説明

圧電ポンプを採用した流体噴霧器

電気動力式の流体噴霧器は、入口ポートと、出口ポートと、ポンプ・チャンバと、圧電要素に掛けられた電気信号により変形および変位することでポンプ・チャンバの容積を変化させる圧電要素と、を含む圧電式流体ポンプを採用する。かかる変位によれば、入口ポート内へ且つポンプ・チャンバ内へと流体が圧送されると共に、ポンプ・チャンバからの流体は出口ポートから送出される。入口ポートは流体貯蔵器と流通する。圧電式流体噴霧器は、(例えば液体および空気などの)異なる流体を圧送する二重チャンバ式圧電ポンプを含む。二重チャンバ式ポンプから送出される流体は、マニフォルド内で混合されて噴射ノズルの下流へと供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広範囲には、電気動力式流体ポンプに関する。より詳細には本発明は、噴霧ヘッド内に収容される電気動力式流体ポンプであって既存のポンプ噴霧用容器に取付け可能な電気動力式流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの家庭用および工業用薬剤は、噴霧器を含む容器内に収容して販売される。これらの薬剤としては、洗剤、殺虫剤、研磨剤、ワックスなどが挙げられる。これらの薬剤と共に使用される幾つかの種類の噴霧器がある。最も一般的なものはおそらく、液体洗剤に関して最も頻繁に見られる押しボタンまたは引き金により操作されるポンプである。それは環境に優しい利点を有するが、連続的噴霧では無く一連の脈動で流体を吐出する不都合を有する。
【0003】
公知の別の噴霧器は、シールされると共に気体推進剤が充填されたエーロゾル缶である。この噴霧器は流体を連続的噴霧で送出する利点を有するが、幾つかの不都合を有する。ひとつの不都合は、缶を再充填することができないことである。別の不都合は、容器を充填して使用する気体次第で、環境に優しくない可能性があることである。更に、環境に優しい推進剤は、優しくない気体ほど推進力が無い。
【0004】
更に別の一般的な噴霧器は、殺虫剤および液状園芸用薬剤において最も頻繁に見られる空気ポンプ噴霧器である。ポンプ噴霧器は、容器に圧縮空気を充填して使用される手動空気ポンプを含む。それが充填された後、それはエーロゾル缶同様に作動する。ポンプ噴霧器は環境に優しいが噴霧器の充填状態を維持するために多くの作業を必要とする。と言うのも、空気は、FREON(登録商標)または炭化水素気体のような環境に優しくない気体ほど推進剤として効率的ではないからである。
【0005】
最近、電気動力式ポンプ噴霧器による幾つかの実験が行われた。これらのデバイスのほとんどは噴霧機構を含み、噴霧機構は、多用される押しボタン(または引き金)ポンプ噴霧器と同様であるが、バッテリ動力式電気モータの回転動作を振動運動に変換してポンプ・ピストンを駆動するリンク機構によりバッテリ動力式電気モータに連結されている。これらのバッテリ作動式ポンプ噴霧器の多くは、特別に構成されたボトルによってのみ作動すべく設計され、すなわち、それらは既存のポンプ噴霧器用ボトルに取付けできない。それらはまた電気モータの重量およびコストの故に、高重量で高価であると共に、電力消費効率が不十分(かつバッテリ寿命が短い)である。これらのバッテリ動力式ポンプの多くはまた大きな呼び水用容積を有することから、ポンプが起動される時点と、液体が供給され始める時点との間に遅延が引き起こされる。重要な点として、これらのポンプは実際には一定の噴霧を提供しない。それらは、手動噴霧ポンプにおいて押しボタンの引き金を反復的に引くことにより得られるのと同様な連続的脈動噴霧を提供するのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
故に本発明の目的は、既存のポンプ噴霧器用ボトルに容易に接続することができる電気動力式ポンプ噴霧器用ヘッドを提供するにある。
【0007】
本発明の別の目的は、優れた電力消費効率を有すると共に低コストで低重量の電気動力式ポンプ噴霧器を提供するにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、ポンプの作動時に好適には自動呼び水をする( self−priming )小さな呼び水用容積( priming volume )を有する電気動力式噴霧器を提供するにある。
【0009】
また、噴射ノズルから実質的に一定の噴霧を提供する電気動力式噴霧器を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下において詳細に論じるこれらの目的によれば、電気動力式の流体噴霧器は、入口ポートと、出口ポートと、ポンプ・チャンバと、圧電要素に供給された電気信号により変形および変位することでポンプ・チャンバの容積を変化させる圧電要素とを含む圧電式流体ポンプを採用する。かかる変位によれば、入口ポート内へ且つポンプ・チャンバ内へと流体が圧送されると共に、ポンプ・チャンバからの流体は出口ポートから送出される。入口ポートは流体貯蔵器と流通している。流体ポンプの出口ポートの下流および噴射ノズルの上流には、旋回機構が配設される。
【0011】
本発明の電気動力式噴霧器は、既存のポンプ噴霧器用ボトルに容易に接続することができる。噴霧器はまた、優れた電力消費効率を有すると共に、低コストで低重量でもある。噴霧器はまた、ポンプの作動時に好ましい自動呼び水をする小さな呼び水用容積を有するように容易にできる。噴霧器はまた、噴射ノズルから実質的に一定の噴霧を提供するように容易にできる。
【0012】
本発明の一実施例に依れば、ポンプの圧電要素は圧電ダイヤフラムから成る。
【0013】
本発明の別実施例に依れば、圧電要素はバッテリ動力式の回路により駆動される。
【0014】
本発明の別実施例に依れば、電気動力式の流体噴霧器の各要素は引き金を備えた手に持つことができるハウジング内に支持され、且つ、圧電要素は引き金を押圧するユーザにより起動される。
【0015】
本発明の別の形態において、電気動力式の流体噴霧器は、第1入口ポートと、第1出口ポートと、第1ポンプ・チャンバと、第2入口ポートと、第2出口ポートと、第2ポンプ・チャンバと、少なくとも一個の圧電要素に供給された電気信号により変形および変位することで第1および第2ポンプ・チャンバの容積を変化させる少なくとも一個の圧電要素とを含む二重チャンバ型圧電式流体ポンプを採用する。かかる変位によれば、第1流体は第1入口ポート内へ且つ第1ポンプ・チャンバ内へと圧送され、且つ、第1ポンプ・チャンバからの流体は第1出口ポートから送出される。かかる変位によればまた、第2流体は第2入口ポート内へ且つ第2ポンプ・チャンバ内へと圧送され、且つ、第2ポンプ・チャンバからの流体は第2出口ポートから送出される。入口ポートは各々、別体の流体貯蔵器と流通する(または、一方は流体貯蔵器と流通し且つ他方は周囲空気と流通することも可能である)。流体ポンプの第1および第2出口ポートの下流かつ噴射ノズルの上流には混合マニフォルドが配設される。混合マニフォルドは、ポンプの第1および第2出口ポートから送出された第1および第2流体を混合することができる。噴射ノズルの上流には旋回機構が配設されても良い。
【0016】
本発明の一実施例に依れば、第1および第2ポンプ・チャンバは一つの圧電要素の両側に各々配設される。
【0017】
本発明の別実施例に依れば、第1および第2ポンプ・チャンバは各々、別体で独立した圧電要素を含む。
【0018】
当業者であれば、提供された図面と共に詳細な説明を参照することで本発明の2次的な目的および利点は明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1Aおよび図1Bを参照すると、本発明に係るバッテリ作動式噴霧ヘッド10は、3個の部材、すなわち左側部材12A、右側部材12Bおよび頂部カバー12Cを備えた人間工学的ハウジング12を含んでいる。左側および右側部材12A、12Bは、リテイナ14Aと蓋体14Bとを有するボトル用二部材式ねじ継手14を支持する。ハウジング12は、噴射ノズル16および引き金18を露出している。ハウジング12の左側および右側部材12A、12Bは、ユーザが引き金18を引くときにユーザの手により快適に把持することができる形状で、継手14の周囲を伸びている。組立てられたときにハウジング12の内側には、電力源22(バッテリ22Aおよび接点22B)、二重チャンバ型圧電式液体/空気ポンプ24、混合マニフォルド26、および、オプションの旋回機構28が取付けられる。引き金18は、引かれたときに通気バルブ30および電気スィッチ32を作動させる様に配置される。示されたようにスプリング30Bおよび二部材式ピストン・バルブ部材30Cを収容する円筒体30Aにより好適に実現されるバルブ30は、バルブ30内への(不図示の)通気開口と、バルブ本体30Aから継手14まで伸びる通気通路34とを介して、大気からボトルの内部までの空気経路を選択的に開く。電気スィッチ32は選択的に電力源22を圧電式液体/空気ポンプ24に連結することでポンプ24を以下に記述されるように駆動する。通気バルブ30およびスィッチ32の操作は、ポンプ24を起動するときの同時的作動または順次的作動のために引き金18にリンクされる。頂部カバー12Cは、好適には、必要に応じてバッテリ22Aを交換するためにバッテリ22Aにアクセスするためにユーザにより取り外すことができる。
【0020】
リテイナ14Aは、使用中にリテイナ14Aを貫通してボトル(不図示)の内部へと通気通路36を終端させる通気ポート(不図示)を含む。通気バルブ30の通気通路34はリテイナ14Aの通気ポートと合致することで、使用中に通気バルブ30とボトルの内部との間に流通を提供する。リテイナ14Aはまた、リテイナを通る液体供給通路38を終端させる液体供給ポート(不図示)も含む。また公知の如く、液体供給通路38からボトルの内部へと浸漬管(不図示)が伸びている。ポンプ24の液体入口ポート47はリテイナ14Aの液体供給ポートと合致することで、使用中に液体入口ポート47とボトルの内部との流通を提供することによりポンプに液体を供給する。ボトルは、(洗剤、殺虫剤、および、他の園芸用液体薬剤、研磨剤、ワックスのような)多数の家庭用および工業用の液体薬剤、パーソナルケア薬剤、または、他の液体薬剤の内の任意の薬剤を保持することができる。
【0021】
二重チャンバ型圧電式液体/空気ポンプ24は、液体入口ポート47、液体出口ポート49、(図1Aには示されないが図2に示されるポンプの下側面を通る通路により実現する)空気入口ポート51、および、空気出口ポート53を含む。液体出口ポート49は混合マニフォルド26の一方の脚部26Aと流通する一方、空気出口ポート53は混合マニフォルド26の他方の脚部26Bと流通する。ポンプ24の空気入口ポート51は、大気に対する空気経路を提供する。
【0022】
以下において詳細に記述するようにポンプ24は、液体入口ポート47および液体出口ポート49と流通する液体ポンプ・チャンバ、ならびに、空気入口ポート51および空気出口ポート53と流通する空気ポンプ・チャンバを含む。一個以上の圧電ダイヤフラムに印加される電気信号に反応して圧電ダイヤフラムが変形かつ変位することで、液体ポンプ・チャンバおよび空気ポンプ・チャンバの容積を変化させる。圧電ダイヤフラムを駆動する電気信号は、好適にはポンプ24の一部として一体化された駆動回路であってスィッチ32を介して電力源22に対し有線もしくは無線式のいずれかで結合された駆動回路により発生する。かかる変位によれば液体は、液体入口ポート47内へ且つ液体ポンプ・チャンバ内へと吸引され、次に液体出口ポート49から送出される。変位によれば、空気もまた空気入口ポート51内へ且つ空気ポンプ・チャンバ内へと吸引され、次に空気出口ポート53から送出される。
【0023】
先に記述されたように液体出口ポート49および空気出口ポート53は混合マニフォルド26の各々の脚部26A、26Bと流通し、混合マニフォルド26は、液体出口ポート49および空気出口ポート53から送出された液体および空気の流れを移送して流体または気体状の混合物を生成すべく構成される。例えば液体および空気は、流体の粒子サイズを減少し且つ/又は流体の泡を生成するために空気が流体内に捕捉される様に混合することができる。
【0024】
混合マニフォルド26はまた、混合チャンバ27の下流に作用可能に配設されたオプションの旋回機構28および噴射ノズル16も支持する。旋回機構28は、ノズル16から送出され旋回機構を通る流体に対して旋回を付与する。噴射ノズル16は、好適には、液体噴霧器の分野において公知である様にノズル16を回転することにより、ユーザが種々の噴霧パターンを選択することを許容し、流路を開閉することができる様にされる。
【0025】
図2の好適実施例に示される様に二重チャンバ型圧電式液体/空気ポンプ24は、第1シール部材75(例えばOリング)および第2シール部材77(例えばシール・ワッシャ)により支持された圧電ダイヤフラム73を収容するポンプ本体71を含む。ポンプ本体71、圧電ダイヤフラム73および各支持要素は、正方形、矩形または環状とすることができると共に、好適には25〜100mm程度の最大寸法を有する。圧電ダイヤフラム73は、示された様に空気接触表面81の反対側に配設された液体接触表面79を有する。本体の下部71Aおよび液体接触表面79は、液体ポンプ・チャンバ83を区画形成する。一方、本体の上部71Bおよび空気接触表面81は、空気ポンプ・チャンバ85を区画形成する。液体入口ポート47と液体ポンプ・チャンバ83との間には液体入口逆止弁87が作用可能に配設される。液体ポンプ・チャンバ83と液体出口ポート49との間には液体出口逆止弁89が作用可能に配設される。同様に、空気入口ポート91と空気ポンプ・チャンバ85との間には空気入口逆止弁91が作用可能に配設される。空気ポンプ・チャンバ85と空気出口ポート53との間には空気出口逆止弁93が作用可能に配設される。
【0026】
電力源22に対しては電気スィッチ32を介して駆動回路95が作用可能に連結される。駆動回路95は、圧電ダイヤフラムが振動様式で変形かつ変位することにより液体ポンプ・チャンバ83および空気ポンプ・チャンバ85のサイズを各々変化させる様に、時間とともに変化する電気信号を圧電ダイヤフラムに付与する。液体吸入ストローク(液体入口ポート47および液体出口ポート49からダイヤフラム77が離間する変位)中に、ダイヤフラム77は液体入口ポート47内へ且つ液体ポンプ・チャンバ83内へと液体を吸引する。液体の送出ストローク(液体入口ポート47および液体出口ポート49に向かうダイヤフラム77の変位)中に、ダイヤフラム77は流体ポンプ・チャンバ83からの液体を液体出口ポート49から送出する。(液体送出ストロークに対応する)空気吸入ストローク中に、ダイヤフラム77は空気入口ポート51内へ且つ空気ポンプ・チャンバ85内へと空気を吸引する。(液体吸入ストロークに対応する)空気送出ストローク中に、ダイヤフラム77は空気ポンプ・チャンバ85からの空気を空気出口ポート53から送出する。
【0027】
圧電ダイヤフラム77は好適には、平坦もしくはドーム形状である自然な形状により、且つ、言及したことによりその開示内容が本明細書中に援用される国際特許出願公報WO2004/084274号に示された様な多結晶質の強誘電材料で形成される。この例示的実施例において圧電ダイヤフラム77は、WO2004/084274号に示されたような正弦波もしくは方形波の交流により駆動することができる。(ダイヤフラムに印加されるAC駆動信号の振動の周波数に対応する)ポンプ周波数は仕様に基づいて変更することができるが、好適には20kHzより相当に小さく、最も好適には35Hzと約85Hzとの間である。かかる周波数は、噴射ノズルを介して送出される実質的に連続的な噴霧を形成する。
【0028】
図3に示された別の実施例において二重チャンバ型圧電式液体/空気ポンプ24は、第1および第2圧電ダイヤフラム103、105を収容するポンプ本体101を含む。第1圧電ダイヤフラム103は、シール部材107(例えばOリング)およびシール部材109(例えばシール・ワッシャ)により支持される。第2圧電ダイヤフラム105は、シール部材111(例えばOリング)およびシール部材113(例えばシール・ワッシャ)により支持される。第1圧電ダイヤフラム103は、示された様に後部通気表面117の反対側に配設された液体接触表面115を有する。第2圧電ダイヤフラム105は、示された様に後部通気表面121の反対側に配設された空気接触表面119を有する。本体の下部101Aおよび第1圧電ダイヤフラム103の液体接触表面115は液体ポンプ・チャンバ123を区画形成する。一方、本体の上部101Bおよび第2圧電ダイヤフラム105の空気接触表面119は空気ポンプ・チャンバ125を区画形成する。後部通気表面117および121および内部本体壁部101Cは、示された様に通路137Aおよび137Bにより大気に連通された通気チャンバ135A、135Bを区画形成する。液体入口ポート47と液体ポンプ・チャンバ83との間には、液体入口逆止弁87が作用可能に配設される。液体ポンプ・チャンバ123と液体出口ポート49との間には、流体出口逆止弁89が作用可能に配設される。同様に、空気入口ポート91と空気ポンプ・チャンバ125との間には、空気入口逆止弁91が作用可能に配設される。空気ポンプ・チャンバ125と空気出口ポート93との間には、空気出口逆止弁93が作用可能に配設される。
【0029】
電力源22に対しては電気スィッチ32を介して駆動回路123が作用可能に連結される。駆動回路123は、圧電ダイヤフラム103、105が振動様式で変形かつ変位することにより液体ポンプ・チャンバ123および空気ポンプ・チャンバ125のサイズを各々変化させる様に、時間とともに変化する電気信号を圧電ダイヤフラムに付与する。液体吸入ストローク(液体入口ポート47および液体出口ポート49から第1圧電ダイヤフラム103が離間する変位)中に、第1圧電ダイヤフラム103は液体入口ポート47内へ且つ液体ポンプ・チャンバ123内へと液体を吸引する。液体の送出ストローク(液体入口ポート47および液体出口ポート49に向かう第1圧電ダイヤフラム103の変位)中に、第1圧電ダイヤフラム103は流体ポンプ・チャンバ123からの液体を液体出口ポート49から送出する。(好適には液体送出ストロークと同期する)空気吸入ストローク中に、第2圧電ダイヤフラム105は空気入口ポート51内へ且つ空気ポンプ・チャンバ125内へと空気を吸引する。(好適には液体吸入ストロークと同期する)空気送出ストローク中に、第2圧電ダイヤフラム105は空気ポンプ・チャンバ125からの空気を空気出口ポート53から送出する。
【0030】
圧電ダイヤフラム103、105は好適には、平坦もしくはドーム形状である自然な形状により、且つ、WO2004/084274号に示された様な多結晶質の強誘電材料で形成される。この例示的実施例において圧電ダイヤフラム103、105は、WO2004/084274号に示されたような正弦波もしくは方形波の交流により駆動することができる。(ダイヤフラムに印加されるAC駆動信号の振動の周波数に対応する)ポンプ周波数は仕様に基づいて変更することができるが、好適には20kHzより相当に小さく、最も好適には35Hzと約85Hzとの間である。
【0031】
液体入口および出口逆止弁87、89ならびに空気入口および出口逆止弁91、93は好適には、液体噴霧器の分野において公知の様に通路を通る流通を選択的に遮断する撓曲可能なディスク形状部材である。好適実施例においてかかる逆止弁は、管状の通路の軸心に対して45°で形成された管状通路の端部と同一のサイズおよび形状の楕円形ディスクにより実現することができる。入口および出口逆止弁は、絶対的に最小限の体積を有する。更に、かかる逆止弁の質量は、それらが単一もしくは複数の圧電ダイヤフラムの作動に迅速に反応する様に最小化される。かかるバルブは好適には各々のポンプ・チャンバ83、85が自動呼び水をすることを許容する、と言うのも、チャンバの各々に対して2個のバルブを各々採用すると各々のチャンバ内へと流体を吸引するために十分な真空を生成することができるからである。フラッパ・バルブまたはスプリング付勢式ボール・バルブなどの他の小寸の逆止弁も使用することができる。別の実施例においては、システムの出口逆止弁は省略されても良い。
【0032】
本明細書においては、二重チャンバ式の圧電ポンプ・チャンバを採用した流体噴霧器の幾つかの実施例が記述かつ図示された。本発明の特定実施例が記述されたが本発明がそれに限定されることは意図されない。と言うのも、本発明は当業界が許容するのと同じほど有効範囲が広範であり且つ本明細書は同様に解釈されるからである。故に、混合マニフォルドにおける下流混合のために液体および空気を圧送する別々の圧電ポンプ・チャンバが開示されたが、別々のチャンバは下流混合および供給のために(気体を含む)任意の組合せの流体を圧送するために使用することができる。更に、手動で起動可能な通気機構が開示されたが、他の通気機構も使用することができることは理解される。例えば、吸引された液体の貯蔵器を通気する目的で液体貯蔵器と連通する‘静的’バルブが配備されることができる。‘静的’通気は、液体貯蔵器から液体を圧送した結果として貯蔵器内に発生する負圧により起動される。これに加え、特定の形式、形状および構成の圧電アクチュエータが開示されたが、他の形式、形状および構成が使用されることができることは理解される。更に、システムに対しては付加的な電気動力式構成要素が一体化されることができる。例えば、ポンプの下流の流体経路内にはバッテリ動力式の圧電噴霧化要素が載置されることができる。噴霧化要素は、自身に対して方向付けられた流体を噴霧化する様式で典型的には超音波周波数で振動する様に駆動される。更に、ボトルに取付けられた携帯式の液体噴霧器デバイスに関して特定の構成が開示されたが、他の構成も使用することができることは理解される。例えば本明細書に記述された二重チャンバ式ポンプ・システムは、多様な、ボトルに取付けられた携帯式の(首掛けハンドルを備えたまたは備えない)液体噴霧器ヘッド、遠隔噴霧器構成、および、(床部、テーブル頂部または壁部上に取付けることができる芳香噴霧器のような)静止的デバイスにおいて使用することができる。更に別の実施例においては、液体などの流体を圧送するために、流体噴霧器ヘッドの一部として圧電起動式の単一のポンプ・チャンバ設計態様を使用することができる。更に他の実施例においては、本明細書に記述された流体噴霧システムの圧電要素を駆動するために商用電源式の変圧器などの交流電源を使用することができる。故に当業者であれば、提供された発明に対しては、その思想および権利請求された有効範囲から逸脱せずに更に別の改変が為されることができることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】本発明の噴霧ヘッドの分解図である。
【図1B】本発明の噴霧ヘッドの断面図である。
【図2】本発明の圧電式流体/空気ポンプの第1実施例の断面図である。
【図3】本発明の圧電式流体/空気ポンプの第2実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 バッテリ作動式噴霧ヘッド
12 人間工学的ハウジング
12A 左側部材
12B 右側部材
12C 頂部カバー
14 ボトル用二部材式ねじ継手
14A リテイナ
14B 蓋体
16 噴射ノズル
18 引き金
22 電力源
22A バッテリ
22B 接点
24 二重チャンバ型圧電式液体/空気ポンプ
26 混合マニフォルド
26A、26B 脚部
27 混合チャンバ
28 旋回機構
30 通気バルブ
30A 円筒体/バルブ本体
30B スプリング
30C 二部材式ピストン・バルブ部材
32 電気スィッチ
34 通気通路
36 通気通路
38 液体供給通路
47 液体入口ポート
49 液体出口ポート
51 空気入口ポート
53 空気出口ポート
71 ポンプ本体
71A 下部
71B 上部
73 圧電ダイヤフラム
75 第1シール部材
77 第2シール部材
79 液体接触表面
81 空気接触表面
83 流体ポンプ・チャンバ/液体ポンプ・チャンバ
85 空気ポンプ・チャンバ
87 液体入口逆止弁
89 液体出口逆止弁/流体出口逆止弁
91 空気入口逆止弁
93 空気出口逆止弁
95 駆動回路
101 ポンプ本体
101A 下部
101B 上部
101C 内部本体壁部
103 第1圧電ダイヤフラム
105 第2圧電ダイヤフラム
107、109、111、113 シール部材
115 液体接触表面
117 後部通気表面
119 空気接触表面
120 頂部カバー
121 後部通気表面
123 駆動回路
125 空気ポンプ・チャンバ
133 液体ポンプ・チャンバ
135A、135B 通気チャンバ
137A、137B 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口ポートと、出口ポートと、ポンプ・チャンバと、圧電要素と、を含む流体ポンプと、
前記入口ポート内へ且つ前記ポンプ・チャンバ内へと流体を圧送すると共に前記ポンプ・チャンバからの流体を前記出口ポートから送出するために前記圧電要素が変形されて前記ポンプ・チャンバの容積を変化させる様に前記圧電要素に連結された駆動回路と、
該駆動回路に連結されると共に少なくとも一個のバッテリを備える電力源と、
前記駆動回路を選択的に起動することにより圧電要素の変形および変位を選択的に制御する電気スィッチと、
前記流体ポンプの前記出口ポートの下流に配設された旋回機構と、
該旋回機構に連結された噴射ノズルと、を備え、
前記ポンプ、前記噴射ノズル、前記旋回機構、少なくとも一個の前記バッテリ、前記電気スィッチおよび前記駆動回路は、流体噴霧器により送出される液体流体の貯蔵器と着脱自在に係合する継手を支持する、手に持つことができるハウジング内に支持される、電気作動式流体噴霧器。
【請求項2】
前記圧電要素は圧電ダイヤフラムから成る、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項3】
前記電気スィッチを手動で起動する引き金を更に備える、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項4】
前記継手は、貫通する、液体供給通路と通気通路を含む、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項5】
前記ポンプの前記入口ポートと流通する前記貯蔵器を選択的に通気する通気手段を更に備え、
該通気手段は前記引き金の操作により手動で起動される、請求項3記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項6】
前記ポンプの前記入口ポートと流通する前記貯蔵器を選択的に通気する通気手段を更に備える、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項7】
第1入口ポートと、第1出口ポートと、第1ポンプ・チャンバと、第2入口ポートと、第2出口ポートと、第2ポンプ・チャンバと、少なくとも一個の圧電要素と、を含む流体ポンプと、
前記第1入口ポート内へ且つ前記第1ポンプ・チャンバ内へと第1流体を圧送すると共に前記第1ポンプ・チャンバからの流体を前記第1出口ポートから送出するために、且つ、前記第2入口ポート内へ且つ前記第2ポンプ・チャンバ内へと第2流体を圧送すると共に前記第2ポンプ・チャンバからの流体を前記第2出口ポートから送出するために、少なくとも一個の圧電要素が変形されて第1および第2ポンプ・チャンバの容積を変化させる様に少なくとも一個の前記圧電要素に連結された駆動回路と、
前記流体ポンプの前記第1および第2出口ポートの下流に配設された混合マニフォルドであって、前記ポンプの前記第1および第2出口ポートから送出された前記第1および第2流体を混合することができる混合マニフォルドと、
該混合マニフォルドの下流に連結された噴射ノズルとを備える、電気作動式流体噴霧器。
【請求項8】
前記噴射ノズルの上流に配設された旋回機構を更に備える、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項9】
前記第1ポンプ・チャンバおよび前記第2ポンプ・チャンバは一つの前記圧電要素の両側に各々配設される、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項10】
前記第1ポンプ・チャンバおよび前記第2ポンプ・チャンバは各々、別体で独立した前記圧電要素を含む、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項11】
少なくとも一個の前記圧電要素は圧電ダイヤフラムから成る、請求項17記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項12】
電力源と、
前記駆動回路を選択的に起動することにより少なくとも一個の前記圧電要素の変形を選択的に制御する電気スィッチとを更に備える、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項13】
前記電気スィッチを手動で起動する引き金を更に備える、請求項12記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項14】
前記電力源は少なくとも一個のバッテリを備える、請求項12記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項15】
前記ポンプ、前記噴射ノズル、前記混合マニフォルド、少なくとも一個の前記バッテリ、前記電気スィッチおよび前記駆動回路は手に持つことができるハウジング内に支持される、請求項14記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項16】
手に持つことができる前記ハウジングは、前記流体噴霧器により送出される液体流体の貯蔵器に着脱自在に接続される継手を支持する、請求項15記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項17】
前記第1流体は液体から成り且つ前記第2流体は気体から成る、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項18】
前記気体は空気から成る、請求項17記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項19】
前記継手は、貫通する、液体供給通路と通気通路を含む、請求項18記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項20】
前記貯蔵器を選択的に通気する通気手段を更に備え、
該通気手段は、前記駆動回路を選択的に起動する電気スィッチを起動する引き金の操作により手動で起動される、請求項19記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項21】
前記ポンプ・チャンバの近傍に配設された入口逆止弁要素を更に備える、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項22】
前記入口逆止弁要素は撓曲可能な弾性部材から成る、請求項21記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項23】
前記ポンプ・チャンバの近傍に配設された出口逆止弁要素を更に備える、請求項21記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項24】
前記出口逆止弁要素は撓曲可能な弾性部材から成る、請求項23記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項25】
前記第1ポンプ・チャンバの近傍に配設された第1入口逆止弁要素と、前記第2ポンプ・チャンバの近傍に配設された第2入口逆止弁要素とを更に備える、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項26】
前記第1および第2入口逆止弁要素は各々が撓曲可能な弾性部材から成る、請求項25記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項27】
前記第1ポンプ・チャンバの近傍に配設された第1出口逆止弁要素と、前記第2ポンプ・チャンバの近傍に配設された第2出口逆止弁要素とを更に備える、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項28】
前記第1および第2出口逆止弁要素は各々が撓曲可能な弾性部材から成る、請求項27記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項29】
前記駆動回路は20kHz未満の周波数を有するAC駆動信号を印加する、請求項1記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項30】
前記周波数は35Hzと85Hzとの間である、請求項29記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項31】
前記駆動回路は20kHz未満の周波数を有するAC駆動信号を印加する、請求項7記載の電気作動式流体噴霧器。
【請求項32】
前記周波数は35Hzと85Hzとの間である、請求項31記載の電気作動式流体噴霧器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−518779(P2008−518779A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540396(P2007−540396)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/039622
【国際公開番号】WO2006/052588
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(505436254)サン−ゴバン カルマー,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】