説明

固体撮像素子

【課題】画素部面内でのスミア比の差が抑制され、出力画像の画質が高い固体撮像素子を提供する。
【解決手段】マイクロレンズ16と、赤色、緑色、青色の波長を選択するカラーフィルター17とを有し、カラーフィルター17透過後の入射光を、屈折率が周辺部よりも大きな材料を用いて画素開口部へ伝搬させる光導波路構造(光導波路13、・・)を備える。そして、光導波路13の開口径が、画素中心部から周辺部に行くに従って小さくなっている。具体的には、画素中心部における開口径dG1が、外周における開口径dG2よりも大きくなっている。なお、R画素およびB画素においても、同様の関係を以って光導波路の開口径が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の固体撮像素子の高画素化に伴い、1画素あたりのサイズ(面積)が縮小する方向にある。画素サイズの縮小に伴い、固体撮像素子への入射光の集光が難しくなってきているため、光導波路を用いて光電変換部へ光を導く手段が提案されている。
図11は、導波路構造を用いた従来例に係る固体撮像素子の構成を示す図である。
図11に示すように、シリコン(Si)基板100の上層部には、光電変換部としてのフォトダイオード部101が形成されており、その上面にシリコン酸化膜等によるゲート絶縁膜102を介してポリシリコン膜製の転送ゲート電極103が配置され、フォトダイオード部101に蓄積された信号電荷をフローティングデフュージョン(FD)104に転送する。
【0003】
また、シリコン基板101の上には、複数層の配線膜(遮光膜を含む)105が層間絶縁膜106を介して形成されている。 また、絶縁膜106の上面には、パッシベーション膜及び平坦化膜を介してカラーフィルター109が配置され、その上にオンチップマイクロレンズ110が配置されている。
マイクロレンズ110とフォトダイオード部101の位置に対応して、絶縁膜106中に導波路111、112の透明膜111A、112Aが埋設されており、オンチップレンズ110とフォトダイオード部101が光学的に接続されている。
【0004】
そして、図示のように、各導波路111、112が画素の位置に応じた開口径を有しており、画素部の中心側に配置された導波路111は相対的に小さい開口径に形成され、逆に画素部の周辺側に配置された導波路112は相対的に大きい開口径に形成されており、画素部の中心と画素周辺部の感度差(シェーディング)を抑制している。また、各画素の導波路111、112とマイクロレンズ110の光軸も画素の位置に応じてずれた状態で配置されており、画素部の周辺側では、マイクロレンズ110の位置が画素部の中心方向にずれて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−190766号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術は、CMOS型の固体撮像素子を用いた場合について説明されているが、CCD型の固体撮像素子においてはスミア比(ノイズ/信号の対数表示)の低減が撮像画像の品質を向上させるためには非常に重要である。
上記従来技術では、画素部中心部に比べて周辺部で感度低下が発生することを抑制するため、光導波路の開口径を中心部より周辺部で大きくすることが開示されているが、上記の構成では感度差(シェーディング)は抑制できるが、中心部よりも周辺部でのスミア比の悪化が顕著となる。
【0007】
画素部内の感度は、DSPなどを用いた信号処理により補正するのが容易であるが、光学的に発生するスミア比の補正は非常に困難であるため重大な課題となる。スミア比は入射光の色成分が変化すると画素アレイ内での発生が不規則に変化しやすいためである。信号処理により補正が機能しない場合出力画像が不均一に着色するなどの不具合が発生する。
【0008】
本発明は、画素部面内でのスミア比の差が抑制され、出力画像の画質が高い固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の固体撮像素子は、撮像領域に複数の受光部が形成された半導体基板と、前記半導体基板の上に形成された第1透明膜と、前記受光部の上であって、前記第1透明膜の内部に形成された第2透明膜とを備え、前記第2透明膜の屈折率は、前記第1透明膜の屈折率よりも大きく、前記撮像領域のうちの中央部に位置する前記第2透明膜の上面の径は、前記撮像領域のうちの周辺部に位置する前記第2透明膜の径よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明の固体撮像素子は、上記構成において、前記受光部の上方であって、前記第2透明膜の上にカラーフィルタをさらに備え、前記撮像領域の中央部において、前記カラーフィルタにうちの赤色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径は、前記カラーフィルタのうちの青色のカラーフィルタを備えた前期第2透明膜の上面の径よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
本発明の固体撮像素子は、上記構成において、前記撮像領域の中央部において、前記カラーフィルタにうちの緑色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径は、前記カラーフィルタのうちの青色のカラーフィルタを備えた前期第2透明膜の上面の径よりも大きく、前記カラーフィルタにうちの赤色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径よりも小さいことを特徴とする。
【0012】
本発明の固体撮像素子は、上記構成において、前記第2透明膜は、前記複数の受光部ごとに独立して形成されていることを特徴とする。
本発明の固体撮像素子は、上記構成において、前記第2の透明膜は、前記複数の受光部にまたがって形成されており、前記複数の受光部ごとの上方に凸状に突出していることを特徴とする。
【0013】
本発明の固体撮像素子は、上記構成において、前記撮像領域の周辺部において、前記第2透明膜の凸状の部分が、前記受光部に対して、前記撮像領域の中心部に向かってオフセットされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によりスミアの面内分布が低減され、画素部外周でのスミア比が改善されるため製品の品質劣化を防止できる。また、斜め光に対する光の閉じ込めが強化されるため隣接画素への混色も低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子1の概略構成を示す模式ブロック図である。
【図2】固体撮像素子1の一部構成を示す模式断面図である。
【図3】(a)は、固体撮像素子1の模式上面図であり、(b)は、画素部面内での光導波路の構造を示す模式断面図である。
【図4】スミア比を示す特性図である。
【図5】(a)は、光導波路の径が細い場合におけるスミア比改善のメカニズムを説明するための模式断面図であり、(b)は、光導波路の径が太い場合におけるスミア比改善のメカニズムを説明するための模式断面図である。
【図6】(a)は、青色光入射に際しての、開口径、入射角とスミア比の関係を示す特性図であり、(b)は、赤色光入射に際しての、開口径、入射角とスミア比の関係を示す特性図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における固体撮像素子の構成を示す模式断面図である。
【図8】(a)は、第2の実施の形態における固体撮像素子の模式上面図であり、(b)は、第2の実施の形態における画素部面内での光導波路の構造を示す模式断面図である。
【図9】凸部オフセット量と入射光強度の関係を示す特性図である。
【図10】第2の実施の形態に係る固体撮像素子のプロセスフローを示す模式工程図である。
【図11】従来技術の固体撮像素子の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態における固体撮像素子について図面を参照しながら説明する。とくに記載のない場合、同一記号で同一のものを指すこととする。なお、本発明のポイントは、撮像領域(画素部)周辺部でのスミア比を改善することにある。
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子の概略図である。なお、本実施の形態で示す固体撮像素子の画素ピッチは1.34μmである。
【0017】
本実施の形態に係る固体撮像素子1では、図1に示すように、垂直方向(図中Y方向)に電荷を転送するための垂直CCD部5がX方向に周期状に配置されている。隣接する垂直CCD部5の間には、赤色光(R)用のR画素2、緑色光(G)用のG画素3、青色光(B)用のB画素4が形成され、ベイヤ―(Bayer)配列で配置されている。
各画素には、読み出しゲート(図示せず)が形成されており、各画素で光の入力により発生した電荷が垂直CCD部5に転送される。垂直CCD部5には、電極(図示せず)が形成されており、電極に電位を順次与えることで、垂直CCD部に転送された電荷は、水平CCD部6へと転送される。
【0018】
水平CCD部では、電荷を図のX方向に転送し、アンプ部7に出力され、画像信号として処理される。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子1の模式断面図である。
図2において、シリコン基板8の表層部分には、n型不純物を注入などして形成された受光部(フォトダイオード:PD)9が離間して配置されている。受光部9では、光電変換により電荷が蓄積される。受光部9へはマイクロレンズ16により取り込まれた光が入射する。マイクロレンズ16により取り込まれた入射光は、グリーン(G)フィルター17を透過する場合、緑色光(G光)以外の成分が吸収され中間層15を透過後、G光用光導波路13に導かれる。
【0019】
中間層15は、カラーフィルター形成前の平坦化に用いられる。光導波路13は、屈折率の大きな(n≒2)SiN系の材料により形成されている。中間層15の屈折率(n≒1.5)よりも大きいため、光を閉じ込める能力がある。光導波路の高さは、L≒1.5μmで作製した。
G光用光導波路13に入射したG光は、G画素3に入射する。レッド(R)フィルター18を透過する場合には赤色光(R光)がR光用光導波路14を伝搬し、R画素2に到達する。
【0020】
なお、図2で図示していない青色(B光)についても同様にブルーフィルター、B光用光導波路を通過して、B画素に入射する。
G画素3に入射したグリーン光は、G画素3における受光部(PD)9で光電変換され、電荷が蓄積される。蓄積された電荷は、読み出しゲート電極11に電位を与えることで垂直CCD部5に移動する。垂直CCD部5と読み出しゲート電極11は、ゲート酸化膜10により分離されている。
【0021】
読み出しゲート電極11は、遮光膜12で覆われており、読み出しゲート電極11下部の垂直CCD部5へ、不要な光が入射することを防止し、スミアの発生を抑制している。
図3(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る固体撮像素子1の光導波路構造を上面から見た模式上面図である。ここで、図3(a)は、図2中のA−A’断面を上から見た模式上面図であり、固体撮像素子1の画素(撮像)部は画素部26の領域である。また、R,G,Bの各記号は、それぞれR光用光導波路14、G光用光導波路13、B光用光導波路19を意味している。
【0022】
図3(a)に示すように、本実施の形態において、画素部中央のG光用光導波路13の開口径をdG1、画素部最外周水平端のG光用光導波路13の開口径をdG2、画素中央から最も離れた位置のG光用光導波路13の開口径をdG3とするとき、次の関係を満足するように光導波路の開口径を変化させている。
[数1]dG1>dG2>dG3
図3(b)は、図3(a)のC−C’断面を示す模式断面図であり、画素部中央と画素部最外周水平端を示している。
【0023】
図3(b)に示すように、画素部中央では、光導波路に対し略垂直に光が入射するが、外周部分になるに従い光導波路へは斜め光が入射する構造となっている。近年のデジタルカメラの薄型化に伴い、画素部最外周での入射角は大きくなる傾向にある。ズーム時の入射角θが最大15°になる場合もあるため、θ=15°までの特性を良好にする必要がある。
【0024】
図4に、画素部内で光導波路の開口径を変えた場合のスミア比の入射角特性を示す。
図4において、中央部の画素のスミア比は光導波路の開口径が大きくなるほうが良好となる。開口径は、730nm以上が望ましい。本実施の形態ではdG1=930nmとした。
一方、水平方向端部(H端)のスミア比は、入射角が大きくなるに伴い光導波路の開口径を小さくすると良化する。入射角が15°まで良好になることを前提とすると、530nm〜730nmにするのが望ましい。本実施の形態ではdG2=630nmとした。また、画素中央から最も離れた位置にあるG光用光導波路13の開口径を、dG3=600nmとした。
【0025】
結果として、光導波路のサイズが面内で一様である場合に比べ、画素周辺部のスミア比が2.5dB改善した。
画素部面内でのスミア比を改善するためには、図3(a)で示すように、画素部を最低9分割し、それぞれの領域で光導波路の開口径を最適化すると効果が得られる。理想は、画素部中央から画素部周辺に向かって連続的に開口径を変化させる(縮小させる)のが最善であるが、マスクの分解能やマスク設計の制約上段階的に変化させるのが現実的である。
【0026】
スミア比改善のメカニズムについて、図5を用いて説明する。図5(a)は、光導波路の径が細い場合における外周部付近の模式断面図であり、図5(b)は、光導波路の径が太い場合における外周部付近の模式断面図である。
入射角が大きくなり斜め光の成分が大きくなると、図5(a)に示す光導波路の径が細い場合、入射光は、光導波路13と中間層15の境界で反射され、受光部9へそのまま入射しやすい。
【0027】
また、光導波路が細いと、入射光が細い領域に閉じ込められるため、遮光膜12によって回折される光が少なくなるため、垂直CCD部5へ直接入射する光が少ない。言い換えれば、斜めから入射した光を曲げて受光部9へ導く能力が高いことになる。
一方、図5(b)のように光導波路の径が太い場合は、入射光の反射の箇所が変化し、遮光膜12に当たり、回折光が発生しやすくなる。回折光は、垂直CCD部12へ入射し、スミアとなる主要因であるため光導波路径が太いのはデメリットとなる。
【0028】
光の反射位置を変化させるために光導波路の高さを大きくするなどの対応も考えられるが、受光部9とマイクロレンズ16との距離を大きくすることになるため、各部の重ね合わせ精度を非常に厳しくする必要があり現実的でない。
本実施の形態では、受光部9とマイクロレンズ16の底面との間隔は、3μm程度である。
【0029】
また、本実施の形態では、図3(a)に示すように、R光、G光、B光用導波路の開口径を変えて形成している。各色に対応した光導波路の開口径をd、d、dとすると、次の関係を満足する。
[数2]d≧d≧d
B光は波長が短いため、開口径を小さくしても光導波路への閉じ込めが可能であり、狭範囲で光を閉じ込め散乱光を低減できるためスミア比の改善が可能である。
【0030】
一方、R光は波長が長いため、開口径を大きくしたほうが閉じ込め能力が向上する。R光に対する開口径が小さいと、導波中に染み出し光が増加し、スミア比を悪化させる危険がある。
また、染み出し光が多いと隣接画素への混色として幣害がある。
図6に、色別に開口径を変えた場合のスミア比を示す。比較しやすいように波長の長いB光とR光の特性を示す。図6(a)は、B光用光導波路の特性、図6(b)は、R光用光導波路の特性である。
【0031】
図6(a)、(b)に示すように、B光とR光の特性を比較するとB光のほうがスミア比の良い開口径がR光よりも小さめであることがわかる。よって、本実施の形態では画素中央と画素周辺部の導波路開口径を変えるのと同時に、色毎でも導波路開口径を変えて固体撮像素子を作製した。上述のように各色で開口径を変え、全色でスミア比を改善することは非常に重要である。単一色に近い画像を撮影する際に、ある特定の色に対するスミア比が悪いと出力画像が着色しやすくなる。たとえばR光に対するスミア比が悪いと青い空を撮影した場合に出力画像が赤く着色してしまうなどの不具合が発生する。
【0032】
本実施の形態では、光導波路の開口径が画素部周辺で小さいため、画素部周辺の感度が低下しやすいが、DSP(デジタルシグナルプロセッサー)などを用いて画素部外周部の感度は補正できるため、出力画像の感度差(シェーディング)は防止できる。
本発明の第1の実施の形態によりスミアが低減され、画素部全体でのスミアが改善するため製品の品質劣化を防止できる。また、画素部周辺での斜め光に対する光の閉じ込めが強化されるため隣接画素への散乱光が減衰されるため混色も低減される。
【0033】
なお、本実施の形態は、CCDデバイスを一例に説明したが、光導波路を用いた光学系を採用する固体撮像素子全般(たとえばCMOSセンサー)においてもノイズ低減効果や混色防止効果があることは明白である。
[第2の実施の形態]
本実施の形態においてもスミア低減の方法について説明する。
【0034】
本実施の形態の固体撮像素子の基本構成は、上記第1の実施の形態と同様であるが、光導波路の構造が異なっている。図7に本実施の形態に係る固体撮像素子の一部の断面構造を示す。
第1の実施の形態では光導波路が直線状に形成されているのに対し、図7に示すように、本実施の形態の光導波路は、凸部19と埋め込み部20で形成されている。凸部や埋め込み部は、屈折率の大きな(n≒2)SiN系の材料により形成されているため、光を閉じ込めやすくなっている。凸部の高さhは、150nm〜500nm程度がよい。高さhが150nm以上あれば、入射光を曲げる能力がある。
【0035】
一方、高さhが600nm以上になる場合は、凸部を導波中に発生する導波損失が大きくなり、感度低下が大きくなりやすい。また、凸部から染み出した光が散乱光となりやすいため、スミアを増やす危険性が大きくなる。
図8(a)は、図7のB−B’断面を上面から見た模式上面図である。図8(b)は、図8(a)の一部を示す模式断面図であり、画素部中央と画素部最外周水平端の構造を示している。
【0036】
本実施の形態の構造では光導波路の効果を有する凸部と埋め込み部が独立しているのが特徴である。
図8(a)、(b)にしめすように、画素部外周では光が斜め方向から入射するので、シュリンク(光学構造を画素中央付近へオフセットさせる対応)が必要であるが、本実施の形態のように、凸部が独立で形成されていると凸部のみを画素中心方向にシフトさせ、画素部への入射光量を調整しやすい。
【0037】
凸部の位置を最適化することで感度の低下を最大限防止できるので感度低下が発生しにくい。
図9に、凸部のみをずらした場合の感度変化を示す。図9は、図8(a)における水平方向端の画素(図8(a)中のP点)の感度である。図中の横軸は、凸部19の画素中心方向へのずらし量、縦軸は、画素部への光の入射光強度を示している。図9は、P点へ8°の角度で入射させた場合の結果である。
【0038】
図9からわかるように、凸部を100nm程度、画素中央方向へずらした場合、入射光強度が最大となり、ずらさない場合に比べ、3.5%入射光強度が増加する。よって、画素部水平方向端での感度が向上するため、感度のシェーディングが小さくなる。
本実施の形態においても図8(a)で示すように画素部内で光導波路の開口径を変えている。上記第1の実施の形態と同様に、中央部の画素のスミアは、光導波路の開口径が水平方向端部(H端)の開口径よりも大きな構造を採用し、画素部内でのスミア比の変動を抑制し、水平方向端部でのスミア比を改善している。
【0039】
図10に、本実施の形態の固体撮像素子の光学構造のプロセスフローを示す。
図10(a)に示すように、読み出しゲート電極11や遮光膜12を形成した後、遮光膜12周辺を屈折率の低い酸化膜22で覆う。屈折率の高いSiN系の材料から形成される埋め込み部20との屈折率差を用いて光の閉じ込めを行うためである。
次に、酸化膜22上に対しては、中間層23を形成する。中間層23は、反射率の調整や、中間膜23に含まれる水素を用いたSi基板の欠陥低減を目的として形成される。
【0040】
次に、中間層23の形成後、埋め込み部20としてSiN系材料を成膜する。本実施の形態では、CVD法により形成した。本実施の形態のように、埋め込み部と凸部を分けて形成すると、1回あたりのSiN形材料を成膜する厚みが減る。成膜量が多くなると膜中に空洞(ボイド)が発生しやすくなるが、埋め込み部だけ形成すると空洞は発生しにくいので、歩留まりの悪化が生じない。
【0041】
空洞が発生した場合には、光が散乱するため感度低下やスミア比の悪化が生じやすい。
次に、SiN形材料による埋め込み部20を形成した後、表面をCMPやエッチングにより平坦化する。
図10(b)に示すように、表面を平坦化した後、凸部用SiN膜24を成膜する。
次に、図10(c)に示すように、レジスト25を塗布してマスクで露光し、パターニングを行う。
【0042】
図10(d)に示すように、パターニング後ドライエッチングを行い、凸部26を形成する。
上記プロセスフローからもわかるように、凸部26は埋め込み部とは別工程で形成されているため、設計変更が容易である。具体的には、凸部の開口径を色別に変更するなどの対応が容易である。
【0043】
なお、本実施の形態では、凸部の上面が平面の場合を一例として説明しているが、凸部の上面が曲線状(凸レンズ状)の場合でも同様の効果が期待できる。
本発明の実施の形態によりスミアが低減され、画素部全体でのスミアが改善するため製品の品質劣化を防止できる。また、画素部周辺での感度の低下も抑制される。
加えて、画素部周辺での斜め光に対する光の閉じ込めが強化されるため隣接画素への混色も低減される。
【0044】
なお、本実施の形態は、CCDデバイスを一例として説明したが、光導波路を用いた光学系を採用する固体撮像素子全般(たとえばCMOSセンサー)においてもノイズ低減効果や混色防止効果があることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、受光部で取り込んだ入力光を、映像信号として利用する固体撮像素子を実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0046】
1.固体撮像素子
2.R画素
3.G画素
4.B画素
5.垂直CCD部
6.水平CCD部
7.アンプ部
8.シリコン基板
9.受光部
10.ゲート酸化膜
11.読み出しゲート電極
12.遮光膜
13.G光用光導波路
14.R光用光導波路
15.中間層
16.マイクロレンズ
17.グリーンフィルター
18.レッドフィルター
19.凸部
20.埋め込み部
21.B光用光導波路
22.酸化膜
23.中間層
24.凸部用SiN膜
25.レジスト
26.画素部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域に複数の受光部が形成された半導体基板と、
前記半導体基板の上に形成された第1透明膜と、
前記受光部の上であって、前記第1透明膜の内部に形成された第2透明膜とを備え、
前記第2透明膜の屈折率は、前記第1透明膜の屈折率よりも大きく、
前記撮像領域のうちの中央部に位置する前記第2透明膜の上面の径は、前記撮像領域のうちの周辺部に位置する前記第2透明膜の径よりも大きいことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記受光部の上方であって、前記第2透明膜の上にカラーフィルタをさらに備え、
前記撮像領域の中央部において、前記カラーフィルタにうちの赤色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径は、前記カラーフィルタのうちの青色のカラーフィルタを備えた前期第2透明膜の上面の径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記撮像領域の中央部において、
前記カラーフィルタにうちの緑色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径は、前記カラーフィルタのうちの青色のカラーフィルタを備えた前期第2透明膜の上面の径よりも大きく、前記カラーフィルタにうちの赤色のカラーフィルタを備えた前記第2透明膜の上面の径よりも小さいことを特徴とする請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記第2透明膜は、前記複数の受光部ごとに独立して形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記第2の透明膜は、前記複数の受光部にまたがって形成されており、前記複数の受光部ごとの上方に凸状に突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記撮像領域の周辺部において、
前記第2透明膜の凸状の部分が、前記受光部に対して、前記撮像領域の中心部に向かってオフセットされていることを特徴とする請求項5に記載の固体撮像素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16687(P2013−16687A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149059(P2011−149059)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】