説明

基板に転写されたブロックを薄化する方法

【課題】基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法を提供すること。
【解決手段】本発明によれば、本方法は、
・少なくとも、基板(14)上に、かつ、転写されたブロック(10,12)に横方向に、薄化のためのブロック(10,12)の材料より抵抗が大きく、かつ、転写されたブロック(10,12)より厚さが小さい材料の停止層(16)を堆積させる段階、
・転写されたブロック(10,12)の薄化を始動する段階を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電子部品の製造の分野に関し、より詳細には、基板に付加された微小電子部品の薄化に関する。
【背景技術】
【0002】
一部のマトリクス検出器では、電磁放射検出機能は、基板に付加される感応性素子のマトリクスによって実施され、基板は、前記素子を読取るための全ての回路素子を含む。こうした検出器の中で、たとえば、背面照射される検出器(「裏面(backside)」検出器)、また、膜−懸垂保持型ボロメータ(membrane−suspended bolometers)を使用する検出器が挙げられる。こうした検出器は、通常、たとえば、直接ボンディングによる、または、挿入による、「フリップチップ(flip−chip)」ハイブリッド化技法を使用するハイブリッド設計である。
【0003】
こうして基板に組立てられた(「転写された(transferred)」)部品は、その後、その検出機能を果たしうるように薄化される。
【0004】
たとえば、研磨またはラッピングなどの従来技術の機械的薄化技法は、最終的に、高いレベルの精度を持つ約20マイクロメートルの厚さを与えることができる。これらの技法は、一般に、所定の厚さにわたって材料を薄化するサイクルを繰返し、それに続いて、実際に生成された薄化を検査することを含む。しかし、20マイクロメートル未満の厚さを得るためには、多数のサイクル、ならびに、連続する薄化動作の非常に正確な並列処理が必要とされる。一般的に言えば、20マイクロメートル未満の残留厚が必要とされる場合には、機械的薄化が、良好な結果を与えるとは考えられていない。
【0005】
停止層を使用する化学的侵蝕による薄化技法も存在する。薄化のための微小電子部品を製造する場合、いわゆる「停止(stop)」層が、部品のそれぞれの中に挿入される。この停止層は、部品を薄化するのに使用される化学的侵蝕に対して非感応性であるため、効果的な薄化制御を可能にする。しかし、薄化のために部品内部に停止層を挿入することは、それらの製造をより複雑にかつ高価にする。シリコン部品のためのSiO停止層を製造するため、また、高濃度にドーピングされた特定の層を挿入するために、たとえば、部品がII−VI族またはIII−V族化合物を含む場合、超高真空で特定の堆積を行うためのステップの用意をしなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/054005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基板に転写された部品を薄化する方法を提案することによって上述した問題を解決することであり、非常に小さな残留厚さが、高い精度で得られることを可能にするものであって、この方法がなければ、薄化のための部品の製造がより複雑にされるか、または、コストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明の対象は、基板に転写されたブロックを薄化する方法であり、方法は、本発明によれば、
・少なくとも、基板上に、かつ、前記転写されたブロックに隣接し近接するように、薄化のための転写されたブロックを構成する材料よりも抵抗または硬度が大きく、かつ、前記転写されたブロックよりも厚さの小さな材料から作られる停止層を堆積させる段階、
・転写されたブロックの薄化を始動する段階を含む。
【0009】
1つの本発明の実施形態によれば、薄化の停止は、薄化速度が減少すると始動される。
【0010】
換言すれば、硬度が大きな停止層は、基板上に、かつ、薄化のためのブロックに近接して堆積される。そのため、薄化が、硬度の低い材料で構成されるブロックに関してだけ実施される限り、薄化速度が観察され、速度は、薄化が停止層に達すると、前記停止層の硬度が大きいため低下する。この速度低下は、その後、薄化を停止するための基準としての機能を果たす。ブロックは、その後、停止層と同じ残留厚さを有する。
【0011】
したがって、その実施が極めて複雑であることが実証された、ブロック自体に組み込まれた停止層を使用する必要性が存在せず、得られる厚さは、この場合、停止層を堆積させる技法によって制限されるだけである。そのため、1マイクロメートル未満の薄化の精度が可能である。
【0012】
本発明によれば、停止層は、電解によって、電解堆積によって、あるいは、蒸着、スパッタリング、化学気相堆積(CVD)またはさらにプラズマトーチなどの直接堆積によって堆積されてもよい。
【0013】
本発明によれば、停止層を形成する段階が、スパッタリングまたは蒸着によってシード層を基板上に堆積させ、それに続き、前記転写されたブロックよりも抵抗または硬度が大きな材料から形成された成長層をシード層上に電解堆積することを含んでもよい。
【0014】
薄化のための転写されたブロックは、たとえば、シリコンから形成され、停止層の抵抗または硬度が大きな材料は、硬質金属、特に、クロム、ニッケル、または、銅、あるいはその合金である。
【0015】
有利には、停止層は、停止層の上側表面上に、ダイヤモンド、炭化ケイ素、またはアルミナから形成された層を含んでもよい。
【0016】
薄化は、研磨またはラッピングによって実施されてもよい。
【0017】
1つの本発明の実施形態によれば、薄化時間は、転写されたブロックを薄化する所定の速度の関数として予めプログラムされ、薄化時間は、薄化が停止層を部分的に侵蝕するように選択される。
【0018】
1つの本発明の実施形態によれば、停止層はまた、転写されたブロックの上側面上に堆積され、この方法は、さらに、転写されたブロックの薄化を始動する前に、転写されたブロックの上側面上に堆積された停止層部分を除去する段階を含む。
【0019】
本発明の1つのバージョンによれば、転写されたブロックは、停止層の堆積段階の前に埋め込まれる、または、コーティングされる。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、転写されたブロックは、基板に転写されたブロックのマトリクスに含まれ、停止層は、少なくともマトリクスのブロック間に堆積され、薄化は、マトリクスの全てのブロック上でまとめて実施される。
【0021】
本発明は、単に例示を目的として提供され、また、添付図面に関連して提供される以下の記載を読むことによってより理解されるであろう。添付図面では、同一の参照符号は、同一のまたは類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の方法の通常の原理を示す図である。
【図2】本発明の方法の通常の原理を示す図である。
【図3】本発明の方法の通常の原理を示す図である。
【図4】本発明の方法の通常の原理を示す図である。
【図5】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図6】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図7】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図8】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図9】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図10】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図11】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図12】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【図13】本発明による裏面照射型マトリクス検出器を製造する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1では、シリコンブロック10、12は、たとえば、「フリップチップ」技術によって、直接ボンディングによって、または、特許文献1に開示されるようにプレコーティング後にポイントを挿入することによって、あるいは、2つの異質なユニットが一緒にハイブリッド化されることを可能にする任意の他の技法によって、基板14に組立てられる。
【0024】
本発明の薄化法は、転写されたブロック10、12および基板14を被覆するために、ハイブリッド組立体の上側面上に停止層16を堆積することから始まる(図2)。停止層16は、ブロック10、12を構成する材料より硬度が大きく、ブロック10、12の厚さより小さな厚さeを有する。
【0025】
停止層16は、従来から、知られている技法を使用して電解または電解堆積によって堆積される。たとえば、停止層16は、第1シード層18の堆積と、それに続く、成長層20の電解堆積によって得られる。
【0026】
シード層18は2つの段階で実施される。最初に、チタン、クロム、またはタングステンで形成されたボンディング層が、第1段階において、スパッタリングまたは蒸着によって堆積され、次に、金、銅、プラチナ、またはニッケル(あるいは電解に適した任意の他の材料)など金属の層がボンディング層上に堆積される。
【0027】
成長層20は、その一部としてシード層18上に電解堆積され、ブロック10、12を構成する材料より硬質である電解可能な材料で構成される。ブロックがシリコンで構成された場合、成長層20は、優先的に、クロム、ニッケル、または銅で構成される。
【0028】
停止層16はまた、たとえば、蒸着、化学気相堆積、プラズマ化学気相堆積、スパッタリング、または、半導体技法に関する任意の従来の堆積による、直接堆積によって堆積されてもよい。
【0029】
停止層16はまた、これらの技法の組合せによって堆積されてもよい。たとえば、層16は、平均的な硬度の厚い金属の第1の電解堆積と、それに続く、たとえばダイヤモンド、炭化ケイ素、またはアルミナなどの非常に硬質の層の直接堆積によって得られる。
【0030】
停止層16が堆積されると、本発明の方法は、引き続き転写された層10、12の薄化を行う(図3)。
【0031】
たとえばラッピングまたは研磨などの機械的薄化技法が適用される。
【0032】
停止層部分16が、ブロック10、12の上側面から除去された後で、薄化は、ブロック10、12の厚さ内で継続する。薄化は、その後、ブロックを構成する金属の硬度によって規定される進行速度を有する。
【0033】
薄化が、基板上に、かつ、ブロック10、12に隣接し近接するように堆積された停止層16の上側面に達すると、停止層16の硬度は、薄化速度の低下をもたらし、その後、薄化が停止する。そのため、ブロック10、12の残留厚さは、この例では、停止層16の厚さeに実質的に等しい。
【0034】
第1の代替法では、薄化の停止は予めプログラムされる。たとえば、薄化が、電動機によって回転するブラシを含む研磨デバイスを使用して機械的に実施される場合、薄化速度は、薄化のための材料のタイプおよび研磨デバイス設定の関数として知られる。そのため、たとえば、その特定の設定について、ブロック10、12を構成するシリコンを薄化する速度「VSi」は、周知であり、停止層16を薄化する速度「VCr」も知られている。
【0035】
第1の段階では、研磨デバイスは、下記数1で示されるN分の間、動作するようにプログラムされる。
【0036】
【数1】

【0037】
式中、
・Eは、ブロック10、12から除去される厚さであり、
・Δは、Eよりも著しく小さな所定の厚さである(図2を参照されたい)。
【0038】
この最初の薄化が終了すると、ブロック10、12の残留厚さは、停止層16の厚さに近づく。
【0039】
第2の段階では、デバイスは、同じ設定でプログラムされるため、下記数2で示されるM分の間、動作する。
【0040】
【数2】

【0041】
式中、δは、Δよりも著しく小さな所定の厚さを示す。そのため、研磨デバイスは、ブロック10、12の厚さΔを除去し、停止層16を侵蝕する。
【0042】
ブロック10、12を構成する材料と停止層16の材料との間の硬度の差を考慮すると、M分の研磨中にブロック10、12から除去されることになるのは、付加的な厚さδではなく、デバイスが停止層16も侵蝕すると仮定する場合の下記数3で示される厚さである。
【0043】
【数3】

【0044】
好ましくは、停止層は、その全体の厚さにわたって侵蝕される。
【0045】
Δを超える厚さに相当する時間をプログラムすることの利点は、ブロック10、12の上側表面が、一様な研磨を維持し、ブロックを実質的に平滑にすることにある。
【0046】
したがって、最終的に得られる厚さの精度は、パラメータδおよび比VSi/VCrを特徴とする薄化選択性に依存する。薄化選択性VSi/VCrは、停止層16を構成する材料(複数可)の選択によって設定される。たとえば、シリコンブロック10、12およびクロム停止層16を用いると、選択性VSi/VCrは、実質的に10に等しい。
【0047】
ダイヤモンド、炭化ケイ素、またはアルミナ膜を停止層16の表面に付加することによって、選択性は100まで上がる。
【0048】
そのため、従来技術の研磨デバイスが、そのままで使用された場合、pマイクロメートルの薄化精度を可能にすると考えると、この精度は、停止層16の使用によってP×VCr/VSiまで上がる。こうして、薄化されたブロックの非常に平滑な表面を保証しながら、10またはさらには100の精度の利点が得られる。
【0049】
数値例として、510マイクロメートル厚さのブロックは、10マイクロメートル厚さのはんだボールを使用した基板上へのハイブリッド化によって転写される。転写されたブロックは、CMOS検出回路を形成し、したがって、主にSiからなり、基板は、その一部として、検出回路の読取り回路(実際の読取り、圧縮、アナログ−デジタル変換など)を備える。10マイクロメートル厚さの転写されたブロックを得ることが要求される。
【0050】
場合によっては、転写されたブロックを埋め込んだ後、停止層は、
・スパッタリングまたは蒸着によって、
−たとえば、Ti(またはCr、W、あるいは、そのボンディング層特性について知られている任意の他の材料)の第1の50ナノメートルボンディング層、
−たとえば、Au(またはCu、Pt、Ni、または、電解に適する任意の他の金属)の100ナノメートル厚さの、ボンディング層上に堆積された金属の第2の層
で構成される金属シード層のフルプレート堆積を使用して、
・硬質金属の電解によって実際の停止機能を有する層を形成することによって、
組立体上に堆積される。たとえば、この層は、Cr(またはNi、Cu、あるいは、容易に電解可能である特性と、転写されたブロックを構成する材料、この場合シリコンより硬質である特性の両方を有する任意の他の金属)で形成される。たとえば、電解は、金属シード層上の19850ナノメートルのこの金属に適用される。
【0051】
したがって、こうして得られた停止層についての金属の総厚さは、20マイクロメートル(Tiの50ナノメートル層+Auの100ナノメートル層+Crの19850ナノメートル層)である。
【0052】
したがって、転写されたブロックについて目標とされる残留厚さは、10マイクロメートルのはんだボールの厚さを考慮して、10マイクロメートルである。
【0053】
こうして得られたプレートは、次に、支持体に固定され、従来技術から知られる機械的プロセスまたは化学的プロセスを使用して薄化される。
【0054】
たとえば、1分当たり、50マイクロメートルの転写されたブロックのシリコンを研磨することによる薄化速度を選択することによって、また、同じ研磨設定をクロム停止層に適用することによって、5マイクロメートル/分(VSi/VCr=10)の薄化速度が得られることをさらに理解すれば、以下が適用されてもよい。
・転写されたブロックから除去されることが望まれる総厚さの90%(すなわち、転写されたブロックが510マイクロメートルの厚さを有すること、および、10マイクロメートルの残留厚さが必要とされることを知って、500マイクロメートルの90%)を除去するために選択された第1の薄化時間、すなわち、450マイクロメートルを除去するために選択された研磨時間。このため、第1のプログラムされた研磨時間は、450/Vsi=450/50=9分に等しい。前記第1の薄化の終わりにおいて、転写されたブロックは、50マイクロメートルの厚さを有し、そのため、転写されたブロックの表面は、10マイクロメートルのはんだボール厚さを仮定すると基板の表面から70マイクロメートルの高さにある。
・研磨が、第1の期間の間に適用された研磨と同じ設定をプログラムされる、第2の研磨時間。この第2の時間は、転写されたブロックから除去されるために残っている50マイクロメートルを除去するのに必要とされる時間より10%長くなるよう選択される。換言すれば、第2の時間は、50/Vsi=50/50=1nmの110%、すなわち、1.1分に等しい。
【0055】
先に示したように、Siの硬度に比べてCrの10倍大きい硬度が与えられると、研磨は、実際には、基板の表面から20マイクロメートルのところに近い高度で停止する。
【0056】
実際には、さらなる10%の時間によって引き起こされる「過剰侵蝕(over−attack)」は、わずか1マイクロメートルのさらなるシリコンを除去することになる。したがって、クロム層は、基板に転写されたブロックの全表面にわたって薄化の平滑化を得ながら、その停止層機能を適切に果たす。したがって、最終的な厚さの臨界値が容易に達成される。
【0057】
停止層は、それ自体知られている方法で除去され、クロム(またはニッケル、銅など)の侵蝕的な化学的性質が従来知られている。
【0058】
化学的侵蝕による薄化は、同じ原理に従ってプログラムされてもよいことが留意されるであろう。
【0059】
同様に、薄化速度の低下についての能動的な検出が使用されてもよい。たとえば、研磨デバイスの電動機は、供給電流によってトルク制御される。デバイスのブラシが硬質停止層16に接すると、トルクを一定に保つために、供給電流がかなり増加する。そして、この電流の増加は、薄化速度の低下に相当し、この電流増加の検出は、薄化を停止するために使用される。
【0060】
薄化が終了すると、停止層16は、その後、たとえば、当業者によく知られているように、停止層16を化学的に侵蝕することによって除去される(図4)。
【0061】
優先的に、停止層16は、ブロック10、12および基板14を構成する材料を実質的に劣化させない選択的な化学的侵蝕に対して感応性があるように選択され、そのことは、ブロック10、12がシリコンで形成され、停止層16がクロム、ニッケル、または銅で形成される場合に当てはまる。
【0062】
転写されたブロック10、12は、さらに、停止層16を除去するのに使用される化学的侵蝕に対するマスクとして働き、そのため、ブロックの下に位置する基板部分を保護することも留意されるであろう。停止層16が堆積される前にブロック10、12が予め埋め込まれた場合、ブロック10、12と基板14との間に位置する埋め込み部分22、24(「アンダーフィル(underfill)」としてより一般的に知られる)もまた、このマスキング機能を果たす。前記予め埋め込むことは、ポリマー樹脂(エポキシ接着剤、シリコーン接着剤)で構成され、また、部品を保護し、部品に信頼性を持たせること、および、接合素子にかかる応力を低減しながら、前記部品を気密にするためにより精密にすることを意図されてもよい。
【0063】
図5〜12は、本発明の薄化法を実施する裏面照射型マトリクス検出器または背面照射型検出器を製造する方法を示す。
【0064】
製造方法は、基本的な光検出器のマトリクスを備えるCMOS技術検出回路50を作ることによって始まる(図5)。CMOS技術信号処理回路60もまた形成され(図6)、基板に組み込まれる。検出回路50および信号処理回路60は、その後、従来の方法によって、たとえば、ボンディングによって、「フリップチップ」技法によって、ポイント挿入技法によって、または同様なものによってハイブリッド化される。製造方法は、その後、引き続き、基礎的な光検出器の埋め込みを行う(図8)。これらのステップは、従来から知られており、また、簡潔にするために、さらに詳細には記載しない。
【0065】
製造方法は、その後、引き続き、先に述べた光検出器の薄化を行う、すなわち、優先的に光検出器間だけへの停止層90の堆積(図9)と、それに続く、ラッピングまたは研磨(図10)を行い、薄化は、ラッピングまたは研磨速度の低下が起こるときに終了する。
【0066】
製造方法は、その後、引き続き、化学的侵蝕による停止層90の除去、光検出器の厚さが小さいことによって可能になる、いわゆる、「後処理(post−processing)」ステップを行う(図11)。このステップは、それ自体知られているように、特に、それぞれの薄化された光検出器の上側面上にマイクロレンズ110またはカラーフィルタ112を付加することを含む。実際には、光検出器の厚さが小さいことによって、フィルタまたはネットワークをエングレービングするために、(より実質的な厚さの光検出器では可能でない)リソグラフィなどの以下の技術ステップを実施することが可能である。
【0067】
電気光学試験ステップ(図12)が、たとえば、信号処理回路の下で配列されたポイントカードによってひとまとめに実施された後、光検出器50を信号処理回路60とハイブリッド化したもので構成されるプレートは、こうして得られた基本的なイメージング回路がケーシング内で組立てられるように切断される(図13)。
【0068】
こうして、本発明によって、以下の利点が達成される
・薄化の精密な制御、すなわち1マイクロメートル未満の精度が、本発明によって得られ、10マイクロメートル未満の残留厚が達成可能である。
・こうして達成されたわずかの量の薄化は、引き続き、半導体方法を行うことを可能にする。実際には、従来技術では、フォトリソグラフィまたは堆積などの後続のプロセスに進むために、薄化された組立体の厚さがかなりあるため、薄化された組立体のホストキャリアを変更する必要がある。本発明の方法によって得られる非常に小さな厚さによって、キャリアを変更するさらなる必要性は存在しない。時間および材料の節約がこうして達成される。
・基板上に堆積される停止層の使用はまた、薄化中の基板の保護層として働く。従来技術では、薄化中の基板を保護するために、保護層もまた必要である。そのため、停止層の堆積は、薄化されたハイブリッド化微小電子部品を製造するプロセスにおいてさらなるステップを構成しない。
・本発明の薄化のコストは、薄化のために、転写されたブロック内部への停止層の組込みを使用する技法に比べて、実質的に低減される。
【符号の説明】
【0069】
10、12 ブロック
14 基板
16、90 停止層
18 シード層
20 成長層
22、24 埋め込み部分(アンダーフィル)
50 光検出器
60 信号処理回路
110 マイクロレンズ
112 カラーフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法であって、前記方法が、
少なくとも、前記基板(14)上に、かつ、前記転写されたブロック(10,12)に隣接し近接するように、停止層(16)を堆積させる段階であって、前記停止層が、前記転写されたブロック(10,12)を構成する材料よりも抵抗または硬度が大きく、かつ、前記転写されたブロック(10,12)よりも厚さの小さな材料から形成される段階と、
前記転写されたブロック(10,12)の薄化を始動する段階であって、前記薄化時間は、前記転写されたブロック(10,12)を薄化する所定の速度の関数として予めプログラムされ、前記薄化時間は、前記薄化が前記停止層(16)をも侵蝕するように選択される、段階とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記停止層(16)は、電解手段によって、または、直接堆積、特に蒸着によって堆積されることを特徴とする請求項1に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項3】
前記停止層(16)を堆積させる段階は、スパッタリングまたは蒸着によってシード層(18)を堆積させる段階と、それに続き、前記転写されたブロック(10,12)を構成する材料よりも抵抗または硬度が大きな材料の成長層(20)を前記シード層(18)上に電解堆積する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項4】
前記転写されたブロック(10,12)は、シリコンから形成されること、および、前記停止層を構成する抵抗または硬度が大きい材料は、硬質金属、特に、クロム、ニッケル、若しくは、銅、又はその合金であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項5】
前記停止層(16)は、前記停止層の上側表面上に、ダイヤモンド、炭化ケイ素、またはアルミナから形成される層を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項6】
前記薄化は、研磨またはラッピングによって実施されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項7】
前記薄化は、前記転写されたブロックを薄化する実質的に一定の速度を得るように設定され、N+M分の間、適用され、NおよびMは、下記の関係式に従って計算され、式中、Vsiは前記転写されたブロックを薄化する速度であり、Eは、前記転写されたブロックから除去される厚さであり、ΔはEよりも著しく小さな所定の厚さであり、δはΔより著しく小さな厚さであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【数1】

【請求項8】
前記停止層(16)はまた、前記転写されたブロックの上側面上に堆積されること、および、前記方法は、前記転写されたブロックの薄化を始動する前に、前記転写されたブロックの前記上側面上に堆積された前記停止層部分を除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項9】
前記転写されたブロックは、前記停止層(16)の堆積の前に埋め込まれることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。
【請求項10】
前記転写されたブロックは、前記基板に転写されたブロックのマトリクスに含まれ、前記停止層は、少なくとも前記マトリクスのブロック間に堆積され、前記薄化は、前記マトリクスの全てのブロック上でまとめて実施されることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の基板(14)に転写されたブロック(10,12)を薄化する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−123962(P2010−123962A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−261854(P2009−261854)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】