説明

圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ及びインクジェットヘッド。

【課題】 圧電層と電極との間の密着性を向上させることが可能な圧電アクチュエータの製造方法及び圧電アクチュエータを提供すること。
【解決手段】 絶縁材料層31の表面上に複数の個別電極32を形成するとともに、各個別電極32の表面に凹部(貫通穴32a)を形成し、個別電極32の表面に圧電層33を形成し、さらに、圧電層33の表面に共通電極34を形成するため、個別電極32の表面上の圧電層33の一部が貫通穴32a内に入り込んで絶縁材料層31に密着して、圧電層33が個別電極32から剥がれにくくなり、個別電極32と圧電層33の密着性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータの製造方法、圧電アクチュエータ、及び、圧電アクチュエータを有するインクジェットヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧電層に電界を作用させることによりこの圧電層を変形させて駆動対象を駆動する圧電アクチュエータが知られている。このような圧電アクチュエータとしては、特許文献1に記載されているように、インクジェット記録装置に用いられるものがある。この特許文献1の圧電アクチュエータは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電層と、この圧電層の下面にインクジェットヘッドの複数の圧力室に夫々対応して設けられた複数の下部電極と、圧電層の上面に複数の下部電極に夫々対応して設けられた複数の上部電極とを有する。そして、圧電アクチュエータに駆動電圧が供給されたときには、下部電極と上部電極の電位が異なった状態となり、両電極間に挟まれた圧電層に電界が作用して圧電層が変形して、振動板としての役割も果たしている下部電極を介して圧力室内のインクに圧力が印加される。
【0003】
この圧電アクチュエータは以下のようにして製造される。まず、単結晶MgO基板上に上部電極をスパッタ法により形成する。次に、上部電極の表面にPZTの層をスパッタ法により形成し、この層に熱処理を施して圧電層を形成する。さらに、圧電層の表面に下部電極をスパッタ法で形成する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−154646号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1に記載の圧電アクチュエータにおいては、電極を形成する導電性材料とこの電極に接触する圧電層を形成するPZTの熱膨張係数の差が大きい。そのため、PZTに熱処理を施して圧電層を形成する際の変形量がPZTと電極とでは大きく異なるため、圧電層と電極との間の界面応力が大きくなり、圧電層が電極から剥離しやすくなる。そのため、圧電アクチュエータの耐久性が低下するし、製造段階における歩留まりも悪くなる。
【0006】
本発明の目的は、圧電層と電極との間の密着性を向上させることが可能な圧電アクチュエータの製造方法及び圧電アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
第1の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、絶縁材料層の表面上に第1の電極を形成するとともに、この第1の電極の表面に凹部を形成する第1工程と、前記第1の電極の表面に圧電層を形成する第2工程と、この圧電層の表面に第2の電極を形成する第3工程とを備えたことを特徴とするものである。なお、この発明における第1の電極の表面に形成された凹部は、第1の電極を貫通する貫通穴の形態をも含むものである。
【0008】
第2の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1の発明において、前記凹部が、前記第1の電極を貫通する貫通穴であることを特徴とするものである。
【0009】
第3の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第2の発明において、前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
これらの圧電アクチュエータの製造方法においては、第1工程において、絶縁材料層の表面上に第1の電極を形成するとともに、この第1の電極の表面に凹部を形成し、次に、第2工程において、第1の電極の表面に圧電層を形成し、さらに、第3工程において、圧電層の表面に第2の電極を形成する。そのため、圧電層の一部が凹部内に入り込み、第1の電極と圧電層との界面において圧電層が凹凸に形成されるため、圧電層が凹部により拘束されることになる。従って、圧電層が第1の電極の表面から剥離しにくくなり、圧電層と第1の電極の密着性が向上する。従って、圧電アクチュエータの耐久性が向上するし、さらに、製造段階における歩留まりも改善される。なお、第1の電極の表面に形成された凹部は、第1の電極を貫通する貫通穴であっても良く、さらに、貫通穴は複数形成されていても良い。これらの場合によれば、圧電層の拘束がより強固になされるため、圧電層と第1の電極の密着性がより向上する。
【0011】
また、圧電層をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの熱処理が必要な材料で形成する場合には、圧電層を形成する材料と第1の電極を形成する材料では、両者の熱膨張係数の差に起因して熱処理時の変形量に差が生じ、それに伴って両者の間に界面応力が生じる。そして、この界面応力が大きいと圧電層が第1の電極から剥がれやすくなる。しかし、第3の発明によれば、第1の電極と圧電層の接触面が複数の貫通穴により所々分断されて両者の間の界面応力が小さくなるため、このような圧電層に対して熱処理が行われる場合においても、圧電層と第1の電極の密着性が向上する。
【0012】
第4の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第2又は第3の発明において、前記絶縁材料層を、熱膨張係数が前記第1の電極よりも前記圧電層に近い材料で形成することを特徴とするものである。圧電層をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの熱処理が必要な材料で形成される場合でも、絶縁材料層の熱膨張係数が第1の電極よりも圧電層に近いため、圧電層に熱処理を施したときには、圧電層と第1の電極の間の変形量の差に比べて、圧電層と絶縁材料層の間の変形量の差は小さくなる、従って、圧電層は、絶縁材料層に密着しやすくなり、圧電層が第1の電極に形成された貫通穴を通して部分的に絶縁材料層に密着することで、圧電層と第1の電極の密着性がより向上する。
【0013】
第5の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第2〜第2の何れかの発明において、前記貫通穴の穴径は前記第1の電極の厚さよりも大きいことを特徴とするものである。従って、圧電層が貫通穴を通して絶縁材料層に密着しやすくなり、圧電層と第1の電極の密着性が向上する。
【0014】
第6の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第2〜第5の何れかの発明において、前記貫通穴の穴径は前記圧電層の厚さよりも小さいことを特徴とするものである。従って、貫通穴により、圧電層に印加される電界に乱れが生じて、圧電層の変形効率が低下してしまうのを極力抑えることができる。
【0015】
第7の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3〜第6の何れかの発明において、前記第1の電極の外周側部分における前記複数の貫通穴の配置密度は、前記第1の電極の中央部における配置密度よりも大きいことを特徴とするものである。圧電層と第1の電極の界面においては、第1の電極の外周側ほど界面応力が大きく、その外周側から圧電層が剥がれやすいが、この第1の電極の外周側部分における貫通穴の配置密度を中央部よりも大きくすることにより、外周側部分における密着性を高くすることができるため、圧電層が第1の電極から剥がれにくくなる。
【0016】
第8の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第3〜第7の何れかの発明において、前記第1工程において、前記第1の電極から延び且つこの第1の電極に駆動電圧を印加する為の配線部を形成し、この配線部にも複数の貫通穴を形成することを特徴とするものである。このように、第1の電極から延びる配線部にも複数の貫通穴を形成することにより、第1の電極及び配線部と圧電層との密着性をより向上させることができる。
【0017】
第9の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1〜第8の何れかの発明において、前記第2工程において、前記圧電層を、エアロゾルデポジション法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法の何れかにより形成することを特徴とするものである。これらの方法により圧電層を形成した場合、圧電層を形成する材料の粒子が凹部内に入り込みやすいため、圧電層と第1の電極の密着性が向上する。
【0018】
第10の発明の圧電アクチュエータの製造方法は、前記第1〜第9の何れかの発明において、前記絶縁材料層を、金属製の振動板の表面に形成することを特徴とするものである。従って、振動板を弾性率の高い金属材料で構成して、圧電アクチュエータの応答性を高めることができ、さらに、絶縁材料層により、金属製の振動板と第1の電極とを電気的に絶縁することができる。
【0019】
第11の発明の圧電アクチュエータは、絶縁材料層の表面上に設けられ且つその表面に凹部が形成された第1の電極と、この第1の電極の表面上に形成された圧電層と、この圧電層の表面上に形成された第2の電極とを有することを特徴とするものである。なお、この発明における第1の電極の表面に形成された凹部は、第1の電極を貫通する貫通穴の形態を含むものである。
【0020】
第12の発明の圧電アクチュエータは、前記第11の発明の圧電アクチュエータにおいて、前記凹部が、前記第1の電極を貫通する貫通穴であることを特徴とするものである。
【0021】
第13の発明の圧電アクチュエータは、前記第12の発明の圧電アクチュエータにおいて、前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
これらの圧電アクチュエータにおいては、圧電層が凹部内に入り込み、第1の電極と圧電層との界面において圧電層が凹凸に形成されて、圧電層が凹部により拘束されるため、圧電層が第1の電極の表面から剥離しにくくなり、圧電層と第1の電極との密着性が向上する。従って、圧電アクチュエータの耐久性が向上するし、さらに、製造段階における歩留まりも改善される。なお、第1の電極の表面に形成された凹部は、第1の電極を貫通する貫通穴であっても良く、さらに、貫通穴は複数形成されていても良い。これらの場合によれば、圧電層の拘束がより強固になされるため、圧電層と第1の電極の密着性がより向上する。
【0023】
第14の発明の圧電アクチュエータは、前記第12又は第13の発明において、前記絶縁材料層は、熱膨張係数が前記第1の電極よりも前記圧電層に近い材料で形成されており、前記圧電層が前記貫通穴を通して部分的に前記絶縁材料層に密着していることを特徴とするものである。圧電層がチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの熱処理が必要な材料で形成される場合でも、絶縁材料層の熱膨張係数が第1の電極よりも圧電層に近いため、圧電層に熱処理を施したときには、圧電層と第1の電極の間の変形量の差に比べて、圧電層と絶縁材料層の間の変形量の差は小さくなる、従って、圧電層は絶縁材料層に密着しやすくなり、圧電層が第1の電極に形成された貫通穴を通して部分的に絶縁材料層に密着することで、圧電層と第1の電極の密着性がより向上する。
【0024】
第15の発明のインクジェットヘッドは、インクを吐出するノズルに連通した複数の圧力室を有する流路ユニットと、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電アクチュエータとを有し、前記圧電アクチュエータは、絶縁材料層と、前記複数の圧力室に夫々対応して前記絶縁材料層の表面上に形成された複数の個別電極と、これら複数の個別電極に跨ってそれらの表面に形成された圧電層と、この圧電層の表面に形成された共通電極とを備え、各個別電極の表面には凹部が設けられていることを特徴とするものである。なお、この発明における個別電極の表面に形成された凹部は、個別電極を貫通する貫通穴の形態を含むものである。
【0025】
第16の発明のインクジェットヘッドは、前記第15の発明のインクジェットヘッドにおいて、前記凹部が、前記個別電極を貫通する貫通穴であることを特徴とするものである。
【0026】
第17の発明のインクジェットヘッドは、前記第16の発明のインクジェットヘッドにおいて、前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とするものである。
【0027】
これらのインクジェットヘッドにおいては、圧電アクチュエータの複数の個別電極に選択的に駆動電圧が供給されたときに、個別電極と共通電極との間の圧電層に電界が生じて圧電層が変形し、この圧電層の変形により圧力室内のインクに圧力が印加されて、ノズルからインクが吐出される。ここで、圧電アクチュエータにおいて、各個別電極の表面に凹部が設けられているため、圧電層が個別電極から剥がれにくくなり、個別電極と圧電層の密着性が向上する。なお、個別電極の表面に形成された凹部は、個別電極を貫通する貫通穴であっても良く、さらに、貫通穴は複数形成されていても良い。これらの場合によれば、個別電極と圧電層の密着性がより向上する。
【0028】
第18の発明のインクジェットヘッドは、前記第16又は第17の発明において、前記絶縁材料層は、熱膨張係数が前記個別電極よりも前記圧電層に近い材料で形成されており、前記圧電層が前記複数の貫通穴を通して部分的に前記絶縁材料層に密着していることを特徴とするものである。この第18の発明によれば、前述の第14の発明と同様に、貫通穴を通して圧電層が絶縁材料層に密着するため、圧電層と個別電極との密着性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、本発明をインクジェットヘッドに用いられる圧電アクチュエータに適用した一例である。
【0030】
図1に示すように、インクジェットヘッド1は、内部にインク流路が形成された流路ユニット2と、この流路ユニット2の上面に積層された圧電アクチュエータ3とを備えている。
【0031】
まず、流路ユニット2について説明する。図2は、図1のインクジェットヘッド1の右半分の概略平面図である。また、図3は図2のIII-III線断面図、図4は図2のIV-IV線断面図である。図2〜図4に示すように、流路ユニット2はキャビティプレート10、ベースプレート11、マニホールドプレート12、及びノズルプレート13を備えており、これら4枚のプレート10〜13が積層状態で接着されている。このうち、キャビティプレート10、ベースプレート11及びマニホールドプレート12は略矩形のステンレス鋼製の板である。そのため、これら3枚のプレート10〜12に、後述するマニホールド17や圧力室14等のインク流路をエッチングにより容易に形成することができるようになっている。また、ノズルプレート13は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂材料により形成され、マニホールドプレート12の下面に接着される。あるいは、このノズルプレート13も、3枚のプレート10〜12と同様にステンレス鋼等の金属材料で形成されていてもよい。
【0032】
図2に示すように、キャビティプレート10には、平面に沿って配列された複数の圧力室14が形成されている。これら複数の圧力室14は、流路ユニット2の表面(後述する振動板30が接合されるキャビティプレート10の上面)において開口している。尚、図2には、複数の圧力室14のうちの一部(8つ)が示されている。各圧力室14は、平面視で略楕円形状に形成されており、その長軸方向がキャビティプレート10の長手方向に平行になるように配置されている。
【0033】
ベースプレート11の平面視で圧力室14の長軸方向両端部に重なる位置には、夫々連通孔15,16が形成されている。また、マニホールドプレート12には、マニホールドプレートの短手方向(図2の上下方向)に2列に延び、平面視で圧力室14の図2における右半分と重なるマニホールド17が形成されている。このマニホールド17には、キャビティプレート10に形成されたインク供給口18を介してインクタンク(図示省略)からインクが供給される。また、平面視で圧力室14の図2における左端部と重なる位置には、連通孔19も形成されている。さらに、ノズルプレート13には、平面視で複数の圧力室14の左端部に重なる位置に、複数のノズル20が夫々形成されている。ノズル20は、例えば、ポリイミド等の高分子合成樹脂の基板にエキシマレーザー加工を施すことにより形成される。
【0034】
そして、図3に示すように、マニホールド17は連通孔15を介して圧力室14に連通し、さらに、圧力室14は、連通孔16,19を介してノズル20に連通している。このように、流路ユニット2内には、マニホールド17から圧力室14を経てノズル20に至る個別インク流路が形成されている。
【0035】
次に、圧電アクチュエータ3について説明する。図1〜図5に示すように、圧電アクチュエータ3は、流路ユニット2の表面に配置された振動板30と、この振動板30の表面に形成された絶縁材料層31と、複数の圧力室14に夫々対応して絶縁材料層31の表面に形成された複数の個別電極32(第1の電極)と、これら複数の個別電極32に跨ってそれらの表面に形成された圧電層33と、この圧電層33の表面に形成され、複数の個別電極32に亙って共通に設けられた共通電極34(第2の電極)とを備えている。
【0036】
振動板30は、平面視で略矩形状のステンレス鋼製の板であり、複数の圧力室14の開口を塞ぐ状態でキャビティプレート10の上面に積層された状態で接合されている。ここで、振動板30が比較的弾性率の高いステンレス鋼で形成されているため、後述するようにインクの吐出動作の際に圧電層33が変形したときに、振動板30の剛性の高さによって、圧電アクチュエータ3の応答性が高くなる。また、この振動板30は、同じくステンレス鋼で形成されたキャビティプレート10の表面に接合される。そのため、振動板30とキャビティプレート10の熱膨張係数が等しくなり、両者の接合強度が向上する。さらに、流路ユニット2内のインクは、インクに対する耐食性に優れるステンレス鋼で形成された振動板30と流路ユニット2に接触する。そのため、どのようなインクを選択しても流路ユニット2内あるいは振動板30に局部電池が形成される虞がなく、インクの選択が腐食面で制約されることがないため、インク選択の自由度が大きくなる。
【0037】
この振動板30の表面には、アルミナ、ジルコニア、あるいは、窒化ケイ素等の、弾性率が高いセラミックス材料よりなり、その表面が平面である絶縁材料層31が形成されている。このように、絶縁材料層31が弾性率の高いセラミックス材料で形成されているため、アクチュエータの剛性が上がり応答性がより高くなる。
【0038】
さらに、この絶縁材料層31の表面には、圧力室14よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する複数の個別電極32が形成されている。個別電極32は、平面視で対応する圧力室14の中央部に重なる位置に形成されている。個別電極32は金などの導電性材料からなる。尚、隣接する個別電極32は絶縁材料層31により互いに電気的に絶縁されている。また、図3〜図5に示すように、各個別電極32には、この個別電極32を貫通する複数の貫通穴32aが形成されている。これら複数の貫通穴32aは、個別電極32の表面に形成される後述の圧電層33と個別電極32との密着性を向上させるために設けられているものである。これら複数の貫通穴32aについては後ほど詳しく説明する。
【0039】
絶縁材料層31の表面において、複数の個別電極32の一端部(図2における右端部)からは、夫々、個別電極32の長軸方向に平行に複数の配線部35が延びており、これら複数の配線部35の端部には夫々端子部36が形成されている。そして、複数の個別電極32に夫々対応する複数の端子部36には、複数の個別電極32に対して選択的に駆動電圧を供給するドライバIC37の出力端子37aが半田等の導電性ろう材からなるバンプ38を介して接合され、ドライバIC37は絶縁材料層31の表面に配置されている。
【0040】
さらに、絶縁材料層31上には、複数の接続端子40も形成されており、これら複数の接続端子40とドライバIC37の入力端子37bとを半田等からなるバンプ39を介して夫々接合されて、ドライバIC37とこのドライバIC37を制御する制御装置(図示省略)とが接続端子40を介して接続されている。
【0041】
複数の個別電極32の表面には、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電層33が形成されている。この圧電層33は、複数の個別電極32の表面全域を覆うように、複数の個別電極32の全てに亙る連続した1つの層として形成されている。
【0042】
ここで、前述のように、各個別電極32には複数の貫通穴32aが形成されている。そして、図3、図4に示すように、圧電層33の一部が貫通穴32a内に入り込み、圧電層33の下面が凹凸状に形成されているため、圧電層33が貫通穴32により拘束され、個別電極32と圧電層33の密着性が高くなっている。また、後述するように、圧電層33は、個別電極32の表面に形成された状態で熱処理が施される。ここで、個別電極32を形成する金などの導電性材料の熱膨張係数が14×10-6程度であるのに対し、圧電層33を形成するPZTの熱膨張係数が3×10-6程度であるため、圧電層33に熱処理を施した後には、個別電極32と圧電層33を形成するPZTの熱変形量の差により両者の間に界面応力が生じる。この界面応力が大きいと圧電層33が個別電極32から剥がれやすくなるが、個別電極32と圧電層33の接触面が複数の貫通穴32aにより所々分断されて両者の間の界面応力が小さくなっているため、圧電層33が個別電極32から剥がれにくくなっている。さらには、個別電極32の下の絶縁材料層31の熱膨張係数は、例えば、アルミナの場合、7×10-6程度であり、個別電極32の熱膨張係数よりも圧電層33の熱膨張係数に近いため、圧電層33が複数の貫通穴32aを通して絶縁材料層31に密着しやすくなる。このように、圧電層33が複数の貫通穴32aを通して部分的に絶縁材料層31に密着することにより、圧電層33が個別電極32からさらに剥離しにくい状態となっている。
【0043】
圧電層33の表面には、複数の個別電極32に共通の共通電極34が圧電層33の全面に亙って形成されている。図2に示すように、共通電極34からは1本の配線部41が延びており、この配線部41は圧電層33の表面と絶縁材料層31の表面とに亙って延在するように形成されている。また、この配線部41の端部に設けられた端子部42は、ドライバIC37の端子(図示せず)と接している。これにより、共通電極34は、この配線部41及びドライバIC37を介して接地され、グランド電位に保持されている。この共通電極34も金などの導電性材料からなる。
【0044】
次に、インク吐出時における圧電アクチュエータ3の作用について説明する。ドライバIC37に複数の配線部35を介して夫々接続された複数の個別電極32に対して、ドライバIC37から選択的に駆動電圧が供給されると、駆動電圧が供給された圧電層33下側の個別電極32とグランド電位に保持されている圧電層33上側の共通電極34の電位が異なった状態となり、両電極32,34の間に挟まれた圧電層33に上下方向の電界が生じる。すると、圧電層33のうち、駆動電圧が印加された個別電極32の直上の部分が、分極方向である上下方向と直交する水平方向に収縮する。ここで、圧電層33の下側の絶縁材料層31及び振動板30はキャビティプレート10に対して固定されているため、両電極32,34の間に挟まれた圧電層33の部分が圧力室14側に凸となるように変形し、この圧電層33の部分的な変形に伴い、振動板30の圧力室14を覆う部分も圧力室14側に凸となるように変形する。すると、圧力室14内の容積が減少するためにインク圧力が上昇し、圧力室14に連通するノズル20からインクが吐出される。
【0045】
次に、圧電アクチュエータ3の製造方法について説明する。まず、図6に示すように、ステンレス製の3枚のプレート10〜12と、同じくステンレス製の振動板30とを拡散接合等により接合する。ここで、キャビティプレート10と振動板30は同じステンレス製であるため、熱膨張係数が等しくなり、接合面における残留応力が小さいために、両者の接合強度は極めて良好なものとなる。
【0046】
次に、図7に示すように、振動板30の表面に、アルミナ、ジルコニア、あるいは、窒化ケイ素等のセラミックス材料より絶縁材料層31を形成する。この絶縁材料層31を形成する方法としては、例えば、超微粒子材料を高速で衝突させて堆積させるエアロゾルデポジション法を用いて非常に薄い層を用いることができる。その他、ゾルゲル法、スパッタ法、あるいは、CVD(化学蒸着)法を用いて絶縁材料層31を形成することもできる。
【0047】
次に、絶縁材料層31の表面に個別電極32を形成するとともに、各個別電極に複数の貫通穴32aを形成する(第1工程)。図8に示すように、メッキ法、スパッタ法又は蒸着法などにより、絶縁材料層31の全面に導電層40を形成してから、図9に示すように、レーザーやマスク、レジスト法等によりこの導電層40を部分的に除去して、個別電極32及び複数の貫通穴32aを形成する。あるいは、絶縁材料層31の表面に導電性ペーストをスクリーン印刷することにより個別電極32及び複数の貫通穴32aを一度に形成してもよい。
【0048】
次に、図10に示すように、個別電極32の表面にPZTからなる圧電層33を、エアロゾルデポジション法、ゾルゲル法、スパッタ等、あるいは、CVD法を用いて形成する(第2工程)。これらの方法により圧電層33を形成することにより、圧電層33を形成するPZTの粒子が個別電極32に形成された複数の貫通穴32a内に入り込みやすくなり、圧電層33が複数の貫通穴32aを介して部分的に絶縁材料層31に密着しやすくなる。続いて、圧電層33の組織を微細化するために、圧電層33に600℃程度の熱処理を施す。
【0049】
そして、図11に示すように、圧電層33の表面の全面に、スクリーン印刷、蒸着法、あるいは、スパッタ法等を用いて共通電極34を形成する(第3工程)。最後に、図12に示すように、マニホールドプレート12の下面にノズルプレート13を接着する。
【0050】
尚、圧電層33が複数の貫通穴32aを通して絶縁材料層31に密着しやすくするために、複数の貫通穴32aの穴径は、個別電極32の厚さよりも大きいことが好ましい。貫通孔32aの穴径がこの程度の大きさであれば、圧電層33の貫通孔32aに形成される部分がその深さに対して十分な大きさの径を有するため、貫通孔32a内及びその付近の圧電層33が破断する虞は少なくなる。一方で、複数の貫通穴32aの穴径があまりにも大きすぎると、個別電極32と共通電極34との間の圧電層33に印加される電界に乱れが生じて、圧電層33の変形効率が低下してしまう虞があるため、貫通穴32aの穴径は、圧電層33の厚さよりも小さいことが好ましい。例えば、個別電極32の厚さが2μm程度、圧電層33の厚さが10μm程度であるときに、複数の貫通穴32aの穴径は2〜10μm程度であることが好ましい。
【0051】
また、ノズルプレート13がステンレス鋼等の金属材料で形成されている場合には、予め、ノズルプレート13を他の3枚のプレートと同時に接合して流路ユニット2を形成してから、この流路ユニット2の表面に振動板30、個別電極32及び圧電層33を順に積層させて、圧電層33に熱処理を施すようにすることもできる。
【0052】
以上説明したインクジェットヘッド1、圧電アクチュエータ3及び圧電アクチュエータ3の製造方法によれば、次のような効果が得られる。
【0053】
個別電極32に複数の貫通穴32aを形成することにより、個別電極32の表面上の圧電層33の一部が貫通穴32a内に入り込んで、その部分が貫通穴32aにより拘束されるため、個別電極32から剥がれにくくなる。また、個別電極32と圧電層33との間の接触面が複数の貫通穴32aにより分断されるため、圧電層33の熱処理後に生じた個別電極32と圧電層33との間の界面応力が小さくなり、個別電極32と圧電層33の密着性が向上する。さらに、個別電極32の下側の絶縁材料層31は、その熱膨張係数が個別電極31よりも圧電層33に近く、複数の貫通穴32aに入り込んだ圧電層33の一部が絶縁材料層31に密着しやすくなるため、個別電極32と圧電層33の密着性がさらに向上する。
【0054】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0055】
1]一般的に、個別電極32と圧電層33との間の界面応力は、個別電極32の外周側部分ほど大きくなるため、圧電層33は個別電極32の外周側から剥がれやすい。そこで、図13に示すように、個別電極32の外周側部分における貫通穴32aの配置密度を中央部よりも大きくして、外周側部分における個別電極32と圧電層33の密着性をより高くすることにより、圧電層33が個別電極32から剥離するのをより確実に防止できる。
【0056】
2]図14に示すように、個別電極32に複数の貫通穴32aを形成する際に、個別電極32から延びる配線部35にも複数の貫通穴35aを形成して、個別電極32及び配線部35と圧電層33との密着性をさらに高めるようにしてもよい。
【0057】
3]前記実施形態の圧電アクチュエータの製造方法では、金属製の振動板30の表面に絶縁材料層31を形成し、さらに、その絶縁材料層31の表面に複数の個別電極32を形成しているが、図15に示すように、絶縁材料で構成された振動板50(本願発明の絶縁材料層に相当する)の表面に直接複数の個別電極32を形成し、さらに、各個別電極32に複数の貫通穴32aを形成してもよい。このようにして製造された圧電アクチュエータ53においては、個別電極32の表面に形成される圧電層33の一部が複数の貫通穴32aを通して振動板50に密着する。尚、圧電アクチュエータ53の応答性を高めるため、振動板50を構成する絶縁材料は、アルミナ、ジルコニア等のセラミックス材料や、ほうけい酸ガラス等のガラス材料など、弾性率の高い材料であることが好ましい。
【0058】
4]前記実施形態においては、絶縁材料層31の表面(圧電層33の下面)に個別電極32を形成し、圧電層33の表面に共通電極34を形成しているが、絶縁材料層31の表面に共通電極34を形成し、圧電層33の表面に個別電極32を形成してもよい。この場合、共通電極34に、圧電層33との密着性を向上させるための複数の貫通穴を形成することになる。
【0059】
5〕前記実施形態においては、個別電極32に複数の貫通穴32aがそれぞれ形成されていたが、例えば、図16〜図19に概念的に示すように各個別電極に一つだけの貫通穴を形成してもよい。図16では、個別電極60にスパイラル状の一本の溝(貫通穴)が形成されている。あるいは、図17に示すように、個別電極62にS字状の溝62aを形成してもよい。溝は任意の形状に形成することができる。また、個別電極の外周付近が中央部よりも剥離が生じやすいことを考慮して、図18に示すように、個別電極64の外周付近にのみU字状あるいは略環状の溝を形成してもよい。さらに、図19に示すように、個別電極66に複数の溝66a、66bを設けてもよい。
【0060】
6〕上記実施形態では、個別電極32に複数の貫通穴32aがそれぞれ形成されていたが、それに代えて、例えば、図20に示すように個別電極132の圧電層33の側の表面に1つ以上の凹部132aを設けてもよい。凹部132aを有する個別電極132はメッキ法、スパッタ法、蒸着法などで形成することができる。凹部132aの径は、貫通穴の場合と同様に、個別電極132の厚みよりも大きく、圧電層33の厚みよりも小さいことが望ましい。凹部132aの深さは、個別電極132からの圧電層33の耐剥離性を考慮して適宜選択し得る。例えば、個別電極132の外周部と中央部に凹部132aを設けた場合には外周部の凹部132aを中央部に凹部132aよりも深く形成してもよい。ここで、個別電極132に形成された凹部132aと凹部132aの間に画成された部分は凸部とみなすこともできる。すなわち、個別電極132にその表面から突出する凸部または突起を設けた場合も、二つの凸部により挟まれた部分に凹部が形成されてことになる。従って、複数の凸部が形成されている場合も本発明に含まれるものである。なお、凹部132a(または凸部)の平面形状は、円形に限らず、矩形や種々の形状にし得る。また、凹部132aは、個別電極132に一つのみ形成することであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】図1におけるインクジェットヘッドの右半部の平面図である。
【図3】図2のIII-III線断面図である。
【図4】図2のIV-IV線断面図である。
【図5】図2の一部拡大図である。
【図6】流路ユニットと振動板を接合する工程を示す図である。
【図7】絶縁層を形成する工程を示す図である。
【図8】個別電極を形成する工程を示す図である。
【図9】複数の貫通穴を形成する工程を示す図である。
【図10】圧電層を形成する工程を示す図である。
【図11】共通電極を形成する工程を示す図である。
【図12】ノズルプレートを接合する工程を示す図である。
【図13】変更形態の図5相当図である。
【図14】別の変更形態の図5相当図である。
【図15】さらに別の変更形態の図3相当図である。
【図16】さらに別の変更形態を示す概念図である。
【図17】さらに別の変更形態を示す概念図である。
【図18】さらに別の変更形態を示す概念図である。
【図19】さらに別の変更形態を示す概念図である。
【図20】さらに別の変更形態を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 インクジェットヘッド
2 流路ユニット
3,53 圧電アクチュエータ
14 圧力室
30,50 振動板
31 絶縁材料層
32,60,62,64,66,132 個別電極
32a 貫通穴
33 圧電層
34 共通電極
35 配線部
35a 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料層の表面上に第1の電極を形成するとともに、この第1の電極の表面に凹部を形成する第1工程と、
前記第1の電極の表面に圧電層を形成する第2工程と、
この圧電層の表面に第2の電極を形成する第3工程と、を備えたことを特徴とする圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項2】
前記凹部が、前記第1の電極を貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項3】
前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項4】
前記絶縁材料層を、熱膨張係数が前記第1の電極よりも前記圧電層に近い材料で形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項5】
前記貫通穴の穴径は前記第1の電極の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項6】
前記貫通穴の穴径は前記圧電層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項7】
前記第1の電極の外周側部分における前記複数の貫通穴の配置密度は、前記第1の電極の中央部における配置密度よりも大きいことを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項8】
前記第1工程において、前記第1の電極から延び且つこの第1の電極に駆動電圧を印加する為の配線部を形成し、この配線部にも複数の貫通穴を形成することを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項9】
前記第2工程において、前記圧電層を、エアロゾルデポジション法、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法の何れかにより形成することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項10】
前記絶縁材料層を、金属製の振動板の表面に形成することを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
【請求項11】
絶縁材料層の表面上に設けられ且つその表面に凹部が形成された第1の電極と、
この第1の電極の表面上に形成された圧電層と、
この圧電層の表面上に形成された第2の電極とを有することを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項12】
前記凹部が、前記第1の電極を貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項11に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項13】
前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とする請求項12に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項14】
前記絶縁材料層は、熱膨張係数が前記第1の電極よりも前記圧電層に近い材料で形成されており、前記圧電層が前記貫通穴を通して部分的に前記絶縁材料層に密着していることを特徴とする請求項12又は13に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項15】
インクを吐出するノズルに連通した複数の圧力室を有する流路ユニットと、前記複数の圧力室の容積を選択的に変化させる圧電アクチュエータとを有し、
前記圧電アクチュエータは、
絶縁材料層と、
前記複数の圧力室に夫々対応して前記絶縁材料層の表面上に形成された複数の個別電極と、
これら複数の個別電極に跨ってそれらの表面に形成された圧電層と、
この圧電層の表面に形成された共通電極とを備え、
各個別電極の表面には凹部が設けられていることを特徴とするインクジェットヘッド。
【請求項16】
前記凹部が、前記個別電極を貫通する貫通穴であることを特徴とする請求項15に記載のインクジェットヘッド。
【請求項17】
前記貫通穴が複数形成されていることを特徴とする請求項16に記載のインクジェットヘッド。
【請求項18】
前記絶縁材料層は、熱膨張係数が前記個別電極よりも前記圧電層に近い材料で形成されており、前記圧電層が前記複数の貫通穴を通して部分的に前記絶縁材料層に密着していることを特徴とする請求項16又は17に記載のインクジェットヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−19718(P2006−19718A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162712(P2005−162712)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】