説明

固体撮像装置およびその製造方法、および撮像装置

【課題】SOI基板を用いず、通常の半導体基板に、受光感度の低下を抑制した固体撮像装置を作製することで、コストの低減を可能とする。
【解決手段】入射光量を電気信号に変換する光電変換部22を有する複数の画素部21と、前記画素部21が形成された半導体基板11の一面側に配線層23を備え、前記配線層23が形成されている面とは反対側より入射される光を前記光電変換部22で受光する固体撮像装置1であって、前記画素部21の周囲の一部に、前記半導体基板11の1面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層31が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置およびその製造方法、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の固体撮像装置は、図16に示すように、光電変換部(例えば、フォトダイオード)222よりも上層に信号処理部229および配線層223が形成され、さらにカラーフィルター227、集光レンズ228が形成されていて、集光レンズ228で集光した光を配線層223側から光電変換部222に入射させる表面照射型固体撮像装置201が一般的である。しかし、微細化が進むにつれ配線ピッチも狭くなり多層化が進むため、集光レンズ228と光電変換部222との距離も広がり、斜め入射した光が光電変換部222に届きにくくなっている。このため、シェーディングなどの受光特性を劣化させる現象も発生する。
【0003】
受光特性の劣化を改善する構造として、図17に示すような、裏面照射型固体撮像装置101が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。裏面照射型固体撮像装置101では、光電変換部122上にカラーフィルター127、集光レンズ128が配線位置されているため、斜め光への実効開口率100%を達成でき、感度を大幅に高めることができるとともに、シェーディングの発生を抑えることができる。
【0004】
裏面照射型固体撮像装置の作製には、SOI(Silicon on insulator)基板を用いる。SOI基板を用いた場合の製造工程を図18〜図19の製造工程断面図によって説明する。
【0005】
図18(1)に示すように、シリコン基板132上に絶縁層(BOX層)133を介してシリコン層134が形成されたSOI基板131の上記シリコン層134に光電変換部122を形成するとともに信号処理部(図示せず)を形成する。次いでシリコン層134上に配線層123を形成する。次に、図18(2)に示すように、上記配線層123上に酸化シリコン膜124を形成し、その表面を平坦化加工する。例えば、化学的機械研磨による鏡面加工を施す。そして、表面が平坦な酸化シリコン膜152が形成された支持基板151を用意する。この酸化シリコン膜152は、例えばTEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を成膜原料に用いた化学的気相成長法により形成する。次に、図18(3)に示すように、酸化シリコン膜124、152の平坦化された面同士を張り合わせる。次に、図18(4)に示すように、SOI基板131のシリコン基板132〔前記図18(1)参照〕を研磨して除去する。さらに、図19(5)に示すように、SOI基板131の絶縁層133〔前記図18(1)参照〕を除去する。その後、図19(6)に示すように、シリコン層134上に絶縁膜126を形成した後、カラーフィルター層127、集光レンズ128を形成する。
【0006】
SOI基板に配線層を形成した後、支持基板を貼り合せ、裏面より基板を薄膜化して固体撮像装置を作製している。SOI基板を用いている理由は、裏面研削の終点検知に絶縁層133(BOX層)を用いているためである。シリコン基板では、裏面研削において異種膜が存在しないため、狙い通りのシリコン層の厚さで裏面研削を終了することが困難である。SOI基板では絶縁層133(BOX層)で裏面研削を止め、絶縁層133の除去はウエットエッチングにより行うことでシリコンとの高選択エッチングを行っている。これによって、デバイス形成層であるシリコン層134をウエハメーカーより納品される精度で作ることが可能である。
【0007】
しかし、上記方法ではSOI基板を用いているため、基板コストがシリコン基板に対して4倍以上掛かる。固体撮像装置は低コストで作る必要があり、基板コストを低減する必要がある。
【0008】
一方、SOI基板を用いずに形成された、いわゆる裏面照射型の固体撮像素子が開示されている。この固体撮像素子では、半導体基板よりも硬度が大きい終端検出部を画素の素子分離領域と兼ねて設けている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この技術では、終端検出部によって化学的機械研磨の終端を検出する必要があるため、幅を狭く形成することができない。そのため、終端検出部を兼ねている各画素の素子分離領域の幅を大きくする必要が生じるため、限られたセル面積では画素領域の面積を維持することが困難であった。このため、画素領域の面積の縮小化による受光感度の低下が懸念される。
【0009】
【特許文献1】特開2003−31785号公報
【特許文献2】特開2006−314340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、SOI基板を用いる必要があるため、基板コストがかかる点である。
【0011】
本発明は、SOI基板の代わりにシリコン基板を用いることで基板コストを低減しつつ、デバイス形成層の精度を維持し、かつ受光感度の低下を抑制した裏面照射型の固体撮像装置を成すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る本発明は、入射光量を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素部と、前記画素部が形成された半導体基板の一面側に配線層を備え、前記配線層が形成されている面とは反対側より入射される光を前記光電変換部で受光する固体撮像装置であって、前記各画素部の周囲の一部、または前記複数の画素部からなる画素群の周囲もしくはその一部に、前記半導体基板の1面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層が形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る本発明では、各画素部の周囲の一部に、半導体基板の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層が形成されているので、この除去加工停止層によって半導体基板を薄膜化する際の除去加工が停止されるため、画素もしくは画素群を除去することなく、高精度に半導体基板の除去加工が可能になる。これにより、画素部が形成された半導体基板において配線層が形成された面とは反対側の面より入射される光を電変換部で受光する、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置であっても、従来のようにSOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板で形成することが可能になる。また、各画素部の周囲の一部、または複数の画素部からなる画素群の周囲もしくはその一部に除去加工停止層が形成されているので、受光感度の低下が抑制される。
【0014】
請求項7に係る本発明は、半導体基板に入射光量を電気信号に変換する光電変換部とともに該光電変換部から出力された電気信号を処理する信号処理部を形成して複数の画素部を形成した後、該半導体基板上に配線層を形成する工程と、前記複数の画素部が形成された側とは反対側の前記半導体基板を薄く加工する工程とを備え、前記半導体基板を薄く加工する工程の前に、前記画素部の周囲の一部に、前記半導体基板の除去加工が停止される除去加工停止層を形成することを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る本発明では、各画素部の周囲の一部に、半導体基板の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層を形成するので、半導体基板を薄膜化する際の除去加工はこの除去加工停止層によって停止される。このため、画素部を除去することがなく、高精度に半導体基板を薄膜化する除去加工が可能になる。これにより、画素部が形成された半導体基板において配線層が形成された面とは反対側の面より入射される光を電変換部で受光する、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置であっても、従来のようにSOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板で形成することが可能になる。また、各画素部の周囲の一部、または複数の画素部からなる画素群の周囲もしくはその一部に除去加工停止層が形成されているので、受光感度の低下が抑制される。
【0016】
請求項8に係る本発明は、入射光を集光する集光光学部と、前記集光光学部で集光した光を受光して光電変換する固体撮像装置と、光電変換された信号を処理する信号処理部とを備え、前記固体撮像装置は、入射光量を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素部と、前記画素部が形成された半導体基板の一面側に配線層を備え、前記配線層が形成されている面とは反対側より入射される光を前記光電変換部で受光する固体撮像装置であって、前記画素部の周囲の一部に、前記半導体基板の1面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る本発明では、本願発明の固体撮像装置を用いることから、上記説明したのと同様に、SOI基板を用いず、通常の半導体基板で形成されるので、チップコストが低減される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置であっても、SOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板で形成されるため、基板コストを低減しつつ、画素部等が形成されるデバイス形成層の精度を維持することができるという利点がある。
【0019】
請求項7に係る本発明によれば、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置であっても、SOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板で形成するため、基板コストを低減しつつ、画素部等が形成されるデバイス形成層の精度を維持することができるという利点がある。
【0020】
請求項8に係る本発明によれば、本願発明の固体撮像装置を用いることから、上記説明したのと同様に、固体撮像装置がSOI基板を用いず、通常の半導体基板で形成されるので、チップコストが低減され安価な撮像装置を提供できる。また、画素部の周囲の一部に除去加工停止層を設けたので、除去加工停止層によるチップ面積の増大を押さえることができ、また画素面積の低下を抑えることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
請求項1の発明に係る固体撮像装置の一実施の形態(第1実施例)を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0022】
図1に示すように、半導体基板11で形成される活性層12には、入射光を電気信号に変換する光電変換部(例えばフォトダイオード)22、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ等のトランジスタ群(図示せず)等を有する複数の画素部21が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用いる。さらに、各光電変換部22から読み出した信号電荷を処理する信号処理部(図示せず)が形成されている。
【0023】
上記画素部21の周囲の一部、例えば行方向もしくは列方向の画素部21間には、上記半導体基板11の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層31が形成されている。例えば、上記画素部21間として、チャネルストップ層(図示せず)の部分に形成することができる。この除去加工停止層31は、少なくとも、画素部21の厚さと画素部21上に残された半導体基板11の厚さとを合わせた厚さ、もしくは上記画素部21が形成される活性層12(半導体基板11)の厚さに形成されている。
【0024】
上記除去加工停止層31は、例えば、画素部21間のチャネルストップ層(図示せず)の部分に溝を形成し、その溝内を絶縁膜で埋め込むことで形成されている。
【0025】
また、上記光電変換部22が形成された半導体基板11の表面側(図面では半導体基板11の下側)には配線層23が形成されている。この配線層23は、配線24とこの配線24を被覆する絶縁膜25からなる。上記配線層23には、支持基板61が形成されている。この支持基板61は、例えばシリコン基板からなる。
【0026】
さらに、上記固体撮像装置1には、半導体基板11裏面側に光透過性を有する平坦化膜26が形成されている。さらにこの平坦化膜26には、カラーフィルター層27が形成されている。このカラーフィルター層27は、上記光電変換部22に対応させて形成され、例えば赤色(R)カラーフィルター、緑色(G)カラーフィルター、青色(B)カラーフィルターの3色のカラーフィルターからなる。また、各カラーフィルター層27上には、各光電変換部22に入射光を集光させる集光レンズ28が形成されている。
【0027】
また、上記固体撮像装置1間には、各固体撮像装置1を切り出す際に用いる領域となるスクライブ領域13が形成されている。
【0028】
上記固体撮像装置1では、シリコン基板(図示せず)に画素部21を形成し、さらにシリコン基板上に配線層23を形成した後、シリコン基板の画素部21が形成されている側とは反対側を除去加工によって除去した際に、上記除去加工停止層31がその除去加工を停止する機能を果たす。このため、画素部21が形成されるシリコン基板からなる活性層12が残されるようになる。したがって、上記構成の裏面照射型と言われる固体撮像装置1をシリコン基板で形成することが可能となる構造を提供することができる。
【0029】
よって、いわゆる裏面照射型の上記固体撮像装置1であっても、SOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板11で形成されるため、基板コストを低減しつつ、画素部21等が形成されるデバイス形成層(薄膜化後の半導体基板11)の精度を維持することができるという利点がある。
【0030】
また、上記固体撮像装置1では、除去加工停止層31を画素部21の一部、例えば複数の画素部21が配列されている行方向もしくは列方向のチャネルストップ層に形成したが、次に、第2実施例として、例えば、上記除去加工停止層31を、複数の画素部からなる画素群の周囲もしくはその一部に形成する固体撮像装置2を説明する。
【0031】
図示はしないが、例えば、9画素分(例えば3画素×3画素)を一つの画素群として、その画素群の周囲の、例えばチャネルストップ層に設けることができる。もしくはその画素群の行方向もしくは列方向のチャネルストップ層に設けることができる。上記構成でも、第1実施例と同様なる効果が得られる。なお、画素群の画素数は、上記構成に限定されることはなく、画素部の大きさ、半導体基板の除去加工特性等によって、適宜、設定される。
【0032】
次に、本発明の固体撮像装置の一実施の形態(第3実施例)を、図2の概略構成断面図によって説明する。
【0033】
図2に示すように、半導体基板11で形成される活性層12には、入射光を電気信号に変換する光電変換部(例えばフォトダイオード)22、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ等のトランジスタ群(図示せず)等を有する複数の画素部21が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用いる。さらに、各光電変換部22から読み出した信号電荷を処理する信号処理部(図示せず)が形成されている。
【0034】
上記固体撮像装置3の周囲、すなわち各固体撮像装置3を切り出す際に用いる領域となるスクライブ領域13には、上記半導体基板11の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層32が形成されている。この除去加工停止層31は、少なくとも、画素部21の厚さと画素部21上に残された半導体基板11の厚さとを合わせた厚さ、もしくは上記画素部21が形成される活性層12(半導体基板11)の厚さに形成されている。
【0035】
また、上記光電変換部22が形成された半導体基板11の表面側(図面では半導体基板11の下側)には配線層23が形成されている。この配線層23は、配線24とこの配線24を被覆する絶縁膜25からなる。上記配線層23には、支持基板61が形成されている。この支持基板61は、例えばシリコン基板からなる。
【0036】
さらに、上記固体撮像装置3には、第1領域12の半導体基板11裏面側に光透過性を有する平坦化膜26が形成されている。さらにこの平坦化膜26には、カラーフィルター層27が形成されている。このカラーフィルター層27は、上記光電変換部22に対応させて形成され、例えば赤色(R)カラーフィルター、緑色(G)カラーフィルター、青色(B)カラーフィルターの3色のカラーフィルターからなる。また、各カラーフィルター層27上には、各光電変換部22に入射光を集光させる集光レンズ28が形成されている。
【0037】
上記固体撮像装置3では、シリコン基板(図示せず)に画素部21を形成し、さらにシリコン基板上に配線層23を形成した後、シリコン基板の画素部21が形成されている側とは反対側を除去加工によって除去した際に、上記除去加工停止層32がその除去加工を停止する機能を果たす。このため、画素部21が形成されるシリコン基板からなる活性層12が残されるようになる。したがって、上記構成の裏面照射型と言われる固体撮像装置2をシリコン基板で形成することが可能になる構造を提供することができる。
【0038】
よって、いわゆる裏面照射型の上記固体撮像装置3であっても、SOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板11で形成されるため、基板コストを低減しつつ、画素部21等が形成されるデバイス形成層(薄膜化後の半導体基板11)の精度を維持することができるという利点がある。
【0039】
次に、本発明の固体撮像装置の一実施の形態(第4実施例)を、図3の概略構成断面図によって説明する。
【0040】
図3に示すように、半導体基板11で形成される活性層12には、入射光を電気信号に変換する光電変換部(例えばフォトダイオード)22、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ等のトランジスタ群(図示せず)等を有する複数の画素部21が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用いる。さらに、各光電変換部22から読み出した信号電荷を処理する信号処理部(図示せず)が形成されている。
【0041】
上記画素部21の周囲、例えば画素部21間には、上記半導体基板11の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層31が形成されている。例えば、上記画素部21間として、チャネルストップ層(図示せず)の部分に形成することができる。さらに、上記固体撮像装置1の周囲、すなわち各固体撮像装置1を切り出す際に用いる領域となるスクライブ領域13に、上記半導体基板11の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層32が形成されている。この除去加工停止層31は、少なくとも、画素部21の厚さと画素部21上に残された半導体基板11の厚さとを合わせた厚さ、もしくは上記画素部21が形成される活性層12(半導体基板11)の厚さに形成されている。
【0042】
また、上記光電変換部22が形成された半導体基板11の表面側(図面では半導体基板11の下側)には配線層23が形成されている。この配線層23は、配線24とこの配線24を被覆する絶縁膜25からなる。上記配線層23には、支持基板61が形成されている。この支持基板61は、例えばシリコン基板からなる。
【0043】
さらに、上記固体撮像装置4には、第1領域12の半導体基板11裏面側に光透過性を有する平坦化膜26が形成されている。さらにこの平坦化膜26には、カラーフィルター層27が形成されている。このカラーフィルター層27は、上記光電変換部22に対応させて形成され、例えば赤色(R)カラーフィルター、緑色(G)カラーフィルター、青色(B)カラーフィルターの3色のカラーフィルターからなる。また、各カラーフィルター層27上には、各光電変換部22に入射光を集光させる集光レンズ28が形成されている。
【0044】
上記固体撮像装置4では、シリコン基板(図示せず)に画素部21を形成し、さらにシリコン基板上に配線層23を形成した後、シリコン基板の画素部21が形成されている側とは反対側を除去加工によって除去した際に、上記除去加工停止層31、32がその除去加工を停止する機能を果たす。このため、画素部21が形成されるシリコン基板からなる活性層12が残されるようになる。したがって、上記構成の裏面照射型と言われる固体撮像装置3をシリコン基板で形成することが可能になる構造を提供することができる。
【0045】
よって、いわゆる裏面照射型の上記固体撮像装置4であっても、SOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板11で形成されるため、基板コストを低減しつつ、画素部21等が形成されるデバイス形成層(薄膜化後の半導体基板11)の精度を維持することができるという利点がある。
【0046】
ここで、図4の画素部21の配列を示した平面レイアウト図によって、画素部21間に設ける除去加工停止層31の形成位置の詳細を説明する。
【0047】
図4に示すように、画素部21は、光電変換部22、転送ゲートTg、増幅トランジスタ、リセットトランジスタ等のトランジスタ群Trが形成されている。そして、画素部21間には、素子分離領域として、通常、チャネルストップ領域が形成されている。本発明の固体撮像装置1、3では、このチャネルストップ領域に上記除去加工停止層31を形成している。この除去加工停止層31は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造の酸化シリコンで形成されている。
【0048】
次に、上記第1、第2、第4実施例の変形例を、図5(1)の概略構成断面図および図5(2)の拡大図によって説明する。図5では、前記第4実施例の固体撮像装置4を基にした変形例を示す。
【0049】
図5に示すように、除去加工停止層33は、2層構造となっている。すなわち、除去加工停止層33が形成される溝34の内面に絶縁膜35が形成され、その内部をポリシリコン層36で埋め込み、さらに、絶縁膜37で上記ポリシリコン層36を封止した構造となっている。その他の構成は、前記第4実施例と同様である。このような除去加工停止層33は上記第1実施例の固体撮像装置1や第2実施例の固体撮像装置の除去加工停止層31にも適用できる。
【0050】
次に、上記第4実施例の変形例を、図6(1)の概略構成断面図および図6(2)の平面レイアウト図によって説明する。図6では、前記第4実施例の固体撮像装置4を基にした変形例を示す。
【0051】
図6に示すように、スクライブライン13に形成される除去加工停止層38は、2層構造となっている。すなわち、除去加工停止層38が形成される溝39の内面に窒化膜40が形成され、その内部を酸化シリコン膜41で埋め込んだ構造となっている。したがって、シリコン基板の除去加工面に窒化膜40の底面が露出するようになっている。その他の構成は、前記第4実施例と同様である。このような除去加工停止層38は上記第3実施例の固体撮像装置3の除去加工停止層32にも適用できる。なお、平面レイアウト図においては固体撮像装置4内の除去加工停止層31の図示は省略した。
【0052】
上記変形例では、半導体基板11の一面側を除去した際に、除去加工停止層38の窒化膜40で形成されていることから、例えば除去加工の最終段の加工を化学的機械研磨(CMP)で行っても、エッチングで行っても、選択性よく、加工の終点を検出して、加工を停止させることが可能になる。また、上記構成では、内面に窒化膜40を形成し、内部の埋め込みを酸化シリコン膜41で行ったが、例えば内面を酸化膜で形成し、埋め込みをノンドープトポリシリコンで行うことも可能である。この場合、酸化シリコンよりもさらに埋め込み性を向上させることができる。
【0053】
次に、請求項7の発明に係る固体撮像装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を、図7〜図14の製造工程断面図によって説明する。
【0054】
図7(1)に示すように、半導体基板11に絶縁膜51を形成する。上記半導体基板11には、通常のシリコン半導体基板を用いる。また上記絶縁膜51は、例えば、半導体基板11の表面酸化によって形成する。
【0055】
図7(2)に示すように、上記絶縁膜51上に、ハードマスク層52を形成する。このハードマスク層52は、例えば窒化シリコン膜で形成される。さらにハードマスク層52上にレジスト膜53を形成する。
【0056】
次に、図8(3)に示すように、通常のリソグラフィー技術によって、上記レジスト膜53を、除去加工停止層を形成する溝パターンが形成されたレジストマスク54に加工する。
【0057】
次に、図8(4)に示すように、レジストマスク54をエッチングマスクに用いて、上記ハードマスク52を加工し、溝パターン55を形成する。その後、上記レジストマスク54を除去する。
【0058】
次に、図9(5)に示すように、上記溝パターン55が形成されたハードマスク52をエッチングマスクに用いて、上記絶縁膜51、半導体基板11を除去加工し、溝56を形成する。上記溝56は、少なくとも、後に形成される画素部21の厚さと画素部21上に残される半導体基板11の厚さとを合わせた厚さ、もしくは画素部21が形成される活性層12(半導体基板11)の厚さに形成される。この後、上記レジストマスク52を除去してもよい。
【0059】
次に、図9(6)に示すように、上記溝56が埋め込まれるように、上記ハードマスク52上に絶縁膜57を形成する。
【0060】
次に、図10(7)に示すように、上記ハードマスク52上の余剰な絶縁膜57を除去する。この除去加工では、例えば化学的機械研磨(CMP)を採用することができる。この結果、溝56内部に絶縁膜57が残され、この残された絶縁膜57で除去加工停止層31が形成される。
【0061】
さらに、ウエットエッチングによって、上記ハードマスク52を除去する。このハードマスク52は窒化膜で形成され、除去加工停止層31、絶縁膜51が酸化シリコン膜で形成されていることから、熱リン酸によるウエットエッチングで、上記ハードマスク52を除去することができる。さらにふっ酸によるウエットエッチングにより上記絶縁膜52を除去し、半導体基板11表面が露出される。この結果、図10(8)に示すように、半導体基板11にSTI(Shallow Trench Isolation)構造の除去加工停止層31が形成される。このとき、除去加工停止層31は、半導体基板11表面と同一面上もしくは半導体基板11表面より突出した状態に形成されている。
【0062】
次に、図11(9)に示すように、通常の画素部を形成する製造方法によって、光電変換部22を含む画素部21形成する。その際、光電変換部22は、除去加工停止層31よりも浅く形成される。また図示はしないが、ホール蓄積層、オーバフローバリア層、垂直電荷転送部、読み込み領域等も形成する。さらに、図示はしないが、転送ゲート、増幅ゲート、リセットゲート等も形成する。
【0063】
次に、図11(10)に示すように、上記半導体基板11上(表面側)に、配線層23を形成する。この配線層23は、配線24とこの配線24を被覆する絶縁膜25からなる。
【0064】
次に、図12(11)に示すように、上記配線層23上に、支持基板61を貼り合わせる。この支持基板61には、例えばシリコン基板を用いる。
【0065】
次に、図13(12)に示すように、上記支持基板61を貼り付けた半導体基板11を反転させ、半導体基板11を上面(研磨面)側にする。
【0066】
次に、図14(13)に示すように、上記半導体基板11を上記除去加工停止層31が露出するまで、研削、研磨によって除去加工を施す。最終的には、化学的機械研磨によって、半導体基板11表面を平滑かつ平坦に加工する。なお、最終段の加工をエッチングによって行うことも可能である。この除去加工では、半導体基板11を除去加工していくと、最初に除去加工停止層31が現れる。これによって、シリコンと酸化シリコンとが混在する面が現れることになり、裏面研削の終点検知を行うことが可能になる。このとき、除去加工停止層31が光電変換部22よりも高く形成されていることで、光電変換部22まで除去加工が及ぶことが防止されている。以下、上記半導体基板11の図面上、上面側を裏面側という。
【0067】
次に、図14(14)に示すように、半導体基板11の裏面側に光透過性を有する平坦化膜26を形成する。さらにこの平坦化膜26上に、カラーフィルター層27を形成する。このカラーフィルター層27は、上記光電変換部22に対応させて形成され、例えば、赤色(R)カラーフィルター、緑色(G)カラーフィルター、青色(B)カラーフィルターの3色のカラーフィルターからなる。上記カラーフィルター層27は上記光の3原色に限らず、捕色を用いることもできる。また、各カラーフィルター層27上には、各光電変換部22に入射光を集光させる集光レンズ28を形成する。
【0068】
このようにして、固体撮像装置1が形成される。また、上記第3実施例、第4実施例の固体撮像装置3、4のように、スクライブライン13に除去加工停止層31を形成する場合は、上記溝46を形成する工程で、スクライブラインに除去加工停止層31を形成するための溝を形成すればよい。その後の工程は、上記説明したのと同様となる。
【0069】
上記製造方法で形成された固体撮像装置では、各画素部21の周囲の一部に、半導体基板11の一面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層31を形成するので、半導体基板11を薄膜化する際の除去加工はこの除去加工停止層31によって停止される。このため、画素部21を除去することがなく、高精度に半導体基板11を薄膜化する除去加工が可能になる。これにより、画素部21が形成された半導体基板11において配線層23が形成された面とは反対側の面より入射される光を光電変換部22で受光する、いわゆる裏面照射型の固体撮像装置1であっても、従来のようにSOI基板を用いることなく、一般的な半導体基板11で形成することが可能になる。また、各画素部21の周囲の一部、例えば画素部の列配列方向もしくは行配列方向に除去加工停止層31が形成されているので、受光感度の低下が抑制される。
【0070】
上記実施例において、スクライブライン13に除去加工停止層31が形成される構成では、スクライブライン13の一部に半導体基板11を残した状態に形成し、その残された半導体基板11にアライメントマーク、検査パターン等を形成することができる。
【0071】
また、上記所加工停止層31の形成方法は、上記説明したように、半導体基板11に溝46を形成し、その溝46の内部に絶縁膜として例えば酸化シリコンを埋め込むことで形成する。もしくは、溝46内面を酸化して酸化膜を形成した後、酸化膜が形成された溝46内部を埋め込むように、例えばノンドープトポリシリコンを埋め込み、その後、埋め込んだポリシリコン表面を酸化して、ポリシリコンを酸化膜で包む構成としてもよい。またスクライブライン13に除去加工停止層31を形成する場合、スクライブライン13のアライメントマークや検査パターンの形成位置を除いて溝を形成し、その溝の内面に酸化膜もしくは窒化膜を形成する。その後、溝内を酸化膜で埋め込むことで、除去加工停止層を形成してもよい。この埋め込む材料は、酸化膜に限定されず、ポリシリコン等のシリコン系材料であってもよい。また、アライメントマークは、上記加工停止層31に形成することも可能である。
【0072】
また、上記除去加工停止層間絶縁膜は、半導体基板11を研削(裏面研削)する際の裏面研削終点検知層として用いることも可能である。また、上記除去加工停止層間絶縁膜とは別に、半導体基板11を研削(裏面研削)する際の裏面研削終点検知層を形成してもよい。
【0073】
次に、請求項8の発明に係る撮像装置に係る一実施の形態(実施例)を、図15のブロック図によって説明する。
【0074】
図15に示すように、撮像装置100は、撮像部101に固体撮像装置(図示せず)を備えている。この撮像部101の集光側には像を結像させる結像光学系102が備えられ、また、撮像部101には、それを駆動する駆動回路、固体撮像装置で光電変換された信号を画像に処理する信号処理回路等を有する信号処理部103が接続されている。また上記信号処理部によって処理された画像信号は画像記憶部(図示せず)によって記憶させることができる。このような撮像装置100において、上記固体撮像素子には、前記実施の形態で説明した固体撮像装置1ないし固体撮像装置4を用いることができる。
【0075】
本発明の撮像装置100では、本願発明の固体撮像装置1ないし固体撮像装置4を用いることから、固体撮像装置1〜4に上記説明したのと同様な効果を得ることができ、固体撮像装置のコストが低減されるので、安価な撮像装置を提供することができる。また、画素部の周囲の一部に除去加工停止層を設けたので、除去加工停止層によるチップ面積の増大を押さえることができ、また画素面積の低下を抑えることができるので、SOI基板を用いないことによる受光感度の低下が抑制できるという利点がある。
【0076】
なお、本発明の撮像装置100は、上記構成に限定されることはなく、固体撮像装置を用いる撮像装置であれば如何なる構成のものにも適用することができる。
【0077】
上記固体撮像装置1〜4はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。また、本発明は、固体撮像装置のみではなく、撮像装置にも適用可能である。この場合、撮像装置として、高画質化の効果が得られる。ここで、撮像装置は、例えば、カメラや撮像機能を有する携帯機器のことを示す。また「撮像」は、通常のカメラ撮影時における像の撮りこみだけではなく、広義の意味として、指紋検出なども含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】請求項1に係る固体撮像装置の一実施の形態(第1実施例)を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の固体撮像装置の一実施の形態(第3実施例)を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の固体撮像装置の一実施の形態(第4実施例)を示した概略構成断面図である。
【図4】画素部の配列の一例を示した平面レイアウト図である。
【図5】第1、第2、第4実施例の変形例を示した概略構成断面図である。
【図6】第4実施例の変形例を示した概略構成断面図および平面レイアウト図である。
【図7】請求項7の発明に係る固体撮像装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図8】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図9】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図10】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図11】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図12】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図13】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図14】固体撮像装置の製造方法の第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図15】本発明の撮像装置を示したブロック図である。
【図16】従来の表面照射型固体撮像装置を示した概略構成斜視断面図である。
【図17】従来の裏面照射型固体撮像装置を示した概略構成斜視断面図である。
【図18】SOI基板を用いた従来の裏面照射型固体撮像装置の製造方法を示した製造工程断面図である。
【図19】SOI基板を用いた従来の裏面照射型固体撮像装置の製造方法を示した製造工程断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1…固体撮像装置、21…画素部、22…光電変換部、23…配線層、31…除去加工停止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光量を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素部と、前記画素部が形成された半導体基板の一面側に配線層を備え、前記配線層が形成されている面とは反対側より入射される光を前記光電変換部で受光する固体撮像装置であって、
前記画素部の周囲の一部に、前記半導体基板の1面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層が形成されている
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素部の周囲の一部は、前記複数の画素部からなる画素群の周囲もしくはその一部である
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記複数の画素部からなる画素群の周囲にスクライブラインが形成され、
前記スクライブラインに前記除去加工停止層が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素部の周囲の一部は前記複数の画素部からなる画素群の周囲であり、
前記画素群の周囲にスクライブラインが形成され、
前記除去加工停止層が前記スクライブラインのみに形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記除去加工停止層は、少なくとも、前記画素部の厚さと前記画素部上に残された前記半導体基板の厚さとを合わせた厚さ、もしくは前記画素部が形成されている活性層の厚さに形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記除去加工停止層は前駆体半導体基板に形成された溝に絶縁膜が埋め込まれてなる
ことを特徴とする請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項7】
半導体基板に入射光量を電気信号に変換する光電変換部とともに該光電変換部から出力された電気信号を処理する信号処理部を形成して複数の画素部を形成した後、該半導体基板上に配線層を形成する工程と、
前記複数の画素部が形成された側とは反対側の前記半導体基板を薄く加工する工程とを備え、
前記半導体基板を薄く加工する工程の前に、前記画素部の周囲の一部に、前記半導体基板の除去加工が停止される除去加工停止層を形成する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項8】
入射光を集光する集光光学部と、
前記集光光学部で集光した光を受光して光電変換する固体撮像装置と、
光電変換された信号を処理する信号処理部とを備え、
前記固体撮像装置は、
入射光量を電気信号に変換する光電変換部を有する複数の画素部と、前記画素部が形成された半導体基板の一面側に配線層を備え、前記配線層が形成されている面とは反対側より入射される光を前記光電変換部で受光する固体撮像装置であって、
前記画素部の周囲の一部に、前記半導体基板の1面側を除去する際にその除去加工が停止される除去加工停止層が形成されている
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−182142(P2008−182142A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15962(P2007−15962)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】