説明

土粒子計測システム及び土粒子計測方法

【課題】土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子計測システム、土粒子計測及びプログラムを提供する。
【解決手段】本発明の土粒子計測システムは、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサ11と、FBGセンサ11から出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザ12と、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置13とを備える。土粒子管理・監視装置13は、当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギー及び運動エネルギー期待値を算出し、運動エネルギーと運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になる仮定値の運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体によって運ばれる土粒子の粒径及び流砂量を計測する土粒子計測システム及び土粒子計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荒廃した山地をはじめとする土地から土砂が流出すると、河床が上昇して河川の流れが変わることがある。また、ダム等により土砂供給が遮断されると水みちが固定したり河床が低下したりする。このような現象は、河川の形を急激に変えて洪水氾濫など周囲への被害を与えるばかりでなく、生活用水を取水することが不便になる場合も少なくない。また、海岸地形の変化をもたらす場合もある。このようなことから、河川での土砂の管理が重要である。また、土砂流出に起因する土砂災害は、現在もなお頻発しており、土砂災害に対する管理システムの構築も急務である。
【0003】
河川での土砂の管理を行うことは、河川を構成する水という流体の中で、土砂などの粒子(以下、「土粒子」と称する)を管理することであり、土粒子の粒径と流砂量を分離して計測することが必要になる。粒径と流砂量を測定(モニタリング)することができれば、流域内の土砂の適切なバランスを維持するための土砂管理や下流域での土砂災害への危機管理情報の発信に資するデータを得ることができる。
【0004】
このような河川での土砂の管理を行うことを目的として、ハイドロフォンと呼ばれる音響信号検出技法が従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この技法は、衝突音と衝突回数を測定できるセンサを河床等の所定の場所に設置し、土砂がセンサに衝突する衝突音とその数を音の大きさ毎に集計して、その集計値から流砂量に変換する技法である。
【0005】
一方、図20に示すように、ファイバブラッググレーティング(FBG)光ファイバを用いて河川での土砂の管理を行う技法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。FBG光ファイバ11は、光ファイバの長手方向の屈折率を一定周期で変化するように製作された複数の回折格子11cとして作用するコア11bを有し、このコア11bは、クラッド11aで被覆されている。FBG光ファイバ11に光が入射されて通過する際、透過する成分とは別に特定の波長の光のみが反射される現象が起こる(この反射光の波長スペクトル中心λは、「ブラッグ波長」と称される)。例えば、FBG光ファイバ11のコア11bに対して外部から土粒子による衝突が生じると、コア11bにおける機械的ひずみや張力が変化して、反射される光の波長が変化する。このブラッグ波長の変化分を測定することで土粒子の衝突に起因する機械的ひずみや張力を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2876021号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「製品・サービス一覧」、株式会社東京測器研究所、[online]、[平成21年4月24日検索]、インターネット〈http://www.tml.jp/product/special_ins/fiber_measurement/fbg.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術におけるハイドロフォンの技法は、音響特性を持った管状体内に搭載した音響センサ部への粒子の衝突音の回数(以下「パルス数」と称する)とその音の大きさにより間接的に流砂量や粒径を測定することができる。
【0009】
しかしながら、上記ハイドロフォンの技法は、流砂量の計測のみで、流砂量(質量)と粒径(粒度分布)の両方を計測することが難しく、且つ、音響センサは音響を電気信号に変換し信号処理するため、河川などに利用する際の防水処理や電気漏電などによる故障や落雷などの自然災害による故障の可能性が高い。
【0010】
一方、FBG光ファイバによる反射波で計測する技法は、FBG光ファイバ自体に電源を必要としないため、電気的故障はない。しかしながら、同じ質量の土粒子であっても衝突する位置、角度、及び速度に関連する運動エネルギーによりひずみ量が異なることから、実際の流砂量(質量)との誤差が大きい場合があり、粒径も特定することが困難であった。
【0011】
本発明の目的は、衝突する土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測可能な土粒子計測システム及び土粒子計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の土粒子計測システム及び土粒子計測方法は、FBGセンサによる反射波で計測されるFBGセンサの土砂衝突ひずみと運動エネルギーについての実験で得られた関係と、流砂の躍動運動(Saltation運動)解析の理論とに基づいて、流体によって運ばれる土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測する。
【0013】
即ち、本発明の土粒子計測システムは、土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子計測システムであって、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備え、前記土粒子管理・監視装置は、当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出する手段と、前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出する手段と、前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定する手段と、該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成する手段とを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記土粒子管理・監視装置は、前記決定した土粒子の粒径について、所定時間分の累積値を時間累積流砂量として監視し、所定のしきい値以上となった場合に警報又は警告を発する手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記Saltation運動理論に基づく土粒子の運動エネルギー期待値は、土粒子の衝突速度、衝突位置及び衝突角度の各々について確率的に求めた値から算出されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記決定した土粒子の粒径の衝突速度、衝突位置及び衝突角度は、前記Saltation運動理論に基づく土粒子の衝突速度、衝突位置及び衝突角度の確率情報に反映されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記運動エネルギーは、粒径ごとに予め実験的に得られた基準運動エネルギーと、衝突角度別の予め規定された衝突角度係数と、衝突位置別の衝突位置係数との積で与えられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記FBGセンサは、ブラッグ波長の発生部分のFBG光ファイバとは強度及びひずみ検知感度が異なる材質(例えば、強化塩化ビニル管や金属管など)の管の内側に接着して構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサは、複数のFBG光ファイバを一組とするFBG光ファイバ組として、複数のFBG光ファイバ組からなり、前記複数のFBG光ファイバは直列に接続され、前記複数のFBG光ファイバ組は、前記土粒子が流れる方向と直行する方向に並行配置されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の土粒子計測システムにおいて、前記複数のFBG光ファイバ組は、前記管の断面方向にて、前記管の中心と前記複数のFBG光ファイバ組のうちの1つとを結ぶ直線を軸としたとき、前記複数のFBG光ファイバ組のうちの当該1つ以外のFBG光ファイバ組が該軸を中心に対称配置されていることを特徴とする。
【0021】
更に、本発明の土粒子計測方法は、土粒子計測システムにて土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子計測方法であって、前記土粒子計測システムは、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備えており、前記土粒子管理・監視装置の処理は、当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出するステップと、前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出するステップと、前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定するステップと、該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成するステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
更に、本発明は、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備える土粒子計測システムにて、土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子管理・監視装置として構成するコンピュータに、当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出するステップと、前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出するステップと、前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定するステップと、該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成するステップとを実行させるためのプログラムとしても特徴付けられる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測又は監視することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による一実施例の土粒子計測システムの概略図である。
【図2】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおけるFBGセンサの構成例である。
【図3】(a)は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、1本の光ファイバに一列に複数のFBG光ファイバを設けたFBGセンサの構成例である。(b)は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、FBG光ファイバを設けたFBGセンサの構成例である。
【図4】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおけるFBGアナライザの観測結果例である。
【図5】(a)は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、土粒子が衝突角度φで衝突した際のひずみの検出値をFBG光センサで検出する構成例を示す図であり、(b)は、その検出結果の一例を示す図である。
【図6】(a)は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、土粒子が衝突位置θで衝突した際のひずみの検出値をFBG光センサで検出する構成例を示す図であり、(b)は、その検出結果の一例を示す図である。
【図7】(a)は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、土粒子が衝突速度vで衝突した際のひずみの検出値をFBG光センサで検出する構成例を示す図であり、(b)は、その検出結果の一例を示す図である。
【図8】本発明による一実施例の土粒子計測システムのブロック図である。
【図9】河川の断面積、幅及び水深を規定して河川の基本流速を算出する際の説明図である。
【図10】衝突位置をセンサ直上とし、衝突角度が直行するときの所定の粒径について検出したひずみに対応する基準運動エネルギーの特性例を示す図である。
【図11】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、衝突角度φ別の衝突角度係数aのマップを示す図である。
【図12】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、衝突位置θ別の衝突位置係数bのマップを示す図である。
【図13】Saltation解析モデルの説明図である。
【図14】Saltation解析の説明図である。
【図15】(a)は、1つの土粒子が、河床球上(管に対応する)を横軸:距離(m)とし、河床に鉛直な方向を縦軸:高さ(m)として、3つのSaltation軌跡として表している例を示す図であり、(b)は、そのSaltation軌跡の一部の拡大図である。
【図16】5000個の土粒子を流した場合の衝突角度のシミュレーション結果例を示す図である。
【図17】5000個の土粒子を流した場合の衝突位置のシミュレーション結果例を示す図である。
【図18】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、3つのFBG光ファイバを一組とするFBGセンサを全て直列に接続した上で並行配置する例を示す図である。
【図19】本発明による一実施例の土粒子計測システムにおける、3つのFBG光ファイバを一組とするFBGセンサを全て直列に接続した上で並行配置する一例を示す図である。
【図20】FBG光ファイバの構成及び動作原理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明による一実施例の土粒子計測システムを説明する。
【実施例1】
【0026】
[システム構成]
図1は、本発明による一実施例の土粒子計測システムの概略図である。河川での土粒子を管理する例として説明する。本実施例の土粒子計測システムは、FBGセンサ10と、FBGアナライザ12と、土粒子管理・監視装置13と備える。
【0027】
FBGセンサ10は、土粒子の衝突ひずみを計測することができ、河川における水の流れと直行する態様、即ち土粒子が流れる方向と直行する方向に配置される。
【0028】
FBGアナライザ12は、FBGセンサ10と光ファイバ112で接続され、FBGセンサ10から出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出する。
【0029】
土粒子管理・監視装置13は、いわゆるパーソナルコンピュータ(PC)で構成することができ、ネットワーク(インターネット又はVPN(仮想プライベートネットワーク)等)を通じてFBGアナライザ12に接続され、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する。
【0030】
図2及び図3は、本発明による一実施例の土粒子計測システムにおけるFBGセンサの構成例である。図2に示すように、FBGセンサ10は、FBG光ファイバ11(図20参照)とは強度及びひずみ検知感度が異なる材質(例えば、強化塩化ビニル管や金属管など)の管111の内側にFBG光ファイバ11を接着し、防水処理して構成したものである。また、図3(b)に示すように、FBG光ファイバ11は、コア11bの所定の幅LB内で屈折率が一定の周期Aで変化するように複数の回折格子11c(図3(b)で例示する回折格子11c1〜11c9)で製作されたものであり、特定の波長(ブラッグ波長)の光のみを選択的に反射する。この反射光は、光ファイバ112の一方から規定のパルス幅の光信号を入射することにより観測することができる。
【0031】
例えば、図3(a)に示すように、1本の光ファイバ112に一列に複数のFBG光ファイバ11を設けたFBGセンサ10を示している。土粒子が衝突してFBGセンサ10にひずみが与えられると、複数の回折格子11cの作用によりブラッグ波長がシフトするため、FBGアナライザ12により図4に例示するように衝突の大きさを光信号に変換して定量的に計測することができる。
【0032】
しかし、FBGセンサ10で検出した土粒子の衝突ひずみは、同一の流砂量(質量)の土粒子であっても衝突角度、衝突位置、及び衝突速度の要因により値が異なることが確かめられている。図5(a)に示すように、土粒子が衝突角度φで衝突した際のひずみの検出値を管111の内側に設けたFBG光センサ10で検出することができ、この検出結果を図5(b)に示す。同様に、図6(a)に示すように、土粒子が衝突位置θで衝突した際のひずみの検出値を管111の内側に設けたFBG光センサ10で検出することができ、この検出結果を図6(b)に示す。同様に、図7(a)に示すように、土粒子が衝突速度vで衝突した際のひずみの検出値を管111の内側に設けたFBG光センサ10で検出することができ、この検出結果を図7(b)に示す。
【0033】
そこで、本実施例の土粒子計測システムは、土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測可能にするために提供される。FBGセンサ10、FBGアナライザ12、及び土粒子管理・監視装置13を備える本実施例の土粒子計測システムの具体的な構成について、図8を参照して説明する。
【0034】
本実施例の土粒子計測システムは、FBGセンサ11と、ひずみ量検出部121を有するFBGアナライザ12と、土粒子管理・監視装置13とを備える。
【0035】
ひずみ量検出部121は、FBGセンサ11から出力されるブラッグ波長の光信号を入力して、土粒子が衝突した時のひずみ量の値を検出し、土粒子管理・監視装置13に送出する。
【0036】
土粒子管理・監視装置13は、設定値入力部131と、演算部132と、記憶部133と、制御部134と、出力制御部135とを備える。土粒子管理・監視装置13は、汎用のコンピュータで構成することができる。即ち、設定値入力部131、演算部132、制御部134、及び出力制御部135の各機能は、記憶部133に格納されたプログラムを中央演算処理装置(CPU)により実行して実現することができる。
【0037】
設定値入力部131は、河川の流量、幅、勾配、及び粗度係数を含む基本流速の情報を入力して設定する機能と、土粒子の粒径及び流砂量を判定するためのしきい値を入力して設定する機能を有する。尚、設定値入力部131は、記憶部133に予め格納しておく実験結果情報1331、及び基本流速に従う衝突角度・衝突位置・衝突速度の確率情報1332、Salutation運動理論情報1333を入力して格納することができ、更に、制御部134によって仮説して決定した土粒子の粒径及び流砂量の値を所定時間単位で累積して(以下、「累積粒径・流砂量情報」1334と称する)、格納することができる。
【0038】
演算部132は、ひずみ量検出部121から供給されるひずみ量の値を入力し、ひずみ量の振幅の絶対値を演算する絶対値演算部1321と、ひずみ量の振幅の絶対値から土粒子の粒径の仮定値を決定する粒径仮定演算部1322と、土粒子の粒径の仮定値から、予め実験的に得られた基準値からなる実験結果情報1331を用いて土粒子の運動エネルギー値を算出するエネルギー算出部1323と、当該仮定値から、Saltation運動理論に基づいて土粒子の運動エネルギー期待値を算出する運動エネルギー期待値算出部1324とを備える。
【0039】
制御部134は、エネルギー算出部1323によって算出された土粒子の運動エネルギー値と、運動エネルギー期待値算出部1324によって算出された土粒子の運動エネルギー期待値とが一致するか否か(即ち、運動エネルギー値と運動エネルギー期待値との差が所定の許容範囲内にあるか否か)の比較を行う第1比較部1341を有する。
【0040】
第1比較部1341は、当該比較した各値が一致しない場合には、粒径仮定演算部1322に一致しない旨を送出し、粒径仮定演算部1322に対してひずみ量の振幅の絶対値から、土粒子の土粒子の粒径の更なる仮定値を決定させる。一方、第1比較部1341は、当該比較した各値が一致する場合には、当該一致した運動エネルギー値に対応する土粒子の粒径及び当該一致した運動エネルギー値から算出される流砂量(質量)の値を出力制御部135に送出するとともに、所定時間分の粒径及び流砂量の累積値(時間累積流砂量)としての累積粒径・流砂量情報1334を得るために記憶部133に当該比較した各値が一致する度に所定時間累積して格納する。出力制御部135は、土粒子の粒径及び/又は流砂量の値について、当該装置に(又は外部に)設けられた表示装置(図示せず)に表示させるか、又は該装置に(又は外部に)設けられた音声発生器、ブザー、プリンタ又は外部通信装置等の情報出力装置に出力させる機能を有する。
【0041】
また、制御部134は、記憶部133に格納された所定時間分の粒径及び流砂量の累積値としての累積粒径・流砂量情報を読み出し、設定値入力部131によって設定された、土粒子の粒径及び流砂量を判定するためのしきい値と比較して、この累積粒径・流砂量情報1334が当該しきい値以上となった場合に、その旨を出力制御部135に送出する。出力制御部135は、累積粒径・流砂量情報が当該しきい値以上となった旨を警告・警報として、当該装置に(又は外部に)設けられた表示装置(図示せず)にて表示させるか、又は該装置に(又は外部に)設けられた音声発生器、ブザー、プリンタ又は外部通信装置等の情報出力装置に出力させる機能を有する。
【0042】
以下、本実施例の土粒子計測システムの具体的な動作について更に詳細に説明する。
【0043】
[システム動作]
先ず、FBGアナライザ12のひずみ量検出部121は、FBGセンサ11から出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出する。
【0044】
FBGアナライザ12は、検出したひずみ量の値を例えば通信ケーブルを介して土粒子管理・監視装置13に送出する。
【0045】
土粒子管理・監視装置13は、絶対値演算部1321により、FBGアナライザ12から供給されたひずみ量の値の絶対値を演算する。
【0046】
次に、土粒子管理・監視装置13は、エネルギー算出部1323により、土粒子の粒径の仮定値(20mm)から、粒径別の衝突エネルギー(図10では衝突位置をセンサ直上とし、衝突角度が直行するときの所定の粒径について検出したひずみに対応する基準運動エネルギーEmの特性例を示す)の実験結果情報1331を用いて土粒子の運動エネルギー値E1を算出する。即ち、粒径仮定演算部1322により、例えば図10に例示するように、各粒径毎の実験結果情報1331を有する1つ以上の粒径から1つを任意に選択して、例えば粒径20mmを仮定値として決定するとともに、ひずみ量の振幅の絶対値から基準運動エネルギーEmを決定する。尚、実験結果情報1331には、衝突角度φ別の衝突角度係数aのマップ(図11参照)と、衝突位置θ別の衝突位置係数bのマップ(図12参照)とが含まれ、土粒子の運動エネルギー値E1は、式1から導出することができ、後述するように運動エネルギー値E1と衝突速度vが決定された場合に、流砂量(質量)Mを式2から算出することができる。
【0047】
【数1】

【0048】
【数2】

【0049】
ここに、M:土粒子の質量であり、粒径の大きさで定まる体積に比例した規定値を用いる。また、vは、衝突速度である。
【0050】
従って、土粒子管理・監視装置13は、エネルギー算出部1323により、粒径ごとに予め実験的に得られた基準運動エネルギーEmと、衝突角度φ別の予め規定された衝突角度係数aと、衝突位置別の衝突位置係数bとの積で運動エネルギーE1を算出する。
【0051】
本実施例の土粒子管理・監視装置13は、算出される運動エネルギーE1との照合によって仮決定から最終的に決定される粒径について、Saltation解析モデルに基づいて衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vに成分分解して学習し、学習した衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vから運動エネルギー期待値E2を割り出す。
【0052】
即ち、土粒子管理・監視装置13は、運動エネルギー期待値算出部1324により、基本流速Uの値からデータベースとして蓄積された衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vの確率情報に基づいて、土粒子の粒径の仮定値に対応する衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vの各々を決定し、決定した衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vの各々から運動エネルギー期待値E2を決定する。つまり、以下に詳述するように、Saltation運動理論に基づく土粒子の運動エネルギー期待値E2は、土粒子の衝突速度、衝突位置及び衝突角度の各々について確率的に求めた値から算出される。
【0053】
例えば、流量、幅、勾配、粗度係数より河川の基本流速Uは、図9に示すように、河川の断面積A、幅B及び水深hを規定してマニングの平均流速式として知られる式3から算出して設定することができる。
【0054】
【数3】

【0055】
ここに、R=A/Sであり、U:平均流速(m/s)、n:マニングの粗度係数、I:水面勾配(無次元)、R:径深(m)、A:断面積(m)、S:潤辺(m)である。
【0056】
また、衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vの確率情報のデータベースについて説明するに、式4及び式5に従って、図13に示すSaltation解析モデルを規定する。
【0057】
【数4】

【0058】
【数5】

【0059】
ここに、M:流体質量(土粒子の質量に対応する)、x:x方向の位置ベクトル、z:z方向の位置ベクトル、t:時間、A:流体の投影面積(式3の断面積に対応する)、ρ:流体密度、u:流速(式3の基本流速Uに対応する)、g:重力加速度、CDH:x方向の抵抗係数、及びCDV:z方向の抵抗係数である。
【0060】
更に、このSaltation運動理論に基づく、流体Mの運動エネルギー期待値E2は、式6及び式7に従う式8から求めることができる。
【0061】
【数6】

【0062】
【数7】

【0063】
【数8】

【0064】
即ち、図13に示すFx,Fzは、Saltation解析モデルの基本式として上記の式4及び式5のように表すことができるため、衝突角度φ、衝突位置θ、及び衝突速度vの成分として分解することができるとともに、式6〜式8のように衝突角度φ、衝突位置θ、及び衝突速度vの成分からFx,Fzを決定して運動エネルギー期待値E2を算出することができる。即ち、運動エネルギー期待値E2と運動エネルギー期待値E1とが一致する衝突角度φ、衝突位置θ、及び衝突速度vの成分を分解して学習しておくことによって、次に運動エネルギー期待値E2を算出する際には、最も尤度の高い衝突角度φ、衝突位置θ、及び衝突速度vの成分を選定して運動エネルギー期待値E2を算出することができる。図15(a)に示すように、1つの土粒子が、河床球上(管に対応する)を横軸Fx:距離(m)とし、河床に鉛直な方向を縦軸Fz:高さ(m)として、例えば3つの土粒子のSaltation軌跡として表すことができる。図15(b)は、図15(a)に示す破線部分の拡大図である。
【0065】
従って、Saltation解析モデルについて、土粒子が管111(FBGセンサ10)に衝突する様子を図14に示すようにモデル化してSaltation軌跡を求め、衝突角度φ、衝突位置θ及び衝突速度vの各々の確立分布(確率情報1332)を算出し、予め記憶部133に記憶しておくことができる。尚、5000個の土粒子(粒径約2mm)を流した場合の衝突角度φの解析結果を図16に示しており、5000個の土粒子(粒径約2mm)を流した場合の衝突位置θの解析結果を図17に示している。また、図14に示すSaltation解析から、式9に示すように衝突速度v(衝突直前のV’)を解析することができる。
【0066】
【数9】

【0067】
ここに、e:反発係数(=0.6)、θ:衝突直前の最終落下角度(衝突角度に対応する)、φ:河床球上(管に対応する)の衝突位置、V’:衝突直前の速度、及びV:衝突直後の速度である。
【0068】
このようにして、土粒子管理・監視装置13は、運動エネルギー期待値算出部1324により、Saltation運動理論に基づいて、式4及び式5の基本式から式6〜式8によって算出される土粒子の運動エネルギー期待値E2を算出する。
【0069】
次に、土粒子管理・監視装置13は、第1比較部1341により、運動エネルギー値E1とSaltation理論からの運動エネルギー期待値E2を照合し、一致するか否かを判定する。尚、この比較動作における「一致」とは、運動エネルギー値E1と運動エネルギー期待値E2との差が所定の許容範囲以内(例えば、誤差10%以内)にある場合を云う。
【0070】
比較動作で一致しない場合は、その旨を粒径仮定演算部1322に送出し、粒径仮定演算部1322に対してひずみ量の振幅の絶対値から、土粒子の土粒子の粒径及び流砂量の更なる仮定値を決定させる(例えば、仮定した粒径の運動エネルギーが大きい場合には、次に仮定する粒径を前回値より小さくする)。土粒子管理・監視装置13は、第1比較部1341により、仮定し直した土粒子の粒径について、再度比較動作を行い、運動エネルギー値E1とSaltation理論からの運動エネルギー期待値E2が一致するまで動作を繰り返す。
【0071】
一方、比較動作で一致した場合は、土粒子管理・監視装置13は、第1比較部1341により、一致した運動エネルギーE1から、式3を用いて質量Mを算出し、仮定して一致すると判定した粒径と、その流砂量(質量Mに対応する)を出力制御部135に送出するとともに、記憶部133の累積粒径・流砂量情報1334として蓄積する。土粒子管理・監視装置13の制御部134は、この累積粒径・流砂量情報1334のデータ(又は衝突角度φ、衝突位置θ、衝突速度vのデータ)を、次にFBGセンサ10に衝突する土粒子の衝突角度φ、衝突位置θ、衝突速度vを決定する確率情報に反映するデータとする機能を有する。
【0072】
また、土粒子管理・監視装置13の制御部134は、第2比較部1342により、その粒径と流砂量の累積値を表す累積粒径・流砂量情報1334における土粒子の粒径及び/又は流砂量の値が予め設定しておいたしきい値以上となれば、警告又は警報を発生し、土砂災害の危機管理として利用する。
【0073】
このように、本実施例の土粒子計測システムによれば、土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測又は監視することができるようになる。
【0074】
次に、実施例2の土粒子計測システムについて説明する。
【実施例2】
【0075】
実施例1では、FBGセンサ10として1つ又は1組のFBG光ファイバ11を設置したものとして説明したが、実施例2では、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサ10は、複数のFBG光ファイバを一組とするFBG光ファイバ組として、複数のFBG光ファイバ組からなり、この複数のFBG光ファイバは直列に接続され、複数のFBG光ファイバ組が、土粒子が流れる方向と直行する方向に並行配置されている点で相違する。従って、FBGセンサの構成とFBGアナライザの構成を除いて、他の実施例2の構成は、実施例1と同様である。
【0076】
図18(a)に示すように、3つのFBG光ファイバを一組とする各FBG光ファイバ組11−1〜11−3は、FBGアナライザ12に接続される光ファイバ112に対して全て直列に接続した上でそれぞれ並行配置されており、河幅方向と折り返しで管111内の断面方向に設置される。河幅方向のFBG光ファイバの数量は、計測する川幅の大きさによって決定することができる。
【0077】
図18(b)に示すように、断面方向は、一定の位置間隔の位置(ψs)でFBG光ファイバを複数個設置することで、1つの土粒子の衝突に対し、FBG光ファイバの設置個数分のひずみ計測が検出可能となる。
【0078】
例えば、図19に示すように、FBG光ファイバ組11−2を基準としてψs=−30°の位置にFBG光ファイバ組11−1、 ψs=30°の位置にFBG光ファイバ組11−3からなるFBGセンサ10を設置することができる。即ち、複数のFBG光ファイバ組は、管111の断面方向にて、管111の中心と複数のFBG光ファイバ組のうちの1つとを結ぶ直線を軸としたとき、複数のFBG光ファイバ組のうちの当該1つ以外のFBG光ファイバ組が該軸を中心に対称配置されている。
【0079】
いま、土粒子がFBG光ファイバ組11−2に対し、衝突角0°および衝突位置0°で衝突し、この時のFBG光ファイバ組11−2の運動エネルギーをE1−2とする。
【0080】
一方、 ψs=−30°の位置のFBG光ファイバ組11−1の運動エネルギーをE1−1、 ψs=30°の位置のFBG光ファイバ組11−3の運動エネルギーをE1−3とすると、FBG光ファイバ組11−1、FBG光ファイバ組11−3は、FBG光ファイバ組11−2に対し衝突角0°及び衝突位置30°であるため、衝突位置係数b=0.56の逆数の積により、FBG光ファイバ組11−2の位置での運動エネルギーに換算することができる。
【0081】
この場合、
FBG光ファイバ組11−2の位置でのFBG光ファイバ組11−1の換算エネルギー: E1−1’ =E1−1/b=E1−1/0.56、
FBG光ファイバ組11−2の位置でのFBG光ファイバ組11−3の換算エネルギー: E1−3’ =E1−3/b=E1−3/0.56、
となり、FBG光ファイバ組11−2の位置でのエネルギーは3つの値が算出可能となる。
【0082】
ここで、FBGアナライザ12は、上記3つのエネルギーを平均し、
FBG光ファイバ組11−2の運動エネルギー={(E1−2)+(E1−1’)+(E1−3’)}/3
を計算することにより、FBG光ファイバが1個の場合より高精度に算出することができるようになる。
【0083】
従って、本実施例の土粒子計測システムによれば、高精度で土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測又は監視することができるようになる。
【0084】
前述した実施例では、特定の形態について説明したが、本発明は、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。従って、前述した実施例に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲において多くの変形例を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、土粒子の粒径及び流砂量(質量)を計測又は監視することができるので、河川での土砂の管理や、土砂災害に対する監視を要する用途に有用である。
【符号の説明】
【0086】
10 FBGセンサ
11 FBG光ファイバ
11−1,11−2,11−3 FBG光ファイバ組
11c 回折格子
12 FBGアナライザ
13 土粒子管理・監視装置
111 管
112 光ファイバ
131 設定値入力部
132 演算部
133 記憶部
134 制御部
135 出力制御部
1321 絶対値演算部
1322 粒径仮定演算部
1323 エネルギー算出部
1324 運動エネルギー期待値算出部
1331 実験結果情報
1332 確率情報
1333 Salutation運動理論情報
1334 累積粒径・流砂量情報
1341 第1比較部
1342 第2比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子計測システムであって、
土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、
前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、
検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備え、
前記土粒子管理・監視装置は、
当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出する手段と、
前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出する手段と、
前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定する手段と、
該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成する手段とを有することを特徴とする土粒子計測システム。
【請求項2】
前記土粒子管理・監視装置は、前記決定した土粒子の粒径について、所定時間分の累積値を時間累積流砂量として監視し、所定のしきい値以上となった場合に警報又は警告を発する手段を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の土粒子計測システム。
【請求項3】
前記Saltation運動理論に基づく土粒子の運動エネルギー期待値は、土粒子の衝突速度、衝突位置及び衝突角度の各々について確率的に求めた値から算出されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の土粒子計測システム。
【請求項4】
前記決定した土粒子の粒径の衝突速度、衝突位置及び衝突角度は、前記Saltation運動理論に基づく土粒子の衝突速度、衝突位置及び衝突角度の確率情報に反映されることを特徴とする、請求項3に記載の土粒子計測システム。
【請求項5】
前記運動エネルギーは、粒径ごとに予め実験的に得られた基準運動エネルギーと、衝突角度別の予め規定された衝突角度係数と、衝突位置別の衝突位置係数との積で与えられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の土粒子計測システム。
【請求項6】
前記FBGセンサは、ブラッグ波長の発生部分のFBG光ファイバとは強度及びひずみ検知感度が異なる材質の管の内側に接着して構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の土粒子計測システム。
【請求項7】
前記土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサは、複数のFBG光ファイバを一組とするFBG光ファイバ組として、複数のFBG光ファイバ組からなり、前記複数のFBG光ファイバは直列に接続され、前記複数のFBG光ファイバ組は、前記土粒子が流れる方向と直行する方向に並行配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の土粒子計測システム。
【請求項8】
前記複数のFBG光ファイバ組は、前記管の断面方向にて、前記管の中心と前記複数のFBG光ファイバ組のうちの1つとを結ぶ直線を軸としたとき、前記複数のFBG光ファイバ組のうちの当該1つ以外のFBG光ファイバ組が該軸を中心に対称配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の土粒子計測システム。
【請求項9】
土粒子計測システムにて土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子計測方法であって、
前記土粒子計測システムは、土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備えており、
前記土粒子管理・監視装置の処理は、
当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出するステップと、
前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出するステップと、
前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定するステップと、
該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成するステップとを含むことを特徴とする土粒子計測方法。
【請求項10】
土粒子が流れる方向と直行する方向に配置されるFBGセンサと、前記FBGセンサから出力されるブラッグ波長の光信号から、土粒子の衝突によって生じるひずみ量を検出するFBGアナライザと、検出したひずみ量の値から土粒子の粒径及び流砂量を決定する土粒子管理・監視装置とを備える土粒子計測システムにて、土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視する土粒子管理・監視装置として構成するコンピュータに、
当該検出したひずみ量の値から土粒子の粒径の仮定値を決定して、該仮定値における前記FBGセンサへの衝突時の土粒子の運動エネルギーを、予め実験的に得られた値に基づいて算出するステップと、
前記仮定値における土粒子の運動エネルギー期待値を、Saltation運動理論に基づいて算出するステップと、
前記運動エネルギーと前記運動エネルギー期待値の差が所定の許容範囲内になるまで前記仮定値を変更し、前記所定の許容範囲内の当該運動エネルギーから土粒子の粒径及び流砂量を決定するステップと、
該決定した土粒子の粒径及び流砂量を計測又は監視するための情報として生成するステップとを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−276343(P2010−276343A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126022(P2009−126022)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(500140127)エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社 (61)
【Fターム(参考)】