説明

圧力変化検出装置およびその製造方法

【課題】圧力変化を高精度に検出することが可能な圧力変化検出装置を提供する。
【解決手段】基板10に、圧力検出孔10Kを設ける。また、薄膜20の一方の面を基板10の裏面に固定させると共にその中央部分を圧力検出孔10Kに対向させ、他方の面を支持体30により支持させる。生体60から圧力検出孔10Kを通じて伝達される圧力により、薄膜20の中央部分がその周辺部に対し、相対的に変位するようになる。また、検出対象と薄膜20との距離が短くなると共に、基板10の剛体的特性により、相対変位の検出精度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力変化を検出する圧力変化検出装置およびその製造方法に係わり、特に、例えばマウスなどの小動物の呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化を検出する圧力変化検出装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体分野および遺伝子分野等において、生体の生理機能を調査するために微小な圧力センサ(いわゆるマイクロ圧力センサ)が開発されている。この微小な圧力センサの開発過程では、例えば、各種実験用のマウス(例えば、遺伝子ノックアウトマウス)に代表される小動物の皮下に圧力センサを埋め込み、その圧力センサを使用して圧力変化、すなわち呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化を検出することにより、小動物の呼吸数や心拍数などの生体信号(生体データ)を測定する技術が実用化に向けて検討されている。もちろん、この種の圧力センサの使用用途としては、上記した小動物に適用する実験的用途に限らず、将来的には医療分野等において人間に適用する実験的用途も併せて検討されている。
【0003】
この微小な圧力センサに関連する技術としては、例えば、密閉空気式音センサを使用した生体情報収集装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。この生体情報収集装置は、荷重に応じて変形可能な弾性構造体により構成された空気室を備えると共に、荷重に応じて空気室が密閉されたときに、その密閉された空気室(密閉空気室)内の空気圧を検出する無指向性マイクロホンまたは圧力センサを備えている。この生体情報収集装置では、密閉空気室内の空気圧を検出することにより、心拍数などの生体情報を入手可能である。
【0004】
【特許文献1】特開2003−210434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、微小な圧力センサを使用して生体の呼吸数や心拍数などの生体データを高精度で測定するためには、その生体の呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化を正確に検出する必要がある。より具体的には、例えば、センササイズの極小型化を目的として約1mm×1mm角以下となるように圧力センサを構成した場合に、その微小な圧力センサを使用して小動物の生体データを高精度に測定するためには、小動物の皮下における表皮筋の僅かな振動を圧力変化として高感度に検出する必要がある。
【0006】
しかしながら、従来は、上記した小動物の僅かな振動を圧力変化として高感度に検出する観点において具体的な技術が十分に成熟していなかったため、小動物の生体データを高精度に測定可能な微小な圧力センサが実現に至っていなかった。したがって、微小な圧力変化を使用して、例えばこのような生体の生理機能などを詳細に調査するためには、圧力変化を高精度に検出することが可能な技術の確立が急務である。その場合には、特に、微小な圧力センサの生産性を考慮して、その圧力センサを容易に製造可能な技術を確立することも重要である。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、圧力変化を高精度に検出することが可能な圧力変化検出装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の第2の目的は、高精度な検出精度を有する圧力変化検出装置を容易に製造することが可能な圧力変化検出装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の圧力変化検出装置は、圧力検出孔を有する基板と、中央部分が圧力検出孔に対向すると共に一方の面がその周辺部において基板の裏面に固定され、基板の表面方向から上記圧力検出孔を通じて伝達された圧力により変形可能な薄膜と、この薄膜の他方の面において、薄膜の中央部分を周辺部に対して相対的に変位可能に支持する支持体とを備えたものである。
【0010】
本発明の圧力変化検出装置では、基板の表面方向から圧力検出孔を通じて伝達される圧力により、この基板の裏面に固定された薄膜の中央部分が、その周辺部に対して相対的に変位可能となり、これにより圧力変化が検出される。また、この薄膜は基板の裏面に固定されているので、検出対象との距離が短くなると共に、基板の剛体的特性により、相対変位の検出精度が向上する。
【0011】
本発明の圧力変化検出装置では、上記圧力検出孔に、粘性流体を充填するようにしてもよい。このように構成した場合、検出対象からの圧力がこの粘性流体を通じて伝達されるので、圧力検出孔に何も充填されていない場合と比べ、圧力変化の伝達効率が向上する。また、この圧力検出孔に固体媒体を収納させると共に、この固体媒体の周囲に粘性流体を充填するようにしてもよい。このように構成した場合、検出対象からの圧力がこの固体媒体を通じて伝達されるので、液体媒体(例えば、粘性流体)を通じて伝達される場合と比べ、圧力変化の伝達効率がさらに向上する。
【0012】
本発明の圧力変化検出装置では、上記薄膜が圧電膜を含むと共に、この圧電膜の抵抗値が薄膜の中央部分の相対変位に応じて変化するようにした場合、この抵抗値変化に基づいて、圧力変化が検出される。
【0013】
本発明の圧力変化検出装置では、上記薄膜および支持体の寸法は、例えば、1mm×1mm角以下である。
【0014】
本発明の圧力変化検出装置では、薄膜の中央部分の相対変位に基づいて圧力変化信号を取得する取得手段を備えるようにしてもよい。このように構成した場合、相対変位に基づいて検出された圧力変化から、圧力変化信号が得られる。
【0015】
この場合において、上記取得手段により得られた圧力変化信号を記憶する記憶手段を備えるようにしてもよく、また、得られた圧力変化信号を外部へ送信する送信手段を備えるようにしてもよい。このように構成した場合、得られた圧力変化信号が、情報として利用可能となる。
【0016】
本発明の圧力変化検出装置の製造方法は、薄膜を形成する第1の工程と、この薄膜の一方の面に支持体を形成し、薄膜の中央部分がその周辺部に対して相対的に変位可能となるように支持させる第2の工程と、基板に圧力検出孔を設ける第3の工程と、薄膜の他方の面を、その中央部分において圧力検出孔に対向させつつその周辺部において基板の裏面に固定させ、基板の表面方向から上記圧力検出孔を通じて伝達される圧力によりこの薄膜を変形可能とする第4の工程とを含むようにしたものである。
【0017】
本発明の圧力変化検出装置の製造方法では、上記第4の工程の後において、圧力検出孔に粘性流体を充填する工程を含むようにしてもよい。また、この第4の工程の後において、圧力検出孔に固体媒体を収納させる工程と、この固体媒体の周囲に粘性流体を充填する工程とを含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の圧力変化検出装置によれば、基板の表面方向から圧力検出孔を通じて伝達される圧力により、薄膜の中央部分がその周辺部に対して相対的に変位可能とすると共に、この薄膜を基板の裏面に固定するようにしたので、検出対象と薄膜との距離を短くすることができると共に、基板の剛体的特性により薄膜の中央部分における相対変位の検出精度を向上させることができ、圧力変化を高精度に検出することが可能となる。
【0019】
本発明の圧力変化検出装置の製造方法によれば、薄膜の一方の面に支持体を形成することにより、薄膜の中央部分を周辺部に対して相対的に変位可能に支持させると共に、基板に圧力検出孔を設け、薄膜の他方の面をその中央部分においてこの圧力検出孔に対向させつつその周辺部において基板の裏面に固定させるようにしたので、複雑な製造技術を必要とせずに既存の製造技術だけで製造することができ、高精度な検出精度を有する圧力変化検出装置を容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る圧力変化検出装置(圧力センサ)の構成を表すものであり、図2は平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を示し、図1は図2におけるA−A線に沿った断面構成(XZ面に沿った平面構成)を示している。
【0022】
本実施の形態の圧力センサは、検出対象の圧力変化を検出することにより、その圧力変化に基づく圧力変化信号を取得するためのものである。具体的には、例えば各種実験用のマウスに代表される小動物等(生体)の呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化を検出することにより、呼吸数や心拍数などの生体信号を測定するものである。この圧力センサでは、基板10の裏面に薄膜20が固定されると共に、この薄膜20が支持体30によって支持されている。
【0023】
基板10は、例えばポリイシドまたはガラスエポキシなどにより構成されている。この基板10には矩形状の開口(圧力検出孔10K)が設けられ、この圧力検出孔10Kには、粘性流体40が充填されている。粘性流体40は、例えば、ゼラチンや寒天などのゲル状物質などにより構成されている。なお、後述するようにこの圧力センサでは、基板10の表面に検出対象が接した状態でその圧力変化を検出するようになっており、圧力検出孔10Kに充填された粘性流体40を通じて、圧力が伝達されるようになっている。
【0024】
薄膜20は、その中央部分が基板10の圧力検出孔10Kに対向するように配置されると共に、その表面が周辺部において、バンプ29A〜29Dにより基板10の裏面に固定されており、圧力検出孔10K内の粘性流体40を通じて伝達された圧力によって、Z軸方向に変形可能となっている。また、この薄膜20はその裏面側において、支持体30に支持されている。この支持体30はZ軸方向に延在しており、そのほぼ中央部分である圧力検出孔10Kに対応した位置に、矩形状の開口30KがZ軸方向に沿って設けられている。なお、支持体30は固体材料により構成され、例えばシリコン(Si)などの半導体材料が挙げられる。
【0025】
また、薄膜20は、例えば、支持体30に近い側から順に、絶縁膜21と、変位膜22と、キャップ膜23と、絶縁膜24と、保護膜25とを積層した多層膜であり、その変位膜22中に圧電膜26が埋設された構成となっている。
【0026】
絶縁膜21は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁性材料により構成されており、その厚さは約1.0μmである。
【0027】
変位膜22は、薄膜20の変形による変位(後述する、薄膜20の周辺部に対する中央部分の相対変位)に応じて変位することにより、圧力検出孔10K内の粘性流体40を通じて伝達される圧力の変化を、圧電膜16へ伝達させるゲージ膜である。この変位膜22は、例えば、イオン打ち込み処理(例えば、ホウ素(B)イオン)が施されることによって抵抗変化したケイ素(Si)などの絶縁性材料により構成されており、その厚さは約3.0μm〜10.0μmである。
【0028】
キャップ膜23は、イオン打ち込み処理を行うために使用されるものである。このキャップ膜23は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)などにより構成され、その厚さは約20nmである。
【0029】
絶縁膜24は、絶縁膜24は、例えば、酸化ケイ素(SiO2)などの絶縁性材料により構成されており、その厚さは約300nmである。この絶縁膜24のうち、圧電膜26に対応する箇所にはコンタクトホールが設けられており、このコンタクトホールには、圧電膜26と接続するための配線膜27が形成されている。この配線膜27は、例えば、アルミニウム−ケイ素−銅(Al−Si−Cu)などの導電性材料により構成されている。
【0030】
保護膜25は、薄膜20の表面を保護するためのものである。この保護膜25は、例えば、窒化ケイ素(SiN)などの絶縁性材料により構成されており、その厚さは約300nmである。また、この保護膜25には複数箇所に開口が設けられており、その開口には、それぞれバンプ29A〜29Dを介して基板10と接続するためのパッド28A(VG1),28B(Vcc),28C(VG2),28D(GND)が組み込まれている。これらパッド28A〜28Dはそれぞれ、配線膜27を介して圧電膜26と電気的に接続されている。
【0031】
圧電膜26は、前述のように、変位膜22を介して伝達される、薄膜20の変形による変位(後述する、薄膜20の周辺部に対する中央部分の相対変位)に応じて、抵抗値変化が生ずるものである。この圧電膜26は、例えば、外力に応じて変形することによりその抵抗値が変化するピエゾ薄膜などにより構成され、具体的には、例えばイオン打ち込み処理が施されたケイ素(Si)薄膜などが挙げられる。また、この圧電膜26は、配線膜27を介して互いに直列接続された4つの圧電膜(圧電膜26A〜26D)から構成されている。これら圧電膜26A〜26Dの寸法は、例えば、いずれも約5μm×100μm〜400μmである。なお、圧電膜26A〜26Dの配置関係については、後述する。
【0032】
この圧力センサは、基板10の表面が生体に接した状態で使用され、そのような状態であっても生体に違和感を与えずに装着可能となるよう、極めて小型化されている。具体的には、この圧力センサにおける基板10を除いた部分、すなわち薄膜20および支持体30部分の平面寸法(XY平面の寸法)は、例えば約1mm×1mm角以下である。特に、例えばマウスなどに代表される小動物に適用する場合には、この薄膜20および支持体30部分の平面寸法は、例えば約0.8mm×0.8mm角(約800μm×800μm角)である。なお、上記した「薄膜20および支持体30部分の平面寸法」とは、具体的には、図2に示した圧力センサの平面形状の輪郭(外縁)の縦横寸法である。
【0033】
次に、図1〜図3を参照して、この圧力センサの詳細な構成について説明する。図3は、図1および図2に示した圧力センサのうち、実際に圧力検出に寄与している圧力検出部分の構成を表している。
【0034】
この圧力検出部分は、例えば、上記した圧電膜26A〜26D、配線膜27およびパッド28A〜28Dを含む回路パターン20Pと、この圧力検出部分全体を制御するコントローラ51と、データを記憶するメモリ52と、電源としてのバッテリ53と、外部にデータを送信するための送信機54とを含んで構成されている。
【0035】
回路パターン20Pは、前述した圧電膜26A〜26Dそれぞれの抵抗変化に基づき、コントローラ51において圧力Pを演算するための分圧信号(VG1,VG2)を出力するものである。この回路パターン20Pは、例えば図3に示したように、バッテリ53から電源電圧(Vcc)が供給されると共に一端が接地(GND)された状態において、圧電膜26A,26Cに基づいて検出された一方の分圧信号(VG1)をコントローラ51に出力すると共に、同様にして圧電膜26B,26Dに基づいて検出された他方の分圧信号(VG2)をコントローラ51に出力するようになっている。
【0036】
コントローラ51は、主に、回路パターン20Pから出力される2系統の分圧信号(VG1,VG2)に基づいて圧力Pを演算する圧力演算部であると共に、その圧力データ(圧力P)に基づいて、例えば生体の呼吸数や心拍数を含む生体データD(生体信号)を取得するものである。このコントローラ51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの制御デバイスを含んで構成されている。また、このコントローラ51は、例えばこの生体データDを取得すると、その生体データDをメモリ52に記憶させると共に、必要に応じて送信機54によって外部へ送信するようになっている。
【0037】
メモリ52は、コントローラ51によって得られた生体データDに代表される各種データを記憶するものであり、例えば、RAM(Random Access Memory)などの記録デバイスにより構成されている。
【0038】
送信機54は、例えばコントローラ51から指示信号が出力されると、その指示信号に応じて、生体データDを外部へ送信するものである。
【0039】
なお、これらコントローラ51、メモリ52および送信機54は、それぞれ、本発明における「取得手段」、「記憶手段」または「送信手段」の一具体例に対応する。
【0040】
次に、図1、図2、図4および図5を参照して、本実施の形態に係る圧力センサの製造方法について説明する。図4および図5は、この圧力センサの製造方法を説明するためのものであり、いずれも図1に対応する断面構成(XZ面に沿った平面構成)を示している。なお、以下では、圧力センサの製造方法のうち、基板10、薄膜20、支持部30および粘性流体40部分の形成工程について説明する。
【0041】
まず、前述した各材料を使用して、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術などの既存の製造技術を用いて、図1および図2に示したような薄膜20を形成する。具体的にはまず、絶縁膜21、変位膜22およびキャップ膜23をこの順に積層形成する。次いで、キャップ膜23の一部に開口を形成した後、この開口部分に例えばイオン打ち込み処理を施すことにより、圧電膜26A〜26Dを形成する。次いで、キャップ膜23上に絶縁膜24を形成すると共に、複数のコンタクトホールを形成する。次いで、これら複数のコンタクトホール部分に配線膜27を形成する。次いで、絶縁膜24、圧電膜26および配線膜27の上に、保護膜25を形成する。次いで、この保護膜25の一部に複数箇所の開口を形成すると共に、これらの開口部分にパッド28A〜28Dを形成する。また、これらパッド28A〜28Dを、配線膜27を介して圧電膜26A〜26Dと電気的に接続するようにする。
【0042】
次に、図4に示したように、薄膜20の裏面(絶縁膜21側)に、開口30Kを有する支持体30を形成し、この薄膜20の中央部分が、その周辺部に対して相対的に変位可能となるように支持させる。具体的には、まず、例えばシリコン(Si)などの半導体材料を使用して、絶縁層21上に半導体層を一様に形成する。次いで、例えばイオンミリングなどのドライエッチング技術によって、この半導体層の一部(符号30Aで示した部分)を部分的に掘り下げ、絶縁膜21が部分的に露出するようにすることにより、開口30Kを有する支持体30を形成する。
【0043】
次に、前述した材料よりなる基板10上(符号10Aで示した部分)に開口を設け、圧力検出孔10Kを形成する。具体的には、例えば上記のように、イオンミリングなどのドライエッチング技術によって、この基板10を部分的に掘り下げることにより、圧力検出孔10Kを形成する。
【0044】
次に、図5に示したように、薄膜20の表面(保護膜25側)を、その中央部分において基板10の圧力検出孔10Kに対向させつつ、その周辺部において基板10の裏面に固定させる。具体的には、薄膜20の中心部分(および支持体30の開口30K)と基板10の圧力検出孔10Kとを対向させつつ、薄膜20の表面に形成されたパッド28A〜28Dとバンプ29A〜29Dとを用いて、薄膜20の表面と基板10の裏面とを接続し、固定させる。
【0045】
最後に、基板10の圧力検出孔10Kに、前述した材料よりなる粘性流体40を充填する。これにより、この粘性流体40Kを介して圧力が伝達されるようになり、図1および図2に示した圧力センサが完成する。
【0046】
このように、本実施の形態に係る圧力センサの製造方法では、例えばマイクロマシンなどで用いられる片持ち梁構造などを形成する必要はないことから、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術などに代表される既存の製造技術だけを使用しており、複雑な製造技術は必要とならない。
【0047】
次に、図1〜図3および図6を参照して、圧力センサの動作について説明する。図6は、この圧力センサの使用態様を説明するためのものであり、図1に対応する断面構成を示している。
【0048】
この圧力センサは、例えば図6に示したように、基板10の表面が生体60に接した状態で使用される。このような状態のもとで、生体60の皮下組織において、生体の呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化Sが生じると、その圧力変化Sは、圧力検出孔10K内の粘性流体40を通じて、薄膜20の中央部分に伝達される。
【0049】
ここで、この圧力センサでは、前述のように、薄膜20の中央部分が基板10の圧力検出孔10Kに対向し、その表面が周辺部において基板10の裏面に固定されると共に、その裏面が支持体30によって支持されている。また、この支持体30はZ軸方向に延在しており、そのほぼ中央部分である圧力検出孔10Kに対応した位置に、開口30KがZ軸方向に沿って設けられている。したがって、圧力検出孔10K内の粘性流体40を通じて伝達される圧力変化Sによって、薄膜20の中央部分は、その周辺部に対してZ軸方向に相対的に変位する。
【0050】
そしてこの薄膜20の中央部分の相対変位に応じて、圧電膜26A〜26Dでは抵抗値変化が生じ、これら圧電膜26A〜26Dを含む回路パターン20Pから、2系統の分圧信号(VG1,VG2)が出力される。コントローラ51では、この2系統の分圧信号(VG1,VG2)に基づいて圧力Pが演算され、その圧力データ(圧力P)に基づいて、例えば生体の呼吸数や心拍数を含む生体データD(生体信号)が得られる。なお、得られた生体データDはメモリ52に記憶される共に、必要に応じて送信機54によって外部へ送信される。
【0051】
ここで、本実施の形態の圧力センサでは、上記のように、生体60が基板10の表面に接した状態で圧力変化Sが検出されるので、検出対象である生体60と、中央部分の相対変位に基づいて圧力変化Sを検出する薄膜20との距離が短く、圧力変化Sを検出しやすい。また、この薄膜20および支持体30は、基板10の裏面に固定されているので、たとえ生体60自体が振動したような場合であっても、薄膜20や支持体30と比べて格段に大きい基板10の剛体的特性により、薄膜20の中央部分の相対変動に対する生体60自体の振動成分の混入がほとんどない。したがって、本実施の形態の圧力センサでは、薄膜20の中央部分における相対変位の検出精度が高くなる。
【0052】
図7は、本実施の形態に係る圧力センサの比較例としての圧力センサの構成を表したものであり、図6に対応する使用態様を断面構成で示している。この比較例に係る圧力センサは、本実施の形態に係る圧力センサとは異なり、薄膜20および支持体30が基板10の裏面に固定されていない。また、基板10の表面側(すなわち、保護膜25側)で生体60に生ずる圧力変化Sを検出している本実施の形態に係る圧力センサ(図6参照)とは異なり、開口30Kに粘性流体140が充填された支持体30側で、圧力変化Sを検出している。
【0053】
具体的には、この比較例に係る圧力センサは、生体60が支持体30および粘性流体140に接した状態で使用され、生体60の皮下組織において生体の呼吸運動や心拍運動に基づく圧力変化Sが生じると、その圧力変化Sは、開口30K内の粘性流体140を通じて、薄膜20の中央部分に伝達される。
【0054】
したがって、検出対象である生体60と薄膜20との距離が長く、圧力変化Sを検出しにくい。また、層膜20および支持体30が基板10の裏面に固定されておらず、圧力センサが小型化されていることからも、生体60自体が振動したような場合、生体60自体の振動成分の混入が非常に大きくなり、薄膜20の中央部分における相対変位の検出精度が低い。
【0055】
これに対して、本実施の形態に係る圧力センサ(図6参照)では、上記のように生体60が基板10の表面に接した状態で圧力変化Sが検出されるので、比較例に係る圧力センサ(図7)と比べて生体60と薄膜20との距離が短く、圧力変化Sがより検出しやすい。また、薄膜20および支持体30が基板10の裏面に固定されているので、たとえ生体60自体が振動したような場合であっても、比較例に係る圧力センサとは異なり、上記した基板10の剛体的特性によって、生体60自体の振動成分の混入がほとんどない。したがって、本実施の形態の圧力センサでは、比較例に係る圧力センサに比べ、薄膜20の中央部分における相対変位の検出精度が向上する。
【0056】
以上のように、本実施の形態では、生体60から基板10の圧力検出孔10Kを通じて伝達される圧力によって薄膜20の中央部分が周辺部に対して相対的に変位するようにすると共に、この生体60を基板10の表面に接した状態で検出するようにしたので、生体出60と薄膜20との距離が従来と比べて短くなると共に、基板10の剛体的特性によって薄膜20の中央部分における相対変位の検出精度を向上させることができ、生体60で生ずる圧力変化Sを、従来と比べて高精度に検出することが可能となる。
【0057】
また、圧力検出孔10Kに粘性流体40を充填するようにしたので、この粘性流体40を通じて、生体60からの圧力を伝達させることができる。
【0058】
また、薄膜20内に圧電膜26A〜26Dを設けたので、圧力変化Sによる薄膜20の相対変位に基づいてこれら圧電膜26A〜26Dの抵抗値を変化させ、電圧変化(分圧信号(VG1,VG2))として出力することが可能となる。
【0059】
また、圧力を演算するコントローラ51を設けたので、上記圧電膜26A〜26Dを含む回路パターン20Pから出力される分圧信号(VG1,VG2)に基づいて圧力Pを演算することができ、さらにこの圧力Pに基づいて、例えば生体60の呼吸数や心拍数を含む生体データD(生体信号)を取得することが可能となる。
【0060】
また、メモリ52および送信機54を設けたので、コントローラ51によって得られた生体データDをメモリ52に記憶する共に、必要に応じて送信機54によって外部へ送信することができ、得られた生体データDを情報として利用することが可能となる。
【0061】
また、生体60で生ずる圧力変化を高精度に検出することができるので、検出精度を確保しつつ、従来と比べて圧力センサ(薄膜20および支持体30の部分)を小型化することが可能となる。
【0062】
さらに、薄膜20の一方の面(絶縁膜21側)に支持体30を形成することにより、薄膜20の中央部分を周辺部に対して相対的に変位可能に支持させると共に、基板10に圧力検出孔10Kを設け、薄膜20の他方の面(保護膜25側)をその中央部分において圧力検出孔10Kに対向させつつその周辺部において基板10の裏面に固定させることによって、この圧力センサを製造するようにしたので、複雑な製造技術を必要とせずに既存の製造技術だけで製造することができ、高精度な検出精度を有する圧力変化センサを容易に製造することが可能となる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の簡潔化を図るため、以下、第1の実施の形態と同様の部位については、同じ符号を付して説明する。
【0064】
図8および図9は、本実施の形態に係る圧力センサの構成を表すものであり、図9は平面構成(Z軸方向から見た平面構成)を示し、図8は図9におけるB−B線に沿った断面構成(XZ面に沿った平面構成)を示している。
【0065】
この圧力センサは、図1および図2に示した第1の実施の形態の圧力センサにおいて、基板10の圧力検出孔10Kに固体媒体40Aを配置すると共に、この固体媒体40Aの周囲に粘性流体40Bを充填するようにしたものである。
【0066】
固体媒体40Aは、圧力検出孔10Kのほぼ中央に位置し、湾曲した端面(湾曲面)40Mを有している。そして生体60からの圧力に応じて上下に変位することにより、この湾曲面40Mにおいて、薄膜20と連動してZ軸方向に変位可能となっている。すなわち、この固体媒体40Aは、第1の実施の形態における粘性流体40の代わりに、生体60からの圧力を薄膜20へ伝達する役割を果たしている。また、この固体媒体40Aは、圧力検出孔10Kから部分的に突出しており、固体媒体40Aの上端から圧力検出孔10Kの上端までの距離(突出長さL)は、約50〜100μmである。なお、この固体媒体40Aは、例えば、アクリル、塩化ビニルまたはポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂により構成されている。
【0067】
粘性流体40Bは、圧力検出孔10K内において固体媒体40Aの姿勢が維持されるように保持するものであり、第1の実施の形態における粘性流体40とは異なる役割を担っている。ただし、この粘性流体40Bは粘性流体40と同様に、例えば、ゼラチンや寒天などのゲル状物質などにより構成されている。
【0068】
次に、図8〜図10を参照して、本実施の形態に係る圧力センサの製造方法について説明する。図10は、この圧力センサの製造方法を説明するためのものであり、図8に対応する断面構成(XZ面に沿った平面構成)を示している。
【0069】
本実施の形態の圧力センサの製造方法では、第1の実施の形態で説明した図5のように、薄膜20の表面(保護膜25側)をその中央部分において基板10の圧力検出孔10Kに対向させつつその周辺部において基板10の裏面に固定させた後、図10に示したように、圧力検出孔10Kに、前述した材料よりなる固体媒体40Aを収納させる。また、収納させる際には、この固体媒体40Aが圧力検出孔10Kのほぼ中央部分に位置するようにすると共に、その上部が圧力検出孔10Kから部分的に突出するようにする。
【0070】
最後に、固体媒体40Aが収納された圧力検出孔10Kに、前述した材料よりなる粘性流体40Bを充填する。これにより、圧力検出孔10K内において粘性流体40Bにより固体媒体40Aの姿勢が維持され、その結果、固体媒体40Aがその湾曲面40Mにおいて、薄膜20と連動してZ軸方向に変位可能となる。このようにして、図8および図9に示した圧力センサが完成する。
【0071】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術などに代表される既存の製造技術だけを使用しているので、複雑な製造技術は必要とならない。
【0072】
また、上記のように固体媒体40Aを介して圧力変化Sを伝達させるようにしたので、例えば薄膜20および支持体30の小型化に応じて圧力検出孔10Kの容積が小さくなった場合であっても、粘性流体の表面張力に起因してその粘性流体を圧力検出孔10Kに十分に充填できない、ということがなくなる。したがって、圧力変化Sを伝達させる媒体が圧力検出孔10Kに十分に充填されていないことに起因する、検出程度の低下が回避される。なお、この圧力センサにおいても、圧力検出孔10Kに粘性流体40Bが充填されているが、この粘性流体40Bは上記のように固体媒体40Aの姿勢を維持するためのものであり、圧力変化Sを伝達させる媒体ではないので、上記したような圧力変化Sの検出精度低下は生じない。
【0073】
次に、図8〜図9および図11を参照して、本実施の形態の圧力センサの動作について説明する。図11は、この圧力センサの使用態様を説明するためのものであり、図8に対応する断面構成を示している。
【0074】
本実施の形態の圧力センサでは、第1の実施の形態の場合と同様、例えば図11に示したように、基板10の表面が生体60に接した状態で使用される。このような状態のもとで、生体60の皮下組織において圧力変化Sが生じると、その圧力変化Sは、圧力検出孔10K内の固体媒体40Aを通じて、薄膜20の中央部分に伝達される。すなわち、圧力変化Sを伝達させる媒体が固体材料により構成されているので、この伝達媒体が液体材料(粘性流体を含む)により構成されている場合と比べ、生体60からの圧力変化Sの伝達効率が向上する。
【0075】
また、本実施の形態では、固体媒体40Aの上部が圧力検出孔10Kから部分的に突出するようにしたので、固体媒体40Aの変位に基づく圧力変化Sが薄膜20まで十分に伝達し得るような突出長さLを設定することにより、この固体媒体40Aが圧力変化Sに応じて変位した際に力学的影響を受けて収縮等した場合であっても、圧電膜26A〜26Dにおいて、圧力変化Sが十分に検出され得る。
【0076】
また、本実施の形態では、固体媒体40Aが湾曲面40Mを有するようにすることにより、この湾曲面40Mにおいて、薄膜20と連動してZ軸方向に変位可能となるようにしたので、いかなる方向に圧力変化Sが生じた場合においても、この固体媒体40Aの変位に基づいて、圧力変化Sが薄膜20内の変位膜22に対して、局所的に伝達される。より具体的には、圧力変化SがZ軸方向と平行な方向に生じた場合だけでなく、圧力変化SがZ軸方向からずれた(傾いた)方向に生じた場合であっても、その圧力変化Sの発生方向に依存せずに、変位膜22のうちの一定箇所に集中するように圧力変化Sが伝達される。したがって、変位膜22のうちの圧力変化の集中箇所が圧力変化Sの発生方向に応じて変化するような場合と比べ、圧電膜26A〜26Dによる変換(圧力変化Sから抵抗値への変換)精度が向上する。
【0077】
以上のように、本実施の形態では、圧力検出孔10Kに固体媒体40Aを配置すると共にその周囲に粘性流体40Bを充填させ、生体60からの圧力を伝達する媒体を固体(固体媒体40A)としたので、この伝達する媒体が液体(粘性流体40)である第1の実施の形態と比べて圧力変化の伝達効率を向上させることができ、圧力変化Sの検出精度をより向上させることが可能となる。
【0078】
また、固体媒体40Aの上部を圧力検出孔10Kから部分的に突出させるようにしたので、突出長さLを設定することにより、固体媒体40Aが圧力変化Sに応じて変位した際に力学的影響を受けて収縮等したような場合であっても、圧電膜26A〜26Dにおいて、圧力変化Sを十分に検出できるようにすることが可能となる。
【0079】
また、固体媒体40Aが湾曲面40Mを有しており、この湾曲面40Mにおいて薄膜20と連動して変位可能となるようにしたので、いかなる方向に圧力変化Sが生じた場合であっても、その方向に依存せず、変位膜22のうちの一定箇所に圧力変化を集中させて伝達することができ、圧電膜26A〜26Dによる変換精度を向上させることができる。よって、この観点においても、圧力変化Sの検出精度をより向上させることが可能となる。
【0080】
また、本実施の形態の圧力センサも、複雑な製造技術を必要とせずに既存の製造技術だけで製造することができるので、第1の実施の形態と同様に、高精度な検出精度を有する圧力変化センサを容易に製造することが可能となる。
【0081】
さらに、上記のように固体媒体40Aを介して圧力変化Sを伝達させるようにしたので、例えば薄膜20および支持体30の小型化に応じて圧力検出孔10Kの容積が小さくなったような場合であっても、粘性流体の表面張力に起因してその粘性流体を圧力検出孔10Kに十分に充填できないということがなくなり、圧力変化Sを伝達させる媒体が圧力検出孔10Kに十分に充填されていないことに起因する、検出程度の低下を回避させることができる。よって、この観点においても、第1の実施の形態における効果に加え、圧力変化Sの検出精度をより向上させることが可能となる。
【0082】
以上、第1および第2の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0083】
例えば、上記実施の形態では、圧力検出孔10Kが矩形状である場合で説明したが、この圧力検出孔10Kの形状はこれには限られず、任意の形状に設定可能である。また、上記実施の形態では、この圧力検出孔10Kに、粘性流体40を充填させる場合や、固体媒体40Aを配置すると共にその周囲に粘性流体40Bを充填させる場合で説明したが、生体60からの圧力変化Sを伝達できるのであれば、任意の媒体を使用可能である。これらの場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、この圧力センサによって、マウスに代表される生体の生体データDを取得する場合で説明したが、この生体データDを取得する対象(生体)はこれには限られず、例えば人間であってもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
さらに、上記実施の形態では、生体データDとして生体の呼吸数や心拍数等を測定するために本発明の圧力センサを適用する場合で説明したが、検出対象はこれには限られず、例えば他の圧力変化を検出し、これに基づく他の圧力変化データを取得するようにしてもよい。この「他の圧力変化データ」としては、例えば、樹脂製または金属製のフレキシブルチューブ内を流れる流体の圧力変化や、薄板を介した密閉構造内の圧力変動などが挙げられる。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
本発明の圧力検出装置は、例えば図12に示したような圧力変化データ(ここでは、生体データD)管理システムに適用することが可能である。具体的には、この生体データ管理システムは、例えば、上記実施の形態において説明した圧力センサ(圧力センサ1)をマウスなどの生体Lに接触させ、その生体Lの生体データD(例えば、呼吸数や心拍数)を継続的に測定して管理するものであり、この圧力センサ1と、データ管理用の管理端末装置7とを含んで構成されている。また、この管理端末装置7は、圧力センサ1において取得された生体データDに基づいてデータベースを構築可能なコンピュータであり、例えば、装置全体を制御するコントローラ71と、生体データDを含む各種データを記憶するメモリ72と、外部(ここでは、圧力センサ1)から設定された頻度で生体データDを含む各種データを受信する受信機73とを含んで構成されている。このような生体データ管理システムを構築した場合、圧力センサ1において取得された生体データDを管理端末装置7に蓄積させることにより、この生体データDを継続的かつ統括的に管理することができ、生体データDを高精度に管理することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明に係る圧力変化検出装置およびその製造方法は、例えば、マウスなどの生体の生体データ(例えば、呼吸数や心拍数など)を測定する圧力変化検出装置およびその製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る圧力変化検出装置の構成を表す断面図である。
【図2】図1に示した圧力変化検出装置の構成を表す平面図である。
【図3】圧力変化検出装置のうちの圧力検出部分の構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る圧力変化検出装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図5】図4に続く圧力変化検出装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した圧力変化検出装置の使用態様を説明するための断面図である。
【図7】比較例に係る圧力変化検出装置の構成を表す断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る圧力変化検出装置の構成を表す断面図である。
【図9】図8に示した圧力変化検出装置の構成を表す平面図である。
【図10】第2の実施の形態に係る圧力変化検出装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図11】図8に示した圧力変化検出装置の使用態様を説明するための断面図である。
【図12】図1または図8に示した圧力変化検出装置を適用した生体データ管理システムの構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
1…圧力センサ、10…基板、10K…圧力検出孔、20…薄膜、20P…回路パターン、21,24…絶縁膜、22…変位膜、23…キャップ膜、25…保護膜、26(26A〜26D)…圧電膜、27…配線膜、28A〜28D…パッド、29A〜29D…バンプ、30…支持体、30K…開口、40,40B…粘性流体、40A…固体媒体、51…コントローラ、52…メモリ、53…バッテリ、54…送信機、60…生体、7…管理端末装置、71…コントローラ、72…メモリ、73…受信機、D…生体データ(生体信号)、L…生体、P…圧力、S…圧力変化。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力検出孔を有する基板と、
中央部分が前記圧力検出孔に対向すると共に一方の面がその周辺部において前記基板の裏面に固定され、前記基板の表面方向から前記圧力検出孔を通じて伝達された圧力により変形可能な薄膜と、
前記薄膜の他方の面において、前記薄膜の中央部分を周辺部に対して相対的に変位可能に支持する支持体と
を備えたことを特徴とする圧力変化検出装置。
【請求項2】
前記圧力検出孔に、粘性流体が充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧力変化検出装置。
【請求項3】
前記圧力検出孔に、固体媒体が収納されると共にこの固体媒体の周囲に粘性流体が充填されている
ことを特徴とする請求項1に記載の圧力変化検出装置。
【請求項4】
前記薄膜は圧電膜を含み、
この圧電膜の抵抗値は、前記薄膜の中央部分の相対変位に応じて変化する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の圧力変化検出装置。
【請求項5】
前記薄膜および前記支持体の寸法が、1mm×1mm角以下である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の圧力変化検出装置。
【請求項6】
前記薄膜の中央部分の相対変位に基づいて圧力変化信号を取得する取得手段を備えた
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の圧力変化検出装置。
【請求項7】
前記取得手段により得られた圧力変化信号を記憶する記憶手段を備えた
ことを特徴とする請求項6に記載の圧力変化検出装置。
【請求項8】
前記取得手段により得られた圧力変化信号を外部へ送信する送信手段を備えた
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の圧力変化検出装置。
【請求項9】
薄膜を形成する第1の工程と、
前記薄膜の一方の面に支持体を形成し、前記薄膜の中央部分がその周辺部に対して相対的に変位可能となるように支持させる第2の工程と、
基板に圧力検出孔を設ける第3の工程と、
前記薄膜の他方の面を、その中央部分において前記圧力検出孔に対向させつつその周辺部において前記基板の裏面に固定させ、前記基板の表面方向から前記圧力検出孔を通じて伝達される圧力によりこの薄膜を変形可能とする第4の工程と
を含むことを特徴とする圧力変化検出装置の製造方法。
【請求項10】
前記第4の工程の後において、前記圧力検出孔に粘性流体を充填する工程を含む
ことを特徴とする請求項9に記載の圧力変化検出装置の製造方法。
【請求項11】
前記第4の工程の後において、
前記圧力検出孔に固体媒体を収納させる工程と、
前記固体媒体の周囲に粘性流体を充填する工程とを含む
ことを特徴とする請求項9に記載の圧力変化検出装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−192648(P2007−192648A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10663(P2006−10663)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504159235)国立大学法人 熊本大学 (314)
【Fターム(参考)】