説明

基板の表面に樹脂絶縁膜のパターンを形成する方法及び半導体装置

【課題】基板の表面に樹脂絶縁膜のパターンを切削加工で形成する方法及び半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法において、接続用の電極(2)が一主面に形成された半導体基板(1)において、前記接続用の電極(2)を覆うように前記一主面側に樹脂絶縁膜(3)を形成する第1工程と、すくい角をゼロ又は負とした、バイト(4)による切削加工により、前記接続用の電極(2)の接続部位(21)を露出させるように、テーパ部(10)と前記接続部位(21)とからなる開孔(31)を形成する第2工程とを具備することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に樹脂絶縁膜のパターンを形成する方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOS構造等の半導体をホトリソグラフィー技術により、絶縁層をエッチングにより除去して開孔を形成する技術は良く知られている(一例として特許文献1)。特に、パワートランジスタなどの半導体基板の表面においては、電極や配線パターンを絶縁するために樹脂絶縁膜が用いられている。この樹脂絶縁膜に対して、ホトリソグラフィー技術により、露光、現像、エッチングを経て、樹脂絶縁膜のパターンが形成されていた。しかしながら、この方法では、次のような問題が生じていた。
【0003】
(1)絶縁膜が厚くなるほどエッチング時間が長くなる。
(2)厚い絶縁膜に微細なパターンを形成する場合には、パターンを形成できる絶縁膜の厚さとパターンサイズの間に制限があって、厚い絶縁膜に微細なパターンを形成することはできなかった。
(3)絶縁膜を除去する部分と残す部分との境界部に生じるテーパ形状には制限があって、任意の角度のテーパ形状を形成することができず、さらに、テーパ下部の下地との接触角度も任意に形成することはできなかった。
(4)テーパ上部には、盛り上がり形状が発生する。
このため、樹脂絶縁膜の厚さに制限なく、任意のテーパ形状に加工する樹脂絶縁膜のパターン加工方法が必要となっていた。
【0004】
一方、化学反応を用いるホトリソグラフィーではなく、機械加工する方法が、特許文献2から4、6に見られるように、いくつか案出されている。これらはいずれも半導体基板表面を絶縁膜、電極問わず平滑に加工する方法であり、絶縁膜と電極のパターンは依然ホトリソグラフィーを用いていることから、樹脂絶縁膜のパターン形状を、任意の形に機械加工で実現するものではない。特許文献5のものは、平刃で片側に掻き出すもので、樹脂絶縁膜のパターン形状を任意の形に加工できるものではない。非特許文献1で述べられている機械加工方法も、同様に平滑平坦化に限られており、樹脂絶縁膜のパターン形状を、任意の形に機械加工で実現するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3069468号公報
【特許文献2】特開2000−173954号公報
【特許文献3】特開2005−12098号公報
【特許文献4】国際公開第2004/061935号
【特許文献5】特開2008−124150号公報
【特許文献6】特開2006−186304号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】酒井泰治、作山誠樹、水越正孝、A New Flip Chip Bonding Method Using Ultra-precision Cutting of Metal/Adhesive Layers, International Conference on Electronics Packaging, Outstanding Papers of the 2007 Conference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
パワートランジスタなどの大電流を扱う半導体装置では、面内方向に電流を均一化させながら膜厚方向に電流を流すため、配線や電極の厚さは数μmから5μm程度の厚さとなる。そのため、化学気相成長による窒化珪素膜などでは電極や配線を被覆しきれないため、樹脂絶縁膜が用いられる。その厚さは電極や配線を被覆するため10μm以上となる場合がある。さらに、パワートランジスタなどの大電力を扱う半導体装置の場合、耐環境性を高めるため、モールド樹脂成形パッケージを行う。その際、モールド樹脂内のフィラーが、半導体装置に局所的な応力を加え、素子特性に影響を与えてしまうことがあるので、そのような局所的な応力を分散させ、素子に影響を与えないようにするため、樹脂絶縁膜は一定以上の厚さが必要となる。
【0008】
このような樹脂絶縁膜の形成方法のうちで、製造コストが低いパターン形成方法としては、ホトリソグラフィー技術が用いられ、エッチングには高速な等方的ウエットエッチングや現像が用いられる。図1は、ホトリソグラフィー技術で樹脂絶縁膜にパターンを形成した断面写真で、丸で囲んだ部分がテーパ部である(図中のuは以下同様にμmを表す)。図2は、ホトリソグラフィー技術で樹脂絶縁膜にパターンを形成した説明図である。図2において、1は、半導体基板であり、3は、樹脂絶縁膜である。
ホトリソグラフィー技術による樹脂絶縁膜の形成方法には、前述したように、次のような問題が生じる。
【0009】
ウエットエッチングや現像では、テーパ角θが、図1、図2に示すようにおよそ40°から70°で加工される。このように角度が小さい場合、半導体装置の動作を制御する電極の周囲にテーパ分の余計な面積が必要となり、面積に制約のある半導体には不適当である。さらに、この方法によれば、テーパ上部には図2に示すような盛り上がり形状11が形成され、後工程でこの部分への応力集中や、この部分の樹脂絶縁膜物性が平坦部とは異なることが懸念される。また、テーパ形状10のテーパ下部12では、急峻な形状が形成され、後工程でこの部分の膜物性が平坦部と異なることが懸念される。
テーパ形状10の上にさらに第2の電極膜を形成する場合、樹脂絶縁膜3と、下地電極としての電極2(接続部位21)との界面の境界部の角度が不連続であると、第2の電極膜(後工程で形成する電極膜)や樹脂絶縁膜3が剥離しやすいという問題がある。
【0010】
次に、リフトオフプロセスに適用する場合の問題点について触れる。
図3は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、EL(Electro-Luminescence)などの製造工程に適用されるリフトオフプロセスの説明図である。半導体基板1に樹脂絶縁膜3を形成し、樹脂絶縁膜3において、開孔を逆テーパ形状に加工したあと、さらに第2の電極膜14、14’を形成するものである。半導体基板1に形成された第2の電極膜14’は、樹脂絶縁膜3の上に形成された第2の電極膜14と絶縁されている。
パワートランジスタなどの大電力を扱う半導体装置の場合、樹脂絶縁膜3を厚くすることで、数kVを越えるような高電圧に対する絶縁耐圧を得ることができる。厚い樹脂絶縁膜3を逆テーパで加工すれば、樹脂絶縁膜上の電極14と絶縁膜開孔部31の接続部位21に形成する電極14’の膜厚方向の距離を広くでき、絶縁耐圧を高めることができる。このため、逆テーパの加工をどのようにして行うかという点は、極めて重要である。
【0011】
図4は、ホトリソグラフィーで垂直より数度傾いた逆テーパを形成する説明図である。
ネガ型の感光性樹脂を用いると、ネガ型は光が当たった部分が残り、マスクにより光が当たらなかった部分が現像液に溶けてなくなる。樹脂は透明ではないので、厚くなるほど下部での光が弱まる。厚い感光性樹脂では露光部は、下部ではマスク開孔部より小さくなり、この小さくなる度合いによって逆テーパが形成される。
【0012】
図5は、テーパがない状態(テーパが90°という)で金属電極膜を形成する場合の説明図である。スパッタや真空蒸着では金属粒子に斜めの速度成分があるため、テーパがない場合では、側壁にも金属膜が形成され、絶縁膜開孔部31に形成された第2の電極膜14’を、樹脂絶縁膜3の上に形成された第2の電極膜14と絶縁分離できず、リフトオフプロセスに適用することができない。ホトリソグラフィーで形成する場合に通常生成できる、数度の逆テーパでは、リフトオフプロセスを応用した製造方法を行う上では不十分であった。
【0013】
ホトリソグラフィー技術で、ある程度大きい逆テーパを形成することはできないわけではない。この場合には、ネガ型の感光性樹脂の感光性を調節して、テーパ角をある程度大きくする必要がある。そのためには、光のエネルギーで架橋したりする官能基を多く取り入れねばならないので、ヤング率や伸び、強度、耐熱性と言った機械物性、もしくは、誘電率、誘電正接などの電気特性を犠牲にせざるを得なくなってしまう。
【0014】
以上説明したように、リフトオフプロセスを応用した製造方法を行う上では、これまでのホトリソグラフィーによる方法では、感光性と、樹脂の機械物性、電気特性とを両立させることは材料設計上困難であった。
それゆえ、設計上最適な機械物性、電気特性を持つ樹脂に対し、120°程度の逆テーパ角(図2のθ=120°)が安定して形成できれば、リフトオフプロセスを応用した製造方法を実現できることから、120°程度のテーパ角を加工することが必要となる。
【0015】
本発明は、上記の課題解決のため、ホトリソグラフィーに代わり、基板上に形成された厚い樹脂絶縁膜を、テーパ部を含めて半導体デバイス設計上最適な任意の形状に加工することを可能とする樹脂絶縁膜のパターンの形成方法および半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、半導体装置の製造方法において、接続用の電極(2)が一主面に形成された半導体基板(1)において、前記接続用の電極(2)を覆うように前記一主面側に樹脂絶縁膜(3)を形成する第1工程と、すくい角をゼロ又は負とした、バイト(4)による切削加工により、前記接続用の電極(2)の接続部位(21)を露出させるように、テーパ部(10)と前記接続部位(21)とからなる開孔(31)を形成する第2工程とを具備することを特徴とする。
この方法により、従来ホトリソグラフィーでパターン形成ができなかった、厚い樹脂膜をパターン形成できるようになる。ホトリソグラフィーではテーパ上部の盛り上がりが避けられなかった樹脂に対し、アール付けしながら盛り上がりのない形状を得られる。ホトリソグラフィーでは全面で狭い範囲のテーパ角しか得られなかった樹脂に逆テーパを含む任意のテーパ角を任意に混在させて形成できる。これにより、樹脂絶縁膜の形状加工が実現することにより、耐久性が高く、動作性能の高いパワートランジスタなどの半導体装置やMEMS装置を実現できる。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記テーパ部(10)のテーパ角は、前記開孔(31)が前記接続部位(21)に向って末広がりになるように、100°より大きいことを特徴とする。これにより、半導体装置の動作を制御する電極の周囲にテーパ分の余計な面積が必要となることがなく、次工程での膜形成を適切に行うことができる。
【0018】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記テーパ部(10)のテーパ角は、115°から125°であることを特徴とする。これにより、半導体装置の動作を制御する電極の周囲にテーパ分の余計な面積が必要となることがなく、次工程での膜形成を適切に行うことができる。すわわち、上からスパッタや蒸着で電極パターンを形成した場合に、絶縁膜上の電極と開口部の電極の面内方向の距離も広く取ることができる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項の発明において、前記バイト(4)がダイヤモンドバイトであることを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記第2工程において、前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とをそれぞれ異なるダイヤモンドバイトを用いて切削加工することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、前記第2工程において、前記半導体基板(1)と、前記バイト(4)とを3次元で相対的に可動させて切削加工することを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、前記第2工程において、前記半導体基板(1)を固定して、前記バイト(4)を3次元で可動させて切削加工することを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明は、請求項6記載の発明において、前記第2工程において、直交座標系X、Y、Zにおいて、前記半導体基板(1)をX軸方向に可動させ、前記バイト(4)をY軸方向に可動させ、さらに前記バイト(4)を切り込み軸であるZ軸方向に可動させて切削することを特徴とする。
【0024】
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の発明において、前記第1工程で樹脂絶縁膜(3)が形成された前記半導体基板(1)を、複数のピエゾアクチュエータが内蔵されたチャックテーブル(60)で吸着保持し、樹脂絶縁膜(3)の表面形状を非接触で測定する工程と、前記樹脂絶縁膜(3)の表面形状が平坦になるように、各ピエゾアクチュエータを独立して変位させる工程とをさらに具備して、前記第2工程における切削を行うことを特徴とする。
これにより、加工前の被加工面がランダムにうねりをもった面となってしまうことがなく、ナノレベルでの切削加工を行うことができる。また、切りすぎやバイトが届かないことが起こることなく歩留まりを高めて、余分な樹脂の切り取り代が少なくてすみ、コスト面でもメリットがある。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の発明において、前記第2工程において、前記バイトの側面の形状を前記テーパ部に転写させて切削することを特徴とする。
【0026】
請求項11の発明は、接続用の電極(2)が一主面に形成された半導体基板(1)において、前記接続用の電極(2)を覆うように前記一主面側に形成された樹脂絶縁膜(3)と、すくい角をゼロ又は負としたバイト(4)による切削加工により形成された、前記接続用の電極(2)の接続部位(21)とテーパ部(10)とからなる開孔(31)とを具備し、前記接続部位(21)の前記電極(2)の第1の金属膜厚(23)が、接続部位(21)以外の前記電極(2)の第2の金属膜厚(24)より薄く、かつ、前記第1の金属膜厚(23)と前記第2の金属膜厚(24)との段差部上部(25)のテーパ角が、前記テーパ部(10)における前記樹脂絶縁膜(3)の下部(32)のテーパ角と一致し、前記テーパ部(10)において、前記下部(32)と前記上部(25)とが連続して接続していることを特徴とする。
これにより、形状を任意に加工できることから、構造上応力が集中する形状(テーパ面と接続部位21の交わる部位)を材料界面ではなく材料の内部に作りこむことが可能である。また、樹脂絶縁膜のテーパ角と接続部位の最上部のテーパ角を同一にして連続なテーパ面とすることにより、絶縁膜端の剥離防止、後工程で形成する第2の電極膜の剥離を抑止できる。さらに、露出させる金属表面に樹脂絶縁膜の現像やエッチングの残渣が残ることは無いため、残渣除去のための表面清浄化処理が不要であって清浄な金属表面が得られる。
【0027】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、前記テーパ部(10)のテーパ角は、前記開孔(31)が前記接続部位(21)に向って末広がりになるように、100°より大きいことを特徴とする。これにより、請求項2の発明と同じ効果が得られる。
【0028】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記テーパ部(10)のテーパ角は、115°から125°であることを特徴とする。これにより、請求項2の発明と同じ効果が得られる。これにより、請求項3の発明と同じ効果が得られる。
【0029】
請求項14の発明は、請求項11から13のいずれか1項に記載の発明において、前記開孔(31)の前記テーパ部(10)上部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることを特徴とする。これにより、絶縁膜端の剥離防止、後工程で形成する第2の電極膜の剥離を抑止できる。
【0030】
請求項15の発明は、請求項11から14のいずれか1項に記載の発明において、前記開孔(31)の前記テーパ部(10)下部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることを特徴とする。これにより、絶縁膜端の剥離防止、後工程で形成する第2の電極膜の剥離を抑止できる。
【0031】
請求項16の発明は、請求項11から15のいずれか1項に記載の発明において、前記開孔(31)が複数存在し、前記開孔(31)のテーパ部(10)のテーパ角が2種類以上存在することを特徴とする。これにより、従来はホトリソグラフィーでパターン形成しており、2種類以上のテーパ形状を意識して作りこむことができなかったが、機械加工ではパターンを一つ一つ加工することができるため、NCのプログラムさえ変えておけば可能となった。
【0032】
請求項17の発明は、請求項11から16のいずれか1項に記載の発明において、前記テーパ部(10)の表面粗さが、十点平均粗さ(JIS)で50nmから400nmであることを特徴とする。
【0033】
請求項18の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載の発明において、少なくとも前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とを覆うように、電極膜(14)を形成する第3の工程をさらに具備することを特徴とする。
【0034】
請求項19の発明は、請求項11から17のいずれか1項に記載の発明において、少なくとも前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とを覆うように形成された、電極膜(14)をさらに具備することを特徴とする。
【0035】
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ホトリソグラフィー技術で樹脂絶縁膜にパターンを形成した典型的な断面写真で、丸で囲んだ部分がテーパ部である。
【図2】ホトリソグラフィー技術で樹脂絶縁膜にパターンを形成した説明図である。
【図3】リフトオフプロセスの説明図である。
【図4】ホトリソグラフィーで垂直より数度傾いた逆テーパを形成する説明図である。
【図5】テーパがない状態(テーパが90°という)で金属電極膜を形成する場合の説明図である。
【図6】本発明の一実施形態である半導体装置の製造方法を示す説明図であり、(a)から(d)は、前記製造方法の各ステップを示し、(e)は、製造後の半導体装置一例を示す図である。
【図7】本発明の基礎となった比較技術による切削状況を説明する説明図であり、(a)は、亀裂が水平方向に発生した場合で、(b)は、亀裂が垂直方向に発生した場合を示す説明図である。
【図8】比較技術により切削した場合に発生した亀裂を示す拡大写真である。
【図9】本発明の一実施形態で加工した表面粗さを示す図表であり、(a)は、樹脂機械物性と加工後の外観を示す表であり、(b)は、破断までの伸びを示す応力−ひずみ曲線の一般的参考例である。
【図10】切削中の刃先近傍の樹脂内部の応力分布の解析結果の説明図である。
【図11】切削中の刃先近傍の樹脂内部の応力分布の解析結果の説明図である。
【図12】(a)は、開孔31に電極膜14を形成した本発明の他の実施形態を示す説明図である。(b)は、図12(a)の他の実施形態に、接合材60を接続した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。従来技術に対しても同様に同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。本発明の各実施形態が、本発明の基礎となった比較技術に対しても同一構成の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態である半導体装置の製造方法を示す説明図であり、(a)から(d)は、前記製造方法の各ステップを示し、(e)は、製造後の半導体装置一例を示す図である。図7は、本発明の基礎となった比較技術による切削状況を説明する説明図であり、(a)は、亀裂が水平方向に発生した場合で、(b)は、亀裂が垂直方向に発生した場合を示す説明図である。図8は、比較技術により切削した場合に発生した亀裂を示す拡大写真である。なお、白の矢印はバイトの進行方向を示している。
【0039】
図6(d)のように、樹脂絶縁膜3を半導体基板1の全面に形成後、切削加工により不要部を選択的に除去して、開孔部31を形成する場合、次のような技術的困難性が発生していた。
【0040】
図7に示すように、樹脂絶縁膜をバイトで切削する場合、バイトの刃先直後の樹脂に引っ張り応力が生じ、局所的な引っ張り応力が樹脂の破断強度を越えやすく、越えると樹脂が裂け、図8に示すようなむしれた形状となる。図7の(a)の場合は、刃先の後方で引っ張り応力が樹脂の強度を上回り、裂ける場合であり、図7の(b)の場合は刃先前方へ亀裂が勝手に進展してしまう場合である。
【0041】
半導体基板上の絶縁膜にパターンを形成しようとすると、切り取りたい厚さの精度(例えば±1μmから±100nm)に対し、下地の半導体基板の厚さの公差が3ないし8μmあり、厚さのばらつきは1枚のウエハの面内でランダムにある。そのため、加工しない側のウエハ面を固定し、その面を基準に加工すると切りすぎやバイトが届かないことが発生する。
【0042】
シリコンウエハの厚さに基づくランダムなばらつきに加えて、前の工程で下地に形成された金属膜や絶縁膜の厚さのばらつきも加算され、6インチウエハで7μm程度の厚さばらつきが発生することになる。したがって、一方の面を基準に固定すると、他方の面の表面は7μmほどランダムにうねりをもった面となってしまって、ナノレベルでの切削加工を行うことができなかった。
【0043】
本発明の実施形態では、後述するバイトのすくい角、被切削材のチャック装置、樹脂絶縁膜の破断伸び率の限定などを工夫することで、開孔部31を形成する場合の技術的困難性を克服したものである。以下に、本発明の一実施形態を説明する。
【0044】
図6の(a)〜(c)に示すように、半導体基板1の一面上に、下地電極として第1の電極2(配線も含む)を形成し、その上から樹脂絶縁膜3を全面に形成する。次に、第1の電極2を接続部位として露出させるように、開孔部31を切削加工により樹脂絶縁膜除去する。本発明の一実施態様の後工程で、第2の電極膜14がさらに覆われる。
【0045】
図6(e)に見られるように、接続用の電極2が一主面に形成された半導体基板1において、接続用の電極2を覆うように形成された樹脂絶縁膜3と、すくい角をゼロ又は負としたバイト4による切削加工により形成された電極2の接続部位21とテーパ部10とからなる開孔31が形成され、接続部位21の電極2の第1の金属膜厚23が、接続部位21以外の電極2の第2の金属膜厚24より薄く、かつ、第1の金属膜厚23と第2の金属膜厚24との段差部上部25のテーパ角が、テーパ部10における樹脂絶縁膜3の下部32のテーパ角と一致し、テーパ部10において、下部32と上部25とが連続して接続している。
【0046】
耐久性として、冷熱試験に対する異種材料界面での剥離を抑止することが求められている。本切削加工で得られる清浄な下地金属面21(接続部位21は切削されている)には汚染物が少なく、第2の電極14(図3参照、金属電極)と第1の電極(接続部位21、金属電極)の間に金属結合を得られる。また、形状を任意に加工できることから、構造上応力が集中する形状(テーパ面と接続部位21の交わる部位)を材料界面ではなく材料の内部に作りこむことが可能である(図6(e)の番号21)。
ここで、順テーパから逆テーパにわたる任意のテーパ角での加工が本実施形態に含まれるものである。順テーパとしては、テーパ角は、できれば45°以上が好ましい。リフトオフプロセスの場合、通常は100°以上であり、好ましくは、120°程度(115〜125°)にあると良い。また、バイト4をテーパ面に平行に移動させ、バイトの側面で切削した面をテーパ面にすると良い。
【0047】
これにより、MEMS等では任意の機械物性を持つ厚い絶縁膜を逆テーパで加工できることから、MEMS等を形成するプロセスで絶縁膜上の電極と絶縁膜開口部に形成する電極の膜厚方向の距離を広くでき、絶縁耐圧を高められる。絶縁膜を厚くできるため、厚さ方向の距離を広く取ることができ、120°程度の大きなテーパ角を形成できることから、上からスパッタや蒸着で電極パターンを形成した場合に、絶縁膜上の電極と開口部の電極の面内方向の距離も広く取ることができる。
【0048】
開孔31のテーパ部10上部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることが望ましく、また、開孔31のテーパ部10下部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることが望ましい。さらに、開孔31が複数存在し、開孔31のテーパ部10のテーパ角が2種類以上存在しても良い。機械加工ではパターンを一つ一つ加工することができるため、NCのプログラムさえ変えておけば可能である。従来はホトリソグラフィーでパターン形成しており、2種類以上のテーパ形状を意識して作りこむことはできなかった。
【0049】
開孔31の加工において、半導体基板1を固定してバイト4を3次元で可動させて切削加工しても良く、また、通常に、直交座標系X、Y、Zにおいて、半導体基板1をX軸方向に可動させ、バイト4をY軸方向に可動させ、さらにバイト4を切り込み軸であるZ軸方向に可動させて切削しても良いが、その他当業者が通常行う加工段取りで作業を行うことは可能である。
【0050】
図6(c)のような半導体基板1上に、下地電極として第1の電極2(配線も含む)を形成されて、樹脂絶縁膜3が形成されたものを、切削加工するためにピエゾ内蔵チャックテーブル60(図示せず)に吸着固定する。この場合、半導体基板1の厚さにはランダムなばらつきを持っているため、一方の面を平面に固定すると、他方の面の表面は7μmほどランダムにうねりをもった面となる。本実施形態では、例えば、厚さ1μm、精度で例えば3±1μmという切り込み量で表面から切削するのでウエハ側の厚さばらつきが無視できない。そのため、ピエゾを内蔵したステージで、低い部分を持ち上げ、被切削面をフラット(±1μm以下)にして加工することにより、歩留まりを高め、余分な樹脂の切り取り代を少なくするものである。
【0051】
ピエゾ内蔵チャックテーブル60は、上面が吸着面となっており、中空形状に形成されている。吸着面には、真空ポンプなどの吸着装置を用いて中空部を減圧することにより生じる吸着力を半導体基板1に作用させる吸着孔が形成されている。吸着面は、ピエゾアクチュエータを内蔵した変位装置による変位を半導体基板1に加えるために、変形しやすく形成されている。変形装置は、複数個のピエゾアクチュエータが、中空部において所定の間隔で格子状に配置されており、吸着面の裏面に当接し、上向きの変位を発生させることができるように設けられている。ピエゾアクチュエータに上向きの変位を生じさせると、吸着面を介して半導体基板1に上向きの変位を与えて、半導体基板1を変形させることができる。
【0052】
レーザ変位計などの表面形状測定装置により、半導体基板1の表面部の表面形状を、非接触で精度良く測定する。表面形状測定装置によって得られた変位と、上下逆に補償するように、ピエゾアクチュエータに変位を生じさせて、半導体基板1の表面部の表面形状が平坦になるように、ピエゾアクチュエータの変位を制御する。このようにして、ピエゾ内蔵チャックテーブル60で加工面を平坦に校正することで、切削加工が可能となる。
【0053】
本実施形態では、一例として、不二越製NC加工装置AMG−42Pで加工する。これに限らず、ナノ加工のできる工作機械を採用する。バイトとしてはダイヤモンドバイトが好ましい。
【0054】
これまでの研究によって、バイトの刃先直後の樹脂に引っ張り応力が生ずるので、バイトを樹脂に接触させて切り始める時、切り終わりバイトを樹脂から離脱させる時、この局所的な引っ張り応力が樹脂の破断強度を越えやすく、越えると樹脂が裂け、むしれた形状となるという知見が得られた。裂けむしれると絶縁劣化の原因となり、こうした現象を避けるため、バイトのすくい角を、ゼロ又は負角として、伏せる側にバイトを倒すようにして、刃先周囲に圧縮応力場を作り、引っ張り応力を相殺する。この結果、良好な切削面が得られることがわかった。
【0055】
バイトの種類は先端面と側面を鋭利に仕上げたもので、バイトの側面をテーパ加工したい角度、例えば45°としておき、テーパ形状をバイトを進めながらバイトの側面を使って形成すると良い。送りピッチPについては、本実施形態では、一例として、70μm程度に設定したが、これに限定されるものではない。
【0056】
樹脂絶縁膜3にポリイミド系樹脂を用いた場合、樹脂絶縁膜3のみを切削すると、切込み深さが8μm以下ならば、切削された面において樹脂がむしれることがなく、平滑な切削面を得ることができる。一方、切込み深さが8μmを超えると、切り屑の剛性が高まり、樹脂がむしれて表面粗さが大きくなる傾向がある。一例として、不二越製NC加工装置AMG−42Pを用い、ダイヤモンドバイトを用いて、厚さ23μmのポリイミド樹脂絶縁膜を正方形に除去した。このとき、切り込み量は6μmを3回とし、テーパ角は50°とした。
【0057】
次に、樹脂絶縁膜3の樹脂材料物性について説明する。樹脂絶縁膜3の樹脂材料物性としては平滑なテーパ面を得るには破断までの伸びが60%以下の樹脂が望ましい。
図9は、本発明の一実施形態で加工した表面粗さを示す図表であり、(a)は、樹脂機械物性と加工後の外観を示す表であり、(b)は、破断までの伸びを示す応力−ひずみ曲線の一般的参考例である。
ロット1〜4のPIX3400、HD4110、HD8820、PIX5878は、日立化成デュポン製ポリイミド、ロット5のSP483は、東レ製のポリイミド系樹脂を用いて、実験した結果である。図9からわかるように、破断までの伸びが60%以下の樹脂について、良好な結果が得られた。Rzは、JISでいう十点平均粗さで、山谷3点の平均値である。
【0058】
この結果をさらに裏付けるため、切削時の外力の実測と、樹脂物性実測とCAEによる解析を用いて、切削中の刃先近傍の樹脂内部の応力分布を解析した。図10、11は、切削中の刃先近傍の樹脂内部の応力分布の解析結果の説明図である。
平滑に切削できる樹脂Aとむしれる樹脂Bの2種類の結果を図10に示す。平滑に切削できる樹脂A(PIX3400:物性値はロットにより若干ばらつく。ロット1参照。)とむしれる樹脂Bの物性で伸びが違い、伸びが小さい樹脂は平滑に切削されることがわかる。
この解析で、切削面の粗さと樹脂の伸びの関係は次のように考えることができる。
刃先で樹脂は引き伸ばされ、伸びが60%の樹脂は60%伸びたところで破断する。一方伸びの大きい樹脂は95%から105%まで切れずに伸びてから破断する。この切れずに伸びる間に推定される現象として次のように推定できる。伸びの大きい樹脂は刃先後方の引っ張り応力が大きくなり亀裂が生じ、伸びの小さい樹脂は刃先後方の引っ張り応力は大きくならず、平滑に切削されたと考えられ、破断までの伸びが60%以下の樹脂について、良好な結果が得られることがわかる。
以上述べたように、こうした樹脂絶縁膜の形状加工が実現することにより、耐久性が高く、動作性能の高いパワートランジスタなどの半導体装置やMEMS装置を実現できる。
【0059】
以上の説明に加えて、さらに、本発明の他の一実施形態について説明する。
図12(a)は、開孔31に電極膜14を形成した本発明の他の実施形態を示す説明図である。(b)は、図12(a)の他の実施形態に、接合材60を接続した説明図である。
バイト4による切削加工により、接続用電極2の接続部位21(一例として、アルミニウム)が、開孔31において露出している。この接続部位21の表面上には、はんだやワイヤなどの部材が接続される接続用の電極膜14(第2の電極膜)が形成される。本実施形態では、この電極膜14は、エミッタ電極においては、はんだ付け用のものであり、ゲート電極においては、ワイヤボンディング用のものである。電極膜14についても、ダイヤモンドホイ−ル、GC(グリーンカーボン)砥石、電着砥石を用いた研削法等により、図12(a)のようにパターニングされる。
また、図12(b)に示すように、開孔31の接続部位21の周辺にも電極膜14が形成され、電極膜14の上に接合材60が接している。
【0060】
電極膜14の一例として、メッキにより形成された膜で構成しても良く、例えば、Ti/Ni/Auの積層メッキ膜、Ni/Auの積層メッキ膜、Cuメッキ膜、あるいはNi−Fe合金のメッキ膜等を採用することができる。
【0061】
図12(a)に示されるように、電極膜14は、接続用電極2からみて第1の層14a、第2の層14b、第3の層14cが積層されてなる積層膜として構成する場合について説明する。この場合の電極膜14において、第1の層14aは、電極膜14と接続用電極2との間の良好な接合を形成するための膜である。具体的には、第1の層14aとしてチタン(Ti)からなるチタン薄膜を用いている。なお、第1の層14aとしては、チタン薄膜の代わりに、上述の目的を達成する他の金属膜、たとえばバナジウム、クロム、コバルト、ジルコニウム、アルミニウム、タンタル、タングステンまたは、これらの金属の窒化物やこれらの金属を主成分とする合金などを用いてもよい。第1の層14aとしてチタン薄膜を用いた場合には、チタンが、接続用電極2の酸化膜を還元し自らを酸化することによって良好な界面が形成されるため、酸化膜の除去工程は不要とすることができる。
【0062】
電極膜14において第2の層14bは、接合材60との接合をするための膜である。具体的には、第2の層14bとして、ニッケル(Ni)からなるニッケル薄膜を用いている。この第2の層14bとしては、ニッケル薄膜の代わりに、上述の目的を達成する他の金属膜、たとえば、銅、パラジウム、または、これらの金属を主成分とする合金などを用いても良い。
【0063】
電極膜14において第3の層14cは、はんだ濡れ性の良好な膜であり、具体的には、第3の層14cとして、金(Au)からなる金薄膜を用いている。この第3の層14cとしては、金薄膜の代わりに、上述の目的を達成する他の金属膜、たとえば、銅、銀(Ag)、白金(Pt)、鉄(Fe)、錫(Sn)、Cu−Sn合金などを用いても良い。また、電極膜14においては、第3の層14cは、第2の層14bにニッケルなどの、はんだ濡れ性の良い金属を用いた場合には省略することも可能である。しかし、ニッケル表面が酸化すると、はんだ濡れ性が劣化するため、第3の層14cを用いることが望ましい。
【0064】
図12(b)に示されるように、この金からなる第3の層14cは、電極膜14と接合材60とを接合した後においては、接合材と金とが溶け合うことにより消滅する。そして、はんだ接合後における電極膜14は、チタンからなる第1の層14aとニッケルからなる第2の層14bとの積層膜となる。
【0065】
これまで、本発明における樹脂絶縁膜3としては、これまでポリイミド系樹脂と説明してきたが、さらに具体的には、次のようなものを採用することができる。
ポリイミド系樹脂に、テフロン(登録商標)のような、強度が50MPa以下の材料や、剛性率が0.3GPa以下の材料や、ダイヤモンドとの摩擦係数の小さい材料を混合させ、切削抵抗を低減し切削面を平滑にすることができる。
また、樹脂絶縁膜3は、無機膜としたり、有機材料と無機材料より構成されるようにしても良く、また、有機材料に高熱伝導の無機材料を混合させ、樹脂絶縁膜3の放熱性を高めても良い。
さらに、樹脂絶縁膜3は、有機材料に、樹脂絶縁膜3の下地やその上部へ配置する材料と線膨張係数の近い無機材料を混合させ、樹脂絶縁膜3と周囲の材料との線膨張係数差を低減するようにしても良い。
【0066】
本発明の他の実施形態における接合材60としては、具体的には、次のようなものを採用することができる。接合材60には、共晶材よりなるものが含まれる。また、接合材60は異方性導電ペースト、又は、異方性導電膜よりなるものであっても良い。さらに、接合材60は、直径10μmから1nmの粒状の母材の焼結体よりなるものであっても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 半導体基板
2 電極
3 樹脂絶縁膜
4 バイト
21 接続部位
31 開孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続用の電極(2)が一主面に形成された半導体基板(1)において、前記接続用の電極(2)を覆うように前記一主面側に樹脂絶縁膜(3)を形成する第1工程と、
すくい角をゼロ又は負とした、バイト(4)による切削加工により、前記接続用の電極(2)の接続部位(21)を露出させるように、テーパ部(10)と前記接続部位(21)とからなる開孔(31)を形成する第2工程とを具備することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記テーパ部(10)のテーパ角は、前記開孔(31)が前記接続部位(21)に向って末広がりになるように、100°より大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記テーパ部(10)のテーパ角は、115°から125°であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記バイト(4)がダイヤモンドバイトであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とをそれぞれ異なるダイヤモンドバイトを用いて切削加工することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程において、前記半導体基板(1)と、前記バイト(4)とを3次元で相対的に可動させて切削加工することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2工程において、前記半導体基板(1)を固定して、前記バイト(4)を3次元で可動させて切削加工することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2工程において、直交座標系X、Y、Zにおいて、前記半導体基板(1)をX軸方向に可動させ、前記バイト(4)をY軸方向に可動させ、さらに前記バイト(4)を切り込み軸であるZ軸方向に可動させて切削することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1工程で樹脂絶縁膜(3)が形成された前記半導体基板(1)を、複数のピエゾアクチュエータが内蔵されたチャックテーブル(60)で吸着保持し、樹脂絶縁膜(3)の表面形状を非接触で測定する工程と、
前記樹脂絶縁膜(3)の表面形状が平坦になるように、各ピエゾアクチュエータを独立して変位させる工程とをさらに具備して、前記第2工程における切削を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2工程において、前記バイトの側面の形状を前記テーパ部に転写させて切削することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
接続用の電極(2)が一主面に形成された半導体基板(1)において、前記接続用の電極(2)を覆うように前記一主面側に形成された樹脂絶縁膜(3)と、
すくい角をゼロ又は負としたバイト(4)による切削加工により形成された、前記接続用の電極(2)の接続部位(21)とテーパ部(10)とからなる開孔(31)とを具備し、
前記接続部位(21)の前記電極(2)の第1の金属膜厚(23)が、接続部位(21)以外の前記電極(2)の第2の金属膜厚(24)より薄く、かつ、前記第1の金属膜厚(23)と前記第2の金属膜厚(24)との段差部上部(25)のテーパ角が、前記テーパ部(10)における前記樹脂絶縁膜(3)の下部(32)のテーパ角と一致し、前記テーパ部(10)において、前記下部(32)と前記上部(25)とが連続して接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
前記テーパ部(10)のテーパ角は、前記開孔(31)が前記接続部位(21)に向って末広がりになるように、100°より大きいことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記テーパ部(10)のテーパ角は、115°から125°であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記開孔(31)の前記テーパ部(10)上部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることを特徴とする請求項11から13のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記開孔(31)の前記テーパ部(10)下部が、曲率半径1μm以上のアール形状であることを特徴とする請求項11から14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記開孔(31)が複数存在し、前記開孔(31)のテーパ部(10)のテーパ角が2種類以上存在することを特徴とする請求項11から15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記テーパ部(10)の表面粗さが、十点平均粗さ(JIS)で50nmから400nmであることを特徴とする請求項11から16のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
少なくとも前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とを覆うように、電極膜(14)を形成する第3の工程をさらに具備することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
少なくとも前記テーパ部(10)と前記接続部位(21)とを覆うように形成された、電極膜(14)をさらに具備することを特徴とする請求項11から17のいずれか1項に記載の半導体装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図1】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−251695(P2010−251695A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237509(P2009−237509)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】