説明

圧電デバイス用パッケージ、及びこれを利用した圧電デバイス

【課題】 圧電振動片を容易かつ精度よくマウントできる圧電デバイス用パッケージ、及びこれを利用した圧電デバイスを提供すること。
【解決手段】 互いに平行であって長手方向に沿った2つの長い内壁46,47、及びこの長い内壁に対して略直角となるようにして短手方向に沿った2つの短い内壁48,49により囲まれたキャビティSと、このキャビティS内の底面に設けられた2つのマウント電極31,32とを備えた圧電デバイス用のパッケージであって、2つのマウント電極31,32の各々は、少なくとも短い内壁48,49に隣接しないようにして、2つの長い内壁46,47のそれぞれに沿って配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片を収容するためのキャビティを有する圧電デバイス用パッケージ、及びこのパッケージを利用した圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、従来の圧電デバイスの概略平面図である。
この図において、圧電デバイス1は圧電振動子の例を示しており、パッケージ2内に圧電振動片3が収容されている。
パッケージ2は、圧電振動片3を収容するキャビティ8を有している。キャビティ8は、隣接する内壁が略直角となるように形成された内壁2a,2b,2c,2dに囲まれており、キャビティ8内の底面には、圧電振動片3と接合されるマウント電極4a,4bが設けられている。
マウント電極4aは、短手方向に沿った内壁2dと長手方向に沿った内壁2aとの双方に隣接するようにして、角部に配置されている。また、マウント電極4bも短手方向に沿った内壁2dと長手方向に沿った内壁2cとの双方に隣接するようにして、角部に配置されている。そして、マウント電極4a,4bは、互いに接触しないように所定の間隔Wを空けて、異極とされている。
【0003】
圧電振動片3は、基部6と、この基部6から互いに平行に延びる振動腕7,7とを有しており、基部6がパッケージ2に接合されて、片持ち式に接合固定された所謂音叉型の圧電振動片となっている。すなわち、上述したマウント電極4a,4bの上に導電性接着剤5,5を塗布し、この導電性接着剤5,5の上に圧電デバイス1の基部6を載置して、圧電振動片3をパッケージ2にマウントするようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−266763公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年、圧電デバイス1の小型化はめざましく、圧電振動片3をマウントする領域も小さくせざるを得ない。すなわち、所定の発振周波数を確保するには、圧電振動片3の振動腕7,7の長さを変えないことが好ましく、このため、圧電デバイス1を小型化するには、いきおい基部6を極小化せざるを得なくなり、この極小化された基部6と接合するマウント電極4a,4bも小型化を極めているといってよい。
したがって、この極小化されたマウント電極4a,4bを、従来のように、パッケージ2の角部に正確に形成することは困難となってきている。しかも、この隅にある極小化されたマウント電極4a,4bに接着剤5,5を正確に塗布して、精度よく圧電振動片3をマウントすることは、さらに困難になってきている。
【0006】
本発明は、圧電振動片を容易かつ精度よくマウントできる圧電デバイス用パッケージ、及びこれを利用した圧電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、第1の発明によれば、互いに平行であって長手方向に沿った2つの長い内壁、及びこの長い内壁に対して略直角となるようにして短手方向に沿った2つの短い内壁により囲まれたキャビティと、このキャビティ内の底面に設けられた2つのマウント電極とを備えた圧電デバイス用のパッケージであって、前記2つのマウント電極の各々は、少なくとも前記短い内壁に隣接しないようにして、前記2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されている圧電デバイス用のパッケージにより達成される。
【0008】
第1の発明の構成によれば、マウント電極は、少なくとも短い内壁に隣接しないように形成されている。このため、少なくとも、マウント電極をキャビティ内の角部に配置しなくてもよい分、マウント電極の形成が容易となり、また、マウント電極に接着剤を塗布し易くなる。
また、2つのマウント電極の各々は、2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されているので、短い内壁に沿って配置するよりも大きく形成できる。さらに、この2つの長い内壁は互いに平行となっているため、マウント電極同士の短絡を気にすることなく、マウント電極を長手方向に沿って大きく形成できる。したがって、マウント電極の形成が容易となり、また、マウント電極に接着剤を塗布し易くなる。
さらに、マウント電極を長手方向に沿って大きく形成すれば、長手方向について接着剤が圧電振動片を支持する部分が増えて、圧電振動片をマウントする際、長手方向の端部が厚み方向に傾いて接合されることも有効に防止できる。
かくして、圧電振動片を容易かつ精度よくマウントできる圧電デバイス用パッケージを提供することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記マウント電極は、その長手方向の略中心が前記長い内壁の長手方向の中央付近に配置されていることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、マウント電極は、その長手方向の略中心が長い内壁の長手方向の中央付近に配置されているため、キャビティ内の角部に近づくことを第1の発明よりも回避でき、第1の発明に比べて、圧電振動片の容易かつ精度のよいマウントを可能にする。
【0010】
第3の発明は、第1または第2のいずれかの発明の構成において、前記マウント電極は、前記キャビティ内の底面に対して高台となっていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、マウント電極は、キャビティ内の底面に対して高台となっているので、このマウント電極に接合固定される圧電振動片は、キャビティ内の底面から相当の高さを有することになる。したがって、圧電振動片がキャビティ内の底面側に振れたとしても、圧電振動片がキャビティ内の底面に接触することを有効に防止できる。
【0011】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記キャビティ内の底面には、長手方向の一端付近に凹部が形成されていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、キャビティ内の底面には、長手方向の一端付近に凹部が形成されているので、パッケージに接合する圧電振動片の長手方向の一端が厚み方向に振れたとしても、キャビティ内の底面に接触することを防止できる。
【0012】
第5の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記キャビティ内の底面には、長手方向の両端付近に凹部が形成されていることを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、キャビティ内の底面には、長手方向の両端付近に凹部が形成されているので、パッケージに接合する圧電振動片の長手方向の両端が厚み方向に振れたとしても、キャビティ内の底面に接触することを防止できる。
【0013】
第6の発明は、第1ないし第5の発明のいずれかの構成において、前記キャビティ内の底面には、前記キャビティ内と外部とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
第6の発明の構成によれば、キャビティ内の底面には、キャビティ内と外部とを連通する貫通孔が形成されている。このため、圧電振動片を接着剤でパッケージに接合し、蓋体を接着剤でパッケージに接合した後であっても、この貫通孔を通じて、接着剤からでたガスを排出することができる。
ところで、第1の発明で説明したように、パッケージは、長手方向に沿いながら大きくマウント電極を形成した分、キャビティ内の容積は減少することになる。したがって、貫通孔からキャビティ内のガスを排出し易くなる。
【0014】
また、上述の目的は、第7の発明によれば、基部から平行に延びる複数の振動腕を有する圧電振動片と、互いに平行であって長手方向に沿った2つの長い内壁、及びこの長い内壁に対して略直角となるようにして短手方向に沿った2つの短い内壁により囲まれたキャビティを有し、このキャビティ内の底面に設けられた2つのマウント電極を有するパッケージとを備えた圧電デバイスであって、前記2つのマウント電極の各々は、少なくとも前記短い内壁に隣接しないようにして、前記2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されており、前記圧電振動片は、前記マウント電極と接合される固定部が、前記基部と接合している構成とされている圧電デバイス用パッケージにより達成される。
【0015】
第7の発明の構成によれば、2つのマウント電極の各々は、少なくとも短い内壁に隣接しないようにして、2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されているため、第1の発明と同様に、マウント電極の形成が容易となり、また、マウント電極に接着剤を塗布し易くなる。
また、圧電振動片は、マウント電極と接合される固定部が、基部と接合している構成とされているので、この固定部とマウント電極との位置を合わせて、圧電振動片をマウントすることになる。この際、マウント電極は、上述のように、キャビティ内の角部に配置されておらず、また、長手方向に沿いながら大きく形成されているので、圧電振動片の固定部とマウント電極との位置を正確に合わ易く、圧電振動片を精度よくマウントできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1および図2は、本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイス30であって、図1は圧電デバイス30の概略平面図、図2は図1のA−A線概略切断断面図である。
尚、圧電デバイスとは、圧電振動子や圧電発振器等の名称にかかわらず、パッケージ内に圧電振動片を収容した全ての製品を意味する。
また、図1および図2の平行斜線で示した部分は、理解の便宜のために示したものであり、断面等を表すものではない。
【0017】
これらの図の圧電デバイス30は、圧電振動子を構成した例を示しており、パッケージ36内に圧電振動片20を収容している。
この圧電デバイス用のパッケージ36は、本実施形態では、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成型して形成される第1の基板30aおよび第2の基板30bを積層した後、焼結して形成されている。
【0018】
第1の基板30aは、その内側に所定の孔を形成することで、第2の基板30bに積層した場合に、パッケージ36の内側に所定の内部空間Sを形成するようにされている。この内部空間Sが、圧電振動片27を収容するためのキャビティSとなる。
具体的には、第1の基板30aに設けられた孔は、水平断面が略矩形状になっており、このため、キャビティS内の隣接する内壁は互いに略直角となっている。すなわち、キャビティSは、互いに平行であって長手方向に沿った長い内壁46,47と、この長い内壁46,47に対して略直角となるように接して短手方向に沿った2つの短い内壁48,49とにより囲まれるようにして形成されている。
【0019】
また、第1の基板30aの図2において上部に開口した側の開口端面には、低融点ガラス等のロウ材44が適用されて蓋体39が接合されており、これにより、キャビティSは蓋封止されている。なお、蓋体39は、蓋封止した後であっても、圧電振動片20に設けられた励振電極あるいは錘等にレーザ光をあてて、質量削減方式で周波数調整できるように、光を透過する材料、例えばガラスから形成されている。
【0020】
また、キャビティS内の底面、すなわち第2の基板30bのキャビティSに露出する面には、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した2つのマウント電極31,32が設けられている。
このマウント電極31,32の各々は、図2に示されるように、第2の基板30bのビアホール内の導電部35を介して、実装端子部38,38に接続されており、これにより互いに異極となって、圧電振動片に駆動電圧を供給する電極となる。
【0021】
ここで、この一対のマウント電極31,32の各々は、少なくとも短い内壁48,49に隣接しないようにして、2つの長い内壁46,47のそれぞれに沿って配置されている。
具体的には、本実施形態のマウント電極31,32は、互いに平行に形成された長い内壁46,47に隣接して配置されている。そして、マウント電極31,32は、その長手方向の略中心P3が、長い内壁46,47の長手方向の中央付近に配置されており、中心P3から両端に向かって均等に伸びるように形成されている。
【0022】
そして、マウント電極31,32の上面に、接着剤43,43として、シリコーン系またはエポキシ系あるいはポリイミド系等の導電性接着剤が塗布され、この接着剤43,43の上に圧電振動片20が載置されて、接着剤43,43が硬化することで、マウント電極31,32と圧電振動片20とが電気的機械的に接続されている。
なお、図1および図2では、接着剤43に導電性接着剤を用いているが、本発明はこれに限られず、例えば、電気的な接続はワイヤボンディングで行い、接着剤には機械的にのみ接合される接着剤を用いるようにしてもよい。
【0023】
圧電振動片12は、例えば水晶等で形成されており、水晶以外にもタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料を利用することができる。
本実施形態の場合、圧電振動片20は、小型に形成して必要な性能を得るために、基部26から図1において右方に向けて、二股に別れて平行に延びる一対の振動腕24,25を備えている。
【0024】
基部26は、一対の振動腕24,25を支持するための部分である。また、本実施形態の基部26は、圧電振動片20をマウント電極31,32に接合するための2つの固定部27,28を支持するための部分でもある。すなわち、振動腕24,25と基部26と固定部27,28とは一体に形成されており、固定部27,28は、圧電振動片20をマウントした際、マウント電極31,32の各々の位置に合致するように形成されている。
【0025】
具体的には、固定部27,28は、基部26から一対の振動腕24,25の各外側に、振動腕24,25を挟むようにして一対形成されており、パッケージ36の長い内壁46,47と同じ方向に互いに平行に延びるように形成されている。
そして、振動腕24,25の水平面の振れを避けるように(図1の点線に示す振動した振動腕24,25に接触しないように)、振動腕24,25よりも所定の長さL1だけ短く形成されるとともに、振動腕24,25のそれぞれの外側の側面から所定の幅W1だけ離れて形成されている。より好ましくは、幅方向(短手方向)について、振動腕24,25が振動した場合の振動腕24,25の先端の位置P1と、固定部27,28の位置P2とが略同じようにされている。
【0026】
振動腕24,25は、その表裏面のそれぞれに長手方向に沿って延びる長溝が形成されており(図示せず)、断面がH型となっている。そして、長溝内に励振電極33a,34aが形成され、長溝内の励振電極33aと対向するようにして、振動腕24の側面に励振電極34aが形成されており、長溝内の励振電極34aと対向するようにして、振動腕25の側面に励振電極33aが形成さいる。
そして、励振電極34aは、基部26に引き出された引出し電極34cを介して、固定部27の少なくともマウント電極31側の表面に形成された電極部34bと接続され、また、励振電極33aは、基部26に引き出された引出し電極33cを介して、固定部28の少なくともマウント電極32側の表面に形成された電極部33bと接続されている。
このように、長溝を設け、長溝内の電極とこれに対向する側面の電極とを異極となるよう配置して、各腕内の電界効率を高めて、振動腕24,25の小型化を可能としている。
【0027】
本発明の第1の実施形態は以上のように構成されており、マウント電極31,32は、少なくとも短い内壁48,49に隣接しないように形成されているため、少なくとも、マウント電極31,32をキャビティS内の角部に配置しなくてもよい。
また、マウント電極31,32の各々は、2つの長い内壁46,47のそれぞれに沿って配置され、そして、長い内壁46,47は互いに平行となっている。このため、互いに異極となるマウント電極31,32同士の短絡を気にすることなく、マウント電極31,32を長手方向に沿って大きく形成できる。
したがって、マウント電極31,32の形成が容易となり、また、マウント電極31,32に接着剤43,43を塗布し易くなる。
さらに、マウント電極31,32を長手方向に沿って大きく形成すれば、圧電振動片20をマウントする際に、図2の点線で示すように圧電振動片20の長手方向の端部20a,20bが厚み方向に傾いて接合されてしまうようなことを有効に防止できる。
【0028】
図3および図4は、本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイス50であって、図3は圧電デバイス50の概略平面図、図4は図3のB−B線概略切断断面図である。
なお、図3では、理解の便宜のために、圧電振動片を省略して作図している。また、図3および図4の平行斜線で示した部分は、理解の便宜のために示したものであり、断面等を表すものではない。
これらの図において、図1および図2の説明で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
【0029】
圧電デバイス50が図1および図2の圧電デバイス30と主に異なるは、マウント電極31,32が、キャビティS内の底面に対して高台となっている点である。
具体的に、本第2の実施形態においては、マウント電極31,32は、パッケージ36内に設けられた導電パターン52を介して、実装端子部38,38と接続されている。そして、図4の一点鎖線で示した図に示されるように、第2の基板30bのキャビティSに露出した導電パターン52は、タングステン52aをメタライズした上に、ニッケル52bおよび金52cをメッキして形成されている。
【0030】
ここで、マウント電極31,32も、この導電パターン52を形成する際のタングステン52a、ニッケル52bおよびメッキ52cを利用して形成されているが、マウント電極31,32を形成する位置には、タングステンメタライズ52aの上に、さらにタングステン54をメタライズし、これにより、マウント電極31,32を導電パターン52よりも厚く形成している。
【0031】
本発明の第2の実施形態は以上のように構成されており、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。さらに、マウント電極31,32は、キャビティS内の底面に対して高台となっているので、圧電振動片20はキャビティS内の底面から相当の高さを有することになる。したがって、圧電振動片20の固定部27,28と振動腕24,25との距離が離れたことで、圧電振動片20がキャビティS内の底面側に振れ易くなったとしても、圧電振動片20がキャビティS内の底面に接触することを有効に防止できる。
【0032】
図5ないし図7は、本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイス60であって、図5は圧電デバイス60の概略平面図、図6は図5のC−C線概略切断断面図、図7は図5のD−D線概略切断断面図である。
なお、図5では、理解の便宜のために、圧電振動片に設けられた長溝や励振電極等を省略している。また、図7の平行斜線で示す部分は断面ではなく、各電極を示している。
これらの図において、図1および図2の説明で用いた符号と同一の符号を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、以下、相違点を中心に説明する。
圧電デバイス60が図1および図2の圧電デバイス30と異なるは、パッケージの内側底面に凹部と貫通孔が設けられている点である。
【0033】
すなわち、圧電デバイス60のキャビティS内の底面には、長手方向の一端付近に第1の凹部67が形成されている。この第1の凹部67は、最も発振周波数に影響を及ぼす振動腕24,25の基部26側とは反対側である先端付近に対応して直下に形成されており、振動腕24,25の自由端側の先端が、キャビティS内の底面方向(図6のF1方向)に振れたとしても、振動腕24,25がキャビティS内の底面に接触することを防止するための有底の孔である。本実施形態では、第1の凹部67は、パッケージ36の底部を2枚の基板36b,36cにより形成し、キャビティS側の基板36cに貫通孔を形成し、基板36cを基板36dの上に積層することで形成されている。
【0034】
また、圧電デバイス60のキャビティS内の底面には、長手方向の第1の凹部67と反対側に第2の凹部68も形成されており、これにより、長手方向の両端付近に凹部が形成されるようになっている。この第2の凹部68は、圧電振動片20の振動腕24,25側とは反対側の端部付近に対応して形成されており、圧電振動片20の基部26やこの基部26と固定部27,28とを一体的に接続する部分が、キャビティS内の底面側に振れたとしても、キャビティS内の底面に接触することを防止するための有底の孔である。そして、この第2の凹部68も、第1の凹部67と同様に、キャビティS側の基板36cに貫通孔を形成し、この基板36cを基板36dの上に積層することで形成されている。
【0035】
さらに、圧電デバイス60のキャビティS内の底面には、キャビティS内と外部とを連通する貫通孔62が形成されている。この貫通孔62は、例えば圧電振動片20を接着剤43でマウントし、パッケージ36をロウ材44で蓋封止した後に、接着剤43やロウ材44から発生したガスを排出するための孔であり、ガスを排出した後に溶融した封止材64で封止されるようになっている。
具体的には、貫通孔62は、マウント電極31とマウント電極32との間に挟まれるように配置されている。そして、キャビティS側の基板36cに設けられた貫通孔62bと、主面が外部に露出した最下層の基板36dに設けられ、貫通孔62bよりも大きな貫通孔62aとから形成され、基板36cを基板36dに積層した場合に段部66が形成されるようになっている。段部66は、溶融前の封止材64を貫通孔62に載置した場合に、溶融前の封止材64が貫通孔62を通り抜けてしまうことを防止するための手段である。
【0036】
また、図7に示すように、本第3の実施形態では、マウント電極31は基板36cのビアホール内の導電部72と接続され、この導電部72は基板36dの表面に設けられた導電パターン74を介して実装端子部38と接続されている。また、マウント電極32も同様にビアホール内の導電部や導電パターンを介して実装端子部38と接続されている。
【0037】
本発明の第3の実施形態は以上のように構成されており、このため、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮する。また、パッケージ36のキャビティS内の底面には、圧電振動片20の長手方向の両端付近に凹部が形成されている。したがって、圧電振動片20の固定部27,28と振動腕24,25との距離が離れたことで、圧電振動片20がキャビティS内の底面側に振れ易くなったとしても、圧電振動片20がキャビティS内の底面に接触することを有効に防止できる。
さらに、パッケージ36のキャビティS内の底面には、キャビティS内と外部とを連通する貫通孔62が形成されている。このため、圧電振動片20をマウントする際の接着剤43が従来に比べて多く用いられ、この接着剤43からガスが多く発生したとしても、貫通孔62からガスを排出して、発振周波数に及ぼす悪影響を防止することができる。
【0038】
本発明は上述の実施形態に限定されない。実施形態や各変形例の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電デバイスの概略平面図。
【図2】図1のA−A線概略切断断面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る圧電デバイスの概略平面図。
【図4】図3のB−B線概略切断断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る圧電デバイスの概略平面図。
【図6】図5のC−C線概略切断断面図。
【図7】図5のD−D線概略切断断面図。
【図8】従来の圧電デバイスの概略平面図。
【符号の説明】
【0040】
30,50,60・・・圧電デバイス、20・・・圧電振動片、24,25・・・振動腕、26・・・基部、27,28・・・固定部、31,32・・・マウント電極、36・・・パッケージ、46,47・・・長い内壁、48,49・・・短い内壁、S・・・キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行であって長手方向に沿った2つの長い内壁、及びこの長い内壁に対して略直角となるようにして短手方向に沿った2つの短い内壁により囲まれたキャビティと、このキャビティ内の底面に設けられた2つのマウント電極とを備えた圧電デバイス用のパッケージであって、
前記2つのマウント電極の各々は、少なくとも前記短い内壁に隣接しないようにして、前記2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されている
ことを特徴とする圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項2】
前記マウント電極は、その長手方向の略中心が前記長い内壁の長手方向の中央付近に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項3】
前記マウント電極は、前記キャビティ内の底面に対して高台となっていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項4】
前記キャビティ内の底面には、長手方向の一端付近に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項5】
前記キャビティ内の底面には、長手方向の両端付近に凹部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項6】
前記キャビティ内の底面には、前記キャビティ内と外部とを連通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の圧電デバイス用のパッケージ。
【請求項7】
基部から平行に延びる複数の振動腕を有する圧電振動片と、
互いに平行であって長手方向に沿った2つの長い内壁、及びこの長い内壁に対して略直角となるようにして短手方向に沿った2つの短い内壁により囲まれたキャビティを有し、このキャビティ内の底面に設けられた2つのマウント電極を有するパッケージと
を備えた圧電デバイスであって、
前記2つのマウント電極の各々は、少なくとも前記短い内壁に隣接しないようにして、前記2つの長い内壁のそれぞれに沿って配置されており、
前記圧電振動片は、前記マウント電極と接合される固定部が、前記基部と接合している構成とされている
ことを特徴とする圧電デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−197477(P2006−197477A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9129(P2005−9129)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】