説明

圧電デバイス

【課題】本発明は、実装基板との間に生じる浮遊容量が低減された圧電デバイスを提供する。
【解決手段】実装基板(150)に実装される圧電デバイス(100)が、励振電極(131)及び該励振電極から引き出された引出電極(132)を有する圧電振動片(130)と、圧電振動片を載置する第1面と、第1面の反対側で外部電極(125、126)を有する第2面とを有する絶縁性の材料からなるベース板(120)と、を備え、第2面の外部電極を除く領域の少なくとも一部が第1面側に凹み、実装基板と第1面側に凹んだ第2面との間に空隙が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板との間に生じる浮遊容量が低減された圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電材により形成され、所定の周波数で振動する圧電振動片が知られている。このような圧電振動片はリッド板及びベース板に挟まれて圧電デバイスが形成され、圧電デバイスはプリント基板等の実装基板に実装されて用いられる。近年、圧電デバイスは小型化が進んでいるため、圧電デバイスに形成される電極と実装基板に形成される配線電極との間の距離が小さくなり、二つの電極間に生じる浮遊容量が大きくなっている。圧電デバイスでは、このような浮遊容量が大きくなることにより、圧電デバイスの周波数の可変範囲が狭められるという問題が生じていた。
【0003】
このような問題に対して、例えば特許文献1ではシールド電極が形成された圧電発振器が示されている。特許文献1で示された圧電発振器では、圧電発振器のIC(集積回路)チップと実装基板の配線パターンの間にシールド電極を設けることにより、実装基板の配線パターンとICチップとの間の浮遊容量の発生を防いでいる。また、シールド電極は、複数の層が積層されて形成されるセラミックのパッケージの層の間に形成されることにより、シールド電極が圧電発振器内の他の電極と接触することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−220140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示されたシールド電極が形成された圧電発振器では、セラミックの層を追加で形成しなければならず、圧電デバイスの大きさが大きくなってしまう。また、圧電材又はガラスなどを基材とするベース板では、シールド電極と圧電デバイス内の他の電極とが互いに接触しないように形成することが困難であるため、シールド電極の形成が困難である。
【0006】
本発明では、実装基板の配線電極と圧電デバイスに形成される電極との間のベース板に凹みが形成されることにより、実装基板との間に生じる浮遊容量が低減された圧電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電デバイスは、実装基板に実装される圧電デバイスであって、励振電極及び該励振電極から引き出された引出電極を有する圧電振動片と、圧電振動片を載置する第1面と、第1面の反対側で外部電極を有する第2面とを有する絶縁性の材料からなるベース板と、を備え、第2面の外部電極を除く領域の少なくとも一部が第1面側に凹み、圧電デバイスが実装基板に実装された際に、実装基板に対して第2面側に空隙が形成される圧電デバイス。
【0008】
第2観点の圧電デバイスは、第1観点において、第1面に引出電極と外部電極とを電気的に接続する配線電極が形成され、第1面側に凹んだ第2面が、励振電極又は配線電極と、実装基板との間の少なくとも一部に形成されている。
【0009】
第3観点の圧電デバイスは、第1観点及び第2観点において、ベース板の第1面が、圧電振動片が載置され第2面側に凹む凹部を含み、凹部の深さと第1面側に凹んだ第2面の深さとが等しい。
【0010】
第4観点の圧電デバイスは、第1観点において、圧電振動片が、励振電極が形成される励振部と、励振部の周りに形成される枠部と、を含み、枠部と第1面とが接合される。
【0011】
第5観点の圧電デバイスは、第4観点において、枠部には引出電極が形成され、第1面側に凹んだ第2面が、励振電極又は枠部に形成される引出電極と、実装基板と、の間の少なくとも一部に形成されている。
【0012】
第6観点の圧電デバイスは、第4観点及び第5観点において、ベース板の第1面が、枠部に接合される接合面と、接合面から第2面側に凹んだ凹部と、を含み、凹部の深さと第1面側に凹んだ第2面の深さとが等しい。
【0013】
第7観点の圧電デバイスは、第1観点及び第6観点において、ベース板がガラス又は圧電材である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の圧電デバイスによれば、実装基板との間に生じる浮遊容量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】圧電デバイス100の分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】(a)は、ベース板120の平面図である。 (b)は、図3(a)のB−B断面図である。
【図4】(a)は、ベース板220の平面図である。 (b)は、図4(a)のC−C断面図である。
【図5】(a)は、ベース板320の斜視図である。 (b)は、ベース板320の平面図である。
【図6】(a)は、図5(b)のD−D断面図である。 (b)は、図5(b)のE−E断面図である。 (c)は、図5(b)のF−F断面図である。
【図7】圧電デバイス200の分解斜視図である。
【図8】(a)は、図7のG−G断面図である。 (b)は、圧電振動片430の平面図である。
【図9】(a)は、ベース板430の平面図である。 (b)は、図7のH−H断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0017】
(第1実施形態)
<圧電デバイス100の構成>
図1は、圧電デバイス100の分解斜視図である。圧電デバイス100は、圧電振動片130と、リッド板110と、ベース板120とにより形成されている。ベース板120は、セラミック、水晶、及びガラスなどの絶縁性の材料により形成されている。また、圧電振動片130には例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電デバイス100においては圧電デバイス100の長辺方向をX軸方向、圧電デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
【0018】
圧電デバイス100は、ベース板120の+Y’軸側に形成された凹部121に圧電振動片130が載置される。さらに圧電振動片130が載置された凹部121を密封するようにリッド板110がベース板120の+Y’軸側の面に接合されて圧電デバイス100が形成される。
【0019】
圧電振動片130は、+Y’軸側及び−Y’軸側の面に励振電極131が形成されている。+Y’軸側の励振電極131からは、−X軸方向に伸び、+Z’軸側の側面を介して−Y’軸側の面にまで引き出されている引出電極132が形成されている。また、−Y’軸側の面に形成されている励振電極131からは−X軸側の−Z’軸側の角部にまで引出電極132が引き出されている。
【0020】
ベース板120は、+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面にそれぞれ凹部が形成されている。+Y’軸側の面を第1面とすると、第1面には圧電振動片130が載置される凹部121が形成されており、凹部121の周りにはベース板110に封止材142(図2参照)を介して接合される接合面122が形成されている。凹部121には、圧電振動片130の引出電極132と導電性接着剤141(図2参照)を介して接合される接続電極123が形成されており、接続電極123は貫通電極124を介して実装端子125に電気的に接続されている。また−Y’軸側の面を第2面とすると、第2面には外部電極が形成されている。外部電極は、励振電極131及びプリント基板等の実装基板に電気的に接続される実装端子125と、圧電デバイス100に帯電した静電気等を除去するためのアース端子126と、を含んでいる。さらに第2面では、外部電極が形成される領域以外の領域の一部が第1面側(+Y’軸方向)に凹んで形成されている。以下では、この凹んだ領域を凹部127、凹んでいない領域を凸部128として説明する。
【0021】
リッド板110は、−Y’軸側の面に、ベース板120の接合面122に封止材142を介して接合される接合面112と、接合面112から+Y’軸側に凹んだ凹部111と、が形成されている。
【0022】
図2は、図1のA−A断面図である。図2では、圧電デバイス100が実装基板150に実装されている状態が示されている。圧電デバイス100は、ベース板120の凹部121に圧電振動片130が載置され、ベース板120の接合面122にリッド板110の接合面112が封止材142を介して接合されることにより形成されている。ベース板120の凹部121には接続電極123が形成されており、接続電極123と圧電振動片130の引出電極132とが導電性接着剤141により電気的に接合されている。また、ベース板120を貫通する貫通電極124は、接続電極123と実装端子125とを電気的に接続している。すなわち、圧電振動片130の励振電極131は、実装端子131に電気的に接続される。
【0023】
図2では、圧電デバイス100が実装基板150に実装されている状態が示されている。実装基板150の表面には、複数の配線電極が形成されている。以下では、圧電デバイスに電気的に接続される配線電極を第1配線電極151、圧電デバイスには電気的に接続されない電極を第2配線電極152として説明する。圧電デバイス100の外部電極は実装基板150の第1配線電極151にハンダ143を介して電気的に接続される。また、実装基板150上であり圧電デバイス100の−Y’軸側には、第2配線電極152が形成されている。実装基板では集積化等のために、実装基板150の第2配線電極152のように圧電デバイスに電気的に接続されない配線電極が圧電デバイスにY’軸方向に重なるように形成される場合がある。圧電デバイス100では、圧電振動片130の−Y軸側の面に形成される励振電極131と実装基板150上の第2配線電極152との間が高さH1に形成され、第2配線電極152と接続電極123との間が高さH2に形成されている。
【0024】
図3(a)は、ベース板120の平面図である。図3(a)には、ベース板120の第1面に形成される接続電極123、第2面に形成される実装端子125、及びアース端子126が示されている。また、参考として実装基板150に形成される第2配線電極152が示されている。ベース板120では、凸部128が第2面の四隅に形成されており、凸部128の−Y’軸側の面には、それぞれ外部電極が形成されている。ベース板120では、+X軸側の+Z’軸側及び−X軸側の−Z’軸側にアース端子126が形成され、+X軸側の−Z’軸側及び−X軸側の+Z’軸側に実装端子125が形成されている。またベース板120では、各外部電極が凹部127に直接接しないように、凹部127との間に間隔をあけて形成されている。これは、外部電極にハンダ143が第2面の凹部127に這い上がらないようにするためである。ベース板120では、図3(a)の一点鎖線で囲まれた領域161に示されるように、第2配線電極152と、接続電極124と、第2面の凹部127とがY’軸方向に重なるように形成されている。
【0025】
図3(b)は、図3(a)のB−B断面図である。ベース板120は、全体のY’軸方向の高さがHB1に形成されており、凸部128から+Y’軸側に凹んだ凹部127は、深さHB3に形成されている。また、凹部127と接続電極123との間の距離は長さHB4に形成されている。図3(b)の一点鎖線で囲まれた領域161は、図3(a)で示された領域161に対応している。接続電極123は、この領域161でベース板120がY’軸方向の長さがHB4に形成されている。
【0026】
圧電デバイスに形成される電極と、第2配線電極152とにより発生する浮遊容量は電極間の誘電率に比例する。すなわち、電極間の誘電率が低いときに発生する浮遊容量も低くなる。圧電デバイス100では、図2に示されるように、励振電極131及び接続電極123と、第2配線電極152との間に形成されるベース板120が薄く形成されている。一方、空気の比誘電率は1.0006であり、水晶及びガラスの基材である石英は3.5であり、セラミックとして用いられるアルミナは9.5である。すなわち、ベース板120の第2面に凹部127が形成され、第2配線電極152と、励振電極131又は接続電極123との間のベース板120が薄く形成されることにより、第2配線電極152と、励振電極131又は接続電極123との間の誘電率が下がるため、浮遊容量が低下する。すなわち、ベース板120の第2面と実装基板150との間は、比誘電率が小さい空気であることが好ましい。そのため、ベース板120の第2面と実装基板150との間には何も形成されずに、空隙であることが望ましい。
【0027】
また、ベース板120が水晶又はガラスで形成される場合には、+Y’軸側の凹部121及び−Y’軸側の凹部127はベース板120がエッチングされることにより形成される。そのため、図3(b)に示される高さHB2と高さHB3とが等しい場合、一度のエッチングで両方の凹部を形成することができるため好ましい。
【0028】
(第2実施形態)
ベース板の第2面に形成される凹部は、様々な形状に形成されることができる。以下に、ベース板の変形例について説明する。また、第1実施形態と同じ部分に関しては同じ記号を付してその説明を省略する。
【0029】
<ベース板220の構成>
図4(a)は、ベース板220の平面図である。図4(a)では、−Y’軸側の面(第2面)に形成される部分が点線で示され、+Y’軸側の面(第1面)に形成される部分が実線で示されている。また、ベース板220の第1面に形成されている接続電極123と、第2面に形成されている実装端子125及びアース端子126が示されている。さらに図4(a)では、実装基板150に形成される第2配線電極152が示されている。ベース板220の第2面では、第2面の中央が+Y’軸側に凹み、凹部227が形成されている。また、凸部228が凹部227の周りに形成されている。ベース板220では、接続電極123の一部と、第2配線電極152と、凹部227とが、一点鎖線で囲まれた領域162でY’軸方向に重なるように形成されている。
【0030】
図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。図4(b)では、図4(a)の領域162に相当する領域が一点鎖線で囲まれた領域162として示されている。この領域162では、接続電極123と、第2配線電極152と、凹部227とが、Y’軸方向に重なって形成されている。この領域162では、ベース板220の厚さがHB4と薄く形成されているため、ベース板120と同様に、第2配線電極152と、接続電極123との間の誘電率が下がるため、圧電デバイスに生じる浮遊容量が低下する。
【0031】
ベース板220は、励振電極131が配置されるベース板220の中央、及び接続電極123が形成される領域に凹部227が形成されている。そのため、接続電極131及び励振電極131と、第2配線電極152との間に発生する浮遊容量を低く抑えることができる。また、ベース板220は第2面に形成される凹部227の周りに凸部228が形成されていることにより、ベース板220の耐衝撃性を強く保つことができる。
【0032】
<ベース板320の構成>
図5(a)は、ベース板320の斜視図である。ベース板320は、+Y’軸側の面(第1面)に凹部121が形成され、凹部121の周りにはリッド板110に接合される接合面322が形成されている。また、ベース板320の−Y’軸側の面(第2面)の四隅には実装端子325又はアース端子326が形成されており、実装端子325又はアース端子326以外の領域の一部には+Y’軸方向に凹んだ凹部327が形成されている。ベース板320の四隅の側面にはキャスタレーション329が形成されており、キャスタレーション329には側面電極324が形成されている。凹部121及び接合面322に形成されている接続電極323はキャスタレーション329まで伸び、側面電極324に電気的に接続される。側面電極324は、実装端子325又はアース端子326に電気的に接続されている。
【0033】
図5(b)は、ベース板320の平面図である。図5(b)では、第1面に形成される接続電極323、第2面に形成される実装端子325、及びアース端子326が示されている。また、実装基板150に形成される第2配線電極152a及び第2配線電極152bが示されている。ベース板320に形成される接続電極323は、第1面の凹部121から接合面322を介してキャスタレーション329まで伸びている。ベース板320の第2面に形成される凹部327は、第1面に形成される接続電極323に沿って形成されている。すなわち、ベース板320の−X軸側の辺の中央から+Z’軸側に寄った位置から+X軸方向に伸び、導電性接着剤141が形成される位置で−Z’軸方向に伸び、ベース板320の−Z’軸側の接合面322で+X軸方向に伸びて形成されている。
【0034】
図6(a)は、図5(b)のD−D断面図である。ベース板320の凹部121には接続電極323が形成されている。この凹部121に形成されている接続電極323と第2配線電極152aとの間の距離は長さHA2に形成されている。また、接続電極323と、第2面の凹部327と、第2接続電極152aとは、Y’軸方向に重なって形成されている。
【0035】
図6(b)は、図5(b)のE−E断面図である。ベース板320では、接合面322にも接続電極323が形成されている。このときの接続電極323と第2配線電極152bとの間の距離を長さHA3とすると、長さHA3は長さHA2よりも長い。浮遊容量は、電極間の距離に反比例するため、電極間の距離が長くなれば、浮遊容量は小さくなる。また、第2面に形成される凹部327が接続電極323の−Y’軸側に形成されている。
【0036】
図6(c)は、図5(b)のF−F断面図である。接続電極323は接合面322の上を伸びてキャスタレーション329に形成されている側面電極324に電気的に接続されている。接続電極323が形成されている接合面322の第2面には、+Y’軸方向に凹んだ凹部327が形成されている。
【0037】
ベース板320では、接続電極323と、第2配線電極152a、152bと、凹部327とがY’軸方向に重なって形成されていることにより、圧電デバイスに発生する浮遊容量が低減されている。また、第2面に形成される凹部327を接続電極323の−Y’軸側のみに限定することによりベース板320の厚さが薄くなる領域が最小に抑えられ、ベース板320の耐衝撃性を強く保つことができる。また、接続電極323に沿って凹部327が形成されていることにより、第2配線電極がどのように配線されていても、第2配線電極と接続電極323と凹部327とがY’軸方向に重なることになる。そのため、第2配線電極の形状に依存せずに、圧電デバイスの浮遊容量を低減させることができる。
【0038】
(第3実施形態)
励振電極が形成される励振部の周りに枠部が形成された圧電振動片が用いられている圧電デバイス200について説明する。また、第1実施形態及び第2実施形態と同じ部分に関しては同じ記号を付してその説明を省略する。
【0039】
<圧電デバイス200の構成>
図7は、圧電デバイス200の分解斜視図である。圧電デバイス200は、リッド板110と、ベース板420と、圧電振動片430と、により構成されている。圧電振動片430は、励振電極434が形成されている励振部431と、励振部431の周りに形成されている枠部432と、励振部431と枠部432とを連結している連結部433と、により形成されている。励振電極434からは連結部433を通り枠部432の角部にまで引出電極435が引き出されている。また、励振部431と枠部432との間の連結部433以外の領域には圧電振動片430をY’軸方向に貫通する貫通溝436が形成されている。
【0040】
ベース板420は、+Y’軸側の面(第1面)に、凹部421と、凹部421を囲む接合面422と、が形成されている。ベース板420は接合面422を介して圧電振動片430の枠部432の−Y’軸側の面に接合される。ベース板420の−Y’軸側の面(第2面)の四隅には実装端子425又はアース端子426が形成されている。また、−Y’軸側の面の実装端子425及びアース端子426以外の領域の一部には、+Y’軸方向に凹んだ凹部427が形成されている。さらに、ベース板420の四隅の側面にはキャスタレーション429が形成されている。接合面422上であり、+X軸側の+Z’軸側、及び−X軸側の−Z’軸側のキャスタレーション429の周りには引出電極435に電気的に接続される接続電極423が形成されている。キャスタレーション429には側面電極424が形成されており側面電極424は接続電極423と実装端子425とを電気的に接続している。
【0041】
リッド板110は圧電振動片430の+Y’軸側に配置されて、圧電振動片430の枠部432の+Y’軸側の面と接合面112とが接合される。
【0042】
図8(a)は、図7のG−G断面図である。図8(a)では、圧電デバイス200の断面図とともに、実装基板150が示されている。圧電振動片430の−Y’軸側にはベース板420が配置され、圧電振動片430の枠部432の−Y’軸側の面とベース板420の接合面422とが封止材142を介して接合されている。また、ベース板420の接続電極423と引出電極435とが電気的に接続されている。圧電振動片430の枠部432の+Y’軸側の面にはリッド板110の接合面112が封止材142を介して接合されている。
【0043】
圧電振動片420の励振電極434は、引出電極435、接続電極423、及び側面電極424を介して実装端子425に電気的に接続されている。実装端子425はハンダを介して実装基板150に形成されている第1配線電極151に電気的に接続される。ベース板420の第1面及び第2面にはそれぞれ凹部が形成されている。また、実装基板150に形成されている第2配線電極152と−Y’軸側の面に形成されている励振電極434との距離は、長さHA4に形成されている。
【0044】
図8(b)は、圧電振動片430の平面図である。圧電振動片430は、励振電極434が形成される励振部431と、励振部431の周りに形成される枠部432と、励振部431と枠部432とを連結する連結部433と、により形成されている。連結部433は、励振部431の−X軸側の辺の+Z’軸側及び−Z’軸側の端にそれぞれ連結されており、そこから−X軸方向に伸びて枠部432に連結されている。励振部431は、励振電極434が形成されているメサ領域431bと、メサ領域431bの周囲に形成されている周辺領域431aと、により構成されている。メサ領域431bは、周辺領域431aから+Y’軸方向及び−Y’軸方向に突き出て形成されている。+Y’軸側に形成されている励振電極434からは、−Z’軸側の連結部433の+Y’軸側の面、−Z’軸側の側面、及び−Y’軸側の面を介して枠部432の−X軸側の−Z’軸側の角部にまで引出電極435が引き出されている。また、−Y’軸側に形成されている励振電極434からは、+Z’軸側の連結部433を介して枠部432の+X軸側の+Z’軸側の角部にまで引出電極435が引き出されている。
【0045】
図9(a)は、ベース板430の平面図である。図9(a)では、ベース板430の第2面に形成されている実装端子425及びアース端子426が示されている。また、圧電振動片130の−Y’軸側の面に形成される励振電極434、引出電極435、及び実装基板150に形成される第2配線電極152が示されている。ベース板430の第2面の四隅には凸部428が形成され、凸部428には実装端子425又はアース端子426が形成される。また、第2面の凸部428以外の領域には凹部427が形成されている。そのため圧電デバイス200では、励振電極434又は引出電極435と、ベース板430の第2面の凹部427と、第2配線電極152とがY’軸方向に重なって形成されている。
【0046】
図9(b)は、図7のH−H断面図である。圧電デバイス200では、圧電振動片430の励振電極434及び引出電極435とベース板420の第2面の凹部427とは互いにY’軸方向に重なっている。そのため、圧電デバイス200では励振電極434及び引出電極435と、実装基板150の第2配線電極152との間のベース板420の厚さが薄く形成され、浮遊容量が低減されている。
【0047】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0048】
例えば、上記の実施形態では圧電振動片がATカットの水晶振動片である場合を示したが、同じように厚みすべりモードで振動するBTカットなどであっても同様に適用できる。さらに圧電振動片は水晶のみならず、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムあるいは圧電セラミックを含む圧電材に基本的に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
100、200 … 圧電デバイス
110 … リッド板
111、121、127、227、327、427 … 凹部
112、122、322、422 … 接合面
120、220、320、420 … ベース板
123、323、423 … 接続電極
124 … 貫通電極
125、325、425 … 実装端子
126、326、426 … アース端子
128、228 … 凸部
130、430 … 圧電振動片
131、434 … 励振電極
132、435 … 引出電極
141 … 導電性接着剤
142 … 封止材
143 … ハンダ
150 … 実装基板
151 … 第1配線電極
152、152a、152b … 第2配線電極
324、424 … 側面電極
329、429 … キャスタレーション
431 … 励振部
431a … メサ領域
431b … 周辺領域
432 … 枠部
433 … 連結部
436 … 貫通溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板に実装される圧電デバイスであって、
励振電極及び該励振電極から引き出された引出電極を有する圧電振動片と、
前記圧電振動片を載置する第1面と、前記第1面の反対側で外部電極を有する第2面とを有する絶縁性の材料からなるベース板と、を備え、
前記第2面の前記外部電極を除く領域の少なくとも一部が前記第1面側に凹み、前記圧電デバイスが前記実装基板に実装された際に、前記実装基板に対して前記第2面側に空隙が形成される圧電デバイス。
【請求項2】
前記第1面には前記引出電極と前記外部電極とを電気的に接続する配線電極が形成され、
前記第1面側に凹んだ前記第2面が、前記励振電極又は前記配線電極と、前記実装基板との間の少なくとも一部に形成されている請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記ベース板の前記第1面は、前記圧電振動片が載置され前記第2面側に凹む凹部を含み、
前記凹部の深さと前記第1面側に凹んだ前記第2面の深さとが等しい請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記圧電振動片は、前記励振電極が形成される励振部と、前記励振部の周りに形成される枠部と、を含み、
前記枠部と前記第1面とが接合される請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記枠部には前記引出電極が形成され、前記第1面側に凹んだ前記第2面が、前記励振電極又は前記枠部に形成される前記引出電極と、前記実装基板と、の間の少なくとも一部に形成されている請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記ベース板の前記第1面は、前記枠部に接合される接合面と、前記接合面から前記第2面側に凹んだ凹部と、を含み、
前記凹部の深さと前記第1面側に凹んだ前記第2面の深さとが等しい請求項4又は請求項5に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記ベース板はガラス又は圧電材である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧電デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−66109(P2013−66109A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204510(P2011−204510)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】