説明

圧接型半導体装置

【課題】主電極にめっきを施しつつ、主電極の端部を含む面に圧接電極を面接合させることができる圧接型半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基体12と、めっき処理され、該半導体基体12の主面に固着されためっき付き主電極22と、該めっき付き主電極22のめっき22aが形成された面に重なるように圧接された圧接電極と、を備える。そして、該めっき付き主電極22の側面には溝22bが形成され、該溝22bは、該半導体基体12と該めっき付き主電極22が重なる部分の直上領域より外側に形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき付き主電極に圧接された圧接電極を備える圧接型半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧接型半導体装置は大電流を扱う半導体装置である。図4を参照して圧接型半導体装置の一部について説明する。図4は従来の圧接型半導体装置の部分断面図である。圧接型半導体装置は主電極100を備える。主電極100には、接触抵抗緩和及び酸化防止などのためにめっき102が施される。
【0003】
そして、主電極100には圧接電極104が圧接される。放熱性向上の観点から、圧接電極104と主電極100は、面同士が圧接されることで均等な圧力で面接合していることが好ましい。なお、このように主電極に圧接電極が圧接される構造は、サイリスタやダイオードなどに採用されている(例えば、特許文献1又は2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−97933号公報
【特許文献2】特開平2−159739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
主電極100に施されためっき102は主電極の端部で盛り上がった形状となることがある。めっきの盛り上がった部分は図4に破線で示されている。この破線の部分のめっき厚は他の部分のめっき厚よりも厚く形成されている。この場合、主電極100の端部を含む面に圧接電極104を圧接しようとするとめっき102が厚く形成された部分に圧力が集中し、主電極100と圧接電極104を均等な圧力で面接合させることができないことがある。その結果、このような構成を有する圧接型半導体装置においては、放熱性が低下するという問題が生じ易い。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、主電極にめっきを施しつつ、主電極の端部を含む面に圧接電極を均等な圧力で面接合させることができる圧接型半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧接型半導体装置は、半導体基体と、めっき処理され、該半導体基体の主面に固着されためっき付き主電極と、該めっき付き主電極のめっきが形成された面に重なるように圧接された圧接電極と、を備える。そして、該めっき付き主電極の側面には溝が形成され、該溝は、該半導体基体と該めっき付き主電極が重なる部分の直上領域より外側に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、主電極にめっきを施しつつ、主電極の端部を含む面に圧接電極を均等な圧力で面接合させることができる圧接型半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る圧接型半導体装置の断面図である。
【図2】図1の破線部分IIの拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る圧接型半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図4】従来の圧接型半導体装置の部分断面図である
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態.
図1を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、同一又は対応する構成要素には同一の符号を付して説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
図1は本発明の実施の形態に係る圧接型半導体装置の断面図である。圧接型半導体装置10は半導体基体12を備えている。半導体基体12は表主面と裏主面を有している。表主面にはアノード電極14が形成されている。裏主面にはゲート電極16及びカソード電極18が形成されている。アノード電極14、ゲート電極16、及びカソード電極18は例えばアルミニウムで形成することができる。
【0012】
半導体基体12の表主面側について説明する。アノード電極14にはアノード金属板20が固着されている。アノード金属板20はモリブデンなどの半導体基体12と線膨張係数が近い材料で形成されている。アノード金属板20には、支持ピン21で位置決めされためっき付き主電極22が固着されている。めっき付き主電極22にはめっき22aが施されている。図1において、めっき付き主電極22がアノード金属板20を介して半導体基体12と重なる領域の幅は、幅24で表わされている。
【0013】
めっき付き主電極22の側面には溝22bが形成されている。溝22bは、幅24で表された半導体基体12とめっき付き主電極22が重なる部分の直上領域(以後、直上領域という)より外側に形成されている。
【0014】
めっき付き主電極22のめっき22aが形成された面には、アノード圧接電極26が圧接されている。めっき付き主電極22の面で、圧接電極が圧接されている面を表側接合面と称する。アノード圧接電極26は表側接合面全体と重なるように圧接されている。図1において、めっき付き主電極22とアノード圧接電極26が重なる部分の幅は幅28で表わされている。この幅28は、半導体基体12と主電極22が重なる部分の幅24より大きい。すなわち、めっき付き主電極22と半導体基体12が重なる部分の面積は、めっき付き主電極の表側接合面より小さい。
【0015】
次に、半導体基体12の裏主面側について説明する。カソード電極18にはカソード金属板30が固着されている。カソード金属板30は、アノード金属板20と同様に、半導体基体12と線膨張係数が近い材料で形成することができる。カソード金属板30にはめっき付き主電極32が固着されている。めっき付き主電極32にはめっき32aが施されている。めっき付き主電極32の側面には溝32bが形成されている。溝32bは、溝22bと同様に、半導体基体12とめっき付き主電極32がカソード金属板30を介して重なる部分の直下領域(以後、直下領域という)より外側に形成されている。そして、めっき付き主電極32のめっき32aが形成された面には、カソード圧接電極36が圧接されている。
【0016】
ゲート電極16にはセンターゲート電極38が接続されている。センターゲート電極38はゲート支持体40及び皿バネ42によって支持されている。センターゲート電極38はゲートリード44と接続されている。ゲートリード44は絶縁筒46で覆われて絶縁されている。
【0017】
上述の構成は、アノード圧接電極26及びカソード圧接電極36、めっき付き主電極22及び32、並びにゲートリード44を外部に露出させるようにしてセラミックパッケージ50及びフランジ52に覆われている。
【0018】
図2は図1の破線部分IIの拡大図である。図2はめっき付き主電極22の端部の変形を示す拡大図である。めっき22aは表側接合面の端部において他の部分よりも厚く形成されている(めっきが厚く形成された部分を破線で示す)。めっき付き主電極22の端部のめっき22aが厚く形成された部分は、アノード圧接電極26に押されて変形している。この変形は、主電極22の端部の強度が、溝22bにより弱められているために起こる。主電極22の端部が変形することにより、表側接合面は平坦となり、めっき付き主電極22とアノード圧接電極26は面接合している。
【0019】
このように本発明の実施の形態に係る圧接型半導体装置10の構成によれば、めっき付き主電極22にめっきを施しつつ、めっき付き主電極22の端部を含む表側接合面にアノード圧接電極26を面接合させ圧接型半導体装置10の放熱性を高めることができる。
【0020】
ここで、圧接型半導体装置10の放熱性を高めるためには、半導体基体12からの最短の放熱経路において圧接電極と主電極とが均等な圧力で面接合していることが必要である。本実施の形態に係る圧接型半導体装置10では最短の放熱経路は直上領域である。圧接型半導体装置10では、主電極22の端部においては主電極22が変形するため、主電極22の端部においてはアノード圧接電極26と主電極22とが均等な圧力で面接合しないことも考えられる。しかしながら、溝22bにより主電極22が変形する部分は直上領域の外側である。よって直上領域ではアノード圧接電極26と主電極22とを均等な圧力で面接合させ、放熱性を高めることができる。なお、直下領域についても直上領域と同様に放熱性を高めることができる。
【0021】
図3は本発明の実施の形態に係る圧接型半導体装置10の変形例を示す断面図である。めっき付き主電極22の側面には溝22cが形成されている。溝22cは、溝22cの側面がめっき付き主電極22の側面に対して鋭角をなすように形成されている。このように溝22cを形成すると、めっき付き主電極22とアノード圧接電極26の圧接の際にめっき付き主電極22の端部を容易に変形させることができる。よって本発明の効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0022】
10 圧接型半導体装置、 12 半導体基体、 22,32 めっき付き主電極、 22a めっき、 22b 溝、 26 アノード圧接電極、 36 カソード圧接電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基体と、
めっき処理され、前記半導体基体の主面に固着されためっき付き主電極と、
前記めっき付き主電極のめっきが形成された面に重なるように圧接された圧接電極と、を備え、
前記めっき付き主電極の側面には溝が形成され、
前記溝は、前記半導体基体と前記めっき付き主電極が重なる部分の直上領域より外側に形成されたことを特徴とする圧接型半導体装置。
【請求項2】
前記溝は、前記溝の側面が前記めっき付き主電極の側面に対して鋭角をなすように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧接型半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233820(P2011−233820A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105044(P2010−105044)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】