説明

固定構造、固定構造を備える流体圧緩衝器

【課題】 この発明は、流体圧緩衝器等の固定構造に関し、インナーチューブ及びシリンダをボトム部材に同軸に固定する固定構造の改良に関する。
【解決手段】 インナーチューブ2と、このインナーチューブ2の内側に配置される小径のシリンダ31と、これらを固定するボトム部材20とを備えてなり、上記ボトム部材20が開口側に大径の円柱状空間を形成する開口側大開口部20aと、上記円柱状空間の奥側に同軸に小径の円柱状空間を形成する奥側小開口部20bとを備え、インナーチューブ2及びシリンダ31をボトム部材20に同軸に固定する固定構造において、上記シリンダの先端部が拡径されてなる拡径部4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固定構造及び固定構造を備える流体圧緩衝器に関し、特に、大径の筒状部材及び小径の筒状部材をブラケットに同軸に固定する固定構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
固定構造及び固定構造を備える流体圧緩衝器は、これまでに種々の提案がなされており、例えば、二輪車の車輪を懸架しながらその車輪に入力される路面振動を減衰するフロントフォークやリアクッションユニット等の懸架装置に具現化される。
【0003】
特許文献1には、固定構造をフロントフォークに具現化した技術が開示されており、このフロントフォークは、アウターチューブとインナーチューブとからなり上下端をキャップ部材とボトム部材とでそれぞれ封止されるフォーク本体と、このフォーク本体内に収容されて所定の減衰力を発生するダンパとを備える。
【0004】
このダンパは、上記インナーチューブの軸心部に起立して作動流体を収容するシリンダと、アウターチューブに固定されて上記シリンダ内に出没するロッドと、このロッドの先端に保持されて上記シリンダ内を二つの圧力室に区画するピストンとを備える。
【0005】
そして、特許文献1に開示のフロントフォークは、以下の構造を備えることにより、大径の筒状部材たるインナーチューブ及び小径の筒状部材たるシリンダをブラケットたるボトム部材に同軸に固定する。
【0006】
特許文献1の図4に開示されるように、ボトム部材は、筒状に形成されてなり、図中上方に大径の円柱状空間を形成する開口側大開口部と、この円柱状空間の図中下側に同軸に小径の円柱状空間を形成する奥側小開口部とを備える。
【0007】
そして、上記開口側大開口部内周にインナーチューブの先端部を螺合し、上記奥側小開口部に挿入されて上記ボトム部材の図中下端を閉塞するベース部材にシリンダの先端部を螺合する。
【0008】
上記構成を備えることにより、特許文献1に開示のフロントフォークは、インナーチューブ及びシリンダを同軸に配置しながらボトム部材に固定することが可能となる。
【0009】
しかしながら、上記特許文献1の固定構造においては、ベース部材とボトム部材との間を密閉し、シリンダの先端部を螺子加工する必要があるため、構造が複雑でコスト高となる不具合があった。
【0010】
そこで、出願人は、コスト低減を図るため以下の固定構造を創案した。
【0011】
この固定構造においては、図5に記載のように、ボトム部材20を有底筒状に形成し、開口側大開口部20a内周と奥側小開口部20b内周との境界に形成される段部20cにガイドワッシャWを配置する。
【0012】
そして、開口側大開口部20a内周にインナーチューブ2の先端部(図中下側)を螺合して、インナーチューブ2の先端と上記段部20cとの間に上記ガイドワッシャWを挟持する。
【0013】
次いで、奥側小開口部20b内にシリンダ31の先端部(図中下側)を挿通しながらシリンダ31の他端部(図中上側)とインナーチューブ2とを結合手段Jを介して結合する。
【0014】
上記構成を備えることにより、上記フロントフォークは、シリンダ31の中間固定構造を備えてなり、上記不具合を解決すると共にインナーチューブ2とシリンダ31とを同軸に配置しながらボトム部材20に固定することが可能となる。
【0015】
更に、上記ガイドワッシャWを備えることにより、シリンダ31をインナーチューブ2内に挿通する際、上記シリンダ31の先端を調心しながら奥側小開口部20b内に案内することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008−69830号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記従来の固定構造を備えるフロントフォークにおいて、インナーチューブとシリンダとをボトム部材に固定して同軸に配置することが可能となる点において有用であるが、以下の不具合を指摘される虞がある。
【0018】
即ち、上記従来の固定構造においては、ガイドワッシャが必要となるが、このガイドワッシャがボトム部材内に装着されるため、目視確認することが困難である。
【0019】
したがって、ガイドワッシャを装着し忘れた場合には、発見することが困難であり、シリンダを組み付ける際にシリンダの先端が軸ずれを起こして組み付け性を悪化させる虞がある。
【0020】
そこで、本発明の目的は、ガイドワッシャを廃止して、組み付け性を良好に保つことが可能な固定構造及びこの固定構造を備える流体圧緩衝器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記課題を解決するための手段は、大径の筒状部材と、この筒状部材の内側に配置される小径の筒状部材と、これら筒状部材を固定するブラケットとを備えてなり、上記ブラケットが開口側に大径の円柱状空間を形成する開口側大開口部と、上記円柱状空間の奥側に同軸に小径の円柱状空間を形成する奥側小開口部とを備え、上記両筒状部材をブラケットに同軸に固定する固定構造において、上記小径の筒状部材の先端部の少なくとも一部が拡径されてなる調心手段を備えることである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、小径の筒状部材の先端部に調心手段を備えることにより、ガイドワッシャを廃止することが可能となり、ガイドワッシャの装着忘れを防止して組み付け性を良好に保つことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態に係る固定構造を備える流体圧緩衝器たるフロントフォークの最収縮状態を示す半断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る固定構造を備える流体圧緩衝器たるフロントフォークのボトム部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態印係る固定構造におけるシリンダとボトム部材とを拡大して示すXX横断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る固定構造を備える流体圧緩衝器たるフロントフォークにおけるダンパのヘッド部を拡大して示す縦断面図である。
【図5】従来の固定構造を備える流体圧緩衝器たるフロントフォークを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の一実施の形態を示す固定構造について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたはそれに対応する部品を示す。
【0025】
本実施の形態に係る固定構造は、二輪車の前輪を懸架するフロントフォークに具現化されてなり、このフロントフォークは、路面の凹凸により前輪に入力される路面振動を減衰する流体圧緩衝器である。
【0026】
図示しないが、上記フロントフォークは、上端部をブリッジ機構で連結される左右一対のフォーク部材からなり、各フォーク部材の下端部を前輪の車軸に連結して前輪を挟むようにして懸架する。
【0027】
また、上記ブリッジ機構は、同じく図示しないが、ハンドルに連結されるステアリングシャフトを有し、当該構成を備えることによりハンドル操作により前輪を転舵することが可能となる。
【0028】
上記フォーク部材は、図1に示すように、アウターチューブ1と、このアウターチューブ1内に摺動自在に挿入されるインナーチューブ2とからなる緩衝器本体たるフォーク本体を備える。
【0029】
そして、アウターチューブ1が車体側に、インナーチューブ2が車輪側に配置されて倒立型のフロントフォークを構成する。
【0030】
上記フォーク本体は、その上下端をキャップ部材10とボトム部材20とでそれぞれ封止されてなり、内部に路面振動を吸収する懸架ばねS1と、所定の減衰力を発生するダンパ3とを収容してなる。
【0031】
上記構成を備えることにより、フロントフォークは、路面振動の吸収に伴う伸縮運動を上記ダンパ3で減衰することが可能となり、二輪車の乗り心地を良好にすることが可能となる。
【0032】
また、フォーク本体と上記ダンパ3との間には、リザーバ室Rが形成されてなり、作動流体が貯留されると共に作動流体の液面Oを介して上方に気体が封入されて気室Gが形成される。
【0033】
上記気室Gは、フォーク本体の伸縮に伴い膨縮して所定のばね反力を生じ、エアスプリングとして機能する。
【0034】
尚、図示しないが、上記気室Gの内圧は、キャップ部材10に設けられるエアバルブによって高低調整されることが可能である。
【0035】
上記懸架ばねS1は、キャップ部材10に固定される筒状のばね受けケース11と、後述のダンパ3のヘッド部材30との間に介装されるコイルスプリングからなる。
【0036】
そして、上記ばね受ケース11は、キャップ部材10の軸心部に設けられるアジャスタ12の回動操作で上下動して、上記懸架ばねS1のばね力の高低調整をする。
【0037】
上記ダンパ3は、インナーチューブ2の軸心部に起立して作動流体を収容するシリンダ31と、アウターチューブ1にキャップ部材10を介して固定されて上記シリンダ31内に出没するロッド32と、このロッド32の出没に伴い所定の減衰力を発生する減衰力発生手段とを備えてなる。
【0038】
上記減衰力発生手段は、フォーク本体の伸張時に所定の減衰力を発生する伸側リーフバルブ(図示せず)と、フォーク本体の収縮時に所定の減衰力を発生する圧側リーフバルブ(図示せず)とからなる。
【0039】
本実施の形態において、上記伸側リーフバルブは、上記ロッド32の先端に保持されるピストン33に、上記圧側リーフバルブは、上記シリンダ31のボトム端(図中下側)に固定されるベース部材34に装着される。
【0040】
上記ピストン33は、外周をシリンダ31内周に摺接して、上記シリンダ31内を二つの作用室、即ち、ロッド側に位置する伸側作用室P1とピストン側に位置する圧側作用室P2とに区画する。
【0041】
そして、上記ピストン33には、図示しないが、上記二つの作用室P1、P2を連通する伸側流路と圧側流路とが形成されてなり、上記伸側流路の出口側たる圧側作用室P2側に上記伸側リーフバルブが開閉可能に装着される。
【0042】
一方、上記圧側流路には、出口側たる伸側作用室P1側に圧側チェック弁C1が開閉自在に装着される。
【0043】
また、上記ベース部材34には、同じく図示しないが、上記圧側作用室P2とリザーバ室Rとを連通する伸側流路と圧側流路とが形成されてなり、この圧側流路の出口側たるリザーバ室R側に上記圧側リーフバルブが開閉可能に装着される。
【0044】
一方、上記ベース部材34の伸側流路には、出口側たる圧側作用室P2側に伸側チェック弁C2が開閉自在に装着される。
【0045】
上記構成を備えることにより、作動流体が上記各リーフバルブを押し開いて移動する際に抵抗を生じるため、フロントフォークは、フォーク本体の伸縮運動を減衰して流体圧緩衝器として機能することが可能となる。
【0046】
そして、フォーク本体の伸縮の際に、ベース部材34を介してロッド32の出没分シリンダ31内で過不足する作動流体をリザーバ室Rで補償することが可能となる。
【0047】
本実施の形態に係る固定構造は、上記フロントフォークにおいて、インナーチューブ2及びシリンダ31をボトム部材20に同軸に固定するものであり、特許請求の範囲でいうところの大径の筒状部材がインナーチューブ2、同小径の筒状部材がシリンダ31、同ブラケットがボトム部材20である。
【0048】
上記ボトム部材20は、図2に示すように、開口側に大径の円柱状空間を形成する開口側大開口部20aと、上記円柱状空間の奥側(図2中下側)に同軸に小径の円柱状空間を形成する奥側小開口部20bとを備える。
【0049】
そして、上記開口側大開口部20a内周にインナーチューブ2の先端部(図2中下部)を結合し、次いで、上記奥側小開口部20b内にシリンダ31の先端部(図2中下部)を挿通する。
【0050】
このとき、シリンダ31の他端部(図1中上部)とインナーチューブ2とを結合手段Jを介して結合し、インナーチューブ2及びシリンダ31をボトム部材20に同軸に固定する。
【0051】
即ち、本実施の形態に係るフロントフォークは、シリンダ31の中間固定構造を備えてなる。
【0052】
そして、固定構造は、シリンダ31の先端部の少なくとも一部が拡径されてなる調心手段を備えてなり、このシリンダ31の先端部とは、シリンダ31と奥側小開口部20bとが重なる部分をいうものである。
【0053】
上記調心手段は、シリンダ31の先端部に部分的に凸設されてなる拡径部4であり、この拡径部4は、図3に示すように、シリンダ31の周方向に四箇所配置される。
【0054】
そして、上記拡径部4は、奥側小開口部内周21に当接しない程度に拡径されてなり、シリンダ31の先端部を塑性変形させることにより形成される。
【0055】
上記構成を備えることにより、ボトム部材20に固定されるインナーチューブ2内にシリンダ31を挿通する際に、シリンダ31の先端部を拡径部4で調心しながら奥側小開口部20b内に挿通することが可能となる。
【0056】
つまり、シリンダ31の先端部が軸ずれを起こした場合、奥側小開口部20b内周に拡径部4が接触してシリンダ31を正規の位置に修正し、調心することが可能となる。
【0057】
したがって、従来のガイドワッシャWを廃止してガイドワッシャWの装着忘れを防止し、組み付け性を良好に保つことが可能となる。
【0058】
また、上記調心手段がシリンダ31に形成されるため、シリンダ31を組み付ける際、調心手段を備えていることを目視確認することが容易に可能となり、調心手段を有していないシリンダ31を誤って組み付けることを防止することが可能となる。
【0059】
また、調心手段を拡径部4とすることにより、拡径されていない部分R1を作動流体が容易に通過することが可能となり、リザーバ室R1内を移動する作動流体の移動の妨げとならない。
【0060】
尚、上記調心手段の構成は上記の限りではなく、適宜選択することが可能である。
【0061】
例えば、本実施の形態において拡径部4を四箇所に形成するとしたが三箇所以上であれば良く、シリンダ31の図中前後左右方向への軸ずれを修正し得るよう、シリンダ31と同心円周上に均等に配置することが好ましい。
【0062】
また、本実施の形態においては調心手段が部分的に凸設される拡径部4としたが、図示しないが、上記調心手段をシリンダ31の円周に沿って拡径させるとしても良い。
【0063】
この場合においては、同じく図示しないが、調心手段が作動流体の移動の妨げとなることを防ぐため、奥側小開口部内周に軸方向に凹設される溝を形成することが好ましい。
【0064】
インナーチューブ2とシリンダ31とを結合して上記シリンダ31をボトム部材20に固定する結合手段Jは、図4に示すように、インナーチューブ2内に挿通される環状のストッパ部材5と、このストッパ部材5をインナーチューブ2に固定するピン部材6と、上記ストッパ部材5の内周に螺合してシリンダ31の基端側に当接するヘッド部材30とを備える。
【0065】
上記ピン部材6は、基端にフランジ60を備えるピン61と、上記フランジ60に形成される溝(符示せず)に係合するスナップリング62とからなる。
【0066】
また、上記ストッパ部材5及びインナーチューブ2には、上記ピン61が挿通する挿通孔5a、2aがそれぞれ設けられており、上記ピン61が両挿通孔5a、2aをストッパ部材5の内側から貫通する。
【0067】
そして、上記ピン61が上記スナップリング62で外側に附勢されることから、フランジ60とストッパ部材5の内周面とが当接して抜け止めされる。
【0068】
上記構成を備えることにより、上記ストッパ部材5をインナーチューブ2内に挿通して上記両挿通孔5a、2aが重なり合ったとき、スナップリング62の附勢力で上記ピン61がインナーチューブ2の挿通孔2aに挿通し、ストッパ部材5がインナーチューブ2に固定される。
【0069】
上記ストッパ部材5内周に螺合されるヘッド部材30は、シリンダ31の基端に当接してボトム部材20との間に上記シリンダ31を挟持する。
【0070】
また、上記ヘッド部材30は、筒状に形成される筒状本体30aと、この筒状本体30aの内側に延設されて内周が小径に形成される環状の底部30bとからなり、この底部30bの内周に装着される環状のブッシュBで上記ロッド32を摺動自在に抱持して上記ロッド32をシリンダ31内に案内すると共にシリンダ31の図中上端開口を封止するものである。
【0071】
上記構成を備えることにより、ロッド32をシリンダ31内に案内するヘッド部材30を取り付ける際、シリンダ31の上端部に螺子加工を施してヘッド部材30とシリンダ31とを螺合する必要がなく、シリンダ31の加工が容易である。
【0072】
また、シリンダ31の先端(図中下端)とボトム部材20との間にベース部材34を挟持することが可能となり、特許文献1に記載されるようなボトム部材20にベース部材34を設けるための開口や、ボトム部材とベース部材との間を封止するシール等、ベース部材34をボトム部材20に取り付けるための構造が不要となる。
【0073】
したがって、フロントフォークの構成を簡素化してコストの低減を図ることが可能となる。
【0074】
尚、インナーチューブ2とシリンダ31とを結合する結合手段Jの構成は上記の限りではなく、適宜構成を選択することが可能である。
【0075】
ところで、上記ヘッド部材30における筒状本体30aは、図4中に示すように、フォーク本体が収縮してロッド31に固定されるオイルロックピース8が筒状本体30a内に嵌入したとき、オイルロック効果を発揮するオイルロックケースとして機能する。
【0076】
上記オイルロックピース8は、ロッド32の外周に固定されるホルダ9に遊嵌されてなり、上記ホルダ9外周とオイルロックピース8内周との間に隙間流路Lを形成する。
【0077】
そして、図4に示すように、フォーク本体の最収縮時にオイルロックピース8が筒状本体30a内に嵌入することにより、オイルロックピース8がホルダ9に対して上昇し、上記オイルロックピース8が上記隙間流路Lを閉鎖してオイルロック状態とする。
【0078】
また、図示しないが、フォーク本体が伸張してホルダ9が筒状本体30a内を図中上方に移動することにより、オイルロックピース8がホルダ9に対して下降し、上記隙間流路Lを開放状態にしてオイルロック状態を解除する。
【0079】
一方、フォーク本体が最伸張時には、ピストン33の図1中上側に配設される伸きりばねS2がピストン33とヘッド部材30との間に挟まれて、所定のばね反力を発生する。
【0080】
上記構成を備えることにより、フォーク本体の最収縮時及び最伸張時にオイルロック効果及びクッション効果を発揮することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0082】
例えば、上記実施の形態においては、本実施の形態に係る固定構造をフロントフォークに具現化するとしたがこの限りではなく、他の装置に具現化されるとしても良いことは勿論である。
【0083】
また、上記実施の形態において、シリンダ31の中間固定構造を備えるフロントフォークに本発明が具現化されるが、シリンダがベース部材に螺合される特許文献1のシリンダ固定構造を備える従来のフロントフォークに本発明が具現化されるとしても良い。
【符号の説明】
【0084】
C1、C2 チェック弁
G 気室
J 結合手段
P1 伸側作用室
P2 圧側作用室
R リザーバ室
S1 懸架ばね
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
3 ダンパ
4 拡径部
5 ストッパ部材
6 ピン部材
10 キャップ部材
11 ばね受けケース
20 ボトム部材
20a 開口側大開口部
20b 奥側小開口部
30 ヘッド部材
30a 筒状本体
30b 底部
31 シリンダ
32 ロッド
33 ピストン
34 ベース部材
60 フランジ
61 ピン
62 スナップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大径の筒状部材と、この筒状部材の内側に配置される小径の筒状部材と、これら筒状部材を固定するブラケットとを備えてなり、
上記ブラケットが開口側に大径の円柱状空間を形成する開口側大開口部と、上記円柱状空間の奥側に同軸に小径の円柱状空間を形成する奥側小開口部とを備え、
上記両筒状部材をブラケットに同軸に固定する固定構造において、
上記小径の筒状部材の先端部の少なくとも一部が拡径されてなる調心手段を備えることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
上記開口側大開口部内周に上記大径の筒状部材の先端部を結合し、次いで、上記奥側小開口部内に上記小径の筒状部材の先端部を挿通しながら上記小径の筒状部材の他端部と上記大径の筒状部材とを結合手段を介して結合することを特徴とする請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
上記調心手段が上記小径の筒状部材の先端部に部分的に凸設されてなる拡径部であり、この拡径部が三箇所以上設けられると共に周方向に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
上記結合手段が上記大径の筒状部材内に挿通される環状のストッパ部材と、このストッパ部材を上記大径の筒状部材に固定するピン部材と、上記ストッパ部材の内周に螺合されて上記小径の筒状部材の基端側に当接するヘッド部材とを備え、
上記ヘッドパ部材と上記ブラケットとで上記小径の筒状部材を挟持することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の固定構造。
【請求項5】
アウターチューブとインナーチューブとからなり上下端をキャップ部材とボトム部材とでそれぞれ封止される緩衝器本体と、この緩衝器本体内に収容されて所定の減衰力を発生するダンパとを備える流体圧緩衝器において、
上記ダンパは、上記インナーチューブの軸心部に起立して作動流体を収容するシリンダと、上記アウターチューブに上記キャップ部材を介して固定されて上記シリンダ内に出没するロッドと、このロッドの先端に保持されて上記シリンダ内を二つの作用室に区画するピストンとを備え、
上記大径の筒状部材を上記インナーチューブ、上記小径の筒状部材を上記シリンダ、上記ブラケットを上記ボトム部材として、
請求項1から請求項4の何れかに記載の固定構造を備えて上記インナーチューブ及び上記シリンダを上記ボトム部材に同軸に固定することを特徴とする流体圧緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−31880(P2012−31880A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169465(P2010−169465)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】