説明

基板、その製造方法、及び実装基板の製造方法

【課題】基板に挿入部品が実装された実装基板において、基板とリードとの剥がれを防止し、かつはんだ付けの際にはんだから挿入部品の本体部への熱伝導を抑制する。
【解決手段】基板11は、基板の互いに対向する第1及び第2主表面11a及び11b間にリード挿入用孔部17が貫通して形成されている。リード挿入用孔部は、第1孔部19及び第2孔部21が、この順に第1主表面側から第2主表面側へ一体的に連通して形成されている。第2孔部は、第1孔部の孔径と比して小さく、かつリード挿入用孔部に挿入すべくリードが挿入可能な孔径で形成されている。そして、第1孔部の内側壁面19b、及び第1主表面の第1孔部の開口端領域11cを一体的に被覆するランド23を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、挿入部品を実装するための基板、その製造方法、及びその基板に挿入部品を実装して製造される実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、基板に種々の電子部品を実装する際には、これら実装する電子部品(以下、実装部品とも称する)を基板にはんだ付けする。
【0003】
そして、実装部品を基板にはんだ付けする方法としては、主にフローはんだ付け及びリフローはんだ付けの2種類のはんだ付け方法が利用されている。そして、例えば実装部品の種類や形状に応じて、これらフローはんだ付けまたはリフローはんだ付けのいずれかの方法が選択され、実装部品が基板にはんだ付けされる。
【0004】
DIPコネクタやLED等の、基板に貫通して形成されたリード挿入用孔部に、リードを挿入して実装する実装部品(以下、挿入部品とも称する)は、従来、主にフローはんだ付けを用いて、はんだ付けが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ここで、図6及び図7を参照して、例えば特許文献1に開示されている従来技術による基板及び製造方法を用いて、挿入部品を基板にはんだ付けして実装する場合のフローを簡単に説明する。
【0006】
図6(A)及び(B)は、従来技術による実装基板の製造方法を説明する工程図である。これらの各図は、それぞれ、製造の各工程における基板および実装部品(すなわち挿入部品)を、基板の厚み方向、すなわち各図に示す基板の第1主表面101a及びこの第1主表面101aに対向する第2主表面101bに直交する方向に切り取った切り口で示してある。
【0007】
まず、挿入部品103を、フローはんだ付けを用いて基板101に実装する際には、基板のはんだ付けを行う側の主表面を下向きにして配置する。図6(A)に示す構成例では、はんだ付けを行う側の主表面として、基板101の第1主表面101aを下向きにして配置してある。
【0008】
また、基板101は、第1主表面101a及びこの第1主表面101aに対向する第2主表面101b間を貫通して形成されているリード挿入用孔部109を有している。
【0009】
また、基板101の第1主表面101a側の、リード挿入用孔部109の開口(第1開口とも称する)109aの周辺領域、すなわち第1開口端領域101cには、リード105と基板101とを電気的に接続するためのパッド111が設けられている。
【0010】
そして、第1工程では、挿入部品103が具えているリード105を基板101の第2主表面101b側の開口(第2開口とも称する)109bからリード挿入用孔部109に挿入する(図6(A)参照)。
【0011】
その結果、リード105は、リード挿入用孔部109の第1主表面101a側の第1開口109aから突出する。
【0012】
次に、第2工程では、フローはんだ付けを用いて、挿入部品103のリード105の、第1開口109aから突出した部分(以下、突出部分とも称する)105aと基板101とをはんだ付けする(図6(B)参照)。
【0013】
フローはんだ付けは、基板101の、リード挿入用孔部109に挿入されたリード105が突出する側の表面、すなわち第1主表面101aをはんだディップ槽(図示せず)に浸すことによって行われる。その結果、基板101の第1開口端領域101cに設けられているパッド111と、基板101の第1主表面101a側に突出したリード105の突出部分105aとがはんだ付けされる。これによって、挿入部品103が基板101に実装されるとともに、リード105とパッド111とがはんだ113によって電気的に接続される。
【0014】
ここで、図6(A)及び(B)の構成例では、第1開口端領域101cに設けられているパッド111を利用して、挿入部品103のリード105を基板101にはんだ付けする例について説明したが、リード挿入用孔部109を所謂スルーホールとして、このスルーホールに設けられたランドを利用してリード105を基板101にはんだ付けする構成としてもよい。
【0015】
すなわち、図7に示すように、基板101は、リード挿入用孔部109の内側壁面109c、基板の第1主表面101a側の第1開口端領域101c、及び基板101の第2主表面101b側の第2開口109bの周辺領域、すなわち第2開口端領域101dを一体的に被覆するランド115を具えている。ランド115は、上述したパッド111と同様に、挿入すべくリード105と基板101とを電気的に接続するために設けられている。そして、このランド115及びリード挿入用孔部109を含んでスルーホール117が構成されている。
【0016】
スルーホール117を利用して基板101に挿入部品103を実装する場合においても、上述したフローはんだ付けによって、挿入部品103のリード105と基板101とがはんだ付けされる。
【0017】
すなわち、基板101の、リード挿入用孔部109に挿入されたリード105が突出する側の表面、すなわち第1主表面101a側からはんだディップ槽(図示せず)に浸すことによって、ランド115と、リード105の突出部分とがはんだ付けされる。
【0018】
そして、フローはんだ付けの際に、スルーホール117内にはんだ119を充填することによって、リード105をランド115の表面115aの全面とはんだ付けすることができる。
【0019】
ここで、スルーホール117を利用する場合には、図7に示すように、はんだ119が、リード105を挿入する側の表面、すなわち第2主面109b側に至って設けられるため、上述したパッド111を利用する場合(図6(B)参照)と比して、挿入部品103の本体部107とはんだ119との離間距離が小さくなる。
【0020】
その結果、フローはんだ付けの際に高温加熱状態にあるはんだ119の熱が、本体部107へ伝導し易い。
【0021】
そのため、はんだ119から本体部107への熱伝導を抑制するために、スルーホール117を利用する場合には、図7に示すように、本体部107を、リード105を挿入する側の第2主表面101bから浮かせた状態で、すなわち本体部107と第2主表面101bとを離間させた状態で実装することが必須である。
【0022】
そして、挿入部品103の本体部107と基板101の第2主表面101bとを確実に離間させるために、第2主表面101bにスペーサ(図示せず)を載置し、すなわち本体部107と第2主表面101bとの間にスペーサを配設して、このスペーサを貫通してリード105をスルーホール117に挿入する技術が周知である(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開平8−288641号公報
【特許文献2】特開2004−234876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上述したパッド111を利用して基板101に挿入部品103を実装する構成例(図6(B)参照)では、リード105が、第1主表面101a側の第1開口端領域101cのみで基板101とはんだ付けされる。そのため、スルーホール117を利用する構成例(図7参照)と比してリード105及び基板101の双方においてはんだ付けされる面積が小さく、挿入部品103に対して外部から負荷が加わった場合、リード105がはんだ付けされた箇所から剥がれてしまう恐れがある。
【0025】
これに対して、スルーホール117を利用して基板101に挿入部品103を実装する構成例(図7参照)では、スルーホール117内にはんだ119が充填された状態でリード105と基板101がはんだ付けされるため、パッド111を利用する構成例(図6(B)参照)と比して外部からの負荷に対する強度が強く、上述した剥がれを抑制することができる。
【0026】
しかしながら、スルーホール117を利用する構成例では、既に説明したように、パッド111を利用する構成例と比して、はんだ119の熱が本体部107へ伝導し易いという問題がある。そこで、上述したように、はんだ119から本体部107への熱伝導を抑制するために、本体部107を、熱伝導の影響を受けない程度に第2主表面101bから離間させて実装することが必要となり、より好適には、本体部107と第2主表面101bとの間にスペーサを配設することが望まれる。
【0027】
そのため、本体部107を第2主表面101bから離間させる、すなわち浮かせることによって挿入部品103が傾く、または第2主表面101bに載置したスペーサが傾くという恐れがあり、その結果、製造される実装基板の歩留まりを悪化させるという問題が生じる。
【0028】
そこで、この発明の目的は、外部からの負荷に起因する基板とリードとの剥がれを防止でき、かつはんだから挿入部品の本体部への熱伝導を抑制できる基板の構造及び製造方法、さらにこの基板に挿入部品を実装して得られる実装基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上述の目的の達成を図るため、この発明の第1の要旨による基板は、以下の特徴を有している。
【0030】
すなわち、第1の要旨による基板は、基板の互いに対向する第1及び第2主表面間にリード挿入用孔部が貫通して形成されている。
【0031】
リード挿入用孔部は、第1孔部及び第2孔部が、この順に第1主表面側から第2主表面側へ一体的に連通して形成されている。
【0032】
第2孔部は、第1孔部の孔径と比して小さく、かつリード挿入用孔部に挿入すべくリードが挿入可能な孔径で形成されている。
【0033】
そして、この発明による基板は、第1孔部の内側壁面、及び第1主表面の、第1孔部の開口端領域を一体的に被覆するランドを具えている。
【0034】
また、この発明の第2の要旨による基板の製造方法は、上述した第1の要旨による基板を製造する方法であって、以下の工程を含んでいる。
【0035】
すなわち、互いに対向する第1及び第2主表面を有する材料基板の第1主表面側から第1孔部を、及び第2主表面側から第2孔部を、第1孔部及び第2孔部が一体的に連通するようにそれぞれ形成することによって、リード挿入用孔部を形成する。
【0036】
然る後、第1孔部の内側壁面、及び第1主表面の、第1孔部の開口端領域を一体的に被覆するランドを形成する。
【0037】
また、この発明の第3の要旨による実装基板の製造方法は、以下の第1工程から第3工程を有している。
【0038】
すなわち、まず、第1工程では、上述した第1の要旨による基板を用意する。
【0039】
次に、第2工程では、リードを有する挿入部品の該リードを第2主表面側からリード挿入用孔部に挿入することによって、該リードを第1主表面側から突出させる。
【0040】
次に、第3工程では、リードとランドとをはんだ付けすることによって、挿入部品を基板に実装する。
【発明の効果】
【0041】
第1の要旨による基板、及び第2の要旨による製造方法によって製造された基板では、第1孔部の内側壁面、及び第1主表面の、第1孔部の開口端領域とを被覆するランドによって、上述したスルーホールが構成されている。そのため、リード挿入用孔部に挿入したリードをはんだ付けする際に、第1孔部にはんだを充填することによって、良好な強度で、すなわち上述したリードの剥がれを防止できる強度で、挿入部品と基板とをはんだ付けすることができる。
【0042】
また、第1の要旨による基板、及び第2の要旨による製造方法によって製造された基板では、第2孔部にはランドが設けられておらず、かつこの第2孔部は、第1孔部と比して孔径が小さく設定されているため、リード挿入用孔部に挿入したリードをはんだ付けする際に、第2孔部にはんだが流入することが防止される。
【0043】
その結果、第2孔部内ではリードがはんだ付けされない。そのため、第2孔部の深さ、すなわち第1及び第2主表面に直交する方向に沿った第2孔部の深さを以って、はんだと挿入部品の本体部との離間距離を確保することができる。従って、この第2孔部において、第1孔部に充填されるはんだから挿入部品の本体部へ伝導する熱を放熱することができる。
【0044】
また、第3の要旨による実装基板の製造方法によれば、上述した第1の要旨による基板を用いて、挿入部品を該基板に実装することによって、第1孔部において剥がれを防止できる強度でリードがはんだ付けされ、かつフローはんだ付けの際に、第2孔部においてはんだから挿入部品の本体部へ伝導する熱を放熱させて、実装基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(A)及び(B)は、第1の実施の形態による基板を説明する概略的端面図である。
【図2】(A)及び(B)は、第1の実施の形態による実装基板の製造方法を説明する、概略的端面で示した工程図である。
【図3】第1の実施の形態による実装基板の製造方法を説明する、概略的端面で示した工程図であり、図2(A)に続く工程図である。
【図4】(A)及び(B)は、第2の実施の形態による基板を説明する概略的端面図である。
【図5】第2の実施の形態による基板を利用して製造された実装基板を説明する概略的端面図である。
【図6】(A)及び(B)は、従来技術による実装基板の製造方法を説明する、概略的端面で示した工程図である。
【図7】従来技術による実装基板の製造方法を説明する、概略的端面で示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態による基板、その製造方法、及びその基板を利用した実装基板の製造方法について説明する。なお、各図は、この発明が理解できる程度に、各構成要素の形状、大きさ、及び配置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、この発明の構成は、何ら図示の構成例にのみ限定されるものではない。
【0047】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、互いに孔径の異なる第1孔部及び第2孔部を含むリード挿入用孔部が形成されている基板、及びその製造方法について説明する。
【0048】
図1(A)及び(B)は、第1の実施の形態による基板を説明する概略図である。この図は、それぞれ基板を当該基板の厚み方向、すなわち図に示す基板11の第1主表面11a及びこの第1主表面11aに対向する第2主表面11bに直交する方向に切り取った切り口で示してある。
【0049】
第1の実施の形態による基板11は、好ましくは平行平板状の基板であり、好ましくは例えば周知のガラスエポキシ基板である。そして、この実施の形態では、基板11は、例えば単一の基板によって構成された基板、または複数の基板が積層されて構成された基板のいずれの構成としてもよい。
【0050】
図1(A)では、基板11が、単一の基板によって構成された構成例を示している。また、図1(B)では、基板11が、2つの基板が積層されて構成された構成例、すなわち各々ガラスエポキシ基板である第1基板層13及び第2基板層15がこの順に積層されて構成された場合の構成例を示している。
【0051】
図1(A)に係る構成例と図1(B)に係る構成例との構成の相違は、単一の基板を用いるか2層の積層基板を用いるかにあるので、それ以外の構成は共通である。従って、以下の説明では、この第1の実施の形態を、図1(B)を参照して、第1基板層13及び第2基板層15が積層されて構成された基板11について説明する。
【0052】
基板11には、互いに対向する第1主表面11a及び第2主表面11b間にリード挿入用孔部17が貫通して形成されている。
【0053】
リード挿入用孔部17は、基板11に挿入部品を実装する際に、挿入部品に設けられているリードを挿入するための孔部として設けられている。そのために、このリード挿入用孔部17は、第1孔部19及び第2孔部21が、この順に基板11の第1主表面11a側から第2主表面11b側へ一体的に連通して形成されている。そして、基板11に実装すべく挿入部品が有するリードの数及び配置に対応した数及び配置でリード挿入用孔部17が形成されている。
【0054】
図1(B)に示す構成例では、第1基板層13及び第2基板層15は、それぞれ積層方向(すなわち基板11の厚み方向)に直交しかつ互いに対向する2つの主表面13a、13b、15a、及び15bを有している。そして、第1孔部19は、第1基板層13の2つの主表面13a及び13b間を貫通して形成されている。また、第2孔部21は、第2基板層15の2つの主表面15a及び15b間を貫通して形成されている。
【0055】
そして、これら第1孔部19及び第2孔部21は、互いに異なる孔径を有している。
【0056】
すなわち、第2孔部21の孔径W2は、第1孔部19の孔径W1と比して小さく設定されている。
【0057】
また、第2孔部21の孔径W2は、当該基板11に挿入部品を実装する際にリード挿入用孔部17に挿入すべくリードが挿入可能な孔径に設定されている。
【0058】
ここで、第2孔部21の孔径W2は、例えば挿入されたリードが傾く(すなわち基板11の厚み方向に対して傾く)のを防止するために、またはリードをはんだ付けする際のはんだがこの第2孔部21内に流入するのを防止するために、リードを挿入可能な孔径であって、かつ挿入すべくリードの径の製造誤差に応じてできる限り小さく設定されているのが好ましい。
【0059】
また、基板11は、第1孔部19の内側壁面19b、及び第1主表面11aの、第1孔部19の開口(第1開口とも称する)19aの周辺領域、すなわち第1開口端領域11cを一体的に被覆するランド23を具えている。
【0060】
ランド23は、好ましくは例えば銅を材料として構成されており、基板11に実装すべく挿入部品のリードと当該基板11とを電気的に接続するために設けられている。
【0061】
そして、第1孔部19において、この第1孔部19及びランド23を含むスルーホール25が構成されている。挿入部品を基板11に実装する際には、リード挿入用孔部17に挿入されたリードが、このスルーホール25のランド23とはんだ付けされる。
【0062】
ここで、挿入部品を基板11に実装する際には、十分な強度で、すなわちはんだ付けされたリードがランド23から剥がれない強度でランド23とリードとをはんだ付けするために、第1孔部19内、すなわちスルーホール25内にはんだを充填した状態ではんだ付けを行う。
【0063】
そのために、スルーホール25の径、すなわち第1孔部19の内側壁面19bを被覆するランド23に画成された孔の径W3を、挿入すべくリードの径に対して例えば1.2倍程度の大きさに設定するのが好ましい。
【0064】
また、上述したリードの剥がれを防止するために、第1孔部19の深さ、すなわち第1主表面11a及び第2主表面11bに直交する方向に沿った第1孔部19の深さを、例えば実装すべく挿入部品の重量に応じた好適な値に設定するのが好ましい。すなわち、例えば10kg以下の挿入部品を実装する場合には、第1孔部19の深さを例えば少なくとも1.6mmに設定するのが好ましい。
【0065】
そして、図1(B)に示す構成例のように、2つの基板、すなわち第1基板層13及び第2基板層15を積層させて基板11を構成する場合には、第1基板層13の厚みによって第1孔部19の深さを設定する。すなわち、第1孔部19の深さを例えば1.6mmに設定するためには、基板11を構成する第1基板層13の厚みを1.6mmに設定するのが好ましい。
【0066】
なお、図1(B)では、第1基板層13及び第2基板層15がそれぞれ単一の基板によって構成されている場合の構成例を示してあるが、これら第1基板層13及び第2基板層15を各々複数の基板の積層体で構成してもよい。その場合には、第1孔部19の深さを所望の値に設定するために、第1基板層13を構成する基板の数及びそれら各々の厚みを、設定すべく第1孔部19の深さに応じて設定するのが好ましい。すなわち、例えば第1基板層13を2つの基板を積層させて構成する場合であって、第1孔部19の深さを例えば1.6mmに設定する場合には、第1基板層13を構成するそれら基板を例えば各々0.8mmに設定するのが好ましい。
【0067】
また、既に説明したように、挿入部品を基板11に実装する際のフローはんだ付けでは、高温加熱状態にあるはんだの熱が、挿入部品の本体部へ伝導し易い。
【0068】
そこで、この第1の実施の形態による基板11では、はんだから挿入部品の本体部への熱伝導を抑制するために、第2孔部21の深さ、すなわち第1主表面11a及び第2主表面11bに直交する方向に沿った第2孔部21の深さを以って、はんだと挿入部品とを離間させる。そして、はんだ付けの際に、はんだからリードを経て挿入部品の本体部へ伝導する熱を、第2孔部21において放熱させる。
【0069】
伝導熱を放熱させるために設定する第2孔部21の深さは、例えば実装すべく挿入部品の種類に応じた好適な値に設定するのが好ましい。すなわち、例えば本体部とはんだとを1.6mm離間させることが推奨されている挿入部品を実装する場合には、第2孔部21の深さを1.6mmに設定するのが好ましい。
【0070】
そして、図1(B)に示す構成例のように、2つの基板、すなわち第1基板層13及び第2基板層15を積層させて基板11を構成する場合には、第2基板層15の厚みによって第2孔部21の深さを設定する。すなわち、第2孔部21の深さを例えば1.6mmに設定するためには、基板11を構成する第2基板層15の厚みを1.6mmに設定するのが好ましい。
【0071】
なお、図1(B)では、第1基板層13及び第2基板層15がそれぞれ単一の基板によって構成されている場合の構成例を示してあるが、上述したように、これら第1基板層13及び第2基板層15を各々複数の基板の積層体で構成してもよい。その場合には、第2孔部21の深さを所望の値に設定するために、第2基板層15を構成する基板の数及びそれら各々の厚みを、設定すべく第2孔部21の深さに応じて設定するのが好ましい。すなわち、例えば第2基板層15を2つの基板を積層させて構成する場合であって、第2孔部21の深さを例えば1.6mmに設定する場合には、第2基板層15を構成するそれら基板を例えば各々0.8mmに設定するのが好ましい。
【0072】
ここで、図1(B)に示す構成例の基板11は、例えば以下に説明する製造方法を用いて製造することができる。
【0073】
すなわち、まず、第1孔部19が設けられている第1基板層13、及び第2孔部21が設けられている第2基板層15を、第1孔部19及び第2孔部21が一体的に連通するように積層させることによって、リード挿入用孔部17を形成する。
【0074】
次に、第1孔部19の内側壁面19b、及び第1主表面11aの、第1孔部19の開口端領域11cを一体的に被覆するランド23を、好ましくは例えば銅を材料として周知のメッキ技術を用いて形成して、図1(B)に示すような基板11を得る。
【0075】
また、基板11の他の製造方法として、図1(A)または(B)に示す構成例の基板11を、例えば以下に説明する製造方法を用いて製造してもよい。
【0076】
すなわち、まず、基板11の出発材料として、互いに対向する第1及び第2主表面を有する材料基板を用意する(図示せず)。材料基板の第1及び第2主表面は、それぞれ製造される基板11の第1及び第2主表面11a及び11bに対応する。
【0077】
この材料基板は、例えば単一の基板によって構成された基板、または複数の基板が積層されて構成された基板とする。
【0078】
そして、例えば周知のエッチング技術を用いて、材料基板の第1主表面側から第1孔部19を、及び第2主表面側から第2孔部21を、これら第1孔部19及び第2孔部21が一体的に連通するようにそれぞれ形成することによって、リード挿入用孔部17を形成する。
【0079】
次いで、第1孔部19の内側壁面19b、及び第1主表面11aの、第1孔部19の開口端領域11cを一体的に被覆するランド23を、好ましくは例えば銅を材料として周知のメッキ技術を用いて形成して、図1(A)または(B)に示すような基板11を得る。
【0080】
以上説明したように、第1の実施の形態による基板11では、第1孔部19、及びこの第1孔部19の内側壁面19bと第1開口端領域11cとを被覆するランド23によって、スルーホール25が構成されている。そのため、リード挿入用孔部17に挿入したリードをはんだ付けする際に、第1孔部19にはんだを充填することによって、良好な強度で、すなわち上述したリードの剥がれを防止できる強度で、挿入部品と基板11とをはんだ付けすることができる。
【0081】
また、第1の実施の形態による基板11では、第2孔部21にはランドが設けられておらず、かつこの第2孔部21は、第1孔部19と比して孔径が小さく設定されているため、リード挿入用孔部17に挿入したリードをはんだ付けする際に、第2孔部21にはんだが流入することが防止される。
【0082】
その結果、第2孔部21内ではリードがはんだ付けされない。そのため、第2孔部21の深さを以って、はんだと挿入部品の本体部との離間距離を確保することができる。従って、この第2孔部21において、第1孔部19に充填されるはんだから挿入部品の本体部へ伝導する熱を放熱することができる。
【0083】
次に、第1の実施の形態による基板11を利用した実装基板の製造方法について説明する。
【0084】
この実装基板の製造方法は、第1工程から第3工程までを含んでいる。以下、第1工程から順に各工程につき説明する。
【0085】
図2(A)及び(B)は、この第1の実施の形態による実装基板の製造方法を説明する工程図である。また、図3は、図2(A)に続く工程図である。これらの各図は、それぞれ、各製造段階で得られた構造体を基板の厚み方向、すなわち各図に示す基板11の第1主表面11a及びこの第1主表面11aに対向する第2主表面11bに直交する方向に切り取った切り口で示してある。
【0086】
まず、第1工程では、上述したこの実施の形態による基板11を用意する(図1(B)参照)。ここでは、第1基板層13と第2基板層15が積層された基板11を用いるが、単一の基板11を用いてもよい。
【0087】
既に説明したように、挿入部品を、フローはんだ付けを用いて基板に実装する際には、基板のはんだ付けを行う側の主表面を下向きにして配置する。後述するように、この第1の実施の形態では、挿入部品のリードを基板11の第2主面11b側から挿入し、然る後、第1主面11a側においてフローはんだ付けを行う。そのために、この第1工程において用意する基板11を、第1主表面11aを下向きにして配置するのが好ましい。
【0088】
次に、第2工程では、リード29を有する挿入部品27のリード29を、基板11の第2主表面11b側からリード挿入用孔部17に挿入して、図2(A)に示すような構造体を得る。
【0089】
その結果、図2(A)に示すように、リード29を基板11の第1主表面11a側から突出させる。
【0090】
挿入部品27は、例えばDIPコネクタやLED等である。
【0091】
ところで、上述したように、フローはんだ付けでは、高温加熱状態にあるはんだの熱が、リード29を経て挿入部品27の本体部31へ伝導するのを防止するために、はんだと本体部31とを十分に、すなわちはんだからの伝導熱を放熱できる程度に離間させる必要がある。そして、既に説明したように、この実施の形態の基板11では、第2孔部21の深さ、すなわち第1主表面11a及び第2主表面11bに直交する方向に沿った第2孔部21の深さを以って、続く第3工程において第1孔部19内に充填されるはんだと挿入部品の本体部31とを離間させることができる。
【0092】
ここで、このはんだと挿入部品27の本体部31との離間距離を確実に確保するために、図2(B)に示すように、リード29の延在方向の中途に予め周知の所謂タイバー部33が設けられている挿入部品27を用いるのが好ましい。すなわち、挿入部品27として、リード29の延在方向に直交する幅が第2孔部21の孔径W2(図1(B)参照)よりも大きく設定されている拡大部(すなわちタイバー部33)を有する当該リード29を具えている挿入部品27を用いるのが好ましい。
【0093】
拡大部33、すなわちタイバー部33を有するリード29を用いる場合には、この第2工程において、拡大部33が基板11の第2主表面11bに接するまでリード29をリード挿入用孔部17に挿入する。既に説明したように、拡大部33の幅は第2孔部21の孔径W2よりも大きく設定されているため、図2(B)に示すように、この拡大部33がリード挿入用孔部17に挿入されることはない。従って、リード29を挿入する際において、拡大部33がリード挿入用孔部17の第2主表面11b側の開口、すなわち第2孔部21の第2主表面11b側の開口(第2開口とも称する)21aに達した時点で、リード29の挿入が止まる。その結果、より確実に第2孔部21の深さを以って、はんだと挿入部品の本体部31とを離間させることができる。
【0094】
次に、第3工程では、リード29とランド23とをはんだ付けすることによって、挿入部品を基板11に実装して、図3に示すような構造体、すなわち実装基板37を得る。
【0095】
そこで、上述した周知のフローはんだ付けを用いて、リード29とランド23とをはんだ付けする。既に説明したように、フローはんだ付けは、基板11の、リード挿入用孔部17に挿入されたリード29が突出している側の表面、すなわち第1主表面11aをはんだディップ槽(図示せず)に浸すことによって行われる。
【0096】
その結果、はんだ35が第1孔部19内、すなわちスルーホール25内に充填された状態でリード29とランド23とがはんだ付けされる。これによって、挿入部品27が基板11に実装されるとともに、リード29とランド23とがはんだ35によって電気的に接続される。
【0097】
ここで、はんだ35が充填される第1孔部19にはその内側壁面19bを被覆するランド23が設けられているのに対して、第2孔部21にはランドが設けられていない。そして、既に説明したように、ランド23は例えば銅によって、また、第2基板層15は例えばガラスエポキシ基板によって、それぞれ構成されている。このような材質の差異に起因して、ランド23と第2孔部21の内壁面21bとでは、はんだとの付着性に差が生じる。すなわち、ランド23にははんだ35が付着し易く、第2孔部21の内壁面21bにはランド23と比してはんだ35が付着し難い。
【0098】
さらに、既に説明したように、第2孔部21は、第1孔部19と比して孔径が小さく、リードが挿入可能な孔径であって、かつ挿入すべくリードの径の製造誤差に応じてできる限り小さく設定されている。
【0099】
その結果、この第3工程におけるフローはんだ付けの際に、第2孔部21内にはんだ35が付着すること、及び第2孔部21にはんだ35が流入することが防止される。
【0100】
そして、第1の実施の形態による実装基板の製造方法によれば、上述した基板11を利用して挿入部品27を該基板11に実装することによって、第1孔部19、すなわちスルーホール25において剥がれを防止できる強度でリード29がはんだ付けされ、かつフローはんだ付けの際に、第2孔部21においてはんだ35から挿入部品27の本体部31へ伝導する熱を放熱させて、実装基板37を製造することができる。
【0101】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第1の実施の形態において説明したリード挿入用孔部が上述した第1孔部及び第2孔部に加えて更に第3孔部を含んで形成されている基板、及びその製造方法について説明する。
【0102】
なお、この第2の実施の形態による基板が、上述した第1の実施の形態による基板と相違するのは、リード挿入用孔部が第3孔部を含んで形成されている点である。その他の構成要素及び作用効果は、第1の実施の形態と同様であるので、共通する構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0103】
図4(A)及び(B)は、第2の実施の形態による基板を説明する概略図である。この図は、基板を当該基板の厚み方向、すなわち図に示す基板41の第1主表面41a及びこの第1主表面41aに対向する第2主表面41bに直交する方向に切り取った切り口で示してある。
【0104】
第2の実施の形態による基板41は、上述した第1の実施の形態による基板11(図1(A)及び(B)参照)と同様に、好ましくは平行平板状の基板であり、好ましくは例えば周知のガラスエポキシ基板である。そして、この実施の形態では、基板41は、例えば単一の基板によって構成された基板、または複数の基板が積層されて構成された基板のいずれの構成としてもよい。
【0105】
図4(A)では、基板41が、単一の基板によって構成された構成例を示している。また、図4(B)では、基板41が、3つの基板が積層されて構成された構成例、すなわち各々ガラスエポキシ基板である第1基板層13、第2基板層42、及び第3基板層39がこの順に積層されて構成された場合の構成例を示している。
【0106】
図4(A)に係る構成例と図4(B)に係る構成例との構成の相違は、単一の基板を用いるか3層の積層基板を用いるかにあるので、それ以外の構成は共通である。従って、以下の説明では、この第2の実施の形態を、図4(B)を参照して、第1基板層13、第2基板層42、及び第3基板層39が積層されて構成された基板41について説明する。
【0107】
基板41には、互いに対向する第1主表面41a及び第2主表面41b間にリード挿入用孔部45が貫通して形成されている。
【0108】
リード挿入用孔部45は、上述した第1の実施の形態によるリード挿入用孔部17(図1(B)参照)と同様に、挿入部品を実装する際に、挿入部品に設けられているリードを挿入するための孔部として設けられている。そのために、このリード挿入用孔部45は、第1孔部19、第2孔部44、及び第3孔部43が、この順に基板41の第1主表面41a側から第2主表面41b側へ一体的に連通して形成されている。そして、基板41に実装すべく挿入部品が有するリードの数及び配置に対応した数及び配置でリード挿入用孔部45が形成されている。
【0109】
図4(B)に示す構成例では、第1基板層13、第2基板層42、及び第3基板層39は、それぞれ積層方向(すなわち基板41の厚み方向)に直交しかつ互いに対向する2つの主表面13a、13b、42a、42b、39a、及び39bを有している。そして、第1孔部19は、第1基板層13の2つの主表面13a及び13b間を貫通して形成されている。また、第2孔部44は、第2基板層42の2つの主表面42a及び42b間を貫通して形成されている。また、第3孔部43は、第3基板層39の2つの主表面39a及び39b間を貫通して形成されている。
【0110】
そして、第3孔部43の孔径W4は、第2孔部44の孔径W2と比して大きいか、もしくは同一の孔径で形成されている。図4(B)では、第3孔部43の孔径W4を第2孔部44の孔径W2と比して大きく設定した場合の構成例について示してある。
【0111】
ここで、既に説明したように、フローはんだ付けの際に、はんだから挿入部品の本体部へ熱が伝導するのを抑制するために、はんだと挿入部品の本体部とを離間させる必要がある。この実施の形態では、後述するように第2孔部44及び第3孔部43の深さを以って、はんだと挿入部品の本体部とを離間させる。そして、基板41では、このはんだと挿入部品の本体部との離間距離を確実に確保するために、基板41の第2主表面41b側にスペーサを載置することによって、基板41と挿入部品の本体部と間にスペーサを配設することができる。
【0112】
そこで、基板41の第2主表面41b側に載置すべくスペーサを第3孔部43に嵌め込んだ状態で固定可能な孔径で、当該第3孔部43が形成されているのが好ましい。
【0113】
すなわち、第3孔部43の孔径W4は、この第3孔部43に嵌め込んで基板41に載置されるスペーサが傾く(すなわち基板41の厚み方向に対して傾く)のを防止するために、スペーサを嵌め込み可能な孔径であって、かつ載置すべくスペーサの幅に応じてできる限り小さく設定されているのが好ましい。
【0114】
また、第2孔部44の孔径W2は、上述した第1の実施の形態による第2孔部21の孔径と同様に、すなわちリード挿入用孔部17に挿入すべくリードが挿入可能な孔径に設定されている。
【0115】
また、既に説明したように、挿入部品を基板41に実装する際のフローはんだ付けでは、高温加熱状態にあるはんだの熱が、挿入部品の本体部へ伝導し易い。
【0116】
そこで、この第2の実施の形態による基板41では、はんだから挿入部品の本体部への熱伝導を抑制するために、第2孔部44及び第3孔部43の深さ、すなわち第1主表面41a及び第2主表面41bに直交する方向に沿った第2孔部44及び第3孔部43の深さの和を以って、はんだと挿入部品とを離間させる。そして、はんだ付けの際に、はんだからリードを経て挿入部品の本体部へ伝導する熱を、第2孔部44及び第3孔部43において放熱させる。
【0117】
伝導熱を放熱させるために設定する第2孔部44及び第3孔部43の深さは、例えば実装すべく挿入部品の種類に応じた好適な値に設定するのが好ましい。すなわち、例えば本体部とはんだとを1.6mm離間させることが推奨されている挿入部品を実装する場合には、第2孔部44及び第3孔部43の深さの和を1.6mmに設定するのが好ましい。
【0118】
そして、図4(B)に示す構成例のように、第2孔部44が形成されている第2基板層42、及び第3孔部43が形成されている第3基板層39の積層構造を含んで、基板41が構成されている場合には、これら第2基板層42及び第3基板層39の厚みによって第2孔部44及び第3孔部43の深さを設定する。すなわち、第2孔部44及び第3孔部43の深さの和を例えば1.6mmに設定するためには、第2基板層42及び第3基板層39の厚みを各々0.8mmに設定するのが好ましい。
【0119】
なお、第1孔部19及びランド23の構成については、上述した第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0120】
ここで、図4(B)に示す構成例の基板41は、例えば以下に説明する製造方法を用いて製造することができる。
【0121】
すなわち、まず、第1孔部19が設けられている第1基板層13、第2孔部44が設けられている第2基板層42、及び第3孔部43が設けられている第3基板層39を、この順に、第1孔部19、第2孔部44、及び第3孔部43が一体的に連通するように積層させることによって、リード挿入用孔部45を形成する。
【0122】
次に、第1孔部19の内側壁面19b、及び第1主表面41aの、第1孔部19の開口端領域41cを一体的に被覆するランド23を、好ましくは例えば銅を材料として周知のメッキ技術を用いて形成して、図4(B)に示すような基板41を得る。
【0123】
また、基板41の他の製造方法として、図4(A)または(B)に示す構成例の基板41を、例えば以下に説明する製造方法を用いて製造してもよい。
【0124】
すなわち、まず、基板41の出発材料として、互いに対向する第1及び第2主表面を有する材料基板を用意する(図示せず)。材料基板の第1及び第2主表面は、それぞれ製造される基板41の第1及び第2主表面41a及び41bに対応する。
【0125】
この材料基板は、例えば単一の基板によって構成された基板、または複数の基板が積層されて構成された基板とする。
【0126】
そして、例えば周知のエッチング技術を用いて、材料基板の第1主表面側から第1孔部19を、及び第2主表面側から第2孔部44及び第3孔部43を、これら第1孔部19、第2孔部44、及び第3孔部43がこの順に一体的に連通するようにそれぞれ形成することによって、リード挿入用孔部45を形成する。
【0127】
次に、第1孔部19の内側壁面19b、及び第1主表面41aの、第1孔部19の開口端領域41cを一体的に被覆するランド23を、好ましくは例えば銅を材料として周知のメッキ技術を用いて形成して、図4(A)または(B)に示すような基板41を得る。
【0128】
ここで、図5は、この第2の実施の形態による基板41を用いて製造した実装基板であって、上述した第3孔部43を利用して基板41にスペーサ47を載置させた構成の実装基板49を示す図である。この図は、実装基板49を当該実装基板49の厚み方向、すなわち図に示す基板41の第1主表面41a及びこの第1主表面41aに対向する第2主表面41bに直交する方向に切り取った切り口で示してある。
【0129】
図5に示すように基板41にスペーサ47を載置した状態で挿入部品27を実装する場合には、上述した第1の実施の形態による実装基板の製造方法における第2工程において、スペーサ47を載置する。
【0130】
すなわち、第1の実施の形態で上述した第2工程において、まず、スペーサ47を基板47の第3孔部43に嵌め込んで載置する。
【0131】
スペーサ47は、例えば合成樹脂を材料として構成されているのが好ましい。また、このスペーサ47には、挿入部品27のリード29を挿入するための孔部を設けておく。
【0132】
然る後、挿入部品27のリード29を、スペーサ47を貫通させて、すなわち上述したスペーサ47の孔部を通して、第2主表面41b側からリード挿入用孔部45に挿入することによって、リード29を第1主表面41a側から突出させる。
【0133】
その結果、挿入部品27の本体部31と基板41との間にスペーサ47を挟み込んで配設することができる。
【0134】
このように、挿入部品27の本体部31と基板41との間にスペーサ47を配設することによって、フローはんだ付けの際に挿入部品27の本体部31とはんだ35とを確実に離間させることができる。そのため、はんだ35から挿入部品27の本体部31への熱伝導を抑制することができる。
【0135】
また、上述したように、第3孔部43は、載置すべくスペーサを当該第3孔部43に嵌め込んだ状態で固定可能な孔径に設定されている。そのため、基板41の厚み方向に対して傾くことなくスペーサ47を載置することができる。
【符号の説明】
【0136】
11、41、101:基板
13:第1基板層
15、42:第2基板層
17、45、109:リード挿入用孔部
19:第1孔部
21、44:第2孔部
23、115:ランド
25、117:スルーホール
27、103:挿入部品
29、105:リード
31、107:本体部
33:タイバー部(拡大部)
35、113、119:はんだ
37、49:実装基板
39:第3基板層
43:第3孔部
47:スペーサ
111:パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の互いに対向する第1及び第2主表面間にリード挿入用孔部が貫通して形成されている当該基板であって、
前記リード挿入用孔部は、第1孔部及び第2孔部が、この順に前記第1主表面側から前記第2主表面側へ一体的に連通して形成されており、
前記第2孔部は、前記第1孔部の孔径と比して小さく、かつ前記リード挿入用孔部に挿入すべくリードが挿入可能な孔径で形成されており、
前記第1孔部の内側壁面、及び前記第1主表面の、前記第1孔部の開口端領域を一体的に被覆するランドを具えている
ことを特徴とする基板。
【請求項2】
請求項1に記載の基板であって、
前記リード挿入用孔部は、第3孔部を更に含み、
前記第1孔部、前記第2孔部、及び該第3孔部が、この順に前記第1主表面側から前記第2主表面側へ一体的に連通して形成されており、
該第3孔部は、前記第2孔部の孔径と比して大きな孔径、または前記第2孔部の孔径と同一の孔径で形成されている
ことを特徴とする基板。
【請求項3】
請求項1に記載の基板であって、
当該基板は、第1基板層及び第2基板層が積層されて構成されており、
該第1基板層及び該第2基板層は、それぞれ積層方向に直交しかつ互いに対向する2つの主表面を有し、
前記第1孔部は、前記第1基板層の2つの主表面間を貫通して形成されており、
前記第2孔部は、前記第2基板層の2つの主表面間を貫通して形成されている
ことを特徴とする基板。
【請求項4】
請求項2に記載の基板であって、
当該基板は、第1基板層、第2基板層、及び第3基板層がこの順に積層されて構成されており、
該第1基板層、該第2基板層、及び該第3基板層は、それぞれ積層方向に直交しかつ互いに対向する2つの主表面を有し、
前記第1孔部は、前記第1基板層の2つの主表面間を貫通して形成されており、
前記第2孔部は、前記第2基板層の2つの主表面間を貫通して形成されており、
前記第3孔部は、前記第3基板層の2つの主表面間を貫通して形成されている
ことを特徴とする基板。
【請求項5】
請求項2または4に記載の基板であって、
前記第3孔部は、当該基板に載置すべくスペーサを該第3孔部に嵌め込んだ状態で固定可能な孔径で形成されている
ことを特徴とする基板。
【請求項6】
請求項1または3に記載の基板を製造する方法であって、
互いに対向する第1及び第2主表面を有する材料基板の該第1主表面側から前記第1孔部を、及び該第2主表面側から前記第2孔部を、前記第1孔部及び前記第2孔部が一体的に連通するようにそれぞれ形成することによって、前記リード挿入用孔部を形成し、
然る後、前記第1孔部の内側壁面、及び前記第1主表面の、前記第1孔部の開口端領域を一体的に被覆するランドを形成する
ことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の基板を用意する第1工程と、
リードを有する挿入部品の該リードを前記第2主表面側から前記リード挿入用孔部に挿入することによって、該リードを前記第1主表面側から突出させる第2工程と、
該リードと前記ランドとをはんだ付けすることによって、前記挿入部品を前記基板に実装する第3工程と
を含むことを特徴とする実装基板の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の実装基板の製造方法であって、
延在方向に直交する幅が前記第2孔部の孔径よりも大きく設定されている拡大部を有する前記リードを用い、
前記第2工程において、該拡大部が前記第2主表面に接するまで挿入する
ことを特徴とする実装基板の製造方法。
【請求項9】
請求項5に記載の基板を用意する第1工程と、
前記スペーサを該基板の前記第3孔部に嵌め込んで載置し、然る後、リードを有する挿入部品の該リードを、前記スペーサを貫通させて、前記第2主表面側から前記リード挿入用孔部に挿入することによって、該リードを前記第1主表面側から突出させる第2工程と、
該リードと前記ランドとをはんだ付けすることによって、前記挿入部品を前記基板に実装する第3工程と
を含むことを特徴とする実装基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−134416(P2012−134416A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287207(P2010−287207)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】