以下、適宜、特定バインダー樹脂Bと称する。)が挙げられる。特定バインダー樹脂Bとしては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素含有ポリイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ポリマレイミド樹脂等が挙げられる。
本発明で使用されるポリアミド樹脂としては、ポリアミド酸(ポリアミック酸)を挙げることができ、本発明で使用されるポリイミド樹脂は、例えば、前駆体としての前記ポリアミック酸を加熱閉環イミド化することによって形成される。
ポリアミド樹脂及びポリイミド樹脂の合成に用いられるポリアミック酸は、通常、下記一般式(IV)で表される構造単位を主成分とする。
【0119】
【化11】

【0120】
前記一般式(IV)中、nは0〜4の整数を表す。Rは酸成分残基であり、少なくとも
2個の炭素原子を含む3価または4価の有機基を表す。
耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の3価または4価の基が好ましい。
で表される有機基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基などから誘導された基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、Rとしては、フェニル基、シクロブチル基が好ましい。
は少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基を示す。耐熱性の面から、Rは環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2価の基が好ましい。
で表される二価の有機基の例としては、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、シクロヘキシルメタン基などから誘導された2価の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なかでも、Rとしては、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルメタン基が好ましい。
上記一般式(IV)で表される構造単位を主成分とするポリマーは、一般式(IV)で表される構造単位を1種のみ含む単独重合体であってもよく、互いに異なる2種以上の一般式(IV)で表される構造単位を含む共重合体であってもよい。
また、一般式(IV)で表される構造単位以外の構造単位を共重合成分として含んでいてもよい。
【0121】
本発明においてバインダー樹脂として用いられる別の好ましい例としては、ウレタン樹脂(以下、適宜、特定バインダー樹脂Cと称する。)が挙げられる。ここで、特定バインダー樹脂Cは、側鎖に架橋性基を有していてもよい。
特定バインダー樹脂Cが側鎖に有していてもよい架橋性基としては、下記一般式(C−1)〜(C−3)のいずれかで表される官能基が挙げられる。まず、下記一般式(C−1)〜(C−3)で表される官能基について説明する。
【0122】
【化12】

【0123】
上記一般式(C−1)において、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表すが、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。また、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0124】
Xは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表し、R12は、水素原子、又は1価の有機基を表す。ここで、R12は、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0125】
ここで、導入し得る置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、アミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基などが挙げられる。
【0126】
【化13】

【0127】
上記一般式(C−2)において、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表すが、R〜Rは、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好ましい。
【0128】
導入し得る置換基としては、一般式(C−1)と同様のものが例示される。また、Yは、酸素原子、硫黄原子、又は−N(R12)−を表す。R12は、一般式(C−1)のR12の場合と同義であり、好ましい例も同様である。
【0129】
【化14】

【0130】
上記一般式(C−3)において、Rとしては、好ましくは、水素原子又は置換基を有
してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、メチル基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルアミノ基、置換基を有してもよいアリールアミノ基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基などが挙げられ、なかでも、水素原子、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が、ラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0131】
ここで、導入し得る置換基としては、一般式(C−1)において導入しうる置換基と同様のものが例示される。また、Zは、酸素原子、硫黄原子、−N(R13)−、又は置換基を有してもよいフェニレン基を表す。R13としては、置換基を有してもよいアルキル基などが挙げられ、なかでも、メチル基、エチル基、イソプロピル基がラジカル反応性が高いことから好ましい。
【0132】
次に、本発明に係る特定バインダー樹脂Cの基本骨格について説明する。
本発明に係る特定バインダー樹脂Cは、下記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と、一般式(C−5)で表されるジオール化合物の少なくとも1種と、の反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
【0133】
OCN−X0−NCO (C−4)
HO−Y0−OH (C−5)
【0134】
一般式(C−4)及び(C−5)中、X0、Y0は、それぞれ独立に2価の有機残基を表す。
【0135】
上記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物、又は、一般式(C−5)で表されるジオール化合物の少なくともどちらか一方が、一般式(C−1)〜(C−3)で表される基のうち少なくとも1つを有していれば、当該ジイソシアネート化合物と当該ジオール化合物との反応生成物として、側鎖に上記一般式(C−1)〜(C−3)で表される基が導入されたポリウレタン樹脂が生成される。かかる方法によれば、ポリウレタン樹脂の反応生成後に所望の側鎖を置換、導入するよりも、容易に、側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂を製造することができる。
【0136】
1)ジイソシアネート化合物
上記一般式(C−4)で表されるジイソシアネート化合物としては、例えば、トリイソシアネート化合物と、不飽和基を有する単官能のアルコール又は単官能のアミン化合物1当量とを付加反応させて得られる生成物がある。
ジイソシアネート化合物を得るための上記化合物の具体例については、特開2006−63550号公報の段落番号〔0034〕〜〔0040〕に記載され、該化合物を用いることができる。また、ジイソシアネート化合物として側鎖に重合性基を有する、同公報段落番号〔0042〕〜〔0049〕に記載の化合物を用いることも好ましい。
【0137】
2)ジオール化合物
上記一般式(C−5)で表されるジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
【0138】
特定バインダー樹脂Cが、側鎖に架橋性基を有する場合、そのような特定バインダー樹脂Cを得る方法としては、前述の方法の他に、ポリウレタン樹脂製造の原料として、側鎖に不飽和基を含有するジオール化合物を用いる方法も好適である。そのようなジオール化合物は、例えば、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルのように市販されているものでもよいし、ハロゲン化ジオール化合物、トリオール化合物、アミノジオール化合物と、不飽和基を含有するカルボン酸、酸塩化物、イソシアネート、アルコール、アミン、チオール、ハロゲン化アルキル化合物との反応により容易に製造される化合物であってもよい。これら化合物の具体的な例としては、例えば同公報段落番号〔0057〕〜〔0066〕に記載の化合物が挙げられ、本発明においても好適に使用しうる。
【0139】
更に、特定バインダー樹脂Cの合成には、上記ジオール化合物の他に、カルボキシル基を有するジオール化合物を併用することもできる。
このようなジオール化合物としては、例えば、同公報に式(17)〜(19)として記載されるものが含まれ、具体的には、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0140】
このようなカルボキシル基の存在により、特定バインダー樹脂Cに水素結合性とアルカリ可溶性といった特性を付与できるため好ましい。
前記側鎖に架橋性基を有するポリウレタン樹脂は、更に、側鎖にカルボキシル基を有する樹脂であることが好ましく、より具体的には、側鎖に、例えばエチレン性不飽和結合基を、当量で言えば、0.3meq/g以上、さらには0.35〜1.50meq/g含有し、且つ、側鎖にカルボキシル基を0.4meq/g以上、より好ましくは0.45〜1.00meq/g含有するポリウレタン樹脂が、本発明のバインダーポリマーとして特に好ましい。
【0141】
バインダー樹脂は、ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂の少なくとも一方であることが好ましく、ポリアミド系樹脂であることがより好ましい。
【0142】
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物に使用しうるバインダー樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは3,000以上であり、更に好ましくは5,000〜30万の範囲であり、最も好ましくは1万〜3万、数平均分子量については好ましくは1、000以上であり、更に好ましくは2,000〜25万の範囲である。多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
これらのバインダー樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
【0143】
本発明で用いうるバインダー樹脂は、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
固体撮像素子用硬化性組成物において用いうるバインダー樹脂が、ビニル結合を有するモノマーにより合成される場合に使用されるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
【0144】
また、本発明に使用されるバインダー樹脂としては、欧州特許993966、欧州特許1204000、特開2001−318463等に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダー樹脂は、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。更にこの他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0145】
さらに、酸基とエチレン性不飽和結合とを側鎖に有し、かつ、ビスフェノールA型骨格、及びビスフェノールF型骨格を有する高分子化合物や、酸性基とエチレン性不飽和結合とを有するノボラック樹脂や、レゾール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、特開平11−240930号公報段落番号〔0008〕〜〔0027〕に記載される手法により得ることができる。
【0146】
その他、本発明に使用されるバインダー樹脂としては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、このようなバインダー樹脂は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0147】
また、本発明におけるバインダー樹脂は、固体撮像素子のソルダーレジスト用硬化性組成物を塗布する場合の被膜形成性の向上のみならず、バインダー樹脂の種類を選択することにより、形成されるソルダーレジストの膜の強靱性や絶縁信頼性を向上させることができる。例えば、バインダー樹脂として、エポキシアクリレート含有樹脂、ポリアミド(イミド)含有樹脂、ポリイミド前駆体、ベンジル(メタ)アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーとを含んで形成される共重合体、アリル(メタ)アクリレートモノマーと(メタ)アクリル酸とを含んで形成される共重合体などを選択することで、露光による硬化膜の強度が改良され、固体撮像素子のソルダーレジスト用硬化性組成物を、露光、現像して得られるソルダーレジストの強靱性、絶縁信頼性が改良される。
【0148】
バインダー樹脂の含有量は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の全固形分質量に対して、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましい。
含有量が上記範囲であると、露光感度が良好で、加工時間が短時間で済み、且つ、良好な冷熱衝撃耐性が得られる。
【0149】
[5]分散剤
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、赤外線遮蔽材の硬化性組成物中での分散性、分散安定性向上を目的として、公知の分散剤により分散して用いてもよい。
【0150】
本発明に用いうる分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0151】
表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、特開2008−29901号公報等に記載の片末端に水酸基又はアミノ基を有するオリゴマー又はポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
【0152】
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂、特開平10−339949号、特開2004−37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。
【0153】
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性かつ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、硬化性組成物における赤外線遮蔽材の分散性、分散安定性、及び赤外線遮蔽材を用いた硬化性組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
【0154】
表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
【0155】
分散剤としては、例えば、公知の分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。
【0156】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の分散剤は、前記赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
【0157】
以下に、本発明において好ましく用いられる特開2010−106268号公報に記載される分散樹脂について説明する。
好ましい分散剤は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレートこうぞうから選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、少なくとも下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3)、及び、下記式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
【0158】
【化15】

【0159】
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及び、Xはそれぞれ独立に水素原子或いは1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、及び、Wはそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(3)中、R’は、分岐若しくは直鎖のアルキレン基(炭素数は1〜10が好ましく、2又は3であることがより好ましい)を表し、−CH−CH(CH)−で表される基、又は、−CH(CH)−CH−で表される基が好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及び、Yはそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。具体的には、下記の(Y−1)から(Y−20)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
【0160】
【化16】

【0161】
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及び、Zは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の置換基であり、置換基の構造は特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、或いはヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、或いはヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、炭素数5から24のアルキル基が好ましく、その中でも、特に炭素数5から24の分岐アルキル基或いは炭素数5から24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及び、qはそれぞれ1から500の整数である。
式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
【0162】
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
また、式(4)中のRとしては特定樹脂中に構造の異なるRを2種以上混合して用いても良い。
【0163】
前記式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
【0164】
【化17】

【0165】
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0166】
具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。なお、下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値(主鎖繰り返し単位に併記される数値)は、当該構造単位の含有量〔質量%:(wt%)と記載〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、当該繰り返し部位の繰り返し数を示す。
【0167】
【化18】

【0168】
【化19】

【0169】
【化20】

【0170】
【化21】

【0171】
【化22】

【0172】
【化23】

【0173】
【化24】

【0174】
【化25】

【0175】
【化26】

【0176】
【化27】

【0177】
【化28】

【0178】
【化29】

【0179】
【化30】

【0180】
【化31】

【0181】
【化32】

【0182】
【化33】

【0183】
【化34】

【0184】
分散剤を用いる場合には、まず、赤外線遮蔽材と分散剤と、適切な溶剤により分散組成物を調製した後、硬化性組成物に配合することが分散性向上の観点から好ましい。
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、分散剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、分散組成物中における分散剤の含有量としては、分散組成物中の赤外線遮蔽材の全固形分質量に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
【0185】
[6]増感剤
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、酸発生剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜500nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
【0186】
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから500nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
固体撮像素子用硬化性組成物は、増感剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、増感剤の含有量は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上4質量%以下であることがより好ましい。
【0187】
[7]硬化促進剤
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、前記架橋剤の硬化を促進することを目的に、更に、硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。硬化促進剤は、メラミン又はジシアンジアミンであることが好ましい。
硬化促進剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
固体撮像素子用硬化性組成物は、硬化促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化促進剤の硬化性組成物の全固形分に対する含有量は、通常0.01〜15質量%である。
【0188】
[8]フィラー
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物には、更にフィラーを含んでもよい。本発明に用い得るフィラーとしては、シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカが挙げられる。
本発明の硬化性組成物がフィラーを含有することにより、耐久性の高いパターンが得られる点で好ましい(特に、ソルダーレジストで覆われる金属配線の配線密度が高い場合など、ソルダーレジストに対してより厳しい耐久性が求められる場合、上記効果は顕著である)。
シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカを用いることにより、硬化性組成物のサーマルサイクルテスト耐性、保存安定性が向上し、例えば、サーマルサイクルテストの如き厳しい雰囲気を経た後も、パターン形成直後と同様な良好な形状を維持することが可能となる。
【0189】
なお、球状フィラーにおける「球状」とは、粒子形状が、針状、柱状、不定形ではなく、丸みを帯びていればよく、必ずしも「真球状」である必要はないが、代表的な「球状」の携帯としては「真球状」が挙げられる。
前記フィラーが球状であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、確認することができる。
【0190】
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm〜3μmが好ましく、0.1μm〜1μmがより好ましい。前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径が上記範囲において、チクソトロピー性の発現による加工性の低下が抑制され、且つ、最大粒子径が大きくなることもないために、得られる硬化膜における異物の付着や塗膜の不均一に起因する欠陥の発生が抑制されることから有利である。
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
前記フィラーは前述の分散剤、バインダーを用いることにより分散することができる。前記したように、硬化性の観点から、側鎖に架橋性基を有する樹脂(好ましくは、アルカリ可溶性バインダー)が特に好ましい。
【0191】
−表面処理−
次に、フィラーの表面処理について説明する。フィラーの表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤によりシリカを被覆する処理が好ましい。
【0192】
−シランカップリング剤−
フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「「第1官能基」とも称する。」と、(メタ)アクリロイル基、アミノ基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「第2官能基」とも称する。)が好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基がより好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基がより好ましい。前記第2官能基が(メタ)アクリロイル基であると、保存安定性やTCT耐性点で、有利である。
【0193】
また、特公平7−68256号公報に記載される、第1官能基として、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種と、第2官能基として、イミダゾール基、アルキルイミダゾール基、及びビニルイミダゾール基から選択される少なくとも1種とを有するものも同様に好ましく用いることができる。
【0194】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、特公平7−68256号公報に記載されるα−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、4−ビニル−α−[[3−(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]−イミダゾール−1−エタノール、2−エチル−4−メチルイミダゾプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの塩、分子内縮合物、分子間縮合物等が好適に挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0195】
前記シランカップリング剤による球状のシリカの表面処理は、該球状のシリカのみに対して予め行なってもよいし(この場合を以下「前処理」とも称す。)、硬化性組成物に含まれる他のフィラーの一部又は全部と合わせて行ってもよい。
前処理を行う方法としては、特に制限はなく、例えば、乾式法、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。前処理を行なう温度は、特に制限はないが、常温〜200℃が好ましい。
前処理を行なう際には触媒を加えることも好ましい。この触媒としては、特に制限はなく、例えば、酸、塩基、金属化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
【0196】
前処理を行なう場合のシランカップリング剤の添加量は、特に制限はないが、球状のシリカ100質量部に対し、0.01質量部〜50質量部の範囲が好ましく、0.05質量部〜50質量部の範囲がより好ましい。前記添加量が上記範囲において、効果を発現するに十分な表面処理が行われ、且つ、処理後の球状のシリカの凝集に起因する取り扱い性の低下が抑制される。
【0197】
前記シランカップリング剤は、前記第1官能基が、基材表面、球状のシリカ表面、及びバインダーの活性基と反応し、更に前記第2官能基が、バインダーのカルボキシル基及びエチレン性不飽和基と反応するために、基材と感光層との密着性を向上させる作用がある。一方、前記シランカップリング剤は反応性が高いため、そのものを硬化性組成物中に添加した場合には、拡散作用により、保存中に主に第2官能基が反応乃至失活してしまい、シェルフライフやポットライフが短くなることがある。
【0198】
しかし、上述したように前記球状のシリカをシランカップリング剤で前処理したものを用いれば、拡散作用が抑制されることにより、シェルフライフやポットライフの問題が大幅に改善され、一液型とすることも可能になる。更に、球状のシリカに対して前処理を施す場合には、攪拌条件、温度条件、及び触媒の使用といった条件が自由に選べるため、前処理を行わずに添加する場合に比べてシランカップリング剤の第1官能基と球状のシリカ中の活性基との反応率を著しく高めることができる。したがって、特に無電解金メッキ、無電解半田メッキ、耐湿負荷試験といった苛酷な要求特性において非常に良好な結果が得られる。また、前記前処理を行うことでシランカップリング剤の使用量を少なくすることができ、シェルフライフ及びポットライフを更に改善できる。
本発明で用いることができるシランカップリング剤で表面処理された球状のシリカとしては、例えば、電気化学工業:FB、SFPシリーズ、龍森:1−FX、東亜合成:HSPシリーズ、扶桑化学工業:SPシリーズなどが挙げられる。
【0199】
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、フィラーを含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化性組成物の全固形分質量に対するフィラーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜60質量%が好ましい。添加量が上記範囲において、十分な線膨張係数の低下が達成され、且つ、形成された硬化膜の脆化が抑制され、永久パターンを用いて配線を形成した場合の配線の保護膜としての機能が十分に発現される。
【0200】
[9]エラストマー
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物には、更に、エラストマーを含んでいてもよい。
エラストマーを含有させることにより、硬化性組成物をソルダーレジストに用いた際のプリント配線板の導体層との密着性をより向上させることができるとともに、硬化膜の耐熱性、耐熱衝撃性、柔軟性及び強靭性をより向上させることができる。
【0201】
本発明に用いうるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。これらの中でも、ポリエステル系エラストマーが、その他素材との相溶性の点で、有利である。
【0202】
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマー等が挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製)、エラストマーAR(アロン化成製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム(株)製)、デンカSTR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ社製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業社製)等が挙げられる。
【0203】
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタンジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィンとの共重合体、及び、エポキシ化ポリブタジエンなどが挙げられる。また、オレフィン系エラストマーとしては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBR等が挙げられる。更に、オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0204】
オレフィン系エラストマーの具体例としては、ミラストマ(三井石油化学社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン−ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(日本合成ゴム社製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(日本合成ゴム社製)、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(日本合成ゴム社製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンの“BF−1000”(日本曹達社製)等が挙げられる。
【0205】
ウレタン系エラストマーは、低分子(短鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるハードセグメントと、高分子(長鎖)ジオール及びジイソシアネートからなるソフトセグメントと、の構造単位からなるものである。高分子(長鎖)ジオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−へキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000であることが好ましい。低分子(短鎖)ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等が挙げられる。短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500であることが好ましい。ウレタン系エラストマーの具体例としては、PANDEX T−2185、T−2983N(以上、大日本インキ化学工業社製)、シラクトランE790等が挙げられる。
【0206】
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体とを重縮合して得られるものである。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香環の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、並びに、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。ジオール化合物の具体例として、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントの種類、比率、並びに分子量の違い等により様々なグレードのものがある。ポリエステル系エラストマーの具体例としては、ハイトレル(デュポン−東レ社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、エスペル(日立化成工業社製)等が挙げられる。
【0207】
ポリアミド系エラストマーは、ポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル又はポリエステルからなるソフトセグメントと、から構成されるものであり、ポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型との2種類に大別される。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が挙げられる。ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。ポリアミド系エラストマーとして具体的には、UBEポリアミドエラストマー(宇部興産社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)、PEBAX(東レ社製)、グリロンELY(エムスジャパン社製)、ノバミッド(三菱化学社製)、グリラックス(大日本インキ化学工業社製)等が挙げられる。
【0208】
アクリル系エラストマーは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるものである。アクリル系エラストマーとしては、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0209】
シリコーン系エラストマーは、オルガノポリシロキサンを主成分としたものであり、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。また、オルガノポリシロキサンの一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものを用いてもよい。シリコーン系エラストマーの具体例としては、KEシリーズ(信越化学社製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0210】
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるものである。
【0211】
エラストマーの中でも、せん断密着性及び耐熱衝撃性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリエステル系エラストマーである水酸基を有するエスペル(エスペル1612、1620、日立化成工業社製)、エポキシ化ポブタジエンが好ましい。
【0212】
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、エラストマーを含有してもしなくてもよいが、含有する場合、硬化性組成物の全固形分質量に対するエラストマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分中の0.5質量%〜30質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましく、3質量%〜8質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、せん断接着性及び耐熱衝撃性を更に向上させることが可能となる点で、有利である。
【0213】
[10]界面活性剤
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0214】
特に、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する固体撮像素子用硬化性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0215】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、固体撮像素子用硬化性組成物中における溶解性も良好である。
【0216】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0217】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
【0218】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0219】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0220】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
固体撮像素子用硬化性組成物は、界面活性剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、界面活性剤の含有量は、本発明の硬化性組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
【0221】
[11]その他の成分
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物には、前記必須成分や前記好ましい添加剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を適宜選択して用いてもよい。
併用可能なその他の成分としては、例えば、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、着色剤(着色顔料あるいは染料)などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とするソルダーレジストの安定性、写真性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0101〕〜〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0103〕〜〔0104〕に詳細に記載されている。
前記着色剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0105〕〜〔0106〕や特開2009−205029号公報の段落〔0038〕,〔0039〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されている。
これら公報に記載の添加剤は、いずれも本発明の固体撮像素子用硬化性組成物に使用可能である。
【0222】
このようにして得られた本発明の固体撮像素子用硬化性組成物は、固形分濃度は5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以上80質量%以下、最も好ましくは40質量%以上60質量%である。
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の用途は、特に限定されないが、ソルダーレジスト用、固体撮像素子におけるシリコン基板の裏面に対する遮光膜用、ウエハーレベルレンズに対する遮光膜用などを挙げることができ、ソルダーレジスト用であることが好ましい。
本発明の固体撮像素子用硬化性組成物が、ソルダーレジスト用である場合、比較的厚みの大きい塗膜を形成するために、固形分濃度は30質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上70質量%以下、最も好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
また、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物の粘度は、1mPa・s以上3000mPa・s以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは、10mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲であり、最も好ましくは、200mPa・s以上1000mPa・s以下の範囲である。
また、所望の粘度を得る方法としては、例えば、予め、フィラー及びエラストマーの少なくとも一方を分散して得られる分散液を、粘度が100mPa・s以上60,000mPa・s以下となるように調製し、次いで、他の成分を添加することで所望の粘度の固体撮像素子用硬化性組成物を得ることができる。
【0223】
本発明は、上記した本発明の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される感光層にも関する。このような感光層は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物より形成されているので、アルカリ現像によって、赤外領域における遮光性が高く、耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性など)に優れるとともに、所望の矩形形状を有するパターンを高感度で形成可能な感光層である。
また、本発明は、上記した本発明の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される永久パターンにも関する。本発明の永久パターンは、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物より形成された感光層に対して、露光及びアルカリ現像を行うことにより得られるものであり、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物を使用していることによって、アルカリ現像によって、赤外領域における遮光性が高く、耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性など)に優れるとともに、所望の矩形形状を有するパターンである。
さらに、本発明は、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物を用いて感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法にも関する。
【0224】
以下、本発明の固体撮像素子用硬化性組成物を用いてパターン状のソルダーレジストを例にとって、永久パターンを形成する方法について詳述する。しかしながら、以下の塗布液調製用の溶剤の種類や使用量、塗布液の塗布方法、感光層の厚み、露光工程やその他の工程などに関する説明は、ソルダーレジスト用途に限った内容ではない。なお、ここでは、固体撮像素子用硬化性組成物を用いて感光層(硬化性組成物層)を形成する場合を例に挙げる。
【0225】
−感光層−
パターン状のソルダーレジスト(ソルダーレジストパターン)を形成するには、まず、前記本発明の固体撮像素子用硬化性組成物により感光層を形成する。感光層は、前記硬化性組成物を含んで形成される層であれば、特に制限はなく、膜厚、積層構造などについては、目的に応じて適宜選択することができる。
【0226】
前記感光層の形成方法としては、支持体上に、本発明の前記硬化性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させてなる塗布液を調製し、該塗布液を直接塗布し、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
【0227】
塗布液調製用の溶剤には、特に制限はなく、前記本発明の硬化性組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル−プロパノール、イソプロパノール、ノルマル−ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−ノルマル−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0228】
塗布液を支持体上に塗布する方法には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコーター、スリットスピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等を用いて、塗布する方法が挙げられる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃〜150℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0229】
前記感光層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1μm〜100μmが好ましく、2μm〜50μmがより好ましく、4μm〜30μmが特に好ましい。
【0230】
(ソルダーレジストパターン形成方法)
本発明の固体撮像素子のソルダーレジスト用硬化性組成物を用いてソルダーレジスト永久パターンを形成する方法は、露光工程を少なくとも含み、さらに、通常は、必要に応じて適宜条件を選択した現像工程、及び、その他の工程を含む。なお、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、i線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
【0231】
<露光工程>
露光工程では、前記固体撮像素子用硬化性組成物層により形成された感光層を、マスクを介して露光する工程であり、本工程により、光照射された領域のみが硬化される。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、KrF、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては。ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5mJ/cm〜3000mJ/cmが好ましく10mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましく、50mJ/cm〜1000mJ/cmが最も好ましい。
【0232】
<加熱工程>
露光工程と現像工程の間に、解像性、密着性向上の為に加熱工程を行うことが可能である。好ましい、加熱工程としては、温度は70℃〜160℃、好ましくは80℃〜130℃であることが好ましい。70℃より低い場合には、硬化反応が十分に進まず、解像性、密着性の向上ができない。一方、160℃より高い場合には、非画像部の現像性が不十分で残渣が発生しやすい問題点がある。
加熱の時間は10秒から15分が好ましく、より好ましくは30秒〜7分であることが好ましい。
【0233】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、現像工程、硬化処理工程、ポスト露光工程などが挙げられる。
【0234】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残ってパターン状の遮光性を有するソルダーレジストが形成される。
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常、20℃〜40℃であり、現像時間は10秒〜300秒である。
【0235】
現像液に用いるアルカリとしては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
上述の現像工程やリンス工程は必要に応じて、各々複数回実施することが可能である。
【0236】
<硬化処理工程>
前記硬化処理工程は、必要に応じ、前記現像工程が行われた後、形成されたパターンにおける感光層に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、永久パターンの機械的強度が向上する。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。
【0237】
全面露光処理の方法としては、例えば、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を露光する方法が挙げられる。全面露光により、感光層を形成する硬化性組成物中の重合成分の硬化が促進され、前記永久パターンの硬化がさらに進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0238】
また、全面加熱処理の方法としては、現像工程の後に、形成されたパターン状の感光層を有する積層体上の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120℃〜250℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。該加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記硬化性組成物中の樹脂の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分〜180分が好ましく、5分〜120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0239】
このようにして形成されたパターン状のレジストは優れた赤外線遮蔽性を有するため、その応用範囲は広い。本発明の硬化性組成物は、赤外域における遮蔽性と紫外域〜可視域における光透過性に優れるため、優れた形状を有するパターンが形成され、且つ、形成されたパターンは(硬化膜)は、優れた赤外線遮蔽性を有するために、赤外域まで感度を有するフォトダーオードを有するデバイス、特に、固体撮像素子用のソルダーレジスト形成に有用である。
【0240】
上記したように、本発明の硬化性組成物は、ソルダーレジストのみならず、固体撮像素子におけるシリコン基板の裏面に対する遮光膜や、ウエハーレベルレンズに対する遮光膜の形成にも有用である。
【0241】
このように、本発明は、本発明の硬化性組成物より形成される永久パターンを有する固体撮像素子にも関する。
【0242】
以下、本発明の実施形態に係る固体撮像素子を、図1及び図2を参照しながら説明するが、本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
なお、図1及び図2にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」及び「上側」は、シリコン基板10から見て遠い側を指し、「下」、「下方」及び「下側」は、はシリコン基板10に近い側を指す。
【0243】
図1は、前記一実施形態の具体例に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図1に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板100と、固体撮像素子基板100の第1の主面側上方に配置されるガラス基板30(光透過性基板)と、ガラス基板30の上方に配置される赤外線カットフィルタ42と、ガラス基板30及び赤外線カットフィルタ42の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子基板100及びガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤20、41、43、45により接着されている。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、赤外線カットフィルタ42、ガラス基板30を順次透過した後、固体撮像素子基板100の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール200は、固体撮像素子基板100の第2の主面側で、ハンダボール60(接続材料)を介して回路基板70に接続されている。
【0244】
図2は、図1中の固体撮像素子基板100を拡大した断面図である。
固体撮像素子基板100は、基体であるシリコン基板10、撮像素子12、層間絶縁膜13、ベース層14、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B、オーバーコート16、マイクロレンズ17、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダレジスト層24、内部電極26、及び素子面電極27を備えて構成されている。
但し、ソルダレジスト層24は省略されていてもよい。
【0245】
まず、固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成を中心に説明する。
図2に示すように、固体撮像素子基板100の基体であるシリコン基板10の第1の主面側に、CCDやCMOS等の撮像素子12が2次元に複数配列された撮像素子部が設けられている。
撮像素子部における撮像素子12上には層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13上にはベース層14が形成されている。更にベース層14上には、撮像素子12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)がそれぞれ配置されている。
赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15Bの境界部、及び撮像素子部の周辺には、図示しない遮光膜が設けられていてもよい。この遮光膜は、例えば、公知のブラックのカラーレジストを用いて作製できる。
カラーフィルタ15上にはオーバーコート16が形成され、オーバーコート16上には撮像素子12(カラーフィルタ15)に対応するようにマイクロレンズ17が形成されている。
【0246】
また、第1の主面側の撮像素子部の周辺は、周辺回路(不図示)及び内部電極26が設けられており、内部電極26は、周辺回路を介して撮像素子12と電気的に接続されている。
更に、内部電極26上には、層間絶縁膜13を介して素子面電極27が形成されている。内部電極26と素子面電極27間の層間絶縁膜13内には、これら電極間を電気的に接続するコンタクトプラグ(不図示)が形成されている。素子面電極27は、コンタクトプラグ、内部電極26を介して電圧の印加及び信号の読み出しなどに使用される。
素子面電極27上には、ベース層14が形成されている。ベース層14上にはオーバーコート16が形成されている。素子面電極27上に形成されたベース層14及びオーバーコート16が開口されて、パッド開口部が形成され、素子面電極27の一部が露出している。
【0247】
以上が固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成である。
固体撮像素子基板100の第1の主面側において、撮像素子部の周辺には接着剤20が設けられ、この接着剤20を介し、固体撮像素子基板100とガラス基板30とが接着される。
【0248】
また、シリコン基板10は、該シリコン基板10を貫通する貫通孔を有しており、貫通孔内には、金属電極23の一部である貫通電極が備えられている。この貫通電極により、撮像素子部と回路基板70とが電気的に接続されている。
【0249】
次に、固体撮像素子基板100の第2の主面側の構成を中心に説明する。
該第2の主面側には、第2の主面上から貫通孔の内壁にわたり絶縁膜22が形成されている。
絶縁膜22上には、シリコン基板10の第2の主面上の領域から貫通孔の内部に至るようにパターニングされた金属電極23が設けられている。金属電極23は、固体撮像素子基板100中の撮像素子部と回路基板70との接続用の電極である。
前記貫通電極は、この金属電極23のうち、貫通孔の内部に形成された部分である。貫通電極は、シリコン基板10及び層間絶縁膜の一部を貫通して内部電極26の下側に至り、該内部電極26に電気的に接続されている。
【0250】
更に、第2の主面側には、金属電極23が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部を露出する開口部を有するソルダレジスト層24(保護絶縁膜)が設けられている。
更に、第2の主面側には、ソルダレジスト層24が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部が露出する開口部を有する遮光膜18が設けられている。
この構成において、(1)遮光膜18とソルダレジスト層24とが単一層となった遮光性ソルダレジスト層が、本発明の硬化性組成物から形成されてもよいし、あるいは、(2)遮光膜18とソルダレジスト層24とが別層であるとともに、遮光膜18が本発明の硬化性組成物から形成されてもよい(この場合、ソルダレジスト層は公知のソルダレジスト用組成物から形成されてもよい)。
なお、図2では、遮光膜18は、金属電極23の1部を覆い、残りの部分を露出させるようにパターニングされているが、金属電極23の全部を露出させるようにパターニングされていてもよい(ソルダレジスト層24のパターニングについても同様である)。
また、ソルダレジスト層24は省略されていてもよく、金属電極23が形成された第2の主面上に、遮光膜18が直接形成されていてもよい。
【0251】
露出された金属電極23上には、接続部材としてのハンダボール60が設けられ、このハンダボール60を介し、固体撮像素子基板100の金属電極23と、回路基板70の不図示の接続用電極と、が電気的に接続される。
【0252】
以上、固体撮像素子基板100の構成について説明したが、固体撮像素子基板100のうち遮光膜18以外の各部は、特開2009−158863号公報中段落0033〜0068に記載の方法や、特開2009−99591号公報中段落0036〜0065に記載の方法など、公知の方法により形成できる。
遮光膜18の形成は、既述の本発明の遮光膜の製造方法によって形成できる。
層間絶縁膜13は、例えば、スパッタやCVD(Chemical vapor deposition)等によりSiO膜又はSiN膜として形成する。
カラーフィルタ15は、例えば、公知のカラーレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
オーバーコート16及びベース層14は、例えば、公知の有機層間膜形成用レジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
マイクロレンズ17は、例えば、スチレン系樹脂等を用い、フォトリソグラフィー等により形成する。
ソルダレジスト層24が遮光膜18と組み合わされて単一層の遮光性ソルダレジスト層を形成する場合においては、その層は、本発明の硬化性組成物により形成するのが好ましい。
一方、ソルダレジスト層24が遮光膜18と別層である場合には、ソルダレジスト層24は、例えばフェノール系樹脂、あるいはポリイミド系樹脂、アミン系樹脂を含む公知のソルダレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成されることが好ましい。
ハンダボール60は、例えば、Sn−Pb(共晶)、95Pb−Sn(高鉛高融点半田)、Pbフリー半田として、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cuなどを用いて形成する。ハンダボール60は、例えば、直径100μm〜1000μm(好ましくは直径150μm〜700μm)の球状に形成する。
内部電極26及び素子面電極27は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、又はフォトリソグラフィー及びエッチングにより、Cu等の金属電極として形成する。
金属電極23は、例えば、スパッタ、フォトリソグラフィー、エッチング、及び電解めっきにより、Cu、Au、Al、Ni、W、Pt、Mo、Cu化合物、W化合物、Mo化合物等の金属電極として形成する。金属電極23は、単層構成でも2層以上からなる積層構成であってもよい。金属電極23の膜厚は、例えば、0.1μm〜20μm(好ましくは0.1μm〜10μm)とする。シリコン基板10としては特に限定されないが、基板裏面を削ることによって薄くしたシリコン基板を用いることができる。基板の厚さは限定されないが、例えば、厚み20μm〜200μm(好ましくは30〜150μm)のシリコンウエハーを用いる。
シリコン基板10の貫通孔は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)により形成する。
【0253】
以上、前記一実施形態の具体例である固体撮像素子基板100について図1及び図2を参照して説明したが、前記一実施形態は図1及び図2の形態に限られず、裏面側に金属電極及び遮光膜を有する構成であれば、その構成に特に限定はない。
【0254】
次に、本発明の硬化性組成物から得られる永久パターンをウエハレベルレンズの遮光膜に適用した例を、図面を参照しながら説明する。
【0255】
図3は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。
図3に示されるように、ウエハレベルレンズアレイは、基板410と、該基板410に配列されたレンズ412と、を備えている。ここで、図3では、複数のレンズ412は、基板410に対して2次元に配列されているが、1次元に配列されていてもよい。
また、図4は、図3に示すA−A線断面図である。
図4に示すように、ウエハレベルレンズアレイにおいて、基板410に配列された複数のレンズ412の間には、レンズ412以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜414が設けられている。
ウエハレベルレンズは、基板410上に存在する1つのレンズ412とその周縁部に設けられた遮光膜414により構成される。本発明の硬化性組成物は、この遮光膜414の形成に用いられる。
【0256】
以下、図3のように、複数のレンズ412が、基板410に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
【0257】
レンズ412は、一般的には、基板410と同じ材料から構成され、該基板410上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、本発明のウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
【0258】
レンズ412を形成する材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
【0259】
レンズ412を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等でレンズ面を簡易かつ安価に形成するのに適している。
【0260】
その場合、レンズ412の形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、或いは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
このようなエネルギー硬化性の樹脂は、公知のものをいずれも使用することができるが、撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
【0261】
以下、図5〜図10を参照して、ウエハレベルレンズの形態及び作製について、ウエハレベルレンズアレイの作製方法の例にとり、具体的に説明する。
【0262】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(1)〕
−レンズの形成−
まず、図5及び図6(A)〜(C)を参照して、基板410上にレンズ412を形成する方法について説明する。
ここで、図5は、基板410に、レンズ形成用の樹脂組成物である成形材料(図5中にMと記載)を供給している状態を示す図である。
また、図6(A)〜(C)は、基板410にレンズ412を型460で成形する手順を示す図である。
【0263】
図5に示すように、基板410のレンズ412を成形する部位にディスペンサ450を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ412に相当する量の成形材料Mが供給される。
【0264】
基板410に成形材料Mを供給した後、基板410の成形材料Mを供給された面側に、図6(A)に示すように、レンズ412を成形するための型460を配置する。
ここで、型460には、レンズ412の形状を転写するための凹部462が、所望のレンズ412の数に応じて設けられている。
【0265】
図6(B)に示すように、型460を基板410上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部462の形状に倣って変形させる。そして、型460を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には、型460の外側から熱又は紫外線を照射して、成形材料Mを硬化させる。
【0266】
成形材料Mを硬化させた後、図6(C)に示すように、型460から基板410及びレンズ412を離型する。
【0267】
−遮光膜の形成−
次に、図7(A)〜(C)を参照して、レンズ412の周縁部に遮光膜414を形成する方法について説明する。
ここで、図7(A)〜(C)は、レンズ412が成形された基板410に遮光膜414を設ける工程を示す概略断面図である。
【0268】
遮光膜414の形成方法は、基板410上に、本発明の硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層414Aを形成する遮光性塗布層形成工程(図7(A)参照。)と、該遮光性塗布層414Aを、マスク470を介してパターン露光する露光工程(図7(B)参照。)と、露光後の遮光性塗布層414Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜414を形成する現像工程(図7(C)参照。)と、を含む。
【0269】
なお、遮光膜414の形成は、レンズ412を作製する前でも、レンズ412を作製した後でも任意に行うことができるが、ここでは、レンズ412を作製した後の方法について詳述する。
以下、遮光膜414の形成方法における各工程について説明する。
【0270】
<遮光性塗布層形成工程>
遮光性塗布層形成工程では、図7(A)に示すように、基板410上に、硬化性組成物を塗布して該硬化性組成物からなる光反射率の低い遮光性塗布層414Aを形成する。このとき、遮光性塗布層414Aは、基板410の表面、及び、レンズ412のレンズ面412aとレンズ縁部412bの表面を全て覆うように形成される。
【0271】
本工程に用いうる基板410としては、特に制限はない。例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及び透明樹脂等が挙げられる。
なお、ここで言う基板410とは、レンズ412と基板410を一体形成する態様においては、レンズ412と基板410の両方を含む形態を言う。
また、これらの基板410上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは基板10表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0272】
基板410及びレンズ412上に硬化性組成物を塗布する方法としては、スリット塗布、スプレー塗布法、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
硬化性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のし易さの観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
【0273】
基板410上に塗布された遮光性塗布層414Aの乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等を用い、50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0274】
硬化性組成物の乾燥後の塗布膜厚(以下、適宜、「乾燥膜厚」と称する)は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0275】
<露光工程>
露光工程では、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層414Aをパターン状に露光する。パターン露光は走査露光でもよいが、図7(B)に示すように、所定のマスクパターンを有するマスク470を介して露光する態様が好ましい。
【0276】
本工程における露光においては、遮光性塗布層414Aのパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、この露光により遮光性塗布層414Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、レンズ縁部412bの表面とレンズ412間の基板410の表面に光を照射するマスクパターンを用いる。こうすることで、レンズ面412aを除く領域の遮光性塗布層414Aのみが光照射によって硬化し、この硬化領域が遮光膜414を形成することとなる。
【0277】
露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。この放射線は単一波長の光源であってもよいし、高圧水銀灯のように全ての波長を含んだ光源を用いてもよい。
【0278】
<現像工程>
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光における光未照射部分、即ち、遮光性塗布層414Aの未硬化領域をアルカリ水溶液に溶出させ、光照射により硬化した領域だけを残す。
具体的には、図7(B)に示すように露光された遮光性塗布層414Aは、現像されることにより、図7(C)に示すように、レンズ面12aに形成された遮光性塗布層414Aのみが除去され、それ以外の領域に硬化された遮光膜414が形成される。
【0279】
現像工程で用いられる現像液(アルカリ性水溶液)に含まれるアルカリ剤としては、有機又は無機のアルカリ剤、及びそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。本発明における遮光膜形成においては周囲の回路などに損傷を与えがたいという観点からは有機アルカリ剤を用いることが望ましい。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物(有機アルカリ剤)、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物(無機アルカリ剤)等が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
【0280】
現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20秒〜90秒の範囲で行なわれる。
【0281】
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像液により塗布膜の未露光部を除去した後、純水で洗浄(リンス)する。即ち、現像処理後には、余剰の現像液を純水により十分に洗浄、除去し、更に、乾燥工程に付す。
【0282】
なお、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要に応じて、形成された遮光膜(遮光パターン)を、加熱(ポストベーク)及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0283】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜250℃の熱硬化処理を行う。ポストベークの温度、及び時間などの条件は、基板410又はレンズ412の素材により、適宜設定することができる。例えば、基板410がガラスである場合は上記温度範囲の中でも180℃〜240℃が好ましく用いられる。
このポストベーク処理は、現像後に形成された遮光膜414を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0284】
なお、以上の手順では、レンズ412の形状が凹状である場合を例に説明したが、形状は特に限定されず、凸状や非球面の形状であってもよい。また、上記手順では、基板410の一方の面に複数のレンズ412が成形されたウエハレベルレンズを例に説明したが、基板410の両方の面に複数のレンズ412が成形された構成としてもよく、その場合には、両方の面に、レンズ面を除く領域にパターン状の遮光膜414が形成される。
【0285】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(2)〕
図8は、ウエハレベルレンズアレイの他の構成例を示す図である。
図8に示すウエハレベルレンズは、基板410とレンズ412とを同一の成形材料で同時に成形した構成(モノリシックタイプ)である。
このようなウエハレベルレンズを作成する際には、成形材料としては上述したものと同じものを用いることができる。また、この例では、基板410の一方の面(図中の上側の面)には、凹状のレンズ412が複数形成され、他方の面(図中の下側の面)には、凸状のレンズ420が複数形成されている。また、基板410のレンズ面412aを除く領域、つまり、基板410の表面及びレンズ縁部412bの表面にパターン状の遮光膜414が形成されている。遮光膜414を形成する際のパターニング方法としては、上述した手順を適用することができる。
【0286】
〔ウエハレベルレンズの形態及び作製(3)〕
次に、図9(A)〜(C)及び図10(A)〜(C)を参照して、ウエハレベルレンズアレイの更なる他の構成例と、それを作製する手順について説明する。
ここで、図9(A)〜(C)は、パターン状の遮光膜414を形成する他の工程を示す概略図である。
また、図10(A)〜(C)は、まず、パターン状の遮光膜414を形成した後、レンズ412を成形する工程を示す概略図である。
【0287】
図5〜図8に示すウエハレベルレンズアレイの例では、レンズ412が設けられた基板410にパターン状の遮光膜414を形成するものであったが、以下に説明する手順では、まず、基板410にパターン状の遮光膜414を形成した後、基板410にレンズ412を成形する手順である。
【0288】
−遮光膜の形成−
先ず、図9(A)に示すように、基板410上に硬化性組成物を塗布して遮光性塗布層414Aを形成する遮光性塗布層形成工程を行う。
【0289】
その後、基板410上に塗布された遮光性塗布層414Aの乾燥をホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行う。硬化性組成物の乾燥膜厚は、所望の遮光性などの性能から任意に選択することができ、概ね0.1μm以上50μm未満の範囲である。
【0290】
次に、図9(B)に示すように、遮光性塗布層形成工程において形成された遮光性塗布層414Aを、マスク470を介してパターン状に露光する露光工程を行う。マスク470は、所定のマスクパターンを有する。
本工程における露光においては、遮光性塗布層414をパターン露光することで、遮光性塗布層414Aのうち光照射された部分だけを硬化する。ここでは、後工程でレンズ412を成形した際にレンズ412のレンズ開口414aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層414Aにのみ光を照射するマスクパターンを用いる。この方法によりレンズ412のレンズ開口414aとなる部位を除く領域の遮光性塗布層414Aのみが光照射によって硬化する。なお、露光に際して用いることができる放射線としては、先に説明した手順と同様に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0291】
次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、上記パターン露光における遮光性塗布層414Aの未硬化領域であるレンズ412のレンズ開口414aに相当する領域の遮光性塗布層414Aのみがアルカリ水溶液に溶出される。この際、図9(C)に示すように、レンズ412のレンズ開口414aの領域を除く領域の光硬化した遮光性塗布層414Aが基板410上に残存して、遮光膜414を形成する。
ここで、現像液であるアルカリ水溶液中のアルカリ剤としては、先に説明した手順と同じものを用いることができる。
現像処理後は、その後、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
【0292】
本実施形態においても、上述した、遮光性塗布層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された遮光膜を上述のポストベーク及び/又は露光により硬化する硬化工程を施してもよい。
【0293】
本発明の硬化性組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の硬化性組成物に含まれる溶剤として前掲した溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0294】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の硬化性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤を2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME;別名1−メトキシ−2−プロパノール)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、硬化性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、硬化性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0295】
−レンズの形成−
次に、遮光膜414を形成後に、レンズ412を形成する工程について説明する。
図10(A)に示すように、パターン状の遮光膜414が形成された基板410の上に、レンズ412を構成する成形材料Mがディスペンサ450により滴下される。成形材料Mは、レンズ412のレンズ開口414aに相当する領域を覆うように、該開口に隣接する遮光膜414の端部を一部含むように供給される。
【0296】
基板410に成形材料Mを供給した後、基板410の成形材料Mを供給された面側に、図10(B)に示すように、レンズを成形するための型480を配置する。型480には、レンズ412の形状を転写するための凹部482が、所望のレンズ412の数に応じて設けられている。
【0297】
型480を基板410上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型480を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
【0298】
成形材料Mを硬化させた後、型480から基板410及びレンズ412を離型し、図10(C)に示すように、基板410にパターン状の遮光膜414を備えるウエハレベルレンズを得る。
【0299】
上述のように、ウエハレベルレンズに備えられるパターン状の遮光膜414は、図7に示すようにレンズ412のレンズ面412aを除く領域に設けた構成だけでなく、図10(C)に示すように、遮光膜414をレンズ412のレンズ開口414aを除く領域に設けた構成としてもよい。
【0300】
ウエハレベルレンズは、基板410の少なくとも一方の表面にパターン上に形成された、光反射率が低い遮光膜414によって、レンズ412のレンズ面412a又はレンズ開口414a以外の領域で遮光を十分にしつつ、反射光の発生を抑制できる。このため、固体撮像素子を備えた撮像モジュールに適用した場合に、撮像時に反射光に伴うゴーストやフレアといった不具合の発生を防止できる。
【0301】
また、遮光膜414は基板の表面に設けられるため、ウエハレベルレンズに別の遮光部材などを取り付ける必要がなく、製造コストの増加を抑えることができる。
【0302】
なお、レンズの周囲に表面が凹凸の構造物を設ける構成の場合には、該構造物に入射した光が反射又は発散することで、ゴースト等の不具合が生じやすいことが懸念される。そこで、図7に示すようにレンズ412のレンズ面412aを除く領域にパターニングされた遮光膜414を設けた構成とすれば、レンズ面412a以外では光を遮光することができ、光学性能を改善できる。
【実施例】
【0303】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0304】
<バインダー溶液Aの調製>
1,000mL三口フラスコに1−メトキシ−2−プロパノール159gを入れ、窒素気流下、85℃まで加熱した。これに、ベンジルメタクリレート63.4g、メタクリル酸72.3g、V−601(和光純薬製)4.15gの1−メトキシ−2−プロパノール159g溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に5時間加熱して反応させた。
次いで、加熱を止め、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(30/70mol%比)の共重合体を得た。
次に、前記共重合体溶液の内、120.0gを300mL三口フラスコに移し、グリシジルメタクリレート16.6g、p−メトキシフェノール0.16gを加え、撹拌し溶解させた。溶解後、トリフェニルホスフィン3.0gを加え、100℃に加熱し、付加反応を行った。グリシジルメタクリレートが消失したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、加熱を止めた。1−メトキシ−2−プロパノール38gを加え、酸基含有量2meq/g(酸価112mgKOH/g)、架橋性基含有量2.23meq/g、重量平均分子量24,000(GPC法によりポリスチレン換算値)、固形分46質量%のバインダー溶液Aを調製した。
【0305】
<バインダー溶液Bの調製>
コンデンサー、撹拌機を備えた500mlの3つ口丸底フラスコに、下記のジイソシアネート化合物と、下記2種のジオール化合物とを、下記のモル比で、N,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した(ジイソシアネート化合物及び2種のジオール化合物のモル総量は、0.152モル)。これに、ジブチル錫ジラウリレート0.1gを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド100ml及びメチルアルコール200mlにて希釈し30分撹拌した。反応溶液を水3リットル中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることによりウレタン系樹脂P−1を得た。次いで、このウレタン系樹脂に1−メトキシ−2−プロパノールを加え、酸基含有量1.3meq/g、重量平均分子量17,000(GPC法によりポリスチレン換算値)、固形分46質量%のバインダー溶液Bを調製した。
【0306】
【化35】

【0307】
<硬化性組成物溶液の調製>
【0308】
(実施例1)
下記組成を混合し、実施例1の硬化性組成物溶液を得た。この組成物の25℃における粘度は520mPa・sであった(組成物の固形分濃度は50質量%)。
【0309】
・下表1に記載のバインダー溶液(アルカリ可溶性バインダー) 45.0質量部
・下表1に記載の架橋剤 15.7質量部
・下表1に記載の酸発生剤 2.50質量部
・下表1に記載の増感剤 1.20質量部
・下記シリカ分散液(フィラー,アルカリ可溶性バインダー,硬化促進剤)
35.7質量部
・メガファックF−780(大日本インキ株式会社製)(界面活性剤) 0.13質量部
・YMF−02(住友金属鉱山(株)製 セシウムタングステン酸化物(Cs0.33WO(平均分散粒径800nm以下)の18.5質量%分散液)
18.0質量部
【0310】
上記シリカ分散液は、シリカ(アドマテックス(株)製、SO−C2)(フィラー)30質量部と、前記バインダー溶液A48.2質量部と、ジシアンジアミド(硬化促進剤)0.37質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート59.0質量部とを予め混合した後、モーターミルM−250(アイガー社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sにて3時間分散して調製したものを用いた。
【0311】
(実施例2〜8、参考例1)
バインダー溶液(上記シリカ分散液中のバインダー溶液も含む)、架橋剤、酸発生剤、及び増感剤の種類を下表1のものに置き換えた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例2〜8、参考例1の硬化性組成物溶液を得た。ただし、参考例1で使用されているHS−1は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(酸発生剤)ではなく、活性光線又は放射線の照射によりラジカルを発生する化合物(ラジカル発生剤)である。
【0312】
【表1】

【0313】
B−1:上述のバインダー溶液A
B−2:上述のバインダー溶液B
B−3:以下の合成法により得られるポリアミド酸の溶液
B−4:ポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学社製 マルカリンカーM S−4)の46質量%のPGMEA溶液
【0314】
(ポリアミド樹脂の合成法)
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物12.09g(0.0375モル)、ピロメリット酸二無水物2.73g(0.0125モル)およびN−メチル−2−ピロリドン50gを注入した。そしてこれらを十分に攪拌、混合して10℃まで冷却した。次いで、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル9.41g(0.047モル)および(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン1.1g(0.003モル)をN−メチル−2−ピロリドン30gに溶解させ、この溶液を10℃に保持した前記反応フラスコ中に徐々に滴下した。こうして得られた混合液を10〜15℃にて6時間攪拌して、ポリアミド酸の溶液B−3を調製した。なお、ポリアミド酸のN−メチル−2−ピロリドン溶液を、30℃での対数粘度を測定したところ、1.4dl/gであった。
【0315】
K−1:2,4,6−トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン
K−2:ヘキサメチロールメラミン
K−3:キシリレンビスオキセタン(東亜合成社製 OXT−121)
K−4:ビスフェノールAプロピレンオキシド ジグリシジルエーテル (共栄社化学社製 エポライト3002)
【0316】
【化36】

【0317】
S−1:トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート
S−2:トリフェニルスルホニウム p−トルエンスルホネート
S−3:ビス(4−ブトキシフェニル)ヨードニウム p−トルエンスルホネート
S−4:トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム 1−ナフタレンスルホネート
【0318】
Z−1:9,10−ジブトキシアントラセン
Z−2:N−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)カルバゾール
Z−3:ミヒラーズケトン
Z−4:チオキサントン
【0319】
HK−1:ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物(共栄社化学社製 エポキシエステル3000A)
HS−1:2−(o−メトキシスチリル)−4,6− ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン(みどり化学社製)
【0320】
<ソルダーレジスト用硬化性組成物の評価>
(レジストパターン形成)
得られた実施例1−8,参考例1の硬化性組成物の各々を、それぞれ、シリコンウエハにスピンコート法で、膜厚が25μmになるよう塗布し、その後、ホットプレート上において120℃で2分加熱して感光層を得た。
次いで、得られた感光層を、i線ステッパーを用い、一辺200μmの正方形状のアイランドパターンを有するフォトマスクを介して露光量50〜2000mJ/cmの範囲の露光量を、50mJ/cmの刻みで変化させて照射した。
照射後、ホットプレートにて、120℃、3分加熱を実施した。
前記露光、過熱後の感光層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い、25℃40秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、赤外線遮蔽性のソルダーレジストパターンを得た。現像工程を40秒実施した際に一辺200μmの正方形状のアイランドパターンが得られた最低露光量を測定した。数値が小さい程、感度が高く、良好である。
【0321】
(赤外線遮蔽性)
上記条件でガラス基板に硬化性組成物をスピンコートして膜厚が25μmの感光層(硬化性組成物層)塗膜を形成し、紫外可視近赤外分光光度計UV3600(島津製作所製)を用いて、塗膜の波長1200nmの透過率を測定した。数値が低いほど赤外線遮蔽性に優れると評価する。透過性が2%以下で実用上良好な赤外線遮蔽性を示すといえる。
【0322】
(パターン評価)
上記(レジストパターン形成)に従って、最低露光量を用いた露光及び現像を行い、パターンを形成した。一辺200μmの正方形状のアイランドパターンの断面を、電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製のS−4800)を用いて観察して、以下の評価でランク付けをおこなった。
〔評価基準〕
◎:基板上に、充分な密着性を以ってパターンが形成されるとともに、パターン断面の形状が極めて良好な矩形を示した。すなわち、パターンの断面形状において、パターンの上層部における幅と下層部(基板との界面近傍)における幅との差が7μm以下であった。
○:基板上に、充分な密着性を以ってパターンが形成されるとともに、パターン断面の形状が良好な矩形を示した。すなわち、パターンの断面形状において、パターンの上層部における幅と下層部における幅との差が7μm超過10μm以下であった。
△:パターンの断面形状において、パターンの上層部における幅と下層部における幅との差が10μm超過15μm以下であった。
×:パターンの断面形状において、パターンの上層部における幅と下層部における幅との差が15μm超過であった。
【0323】
(繰り返しの冷熱衝撃耐性:サーマルサイクルテスト(TCT)耐性)
基材としてのシリコンウエハ上に、銅厚12μmの銅ライン/スペース=50μm/50μmになるよう櫛型に配線形成したものに、スピンコート法で、膜厚が銅上20μmになるように、実施例1−8,参考例1の硬化性組成物の各々を塗布し、その後、ホットプレート上において100℃で2分加熱して感光層を得た。
次いで、得られた感光層を、高圧水銀灯を用い、800mJ/cm照射した。
前記露光後の感光層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い、25℃40秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、更に150℃で1時間加熱処理(ポストベーク)をしてソルダーレジストパターン(永久パターン)を、形成した。形成された永久パターンについて、気相冷熱試験機を用い、電子部品モジュールを温度が−55℃及び125℃の気相中に各30分間放置し、これを1サイクルとして300サイクルの条件で行い、永久パターンの5cm×5cmの領域に関し、以下の基準で冷熱衝撃性を評価した。
〔評価基準〕
◎:クラックの発生は無し。
○:クラックの発生はあるものの、その個数が10個未満。
×:10個以上のクラックが発生。
【0324】
【表2】

【0325】
表2の結果より、ラジカル発生剤から発生したラジカルの作用によって架橋剤が架橋反応を示す参考例1と比較して、酸発生剤から発生した酸の作用によって架橋剤が架橋反応を示す実施例は、(1)赤外領域における遮光性が高い、(2)アルカリ現像によって、所望の形状及び耐久性(冷熱衝撃耐性や、基板に対する密着性)に優れる、(3)パターン形成における感度が高い、の全てを満足するパターンを形成できることが分かった。
【符号の説明】
【0326】
10 シリコン基板
12 撮像素子
13 層間絶縁膜
14 ベース層
15 カラーフィルタ
16 オーバーコート
17 マイクロレンズ
18 遮光膜
20 接着剤
22 絶縁膜
23 金属電極
24 ソルダレジスト層
26 内部電極
27 素子面電極
30 ガラス基板
40 撮像レンズ
41 接着剤
42 赤外線カットフィルタ
43 接着剤
44 遮光兼電磁シールド
45 接着剤
50 レンズホルダー
60 ハンダボール
70 回路基板
100 固体撮像素子基板
200 カメラモジュール
410 基板
412,420 レンズ
412a レンズ面
412b レンズ縁部
414 遮光膜
414A 遮光性塗布層
414a レンズ開口
450 ディスペンサ
460,480 型
462,482 凹部
470 マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)赤外線遮蔽材、
(B)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(C)酸の作用により架橋反応を示す化合物、及び、
(D)バインダー樹脂
を含有する固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項2】
前記化合物(C)が、オキシラン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はフェノール基を有する化合物である請求項1に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物(C)が、オキシラン基、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基又はフェノール基を2個以上で有する化合物である請求項2に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項4】
前記化合物(B)がオニウム塩化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項5】
前記バインダー樹脂(D)が、酸基を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項6】
前記バインダー樹脂(D)が、ポリアミド系樹脂及びポリイミド系樹脂の少なくとも一方である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項7】
前記バインダー樹脂(D)が、ウレタン樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項8】
前記赤外線遮蔽材(A)が、タングステン化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項9】
25℃における粘度が、200mPas〜1000mPasである請求項1〜8のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される感光層。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の固体撮像素子用硬化性組成物より形成される永久パターン。
【請求項12】
前記永久パターンがソルダーレジスト層である請求項11の永久パターン。
【請求項13】
前記永久パターンが赤外線遮光膜である請求項11に記載の永久パターン。
【請求項14】
レンズと、前記レンズの周縁部に形成された請求項11に記載の永久パターンとを有するウエハレベルレンズ。
【請求項15】
請求項11〜13のいずれか1項に記載の永久パターンを有する固体撮像素子。
【請求項16】
一方の面に撮像素子部が形成された固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の他方の面側に設けられた赤外線遮光膜とを有する固体撮像素子であって、前記赤外線遮光膜が請求項13に記載の永久パターンである固体撮像素子。
【請求項17】
請求項10に記載の感光層を形成する工程と、該感光層をパターン露光して露光部を硬化させる工程と、未露光部をアルカリ現像により除去して永久パターンを形成する工程とを、この順で有するパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−189632(P2012−189632A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50678(P2011−50678)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】