説明

圧力制御弁

【課題】構造が簡単で製造コストが低く、弁開度の調整も容易に行うことのできる圧力制御弁を提供する。
【解決手段】内部に弁室2a、2bを有する弁本体2と、弁室内に設けられる弁座3と、弁座に接離する弁体4とを備え、弁体が弾性体からなり、弁体及び弁座が互いに当接した状態で、弁室内に2つの空間2a、2bが区画形成されるとともに、これらの空間の連通が遮断されて閉状態となっており、2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、弁体が弾性変形し、弁体及び弁座が互いに離間して2つの空間が連通して開状態となる圧力制御弁1等。弁体(あるいは弁座、又はこれら両方)の弾性体の変形を利用して弁を開閉することができるため、構造が簡単で、製造コストを低く抑えることができる。弾性体の寸法、材質等を変更して簡単に弁開度の調整を行うこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力制御弁に関し、特に、冷凍、空調関係に使用される冷凍サイクルなどに用いられる圧力制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記冷凍サイクルなどにおいて、冷媒等の圧力を制御するため、圧力制御弁が使用されている。例えば、圧縮機、放熱器、圧力制御弁(膨張弁)、蒸発器等により構成した密閉回路に冷媒を循環させる蒸気圧縮式冷凍サイクルが車両用空調装置等に用いられる。
【0003】
上記蒸気圧縮式冷凍サイクルに用いられる圧力制御弁の一例として、特許文献1には、内部熱交換器から弁口を介して蒸発器に至る冷媒流路を有するボディと、この冷媒流路内に設けられる弁座と、ボディ内に収納されて弁座と接離する弁体と、弁体の一端に固定されるダイヤフラムと、ダイヤフラムの上方に密閉空間を形成する蓋体及び下側支持部と、弁体の他端に設けられるばね取付部と、ばね取付部と弁座との間に介装されるばねなどを備える圧力制御弁が記載されている。
【0004】
上記構成を有する圧力制御弁において、弁体の閉弁力は、弁体の一端に固定されたダイヤフラムの上方に形成された密閉空間内の内圧と、弁座と弁体のばね取付部の間に介装されたばねによって得られ、弁体の開弁力は、内部熱交換器からの冷媒の圧力によって得られる。そして、この閉弁力と開弁力のバランスによって閉弁/開弁状態が切り替えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2007−139209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の圧力制御弁においては、弁体に対する閉弁力を密閉空間の内圧と、弁座と弁体のばね取付部の間に介装されたばねとの2つから得るため、構造が複雑であり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、弁体に対する閉弁力を、弁体を弁座方向へ付勢するコイルばねのみによって得る圧力制御弁も存在するが、そのような圧力制御弁についても、コイルばね及びその取付構造が必要となり、弁の構造及び製造コストの面で改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、構造が簡単で製造コストが低く、弁開度の調整も容易に行うことのできる圧力制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、圧力制御弁であって、内部に弁室を有する弁本体と、該弁室内に設けられる弁座と、該弁座に接離する弁体とを備え、前記弁体もしくは弁座のいずれか一方、又は両方が弾性体からなり、該弁体及び弁座が互いに当接した状態で、前記弁室内に2つの空間が区画形成されるとともに、これらの空間の連通が遮断されて閉状態となっており、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体もしくは弁座のいずれか一方、又は両方が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して前記2つの空間が連通して開状態となることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明によれば、弁体又は弁座の少なくともいずれか一方を弾性体で構成し、弾性体の変形を利用して弁を開閉することができるため、構造が簡単で、製造コストを低く抑えることができる。また、弾性体の寸法、材質等を変更することで簡単に作動圧力や弁開度の調整を行うこともできる。
【0011】
前記圧力制御弁において、前記弁体は、薄板からなる内部が真空の密閉円筒容器であって、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記密閉円筒容器の円周面を囲繞する開口部を有し、前記密閉円筒容器の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となるように構成することができる。
【0012】
また、前記圧力制御弁において、前記弁体は、円柱状部を備え、前記弁座は、薄板からなり、前記円柱状部の円周面を囲繞する円筒部を備え、前記弁体の円柱状部の円周面と前記薄板状円筒部とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁座が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となるように構成することができる。
【0013】
さらに、前記圧力制御弁において、前記弁体は、薄板からなり、一方の端部が閉じ、他方の端部が開放される円筒状に形成され、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記弁体の円周面を囲繞する開口部を有し、前記弁体の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間のうち、前記弁体の閉じた方の端部が面する側の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、該弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となるように構成することができる。
【0014】
また、前記圧力制御弁において、前記弁体は、薄板からなる内部が真空の密閉円筒容器であって、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記密閉円筒容器の円周面を囲繞する開口部を有し、前記密閉円筒容器の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体及び弁座が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となるように構成することができる。
【0015】
さらに、前記圧力制御弁において、前記弁体は、弾性体からなる中実円柱体であって、前記弁座は、該中実円柱体を囲繞する前記弁室の内周面であって、前記中実円柱体の外周面と前記弁室の内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となるように構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明にかかる圧力制御弁の第1の実施形態を示し、この圧力制御弁1は、大別して、内部に弁室2a、2bを有する二つ割りの部品が接合された弁本体2(2A、2B)と、弁室2a、2b内の弁座3に接離する弁体4等で構成される。
【0018】
弁本体2(2A、2B)は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に円筒状空間としての弁室2a、2bを備え、弁本体2Bの右端部のリング状の突条部の先端面が弁座3として機能する。
【0019】
弁体4は、金属等の薄板で密閉円筒容器状に形成され、容器内部は真空である。この弁体4の外周面が弁座3に当接している。弁体4の左端部は、保持部材5を介して弁本体2Bの内周面に固定される。
【0020】
保持部材5は、弁体4の左端部を保持する保持部5aと、保持部5aに連続し、弁本体2Bの内周面に固定される複数の脚部5bとで構成され、脚部5bの間を介して流路2dと弁室2bとが連通する。
【0021】
次に、上記構成を有する圧力制御弁1の動作について、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1(a)は、圧力制御弁1が閉じている状態を示し、この状態では、弁体4の外周面が弁座3に接しているため、流路2cから流路2d、及び流路2dから流路2cのいずれの方向へも流体は流れない。
【0023】
図1(a)の状態から流路2c側の流体の圧力が上昇し、所定の値を超えると、図1(b)に示すように、弁体4が弾性変形により縮径し、弁座3との間に隙間ができる。この隙間を通って流体が左方へ、弁室2a、2bを介して流路2d側へと流れ、圧力制御弁1が開状態となる。尚、図1(b)では、図を見易くするために、圧力制御弁1の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0024】
また、図1(a)の状態から流路2d側の流体の圧力が上昇した場合にも、上記と同様に、弁体4が弾性変形により縮径し、弁座3との間に隙間ができるため、この隙間を通って流体が右方へ流れ、弁室2b、2aを介して流路2c側へと流れ、圧力制御弁1が開状態となる。
【0025】
以上のように、圧力制御弁1は、流路2c側及び2d側のいずれかの流体の圧力が所定の値を超えると開き、双方向に流体を流すことができる。
【0026】
次に、本発明にかかる圧力制御弁の第2の実施形態について、図2を参照しながら説明する。
【0027】
この圧力制御弁21は、大別して、内部に弁室22aを有する弁本体22と、弁室22a内の弁座23に接離する弁体24等で構成される。
【0028】
弁本体22は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に円筒状空間としての弁室22aを備え、弁室22aに弁座23及び弁体24が収容される。弁本体22の左方には、流路25aを備えたハウジング25が、右方には、流路26aを備えたハウジング26が一体化される。弁本体22の左端部には、複数の貫通孔22bが流路として穿設される。
【0029】
弁座23は、金属等の薄板で円筒状に形成され、弁本体22に固定される。弁座23の右端部と弁本体22との間には、Oリング27が介装され、弁座23の左端部は、弁本体22の突設部22cに当接する。弁座23の外周面と弁本体22の内周面との間には円筒状の隙間29が形成され、隙間29は貫通孔22bを通じて流路25aに連通している。
【0030】
弁体24は、金属や合成樹脂等で全体的に略々円柱状に形成され、右側の大径部24aにおいて弁座23の内周面に当接している。弁体24の大径部24aを除く部分は同一径を有する円柱状に形成されるが、完全な円柱ではなく、複数の切欠部24bが形成され、切欠部24bは、弁室22aに連通する。
【0031】
ハウジング25は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に流路25aとして大径及び小径の円筒状空間が形成される。大径側の流路25aは、弁室22aと連続した空間であるとともに、貫通孔22bを介して隙間29に連通する。
【0032】
ハウジング26は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に流路26aとして円筒状及び円錐台状の空間が形成され、流路26aは弁室22aと連続した空間を構成する。
【0033】
次に、上記構成を有する圧力制御弁21の動作について、図2を参照しながら説明する。
【0034】
図2(a)は、圧力制御弁21が閉じている状態を示し、この状態では、弁体24の大径部24aが弁座23の内周面に接しているため、流路25aから流路26a、及び流路26aから流路25aのいずれの方向へも流体は流れない。
【0035】
図2(a)の状態から流路26a側の流体の圧力が上昇し、所定の値を超えると、図2(b)に示すように、弁座23が外側に弾性変形して拡開し、弁座23の内周面と弁体24の大径部24aとの間に隙間ができる。この隙間を通って流体が左方へ、弁体24の切欠部24bを介して流路25a側へと流れ、圧力制御弁21が開状態となる。尚、図2(b)では、図を見易くするために、圧力制御弁21の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0036】
一方、図2(a)の状態から流路25a側の流体の圧力が上昇した場合には、流路25aを介して弁体24の切欠部24b等における流体圧も高くなるが、流路25aは、貫通孔22bを介して隙間29に連通しているため、隙間29内の流体圧も高くなり、この流体圧によって、弁座23の外周面が弁体24側に向かって押圧されるため、弁座23の内周面と弁体24の大径部24aとが離間することがない。そのため、圧力制御弁21の閉状態が維持される。
【0037】
以上のように、圧力制御弁2は、図2(b)に示したように、流路26a側の流体の圧力が所定の値を超えると開き、図2(c)に示したように、流路25aから流路26aには流体が流れず閉じた状態を維持することができるため、逆止弁としても機能する。尚、図2(c)でも、図を見易くするために、圧力制御弁21の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0038】
次に、本発明にかかる圧力制御弁の第3の実施形態について、図3を参照しながら説明する。
【0039】
この圧力制御弁41は、大別して、内部に弁室42a、42bを有する二つ割りの部品が接合された弁本体42(42A、42B)と、弁室42a、42b内の弁座43に接離する弁体44等で構成される。
【0040】
弁本体42(42A、42B)は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に円筒状空間としての弁室42a、42bを備え、弁本体42Bの右端部のリング状の突条部の先端面が弁座43として機能する。
【0041】
弁体44は、金属等の薄板で右端部が閉じられた円筒容器状に形成される。この弁体44の外周面が弁座43に当接している。弁体44の左端部は、弁室42bに開放され、保持部材45を介して弁本体42Bの内周面に固定される。
【0042】
保持部材45は、弁体44の左端部を保持する保持部45aと、保持部45aに連続し、弁本体42Bの内周面に固定される複数の脚部45bと、保持部45aに形成された貫通孔45cとで構成され、脚部45bの間を介して流路42dと弁室42bとが連通する。
【0043】
次に、上記構成を有する圧力制御弁41の動作について、図3を参照しながら説明する。
【0044】
図3(a)は、圧力制御弁41が閉じている状態を示し、この状態では、弁体44の外周面が弁座43に接しているため、流路42cから流路42d、及び流路42dから流路42cのいずれの方向へも流体は流れない。
【0045】
図3(a)の状態から流路42c側の流体の圧力が上昇し、所定の値を超えると、図3(b)に示すように、弁体44が弾性変形により縮径し、弁座43との間に隙間ができる。この隙間を通って流体が左方へ、弁室42a、42bを介して流路42d側へと流れ、圧力制御弁41が開状態となる。尚、図3(b)では、図を見易くするために、圧力制御弁41の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0046】
一方、図3(a)の状態から流路42d側の流体の圧力が上昇した場合には、流路42d及び貫通孔45cを介して弁室42b及び弁体44の内部の流体圧が高くなり、この流体圧によって、弁体44の外周面が弁座43に向かって押圧されるため、弁体44の外周面と弁座43とが離間することがない。そのため、圧力制御弁41の閉状態が維持される。
【0047】
以上のように、圧力制御弁41は、図3(b)に示したように、流路42c側の流体の圧力が所定の値を超えると開き、図3(c)に示したように、流路42dから流路42cには流体が流れず閉じた状態を維持することができるため、逆止弁としても機能する。尚、図3(c)でも、図を見易くするために、圧力制御弁41の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0048】
次に、本発明にかかる圧力制御弁の第4の実施形態について、図4を参照しながら説明する。
【0049】
この圧力制御弁61は、大別して、内部に弁室62a、62bを有する二つ割りの部品が接合された弁本体62(62A、62B)と、弁室62a、62b内の弁座63に接離する弁体64等で構成される。
【0050】
弁本体62(62A、62B)は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に円筒状空間としての弁室62a、62bを備え、さらに、弁本体62Aには流路62cが、弁本体62Bには流路62dが形成される。
【0051】
弁体64は、金属等の薄板で密閉円筒容器状に形成され、容器内部は真空である。この弁体64の外周面が弁座63の突条部63aに当接している。弁体64の左端部は、保持部材65を介して弁本体62Bの内周面に固定される。
【0052】
弁座63は、金属等の薄板で円筒状に形成され、弁室62aの内周面に固定される。弁座63と弁室62aの内周面との間には密閉空間が形成され、その内部は真空となっている。弁座63は、内周面に突条部63aを備え、この突条部63aが弁体64の外周面に接離して圧力制御弁61を開閉する。
【0053】
保持部材65は、弁体64の左端部を保持する保持部65aと、保持部65aに連続し、弁本体62Bの内周面に固定される複数の脚部65bとで構成され、脚部65bの間を介して流路62dと弁室62bとが連通する。
【0054】
次に、上記構成を有する圧力制御弁61の動作について、図4を参照しながら説明する。
【0055】
図4(a)は、圧力制御弁61が閉じている状態を示し、この状態では、弁体64の外周面が弁座63の突条部63aに接しているため、流路62cから流路62d、及び流路62dから流路62cのいずれの方向へも流体は流れない。
【0056】
図4(a)の状態から流路62c側の流体の圧力が上昇し、所定の値を超えると、図4(b)に示すように、弁体64が弾性変形により縮径するとともに、弁座63も弾性変形して拡開し、弁座63の突条部63aとの間に隙間ができる。この隙間を通って流体が左方へ、弁室62a、62bを介して流路62d側へと流れ、圧力制御弁61が開状態となる。尚、図4(b)では、図を見易くするために、圧力制御弁61の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0057】
また、図4(a)の状態から流路62d側の流体の圧力が上昇した場合にも、上記と同様に、弁体64が弾性変形により縮径するとともに、弁座63も弾性変形して拡開し、弁座63との間に隙間ができるため、この隙間を通って流体が右方へ、弁室62b、62aを介して流路62c側へと流れ、圧力制御弁61が開状態となる。
【0058】
以上のように、圧力制御弁61は、流路62c側及び62d側のいずれかの流体の圧力が所定の値を超えると開き、双方向に流体を流すことができる。
【0059】
次に、本発明にかかる圧力制御弁の第5の実施形態について、図5を参照しながら説明する。
【0060】
この圧力制御弁81は、大別して、内部に弁室82aを有する弁本体82と、弁座として機能する弁本体82の内周面82b(以下「弁座」という)に接離する弁体83等で構成される。
【0061】
弁本体82は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に円筒状空間としての弁室82aを備え、弁室82aに弁体83が収容される。弁体83の左方には、流路85aを備えたハウジング85が、右方には、流路86aを備えたハウジング86が一体化される。
【0062】
弁体83は、ゴム等の合成樹脂からなる中実弾性体であって、全体的に、左方から右方へ向かうについて外径が漸減する円柱状に形成され、右端部83aは、弁本体82の内周面に固定された支持部材87に固定されている。尚、支持部材87は、円板状に形成されているが、図示しない複数の貫通孔が穿設されているため、支持部材87で仕切られる弁室82aの左右は連通している。一方、左端部83bは、他の部分より大径であるとともに、凹部83cを備え、左端部83bの外周面が弁座82bに当接している。
【0063】
ハウジング85は、金属や合成樹脂等で形成され、内部に流路85aとして円筒状空間が形成される。ハウジング86も合成樹脂等で形成され、内部に流路86aとして円筒状空間が形成される。
【0064】
次に、上記構成を有する圧力制御弁81の動作について、図5を参照しながら説明する。
【0065】
図5(a)は、圧力制御弁81が閉じている状態を示し、この状態では、弁体83の左端部83bが弁座82bの内周面に接しているため、流路85aから流路86a、及び流路86aから流路85aのいずれの方向へも流体は流れない。
【0066】
図5(a)の状態から流路86a側の流体の圧力が上昇し、所定の値を超えると、図5(b)に示すように、弁室82a内の流体圧によって左端部83bが弾性変形により縮径し、弁座82bとの間に隙間ができる。この隙間を通って流体が左方へ流路85a側へと流れ、圧力制御弁81が開状態となる。尚、図5(b)では、図を見易くするために、圧力制御弁81の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【0067】
一方、図5(a)の状態から流路85a側の流体の圧力が上昇した場合には、流路85aを介して弁体83の凹部83cにおける流体圧も高くなるため、弁体83の左端部83bが弁座82bに向かって押圧され、左端部83bと弁座82bとが離間することがない。そのため、圧力制御弁81の閉状態が維持される。
【0068】
以上のように、圧力制御弁81は、図5(b)に示したように、流路86a側の流体の圧力が所定の値を超えると開き、図5(c)に示したように、流路85aから流路86aには流体が流れず閉じた状態を維持することができるため、逆止弁としても機能する。尚、図5(c)でも、図を見易くするために、圧力制御弁81の各構成要素の段部、輪郭を示す線を省略し、断面のみを示している。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明にかかる圧力制御弁の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる圧力制御弁の第2の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる圧力制御弁の第3の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる圧力制御弁の第4の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる圧力制御弁の第5の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 圧力制御弁
2(2A、2B) 弁本体
2a 弁室
2b 弁室
2c 流路
2d 流路
3 弁座
4 弁体
5 保持部材
5a 保持部
5b 脚部
21 圧力制御弁
22 弁本体
22a 弁室
22b 貫通孔
22c 突設部
23 弁座
24 弁体
24a 大径部
24b 切欠部
25 ハウジング
25a 流路
26 ハウジング
26a 流路
27 Oリング
29 隙間
41 圧力制御弁
42(42A、42B) 弁本体
42a 弁室
42b 弁室
42c 流路
42d 流路
43 弁座
44 弁体
45 保持部材
45a 保持部
45b 脚部
61 圧力制御弁
62(62A、62B) 弁本体
62a 弁室
62b 弁室
62c 流路
62d 流路
63 弁座
63a 突条部
64 弁体
65 保持部材
65a 保持部
65b 脚部
81 圧力制御弁
82 弁本体
82a 弁室
82b 内周面(弁座)
83 弁体
83a 右端部
83b 左端部
83c 凹部
83d ストッパ
85 ハウジング
85a 流路
86 ハウジング
86a 流路
87 支持部材
87a 挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に弁室を有する弁本体と、該弁室内に設けられる弁座と、該弁座に接離する弁体とを備え、前記弁体もしくは弁座のいずれか一方、又は両方が弾性体からなり、該弁体及び弁座が互いに当接した状態で、前記弁室内に2つの空間が区画形成されるとともに、これらの空間の連通が遮断されて閉状態となっており、
前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体もしくは弁座のいずれか一方、又は両方が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して前記2つの空間が連通して開状態となることを特徴とする圧力制御弁。
【請求項2】
前記弁体は、薄板からなる内部が真空の密閉円筒容器であって、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記密閉円筒容器の円周面を囲繞する開口部を有し、前記密閉円筒容器の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御弁。
【請求項3】
前記弁体は、円柱状部を備え、前記弁座は、薄板からなり、前記円柱状部の円周面を囲繞する円筒部を備え、前記弁体の円柱状部の円周面と前記薄板状円筒部とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁座が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御弁。
【請求項4】
前記弁体は、薄板からなり、一方の端部が閉じ、他方の端部が開放される円筒状に形成され、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記弁体の円周面を囲繞する開口部を有し、前記弁体の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間のうち、前記弁体の閉じた方の端部が面する側の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、該弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御弁。
【請求項5】
前記弁体は、薄板からなる内部が真空の密閉円筒容器であって、前記弁座は、前記弁室内に固定され、前記密閉円筒容器の円周面を囲繞する開口部を有し、前記密閉円筒容器の円周面と前記弁座の開口部内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体及び弁座が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御弁。
【請求項6】
前記弁体は、弾性体からなる中実円柱体であって、前記弁座は、該中実円柱体を囲繞する前記弁室の内周面であって、前記中実円柱体の外周面と前記弁室の内周面とが互いに当接することにより閉状態となり、前記2つの空間の一方の空間内の流体の圧力が所定の値を超えると、前記弁体が弾性変形し、前記弁体及び弁座が互いに離間して開状態となることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−236148(P2009−236148A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80012(P2008−80012)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(391002166)株式会社不二工機 (451)
【Fターム(参考)】