垂直嵌合型コネクタ
【課題】小型化、低背化を図ることが可能なコネクタを提供し、また、着脱を繰り返しても応力集中や永久変形による接触不良が生じない垂直嵌合型コネクタを提供する。
【解決手段】垂直嵌合型コネクタ1は、外部端子4と電気的に接続された突起状端子5とを有するレセプタクル2と、突起状端子5が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により突起状端子5と電気的に接続する接点8を備えたプラグ3とを備え、接点8は、各先端部8bが対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが先端部8bに向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部8aを有し、弾性部8aには、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料8fが含まれ、突起状端子5が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料8fの復元力により弾性部8aが突起状端子5に圧接される。
【解決手段】垂直嵌合型コネクタ1は、外部端子4と電気的に接続された突起状端子5とを有するレセプタクル2と、突起状端子5が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により突起状端子5と電気的に接続する接点8を備えたプラグ3とを備え、接点8は、各先端部8bが対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが先端部8bに向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部8aを有し、弾性部8aには、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料8fが含まれ、突起状端子5が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料8fの復元力により弾性部8aが突起状端子5に圧接される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、特に、突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により突起状端子と電気的に接続する接点を備えた垂直嵌合型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラ、ゲーム機等のモバイル端末では、それらの内部の複数の基板上の回路がフィルムケーブルや光伝送用導波路フィルムで接続されて電気信号や光信号が送受信されるようになっている。光伝送用導波路フィルム100等は、図22に示すように、図示しない各基板上に配置される光伝送モジュール101、101に接続されて、各基板上の図示しない回路同士を結ぶようになっている。
【0003】
基板上の回路とフィルムケーブルや光伝送用導波路フィルムとを接続するコネクタや光伝送モジュールは、例えば図22に示した光伝送モジュールの例では、図23(A)に示すように、上部ケース211と下部ケース212でケーシングされた光信号送信・受信部や増幅部、通信制御部がコネクタ本体110の嵌合部120に嵌め込まれて取り付けられる。
【0004】
そして、取り付けの際に、図23(B)に示すように、下部ケース212の側面に設けられた接続端子213に対して、コネクタ本体110に設けられたソケットコンタクト部121が側方から接触することで、光伝送用導波路フィルム100が光信号送信・受信部等や接続端子213、ソケットコンタクト部121を介して外部端子122と電気的に接続され、基板上の図示しない回路に接続されるようになっている。なお、図23(A)では、光伝送モジュール101の光信号送信・受信部や増幅部、通信制御部がそれぞれ分割されてケーシングされた例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286553号公報
【特許文献2】特開2007−157363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図22等に示した光伝送モジュール101は、例えばその長手方向の長さを10mm程度、基板面からの高さを2〜3mm程度の小型に製造することが可能である。しかしながら、モバイル端末の分野では小型化や薄型化等が強く要求されており、光伝送モジュール等についてもさらなる小型化や低背化が求められているが、図22等に示したタイプの光伝送モジュールでは、それ以上の小型化、低背化は必ずしも容易ではない。
【0007】
このように、コネクタや光伝送モジュールのさらなる小型化、低背化を図るためには、コネクタや光伝送モジュールのコネクタ部分の構成を新たな発想に基づいて構成することが必要である。
【0008】
また、この新たな構成のコネクタ等においても、端子や接点が物理的に接触することで電気的に接続されるが、物理的な接触で接点が変形する際に、接点の構造に応力の集中が生じて接点が割れたり破断してしまう場合がある。また、接点の変形が記憶されると永久変形が発生する場合があり、コネクタ部分の着脱を繰り返すと、接点と端子とが物理的に接触しなくなって電気的な接続が切断されたり、コネクタ部分における電気信号の伝導特性が安定しなくなる、いわゆる接触不良が生じる場合がある。
【0009】
新たな構成のコネクタ等においては、このような接点部分での応力集中や永久変形による接触不良等の問題が生じないものであることが望まれる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化、低背化を図ることが可能なコネクタを提供することを目的とし、また、着脱を繰り返しても応力集中や永久変形による接触不良が生じない垂直嵌合型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタは、
外部端子と電気的に接続された突起状端子とを有するレセプタクルと、
前記突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により前記突起状端子と電気的に接続する接点を備えたプラグと、
を備え、
前記接点は、各先端部が対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが前記先端部に向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部を有し、前記弾性部には、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が含まれ、前記突起状端子が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料の復元力により前記弾性部が前記突起状端子に圧接されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記金属材料は、銅または銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記金属材料は、純Ni、Ni系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、その根元部分が支持体により挟持され、前記先端部側が前記支持体から突出するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層と、前記突起状端子に圧接され電気的に接続する金属層とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層が、前記突起状端子に圧接され電気的に接続されることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、さらに絶縁層を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接点の弾性部には銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層が含まれるため、レセプタクルに設けられた突起状端子をプラグの接点に垂直に挿入すると、接点の弾性部が弾性的に変形して生じた復元力により弾性部が突起状端子に圧接されて、接点と突起状端子とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。そのため、プラグの各接点や各突起状端子を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となるため、垂直嵌合型コネクタ全体の小型化を図ることが可能となる。
【0019】
また、突起状端子は、プラグの接点との電気的な接続が確保される程度にレセプタクルから突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持されるため、レセプタクルやプラグの厚みを十分に薄く形成することが可能となる。そのため、垂直嵌合型コネクタ全体の厚みを0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0020】
さらに、プラグの接点の弾性部が、少なくともその延在方向に直交する方向の幅や厚さが先端部に向かうほど小さくなるように形成されているため、接点の弾性部が突起状端子に圧接される際に、弾性部に加わる曲げ応力が弾性部全体に分散される。そのため、曲げ応力が弾性部の根元付近に集中して加わり根元部分で割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。また、接点の弾性部には銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層が含まれるため、弾性部に強い曲げ応力が加わっても弾性部に永久変形が生じず、或いは、永久変形が生じたとしても従来のようなりん青銅等の金属材料を用いた場合よりも格段に小さい変形しか生じないようにすることが可能となる。
【0021】
そのため、垂直嵌合型コネクタ部分でレセプタクルに対するプラグの着脱が繰り返されても、高弾性金属層の復元力による接点の弾性部の突起状端子への押圧が維持され、接点の弾性部と突起状端子との物理的な接触が維持される。そのため、接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第1の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタの分解斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿うレセプタクルの断面図である。
【図3】(A)外部端子と一体的に形成された突起状端子を示す斜視図であり、(B)幅方向に一部突出した部分を設けた突起状端子を示す平面図である。
【図4】図1におけるプラグを上下反転させた状態を表す斜視図である。
【図5】プラグの接点部分の構成を示す拡大された平面図である。
【図6】プラグの接点部分の変形例を示す拡大された平面図であり、(A)は弾性部を三角形状に形成した場合、(B)は弾性部の幅が曲線的に小さくなるように形成した場合を表す。
【図7】プラグの接点部分の幅を一定に形成された弾性部を示す拡大された平面図である。
【図8】接点の弾性部に加わる応力の分布を示す図であり、(A)は弾性部が図7のように形成された場合、(B)は弾性部が図5のように形成された場合を表す。
【図9】(A)は接点の断面図であり、(B)は(A)の断面図の拡大図である。
【図10】高弾性金属層に用いられる金属と従来のりん青銅の各応力−ひずみ曲線を表すグラフである。
【図11】(A)は弾性部の根元部分が支持体の前方に位置するように形成された場合を示し、(B)は弾性部の根元部分が支持体で上下から挟持された状態に形成された場合を示す平面図である。
【図12】レセプタクルにプラグを取り付けてシールドカバーを被せた状態の垂直嵌合型コネクタを示す斜視図である。
【図13】本実施形態に係る垂直嵌合型コネクタの作用を説明する断面図であり、(A)は接点に突起状端子5が下側から接触した状態、(B)は接点に突起状端子が挿入されている状態、(C)は接点への突起状端子の挿入が完了した状態を表す。
【図14】(A)接点の弾性部を金属層のみで構成された従来の弾性部での状況を説明する断面図であり、(B)突起状端子と接点の金属層との間に隙間が生じた状態を表す断面図である。
【図15】強い曲げ応力が加わった場合に本実施形態の高弾性金属層に残る変形量と従来のりん青銅等に残る変形量を説明するグラフである。
【図16】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第2の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタ(光伝送モジュール)の分解斜視図である。
【図17】第2の実施形態に係るプラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。
【図18】ヒンジ部の構成を説明する側面図である。
【図19】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第3の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタ(光−電気伝送モジュール)の分解斜視図である。
【図20】第3の実施形態に係るプラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。
【図21】嵌合解除用の片材の構成例を示す斜視図である。
【図22】従来の光伝送モジュールおよび光伝送用導波路フィルムを表す図である。
【図23】(A)は図22の光伝送モジュールの分解斜視図であり、(B)は(A)におけるコネクタ本体と下部ケースとの接続状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る垂直嵌合型コネクタの実施形態について、図面を参照して説明する。ただし発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。なお、以下では、垂直嵌合型コネクタを単にコネクタと記載する。
【0024】
[第1の実施の形態]
第1の実施形態では、コネクタを構成するプラグが、フィルムケーブルの一端側に形成される場合について説明する。
【0025】
本実施形態に係るコネクタ1は、図1に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル2と、レセプタクル2に接続されるプラグ3とを備えている。
【0026】
なお、本明細書では、図1に示すようにレセプタクル2の基部2aが水平方向に延在し、突起状端子5の突端部5aが上向きに突出するように配置された場合に基づいて上下や水平方向等の文言を用いて説明するが、これはあくまで各部材の相対的な位置関係について説明するものである。すなわち、例えばレセプタクル2がいわば下向きに取り付けられ突起状端子5の突端部5aが下向きに突出するように配置された場合には以下の記載の上下が反転し、例えばレセプタクル2がいわば横向きに取り付けられ突起状端子5の突端部5aが水平方向に突出するように配置された場合には以下の上下方向の記載が水平方向を意味することになる。
【0027】
レセプタクル2には、外部端子4と電気的に接続された突起状端子5が設けられている。本実施形態では、突起状端子5は外部端子4と一体的に形成されており、図2の断面図に示すように、略水平方向に延在する外部端子4の一端側が上向きに屈曲されて突起状端子5とされた略L字状に形成されている。また、突起状端子5は、図3(A)に示すように、外部端子4の部分を含めてインサート成形によりその横幅が均一となるように形成されている。このように形成すれば突起状端子5を安価に製造することも可能となる。
【0028】
例えば図3(B)の平面図に示すように、突起状端子5に幅方向に突出した部分Bが存在すると、特に高周波の電気信号が突起状端子5の内部やその表面を伝送される場合、例えば図中に点線の矢印で示すように突起状端子5から外部端子4に向かって伝送される電気信号が突出部Bで反射されるなどして電気信号の伝送効率が低下する場合がある。
【0029】
しかし、本実施形態のように、突起状端子5を横幅が均一となるように形成することで、このような電気信号の伝送効率が低下することを防止することが可能となる。また、突起状端子5に突出部Bのような余分な構造を設けないため、突起状端子5をいわばスリムに形成することが可能となり、複数の突起状端子5の配置間隔を狭めて配置することができ、狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、図1に示すように、複数の突起状端子5が、それらの各突端部5aがレセプタクル2の基部2aから上向きに突出するようにレセプタクル2に固定されており、各突端部5aの突出位置がレセプタクル2の基部2aにおいて千鳥状に配置されるようになっている。
【0031】
プラグ3は、本実施形態では、図1におけるプラグ3を上下反転させた状態を表す図4に示すように、フィルムケーブル6と、フィルムケーブル6の一端側に固定されフィルムケーブル6と電気的に接続された回路基板7とを備えている。プラグ3の回路基板7は例えばフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit。以下、FPCと略称する。)で構成されている。FPCは、通常、ポリイミド等からなる絶縁層に銅箔が貼り付けられるなどして形成されるが、その積層構造には種々の形態が存在する。
【0032】
また、プラグ3の回路基板7には、レセプタクル2に設けられた複数の突起状端子5の各突端部5aに対応する各位置にそれぞれ接点8が設けられている。本実施形態では、前述したように複数の突起状端子5の各突端部5aがレセプタクル2の基部2aに千鳥状に配置されているため、各接点8も回路基板7に千鳥状に配置されている。また、各接点8は、フィルムケーブル6中の図示しない各配線とそれぞれ接続されている。接点8の構成については後で詳しく説明する。
【0033】
前述したように、プラグ3の回路基板7がFPCで構成されているため、図1に示したように、回路基板7をレセプタクル2に取り付ける際に回路基板7に容易に捩れ等の変形が生じて回路基板7がレセプタクル2に対して部分的に浮いてしまう場合がある。そして、浮いた部分では、突起状端子5の突端部5aが接点8に的確に挿入されなくなり、良好な電気的な接続が得られなくなる場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態では、回路基板7の変形によるレセプタクル2に対する浮きの発生をさらに確実に防止するために、図1に示すように、回路基板7に、接点8に対応する位置に開口が設けられた捩れ防止部材9が取り付けられるようになっている。捩れ防止部材9は、例えば金属板等の剛性を有する部材で形成される。
【0035】
以下、接点8の構成について説明する。接点8は、図5に示すように、各先端部8bが対向する2枚の舌片状の弾性部8aを有するように構成されている。そして、各弾性部8aは、その延在方向に直交する方向の幅が、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されている。なお、図5以下の各図では、図1と同様にプラグ3を上側から見た図を示す。
【0036】
なお、幅が先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば、弾性部8aは図5に示したような台形状でなくてもよく、例えば図6(A)に示すような三角形状に形成することも可能であり、また、図6(B)に示すように、弾性部8aの幅が曲線的に小さくなるように形成することも可能である。なお、図5や図6(A)、(B)では、弾性部8aが左右対称の場合を示したが、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば左右対称でなくてもよい。
【0037】
このように接点8の弾性部8aの幅を先端部8bに向かうほど小さくなるように形成する理由は、以下の通りである。
【0038】
本実施形態に係る弾性部8aの延在方向の実際の長さは数百μmと非常に短い。そのため、例えば、図7に示すように弾性部8aを略長方形状に形成すると(すなわち弾性部8aの幅を一定に形成すると)、後述するように接点8の弾性部8aに突起状端子5の突端部5a(図1参照)を垂直に挿入する際に、図8(A)に濃淡を付して示すように、弾性部8aに強い曲げ応力が加わる。しかも、その曲げ応力が弾性部8aの根元付近に集中する場合があり、曲げ応力により弾性部8aに割れを生じたり破断する可能性がある。
【0039】
しかし、図5に示した本実施形態の弾性部8aのように、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば、弾性部8aが曲がり易くなるとともに、図8(B)に濃淡を付して示すように、突起状端子5の突端部5aを挿入する際の曲げ応力を弾性部8a全体に分散させることができる。そのため、弾性部8aの根元付近に曲げ応力が集中することを防止することが可能となり、曲げ応力によって弾性部8aに割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0040】
また、弾性部8aの幅を先端部8bに向かうほど小さくする代わりに、或いは、幅を小さくするとともに、弾性部8aの厚さを先端部8bに向かうほど小さくするように構成することによっても、上記のように、弾性部8aが曲がり易くなり、曲げ応力を弾性部8a全体に分散させて、曲げ応力によって弾性部8aに割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0041】
そのため、図5や図6(A)、(B)に示した先端部8bに向かうほど幅が小さくなるように形成された弾性部8aの場合だけでなく、弾性部8aを図7に示したように略長方形状等に形成した場合でもその厚さを先端部8bに向かうほど小さくするように構成することによって、上記の効果を得ることができる。なお、この場合も、弾性部8aの厚さを先端8bに向かうほど小さくなるように形成されていればよく、必ずしも上下対称の形状でなくてもよい。
【0042】
本実施形態では、接点8は、図9(A)の断面図に示すように、層構造を有する接点8の弾性部8aが、レジスト等からなる上下の支持体8c、8cで挟持され、先端部8b側が支持体8cから突出されるようにして形成されている。
【0043】
本実施形態では、接点8の弾性部8aを形成する層構造は、図9(B)に示すように、少なくとも、突起状端子5に対向する側に設けられた電気的な接続用の金属層8dと、その上方に設けられた絶縁層8eと、さらにその上方に設けられた高い弾性を有する金属材料で形成された金属層(以下、高弾性金属層という。)8fとを備えるように構成されている。
【0044】
本実施形態では、接点8の弾性部8の金属層8dは、FPCを構成する銅箔8d1の下面側にニッケル(Ni)層8d2や金(Au)層8d3をそれぞれ電解メッキにより積層して形成されており、この金属層8dがフィルムケーブル6中の各配線とそれぞれ接続されている。
【0045】
銅箔8d1上にニッケルや金を積層すると、後述するように弾性部8aに突起状端子5の突端部5aを挿入して弾性部8aが変形する際にニッケルや金の積層部分に割れを生じる等の不具合が発生する場合があるが、電解メッキにより積層することで、このような不具合の発生を防止することが可能となるという利点がある。
【0046】
また、絶縁層8eには、回路基板7を構成するFPCのポリイミド等からなる絶縁層が用いられている。なお、本実施形態では、FPCを構成する銅箔の下面側にニッケルや金を積層する場合について説明したが、弾性部8aの金属層8dの全部を絶縁層8eに対するメッキ等の方法で新たに形成することも可能である。
【0047】
高弾性金属層8fには、通常、コネクタの接点に用いられる銅(いわゆる純銅)や、りん青銅やチタン銅、ベリリウム銅等の銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が用いられており、本実施形態では、高弾性金属層8fを構成する金属材料として、純NiやNi系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等の、純銅や銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料が用いられている。
【0048】
高弾性金属層8fを、純NiやNi系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等を組み合わせて形成することも可能である。このような金属材料を用いた高弾性金属層8fは、図10に示す応力−ひずみ曲線(S−S曲線)に示されるように、通常のりん青銅に比べて降伏応力が2倍以上高く、また、弾性を向上させたベリリウム銅等よりも降伏応力が高い。なお、図10において、σは応力[MPa]、εは伸び[%]を表す。
【0049】
なお、接点8の弾性部8aは、図9(A)、(B)に示したように、金属層8dと絶縁層8eと高弾性金属層8fとを備える構成である必要はなく、例えば、絶縁層8eを設けずに、金属層8dと高弾性金属層8fとを直接張り合わせるようにして形成してもよく、金属層8dの銅箔8d1の部分を高弾性金属層8fと同じ高弾性の金属材料で構成することも可能である。
【0050】
このように、金属層8dや絶縁層8e、高弾性金属層8fの数はそれぞれ適宜増減して接点8の弾性部8aが形成されるが、高弾性金属層8fは、少なくとも1層は必ず設けられる。
【0051】
また、上記のように接点8に2枚の舌片状の弾性部8aを形成する際、図11(A)に示すように、高弾性金属部材8f等が積層されて形成された部材に対して数十μm径のレーザ光を照射し、略H字状の穴をあけるようにして2枚の舌片状の弾性部8aが形成される。なお、略H字状の穴をエッチング加工やプレス加工等を用いて形成してもよい。
【0052】
その際、図11(A)に示すように接点8の2枚の舌片状の弾性部8aの根元部分8gが支持体8cで上下から挟持されずに支持体8cの前方に位置するように形成されると、後述するように接点8に突起状端子5の突端部5a(図1参照)を挿入する際に、弾性部8aの根元部分8gに曲げ応力が集中して、弾性部8aの根元部分8gで金属層8d等に割れや破断を生じる場合がある。
【0053】
本発明者らの研究によれば、図11(B)に示すように、接点8の弾性部8aを形成するための略H字状の穴を弾性部8aの延在方向に拡大して形成し、弾性部8aの根元部分8gをレジスト等からなる支持体8cで上下から挟持し、先端部8b側が支持体8cから突出するように形成することで、すなわち弾性部8aをこのようにいわば釣竿状に形成することで、弾性部8aの根元部分8gへの曲げ応力の集中を回避することができることが分かっている。そして、このように形成することで、弾性部8aの根元部分8gの金属層8d等での割れや破断の発生を確実に防止することが可能となる。
【0054】
また、図9(A)に示すように、本実施形態では、接点8の2枚の弾性部8aは、その先端部8b側がそれぞれ予め突起状端子5の挿入方向すなわち上向きに湾曲させて形成されている。その際、2枚の弾性部8aの各先端部8b間の間隔が、突起状端子5の突端部5aの幅よりも狭くなるように形成される。
【0055】
このように、接点8の各弾性部8aの先端部8b側を予め突起状端子5の挿入方向に湾曲させておくことで、プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際に、接点8に挿入される突起状端子5の突端部5aによる曲げ応力が湾曲するように形成された弾性部8a全体に分散される。そのため、弾性部8aの根元部分8gに曲げ応力が集中することを回避することが可能となり、上記と同様に弾性部8aの根元部分8gでの割れや破断の発生を確実に防止することが可能となる。
【0056】
また、プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際に、突起状端子5の突端部5aが接点8の弾性部8aの湾曲部分に嵌まり込むため、突起状端子5の接点8に対する位置決めを容易に行うことも可能となる。
【0057】
図1に示すように、本実施形態では、プラグ3の回路基板7をレセプタクル2に取り付ける際にプラグ3の表裏を逆に取り付ける等の誤挿入を防止するための誤挿入防止機構が設けられている。
【0058】
具体的には、プラグ3の回路基板7やそれに取り付けられる捩れ防止部材9の、フィルムケーブル6の延在方向の左右の縁部には、平面視にて略矩形状に形成されたレセプタクル2の短辺側壁部10、10にそれぞれ内向きに設けられた係合凸部11、11に係合してレセプタクル2に対してプラグ3を位置決めし、プラグ3がレセプタクル2からフィルムケーブル6の延在方向に抜けることを防止する係合凹部12、12がそれぞれ設けられている。
【0059】
しかし、これだけでは、例えばプラグ3の表裏が逆に取り付けられた場合でもレセプタクル2側の係合凸部11、11とプラグ3側の係合凹部12、12とが係合されてしまうため、取付者が誤挿入に気がつかない場合がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、プラグ3側には、回路基板7やそれに取り付けられる捩れ防止部材9の、フィルムケーブル6の延在方向の左右いずれか一方の縁部に係合凹部12とは別の凹部13が設けられ、レセプタクル2側には、プラグ3がレセプタクル2に正しく取り付けられる場合にプラグ3側の凹部13が位置する側のレセプタクル2の短辺側壁部10に内向きに凸部14が設けられて、誤挿入防止機構が形成されている。
【0061】
このように、レセプタクル2側およびプラグ3側の、フィルムケーブル6の延在方向の左右いずれか一方側に凸部14および凹部13を設けることで、例えばプラグ3の表裏を逆に取り付けた場合にはプラグ3の凹部13が設けられていない側の端部15(図1参照)がレセプタクル2の凸部14とぶつかってプラグ3の挿入が阻害されるため、取付者が誤挿入に気がつきプラグ3をレセプタクル2に正しく挿入することが可能となる。
【0062】
レセプタクル2には、金属材料からなるシールドケース16が、少なくとも短辺側壁部10、10の外側に設けられている。シールドケース16は、レセプタクル2に設けられた突起状端子5やそれと接続されるプラグ3の接点8等に外部から到達する妨害波を遮蔽するためのものであり、妨害波の遮蔽によりそれらを介する正常な電気信号の伝送が維持される。なお、この目的を達成するために、シールドケース16を、さらにレセプタクル2の外部端子4が設けられた長辺側の側面部や下面をも被覆するように構成することも可能である。
【0063】
また、レセプタクル2には、同様の目的で、金属材料からなるシールドカバー17が取り付けられるようになっている。
【0064】
図1に示すように、シールドカバー17には、少なくともそのフィルムケーブル6の延在方向の左右の縁部が下方に垂下されて側壁部18が形成されており、各側壁部18にはそれぞれ係止孔19が設けられている。また、レセプタクル2側の各シールドケース16にはそれぞれ外側に突出するように形成された係止用突起部20が設けられている。
【0065】
そして、図12に示すように、プラグ3が取り付けられたレセプタクル2にシールドカバー17を被せる際に、レセプタクル2側のシールドケース16の係止用突起部20がシールドカバー17の係止孔19に係止されることでシールドカバー17がシールドケース16にロックされるようになっており、係止孔19と係止用突起部20とによりロック機構が形成されている。
【0066】
このように、シールドカバー17がシールドケース16にロックされ、レセプタクル2に確実に係止されることにより、レセプタクル2に設けられた突起状端子5やプラグ3の接点8(図1等参照)等に外部から到達する妨害波が遮蔽されてそれらを介する電気信号の伝送が正常に維持されるとともに、プラグ3の各接点8への突起状端子5の挿入や、プラグ3の回路基板7や捩れ防止部材9の係合凸部11とレセプタクル2の係合凹部12との係合等と相俟ってプラグ3がレセプタクル2からフィルムケーブル6の延在方向に抜けることが確実に防止される。
【0067】
また、図1に示すように、シールドカバー17には、シールドカバー17がレセプタクル2に取り付けられる際に、プラグ3を上方から弾性的に押圧して、レセプタクル2に設けられた各突起状端子5がプラグ3の各接点8に確実に挿入され、突起状端子5と接点8との電気的な接続をより確実にするための弾性保持部21、21が設けられている。
【0068】
本実施形態では、弾性保持部21、21は、シールドカバー17の上面22の、フィルムケーブル6の延在方向の左右対称の位置に、コ字状に打ち抜かれて2枚の片部が形成され、それらが下向きに僅かに折り曲げられて形成されている。また、各弾性保持部21、21は、回路基板7上に千鳥状に2列に形成された各接点8の各列の間に設けられた捩れ防止部材9の梁状の部分23に接触して押圧するようになっており、捩れ防止部材9を介して回路基板7上のフィルムケーブル6の延在方向の前後2列の各接点8を押圧するようになっている。
【0069】
このように、弾性保持部21は、プラグ3の各接点8を、フィルムケーブル6の延在方向に対して左右対称の位置や前後対称の位置で押圧するように構成することが好ましい。このように構成することで、プラグ3の各接点8が弾性保持部21により均等に押圧されてすべての接点8に各突起状端子5が確実に挿入され、それらが確実に電気的に接続される。
【0070】
また、コネクタ1がモバイル端末等に内蔵されて使用される際に振動や衝撃が加わっても、弾性保持部21によりプラグ3がレセプタクル2側に押圧されていれば、プラグ3がレセプタクル2やシールドカバー17等の内部でがたつくことが防止される。なお、弾性保持部21は、上記のように機能すればよく、形成される弾性保持部21の数は2つに限定されない。
【0071】
次に、本実施形態に係るコネクタ1の作用について説明する。
【0072】
プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際、図13(A)に示すように、まず、プラグ3の回路基板7の各接点8の金属層8dに、レセプタクル2に設けられレセプタクル2の基部2aから上向きに突出した突起状端子5の突端部5aが下側から接触する。なお、図13(A)〜(C)では、接点8における絶縁層8eやNi層8d2、Au層8d3等の図示が省略されている。
【0073】
そして、プラグ3がさらに下方に押し込まれると、図13(B)に示すように、突起状端子5の突端部5aは接点8の各弾性部8aの間隙部分に垂直に挿入されていき、弾性部8aの金属層8dや高弾性金属層8f等が突起状端子5の挿入方向すなわち上方に撓む。そして、突起状端子5は、各弾性部8aを撓ませながら2枚の弾性部8aの間に進入していく。
【0074】
その際、接点8の弾性部8aの高弾性金属層8fが前述したように高い弾性を有する金属材料で構成されているため、高弾性金属層8fが弾性的に撓む。すなわち、仮に突起状端子5を抜き取れば、高弾性金属層8fは、その弾性により、図9(A)等に示したように先端部8bが上向きに湾曲された状態に戻ろうとする。そのため、図13(B)のように、撓ませられた高弾性金属層8fは、その復元力により突起状端子5の側面に対して側方から押圧するように力を及ぼす。
【0075】
そのため、弾性部8aの金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態となり、突起状端子5がプラグ3の接点8に押し込まれて弾性部8aに対して相対的に上方に移動する間、弾性部8aの金属層8dにより突起状端子5の側面がいわば擦られる状態となる。
【0076】
そして、図13(C)に示すように、さらに突起状端子5をプラグ3の接点8に押し込むと、接点8の弾性部8aの金属層8dにより突起状端子5の側面が擦られて、突起状端子5の側面に付着物等が擦り取られて除去される。そのため、少なくとも突起状端子5と接点8の弾性部8aの金属層8dとの間には介在物が存在しなくなり、突起状端子5と接点8とが金属層8dを介して確実に接触する状態となる。なお、以下、この弾性部8aの高弾性金属層8fの復元力により金属層8dが突起状端子5を擦ることによる突起状端子5の表面の付着物等の除去効果をクリーニング効果という。
【0077】
また、図13(C)に示すように、突起状端子5がプラグ3の接点8に完全に挿入された後も高弾性金属層8fの復元力は維持されるから、金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態が持続され、上記の金属層8dを介する突起状端子5と接点8との接触状態が維持される。
【0078】
このように、本発明では、レセプタクル2に設けられた突起状端子5の突端部5aを接点8に挿入するだけで、接点8の弾性部8aの弾性的な変形による復元力が働いて、上記のクリーニング効果が実現され、突起状端子5と接点8とが電気的に確実に接続されるようになるとともに、上記の高弾性金属層8fの復元力により、接点8の金属層8dが突起状端子5に圧接されて上記の電気的な接続状態が確実に維持される。
【0079】
りん青銅等で形成された金属部8dのみを有し、本実施形態のような高弾性金属層8fを設けない従来の弾性部8aでは、図14(A)に示すように、弾性部8aに突起状端子5が挿入された状態で、例えばコネクタ全体が振動してプラグ3の接点8の中で突起状端子5が左右方向に相対的に動くと、りん青銅等で形成された金属層8dは復元力が小さいため接触を維持し難く、導通不良が発生する場合がある。
【0080】
そのため、レセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返され、突起状端子5が接点8に再度挿入された際に、図14(B)に示すように突起状端子5と接点8の金属層8dとの間に隙間が生じてしまい、プラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続が失われる。このように、従来の弾性部8aでは、プラグ3の着脱を繰り返すと、接点8の弾性部8aの大きな永久変形によってプラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続が失われる場合が生じ得る。
【0081】
一方、本実施形態の接点8では、弾性部8aに高弾性金属層8fが設けられている。そのため、図13(C)に示したように弾性部8aに突起状端子5が挿入された状態で、例えばコネクタ全体が振動してプラグ3の接点8の中で突起状端子5が左右方向に相対的に動いても、高弾性金属層8fが高い弾性を有し、降伏応力が高い金属材料で形成されているため、弾性部8aに変形が生じず、プラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続を的確に維持することが可能となる。
【0082】
また、接点8の弾性部8aに高弾性金属層8fの降伏応力を越えるほど強い曲げ応力が加わった場合でも、図15に示すように、例えばりん青銅で形成された金属部8dを有する従来の弾性部8aが同じだけ変形した場合に残る変形量ε2よりも、本実施形態のような高弾性金属層8fを含む弾性部8aに残る変形量ε1は格段に小さくなる。
【0083】
そのため、高弾性金属層8fの復元力が多少弱まるとしても、レセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返され、突起状端子5が接点8に再度挿入された際には、図13(C)に示したように、高弾性金属層8fの復元力により接点8の金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態が持続されるため、金属層8dを介する突起状端子5と接点8との接触状態が良好に維持される。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ(垂直嵌合型コネクタ)1によれば、接点8の弾性部8aには銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層8fが含まれるため、レセプタクル2に設けられた突起状端子5をプラグ3の接点8に挿入すると、弾性部8aが弾性的に変形して生じた復元力により弾性部8aの金属層8dが突起状端子5に圧接されて、接点8と突起状端子5とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。
【0085】
このように、本実施形態に係るコネクタ1では、突起状端子5をプラグ3の接点8に挿入するだけでそれらの電気的な接続が確実に得られるため、プラグ3の各接点8や各突起状端子5を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して、十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となり、コネクタ1全体の小型化を図ることが可能となる。
【0086】
また、突起状端子5は、プラグ3の接点8との電気的な接続が確保される程度にレセプタクル2から突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持される。そのため、レセプタクル2やプラグ3の上下方向の厚みを十分に薄く形成することが可能となり、シールドカバー17を含むコネクタ1全体としてもその厚みを0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0087】
さらに、本実施形態に係るコネクタ1では、プラグ3の接点8の弾性部8aが、少なくともその延在方向に直交する方向の幅や厚さが先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されているため、接点8の弾性部8aが突起状端子5に圧接される際に、弾性部8aに加わる曲げ応力が弾性部8a全体に分散される。そのため、曲げ応力が弾性部8aの根元付近に集中して加わり根元部分で割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0088】
また、接点8の弾性部8aには銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層8fが含まれるため、弾性部8aに強い曲げ応力が加わっても弾性部8aに永久変形が生じず、或いは、永久変形が生じたとしても、図15に示したように従来のようなりん青銅等の金属材料を用いた場合よりも格段に小さい変形しか生じないようにすることが可能となる。
【0089】
そのため、本実施形態に係るコネクタ1によれば、コネクタ部分でレセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返されても、高弾性金属層8fの復元力による接点8の弾性部8aの突起状端子5への押圧が維持され、接点8の弾性部8aと突起状端子5との物理的な接触が維持される。そのため、接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、図5や図6(A)、(B)等に示したように、1つの接点8を構成する2枚の舌片状の弾性部8aの先端部8b同士が略平行に形成されている場合について説明したが、弾性部8aの先端部8bの複数箇所を相手側の弾性部8aに向かって突出させるなど、先端部8bに凹凸を設けるように形成することも可能である。
【0091】
[第2の実施の形態]
第2の実施形態では、コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)を構成するプラグが、光伝送用導波路フィルムの一端側に形成され、電気信号と光信号とを相互に変換して送受信するプラグである場合について説明する。このように、本実施形態においては、コネクタにより光伝送モジュールが形成される。そのため、以下、コネクタ30という場合、それを光伝送モジュール30と読み替えることが可能である。
【0092】
本実施形態に係るコネクタ30は、図16に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル31と、レセプタクル31に接続されるプラグ32とを備えている。
【0093】
レセプタクル31には、外部端子33と電気的に接続された突起状端子34が設けられている。突起状端子34は、本実施形態においても第1の実施形態の図2や図3(A)に示した突起状端子5と同様に、外部端子33と一体的に略L字状に形成されており、インサート成形によりその横幅が均一となるように形成されている。そのため、突起状端子34の内部やその表面を伝送される電気信号の伝送効率が低下することを防止することが可能となり、突起状端子34をスリム化して狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0094】
また、突起状端子34は、その突端部34aがレセプタクル31の基部31aから上向きに突出するようにレセプタクル31に固定されている。また、本実施形態では、複数の突起状端子34の各突端部34aの突出位置がレセプタクル31の基部31aの内側周縁部付近になるように配置されている。
【0095】
プラグ32は、本実施形態では、光伝送用導波路フィルム35や回路基板36等を備えている。また、回路基板36には、外部から到達する妨害波を遮蔽するシールドカバーとして機能する金属材料からなる保護カバー37が、後述する回路基板36の各電子部品等を被覆するように設けられている。
【0096】
本実施形態では、保護カバー37は、回路基板36のアース配線と接続されていて回路基板36のアースも兼ねており、また、プラグ32のレセプタクル31に対する誤挿入を防止するための誤挿入防止機構としても機能している。さらに、保護カバー37は、後述するようにシールドカバー45に設けられた弾性保持部53、53により上方から押圧されることで回路基板36をレセプタクル31側に押圧して回路基板36の浮きの発生を防止し、回路基板36の各接点38にレセプタクル31に設けられた突起状端子34が確実に挿入されるようにする機能をも有している。
【0097】
図17は、プラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。図17では、保護カバー37が外された状態のプラグ32が示されている。
【0098】
プラグ32の回路基板36は、例えばFPCで構成される。また、プラグ32の回路基板36には、レセプタクル31に設けられた複数の突起状端子34の各突端部34aに対応する各位置にそれぞれ接点38が設けられている。本実施形態においても、接点38の構成や変形例、それらの機能等は、前述した第1の実施形態における接点8の構成や変形例、機能等とまったく同様であるので説明を省略する。
【0099】
また、前述した第1の実施形態と同様に、本実施形態においてもプラグ32の接点38の部分に回路基板36の捩れ等の変形の発生を防止する捩れ防止部材を取り付けるように構成することも可能であるが、本実施形態では、回路基板36自体の厚みを分厚く形成することで回路基板36に捩れ等の変形が発生することを防止、レセプタクル31に対する回路基板36の浮きの発生を防止するように構成されている。
【0100】
そのため、接点38の弾性部38aの肉厚が、回路基板36の他の部分の肉厚よりもかなり薄肉に形成されている。しかし、適度な復元力が得られるように、接点38の弾性部38aに、図示を省略する高弾性金属層(第1の実施形態における高弾性金属層8f参照)が設けられることは第1の実施形態で述べたとおりである。
【0101】
なお、本実施形態においても、接点38の各弾性部38aは、先端部に向かうほどその幅や厚さが小さくなるように形成されている。また、弾性部38aはそれぞれ予め突起状端子34の各突端部34aの挿入方向に湾曲して形成されていれば好ましく、さらに、図11(B)に示した第1の実施形態の場合と同様に弾性部38aの根元部分が支持体により挟持され、その先端部側が支持体から突出するように形成されていることが好ましい。
【0102】
本実施形態では、プラグ32の回路基板36は、各接点38のほか、光伝送用導波路フィルム35を介して伝送される光信号を電気信号に変換し、突起状端子34と接点38とを介して伝送される電気信号を光信号に変換する等の機能を有する電子部品39と、各電子部品39と接点38とを電気的に接続する配線40と、光信号と電気信号とを相互に変換して、光伝送用導波路フィルム35を介して伝送される光信号を電気信号に変換し、電子部品39から出力される電気信号を光信号に変換して光伝送用導波路フィルム35に出力する光信号送信・受信部41とを備えている。
【0103】
また、回路基板36には、光伝送用導波路フィルム35側に延出された延出部36aが設けられている。また、光信号送信・受信部41の上端に一端側が取り付けられた光伝送用導波路フィルム35と回路基板36の延出部36aとの間にスペーサ42が設けられており、スペーサ42を介して光伝送用導波路フィルム35が回路基板36の延出部36aに固定されている。
【0104】
このように、本実施形態では、回路基板36に延出部36aを設け、スペーサ42を介して光伝送用導波路フィルム35を延出部36aに固定することで、光伝送用導波路フィルム35に外力が加わった際に光伝送用導波路フィルム35が回路基板36に対して相対的に移動することを、少なくとも回路基板36の近傍では封じることが可能となるため、光伝送用導波路フィルム35の端部が光信号送信・受信部41から外れて光信号の送受信を行えなくなることを的確に防止することが可能となる。
【0105】
図16に示すように、本実施形態においても、レセプタクル31には、外部から到達する妨害波を遮蔽するための金属材料からなるシールドケース43が、レセプタクル31の側壁44の外側壁面を被覆するように設けられている。また、レセプタクル31には、外部から到達する妨害波を遮蔽するための金属材料からなるシールドカバー45が取り付けられるようになっている。
【0106】
シールドカバー45には、少なくともその光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右の縁部が下方に垂下されて側壁部46が形成されており、各側壁部46にはそれぞれ係止孔47が設けられている。また、レセプタクル31側の各シールドケース43にはそれぞれ外側に突出するように形成された係止用突起部48が設けられており、プラグ32が取り付けられたレセプタクル31にシールドカバー45を被せる際に、レセプタクル31側のシールドケース43の係止用突起部48がシールドカバー45の係止孔47に係止されることでシールドカバー45がシールドケース43にロックされるロック機構が形成されている。
【0107】
また、本実施形態では、図18の側面図に示すように、シールドカバー45には、その各側壁部46のシールドケース43側端部がそれぞれ爪状に内向きに折り曲げられて係止部49が設けられており、シールドケース43には、シールドカバー45の各側壁部46に対応する側の各側壁部50にそれぞれ孔51が穿設されている。
【0108】
そして、シールドカバー45の爪状の各係止部49がシールドケース43の各側壁部50の各孔51にそれぞれ係止されることでヒンジ部52が構成されている。シールドカバー45は、このヒンジ部52を介してシールドケース43に対して開閉自在とされている。
【0109】
このように、シールドカバー45の爪状の係止部49をシールドケース43の孔51に係止してヒンジ部52を形成することで、例えば図23(A)に示したように、コネクタ本体110のシールドケース301とシールドカバー302とを開閉自在に接続するために別体のピン300を設ける場合に比べて部品点数を少なくすることが可能となる。
【0110】
また、それとともに、シールドケース43やシールドカバー45を小型化し低背化しても、シールドケース43やシールドカバー45をマウンタで吸着する等してヒンジ部52により容易かつ確実にシールドケース43に対してシールドカバー45を開閉自在に取り付けることが可能となり、コネクタ30(光伝送モジュール30)の小型化、低背化を図ることが可能となる。
【0111】
なお、第1の実施形態においても、シールドケース16に対してシールドカバー17をヒンジ部を介して開閉自在に取り付けるように構成することも可能である。
【0112】
図16に示すように、本実施形態においても、シールドカバー45には、シールドカバー45がシールドケース43に対して閉じられプラグ32がレセプタクル31に取り付けられる際に、プラグ32の保護カバー37を上方から弾性的に押圧して、レセプタクル31に設けられた各突起状端子34がプラグ32の回路基板36の各接点38に確実に挿入され、突起状端子34と接点38との電気的な接続をより確実にするための弾性保持部53、53が設けられている。
【0113】
弾性保持部53、53は、シールドカバー45の上面54がコ字状に打ち抜かれて形成された2枚の片部からなり、それらが下向きに僅かに折り曲げられて形成されている。また、本実施形態では、弾性保持部53、53は、シールドカバー45が閉じられた際、プラグ32の保護カバー37の上面37aにおける、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右方向および前後方向の中心点Oを中心として、保護カバー37の上面37aの対称な位置を押圧するようになっている。
【0114】
このように、弾性保持部53、53が、保護カバー37の上面37aの中心点Oに対して対称な位置を押圧するように構成することで、プラグ32の各接点38が弾性保持部53、53により均等に押圧されてすべての接点38に各突起状端子34が確実に挿入され、それらが確実に電気的に接続される。
【0115】
また、シールドカバー45が閉じられてシールドケース43にロックされて、プラグ32が上方から弾性保持部53、53により押圧されて各接点38に各突起状端子34が挿入されると、プラグ3の回路基板36の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の手前側の端面36bと、レセプタクル31の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の手前側の側壁55とが係合する。そして、それらが相俟ってプラグ32がレセプタクル31から光伝送用導波路フィルム35の延在方向に抜けることが確実に防止される。
【0116】
さらに、本実施形態では、前述したように、プラグ32の保護カバー37は回路基板36のアースも兼ねている。そして、弾性保持部53、53が保護カバー37と接触することで、シールドカバー45やさらにヒンジ部52を介してシールドケース43もプラグ32の保護カバー37と電気的に接続される。そのため、シールドカバー45やシールドケース43もプラグ32の回路基板36のアースを兼ねるようになり、プラグ32の回路基板36の接地効率が格段に向上される。
【0117】
本実施形態では、さらに、シールドカバー45とシールドケース43との電気的な接続を確実なものとするために、シールドカバー45の各側壁部46に、それらの内面側の一部を内向きに突出させてアース用突起部56がそれぞれ設けられている。各アース用突起部56は、シールドケース43に対してシールドカバー45が閉じられると、シールドケース43の各側壁部50にそれぞれ当接してシールドカバー45とシールドケース43との電気的な接続効率を高めるようになっており、これにより、プラグ32の回路基板36の接地効率がより向上される。
【0118】
本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)におけるプラグ32の接点38の上記構成(或いは第1の実施形態における変形例と同様の変形)による作用効果については、第1の実施形態の場合とまったく同様である。
【0119】
そのため、本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)においても、レセプタクル31に設けられた突起状端子34を、プラグ32の接点38に挿入すると、高弾性金属層を含む接点38の弾性部38aが弾性的に変形して生じた復元力により弾性部38aの図示しない金属層が突起状端子34に圧接されて、接点38と突起状端子34とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。
【0120】
そして、このように突起状端子34をプラグ32の接点38に挿入するだけでそれらの電気的な接続が確実に得られるため、プラグ32の各接点38や各突起状端子34を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して、十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となり、コネクタ30(光伝送モジュール30)全体の小型化を図ることが可能となる。
【0121】
また、突起状端子34は、プラグ32の接点38との電気的な接続が確保される程度にレセプタクル31から突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持される。そのため、レセプタクル31やプラグ32の上下方向の厚みを十分に薄く形成することが可能となる。
【0122】
このようにして、本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)では、レセプタクル31に設ける突起状端子34(外部端子33)の本数にもよるが、コネクタ30(光伝送モジュール30)全体の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右方向および前後方向の長さをそれぞれ数mmのオーダーに形成することが可能となり、小型化することができる。また、その厚みを、シールドカバー45を含めても0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0123】
[第3の実施の形態]
第3の実施形態では、コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)を構成するプラグが、光伝送用導波路フィルムの一端側に形成され、電気信号と光信号とを相互に変換して送受信するプラグであって、さらに、電気信号伝送用のFPCを備える場合について説明する。このように、本実施形態においては、コネクタにより光信号のみならず電気信号をも伝送することが可能となり、光−電気伝送モジュールが形成される。そのため、以下、コネクタ60という場合、それを光−電気伝送モジュール60と読み替えることが可能である。
【0124】
なお、本実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)は、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)とほぼ同じ構成であり、その作用効果についても同じであるため、以下では、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)と異なる部分についてのみ説明する。また、本実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)を構成する部材で、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)における場合と同じ機能を奏する部材については、第2の実施形態と同じ符号を付して説明する。
【0125】
本実施形態に係るコネクタ60は、図19に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル31と、レセプタクル31に接続されるプラグ32とを備えている。本実施形態では、プラグ32に接続された光伝送用導波路フィルム35をスペーサ42を介して支持する回路基板36の延出部36aがさらに光伝送用導波路フィルム35と平行に延出されて電気信号伝送用のフレキシブルプリント基板(FPC)61が形成されている点で第2の実施形態と異なる。
【0126】
プラグ32の内部構成は、図20に示すように、第2の実施形態の場合(図17参照)と同様であり、プラグ32の回路基板36には、各接点38や電子部品39、各電子部品39と接点38とを電気的に接続する配線40、光信号送信・受信部41が設けられている。なお、本実施形態においても、接点38の各弾性部38aは、先端部に向かうほどその幅や厚さが小さくなるように形成されている。また、弾性部38aはそれぞれ予め突起状端子34の各突端部34aの挿入方向に湾曲して形成されていれば好ましく、さらに、図11(B)に示した第1の実施形態の場合と同様に弾性部38aの根元部分が支持体により挟持され、その先端部側が支持体から突出するように形成されていることが好ましい。
【0127】
また、電気信号伝送用のFPC61には図示しない複数の配線が設けられており、プラグ32の回路基板36の図示しない配線と直接接続され或いは電子部品39を介して接続されている。そして、電気信号伝送用のFPC61中を送受信される電気信号が、直接或いは電子部品39を介して接点38に伝送されて突起状端子34に送受信されるようになっている。
【0128】
さらに、前述したようにプラグ32の回路基板36を構成するFPCは、回路基板36自体の捩れ等の変形の発生を防止するために分厚く形成されているが、電気信号伝送用のFPC61は、光伝送用導波路フィルム35と同様にフレキシブルに変形することが求められるため、回路基板36よりも肉薄に形成されている。
【0129】
以上のように、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)や、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)によれば、その接点38部分の構成は第1の実施形態における接点8の構成とまったく同様であるため、第1の実施形態に係るコネクタ1の有効な効果が、第2の実施形態や第3の実施形態においてもまったく同様に発揮され、光伝送モジュール30や光−電気伝送モジュール60の小型化、低背化を図ることが可能となる。また、それらの着脱を繰り返しても応力集中や永久変形による接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0130】
また、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)においては、前述した第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)と同様にコネクタ全体の小型化、低背化を図ることが可能となるとともに、光信号だけでなく電気信号もあわせて送受信することが可能となり、コネクタ(モジュール)で送受信される信号の種類を多様化させてハイブリッド化を図ることも可能となる。
【0131】
なお、上記の第2、3の実施形態におけるコネクタ30、60のプラグ32は、シールドカバー45が閉じられてレセプタクル31に確実に接続されて使用された後、シールドカバー45を開いてレセプタクル31から取り出す際、レセプタクル31に嵌まり込んでしまい、容易に取り出せなくなる場合がある。特に、本発明では上記のようにプラグ32を非常に小型に製造することができるため、プラグ32がレセプタクル31に嵌まり込むと取り出し難くなる。
【0132】
そのため、例えば図21に示すように、プラグ32の保護カバー37の上面37aに、一端側のみが上面37aに固着された片材70を設けておくことが好ましい。片材70は金属片で構成することも可能であるが、シールドカバー45の弾性保持部53、53によるプラグ32の保護カバー37の上方からの押圧を阻害してしまう可能性があるため、片材70は例えばテープ状の柔軟性を有する材料で形成することが好ましい。また、片材70が上記の弾性保持部53、53とぶつからないように配置されればより好ましい。
【0133】
このように片材70を設けておくことで、片材70を引っ張ることでプラグ32とレセプタクル31との嵌合を解除してプラグ32をレセプタクル31から容易に取り出すことが可能となる。
【0134】
また、第1の実施形態に係るコネクタ1におけるフィルムケーブル6や、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)における電気信号伝送用のFPC61に代えて、例えば細線の同軸ケーブルを束ねたもの或いは平面的に並べたものを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0135】
1、30、60 コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)
2、31 レセプタクル
3、32 プラグ
4、33 外部端子
5、34 突起状端子
8、38 接点
8a、38a 弾性部
8b 先端部
8c 支持体
8d 金属層
8e 絶縁層
8f 高弾性金属層(銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料)
8g 根元部分
30 光伝送モジュール(垂直嵌合型コネクタ)
60 光−電気伝送モジュール(垂直嵌合型コネクタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、特に、突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により突起状端子と電気的に接続する接点を備えた垂直嵌合型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラ、ゲーム機等のモバイル端末では、それらの内部の複数の基板上の回路がフィルムケーブルや光伝送用導波路フィルムで接続されて電気信号や光信号が送受信されるようになっている。光伝送用導波路フィルム100等は、図22に示すように、図示しない各基板上に配置される光伝送モジュール101、101に接続されて、各基板上の図示しない回路同士を結ぶようになっている。
【0003】
基板上の回路とフィルムケーブルや光伝送用導波路フィルムとを接続するコネクタや光伝送モジュールは、例えば図22に示した光伝送モジュールの例では、図23(A)に示すように、上部ケース211と下部ケース212でケーシングされた光信号送信・受信部や増幅部、通信制御部がコネクタ本体110の嵌合部120に嵌め込まれて取り付けられる。
【0004】
そして、取り付けの際に、図23(B)に示すように、下部ケース212の側面に設けられた接続端子213に対して、コネクタ本体110に設けられたソケットコンタクト部121が側方から接触することで、光伝送用導波路フィルム100が光信号送信・受信部等や接続端子213、ソケットコンタクト部121を介して外部端子122と電気的に接続され、基板上の図示しない回路に接続されるようになっている。なお、図23(A)では、光伝送モジュール101の光信号送信・受信部や増幅部、通信制御部がそれぞれ分割されてケーシングされた例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286553号公報
【特許文献2】特開2007−157363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図22等に示した光伝送モジュール101は、例えばその長手方向の長さを10mm程度、基板面からの高さを2〜3mm程度の小型に製造することが可能である。しかしながら、モバイル端末の分野では小型化や薄型化等が強く要求されており、光伝送モジュール等についてもさらなる小型化や低背化が求められているが、図22等に示したタイプの光伝送モジュールでは、それ以上の小型化、低背化は必ずしも容易ではない。
【0007】
このように、コネクタや光伝送モジュールのさらなる小型化、低背化を図るためには、コネクタや光伝送モジュールのコネクタ部分の構成を新たな発想に基づいて構成することが必要である。
【0008】
また、この新たな構成のコネクタ等においても、端子や接点が物理的に接触することで電気的に接続されるが、物理的な接触で接点が変形する際に、接点の構造に応力の集中が生じて接点が割れたり破断してしまう場合がある。また、接点の変形が記憶されると永久変形が発生する場合があり、コネクタ部分の着脱を繰り返すと、接点と端子とが物理的に接触しなくなって電気的な接続が切断されたり、コネクタ部分における電気信号の伝導特性が安定しなくなる、いわゆる接触不良が生じる場合がある。
【0009】
新たな構成のコネクタ等においては、このような接点部分での応力集中や永久変形による接触不良等の問題が生じないものであることが望まれる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化、低背化を図ることが可能なコネクタを提供することを目的とし、また、着脱を繰り返しても応力集中や永久変形による接触不良が生じない垂直嵌合型コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタは、
外部端子と電気的に接続された突起状端子とを有するレセプタクルと、
前記突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により前記突起状端子と電気的に接続する接点を備えたプラグと、
を備え、
前記接点は、各先端部が対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが前記先端部に向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部を有し、前記弾性部には、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が含まれ、前記突起状端子が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料の復元力により前記弾性部が前記突起状端子に圧接されることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記金属材料は、銅または銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記金属材料は、純Ni、Ni系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、その根元部分が支持体により挟持され、前記先端部側が前記支持体から突出するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層と、前記突起状端子に圧接され電気的に接続する金属層とを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層が、前記突起状端子に圧接され電気的に接続されることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の垂直嵌合型コネクタにおいて、前記接点の舌片状の前記弾性部は、さらに絶縁層を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接点の弾性部には銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層が含まれるため、レセプタクルに設けられた突起状端子をプラグの接点に垂直に挿入すると、接点の弾性部が弾性的に変形して生じた復元力により弾性部が突起状端子に圧接されて、接点と突起状端子とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。そのため、プラグの各接点や各突起状端子を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となるため、垂直嵌合型コネクタ全体の小型化を図ることが可能となる。
【0019】
また、突起状端子は、プラグの接点との電気的な接続が確保される程度にレセプタクルから突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持されるため、レセプタクルやプラグの厚みを十分に薄く形成することが可能となる。そのため、垂直嵌合型コネクタ全体の厚みを0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0020】
さらに、プラグの接点の弾性部が、少なくともその延在方向に直交する方向の幅や厚さが先端部に向かうほど小さくなるように形成されているため、接点の弾性部が突起状端子に圧接される際に、弾性部に加わる曲げ応力が弾性部全体に分散される。そのため、曲げ応力が弾性部の根元付近に集中して加わり根元部分で割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。また、接点の弾性部には銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層が含まれるため、弾性部に強い曲げ応力が加わっても弾性部に永久変形が生じず、或いは、永久変形が生じたとしても従来のようなりん青銅等の金属材料を用いた場合よりも格段に小さい変形しか生じないようにすることが可能となる。
【0021】
そのため、垂直嵌合型コネクタ部分でレセプタクルに対するプラグの着脱が繰り返されても、高弾性金属層の復元力による接点の弾性部の突起状端子への押圧が維持され、接点の弾性部と突起状端子との物理的な接触が維持される。そのため、接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第1の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタの分解斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿うレセプタクルの断面図である。
【図3】(A)外部端子と一体的に形成された突起状端子を示す斜視図であり、(B)幅方向に一部突出した部分を設けた突起状端子を示す平面図である。
【図4】図1におけるプラグを上下反転させた状態を表す斜視図である。
【図5】プラグの接点部分の構成を示す拡大された平面図である。
【図6】プラグの接点部分の変形例を示す拡大された平面図であり、(A)は弾性部を三角形状に形成した場合、(B)は弾性部の幅が曲線的に小さくなるように形成した場合を表す。
【図7】プラグの接点部分の幅を一定に形成された弾性部を示す拡大された平面図である。
【図8】接点の弾性部に加わる応力の分布を示す図であり、(A)は弾性部が図7のように形成された場合、(B)は弾性部が図5のように形成された場合を表す。
【図9】(A)は接点の断面図であり、(B)は(A)の断面図の拡大図である。
【図10】高弾性金属層に用いられる金属と従来のりん青銅の各応力−ひずみ曲線を表すグラフである。
【図11】(A)は弾性部の根元部分が支持体の前方に位置するように形成された場合を示し、(B)は弾性部の根元部分が支持体で上下から挟持された状態に形成された場合を示す平面図である。
【図12】レセプタクルにプラグを取り付けてシールドカバーを被せた状態の垂直嵌合型コネクタを示す斜視図である。
【図13】本実施形態に係る垂直嵌合型コネクタの作用を説明する断面図であり、(A)は接点に突起状端子5が下側から接触した状態、(B)は接点に突起状端子が挿入されている状態、(C)は接点への突起状端子の挿入が完了した状態を表す。
【図14】(A)接点の弾性部を金属層のみで構成された従来の弾性部での状況を説明する断面図であり、(B)突起状端子と接点の金属層との間に隙間が生じた状態を表す断面図である。
【図15】強い曲げ応力が加わった場合に本実施形態の高弾性金属層に残る変形量と従来のりん青銅等に残る変形量を説明するグラフである。
【図16】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第2の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタ(光伝送モジュール)の分解斜視図である。
【図17】第2の実施形態に係るプラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。
【図18】ヒンジ部の構成を説明する側面図である。
【図19】レセプタクルやプラグ等の構成を示す第3の実施形態に係る垂直嵌合型コネクタ(光−電気伝送モジュール)の分解斜視図である。
【図20】第3の実施形態に係るプラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。
【図21】嵌合解除用の片材の構成例を示す斜視図である。
【図22】従来の光伝送モジュールおよび光伝送用導波路フィルムを表す図である。
【図23】(A)は図22の光伝送モジュールの分解斜視図であり、(B)は(A)におけるコネクタ本体と下部ケースとの接続状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る垂直嵌合型コネクタの実施形態について、図面を参照して説明する。ただし発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。なお、以下では、垂直嵌合型コネクタを単にコネクタと記載する。
【0024】
[第1の実施の形態]
第1の実施形態では、コネクタを構成するプラグが、フィルムケーブルの一端側に形成される場合について説明する。
【0025】
本実施形態に係るコネクタ1は、図1に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル2と、レセプタクル2に接続されるプラグ3とを備えている。
【0026】
なお、本明細書では、図1に示すようにレセプタクル2の基部2aが水平方向に延在し、突起状端子5の突端部5aが上向きに突出するように配置された場合に基づいて上下や水平方向等の文言を用いて説明するが、これはあくまで各部材の相対的な位置関係について説明するものである。すなわち、例えばレセプタクル2がいわば下向きに取り付けられ突起状端子5の突端部5aが下向きに突出するように配置された場合には以下の記載の上下が反転し、例えばレセプタクル2がいわば横向きに取り付けられ突起状端子5の突端部5aが水平方向に突出するように配置された場合には以下の上下方向の記載が水平方向を意味することになる。
【0027】
レセプタクル2には、外部端子4と電気的に接続された突起状端子5が設けられている。本実施形態では、突起状端子5は外部端子4と一体的に形成されており、図2の断面図に示すように、略水平方向に延在する外部端子4の一端側が上向きに屈曲されて突起状端子5とされた略L字状に形成されている。また、突起状端子5は、図3(A)に示すように、外部端子4の部分を含めてインサート成形によりその横幅が均一となるように形成されている。このように形成すれば突起状端子5を安価に製造することも可能となる。
【0028】
例えば図3(B)の平面図に示すように、突起状端子5に幅方向に突出した部分Bが存在すると、特に高周波の電気信号が突起状端子5の内部やその表面を伝送される場合、例えば図中に点線の矢印で示すように突起状端子5から外部端子4に向かって伝送される電気信号が突出部Bで反射されるなどして電気信号の伝送効率が低下する場合がある。
【0029】
しかし、本実施形態のように、突起状端子5を横幅が均一となるように形成することで、このような電気信号の伝送効率が低下することを防止することが可能となる。また、突起状端子5に突出部Bのような余分な構造を設けないため、突起状端子5をいわばスリムに形成することが可能となり、複数の突起状端子5の配置間隔を狭めて配置することができ、狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、図1に示すように、複数の突起状端子5が、それらの各突端部5aがレセプタクル2の基部2aから上向きに突出するようにレセプタクル2に固定されており、各突端部5aの突出位置がレセプタクル2の基部2aにおいて千鳥状に配置されるようになっている。
【0031】
プラグ3は、本実施形態では、図1におけるプラグ3を上下反転させた状態を表す図4に示すように、フィルムケーブル6と、フィルムケーブル6の一端側に固定されフィルムケーブル6と電気的に接続された回路基板7とを備えている。プラグ3の回路基板7は例えばフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit。以下、FPCと略称する。)で構成されている。FPCは、通常、ポリイミド等からなる絶縁層に銅箔が貼り付けられるなどして形成されるが、その積層構造には種々の形態が存在する。
【0032】
また、プラグ3の回路基板7には、レセプタクル2に設けられた複数の突起状端子5の各突端部5aに対応する各位置にそれぞれ接点8が設けられている。本実施形態では、前述したように複数の突起状端子5の各突端部5aがレセプタクル2の基部2aに千鳥状に配置されているため、各接点8も回路基板7に千鳥状に配置されている。また、各接点8は、フィルムケーブル6中の図示しない各配線とそれぞれ接続されている。接点8の構成については後で詳しく説明する。
【0033】
前述したように、プラグ3の回路基板7がFPCで構成されているため、図1に示したように、回路基板7をレセプタクル2に取り付ける際に回路基板7に容易に捩れ等の変形が生じて回路基板7がレセプタクル2に対して部分的に浮いてしまう場合がある。そして、浮いた部分では、突起状端子5の突端部5aが接点8に的確に挿入されなくなり、良好な電気的な接続が得られなくなる場合がある。
【0034】
そこで、本実施形態では、回路基板7の変形によるレセプタクル2に対する浮きの発生をさらに確実に防止するために、図1に示すように、回路基板7に、接点8に対応する位置に開口が設けられた捩れ防止部材9が取り付けられるようになっている。捩れ防止部材9は、例えば金属板等の剛性を有する部材で形成される。
【0035】
以下、接点8の構成について説明する。接点8は、図5に示すように、各先端部8bが対向する2枚の舌片状の弾性部8aを有するように構成されている。そして、各弾性部8aは、その延在方向に直交する方向の幅が、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されている。なお、図5以下の各図では、図1と同様にプラグ3を上側から見た図を示す。
【0036】
なお、幅が先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば、弾性部8aは図5に示したような台形状でなくてもよく、例えば図6(A)に示すような三角形状に形成することも可能であり、また、図6(B)に示すように、弾性部8aの幅が曲線的に小さくなるように形成することも可能である。なお、図5や図6(A)、(B)では、弾性部8aが左右対称の場合を示したが、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば左右対称でなくてもよい。
【0037】
このように接点8の弾性部8aの幅を先端部8bに向かうほど小さくなるように形成する理由は、以下の通りである。
【0038】
本実施形態に係る弾性部8aの延在方向の実際の長さは数百μmと非常に短い。そのため、例えば、図7に示すように弾性部8aを略長方形状に形成すると(すなわち弾性部8aの幅を一定に形成すると)、後述するように接点8の弾性部8aに突起状端子5の突端部5a(図1参照)を垂直に挿入する際に、図8(A)に濃淡を付して示すように、弾性部8aに強い曲げ応力が加わる。しかも、その曲げ応力が弾性部8aの根元付近に集中する場合があり、曲げ応力により弾性部8aに割れを生じたり破断する可能性がある。
【0039】
しかし、図5に示した本実施形態の弾性部8aのように、先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されていれば、弾性部8aが曲がり易くなるとともに、図8(B)に濃淡を付して示すように、突起状端子5の突端部5aを挿入する際の曲げ応力を弾性部8a全体に分散させることができる。そのため、弾性部8aの根元付近に曲げ応力が集中することを防止することが可能となり、曲げ応力によって弾性部8aに割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0040】
また、弾性部8aの幅を先端部8bに向かうほど小さくする代わりに、或いは、幅を小さくするとともに、弾性部8aの厚さを先端部8bに向かうほど小さくするように構成することによっても、上記のように、弾性部8aが曲がり易くなり、曲げ応力を弾性部8a全体に分散させて、曲げ応力によって弾性部8aに割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0041】
そのため、図5や図6(A)、(B)に示した先端部8bに向かうほど幅が小さくなるように形成された弾性部8aの場合だけでなく、弾性部8aを図7に示したように略長方形状等に形成した場合でもその厚さを先端部8bに向かうほど小さくするように構成することによって、上記の効果を得ることができる。なお、この場合も、弾性部8aの厚さを先端8bに向かうほど小さくなるように形成されていればよく、必ずしも上下対称の形状でなくてもよい。
【0042】
本実施形態では、接点8は、図9(A)の断面図に示すように、層構造を有する接点8の弾性部8aが、レジスト等からなる上下の支持体8c、8cで挟持され、先端部8b側が支持体8cから突出されるようにして形成されている。
【0043】
本実施形態では、接点8の弾性部8aを形成する層構造は、図9(B)に示すように、少なくとも、突起状端子5に対向する側に設けられた電気的な接続用の金属層8dと、その上方に設けられた絶縁層8eと、さらにその上方に設けられた高い弾性を有する金属材料で形成された金属層(以下、高弾性金属層という。)8fとを備えるように構成されている。
【0044】
本実施形態では、接点8の弾性部8の金属層8dは、FPCを構成する銅箔8d1の下面側にニッケル(Ni)層8d2や金(Au)層8d3をそれぞれ電解メッキにより積層して形成されており、この金属層8dがフィルムケーブル6中の各配線とそれぞれ接続されている。
【0045】
銅箔8d1上にニッケルや金を積層すると、後述するように弾性部8aに突起状端子5の突端部5aを挿入して弾性部8aが変形する際にニッケルや金の積層部分に割れを生じる等の不具合が発生する場合があるが、電解メッキにより積層することで、このような不具合の発生を防止することが可能となるという利点がある。
【0046】
また、絶縁層8eには、回路基板7を構成するFPCのポリイミド等からなる絶縁層が用いられている。なお、本実施形態では、FPCを構成する銅箔の下面側にニッケルや金を積層する場合について説明したが、弾性部8aの金属層8dの全部を絶縁層8eに対するメッキ等の方法で新たに形成することも可能である。
【0047】
高弾性金属層8fには、通常、コネクタの接点に用いられる銅(いわゆる純銅)や、りん青銅やチタン銅、ベリリウム銅等の銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が用いられており、本実施形態では、高弾性金属層8fを構成する金属材料として、純NiやNi系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等の、純銅や銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料が用いられている。
【0048】
高弾性金属層8fを、純NiやNi系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼等を組み合わせて形成することも可能である。このような金属材料を用いた高弾性金属層8fは、図10に示す応力−ひずみ曲線(S−S曲線)に示されるように、通常のりん青銅に比べて降伏応力が2倍以上高く、また、弾性を向上させたベリリウム銅等よりも降伏応力が高い。なお、図10において、σは応力[MPa]、εは伸び[%]を表す。
【0049】
なお、接点8の弾性部8aは、図9(A)、(B)に示したように、金属層8dと絶縁層8eと高弾性金属層8fとを備える構成である必要はなく、例えば、絶縁層8eを設けずに、金属層8dと高弾性金属層8fとを直接張り合わせるようにして形成してもよく、金属層8dの銅箔8d1の部分を高弾性金属層8fと同じ高弾性の金属材料で構成することも可能である。
【0050】
このように、金属層8dや絶縁層8e、高弾性金属層8fの数はそれぞれ適宜増減して接点8の弾性部8aが形成されるが、高弾性金属層8fは、少なくとも1層は必ず設けられる。
【0051】
また、上記のように接点8に2枚の舌片状の弾性部8aを形成する際、図11(A)に示すように、高弾性金属部材8f等が積層されて形成された部材に対して数十μm径のレーザ光を照射し、略H字状の穴をあけるようにして2枚の舌片状の弾性部8aが形成される。なお、略H字状の穴をエッチング加工やプレス加工等を用いて形成してもよい。
【0052】
その際、図11(A)に示すように接点8の2枚の舌片状の弾性部8aの根元部分8gが支持体8cで上下から挟持されずに支持体8cの前方に位置するように形成されると、後述するように接点8に突起状端子5の突端部5a(図1参照)を挿入する際に、弾性部8aの根元部分8gに曲げ応力が集中して、弾性部8aの根元部分8gで金属層8d等に割れや破断を生じる場合がある。
【0053】
本発明者らの研究によれば、図11(B)に示すように、接点8の弾性部8aを形成するための略H字状の穴を弾性部8aの延在方向に拡大して形成し、弾性部8aの根元部分8gをレジスト等からなる支持体8cで上下から挟持し、先端部8b側が支持体8cから突出するように形成することで、すなわち弾性部8aをこのようにいわば釣竿状に形成することで、弾性部8aの根元部分8gへの曲げ応力の集中を回避することができることが分かっている。そして、このように形成することで、弾性部8aの根元部分8gの金属層8d等での割れや破断の発生を確実に防止することが可能となる。
【0054】
また、図9(A)に示すように、本実施形態では、接点8の2枚の弾性部8aは、その先端部8b側がそれぞれ予め突起状端子5の挿入方向すなわち上向きに湾曲させて形成されている。その際、2枚の弾性部8aの各先端部8b間の間隔が、突起状端子5の突端部5aの幅よりも狭くなるように形成される。
【0055】
このように、接点8の各弾性部8aの先端部8b側を予め突起状端子5の挿入方向に湾曲させておくことで、プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際に、接点8に挿入される突起状端子5の突端部5aによる曲げ応力が湾曲するように形成された弾性部8a全体に分散される。そのため、弾性部8aの根元部分8gに曲げ応力が集中することを回避することが可能となり、上記と同様に弾性部8aの根元部分8gでの割れや破断の発生を確実に防止することが可能となる。
【0056】
また、プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際に、突起状端子5の突端部5aが接点8の弾性部8aの湾曲部分に嵌まり込むため、突起状端子5の接点8に対する位置決めを容易に行うことも可能となる。
【0057】
図1に示すように、本実施形態では、プラグ3の回路基板7をレセプタクル2に取り付ける際にプラグ3の表裏を逆に取り付ける等の誤挿入を防止するための誤挿入防止機構が設けられている。
【0058】
具体的には、プラグ3の回路基板7やそれに取り付けられる捩れ防止部材9の、フィルムケーブル6の延在方向の左右の縁部には、平面視にて略矩形状に形成されたレセプタクル2の短辺側壁部10、10にそれぞれ内向きに設けられた係合凸部11、11に係合してレセプタクル2に対してプラグ3を位置決めし、プラグ3がレセプタクル2からフィルムケーブル6の延在方向に抜けることを防止する係合凹部12、12がそれぞれ設けられている。
【0059】
しかし、これだけでは、例えばプラグ3の表裏が逆に取り付けられた場合でもレセプタクル2側の係合凸部11、11とプラグ3側の係合凹部12、12とが係合されてしまうため、取付者が誤挿入に気がつかない場合がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、プラグ3側には、回路基板7やそれに取り付けられる捩れ防止部材9の、フィルムケーブル6の延在方向の左右いずれか一方の縁部に係合凹部12とは別の凹部13が設けられ、レセプタクル2側には、プラグ3がレセプタクル2に正しく取り付けられる場合にプラグ3側の凹部13が位置する側のレセプタクル2の短辺側壁部10に内向きに凸部14が設けられて、誤挿入防止機構が形成されている。
【0061】
このように、レセプタクル2側およびプラグ3側の、フィルムケーブル6の延在方向の左右いずれか一方側に凸部14および凹部13を設けることで、例えばプラグ3の表裏を逆に取り付けた場合にはプラグ3の凹部13が設けられていない側の端部15(図1参照)がレセプタクル2の凸部14とぶつかってプラグ3の挿入が阻害されるため、取付者が誤挿入に気がつきプラグ3をレセプタクル2に正しく挿入することが可能となる。
【0062】
レセプタクル2には、金属材料からなるシールドケース16が、少なくとも短辺側壁部10、10の外側に設けられている。シールドケース16は、レセプタクル2に設けられた突起状端子5やそれと接続されるプラグ3の接点8等に外部から到達する妨害波を遮蔽するためのものであり、妨害波の遮蔽によりそれらを介する正常な電気信号の伝送が維持される。なお、この目的を達成するために、シールドケース16を、さらにレセプタクル2の外部端子4が設けられた長辺側の側面部や下面をも被覆するように構成することも可能である。
【0063】
また、レセプタクル2には、同様の目的で、金属材料からなるシールドカバー17が取り付けられるようになっている。
【0064】
図1に示すように、シールドカバー17には、少なくともそのフィルムケーブル6の延在方向の左右の縁部が下方に垂下されて側壁部18が形成されており、各側壁部18にはそれぞれ係止孔19が設けられている。また、レセプタクル2側の各シールドケース16にはそれぞれ外側に突出するように形成された係止用突起部20が設けられている。
【0065】
そして、図12に示すように、プラグ3が取り付けられたレセプタクル2にシールドカバー17を被せる際に、レセプタクル2側のシールドケース16の係止用突起部20がシールドカバー17の係止孔19に係止されることでシールドカバー17がシールドケース16にロックされるようになっており、係止孔19と係止用突起部20とによりロック機構が形成されている。
【0066】
このように、シールドカバー17がシールドケース16にロックされ、レセプタクル2に確実に係止されることにより、レセプタクル2に設けられた突起状端子5やプラグ3の接点8(図1等参照)等に外部から到達する妨害波が遮蔽されてそれらを介する電気信号の伝送が正常に維持されるとともに、プラグ3の各接点8への突起状端子5の挿入や、プラグ3の回路基板7や捩れ防止部材9の係合凸部11とレセプタクル2の係合凹部12との係合等と相俟ってプラグ3がレセプタクル2からフィルムケーブル6の延在方向に抜けることが確実に防止される。
【0067】
また、図1に示すように、シールドカバー17には、シールドカバー17がレセプタクル2に取り付けられる際に、プラグ3を上方から弾性的に押圧して、レセプタクル2に設けられた各突起状端子5がプラグ3の各接点8に確実に挿入され、突起状端子5と接点8との電気的な接続をより確実にするための弾性保持部21、21が設けられている。
【0068】
本実施形態では、弾性保持部21、21は、シールドカバー17の上面22の、フィルムケーブル6の延在方向の左右対称の位置に、コ字状に打ち抜かれて2枚の片部が形成され、それらが下向きに僅かに折り曲げられて形成されている。また、各弾性保持部21、21は、回路基板7上に千鳥状に2列に形成された各接点8の各列の間に設けられた捩れ防止部材9の梁状の部分23に接触して押圧するようになっており、捩れ防止部材9を介して回路基板7上のフィルムケーブル6の延在方向の前後2列の各接点8を押圧するようになっている。
【0069】
このように、弾性保持部21は、プラグ3の各接点8を、フィルムケーブル6の延在方向に対して左右対称の位置や前後対称の位置で押圧するように構成することが好ましい。このように構成することで、プラグ3の各接点8が弾性保持部21により均等に押圧されてすべての接点8に各突起状端子5が確実に挿入され、それらが確実に電気的に接続される。
【0070】
また、コネクタ1がモバイル端末等に内蔵されて使用される際に振動や衝撃が加わっても、弾性保持部21によりプラグ3がレセプタクル2側に押圧されていれば、プラグ3がレセプタクル2やシールドカバー17等の内部でがたつくことが防止される。なお、弾性保持部21は、上記のように機能すればよく、形成される弾性保持部21の数は2つに限定されない。
【0071】
次に、本実施形態に係るコネクタ1の作用について説明する。
【0072】
プラグ3をレセプタクル2に取り付ける際、図13(A)に示すように、まず、プラグ3の回路基板7の各接点8の金属層8dに、レセプタクル2に設けられレセプタクル2の基部2aから上向きに突出した突起状端子5の突端部5aが下側から接触する。なお、図13(A)〜(C)では、接点8における絶縁層8eやNi層8d2、Au層8d3等の図示が省略されている。
【0073】
そして、プラグ3がさらに下方に押し込まれると、図13(B)に示すように、突起状端子5の突端部5aは接点8の各弾性部8aの間隙部分に垂直に挿入されていき、弾性部8aの金属層8dや高弾性金属層8f等が突起状端子5の挿入方向すなわち上方に撓む。そして、突起状端子5は、各弾性部8aを撓ませながら2枚の弾性部8aの間に進入していく。
【0074】
その際、接点8の弾性部8aの高弾性金属層8fが前述したように高い弾性を有する金属材料で構成されているため、高弾性金属層8fが弾性的に撓む。すなわち、仮に突起状端子5を抜き取れば、高弾性金属層8fは、その弾性により、図9(A)等に示したように先端部8bが上向きに湾曲された状態に戻ろうとする。そのため、図13(B)のように、撓ませられた高弾性金属層8fは、その復元力により突起状端子5の側面に対して側方から押圧するように力を及ぼす。
【0075】
そのため、弾性部8aの金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態となり、突起状端子5がプラグ3の接点8に押し込まれて弾性部8aに対して相対的に上方に移動する間、弾性部8aの金属層8dにより突起状端子5の側面がいわば擦られる状態となる。
【0076】
そして、図13(C)に示すように、さらに突起状端子5をプラグ3の接点8に押し込むと、接点8の弾性部8aの金属層8dにより突起状端子5の側面が擦られて、突起状端子5の側面に付着物等が擦り取られて除去される。そのため、少なくとも突起状端子5と接点8の弾性部8aの金属層8dとの間には介在物が存在しなくなり、突起状端子5と接点8とが金属層8dを介して確実に接触する状態となる。なお、以下、この弾性部8aの高弾性金属層8fの復元力により金属層8dが突起状端子5を擦ることによる突起状端子5の表面の付着物等の除去効果をクリーニング効果という。
【0077】
また、図13(C)に示すように、突起状端子5がプラグ3の接点8に完全に挿入された後も高弾性金属層8fの復元力は維持されるから、金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態が持続され、上記の金属層8dを介する突起状端子5と接点8との接触状態が維持される。
【0078】
このように、本発明では、レセプタクル2に設けられた突起状端子5の突端部5aを接点8に挿入するだけで、接点8の弾性部8aの弾性的な変形による復元力が働いて、上記のクリーニング効果が実現され、突起状端子5と接点8とが電気的に確実に接続されるようになるとともに、上記の高弾性金属層8fの復元力により、接点8の金属層8dが突起状端子5に圧接されて上記の電気的な接続状態が確実に維持される。
【0079】
りん青銅等で形成された金属部8dのみを有し、本実施形態のような高弾性金属層8fを設けない従来の弾性部8aでは、図14(A)に示すように、弾性部8aに突起状端子5が挿入された状態で、例えばコネクタ全体が振動してプラグ3の接点8の中で突起状端子5が左右方向に相対的に動くと、りん青銅等で形成された金属層8dは復元力が小さいため接触を維持し難く、導通不良が発生する場合がある。
【0080】
そのため、レセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返され、突起状端子5が接点8に再度挿入された際に、図14(B)に示すように突起状端子5と接点8の金属層8dとの間に隙間が生じてしまい、プラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続が失われる。このように、従来の弾性部8aでは、プラグ3の着脱を繰り返すと、接点8の弾性部8aの大きな永久変形によってプラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続が失われる場合が生じ得る。
【0081】
一方、本実施形態の接点8では、弾性部8aに高弾性金属層8fが設けられている。そのため、図13(C)に示したように弾性部8aに突起状端子5が挿入された状態で、例えばコネクタ全体が振動してプラグ3の接点8の中で突起状端子5が左右方向に相対的に動いても、高弾性金属層8fが高い弾性を有し、降伏応力が高い金属材料で形成されているため、弾性部8aに変形が生じず、プラグ3の接点8と突起状端子5との電気的な接続を的確に維持することが可能となる。
【0082】
また、接点8の弾性部8aに高弾性金属層8fの降伏応力を越えるほど強い曲げ応力が加わった場合でも、図15に示すように、例えばりん青銅で形成された金属部8dを有する従来の弾性部8aが同じだけ変形した場合に残る変形量ε2よりも、本実施形態のような高弾性金属層8fを含む弾性部8aに残る変形量ε1は格段に小さくなる。
【0083】
そのため、高弾性金属層8fの復元力が多少弱まるとしても、レセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返され、突起状端子5が接点8に再度挿入された際には、図13(C)に示したように、高弾性金属層8fの復元力により接点8の金属層8dが突起状端子5の側面に圧接される状態が持続されるため、金属層8dを介する突起状端子5と接点8との接触状態が良好に維持される。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るコネクタ(垂直嵌合型コネクタ)1によれば、接点8の弾性部8aには銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層8fが含まれるため、レセプタクル2に設けられた突起状端子5をプラグ3の接点8に挿入すると、弾性部8aが弾性的に変形して生じた復元力により弾性部8aの金属層8dが突起状端子5に圧接されて、接点8と突起状端子5とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。
【0085】
このように、本実施形態に係るコネクタ1では、突起状端子5をプラグ3の接点8に挿入するだけでそれらの電気的な接続が確実に得られるため、プラグ3の各接点8や各突起状端子5を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して、十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となり、コネクタ1全体の小型化を図ることが可能となる。
【0086】
また、突起状端子5は、プラグ3の接点8との電気的な接続が確保される程度にレセプタクル2から突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持される。そのため、レセプタクル2やプラグ3の上下方向の厚みを十分に薄く形成することが可能となり、シールドカバー17を含むコネクタ1全体としてもその厚みを0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0087】
さらに、本実施形態に係るコネクタ1では、プラグ3の接点8の弾性部8aが、少なくともその延在方向に直交する方向の幅や厚さが先端部8bに向かうほど小さくなるように形成されているため、接点8の弾性部8aが突起状端子5に圧接される際に、弾性部8aに加わる曲げ応力が弾性部8a全体に分散される。そのため、曲げ応力が弾性部8aの根元付近に集中して加わり根元部分で割れや破断が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0088】
また、接点8の弾性部8aには銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料で形成された高弾性金属層8fが含まれるため、弾性部8aに強い曲げ応力が加わっても弾性部8aに永久変形が生じず、或いは、永久変形が生じたとしても、図15に示したように従来のようなりん青銅等の金属材料を用いた場合よりも格段に小さい変形しか生じないようにすることが可能となる。
【0089】
そのため、本実施形態に係るコネクタ1によれば、コネクタ部分でレセプタクル2に対するプラグ3の着脱が繰り返されても、高弾性金属層8fの復元力による接点8の弾性部8aの突起状端子5への押圧が維持され、接点8の弾性部8aと突起状端子5との物理的な接触が維持される。そのため、接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、図5や図6(A)、(B)等に示したように、1つの接点8を構成する2枚の舌片状の弾性部8aの先端部8b同士が略平行に形成されている場合について説明したが、弾性部8aの先端部8bの複数箇所を相手側の弾性部8aに向かって突出させるなど、先端部8bに凹凸を設けるように形成することも可能である。
【0091】
[第2の実施の形態]
第2の実施形態では、コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)を構成するプラグが、光伝送用導波路フィルムの一端側に形成され、電気信号と光信号とを相互に変換して送受信するプラグである場合について説明する。このように、本実施形態においては、コネクタにより光伝送モジュールが形成される。そのため、以下、コネクタ30という場合、それを光伝送モジュール30と読み替えることが可能である。
【0092】
本実施形態に係るコネクタ30は、図16に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル31と、レセプタクル31に接続されるプラグ32とを備えている。
【0093】
レセプタクル31には、外部端子33と電気的に接続された突起状端子34が設けられている。突起状端子34は、本実施形態においても第1の実施形態の図2や図3(A)に示した突起状端子5と同様に、外部端子33と一体的に略L字状に形成されており、インサート成形によりその横幅が均一となるように形成されている。そのため、突起状端子34の内部やその表面を伝送される電気信号の伝送効率が低下することを防止することが可能となり、突起状端子34をスリム化して狭ピッチ化を図ることが可能となる。
【0094】
また、突起状端子34は、その突端部34aがレセプタクル31の基部31aから上向きに突出するようにレセプタクル31に固定されている。また、本実施形態では、複数の突起状端子34の各突端部34aの突出位置がレセプタクル31の基部31aの内側周縁部付近になるように配置されている。
【0095】
プラグ32は、本実施形態では、光伝送用導波路フィルム35や回路基板36等を備えている。また、回路基板36には、外部から到達する妨害波を遮蔽するシールドカバーとして機能する金属材料からなる保護カバー37が、後述する回路基板36の各電子部品等を被覆するように設けられている。
【0096】
本実施形態では、保護カバー37は、回路基板36のアース配線と接続されていて回路基板36のアースも兼ねており、また、プラグ32のレセプタクル31に対する誤挿入を防止するための誤挿入防止機構としても機能している。さらに、保護カバー37は、後述するようにシールドカバー45に設けられた弾性保持部53、53により上方から押圧されることで回路基板36をレセプタクル31側に押圧して回路基板36の浮きの発生を防止し、回路基板36の各接点38にレセプタクル31に設けられた突起状端子34が確実に挿入されるようにする機能をも有している。
【0097】
図17は、プラグの回路基板の回路構成を示す斜視図である。図17では、保護カバー37が外された状態のプラグ32が示されている。
【0098】
プラグ32の回路基板36は、例えばFPCで構成される。また、プラグ32の回路基板36には、レセプタクル31に設けられた複数の突起状端子34の各突端部34aに対応する各位置にそれぞれ接点38が設けられている。本実施形態においても、接点38の構成や変形例、それらの機能等は、前述した第1の実施形態における接点8の構成や変形例、機能等とまったく同様であるので説明を省略する。
【0099】
また、前述した第1の実施形態と同様に、本実施形態においてもプラグ32の接点38の部分に回路基板36の捩れ等の変形の発生を防止する捩れ防止部材を取り付けるように構成することも可能であるが、本実施形態では、回路基板36自体の厚みを分厚く形成することで回路基板36に捩れ等の変形が発生することを防止、レセプタクル31に対する回路基板36の浮きの発生を防止するように構成されている。
【0100】
そのため、接点38の弾性部38aの肉厚が、回路基板36の他の部分の肉厚よりもかなり薄肉に形成されている。しかし、適度な復元力が得られるように、接点38の弾性部38aに、図示を省略する高弾性金属層(第1の実施形態における高弾性金属層8f参照)が設けられることは第1の実施形態で述べたとおりである。
【0101】
なお、本実施形態においても、接点38の各弾性部38aは、先端部に向かうほどその幅や厚さが小さくなるように形成されている。また、弾性部38aはそれぞれ予め突起状端子34の各突端部34aの挿入方向に湾曲して形成されていれば好ましく、さらに、図11(B)に示した第1の実施形態の場合と同様に弾性部38aの根元部分が支持体により挟持され、その先端部側が支持体から突出するように形成されていることが好ましい。
【0102】
本実施形態では、プラグ32の回路基板36は、各接点38のほか、光伝送用導波路フィルム35を介して伝送される光信号を電気信号に変換し、突起状端子34と接点38とを介して伝送される電気信号を光信号に変換する等の機能を有する電子部品39と、各電子部品39と接点38とを電気的に接続する配線40と、光信号と電気信号とを相互に変換して、光伝送用導波路フィルム35を介して伝送される光信号を電気信号に変換し、電子部品39から出力される電気信号を光信号に変換して光伝送用導波路フィルム35に出力する光信号送信・受信部41とを備えている。
【0103】
また、回路基板36には、光伝送用導波路フィルム35側に延出された延出部36aが設けられている。また、光信号送信・受信部41の上端に一端側が取り付けられた光伝送用導波路フィルム35と回路基板36の延出部36aとの間にスペーサ42が設けられており、スペーサ42を介して光伝送用導波路フィルム35が回路基板36の延出部36aに固定されている。
【0104】
このように、本実施形態では、回路基板36に延出部36aを設け、スペーサ42を介して光伝送用導波路フィルム35を延出部36aに固定することで、光伝送用導波路フィルム35に外力が加わった際に光伝送用導波路フィルム35が回路基板36に対して相対的に移動することを、少なくとも回路基板36の近傍では封じることが可能となるため、光伝送用導波路フィルム35の端部が光信号送信・受信部41から外れて光信号の送受信を行えなくなることを的確に防止することが可能となる。
【0105】
図16に示すように、本実施形態においても、レセプタクル31には、外部から到達する妨害波を遮蔽するための金属材料からなるシールドケース43が、レセプタクル31の側壁44の外側壁面を被覆するように設けられている。また、レセプタクル31には、外部から到達する妨害波を遮蔽するための金属材料からなるシールドカバー45が取り付けられるようになっている。
【0106】
シールドカバー45には、少なくともその光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右の縁部が下方に垂下されて側壁部46が形成されており、各側壁部46にはそれぞれ係止孔47が設けられている。また、レセプタクル31側の各シールドケース43にはそれぞれ外側に突出するように形成された係止用突起部48が設けられており、プラグ32が取り付けられたレセプタクル31にシールドカバー45を被せる際に、レセプタクル31側のシールドケース43の係止用突起部48がシールドカバー45の係止孔47に係止されることでシールドカバー45がシールドケース43にロックされるロック機構が形成されている。
【0107】
また、本実施形態では、図18の側面図に示すように、シールドカバー45には、その各側壁部46のシールドケース43側端部がそれぞれ爪状に内向きに折り曲げられて係止部49が設けられており、シールドケース43には、シールドカバー45の各側壁部46に対応する側の各側壁部50にそれぞれ孔51が穿設されている。
【0108】
そして、シールドカバー45の爪状の各係止部49がシールドケース43の各側壁部50の各孔51にそれぞれ係止されることでヒンジ部52が構成されている。シールドカバー45は、このヒンジ部52を介してシールドケース43に対して開閉自在とされている。
【0109】
このように、シールドカバー45の爪状の係止部49をシールドケース43の孔51に係止してヒンジ部52を形成することで、例えば図23(A)に示したように、コネクタ本体110のシールドケース301とシールドカバー302とを開閉自在に接続するために別体のピン300を設ける場合に比べて部品点数を少なくすることが可能となる。
【0110】
また、それとともに、シールドケース43やシールドカバー45を小型化し低背化しても、シールドケース43やシールドカバー45をマウンタで吸着する等してヒンジ部52により容易かつ確実にシールドケース43に対してシールドカバー45を開閉自在に取り付けることが可能となり、コネクタ30(光伝送モジュール30)の小型化、低背化を図ることが可能となる。
【0111】
なお、第1の実施形態においても、シールドケース16に対してシールドカバー17をヒンジ部を介して開閉自在に取り付けるように構成することも可能である。
【0112】
図16に示すように、本実施形態においても、シールドカバー45には、シールドカバー45がシールドケース43に対して閉じられプラグ32がレセプタクル31に取り付けられる際に、プラグ32の保護カバー37を上方から弾性的に押圧して、レセプタクル31に設けられた各突起状端子34がプラグ32の回路基板36の各接点38に確実に挿入され、突起状端子34と接点38との電気的な接続をより確実にするための弾性保持部53、53が設けられている。
【0113】
弾性保持部53、53は、シールドカバー45の上面54がコ字状に打ち抜かれて形成された2枚の片部からなり、それらが下向きに僅かに折り曲げられて形成されている。また、本実施形態では、弾性保持部53、53は、シールドカバー45が閉じられた際、プラグ32の保護カバー37の上面37aにおける、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右方向および前後方向の中心点Oを中心として、保護カバー37の上面37aの対称な位置を押圧するようになっている。
【0114】
このように、弾性保持部53、53が、保護カバー37の上面37aの中心点Oに対して対称な位置を押圧するように構成することで、プラグ32の各接点38が弾性保持部53、53により均等に押圧されてすべての接点38に各突起状端子34が確実に挿入され、それらが確実に電気的に接続される。
【0115】
また、シールドカバー45が閉じられてシールドケース43にロックされて、プラグ32が上方から弾性保持部53、53により押圧されて各接点38に各突起状端子34が挿入されると、プラグ3の回路基板36の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の手前側の端面36bと、レセプタクル31の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の手前側の側壁55とが係合する。そして、それらが相俟ってプラグ32がレセプタクル31から光伝送用導波路フィルム35の延在方向に抜けることが確実に防止される。
【0116】
さらに、本実施形態では、前述したように、プラグ32の保護カバー37は回路基板36のアースも兼ねている。そして、弾性保持部53、53が保護カバー37と接触することで、シールドカバー45やさらにヒンジ部52を介してシールドケース43もプラグ32の保護カバー37と電気的に接続される。そのため、シールドカバー45やシールドケース43もプラグ32の回路基板36のアースを兼ねるようになり、プラグ32の回路基板36の接地効率が格段に向上される。
【0117】
本実施形態では、さらに、シールドカバー45とシールドケース43との電気的な接続を確実なものとするために、シールドカバー45の各側壁部46に、それらの内面側の一部を内向きに突出させてアース用突起部56がそれぞれ設けられている。各アース用突起部56は、シールドケース43に対してシールドカバー45が閉じられると、シールドケース43の各側壁部50にそれぞれ当接してシールドカバー45とシールドケース43との電気的な接続効率を高めるようになっており、これにより、プラグ32の回路基板36の接地効率がより向上される。
【0118】
本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)におけるプラグ32の接点38の上記構成(或いは第1の実施形態における変形例と同様の変形)による作用効果については、第1の実施形態の場合とまったく同様である。
【0119】
そのため、本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)においても、レセプタクル31に設けられた突起状端子34を、プラグ32の接点38に挿入すると、高弾性金属層を含む接点38の弾性部38aが弾性的に変形して生じた復元力により弾性部38aの図示しない金属層が突起状端子34に圧接されて、接点38と突起状端子34とが自動的にかつ確実に電気的に接続される。
【0120】
そして、このように突起状端子34をプラグ32の接点38に挿入するだけでそれらの電気的な接続が確実に得られるため、プラグ32の各接点38や各突起状端子34を100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーでコンパクトに形成して、十分かつ確実に電気的な接続を獲得し維持することが可能となり、コネクタ30(光伝送モジュール30)全体の小型化を図ることが可能となる。
【0121】
また、突起状端子34は、プラグ32の接点38との電気的な接続が確保される程度にレセプタクル31から突出させればよく、この場合も100〜500μm、望ましくは200〜300μmのオーダーで突出させれば十分に電気的な接続が確保され維持される。そのため、レセプタクル31やプラグ32の上下方向の厚みを十分に薄く形成することが可能となる。
【0122】
このようにして、本実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)では、レセプタクル31に設ける突起状端子34(外部端子33)の本数にもよるが、コネクタ30(光伝送モジュール30)全体の、光伝送用導波路フィルム35の延在方向の左右方向および前後方向の長さをそれぞれ数mmのオーダーに形成することが可能となり、小型化することができる。また、その厚みを、シールドカバー45を含めても0.8mm前後にまで低背化を図ることが可能となる。
【0123】
[第3の実施の形態]
第3の実施形態では、コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)を構成するプラグが、光伝送用導波路フィルムの一端側に形成され、電気信号と光信号とを相互に変換して送受信するプラグであって、さらに、電気信号伝送用のFPCを備える場合について説明する。このように、本実施形態においては、コネクタにより光信号のみならず電気信号をも伝送することが可能となり、光−電気伝送モジュールが形成される。そのため、以下、コネクタ60という場合、それを光−電気伝送モジュール60と読み替えることが可能である。
【0124】
なお、本実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)は、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)とほぼ同じ構成であり、その作用効果についても同じであるため、以下では、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)と異なる部分についてのみ説明する。また、本実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)を構成する部材で、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)における場合と同じ機能を奏する部材については、第2の実施形態と同じ符号を付して説明する。
【0125】
本実施形態に係るコネクタ60は、図19に示すように、図示しない基板上に設けられるレセプタクル31と、レセプタクル31に接続されるプラグ32とを備えている。本実施形態では、プラグ32に接続された光伝送用導波路フィルム35をスペーサ42を介して支持する回路基板36の延出部36aがさらに光伝送用導波路フィルム35と平行に延出されて電気信号伝送用のフレキシブルプリント基板(FPC)61が形成されている点で第2の実施形態と異なる。
【0126】
プラグ32の内部構成は、図20に示すように、第2の実施形態の場合(図17参照)と同様であり、プラグ32の回路基板36には、各接点38や電子部品39、各電子部品39と接点38とを電気的に接続する配線40、光信号送信・受信部41が設けられている。なお、本実施形態においても、接点38の各弾性部38aは、先端部に向かうほどその幅や厚さが小さくなるように形成されている。また、弾性部38aはそれぞれ予め突起状端子34の各突端部34aの挿入方向に湾曲して形成されていれば好ましく、さらに、図11(B)に示した第1の実施形態の場合と同様に弾性部38aの根元部分が支持体により挟持され、その先端部側が支持体から突出するように形成されていることが好ましい。
【0127】
また、電気信号伝送用のFPC61には図示しない複数の配線が設けられており、プラグ32の回路基板36の図示しない配線と直接接続され或いは電子部品39を介して接続されている。そして、電気信号伝送用のFPC61中を送受信される電気信号が、直接或いは電子部品39を介して接点38に伝送されて突起状端子34に送受信されるようになっている。
【0128】
さらに、前述したようにプラグ32の回路基板36を構成するFPCは、回路基板36自体の捩れ等の変形の発生を防止するために分厚く形成されているが、電気信号伝送用のFPC61は、光伝送用導波路フィルム35と同様にフレキシブルに変形することが求められるため、回路基板36よりも肉薄に形成されている。
【0129】
以上のように、第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)や、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)によれば、その接点38部分の構成は第1の実施形態における接点8の構成とまったく同様であるため、第1の実施形態に係るコネクタ1の有効な効果が、第2の実施形態や第3の実施形態においてもまったく同様に発揮され、光伝送モジュール30や光−電気伝送モジュール60の小型化、低背化を図ることが可能となる。また、それらの着脱を繰り返しても応力集中や永久変形による接触不良が生じることを的確に防止することが可能となる。
【0130】
また、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)においては、前述した第2の実施形態に係るコネクタ30(光伝送モジュール30)と同様にコネクタ全体の小型化、低背化を図ることが可能となるとともに、光信号だけでなく電気信号もあわせて送受信することが可能となり、コネクタ(モジュール)で送受信される信号の種類を多様化させてハイブリッド化を図ることも可能となる。
【0131】
なお、上記の第2、3の実施形態におけるコネクタ30、60のプラグ32は、シールドカバー45が閉じられてレセプタクル31に確実に接続されて使用された後、シールドカバー45を開いてレセプタクル31から取り出す際、レセプタクル31に嵌まり込んでしまい、容易に取り出せなくなる場合がある。特に、本発明では上記のようにプラグ32を非常に小型に製造することができるため、プラグ32がレセプタクル31に嵌まり込むと取り出し難くなる。
【0132】
そのため、例えば図21に示すように、プラグ32の保護カバー37の上面37aに、一端側のみが上面37aに固着された片材70を設けておくことが好ましい。片材70は金属片で構成することも可能であるが、シールドカバー45の弾性保持部53、53によるプラグ32の保護カバー37の上方からの押圧を阻害してしまう可能性があるため、片材70は例えばテープ状の柔軟性を有する材料で形成することが好ましい。また、片材70が上記の弾性保持部53、53とぶつからないように配置されればより好ましい。
【0133】
このように片材70を設けておくことで、片材70を引っ張ることでプラグ32とレセプタクル31との嵌合を解除してプラグ32をレセプタクル31から容易に取り出すことが可能となる。
【0134】
また、第1の実施形態に係るコネクタ1におけるフィルムケーブル6や、第3の実施形態に係るコネクタ60(光−電気伝送モジュール60)における電気信号伝送用のFPC61に代えて、例えば細線の同軸ケーブルを束ねたもの或いは平面的に並べたものを用いることも可能である。
【符号の説明】
【0135】
1、30、60 コネクタ(垂直嵌合型コネクタ)
2、31 レセプタクル
3、32 プラグ
4、33 外部端子
5、34 突起状端子
8、38 接点
8a、38a 弾性部
8b 先端部
8c 支持体
8d 金属層
8e 絶縁層
8f 高弾性金属層(銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料)
8g 根元部分
30 光伝送モジュール(垂直嵌合型コネクタ)
60 光−電気伝送モジュール(垂直嵌合型コネクタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子と電気的に接続された突起状端子とを有するレセプタクルと、
前記突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により前記突起状端子と電気的に接続する接点を備えたプラグと、
を備え、
前記接点は、各先端部が対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが前記先端部に向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部を有し、前記弾性部には、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が含まれ、前記突起状端子が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料の復元力により前記弾性部が前記突起状端子に圧接されることを特徴とする垂直嵌合型コネクタ。
【請求項2】
前記金属材料は、銅または銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項3】
前記金属材料は、純Ni、Ni系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項4】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、その根元部分が支持体により挟持され、前記先端部側が前記支持体から突出するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項5】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層と、前記突起状端子に圧接され電気的に接続する金属層とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項6】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層が、前記突起状端子に圧接され電気的に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項7】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、さらに絶縁層を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項1】
外部端子と電気的に接続された突起状端子とを有するレセプタクルと、
前記突起状端子が垂直に挿入されると弾性的に変形して復元力により前記突起状端子と電気的に接続する接点を備えたプラグと、
を備え、
前記接点は、各先端部が対向するように設けられ、かつ、延在方向に直交する方向の幅または厚さが前記先端部に向かうほど小さくなるように形成された舌片状の弾性部を有し、前記弾性部には、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する金属材料が含まれ、前記突起状端子が挿入されると変形した前記高い弾性を有する金属材料の復元力により前記弾性部が前記突起状端子に圧接されることを特徴とする垂直嵌合型コネクタ。
【請求項2】
前記金属材料は、銅または銅を含む合金よりも降伏応力が高い金属材料であることを特徴とする請求項1に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項3】
前記金属材料は、純Ni、Ni系合金、Fe−Ni系合金、Ni−Mn系合金、Ni−Co系合金、ステンレス鋼、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項4】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、その根元部分が支持体により挟持され、前記先端部側が前記支持体から突出するように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項5】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層と、前記突起状端子に圧接され電気的に接続する金属層とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項6】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、前記高い弾性を有する金属材料からなる高弾性金属層が、前記突起状端子に圧接され電気的に接続されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【請求項7】
前記接点の舌片状の前記弾性部は、さらに絶縁層を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の垂直嵌合型コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図8】
【公開番号】特開2010−277916(P2010−277916A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−130829(P2009−130829)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】
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