説明

固体撮像装置及びその製造方法並びにカメラモジュール

【課題】 簡単な構成で、固体撮像素子の透明カバーのエッジ部に照射された外部光と、透明カバーの内部を伝播する外部光に起因する画質劣化を防止できる固体撮像装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】
固体撮像素子10の撮像領域26の全面を覆うように形成されたガラスカバー60を、撮像領域26に対応する透過部60aと、透過部60aより外側において当該透過部60aを取り囲むエッジ部60bとから形成する。ガラスカバー60のエッジ部60bは、その全周にわたって選択的に除去されていて、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する角錐台状部分をガラスカバー60に形成している。前記角錐台状部分の外面には、光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能膜63が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子をチップサイズパッケージ(Chip-Size Package,CSP)に実装してなる固体撮像装置とその製造方法に関し、さらに言えば、簡単な構成でチップ状の固体撮像素子の撮像領域を覆う透明カバーのエッジ部による光反射を抑制して、不要光の入射に起因するノイズを抑制して画質を改善することができる固体撮像装置とその製造方法、並びにその固体撮像装置を用いたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は近年、いっそうの小型化・高機能化が進んでいるが、それに伴って携帯電話機、携帯型コンピュータ等の携帯機器、さらには自動車等への搭載が進んでおり、利用分野がますます広がりつつある。固体撮像装置の利用分野の一つにデジタルカメラがあり、固体撮像装置を利用した高画質デジタル一眼レフレックスカメラも実用化されている。
【0003】
このような高画質デジタルカメラでは、集光レンズ等の撮像光学系を介して固体撮像素子の撮像領域に入射する外部光を電気信号に変換して撮像を行う。前記撮像光学系は通常、筒状のレンズ収納部材(レンズ鏡筒)の内部に設置されており、そのレンズ収納部材によって不要な外部光が前記撮像領域に入射するのを防止している。
【0004】
前記固体撮像素子は、前記撮像領域を覆う透明カバーを有しており、その透明カバーの前記撮像領域に対応する領域を、ここでは「透過部」と呼び、その透過部の外側の領域を「エッジ部」と呼ぶことにする。前記撮像光学系を透過した外部光は、前記透過部を透過すると前記撮像領域に入射することができるが、前記エッジ部を透過すると、前記撮像領域には入射しない。このため、前記撮像光学系を透過した外部光が前記透明カバーの前記透過部のみを透過するように、前記レンズ収納部材の開口を設定することにより、前記撮像光学系と前記透過部の双方を透過した外部光のみが前記撮像領域に入射するように構成することができる。このように、前記撮像光学系と前記透明カバーとを透過して(他の箇所で反射することなく)前記撮像領域に直接入射する外部光を、ここでは「直接入射光」と呼ぶ。
【0005】
ところで、撮像領域への不要光の入射を防止して画質を改善する技術としては、従来より種々のものが開発され、公開されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2004−140497号公報)には、レンズ鏡筒(集光レンズを内蔵する)とパッケージ本体の接合部において、両者の接着スポット以外の部分に生じる隙間から入射する外部光(不要光)を遮断し、そのような不要光が固体撮像素子の撮像領域に入射するのを防止するために、前記接合部に全周にわたって延在する遮光壁を形成してなるカメラモジュールが開示されている(図1、図2、要約を参照)。
【0007】
特許文献2(特開2005−109092号公報)には、受光画素群と、少なくとも前記受光画素群を包括する範囲に前記受光画素群の各々に対応して二次元的に配置されたマイクロレンズアレイと、前記マイクロレンズアレイの光入射側に配置された透明部材(透明カバー)とを有し、前記透明部材の前記マイクロレンズアレイと相対する面側の前記受光画素群と重ならない位置に突起部を一体で形成し、この突起部で前記透明部材を支持してなる固体撮像装置が開示されている。前記突起部は、前記受光画素群を額縁状に取り囲んでおり、前記マイクロレンズアレイの高さより高くされている。こうして、前記透明部材と前記マイクロレンズアレイの間に空気層を形成している。
【0008】
前記透明部材の光入射側には、赤外光を遮断するコーティング(赤外カットコーティング)が施されており、また、撮像光学系からの被写体光束(外部光)が通過する領域外には、遮光性印刷等による遮光部が形成されている。
【0009】
特許文献2には、上述した構成の固体撮像装置を備えた撮像装置も開示されている。この撮像装置は、上述した固体撮像装置と、当該固体撮像装置に被写体光を結像させる撮像光学系(第1レンズおよび第2レンズ)を内蔵した外枠部材とから構成される。外枠部材の内部には、圧縮コイルバネが内蔵されている。外枠部材の先端開口部は、蓋部材で覆われている。
【0010】
特許文献2の固体撮像装置では、上記のように構成することにより、前記撮像装置の製造工程の初期の段階から前記マイクロレンズアレイの表面(撮像領域)を前記透明部材によって封止することができるため、前記マイクロレンズアレイの表面を湿気や塵埃から保護することができ、したがって、製造工程中の塵埃付着に起因する歩留まり低下を最小に抑えることができ、良品率の向上によるコストダウンが可能になる(図1〜図4、段落0045〜0065、段落0105〜0106、要約を参照)。
【0011】
特許文献3(特開2001−274370号公報)には、偽信号を防止した受光素子用パッケージと、フレアを低減した固体撮像装置とが開示されている。この受光素子用パッケージは、受光素子を収納するキャビティ部と、前記受光素子と電気的に接続するための内部端子とを有する収納容器を備えており、前記収納容器は光学的に透明なカバーによって封止されている。前記キャビティ部と前記カバーとの間には、入射光を導く開口部と、迷光を遮断するテーパー部とを有する遮光部材が配置されている。前記遮光部材のテーパー部は、前記遮光部材の開口部の周囲にそれを取り囲むように形成されている。前記開口部は、前記受光素子の受光領域に重なるように配置されるから、前記テーパー部は前記受光領域を取り囲むように配置される。好ましくは、前記遮光部材には、黒色塗料や金黒などの光吸収層が配置される。
【0012】
特許文献3の受光素子用パッケージでは、上記のように構成することにより、前記透明カバーを斜めに貫通して前記収納容器の内部に入射した光(斜め入射光)は、前記遮光部材によって遮断される。このため、前記斜め入射光が前記受光素子の表面で反射し、さらに前記受光素子と前記内部端子とを電気的に接続する金属細線、前記収納容器の内面等で散乱して散乱光を発生することがない。その結果、前記散乱光が前記受光素子の受光領域に入射することによって生じる偽信号の発生が防止される。前記遮光部材に前記光吸収層が配置されていれば、前記遮光部材に照射された前記散乱光が前記光吸収層で吸収されるため、偽信号発生防止効果をいっそう高めることができる。
【0013】
特許文献3の固体撮像装置は、前記受光素子に代えて固体撮像素子を上記受光素子用パッケージに搭載したものであり、前記散乱光が前記固体撮像素子の撮像領域に入射することに起因するフレアの発生が前記遮光部材によって防止される(請求項1および8、図1〜図2、図11、段落0014〜0018、段落0043〜0053を参照)。
【0014】
特許文献4(特開2006−41277号公報)には、半導体基板の一方の面に設けられた固体撮像素子と、この固体撮像素子の上を封止すると共に、側端面が下面から上面に向かって略テーパ状とされた透明板(カバーガラス)とを備えた固体撮像装置が開示されている。この固体撮像装置では、前記カバーガラスの側端面がテーパー状に形成されているため、前記カバーガラスの側端面に斜めに入射して反射され、前記固体撮像素子に到達する反射光が存在しなくなる。よって、前記側端面に反射防止膜を設けた場合と同様に、前記反射光に起因するノイズを低減することができる(請求項3、図10〜図11、段落0043〜0044を参照)。
【0015】
特許文献4には、前記カバーガラスの側端面をテーパー状とせず、その側端面に反射防止膜を設けた構成の固体撮像装置と、反射防止膜に代えて前記カバーガラスの側端面を粗面化した構成の固体撮像装置も開示されている(請求項1、図1〜図3、図12〜図13、段落0030、段落0046〜0047を参照)。
【特許文献1】特開2004−140497号公報 (要約、図1〜図2)
【特許文献2】特開2005−109092号公報 (図1〜図4、段落0045〜0065、段落0105〜0106、要約)
【特許文献3】特開2001−274370号公報(請求項1および8、図1〜図2、図11、段落0014〜0018、段落0043〜0053)
【特許文献4】特開2006−41277号公報(請求項1および3、図1〜図3、図10〜図11、段落0030、段落0043〜0044、段落0046〜0047)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、本発明者の研究によると、撮像光学系と固体撮像素子を備えてなる上記従来のデジタルカメラの画質劣化には、前記撮像光学系を通って前記固体撮像素子の撮像領域を覆う透明カバーのエッジ部に到達した外部光と、前記透明カバーの内部での外部光の反射により生成される反射光とが、寄与していることが判明した。
【0017】
すなわち、上記構成を持つ従来のデジタルカメラでは、前記レンズ収納部材によって、前記撮像光学系と前記透明カバーとを透過して(他の箇所で反射することなく)前記撮像領域に直接入射する外部光(すなわち直接入射光)のみが、前記撮像領域に到達するように設計されているが、実際には、(a)製造上の寸法誤差や組立時の配置誤差などにより、前記撮像光学系を透過した外部光が、前記透明カバーのエッジ部に到達することがある。このような外部光は、前記エッジ部を介して前記透明カバーの内部に入り、前記撮像領域に到達するので、画質劣化の原因となる。
【0018】
また、(b)前記透明カバーの透過部に到達した外部光の一部が、当該透過部の表面で反射され、その反射した外部光が前記撮像光学系によってさらに前記透明カバーに向かって反射されて、前記透明カバーのエッジ部に到達することがある。このような外部光も、前記透明カバーの内部を通って前記撮像領域に到達するので、(a)の場合と同様に、画質劣化の原因となる。
【0019】
さらに、(c)前記透過部を介して前記透明カバーの内部に入った外部光の一部が、当該透明カバーの出射側(撮像領域側)の端面で反射され、次に当該透明カバーの入射側(撮像領域とは反対側)の端面で反射され、さらに当該透明カバーの出射側端面で反射される、というように、前記透明カバーの内部で反射を繰り返しながら伝播することがある。このような外部光も、光量は少ないが、当該透明カバーの出射側端面を通って前記撮像領域に到達するので、画質劣化の原因となる。
【0020】
なお、前記透明カバーの透過部またはエッジ部に到達した外部光またはその一部が、当該透過部またはエッジ部の表面で反射されて生成される反射光には、前記レンズ収納部材の内面に到達するものがある。このような反射光は、前記レンズ収納部材の内面に形成された光吸収膜に吸収されるので、画質に悪影響を及ぼすことはない。
【0021】
上記(a)〜(c)に起因する画質劣化は、一般的なデジタルカメラでは問題にならないことが多いが、上述した高画質デジタル一眼レフレックスカメラでは目立つため、何らかの方法で解消する必要がある。
【0022】
上述した特許文献1〜3に開示された従来技術は、いずれも、固体撮像素子の撮像領域への不要光の入射を防止して画質を改善しようとするものであるが、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化については何ら言及していない。
【0023】
また、上述した特許文献4に開示された従来技術は、カバーガラスの側端面に斜めに入射して反射され固体撮像素子に到達する反射光に起因する画質劣化を防止しようとするものであるから、上記(a)または(b)に起因する画質劣化の防止に関連していると言うことができる。しかし、この従来技術はそれに留まり、上記(c)に起因する画質劣化については何ら言及していない。
【0024】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる固体撮像装置を提供することにある。
【0025】
本発明の他の目的は、簡略化された工程で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる固体撮像装置を製造することができる、固体撮像装置の製造方法を提供することにある。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、簡単な構成で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができるカメラモジュールを提供することにある。
【0027】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0028】
(1) 本発明の第1の観点では、固体撮像装置が提供される。この固体撮像装置は、
撮像領域を有する固体撮像素子と、
前記撮像領域の全面を覆う透明カバーとを備え、
前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部は、その全周にわたって選択的に除去されていて、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分を前記透明カバーに形成しており、
前記錐台状部分の外面には、光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域が形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
(2) 本発明の第1の観点による固体撮像装置では、上述したように、前記透明カバーの前記エッジ部が、その全周にわたって選択的に除去されていて、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分を前記透明カバーに形成している。前記錐台状部分は、通常は四角錐台等の角錐台状であるが、角錐台状以外の錐台状(例えば円錐台状)であってもよい。そして、前記錐台状部分の外面には、光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域が形成されている。このため、前記透過部に照射される外部光は前記固体撮像素子の前記撮像領域に到達することができるが、前記エッジ部に照射される外部光は、前記略錐台状部分の外面にある前記光機能領域によって吸収され、または、前記固体撮像装置の中心軸に対して外側に向けて反射あるいは散乱されるため、前記外部光の前記撮像領域への到達を効果的に抑制することができる。よって、上記(a)及び(b)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0030】
レンズ収納部材等の部材が当該固体撮像装置を囲むように配置されている場合には、前記錐台状部分の外面で反射あるいは散乱された外部光が前記部材の内面に到達することがある。しかし、前記部材の内面には通常、光吸収膜が形成されているので、前記外部光はその光吸収膜で吸収されてしまい、前記撮像領域には到達しない。
【0031】
また、前記錐台状部分の外面に光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域が形成されているので、前記透明カバーの内部を伝播する外部光はやがて前記光機能領域に入射し、その光機能領域の持つ光吸収、光反射または光散乱作用を受ける。その結果、前記エッジ部に外側から照射される外部光と同様に、前記光機能領域によって吸収され、または反射あるいは散乱される。前記光機能領域によって吸収される場合は、当該外部光による画質劣化は生じないことが明らかである。前記光機能領域によって散乱される場合は、散乱によって光強度が大きく低下するため、当該外部光によって画質劣化は生じない。前記光機能領域によって反射される場合は、前記錐台状部分の外側面の形状を調整することにより、例えば当該外部光が反射によって前記撮像領域外に向かうようにすれば、画質劣化は生じない。このように、前記光機能領域の持つ機能が光吸収、光反射または光散乱のいずれであっても、上記(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0032】
(3) 本発明の第1の観点による固体撮像装置の好ましい例では、前記エッジ部の前記錐台状部分の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所に、湾曲した凸部が形成される。この場合、前記凸部が前記エッジ部の全面にわたって延在してもよいし、前記凸部と共に、遷移部を介して前記凸部に連接する湾曲した凹部が形成されてもよい。
【0033】
本発明の第1の観点による固体撮像装置の他の好ましい例では、前記エッジ部の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所に、テーパー部が形成される。
【0034】
本発明の第1の観点による固体撮像装置のさらに他の好ましい例では、前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面に形成された光機能膜により形成される。この光機能膜は、光反射膜または光吸収膜または光散乱膜であるのが好ましい。光反射膜は、通常は金属膜とされる。光吸収膜は、例えば、カーボン粉末を分散させてなるエポキシ樹脂膜とされる。
【0035】
本発明の第1の観点による固体撮像装置のさらに他の好ましい例では、前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面を処理することによって、当該外面に形成される。例えば、前記錐台状部分の外面に微細レンズを形成し、または当該外面をサンドブラスト法によって、あるいは弗酸を用いた処理によって粗面化する。
【0036】
(4) 本発明の第2の観点では、もう一つの固体撮像装置が提供される。この固体撮像装置は、
撮像領域を有する固体撮像素子と、
前記撮像領域の全面を覆う透明カバーとを備え、
前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部には、光散乱領域が形成されていることを特徴とするものである。
【0037】
(5) 本発明の第2の観点による固体撮像装置では、上述したように、前記透明カバーの前記エッジ部に光散乱領域が形成されているので、前記透明カバーの前記透過部に照射される入射光は前記固体撮像素子の前記撮像領域に到達するが、前記エッジ部に到達した外部光は散乱せしめられるため、前記外部光の前記撮像領域への到達を効果的に抑制することができる。よって、上記(a)及び(b)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0038】
レンズ収納部材等の部材が当該固体撮像装置を囲むように配置されている場合には、前記光散乱領域で散乱された外部光が前記部材の内面に到達することがある。しかし、前記部材の内面には通常、光吸収膜が形成されているので、前記外部光はその光吸収膜で吸収されてしまい、前記撮像領域には到達しない。
【0039】
また、前記透明カバーの前記エッジ部に前記光散乱領域が形成されているので、前記透明カバーの内部を伝播する外部光はやがて前記光散乱領域に入射し、その光散乱領域の持つ光散乱作用を受ける。その結果、前記エッジ部に外側から照射される外部光と同様に、前記光散乱領域によって散乱される。前記光散乱領域によって散乱された外部光は、光強度が大きく低下するため、当該外部光によって画質劣化は生じない。このようにして、上記(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0040】
前記光散乱領域は、例えば、サンドブラスト法、弗酸による処理、微細レンズの形成などによって前記エッジ部を粗面化することにより、容易に実現することができる。
【0041】
(6) 本発明の第2の観点による固体撮像装置の好ましい例では、前記光散乱領域が、前記エッジ部の表面に形成された複数の微細レンズにより実現される。
【0042】
本発明の第2の観点による固体撮像装置の他の好ましい例では、前記光散乱領域が、前記エッジ部の表面に形成された微細凹凸によって実現される。
【0043】
(7) 本発明の第3の観点では、本発明の第1の観点の固体撮像装置の製造方法が提供される。この固体撮像装置の製造方法は、
複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハーを準備する工程と、
複数の前記固体撮像素子の全体を覆うように、透明絶縁膜を介して前記半導体ウェハー上に透明カバー用透明板を接合する工程と、
前記透明カバー用透明板を接合してなる前記半導体ウェハーを、ダイシング用ブレードを用いて、前記固体撮像素子の各々を含む領域毎にダイシングすることにより、前記半導体ウェハーを分割し、もって表面が透明カバーで覆われた複数の撮像装置部を得る工程と、
複数の前記撮像装置部の各々について、前記透明カバーに光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域を形成し、もって固体撮像装置を得る工程とを備え、
前記固体撮像装置の前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部は、前記半導体ウェハーをダイシングする前記工程において、所定のプロファイルを持つ前記ダイシング用ブレードによってその全周にわたって選択的に除去され、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分が前記透明カバーに形成されており、
前記光機能領域は、前記錐台状部分の外面に形成されていることを特徴とするものである。
【0044】
(8) 本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法は、上述したように、前記透明カバー用透明板を接合してなる前記半導体ウェハーをダイシングする前記工程において、前記透明カバーの前記エッジ部が、所定のプロファイルを持つ前記ダイシング用ブレードによってその全周にわたって選択的に除去され、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分が前記透明カバーに形成される。よって、本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法によれば、本発明の第1の観点による固体撮像装置を製造することができる。
【0045】
また、前記透明カバーの前記エッジ部を選択的に除去して前記錐台状部分を形成する工程が、前記透明カバー用透明板を接合してなる前記半導体ウェハーをダイシングする前記工程において実行されるので、前記錐台状部分を形成する工程を別個に実行する必要がなく、したがって製造工程が簡略化される。
【0046】
(9) 本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法の好ましい例では、前記ダイシング用ブレードが、前記半導体ウェハーおよび前記透明絶縁膜を切断するための切断部と、前記透明カバー用透明板を切断して前記透明カバーの前記エッジ部に前記錐台状部分を形成するための湾曲部とを有する。
【0047】
本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法の他の好ましい例では、前記ダイシング用ブレードの前記湾曲部により、前記エッジ部の前記錐台状部分の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所に湾曲した凸部が形成される。
【0048】
本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記ダイシング用ブレードの前記湾曲部により、前記エッジ部の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所にテーパー部が形成される。
【0049】
本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記光機能領域として、前記錐台状部分の外面に光機能膜が形成される。この光機能膜は、光反射膜または光吸収膜または光散乱膜であるのが好ましい。光反射膜は、通常は金属膜とされる。光吸収膜は、例えば、カーボン粉末を分散させてなるエポキシ樹脂膜とされる。
【0050】
本発明の第3の観点による固体撮像装置の製造方法のさらに他の好ましい例では、前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面を処理することによって当該外面に形成される。例えば、前記錐台状部分の外面に微細レンズを形成し、または当該外面をサンドブラスト法によって、あるいは弗酸を用いた処理によって粗面化する。
【0051】
(10) 本発明の第4の観点では、固体撮像装置を備えたカメラモジュールが提供される。このカメラモジュールは、
上述した本発明の第1または第2の観点による固体撮像装置と、
前記透明カバーの透過部を介して、入射光を前記固体撮像素子の撮像領域に照射する撮像光学系とを備えたことを特徴とするものである。
【0052】
(11) 本発明の第4の観点によるカメラモジュールでは、本発明の第1または第2の観点による固体撮像装置を備えているので、簡単な構成で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明の第1および第2の観点による固体撮像装置では、簡単な構成で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる、という効果が得られる。
【0054】
本発明の第3の観点による固体撮像装置では、簡略化された工程で、本発明の第1の観点による固体撮像装置を製造することができる、という効果が得られる。
【0055】
本発明の第5の観点によるカメラモジュールでは、簡単な構成で、上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0057】
(第1実施形態)
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1を示しており、図1は固体撮像装置1の概略構成を示す図2のA−A線に沿った断面図、図2はその表面側(光の入射側)の概略外観図である。図2では光機能膜63は省略している。
【0058】
(固体撮像装置の構成)
この固体撮像装置1は、図1に示すように、透明なガラスカバー60を含むチップサイズパッケージ(CSP)中にチップ状の固体撮像素子10を封止してなるものである。この固体撮像装置1は、固体撮像素子10の撮像面25とガラスカバー60の間の隙間にキャビティを有していないが、キャビティを有していてもよい。
【0059】
固体撮像素子10は、複数の受光素子(図示せず)と複数の受光領域23がその表面領域に形成されたシリコン基板11を備えている。これらの受光領域23と受光素子は、各画素PXに対して一つづつ形成されている。シリコン基板11には、その全表面を覆うように透明な層間絶縁膜12が形成されている。層間絶縁膜12の表面は、固体撮像素子10の撮像面25であって、そこには、アレイ状に配置された複数のマイクロレンズ22、すなわちマイクロレンズ・アレイ22Aが形成されている。これらのマイクロレンズ22は、撮像面25上において、各画素PXに対して一つづつ形成されている。各受光領域23は、層間絶縁膜12を介して対応するマイクロレンズ22に重なり合うように配置されている。各マイクロレンズ22の近傍には、R(赤)、G(緑)、B(青)三色用の(あるいはこれら三色に黒色を加えた四色用の)マイクロフィルタ(カラーフィルタ)24が形成されている。
【0060】
固体撮像素子10は、図1及び図2に示すように、マイクロレンズ・アレイ22Aを包含する矩形(ここでは正方形)の撮像領域26を撮像面25上に有している。ガラスカバー60を透過して固体撮像装置1の内部に入射した光は、撮像領域26内に照射されるようになっており、その入射光は画素PX毎にマイクロレンズ22を介して対応する受光領域23に照射されて電気信号に変換され、被写体の撮像が行われる。
【0061】
層間絶縁膜12の表面には、マイクロレンズ・アレイ22Aの外周領域(撮像領域26の周辺領域)において、複数の表面電極15が形成されている。これらの表面電極15は、各受光素子により生成された電気信号を固体撮像装置1の外部に導出するためのもので、シリコン基板11の表面と層間絶縁膜12の内部に形成された引出用配線(図示せず)を介して、各受光素子(各受光領域23)と電気的に接続されている。
【0062】
図1から明らかなように、撮像面25(撮像領域26)には、マイクロレンズ22と表面電極15に起因する凹凸が存在している。
【0063】
層間絶縁膜12は、実際には積層された複数の絶縁膜から構成されているが、層間絶縁膜12の内部構造は本発明にとって重要ではないため、図1ではこれを単純化して描いている。
【0064】
層間絶縁膜12の表面には、透明なSOG(Spin on Glass)材料膜50が形成されており、層間絶縁膜12の全面を覆っている。SOG材料膜50の厚さは、マイクロレンズ22と表面電極15のいずれの厚さよりも大きいから、マイクロレンズ・アレイ22Aと表面電極15はSOG材料膜50の中に埋め込まれている。したがって、SOG材料膜50の表面は平坦である。
【0065】
SOG材料膜50の表面には、透明なガラスカバー60が形成されている。ガラスカバー60は、ここでは透明なボロシリケートガラス(B23/SiO2)板から構成されており、SOG材料膜50の表面に接合されてチップ状の固体撮像素子10と一体化されている。
【0066】
なお、固体撮像素子10とSOG材料膜50とガラスカバー60からなる積層体の側面全体は、CSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂(図示せず)によって覆われているが、絶縁性合成樹脂で覆わなくてもよい。
【0067】
層間絶縁膜12の内部には、各表面電極15の直下の位置に、当該層間絶縁膜12を貫通する透孔を有しており、それらの透孔にはそれぞれ導電性プラグ14が充填されている。また、シリコン基板11の内部にも、各表面電極15の直下の位置に、当該シリコン基板11を上下に貫通する透孔を有しており、それらの透孔にはそれぞれ導電性プラグ13が充填されている。各導電性プラグ13の全周は、対応する透孔の内壁に形成された絶縁膜16aで覆われていて、各導電性プラグ13とシリコン基板11とは対応する絶縁膜16aによって電気的に絶縁されている。各導電性プラグ14の上端及び下端は、その直上にある表面電極15とその直下にある導電性プラグ13にそれぞれ接触している。各導電性プラグ13の下端は、シリコン基板11の裏面から露出している。相互に接触せしめられた導電性プラグ14と13は、シリコン基板1の層間絶縁膜12の表面にある表面電極15と、シリコン基板1の裏面にある配線膜18とを、シリコン基板1を貫通して電気的に相互接続する貫通電極を構成している。
【0068】
シリコン基板11の裏面には、絶縁膜16bが形成されていて、露出している導電性プラグ13の下端を除く領域を覆っている。絶縁膜16bの表面には、所定形状にパターン化された複数の配線膜18が形成されている。各配線膜18は、シリコン基板11の裏面に露出せしめられた対応する導電性プラグ13の下端に接触している。
【0069】
絶縁膜16bの表面には、配線膜18を覆うようにソルダーレジスト17が形成されている。ソルダーレジスト17には、各配線膜18と重なる位置に透孔が形成されていて、それら透孔の内部には導電性コンタクト19が充填されている。
【0070】
ソルダーレジスト17の表面には、各導電性コンタクト19と重なる位置に、所定形状にパターン化された銅ペースト20が形成されている。そして、それら銅ペースト20の上には、それぞれ、外部電極としてのハンダボール21が形成されている。
【0071】
このように、各表面電極15は、対応する導電性プラグ14及び13と、対応する配線膜18及び導電性コンタクト19とを介して、当該固体撮像装置1の裏面(図1では下面)にある対応する銅ペースト20及びハンダボール21に電気的に接続されている。
【0072】
外部の光は、ガラスカバー60を通して固体撮像装置1の内部に入り、さらにSOG膜50とマイクロレンズ22とマイクロフィルタ24を通過して、各画素PXに設けられた受光素子(図示せず)の受光領域23に入射する。すると、入射光は各受光領域23において光電変換され、画素PX毎に入射光の強度に応じた電気信号が生成される。これらの電気信号は、画素PX毎に受光領域23に隣接して設けられた増幅素子(図示せず)によって増幅された後、図示しない引出用配線を介して表面電極15まで送られる。これらの電気信号は、さらに、各表面電極15に電気的に接続された導電性プラグ14、導電性プラグ13、配線膜18及び導電性コンタクト19を介して、対応する銅ペースト20及びハンダボール21まで導出される。
【0073】
ガラスカバー60は、図1及び図2から明らかなように、中央部に撮像領域26に対応する透過部60aを有しており、その透過部60aを取り囲むようにエッジ部60bが形成されている。透過部60aの平面形状は、撮像領域26とほぼ同じ矩形である。エッジ部60bの平面形状は、矩形リング状であり、透過部60aよりも大きい。透過部60aは、そこに照射された光を透過させて撮像領域26に導くための光ガイド部分である。エッジ部60bは、透過部60aのような光ガイド作用を行わない。
【0074】
透過部60aの構成は、従来より公知のこの種固体撮像装置のそれと同じである。しかし、エッジ部60bは、従来より公知のこの種固体撮像装置のそれとは異なり、一部が選択的に除去されていて、全体としては、四角錐台に近似した形状とされている。したがって、ガラスカバー60の断面形状は、図1に示すように、入射側(上側)の辺が出射側(下側)の辺よりも短い略台形となっており、この点が従来より公知のこの種固体撮像装置とは異なっている。ガラスカバー60の平面形状は、図2に示すように、入射側も出射側も矩形である。
【0075】
エッジ部60bの入射側には、透過部60aとの境界に隣接して表面が凸状に湾曲せしめられた凸部60b1が形成されている。凸部60b1の平面形状は、矩形リング状である。凸部60b1の出射側には、それに隣接して遷移部60b3が形成されている。遷移部60b3の平面形状は、矩形リング状である。遷移部60b3の出射側には、それに隣接して表面が凹状に湾曲せしめられた凹部60b2が形成されている。凹部60b2の平面形状は、矩形リング状である。遷移部60b3において、表面の湾曲が凸状から凹状に変化している。その結果、エッジ部60bの表面は、図1に示すように、ガラスカバー60の入射側の端から出射側に向かって略S字状に湾曲しながら徐々に幅が広く(面積が大きく)なり、出射側の端より少し手前でSOG材料膜50の幅(面積)と一致している。図1に示したA−A線に沿った断面に直交する図2のB−B線に沿った断面においても、ガラスカバー60は図1と同じ断面形状を持つ。
【0076】
エッジ部60bの選択的に除去された部分の外表面(外側面)、すなわち、凸部60b1、遷移部60b3及び凹部60b2の外表面(外側面)には、光機能膜63が形成されている。したがって、エッジ部60bの外側面は、光機能膜63によって覆われている。
【0077】
光機能膜63は、光反射機能または光吸収機能を持つ膜であり、ガラスカバー60の外側から照射された光を反射し、あるいは吸収するだけでなく、ガラスカバー60の内側から照射された光をも反射し、あるいは吸収する。これは、光機能膜63がエッジ部60bの外側面に密着しているからである。
【0078】
光反射機能を持つ光機能膜63は、例えばアルミニウム等の金属膜により形成することができるが、本発明はこれに限定されない。光反射機能を持つ膜であれば、他の任意の膜を使用することができる。
【0079】
光吸収機能を持つ光機能膜63は、例えばカーボン粉末を分散させてなるエポキシ樹脂の塗膜により形成することができる。光吸収機能を持つ膜であれば、他の任意の膜を使用することができる。
【0080】
なお、上述した固体撮像素子10は、撮像面25に形成されたマイクロレンズ・アレイ22Aを含んでいるが、マイクロレンズ・アレイ22Aは含んでいなくてもよい。また、上述した固体撮像素子10は、マイクロフィルタ24を含んでいるが、マイクロフィルタ24は含んでいなくてもよい。
【0081】
(固体撮像装置の製造方法)
次に、図6〜図18を参照しながら、上記構成を持つ固体撮像装置1の製造方法について説明する。
【0082】
以下に説明する製造方法の各工程は、いずれもウェハーレベルで実行されるものであり、これらウェハープロセスの最終工程では、図5に示すように、シリコンウェハー70上にマトリックス状に配置された複数の撮像装置部65が同時に形成される。各々の撮像装置部65は、上述した構成の固体撮像装置1が形成される領域である。その後、碁盤状に設定されたスクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70のダイシングを行い、各撮像装置部65を相互に分離する。こうして、図1及び図2に示す構成の固体撮像装置1が製造される。
【0083】
まず最初に、公知の方法によって、シリコンウェハー70上に図6に示す構成を持つ撮像装置部65を複数個形成する。これらの撮像装置部65は、所定の試験を行って良品であることが確認されたものである。図を簡単化するため、図6では一つの撮像装置部65のみを示しているが、実際は、複数の撮像装置部65がマトリックス状にシリコンウェーハ70上に配置されている。
【0084】
次に、図7に示すように、シリコンウェーハ70の表面、正確に言えば層間絶縁膜12の表面(撮像面25)に、SOG材料膜50を形成する。この工程は、大気中で室温にてSOG材料をスピンコーティング法(スプレー法でもよい)により塗布することで行う。こうして、SOG材料の塗膜が形成される。この塗膜の厚さは、マイクロレンズ・アレイ22Aと表面電極15をすべて埋め込むことができる程度の厚さとする。この時、SOG材料膜50の表面は極めて平坦(例えば、うねりが0.1μm以下の表面)になる。その後、当該SOG材料の塗膜を加熱して硬化させると、透明なSOG材料膜50が得られる。
【0085】
次に、例えば陽極接合装置を用いて、図8に示すように、ボロシリケートガラス板61(これはシリコンウェハー70と同じ形状と大きさを持つ)をSOG材料膜50の表面に接合させる。この時、SOG材料膜50の表面とボロシリケートガラス板61の表面との接合部が接合面80となる。
【0086】
こうして、ガラスカバー60を形成するガラス板61の接合が終了すると、続いて、図9に示すように、シリコンウェハー70とSOG材料膜50とガラス板61からなる積層体を、粘着剤82を用いてハンドリング用ホルダ81に取り付ける。粘着剤82を塗布する面はガラス板61の表面とする。これは、次に行われるシリコンウェハー70の加工(処理)を容易にするためである。ホルダ81は、シリコンウェハー70よりも少し大きい。
【0087】
そして、シリコンウェハー70の全体を薄くするために、所定厚さ(例えば100μm〜50μm)になるまでシリコン基板11をその裏面側から除去する。この工程は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)や公知のドライあるいはウェットエッチングにより行うことができる。機械的研磨法を併用してもよい。
【0088】
次に、パターン化されたレジスト膜をマスクとして、薄くされたシリコンウェハー70をその裏面側から選択的にエッチングして、図10に示すように、シリコンウェハー70を貫通する透孔31を複数個、形成する。透孔31の上端は、層間絶縁膜12の裏面まで達している。これらの透孔31の形成位置は、各表面電極15の直下である。この工程は、RIE(Reactive Ion Etching)、ICE(Inductively Coupled Etching)等のエッチングにより行うことができる。しかし、レーザー加工、陽極酸化等の方法で行ってもよい。
【0089】
次に、同じレジスト膜を用いて、再度、シリコンウェハー70をその裏面側から選択的にエッチングして、図11に示すように、層間絶縁膜12を貫通する透孔32を複数個、形成する。透孔32の上端は、表面電極15の裏面まで達している。これらの透孔32の形成位置は、各表面電極15の直下であり、各透孔31に重なる位置である。この工程も、RIE、ICE等のエッチングにより行うことができるが、レーザー加工、陽極酸化等の方法で行ってもよい。各透孔32は、対応する透孔31と連通している。
【0090】
次に、シリコンウェハー70を熱酸化し、図12に示すように、シリコンウェハー70の露出面に絶縁膜16a及び16bとしての二酸化シリコン膜(SiO2)を形成する。絶縁膜16aは、透孔31の内壁を覆っている。絶縁膜16bは、透孔31のある箇所を除いて、シリコンウェハー70の裏面全体を覆っている。
【0091】
次に、図13に示すように、透孔31及び32の内部にポリシリコンを充填し、導電性プラグ13及び14を形成する。この工程は、CVD(Chemical Vapor Deposition)によりシリコンウェハー70の裏面にポリシリコンを堆積した後、これをエッチバックすることにより行うことができる。ポリシリコンの堆積厚さは、透孔31及び32がポリシリコンで充填される程度の厚さにする必要がある。
【0092】
次に、図14に示すように、絶縁膜16bの表面にパターン化された配線膜18を形成する。各配線膜18は、対応する導電性プラグ13に接触している。この工程は、スパッタリング、メッキ、ペースト等により金属膜を選択的に形成することにより、行うことができる。
【0093】
その後、絶縁膜16bの表面にソルダーレジスト17を形成し、配線膜18を覆う。そして、ソルダーレジスト17の所定箇所に透孔を形成してから、その中に導電性材料を埋め込み、導電性コンタクト19を形成する。各導電性コンタクト19は、対応する配線膜18に接触している。なお、ソルダーレジスト17の表面は平坦化されている。この時の状態は図14に示すようになる。
【0094】
次に、図15に示すように、ソルダーレジスト17の表面にパターン化された銅ペースト20を複数個、形成する。各銅ペースト20は、対応する導電性コンタクト19に接触している。その後、各銅ペースト20の上にハンダボール21を形成する。
【0095】
このようにしてシリコンウェハー70上に複数の撮像装置部65が形成されると、図16に示すようなプロファイルを持つダイシングブレード83を用いて、碁盤状に形成されたスクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70のダイシングを行う。このダイシングブレード83は、略円板状で、公知のダイシング装置(ダイサー)の回転軸に装着して所定速度で回転可能とされており、先端に切断部83aを有すると共に、切断部83aに続いて形成された湾曲部83bを有している。切断部83aは、シリコンウェハー70を切断分離するための部分で、鋭利な刃を有している。湾曲部83bは、ガラス板61を切断するための部分で、図1に示したガラスカバー60のエッジ部60bの外形に整合する湾曲面を両側に有している。なお、切断後に撮像装置部65が分散しないように、シリコンウェハー70の裏面に公知のダイシングテープ(図示せず)を貼り付けておく。
【0096】
図16に示した形状を持つダイシングブレード83を一つのスクライブライン71上に配置して所定速度で回転させ、ダイシングブレード83をその切断部83aをガラス板61に接触させた状態で、加圧しながら当該スクライブライン71に沿って移動させる。この動作を繰り返すことにより、ガラス板61とSOG材料膜50、そして内部に固体撮像素子10が形成されたシリコンウェハー70は、当該スクライブライン71に沿って削られていき、図17に示す状態になる。この状態では、シリコンウェハー70が切断されていると共に、当該スクライブライン71の両側においてガラス板61に図1に示したエッジ部60bとなる湾曲面が形成されている。図17の状態では、各撮像装置部65は相互に分離されているが、シリコンウェハー70の裏面に貼り付けたダイシングテープによって一体的に保持される。
【0097】
図17のスクライブライン71に平行な他のスクライブライン71に沿った切削加工が終了すると、これらのスクライブライン71に直交するスクライブライン71に沿って同様の切削加工が行われる。こうして、図5に示した碁盤状に延在するスクライブライン71のすべてに沿って切削加工が終了すると、各スクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70が切断される。その結果、図18に示すように、シリコンウェハー70上にある撮像装置部65が相互に分離される。
【0098】
その後、各撮像装置部65のエッジ部60bの外側面に、光機能膜63を選択的に形成する。光機能膜63が必要ない部分を適当なマスク用膜で覆ってから光機能膜63を形成し、その後、そのマスク用膜を剥がすことにより、容易に形成することができる。あるいは、光機能膜63の原料を所望箇所に選択的に塗布してから硬化させてもよい。
【0099】
以上のような工程により、図1の構成を持つ固体撮像装置1が複数個、同時に得られる。こうして得られた固体撮像装置1の各々では、ガラスカバー60のエッジ部60bが図1及び図2に示した凸部60b1、凹部60b2及び遷移部60b3を持つ。したがって、ガラスカバー60に略四角錐台状のエッジ部60bを形成するために別個に加工を施すことが不要であり、したがって製造コストの上昇を回避することができる。
【0100】
固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂(図示せず)で覆う必要がないのであれば、これで製造工程が終了する。固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂(図示せず)で覆う必要があれば、当該絶縁性合成樹脂で被覆することにより、製造工程が終了する。
【0101】
(固体撮像装置の使用例)
図1及び図2の構成を持つ固体撮像装置1は、例えば、図3に示すように、高画質デジタルカメラのカメラモジュールとして使用される。このカメラモジュールは、固体撮像装置1と、そのガラスカバー60から所定距離をあけて配置された集光レンズ90と、集光レンズ90を収納するためのレンズ収納部材91とを備えている。集光レンズ90は、レンズ収納部材91の内部に固定されており、撮像光学系を構成する。固体撮像装置1は、ハンダボール21を用いてPWB(Printed Wiring Board)92上に実装されている。
【0102】
レンズ収納部材91の開口部から入射した光線は、図3のような経路で進む。すなわち、集光レンズ90の中心軸(固体撮像装置1の中心軸AX)の近傍に入射した光線L1は、集光レンズ90をほぼそのまま直進・透過してガラスカバー60の透過部60aに照射されるので、透過部60aを通過して撮像領域26に入射することができる。集光レンズ90の中心軸とそのエッジの中間付近に入射した光線L2は、集光レンズ90によって中心軸AXに向かって少し曲げられてから透過部60aに照射されるので、これも透過部60aを通過して撮像領域26に入射することができる。光線L2よりも集光レンズ90のエッジに寄った位置に入射した光線L3は、集光レンズ90によって中心軸AXに向かって大きく曲げられてから透過部60aに照射されるので、これも透過部60aを通過して撮像領域26に入射することができる。これは、レンズ収納部材91によって、集光レンズ90とガラスカバー60を透過して(他の箇所で反射することなく)撮像領域26に直接入射する外部光(直接入射光)のみが、撮像領域26に到達するように設計されているからである。
【0103】
しかし、製造上の寸法誤差や組立時の配置誤差などにより、集光レンズ90を透過した外部光が、ガラスカバー60のエッジ部60bに到達することがある。このような外部光は、エッジ部60bを介してガラスカバー60の内部に入り、撮像領域26に到達するので、画質劣化の原因となるものである。しかし、エッジ部60bの外側面は、図1及び図2に示すように切欠されて湾曲されており、凸部60b1、遷移部60b2及び凹部60b3から形成されている。また、エッジ部60bの外側面は、光機能膜63で覆われている。このため、エッジ部60bに到達した光線L4は、通常、透過部60aにもっとも近い凸部60b1で光機能膜63の表面に入射する。
【0104】
光機能膜63が光反射機能を持っていれば、すなわち光機能膜63が光反射膜であれば、中心軸AXより外側に向かって反射され、レンズ収納部材91の内面に到達する。レンズ収納部材91の内面には、そこでの光反射を防止するために光吸収膜(図示せず)が形成されているので、光機能膜63により反射された光線L4は、その光吸収膜によって吸収される。したがって、上述した原因(a)による光線L4に起因して画質が劣化することはない。
【0105】
また、ガラスカバー60の透過部60aに到達した外部光の一部が、透過部60aの表面で反射され、その反射した外部光が集光レンズ90によってさらにガラスカバー60に向かって反射されて、ガラスカバー60のエッジ部60bに到達することがある。このようにしてエッジ部60bに到達した光線L5が、遷移部60b3で光機能膜63の表面に入射した場合も、中心軸AXより斜め外側に向かって反射され、レンズ収納部材91の内面で光吸収膜によって吸収される。したがって、上述した原因(b)による光線L5に起因して画質が劣化することもない。集光レンズ90を透過してエッジ部60bに到達した光線L6が、凹部60b2で光機能膜63の表面に入射した場合も、同様に、中心軸AXより外側に向かって反射され、レンズ収納部材91の内面で光吸収膜によって吸収される。したがって、上述した原因(b)による光線L6に起因して画質が劣化することもない。
【0106】
光機能膜63が光吸収機能を持っていれば、すなわち光機能膜63が光吸収膜であれば、光機能膜63に到達した光線は光機能膜63それ自体により吸収されるので、光線L4、L5またはL6に起因して画質が劣化することがないことは明らかである。
【0107】
さらに、ガラスカバー60の内部に入った外部光は、例えば、図4に示すように伝播する。すなわち、図4において、ガラスカバー60の透過部60aにおいてその入射側端面からその内部に入った光線Laは、ガラスカバー60の出射側端面で反射された後、凸部60b1において光機能膜63の内面に入射する。その結果、光機能膜63が光反射機能を持つ場合は、光機能膜63で反射されて撮像領域26の外側に送られるので、光線Laは画質に影響を与えない。光機能膜63が光吸収機能を持つ場合は、光線Laは光機能膜63で吸収されるので、やはり画質に影響を与えない。
【0108】
ガラスカバー60の透過部60aにおいてその入射側端面からその内部に入った光線Lbは、ガラスカバー60の出射側端面と入射側端面との間で反射を繰り返した後、遷移部60b3において光機能膜63の内面に入射する。その結果、光機能膜63が光反射機能を持つ場合は、光機能膜63で入射側端面に向けて反射された後、入射側端面で反射されて撮像領域26の外側に送られるので、光線Lbも画質に影響を与えない。光機能膜63が光吸収機能を持つ場合は、光線Lbは光機能膜63で吸収されるので、やはり画質に影響を与えない。
【0109】
ガラスカバー60の透過部60aにおいてその入射側端面からその内部に入った光線Lcは、ガラスカバー60の出射側端面と入射側端面との間で反射を繰り返した後、凹部60b2において光機能膜63の内面に入射する。その結果、光機能膜63が光反射機能を持つ場合は、光機能膜63で反射されて撮像領域26に送られる。したがって、光線Lcは画質に影響を与える恐れがあるが、光量が小さいので、影響はあっても無視できる程度に抑えられる。光機能膜63が光吸収機能を持つ場合は、光線Lcは光機能膜63で吸収されるので、画質には影響を与えない。
【0110】
ガラスカバー60の透過部60aにおいてガラスカバー60の入射側端面に入射した光線Ldは、その入射側端面で反射されるが、その一部がガラスカバー60の内部に入り、撮像領域26に送られる。したがって、光線Ldは画質に影響を与える恐れがあるが、光量が小さいので、影響はあっても無視できる程度に抑えられる。
【0111】
ガラスカバー60の透過部60aにおいてエッジ部60bとの境界のごく近傍でガラスカバー60の入射側端面からその内部に入った光線Leは、ガラスカバー60の出射側端面で反射された後、凹部60b2において光機能膜63の内面に入射する。その結果、光機能膜63が光反射機能を持つ場合は、光機能膜63で反射されて撮像領域26の外側に送られる。したがって、光線Leは画質に影響を与えない。光機能膜63が光吸収機能を持つ場合は、光線Leは光機能膜63で吸収されるので、画質には影響を与えない。
【0112】
光線La、Lb、Lc、Ld及びLeとは異なる態様でガラスカバー60を伝播する光線も存在するが、光線La、Lb、Lc、Ld及びLeと同様にして、それら光線のかなりの部分が光機能膜63で反射されて撮像領域26の外側に送られるため、光機能膜63が光反射機能を持つ場合であっても、その画質に与える影響は無視できる程度に抑えられる。
【0113】
よって、光機能膜63が光吸収機能を持つ場合は言うまでもなく、光機能膜63が光反射機能を持つ場合であっても、上述した原因(c)に起因して画質が劣化することがない。
【0114】
以上詳述したように、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1では、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。また、本発明の第1実施形態に係るカメラモジュールにおいても、同様に、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0115】
なお、上述した本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1において、図1及び図2に示した固体撮像素子10の構成は例示であって、図1に示した構成以外の構成も使用可能である。また、光機能膜63に代えて光散乱領域を形成してもよい。光散乱領域は、例えば、後述する第3及び第4の実施形態のように、エッジ部60bの外側面を粗面化する等により形成することができる。
【0116】
(第2実施形態)
図19は、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aと、それを用いたカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。
【0117】
(固体撮像装置の構成)
本実施形態の固体撮像装置1Aは、ガラスカバー60Aのエッジ部60Abを除いて、上述した第1実施形態に係る固体撮像装置1と同じ構成を有しているので、同一構成の部分については第1実施形態に係る固体撮像装置1と同一符号を付してその説明を省略する。
【0118】
固体撮像装置1Aのガラスカバー60Aのエッジ部60Abは、第1実施形態の固体撮像装置1のエッジ部60bと同様に一部が選択的に除去されていて、全体としては、四角錐台に近似した形状とされている。したがって、ガラスカバー60Aの断面形状は、図19に示すように、入射側(上側)の辺が出射側(下側)の辺よりも短い略台形となっている。ガラスカバー60Aの平面形状は、入射側も出射側も矩形である。
【0119】
エッジ部60Abの入射側には、透過部60Aaとの境界に隣接して表面が凸状に湾曲せしめられた凸部60Ab1が形成されている。凸部60Ab1の平面形状は、矩形リング状である。凸部60Ab1の出射側には、第1実施形態のような遷移部60b3や凹部60b2は設けられていない。エッジ部60Abの表面は、図19に示すように、ガラスカバー60Aの入射側の端から出射側に向かって円弧状に湾曲しながら徐々に幅が広く(面積が大きく)なり、出射側の端より少し手前でSOG材料膜50の幅(面積)と一致している。A−A線に沿った断面に直交するB−B線に沿った断面においても、ガラスカバー60Aは図17と同じ断面形状を持つ。
【0120】
エッジ部60Abの選択的に除去された部分の外表面(外側面)、すなわち、凸部60Ab1の外表面(外側面)には、光機能膜63Aが形成されている。したがって、エッジ部60Abの外側面は、光機能膜63Aによって覆われている。
【0121】
光機能膜63Aは、第1実施形態における光機能膜63と同様の光反射機能または光吸収機能を持つ膜であり、ガラスカバー60Aの外側から照射された光を反射し、あるいは吸収するだけでなく、ガラスカバー60Aの内側から照射された光をも反射し、あるいは吸収する。これは、光機能膜63Aがエッジ部60Abの外側面に密着しているからである。
【0122】
このように、本発明では、エッジ部60Abの入射側に、透過部60Aaとの境界に隣接して表面が凸状に湾曲せしめられた凸部60Ab1のみを形成することもできる。
【0123】
(固体撮像装置の製造方法)
次に、図20を参照しながら、上記構成を持つ固体撮像装置1Aの製造方法について説明する。図20は、第1実施形態における図17の状態に対応するものである。
【0124】
第1実施形態と同様にして、シリコンウェハー70上に複数の撮像装置部65が形成されると、図20に示すようなプロファイルを持つダイシングブレード83Aを用いて、碁盤状に形成されたスクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70のダイシングを行う。このダイシングブレード83Aは、先端に切断部83Aaを有すると共に、切断部83Aaに続いて形成された湾曲部83Abを有している。切断部83Aaは、シリコンウェハー70を切断分離するための部分で、鋭利な刃を有している。湾曲部83Abは、ガラス板61を切断するための部分で、図19のエッジ部60Abの外形に整合する湾曲面を両側に有している。
【0125】
図20の形状を持つダイシングブレード83Aを一つのスクライブライン71上に配置して所定速度で回転させ、ダイシングブレード83Aをその切断部83Aaをガラス板61に接触させた状態で、加圧しながら当該スクライブライン71に沿って移動させる。この動作を繰り返すことにより、ガラス板61とSOG材料膜50、そして内部に固体撮像素子10が形成されたシリコンウェハー70は、当該スクライブライン71に沿って削られていき、図20に示す状態になる。この状態では、シリコンウェハー70が切断されていると共に、当該スクライブライン71の両側においてガラス板61に図19のエッジ部60Abとなる湾曲面が形成されている。図20の状態では、各撮像装置部65は相互に分離されているが、シリコンウェハー70の裏面に貼り付けたダイシングテープ(図示せず)によって一体的に保持される。
【0126】
図20のスクライブライン71に平行な他のスクライブライン71に沿った切削加工が終了すると、これらのスクライブライン71bに直交するスクライブライン71に沿って同様の切削加工が行われる。こうして、図4に示した碁盤状に延在するスクライブライン71のすべてに沿って切削加工が終了すると、各スクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70が切断される。その結果、図21に示すように、シリコンウェハー70上にある撮像装置部65が相互に分離される。
【0127】
その後、各撮像装置部65のエッジ部60Abの外側面に、光機能膜63Aを選択的に形成する。
【0128】
以上のような工程により、図19の構成を持つ固体撮像装置1Aが複数個、同時に得られる。こうして得られた固体撮像装置1Aの各々では、ガラスカバー60Aのエッジ部60Abが図19に示した凸部60Ab1を持つ。したがって、ガラスカバー60Aに略四角錐台状のエッジ部60Abを形成するために別個に加工を施すことが不要であり、したがって製造コストの上昇を回避することができる。
【0129】
固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂で覆う必要がないのであれば、これで製造工程が終了する。固体撮像装置1の側面全体をCSPの一部を構成する絶縁性合成樹脂(図示せず)で覆う必要があれば、当該絶縁性合成樹脂で被覆することにより、製造工程が終了する。
【0130】
(固体撮像装置の使用例)
図19の構成を持つ固体撮像装置1Aは、図19に示すように、高画質デジタルカメラのカメラモジュールとして使用される。このカメラモジュールは、第1実施形態に係るカメラモジュールと同じ構成である。
【0131】
レンズ収納部材91の開口部から入射した光線L1、L2及びL3は、図19のような経路で進む。これは第1実施形態の場合と同じである。製造上の寸法誤差や組立時の配置誤差などにより、ガラスカバー60のエッジ部60Abに入射した光線L4は、エッジ部60Abの凸部60Ab1で光機能膜63Aの表面に入射する。光機能膜63Aが光反射機能を持っていれば、光線L4は中心軸AXより外側に向かって反射され、レンズ収納部材91の内面に到達し、レンズ収納部材91の内面の光吸収膜(図示せず)に吸収される。したがって、上述した原因(a)による光線L4に起因して画質が劣化することはない。
【0132】
ガラスカバー60Aの透過部60Aaに到達した外部光の一部が、透過部60Aaの表面で反射され、その反射した外部光が集光レンズ90によってさらにガラスカバー60Aに向かって反射されて、光線L4よりも外側に到達した光線(図3の光線L5及びL6に相当)も、構成L4と同様に、中心軸AXより外側に向かって反射されるから、上述した原因(b)による光線に起因して画質が劣化することもない。
【0133】
光機能膜63Aが光吸収機能を持っていれば、光機能膜63に到達した光線は光機能膜63それ自体により吸収されるので、光線L4と図3の光線L5及びL6に相当する光線に起因して画質が劣化することがないことは明らかである。
【0134】
ガラスカバー60Aの内部に入った外部光は、図4に示す光線Laと同様に、ガラスカバー60の出射側端面で反射された後、あるいは、ガラスカバー60Aの出射側端面と入射側端面で反射された後、凸部60Ab1において光機能膜63Aの内面に入射する。その結果、光機能膜63Aが光反射機能を持つ場合は、光機能膜63Aで反射されて撮像領域26の外側に送られるので、ガラスカバー60Aの内部を伝播する光線は画質に影響を与えない。光機能膜63Aが光吸収機能を持つ場合は、その光線は光機能膜63Aで吸収されるので、やはり画質に影響を与えない。
【0135】
以上述べたように、本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置1Aでは、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。また、本発明の第1実施形態に係るカメラモジュールにおいても、同様に、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0136】
第2実施形態に係る固体撮像装置1Aにおいても、光機能膜63Aに代えて光散乱領域を形成してもよい。
【0137】
(第3実施形態)
図22は、本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bの概略構成を示す断面図である。図23は、そのガラスカバー60Bのエッジ部60Bbの部分拡大図である。
【0138】
本実施形態の固体撮像装置1Bは、上述した第2実施形態に係る固体撮像装置1Aにおいて、光機能膜63Aを省略し、その代わりに、ガラスカバー60Bのエッジ部60Bb1の表面に光散乱領域63Bを形成し、エッジ部60Bbに入射した光を散乱するようにしたものである。それ以外の構成は、第2実施形態に係る固体撮像装置1Aと同じであるから、その説明は省略する。
【0139】
光散乱領域63Bは、図21に示したものと同じ構成の撮像装置部65を形成した後、図23に示すように、ガラスカバー60Bのエッジ部60Bbの凸部60Bb1の表面(エッジ部60Bbの外側面)全体に多数の微細レンズ62Bを形成することにより、同表面に微細な凹凸を設けている。こうすることにより、エッジ部60Bbの表面が磨りガラス状になるため、エッジ部60Bbの表面に入射した光は散乱される。その結果、散乱された光の大部分は、レンズ収納部材91の内面の光吸収膜に吸収される。散乱された光の中には、集光レンズ90で反射されてエッジ部60Bbに戻ってくるものもあるが、その際には十分減衰しているから、画質に与える影響は無視できる程度である。
【0140】
ガラスカバー60Bの内部を伝播する光についても同様である。すなわち、エッジ部60Bb1の内面に入射した光は、微細レンズ62Bによって散乱されて減衰する。よって、この光は画質に影響を与えない。
【0141】
微細レンズ62Bは、公知の方法によって容易に形成することができる。例えば、エッジ部60Bbの表面にレジスト膜を形成した後、これを多数の島状部分にパターン化する。その後、これら島状部分を加熱して溶融させると、島状部分は表面張力でレンズ状になる。レンズ状に形成された島状部分の各々が微細レンズ62Bとなる。
【0142】
なお、微細レンズ62Bを形成するのに代えて、サンドブラスト法によって微細の砂粒をエッジ部60Bbの全表面に衝突させることにより、微細な凹凸を形成してもよい。この方法でも磨りガラス状の表面を持つエッジ部60Bbが得られるからである。
【0143】
本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置1Bでは、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。また、固体撮像装置1Bを用いた本発明の第3実施形態に係るカメラモジュールにおいても、同様に、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0144】
なお、光散乱領域63Bに代えて、上述した第1及び第2の実施形態で使用した光機能膜を形成してもよい。
【0145】
(第4実施形態)
図24は、本発明の第4実施形態に係る固体撮像装置1Cの概略構成を示す断面図である。図25は、そのガラスカバー60Cのエッジ部60Cbの部分拡大図である。
【0146】
本実施形態の固体撮像装置1Cは、ガラスカバー60Cのエッジ部60Cbを斜めに平面で切除して、テーパー部60Cb1を形成している。また、テーパー部60Cb1の表面に光散乱領域63Cを形成し、エッジ部60Cbに入射した光を散乱するようにしている。それ以外の構成は、第2実施形態に係る固体撮像装置1Aと同じであるから、その説明は省略する。
【0147】
この固体撮像装置1Cは、第2実施形態で使用されたダイシングブレード83Aの湾曲部83Abを、テーパー部60Cb1を形成できる斜面を持った傾斜部(図示せず)に代え、そのダイシングブレードを、第2実施形態と同様にして、碁盤状に形成されたスクライブライン71に沿ってシリコンウェハー70のダイシングを行うことにより、製造することができる。なお、特許文献4に開示されているように、テーパー部60Cb1を形成できる斜面を持ったブレードを用いてテーパー部60Cb1を先に形成し、その後、通常のプロファイルを持つダイシングブレードを用いて、シリコンウェハー70のダイシングを行ってもよい。
【0148】
光散乱領域63Cは、図25に示すように、エッジ部60Cbのテーパー部60Cb1の表面と側面(エッジ部60Cbの外側面)全体に多数の微細凹凸62Cを形成している。こうすることにより、エッジ部60Cb1の表面全体が磨りガラス状になるため、エッジ部60Cb1の表面に入射した光は散乱される。その結果、散乱された光の大部分は、レンズ収納部材91の内面の光吸収膜に吸収される。散乱された光の中には、集光レンズ90で反射されてエッジ部60Cbに戻ってくるものもあるが、その際には十分減衰しているから、画質に与える影響は無視できる程度である。
【0149】
ガラスカバー60Cの内部を伝播する光についても同様である。すなわち、エッジ部60Cb1の内面に入射した光は、微細凹凸62Cによって散乱されて減衰する。よって、この光は画質に影響を与えない。
【0150】
微細凹凸62Cは、公知の方法、例えばサンドブラスト法によって容易に形成することができる。
【0151】
本発明の第4実施形態に係る固体撮像装置1Cでは、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。また、固体撮像装置1Cを用いた本発明の第4実施形態に係るカメラモジュールにおいても、同様に、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0152】
なお、光散乱領域63Cを形成する微細凹凸62Cは、エッジ部60Cbのテーパー部60Cb1の表面に形成されていれば足り、エッジ部60Cbの側面の微細凹凸62Cは省略してもよい。
【0153】
なお、光散乱領域63Cに代えて、上述した第1及び第2の実施形態で使用した光機能膜を形成してもよい。
【0154】
(第1実施形態の第1変形例)
図26は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第1変形例を示す。この第1変形例では、光機能膜63−1が覆っている範囲が、第1実施形態に係る固体撮像装置1の光機能膜63よりも小さくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0155】
第1実施形態の固体撮像装置1では、光機能膜63は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているのに対し、第1変形例では、光機能膜63−1はエッジ部60bの凸部60b1のみを覆っている。このため、エッジ部60bの遷移部60b3と凹部60b2に照射された光については、反射または吸収の作用がない。しかし、遷移部60b3と凹部60b2に照射される光の量は小さいため、これによる影響は小さい。よって、第1変形例においても、第1実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
【0156】
(第1実施形態の第2変形例)
図27は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第2変形例を示す。この第2変形例では、光機能膜63−2が覆っている範囲が、第1実施形態に係る固体撮像装置1の光機能膜63よりも大きくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0157】
第2変形例では、光機能膜63−2は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているだけでなく、エッジ部60bの選択的に除去されていない側面(中心軸AXにほぼ平行な側面)も覆っている。このため、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面に照射された光についても、反射または吸収の作用が与えられる。よって、第2変形例では、第1実施形態の効果に加えて、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面に照射された光に起因する画質劣化の恐れをも解消できる、という効果がある。
【0158】
(第1実施形態の第3変形例)
図28は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第3変形例を示す。この第3変形例では、光機能膜63−3が覆っている範囲が、第2変形例の光機能膜63−2よりも大きくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0159】
第3変形例では、光機能膜63−3は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているだけでなく、エッジ部60bの選択的に除去されていない側面(中心軸AXにほぼ平行な側面)と、SOG材料膜50の側面も覆っている。このため、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面とSOG材料膜50の側面に照射された光についても、反射または吸収の作用が与えられる。よって、第3変形例では、第1実施形態と同様の効果に加えて、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面とに照射された光に起因する画質劣化の恐れをも解消できる、という効果がある。
【0160】
(第1実施形態の第4変形例)
図29は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第4変形例を示す。この第4変形例では、光機能膜63−4が覆っている範囲が、第3変形例の光機能膜63−3よりも大きくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0161】
第4変形例では、光機能膜63−4は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているだけでなく、エッジ部60bの選択的に除去されていない側面(中心軸AXにほぼ平行な側面)と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面をも覆っている。このため、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面に照射された光についても、反射または吸収の作用が与えられる。よって、第3変形例では、第1実施形態と同様の効果に加えて、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面に照射された光に起因する画質劣化の恐れをも解消できる、という効果がある。
【0162】
(第1実施形態の第5変形例)
図30は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第5変形例を示す。この第5変形例では、光機能膜63−5が覆っている範囲が、第4変形例の光機能膜63−4よりも大きくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0163】
第5変形例では、光機能膜63−5は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているだけでなく、エッジ部60bの選択的に除去されていない側面(中心軸AXにほぼ平行な側面)と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、シリコン基板11の裏面の周縁部をも覆っている。このため、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、、シリコン基板11の裏面の周縁部に照射された光についても、反射または吸収の作用が与えられる。よって、第3変形例では、第1実施形態と同様の効果に加えて、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、シリコン基板11の裏面の周縁部に照射された光に起因する画質劣化の恐れをも解消できる、という効果がある。
【0164】
(第1実施形態の第6変形例)
図31は、本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置1(図1を参照)の第6変形例を示す。この第6変形例では、光機能膜63−6が覆っている範囲が、第5変形例の光機能膜63−5よりも大きくなっている点のみが異なり、その他の構成は同じである。
【0165】
第6変形例では、光機能膜63−6は、エッジ部60bの凸部60b1、遷移部60b3、凹部60b2のすべてを覆っているだけでなく、エッジ部60bの選択的に除去されていない側面(中心軸AXにほぼ平行な側面)と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、シリコン基板11の裏面のほぼ全体をも覆っている。このため、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、シリコン基板11の裏面に照射された光についても、反射または吸収の作用が与えられる。よって、第3変形例では、第1実施形態と同様の効果に加えて、エッジ部60bの中心軸AXにほぼ平行な側面と、SOG材料膜50の側面と、シリコン基板11の側面と、、シリコン基板11の裏面に照射された光に起因する画質劣化の恐れをも解消できる、という効果がある。
【0166】
(第5実施形態)
図32は、本発明の第5実施形態に係る固体撮像装置1Dと、それを用いたカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。ただし、図21では集光レンズ90とレンズ収納部材91を省略している。
【0167】
本実施形態の固体撮像装置1Dは、上述した第1〜第4の実施形態とは異なり、ガラスカバー60Dのエッジ部60Dbが選択的に除去されておらず、透過部60Daと同様に平坦である。したがって、この固体撮像装置1Dを製造する際には、図16や図20に示したような湾曲面を持つダイシングブレードは不要である。通常のプロファイルを持つダイシングブレードを使用すればよい。
【0168】
エッジ部60Dbには、その全面にわたって、上述した第3実施形態に係る固体撮像装置1Bで使用されているものと同様の微細レンズ62Bが形成されており、それによって光散乱領域63Dが形成されている。微細レンズ62Bを形成するのに代えて、サンドブラスト法によって微細の砂粒をエッジ部60Dbの全面に衝突させることにより、超微細レンズ62Bによるものと同様の微細凹凸を形成してもよい。
【0169】
こうすることにより、エッジ部60Dbの表面が磨りガラス状になるため、エッジ部60Dbの表面に入射した光は散乱される。その結果、散乱された光の大部分は、レンズ収納部材91の内面の光吸収膜に吸収される。散乱された光の中には、集光レンズ90で反射されてエッジ部60Dbに戻ってくるものもあるが、その際には十分減衰しているから、画質に与える影響は無視できる程度である。
【0170】
ガラスカバー60Dの内部を伝播する光についても同様である。すなわち、エッジ部60Dbの内面に入射した光は、光散乱領域63Dによって散乱されて減衰する。よって、この光は画質に影響を与えない。
【0171】
本発明の第5実施形態に係る固体撮像装置1Dによれば、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。また、本発明の第1実施形態に係るカメラモジュールにおいても、同様に、簡単な構成で上記(a)〜(c)に起因する画質劣化を防止することができる。
【0172】
なお、光散乱領域63Dに代えて、上述した第1及び第2の実施形態で使用した光機能膜を形成してもよい。しかし、その場合は、エッジ部60Dbでの光反射を避けるため、当該光機能膜に光吸収機能を持たせるのが好ましい。
【0173】
(他の変形例)
上述した第1〜第5の実施形態及び第1〜第6の変形例は本発明を具体化した例を示すものであり、したがって本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を外れることなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施形態では、透明カバー(ガラスカバー)のエッジ部の入射側に、透過部との境界に隣接して表面が凸状に湾曲せしめられた凸部を形成し、あるいはその凸部に連続してさらに遷移部と凹部を形成しているが、透明カバーのエッジ部の入射側の表面形状はこれら以外の形状とすることも可能である。
【0174】
また、固体撮像素子の構成は任意であり、レンズ(マイクロレンズ)やカラーフィルタ(マイクロフィルタ)を有していても、有していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す、図2のA−A線に沿った断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の表面側(光の入射側)の概略外観図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置を用いたカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置におけるガラスカバー内部での光の伝播態様を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の撮像装置部が複数個形成されたシリコンウェハーの概略平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図6の続きである。
【図8】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図7の続きである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図8の続きである。
【図10】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図9の続きである。
【図11】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図10の続きである。
【図12】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図11の続きである。
【図13】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図12の続きである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図13の続きである。
【図15】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図14の続きである。
【図16】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図15の続きである。
【図17】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図16の続きである。
【図18】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図17の続きである。
【図19】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置を用いたカメラモジュールの概略構成を示す断面図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図17に対応する状態を示す。
【図21】本発明の第2実施形態に係る固体撮像装置の製造方法を工程毎に示す部分断面図で、図20の続きである。
【図22】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図23】本発明の第3実施形態に係る固体撮像装置のガラスカバーの部分拡大図である。
【図24】本発明の第4実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図25】本発明の第4実施形態に係る固体撮像装置のガラスカバーの部分拡大図である。
【図26】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第1変形例の概略構成を示す断面図である。
【図27】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第2変形例の概略構成を示す断面図である。
【図28】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第3変形例の概略構成を示す断面図である。
【図29】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第4変形例の概略構成を示す断面図である。
【図30】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第5変形例の概略構成を示す断面図である。
【図31】本発明の第1実施形態に係る固体撮像装置の第6変形例の概略構成を示す断面図である。
【図32】本発明の第5実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0176】
1、1A、1B、1C 固体撮像装置
10 固体撮像素子
11 シリコン基板
12 層間絶縁膜
13 導電性プラグ
14 導電性プラグ
15 表面電極
16a、16b 絶縁膜
17 ソルダーレジスト
18 配線膜
19 導電性コンタクト
20 銅ペースト
21 ハンダボール(外部電極)
22 マイクロレンズ
22A マイクロレンズ・アレイ
23 受光領域
24 マイクロフィルタ
25 撮像面
26 撮像領域
31 透孔
32 透孔
50 SOG材料膜
60、60A、60B、60C ガラスカバー
60a、60Aa、60Ba、60Ca 透過部
60b、60Ab、60Bb、60Cb エッジ部
60b1、60Ab1 凸部
60b2 凹部
60b3 遷移部
60Cb1 テーパー部
61 ガラス板
62B 微細レンズ
62C 微細凹凸
63、63A 光機能膜
63−1、63−2、63−3、63−4、63−5、63−6 光機能膜
63B、63C 光散乱領域
65 撮像装置部
70 シリコンウェハー
71 スクライブライン
80 接合面
81 ハンドリング用ホルダ
82 粘着剤
83、83A ダイシングブレード
83a、83Aa 切断部
83b、83Ab 湾曲部
90 集光レンズ
91 レンズ収納部材
92 PWB
PX 画素
AX 固体撮像装置の中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像領域を有する固体撮像素子と、
前記撮像領域の全面を覆う透明カバーとを備え、
前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部は、その全周にわたって選択的に除去されていて、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分を前記透明カバーに形成しており、
前記錐台状部分の外面には、光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域が形成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記エッジ部の前記錐台状部分の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所に、湾曲した凸部が形成されている請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記凸部が前記エッジ部の全面にわたって延在している請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記凸部と共に、遷移部を介して前記凸部に連接する湾曲した凹部が形成されている請求項2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記エッジ部の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所にテーパー部が形成されている請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面に形成された光機能膜により形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面を処理することによって当該外面に形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
撮像領域を有する固体撮像素子と、
前記撮像領域の全面を覆う透明カバーとを備え、
前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部には、光散乱領域が形成されていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項9】
前記光散乱領域が、前記エッジ部の表面に形成された複数の微細レンズにより実現されている請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記光散乱領域が、前記エッジ部の表面に形成された微細凹凸によって実現されている請求項8に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
複数の固体撮像素子が形成された半導体ウェハーを準備する工程と、
複数の前記固体撮像素子の全体を覆うように、透明絶縁膜を介して前記半導体ウェハー上に透明カバー用透明板を接合する工程と、
前記透明カバー用透明板を接合してなる前記半導体ウェハーを、ダイシング用ブレードを用いて、前記固体撮像素子の各々を含む領域毎にダイシングすることにより、前記半導体ウェハーを分割し、もって表面が透明カバーで覆われた複数の撮像装置部を得る工程と、
複数の前記撮像装置部の各々について、前記透明カバーに光吸収、光反射または光散乱作用を持つ光機能領域を形成し、もって固体撮像装置を得る工程とを備え、
前記固体撮像装置の前記透明カバーは、前記固体撮像素子の撮像領域に対応する透過部と、その透過部より外側において当該透過部を取り囲むエッジ部とを有しており、
前記透明カバーの前記エッジ部は、前記半導体ウェハーをダイシングする前記工程において、所定のプロファイルを持つ前記ダイシング用ブレードによってその全周にわたって選択的に除去され、それによって光出射側から光入射側に向かってその断面積が単調に減少する錐台状部分が前記透明カバーに形成されており、
前記光機能領域は、前記錐台状部分の外面に形成されていることを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項12】
前記ダイシング用ブレードが、前記半導体ウェハーおよび前記透明絶縁膜を切断するための切断部と、前記透明カバー用透明板を切断して前記透明カバーの前記エッジ部に前記錐台状部分を形成するための湾曲部とを有している請求項11に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項13】
前記ダイシング用ブレードの前記湾曲部により、前記エッジ部の前記錐台状部分の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所に湾曲した凸部が形成される請求項12に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項14】
前記ダイシング用ブレードの前記湾曲部により、前記エッジ部の光入射側において、前記透過部との境界に隣接する箇所にテーパー部が形成される請求項12に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項15】
前記光機能領域として、前記錐台状部分の外面に光機能膜が形成される請求項11〜14のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項16】
前記光機能領域が、前記錐台状部分の外面を処理することによって当該外面に形成される請求項11〜14のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の前記固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の前記透明カバーの前記透過部を介して、外部光を前記固体撮像素子の撮像領域に照射する撮像光学系と
を備えたことを特徴とするカメラモジュール。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2008−166632(P2008−166632A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356931(P2006−356931)
【出願日】平成18年12月29日(2006.12.29)
【出願人】(506308437)
【Fターム(参考)】