説明

基板の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング方法及び装置

【課題】基板をac又はdcプラズマ反応装置のいずれかによって発生されたプラズマ放電の陽光柱内に配置された機械的支持部上への取り付けステップを含んだ基板の低損傷、異方性エッチング及びクリーニングの方法を提供する。
【解決手段】この機械的支持部12はプラズマ反応装置とは独立し、電気的にバイアスされる。基板は低エネルギー電子のプラズマの陽光柱15、すなわち、電気的中性部及び、基板と反応する種に曝される。電気的にバイアス可能な付加構造14がプラズマ内に配置され、プラズマからの粒子のさらなる抽出又は抑制を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は概して基板のエッチングあるいはクリーニングに関する。より詳しくは、本発明は半導体及び絶縁体のような基板の低損傷、異方性エッチング及びクリーニングのための改良された処理方法、及び基板をプラズマ放電の陽光柱内に配置することによる改良された異方的にエッチングされるか、あるいはクリーニングされた基板に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ドライエッチングは、高速電子デバイス及び光電子デバイス上に、すべてのマイクロメータとナノメータレベルを有する微細寸法の加工において絶対的に重要な処理方法である。簡単に説明すると、この種のチップ及びデバイスの製造には次の処理方法が含まれている。いくつかの半導体あるいは金属の基板が選択され、パターンがその上に載置される。パターンはその中でオープンエリアを有している。パターンを含む積み重ね構造は、ときにはマスクと呼ばれる。次にエッチング化学処理がオープンエリアを介して実行されるが、これはオープンエリアを介して露呈された下層材料が、溶解され、これによってパターンが下層又は複数の下層に転写されることを意味している。従って、マスクが剥され、元の基板は後に残されるが、ここでパターンはこれに転写される。この処理方法はパターンを材料にシルクスクリーン又はスタンピングされるのと同様である。得られるパターンは3次元構造を有している。
【0003】
集積回路製造の初期において、ほとんどのエッチングは従来の写真技術と極めて類似した湿式化学処理を使用して行われていた。例えば、シリコン・ウェハ内の溝の配列をエッチングするために、水がまず高温、酸化環境に置かれ、また二酸化珪素の層がウェハの頂面上に成長される。次に、酸化ウェハが「フォトレジスト」と呼ばれるゼラチン状有機材料の薄い感光層で覆われる。次に、「フォトマスク」と呼ばれる写真のネガに似た材料片がフォトレジスト上に載置される。
紫外線が、このフォトマスク内の開口部を通して照射される。紫外線がフォトレジストの溶解性を変化させる。従って、紫外線で照射されたフォトレジストのエリアが、光に曝されていないエリアとは異なる溶解性を呈する。最終的に、紫外線によって増大されたその溶解性を有するフォトレジストのエリアのみを溶解させるのに溶剤が使用される。この点において、フォトマスク上の元のパターンがフォトレジスト層に転写される。人によってはこのパターン化フォトレジスト層を「ソフトマスク」と呼んでいる。
【0004】
続いて、湿式化学フッ化水素酸(HF)ディップが上層にあるフォトレジスト内の開口部の各々を通して露呈された二酸化珪素を溶融させるのに使用される。
次に、フォトレジストが剥離される。この点において、フォトマスク上にもともと現れていたパターンは、シリコンウェハの上にある二酸化珪素層に転写される。この二酸化珪素のパターン層はときには「ハードマスク」と呼ばれる。
【0005】
最後に、ウェハはハードマスクの開口部の下に露呈されたシリコンをエッチングする苛性カリ(KOH)のようなアルカリエッチング内に浸漬される。ハードマスクを剥離した後、エッチングされた溝を伴う所望のシリコンウェハが残る。
【0006】
KOHシリコンエッチングによる上述のハードマスキングステップに続く別の方法として、イオン注入又は高温拡散が任意に、ハードマスクの開口部を通してドーパント原子を導入するのに使用される。
【0007】
上述した湿式処理ステップの類を使用する多数の他の構造的及び化学的バリエーションが可能であり、また当業者にとって周知である。しかし、各々の場合において、対応する処理方法には、湿式化学剤を使用する関連したエッチングに伴う固有の問題がある。特に、湿式化学剤がウェハに対して下方向エッチング処理がなされると同時に、下にあるマスクに対して横方向にもエッチングされる。実際に、この望ましくない横方向エッチングは、所望の垂直エッチングのほぼ同じだけ延長する傾向にある。偏見なしにすべての方向に等しく処理される湿式化学エッチングのこの傾向は、「等方性エッチング」と呼ばれる。
【0008】
等方性エッチングは、1μmの深さのフィルムに20μm幅のラインを形成するのに適している。このような特徴のエッジに生じる不正確さは全体のデバイス構造の小さいパーセンテージであり、従って、性能を損なわせることはない。しかし、製造される構造が小さくなればなるほど、等方性エッチングは適さなくなる。業界はいわゆるサブミクロンレベルの微細寸法を備えた構造の製造に向かっており、高速コンピュータチップ、光学構造さらに電子及び光電子デバイスにとっては不可欠である。換言すれば、ハーフミクロン幅のパターンをハーフミクロン厚の材料にパターンを正確に転写するには、まっすぐ垂直な側壁、すなわち異方性エッチングが絶対に必要である。等方性エッチングは適していない。これは関連する丸みつきアンダーカットが活性デバイス材料の非常に高いパーセンテージを占めるようになり、その性能を阻害するからである。
【0009】
現在、まっすぐな側壁を得るただ一つの方法は反応性イオンエッチングと呼ばれている技術によるものと考えられている。デバイスを湿式化学剤に浸漬するのではなく、反応ガスとプラズマに露呈する。側壁上でなく、マスクによって規定されたオープンエリアの下部で、エッチング化学反応が促進されるように、プラズマ内で形成されエネルギーを付与されたイオンが基板に対して直角方向に加速される。従って、まっすぐな側壁は反応性イオンエッチングによって達成することができる。
【0010】
反応性イオンエッチングは異方性エッチングを提供する。しかし、イオンはアルゴン又はCF3+のような重いイオンであり、数百電子ボルトの運動エネルギーで移動する。従って、イオンは格子原子をその平常位置から変位せるのに十分な運動量を保有している。これが基板の表面を損傷し、さらにしばしば光学的及び電気的特性を不利に変化させる。
【0011】
超小型電子、及び光電子デバイスの製造は、大きい異方性、異なる材料間の高い選択度及び最小表面損傷をもたらすドライエッチング処理が必要である。目下、イオン促進プラズマエッチング処理(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)及び電子サイクロトロン促進RIE(ECR))は、高いアスペクト比のナノメータスケール特性を確実に生成する。しかし、エッチングに誘起される損傷は、危険な寸法の収縮としてますます問題となる。エッチング損傷を最小にするために、プラズマ内に発生された反応種は、エッチング反応の活性化エネルギーよりも大きいエネルギー(eVの端数)を有していなければならないが、原子変位に必要とするエネルギー未満(III-V族半導体においては、3から10eV)である。これらの制限が与えられると、反応性イオン(約300eV)で利用可能なイオン・エネルギーと電子サイクロトロン共振プラズマエッチング(約50eV)はナノメータスケールのデバイスを製造するには理想をいえば適していない。
【0012】
エッチングされるべきサンプルをDCプラズマ環境内の陽極上に載置することは、異方性エッチング処理に対する正確な制御を保証する一方で、基板への損傷を最小にし、さらに「基板の低エネルギー電子促進エッチング方法及び装置」と称する1996年8月28日出願の共有譲渡された共同出願中の米国特許願第08/705,902号が開示されている。この技術は「低エネルギー電子促進エッチング」(便宜上、LE4という)と呼ばれ、またエッチング基板をDCグロー放電の陽極上に載置することによって実施される。この方法は導電性及び半導体性基板にうまく機能するが、絶縁体のような非導電性基板をエッチング若しくはクリーニングするには固有の問題がある。これは上述の方法において、基板サンプルがプラズマの陽極に物理的及び電気的に接続され、これによってプラズマ内の電気回路の導電性要素となるからである。従って、明らかに、絶縁体は効果的に電流を通すことはなく、陽極上に絶縁基板を載置することは電流の流れを阻害し、また非導電性基板をエッチングするのは比能率的であり、またほとんど不可能である。
【0013】
エッチング又はクリーニングされるべきサンプルを陽極に対して移動させることは、上述の問題をなくす一つの方法であり、さらに「AC又はDCプラズマ環境内で基板の低エネルギー電子促進エッチングする方法及び装置」と称する1997年9月17日出願の共有譲渡された共同出願中の米国特許願第XXX号(代理人整理番号第62002−1750号)が開示されている。この方法は反応種に対する促進制御装置をしてサンプルに伝えられることを許容せしめるとともに、導電性基板又は半導体性基板だけでなく絶縁基板のエッチング又はクリーニングを許容する。
【0014】
明らかに、本発明の開示以前においては、反応性イオンエッチングによって加えられた損傷を少なくし、異方性エッチングを達成し、また導電性基板、半導体基板及び絶縁性基板に適用可能とする基板をエッチング又はクリーニングする方法が不明であった。
【0015】
水素によってシリコン(Si)の電子衝撃誘導異方性エッチングの方法は、S.ベプレク(Veprek)及びF.A.サロット(Sarott)による「水素によるシリコンの電子衝撃誘導異方性エッチング(Electron-Impact-Induced Anisotropic Etching of Silicon by Hydrogen) 」と称する「プラズマ化学とプラズマ処理(Plasma Chemistry and Plasma Processing)」第2巻、第3号, 233頁の1982年の記事で論議されている。著者は低温における少し荒い面による1,000 Å/minまでの成功したエッチング速度を検討している。より高い温度において、より荒いパターンが見られた。その正確な方法は不明であるが、著者はA.P.ウェブ(Webb)とS.ベプレクによる「低圧プラズマの条件化で水素による固体シリコンの反応性“Reactivity of Solid Silicon With Hydrogen Under Conditions of a Low Presure Plasma"」、ケミカル・フィジックス・レター(Chemical Physics Letters) 第62巻、第1号、173頁(1978年)、前述の刊行物に開示された装置を使用していることが明白である。この刊行物は陽光柱内に浸漬されたサンプルを伴うDCグロー放電デバイスを含む装置が開示されている。陰極は酸化トリウムでコーティングされたタングステン・フィラメントを有する標準ホット・陰極である。この技術は水素によるSi(111)面のエッチングに対して作用することは明白であるが、一方で酸素、塩素及びフッ素のような他の活性ガスを使用しては作用しない。これはホットフィラメントが直に消耗されてしまうからである。さらに、ベプレクとサロットによって開示された装置は扱いにくい。
【0016】
「分子状水素によってSi(100)−(2xl)の低エネルギー電子ビーム促進エッチング(Low-Energy Electron Beam Enhanced Etching of Si(100)-(2X1) by Molecular Hydrogen)」と称するギリルス(Gillis)他によって、ジャーナル・オブ・バキューム・サイエンス・テクノロジー(J.Vac. Sci. Technology)B第10(6)巻, 11月/12月,第2729頁(1992年)で報告された他の実験は、電子銃によって生成された低エネルギー電子(200−1000 eV)で充満するSiを対象としている。著者はSi面に対する低い損傷で約100Å/mm の率でのエッチングを報告している。本発明者による他の文献には、「水素/ヘリウムDCプラズマによるSi(100)の低エネルギー電子促進エッチング(Low-Energy Electron Enhanced Etching of Si(100) in Hydrogen/Helium Direct)」(G.ギリルス等、アプライド・フィジックス・レター(Appl. Phys. Lett.), 第66巻19号,2475頁(1995年);「塩素/ヘリウムDCプラズマによるGaN の低エネルギー電子促進エッチング」(ギリルス 他、アプライド・フィジックス・レター,第68巻第16号、2255頁(1996年)及び「塩素DCプラズマによるGaN の低エネルギー電子促進エッチング」(ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ササイアティー(J.Electrochem. Soc. )11/96に発行予定)がある。これらの刊行物はここではそっくりそのまま参照例として取り入れる。
【0017】
H.ワタナベ及びS.マツイは、アプライド・フィジックス・レター、第61巻、1992年、3011−3013頁において、彼らが電子ビーム(EB)アシスト・ドライエッチングと呼んでいる処理方法を達成するための関連するアプローチを開示している。彼らは多孔性グリッドを使用してECRプラズマから電子の「シャワー」を抽出し、これを基板の方に向ける。しかし、彼らはECRソースをアルゴン・ガスで作用させ、次に分離ガスリングノズルを抽出グリッドと基板間に挿入している。台所レンジにある普通のガスバーナーといくぶん似ているこのガス・リングは、エッチング基板上に反応ガス(彼らの場合塩素)を分布させている。彼らはDCバイアスのみを基板に印加し、電子収集効率とエネルギーを増大させている。彼らの報告は半導体基板についてのみのに終わっており、絶縁体についてはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の開示)
本発明は反応性イオン促進エッチングとは反対の低エネルギー電子促進エッチング(LE4)を包含し、また、プラズマの陽光柱内で導電性基板、半導体性基板及び絶縁性基板を含むすべての基板を効果的に異方性エッチング及び/又はクリーニングを許容する改善に関する。エッチングの適用においては、処理はまっすぐな側壁に対して行われ、基板を損傷せず、またクリーニングの適用においては、基板物質を損傷したり、又は除去せずに表面の汚染物質の除去を許容する。
上述の反応性イオンとは反対に、本発明に使用される低エネルギー電子は約100電子ボルト(eV)未満の運動エネルギー(KE)で、好ましくは約20eV未満で移動する。電子の質量がイオンの質量よりもずっと大きく、電子は本質的に運動量を基板に搬送しない。従って、電子は基板に損傷を与えることはない。
【0019】
さらに、本発明はサンプル基板に与えられる電子及び中性種粒子の束(フラックス)又はレートの変動、及びサンプル基板に与えられるこれらの粒子の到達エネルギーの変動を可能にすることによって、エッチング又はクリーニング処理に対する相当高度な制御を可能にする。これはプラズマに関するサンプルの近傍に局部電界を確立することによって達成され、従って、局部電界によって確立された電位を関知するどのような帯電粒子の種も、プラズマから粒子を抽出又は抑制(遅延)の可能性に応答する。これはサンプルの近傍で行われるので、本発明はサンプルに到達するフラックスと粒子のエネルギーパラメータに対する正確な制御を許容する。
【0020】
本発明は、イオン促進処理の代わりに、低エネルギー促進エッチング(LE4)を使用して低損傷を提供する。この処理方法において、基板はDC又はACプラズマ放電によって発生されたプラズマ・フィールドの陽光柱の構造部材、すなわち、電気的に中性部分に支持される。これが基板を電子と反応種の中性及びイオン化部分に露呈させる。別の実施形態において、導電性基板はdcプラズマ反応装置の陽極によって支持されている。dcプラズマ反応装置の陽極によって支持されたサンプルを有する実施形態のほとんどすべてにおいて、プラズマ・フィールドはDCプラズマ又はACプラズマである。
【0021】
DC放電の陽極上の基板に到達する電子及び負性イオンのエネルギーは反応ガスのイオン化電位よりも大きくない値に制限される。すなわち、この制限より大きいエネルギーはガス相内の非弾性衝突によって効果的に消失される。このような基本的な制限は、RFプラズマ及び超音波プラズマ内で生成された正イオンに課されるものはない。dcプラズマ反応装置に対して、約0.5−2kVの電圧が陰極と陽極間に印加され、陽極に到達する約100eV未満の、又は好ましくは約20eV未満の運動エネルギーを有する電子中でグロー放電が発生される。
【0022】
一つの観点において、本発明はプラズマ反応装置によって発生されたプラズマの陽光柱の機械的支持部上に基板を載置するステップと、低エネルギー電子と基板と反応するガス状種を含むプラズマの電気的に中性部分を基板に作用させるステップとを含む基板の低損傷異方性ドライエッチング又はクリーニングする方法を包含している。
【0023】
基板は、IV族半導体、III-V族半導体、II-IV 族半導体、酸化物、窒素、金属、合金又はこれらの混合物あるいは絶縁性基板である。反応種は基板と反応し、また装置の温度と流れの内で揮発する。使用される一般的な反応種は水素、ハロゲン、インターハロゲン化合物、ハロゲン化水素、揮発性有機化合物及びアルゴン及びヘリウムのような希ガスである。反応種は所望の結果に依存して選択される。例えば、基板のクリーニングが所望ならば、選択された反応種が除去されるべき所望された特定汚染物を除去するものとなる。基板のエッチングが所望されれば、反応種は基板材料の所望量を除去するその能力に基づいて選択されなければならない。本発明の概念はacプラズマ又はdcプラズマに等価に適用できる。本発明の3つの実施形態を論じる。
【0024】
陽極と陰極のような導電体を使用してプラズマ流を発生させるプラズマ反応装置の場合において注意しなければならない重要なことは、ほとんどのバリエーションで、機械的支持部は、プラズマ流を発生又は維持するのに電極として使用されることはなく、第1の好ましい実施形態において、エッチングされるべきサンプルのための機械的支持部として単に使用され、次の実施形態においてはプラズマの発生又は維持を包含した電極としてではなく、その一つは機械的にサンプルを支持し、また電気的バイアスをその上に休止しているサンプルに印加する。
【0025】
さらに、複数のサンプル基板がエッチング又はクリーニングのためにプラズマ反応装置内に配置される。これらの多重サンプルの空隙による分離は、反応種をしてサンプルを同時にエッチング又はクリーニングし、従って、多数のサンプルの同時処理が可能である。
【0026】
外部電圧が機械的支持部、従って、サンプルに印加されていない第1の好ましい実施形態において、サンプルはdcプラズマの場合に、プラズマの本体内の「プラズマ電位」に対して負である「浮遊電位」を達成する。
【0027】
dcプラズマ反応装置に関する第2の好ましい実施形態において、プラズマ電位に関して外部の電気的バイアスが機械的支持部、従って、サンプルに印加される。機械的支持部に印加されたこの外部の電気的バイアスは、dc又はac特性あるいはこれら二つの合成したものとなる。最終的にエッチング処理を停止させてしまう負電位の確立を阻止するために、サンプルはプラズマ電位よりわずかに下に外部バイアスを低下させることによって周期的に「放電」あるいは「中和」させなければならない。これはプラズマから到達する正イオンの十分な数にして、蓄積負電荷を相殺し、一方でイオン衝撃損傷を与えるにはあまりにも小さ過ぎるエネルギーに維持する。従って、機械的支持部上の基板は調整された正電位を受けるようにしなければならない。
【0028】
第3の好ましい実施形態において、電位の影響を受ける可能性のある付加的な機構、例えばグリッド又は透過性キャップがプラズマ内に配置される。この付加的機構は、サンプルを支持するのに使用された機械的支持部の同様の形態で電気的にバイアスされる可能性のあるものである。この付加的機構は一般的に、エッチングされるべきサンプルの近傍でプラズマ内に配置される。この機構への電気的バイアスを変化させることによって、サンプルに印加される帯電種、すなわち、電子及びイオンのフラックスとエネルギーに対するさらなる制御が達成される。プラズマ源がこれらの機構に対して負にバイアスされると、電子の広範なビームあるいはストリームがプラズマから基板に向かって抽出される。電子のエネルギーはac電源上のdcバイアスの大きさによって制御することができる。
【0029】
導電性基板及び半導体性基板をエッチングしクリーニングするためのこの第3実施形態の変形例において、サンプルは共有譲渡された出願中の「基板を低エネルギー電子促進エッチングする方法及び装置」と称する1996年8月28日出願の米国特許願第08/705,902号に開示されているようにdcプラズマ反応装置の陽極上に載置される。しかし、その改良として、上述した付加的構造がサンプル近傍中のプラズマの陽光柱内に配置され、従って、サンプルに付与される帯電種のフラックスとエネルギーに対する改良された正確な制御が許容される。
【0030】
acプラズマ反応装置に関して本発明の処理方法はdcプラズマ反応装置に関する説明と同様である。種々の反応装置の形態間の物理的差異のために、変形例が必要であることは詳細に記述されていない。機械的支持部と付加的構造はac及びdcプラズマ反応装置に等価に適用できる。さらに、本発明の利点は共振マイクロ波反応装置及び誘導結合プラズマ反応装置のような種々のacプラズマ反応装置形態に等価に適用可能である。
【0031】
上述し、またacプラズマ反応装置に関する第2の好ましい実施形態において、プラズマ電位に関して外部電気的バイアスが機械的支持部に、従って、その上に載置されたサンプルに印加される。機械的支持部に印加される外部の電気的バイアスは、dc又はac特性、あるいはこれら二つを合成した特性となる。
【0032】
本発明はまた基板の異方性エッチング又はクリーニングのための装置を含んでいる。いずれの基板、それが導電性、非導電性又は絶縁性であってもそのエッチングあるいはクリーニングは、本発明の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング方法及び装置の概念を使用して達成することができる。
【0033】
この装置はプラズマを発生するための当業者にとって周知のチャンバを含んでいる。本発明を実行するのに使用される装置は、dc又はacプラズマ内のいずれで使用されても同じである。プラズマ室内にはエッチングあるいはクリーニングされるべきサンプルを物理的に支持するための機械的支持部が配置されている。ほとんどすべての可能な形態において、プラズマ流を発生させる陽極と陰極のような導電体を使用するプラズマ反応装置の場合において、機械的支持部は電極として使用してプラズマ流を発生あるいは維持できず、第1の好ましい実施形態において、エッチングされるべきサンプルのための機械的支持部として使用でき、また次の実施形態においては、プラズマの発生あるいは維持することに包含される電極としてではなく、電気的バイアスをその上に載置されたサンプルに付与するものであることに注意することが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0034】
第1の好ましい実施形態、すなわち、機械的支持部、従って、サンプルに印加される外部電圧を有していない実施形態において、サンプルはプラズマの陽光柱内の機械的支持部によって保持され、その浮遊電位に達成されることを許容する。基板はこの時点で、適切な反応種をプラズマ室に導入することによって所望のようにエッチングあるいはクリーニングすることができる。
【0035】
第2の好ましい実施形態において、機械的支持部はプラズマ電位に関して電気的にバイアスすることができる。これは機械的支持部をして電気的バイアスを、その上に載置されたサンプルに付与せしめる。機械的支持部に印加される電気的外部バイアスはdc又はac特性か、あるいはこれら二つの合成したものであり、基板に付与される反応種のフラックス及びエネルギーに対する改善された制御を許容する。
【0036】
第3の好ましい実施形態において、電位の影響を受ける可能性のある付加的な機構、例えばグリッド又は透過性キャップがプラズマ内に配置される。この付加的機構は、サンプルを支持するのに使用された機械的支持部の同様の形態で電気的にバイアスされる可能性のあるものである。この付加的機構は一般的に、エッチングされるべきサンプルの近傍でプラズマ内に配置される。この機構への電気的バイアスを変化させることによって、サンプルに印加される帯電種、すなわち、電子及びイオンのフラックスとエネルギーに対するさらなる制御が達成される。
【0037】
導電性基板及び半導体性基板をエッチングしクリーニングするためのこの第3実施形態の変形例において、サンプルは共有譲渡された出願中の「基板を低エネルギー電子促進エッチングする方法及び装置」と称する1996年8月28日出願の米国特許願第08/705,902号に開示されているようにdcプラズマ反応装置の陽極上に載置される。しかし、その改良として、上述した付加的構造がサンプル近傍中のプラズマの陽光柱内に配置され、従って、サンプルに付与される帯電種のフラックスとエネルギーに対する改良された正確な制御が許容される。
【発明の効果】
【0038】
本発明の利点は、導電性、半導体性又は絶縁性基板の低損傷サブミクロン異方性エッチング又はクリーニングが達成されることである。
【0039】
本発明の他の利点は、多様な反応種を使用する多様な基板に適用可能なことである。
【0040】
本発明の他の利点は、基板に付与される帯電種のフラックスとエネルギーに対して制御の改善された度合いを許容することである。
【0041】
本発明の他の利点は、サンプルを陽極に関して移動することによって、電流はもはやサンプルに直接流れることはなく、従って、サンプルが電極に配置されたときに発生するであろう同様な帯電損傷を回避することである。
【0042】
本発明の方法及び装置の他の利点は、装置の組み立てと、操作がかなり簡単になることである。
【0043】
本発明の方法及び装置の他の利点は、透過性壁の中空陰極が低圧で低いエネルギー電子の高いフラックスを発生できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の方法及び装置の他の特徴及び利点は、図面と詳細な説明を実験したときに、当業者にとって明白となろう。
【0045】
本発明は図面を参照することで、よりよく理解できる。図面は必ずしも縮尺しておらず、その代わりに本発明の原理を明瞭にするために誇張している。
【0046】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
好ましい実施形態の次の説明において、本発明の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング方法及び装置は、dcプラズマ反応装置及びacプラズマ反応装置両者に対して等価に適用可能である。種々の反応装置形態間の物理的な差異のために変形例の必要性が熟考され、また詳細には検討しない。さらに、本発明の特典は、例えば、共振マイクロ波キャビティ反応装置及び誘導結合プラズマ反応装置のような種々のacプラズマ反応装置形態に等価に適用可能である。
【0047】
導電体を使用してプラズマフラックス、従って、このフラックス内の陽光柱から所望の低エネルギー電子を発生させるすべての実施形態において、冷陰極は、透過性のメッシュ状あるいは穿孔されて形成された中空陰極であり、一般的な堅牢緻密な壁ではなく普通、透過性壁と呼ばれる。この陰極はステンレススチールのような透過性導電材料の側壁でシリンダー状に形成され、その一端は開閉されるようになっているか、開口端を有している。陰極は陰極取り付けポストに連結され、また電力供給部に接続されている。陰極は複数の網状側壁を備え、各々電力供給部に接続されている。この陰極の使用により、低圧及び低温における低エネルギー電子の大きいフラックスの発生を許容する。説明に基づいて製作された陰極は、共有譲渡された出願中の「ガス放出デバイス内の作動電圧を低下させる装置及び方法」と称する1997年6月23日出願の米国特許願第08/399,341号に開示されている。
【0048】
本発明の概念を実行するために適したエッチング装置の好ましい実施形態は、図1に全般的に10で示す。この装置は、当業者に公知であるプラズマを投射し、維持し、また収容するのに適したプラズマ室11を含んでいる。プラズマ室11内には、正に帯電したイオン34、中性種36及び負に帯電した電子37を含む種々の粒子種が滞留している。プラズマ発生装置自体は、低エネルギー電子を発生し、真空を維持し、帯電した種及び中性種を導入し、さらに当業者において知られているプラズマ処理をモニターし調整するための種々の手段を含んでいるが、明瞭にするために図1では省略している。
【0049】
DCプラズマ反応装置は、dc電源がプラズマ流を投射するのに使用されるものである。ACプラズマ反応装置は、ac電源がプラズマ流を投射するのに使用されるものである。ACプラズマ反応装置は、例えば電極(陽極と陰極)がプラズマ流を発生させるのに使用される従来のものか、又は共振マイクロ波キャビティあるいは誘導結合プラズマ発生装置のような無電極プラズマ発生装置である。
当業者にとって知られているこれらの及び他のプラズマ発生源は、本発明の概念を実行するのに使用することができ、また実際に本発明はいずれのdc又はacプラズマ反応装置を使用しても同様の結果を得ることができる。
【0050】
図1に示したように、装置10はサンプル支持装置80を含み、この装置は他の要素内に基板サンプル16を電気的に中性の陽光柱15内の適切な位置に支持するように設計された機械的支持部12を含んでおり、この陽光柱はプラズマ室11内に収容されたプラズマフラックスの一部をなしている。陽光柱15はプラズマ室11内から放出されるプラズマ放電部の一部であり、また等数のイオン34と電子37を含んでおり、従って、当業者が陽光柱と普通呼んでいる電気的に中性領域を生成している。サンプル16は導電性基板、半導体性基板又は絶縁性基板である。
【0051】
接続部18を介して機械的支持部12がAC電源19に電気的に接続されている。AC電源19は接続部22を介してDC電源26に接続され、次にこれがライン29によってアース34に接続されている。
【0052】
本発明の第1の好ましい実施形態において、機械的支持部12がプラズマ室11の陽光柱15内の適切な位置にサンプル16を、AC電源19とDC電源26と不作動状態で機械的に保持するのに使用されている。本実施形態において、外部電圧は機械的支持部12にはなにも印加されておらず、従って、dcプラズマ及びacプラズマ両者がプラズマの本体の「プラズマ電位」に関して負性の場合において、サンプル16は「浮遊電位」を達成している。機械的支持部12に印加される電圧の不在の場合において、浮遊電位とプラズマ電位間の差が中性的にイオン34をプラズマからサンプル16に吸引する。プラズマの本体において、電子とイオンの密度は平均して等しい。従って、外部電界がなにも存在しないか、又は摂動あるいは外乱の近傍にあるとき、プラズマは等電位にある。これは普通プラズマ電位と呼ばれ、またときどき空間電位と呼ばれる。プラズマ内に配置されたサンプル16のような電気的に絶縁された本体は、最初電子とイオンによって衝撃を受ける。電子の電流密度はイオンのそれよりもずっと大きいので、本体は非常に早く過度の負電荷を収集する。これが電子を反発し、イオンを吸引する。電子フラックスが減少し、これによって本体上のイオン・フラックスとちょうど平衡する。この点において、本体は過度な電荷、電界及び電位の安定状態に到達する。到達した電位は、浮遊電位と呼ばれ、また電子を反発するので、プラズマ電位よりも低い。dcプラズマの場合に、浮遊電位とプラズマ電位が、アースされた陽極に対して負である。標準電位(例えば、プラズマがac誘導結合によって生成されたとき)の不在時において、プラズマ電位と浮遊電位の差のみが意味を有する。
【0053】
図1をなおも参照して、第2の好ましい実施形態において、プラズマ電位に対して外部電気バイアスが、機械的支持部12に、従って、サンプル16に印加される。AC電源19とDC電源26が個々に、又はまとめて使用され、AC、DCかACとDCの組み合わされた電気的バイアスが機械的支持部12に加えられる。増大する正外部電圧の機械的支持部12への印加が、正味電流を減少させ、外部電圧がちょうど浮遊電位と一致したときに、ゼロになる。この点で、正イオン34の電流が電子37の電流と一致し、これを補償する。正外部電圧が浮遊電位よりも大きい値に増大すると、プラズマから機械的支持部12への正味電流をして漸進的に負にせしめられ、外部電圧がプラズマ電位よりもより正になると、機械的支持部12が正イオン34を反発し、電子37を吸引する。
【0054】
これらの到来電子37のほとんどが、サンプル16に衝突し、その運動エネルギーのいくぶんかがサンプルに吸収され、またプラズマの本体に反射して戻る。
電子のいくらかが基板面に付着し、これによって負電荷がこれに伝送される。サンプル16が絶縁体であれば、この表面電荷を排出することができず、さらなる電子37の到来を阻止することのできる負電位を発生させるのだけ十分に蓄積され、これによってエッチングあるいはクリーニング処理が停止される。これを阻止するために、サンプル16は機械的支持部12を介して供給される外部バイアスをプラズマ電位よりわずかに低くすることによって周期的に「放電」あるいは「中和」させる必要がある。これはプラズマから到来する正イオンの十分な数を、蓄積した負電荷と相殺させ、他方でイオン衝撃損傷の加わるのをできる限り少なくなるようにそのエネルギーを維持する。従って、機械的支持部12上の基板サンプル16には、接続部18から機械的支持部12に供給される調整された正電圧が加わることになる。この外部バイアスが「ハイ」になったときに、LE4が発生する。この外部バイアスが「ロウ」のときに、基板上の負電荷が中和される。正バイアスの大きさは正イオン34を反発するのに十分であり、また電子37に十分なエネルギーを付与してLE4のための閾値を超えるのに十分でなければならない。バイアス・パルスの周波数は、サンプル16を十分しばしば放電させることによって負電荷の確立を阻止する(LE4を停止する)のに十分でなければならない。必要な振幅と周波数、さらに適切な波形(例えば、方形波対正弦波)は、基板と反応ガスの組み合わせに対して経験的に決定する必要がある。反応ガスは、所望の結果に依存して、すなわち、サンプルがエッチングされるかクリーニングされるかによって選択され、プラズマ室11に導入され、クリーニングされる場合は、見つかった汚染物が除去される。
【0055】
なおも図1に戻って、第3の好ましい実施形態において、電位を付与することができるグリッド、又は透過性キャップである付加構造14がプラズマ室11内に配備されている。付加構造14は、上述した冷陰極に関して説明したものと同様の態様で製造することができる。一実施形態において、付加構造はサンプル16の近傍に配置されたグリッドであり、また図5に示したサンプル支持装置80に関して次に詳細に説明する。その付加的実施形態において、絶縁性非透過性リング23が機械的支持部12に、またサンプル16の回り付加される。リング23は、電子とイオンのジョイント13、13aへの侵入を阻止するようにして機械的支持部12と付加構造14に結合される。この機構は、サンプル16に到達するどの電子又はイオンも付加構造14を通過することを保証する。これについては図5aに示したサンプル支持装置80に関して次にさらに詳しく説明する。
付加構造14は、サンプル16を支持するのに使用された機械的支持部12の態様と同様の態様で電気的にバイアスされることが可能なものである。付加構造14は、エッチングされるべきサンプル16の近傍にプラズマの陽光柱内に配置される。付加構造14は接続部17を介してAC電源21に接続される。AC電源21は接続部24を介してDC電源28に接続され、これが接続部31を介してアース32に接続されている。付加構造14への電気的バイアスを変化させることによって、サンプル16に付与される帯電種、すなわち、電子37及びイオン34のフラックスとエネルギーに対するさらなる制御が達成される。より詳しく説明すると、電子37とイオン34のプラズマからサンプル16への抽出及び抑制(遅滞)が、サンプルに付与されるエッチング又はクリーニングの質をさらに高めるために制御される。サンプル16を保持している機械的支持部12に印加可能な電気的バイアスと同様に、AC電源21とDC電源28によって付加構造14に印加可能な電気的バイアスは、本質的にac又はdc、あるいはこれら二つの組み合わせである。
【0056】
この第3の好ましい実施形態において、電気的に中性の反応種36は、電子37と同一方向(コリニア)の反応性ビームあるいは反応性流れを形成する。表面に到達する低エネルギー電子37と反応種36のこの組み合わせが、基板のLE4を達成する。
【0057】
これらの到達電子37のほとんどがサンプル16に衝突し、その運動エネルギーのいくらかがサンプルに吸収され、またプラズマの本体に反射される。その内のいくらかが基板面に付着し、これによって負電荷がこれに伝送される。サンプル16が絶縁体であれば、この表面電荷を排出することができず、さらなる電子37の到来を阻止することのできる負電位を発生させるのだけ十分に蓄積され、これによってエッチングあるいはクリーニング処理が停止される。これを阻止するために、サンプル16はAC電源19を使用して接続部18にac外部バイアスを周期的に印加して「放電」あるいは「中和」させる必要がある。このバイアスの正振れ(スイング)中、電子37はサンプル16に吸引され、EL4が発生する。すなわち、負振れ中、蓄積された負の表面電荷が放出され、事実上基板面が中和される。
【0058】
プラズマの陽光柱と接触する付加構造14に関して正バイアスをプラズマ源に印加することで、プラズマからの電子のビームの抽出が可能になる。プラズマの陽光柱にある基板の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング方法及び装置が、プラズマから電子のビームを抽出する。別の方法として、acプラズマ源の電子抽出バイアスが調整され、これによってその正スイング中、正イオン(電子の代わりに)が、電源から抽出でき、また基板にビーム状照射され、蓄積された負電荷の中和を実行する。正バイアスの大きさが、基板に対するイオン衝撃損傷のために十分なエネルギーをイオンに付与するのに低過ぎるくらい低く保持される。
【0059】
ここで図2を参照して、導電性基板と半導体性基板をエッチング又はクリーニングするためのdcプラズマ環境に適用できるこの第3の実施形態の変形例において、サンプル16は、「基板の低エネルギー電子促進エッチング方法及び装置(METHOD AND APPARATUS FOR LOW ENERGY ELECTRON ENHANCED ETCHING OF SUBSTRATES)」と称する1996年8月28日出願の共有譲渡された共同出願中の米国特許願第08/705,902号に開示されたものと同様の形態にあるdcプラズマ反応装置50の陽極51に載置されるが、その改良として、サンプル16と付加構造14がプラズマ放電の陽光柱15内に配置される。上述したように付加構造14をAC電源21とDC電源28を使用して電気的にバイアスすることによって、サンプル16に付与される帯電種のフラックスとエネルギーに対する改良された正確な制御が達成される。陽極51に加えて、dcプラズマ反応装置50は陰極56とdc電源54を含んでいる。DC電源54がライン57を介して陰極56に、またライン58を介して陽極51にそれぞれ接続されている。さらに陽極51はアース59に接地されている。図2の残りの要素の動作は図1に関して説明したものと同様である。
【0060】
図3はdcプラズマ発生環境にある本発明を示し、また本発明の概念を使用するdcプラズマ反応装置60を示す。DC電源54が、当業者にとって知られている陰極56と陽極51を使用してプラズマ室11内でdcプラズマを発生する。これについては詳細に説明しない。室11内のプラズマは、図1に関して説明した陽光柱15を含んでいる。陽光柱15はプラズマの電気的に中性部であり、ここにサンプル16がエッチング又はクリーニングされるために配置される。本発明の動作は図1に関する動作と同様である。
【0061】
陰極56がプラズマ室11内に取り付けられている。陰極56は冷陰極であるのが好ましく、ときどき電界放出陰極と呼ばれ、熱を印加することなしに機能することを意味している。陰極は外部電源54を使用して作動され、直流(DC)電圧が陰極56と陽極51間に印加される。室がガスを収容しているので、室はDCグロー放電管又はDCプラズマ反応装置として機能する。陰極は当業者において知られているような標準的冷陰極であり、又は共有譲渡された出願中の「ガス放出デバイス内の作動電圧を低下させる装置及び方法(APPARATUS AND METHODFOR REDUCING OPERATING VOLTAGE IN GUS DISCHARGE DEVICES)」と称する1997年6月23日出願の米国特許願第08/399,341号の教示に基づいて構成されたものが好ましい。
【0062】
図4は本発明の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング方法及び装置の概念を用いたacプラズマ反応装置70を示す図である。ACプラズマ反応装置70は誘導結合されたプラズマ反応装置を示し、またacプラズマ反応装置の単なる一つのタイプを示したものである。本発明はどのacプラズマ反応装置にも等価に適用可能であり、図4に示したac反応装置は図示の目的のみで使用される。AC電源71は、接続部74と76を介して電力をコイル72に供給する。AC電源71とコイル72はプラズマ室11内でacプラズマを生成し、陽光柱15を含むプラズマは当業者によって知られているように電気的に中性である。本発明の動作は図1に関する説明と同じである。
【0063】
図5は機械的支持部12と付加構造14を含むサンプル支持装置80の詳細な概略図である。接続部17を介してAC電源及びDC電源に接続され、また電位を付与することのできる付加構造14が、プラズマ室11内に、陽光柱15(明瞭にするために省略)に、かつ、サンプル16の近傍に配置されている。付加構造14は上述した冷陰極に関して説明したものと同様の方式で製造することができ、帯電種及び中性種の通過をまったく阻害しないことを促進させるために透過性である。
【0064】
図5aは機械的支持部12と付加構造14を含むサンプル支持装置80の詳細な斜視図である。接続部17を介してAC電源及びDC電源に接続され、また電位を付与することのできる付加構造14が、プラズマ室11内に、陽光柱15(明瞭にするために省略)に、かつ、サンプル16の近傍に配置されている。付加構造14は上述した冷陰極に関して説明したものと同様の方式で製造することができ、帯電種及び中性種の通過をまったく阻害しないことを促進させるために透過性である。本実施形態において、絶縁性非透過リング23がサンプル16を取り巻くようにして機械的支持部12に載置されている。リング23は、電子及びイオンが接合部13と13aに侵入するのを阻止するようにして機械的支持部12と付加構造14に結合されている。この構成は、サンプル16に到達する電子又はイオンが付加構造14を通過することを保証する。
【0065】
多数の修正例が上述したように、本発明の原理から実質的に逸脱することなく本発明の好ましい実施形態を実行できることは当業者において明白である。このような修正例はすべて、特許請求の範囲に規定した本発明の範囲内に入ることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング装置の3つの好ましい実施形態を示すプラズマ反応装置と、プラズマの陽光柱内への基板の配置を示す概略図である。
【図2】低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング装置の別の実施形態を示すdcプラズマ反応装置と、プラズマの陽光柱内への基板の配置を示す概略図である。
【図3】図1の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング装置の3つの好ましい実施形態を示すdcプラズマ反応装置を示す概略図である。
【図4】図1の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング装置の3つの好ましい実施形態を示すacプラズマ反応装置を示す概略図である。
【図5】図1の低エネルギー電子促進エッチング及びクリーニング装置のサンプル支持装置の詳細な概略図である。
【図5a】図5のサンプル支持装置の別の実施形態の詳細な概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ反応装置によって発生されたプラズマの陽光柱の機械的支持部上に基板を載置するステップと、
約100eV未満の運動エネルギーの低エネルギー電子、及び前記基板と反応する少なくとも一つの反応種を有する前記プラズマの陽光柱内に前記基板を曝すステップと、
冷陰極で電子を発生させるステップ
とを含むことを特徴とする基板を低損傷異方性ドライエッチング又はクリーニングする方法。
【請求項2】
複数の基板が前記プラズマの前記陽光柱内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の基板が積層され、互いに空隙によって分離されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応種が、前記基板上の汚染物を除去するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応種が、前記基板の一部を除去するように選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記反応種を、水素、ハロゲン、インターハロゲン化合物、ハロゲン化水素、揮発性有機化合物、希ガス及びこれらの混合物からなるグループの中から選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマ反応装置がdcプラズマを発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマ反応装置がacプラズマを発生することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記機械的支持部が電気的にバイアスされ、前記機械的支持部が前記電気的バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記機械的支持部がdc電気バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記機械的支持部がac電気バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記機械的支持部がdc及びacバイアス両方を前記基板に付与することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記機械的支持部の前記電気バイアスをプラズマの値のバイアス以下に周期的に調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記プラズマ内に電気的にバイアスされることが可能である付加構造を含有するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記付加構造が電気的にdcバイアスされることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記付加構造が電気的にacバイアスされることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記付加構造が電気的にac及びdc両方でバイアスされることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
陰極と陽極を含む直流プラズマ反応装置を用意するステップと、
直流プラズマ反応装置の陽極上に基板を載置するステップと、
冷陰極で低エネルギー電子を発生させるステップと、
約100eV未満の運動エネルギーの低エネルギー電子、及び前記基板と反応する少なくとも一つの反応種とを有する前記プラズマの陽光柱内に前記基板を曝すステップと、
前記プラズマ内に、電気的にバイアス可能な付加構造を挿入するステップ
とを含むことを特徴とする基板を低損傷異方性ドライエッチング又はクリーニングする方法。
【請求項19】
前記基板が導電性基板であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基板が半導体性基板であることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記付加構造が電気的にdcバイアスされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記付加構造が電気的にacバイアスされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記付加構造が電気的にac及びdcバイアスされることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
プラズマ反応装置と、
該プラズマ反応装置によって発生されたプラズマの陽光柱が約100eV未満の運動エネルギーの低エネルギー電子、及び基板と反応する少なくとも一つの反応種を含むように、前記基板を前記プラズマの陽光柱内に保持するように設計された機械的支持部と、
冷陰極
とを備えることを特徴とする基板の低損傷異方性ドライエッチング装置。
【請求項25】
複数の基板が前記プラズマの前記陽光柱内に配置されることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記複数の基板が、積層され互いに空隙によって分離されていることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記反応種が、前記基板上の汚染物を除去するように選択されることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記反応種が、前記基板の一部を除去するように選択されることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記反応種を水素、ハロゲン、インターハロゲン化合物、ハロゲン化水素、揮発性有機化合物、希ガス及びこれらの混合物からなるグループから選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記プラズマ反応装置がdcプラズマを発生することを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項31】
前記プラズマ反応装置がacプラズマを発生することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項32】
前記機械的支持部が電気的にバイアスされ、前記機械的支持部が前記電気的バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項33】
前記機械的支持部がdc電気バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項34】
前記機械的支持部がac電気バイアスを前記基板に付与することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項35】
前記機械的支持部がdc及びacバイアス両方を前記基板に付与することを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項36】
前記機械的支持部の前記電気バイアスをプラズマの値のバイアス以下に周期的に調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項37】
前記プラズマ内に電気的にバイアスされることが可能である付加構造を含有するステップをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項38】
前記付加構造が電気的にdcバイアスされることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記付加構造が電気的にacバイアスされることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記付加構造が電気的にac及びdc両方でバイアスされることを特徴とする請求項37に記載の装置。
【請求項41】
陰極と陽極を含む直流プラズマ反応装置と、
該直流プラズマ反応装置の前記陽極上に載置された基板と、
前記冷陰極で低エネルギー電子を発生させる手段と、 約100eV未満の運動エネルギーの前記低エネルギー電子、及び前記基板と反応する少なくとも一つの反応種を含むプラズマの陽光柱内に前記基板を曝す手段と、
前記プラズマ内に挿入された、電気的にバイアス可能な付加構造
とを含むことを特徴とする基板を低損傷異方性ドライエッチング又はクリーニングする装置。
【請求項42】
前記基板が導電性基板であることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記基板が半導体性基板であることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項44】
前記付加構造が電気的にdcバイアスされることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項45】
前記付加構造が電気的にacバイアスされることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項46】
前記付加構造が電気的にac及びdcバイアスされることを特徴とする請求項41に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【公開番号】特開2009−111378(P2009−111378A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−266414(P2008−266414)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【分割の表示】特願2000−585478(P2000−585478)の分割
【原出願日】平成10年12月3日(1998.12.3)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】