説明

圧電デバイスの製造方法

【課題】素子搭載部材と蓋部材との接合強度を維持し、圧電デバイスの生産性を維持することができる圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイスの製造方法は、素子搭載部材110の一方の主面の外周縁部に樹脂層112を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層112を硬化させる樹脂層硬化工程と、導電性接着剤DSによって、素子搭載部材110に圧電振動素子120を搭載する圧電振動素子搭載工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材の樹脂層と蓋部材の封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、圧電デバイスの一例として圧電振動子について説明する。
従来の圧電振動子は、その例として素子搭載部材、圧電振動素子、蓋部材とから主に構成されている。
素子搭載部材の一方の主面には、2個一対の圧電振動素子搭載パッドが設けられている。
また、素子搭載部材は、積層構造となっており、素子搭載部材の内層には、配線パターン等が設けられている。この配線パターンにより圧電振動素子搭載パッドは、素子搭載部材の他方の主面に設けられている外部接続用電極端子と接続している。
これら圧電振動素子搭載パッド上には、導電性接着剤を介して電気的に接続される一対の励振用電極を表裏主面に有した圧電振動素子が搭載されている。この圧電振動素子を囲むように、素子搭載部材には金属製の蓋部材が被せられ、例えばエポキシ樹脂等の封止用樹脂にて接合されている。これにより、凹部空間が気密封止されている。
【0003】
また、このような圧電振動素子は、圧電素板の表裏主面にそれぞれ設けられた励振用電極から一辺に延設された引き出し電極を圧電振動素子搭載パッドに導電性接着剤で固着することで片持ち固定されている。このときの引き出し電極が設けられた一辺とは反対側の端辺を圧電振動素子の自由端である先端部とする(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の圧電デバイスの製造方法は、導電性接着剤によって、素子搭載部材に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の前記壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、前記素子搭載部材と前記蓋部材の前記封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、によって含むものが知られている(例えば、参考文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−252782号公報
【特許文献2】特開2007−104264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の圧電デバイスの製造方法は、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の前記壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂を形成する工程の時に、封止用樹脂の付着量がばらついてしまう。
よって、封止用樹脂の少ない量の場合には、素子搭載部材と蓋部材の封止用樹脂とを接合する工程で、素子搭載部材と蓋部材の封止用樹脂とを接合後、素子搭載部材から蓋部材が剥がれてしまうので、圧電デバイスの生産性が低下してしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、素子搭載部材と蓋部材との接合強度を維持し、圧電デバイスの生産性を維持することができる圧電デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電デバイスの製造方法は、素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、導電性接着剤によって、素子搭載部材に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材の前記樹脂層と蓋部材の封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の圧電デバイスの製造方法は、素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、導電性接着剤によって、素子搭載部材に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材の樹脂層と蓋部材の封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材の前記樹脂層と蓋部材の封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことによって、素子搭載部材に設けられた樹脂層と蓋部材の封止用樹脂が接合されることになる。よって、蓋部材の壁部に設けられた封止用樹脂が少ない量の場合でも、同じ種類の樹脂による接合のため、蓋部材が素子搭載部材から剥がれることを低減することができる。よって、圧電デバイスの生産性を維持することができる。
【0011】
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材の樹脂層と蓋部材の封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことによって、素子搭載部材に設けられた樹脂層と蓋部材の封止用樹脂が接合されることになる。よって、蓋部材の壁部に設けられた封止用樹脂が少ない量の場合でも、同じ種類の樹脂による接合のため、蓋部材が素子搭載部材から剥がれることを低減することができる。よって、圧電デバイスの生産性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの部分拡大図である。
【図4】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の樹脂層硬化工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子搭載工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子搭載工程を示す断面図である。
【図5】(a)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の封止用樹脂形成工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の封止用樹脂形成工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の蓋体接合工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの一例を示す分解斜視図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】(a)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の樹脂層硬化工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子搭載工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の圧電振動素子搭載工程を示す断面図である。
【図9】(a)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の封止用樹脂形成工程を示す断面図であり、(b)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の封止用樹脂形成工程を示す断面図であり、(c)は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法の蓋体接合工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、圧電振動素子に水晶を用いた場合について説明する。また、図示した寸法も一部誇張して示している。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態において、圧電デバイスの一例として圧電振動子について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動子100は、素子搭載部材110と圧電振動素子120と蓋部材130で主に構成されている。この圧電振動子100は、前記素子搭載部材110に圧電振動素子120が搭載され、凹部空間K1(図2参照)が設けられた蓋部材130により気密封止された構造となっている。
【0015】
圧電振動素子120は、図1及び図2に示すように、水晶素板121に励振用電極122を被着形成したものであり、外部からの交番電圧が励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
水晶素板121は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し外形加工を施された概略平板状で平面形状が例えば四角形となっている。
励振用電極122は、前記水晶素板121の表裏両主面に金属を所定のパターンで被着・形成したものである。
このような圧電振動素子120は、その両主面に被着されている励振用電極122から延出する引き出し電極124と後述する素子搭載部材110の主面に形成されている後述する圧電振動素子搭載パッド111とを、導電性接着剤DS(図2参照)を介して電気的且つ機械的に接続することによって搭載される。このときの引き出し電極124が設けられた一辺とは反対側の端辺を圧電振動素子120の自由端である先端部123とする。
【0016】
図1及び図2に示すように、素子搭載部材110は、例えばシリコンやアルミナセラミックス等からなり、また、平板状に形成されている。また、素子搭載部材110は、圧電振動素子搭載パッド111と、外部接続用電極端子Gと、樹脂層112が設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド111は、素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。
樹脂層112は、2個一対の圧電振動素子搭載パッド111を囲むようにして、前記素子搭載部材110の一方の主面に設けられている。また、前記樹脂層112は、後述する蓋部材130の壁部130bに設けられる後述する封止用樹脂131を介して接合される。
また、素子搭載部材110の他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子Gが設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド111は、素子搭載部材110の他方の主面に設けられている所定の外部接続用電極端子Gとビア導体(図示せず)を介して接続している。
【0017】
蓋部材130は、図2に示すように、蓋本体部130aと壁部130bから主に構成されており、前記圧電振動素子120を内包できるように、蓋本体部130aと壁部130bにより凹部空間K1が形成されている。
前記蓋部材130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)または、シリコンなどからなる。
また、蓋部材130の壁部130bには、環状の封止用樹脂131が設けられている。
封止用樹脂131は、例えばエポキシ樹脂等により構成され、封止用樹脂131の厚みは、例えば、10μm〜25μmとなっている。
具体的には、蓋部材130は、素子搭載部材110の樹脂層112上に載置され、熱を印加し、封止用樹脂131を硬化させることで、壁部130bに設けられた封止用樹脂131を介して樹脂層112に接合される。
【0018】
また、図3に示す前記樹脂層112の間隔W1は、例えば、100〜200μmとなっており、前記封止用樹脂131の間隔W2は、例えば、50〜150μmとなっている。
つまり、前記樹脂層112の間隔W1は、前記封止用樹脂131の間隔W2よりも50μm長くなっているため、フィレットが形成されている。
【0019】
前記導電性接着剤DSは、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ニッケル鉄(NiFe)、のうちのいずれかまたはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。
【0020】
尚、前記素子搭載部材110は、アルミナセラミックスから成る場合、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面に、圧電振動素子搭載パッド111、外部接続用電極端子G等となる導体ペーストを、また、セラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内にビア導体となる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷によって塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することにより製作される。
【0021】
次に前記圧電デバイスの製造方法について図4及び図5を用いて説明する。
(樹脂層形成工程)
図4(a)及び図4(b)に示すように、樹脂層形成工程は、素子搭載部材110の一方の主面の外周縁部に樹脂層112を設ける工程である。
【0022】
図4(a)に示すように、素子搭載部材110の主面の外周縁部に、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等により構成されている絶縁性樹脂ペーストをマスク印刷または塗布することで樹脂層112を設ける。
【0023】
(樹脂層硬化工程)
図4(a)及び図4(b)に示すように、樹脂層硬化工程は、前記樹脂層112を硬化させる工程である。素子搭載部材110の一方の主面の外周縁部に設けられた樹脂層112に熱を印加することによって、硬化させる。
【0024】
また、絶縁性樹脂ペーストZPに熱を印加し硬化させるには、例えば、硬化炉が用いられる。
硬化炉(図示せず)は、炉本体と、加熱部と、供給部、制御部によって構成されている。
炉本体は、内部空間を有し、前記素子搭載部材110を格納する役割を果たす。
加熱部は、前記内部空間を所定の温度に加熱する役割を果たす。加熱部は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が用いられている。
供給部は、前記内部空間にガスを供給する役割を果たし、ガスは、例えば窒素等が用いられている。
制御部は、炉本体の内部空間の温度や酸素濃度、加熱部の昇温速度、供給部のガスの供給量の制御を行うものである。
硬化炉(図示せず)に前記素子搭載部材110を収容し、約250℃まで昇温することで、前記絶縁性樹脂ペーストZPを加熱硬化させ、樹脂層112を設ける。
【0025】
(圧電振動素子搭載工程)
図4(c)に示すように、圧電振動素子搭載工程は、導電性接着剤DSによって2個一対の圧電振動素子搭載パッド111に圧電振動素子120を搭載する工程である。
【0026】
素子搭載部材110の主面には2個一対の圧電振動素子搭載パッド111が設けられており、前記圧電振動素子搭載パッド111上に導電性接着剤DSを塗布し、この圧電振動素子搭載パッド111に塗布された導電性接着剤DSに圧電振動素子120の表面に形成した励振用電極122から延出した引き出し電極124を付着させる形態で圧電振動素子120を搭載する。
【0027】
硬化炉(図示せず)に前記素子搭載部材110を収容し、約250℃まで昇温することで、前記導電性接着剤DSを加熱硬化させる。
【0028】
(封止用樹脂形成工程)
図5(a)及び図5(b)に示すように、封止用樹脂形成工程は、蓋本体部130aと壁部130bで構成されている蓋部材130の前記壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設ける工程である。
蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設ける際には、例えば、転写装置(図示せず)が用いられる。
この転写装置(図示せず)は、容器状回転台TJとスキージから構成されており、容器状回転台TJの凹部内に絶縁性樹脂ペーストZPを入れ、容器状回転台TJの凹部底面の面で容器状回転台TJを回転させ、スキージで絶縁性樹脂ペーストZPをならして、平坦な状態にしておく。
この絶縁性樹脂ペーストZPが平坦な状態になった後、蓋部材130の壁部130bを容器状回転台TJの凹部内の絶縁性樹脂ペーストZPに付けることで、蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を転写する。このようにすることで、蓋部材130の前記壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設けることができる。
【0029】
(蓋部材接合工程)
図5(c)に示すように、蓋部材接合工程は、前記素子搭載部材110の前記樹脂層112と前記蓋部材130の前記封止用樹脂131とを接合する工程である。
蓋部材130は、素子搭載部材110の樹脂層112の主面に載置し、熱を印加する際に約250℃まで昇温することで、素子搭載部材110に接合する。
【0030】
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材110の一方の主面の外周縁部に樹脂層112を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層112を硬化させる樹脂層硬化工程と、蓋本体部130aと壁部130bで構成されている蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材110の前記樹脂層112と蓋部材130の封止用樹脂131とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことによって、素子搭載部材110に設けられた樹脂層112と蓋部材130の封止用樹脂131が接合されることになる。よって、蓋部材130の壁部130aに設けられた封止用樹脂131が少ない量の場合でも、同じ種類の樹脂同士による接合のため、蓋部材130が素子搭載部材110から剥がれることを低減することができる。よって、圧電デバイス100の生産性を維持することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスについて説明する。本実施形態における圧電デバイスの一例として、圧電振動子について説明する。
本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス200は、素子搭載部材210の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部213に樹脂層212が設けられている点で第1の実施形態と異なる。
【0032】
図6及び図7に示すように、素子搭載部材210は、例えばシリコンやアルミナセラミックス等からなり、また、平板状に形成されている。また、素子搭載部材210は、圧電振動素子搭載パッド211と、外部接続用電極端子Gと、樹脂層212が設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド211は、素子搭載部材210の一方の主面に設けられている。
また、溝部213は、素子搭載部材210の一方の主面の外周縁部に設けられている。つまり、素子搭載部材210の主面に設けられている2個一対の圧電振動素子搭載パッド211を囲むようにして、前記素子搭載部材210の一方の主面に設けられている。
溝部213の深さは、例えば、80〜250μmであり、後述する樹脂層212が満たされている。
樹脂層212は、前記溝部213内に設けられ、後述する蓋部材130の壁部130bに設けられている後述する封止用樹脂131を介して接合される。
また、素子搭載部材210の他方の主面の4隅には、外部接続用電極端子Gが設けられている。
2個一対の圧電振動素子搭載パッド211は、素子搭載部材210の他方の主面に設けられている外部接続用電極端子Gとビア導体(図示せず)を介して接続している。
【0033】
次に本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について図7及び図8を用いて説明する。
(樹脂層形成工程)
図8(a)に示すように、樹脂層形成工程は、素子搭載部材210の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部213に樹脂層212を設ける工程である。
【0034】
図8(a)に示すように、素子搭載部材210の主面の外周縁部に設けられている溝部213に、例えば、エポキシ樹脂や等により構成されている絶縁性樹脂ペーストZPをマスク印刷または塗布することで樹脂層212を設ける。
【0035】
(樹脂層硬化工程)
図8(a)及び図8(b)に示すように、樹脂層硬化工程は、前記樹脂層212を硬化させる工程である。素子搭載部材210の一方の主面の外周縁部に設けられた樹脂層212に熱を印加することによって、硬化させる。
【0036】
また、絶縁性樹脂ペーストに熱を印加し硬化させるには、例えば、硬化炉が用いられる。
硬化炉(図示せず)は、炉本体と、加熱部と、供給部、制御部によって構成されている。
炉本体は、内部空間を有し、前記素子搭載部材210を格納する役割を果たす。
加熱部は、前記内部空間を所定の温度に加熱する役割を果たす。加熱部は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ等が用いられている。
供給部は、前記内部空間にガスを供給する役割を果たす。ガスは、例えば窒素等が用いられている。
制御部は、炉本体の内部空間の温度や酸素濃度、加熱部の昇温速度、供給部のガスの供給量の制御を行うものである。
硬化炉(図示せず)に前記素子搭載部材210を収容し、約250℃まで昇温することで、前記絶縁性樹脂ペーストを加熱硬化させ、樹脂層212を設ける。
【0037】
(圧電振動素子搭載工程)
図8(c)に示すように、圧電振動素子搭載工程は、導電性接着剤DSによって2個一対の圧電振動素子搭載パッド211に圧電振動素子120を搭載する工程である。
【0038】
素子搭載部材210の主面には2個一対の圧電振動素子搭載パッド211が設けられており、前記圧電振動素子搭載パッド211上に導電性接着剤DSを塗布し、この圧電振動素子搭載パッド211に塗布された導電性接着剤DSに圧電振動素子120の表面に形成した励振用電極122から延出した引き出し電極124を付着させる形態で圧電振動素子120を搭載する。
【0039】
硬化炉(図示せず)に前記素子搭載部材210を収容し、約250℃まで昇温することで、前記導電性接着剤DSを加熱硬化させる。
【0040】
(封止用樹脂形成工程)
図9(a)及び図9(b)に示すように、封止用樹脂形成工程は、蓋本体部130aと壁部130bで構成されている蓋部材130の前記壁部130bの開口側主面に封止用樹脂を設ける工程である。
蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設ける際には、例えば、転写装置(図示せず)が用いられる。
この転写装置(図示せず)は、容器状回転台TJとスキージから構成されており、容器状回転台TJの凹部内に絶縁性樹脂ペーストZPを入れ、容器状回転台TJを回転させ、スキージで絶縁性樹脂ペーストZPをならして、平坦な状態にしておく。
この絶縁性樹脂ペーストZPが平坦な状態になった後、蓋部材130の壁部130bを容器状回転台TJの凹部内の絶縁性樹脂ペーストZPに付けることで、蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を転写する。このようにすることで、蓋部材130の前記壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設けることができる。
【0041】
(蓋部材接合工程)
図9(c)に示すように、蓋部材接合工程は、前記素子搭載部材210の前記樹脂層212と前記蓋部材130の前記封止用樹脂131とを接合する工程である。
【0042】
本発明の圧電デバイスの製造方法によれば、素子搭載部材210の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部213に樹脂層212を設ける樹脂層形成工程と、樹脂層212を硬化させる樹脂層硬化工程と、蓋本体部130aと壁部130bで構成されている蓋部材130の壁部130bの開口側主面に封止用樹脂131を設ける封止用樹脂形成工程と、素子搭載部材210の樹脂層212と蓋部材130の封止用樹脂131とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことによって、素子搭載部材210に設けられた樹脂層212と蓋部材130の封止用樹脂131が接合されることになるので、蓋部材130の壁部130aに設けられた封止用樹脂131が少ない量の場合でも、同じ種類の樹脂同士による接合のため、蓋部材130が素子搭載部材210から剥がれることを低減することができる。よって、圧電デバイス200の生産性を維持することができる。
【0043】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
例えば、前記した本実施形態では、圧電振動素子を構成する圧電素材として水晶を用いた場合を説明したが、他の圧電素材として、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムまたは、圧電セラミックスを圧電素材として用いた圧電振動素子でも構わない。
【符号の説明】
【0044】
110、210・・・素子搭載部材
111、211・・・圧電振動素子搭載パッド
112、212・・・樹脂層
213・・・溝部
120・・・圧電振動素子
121・・・水晶素板
122・・・励振用電極
123・・・先端部
124・・・引き出し電極
130・・・蓋部材
130a・・・蓋本体部
130b・・・壁部
131・・・封止用樹脂
G・・・外部接続用電極端子
DS・・・導電性接着剤
ZP・・・絶縁性樹脂ペースト
K1・・・凹部空間
100、200・・・圧電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、
前記樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、
導電性接着剤によって、素子搭載部材に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、
蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の前記壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、
前記素子搭載部材の前記樹脂層と前記蓋部材の前記封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項2】
素子搭載部材の一方の主面の外周縁部に設けられている溝部に樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、
前記樹脂層を硬化させる樹脂層硬化工程と、
導電性接着剤によって、前記素子搭載部材に圧電振動素子を搭載する圧電振動素子搭載工程と、
蓋本体部と壁部で構成されている蓋部材の前記壁部の開口側主面に封止用樹脂を設ける封止用樹脂形成工程と、
前記素子搭載部材の前記樹脂層と前記蓋部材の前記封止用樹脂とを接合する蓋部材接合工程と、を含むことを特徴とする圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−250357(P2011−250357A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124180(P2010−124180)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】