説明

固体撮像装置、及び固体撮像装置の製造方法

【課題】DSNU(Dark Signal Nonuniformity:暗時出力不均一性)を改善する。
【解決手段】光電変換部(1)と、電荷蓄積部(3)と、電荷転送部(5)と、第1電荷転送ゲート部(2)と、第2電荷転送ゲート部(4)とを具備する固体撮像装置を構成する。電荷蓄積部(3)は、絶縁膜(21)を介して電荷蓄積ゲート電極(7)の下の基板に設けられた電荷蓄積領域を備えているものとする。そして、電荷蓄積領域は、基板と絶縁膜(21)との界面に接するように設けられ、第1導電型(P型)半導体で形成された第1導電型(P型)領域(17)と、その下に設けられ第2導電型(N型)領域(11、12)とを含むものである。そして、電荷蓄積部(3)は、電荷蓄積ゲート電極(7)に印加されるピンニング電圧に応答して、電荷蓄積領域の界面をピンニング状態にし、その状態で電荷を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、及び固体撮像装置の製造方法に関し、特に、フォトダイオードで得られた電荷を一時的に蓄える電荷蓄積部(メモリ)を有する固体撮像装置、及び固体撮像装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオードとCCD部とを有し、それらの間に、電荷を一時的に蓄積する電荷蓄積部(メモリ)を備えた固体撮像装置の構造が知られている。その固体撮像装置では、電荷蓄積部に電荷を保持している時間に比例して暗電流が増加することがある。時間に比例して暗電流が増加するような装置の場合、電荷を蓄積している時間が長時間になればなるほど画像の劣化が著しくなる。また、暗電流は温度依存性があり、8〜10℃程度の温度上昇に対応して2倍程度に増加することが知られている。
【0003】
特許文献1(特開2008−258571号公報)には、任意に制御された受光時間に応じた信号電荷を保持すると共に、暗電流の発生を抑制し且つ残像を生じることなく信号電荷の転送を行うことができる固体撮像素子が開示されている。
【0004】
図1は、特許文献1に記載の固体撮像装置100の構成と動作を示す図である。図1の(a)は、その固体撮像装置100の断面構成を示している。図1の(b)は、その固体撮像装置100の動作時のポテンシャルを示している。図1の(b)の実線及び点線は、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2および駆動パルスΦ1に応じて変動する電位井戸の状態を模式的に示している。
【0005】
図1の(a)に示されているように、特許文献1に記載の固体撮像装置100は、光電変換部101と電荷蓄積部103との間に第1電荷転送ゲート部102が設けられている。電荷蓄積部103とCCD部105との間に第2電荷転送ゲート部104が設けられている。光電変換部101に対応する領域のp型半導体基板120に、不純物濃度n1のn型拡散層112が設けられている。n型拡散層112の表面側にp型拡散層113が設けられており、これらにより光電変換部101を構成している。
【0006】
第1電荷転送ゲート部102〜CCD部105に渡ってn型拡散層111が設けられている。第1電荷転送ゲート電極106の下部には、不純物濃度NのN型拡散層115が設けられている。第3電荷転送ゲート電極108の下部には、不純物濃度NのN型拡散層116が設けられている。
【0007】
光電変換部101およびCCD部105の片側にはそれぞれ素子分離用のp型拡散層110およびp型拡散層119が設けられている。第1電荷転送ゲート電極106には第1転送ゲート駆動パルスΦTG1が印加される。第3電荷転送ゲート電極108には第2転送ゲート駆動パルスΦTG2が印加される。CCD部ゲート電極109には駆動パルスΦ1が印加される。第2電荷蓄積ゲート電極107にはDC電圧V1が印加される。第1電荷転送ゲート電極106、第2電荷蓄積ゲート電極107、第3電荷転送ゲート電極108およびCCD部ゲート電極109の下には、酸化膜121が設けられている。また、図示していないが、p型半導体基板120は、通常ではGND電位に設定されている。
【0008】
光電変換部101に蓄積された電荷は、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1がON(Highレベル)、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2がOFF(Lowレベル)のときに、第2電荷蓄積ゲート電極107の下に転送される。転送終了後、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1はOFF(Lowレベル)になる。
【0009】
次に、電荷蓄積部103で電荷が一定の期間に蓄積された後、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2がON(Highレベル)になり、さらに駆動パルスΦ1もON(Highレベル)になると、電荷蓄積部103に蓄積された電荷は、CCD部105に転送される。転送終了後に第2転送ゲート駆動パルスΦTG2がOFF(Lowレベル)になる。その後、CCD部105に転送され、蓄積された電荷は、CCDをパルス駆動することにより出力アンプ(図示しない)に転送される。
【0010】
特許文献1に記載の固体撮像装置100は、第1電荷転送ゲート部102からCCD部105に渡ってn型拡散層111が形成されている。その固体撮像装置100は、n型拡散層111の作用により、電荷転送路がSi表面を通らない、いわゆる埋め込み型チャネルを構成する構造となっている。その固体撮像装置100においては、電荷蓄積部の上のゲート電極に負の電圧(ピンニング電圧)を印加し、酸化膜とシリコン基板との界面をGND電位になるようにピンニングさせている。
【0011】
図2は、電荷蓄積部103の第2電荷蓄積ゲート電極107に印加されるゲート電圧と、そのゲート電圧に対するチャネル電位との対応を示すゲート電圧‐チャネル電位特性のグラフである。第2電荷蓄積ゲート電極107にマイナス電圧を印加していくと、線40のように、V=V10pで、第2電荷蓄積ゲート電極107の下がピンニングされた状態となる。その時のポテンシャルはψv10pとなる。
【0012】
第2電荷蓄積ゲート電極107にピンニング電圧以下の負の電圧が印加された状態では、n型拡散層111と酸化膜121との界面は、反転した状態であり、表面ポテンシャルは、p型半導体基板120と同電位のGND電位となる。これにより、酸化膜とシリコン基板との界面にホールが捕獲され、熱励起電子が価電子帯から伝導帯へ励起されにくくなり、界面準位に起因する暗電流が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−258571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のような固体撮像装置100において、電荷蓄積部の上のゲート電極にピンニング電圧を印加させても、所謂、白キズと呼ばれるDSNU(Dark Signal Nonuniformity:暗時出力不均一性)という問題が、完全に改善されないことがある。DSNU不良を防止することができない場合には、固体撮像装置の品質を高い水準に保つことが困難となる。
【0015】
発明者の検討の結果、電荷の蓄積時に発生するDSNUの発生原因の一つが、酸化膜とシリコンとの界面の欠陥に起因する微小リーク電流であることが発見された。酸化膜とシリコンの界面に欠陥が発生することで、微小リーク電流が空乏層を介してメモリ蓄積部に流れ込み、暗電流になることが見出された。
【0016】
図3は、図1に示した特許文献1に記載の固体撮像装置100の電荷蓄積部103のD−D’断面と、そのD−D’断面におけるポテンシャルプロファイルを示す図である。図3の横軸方向は、基板表面の深さ方向を示している。また、縦軸方向は電位を表し、下が正電位側、上が負電位側になっている。図3の実線で示されているグラフは、第2電荷蓄積ゲート電極107にピンニング電圧以下の負の電圧が印加された状態でのポテンシャルプロファイルを模式的に示している。
【0017】
第2電荷蓄積ゲート電極107に、V=V10pより低い電圧を印加することでn型拡散層111はピンニング状態となり、n型拡散層111と酸化膜121の界面では、幅がΔDz10の反転層が形成される。この反転層が形成されることで、n型拡散層111と酸化膜121との界面にある欠陥領域がp層に覆われる。それによって、暗電流がメモリ領域に流れ込むことが抑制されることとなる。
【0018】
n型拡散層111と酸化膜121との界面で発生した欠陥に起因するDSNUを、ピンニング時の反転層領域の幅を広げることで抑制することが可能であることが推測される。図3の鎖線で示されているグラフは、反転層領域の幅をΔDz11に広げた状態でのポテンシャルプロファイルを模式的に示している。
【0019】
図3の鎖線のようなポテンシャルプロファイルの電荷蓄積層を構成し、第2電荷蓄積ゲート電極107にピンニング電圧以下の負の電圧を印加することで、n型拡散層111と酸化膜121との界面で発生した欠陥領域が、幅がΔDz11程度のp型の反転層の領域に覆われる。これによって、リーク電流が空乏層を介して電荷蓄積部103に流れ込む現象を防ぐことが可能となり、DSNUの発生を防止することが可能となると考えられる。
【0020】
固体撮像装置100の電荷蓄積部103を形成するときに、リンの注入エネルギーを従来よりも高くすることで、ピンニング時の反転層領域の幅を広げることが可能となる。しかし、DSNUの発生を防止することを目的として、リンの注入エネルギーを従来よりも高くすると、電荷蓄積層のポテンシャルのピーク位置が、p型基板のz方向(深さ方向)にシフトしてしまう。
【0021】
電荷蓄積部103のポテンシャルのピーク位置が、p型基板のz方向にシフトすると、その電荷蓄積部103で蓄えた電荷をCCD部105に読み出すときに、第3電荷転送ゲート電極108に印加される第2転送ゲート駆動パルスΦTG2の電圧が高くなってしまう。
【0022】
また、例えばリンの注入エネルギーを、大きく変更しても、反転層の幅が2割程度しか増加しないこともわかってきた。そのため、リンの注入エネルギーを従来よりも高くしても、DSNU低減の効果を十分に得られない場合がある。
【0023】
反転層の幅を広げつつ、メモリ蓄積部のポテンシャルのピーク位置も変化させない技術がもとめられる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0025】
上記の課題を解決するために、光電変換部(1)と、電荷蓄積部(3)と、電荷転送部(5)と、第1電荷転送ゲート部(2)と、第2電荷転送ゲート部(4)とを具備する固体撮像装置を構成する。第1電荷転送ゲート部(2)は、光電変換部(1)と電荷蓄積部(3)との間に設けられ、光電変換部(1)から電荷蓄積部(3)への電荷の移動を制御する。第2電荷転送ゲート部(4)は、電荷蓄積部(3)と電荷転送部(5)との間に設けられ、電荷蓄積部(3)から電荷転送部(5)への電荷の移動を制御する。
【0026】
ここにおいて、電荷蓄積部(3)は、電荷蓄積ゲート電極(7)と、絶縁膜(21)を介して電荷蓄積ゲート電極(7)の下の基板に設けられた電荷蓄積領域とを備えているものとする。そして、電荷蓄積領域は、基板と絶縁膜(21)との界面に接するように設けられ、第1導電型(P型)半導体で形成された第1導電型領域(17)と、第1導電型領域(17)の下に設けられ、第1導電型(P型)半導体と反対の第2導電型(N型)半導体で形成された第2導電型領域(11、12)とを含むものである。そして、電荷蓄積部(3)は、電荷蓄積ゲート電極(7)に印加されるピンニング電圧に応答して、電荷蓄積領域の界面をピンニング状態にし、その状態で電荷を保持する。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、反転層の幅を広げつつ、メモリ蓄積部のポテンシャルのピーク位置も変化させない固体撮像装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、従来の固体撮像装置100の構成と動作を示す図である。
【図2】図2は、電荷蓄積部103のゲート電圧とチャネル電位との対応を示すゲート電圧‐チャネル電位特性のグラフである。
【図3】図3は、電荷蓄積部103の断面と、その断面におけるポテンシャルプロファイルを示す図である。
【図4】図4は、本願発明の固体撮像装置の第1実施形態の構成を概略的に例示する平面図である。
【図5】図5は、第1実施形態の固体撮像装置におけるX−X’断面と、動作時のポテンシャルを例示する図である。
【図6】図6は、第1実施形態の固体撮像装置におけるY−Y’断面と、動作時のポテンシャルを例示する図である。
【図7】図7は、本実施形態の固体撮像装置の動作を例示するタイミングチャートと、電荷の遷移状態とを示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の固体撮像装置における、A−A’断面の深さ方向のポテンシャルプロファイルを例示するポテンシャル図である。
【図9A】図9Aは、電荷蓄積部3のゲート電圧とチャネル電位との対応を例示するゲート電圧−チャネル電位特性図である。
【図9B】図9Bは、異なるイオン注入量のp型拡散層17と、ピンニング時の反転層領域の幅との対応を例示する図である。
【図10】図10は、従来の固体撮像装置の他の構成を示す断面図である。
【図11A】図11Aは、参考例における電荷蓄積部103のゲート電圧−チャネル電位特性のグラフである。
【図11B】図11Bは、参考例におけるDSNUと電荷蓄積部103を形成するときのイオン注入エネルギーとの依存性を示すグラフである。
【図11C】図11Cは、参考例におけるDSNUと反転層幅との依存関係を示すグラフである。
【図11D】図11Dは、参考例におけるDSNUと反転層幅との依存関係を示すグラフである。
【図12】図12は、第2実施形態の固体撮像装置の断面と、動作時のポテンシャルを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
図4は、本願発明の固体撮像装置の第1実施形態の構成を概略的に例示する平面図である。図4の平面図に示されているように、その固体撮像装置は、光電変換部(フォトダイオード)1と、電荷転送ゲート部2と、電荷蓄積部3と、電荷転送ゲート部4と、CCD部5とを備えている。光電変換部1と電荷蓄積部3との間に電荷転送ゲート部2が設けられており、電荷蓄積部3とCCD部5との間に電荷転送ゲート部4が設けられている。光電変換部1には、受光部1aが設けられている。電荷転送ゲート部2には、電荷転送ゲート電極6が設けられている。電荷蓄積部3には、電荷蓄積ゲート電極7が設けられている。電荷転送ゲート部4には、電荷転送ゲート電極8が設けられている。CCD部5には、CCD部ゲート電極9、CCD部ゲート電極22、CCD部ゲート電極25およびCCD部ゲート電極26が繰り返して配置されており、その一端に出力アンプ23が設けられている。
【0031】
図5は、図4におけるX−X’断面の構成と、動作時のポテンシャルを例示する図である。図5の(a)は、そのX−X’断面の断面構成を示している。図5の(b)は、動作時のX−X’断面でのポテンシャルを示している。図5の(b)の実線及び点線は、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2および駆動パルスΦ1に応じて変動する電位井戸の状態を模式的に示している。
【0032】
図5を参照すると、光電変換部1には、p型半導体基板20内に、不純物濃度n2のn型拡散層13が設けられ、その表面側にp型拡散層14が設けられており、これらにより受光部1aが構成されている。電荷転送ゲート部2〜CCD部5に渡って、n型拡散層11が設けられており、電荷転送ゲート電極6の下部には、不純物濃度nのn型拡散層15が設けられている。電荷転送ゲート電極8の下部には、不純物濃度nのn型拡散層16が設けられている。電荷蓄積ゲート電極7の下部に不純物濃度n1のn型拡散層12と不純物濃度p1のp型拡散層17が設けられている。各ゲート電極とシリコン基板との間には、絶縁するためのゲート酸化膜21が形成されている。光電変換部1およびCCD部5の片側にはそれぞれ素子分離用のp型拡散層10およびp型拡散層19が設けられている。
【0033】
電荷転送ゲート電極6には第1転送ゲート駆動パルスΦTG1が印加され、電荷転送ゲート電極8には第2転送ゲート駆動パルスΦTG2が印加され、CCD部ゲート電極9には駆動パルスΦ1が印加され、電荷蓄積ゲート電極7には、ストレージ駆動パルスSTとして、DC電圧V1が印加されている。また、図示していないが、p型半導体基板20はGND電位に設定されている。
【0034】
各拡散層を形成するためのイオン注入エネルギー、イオン注入量の一例を記載すると以下のようになる。
型拡散層10…p型不純物イオン: 30keV:5.0×1013/cm
型拡散層19…p型不純物イオン: 30keV:5.0×1013/cm
n型拡散層11…n型不純物イオン:150keV:2.0×1012/cm
n型拡散層12…n型不純物イオン:300keV:1.5×1012/cm
n型拡散層13…n型不純物イオン:300keV:2.5×1012/cm
型拡散層14…p型不純物イオン: 30keV:1.0×1013/cm
p型拡散層17…p型不純物イオン: 50keV:3.0×1012/cm
n型拡散層15…n型不純物イオン: 50keV:5.0×1011/cm
n型拡散層16…n型不純物イオン: 50keV:5.0×1011/cm
なお、p型半導体基板20の不純物濃度は2.0×1015/cm程度であり、ゲート酸化膜21の酸化膜厚は500〜1000Å程度である。
【0035】
ここで、不純物濃度n1のn型拡散層12の形成方法の例を以下に説明する。例えば、1回目のイオン注入で電荷転送ゲート部2〜CCD部5まで開口されたマスクを用いて不純物濃度n相当を形成する。そして、2回目のイオン注入によりn型拡散層12部分のみ開口されたマスクを用いて不純物濃度naを追加注入する。すなわち、
n1=n+na
となり、
n<n1
となる。なお、この方法は一例であり、n<n1であれば、本願発明のn型拡散層(不純物濃度n1)12を製造する方法に制限はない。
【0036】
本実施形態のp型拡散層(不純物濃度p1)17は、n型拡散層(不純物濃度n1)12を形成した後、その同じマスク(n型拡散層12部分のみ開口されたマスク)を用いて、電荷蓄積部3に対応する基板領域に、不純物濃度p1のボロンを注入することによって形成される。
【0037】
図6は、図4におけるY−Y’断面の構成と、動作時のポテンシャルを例示する図である。図6の(a)は、そのY−Y’断面の断面構成を示している。図6の(b)は、動作時のY−Y’断面でのポテンシャルを示している。図6の(b)の実線及び点線は、駆動パルスΦ1、駆動パルスΦ2に応じて変動する電位井戸の状態を模式的に示している。
【0038】
図6を参照すると、p型半導体基板20の内部に、不純物濃度nのn型拡散層11が設けられている。シリコン基板とゲート酸化膜21との界面上には、そのゲート酸化膜21を介してCCD部ゲート電極9、CCD部ゲート電極22、CCD部ゲート電極25およびCCD部ゲート電極26が設けられている。CCD部ゲート電極22およびCCD部ゲート電極26の下部には、不純物濃度nのCCD部n型拡散層24が設けられている。複数の第1層ゲート電極は、2電極毎(CCD部ゲート電極9とCCD部ゲート電極26の組み合わせ、および、CCD部ゲート電極25とCCD部ゲート電極22の組み合わせ)に配線で接続されている。複数の第1層ゲート電極には、それぞれ駆動パルスΦ1およびΦ2が印加されている。
【0039】
図7は、本実施形態の固体撮像装置の動作を例示するタイミングチャートと、電荷の遷移状態とを示す図である。図7の(a)は、図4におけるX−X’断面に対応する領域を駆動するときのタイミングを例示している。図7の(b)は、図4におけるX−X’断面の電荷の遷移状態を例示している。図7の第1転送ゲート駆動パルスΦTG1は、LOW:0[V]〜HIGH:5[V]まで変化するパルスである。ストレージ駆動パルスSTは、−5[V]のDC電圧である。第2転送ゲート駆動パルスΦTG2は、LOW:0[V]〜HIGH:10[V]まで変化するパルスである。駆動パルスΦ1は、LOW:0[V]〜HIGH:5[V]まで変化するパルスである。駆動パルスΦ2は、駆動パルスΦ1の逆相パルスである。
【0040】
図7を参照すると、時刻t1おいて、光入射により光電変換部1で発生した電荷は、その光電変換部1に蓄積されている。時刻t2において、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1がON(Highレベル)となり、光電変換部1に蓄積されていた電荷が電荷蓄積部3に転送される。時刻t3において、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2がON(Highレベル)となり、電荷蓄積部3に蓄積されていた電荷が、CCD部5に転送される。CCD部5に転送された電荷は、2相のクロック駆動パルスΦ1、駆動パルスΦ2によりCCD部5の内部を転送され、出力アンプ23を介して出力される。
【0041】
図8は、本実施形態の固体撮像装置における、上述の図5のA−A’断面の深さ方向のポテンシャルプロファイルを例示するポテンシャル図である。一般に、電荷転送路がSi表面を通らない、いわゆる埋め込み型チャネルとなっている固体撮像装置では、電荷蓄積部3のピンニング電圧をVpとすると、図8の破線に示すように、酸化膜とシリコン界面の境界領域では、その濃度プロファイルに応じた幅ΔDz10の反転層が形成される。本実施形態の固体撮像装置は、表面側に浅くp型不純物を注入することにより、ピンニング電圧Vpを0V側にシフトさせ、図8の実線に示すようなポテンシャル分布を実現している。その表面側に形成された浅いp型不純物層であるp型拡散層17の作用によって、ピンニング時の反転層の幅を、ΔDz10からΔDz2広げることが可能となる。
【0042】
図9Aは、電荷蓄積部3のゲート電圧とチャネル電位との対応を例示するゲート電圧−チャネル電位特性図である。図9Aの各グラフは、単位面積当たりのボロン注入量(注入されたイオンの個数)の基準をB0とするときに、その基準に対し、ボロンのイオン注入量を変更した場合のゲート電圧−チャネル電位特性を例示している。線34は、ボロンを注入しない(p型拡散層17を形成しない)条件で形成された電荷蓄積部3のゲート電圧−チャネル電位特性を例示している。線35は、ボロン注入量を2B0として形成された電荷蓄積部3のゲート電圧−チャネル電位特性を例示している。線36は、ボロン注入量を6B0として形成された電荷蓄積部3のゲート電圧−チャネル電位特性を例示している。線37は、ボロン注入量を8B0として形成された電荷蓄積部3のゲート電圧−チャネル電位特性を例示している。
【0043】
異なるボロン注入量の電荷蓄積部3において、ピンニング時のチャネル電位は、ボロンを注入しないときのポテンシャルψv0pと同じ電位になるように調整されている。図9Aを参照すると、電荷蓄積部3の電荷蓄積ゲート電極7にマイナス電圧を印加していくと、電荷蓄積ゲート電極7の下がピンニングされた状態となる。その時のポテンシャルはψv0p=ψv1p=ψv2p=ψv3pとなっている。そのポテンシャルは、n型拡散層12を形成するときのリンなどのn型不純物イオン注入量と、p型拡散層17を形成するときのボロンなどのp型不純物イオン注入量をそれぞれ調整し、n型不純物イオン注入量とp型不純物イオン注入量を制御することによって、ψv0p=ψv1p=ψv2p=ψv3pの関係になっている。図9Aに示されているように、その時のピンニング電圧はV0p<V1p<V2p<V3pの関係が成り立っている。
【0044】
図9Bは、ボロンのイオン注入量を変化させて電荷蓄積部3のp型拡散層17を形成する場合における、異なるイオン注入量のp型拡散層17と、そのp型拡散層17を含む電荷蓄積部3のピンニング時の反転層領域の幅との対応を例示する図である。なお、図9Bは、ボロンを注入しない(p型拡散層17を形成しない)条件で形成された電荷蓄積部3に関する情報を含んでいる。また、図9Bは、イオン注入量が異なるp型拡散層17の電荷蓄積部3の各々に対し、それぞれの電荷蓄積ゲート電極7に、ピンニング電圧V0p、V1p、V2pおよびV3pを印加したときの反転層領域の幅ΔDzを、シミュレーションによって求めた結果を示している。ここで、本実施形態の固体撮像装置において、p型拡散層17のボロン濃度は、ピンニング電圧が0V以下の電圧となるような濃度に設定されていることが好ましい。
【0045】
以下に、ピンニング電圧Vpを0V以上にする場合に生じる可能性のある不具合について説明を行う。本実施形態の固体撮像装置のp型拡散層(不純物濃度p1)17を構成する場合、リンとボロンとは同じ位置に注入される。ボロンは熱拡散係数がリンよりも高い。そのため、電荷蓄積部3の基板領域に濃度の濃いボロンをイオン注入した場合、その後の半導体製造工程の熱履歴により、ボロンが電荷蓄積部3の下のリン領域よりも拡散してしまい、電荷蓄積部3の両端側の電極下の領域にまで達してしまうことがある。その結果、電荷蓄積部3と接した端部ではポテンシャルバリアやデップが形成されることとなり、スムーズな電荷転送を行なうことが困難となる問題が生じることがある。
【0046】
図10は、上述した特許文献1に記載された固体撮像装置の他の構成を示す断面図である。図10に示す固体撮像装置は、上述の第2電荷蓄積ゲート電極107を設けることなく形成されている。また、図10に示す固体撮像装置は、n型拡散層111の表面部分に、P型領域1052が形成されている。また、所望のポテンシャルを得るために、この部分にはN型領域1051が付加されている。そのため、この部分のポテンシャルは、全体として、n型拡散層111に比して深くなっている。本実施形態の固体撮像装置は、図9Aの線37のように、ボロン注入濃度を、8B0まで上げることで、図10と同様の構成とすることが可能である。換言すると、図5の断面図に例示される固体撮像装置において、ピンニング電圧Vpが0V以上になるような電荷蓄積部3を有し、電荷蓄積ゲート電極7を設けない場合の構造と同様である。
【0047】
上述のように、電荷蓄積部103において、リンとボロンが同じ位置に注入される。また、ボロンは熱拡散係数がリンよりも高い。そのため、濃度の濃いボロンをイオン注入した場合、その後の半導体製造工程の熱履歴により、ボロンが電荷蓄積部103の下のリン領域よりも拡散してしまい、電荷蓄積部103の両端側の電極下の領域にまで達してしまう。その結果、電荷蓄積部103と接した端部ではポテンシャルバリアやデップが形成されることとなり、スムーズな電荷転送を行なうことが困難となる問題が生じることがある。
【0048】
図10のような構造において、電荷蓄積部103に対応する領域のみボロン濃度を高くしようとすれば、熱拡散後にリン注入と同じ位置にボロンがくるように、p型不純物イオン(ボロン)注入の範囲をあらかじめ狭めて注入しなければならない。さらに、p型不純物イオン(ボロン)注入の範囲を制御するための新たに工程の追加も必要となる。よって、本実施形態の固体撮像装置においては、浅いボロンのイオン注入濃度の上限として、ピンニング電圧Vpは0V以下となるように定めている。
【0049】
また、あまり濃度が薄い場合には反転層の形成幅が少なくなる。そのためDSNU低減の効果が少なくなる。よって、浅いボロンのイオン注入濃度の下限値を予め定めておくことが好ましい。
【0050】
仮に、電荷蓄積部3と隣接する電荷転送ゲート部2と電荷転送ゲート部4とに、電荷蓄積部3に注入するボロンと同じ濃度のボロンを注入した場合に、一定の濃度を超えると、電荷転送ゲート部2と電荷転送ゲート部4の読出し時のポテンシャルが、電荷蓄積部3よりも浅くなるためポテンシャル関係が逆転してしまう。ポテンシャル関係が逆転してしまうと、電荷転送がスムーズに行なわれない。したがって、ポテンシャル関係が逆転してしまうような濃度を下限値とし、そのレベルのボロン濃度よりもボロンのイオン注入量を多くすることが好ましい。
【0051】
上述の図9Aを参照すると、線36に示されるようなゲート電圧−チャネル電位特性の電荷蓄積部3を構成することによって、本実施形態の固体撮像装置は、図3の鎖線のようなポテンシャルプロファイルの電荷蓄積層を構成し、第2電荷蓄積ゲート電極107にピンニング電圧以下の負の電圧を印加する構造の固体撮像装置よりも、電荷蓄積部3の下のピンニング時の反転層領域幅を約4倍に広げることが可能となる。その結果、DSNUを従来レベルから低減させることが可能となる。また、メモリ蓄積の深さ方向のポテンシャルプロファイルのピーク位置も、従来技術の位置から極端にシフトすることがない。そのため、蓄積された電荷の読出し電圧も、従来技術と同様な読出し電圧を保つことが可能となる。
【0052】
[参考例]
以下に、本実施形態の固体撮像装置の作用効果に対する理解を容易にするための参考例について説明を行う。この参考例は、p型の反転層領域の幅とDSNUとの関係を調査するために行った実験に基づいて、その関係ついて説明している。
【0053】
上述の特許文献1の固体撮像装置100を形成する工程において、電荷蓄積部103の下のn型拡散層111の形成時のイオン注入エネルギーを、活性化エネルギーEaに対し、1.0Ea[KeV]、1.25Ea[KeV]、1.38Ea[KeV]と深く打ち込むことで、電荷蓄積部103の基板界面の反転層領域を広げる実験を行なった。
【0054】
図11Aは、その電荷蓄積部103のゲート電圧−チャネル電位特性のグラフである。線40は、リン注入エネルギーが1.0Ea[KeV]時のゲート電圧−チャネル電位特性を示している。線41は、リン注入エネルギーが1.25Ea[KeV]時のゲート電圧−チャネル電位特性を示している。線42は、リン注入エネルギーが1.38Ea[KeV]時のゲート電圧−チャネル電位特性を示している。
【0055】
電荷蓄積部103の下のピンニング時のチャネル電位は、ψv10と同じ電位になるようにn型拡散層12のイオン注入濃度が調整されており、
ψv10p=ψv11p=ψv12p
の関係が成り立つようになっている。
この時、ピンニング電位は、
V10p<V11p<V12p
という関係が成り立っている。
【0056】
図11Bは、DSNUと電荷蓄積部103を形成するときのイオン注入エネルギーとの依存性を示すグラフである。図11Bは、異なる複数のイオン注入エネルギーと、そのイオン注入エネルギーに対応する電荷蓄積部103のDSNUを測定した結果を示す。図11Bには、電荷蓄積部103下のチャネル電位を一定にしたまま、リン注入のエネルギーを大きくすると、DSNUのレベルが減少することが示されている。
【0057】
図11Cは、DSNUと反転層幅との依存関係を示すグラフである。図11Cを参照すると、リン注入エネルギーが1.0Ea[KeV]時の反転層幅は約180Åであり、1.25Ea[KeV]時の反転層幅は約210Åであり、1.38Ea[KeV]時の反転層幅は約230Åであることが示されている。
【0058】
図11Dは、DSNUと反転層幅との依存関係を示すグラフである。図11Dは、電荷蓄積部103下のピンニング時のチャネル電位を、任意のレベルで変化させ、反転層幅とDSNUの関係を測定した結果を示すグラフである。図11Dには、電荷蓄積部103下のピンニング時の任意のチャネル電位やイオン注入エネルギーにも関わらず、基板の表面反転層幅とDSNUの関係は相関性があることが、実験結果から示されている。
【0059】
以上の実験結果から、ピンニング時の反転層領域の幅を広げると欠陥等がp層に覆われるため、リーク電流が空乏層を介して電荷蓄積部103への流れ込みを防ぐことで、DSNUの発生を抑制可能という、上述の推測が導き出される。このとき、DSNUの発生を防止することを目的として、リンの注入エネルギーを従来よりも高くすると、電荷蓄積層のポテンシャルのピーク位置が、p型基板のz方向(深さ方向)にシフトしてしまうことも突き止められた。したがって、本実施形態の固体撮像装置のような新規の構造が、電荷蓄積部3のポテンシャルのピーク位置を変化させることなく、反転層の幅を広げることを可能とし、リーク電流の抑制と消費電力の増加を抑制という効果を実現している。
【0060】
[第2実施形態]
以下に、本願発明の第2実施形態について説明を行う。図12は、第2実施形態の固体撮像装置の断面と、動作時のポテンシャルを例示する図である。なお、第2実施形態の固体撮像装置の平面の構成は、第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。図12の(a)は、上述の図4の平面図におけるX−X’断面と同様の位置の断面構成を示している。図12の(b)は、動作時のX−X’断面でのポテンシャルを示している。図12の(b)の実線及び点線は、第1転送ゲート駆動パルスΦTG1、第2転送ゲート駆動パルスΦTG2および駆動パルスΦ1に応じて変動する電位井戸の状態を模式的に示している。
【0061】
図12に示されているように、第2実施形態の固体撮像装置は、電荷蓄積部3の電荷蓄積ゲート電極7の下に、ゲート酸化膜21を介して濃度p3のp型不純物を有するp型拡散層27を備えている。そして、その固体撮像装置は、そのp型拡散層27の下に、濃度p2のp型不純物を有するp型拡散層28を備えている。それ以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
p型拡散層27とp型拡散層28は、イオン注入エネルギーの異なるボロン注入を2回に分けて行なうことで形成される。第2実施形態の固体撮像装置の電荷蓄積部3において、イオン注入は、n型拡散層12部分のみ開口されたマスクを用いて、p型拡散層27に対応する基板領域に、不純物濃度p1となるように一回目のボロンを注入する。2度目のイオン注入も、n型拡散層12部分のみ開口されたマスクを用いて、p型拡散層28に対応する基板領域に不純物濃度p2となるように追加注入する。すなわち、電荷蓄積部3下のp型拡散層27のp型不純物濃度p3は、p1+p2となる。第2実施形態の固体撮像装置の動作は、第1の実施例と同様である。
【0063】
第2実施形態の固体撮像装置において、電荷蓄積部3に基板のイオン注入を、注入エネルギーの異なるボロン注入を2回に分けて実施することで、メモリ蓄積下の深さ方向のポテンシャルプロファイルをより詳細に調整することが可能となる。それにより、ゲート読出し電圧の最適化等の設計自由度が向上させることができる。
【0064】
なお、第2実施形態の固体撮像装置は、浅いボロンの2段階注入でp型拡散層27とp型拡散層28を形成している。本実施形態において、ボロンのイオン注入を、n回(n>=3)以上とすることにより、さらに最適な濃度プロファイル設計が可能となる。また、第2実施形態においても、ピンニング時の反転層領域の幅は、第1の実施例と同等であるため、したがって、DSNUを従来レベルから低減させることが可能となる。
【0065】
なお、第1実施形態または第2実施形態の固体撮像装置において、電荷転送ゲート部2〜電荷転送ゲート部4に渡って、基板表面付近にp型不純物を追加イオン注入(図示されず)しても良い。その追加イオン注入により、CCD部5に対してポテンシャルが全体的に低く設定され、設計自由度を向上させることもできる。
【0066】
以上、本願発明の実施の形態を具体的に説明した。上述の複数の実施形態で説明した固体撮像装置は、電荷蓄積ゲート電極の下部において、n型不純物濃度イオンを注入する工程に、さらに、p型不純物イオンを浅く打ち込む工程を行いうことで、p型拡散層を形成している。そのp型拡散層の作用効果によって、電荷蓄積領域のピンニング時の反転層領域の幅を広げ、深さ方向のポテンシャルピーク位置を変化させることなく、DSNUの発生をおさえることが可能となる。
【0067】
上述の複数の実施形態において、p型半導体基板20は、n型半導体基板内部のpウェルであっても良い。p型半導体基板またはn型半導体基板の材質として、たとえばシリコンなどが例示される。また、上述の複数の実施形態において、各ゲート電極の材質に制限はない。例えば、ポリシリコンや金属などを材料として使用してゲート電極を構成することで、本願発明の作用効果を奏することができる。また、上述の複数の実施形態において、ゲート電極が、単層構造で構成されている固体撮像装置を例示したが、2層や3層構造でも実現可能である。
【0068】
さらに、本願発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。そして、上述の複数の実施形態は、その構成・動作に矛盾が生じない範囲において組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…光電変換部(フォトダイオード)
1a…受光部
2…電荷転送ゲート部
3…電荷蓄積部
4…電荷転送ゲート部
5…CCD部
6…電荷転送ゲート電極
7…電荷蓄積ゲート電極
8…電荷転送ゲート電極
9…CCD部ゲート電極
10…p型拡散層
11…n型拡散層(不純物濃度n)
12…n型拡散層(不純物濃度n1)
13…n型拡散層(不純物濃度n2)
14…p型拡散層
15…n型拡散層(不純物濃度n
16…n型拡散層(不純物濃度n
17…p型拡散層(不純物濃度p1)
19…p型拡散層
20…p型半導体基板
21…ゲート酸化膜
22…CCD部ゲート電極
23…出力アンプ
24…CCD部n型拡散層(不純物濃度n
25…CCD部ゲート電極
26…CCD部ゲート電極
27…p型拡散層(不純物濃度p3)
28…p型拡散層(不純物濃度p2)
34…線
35…線
36…線
37…線
40…線
41…線
42…線
ΦTG1…第1転送ゲート駆動パルス
ΦTG2…第2転送ゲート駆動パルス
Φ1…駆動パルス
Φ2…駆動パルス
ST…ストレージ駆動パルス
V1…DC電圧
100…固体撮像装置
101…光電変換部
102…第1電荷転送ゲート部
103…電荷蓄積部
104…第2電荷転送ゲート部
105…CCD部
106…第1電荷転送ゲート電極
107…第2電荷蓄積ゲート電極
108…第3電荷転送ゲート電極
109…CCD部ゲート電極
110…p型拡散層
111…n型拡散層
112…n型拡散層
113…p型拡散層
115…N型拡散層
116…N型拡散層
119…p型拡散層
120…p型半導体基板
121…酸化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、
電荷蓄積部と、
電荷転送部と、
前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられ、前記光電変換部から前記電荷蓄積部への電荷の移動を制御する第1電荷転送ゲート部と、
前記電荷蓄積部と前記電荷転送部との間に設けられ、前記電荷蓄積部から前記電荷転送部への電荷の移動を制御する第2電荷転送ゲート部と
を具備し、
前記電荷蓄積部は、
電荷蓄積ゲート電極と、
絶縁膜を介して前記電荷蓄積ゲート電極の下の基板に設けられた電荷蓄積領域と
を備え、
前記電荷蓄積領域は、
前記基板と前記絶縁膜との界面に接するように設けられ、第1導電型半導体で形成された第1導電型領域と、
前記第1導電型領域の下に設けられ、前記第1導電型半導体と反対の第2導電型半導体で形成された第2導電型領域と
を含む
固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固体撮像装置において、
前記電荷蓄積部は、
前記電荷蓄積ゲート電極に印加されるピンニング電圧に応答して、前記電荷蓄積領域の前記界面をピンニング状態にし、前記ピンニング状態で前記電荷を保持する
固体撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の固体撮像装置において、
前記電荷蓄積部は、
前記電荷蓄積ゲート電極に印加されるピンニング電圧に応答して、前記界面と前記第2導電型領域との間に、前記第1導電型領域を含む反転層を形成し、
前記反転層は、
前記第2導電型領域に流れこむリーク電流を抑制する
固体撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の固体撮像装置において、
前記電荷蓄積部は、
前記電荷蓄積ゲート電極に印加される0V以下のピンニング電圧に応答して、前記反転層を形成する
固体撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固体撮像装置において、
前記電荷蓄積部は、
前記第2導電型領域のみで構成され前記反転層よりも幅の狭い反転層を形成する他の電荷蓄積部と同等のポテンシャルピーク位置を有する
固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の固体撮像装置において、
前記第2電荷転送ゲート部は、
第2電荷転送ゲート電極を備え、
前記第2電荷転送ゲート電極は、
前記他の電荷蓄積部から電荷を読み出すときと同等のゲート電圧に応答して、前記電荷蓄積部から前記電荷転送部への電荷を転送する
固体撮像装置。
【請求項7】
光電変換部が、受光した光に応じた電荷を生成するステップと、
電荷蓄積部が、前記電荷を蓄積するステップと、
電荷転送部が、前記電荷を出力部に転送するステップと、
前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられた第1電荷転送ゲート部が、前記光電変換部から前記電荷蓄積部への電荷の移動を制御するステップと、
前記電荷蓄積部と前記電荷転送部との間に設けられた第2電荷転送ゲート部が、前記電荷蓄積部から前記電荷転送部への電荷の移動を制御するステップと
を具備し、
前記電荷蓄積部が、基板に設けられた電荷蓄積領域と、絶縁膜を介して前記電荷蓄積領域の上に設けられた電荷蓄積ゲート電極を備え、
前記電荷蓄積領域が、基板と絶縁膜との界面に接するように設けられ、第1導電型の半導体で形成された第1導電型領域と、前記第1導電型領域の下に設けられ、前記第1導電型の半導体と反対の第2導電型の半導体で形成された第2導電型領域とを備えるとき、
前記電荷を蓄積するステップは、
(a)前記電荷蓄積ゲート電極に印加されるピンニング電圧に応答して、前記電荷蓄積領域の前記界面をピンニング状態にするステップと、
(b)前記ピンニング状態で前記電荷を保持するステップと
を含み、
前記(b)ステップは、
前記電荷蓄積ゲート電極に印加されるピンニング電圧に応答して、前記界面と前記第2導電型領域との間に、前記第1導電型領域を含む反転層を形成する
固体撮像装置の動作方法。
【請求項8】
請求項7に記載の固体撮像装置の動作方法において、
前記(b)ステップは、
前記電荷蓄積ゲート電極に印加される0V以下のピンニング電圧に応答して、前記反転層を形成する
固体撮像装置の動作方法。
【請求項9】
請求項8に記載の固体撮像装置の動作方法において、
前記(b)ステップは、
前記第2導電型領域のみで構成され前記反転層よりも幅の狭い反転層を形成する他の電荷蓄積部と同等のポテンシャルピーク位置で前記電荷を保持する
固体撮像装置の動作方法。
【請求項10】
請求項9に記載の固体撮像装置の動作方法において、
前記第2電荷転送ゲート部が、第2電荷転送ゲート電極を備えるとき、
前記電荷蓄積部から前記電荷転送部への電荷の移動を制御するステップは、
前記第2電荷転送ゲート電極に、前記他の電荷蓄積部から電荷を読み出すときと同等のゲート電圧を印加するステップと、
前記にゲート電圧応答して、前記電荷蓄積部から前記電荷転送部への電荷を転送するステップと
を含む
固体撮像装置の動作方法。
【請求項11】
光電変換部と、電荷蓄積部と、電荷転送部と、前記光電変換部と前記電荷蓄積部との間に設けられた第1電荷転送ゲート部と、前記電荷蓄積部と前記電荷転送部との間に設けられた第2電荷転送ゲート部とを具備する固体撮像装置を製造するための固体撮像装置製造方法であって、
前記固体撮像装置製造方法は、
前記電荷蓄積部を形成する電荷蓄積部形成ステップを備え、
前記電荷蓄積部形成ステップは、
(a)第1導電型の半導体基板に、前記第1導電型と反対の第2導電型の半導体となるように第2導電型不純物を注入して、第2導電型半導体領域を形成するステップと、
(b)前記第2導電型半導体領域の上に、第1導電型不純物を注入して、第1導電型半導体領域を形成するステップと、
(c)前記第1導電型半導体領域の上に、絶縁膜を介して電荷蓄積ゲート電極を形成するステップと、
を具備し、
前記(b)ステップは、
前記電荷蓄積ゲート電極にピンニング電圧が印加されたときに、前記第1導電型半導体領域と前記絶縁膜との界面をピンニング状態になるように、前記第1導電型不純物を注入するステップを含む
固体撮像装置製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の固体撮像装置製造方法において、
前記(b)ステップは、
前記ピンニング電圧に応答して、前記界面と前記第2導電型領域との間に、前記第1導電型領域を含む反転層を形成するように、前記第1導電型不純物を注入するステップを含む
固体撮像装置製造方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の固体撮像装置製造方法において、
前記(a)ステップは、
前記第2導電型半導体領域に対応するマスクを用いて前記第2導電型不純物を注入するステップを含み、
前記(b)ステップは、
前記マスクを用いて、前記第1導電型半導体領域を形成するための前記第1導電型不純物を注入するステップを含む
固体撮像装置製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−249569(P2011−249569A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121459(P2010−121459)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】