説明

地図出力方法及び地図出力装置

【課題】患者宅の訪問の効率化に寄与すること。
【解決手段】患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力方法であって、複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得し、前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する処理をコンピュータが実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図出力方法及び地図出力装置に関し、特に電子地図を出力する地図出力方法及び地図出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等を介して提供される電子地図の機能が充実している。例えば、コンピュータによって表示される地図やナビゲーション装置により表示されている地図等の上に、地点情報を表示させる情報処理装置が下記特許文献1乃至3に記載されている。また、POI(Point of Interest)アイコンが重なる場合、あるいはPOIアイコンが密集する場合、1つの代表アイコン(マルチプルアイコン)Mを表示する技術が特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−105357号公報
【特許文献2】特開2008−165072号公報
【特許文献3】特開2002−340588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子地図を用いて、患者宅の位置や患者の情報等を表示させることができれば、徒歩でまわれる複数の患者の特定、すなわち、一度に持ち出す準備品の特定において便利であると考えられよう。
【0005】
在宅診療において、医師が車で複数の患者宅を訪問する際、車を駐車可能な場所や各患者宅の位置関係等によっては、一度の降車時に、複数の患者宅を徒歩でまわった方が効率的な場合がある。例えば、複数の患者宅の近辺において車を駐車可能な場所が限れている場合や、複数の患者が同じマンションに住んでいる場合等である。この場合、短時間で出来るだけ多くの患者を診察できるように、また、一人の診察時間を十分に取れるにようにするために、車と患者宅との往復回数は少ない方が望ましい。すなわち、医師は、徒歩でまわれる複数の患者分の診療器具や書類等の準備品を一度に車から持ち出して、車に戻ることなく、当該複数の患者宅を訪問できることが望ましいことに発明者は気づいた。
【0006】
しかしながら、準備品を一度にまとめて持ち出せる患者宅の範囲は、地図上の距離によって定まる範囲(例えば、半径数メートル以内等)と必ずしも一致しない。或る地域では駐車場の問題により、多少離れていても徒歩でしか移動できない場合がある。また、患者宅Aと患者宅Bとが近接していたとしても、訪問順が連続しておらず、患者宅Aと患者宅Bとの間に車による移動が含まれる場合もある。したがって、上記従来技術のように、地図上における距離的な近さに基づいて、一度に持ち出す準備品が特定されると、本当に必要な準備品に対して過不足が発生する可能性がある。
【0007】
そこで、患者宅の訪問の効率化に寄与することのできる地図出力方法及び地図出力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで上記課題を解決するため、患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力方法であって、複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得し、前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0009】
患者宅の訪問の効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における訪問支援システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における地図出力装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における地図出力装置の機能構成例を示す図である。
【図4】患者宅訪問用の電子地図の出力処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】担当医情報記憶部の構成例を示す図である。
【図6】訪問スケジュール記憶部の構成例を示す図である。
【図7】準備品情報記憶部の構成例を示す図である。
【図8】患者情報記憶部の構成例を示す図である。
【図9】選択画面の表示例を示す図である。
【図10】通知画面の第一の表示例を示す図である。
【図11】通知画面の第二の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における訪問支援システムの構成例を示す図である。同図において、訪問支援システム1は、医師等による患者宅の訪問を支援するコンピュータシステムであり、地図出力装置10及び一以上の通信端末20等を含む。
【0012】
地図出力装置10は、患者宅の訪問に医師が利用する電子的な地図の画像データ(以下、「電子地図」という。)を出力するコンピュータである。例えば、地図出力装置10は、訪問先の患者宅の位置や、各患者の情報が重畳された電子地図を通信端末20に送信する。
【0013】
通信端末20は、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistance)、又はノートPC(Personal Computer)等、移動体通信が可能な情報処理装置である。通信端末20は、必ずしも携帯可能でなくてもよい。例えば、移動体通信の可能な車載器が通信端末20として用いられてもよい。通信端末20は、GPS(Global Positioning System)機能を有しているものが望ましい。但し、GPS機能は必須ではない。
【0014】
訪問支援システム1において、通信端末20は、患者宅を訪問する医師等に対して、訪問先の患者宅等を示す電子地図等を表示させるユーザインタフェースとして機能する。すなわち、通信端末20は、患者を訪問する医師等に携帯されるか、又は患者の訪問に利用される車に搭載されている。
【0015】
なお、地図出力装置10及び通信端末20は、移動体通信網及びインターネット等を介して相互に通信可能である。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態における地図出力装置のハードウェア構成例を示す図である。図2の地図出力装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
【0017】
地図出力装置10での処理を実現するプログラムは、記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0018】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って地図出力装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0019】
なお、記録媒体101の一例としては、CD−ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置102の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体101及び補助記憶装置102のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態における地図出力装置の機能構成例を示す図である。同図において、地図出力装置10は、要求受信部121、訪問情報取得部122、選択画面生成部123、徒歩対象抽出部124、通知画面生成部125、電子地図取得部126、応答返信部127、担当医情報記憶部131、訪問スケジュール記憶部132、準備品情報記憶部133、患者情報記憶部134、及び電子地図記憶部135等を有する。
【0021】
要求受信部121、訪問情報取得部122、選択画面生成部123、徒歩対象抽出部124、通知画面生成部125、電子地図取得部126、及び応答返信部127は、地図出力装置10にインストールされたプログラムがCPU104に実行させる処理により実現される。
【0022】
担当医情報記憶部131、訪問スケジュール記憶部132、準備品情報記憶部133、患者情報記憶部134、及び電子地図記憶部135は、例えば、補助記憶装置102又は地図出力装置10とネットワークを介して接続される一以上の記憶装置若しくはコンピュータ等を用いて実現可能である。
【0023】
要求受信部121は、通信端末20からの要求を受信する。訪問情報取得部122は、通信端末20からの選択画面の表示要求に応じ、選択画面の生成に必要な情報を各記憶部より収集する。選択画面とは、最初に訪問先とする患者宅を選択させるための画面をいう。選択画面生成部123は、選択画面を生成する。徒歩対象抽出部124は、選択画面において選択された患者宅から徒歩でまわれる他の患者宅に係る患者を抽出する。通知画面生成部125は、徒歩でまわれる患者宅を通知するための画面(通知画面)を生成する。電子地図取得部126は、選択画面又は通知画面に使用される電子地図を電子地図記憶部135より取得する。応答返信部127は、通信装置20からの要求に対する応答を返信する。
【0024】
担当医情報記憶部131は、在宅診療等、患者宅の訪問を担当する医師に関する情報を記憶する。訪問スケジュール記憶部132は、患者の訪問に関するスケジュール情報(以下、「訪問スケジュール」という。)を記憶する。準備品情報記憶部133は、各患者の訪問時に持参する必要のある物品等(以下、「準備品」という。)を示す情報を記憶する。準備品の一例として、診療器具及び書類等が挙げられる。患者情報記憶部134は、在宅診療等において、訪問先となる各患者に関する情報を記憶する。電子地図記憶部135は、電子地図及びその書誌情報等を記憶する。
【0025】
以下、地図出力装置10が実行する処理手順について説明する。図4は、患者宅訪問用の電子地図の出力処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、或る担当医(以下、「担当医B」という。)の搭乗する車が、訪問先の一つである患者宅若しくはその近辺(すなわち、目的地)に到着した際等に実行される。又は、担当医Bが病院を出る前に実行されてもよい。
【0026】
担当医Bは、目的地に到着すると、通信端末20に対して患者宅訪問用の電子地図(以下、「訪問地図」という。)の表示指示を入力する。当該表示指示に応じ、通信端末20は、訪問地図の表示要求を地図出力装置10に対して送信する。当該表示要求には、例えば、担当医Bの氏名が含まれている。担当医Bの氏名は、通信端末20が予め記憶されていてもよいし、訪問地図の表示指示の際に、担当医Bによって入力されてもよい。
【0027】
ステップS101において、地図出力装置10の要求受信部121は、通信端末20から送信された訪問地図の表示要求を受信する。続いて、訪問情報取得部122は、表示要求に含まれている氏名をキーとして、担当医情報記憶部131より担当医Bの識別子(担当医ID)を取得する(S102)。
【0028】
図5は、担当医情報記憶部の構成例を示す図である。同図において、担当医情報記憶部131は、担当医ごとに、担当医ID及び氏名等を記憶する。本実施の形態のステップS102では、担当医Bの氏名(「B」)に対応付けられている担当医ID(「D0002」)が取得される。
【0029】
なお、通信端末20からの表示要求に、氏名の代わりに担当医IDが含まれていてもよい。この場合、ステップS102は実行されなくてもよい。又は、通信端末20からの表示要求に、通信端末20の識別情報が含まれていてもよい。この場合、担当医情報記憶部131は、各通信端末20の識別情報と担当医IDとの対応情報を記憶していればよい。
【0030】
続いて、訪問情報取得部122は、取得された担当医IDをキーとして、担当医Bの当日の訪問スケジュールを訪問スケジュール記憶部132より取得する(S103)。
【0031】
図6は、訪問スケジュール記憶部の構成例を示す図である。同図の訪問スケジュール記憶部132において、一つのレコードは、一人の患者に対する一回の訪問に対応する。各レコードは、患者ID、日付、時間、担当医ID、追加準備品、移動方法、及び訪問済フラグ等の項目を有する。
【0032】
患者IDは、訪問先の患者の識別子である。日付及び時間は、訪問の予定日時である。担当医IDは、訪問を行う担当医の担当医IDである。追加準備品は、当該レコードに係る訪問時に限って追加される準備品である。後述されるように、準備品情報記憶部133には、各患者に関して、定期的に必要な準備品が記憶されている。追加準備品は、定期的な準備品に対して、今回に限って追加される準備品である。移動方法は、訪問順において前後の患者宅の間の移動方法又は移動手段を示す情報の一例である。同図の例において、移動方法は、当該レコードに係る患者宅への移動前に担当医が所在する地点から、当該患者宅までの移動方法又は移動手段を示す。移動前に担当医が所在する地点とは、例えば、病院、訪問順において前の患者宅、又は車を駐車が駐車される地点等である。同図では、移動方法の値として「車」又は「徒歩」が示されている。「車」は、車による移動を示す。「徒歩」は、徒歩による移動を示す。
【0033】
訪問済フラグは、訪問済みか否かを示す情報である。「true」は、訪問済みであることを示し、「false」は、未訪問であることを示す。
【0034】
上記したステップS103では、日付の値が当日(ここでは、「2011年1月12日」とする。)であり、担当医IDの値が、担当医Bの担当医ID(「D0002」)であり、訪問済フラグの値が「false」であるレコード群が取得される。取得されたレコード群を、以下「担当医Bの訪問スケジュール」という。
【0035】
続いて、訪問情報取得部122は、担当医Bの訪問スケジュールに含まれる各患者IDをキーとして、訪問先の各患者の準備品の情報を準備品情報記憶部133より取得する(S104)。
【0036】
図7は、準備品情報記憶部の構成例を示す図である。同図において、準備品情報記憶部133は、患者ID、曜日、及び準備品等の項目を含む。すなわち、準備品情報記憶部133は、患者IDが示す患者に関して、曜日が示す定期的な時期に必要な準備品の情報を記憶する。
【0037】
続いて、訪問情報取得部122は、担当医Bの訪問スケジュールに含まれる各患者IDをキーとして、各患者の患者情報を患者情報記憶部134より取得する(S105)。
【0038】
図8は、患者情報記憶部の構成例を示す図である。同図において、患者情報記憶部134は、患者ごとに、患者ID、氏名、住所、緯度・経度、及び病名等を記憶する。
【0039】
氏名は、患者の氏名である。住所は、患者宅の住所である。緯度・経度は、患者宅が位置する緯度及び経度である。病名は、患者の病名である。
【0040】
続いて、選択画面生成部123は、担当医Bの訪問スケジュールにおいて、訪問順が最初である患者宅の位置を含む電子地図の取得要求を電子地図取得部126に入力する。訪問順は、担当医Bの訪問スケジュールに含まれている「時間」によって特定可能である。電子地図の取得要求には、電子地図の対象とする矩形範囲を示す情報(例えば、各頂点の緯度及び経度)、及び電子地図の縮尺等のパラメータが指定される。電子地図取得部126は、指定されたパラメータに合致する電子地図を電子地図記憶部135より検索(又は抽出)する(S106)。
【0041】
電子地図の対象とする矩形範囲は、例えば、訪問順が最初である患者宅と担当医Bが搭乗している車の位置(緯度及び経度)を含む矩形範囲である。当該車の位置は、通信端末20が有しているGPS機能に基づいて特定することができる。例えば、当該GPS機能によって計測された当該車の緯度及び経度が、ステップS101において受信される訪問地図の表示要求に含まれていてもよい。または、図4の処理とは非同期に、通信端末20の緯度及び経度が、定期的に地図出力装置10に送信されてもよい。
【0042】
なお、電子地図は、インターネット等における地図検索サイト等より検索されてもよい。すなわち、電子地図取得部126及び電子地図記憶部135は、地図検索サイトによって代替されてもよい。この場合、どのようなパラメータを指定するかは、利用する地図検索サイトのインタフェースに依存する。
【0043】
続いて、訪問先選択画面生成部123は、検索された電子地図に対して、訪問順が最初である患者宅の位置を示す画像(アイコン)や、車の位置を示す画像(アイコン)等を重畳させて、選択画面を表示させるためのデータ(選択画面データ)を生成する(S107)。続いて、応答返信部127は、選択画面データを通信端末20に送信する(S108)。
【0044】
選択画面データを受信した通信端末20は、選択画面データに基づいて選択画面を表示させる。
【0045】
図9は、選択画面の表示例を示す図である。同図の選択画面510では、電子地図上に、患者宅アイコンha及び車アイコンc1が重畳されている。患者宅アイコンhaは、訪問順が最初である患者宅の位置を示すアイコンである。車アイコンc1は、担当医Bの車の位置を示すアイコンである。
【0046】
なお、同図の選択画面510では、最初の訪問先の視認性を考慮して、訪問順が2番目以降の患者宅のアイコンは重畳されていないが、訪問順が2番目以降の患者宅のアイコンが重畳されるようにしてもよい。
【0047】
担当医Bによって、患者宅アイコンhaが指示(又は選択)されると、通信端末20は、選択画面データにおいて、患者宅アイコンに関連付けられている要求を地図出力装置10に送信する。患者宅アイコンに関連付けられている要求とは、患者宅アイコンhaに係る患者宅から、徒歩でまわれる(又は徒歩でまわるべき)患者宅を通知する通知画面の表示要求である。当該表示要求には、患者宅アイコンhaに係る患者の患者IDが指定される。当該患者IDに係る患者を、以下「注目患者」という。
【0048】
地図出力装置10において、通知画面の表示要求が要求受信部121によって受信されると(S109でYes)、徒歩対象抽出部124は、当該表示要求に指定されている患者IDを徒歩対象リストに追加する(S110)。徒歩対象リストとは、徒歩でまわれる患者の患者IDの一覧を記憶するための記憶領域であり、例えば、メモリ装置103に形成される。
【0049】
続いて、徒歩対象抽出部124は、担当医Bの訪問スケジュールにおいて、訪問順が注目患者の次である患者のレコードの移動方法の値は「徒歩」であるか否かを判定する(S111)。すなわち、注目患者の患者宅から、次の患者の患者宅までは徒歩で行くことが可能か(又は徒歩で行くべきか)否かが判定される。
【0050】
該当レコードの移動方法の値が「徒歩」である場合(S111でYes)、徒歩対象抽出部124は、該当レコードに含まれている患者IDに係る患者を注目患者とする(S112)。続いて、徒歩対象抽出部124は、ステップS110以降を繰り返す。その結果、徒歩でまわれる患者宅に係る患者IDが芋づる式又は連鎖的に抽出され、徒歩対象リストに追加される。図6の例では、患者IDが「K0002」のレコードから患者IDが「K0004」までの3つのレコードが抽出される。
【0051】
なお、徒歩対象抽出部124は、訪問スケジュールに基づいて自動的に徒歩で行くことが可能であると判定された患者宅について、ユーザ(担当医B)に対して徒歩で行くか否かを問い合わせてもよい。この場合、徒歩で行くことの応答が得られた患者宅に係る患者IDが、徒歩対象リストに追加されればよい。ユーザに対する問い合わせが行われることにより、道路工事等、予定されていない事態の発生に対して臨機応変に対応することができる。
【0052】
注目患者の患者宅への移動方法が「徒歩」でない場合(S111でNo)、通知画面生成部125は、徒歩対象リストに含まれている各患者IDに係る患者宅の位置を含む電子地図の取得要求を電子地図取得部126に入力する。例えば、通知画面生成部125は、徒歩対象リストに含まれている各患者IDに係る患者宅の緯度及び経度に基づいて、当該各患者宅を含む矩形範囲を算出する。通知画面生成部125は、当該矩形範囲を示す情報(各頂点の緯度及び経度)と、電子地図の縮尺等のパラメータを電子地図の取得要求に指定する。電子地図取得部126は、指定されたパラメータに合致する電子地図を電子地図記憶部135より検索(又は抽出)する(S113)。
【0053】
続いて、通知画面生成部125は、検索された電子地図に対して、徒歩対象リストに含まれている各患者IDに係る患者宅の位置を示すアイコンや、車の位置を示すアイコン等を重畳させて、通知画面を表示させるためのデータ(通知画面データ)を生成(出力)する(S114)。通知画面生成部125は、更に、当該電子地図に一つの表示領域(図形)を重畳させ、徒歩対象リストに含まれている各患者IDに係る各患者に関する情報を、当該一つの表示領域にまとめて含める。各患者に関する情報は、患者情報記憶部134より取得される情報であってもよいし、準備品情報記憶部133から取得される準備品情報であってもよい。準備品情報が表示領域に含められる場合、担当医Bの訪問スケジュールに含まれている追加準備品も併せて含められる。
【0054】
応答返信部127は、通知画面データを通信端末20に送信する(S115)。なお、通知画面データが送信される前に、訪問スケジュール記憶部132において、徒歩対象リストに含まれている各患者IDに対応するレコードの訪問済フラグの値が「true」に更新されてもよい。又は、別途、担当医Bによって入力される指示に応じた通信端末20から要求に応じて、当該訪問済フラグの値が更新されてもよい。
【0055】
通知画面データを受信した通信端末20は、通知画面データに基づいて通知画面を表示させる。
【0056】
図10は、通知画面の第一の表示例を示す図である。同図の通知画面520aでは、電子地図上に、徒歩でまわれる各患者宅の患者宅アイコンha、hb、及びhcと、車アイコンc1とが重畳されている。
【0057】
また、吹き出し形式の表示領域a1には、患者宅アイコンha、hb、及びhcのそれぞれに係る患者の氏名と、各患者に対する準備品及び追加準備品とが示されている。
【0058】
更に、通知画面520aの電子地図に含まれる範囲は、選択画面510の電子地図に含まれる範囲に対して拡大されている。換言すれば、通知画面520aの電子地図の縮尺は、選択画面510の電子地図の縮尺よりも小さくされている。これは、通知画面520aでは、選択画面510に比べてより多くの患者宅が表示対象とされるためである。
【0059】
なお、選択画面510について、訪問予定の全ての患者宅の位置が含まれるようにする場合、通知画面520aの電子地図に含まれる範囲は、選択画面510の電子地図に含まれる範囲に対して縮小されることになる。この場合、通知画面520aでは、表示対象とする患者宅が絞り込まれるからである。
【0060】
いずれの場合(拡大される場合又は縮小される場合)においても、表示される患者宅アイコンが、徒歩でまわれる患者宅に限定されることで、当該患者宅の視認性を高めることができる。その結果、担当医Bは、当該患者宅の位置を容易に把握することができる。
【0061】
但し、通知画面520aにおいて、徒歩でまわれる患者宅以外の患者宅のアイコンが表示されてもよい。この場合、前者と後者とのアイコンが異なる等、両者の違いが認識可能とされるのが望ましい。
【0062】
担当医Bは、通知画面520aを参照することにより、降車後に徒歩でまわれる患者宅は3件であること、各患者宅の位置、及び今回の降車時に持ち出すべき準備品等を確認することができる。すなわち、通知画面520aは、一度に持ち出すべき準備品を通知するための画面でもある。
【0063】
ところで、運用上、各準備品は、予め患者毎にまとめられて(例えば、患者ごとに分別されて)車に積まれている可能性もある。この場合、持ち出すべき準備品は、徒歩でまわれる患者が分かれば特定することができる。したがって、このような運用が行われている場合、表示領域a1には、各患者の氏名のみが表示されていてもよい。
【0064】
なお、通知画面520aは、図11に示されるように生成及び表示されてもよい。図11は、通知画面の第二の表示例を示す図である。図11中、図10と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0065】
同図に示される通知画面520bでは、表示領域a2の形状が表示領域a1と異なる。すなわち、表示領域a2は、吹き出し元が複数有る吹き出し形式の表示領域である。複数の各吹き出し元は、それぞれ、訪問スケジュールに鑑みて、徒歩でまわれる各患者宅の位置とされている。表示領域a2のような形状によれば、例えば、徒歩ではまわれない他の患者の患者宅アイコン等が表示される場合であっても、徒歩でまわれる各患者宅を容易に識別することができる。
【0066】
上述したように、本実施の形態によれば、医師が一度の降車時に持ち出すべき準備品の情報を、電子地図上で視認し易く出力させることができる。その結果、医師による患者宅の訪問を効率化することができる。
【0067】
また、表示領域a1又はa2の表示対象としてまとめられる患者は、単なる距離的な近さではなく、訪問スケジュールにおける訪問順や移動方法等に基づいて抽出される。したがって、電子地図の縮尺等に応じて近距離の情報がまとめられる場合と異なり、電子地図とは無関係に表示領域a1又はa2の表示対象は抽出される。その結果、患者の訪問という医師の業務に適した形態で、複数の患者に関する情報をまとめて一つの表示領域に表示させることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、地図出力装置10が主な処理手順を実行する例を説明した。但し、本実施の形態において地図出力装置10が実行した処理手順は、通信端末20によって実行されてもよい。この場合、通信端末20は、図2において説明したハードウェア構成を有し、図3において説明した機能構成を有すればよい。
【0069】
なお、本実施の形態において、訪問情報取得部122は、取得部の一例である。徒歩対象抽出部124は、抽出部の一例である。また、通知画面生成部125は、出力部の一例である。更に、訪問スケジュール記憶部132は、スケジュール情報記憶部の一例である。
【0070】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0071】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力方法であって、
複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得し、
前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、
抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する処理をコンピュータが実行する地図出力方法。
(付記2)
前記スケジュール情報は、訪問順において前後の患者宅の間の移動方法を示す情報を含み、
前記抽出する処理は、前記スケジュール情報において、前記間の前記移動方法が徒歩であることが示されている前記前後の患者宅に係る患者を抽出する付記1記載の地図出力方法。
(付記3)
前記出力する処理は、抽出された各患者の患者宅の位置を吹き出し元とする一つの吹き出し形式の前記表示領域を含む前記電子地図を出力する付記1又は2記載の地図出力方法。
(付記4)
前記抽出する処理は、前記複数の患者宅の少なくともいずれかの位置を含む第一の電子地図において選択された位置の前記患者宅に係る患者及び該患者と共に前記一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、
前記出力する処理は、抽出された各患者の患者宅の位置を含む、前記第一の電子地図とは範囲の異なる第二の電子地図を出力する付記1乃至3いずれか一項記載の地図出力方法。
(付記5)
患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力装置であって、
複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得する取得部と、
前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出する抽出部と、
抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する出力部とを有する地図出力装置。
(付記6)
前記スケジュール情報は、訪問順において前後の患者宅の間の移動装置を示す情報を含み、
前記抽出部は、前記スケジュール情報において、前記間の前記移動装置が徒歩であることが示されている前記前後の患者宅に係る患者を抽出する付記5記載の地図出力装置。
(付記7)
前記出力部は、抽出された各患者の患者宅の位置を吹き出し元とする一つの吹き出し形式の前記表示領域を含む前記電子地図を出力する付記5又は6記載の地図出力装置。
(付記8)
前記抽出する処理は、前記複数の患者宅の少なくともいずれかの位置を含む第一の電子地図において選択された位置の前記患者宅に係る患者及び該患者と共に前記一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、
前記出力する処理は、抽出された各患者の患者宅の位置を含む、前記第一の電子地図とは範囲の異なる第二の電子地図を出力する付記5乃至7いずれか一項記載の地図出力装置。
【符号の説明】
【0072】
1 訪問支援システム
10 地図出力装置
20 通信端末
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
121 要求受信部
122 訪問情報取得部
123 選択画面生成部
124 徒歩対象抽出部
125 通知画面生成部
126 電子地図取得部
127 応答返信部
131 担当医情報記憶部
132 訪問スケジュール記憶部
133 準備品情報記憶部
134 患者情報記憶部
135 電子地図記憶部
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力方法であって、
複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得し、
前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、
抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する処理をコンピュータが実行する地図出力方法。
【請求項2】
前記スケジュール情報は、訪問順において前後の患者宅の間の移動方法を示す情報を含み、
前記抽出する処理は、前記スケジュール情報において、前記間の前記移動方法が徒歩であることが示されている前記前後の患者宅に係る患者を抽出する請求項1記載の地図出力方法。
【請求項3】
前記出力する処理は、抽出された各患者の患者宅の位置を吹き出し元とする一つの吹き出し形式の前記表示領域を含む前記電子地図を出力する請求項1又は2記載の地図出力方法。
【請求項4】
前記抽出する処理は、前記複数の患者宅の少なくともいずれかの位置を含む第一の電子地図において選択された位置の前記患者宅に係る患者及び該患者と共に前記一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出し、
前記出力する処理は、抽出された各患者の患者宅の位置を含む、前記第一の電子地図とは範囲の異なる第二の電子地図を出力する請求項1乃至3いずれか一項記載の地図出力方法。
【請求項5】
患者宅の位置を含む電子地図に前記患者の情報を出力する地図出力装置であって、
複数の患者宅の訪問に関するスケジュール情報を記憶するスケジュール記憶部より、前記スケジュール情報を取得する取得部と、
前記スケジュール情報に基づいて、前記複数の患者の中から前記電子地図に重畳させる一つの表示領域内に前記情報を表示させる患者を抽出する抽出部と、
抽出された各患者に関する情報を前記一つの表示領域内に含む前記電子地図を出力する出力部とを有する地図出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−189450(P2012−189450A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53335(P2011−53335)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】