説明

圧縮可能リングによりベアリングとシャフトを中心に配置する磁性流体封止装置

本開示は、磁気構造(20)と転動体ベアリング(50)とに対して中心に配置されるシャフト(20)を有する磁性流体封止装置(10)が記述されている。シャフト上の溝内に配置された圧縮可能リング(70)は、シャフトと転動体ベアリングとの間の間隙を部分的に塞いで、転動体ベアリングに接触するために用いられる。該圧縮可能リング(70)は、転動体ベアリング(50)と共に、シャフトを位置合わせして中心に配置する。液体固定材料(75)は間隙に加えられ、転動体ベアリングに対してシャフトと圧縮可能リングとを連結するために硬くなる。代替自動配置機構も記述されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は磁性流体封止装置に関し、より詳しくは、回転可能なシャフトやスリーブ等の周囲にシールを中心に配置する方法に関する。
[関連出願の相互参照]
【0002】
本出願は、2008年10月9日に出願され「圧縮可能リングによりベアリングとシャフトを中心に配置する磁性流体封止装置」と題された米国仮特許出願番号61/104,181号の利益を主張し、その全ての内容は参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
磁性流体封止装置は、ガス又は他の汚染物の導入から装置を保護するシールを提供するために一般に利用される。これらのシールは、相互に静止又は回転関係にある装置内に存在する種々の部品間の障壁を提供するために取り付けられてもよい。例えば、磁性流体シールは、モーター領域とディスク領域との間に伝わる汚染物に対する障壁として、コンピュータ磁気ディスク記憶装置に利用される。磁性流体シールは、また、製油所と化学工場で用いられるポンプ内に組み込まれる回転部品をシールすると同様に、高真空環境で用いられる回転可能なX線管の周辺をシールするためのシールロボットアクチュエータに設計されるようになっている。
【0004】
磁性流体シールは、回転シャフトの表面と動的シールとして用いる固定面との間に設定される間隙内に磁性流体を配置することによって一般に機能する。固定面は、回転シャフトの表面と非接触している間隙を、周縁エッジの近くに形成する環状の磁気構造を含む。磁石によって発生する磁束路は保持され、間隙内に集中する磁性流体は液体Oリングのようなしっかりしたシールを形成する。回転することから固定面は直接相互を接触させないので、それらはまったく磨耗しない。このように磁性流体シールの有用な寿命は、メカニカルシールの寿命と比較して著しく延びる。
【0005】
磁性流体シールが適切に機能するために、環状の磁気構造がいずれかの磁石と対応する磁極片を含み、回転可能シャフト周囲に同心で取付けられることが重要である。シャフト周囲の不正確なセンタリングは、磁気構造とシャフトとの間に設定される環状の間隙内の非均等な幅に結果としてなる。通常、それはシャフトに最も近くにセンタリングされている磁極片が最も重大である。
【0006】
磁性シールがシャフト周囲に非同心で取付けられるとき、結果としての磁場はこのシャフト周囲で対称的に広がらずに、むしろ、磁束は間隙の最も狭い部分の近くで高まり、間隙の最も広い部分の近くで減少する。環状の間隙内で磁束の偏在は、間隙の最も狭い部分へ集中する磁性流体が引き起こしており、これにより、所望の封止力を維持するために、不十分な量の流体を有する間隙の最も広い部分を出る。当業者よりシール全体の低限界差で「破裂(bursting)」封止する原因とすることができるシール力の低減は、一般に予想するか又は予測する。したがって、継続的な要求が存在しており、磁性流体封止装置と回転可能なシャフト周囲に磁性シールをセンタリングする方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、磁気構造と転動体ベアリングに対して中心に配置されたシャフトを有する磁性流体封止装置と該装置におけるシャフトを中心に配置する方法を提供する。本開示の教示に応じて構成される磁性流体封止装置の一実施例において、ハウジングと、その縦軸(X)に沿って第1部分と第2部分を有するシャフトと、該シャフトの該第1部分を囲むサイズに設定された円筒状チャンネルを有することにより第1の径方向間隙を形成する磁気構造と、該第1の間隙内に配置される磁性流体と、圧縮可能リングと、内側リングと外側リングを有する転動体ベアリングであって、該内側リングが前記シャフトの前記第2部分を囲むサイズに設定されることにより第2の径方向間隙を形成する転動体ベアリングと、を備える。磁気構造の外面と転動体ベアリングの外側リングは、転動体ベアリングの内側リングの中心と磁気構造における円筒状チャンネルの中心とが同軸に位置が合わさるように、ハウジングに連結される。
【0008】
その第2部分におけるシャフトの外面は、圧縮可能リングが配置又は着座されるシャフトを径方向に囲む少なくとも1つの溝を含む。圧縮可能リングは、第2の間隙の部分を塞いで転動体ベアリングの内側リングに接触する。圧縮可能リングと転動体ベアリングの内側リングとの間の接触は、磁性流体が磁気構造とシャフトとの間でシールを設定している間に、ベアリングと共に、その縦軸(X)に沿ってシャフトを径方向に位置合わせして中心に配置する。
【0009】
本開示の別の態様によれば、硬化可能な固定材料が第2の間隙内に配置される。硬くなる固定材料は、転動体ベアリングの内側リングに対してシャフトと圧縮可能リングとを連結させる。任意に、シャフト/ベアリング組立体は、固定材料が硬くなる間、シャフトとベアリングとの間に配置を維持するために、外部の取付具内に配置されていてもよい。
【0010】
本開示のさらに別の態様によれば、シャフトは溝と圧縮可能リングとが存在する肩部を含んでもよい。この肩部の表面はシャフトの縦軸に対して直角又は垂直である。圧縮可能リングと連動したこの肩部は、固定材料が硬くなる間、外部の取付具を用いずにこのような配置を維持するように、シャフトと転動ベアリングとを中心に配置して位置合わせをすることができる。
【0011】
本開示の別の目的は、ここに記述される磁性流体封止装置を組み立てる方法を提供することである。この方法は、圧縮可能リングが嵌合又は着座する少なくとも1つの溝を有するシャフトと、磁気構造と、ハウジングに連結されるとき各同心チャンネルの中心を同軸に位置合わせする転動体リングとを提供する。磁気構造内へのシャフトの挿入は、転動体ベアリングの内側リング内へのシャフトの挿入が第2の径方向間隙を設定する間に、第1の径方向間隙を設定する。転動体ベアリングの内側リングを通じたシャフトの挿入は、圧縮可能リングが第2の間隙の部分を塞いで内側リングと接触するように行う。内側リングとこの接触によって、圧縮可能リングが、転動体ベアリングと共に、その縦軸(X)に沿ってシャフトを径方向に位置合わせして中心に配置することができる。磁性流体は、磁気構造とシャフトとの間でシールを設定するために第1の間隙内に配置される。硬化可能な固定材料は第2の間隙に加えられる。固定材料が硬くなるときに、転動体ベアリングの内側リングに対してシャフトと圧縮可能リングとを連結する。
【0012】
適用性の更なる領域は、ここに提供される明細書から明らかである。明細書と具体例は、説明の目的のみを意図しており、本開示の範囲を制限することを目的としていないことを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで記述される図面は、解説目的だけのためにあっていかなる形であれ現在の開示の範囲を制限することを目的としていない。
【0014】
【図1】図1は、本開示の教示により構成された磁性流体封止装置の断面概略図である。
【0015】
【図2A】図2Aは、本開示の一実施例によるシャフトと転動体ベアリングとの間に形成された第2の間隙を強調する図1の封止装置の断面2(ABC)の拡大図である。
【0016】
【図2B】図2Bは、本開示の他の態様を強調する図1の封止装置の断面2(ABC)の拡大図である。
【0017】
【図2C】図2Cは、本開示の更にもう一つの他の態様を強調する図1の封止装置の断面2(ABC)の拡大図である。
【0018】
【図3】図3は、本開示の教示による図1、2A及び2Bの磁性流体封止装置を組み立てる方法の概略図である。
【0019】
【図4】図4は、本開示の他の態様による図2Cの磁性流体封止装置を組み立てる方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明は、単に自然界において例示的で、現在の開示または出願を制限することを目的とする方法又は使用法であるだけではない。明細書及び図面の全体にわたって、一致する参照符号が同類又は一致している部分と特徴を示すことを理解しなければならない。
【0021】
本開示は、回転可能な部品を有する機器内に組み込まれる磁性流体封止装置を提供する。より詳しくは、磁性流体封止装置は、圧縮可能リング及び/又はシャフトの表面に配置される肩部の使用によって、回転可能シャフトと共に位置合わせされ中心に配置される転動体ベアリングを使用する。圧縮可能リング又はシャフト上の肩部のような使用は、磁性封止装置における磁気構造の内面と回転可能シャフトの外面との間において、小さい環状の均一な間隙を素早く設定することができる。本開示の磁性封止装置は、磁性封止装置における回転可能シャフトを中心に配置する従来の方法と関連する様々な欠点や問題を解決する。
【0022】
図1を参照して、磁性封止装置10は、磁気構造35と転動体ベアリング50とが連結される機器に取り付けられるハウジング15を備えている。シャフト20は、また、このハウジング15内に回転可能に取り付けられている。シャフト20は、第1部分24と第2部分26との図示が磁性シールと転動体ベアリング50の間に存在するよう、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26に分けられた外面22を有することとして定められている。その第2部分26におけるシャフト20の外面22は、シャフト20を囲む少なくとも1つの溝30を有している。断面直径が溝30の深さより大きい圧縮可能リング70は、この溝30内に配置または着座されている。図1に示す磁性流体封止装置10は、シャフト20周囲で対称形である。
【0023】
ハウジング15は、当業者によってよく知られた何れかの周知の手段(その中で、例えば、フランジとボルトの組み合わせ)を使用している機器に設置されていてもよい。ハウジング15は、一般に、金属、用途及び所望の動作特性に基づいて変化することができる合成物から構成されている。しかしながら、ハウジング15は、要求されるにつれて金属又は合成物を含む何れの材料から構成されたものであってもよい。
【0024】
磁気構造35は、内面37と外面38により定められている。構造35の外面38は、ハウジング15に連結されている。構造35の内面37は、その第1部分24に沿ってシャフト20の外面22を囲む直径を有するサイズに設定されており、これにより、第1の径方向間隙40を形成する。磁性流体45は磁気構造35とシャフト20との間にシールを設定するために、この第1の間隙40に配置されている。
【0025】
転動体ベアリング50は、内側リング55と外側リング60により定められている。外側リング60は、ハウジング15に連結される部分を表す。保持装置51は、転動体ベアリング50の内側リング55と外側リング60を適所に固定するために用いてもよい。内側リング55は、その第2部分26に沿ってシャフト20の外面22を囲む直径を有するサイズに設定されており、これにより第2の径方向間隙65を形成する。
【0026】
図1及び図2Aをここで参照して、シャフト20上の溝30に位置されている圧縮可能リング70は、第2の間隙65の部分を塞ぐために用いられ、転動体ベアリング50の内側リング55と接触する。この圧縮可能リング70は、転動体ベアリング50と共に、その縦軸(X)に沿ってシャフト20を径方向に位置合わせして中心に配置する。
【0027】
当業者は、シャフト20の第1部分24が磁性流体シールの機能をする間に作られる磁気回路部分でありこれによって好ましくは磁気透過性材料の構成である、ことを理解する。シャフト20の第1部分24は、図1に示すように、磁石42と磁極片43を組み込んでもよい。この場合、磁石42と磁極片43は、シャフト20と共に回転し、その第1部分24の外面22を定める。磁極片43は、磁束の線が収束される磁気透過性材料の部分を表す。本開示の磁性流体装置において、第1の径方向間隙40内において存在する何かの磁性流体を効果的に引きつけて保有するように、磁極片はシャフト20と磁気構造35の表面近傍にきまって配置される。
【0028】
磁性ステンレス鋼は、洗浄度、真空互換性、強磁性の透磁率及び比較的低い熱伝導率のような特性の望ましい組み合わせを提供するので、シャフト20の外面22用に好適な材料である。好適な磁性ステンレス鋼は、17−4PH合金(別名:合金630)である。いわゆる400シリーズのステンレス鋼合金もまた用いることができ、非常に高い高度が要求される用途のようないくつかの用途に要求されてもよい。ステンレス鋼以外の磁気合金を用いてもよいが、高真空環境または他の処理環境(例えば、腐食性ガス)を有するそれらの不適合性を原因として生じるので、多くの用途に用いることは一般に要求されていない。
【0029】
シャフト20は、磁性流体封止装置が利用される機器の機能に基づいて中空でもよい。つまり、シャフト20の中心は、必要に応じて更に、通路、チャンネル、ダクト又は導管を定めてもよい。このようにシャフト20は一般に円筒状であるが、ロッド、車軸、チューブ、スリーブ及びパイプの群から選択されるものであってもよい。シャフト20は、モーター又は他の手段(図示せず)によって回転駆動されてもよい。
【0030】
図1に示すように、磁気構造35は、磁気ステンレス鋼のような磁気透過性材料から構成されてもよい。磁気構造の内面37は、第1の径方向間隙40内に存在する磁性流体45を引きつけて保有するために、磁束に収束することに関する磁極片42として作用する。この場合、その第1部分24内の回転可能シャフト20の外面22は、磁気回路を完成するために磁石42及び磁極片43の両方を構成する必要がある。磁気構造35は、好ましくは、その内面37に小さい隙間又はシャフト20の外面22を有する第1の間隙40が形成されるように配置される。このように磁気構造35は、直径がシャフト20の外径よりわずかに大きい円筒状空洞を形成する。この種の磁気回路は、一般に「スーパーシール(SuperSeal)」構成と呼ばれている。
【0031】
磁気構造35は、代わりに、環状の磁石42と磁気透過性材料(例えば磁気ステンレス鋼)の磁極片43との組み合わせで構成されてもよい。この場合、第1部分24におけるシャフト20の外面22は、磁気透過性材料から形成された、磁極片43または各磁極片43の組み合わせである。この代わりの配置で磁石42は、シャフト20が回転するよう固定したままである。この種の磁気回路は、一般に「固定磁極片」構成と呼ばれている。このように当業者は、本開示の磁性封止装置10は、磁石42と磁極片42とが磁気構造35のいずれの一部であってシャフト20の回転に静止したまま、または、シャフト20の第1部分24の一部であってシャフト20と共に回転する、配置であることを含んでもよいと理解する。
【0032】
第1の径方向間隙40を設定する磁気構造35とシャフト20間の距離は、約0.001から0.004インチまでの状態であってもよい。磁石42は、磁極片43の反対側にある磁石42の極性が磁極片43に対して対称であるように配置される。このように、2個隣接する磁石42の対向する表面の極性は互いに同じである。
【0033】
希土類磁石42(例えば、SmCoやNdBFe)は好まれる。これらの磁石42は単一の部品として用いる又は層内に配置することができる。任意の数の磁石層を用いることができるが、フリンジフィールド(fringe fields)のキャンセルのために偶数が好まれる。1枚の層がすべて真空用途用に十分であるが、2枚の層が一般に望ましい。大きい圧力差を有する用途のために、より多くの層を用いることができる。磁極片43の表面は、磁性シールの縦軸に沿って連続的でもあってもよい。このような連続的な表面は、もう一つの溝(磁極端と一般に呼称する)の存在を含んでもよい。
【0034】
磁気回路は、磁気構造35と、シャフト20の第1部分24及び磁性流体45の組み合わせによって設定される。磁石42により作られる磁界は、シャフト20内の磁極片43と磁気構造35によって磁束路に適用される。磁束路は、磁性流体45が配置される第1の径方向間隙40全体に広がっている。磁束が間隙40内における磁性流体45を保持することによって、シャフト20周囲で液体Oリングシールを形成する。
【0035】
当業者は、磁性流体45が磁性シールとして機能する公知の何れかの強磁性流体組成であってもよいと理解する。このような磁性流体45は、一般に、キャリア液(例えば水、炭化水素または過フッ化炭化水素)と、強磁性粒子(例えば、酸化鉄、またはキャリア液内に分散したフェライト)と、界面活性剤(例えば、粒子の分散を助ける脂肪酸)と、を構成している。磁性流体45は、第1の径方向間隙40内に配置される。
【0036】
磁気構造35により形成される円筒状空洞は、転動体ベアリング50の内側リング55により形成される空洞と共に同軸に配置される。シャフト20の配置が転動体ベアリング50を用いて成し遂げられることから、磁性構造35がハウジング15内に位置されそれに固定されるとき、磁気構造35は、理想的には、シャフト20周囲に自動的に中心に配置される。転動体ベアリング50は、シャフト20と転動体ベアリング50とが本開示の教示によって一度連結されると、シャフト20を傾けることができる何かの径方向の負荷又は瞬間作用の発生をオフセットするのに十分大きな抵抗を提供するための所定量の剛性を有している。
【0037】
大径と軸プレイと(例えばラジアルボールベアリング)を有する転動体ベアリング50は、プリロードされたベアリングのために回避しなければならない。従来のプリロードされたベアリングを高い剛性で設定することを成し遂げるために、適合長スペーサによって軸方向に別々のベアリングを並べる必要がある。しかしながら、このようなスペーサの使用は、一般に、フィードスルーの全長を増やし、全体的な磁性流体封止装置より大きなスペース量を占める負担に結果としてなる。本実施例における好まれるベアリングは、極めて短い軸方向空間で非常に高い剛性を提供する、THK株式会社(東京、日本)によって製造されるタイプの転動体ベアリング50である。
【0038】
第1の間隙40内の磁性流体45によって設定される磁性流体シールは、高気圧である機器の領域から該機器の低圧領域を区切るために用いてもよい。転動体ベアリング50とシャフト20の第2部分26は、好ましくは、磁性流体シールの高気圧側に配置される。磁性流体シールは、気圧又は環境にさらされる領域から腐食剤または有毒ガスの領域を区切るために用いてもよい。
【0039】
転動体ベアリング50は、磁性流体封止装置10が完全に組み立てられたとき、磁気構造35内にぐらつくシャフト20を取り除くために、「負の隙間(negative clearance)」タイプのものである。ベアリングの内側リングとシャフト用の従来の製造公差は、内側リングと内側リングが径方向に緊張したシャフトとのいくつかの組み合わせが原因となっている。シャフトとベアリングがハウジング内に取り付けられたとき、大きい負の隙間は、ベアリングを回すために要求される大きな荷重支持と高トルクに原因とすることができる。この状態を避ける1つの方法は、シャフトとベアリングを適合されたセットとして選択することであり、これにより径方向の歪み負荷は起こらない。このような選択プロセスが効果的であるが、それはまた非常に高価である。
【0040】
本開示の一態様によれば、この状態を避ける改良された方法は、最大の直径を有するシャフトが最小の内径の内側リング55を有するベアリング50に最適に適合させるように、シャフト製造を管理することである。しかしながら、この方法では、シャフト/ベアリングをセットする他のすべてがより不安定に嵌合(例えば、内側リング55の最大の内径とシャフト20の最小径)するようになる。本開示の磁性流体封止装置10は、この状態を容易に解決する手段を提供する。
【0041】
図1及び図2を再び参照し、シャフト20における第2部分又はベアリングジャーナルは、圧縮可能リング70が着座する少なくも1つの溝30によって形成される。ベアリング50内に挿入されたとき、圧縮可能リング70は、ベアリングの内側リング55の内面62とシャフト20の外面22との間に設定される第2の径方向間隙65内に利用可能なスペースを部分的に塞ぐために圧入される。これは、その縦軸に沿ってベアリング50と共にシャフト20のほぼ正確な配置を提供することである。圧縮可能リング70に要求される径方向の力量は、ベアリングの内側リング55を径方向に緊張するのに十分ではない。
【0042】
圧縮可能リング70が、エポキシ樹脂、ポリエステル、ブチルゴム、シリコン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィン、スチレンブロック共重合体、ポリ塩化ビニル及びそれらの混合物または共重合体のグループから選択されるものを含むがこれに限定されず、当業者は、何かの周知のエラストマー又は重合樹脂系から製造されてもよいと理解する。圧縮可能リング70は、Oリングと実質的に同じである。シャフト20の第2部分26内に存在する溝30内に着座する圧縮可能リング70は、溝30の深さより大きな断面直径を有している。
【0043】
最終的な配置を設定するために、液体固定材料75は、図1及び図2Aに示すように、シャフト20の外面22とベアリングの内側リング55の内面62との間に設定された第2の径方向間隙65内において何か残る小さな開口を塞ぐために加えられる。この最終的な配置は、望ましい最終的な関係内のシャフト20とベアリング50を押し込む取付具で、シャフト/ベアリング組立部品を取り付けることによって必要に応じて成し遂げられてもよい。固定材料75が硬くなったとき、シャフト/ベアリング組立体は、取付具から取り外されて、磁性流体封止装置10において用いることができる。
【0044】
硬くなった固定材料75は、シャフト20と圧縮可能リング70を転動体ベアリング50の内側リング55の内面62に連結する。一度、シャフト20と転動体ベアリング50とが硬くなる固定材料75によって一緒に連結されると、この連結の剛性は、径方向荷重及び瞬間作用の発生によるシャフト20の傾斜をオフセットするのに必要な抵抗を提供することができる。シャフト20の傾きは、磁気構造35に対して実質的に中心がずれたシャフト20を移動することにより動的シールを弱めるような発生をするので避けなければならない。
【0045】
液体固定材料75は、硬化性又は矯正可能な接着剤、密封剤、または、当業者にとって公知の他の材料系であってもよい。液体固定材料75は、圧縮可能リング70を構成するエラストマー又は重合樹脂系と互換性を持つものに選ばれる。接着剤と密封剤系のいくつかの例は、エポキシ樹脂、ポリエステル、シリコン、ポリエーテル、ポリウレタン及びアクリル接着剤、それによる混合物又は共重合体と同様を含む本開示の教示による使用でもよいが、これに限定されるものではない。
【0046】
本発明の圧縮可能リング70は、センタリング機能を行うことに非常に役に立つ。このリング70は、転動体ベアリング50の内側リング55と共に、その縦軸(X)に沿ってシャフト20を中心に配置する。回転可能シャフト20周囲における磁性封止装置10のセンタリングは、シャフト20と磁気構造35との間と同様に、シャフト20とサポートベアリング50との間に設定する登録精度の影響を受ける。磁気構造35とサポートベアリング50が共通のハウジング15内に通常連結されることから、回転可能なシャフト20を中心に配置する精度は、ハウジング15内にシャフト20を中心に配置する精度に依存する。
【0047】
ハウジング15内におけるシャフト20のセンタリングは、内側リング55の内面62により設定される同心円の中心および磁気構造35によって設定される同心円の中心がそれらハウジング15に連結され同軸上に位置合わせを確実にすることによって、成し遂げられる。圧縮可能リング70によってシャフト20の配置は、磁気構造35の内面とシャフト20の外面22との間で、実質的に環状で均等な第1の径方向間隙40を小さく形成することができる。
【0048】
図2Bをここで参照して、第2部分26内のシャフト20は、シャフト20を囲みそこに密接的に形成される肩部80を任意に構成してもよい。好ましくは、肩部80の表面82は、シャフト20の縦軸(X)に直角又は垂直であり、シャフト20と転動体ベアリング50の内側リング55との配置を補助するために用いることができる。この場合、固定材料が硬くなる間に配置を維持する取付具の使用は、必要ではない。なぜなら、固定材料75が硬くなるのに必要な時間中であって圧縮可能リング70がシャフト20とベアリング50とを一緒に保持する間に、肩部80がシャフト20とベアリング50との位置を合わせるために用いることができるためである。しかしながら、取付具は、望ましいときに今まで通りに利用することができる。
【0049】
シャフト20は、図2Aに示すように、転動ベアリング50の内側リング55に設定される第2の径方向間隙65内の領域の前に、後に及び全体にわたってその縦軸(X)に沿って略平坦である。任意に、シャフト20は、図2Bに示すように、転動ベアリング50の内側リング55を有する第2の径方向間隙65を設定する隆起部78を更に備えていてもよい。この後者の場合に関して、溝30と圧縮可能リング70はシャフト20の隆起部78内に配置される。
【0050】
図2Cをここで参照して、本開示の別の態様による磁性封止装置10は、圧縮可能リングを使用することなく、シャフト20と転動体ベアリング50を自動で位置合わせする能力を含んでいてもよい。この自動位置合わせ機構は、シャフト縦軸(X)に対して直角又は垂直である肩部80を有するシャフト20だけを含む。ベアリング50は、この肩部に対してしっかりと取り付けられており、シャフトとベアリング50の軸が平行であることを確実にする。シャフト20は、前述したような隆起部78を任意に備えてもよい。
【0051】
より詳しくは、磁性流体封止装置10は、機器内に取付けられるハウジング15と、該ハウジング15に回転可能に取付けられるシャフト20と、磁気構造35と、磁性流体45と、転動体ベアリング50と、を備える。シャフト20は、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26とを定める外面22を有している。図2Cに示すように、第2部分26におけるシャフト20の外面22は、シャフト20を囲む肩部80を有している。肩部80の表面82は、シャフト20の縦軸(X)に直角又は垂直である。
【0052】
転動体ベアリング50は内側リング55と外側リングを有しており、外側リング60はハウジング15に連結されており、内側リング55は外側リング60に関連して回転可能である。内側リング55はその第2部分26に沿ってシャフト20の外面22を囲み、シャフト20の外面に接触するサイズに設定されている。内側リング55の内面62とシャフト20の外面22との間で生じる接触は、転動体ベアリング50と共に、その縦軸(X)に沿ってシャフト20を径方向に位置合わせして中心に配置する。
【0053】
この場合、固定材料75が硬くなる間にシャフト20とベアリング50とを一緒に保持することができる圧縮可能リングの欠如は、外部の取付具の使用を通じて解決することができる。このような取付具は、固定材料75が硬くなる間に、正確な配置でシャフト20とベアリング50とを保持するのに必要となる。正確な取付具の使用は、取付具に関する費用及び大規模、多量の生産環境において取付具を利用する問題点により多くの用途では望ましくはない。
【0054】
当業者は、本発明のセンタリング機構が回転可能なシャフト20周囲で強磁性流体シールを設ける磁性流体封止装置10における種々の用途に利用することができることに理解する。このような用途の例は、スパッタリング装置、CVD装置、イオン注入装置、エッチング装置、X線機器、エピタキシャル成長装置および真空輸送装置を含むがこれに限定されない。
【0055】
シャフト20が回転する機器の動作中は、磁性封止装置10はシール機能、発熱の発生を提供する。磁性シールが機能に要求されるように、好ましくは、熱の発生は最小化にするか又は装置10から取り除く。このように、磁性封止装置10は、該装置10内の何かの熱の蓄積を最小化又は減少させるために、サーマルレジスタ、分流器およびヒートシンクの組み合わせを更に備えてもよい。また、磁性封止装置10のハウジング15は、シャフト10が回転したとき、該装置10内に発生した熱を取り除く水冷機構(図示せず)を含んでもよい。
【0056】
本開示の他の目的は、回転可能な部品を有する機器を使用するための磁性封止装置10を組み立てる方法を提供することである。図3を参照して、この方法100は、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26を定める外面22を有するシャフト20を提供するステップ105を備える。第1部分24について、方法100は、シャフト20の外面22を囲むサイズに設定された内径37を有することにより第1の径方向間隙40を形成する磁気構造35を提供するステップ120を更に備える。
【0057】
第2部分26について、方法100は、シャフト20を囲む少なくとも1つの溝30を提供するステップ110と、該溝30内に圧縮可能リング70を配置するステップ115と、を備える。圧縮可能リング70の断面直径は、溝30の深さより大きい。方法100は、内側リング55と外側リング60を有する転動体ベアリング50を提供するステップ125を更に含む。内側リング55は、シャフト20の外面22を囲むサイズに設定された内径62を有することにより第2の径方向間隙65を形成する。
【0058】
方法100は、磁性構造35の外径38と転動体ベアリング50の外側リング60とを連結させるハウジング15を提供するステップ130を更に含む。ハウジング15に対する磁気構造35と転動ベアリング50とを連結するステップ135は、環状の磁気構造35の径方向中心が、転動体ベアリング50の環状内側リング55の径方向中心と同軸に位置を合わせるように行う。
【0059】
方法100は、圧縮可能リング70が第2の径方向間隙65の部分を塞ぎ、転動体ベアリング50の内側リング55に接触するように、転動体ベアリング50の内側リング55を通じてシャフト20を挿入するステップ140を更に備える。このように、圧縮可能リング70は、転動体ベアリング50と共にその縦軸(X)に沿ってシャフト20を径方向に位置合わせして中心に配置する。
【0060】
方法100は、磁気構造35の内面37を通じてシャフト20を挿入するステップ145も含む。方法100は、第2の間隙65内に液体固定材料75を加えるステップ150と、固定材料75を硬くするステップ155とを更に備える。硬くなった固定材料75は、転動体ベアリング50の内側リング55に対してシャフト20と圧縮可能リング70とを連結させる。最後に、方法100は、第1の間隙40内に磁性流体45を配置するステップ160を更に含み、該磁性流体45は、磁気構造35とシャフト30との間にシールを設定する。
【0061】
本開示の別の態様によれば、方法100は、固定材料75が固まる間にシャフト20と転動体ベアリング50と径方向の配列で保持するように、外部の取付具内に磁性流体封装置10を配置するステップ165を任意に含ませてもよい。固定材料75が一度硬くなると、方法100は、磁性流体封止装置10を取付具から除去するステップ170を更に含む。
【0062】
本開示の更なる別の態様によれば、方法100は、シャフト20が回転したとき該装置10内に発生する熱を取り除くために、ハウジング15を冷却するステップ175を更に備えてもよい。
【0063】
本開示の他の実施例は、シャフト20上の肩部80だけでシャフト20と転動ベアリング50を位置合わせするのに用いる図2Cの自動組立機構で、磁性流体封止装置10を組み立てる方法200を提供する。図4を参照して、この方法200は、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26とを定める外面22を有するシャフト20を提供するステップ205を含む。肩部80は、第2部分26におけるシャフト20の外面22上に設けられている。該肩部80の表面82は、シャフト20の縦軸(X)に対して垂直又は直角である。
【0064】
方法200は、内面37を有する磁気構造35を提供するステップ220を更に備える。磁気構造35の内面37がその第1部分24に沿ってシャフト20の外面22を囲むサイズに設定されていることにより、第1の径方向間隙40を形成する。
【0065】
方法200は、内側リング55と外側リング60を有しており、内側リング55がその第2部分26に沿ってシャフト20の外面22を囲むサイズに設定された内面62を有する、転動体ベアリング50を提供するステップ225とを更に含む。
【0066】
方法200は、磁気構造35と転動体ベアリング50の外側リング55とを連結させるハウジング15を提供するステップ230を更に含む。ハウジング15に対して磁気構造35と転動ベアリング50とを連結させるステップ235は、環状の磁気構造35の径方向中心が転動体ベアリング50の内側リング55の径方向中心と同軸に位置を合わせるように行う。
【0067】
方法200は、また、シャフト20上における肩部80の表面82が転動体ベアリング50の内側リング55の内面62に接触するように、転動体ベアリング50の内側リング55を通じてシャフト20を挿入するステップ240を備える。シャフト20の肩部80と転動体ベアリング50の内側リング55との間の接触は、転動体ベアリング50と共にその縦軸(X)に沿ってシャフト20を軸方向に位置を合わせる。
【0068】
方法200は、磁気構造35の内面37を通じてシャフト20を挿入するステップ245を更に含む。方法200は、第2の間隙65内に液体固定材料75を加えるステップ250と、該固定材料75を硬くさせるステップ255を更に含む。方法200は、固定材料が硬くなる間にシャフト20と転動体ベアリング50とを径方向に配列で保持させるために、外部の取付具内に磁性流体封止装置10を配置するステップ265も含む。硬くなった固定材料75は、転動体ベアリング50の内側リング55にシャフト20を連結する。固定材料75が一旦硬くなると、方法200は、取付具から磁性流体封止装置10を除去するステップ270と、第1の径方向間隙40内に磁性流体45を配置するステップ160とを更に含む。磁性流体45は、磁気構造35とシャフト20との間でシールを設定する。
【0069】
任意に、方法200は、シャフト20が回転したとき、装置10内に発生した熱を取り除くためにハウジング15を冷却するステップ275を更に備えてもよい。
【0070】
当業者は、記述される何れかの寸法は、種々の異なる試験方法によって得ることができる標準寸法であると認識する。本開示において記述される何れかの試験方法は、各々の記述された寸法を得るために1つの利用できる方法だけを示す。
【0071】
本発明の様々な実施例の前述の説明は、図面及び明細書のために示される。本発明は開示される正確な実施例に制限又は精緻することを目的としていない。多数の修正又は変形は上記の教示を考慮してすることができる。議論される実施例は、本発明とその実施例の原理を最善の説明を提供するために選択され記述されていることから、様々な実施例において発明を利用する通常の技術のうち予測される特有の使用に適用される様々な修正をすることができる。すべてのこのような修正変更は、合法的、法律的に、公平な権利の幅に基づいて解釈される添付の請求の範囲によって定まる発明の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な部品を有する機器内に組み込む磁性流体封止装置10において、
前記機器に取り付けられるハウジング15と、
該ハウジング15内に回転可能に取り付けられるシャフト20であって、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26とを定める外面22を有し、該第2部分26における該シャフト20の該外面22が該シャフト20を囲む少なくとも1つの溝を有するシャフト20と、
内面37を有すると共にハウジング15に連結される磁気構造35であって、該磁気構造35の内径がその第1部分24に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定されることにより第1の径方向間隙40を形成する磁気構造35と、
前記第1の間隙40内に配置される磁性流体45と、
内側リング55と外側リング60を有する転動体ベアリング50であって、該外側リング60が前記ハウジング15に連結され、該内側リング55がその第2部分26に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定された内径を有することにより第2の径方向間隙65を形成する転動体ベアリング50と、
前記シャフト20の前記溝30内に配置される圧縮可能リング70であって、前記第2の間隙65の部分を塞ぐために、前記転動体ベアリング50の前記内側リング55に接触する圧縮可能リング70と、
前記第2の間隙65の部分を塞ぐよう構成される硬化可能な固定材料75とを備え、
前記圧縮可能リング70は、前記転動体ベアリング50と共に、その縦軸(X)に沿って前記シャフト20を径方向に位置合わせして中心に配置し、
前記固定材料が硬くなるとき、前記転動体ベアリング50の前記内側リング55に対して前記シャフト20と前記圧縮可能リング70とを連結し、
前記磁性流体45が、前記磁気構造35と前記シャフト20との間においてシールを設定する磁性流体封止装置10。
【請求項2】
第2部分26における前記シャフト20は、前記シャフト20を囲みそこにおいて密接に形成される肩部80を更に備えており、
該肩部80は、前記シャフト20の前記縦軸(X)に対して垂直である請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項3】
前記磁気構造35は、磁極片43と該磁極片43を有する磁石42の組み合わせを更に備え、
前記第1部分24における前記シャフト20の該外面22は、磁気透過性材料から形成され、
前記磁石42は前記シャフト20が回転したとき静止したままである請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項4】
磁気構造35は、磁気透過性材料から形成される、単一の磁極片43又は各磁極片43の組み合わせを更に備え、
前記シャフト20の前記第1部分24は、磁気透過性材料の磁極片43と磁石42の組み合わせを含み、
前記磁石42は前記シャフト20と共に回転する請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項5】
前記シャフト20は、通路、チャンネル、ダクトまたは導管を定める中空コアを有している請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項6】
前記磁気構造35と前記シャフト20との間に設定される前記シールは、高気圧である前記機器内の領域から該機器内の低圧領域を区切る請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項7】
前記高気圧の領域は、前記転動体ベアリング50と前記シャフト20の前記第2部分26とを含む請求項6の磁性流体封止装置10。
【請求項8】
前記圧縮可能リング70は、エポキシ樹脂、ポリエステル、ブチルゴム、シリコン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリオレフィン、スチレンブロック共重合体、ポリ塩化ビニル及びそれらの混合物または共重合体のグループから選択されたポリマーで形成されている請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項9】
前記圧縮可能リング70の断面直径は前記シャフト20内の溝30の深さより大きい請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項10】
前記転動体ベアリング50の前記内側リング55は、前記外側リング60に関連して回転可能である請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項11】
前記ハウジング15は、前記シャフト20が回転したとき、該装置10内に発生した熱を取り除くために水冷機構を更に備える請求項1の磁性流体封止装置10。
【請求項12】
回転可能な部品を有する機器内に組み込む磁性流体封止装置10において、
前記機器に取り付けられるハウジング15と、
該ハウジング15内に回転可能に取り付けられ、その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26とを定める外面22を有するシャフト20と、
内面37を有すると共にハウジング15に連結される磁気構造35であって該磁気構造35の内径がその第1部分24に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定されることにより第1の径方向間隙40を形成する磁気構造35と、
前記第1の間隙40内に配置される磁性流体45と、
内側リング55と外側リング60を有する転動体ベアリング50であって該外側リング60が前記ハウジング15に連結され、該内側リング55がその第2部分26に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定された内径を有することにより第2の径方向間隙65を形成する転動体ベアリング50と、
前記第2の間隙65の部分を塞ぐよう構成される硬化可能な固定材料75とを備え、
前記シャフト20は、前記固定材料75が硬くなるまで、取付具の使用を通じて前記転動体ベアリング50と共に、その縦軸(X)に沿って径方向配列で中心に配置されて保持され、
前記固定材料75が硬くなるとき、前記転動体ベアリング50の前記内側リング55に対してシャフト20を連結し、
前記磁性流体45は、前記磁気構造35と前記シャフト20との間でシールを設定する磁性流体封止装置10。
【請求項13】
前記第2部分26における前記シャフト20は、該シャフト20を囲みそこにおいて密接に形成される肩部80を更に備えており、
該肩部80の表面82は前記シャフト20の前記縦軸(X)に垂直である請求項12の磁性流体封止装置10。
【請求項14】
磁気構造35は、磁極片43と該磁極片43を有する磁石42との組み合わせを更に備え、
前記第1部分24における前記シャフト20の該外面22は、磁気透過性材料から形成され、
前記磁石43は前記シャフト20が回転したとき静止したままである請求項12の磁性流体封止装置10。
【請求項15】
磁気構造35は、磁気透過性材料から成る、単一の磁極片43又は各磁極片43の組み合わせを更に備え、
前記シャフト20の前記第1部分24は、各磁極片43の組み合わせと磁気透過性材料の該磁極片43を有する磁石42と含んでおり、
前記磁石43は前記シャフト20と共に回転する請求項12の磁性流体封止装置10。
【請求項16】
前記磁性流体シールは、高気圧である前記機器内の領域から該機器内の低圧領域を区切り、
前記高気圧の領域は、前記転動体ベアリング50と前記シャフトの第2部分26とを含む請求項12の磁性流体封止装置10。
【請求項17】
前記シャフト50は、通路、チャンネル、ダクト又は導管を定める中空コアである請求項12の磁性流体封止装置。
【請求項18】
回転可能な部品を有する機器内に使用する磁性流体封止装置を組み立てる方法100において、
その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26を定める外面22を有するシャフト20を提供するステップ105と、
前記シャフト20の前記第2部分26における前記シャフト20を囲む少なくとも1つの溝30を提供するステップ110と、
前記シャフト20の前記溝30内において断面直径が前記溝30の深さより大きい圧縮可能リング70を配置するステップ115と、
内面37を有する磁気構造35であって、該構造35の前記内径が前記第1部分24に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定されることにより第1の径方向間隙40を形成する磁気構造35を提供するステップ120と、
内側リング55と外側リング60とを有する転動体ベアリング50であって、該内側リング55は、その第2部分26に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定されている内径を有することにより第2の径方向間隙65を形成する転動体ベアリング50を提供するステップ125と、
ハウジング15を提供するステップ130と、
前記環状の磁気構造35の径方向中心が前記環状の転動体ベアリング50の径方向中心と同軸に位置が合わさるように、前記ハウジング15に対して前記磁気構造35と前記転動体ベアリング50の前記外側リング55とを連結するステップ135と、
前記圧縮可能リング70が前記第2の間隙65の部分を塞いで前記内側リング55に接触するように、前記転動体ベアリング50の前記内側リング55を通じて前記シャフト20を挿入するステップ140と、
前記磁気構造35の前記内径を通じて前記シャフト20を挿入するステップ145と、
前記第2の間隙65内に液体固定材料75を加えるステップ150と、
前記固定材料75を硬くするステップ155と、
前記第1の間隙40内に磁性流体45を配置するステップ160とを備え、
前記圧縮可能リング70は、前記転動体ベアリング50と共に、その縦軸(X)に沿って前記シャフト20を径方向に位置合わせをして中心に配置し、
前記硬くなった固定材料75は、前記転動体ベアリング50の前記内側リング55に対して前記シャフト20と前記圧縮可能リング70とを連結し、
前記磁性流体45は、前記磁気構造35と前記シャフト20との間にシールを設定する方法100。
【請求項19】
前記固定材料75が硬くなる間に、径方向配列で前記シャフト20と前記転動体ベアリング50とを保持した取付具内に磁性流体封止装置10を配置するステップ165と、
前記固定材料75が硬くなった後に前記取付具から前記磁性流体封止装置10を除去するステップ170とを更に備える請求項18の方法100。
【請求項20】
前記シャフト20を提供するステップ105において、該シャフト20は、その縦軸(X)に沿って前記第1部分24と第2部分26を定める外面22を有し、該シャフト20を囲みそこにおいて密接に形成された肩部80を更に備え、
該肩部80の前記表面82は、前記シャフト20の前記縦軸(X)に対して垂直であり、
前記圧縮可能リング70と結合する肩部80は、前記固定材料が硬くなる間に、前記転動体ベアリング50と共に径方向及び軸方向に配列で前記シャフト20を保持する請求項18の方法100。
【請求項21】
前記シャフト20が回転したとき前記装置10内に発生した熱を取り除くために前記ハウジング15を冷却するステップ175とを更に備える請求項18の方法100。
【請求項22】
回転可能な部品を有する機器内に使用する磁性流体封止装置10を組み立てる方法200において、
その縦軸(X)に沿って第1部分24と第2部分26を定める外面22を有するシャフト20を提供するステップ205と、
内面37を有する磁気構造35であって該構造35の内径が前記第1部分に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定されることにより第1の径方向間隙40を形成する磁気構造35を提供するステップ220と、
内側リング55と外側リング60とを有する転動体ベアリング50であって該内側リング55がその第2部分26に沿って前記シャフト20の前記外面22を囲むサイズに設定された内径を有することにより第2の径方向間隙65を形成する転動体ベアリング50を提供するステップ225と、
ハウジング15を提供するステップ230と、
前記環状の磁気構造35の径方向中心が、前記環状の転動体ベアリング50の径方向中心と同軸に位置が合わさるように、前記ハウジング15に対して前記磁気構造35と前記転動体ベアリング50の前記外側リング55とを連結するステップ235と、
前記転動体ベアリング50の前記内側リング55を通じて前記シャフト20を挿入するステップ240と、
前記磁気構造35の前記内径を通じて前記シャフト20を挿入するステップ245と、
前記第2の間隙65内に液体固定材料75を加えるステップ250と、
前記シャフト20と前記転動体ベアリング50をセンタリングすると共にそれら径方向の配列で保持するために取付具内に前記磁性流体封止装置10を配置するステップ265と、
前記固定材料75を硬くするステップ255と、
前記第1の間隙40内に磁性流体45を配置するステップ260と、
前記固定材料75が硬くなった後に前記取付具から前記磁性流体封止装置10を除去するステップ270とを備え、
前記硬くなった固定材料75が前記シャフト20と前記転動体ベアリング50とを連結し、
前記磁性流体45は、前記磁気構造35と前記シャフト20の間でシールを設定する方法200。
【請求項23】
前記シャフト20が回転したとき前記装置10内に発生した熱を取り除くためにハウジング15を冷却するステップ275とを更に備える請求項22の方法200。
【請求項24】
前記シャフト20を提供するステップ205において、前記シャフト20は、その縦軸(X)に沿って前記第1部分24と前記第2部分26とを定める外面22を有しており、該シャフト20を囲みそこにおいて密接に形成された肩部80を更に備え、
該肩部80の表面82は、前記シャフト20の前記縦軸(X)に対して垂直であり、
前記取付具と結合する前記肩部80は、前記固定材料75が硬くなる間、前記転動体ベアリング50と共に径方向及び軸方向の配列で前記シャフト20を保持する請求項22の方法200。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−505361(P2012−505361A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531172(P2011−531172)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/060000
【国際公開番号】WO2010/042718
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(509241889)リガク イノベイティブ テクノロジーズ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】