説明

固体撮像装置およびその駆動制御方法、並びに電子機器

【課題】大光量時に発生する余剰電荷を確実に排出することができるようにする。
【解決手段】複数の受光部は、水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する。垂直転送レジスタは、垂直列の受光部に対応して配置され、垂直方向に電荷を転送する。水平転送レジスタは、垂直転送レジスタから転送された電荷を水平方向に転送する。余剰電荷除去部は、垂直転送レジスタと水平転送レジスタの間に、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路として配置される。本技術は、例えば、固体撮像装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像装置およびその駆動制御方法、並びに電子機器に関し、特に、大光量時に発生する余剰電荷を確実に排出することができるようにする固体撮像装置およびその駆動制御方法、並びに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、あるいはカメラ付き携帯電話機などの電子機器に用いられる固体撮像装置として、CCD固体撮像装置が知られている。一般的なCCD固体撮像装置は、光電変換を行う複数の受光部が2次元的に配列され、各受光部列に対応してCCD構造の垂直転送レジスタが配列される。また、CCD構造の水平転送レジスタが、各垂直転送レジスタの終段と接続される形で配置されて構成される。画素となる受光部はフォトダイオードで形成される。水平転送レジスタの終段には電荷電圧変換部を介して画素信号を出力する出力部が接続される。
【0003】
CCD固体撮像装置では、受光蓄積期間において、受光部に入射された光が光電変換され、入射光量に応じた信号電荷が蓄積される。読み出し時には、受光部の信号電荷が垂直転送レジスタに読み出される。読み出された信号電荷は、水平ブランキング期間の一部にて1水平ライン毎に垂直転送レジスタ内を転送され、水平転送レジスタまで転送される。そして、水平転送レジスタに転送された信号電荷は、水平転送レジスタ内を水平方向に転送されて、最終段で電荷電圧変換され、出力部から画素信号として出力される。
【0004】
このようなCCD固体撮像装置においては、大光量時に垂直転送レジスタにスミア信号となる余剰電荷が発生し、この余剰電荷が垂直転送レジスタで扱いきれずに水平転送レジスタへ転送されてしまう現象が発生する。このような不具合は画像の破綻となるため、余剰電荷を除去する各種の構造が、従来より提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
特許文献1では、垂直転送レジスタの終端部に、余剰電荷排出先のドレインを縦型オーバーフロー構造で形成する方法が提案されている。また、特許文献2では、垂直転送レジスタの終端部に電荷蓄積部と、その横に電荷排出部を設け、電荷排出部に印加する電圧を制御することにより、余剰電荷を電荷蓄積部から電荷排出部に排出する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−16113号公報(図2ないし図6)
【特許文献2】特開2009−117926号公報(図1および図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のいずれの構造においても、大光量時に発生する余剰電荷に十分に耐え得るとは言い難く、高輝度耐性をさらに向上させることが望まれている。
【0008】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、大光量時に発生する余剰電荷を確実に排出することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の第1の側面の固体撮像装置は、水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部とを備え、前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される。
【0010】
本技術の第1の側面の固体撮像装置においては、垂直転送レジスタと水平転送レジスタの間に、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される余剰電荷除去部が配置される。
【0011】
本技術の第1の側面の駆動制御方法は、水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部とを備える固体撮像装置が、垂直転送期間に、前記余剰電荷除去部の所定の電極に所定の電圧を印加することにより、前記余剰電荷除去部のポテンシャルを深く形成する。
【0012】
本技術の第1の側面の駆動制御方法においては、垂直転送期間に、余剰電荷除去部の所定の電極に所定の電圧が印加されることにより、余剰電荷除去部のポテンシャルが深く形成される。
【0013】
本技術の第2の側面の電子機器は、水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部とを有し、前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される固体撮像装置を備える。
【0014】
本技術の第2の側面の電子機器においては、固体撮像装置において、垂直転送レジスタと水平転送レジスタの間に、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される余剰電荷除去部が配置される。
【0015】
固体撮像装置および電子機器は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックやモジュールであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本技術の第1及び第2の側面によれば、大光量時に発生する余剰電荷を確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本技術が適用された固体撮像装置の一実施の形態の概略構成例を示す図である。
【図2】余剰電荷除去部周辺の構造について説明する図である。
【図3】各電極に印加される駆動パルスについて説明する図である。
【図4】各駆動パルスのタイミングチャートを示す図である。
【図5】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図6】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図7】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図8】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図9】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図10】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図11】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図12】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図13】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図14】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図15】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図16】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図17】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図18】固体撮像装置の駆動制御を説明する図である。
【図19】固体撮像装置の駆動制御を簡単にまとめて示した図である。
【図20】その他の電極構造の例を示す図である。
【図21】その他の電極構造の例を示す図である。
【図22】本技術が適用された電子機器の一実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[固体撮像装置の構成例]
図1は、本技術が適用された固体撮像装置の一実施の形態の概略構成例を示している。
【0019】
図1に示される固体撮像装置1は、インターライン転送(IT)方式のCCD固体撮像装置である。
【0020】
固体撮像装置1は、水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を信号電荷に変換する複数の受光部2と、受光部2の各列(垂直列)に対応して配置されたCCD構造の複数の垂直転送レジスタ3と、CCD構造の水平転送レジスタ4を有している。受光部2はフォトダイオード等の光電変換素子で構成され、受光部2と垂直転送レジスタ3の一部とにより画素が構成される。また、2次元配置された複数の受光部2と、それに対応する複数本の垂直転送レジスタ3とで、撮像領域8が構成される。
【0021】
各垂直転送レジスタ3は、隣接する受光部2から読み出された信号電荷を、垂直方向に順次転送し、水平転送レジスタ4まで転送する。水平転送レジスタ4は、各垂直転送レジスタ3から転送された信号電荷を、水平方向に順次転送する。
【0022】
垂直転送レジスタ3と水平転送レジスタ4の垂直方向の間には、垂直転送レジスタ3で発生した余剰電荷を除去する余剰電荷除去部5が配置されている。
【0023】
水平転送レジスタ4の最終段には、電荷電圧変化部となるフローティングディフージョン部(不図示)を介して画素信号を出力する出力部6が接続される。
【0024】
タイミングジェネレータ7は、各垂直転送レジスタ3を駆動制御する垂直転送パルスV、水平転送レジスタ4を駆動制御する水平転送パルスH、余剰電荷除去部5を駆動制御するドレイン制御パルスVODなどを生成し、出力する。タイミングジェネレータ7には、垂直転送パルスV、水平転送パルスH、ドレイン制御パルスVODなどの駆動パルスを制御する制御部7aが含まれる。
【0025】
なお、垂直転送パルスVは、4相駆動であれば、垂直転送パルスV1ないしV4、3相駆動であれば垂直転送パルスV1ないしV3となるが、特に区別しない場合には、単に垂直転送パルスVと記述する。水平転送パルスHも同様に、2相駆動(H1,H2)や3相駆動(H1ないしH3)が適宜選択可能であり、特に区別しない場合には、単に水平転送パルスHと記述する。
【0026】
固体撮像装置1全体の動作について簡単に説明する。固体撮像装置1では、2次元的に配列された各受光部2において、入射光が光電変換され、入射光量に応じた信号電荷が蓄積される。各受光部2で蓄積された信号電荷が全画素同時に垂直転送レジスタ3に読み出される(転送される)。垂直転送レジスタ3に転送された信号電荷は、垂直転送パルスVにより垂直方向に順次転送され、垂直転送レジスタ3の最終段から水平転送レジスタ4に転送される。水平転送レジスタ4では、各垂直転送レジスタ3から転送された信号電荷が水平方向に順次転送され、フローティングディフージョン部(不図示)で信号電荷が信号電圧に変換された後、出力部6から出力される。
【0027】
ここで、受光部2において大光量の受光がされ、垂直転送レジスタ3にスミア信号となる余剰電荷が発生した場合、余剰電荷は信号電荷と混合された混合電荷となって、垂直転送レジスタ3を垂直方向に順次転送される。そして、垂直転送レジスタ3の最終段に接続された余剰電荷除去部5において、余剰電荷のみがオーバーフローし、排出される。
【0028】
このように、固体撮像装置1では、余剰電荷を排出するための余剰電荷除去部5が、垂直転送レジスタ3と水平転送レジスタ4の間に設けられている。
【0029】
[余剰電荷除去部5周辺の詳細構造]
図1の固体撮像装置1の余剰電荷除去部5周辺の構造について説明する。
【0030】
図2は、余剰電荷除去部5と、それに接続される垂直転送レジスタ3の終端部、および、水平転送レジスタ4の一部を拡大して示した上面図である。
【0031】
固体撮像装置1の撮像領域8では、図2に示されるように、第1の領域11aと第2の領域11bとが、水平方向に4列単位で交互に配置されている。
【0032】
撮像領域8は、第1の領域11aと第2の領域11bで分けて制御される。具体的には、例えば、初めに、第1の領域11aの画素列の信号電荷が垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4に垂直転送され、水平転送レジスタ4で水平転送されて出力される。その後、第2の領域11bの画素列の信号電荷が、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4に垂直転送され、水平転送レジスタ4で水平転送されて出力される。
【0033】
また、固体撮像装置1では、第1の領域11aと第2の領域11bとに分けて制御が可能であることにより、水平方向の複数の画素値(信号電荷)を加算して出力することもできる。例えば、初めに、第2の領域11bの画素列の信号電荷が、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4に転送された後、水平転送方向側の隣の第1の領域11aに対応する水平転送レジスタ4の領域まで、即ち4画素列分だけ水平転送される。次に、第1の領域11aの画素列の信号電荷が、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4に転送されることで、第1の領域11aの画素列と、第2の領域11bの画素列の信号電荷を加算した信号電荷を生成することができる。
【0034】
第1の領域11a内の構成について説明する。
【0035】
垂直転送レジスタ3は、図2に示されるように、垂直方向において、垂直転送を順次行う垂直転送部31と、水平転送レジスタ4に転送する信号電荷を、前段階として一時的に保持する垂直水平転送接続部32とに分けられる。
【0036】
第1の領域11aの垂直転送部31では、それぞれ垂直転送レジスタ3を構成する垂直転送チャネル領域(以下、単に転送チャネル領域という。)12aないし12dが垂直方向に形成されている。そして、この転送チャネル領域12aないし12dの上面に、撮像領域8全体において水平方向に伸びる帯状の垂直転送電極21aないし21cが垂直方向に配列されている。
【0037】
なお、転送チャネル領域12aないし12dと垂直転送電極21aないし21cとの間には、ゲート絶縁膜が形成されているが、図示は省略されている。後述するその他の転送チャネル領域と、その上面に配置される電極についても同様である。
【0038】
垂直転送部31の垂直転送電極21cの図面下側には、転送チャネル領域12a上に垂直転送ゲート電極21dが、転送チャネル領域12bおよび12c上に垂直転送保持電極21eと垂直転送ゲート電極21fが、転送チャネル領域12d上に垂直転送ゲート電極21gが形成されている。
【0039】
第1の領域11aの垂直水平転送接続部32では、転送チャネル領域12aと12bとが合流した合流チャネル領域12eと、転送チャネル領域12cと12dとが合流した合流チャネル領域12fが形成されている。
【0040】
また、第1の領域11aの垂直水平転送接続部32では、合流チャネル領域12eおよび12fの上面に、水平方向に伸びる帯状の接続部保持電極22aが形成されている。
【0041】
さらに、垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eの、余剰電荷除去部5に接続する部分の上面には、接続部ゲート電極22bが形成され、合流チャネル領域12fの余剰電荷除去部5に接続する部分の上面には、接続部ゲート電極22dが形成されている。
【0042】
また、第1の領域11aの垂直水平転送接続部32では、合流チャネル領域12eと12fの間に、余剰電荷を排出するドレイン領域13と、ドレイン領域13に転送する転送チャネル領域14が形成されている。この転送チャネル領域14の上面には、ドレインゲート電極22cが形成されている。転送チャネル領域14は、余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gを介して、合流チャネル領域12eと12fの両方に接続されている。
【0043】
第1の領域11aの余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gの、合流チャネル領域12eに接続する部分の上面には、垂直水平転送接続部32の接続部ゲート電極22bと対向するように、ドレイン制御電極23aが形成されている。
【0044】
また、余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gの、合流チャネル領域12fに接続する部分の上面には、垂直水平転送接続部32の接続部ゲート電極22dと対向するように、ドレイン制御電極23cが形成されている。
【0045】
さらに、余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gの、転送チャネル領域14に接続する部分の上面には、垂直水平転送接続部32のドレインゲート電極22cと対向するように、ドレイン制御電極23bが形成されている。
【0046】
一方、余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gの、水平転送レジスタ4を構成する水平転送チャネル領域(以下、単に転送チャネル領域という。)15に接続する部分の上面には、垂直水平ゲート電極23dが形成されている。
【0047】
第1の領域11aの水平転送レジスタ4の転送チャネル領域15の上面には水平転送電極24aないし24cが形成されている。
【0048】
第1の領域11aは、以上のような構成となっている。
【0049】
第2の領域11bは、基本的には、第1の領域11aと同様の構成とされている。ただし、第2の領域11bでは、転送チャネル領域12aと12b、および、転送チャネル領域12cと12dが、第1の領域11aとは反対の配置となっている。このため、垂直転送保持電極21hおよび21k、垂直転送ゲート電極21iおよび21m、並びに垂直転送ゲート電極21jの配置が、第1の領域11aの対応する電極の位置と入れ替わっている。第2の領域11bのそれ以外の構成は第1の領域11aと同様である。
【0050】
次に、図3を参照して、図2に示した各電極に印加される駆動パルスについて説明する。
【0051】
図3には、図2と同様に示した各電極の上に、その電極に印加される駆動パルスが示されている。
【0052】
垂直転送電極21aには垂直転送パルスV2が印加され、垂直転送電極21bには垂直転送パルスV3が印加され、垂直転送電極21cには垂直転送パルスV3が印加される。また、垂直転送ゲート電極21dおよび21gには垂直転送パルスV1が印加される。従って、固体撮像装置1の垂直転送は、4相の垂直転送パルスV1ないしV4により駆動制御される。
【0053】
垂直転送保持電極21eには、垂直転送保持パルスVstが印加され、垂直転送ゲート電極21fには、垂直転送ゲートパルスVhldが印加される。
【0054】
第1の領域11aの垂直転送部31では、初めに、垂直転送パルスV1ないしV4により転送チャネル領域12aを垂直転送されてきた信号電荷が、垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eに転送される。その間、垂直転送パルスV1ないしV4により転送チャネル領域12bを垂直転送されてきた信号電荷は、垂直転送保持電極21eに垂直転送保持パルスVstが印加されることにより、合流チャネル領域12eへの転送が待機される。そして、転送チャネル領域12aを垂直転送されてきた信号電荷が垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eから水平転送レジスタ4に転送された後、転送チャネル領域12bを垂直転送されてきた信号電荷が、垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eに転送される。転送チャネル領域12cおよび12dについても同様に制御される。
【0055】
垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eには、転送保持パルスLVが印加される。垂直水平転送接続部32の接続部ゲート電極22bおよび22dには、接続部転送ゲートパルスVOGaが共通に印加され、ドレインゲート電極22cには、ドレイン転送ゲートパルスVOGbが印加される。接続部転送ゲートパルスVOGaとVOGbを区別しない場合には、単に接続部転送ゲートパルスVOGと記述する。ドレイン領域13には、高電位のドレイン電圧Vdrainが印加されている。
【0056】
余剰電荷除去部5のドレイン制御電極23aおよび23cには、ドレイン制御パルスVODaが共通に印加され、ドレイン制御電極23bには、ドレイン制御パルスVODbが印加される。ドレイン制御パルスVODaとVODbを区別しない場合には単に、ドレイン制御パルスVODと記述する。
【0057】
余剰電荷除去部5の垂直水平ゲート電極23dには、垂直水平ゲートパルスHOBが印加される。
【0058】
水平転送レジスタ4の水平転送電極24aには水平転送パルスH1が、水平転送電極24bには水平転送パルスH2が、水平転送電極24cには水平転送パルスH3が、それぞれ印加される。従って、固体撮像装置1の水平転送は、3相の水平転送パルスH1ないしH3により駆動制御される。
【0059】
上述した各駆動パルスは、2値のクロックパルスか、または、3値のクロックパルスである。3値のクロックパルスは、ハイレベル(High level)、ミドルレベル(Middle level)、またはローレベル(Low level)の値をとる。2値のクロックパルスは、ミドルレベル(Middle level)とローレベル(Low level)の2値、または、ミドルレベル(Middle level)とハイレベル(High level)の2値のいずれかをとる。ハイレベル、ミドルレベル、およびローレベルの各印加バイアス値は、図5乃至図18を参照して後述する各領域のポテンシャルφを実現するように適宜決定される。各パルスが印加される各電極は、クロックパルスが印加されるクロック電極であると言うことができる。
【0060】
[駆動制御の説明]
次に、図4の各駆動パルスのタイミングチャートと、それに対応する第1の領域11aの制御状態(ポテンシャル)を示した図5乃至図18を参照して、固体撮像装置1の駆動制御について説明する。
【0061】
なお、図4とそれに対応する図5乃至図18は、第1の領域11aの転送チャネル領域12aと12dを転送してきた信号電荷が、水平転送レジスタ4に転送され、水平転送されるまでの動作を示している。
【0062】
図4は、図3を参照して説明した各駆動パルスのタイミングチャートを示している。
【0063】
また、図5は、図4に示したタイミングチャートの所定の時刻における、垂直水平転送接続部32、水平転送レジスタ4、及び余剰電荷除去部5の制御状態を示す図である。図5上段の図は、各クロック電極に印加されるバイアス値のレベルを図示化したものであり、図5下段の図は、図5上段の図のA−A’線、およびB−B’線におけるポテンシャルの状態(ポテンシャル図)を示している。図6乃至図18も、図5と同様の形式で示してある。
【0064】
図4において、時刻t1までは、受光部2から垂直転送レジスタ3に読み出された信号電荷を垂直方向に垂直転送する垂直転送期間である。また、時刻t1から時刻t13までは、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4へ信号電荷を転送する垂直水平転送期間であり、時刻t13以降は、信号電荷を水平転送レジスタ4で水平方向に転送する水平転送期間である。
【0065】
以下、時刻t1から順に説明する。
【0066】
時刻t1までの垂直転送期間では、垂直転送パルスV1ないしV4により、第1の領域11aの転送チャネル領域12aまたは12dを垂直転送されてきた信号電荷が、垂直水平転送接続部32の合流チャネル領域12eまたは12fまで転送される。
【0067】
垂直転送期間では、垂直転送パルスV1ないしV4以外の駆動パルスは、所定の電圧レベルに固定されている。
【0068】
具体的には、図4および図5上段に示されるように、転送保持パルスLVはミドルレベルに制御され、接続部転送ゲートパルスVOGaはローレベルに制御され、ドレイン転送ゲートパルスVOGbはハイレベルに制御されている。また、ドレイン制御パルスVODaとVODbはハイレベルに制御され、垂直水平ゲートパルスHOBはローレベルに制御される。さらに、水平転送パルスH1とH3はハイレベルに制御され、水平転送パルスH2はミドルレベルに制御される。
【0069】
この場合、図5下段に示されるA−A’線のポテンシャル図が示すように、合流チャネル領域12eおよび12fのうちの、ミドルレベルの転送保持パルスLVが印加された領域(以下、LV印加領域という。)のポテンシャルφLVは6.5Vとなる。また、余剰電荷除去部5の転送チャネル領域12gのうち、ハイレベルのドレイン制御パルスVODaが印加された領域(以下、VODa印加領域という。)のポテンシャルφVODaと、ハイレベルのドレイン制御パルスVODbが印加された領域(以下、VODb印加領域という。)のポテンシャルφVODbは、いずれも9Vとなる。
【0070】
一方、合流チャネル領域12eおよび12fのうち、ローレベルの接続部転送ゲートパルスVOGaが印加された領域(以下、VOGa印加領域という。)のポテンシャルφVOGaは1.5Vとなる。従って、VOGa印加領域が障壁となって、ポテンシャルが深い合流チャネル領域12eおよび12fのLV印加領域に、垂直転送された信号電荷が蓄積される。
【0071】
そして、VOGa印加領域の障壁を超える量の信号電荷が合流チャネル領域12eおよび12fに転送されてくると、信号電荷はVOGa印加領域の障壁を超え、余剰電荷除去部5のドレイン制御パルスVODaが印加されている領域(以下、VODa印加領域という。)に移動する。すなわち、VOGa印加領域の障壁を超える信号電荷は、余剰電荷として、余剰電荷除去部5のVODa印加領域に排出される。
【0072】
余剰電荷除去部5において、VODa印加領域は、水平方向に隣接するドレイン制御パルスVODbが印加されている領域(以下、VODb印加領域という。)と同一のポテンシャルに制御されている。また、垂直水平転送接続部32のドレインゲート電極22cには、ハイレベルのドレイン転送ゲートパルスVOGbが印加され、そのポテンシャルφVOGbは10Vであり、VODb印加領域のポテンシャルφVODb=9Vよりも深くなっている。ドレイン転送ゲートパルスVOGbが印加された転送チャネル領域14を、以下、VOGb印加領域という。
【0073】
その結果、図5下段に示されるB−B’線のポテンシャル図が示すように、VODb領域、VOGb領域、及び、ポテンシャルφdrainが11Vであるドレイン領域13の経路では、ドレイン領域13に向かって下方向の階段状のポテンシャルが形成されている。
【0074】
以上より、時刻t1までの垂直転送期間では、VOGa印加領域の障壁を超える余剰電荷が発生した場合には、その余剰電荷は、図6に示されるように、VODa印加領域、VODb印加領域、VOGb印加領域、ドレイン領域13の順に移動する。従って、大光量時において垂直転送レジスタ3にスミア信号となる余剰電荷が発生した場合でも確実に排出することができ、高輝度耐性をさらに向上させることができる。
【0075】
時刻t1の次の時刻t2においては、図4に示されるように、ドレイン制御パルスVODaが、それまでのハイレベルから、ミドルレベルに変更される。これにより、図7のA−A’線のポテンシャル図が示すように、VODa印加領域のポテンシャルφVODaが、時刻t1の9Vから5Vになり、浅くなる。
【0076】
次の時刻t3においては、図4に示されるように、ドレイン制御パルスVODbが、それまでのハイレベルから、ミドルレベルに変更される。これにより、図8のB−B’線のポテンシャル図が示すように、VODb印加領域のポテンシャルφVODbが、時刻t2の9Vから5Vになり、浅くなる。
【0077】
次の時刻t4においては、図4に示されるように、ドレイン転送ゲートパルスVOGbが、それまでのハイレベルから、ミドルレベルに変更される。これにより、図9のB−B’線のポテンシャル図が示すように、VOGb印加領域のポテンシャルφVOGbが、時刻t3の10Vから6Vになり、浅くなる。
【0078】
次の時刻t5においては、図4に示されるように、ドレイン制御パルスVODbとドレイン転送ゲートパルスVOGbが、それまでのミドルレベルから、ローレベルに変更される。これにより、図10のB−B’線のポテンシャル図が示すように、VODb印加領域のポテンシャルφVODbが5Vから2.5Vに、VOGb印加領域のポテンシャルφVOGbが、6Vから3.5Vになり、浅くなる。
【0079】
次の時刻t6においては、図4に示されるように、垂直水平ゲートパルスHOBが、それまでのローレベルから、ミドルレベルに変更される。これにより、図11のA−A’線及びB−B’線のポテンシャル図が示すように、余剰電荷除去部5の垂直水平ゲートパルスHOBが印加されている領域(以下、HOB印加領域という。)のポテンシャルφHOBが、時刻t5のときよりも深くなる。ここで、ミドルレベルの垂直水平ゲートパルスHOBが印加されたときのHOB印加領域のポテンシャルφHOBは、A−A’線上では6.5Vとなっているのに対して、B−B’線上では5.5Vとなっている。これは、後述する時刻t9において、LV印加領域に蓄積されている信号電荷を水平転送レジスタ4に転送する際、水平転送電極24c直下の領域へ転送させるべき信号電荷が水平転送電極24a直下の領域へ転送されないように障壁を形成するためである。余剰電荷除去部5のHOB印加領域は、ドレイン制御電極23aおよび23cにそれぞれ対応するように水平方向に3分割され、同一レベルの垂直水平ゲートパルスHOBが印加された場合であっても、そのポテンシャルφHOBが図11のように異なるように、不純物注入等の手段により形成される。なお、勿論、垂直水平ゲート電極23dを、ドレイン制御電極23aおよび23cと同様に3分割して、印加バイアス値を変えることによって、ポテンシャルを変えるようにしてもよい。
【0080】
次の時刻t7においては、図4に示されるように、接続部転送ゲートパルスVOGaが、それまでのローレベルから、ミドルレベルに変更される。これにより、図12のA−A’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のVOGa印加領域のポテンシャルφVOGaが、時刻t6の1.5Vから4Vになり、深くなる。
【0081】
次の時刻t8においては、図4に示されるように、転送保持パルスLVが、それまでのミドルレベルから、ローレベルに変更される。これにより、図13のA−A’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のLV印加領域のポテンシャルφLVが、時刻t7の6.5Vから2.5Vになり、浅くなる。
【0082】
時刻t8でLV印加領域のポテンシャルφLVが変更された結果、図13のA−A’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32から余剰電荷除去部5を経由して水平転送レジスタ4までの垂直方向に、垂直水平転送経路のポテンシャルが、階段状に形成されている。余剰電荷除去部5のVODa印加領域は、このとき、垂直水平転送経路の一部を構成している。
【0083】
一方、図13のA−A’線とB−B’線のポテンシャル図のVODa印加領域のポテンシャルφVODaとVODb印加領域のポテンシャルφVODbを比較すると、VODb印加領域のポテンシャルφVODbが浅くなっている。また、上述したように、HOB印加領域のポテンシャルφHOBも、VODb印加領域に対応する水平方向中央部が浅くなっている。これにより、余剰電荷除去部5の水平方向では、中央部が障壁となっている。
【0084】
従って、LV印加領域に蓄積されていた信号電荷は、図14に示されるように、余剰電荷除去部5のVODa印加領域を経由して水平転送レジスタ4に移動することができる。
【0085】
時刻t8の次の時刻t9では、時刻t8の状態が保持される。即ち、時刻t9から次の時刻t10までの1クロック時間は、信号電荷の水平転送レジスタ4への転送時間である。
【0086】
水平転送レジスタ4への信号電荷の転送が完了すると、次の時刻t10から時刻t12において、元の時刻t1の状態に戻す制御が行われる。
【0087】
即ち、次の時刻t10においては、図4に示されるように、接続部転送ゲートパルスVOGaと垂直水平ゲートパルスHOBが、それまでのミドルレベルからローレベルに戻される。これにより、図15下段のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のVOGa印加領域のポテンシャルφVOGaと、余剰電荷除去部5のHOB印加領域のポテンシャルφHOBが、時刻t9のときよりも浅くなる。VOGa印加領域のポテンシャルφVOGaは、4Vから1.5Vになり、HOB印加領域のポテンシャルφHOBは、中央部では5.5Vから2.5Vになり、その両側では6.5Vから3.5Vとなる。
【0088】
次の時刻t11においては、図4に示されるように、転送保持パルスLVが、それまでのローレベルからミドルレベルに変更され、ドレイン転送ゲートパルスVOGbとドレイン制御パルスVODbが、それまでのローレベルからミドルレベルに変更される。これにより、図16のA−A’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のLV印加領域のポテンシャルφLVが、時刻t10の2.5Vから6.5Vになって深くなる。また、図16のB−B’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のVOGb印加領域のポテンシャルφVOGbは、3.5Vから6Vになり、余剰電荷除去部5のVODb印加領域のポテンシャルφVODbは、2.5Vから5Vになって、時刻t10のときよりも深くなる。
【0089】
次の時刻t12においては、図4に示されるように、ドレイン転送ゲートパルスVOGbとドレイン制御パルスVODbが、それまでのミドルレベルからハイレベルに変更される。また、ドレイン制御パルスVODaが、それまでのミドルレベルから、ハイレベルに変更される。これにより、図17のA−A’線のポテンシャル図が示すように、VODa印加領域のポテンシャルφVODaが、時刻t11の5Vから9Vになり、深くなる。また、図17のB−B’線のポテンシャル図が示すように、垂直水平転送接続部32のVOGb印加領域のポテンシャルφVOGbは、6Vから10Vになり、余剰電荷除去部5のVODb印加領域のポテンシャルφVODbは、5Vから9Vになって、時刻t11のときよりも深くなる。
【0090】
時刻t12の制御後の状態は、図5と図17のポテンシャル図を比較して分かるように、垂直転送期間の状態と同じになっている。即ち、第1の領域11aの制御状態(ポテンシャル)は、垂直転送期間の状態に戻っている。
【0091】
時刻t13以降の水平転送期間では、図4に示されるように、水平転送パルスH1及びH3が同期してハイレベルまたはミドルレベルに制御され、水平転送パルスH2が、水平転送パルスH1及びH3と位相を変えて、ミドルレベルまたはハイレベルに制御される。なお、水平転送パルスH1ないしH3は、その他の駆動パルスよりも高周波であるため、図4では、簡略化した波形で示されている。これにより、水平転送レジスタ4に移動された信号電荷が、出力部6(図1)の方へ順次転送される。この水平転送期間中の余剰電荷除去部5のポテンシャルは、図18のA−A’線およびB−B’線のポテンシャル図が示すように、垂直転送期間中と同じである。従って、垂直転送レジスタ3で余剰電荷が発生したとしても、余剰電荷除去部5を介してドレイン領域13に排出される。これにより、水平転送期間中に仮に垂直転送レジスタ3で余剰電荷が発生しても、その影響を受けることなく、水平転送を行うことができる。なお、仮に水平転送レジスタ4で、仮にHOB印加領域の障壁を超えるような信号電荷が存在した場合にも、その信号電荷は余剰電荷除去部5を介してドレイン領域13に排出される。従って、余剰電荷除去部5は、水平転送レジスタ4のオーバーフローパスともなっている。
【0092】
以上のようにして、第1の領域11aの転送チャネル領域12aと12dを転送してきた信号電荷が、水平転送レジスタ4に転送される。その間、第1の領域11aの転送チャネル領域12bまたは12cを垂直転送されてきた信号電荷は、垂直転送保持パルスVstがハイレベル、垂直転送ゲートパルスVhldがローレベルに制御されることで、垂直転送保持電極21e直下で保持されている。
【0093】
第1の領域11aの転送チャネル領域12bと12cの信号電荷や、第2の領域11bの信号電荷を転送する場合についても、上述した転送チャネル領域12aと12dの信号電荷と同様に行われる。
【0094】
図5乃至図18を参照して説明した各領域のポテンシャルは飽くまで一例であり、各領域のポテンシャルの相対関係さえ満たせば、これ以外のポテンシャルとなるように設計することも可能である。
【0095】
また、上述した駆動制御において、ハイレベル、ミドルレベル、およびローレベルの3値の印加バイアス値は、受光部2から信号電荷を読み出す際に使用される3値の電圧と同一に設定することができる。印加バイアス値を共通にすることにより、固体撮像装置1の回路構成を簡単にすることができる。勿論、余剰電荷除去部5に専用の印加バイアス値を設定し、使用するようにしてもよい。
【0096】
図19は、図4ないし図18を参照して説明した固体撮像装置1の駆動制御を簡単にまとめて示した図である。
【0097】
固体撮像装置1では、垂直方向にみて、垂直転送レジスタ3と水平転送レジスタ4の間に余剰電荷除去部5が設けられている。この余剰電荷除去部5は、ドレイン領域13に接続された経路としてVODa印加領域とVODb印加領域を含み、その経路は、所定の電極(ドレイン制御電極23aないし23c)に印加する電圧(ドレイン制御パルスVODaおよびVODb)を垂直水平転送時と異なるように変化させることによって形成される。
【0098】
余剰電荷除去部5のVOD印加領域は、垂直転送期間および水平転送期間においては、深いポテンシャルφVODを有する。これにより、垂直転送レジスタ3の余剰電荷は、前垂れ信号として、垂直方向のVOD印加領域に排出される。一方、垂直水平転送期間では、VOD印加領域のポテンシャルφVODは浅くなるように制御され、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4へ、信号電荷が移動するような階段状のポテンシャルが形成される。
【0099】
従って、固体撮像装置1によれば、大光量時に大量の余剰電荷が発生したとしても確実に排出することができ、高輝度耐性をさらに向上させることができる。
【0100】
[その他の電極構造の例]
本技術は、上述した電極構造および駆動方式に限定されず、その他の電極構造および駆動方式にも適用することができる。
【0101】
図20は、図2と異なる電極構造の例を示している。
【0102】
図2等に示した電極構造では、垂直方向に転送されてきた信号電荷を保持する接続部保持電極22aが、第1の領域11aと第2の領域11bとに分けてられていた。これにより、垂直転送レジスタ3から水平転送レジスタ4に転送する垂直水平転送を、第1の領域11aと第2の領域11bとに分けて行うことができ、信号電荷の水平方向の加算が可能な電極構造であった。
【0103】
これに対して、図20に示される電極構造は、垂直方向に転送されてきた信号電荷を保持する接続部保持電極22aが、垂直転送電極21aないし21cと同様に、撮像領域8全体において水平方向に伸びる帯状とされている。従って、図20に示される電極構造は、撮像領域8の1ラインの各画素の信号電荷を同時に水平転送レジスタ4に転送する、水平加算なしの電極構造となっている。
【0104】
また、図20に示される電極構造では、水平転送レジスタ4において、1本の垂直転送レジスタ3(転送チャネル領域12)に対して2個の水平転送電極24aおよび24bが形成されており、2相の水平転送パルスH1及びH2により転送駆動される構成となっている。
【0105】
このような電極構造においても、図20に示されるように、垂直転送レジスタ3と水平転送レジスタ4の間に余剰電荷除去部5を設けることができ、上述した駆動制御を行うことができる。これにより、大光量時に大量の余剰電荷が発生したとしても確実に排出することができ、高輝度耐性をさらに向上させることができる。
【0106】
なお、図21に示されるように、垂直水平転送接続部32内の転送チャネル領域12とドレイン領域13の間の境界に、ポテンシャルを若干浅く設定したオーバーフローパス41をさらに設け、余剰電荷をオーバーフローパス41からも排出するような構成とすることも可能である。図2に示した電極構造においても同様に合流チャネル領域12eとドレイン領域13との間、合流チャネル領域12fとドレイン領域13との間に、オーバーフローパス41を追加した構成とすることができる。
【0107】
[図1の固体撮像装置を用いた電子機器の構成例]
図1の固体撮像装置1は、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、撮像機能を備えた携帯端末、などの各種の電子機器に適用することができる。
【0108】
そこで、次に、図1に示した固体撮像装置1を構成の一部として備える電子機器について説明する。
【0109】
図22は、電子機器の一例として、図1の固体撮像装置1を撮像デバイスとして備える撮像装置の構成例を示している。
【0110】
図22の撮像装置100は、レンズ等の光学系101、メカニカルシャッタ102、CCD固体撮像素子103、CCD駆動回路104、信号処理回路105、およびシステムコントローラ106を備える。
【0111】
なお、図22の撮像装置100は、その構成の一部または全部がモジュール化された撮像モジュールの形態であってもよい。
【0112】
撮像装置100のCCD固体撮像素子103は、図1の固体撮像装置1のなかの撮像領域8、水平転送レジスタ4、余剰電荷除去部5、および出力部6に対応し、CCD駆動回路104が、固体撮像装置1のタイミングジェネレータ7に対応する。
【0113】
被写体(図示せず)からの光は、レンズ等の光学系101およびメカニカルシャッタ102を経てCCD固体撮像素子103の撮像領域(8)に入射する。メカニカルシャッタ102は、CCD固体撮像素子103の撮像エリアへの光の入射を遮断して露光時間を決めるためのものである。
【0114】
CCD固体撮像素子103の出力信号は、信号処理回路105に供給され、自動ホワイトバランス調整などの種々の信号処理が行われた後、撮像信号として外部に導出される。CCD駆動回路104は、システムコントローラ106の制御の下、CCD固体撮像素子103で受光された信号電荷を転送させるための駆動を行う。システムコントローラ106は、メカニカルシャッタ102の開閉制御、CCD駆動回路104の制御、信号処理回路105の制御などを行う。
【0115】
以上のように構成される撮像装置100は、図1の固体撮像装置1を撮像デバイスとして備えているので、高輝度耐性を向上させた撮像装置とすることができる。
【0116】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0117】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を備え、
前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される
固体撮像装置。
(2)
前記余剰電荷除去部は、垂直転送期間に、前記所定の電極に第1の電圧が印加されることにより、深いポテンシャルの前記経路を形成する
前記(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記余剰電荷除去部は、前記垂直転送レジスタから前記水平転送レジスタへ前記電荷を転送する垂直水平転送期間に、前記所定の電極に前記第1の電圧と異なる第2の電圧が印加されることにより、浅いポテンシャルの前記経路を形成することで、前記垂直転送レジスタから前記水平転送レジスタへ前記電荷を転送する垂直水平転送経路の一部を構成する
前記(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記余剰電荷除去部は、水平転送期間においても、前記所定の電極に前記第1の電圧が印加されることにより、深いポテンシャルの前記経路を形成する
前記(2)または(3)に記載の固体撮像装置。
(5)
前記所定の電極に印加される電圧は、前記受光部から前記電荷を読み出す際の電圧と同一である
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の固体撮像装置。
(6)
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を備える固体撮像装置が、
垂直転送期間に、前記余剰電荷除去部の所定の電極に所定の電圧を印加することにより、前記余剰電荷除去部のポテンシャルを深く形成する
駆動制御方法。
(7)
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を有し、
前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される
固体撮像装置
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0118】
1 固体撮像装置, 2 受光部, 3 垂直転送レジスタ, 4 水平転送レジスタ, 5 余剰電荷除去部, 7 タイミングジェネレータ, 7a 制御部, 100 撮像装置, 103 CCD固体撮像素子, 104 CCD駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を備え、
前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される
固体撮像装置。
【請求項2】
前記余剰電荷除去部は、垂直転送期間に、前記所定の電極に第1の電圧が印加されることにより、深いポテンシャルの前記経路を形成する
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記余剰電荷除去部は、前記垂直転送レジスタから前記水平転送レジスタへ前記電荷を転送する垂直水平転送期間に、前記所定の電極に前記第1の電圧と異なる第2の電圧が印加されることにより、浅いポテンシャルの前記経路を形成することで、前記垂直転送レジスタから前記水平転送レジスタへ前記電荷を転送する垂直水平転送経路の一部を構成する
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記余剰電荷除去部は、水平転送期間においても、前記所定の電極に前記第1の電圧が印加されることにより、深いポテンシャルの前記経路を形成する
請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記所定の電極に印加される電圧は、前記受光部から前記電荷を読み出す際の電圧と同一である
請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を備える固体撮像装置が、
垂直転送期間に、前記余剰電荷除去部の所定の電極に所定の電圧を印加することにより、前記余剰電荷除去部のポテンシャルを深く形成する
駆動制御方法。
【請求項7】
水平垂直方向に2次元的に配列され、入射光を電荷に変換する複数の受光部と、
垂直列の前記受光部に対応して配置され、垂直方向に前記電荷を転送する垂直転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタから転送された前記電荷を水平方向に転送する水平転送レジスタと、
前記垂直転送レジスタと前記水平転送レジスタの間に配置された余剰電荷除去部と
を有し、
前記余剰電荷除去部は、所定の電極に印加する電圧を変化させることにより形成される、ドレイン領域に接続された経路により構成される
固体撮像装置
を備える電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−89715(P2013−89715A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227752(P2011−227752)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】