説明

地図表示処理装置、地図表示装置、地図表示処理方法およびプログラム

【課題】電子ペンなどの入力装置の操作性を高める。
【解決手段】地図表示装置(20)において地図を表示するとともに、この地図表示装置(20)に接続された入力装置(11)により地図および位置関連データが印刷された印刷物(12)から位置関連データを読み込み、地図表示装置(20)では、入力装置(11)が読み込んだ位置関連データにより表される印刷物(12)に印刷された地図上の位置と画面表示する地図上の位置とを対応させて処理する第1のモードと、読み込んだ位置関連データにより表される印刷物(12)上の軌跡に応じて表示画面上のカーソルを移動させる第2のモードとを切り替えて処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地図表示処理装置、地図表示装置、地図表示処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーションにおいて、電子ペンを利用した紙地図による目的地設定の提案がされている(例えば特許文献1参照)。このような電子ペンは、地図および特殊な位置関連データが印刷された専用の印刷物から位置関連データを読み込むことで、印刷物上でのペン先の位置を特定するデータを取得することができる。そして、このデータをカーナビゲーション装置に取り込んで、目的地設定などの処理を行うことができる。
【特許文献1】特開2003-287432
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子ペンで指定した地点を目的地に設定するのか、それとも経由地とするのかなどについては、ユーザに選択させる必要がある。また、カーナビゲーションにおいて施設検索を行う方法として、出願人は、電子ペンによって地図上で施設検索を行い、複数の該当施設がある場合にはリスト表示することで、ユーザに選択させるようにするアイデアを提案している(特願2006−318744)。このとき、選択はタッチパネルが利用される。
【0004】
しかし、ユーザによる選択をタッチパネルで行うことになると、ユーザにとっては、電子ペンによる操作とタッチパネルの操作とが混在し、操作が煩雑になってしまう。例えば、右手で電子ペンの操作を行ない、左手でタッチパネルの操作を行うとか、後部座席で電子ペン操作を行う場合には、タッチパネルの操作は運転手に依頼するということになる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決し、電子ペンなどの入力装置の操作性が高められた地図表示処理装置、地図表示装置、地図表示処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点によると、地図および位置関連データが印刷された印刷物から位置関連データを読み込む入力装置と、この入力装置が接続される地図表示装置と、を備え、地図表示装置は、画像表示手段と、この画像表示手段に地図を表示する手段と、入力装置が読み込んだ位置関連データにより表される印刷物に印刷された地図上の位置と画像表示手段に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段と、入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される印刷物上の軌跡に応じて画像表示手段の画面上のカーソルを移動させる手段と、を備えたことを特徴とする地図表示処理装置が提供される。
【0007】
位置関連データは、ドットパターンで形成され、印刷物を識別する情報および印刷物上の座標情報を表すデータであり、処理する手段は、識別する情報および座標情報から緯度および経度に関する情報を求める手段と、求めた緯度および経度に関する情報で表される範囲内に存在する施設を検索する手段と、検索された施設を画像表示手段の画面上にリスト表示し、移動させる手段によるカーソル移動によってリスト表示された施設のいずれかを選択する手段と、を備えることができる。
【0008】
地図表示装置は、入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される印刷物上の軌跡から文字を認識する手段をさらに備え、選択する手段は、認識する手段により認識された文字列による絞り込み検索が可能であることが望ましい。
【0009】
本発明の第2の観点によると、地図および位置関連データが印刷された印刷物から位置関連データを読み込むことにより得られたデータを取り込む入力手段と、画像表示手段と、この画像表示手段に地図を表示する手段と、入力手段の取り込んだデータにより表される印刷物に印刷された地図上の位置と画像表示手段に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段と、入力手段が順次取り込んだ入力されたデータにより表される印刷物上の軌跡に応じて画像表示手段の画面上のカーソルを移動させる手段と、を備えたことを特徴とする地図表示装置が提供される。
【0010】
本発明の第3の観点によると、画像表示装置において地図を表示するとともに、この画像表示装置に接続された入力装置により地図および位置関連データが印刷された印刷物から上記位置関連データを読み込み、画像表示装置では、入力装置が読み込んだ位置関連データにより表される印刷物に印刷された地図上の位置と画面表示する地図上の位置とを対応させて処理する第1のモードと、読み込んだ位置関連データにより表される印刷物上の軌跡に応じて画面上のカーソルを移動させる第2のモードとを切り替えて処理することを特徴とする地図表示処理方法が提供される。
【0011】
画像表示装置では、入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される印刷物上の軌跡から文字を認識して処理する第3のモードに切り替えて処理することもできる。
【0012】
本発明の第4の観点によると、コンピュータに、地図および位置関連データが印刷された印刷物から位置関連データを読み込むことにより得られたデータを取り込む入力手段、画面に地図を表示する手段、入力手段の取り込んだデータにより表される印刷物に印刷された地図上の位置と画面に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段、および入力手段が順次取り込んだデータにより表される印刷物上の軌跡に応じて画面上のカーソルを移動させる手段として機能させるためのプログラムが提供される。
【0013】
コンピュータにさらに、入力手段が順次取り込んだデータにより表される印刷物上の軌跡から文字を認識する手段として機能させることもできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、入力装置の操作性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態に係る地図表示処理装置を示すブロック構成図であり、入力装置として電子ペン11、地図表示装置としてナビゲーション装置20を利用した例を示す。なお、地図表示処理方法およびプログラムについては、地図表示処理装置の説明と併せて行う。
【0016】
この地図表示処理装置は、地図および位置関連データが印刷された印刷物である専用シート12から位置関連データを読み込む入力装置としての電子ペン11と、この電子ペン11が接続される地図表示装置としてのナビゲーション装置20とを備える。ナビゲーション装置20は、電子ペン11からのデータを取り込む入力手段としての座標データ入力部21と、画像表示手段としてのディスプレイ22と、このディスプレイ22に地図を表示する手段としての地図表示部23および地図データベース24と、電子ペン11が読み込んだ位置関連データにより表される位置となる専用シート12に印刷された地図上の位置と、ディスプレイ22に表示する地図上の位置と、を対応させて処理する手段としてのデータ変換部25、座標−緯度経度テーブル26、施設検索部27、施設情報テーブル28およびリスト表示・項目選択処理部29と、電子ペン11が順次読み込んだ位置関連データにより表される専用シート12上の軌跡に応じてディスプレイ22の画面上のカーソルを移動させる手段としてのポインティング処理部30と、入力モードを管理する入力モード管理部31とを備える。
【0017】
なお、実用的には、座標データ入力部21、地図表示部23、データ変換部25、施設検索部27、リスト表示・項目選択処理部29、ポインティング処理部30および入力モード管理部31の各機能は、マイクロプロセッサの機能の一部として構成することができる。また、地図データベース24、座標−緯度経度テーブル26および施設情報テーブル28はそれぞれ、ハードディスク、DVD、ROM(読み取り専用メモリ)、フラッシュメモリなどの記憶装置内に形成される。地図データベース24および施設情報テーブル28の少なくとも一部については、通信回線を介して取得する構成とすることもできる。
【0018】
[電子ペンの説明]
図1に示す地図表示処理装置の詳細について説明する前に、電子ペン11について図2から図4を参照して説明する。図2は電子ペン11の動作を説明する図であり、図3は専用シート12に印刷される1つの座標パターン13を示す図で、専用シート12の一部拡大図である。図4は専用シート12から読み取ることのできる座標データを説明する図である。
【0019】
電子ペン11は、図2(A)に示すような携帯型の入力装置であり、専用シート12に印刷された特殊なドットパターンを位置関連データとして読み取ることで、専用シート12上でのペン先の位置を特定する座標データを取得することができる。応用として、データの取得時刻に基づいて取得した図2(B)に示すような座標データを画面上にプロットすることで、軌跡をデジタルデータとして再現することもできる。図2(C)には、電子ペン11のペン先の軌跡をナビゲーション装置20の画面上に表示した例を示す。
【0020】
専用シート12は、大きな領域をカバーできるように、複数枚のシートがひと綴りとなった地図帳の形式で提供される。各専用シート12には、図3に示すように、赤外線を吸収するインクにより、複数のドット14が印刷される。一方、専用シート12は、赤外線を反射するようになっている。各ドット14は、図3に示すように、所定の一定間隔毎の縦基準線と横基準線との交点の位置を基準として、上下左右のいずれかの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ少しずれた位置に印刷される。そして、各座標パターン13における36個のドット14のずれ方向の組合せは、少なくとも複数枚の専用シート12から形成される地図帳に印刷されるすべての座標パターン13の中で、唯一なものとされる。地図帳に印刷される複数のドット14の中から任意の6×6個のドット14を選んだとき、その36個のドット14のずれ方向の組合せは、地図帳に印刷される他のすべてのドット14の組合せにおけるドット14のずれ方向の組合せと異なるものとなる。得られる組み合わせ数は、理論上は4の36乗となる。
【0021】
専用シート12として例えばA4サイズのものを用い、例えば1000枚分の領域を利用可能と仮定し、個々の専用シート12の識別に「ページ番号」を用いるものとすると、電子ペン11は、36個のドット14のずれ方向の組み合わせから、「ページ番号(1〜1000)+A4サイズ内でのXY座標」の形式でデータを読み取ることができる。図4には、簡単のため専用シート12が例えば地図帳のように用いられる16枚のシートで構成されるものとし、6枚目のシートの(X,Y)という座標が読み取られたようすを示す。
【0022】
[ナビゲーション装置の動作]
図5から図7は電子ペン11からの入力に対するナビゲーション装置20の動作例を示すフローチャートであり、図5は全体の動作、図6は緯度経度モードの動作、図7はポインティングデバイスモードの動作を示す。これらの図を参照して、図1に示す地図表示処理装置の詳細について説明する。ただし、ここでは電子ペン11からの入力に対する動作のみを説明の対象とし、それ以外の動作については説明を省略する。また、緯度経度モードの動作についても、施設検索のための動作に限定して説明し、それ以外の動作については説明を省略する。
【0023】
入力モード管理部31は、内部に入力モードフラグを備え、そのフラグの値に応じて、専用シート12に印刷された地図上の位置とディスプレイ22に表示する地図上の位置とを対応させて処理する第1のモード(緯度経度モード)と、読み込んだ位置関連データにより表される専用シート12上の軌跡に応じてディスプレイ27の画面上のカーソルを移動させる第2のモード(ポインティングデバイスモード)との切り替えを行う。入力モード管理部31により入力モードが緯度経度モードであるとされた場合(図5のステップS1)には、座標データ入力部21、データ変換部25、座標−緯度経度テーブル26、施設検索部27、施設情報テーブル28およびリスト表示・項目選択処理部29により緯度経度モードの処理(ステップS2)が実行される。入力モードがポインティングデバイスモードであるとされた場合には、座標データ入力部21およびポインティング処理部30によりポインティングデバイスモードの処理(ステップS3)が実行される。
【0024】
緯度経度モードの動作について図6を参照して説明する。緯度経度モードにおいて、座標データ入力部21は、電子ペン11からの座標データを、専用シート12に印刷された地図に連動した緯度経度情報に変換するデータとして取り込む(ステップS11)。この座標データは、図4を参照して説明したように、ページ番号101とA4サイズ内でのXY座標列102とからなる。施設検索を行う場合には、電子ペン11で連続的に一筆書きで範囲を指定するものとし、その一筆書きが終了するまで、座標データ入力部21でそれらの座標データを取り込む。一筆書きの終了は、電子ペン11内に設けられた筆圧センサで検出することができる。座標データの取り込みが終了すると(ステップS12でTRUE)、座標データ入力部21は、取り込んだXY座標データのX座標とY座標のそれぞれについて最小値と最大値とを算出し(ステップS13)、XY座標における検索範囲を表す座標データをデータ変換部25に出力する。例えば○(丸)を一筆書きで描いたとすると、その上端、下端、左端、右端の4点のXY座標を得ることとなる。
【0025】
データ変換部25は、座標−緯度経度テーブル26を参照し、XY座標データを緯度経度データに変換して(ステップS14)、緯度経度データで表される検索範囲103を得る。施設検索部27は、施設情報テーブル28を検索し、検索範囲103内に合致する施設の情報を抽出する(ステップS15)。リスト表示・項目選択処理部29は、抽出された施設の情報(名前、ジャンル、住所、電話番号等)をディスプレイ27にリスト表示する。入力モード管理部31は、施設検索部27により施設の情報が抽出され、リスト表示・項目選択処理部29がディスプレイ27にリスト表示を行ったことを確認すると、内部の入力モードフラグ104をポインティングデバイスモードに切り替え(S17)、緯度経度モードの動作を終了する。
【0026】
ここで、施設検索部27による検索結果が0または1の場合には、リスト表示の必要はない。しかし、ユーザによる確認のため、この例では検索結果が0または1の場合にも入力モードを切り替えるものとする。
【0027】
ポインティングデバイスモードの動作について゛図7を参照して説明する。この入力モードにおいて、座標データ入力部21は、電子ペン11からの座標データをマウスのようなポインティングデバイスの入力、すなわち画面上のカーソルの移動やボタンを押下するための入力として処理し(ステップS21)、ポインティング処理部30に出力する。電子ペン11から連続的に(一筆書きで)入力が行われた場合、ポインティング処理部30は、リスト表示・項目選択処理部29によるディスプレイ22へのリスト表示に重ねてカーソルを表示させ、電子ペン11からの座標データに応じてカーソルを移動させる(ステップS22)。カーソルの移動は、電子ペン11からの座標データが入力されるごとに行ってもよく、間引きして複数の座標データが入力されるごとに行ってもよい。
【0028】
座標データ入力部21は、同時に、XY座標列と時刻情報105を一時的に記憶しておく(ステップS21)。電子ペン11の筆圧センサから入力終了(一筆書き終了)が判断されると、座標データ入力部21は、座標データの取り込みを終了する(ステップS23でTRUE)。ポインティング処理部30は、XY座標列と時刻情報105を参照して、電子ペン11からの入力がタップ入力か否かを判断する(ステップS24)。タップ入力とは、電子ペン11のペン先で専用シート12を軽く叩いたときの入力であり、ある程度の時間にわたり座標データがほとんど変化しない状態となる(ミクロの変化はある)。タップ入力であれば(ステップS25でTRUE)、カーソルの場所が選択されたと判断される(マウスで左クリックされたと同等)。選択されたカーソルの場所が選択決定領域であれば(ステップS26でTRUE)、リスト表示・項目選択処理部29はその領域に表されている項目が選択されたと判断し、選択処理を実行し(ステップS27)、入力モード管理部31にモードの切り替えを通知する。また、このとき、カーソルを非表示とする。入力モード管理部31は、ポインティングデバイスモードが終了したとして、入力モードフラグ104を緯度経度モードに切り替える(ステップS28)。
【0029】
ステップS25でタップ入力ではないと判断された場合、あるいはステップS26で選択決定領域ではないと判断された場合には、まだ項目が選択されていないので、再びステップS21に戻る。
【0030】
選択処理実行が行われた後のナビゲーション装置20の処理としては、例えば、選択された施設を目的地または経由地とする経路案内を行うとか、選択された施設の緯度経度を中心とする地図を表示するとかの処理が考えられる。どのような処理を行うかは、必要に応じて設計時に任意に選択できる。
【0031】
[座標データから緯度経度データへの変換]
図8は座標−緯度経度変換テーブル26の内容の一例を示す図であり、図9は電子ペン11からのXY座標データを緯度経度データに変換する方法を説明する図である。
【0032】
座標−緯度経度テーブル26には、専用シート12の各ページごとに、ページ番号、左上部の緯度(これを「基準緯度」という)、左上部の経度(同じく「基準経度」という)、経度1秒あたりのY座標間隔および経度1秒あたりのX座標間隔が記載されている。例えば基準緯度が北緯35度00分08秒、基準経度が東経135度44分53秒であれば、座標−緯度経度テーブル26の基準緯度および基準経度としてそれぞれ、
(35×60×60+0×60+8)×1000=126008000
(135×60×60+44×60+53)×1000=488693000
という整数値が記載されている。また、東京を例とすると、緯度方向は1秒あたり31m、経度方向は1秒あたり25mであり、1万分の1に換算すると、それぞれ、1秒あたり3.1mm、2.5mmとなる。これらの値が座標−緯度経度テーブル26に記載されている。
【0033】
電子ペン11から得られる座標の分解能を0.0375mmと仮定すると、1ポイントあたりの緯度は0.0375/3.1(=0.012096…)、経度は0.0375/2.5(=0.015)で計算される。したがって、基準XY座標を(0,0)とするとき、座標(1000,1000)の緯度および緯度はそれぞれ、
緯度:126008000−0.0375/3.1×1000×1000
=125995903(北緯34度59分55.903秒)
経度:488693000+0.0375/2.5×1000×1000
=488708000(東経135度45分08秒)
と算出することができる。
【0034】
検索範囲を指定するため、電子ペン11で図9に示す座標(1000,1000)を中心に直径D=400の円201を描いたとする。処理を簡単化するため、この円により、この円に外接する四角の領域202が選択されたものとすると、その範囲は、
緯度で、
126008000−(0.0375/3.1)×1000×(1000+200)
=125993484から
126008000−(0.0375/3.1)×1000×(1000-200)
=125998323まで、
経度で、
488693000+(0.0375/2.5)×1000×(1000-200)
=488705000から
488693000+(0.0375/2.5)×1000×(1000+200)
=488711000まで
となる。
【0035】
[施設情報]
図10は施設情報テーブル28の内容の一例を示す図である。施設情報テーブル28には、宿泊施設、遊興施設、観光施設、公共施設などの別を表すジャンル、施設の名称、施設所在地の緯度および経度、住所、電話番号などが記載される。施設検索部27は、緯度経度データをキーにこの施設情報テーブル28を検索し、検索範囲内の施設に関する情報を読み出す。
【0036】
[画面表示例]
図11はディスプレイ22へのリスト表示例を示す図である。検索条件に該当する施設が複数ある場合、リスト表示・項目選択処理部29はディスプレイ22にリスト表示を行う。このとき、入力モードをポインティングデバイスモードに遷移させ、矢印のカーソル301を画面上に表示させ、ユーザにポインティングデバイスモードに変更されたことを明示することができる。
【0037】
ポインティングデバイスモードでは、電子ペン11からの入力があると、それがポインティングデバイス入力として扱われる。一筆書き、すなわち、専用シート12上を離さずに電子ペン11を移動させた場合、その軌跡に従ってカーソル301を移動させることができる。これは、Windows(登録商標)システムにおけるMOUSEMOVEに相当する入力である。専用シート12から離れているかどうかは、電子ペン11の筆圧センサにより検出できる。カーソル301が選択領域(ボタン領域)302〜304を指した状態で電子ペン11をタップした場合は、その該当する項目を選択したと判断する。これは、Windowsシステムにおける左ボタン押下LBUTTONDOWNに相当する入力である。
【0038】
タップされたとの判断する基準としては、例えば、電子ペン11による一筆書きの軌跡の最初の座標データの入力時刻から最後の座標データの入力時刻までの時間が短いこと、あるいは、軌跡の移動範囲が選択領域内でありかつ基準とする範囲より小さいこと、もしくはそれらの組み合わせを利用することができる。
【0039】
[効果]
以上説明した実施の形態では、電子ペン11を座標入力のためだけでなくポンティングデバイスとして利用することができ、アプリケーションの使用目的あるいは使用状態に応じて、その動作を自由に切り替えることができる。具体的には、検索結果が複数存在しその中からユーザが選択する場合に、本体(ナビゲーション装置20)を操作すること無しに、電子ペン11をポインティングデバイスとして操作することで選択できる。ポインティングデバイスとして入力可能かどうかは、カーソルを表示するかしないかで識別できる。
【0040】
[第2の実施の形態]
図12は本発明の第2の実施の形態に係る地図表示処理措置を示すブロック構成図であり、図13から図15は電子ペン11からの入力に対するナビゲーション装置20の動作例を示すフローチャートである。図13は全体の動作を示し、図14はポインティングデバイスモードの動作、図15はテキスト入力モードの動作をそれぞれ示す。この実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、入力装置として電子ペン11、地図表示装置としてナビゲーション装置20を利用した例を示す。以下では、第1の実施の形態と同じ構成および動作に関しては説明を省略し、異なる点のみ説明する。また、第1の実施の形態と同じ部分については同一符号を用いて説明する。
【0041】
図12に示す地図表示処理装置は、ナビゲーョン装置20内に、電子ペン11が順次読み込んだ位置関連データにより表される専用シート12上の軌跡から文字を認識する文字認識部32を備え、リスト表示・項目選択処理部29は、文字認識部32により認識された文字列による絞り込み検索が可能であることが、図1に示した構成と異なる。また、入力モード管理部31は、電子ペン11からの入力モードとして、緯度経度モードおよびポインティングデバイスモードに加え、電子ペン11が順次読み込んだ位置関連データにより表される専用シート12上の軌跡から文字を認識して処理するテキスト入力モードを管理する。
【0042】
[ナビゲーション装置の動作]
図12から図14を参照してナビゲーション装置20の動作を説明する。最初に図13を参照すると、入力モード管理部31は、内部の入力モードフラグを参照してナビゲーション装置20への入力モードを切り替え(ステップS31)、ナビゲーション装置20に、緯度経度モードの処理(ステップS32)、ポインティングデバイスモードの処理(ステップS33)またはテキスト入力モードの処理(ステップS34)を実行させる。
【0043】
緯度経度モードの処理は、図6を参照して説明した第1の実施の形態の処理と同じであり、ここでは説明を省略する。ポインティングデバイスモードの処理(図14参照)は、図7を参照して説明した第1の実施の形態の処理とほぼ同等であるが、ステップS25においてタップ入力と判断された場合に、選択されたカーソルの場所がテキスト入力領域かどうかを判断し(ステップS41)、テキスト入力領域であれば(ステップS41でTRUE)、入力モード管理部31に通知して入力モードフラグ104をテキスト入力モードに切り替えさせる(S42)ことが異なる。入力モードを切り替えた後は、ポインティングデバイスモードを終了する。テキスト入力領域でなければ(ステップS41でFALSE)、図7のステップS26以降と同じ処理を実行する。
【0044】
テキスト入力モードの処理を図15を参照して説明する。このモードへの遷移は、ポインティングデバイスモードにおいてテキスト入力領域が選択されたことで行われる。このとき座標データ入力部21は、XY座標列と時刻情報105を一時的に記憶しておく(ステップS51)。電子ペン11の筆圧センサから入力終了(一筆書き終了)が判断されると、座標データ入力部21は、座標データの取り込みを終了する(ステップS52でTRUE)。文字認識部32は、XY座標列と時刻情報105を参照して電子ペン11の軌跡から文字認識を行い(ステップS53)、文字として認識された時点でリスト表示・項目選択処理部29に通知して、認識文字をテキスト入力領域に表示させる(ステップS54)。以上の処理を、テキスト入力終了と判断される(ステップS55でTRUE)まで続ける。テキスト入力終了の判断基準としては、特定の文字列、例えば句点「。」が入力されたと判断されたこと、などが考えられる。テキスト入力終了後、入力モードフラグ104をポインティングデバイスモードに切り替える(ステップS56)。
【0045】
[絞込み検索]
図16は絞込み検索の表示例を説明する図である。施設検索部27による検索結果が多い場合に、リスト表示・項目選択処理部29は、絞込み検索を行うことができる。この絞込み検索の入力として、文字認識部32の認識した文字列を用いることができる。すなわち、リスト表示・項目選択処理部29は、検索結果が多い場合、ディスプレイ27に「該当する施設がxx件あります。絞り込むための語句を入力してください。」などのメッセージを表示する。ここで入力モードをテキスト入力モードに切り替え、リスト表示・項目選択処理部29に、文字認識部32で認識された文字列を入力する。リスト表示・項目選択処理部29は、ディスプレイ27に表示されているテキスト入力領域401に、その文字例を表示させる。テキスト入力が終了すると、入力モードをポインティングデバイスモードに切り替え、表示画面上の選択決定領域402をカーソルで選択できるようにする。カーソルが選択決定領域402にある状態で電子ペン11がタップされると、入力確定として、入力された文字列での絞り込み検索を行い、図11に示したような検索結果の表示を行う。
【0046】
この実施の形態では、文字入力を行うときに、ナビゲーション装置20を操作することなしに、電子ペン11を文字入力デバイスとして使用することができる。
【0047】
以上の実施の形態では、緯度経度モードにおける動作として、単純化のため、範囲指定を行う場合だけに限定して説明した。緯度経度モードでは、例えば専用シート12上で経路をなぞることでディスプレイ27に表示された地図でその経路を表示するなど、他の応用も可能である。また、ポインティングモードやテキスト入力モードにおいても、施設の選択だけでなく、他の応用に利用することもできる。
【0048】
また、以上の説明では電子ペン11をナビゲーョン装置20に接続する場合を例に説明したが、汎用のパーソナルコンピュータやその他の機器で地図情報を処理するために、入力装置として電子ペン11を利用することもできる。このような場合、地図情報を処理する機器には、専用シート12から位置関連データを読み込むことにより得られたデータを取り込む入力手段、画面に地図を表示する手段、入力手段の取り込んだデータにより表される専用シート12に印刷された地図上の位置と画面に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段、および入力手段が順次取り込んだデータにより表される専用シート12上の軌跡に応じて画面上のカーソルを移動させる手段として機能させるためのプログラムをインストールする。
【0049】
また、「地図」という用語は、道路地図などの現実的空間のものに限定されるものではなく、座標で表されるどのような空間に対しても適用することができる。さらに、専用シート12として3次元的なものを用いることで、3次元空間の座標指定に利用することもできる。
【0050】
入力装置の例としてドットパターンにより表される位置関連データを利用する光方式の電子ペンを示したが、磁気方式の電子ペンや超音波検知方式のデジタルペンを採用してもよい。また、位置関連データとして6×6からドットパターンを示したが、4×4のドットパターンなど他の形式のドットパターンとしてもよい。さらには、ドットパターンではなく、形状パターンを位置関連データとしてもよい。専用シート12へ位置データそのものを各XY座標値に埋め込むようにしてもよい。
【0051】
また、上述の実施の形態では、地図表示処理装置の主たる構成をマイクロプロセッサで実現するものとしたが、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成したり、個別の回路で構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る地図表示処理装置を示すブロック構成図であり、入力装置として電子ペン、地図表示装置としてナビゲーション装置を利用した例を示す。
【図2】図1に示す電子ペンの動作を説明する図である。
【図3】図1に示す専用シートに印刷される1つの座標パターンを示す図で、専用シートの一部拡大図である。
【図4】図1に示す専用シートから読み取ることのできる座標データを説明する図である。
【図5】図1に示すナビゲーション装置の電子ペンからの入力に対する動作例を示すフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートの緯度経度モードの動作を詳しく説明するフローチャートである。
【図7】図5に示すフローチャートのポインティングデバイスモードの動作を詳しく説明するフローチャートである。
【図8】図1に示す座標−緯度経度変換テーブルの内容の一例を示す図である。
【図9】図1に示すデータ変換部において電子ペンからのXY座標データを緯度経度データに変換する方法を説明する図である。
【図10】図1に示す施設情報テーブルの内容の一例を示す図である。
【図11】図1に示すリスト表示・項目選択処理部によるディスプレイへのリスト表示例を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る地図表示処理装置を示すブロック構成図であり、入力装置として電子ペン、地図表示装置としてナビゲーション装置を利用した例を示す。
【図13】図11に示すナビゲーション装置の電子ペンからの入力に対する動作例を示すフローチャートである。
【図14】図13に示すフローチャートのポインティングデバイスモードの動作を詳しく説明するフローチャートである。
【図15】図12に示すフローチャートのテキスト入力モードの動作を詳しく説明するフローチャートである。
【図16】図12に示すリスト表示・項目選択処理部によるディスプレイへの絞込み検索の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
11 電子ペン(入力装置)、12 専用シート(地図および位置関連データが印刷された印刷物)、20 ナビゲーション装置(地図表示装置)、21 座標データ入力部(入力手段)、22 ディスプレイ(画像表示手段)、23 地図表示部(地図を表示する手段)、24 地図データベース(地図を表示する手段)、25 データ変換部(対応させて処理する手段)、26 座標−緯度経度テーブル(対応させて処理する手段)、27 施設検索部(対応させて処理する手段)、28 施設情報テーブル(対応させて処理する手段)、29 リスト表示・項目選択処理部(対応させて処理する手段)、30 ポインティング処理部(カーソルを移動させる手段)、31 入力モード管理部、32 文字認識部(文字を認識する手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図および位置関連データが印刷された印刷物から上記位置関連データを読み込む入力装置と、
この入力装置が接続される地図表示装置と、
を備え、
上記地図表示装置は、
画像表示手段と、
この画像表示手段に地図を表示する手段と、
上記入力装置が読み込んだ位置関連データにより表される上記印刷物に印刷された地図上の位置と上記画像表示手段に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段と、
上記入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される上記印刷物上の軌跡に応じて上記画像表示手段の画面上のカーソルを移動させる手段と、
を備えた
ことを特徴とする地図表示処理装置。
【請求項2】
前記位置関連データは、ドットパターンで形成され、前記印刷物を識別する情報および前記印刷物上の座標情報を表すデータであり、
前記処理する手段は、上記識別する情報および上記座標情報から緯度および経度に関する情報を求める手段と、求めた緯度および経度に関する情報で表される範囲内に存在する施設を検索する手段と、検索された施設を前記画像表示手段の画面上にリスト表示し、前記移動させる手段によるカーソル移動によって上記リスト表示された施設のいずれかを選択する手段と、を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の地図表示処理装置。
【請求項3】
前記地図表示装置は、前記入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される前記印刷物上の軌跡から文字を認識する手段をさらに備え、
前記選択する手段は、上記認識する手段により認識された文字列による絞り込み検索が可能である
ことを特徴とする請求項1記載の地図表示処理装置。
【請求項4】
地図および位置関連データが印刷された印刷物から上記位置関連データを読み込むことにより得られたデータを取り込む入力手段と、
画像表示手段と、
この画像表示手段に地図を表示する手段と、
上記入力手段の取り込んだデータにより表される上記印刷物に印刷された地図上の位置と上記画像表示手段に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段と、
上記入力手段が順次取り込んだ入力されたデータにより表される上記印刷物上の軌跡に応じて上記画像表示手段の画面上のカーソルを移動させる手段と、
を備えた
ことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
画像表示装置において地図を表示するとともに、この画像表示装置に接続された入力装置により地図および位置関連データが印刷された印刷物から上記位置関連データを読み込み、
上記画像表示装置では、上記入力装置が読み込んだ位置関連データにより表される上記印刷物に印刷された地図上の位置と画面表示する地図上の位置とを対応させて処理する第1のモードと、上記読み込んだ上記位置関連データにより表される上記印刷物上の軌跡に応じて画面上のカーソルを移動させる第2のモードとを切り替えて処理する
ことを特徴とする地図表示処理方法。
【請求項6】
前記画像表示装置では、前記入力装置が順次読み込んだ位置関連データにより表される前記印刷物上の軌跡から文字を認識して処理する第3のモードに切り替えて処理することを特徴とする請求項5記載の地図表示処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
地図および位置関連データが印刷された印刷物から上記位置関連データを読み込むことにより得られたデータを取り込む入力手段、
画面に地図を表示する手段、
上記入力手段の取り込んだデータにより表される上記印刷物に印刷された地図上の位置と上記画面に表示する地図上の位置とを対応させて処理する手段、および
上記入力手段が順次取り込んだデータにより表される上記印刷物上の軌跡に応じて上記画面上のカーソルを移動させる手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
コンピュータにさらに、前記入力手段が順次取り込んだデータにより表される前記印刷物上の軌跡から文字を認識する手段として機能させるための請求項7記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−300734(P2009−300734A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155074(P2008−155074)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】