固体撮像装置、固体撮像装置の製造方法及び電子機器
【課題】OB画素領域において暗電流の発生が抑制された固体撮像装置を得ることを目的とする。また、その固体撮像装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】固体撮像装置において、OB画素領域8の光電変換部11上部における、遮光膜19と基板10との間に成膜される膜を、シリコン酸化膜(絶縁膜22)のみで構成する。これにより、OB画素領域8における光電変換部11上部において、基板10と遮光膜19との間に電荷がチャージされるのを防ぐことができ、暗電流の発生を抑制することができる。
【解決手段】固体撮像装置において、OB画素領域8の光電変換部11上部における、遮光膜19と基板10との間に成膜される膜を、シリコン酸化膜(絶縁膜22)のみで構成する。これにより、OB画素領域8における光電変換部11上部において、基板10と遮光膜19との間に電荷がチャージされるのを防ぐことができ、暗電流の発生を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、OB画素領域が遮光膜で遮光された固体撮像装置及び固体撮像装置の製造方法に関する。また、その固体撮像装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
エリアセンサやデジタルスチールカメラ等に用いられるCCD(Charge Coupled Device)型固体撮像素子は、主に、複数のフォトダイオードと、垂直転送部と、水平転送部と、出力部とで構成される。
【0003】
フォトダイオードは、入射した光を光電変換する光電変換部であり、半導体基板上に複数形成されている。垂直転送部は、フォトダイオードから電荷を受け取って転送する領域であり、半導体基板に形成された垂直転送路と、その上部に複数個隣接して配置された垂直転送電極とで構成されている。垂直転送部では、垂直転送電極が順次駆動されることにより、垂直転送路を電荷が垂直方向に転送される。水平転送部は、垂直転送部から電荷を受け取って転送する領域であり、半導体基板に形成された水平電荷転送路と、その上部に複数個隣接して配置された水平転送電極とで構成されている。水平転送部では、水平転送電極が順次駆動されることにより、水平電荷転送路を電荷が水平方向に転送される。出力部は水平転送部の最終段に形成されており、水平転送部で転送された電荷を電圧に変換して出力する。
【0004】
このようなCCD型固体撮像素子において、近年、大画角化や高速レート転送を可能とするために、転送電極の低抵抗化が求められている。また同時に、画素数の増加に伴い、1画素あたりおける受光面積が縮小し、受光量が減少して感度が低下する問題がある。低抵抗化、受光面積の拡大、配線層の低減等を目的として、垂直転送電極と接続された、制御用配線を兼ねる遮光膜を備える構造が提案されている。(特許文献1及び2)
【0005】
また、一般的にCCD型固体撮像素子の画素領域は、受光した光による光電変換により電荷を出力する有効画素領域と、黒レベルの基準として用いる信号を得るためのOB(Optical Black)画素領域とを有する。OB画素領域では、画素の受光面全面が遮光膜で覆われている。特許文献3では、有効画素領域に形成された遮光膜とOB画素領域に形成された遮光膜とを一体に形成し、電気的に接続された状態とした構成が記載されている。この場合、有効画素領域の光電変換部上部では遮光膜に開口部を形成し、OB画素領域の光電変換部上部では遮光膜を開口しないようにして遮光膜を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−81402号公報
【特許文献2】特開2009−252840号公報
【特許文献3】特開平11−186204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、一般的に、撮像領域の黒レベルを出力するOB画素領域は遮光膜により遮光されているが、暗電流の発生など、光学特性を低下させる要因がある。このため、OB画素領域において、暗電流の発生を抑制し、光学特性を改善することが望まれている。
【0008】
本技術は、OB画素領域において暗電流の発生が抑制された固体撮像装置を得ることを目的とする。また、その固体撮像装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の固体撮像装置は、基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域を備える。また、撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備える。そして、OB画素領域の光電変換部上部において、遮光膜と基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている。
【0010】
本開示の固体撮像装置では、OB画素領域における光電変換部の上部において、基板と遮光膜との間に形成される膜がシリコン酸化膜のみとされる。これにより、遮光膜に電位がかかった場合に、遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされるのを防ぐことができる。このため、OB画素領域において遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされることに起因する暗電流の発生が抑制される。
【0011】
本開示の固体撮像装置の製造方法は、有効画素領域及びOB画素領域からなる撮像領域に、受光する光の光量に応じた信号電荷を生成、蓄積する光電変換部を備える基板を準備する工程を有する。また、基板上部に、ゲート絶縁膜を介して、光電変換部に蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を形成する工程を有する。また、読み出し電極部上部に、シリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成する工程を有する。また、OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で、絶縁膜上部に、有効画素領域における光電変換部を開口し、OB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜を形成する工程を有する。
【0012】
本開示の固体撮像装置の製造方法では、遮光膜は、OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で形成するため、OB画素領域における光電変換部上部の遮光膜と基板の間の膜は、シリコン酸化膜のみとなる。これにより、遮光膜に電位がかかった場合に、遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされるのを防ぐことができる。このため、OB画素領域において遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされることに起因する暗電流の発生が抑制される。
【0013】
本開示の電子機器は、光学レンズと、固体撮像装置と、信号処理回路を備える。固体撮像装置は、基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域を備える。また、撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備える。そして、OB画素領域の光電変換部上部において、遮光膜と基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている。
信号処理回路は、固体撮像装置から出力される出力信号を処理する。
【0014】
本開示の電子機器では、固体撮像装置において、OB画素領域における光電変換部上部の遮光膜と基板の間の膜は、シリコン酸化膜のみとなる。これにより、OB画素領域において暗電流の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、OB画素領域において暗電流の発生が低減された固体撮像装置を得ることができる。また、その固体撮像装置により、画質の向上が図られた電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における平面構成図である。
【図3】図2のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図4】図2のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図5】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図6】図5のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図7】図5のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図8】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図9】図8のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図10】図8のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図11】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図12】図11のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図13】図11のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図14】図11のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図15】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図16】図15のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図17】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図18】図17のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図19】図17のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図20】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成図である。
【図21】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す断面構成図である。
【図22】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す断面構成図である。
【図23】本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置の転送電極を示す平面構成図である。
【図24】図23のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図25】図23のA−A線上に沿う断面構成図であり、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成を示す図である。
【図26】本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【図27】本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成図である。
【図28】本開示の第5の実施形態に係る電子機器の構成図である。
【図29】従来の製造プロセスで作製したCCD型の固体撮像装置における有効画素領域及びOB画素領域の断面構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、まず、以下の検討を行った。図29に、従来の製造プロセスで形成されるCCD型固体撮像装置の断面構成を示す。図29では、有効画素領域114とOB画素領域115の断面構成図を示し、光電変換部101とその光電変換部101に隣接する垂直転送部を含む断面を示している。図29では、遮光膜111が転送電極を制御するための制御用配線を兼ねる例を示す。
【0018】
図29に示すように、基板100には、フォトダイオードからなる光電変換部101と、光電変換部101から受け取った電荷を垂直方向に転送する転送チャネル部102が構成されている。さらに、光電変換部101と、光電変換部101の一方の側に隣接する転送チャネル部102との間には読み出しチャネル部104が形成される。そして、光電変換部101の周囲の読み出しチャネル部104を除く領域には、各画素を電気的に分離するチャネルストップ部103が形成されている。また、転送チャネル部102上部には、ゲート酸化膜105を介して読み出し電極を兼ねる転送電極106が形成されている。また、光電変換部101上部には、シリコン酸化膜を介して反射防止膜107となる窒化膜が形成されている。
【0019】
そして、転送電極106上部には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜112を介して制御配線108が形成されており、その制御配線108は、絶縁膜112に形成されたコンタクト部109により転送電極106に接続されている。制御配線108上部には、さらにシリコン酸化膜からなる絶縁膜112を介して遮光膜111が形成されており、この遮光膜111は、有効画素領域114における光電変換部101以外の領域を遮光するように形成されている。すなわち、有効画素領域114における光電変換部101は、遮光膜111に形成された開口部111aに開口されており、OB画素領域115では光電変換部101が遮光されている。
【0020】
このように、図29に示す固体撮像装置、遮光膜111が制御配線108を介して転送電極106に接続されており、遮光膜111が転送電極106を制御する制御用配線を兼ねる構成とされた例である。このような固体撮像装置では、遮光膜111に所望の駆動パルスを印加することにより、制御配線108を介して転送電極106が駆動される。そして、転送電極106が駆動されることにより、光電変換部101で生成、蓄積された信号電荷が、読み出しチャネル部104を介して転送チャネル部102に転送される。
【0021】
また、遮光膜111は、制御配線108上部を遮光すると共に、制御配線108の側部を遮光するように、光電変換部101を囲む領域において基板100側に屈曲して形成されている。これにより、制御配線108とコンタクト部109の側面が遮光されるため斜め光が転送電極106と制御配線108との間を通って隣接する画素の光電変換部101に入射するのを防止することができる。また、OB画素領域115における遮光膜111は、光電変換部101上部において、基板100上に形成された絶縁膜112、反射防止膜107、絶縁膜112の3層構造を介して形成されている。さらに、OB画素領域115における遮光膜111は、開口部111aを形成しない以外は、有効画素領域114における遮光膜と同様のプロセスで形成される。このため、OB画素領域115における光電変換部101直上では、制御配線108上部に形成された遮光膜111よりも基板100に近い位置に遮光膜111が形成される。
【0022】
遮光膜111上部には、再びシリコン酸化膜からなる絶縁膜112が形成されると共に、フォトダイオード上部において、光導波路113が形成され、光導波路上部には、図示しないカラーフィルタ層、オンチップレンズなどが形成される。このように、従来の製造プロセスを適用したCCD型固体撮像装置では、有効画素領域114とOB画素領域115とで、遮光膜111の形成以外の製造プロセスは同じとされる。このため、OB画素領域115においても、光電変換部101上部に実質的に必要の無い反射防止膜107が形成されてしまう。
【0023】
このように、OB画素領域115の光電変換部101上部においても窒化膜からなる反射防止膜107が形成される場合、遮光膜111の下には、SiO2膜/SiN膜/SiO2膜のONO三層構造が形成される。遮光膜111を、遮光膜としてのみ用いる場合には、遮光膜111の電位は特に変動させる必要が無く、例えばグランドをとるなど一定電位に保つことができる。しかしながら、図29に示す固体撮像装置のように、制御配線108に電位を供給する配線と、遮光膜111とを兼用する構造においては、遮光膜111の電位は変動する。そうすると、遮光膜111の印加電圧によって、遮光膜111下のONO三層構造に電荷がチャージされて、電位が変動するために、OB画素領域115に暗電流が発生する懸念がある。
そこで、本発明者らは、OB画素領域115における遮光膜111の下層の構造を変えることで、暗電流の発生を抑制することを見出した。
【0024】
以下に、本開示の実施形態に係る固体撮像装置及び、電子機器の一例を、図1〜図28を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。
・ 第1の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第2の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第3の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第4の実施形態:CMOS型の固体撮像装置
・ 第5の実施形態:電子機器
【0025】
〈1.第1の実施形態:CCD型の固体撮像装置〉
[1−1 全体構成]
図1に本開示の第1の実施形態に係るCCD型の固体撮像装置の概略構成図を示す。図1に示すように、本実施形態例の固体撮像装置1は、基板10に形成された複数の光電変換部11と、垂直転送部5と、水平転送部6と、出力部7とを有して構成されている。
【0026】
光電変換部11は、光量に応じた信号電荷を生成するフォトダイオードにより構成される。本実施形態例では、光電変換部11は、基板10の水平方向及び垂直方向に、複数個、マトリクス状に形成されている。光電変換部11が形成される領域において、撮像領域4が構成される。
【0027】
垂直転送部5は、CCD構造とされ、垂直方向に配列される光電変換部11毎に、垂直方向に複数形成される。この垂直転送部5は、光電変換部11に蓄積された信号電荷を読み出して、垂直方向に転送するものである。本実施形態例の垂直転送部5が形成されている転送ステージは、図示しない転送駆動パルス回路から印加される転送駆動パルスにより、例えば、4相駆動される構成とされている。また、垂直転送部5の最終段では、転送駆動パルスが印加されることにより、最終段に保持されていた信号電荷が、水平転送部6に転送される構成とされている。
【0028】
そして、撮像領域4では、光電変換部11と各光電変換部11に隣接する垂直転送部5とにより構成された単位画素2が複数配列される。撮像領域4は、有効画素領域9と、その周囲に形成されたOB画素領域8とから構成される。有効画素領域9では、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を蓄積することができる。OB画素領域8では、光電変換部11上部が遮光されており、黒レベルの基準になる光学的黒を出力する。OB画素領域8は、例えば、撮像領域4の両端部に形成される。
【0029】
水平転送部6は、CCD構造とされ、垂直転送部5の最終段の一端に形成されるものである。この水平転送部6が形成されている転送ステージは、垂直転送部5により垂直転送されてきた信号電荷を、一水平ライン毎に水平方向に転送するものである。
【0030】
出力部7は、水平転送部6により水平転送された信号電荷を電荷電圧変換することにより、映像信号として出力するものである。
【0031】
以上の構成を有する固体撮像装置1においては、光電変換部11に蓄積された信号電荷は、垂直転送部5により、垂直方向に転送されて、水平転送部6内に転送される。そして、水平転送部6内に転送されてきた信号電荷は、それぞれ水平方向に転送され、出力部7を介して映像信号として出力される。
【0032】
[1−2 要部の構成]
図2に、本実施形態例の固体撮像装置1の有効画素領域9、及びOB画素領域8における要部の平面構成図を示し、図3に、有効画素領域9、及びOB画素領域8における画素の水平方向に沿う断面図、すなわち、図2のA−A線上に沿う断面図を示す。また、図4には、有効画素領域9における画素の垂直方向に沿う断面図、すなわち、図2のB−B線上に沿う断面図を示す。
【0033】
図3に示すように、本実施形態例の固体撮像装置1では、基板10と、基板10上部に形成された第1転送電極15a及び第2転送電極15bと、反射防止膜20を備える。また、第1転送電極15a及び第2転送電極15bの上部に形成された配線層24と、光導波路21とを備える。
【0034】
基板10は、シリコンからなる半導体基板で構成され、光入射側に、光電変換部11を構成するフォトダイオードと、垂直転送部5を構成する転送チャネル部12と、各画素2を電気的に分離する素子分離領域となるチャネルストップ部13とが形成されている。これらの光電変換部11、転送チャネル部12、及びチャネルストップ部13は、基板10に所望の不純物をイオン注入することにより形成される。
【0035】
図2に示すように、光電変換部11は、基板10の垂直方向、水平方向にマトリックス状に形成され、転送チャネル部12は、垂直方向に配列される光電変換部11毎に、垂直方向に複数形成される。また、光電変換部11と、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12との間の領域は、光電変換部11から転送チャネル部12へ信号電荷を読み出すための読み出しチャネル部25とされる。そして、チャネルストップ部は、光電変換部11を取り囲む領域であって、読み出しチャネル部25を除く領域に形成される。このため、光電変換部11で生成、蓄積された信号電荷は、読み出しチャネル部25を介して、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12に読み出される。
【0036】
第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、例えば多結晶シリコンからなり、転送チャネル部12上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成され、ギャップ部3により互いに分離され、垂直方向に交互に形成されている。第1転送電極15aは、光電変換部11の中央部分に隣接する転送チャネル部12上に形成されており、読み出しチャネル部25を含む領域に形成されている。第2転送電極15bは、垂直方向に隣接する第1転送電極15aの間に形成されており、垂直方向に隣接する2つの光電変換部11に対応して形成されている。
【0037】
反射防止膜20は、有効画素領域9においてのみ形成されており、有効画素領域9の光電変換部11上にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を介して垂直方向に延在して形成されている。反射防止膜20を構成する材料としては、反射防止膜20の下層及び上層に形成されるシリコン酸化膜との積層構造において、基板10に対する反射防止の効果があればよく、例えばシリコン窒化膜を用いることができる。反射防止膜20としてシリコン窒化膜を用いる場合には、下層からシリコン酸化膜(屈折率1.46)/シリコン窒化膜(屈折率2.0)/シリコン酸化膜(屈折率1.46)の積層構造をなし、反射防止の効果を奏する。
【0038】
反射防止膜20を構成する材料は、シリコン窒化膜に限定されるものではなく、シリコン酸化膜に対して屈折率の高い材料であれば適用することができる。また、反射防止膜20として、負の固定電荷を有する材料を用いることができる。負の固定電荷を持つ材料膜は、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜、もしくは酸化チタン(TiO2)膜で形成される。成膜方法としては、例えば、化学気相成長法、スパッタリング法、原子層蒸着法等が挙げられえる。原子層蒸着法を用いれば、成膜中に界面準位を低減するSiO2膜を同時に1nm程度形成することが好適である。また、上記以外の材料としては、酸化ランタン(La2O3)、酸化プラセオジム(Pr2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化プロメチウム(Pm2O3)等が挙げられる。さらに、上記材料としては、酸化サマリウム(Sm2O3)、酸化ユウロピウム(Eu2O3)、酸化ガドリニウム((Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)等が上げられる。さらに、上記材料としては、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化ルテチウム(Lu2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)等が挙げられる。さらに、上記負の固定電荷を有する膜は、窒化ハフニウム膜、窒化アルンミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜で形成することも可能である。
【0039】
上記負の固定電荷を有する膜は、絶縁性を損なわない範囲で、膜中にシリコン(Si)や窒素(N)が添加されていてもよい。その濃度は、膜の絶縁性が損なわれない範囲で適宜決定される。このように、シリコン(Si)や窒素(N)が添加されることによって、膜の耐熱性やプロセスの中でイオン注入の阻止能力を上げることが可能になる。
【0040】
配線層24は、基板10の第1転送電極15a及び第2転送電極15b上部に形成されたシリコン酸化膜からなる絶縁膜22と、その絶縁膜22内に形成された第1制御配線17a及び第2制御配線17bと、遮光膜19とで構成されている。
第1制御配線17aは、絶縁膜22に形成されたコンタクト部16を介して第1転送電極15aに接続されており、1つの第1転送電極15aに対して1つの第1制御配線17aが対応するように形成されている。
第2制御配線17bは、絶縁膜22に形成されたコンタクト部16を介して第2転送電極15bに接続された制御電極部26aと、水平方向に隣接する制御電極部26aを接続する接続配線26bにより構成されている。すなわち、第2制御配線17bは、第2転送電極15bの列毎に形成されている。
【0041】
遮光膜19は、有効画素領域9における光電変換部11を開口する開口部19aを備え、第1制御配線17a、第2制御配線17b、及びOB画素領域8全面を遮光するように設けられている。また、遮光膜19は、第1制御配線17a及び第2制御配線17b上部を遮光すると共に第1転送電極15a及び第2転送電極15bの上部に形成される層の側部を遮光するように、光電変換部11を囲む領域において基板10側に屈曲して形成されている。
【0042】
さらに、遮光膜19は、絶縁膜22に形成されたコンタクト部18を介して第1制御配線17aに接続されると共に、第2制御配線17b上部において線状に形成された分離部19bにより、行毎に分離されている。すなわち、遮光膜19は、水平方向に隣接する第1制御配線17aに対して共通に接続されており、垂直方向に隣接する遮光膜同士は、電気的に分離されている。本実施形態例の固体撮像装置1では、遮光膜19が制御用配線を兼ねる構成とされており、この場合、第1制御配線17aに印加する駆動パルスが、遮光膜19から第1制御配線17aに印加される。
【0043】
そして、本実施形態例では、遮光膜19は、第1転送電極15a及び第1制御配線17aからなる積層構造や、第2転送電極15b及び第2制御配線17bからなる積層構造の側面も被覆する構成とされている。さらに、OB画素領域8における光電変換部11上部では、第1制御配線17aや第2制御配線17b上部に形成された遮光膜19の位置よりも基板10側に近い位置に遮光膜19が形成されている。
【0044】
本実施形態例における、第1制御配線17a、第2制御配線17b、コンタクト部16、18、及び遮光膜19を構成する材料としては、例えば、W、Al、Ru、またはこれらを含む合金材料など、遮光性を有する材料であれば良い。さらには、低抵抗な材料であることが望ましい。また、第1制御配線17a、第2制御配線17bや、制御配線を兼ねる遮光膜19の下層に、バリアメタル膜として、TiNや、Ti等のメタル材料で2層以上の積層構造を形成してもよい。
【0045】
光導波路21は、有効画素領域9及びOB画素領域8において、光電変換部11上部に形成されている。そして、本実施形態例では、図示を省略するが、有効画素領域9及びOB画素領域8において、光導波路21上部に、必要に応じて、層内レンズが構成され、その上部に平坦化膜を介してカラーフィルタ層、オンチップレンズが順に形成されている。
【0046】
このように、本実施形態例の固体撮像装置1では、OB画素領域8において、光電変換部11上に反射防止膜20が形成されず、OB画素領域8では、遮光膜19の下層はシリコン酸化膜のみの構成とされている。
【0047】
[1−3 製造方法]
図6〜図19を用いて、本実施形態例の固体撮像装置1の製造方法について説明する。図5、図8、図11、図15及び図17は、本実施形態例の固体撮像装置1の有効画素領域9及びOB画素領域8における製造工程を示す平面構成図である。また、図6、図9、図12、図16及び図18は、有効画素領域9及びOB画素領域8における画素の、水平方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のA−A線上に沿う断面構成図である。また、図14及び図19は、有効画素領域9の光電変換部11が形成される領域の、垂直方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のB−B線上に沿う断面構成図である。また、図10及び図13は、有効画素領域9及びOB画素領域8における転送チャネル部12が形成される領域の垂直方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のC−C線上に沿う断面構成図である。
【0048】
また、以下の説明では、反射防止膜20の下層に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22a」とし、反射防止膜20と第1制御配線17a及び第2制御配線17bとの間に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22b」とする。また、コンタクト部16と遮光膜19との間に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22c」とする。そして、絶縁膜22a、22b、22cを区別しないときには、「絶縁膜22」として説明する。
【0049】
まず、図5〜図7に示すように、基板10に光電変換部11、転送チャネル部12、及びチャネルストップ部13を形成し、転送チャネル部12上部に第1転送電極15a及び第2転送電極15bを形成した後、反射防止膜20を形成する。
【0050】
光電変換部11は、図6に示すように、基板10の光照射面側となる表面側に形成し、マトリクス状に複数形成する。転送チャネル部12は、光電変換部11と、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12との間に形成し、行毎の光電変換部11に対応して複数本形成する。また、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12と、その光電変換部11との間には、読み出しチャネル部25を形成する。チャネルストップ部13は、各光電変換部11を囲む領域であって、読み出しチャネル部25を除く領域に形成する。光電変換部11、転送チャネル部12、読み出しチャネル部25、及びチャネルストップ13部は、例えば、基板10の表面側から所望の不純物をイオン注入することにより形成する。
【0051】
第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、図6及び図7に示すように、基板10に形成された転送チャネル部12上部に、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成し、ギャップ部3を挟んで垂直方向に交互に形成する。第1転送電極15aは、矩形形状とされ、光電変換部11の中央領域に隣接する転送チャネル部12上部に形成する。また、第1転送電極15aは、読み出し電極も兼ねるため、図6に示すように読み出しチャネル部25上部に延在するように形成する。
【0052】
第2転送電極15bは、第1転送電極15aと同様矩形形状とされ、垂直方向に隣接する第1転送電極15aの間の領域に形成する。これらの第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、多結晶シリコン膜、又はアモルファスシリコンからなる電極層を形成し、その電極層を所定の形状にパターニングすることにより形成する。第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、通常のフォトリソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて形成することができ、同一の層に形成する。
【0053】
その後、第1転送電極15aと第2転送電極15bとの間のギャップ部3を埋め込むと共に、第1転送電極15a及び第2転送電極15bを含む撮像領域4全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22aを一層形成する。
反射防止膜20は、絶縁膜22aを形成した後、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成する。本実施形態例では、図5に示すように、反射防止膜20は、垂直方向に延在するように形成し、画素の列毎に形成した。反射防止膜20は、絶縁膜22a上において、例えば、撮像領域4全面にシリコン窒化膜を形成し、シリコン窒化膜が有効画素領域9における光電変換部11直上に残るようにパターニングすることにより形成する。これにより、図4に示すように、有効画素領域9の光電変換部11上部にのみ反射防止膜20を形成する。
【0054】
次に、図8〜図10に示すように、反射防止膜20を含む絶縁膜22a上にさらにシリコン酸化膜からなる絶縁膜22bを形成し第1転送電極15a及び第2転送電極15bを露出するコンタクトホール16aを形成する。絶縁膜22bは、有効画素領域9に形成された反射防止膜20を埋め込むと共に、第1転送電極15a及び第2転送電極15bの形成により基板10上に形成された凹凸を埋め込み、表面が平坦面となるように形成する。
コンタクトホール16aは、第1転送電極15a及び第2転送電極15b上部の絶縁膜22bをエッチング除去することにより形成する。
【0055】
次に、図11〜図14に示すように、コンタクトホール16aを導電材料で埋め込むことにより、コンタクト部16を形成し、そのコンタクト部16に接続されるように絶縁膜22b上部に所望の形状の第1制御配線17a、及び第2制御配線17bを形成する。
第1制御配線17a及び第2制御配線17bは、コンタクト部16を含む絶縁膜22b全面に導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて所望の形状にパターニングすることによって形成する。
【0056】
第1制御配線17aは、第1転送電極15a直上に形成し、コンタクト部16を覆う領域において、例えば第1転送電極15aよりも小さい矩形形状となるように形成する。また、第1制御配線17aは、第1転送電極15a毎に形成する。これにより、第1転送電極15aと対応する第1制御配線17aがコンタクト部16により接続される。
【0057】
第2制御配線17bは、第2転送電極15b直上に形成したコンタクト部16を覆う領域において、例えば第2転送電極15bよりも小さい矩形形状となるように制御電極部26aと、水平方向に隣接する制御電極部26aを接続する接続配線26bとで構成する。すなわち、第2制御配線17bは、第2転送電極15bの列毎に形成し、水平方向に隣接する第2転送電極15bを電気的に接続するように水平方向に延在して形成する。水平方向に隣接する第2制御配線17bにおける接続配線26bは、図14に示すように、垂直方向に隣接する光電変換部11の間のチャネルストップ部13上部に形成する。これにより、第2転送電極15bとそれに対応する第2制御配線17bとがコンタクト部16によって接続されるともに、水平方向に隣接する第2転送電極15b同士が接続される。
【0058】
次に、図15及び図16に示すように、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆する絶縁膜22cを形成する。また、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するコンタクトホール18aと、光電変換部11上部において、絶縁膜22c表面から深さ方向に形成された溝部23を形成する。
【0059】
絶縁膜22は、下層に形成された絶縁膜22cと同様シリコン酸化膜で形成し、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆するように形成する。コンタクトホール18aは、シリコン酸化膜からなる絶縁膜22cを有効画素領域9及びOB画素領域8全面に形成した後、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するまでエッチングすることで形成する。
【0060】
また、溝部23は、光電変換部11上部の絶縁膜22を、表面からエッチングすることにより形成する。有効画素領域9における溝部23は、反射防止膜20に達しない深さまで形成し、OB画素領域8における溝部23は、基板10表面に達しない深さまで形成する。図3では、有効画素領域9とOB画素領域8における溝部23を同じ深さで形成している。本実施形態例では、溝部23における垂直方向に沿う側面は、基板10から絶縁膜22表面にかけて径が広がるテーパ状に溝部23を形成した。なお、図示を省略するが、溝部23における水平方向に沿う側面は、基板10面に対して垂直な面となるように形成した。
【0061】
次に、図17〜図19に示すように、コンタクトホール18aを導電材料で埋め込むことによりコンタクト部18を形成し、そのコンタクト部18に接続されるように絶縁膜22上部に遮光膜19を形成する。遮光膜19は、絶縁膜22に形成された溝部23の形状の沿うように絶縁膜22表面に所望の導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法を用いて所望の形状のパターニングすることにより形成する。本実施形態例では、遮光膜19は、有効画素領域9における光電変換部11直上に形成された開口部19aと、第2制御配線17b上部で行毎に分離する分離部19bを有するように形成する。また、本実施形態例では、開口部19aは、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成された溝部23の底部のみを開口するように形成し、溝部23の側面は遮光膜19で被覆された状態とする。このため、溝部23では、基板10により近い位置まで遮光膜19が施される。また、OB画素領域8では、光電変換部11上部を開口しない。
【0062】
行毎に形成された遮光膜19は、それぞれ、第1制御配線17aを介して第1転送電極15aに接続されている。これにより、水平方向に隣接する第1転送電極15aは電気的に接続される。遮光膜19は、制御用配線を兼ねるものであり、遮光膜19から第1制御配線17aを介して第1転送電極15aを駆動する駆動パルスが供給される。また、本実施形態例では、光電変換部11直上の絶縁膜22に溝部23が形成され、溝部23に沿うように遮光膜19が形成される。このため、光電変換部11により近い位置に遮光膜19を形成することができ、有効画素領域9及びOB画素領域8において遮光性を高めることができる。
【0063】
次に、図2〜図4に示すように、遮光膜19上部を含む全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を成膜した後、光電変換部11直上の溝部23に光導波路21を形成する。光導波路21の形成材料には、例えば、絶縁膜22の形成材料である酸化シリコン(SiO2:屈折率1.45)等よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。例えば、シロキシサン系樹脂やポリイミド系樹脂等を、光導波路21の形成材料として用いることができる。また、光導波路21の形成材料として、上述した樹脂材料中に、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム等の金属酸化物微粒子を含ませてもよい。この場合には、光導波路21の屈折率をより高くすることができる。
【0064】
その後、通常の固体撮像装置の製造方法と同様にして、光導波路21上部に、層内レンズ、平坦化膜などを形成し、各光電変換部11に対応するカラーフィルタ層及びオンチップレンズを順に形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置1が完成する。
【0065】
本実施形態例の固体撮像装置1では、有効画素領域9において、光導波路21を通過して基板に入射した光は光電変換部11において光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成、蓄積される。そして、制御用配線を兼ねる遮光膜19に所望の駆動パルスを印加することにより、第1制御配線17aを介して第1転送電極15aにその駆動パルスが供給される。これにより、光電変換部11の信号電荷が読み出しチャネル部25を介して転送チャネル部12に読み出される。第1転送電極15a及び第2転送電極15bが行毎に駆動されることにより、転送チャネル部12の信号電荷は垂直方向に転送される。
一方、OB画素領域8では、光電変換部11上部は遮光膜19によって遮光されており、OB画素領域8における光電変換部11からは黒レベルの値が出力される。
【0066】
本実施形態例の固体撮像装置1では、OB画素領域8における光電変換部11上部には反射防止膜20が形成されていない。このため、OB画素領域8における光電変換部11上部の基板10と遮光膜19との間は各層の絶縁膜22を構成するシリコン酸化膜のみとなる。これにより、制御用配線を兼ねる遮光膜19の電位の変動によって、基板10と遮光膜19との間の絶縁膜22に電荷がチャージされるのを防ぐことができ、暗電流を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態例の固体撮像装置1は、OB画素領域8への特別な工程の追加等は必要なく、通常のプロセスで形成することができる。このため、従来と同じプロセスを用いることが可能となるため、有効画素領域9に影響を及ぼすことがなく、OB画素領域8における暗電流抑制を実現することができる。
【0068】
このように、本実施形態例では、制御用配線を兼ねる遮光膜19を有し、有効画素領域9における光電変換部11上部に反射防止膜20を備える固体撮像装置において、OB画素領域8における暗電流の生成を抑制することができる。
【0069】
本実施形態例では、反射防止膜20は、有効画素領域9の光電変換部11上に列毎に形成する例としたが、これに限定されるものではなく、OB画素領域8の光電変換部11上部に形成しない構成であれば種々の変形が可能である。例えば、反射防止膜20を、有効画素領域9全面に残るように形成する例としてもよく、また、有効画素領域9の各光電変換部11上に個別に形成する例としてもよい。
【0070】
〈2.第2の実施形態:固体撮像装置〉
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。本実施形態例の固体撮像装置の平面構成は、第1の実施形態と同様であるから図示を省略する。図20に、本実施形態例の固体撮像装置における有効画素領域9及びOB画素領域8の断面構成を示す。図20は、図2のA−A線上に沿う断面に相当するものである。図20において、図3に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0071】
本実施形態例の固体撮像装置は、OB画素領域8における遮光膜28の構成が第1の実施形態と異なり、OB画素領域8における遮光膜28は、光電変換部11直上の遮光膜28が、第1制御配線17aや第2制御配線17b上部の遮光膜28と同層に形成されている。すなわち、OB画素領域8における光電変換部11上部の遮光膜28と基板10表面との距離が、第1の実施形態に比較して大きく形成されている。そして、本実施形態例においても、OB画素領域8における遮光膜28と基板10との間には反射防止膜20が形成されておらず、シリコン酸化膜のみが形成されている。
【0072】
図21及び図22を用いて、本実施形態例の固体撮像装置の製造方法について説明する。
第1制御配線17a及び第2制御配線17bを形成する工程までは、第1の実施形態で示した図5〜図14の工程と同様である。第1制御配線17a及び第2制御配線17bを形成した後、図21に示すように、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆する絶縁膜22cを形成する。そして、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するコンタクトホール18aと、有効画素領域9における光電変換部11上部において、絶縁膜22表面から深さ方向に形成された溝部23を形成する。
【0073】
絶縁膜22cは、下層に形成された絶縁膜22bと同様シリコン酸化膜で形成し、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆するように形成する。コンタクトホール18aは、シリコン酸化膜からなる絶縁膜22cを有効画素領域9及びOB画素領域8全面に形成した後、絶縁膜22表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するまでエッチングすることで形成する。
【0074】
また、溝部23は、有効画素領域9における光電変換部11上部の絶縁膜22を、表面からエッチングすることにより形成する。有効画素領域9における溝部23は、反射防止膜20に達しない深さまで形成する。本実施形態例においても、溝部23における垂直方向に沿う側面は、基板10側から絶縁膜22表面にかけて径が広がるテーパ状とした。なお、図示を省略するが、溝部23における水平方向に沿う側面は、基板10面に対して垂直な面となるように形成した。そして、本実施形態例では、OB画素領域8の光電変換部11において、溝部を形成しない。
【0075】
次に、図22に示すように、コンタクトホール18aを導電材料で埋め込むことによりコンタクト部18を形成し、そのコンタクト部18に接続されるように絶縁膜22上部に遮光膜28を形成する。遮光膜28は、絶縁膜22表面に所望の導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法を用いて所望の形状のパターニングすることにより形成する。本実施形態例では、遮光膜28は、有効画素領域9における光電変換部11直上を開口する開口部28aと、第2制御配線17b上部で行毎に分離する分離部(図示を省略する)を有するように形成する。
【0076】
また、本実施形態例では、開口部28aは、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成された溝部23の底部のみを開口するように形成し、溝部23の側面は遮光膜28で被覆された状態とする。このため、溝部23では、基板10により近い位置まで遮光膜28が施される。また、OB画素領域8の光電変換部11上部では、遮光膜28の下層に溝部23が形成されないため有効画素領域9の光電変換部11を囲む遮光膜28の高さよりも高い位置に遮光膜19が形成される。これにより、OB画素領域8の光電変換部11上部における遮光膜28と基板10との間の距離は、第1の実施形態に比較して大きく形成されている。このため、OB画素領域8の光電変換部11上部に形成される遮光膜28の電位の影響を遮光膜28の下層の層が受けにくくなる。
【0077】
次に、図20に示すように、遮光膜28上部を含む全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を成膜した後、有効画素領域9における光電変換部11直上の溝部23に光導波路21を形成する。光導波路21の形成材料には、例えば、絶縁膜22の形成材料である酸化シリコン(SiO2:屈折率1.45)等よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。例えば、シロキシサン系樹脂やポリイミド系樹脂等を、光導波路21の形成材料として用いることができる。また、光導波路21の形成材料として、上述した樹脂材料中に、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム等の金属酸化物微粒子を含ませてもよい。この場合には、光導波路21の屈折率をより高くすることができる。
【0078】
その後、通常の固体撮像装置の製造方法と同様にして、光導波路21上部に、層内レンズ、平坦化膜などを形成し、各光電変換部に対応するカラーフィルタ層及びオンチップレンズを順に形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置が完成する。
【0079】
本実施形態例の固体撮像装置では、OB画素領域8において、絶縁膜22に溝部が形成されないため、第1の実施形態と比較し、遮光膜28と基板10との距離が大きくなる。このように、遮光膜28と基板10との距離が大きくなるため、遮光膜28に印加される駆動パルスの影響を第1の実施形態に比較して更に改善することができる。さらに、本実施形態例においても、OB画素領域8において、遮光膜28と基板10との間の層は、シリコン酸化膜のみで構成されている。このため、遮光膜28と基板10との間の層に電荷がチャージされることがなく、基板10の電位が変動するのを防ぐことができ、暗電流の抑制が図られる。
【0080】
本実施形態例の固体撮像装置の製造方法においても、OB画素領域8において、新たな工程を追加することがないため、プロセスインテグレーションを実現できる。そして、従来のプロセスを用いることができるため、有効画素領域9の特性に影響を及ぼすことが無く、OB画素領域8における暗電流の抑制を図ることができる。
【0081】
〈3.第3の実施形態:固体撮像装置〉
次に、図23〜図25を用いて、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。本実施形態例の固体撮像装置の全体構成は、図1と同様であるから図示を省略する。また、図23〜図25において、図2〜図4に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0082】
図23は、図1における垂直転送部5を構成する第1転送電極30a及び第2転送電極30bのみを図示した平面構成である。また、図24は、図23のC−C線上に沿う断面に対応する構成図であり、図25は、図23のA−A線上に沿う断面に対応する構成図である。なお、図25では、有効画素領域9に対応する断面と、OB画素領域8に対応する断面とを示し、遮光膜33まで形成した図を示す。
【0083】
図24に示すように、本実施形態例の固体撮像装置では、第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、転送チャネル部12上部にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成され、垂直方向に交互に形成されている。第1転送電極30aは、読み出し電極を兼ねる構成とされており、転送チャネル部12及び読み出しチャネル部25上に形成されている。この第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、それぞれ、接続配線31a、31bにより行毎に接続されており、接続配線31a、31bは、垂直方向に隣接する光電変換部11の間のチャネルストップ部13上に設けられている。また、図24に示すように、本実施形態例の第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、垂直方向において、絶縁膜32を介して一部重なるように形成されている。
【0084】
このような固体撮像装置では、第1転送電極30a及び第2転送電極30bに所望の駆動パルスを印加することにより、光電変換部11に蓄積された信号電荷が転送チャネル部12に読み出され、転送チャネル部12内を垂直方向に転送する。
【0085】
また、図25に示すように、遮光膜33は、第1転送電極30a及び第2転送電極30b上部に絶縁膜32を介して形成されており、有効画素領域9の光電変換部11直上のみを開口するように形成されている。
【0086】
また、本実施形態例においても第1の実施形態と同様、有効画素領域9における光電変換部11上部においてのみ、反射防止膜35が形成されている。これにより、OB画素領域8において、光電変換部11上部の遮光膜33と基板10との間には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜32のみが構成されている。
【0087】
本実施形態例の固体撮像装置は、基板10上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を形成した後、第1転送電極30aを形成する。その後、シリコン酸化膜からなる絶縁膜32を、第1転送電極30aを被覆する全面に形成した後、第2転送電極30bを形成する。そして、第2転送電極30bを被覆する全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜32をさらに形成した後、有効画素領域9における光電変換部11上部にのみ、反射防止膜35を形成する。次に、全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜32をさらに形成し、光電変換部11上部に溝部32aを形成する。そして、溝部32aが形成された絶縁膜32上部に、有効画素領域9における光電変換部11上部を開口する開口部33aを有する遮光膜33を形成する。その後、図示を省略するが、光導波路内レンズ、平坦化膜、カラーフィルタ層、オンチップレンズを通常と同じ方法で形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置が完成される。
【0088】
本実施形態例の固体撮像装置では、遮光膜33は、制御配線を構成するものではない。しかし、このような構成においても、OB画素領域8において遮光膜33と基板10との間の層をシリコン酸化膜のみの構成とすることにより、OB画素領域における暗電流を抑制することができる。
【0089】
上述した第1〜第3の実施形態では、CCD型の固体撮像装置を例に説明したが、本開示は、これに限られるものではない。以下に、CMOS型の固体撮像装置を例について説明する。
【0090】
〈4.第4の実施形態:CMOS型固体撮像装置〉
[4−1 全体構成]
図26及び図27を用いて、本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。まず、要部の構成の説明に先立ち、本実施形態例の固体撮像装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態例に係る固体撮像装置41の全体を示す概略構成図である。
【0091】
固体撮像装置41は、図26に示すように、シリコンからなる基板50に、複数の画素42からなる撮像領域43と、垂直駆動回路44と、カラム信号処理回路45と、水平駆動回路46と、出力回路47と、制御回路61等を備えて構成される。
【0092】
画素2は、受光した光の光量に応じて信号電荷を生成するフォトダイオードからなる光電変換部と、その信号電荷を読み出し転送するための複数のMOSトランジスタとから構成され、基板50上に、2次元アレイ状に規則的に複数配列される。
【0093】
撮像領域43は、2次元アレイ状に規則的に複数配列された画素42から構成される。撮像領域43は、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を蓄積することのできる有効画素領域49と、有効画素領域49の周囲に形成され黒レベルの基準になる光学的黒を出力するためのOB画素領域48とから構成される。
【0094】
制御回路61は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路44、カラム信号処理回路45、及び水平駆動回路46等の動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成する。そして、制御回路61で生成されたクロック信号や制御信号などは、垂直駆動回路44、カラム信号処理回路45及び水平駆動回路46等に入力される。
【0095】
垂直駆動回路44は、例えばシフトレジスタによって構成され、撮像領域43の各画素42を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各画素42の光電変換部において生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線60を通してカラム信号処理回路45に供給する。
【0096】
カラム信号処理回路45は、例えば、画素42の列毎に配置されており、1行分の画素42から出力される信号を画素列毎にOB画素領域48からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路45の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線62との間に設けられている。
【0097】
水平駆動回路46は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路45の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路45の各々から画素信号を水平信号線62に出力させる。
【0098】
出力回路47は、カラム信号処理回路45の各々から水平信号線62を通して、順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行って出力する。
【0099】
[4−2 要部の構成]
図27に、本実施形態例の固体撮像装置41の有効画素領域49及びOB画素領域48における要部の断面構成を示す。図27では、画素42を構成するトランジスタの一部を代表して図示する。また、本実施形態例の固体撮像装置41は、グローバルシャッター機能を有する固体撮像装置である。
【0100】
図27に示すように、本実施形態例の固体撮像装置41は、基板50と、有効画素領域49において基板50上部に形成された反射防止膜58と、遮光膜57とを備える。
基板50は、シリコンからなる半導体基板で構成され、光入射側に、フォトダイオードからなる光電変換部51と、転送トランジスタTr1と、及び選択読み出し用トランジスタTr2を備える。
【0101】
光電変換部51は、基板50の光入射面側に所望の不純物をイオン注入することによって形成され、入射した光の光量に応じた信号電荷を生成する。
【0102】
転送トランジスタTr1は、基板50に形成された所望の不純物領域からなる電荷蓄積部52と、基板50上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜65を介して形成された転送ゲート電極56とで構成されている。電荷蓄積部52は、各画素42の光電変換部51に隣接して形成されており、所望の不純物をイオン注入することによって形成されている。転送トランジスタTr1では、光電変換部51で生成、蓄積された信号電荷が全画素同時に読み出され、電荷蓄積部52に蓄積される。
【0103】
選択読み出し用トランジスタTr2は、基板50に形成された所望の不純物領域からなるフローティングディフュージョン部53と、基板50上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜65を介して形成された読み出しゲート電極55とで構成されている。フローティングディフュージョン部53は、電荷蓄積部52に隣接して形成されており、所望の不純物をイオン注入することによって形成されている。選択読み出し用トランジスタTr2では、電荷蓄積部52に蓄積された信号電荷が、選択的にフローティングディフュージョン部53に読み出される。
【0104】
図27では、複数の画素トランジスタのうち、転送トランジスタTr1と、選択読み出し用トランジスタTr2とを示しているが、その他、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ等、通常の固体撮像装置と同様に形成されている。
【0105】
反射防止膜58は、有効画素領域49の光電変換部51上部にのみ選択的に形成されている。すなわち、OB画素領域48において、反射防止膜58は形成されていない。反射防止膜58の材料としては、第1の実施形態と同様の材料を用いることができる。
【0106】
遮光膜57は、転送ゲート電極56及び読み出しゲート電極55上部に酸化シリコン膜からなる絶縁膜54を介して形成されている。また、有効画素領域49では、遮光膜57は、光電変換部51を開口する開口部57aを備え、電荷蓄積部52及びフローティングディフュージョン部53を遮光する領域に形成されている。一方、OB画素領域48においては、光電変換部51、電荷蓄積部52、及びフローティングディフュージョン部53を遮光する領域に形成されている。
【0107】
その他、図示を省略するが、基板50上部には各画素トランジスタを駆動するための配線層、カラーフィルタ層、オンチップレンズが順に形成されており、オンチップレンズに集光された光が、各画素42の光電変換部51に入射する。
【0108】
有効画素領域49においては、基板50に入射した光は、光電変換部51において光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成・蓄積される。また、OB画素領域48では、光電変換部51直上は遮光膜57によって遮光されているため、光は入射しない。そして、各画素42の光電変換部51で蓄積された信号電荷は、転送ゲート電極56がオンされることにより全画素同時に電荷蓄積部52に転送される。そして、電荷蓄積部52に転送された信号電荷は、読み出しゲート電極55がオンされることにより、画素42毎に選択的にフローティングディフュージョン部53に読み出される。フローティングディフュージョン部53に読み出された信号電荷は、増幅トランジスタによって増幅され、選択トランジスタによって選択的に図26に示した垂直信号線60に排出される。その後、通常のCMOS型固体撮像装置と同様にして画素信号が出力される。また、OB画素領域48では、光電変換部51が遮光されているため、黒レベルの画素信号が得られる。
【0109】
本実施形態例では、電荷蓄積部52に全画素の光電変換部51に蓄積された信号電荷が同時に転送されるので、全画素において、露光時間を同時とすることができ、露光蓄積時間差を生じることのないグローバルシャッター機能を実現することができる。
【0110】
このように、グローバルシャッター機能を有する固体撮像装置41では、電荷蓄積部52に電荷を蓄積している間に、電荷蓄積部52に光が入射してしまうと、電荷蓄積部52の電位が変動し正確な画素信号が得られないおそれがある。したがって、電荷蓄積部52への光の漏れ込みを防止するため、電荷蓄積部52のより近傍に遮光膜57が形成されることが好ましい。そして、このような場合では、図27に示すように、OB画素領域48において、基板50と、光電変換部51を遮光する遮光膜57との距離も近くする必要がある。このような場合、OB画素領域48では、図27に示すように、光電変換部51直上の遮光膜57に遮光されるため、遮光膜57と基板50表面との距離が近くなる。したがって、遮光膜57に電位がかけられる場合、その影響がOB画素領域48の光電変換部51に暗電流が発生するおそれがある。
【0111】
しかしながら、本実施形態例の固体撮像装置では、OB画素領域48において、遮光膜57と基板50との間に反射防止膜58が形成されておらず、遮光膜57と基板50との間には、シリコン酸化膜のみが形成される構成とされている。このため、遮光膜57からの影響により、基板50と遮光膜57との間の層に電荷がチャージされてしまうのを防ぐことができ、OB画素領域48における暗電流の発生を抑制することができる。
【0112】
本開示は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置にも適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0113】
さらに、本開示は、画素部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像装置に限られるものではない。画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像装置に対しても適用可能である。
なお、固体撮像装置はワンチップとして形成された形態であってもよいし、画素部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0114】
また、本開示は、固体撮像装置への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機などの撮像機能を有する電子機器のことを言う。なお、電子機器に搭載される上記モジュール状の形態、即ちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0115】
〈5.第5の実施形態:電子機器〉
次に、本開示の第5の実施形態に係る電子機器について説明する。図28は、本開示の第5の実施形態に係る電子機器200の概略構成図である。
【0116】
本実施形態に係る電子機器200は、固体撮像装置203と、光学レンズ201と、シャッタ装置202と、駆動回路205と、信号処理回路204とを有する。本実施形態例の電子機器200は、固体撮像装置203として上述した本開示の第1の実施形態における固体撮像装置1を電子機器(カメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0117】
光学レンズ201は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置203の撮像面上に結像させる。これにより固体撮像装置203内に一定期間当該信号電荷が蓄積される。
シャッタ装置202は、固体撮像装置203への光照射期間および遮光期間を制御する。
駆動回路205は、固体撮像装置203の転送動作およびシャッタ装置202のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路205から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置203の信号転送を行なう。信号処理回路204は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、あるいはモニタに出力される。
【0118】
本実施形態例の電子機器200では、固体撮像装置203においてOB画素領域における暗電流の抑制が図られるため、画質の向上が図られる。
【0119】
固体撮像装置1を適用できる電子機器200としては、カメラに限られるものではなく、デジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置に適用可能である。
【0120】
本実施形態例においては、固体撮像装置203として、第1の実施形態における固体撮像装置1を電子機器に用いる構成としたが、前述した第2〜第4の実施形態で製造した固体撮像装置を用いることもできる。
【符号の説明】
【0121】
1・・・固体撮像装置、2・・・画素、3・・・ギャップ部、4・・・撮像領域、5・・・垂直転送部、6・・・水平転送部、7・・・出力部、8・・・OB画素領域、9・・・有効画素領域、10・・・基板、11・・・光電変換部、12・・・転送チャネル部、13・・・チャネルストップ部、14・・・ゲート絶縁膜、15a・・・第1転送電極、15b・・・第2転送電極、16・・・コンタクト部、16a・・・コンタクトホール、17a・・・第1制御配線、17b・・・第2制御配線、18・・・コンタクト部、18a・・・コンタクトホール、19・・・遮光膜、19a・・・開口部、19b・・・分離部、20・・・反射防止膜、21・・・光導波路、22、22a、22b、22c・・・絶縁膜、23・・・溝部、24・・・配線層
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に、OB画素領域が遮光膜で遮光された固体撮像装置及び固体撮像装置の製造方法に関する。また、その固体撮像装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
エリアセンサやデジタルスチールカメラ等に用いられるCCD(Charge Coupled Device)型固体撮像素子は、主に、複数のフォトダイオードと、垂直転送部と、水平転送部と、出力部とで構成される。
【0003】
フォトダイオードは、入射した光を光電変換する光電変換部であり、半導体基板上に複数形成されている。垂直転送部は、フォトダイオードから電荷を受け取って転送する領域であり、半導体基板に形成された垂直転送路と、その上部に複数個隣接して配置された垂直転送電極とで構成されている。垂直転送部では、垂直転送電極が順次駆動されることにより、垂直転送路を電荷が垂直方向に転送される。水平転送部は、垂直転送部から電荷を受け取って転送する領域であり、半導体基板に形成された水平電荷転送路と、その上部に複数個隣接して配置された水平転送電極とで構成されている。水平転送部では、水平転送電極が順次駆動されることにより、水平電荷転送路を電荷が水平方向に転送される。出力部は水平転送部の最終段に形成されており、水平転送部で転送された電荷を電圧に変換して出力する。
【0004】
このようなCCD型固体撮像素子において、近年、大画角化や高速レート転送を可能とするために、転送電極の低抵抗化が求められている。また同時に、画素数の増加に伴い、1画素あたりおける受光面積が縮小し、受光量が減少して感度が低下する問題がある。低抵抗化、受光面積の拡大、配線層の低減等を目的として、垂直転送電極と接続された、制御用配線を兼ねる遮光膜を備える構造が提案されている。(特許文献1及び2)
【0005】
また、一般的にCCD型固体撮像素子の画素領域は、受光した光による光電変換により電荷を出力する有効画素領域と、黒レベルの基準として用いる信号を得るためのOB(Optical Black)画素領域とを有する。OB画素領域では、画素の受光面全面が遮光膜で覆われている。特許文献3では、有効画素領域に形成された遮光膜とOB画素領域に形成された遮光膜とを一体に形成し、電気的に接続された状態とした構成が記載されている。この場合、有効画素領域の光電変換部上部では遮光膜に開口部を形成し、OB画素領域の光電変換部上部では遮光膜を開口しないようにして遮光膜を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−81402号公報
【特許文献2】特開2009−252840号公報
【特許文献3】特開平11−186204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、一般的に、撮像領域の黒レベルを出力するOB画素領域は遮光膜により遮光されているが、暗電流の発生など、光学特性を低下させる要因がある。このため、OB画素領域において、暗電流の発生を抑制し、光学特性を改善することが望まれている。
【0008】
本技術は、OB画素領域において暗電流の発生が抑制された固体撮像装置を得ることを目的とする。また、その固体撮像装置を用いた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の固体撮像装置は、基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域を備える。また、撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備える。そして、OB画素領域の光電変換部上部において、遮光膜と基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている。
【0010】
本開示の固体撮像装置では、OB画素領域における光電変換部の上部において、基板と遮光膜との間に形成される膜がシリコン酸化膜のみとされる。これにより、遮光膜に電位がかかった場合に、遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされるのを防ぐことができる。このため、OB画素領域において遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされることに起因する暗電流の発生が抑制される。
【0011】
本開示の固体撮像装置の製造方法は、有効画素領域及びOB画素領域からなる撮像領域に、受光する光の光量に応じた信号電荷を生成、蓄積する光電変換部を備える基板を準備する工程を有する。また、基板上部に、ゲート絶縁膜を介して、光電変換部に蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を形成する工程を有する。また、読み出し電極部上部に、シリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成する工程を有する。また、OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で、絶縁膜上部に、有効画素領域における光電変換部を開口し、OB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜を形成する工程を有する。
【0012】
本開示の固体撮像装置の製造方法では、遮光膜は、OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で形成するため、OB画素領域における光電変換部上部の遮光膜と基板の間の膜は、シリコン酸化膜のみとなる。これにより、遮光膜に電位がかかった場合に、遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされるのを防ぐことができる。このため、OB画素領域において遮光膜と基板との間の層に電荷がチャージされることに起因する暗電流の発生が抑制される。
【0013】
本開示の電子機器は、光学レンズと、固体撮像装置と、信号処理回路を備える。固体撮像装置は、基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域を備える。また、撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備える。そして、OB画素領域の光電変換部上部において、遮光膜と基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている。
信号処理回路は、固体撮像装置から出力される出力信号を処理する。
【0014】
本開示の電子機器では、固体撮像装置において、OB画素領域における光電変換部上部の遮光膜と基板の間の膜は、シリコン酸化膜のみとなる。これにより、OB画素領域において暗電流の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、OB画素領域において暗電流の発生が低減された固体撮像装置を得ることができる。また、その固体撮像装置により、画質の向上が図られた電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【図2】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における平面構成図である。
【図3】図2のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図4】図2のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図5】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図6】図5のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図7】図5のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図8】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図9】図8のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図10】図8のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図11】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図12】図11のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図13】図11のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図14】図11のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図15】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図16】図15のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図17】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す平面図である。
【図18】図17のA−A線上に沿う断面構成図である。
【図19】図17のB−B線上に沿う断面構成図である。
【図20】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成図である。
【図21】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す断面構成図である。
【図22】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における製造工程を示す断面構成図である。
【図23】本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置の転送電極を示す平面構成図である。
【図24】図23のC−C線上に沿う断面構成図である。
【図25】図23のA−A線上に沿う断面構成図であり、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成を示す図である。
【図26】本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置の全体構成を示す図である。
【図27】本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置の有効画素領域及びOB画素領域における断面構成図である。
【図28】本開示の第5の実施形態に係る電子機器の構成図である。
【図29】従来の製造プロセスで作製したCCD型の固体撮像装置における有効画素領域及びOB画素領域の断面構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、まず、以下の検討を行った。図29に、従来の製造プロセスで形成されるCCD型固体撮像装置の断面構成を示す。図29では、有効画素領域114とOB画素領域115の断面構成図を示し、光電変換部101とその光電変換部101に隣接する垂直転送部を含む断面を示している。図29では、遮光膜111が転送電極を制御するための制御用配線を兼ねる例を示す。
【0018】
図29に示すように、基板100には、フォトダイオードからなる光電変換部101と、光電変換部101から受け取った電荷を垂直方向に転送する転送チャネル部102が構成されている。さらに、光電変換部101と、光電変換部101の一方の側に隣接する転送チャネル部102との間には読み出しチャネル部104が形成される。そして、光電変換部101の周囲の読み出しチャネル部104を除く領域には、各画素を電気的に分離するチャネルストップ部103が形成されている。また、転送チャネル部102上部には、ゲート酸化膜105を介して読み出し電極を兼ねる転送電極106が形成されている。また、光電変換部101上部には、シリコン酸化膜を介して反射防止膜107となる窒化膜が形成されている。
【0019】
そして、転送電極106上部には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜112を介して制御配線108が形成されており、その制御配線108は、絶縁膜112に形成されたコンタクト部109により転送電極106に接続されている。制御配線108上部には、さらにシリコン酸化膜からなる絶縁膜112を介して遮光膜111が形成されており、この遮光膜111は、有効画素領域114における光電変換部101以外の領域を遮光するように形成されている。すなわち、有効画素領域114における光電変換部101は、遮光膜111に形成された開口部111aに開口されており、OB画素領域115では光電変換部101が遮光されている。
【0020】
このように、図29に示す固体撮像装置、遮光膜111が制御配線108を介して転送電極106に接続されており、遮光膜111が転送電極106を制御する制御用配線を兼ねる構成とされた例である。このような固体撮像装置では、遮光膜111に所望の駆動パルスを印加することにより、制御配線108を介して転送電極106が駆動される。そして、転送電極106が駆動されることにより、光電変換部101で生成、蓄積された信号電荷が、読み出しチャネル部104を介して転送チャネル部102に転送される。
【0021】
また、遮光膜111は、制御配線108上部を遮光すると共に、制御配線108の側部を遮光するように、光電変換部101を囲む領域において基板100側に屈曲して形成されている。これにより、制御配線108とコンタクト部109の側面が遮光されるため斜め光が転送電極106と制御配線108との間を通って隣接する画素の光電変換部101に入射するのを防止することができる。また、OB画素領域115における遮光膜111は、光電変換部101上部において、基板100上に形成された絶縁膜112、反射防止膜107、絶縁膜112の3層構造を介して形成されている。さらに、OB画素領域115における遮光膜111は、開口部111aを形成しない以外は、有効画素領域114における遮光膜と同様のプロセスで形成される。このため、OB画素領域115における光電変換部101直上では、制御配線108上部に形成された遮光膜111よりも基板100に近い位置に遮光膜111が形成される。
【0022】
遮光膜111上部には、再びシリコン酸化膜からなる絶縁膜112が形成されると共に、フォトダイオード上部において、光導波路113が形成され、光導波路上部には、図示しないカラーフィルタ層、オンチップレンズなどが形成される。このように、従来の製造プロセスを適用したCCD型固体撮像装置では、有効画素領域114とOB画素領域115とで、遮光膜111の形成以外の製造プロセスは同じとされる。このため、OB画素領域115においても、光電変換部101上部に実質的に必要の無い反射防止膜107が形成されてしまう。
【0023】
このように、OB画素領域115の光電変換部101上部においても窒化膜からなる反射防止膜107が形成される場合、遮光膜111の下には、SiO2膜/SiN膜/SiO2膜のONO三層構造が形成される。遮光膜111を、遮光膜としてのみ用いる場合には、遮光膜111の電位は特に変動させる必要が無く、例えばグランドをとるなど一定電位に保つことができる。しかしながら、図29に示す固体撮像装置のように、制御配線108に電位を供給する配線と、遮光膜111とを兼用する構造においては、遮光膜111の電位は変動する。そうすると、遮光膜111の印加電圧によって、遮光膜111下のONO三層構造に電荷がチャージされて、電位が変動するために、OB画素領域115に暗電流が発生する懸念がある。
そこで、本発明者らは、OB画素領域115における遮光膜111の下層の構造を変えることで、暗電流の発生を抑制することを見出した。
【0024】
以下に、本開示の実施形態に係る固体撮像装置及び、電子機器の一例を、図1〜図28を参照しながら説明する。本開示の実施形態は以下の順で説明する。なお、本開示は以下の例に限定されるものではない。
・ 第1の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第2の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第3の実施形態:CCD型の固体撮像装置
・ 第4の実施形態:CMOS型の固体撮像装置
・ 第5の実施形態:電子機器
【0025】
〈1.第1の実施形態:CCD型の固体撮像装置〉
[1−1 全体構成]
図1に本開示の第1の実施形態に係るCCD型の固体撮像装置の概略構成図を示す。図1に示すように、本実施形態例の固体撮像装置1は、基板10に形成された複数の光電変換部11と、垂直転送部5と、水平転送部6と、出力部7とを有して構成されている。
【0026】
光電変換部11は、光量に応じた信号電荷を生成するフォトダイオードにより構成される。本実施形態例では、光電変換部11は、基板10の水平方向及び垂直方向に、複数個、マトリクス状に形成されている。光電変換部11が形成される領域において、撮像領域4が構成される。
【0027】
垂直転送部5は、CCD構造とされ、垂直方向に配列される光電変換部11毎に、垂直方向に複数形成される。この垂直転送部5は、光電変換部11に蓄積された信号電荷を読み出して、垂直方向に転送するものである。本実施形態例の垂直転送部5が形成されている転送ステージは、図示しない転送駆動パルス回路から印加される転送駆動パルスにより、例えば、4相駆動される構成とされている。また、垂直転送部5の最終段では、転送駆動パルスが印加されることにより、最終段に保持されていた信号電荷が、水平転送部6に転送される構成とされている。
【0028】
そして、撮像領域4では、光電変換部11と各光電変換部11に隣接する垂直転送部5とにより構成された単位画素2が複数配列される。撮像領域4は、有効画素領域9と、その周囲に形成されたOB画素領域8とから構成される。有効画素領域9では、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を蓄積することができる。OB画素領域8では、光電変換部11上部が遮光されており、黒レベルの基準になる光学的黒を出力する。OB画素領域8は、例えば、撮像領域4の両端部に形成される。
【0029】
水平転送部6は、CCD構造とされ、垂直転送部5の最終段の一端に形成されるものである。この水平転送部6が形成されている転送ステージは、垂直転送部5により垂直転送されてきた信号電荷を、一水平ライン毎に水平方向に転送するものである。
【0030】
出力部7は、水平転送部6により水平転送された信号電荷を電荷電圧変換することにより、映像信号として出力するものである。
【0031】
以上の構成を有する固体撮像装置1においては、光電変換部11に蓄積された信号電荷は、垂直転送部5により、垂直方向に転送されて、水平転送部6内に転送される。そして、水平転送部6内に転送されてきた信号電荷は、それぞれ水平方向に転送され、出力部7を介して映像信号として出力される。
【0032】
[1−2 要部の構成]
図2に、本実施形態例の固体撮像装置1の有効画素領域9、及びOB画素領域8における要部の平面構成図を示し、図3に、有効画素領域9、及びOB画素領域8における画素の水平方向に沿う断面図、すなわち、図2のA−A線上に沿う断面図を示す。また、図4には、有効画素領域9における画素の垂直方向に沿う断面図、すなわち、図2のB−B線上に沿う断面図を示す。
【0033】
図3に示すように、本実施形態例の固体撮像装置1では、基板10と、基板10上部に形成された第1転送電極15a及び第2転送電極15bと、反射防止膜20を備える。また、第1転送電極15a及び第2転送電極15bの上部に形成された配線層24と、光導波路21とを備える。
【0034】
基板10は、シリコンからなる半導体基板で構成され、光入射側に、光電変換部11を構成するフォトダイオードと、垂直転送部5を構成する転送チャネル部12と、各画素2を電気的に分離する素子分離領域となるチャネルストップ部13とが形成されている。これらの光電変換部11、転送チャネル部12、及びチャネルストップ部13は、基板10に所望の不純物をイオン注入することにより形成される。
【0035】
図2に示すように、光電変換部11は、基板10の垂直方向、水平方向にマトリックス状に形成され、転送チャネル部12は、垂直方向に配列される光電変換部11毎に、垂直方向に複数形成される。また、光電変換部11と、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12との間の領域は、光電変換部11から転送チャネル部12へ信号電荷を読み出すための読み出しチャネル部25とされる。そして、チャネルストップ部は、光電変換部11を取り囲む領域であって、読み出しチャネル部25を除く領域に形成される。このため、光電変換部11で生成、蓄積された信号電荷は、読み出しチャネル部25を介して、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12に読み出される。
【0036】
第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、例えば多結晶シリコンからなり、転送チャネル部12上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成され、ギャップ部3により互いに分離され、垂直方向に交互に形成されている。第1転送電極15aは、光電変換部11の中央部分に隣接する転送チャネル部12上に形成されており、読み出しチャネル部25を含む領域に形成されている。第2転送電極15bは、垂直方向に隣接する第1転送電極15aの間に形成されており、垂直方向に隣接する2つの光電変換部11に対応して形成されている。
【0037】
反射防止膜20は、有効画素領域9においてのみ形成されており、有効画素領域9の光電変換部11上にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を介して垂直方向に延在して形成されている。反射防止膜20を構成する材料としては、反射防止膜20の下層及び上層に形成されるシリコン酸化膜との積層構造において、基板10に対する反射防止の効果があればよく、例えばシリコン窒化膜を用いることができる。反射防止膜20としてシリコン窒化膜を用いる場合には、下層からシリコン酸化膜(屈折率1.46)/シリコン窒化膜(屈折率2.0)/シリコン酸化膜(屈折率1.46)の積層構造をなし、反射防止の効果を奏する。
【0038】
反射防止膜20を構成する材料は、シリコン窒化膜に限定されるものではなく、シリコン酸化膜に対して屈折率の高い材料であれば適用することができる。また、反射防止膜20として、負の固定電荷を有する材料を用いることができる。負の固定電荷を持つ材料膜は、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)膜、酸化アルミニウム(Al2O3)膜、酸化ジルコニウム(ZrO2)膜、酸化タンタル(Ta2O5)膜、もしくは酸化チタン(TiO2)膜で形成される。成膜方法としては、例えば、化学気相成長法、スパッタリング法、原子層蒸着法等が挙げられえる。原子層蒸着法を用いれば、成膜中に界面準位を低減するSiO2膜を同時に1nm程度形成することが好適である。また、上記以外の材料としては、酸化ランタン(La2O3)、酸化プラセオジム(Pr2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化プロメチウム(Pm2O3)等が挙げられる。さらに、上記材料としては、酸化サマリウム(Sm2O3)、酸化ユウロピウム(Eu2O3)、酸化ガドリニウム((Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)等が上げられる。さらに、上記材料としては、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化ルテチウム(Lu2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)等が挙げられる。さらに、上記負の固定電荷を有する膜は、窒化ハフニウム膜、窒化アルンミニウム膜、酸窒化ハフニウム膜または酸窒化アルミニウム膜で形成することも可能である。
【0039】
上記負の固定電荷を有する膜は、絶縁性を損なわない範囲で、膜中にシリコン(Si)や窒素(N)が添加されていてもよい。その濃度は、膜の絶縁性が損なわれない範囲で適宜決定される。このように、シリコン(Si)や窒素(N)が添加されることによって、膜の耐熱性やプロセスの中でイオン注入の阻止能力を上げることが可能になる。
【0040】
配線層24は、基板10の第1転送電極15a及び第2転送電極15b上部に形成されたシリコン酸化膜からなる絶縁膜22と、その絶縁膜22内に形成された第1制御配線17a及び第2制御配線17bと、遮光膜19とで構成されている。
第1制御配線17aは、絶縁膜22に形成されたコンタクト部16を介して第1転送電極15aに接続されており、1つの第1転送電極15aに対して1つの第1制御配線17aが対応するように形成されている。
第2制御配線17bは、絶縁膜22に形成されたコンタクト部16を介して第2転送電極15bに接続された制御電極部26aと、水平方向に隣接する制御電極部26aを接続する接続配線26bにより構成されている。すなわち、第2制御配線17bは、第2転送電極15bの列毎に形成されている。
【0041】
遮光膜19は、有効画素領域9における光電変換部11を開口する開口部19aを備え、第1制御配線17a、第2制御配線17b、及びOB画素領域8全面を遮光するように設けられている。また、遮光膜19は、第1制御配線17a及び第2制御配線17b上部を遮光すると共に第1転送電極15a及び第2転送電極15bの上部に形成される層の側部を遮光するように、光電変換部11を囲む領域において基板10側に屈曲して形成されている。
【0042】
さらに、遮光膜19は、絶縁膜22に形成されたコンタクト部18を介して第1制御配線17aに接続されると共に、第2制御配線17b上部において線状に形成された分離部19bにより、行毎に分離されている。すなわち、遮光膜19は、水平方向に隣接する第1制御配線17aに対して共通に接続されており、垂直方向に隣接する遮光膜同士は、電気的に分離されている。本実施形態例の固体撮像装置1では、遮光膜19が制御用配線を兼ねる構成とされており、この場合、第1制御配線17aに印加する駆動パルスが、遮光膜19から第1制御配線17aに印加される。
【0043】
そして、本実施形態例では、遮光膜19は、第1転送電極15a及び第1制御配線17aからなる積層構造や、第2転送電極15b及び第2制御配線17bからなる積層構造の側面も被覆する構成とされている。さらに、OB画素領域8における光電変換部11上部では、第1制御配線17aや第2制御配線17b上部に形成された遮光膜19の位置よりも基板10側に近い位置に遮光膜19が形成されている。
【0044】
本実施形態例における、第1制御配線17a、第2制御配線17b、コンタクト部16、18、及び遮光膜19を構成する材料としては、例えば、W、Al、Ru、またはこれらを含む合金材料など、遮光性を有する材料であれば良い。さらには、低抵抗な材料であることが望ましい。また、第1制御配線17a、第2制御配線17bや、制御配線を兼ねる遮光膜19の下層に、バリアメタル膜として、TiNや、Ti等のメタル材料で2層以上の積層構造を形成してもよい。
【0045】
光導波路21は、有効画素領域9及びOB画素領域8において、光電変換部11上部に形成されている。そして、本実施形態例では、図示を省略するが、有効画素領域9及びOB画素領域8において、光導波路21上部に、必要に応じて、層内レンズが構成され、その上部に平坦化膜を介してカラーフィルタ層、オンチップレンズが順に形成されている。
【0046】
このように、本実施形態例の固体撮像装置1では、OB画素領域8において、光電変換部11上に反射防止膜20が形成されず、OB画素領域8では、遮光膜19の下層はシリコン酸化膜のみの構成とされている。
【0047】
[1−3 製造方法]
図6〜図19を用いて、本実施形態例の固体撮像装置1の製造方法について説明する。図5、図8、図11、図15及び図17は、本実施形態例の固体撮像装置1の有効画素領域9及びOB画素領域8における製造工程を示す平面構成図である。また、図6、図9、図12、図16及び図18は、有効画素領域9及びOB画素領域8における画素の、水平方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のA−A線上に沿う断面構成図である。また、図14及び図19は、有効画素領域9の光電変換部11が形成される領域の、垂直方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のB−B線上に沿う断面構成図である。また、図10及び図13は、有効画素領域9及びOB画素領域8における転送チャネル部12が形成される領域の垂直方向に沿う断面を示す図であり、対応する製造工程における平面図のC−C線上に沿う断面構成図である。
【0048】
また、以下の説明では、反射防止膜20の下層に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22a」とし、反射防止膜20と第1制御配線17a及び第2制御配線17bとの間に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22b」とする。また、コンタクト部16と遮光膜19との間に形成される絶縁膜22を「絶縁膜22c」とする。そして、絶縁膜22a、22b、22cを区別しないときには、「絶縁膜22」として説明する。
【0049】
まず、図5〜図7に示すように、基板10に光電変換部11、転送チャネル部12、及びチャネルストップ部13を形成し、転送チャネル部12上部に第1転送電極15a及び第2転送電極15bを形成した後、反射防止膜20を形成する。
【0050】
光電変換部11は、図6に示すように、基板10の光照射面側となる表面側に形成し、マトリクス状に複数形成する。転送チャネル部12は、光電変換部11と、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12との間に形成し、行毎の光電変換部11に対応して複数本形成する。また、光電変換部11の一方の側に隣接する転送チャネル部12と、その光電変換部11との間には、読み出しチャネル部25を形成する。チャネルストップ部13は、各光電変換部11を囲む領域であって、読み出しチャネル部25を除く領域に形成する。光電変換部11、転送チャネル部12、読み出しチャネル部25、及びチャネルストップ13部は、例えば、基板10の表面側から所望の不純物をイオン注入することにより形成する。
【0051】
第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、図6及び図7に示すように、基板10に形成された転送チャネル部12上部に、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成し、ギャップ部3を挟んで垂直方向に交互に形成する。第1転送電極15aは、矩形形状とされ、光電変換部11の中央領域に隣接する転送チャネル部12上部に形成する。また、第1転送電極15aは、読み出し電極も兼ねるため、図6に示すように読み出しチャネル部25上部に延在するように形成する。
【0052】
第2転送電極15bは、第1転送電極15aと同様矩形形状とされ、垂直方向に隣接する第1転送電極15aの間の領域に形成する。これらの第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、多結晶シリコン膜、又はアモルファスシリコンからなる電極層を形成し、その電極層を所定の形状にパターニングすることにより形成する。第1転送電極15a及び第2転送電極15bは、通常のフォトリソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて形成することができ、同一の層に形成する。
【0053】
その後、第1転送電極15aと第2転送電極15bとの間のギャップ部3を埋め込むと共に、第1転送電極15a及び第2転送電極15bを含む撮像領域4全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22aを一層形成する。
反射防止膜20は、絶縁膜22aを形成した後、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成する。本実施形態例では、図5に示すように、反射防止膜20は、垂直方向に延在するように形成し、画素の列毎に形成した。反射防止膜20は、絶縁膜22a上において、例えば、撮像領域4全面にシリコン窒化膜を形成し、シリコン窒化膜が有効画素領域9における光電変換部11直上に残るようにパターニングすることにより形成する。これにより、図4に示すように、有効画素領域9の光電変換部11上部にのみ反射防止膜20を形成する。
【0054】
次に、図8〜図10に示すように、反射防止膜20を含む絶縁膜22a上にさらにシリコン酸化膜からなる絶縁膜22bを形成し第1転送電極15a及び第2転送電極15bを露出するコンタクトホール16aを形成する。絶縁膜22bは、有効画素領域9に形成された反射防止膜20を埋め込むと共に、第1転送電極15a及び第2転送電極15bの形成により基板10上に形成された凹凸を埋め込み、表面が平坦面となるように形成する。
コンタクトホール16aは、第1転送電極15a及び第2転送電極15b上部の絶縁膜22bをエッチング除去することにより形成する。
【0055】
次に、図11〜図14に示すように、コンタクトホール16aを導電材料で埋め込むことにより、コンタクト部16を形成し、そのコンタクト部16に接続されるように絶縁膜22b上部に所望の形状の第1制御配線17a、及び第2制御配線17bを形成する。
第1制御配線17a及び第2制御配線17bは、コンタクト部16を含む絶縁膜22b全面に導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法及びドライエッチング法を用いて所望の形状にパターニングすることによって形成する。
【0056】
第1制御配線17aは、第1転送電極15a直上に形成し、コンタクト部16を覆う領域において、例えば第1転送電極15aよりも小さい矩形形状となるように形成する。また、第1制御配線17aは、第1転送電極15a毎に形成する。これにより、第1転送電極15aと対応する第1制御配線17aがコンタクト部16により接続される。
【0057】
第2制御配線17bは、第2転送電極15b直上に形成したコンタクト部16を覆う領域において、例えば第2転送電極15bよりも小さい矩形形状となるように制御電極部26aと、水平方向に隣接する制御電極部26aを接続する接続配線26bとで構成する。すなわち、第2制御配線17bは、第2転送電極15bの列毎に形成し、水平方向に隣接する第2転送電極15bを電気的に接続するように水平方向に延在して形成する。水平方向に隣接する第2制御配線17bにおける接続配線26bは、図14に示すように、垂直方向に隣接する光電変換部11の間のチャネルストップ部13上部に形成する。これにより、第2転送電極15bとそれに対応する第2制御配線17bとがコンタクト部16によって接続されるともに、水平方向に隣接する第2転送電極15b同士が接続される。
【0058】
次に、図15及び図16に示すように、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆する絶縁膜22cを形成する。また、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するコンタクトホール18aと、光電変換部11上部において、絶縁膜22c表面から深さ方向に形成された溝部23を形成する。
【0059】
絶縁膜22は、下層に形成された絶縁膜22cと同様シリコン酸化膜で形成し、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆するように形成する。コンタクトホール18aは、シリコン酸化膜からなる絶縁膜22cを有効画素領域9及びOB画素領域8全面に形成した後、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するまでエッチングすることで形成する。
【0060】
また、溝部23は、光電変換部11上部の絶縁膜22を、表面からエッチングすることにより形成する。有効画素領域9における溝部23は、反射防止膜20に達しない深さまで形成し、OB画素領域8における溝部23は、基板10表面に達しない深さまで形成する。図3では、有効画素領域9とOB画素領域8における溝部23を同じ深さで形成している。本実施形態例では、溝部23における垂直方向に沿う側面は、基板10から絶縁膜22表面にかけて径が広がるテーパ状に溝部23を形成した。なお、図示を省略するが、溝部23における水平方向に沿う側面は、基板10面に対して垂直な面となるように形成した。
【0061】
次に、図17〜図19に示すように、コンタクトホール18aを導電材料で埋め込むことによりコンタクト部18を形成し、そのコンタクト部18に接続されるように絶縁膜22上部に遮光膜19を形成する。遮光膜19は、絶縁膜22に形成された溝部23の形状の沿うように絶縁膜22表面に所望の導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法を用いて所望の形状のパターニングすることにより形成する。本実施形態例では、遮光膜19は、有効画素領域9における光電変換部11直上に形成された開口部19aと、第2制御配線17b上部で行毎に分離する分離部19bを有するように形成する。また、本実施形態例では、開口部19aは、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成された溝部23の底部のみを開口するように形成し、溝部23の側面は遮光膜19で被覆された状態とする。このため、溝部23では、基板10により近い位置まで遮光膜19が施される。また、OB画素領域8では、光電変換部11上部を開口しない。
【0062】
行毎に形成された遮光膜19は、それぞれ、第1制御配線17aを介して第1転送電極15aに接続されている。これにより、水平方向に隣接する第1転送電極15aは電気的に接続される。遮光膜19は、制御用配線を兼ねるものであり、遮光膜19から第1制御配線17aを介して第1転送電極15aを駆動する駆動パルスが供給される。また、本実施形態例では、光電変換部11直上の絶縁膜22に溝部23が形成され、溝部23に沿うように遮光膜19が形成される。このため、光電変換部11により近い位置に遮光膜19を形成することができ、有効画素領域9及びOB画素領域8において遮光性を高めることができる。
【0063】
次に、図2〜図4に示すように、遮光膜19上部を含む全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を成膜した後、光電変換部11直上の溝部23に光導波路21を形成する。光導波路21の形成材料には、例えば、絶縁膜22の形成材料である酸化シリコン(SiO2:屈折率1.45)等よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。例えば、シロキシサン系樹脂やポリイミド系樹脂等を、光導波路21の形成材料として用いることができる。また、光導波路21の形成材料として、上述した樹脂材料中に、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム等の金属酸化物微粒子を含ませてもよい。この場合には、光導波路21の屈折率をより高くすることができる。
【0064】
その後、通常の固体撮像装置の製造方法と同様にして、光導波路21上部に、層内レンズ、平坦化膜などを形成し、各光電変換部11に対応するカラーフィルタ層及びオンチップレンズを順に形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置1が完成する。
【0065】
本実施形態例の固体撮像装置1では、有効画素領域9において、光導波路21を通過して基板に入射した光は光電変換部11において光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成、蓄積される。そして、制御用配線を兼ねる遮光膜19に所望の駆動パルスを印加することにより、第1制御配線17aを介して第1転送電極15aにその駆動パルスが供給される。これにより、光電変換部11の信号電荷が読み出しチャネル部25を介して転送チャネル部12に読み出される。第1転送電極15a及び第2転送電極15bが行毎に駆動されることにより、転送チャネル部12の信号電荷は垂直方向に転送される。
一方、OB画素領域8では、光電変換部11上部は遮光膜19によって遮光されており、OB画素領域8における光電変換部11からは黒レベルの値が出力される。
【0066】
本実施形態例の固体撮像装置1では、OB画素領域8における光電変換部11上部には反射防止膜20が形成されていない。このため、OB画素領域8における光電変換部11上部の基板10と遮光膜19との間は各層の絶縁膜22を構成するシリコン酸化膜のみとなる。これにより、制御用配線を兼ねる遮光膜19の電位の変動によって、基板10と遮光膜19との間の絶縁膜22に電荷がチャージされるのを防ぐことができ、暗電流を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態例の固体撮像装置1は、OB画素領域8への特別な工程の追加等は必要なく、通常のプロセスで形成することができる。このため、従来と同じプロセスを用いることが可能となるため、有効画素領域9に影響を及ぼすことがなく、OB画素領域8における暗電流抑制を実現することができる。
【0068】
このように、本実施形態例では、制御用配線を兼ねる遮光膜19を有し、有効画素領域9における光電変換部11上部に反射防止膜20を備える固体撮像装置において、OB画素領域8における暗電流の生成を抑制することができる。
【0069】
本実施形態例では、反射防止膜20は、有効画素領域9の光電変換部11上に列毎に形成する例としたが、これに限定されるものではなく、OB画素領域8の光電変換部11上部に形成しない構成であれば種々の変形が可能である。例えば、反射防止膜20を、有効画素領域9全面に残るように形成する例としてもよく、また、有効画素領域9の各光電変換部11上に個別に形成する例としてもよい。
【0070】
〈2.第2の実施形態:固体撮像装置〉
次に、本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。本実施形態例の固体撮像装置の平面構成は、第1の実施形態と同様であるから図示を省略する。図20に、本実施形態例の固体撮像装置における有効画素領域9及びOB画素領域8の断面構成を示す。図20は、図2のA−A線上に沿う断面に相当するものである。図20において、図3に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0071】
本実施形態例の固体撮像装置は、OB画素領域8における遮光膜28の構成が第1の実施形態と異なり、OB画素領域8における遮光膜28は、光電変換部11直上の遮光膜28が、第1制御配線17aや第2制御配線17b上部の遮光膜28と同層に形成されている。すなわち、OB画素領域8における光電変換部11上部の遮光膜28と基板10表面との距離が、第1の実施形態に比較して大きく形成されている。そして、本実施形態例においても、OB画素領域8における遮光膜28と基板10との間には反射防止膜20が形成されておらず、シリコン酸化膜のみが形成されている。
【0072】
図21及び図22を用いて、本実施形態例の固体撮像装置の製造方法について説明する。
第1制御配線17a及び第2制御配線17bを形成する工程までは、第1の実施形態で示した図5〜図14の工程と同様である。第1制御配線17a及び第2制御配線17bを形成した後、図21に示すように、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆する絶縁膜22cを形成する。そして、絶縁膜22c表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するコンタクトホール18aと、有効画素領域9における光電変換部11上部において、絶縁膜22表面から深さ方向に形成された溝部23を形成する。
【0073】
絶縁膜22cは、下層に形成された絶縁膜22bと同様シリコン酸化膜で形成し、第1制御配線17a及び第2制御配線17bを被覆するように形成する。コンタクトホール18aは、シリコン酸化膜からなる絶縁膜22cを有効画素領域9及びOB画素領域8全面に形成した後、絶縁膜22表面から第1制御配線17a及び第2制御配線17bを露出するまでエッチングすることで形成する。
【0074】
また、溝部23は、有効画素領域9における光電変換部11上部の絶縁膜22を、表面からエッチングすることにより形成する。有効画素領域9における溝部23は、反射防止膜20に達しない深さまで形成する。本実施形態例においても、溝部23における垂直方向に沿う側面は、基板10側から絶縁膜22表面にかけて径が広がるテーパ状とした。なお、図示を省略するが、溝部23における水平方向に沿う側面は、基板10面に対して垂直な面となるように形成した。そして、本実施形態例では、OB画素領域8の光電変換部11において、溝部を形成しない。
【0075】
次に、図22に示すように、コンタクトホール18aを導電材料で埋め込むことによりコンタクト部18を形成し、そのコンタクト部18に接続されるように絶縁膜22上部に遮光膜28を形成する。遮光膜28は、絶縁膜22表面に所望の導電材料からなる導電膜を形成した後、フォトリソグラフィー法やドライエッチング法を用いて所望の形状のパターニングすることにより形成する。本実施形態例では、遮光膜28は、有効画素領域9における光電変換部11直上を開口する開口部28aと、第2制御配線17b上部で行毎に分離する分離部(図示を省略する)を有するように形成する。
【0076】
また、本実施形態例では、開口部28aは、有効画素領域9の光電変換部11上部に形成された溝部23の底部のみを開口するように形成し、溝部23の側面は遮光膜28で被覆された状態とする。このため、溝部23では、基板10により近い位置まで遮光膜28が施される。また、OB画素領域8の光電変換部11上部では、遮光膜28の下層に溝部23が形成されないため有効画素領域9の光電変換部11を囲む遮光膜28の高さよりも高い位置に遮光膜19が形成される。これにより、OB画素領域8の光電変換部11上部における遮光膜28と基板10との間の距離は、第1の実施形態に比較して大きく形成されている。このため、OB画素領域8の光電変換部11上部に形成される遮光膜28の電位の影響を遮光膜28の下層の層が受けにくくなる。
【0077】
次に、図20に示すように、遮光膜28上部を含む全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜22を成膜した後、有効画素領域9における光電変換部11直上の溝部23に光導波路21を形成する。光導波路21の形成材料には、例えば、絶縁膜22の形成材料である酸化シリコン(SiO2:屈折率1.45)等よりも高い屈折率を有する材料が用いられる。例えば、シロキシサン系樹脂やポリイミド系樹脂等を、光導波路21の形成材料として用いることができる。また、光導波路21の形成材料として、上述した樹脂材料中に、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ハフニウム等の金属酸化物微粒子を含ませてもよい。この場合には、光導波路21の屈折率をより高くすることができる。
【0078】
その後、通常の固体撮像装置の製造方法と同様にして、光導波路21上部に、層内レンズ、平坦化膜などを形成し、各光電変換部に対応するカラーフィルタ層及びオンチップレンズを順に形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置が完成する。
【0079】
本実施形態例の固体撮像装置では、OB画素領域8において、絶縁膜22に溝部が形成されないため、第1の実施形態と比較し、遮光膜28と基板10との距離が大きくなる。このように、遮光膜28と基板10との距離が大きくなるため、遮光膜28に印加される駆動パルスの影響を第1の実施形態に比較して更に改善することができる。さらに、本実施形態例においても、OB画素領域8において、遮光膜28と基板10との間の層は、シリコン酸化膜のみで構成されている。このため、遮光膜28と基板10との間の層に電荷がチャージされることがなく、基板10の電位が変動するのを防ぐことができ、暗電流の抑制が図られる。
【0080】
本実施形態例の固体撮像装置の製造方法においても、OB画素領域8において、新たな工程を追加することがないため、プロセスインテグレーションを実現できる。そして、従来のプロセスを用いることができるため、有効画素領域9の特性に影響を及ぼすことが無く、OB画素領域8における暗電流の抑制を図ることができる。
【0081】
〈3.第3の実施形態:固体撮像装置〉
次に、図23〜図25を用いて、本開示の第3の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。本実施形態例の固体撮像装置の全体構成は、図1と同様であるから図示を省略する。また、図23〜図25において、図2〜図4に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0082】
図23は、図1における垂直転送部5を構成する第1転送電極30a及び第2転送電極30bのみを図示した平面構成である。また、図24は、図23のC−C線上に沿う断面に対応する構成図であり、図25は、図23のA−A線上に沿う断面に対応する構成図である。なお、図25では、有効画素領域9に対応する断面と、OB画素領域8に対応する断面とを示し、遮光膜33まで形成した図を示す。
【0083】
図24に示すように、本実施形態例の固体撮像装置では、第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、転送チャネル部12上部にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を介して形成され、垂直方向に交互に形成されている。第1転送電極30aは、読み出し電極を兼ねる構成とされており、転送チャネル部12及び読み出しチャネル部25上に形成されている。この第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、それぞれ、接続配線31a、31bにより行毎に接続されており、接続配線31a、31bは、垂直方向に隣接する光電変換部11の間のチャネルストップ部13上に設けられている。また、図24に示すように、本実施形態例の第1転送電極30a及び第2転送電極30bは、垂直方向において、絶縁膜32を介して一部重なるように形成されている。
【0084】
このような固体撮像装置では、第1転送電極30a及び第2転送電極30bに所望の駆動パルスを印加することにより、光電変換部11に蓄積された信号電荷が転送チャネル部12に読み出され、転送チャネル部12内を垂直方向に転送する。
【0085】
また、図25に示すように、遮光膜33は、第1転送電極30a及び第2転送電極30b上部に絶縁膜32を介して形成されており、有効画素領域9の光電変換部11直上のみを開口するように形成されている。
【0086】
また、本実施形態例においても第1の実施形態と同様、有効画素領域9における光電変換部11上部においてのみ、反射防止膜35が形成されている。これにより、OB画素領域8において、光電変換部11上部の遮光膜33と基板10との間には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜32のみが構成されている。
【0087】
本実施形態例の固体撮像装置は、基板10上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜14を形成した後、第1転送電極30aを形成する。その後、シリコン酸化膜からなる絶縁膜32を、第1転送電極30aを被覆する全面に形成した後、第2転送電極30bを形成する。そして、第2転送電極30bを被覆する全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜32をさらに形成した後、有効画素領域9における光電変換部11上部にのみ、反射防止膜35を形成する。次に、全面にシリコン酸化膜からなる絶縁膜32をさらに形成し、光電変換部11上部に溝部32aを形成する。そして、溝部32aが形成された絶縁膜32上部に、有効画素領域9における光電変換部11上部を開口する開口部33aを有する遮光膜33を形成する。その後、図示を省略するが、光導波路内レンズ、平坦化膜、カラーフィルタ層、オンチップレンズを通常と同じ方法で形成することにより、本実施形態例の固体撮像装置が完成される。
【0088】
本実施形態例の固体撮像装置では、遮光膜33は、制御配線を構成するものではない。しかし、このような構成においても、OB画素領域8において遮光膜33と基板10との間の層をシリコン酸化膜のみの構成とすることにより、OB画素領域における暗電流を抑制することができる。
【0089】
上述した第1〜第3の実施形態では、CCD型の固体撮像装置を例に説明したが、本開示は、これに限られるものではない。以下に、CMOS型の固体撮像装置を例について説明する。
【0090】
〈4.第4の実施形態:CMOS型固体撮像装置〉
[4−1 全体構成]
図26及び図27を用いて、本開示の第4の実施形態に係る固体撮像装置について説明する。まず、要部の構成の説明に先立ち、本実施形態例の固体撮像装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態例に係る固体撮像装置41の全体を示す概略構成図である。
【0091】
固体撮像装置41は、図26に示すように、シリコンからなる基板50に、複数の画素42からなる撮像領域43と、垂直駆動回路44と、カラム信号処理回路45と、水平駆動回路46と、出力回路47と、制御回路61等を備えて構成される。
【0092】
画素2は、受光した光の光量に応じて信号電荷を生成するフォトダイオードからなる光電変換部と、その信号電荷を読み出し転送するための複数のMOSトランジスタとから構成され、基板50上に、2次元アレイ状に規則的に複数配列される。
【0093】
撮像領域43は、2次元アレイ状に規則的に複数配列された画素42から構成される。撮像領域43は、実際に光を受光し光電変換によって生成された信号電荷を蓄積することのできる有効画素領域49と、有効画素領域49の周囲に形成され黒レベルの基準になる光学的黒を出力するためのOB画素領域48とから構成される。
【0094】
制御回路61は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路44、カラム信号処理回路45、及び水平駆動回路46等の動作の基準となるクロック信号や制御信号などを生成する。そして、制御回路61で生成されたクロック信号や制御信号などは、垂直駆動回路44、カラム信号処理回路45及び水平駆動回路46等に入力される。
【0095】
垂直駆動回路44は、例えばシフトレジスタによって構成され、撮像領域43の各画素42を行単位で順次垂直方向に選択走査する。そして、各画素42の光電変換部において生成した信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線60を通してカラム信号処理回路45に供給する。
【0096】
カラム信号処理回路45は、例えば、画素42の列毎に配置されており、1行分の画素42から出力される信号を画素列毎にOB画素領域48からの信号によって、ノイズ除去や信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路45の出力段には、水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線62との間に設けられている。
【0097】
水平駆動回路46は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路45の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路45の各々から画素信号を水平信号線62に出力させる。
【0098】
出力回路47は、カラム信号処理回路45の各々から水平信号線62を通して、順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行って出力する。
【0099】
[4−2 要部の構成]
図27に、本実施形態例の固体撮像装置41の有効画素領域49及びOB画素領域48における要部の断面構成を示す。図27では、画素42を構成するトランジスタの一部を代表して図示する。また、本実施形態例の固体撮像装置41は、グローバルシャッター機能を有する固体撮像装置である。
【0100】
図27に示すように、本実施形態例の固体撮像装置41は、基板50と、有効画素領域49において基板50上部に形成された反射防止膜58と、遮光膜57とを備える。
基板50は、シリコンからなる半導体基板で構成され、光入射側に、フォトダイオードからなる光電変換部51と、転送トランジスタTr1と、及び選択読み出し用トランジスタTr2を備える。
【0101】
光電変換部51は、基板50の光入射面側に所望の不純物をイオン注入することによって形成され、入射した光の光量に応じた信号電荷を生成する。
【0102】
転送トランジスタTr1は、基板50に形成された所望の不純物領域からなる電荷蓄積部52と、基板50上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜65を介して形成された転送ゲート電極56とで構成されている。電荷蓄積部52は、各画素42の光電変換部51に隣接して形成されており、所望の不純物をイオン注入することによって形成されている。転送トランジスタTr1では、光電変換部51で生成、蓄積された信号電荷が全画素同時に読み出され、電荷蓄積部52に蓄積される。
【0103】
選択読み出し用トランジスタTr2は、基板50に形成された所望の不純物領域からなるフローティングディフュージョン部53と、基板50上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜65を介して形成された読み出しゲート電極55とで構成されている。フローティングディフュージョン部53は、電荷蓄積部52に隣接して形成されており、所望の不純物をイオン注入することによって形成されている。選択読み出し用トランジスタTr2では、電荷蓄積部52に蓄積された信号電荷が、選択的にフローティングディフュージョン部53に読み出される。
【0104】
図27では、複数の画素トランジスタのうち、転送トランジスタTr1と、選択読み出し用トランジスタTr2とを示しているが、その他、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、選択トランジスタ等、通常の固体撮像装置と同様に形成されている。
【0105】
反射防止膜58は、有効画素領域49の光電変換部51上部にのみ選択的に形成されている。すなわち、OB画素領域48において、反射防止膜58は形成されていない。反射防止膜58の材料としては、第1の実施形態と同様の材料を用いることができる。
【0106】
遮光膜57は、転送ゲート電極56及び読み出しゲート電極55上部に酸化シリコン膜からなる絶縁膜54を介して形成されている。また、有効画素領域49では、遮光膜57は、光電変換部51を開口する開口部57aを備え、電荷蓄積部52及びフローティングディフュージョン部53を遮光する領域に形成されている。一方、OB画素領域48においては、光電変換部51、電荷蓄積部52、及びフローティングディフュージョン部53を遮光する領域に形成されている。
【0107】
その他、図示を省略するが、基板50上部には各画素トランジスタを駆動するための配線層、カラーフィルタ層、オンチップレンズが順に形成されており、オンチップレンズに集光された光が、各画素42の光電変換部51に入射する。
【0108】
有効画素領域49においては、基板50に入射した光は、光電変換部51において光電変換され、光量に応じた信号電荷が生成・蓄積される。また、OB画素領域48では、光電変換部51直上は遮光膜57によって遮光されているため、光は入射しない。そして、各画素42の光電変換部51で蓄積された信号電荷は、転送ゲート電極56がオンされることにより全画素同時に電荷蓄積部52に転送される。そして、電荷蓄積部52に転送された信号電荷は、読み出しゲート電極55がオンされることにより、画素42毎に選択的にフローティングディフュージョン部53に読み出される。フローティングディフュージョン部53に読み出された信号電荷は、増幅トランジスタによって増幅され、選択トランジスタによって選択的に図26に示した垂直信号線60に排出される。その後、通常のCMOS型固体撮像装置と同様にして画素信号が出力される。また、OB画素領域48では、光電変換部51が遮光されているため、黒レベルの画素信号が得られる。
【0109】
本実施形態例では、電荷蓄積部52に全画素の光電変換部51に蓄積された信号電荷が同時に転送されるので、全画素において、露光時間を同時とすることができ、露光蓄積時間差を生じることのないグローバルシャッター機能を実現することができる。
【0110】
このように、グローバルシャッター機能を有する固体撮像装置41では、電荷蓄積部52に電荷を蓄積している間に、電荷蓄積部52に光が入射してしまうと、電荷蓄積部52の電位が変動し正確な画素信号が得られないおそれがある。したがって、電荷蓄積部52への光の漏れ込みを防止するため、電荷蓄積部52のより近傍に遮光膜57が形成されることが好ましい。そして、このような場合では、図27に示すように、OB画素領域48において、基板50と、光電変換部51を遮光する遮光膜57との距離も近くする必要がある。このような場合、OB画素領域48では、図27に示すように、光電変換部51直上の遮光膜57に遮光されるため、遮光膜57と基板50表面との距離が近くなる。したがって、遮光膜57に電位がかけられる場合、その影響がOB画素領域48の光電変換部51に暗電流が発生するおそれがある。
【0111】
しかしながら、本実施形態例の固体撮像装置では、OB画素領域48において、遮光膜57と基板50との間に反射防止膜58が形成されておらず、遮光膜57と基板50との間には、シリコン酸化膜のみが形成される構成とされている。このため、遮光膜57からの影響により、基板50と遮光膜57との間の層に電荷がチャージされてしまうのを防ぐことができ、OB画素領域48における暗電流の発生を抑制することができる。
【0112】
本開示は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像装置への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像装置にも適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像装置(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
【0113】
さらに、本開示は、画素部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像装置に限られるものではない。画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像装置に対しても適用可能である。
なお、固体撮像装置はワンチップとして形成された形態であってもよいし、画素部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0114】
また、本開示は、固体撮像装置への適用に限られるものではなく、撮像装置にも適用可能である。ここで、撮像装置とは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等のカメラシステムや、携帯電話機などの撮像機能を有する電子機器のことを言う。なお、電子機器に搭載される上記モジュール状の形態、即ちカメラモジュールを撮像装置とする場合もある。
【0115】
〈5.第5の実施形態:電子機器〉
次に、本開示の第5の実施形態に係る電子機器について説明する。図28は、本開示の第5の実施形態に係る電子機器200の概略構成図である。
【0116】
本実施形態に係る電子機器200は、固体撮像装置203と、光学レンズ201と、シャッタ装置202と、駆動回路205と、信号処理回路204とを有する。本実施形態例の電子機器200は、固体撮像装置203として上述した本開示の第1の実施形態における固体撮像装置1を電子機器(カメラ)に用いた場合の実施形態を示す。
【0117】
光学レンズ201は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置203の撮像面上に結像させる。これにより固体撮像装置203内に一定期間当該信号電荷が蓄積される。
シャッタ装置202は、固体撮像装置203への光照射期間および遮光期間を制御する。
駆動回路205は、固体撮像装置203の転送動作およびシャッタ装置202のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路205から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置203の信号転送を行なう。信号処理回路204は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、あるいはモニタに出力される。
【0118】
本実施形態例の電子機器200では、固体撮像装置203においてOB画素領域における暗電流の抑制が図られるため、画質の向上が図られる。
【0119】
固体撮像装置1を適用できる電子機器200としては、カメラに限られるものではなく、デジタルスチルカメラ、さらには携帯電話機等のモバイル機器向けカメラモジュールなどの撮像装置に適用可能である。
【0120】
本実施形態例においては、固体撮像装置203として、第1の実施形態における固体撮像装置1を電子機器に用いる構成としたが、前述した第2〜第4の実施形態で製造した固体撮像装置を用いることもできる。
【符号の説明】
【0121】
1・・・固体撮像装置、2・・・画素、3・・・ギャップ部、4・・・撮像領域、5・・・垂直転送部、6・・・水平転送部、7・・・出力部、8・・・OB画素領域、9・・・有効画素領域、10・・・基板、11・・・光電変換部、12・・・転送チャネル部、13・・・チャネルストップ部、14・・・ゲート絶縁膜、15a・・・第1転送電極、15b・・・第2転送電極、16・・・コンタクト部、16a・・・コンタクトホール、17a・・・第1制御配線、17b・・・第2制御配線、18・・・コンタクト部、18a・・・コンタクトホール、19・・・遮光膜、19a・・・開口部、19b・・・分離部、20・・・反射防止膜、21・・・光導波路、22、22a、22b、22c・・・絶縁膜、23・・・溝部、24・・・配線層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域と、
前記撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、前記撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備え、
前記OB画素領域の光電変換部上部において、前記遮光膜と前記基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記遮光膜は前記読み出し電極に接続され、前記読み出し電極に所望の電位を供給する制御配線を兼ねる
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記有効画素領域に形成された前記光電変換部の直上のシリコン酸化膜層内においてのみ、反射防止膜が成膜されている
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記OB画素領域における遮光膜は、前記有効画素領域の光電変換部を囲む遮光膜よりも、基板から離れた位置に形成されている
請求項1〜3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記読み出し電極及び遮光膜は、W、Al、Ru、又はこれらを含む合金材料で構成されている
請求項1〜4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し電極及び遮光膜の下層には、金属材料で構成され、2層以上の積層構造とされたバリアメタル膜が形成されている
請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
有効画素領域及びOB画素領域からなる撮像領域に、受光する光の光量に応じた信号電荷を生成、蓄積する光電変換部を備える基板を準備する工程と、
前記基板上部に、ゲート絶縁膜を介して、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を形成する工程と、
前記読み出し電極部上部に、シリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成する工程と、
前記OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で、前記絶縁膜上部に、有効画素領域における光電変換部を開口し、OB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜を形成する工程と
を含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
前記遮光膜を形成する工程の前に、前記有効画素領域の光電変換部上部に反射防止膜を形成する工程を有する
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記遮光膜は、前記読み出し電極と電気的に接続して形成する
請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁膜を形成した後、前記有効画素領域及び前記OB画素領域の光電変換部上の絶縁膜に所望の深さの溝部を形成し、
前記遮光膜は、前記溝部の形状に沿って前記絶縁膜上に形成する
請求項7〜9に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁膜を形成した後、前記有効画素領域の光電変換部上部における絶縁膜にのみ、所望の深さの溝部を形成し、
前記遮光膜は、前記溝部の形状に沿って前記絶縁膜上に形成する
請求項7〜9に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
光学レンズと、
基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域と、前記撮像領域の有効画素領域における光電変換部を開口し、前記撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備え、前記OB画素領域において、前記遮光膜と前記基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている固体撮像装置であって、前記光学レンズに集光された光が入射される固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
を含む電子機器。
【請求項1】
基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域と、
前記撮像領域の有効画素領域における光電変換部上部に開口部を有し、前記撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備え、
前記OB画素領域の光電変換部上部において、前記遮光膜と前記基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている
固体撮像装置。
【請求項2】
前記遮光膜は前記読み出し電極に接続され、前記読み出し電極に所望の電位を供給する制御配線を兼ねる
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記有効画素領域に形成された前記光電変換部の直上のシリコン酸化膜層内においてのみ、反射防止膜が成膜されている
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記OB画素領域における遮光膜は、前記有効画素領域の光電変換部を囲む遮光膜よりも、基板から離れた位置に形成されている
請求項1〜3のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記読み出し電極及び遮光膜は、W、Al、Ru、又はこれらを含む合金材料で構成されている
請求項1〜4のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記読み出し電極及び遮光膜の下層には、金属材料で構成され、2層以上の積層構造とされたバリアメタル膜が形成されている
請求項1〜5のいずれかに記載の固体撮像装置。
【請求項7】
有効画素領域及びOB画素領域からなる撮像領域に、受光する光の光量に応じた信号電荷を生成、蓄積する光電変換部を備える基板を準備する工程と、
前記基板上部に、ゲート絶縁膜を介して、前記光電変換部に蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を形成する工程と、
前記読み出し電極部上部に、シリコン酸化膜からなる絶縁膜を形成する工程と、
前記OB画素領域における光電変換部上部にシリコン酸化膜からなる絶縁膜のみが形成されている状態で、前記絶縁膜上部に、有効画素領域における光電変換部を開口し、OB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜を形成する工程と
を含む固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
前記遮光膜を形成する工程の前に、前記有効画素領域の光電変換部上部に反射防止膜を形成する工程を有する
請求項7に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項9】
前記遮光膜は、前記読み出し電極と電気的に接続して形成する
請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項10】
前記絶縁膜を形成した後、前記有効画素領域及び前記OB画素領域の光電変換部上の絶縁膜に所望の深さの溝部を形成し、
前記遮光膜は、前記溝部の形状に沿って前記絶縁膜上に形成する
請求項7〜9に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項11】
前記絶縁膜を形成した後、前記有効画素領域の光電変換部上部における絶縁膜にのみ、所望の深さの溝部を形成し、
前記遮光膜は、前記溝部の形状に沿って前記絶縁膜上に形成する
請求項7〜9に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
光学レンズと、
基板に形成されたフォトダイオードからなる光電変換部と、光電変換部で生成、蓄積された信号電荷を読み出すための読み出し電極を備えた画素が複数形成された撮像領域と、前記撮像領域の有効画素領域における光電変換部を開口し、前記撮像領域のOB画素領域における光電変換部を遮光する遮光膜とを備え、前記OB画素領域において、前記遮光膜と前記基板との間に成膜される膜は、シリコン酸化膜のみで構成されている固体撮像装置であって、前記光学レンズに集光された光が入射される固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される出力信号を処理する信号処理回路と、
を含む電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−156334(P2012−156334A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14520(P2011−14520)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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