説明

基板処理システム及びその制御方法

【課題】状況に応じたロット投入を行うことにより、生産性の低下を防止できる基板処理システムを提供する。
【解決手段】装置前バッファ5は、ホストコンピュータ3の指示で搬送系7からFOUPを受け取った後、まず各基板処理装置1(1A〜1C)に対して、受け取ったFOUPをどの基板処理装置1(1A〜1C)で処理するのが最適かを表す「最適装置」、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置1(1A〜1C)で処理するのが最適かを表す「最適順序装置」のいずれか一方、または「最適装置」及び「最適順序装置」を求める。その結果に基づき、装置前バッファ5は、搬送系に対してFOUPの搬送指示を行うので、基板処理装置1(1A〜1C)の状況を考慮でき、生産性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)等の基板に対して所定の処理を行う基板処理装置と、基板処理装置への処理指示を行うホストコンピュータと、基板処理装置への搬送を行う搬送系とを備えた基板処理システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の基板処理システムとして、複数台の基板処理装置と、各基板処理装置間で、基板が収容されたFOUP(ロット)を搬送する搬送台車を備えた搬送系と、複数台の基板処理装置と搬送系に対して指示を行うホストコンピュータとを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成された基板処理システムは、ホストコンピュータが生産計画にしたがって、各基板処理装置に対してFOUPを搬送させる。その後、ロットが投入された基板処理装置は、処理終了概算時刻を算出し、各処理終了概算時刻をホストコンピュータに送信する。ホストコンピュータは、各基板処理装置の処理終了概算時刻に基づき、基板処理装置から搬出されるFOUPを搬送する搬送台車の効率的な搬送経路を決定する。これにより、搬送台車を効率的に利用してリードタイムを向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の基板処理システムは、ロットが基板処理装置に投入された後、換言するとロットが基板処理装置から搬出される際の搬送について考慮している。その一方で、ホストコンピュータから指示された搬送系がFOUPを各基板処理装置に搬送する際の、基板処理装置側の状況については考慮されていない。ホストコンピュータは、複数台ある基板処理装置のいずれでどのロットを処理するかについて、予め指示を行うが、ロットの投入時における基板処理装置の状況については判断を行っていない。したがって、指定されている装置よりも他の装置で処理を行った方が早く処理を終えることがあるにも係わらず、そのままロットの搬送が行われるので、生産性を高めるには限界がある。
【0006】
また、状況によっては、複数のロットを同一の基板処理装置で順次に処理することがあるが、特定のロットにおいては処理の前に基板処理装置側の段取りが実施される。ここでいう段取りとは、例えば、特定のロットを処理する前には処理槽内の処理液を必ず新液に交換することなどである。そのため、段取りが不要のロットから投入すれば複数のロットを早く処理できる場合であっても、ホストコンピュータから指示された順でロットを投入してゆくことで、基板処理装置においてロットに待機時間が生じることがある。その結果、生産性が低下することがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、状況に応じたロット投入を行うことにより、生産性の低下を防止できる基板処理システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、FOUPに収容された基板を処理する基板処理システムにおいて、FOUPを搬入して、レシピに応じたスケジュールにしたがって基板に対する処理を行う複数台の基板処理装置と、処理対象のFOUPに対する搬送指示を行うホストコンピュータと、前記複数台の基板処理装置の上流側に配置された装置前バッファと、前記ホストコンピュータの指示に基づいて、前記装置前バッファへFOUPを搬送するとともに、及び前記装置前バッファから前記複数台の基板処理装置へFOUPを搬送する搬送系と、を備え、前記装置前バッファは、前記ホストコンピュータの指示で前記搬送系から受け取ったFOUPについて、前記複数台の基板処理装置に対して処理をシミュレーションさせ、前記いずれの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または両方に基づいて前記搬送系に対してFOUPの搬送指示を行うことを特徴とするものである。
【0009】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、装置前バッファは、ホストコンピュータの指示で搬送系からFOUPを受け取った後、まず複数台の基板処理装置に対して、受け取ったFOUPをどの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または最適装置及び最適順序装置を求める。その結果に基づき、装置前バッファは、搬送系に対してFOUPの搬送指示を行うので、基板処理装置の状況を考慮でき、生産性を高めることができる。
【0010】
また、本発明において、前記装置前バッファは、前記複数台の基板処理装置で各FOUPを処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の基板処理装置によって前記最適装置を判断することが好ましい(請求項2)。装置前バッファは、複数台の基板処理装置で各FOUPを処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻となる基板処理装置で最適装置を判断する。したがって、最適装置にFOUPを搬送することにより、最も早くFOUPの処理を終えることができ、生産性を向上できる。
【0011】
また、本発明において、前記装置前バッファは、前記複数台の基板処理装置ごとに各FOUPを処理するにあたり、各FOUPの投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置によって前記最適順序装置を判断することが好ましい(請求項3)。装置前バッファは、各FOUPの投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置を判断する。したがって、最適順序装置に最適な投入順序でFOUPを搬送することにより、最も早く全てのFOUPの処理を終えることができ、生産性を向上できる。
【0012】
また、本発明において、前記装置前バッファは、前記搬送系から次なるFOUPを受け取って前記シミュレーションを行わせる際に、既に受け取ってシミュレーションが完了している当該FOUPについては、当該FOUPのシミュレーションを再び実行するのに要するシミュレーション時間と、当該FOUPを先のシミュレーション結果に基づき搬送開始するまでの残り時間とを比較して、シミュレーション時間の方が長い場合には、当該FOUPを再シミュレーションの対象外とすることが好ましい(請求項4)。搬送系からFOUPが装置前バッファに搬送されてきた際に、既にシミュレーションを終えていたFOUPについて再びシミュレーションを行うのが好ましい。しかし、シミュレーションには数秒から数十秒の時間を要するので、シミュレーションに要するシミュレーション時間が、先のシミュレーション結果によりFOUPを搬送開始するまでの時間よりも長い場合には、シミュレーションの対象外とする。これにより、先のシミュレーションが無駄になるのを防止するとともに、先に受け取ったFOUPの搬送が遅れるのを防止できる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、FOUPに収容された基板を処理する基板処理システムの制御方法において、FOUPを搬入して、レシピに応じたスケジュールにしたがって基板に対する処理を行う複数台の基板処理装置と、処理対象のFOUPに対する搬送指示を行うホストコンピュータと、前記複数台の基板処理装置の上流側に配置された装置前バッファと、前記ホストコンピュータの指示に基づいて、前記装置前バッファへFOUPを搬送するとともに、及び前記装置前バッファから前記複数台の基板処理装置へFOUPを搬送する搬送系と、を備え、前記装置前バッファが、前記ホストコンピュータの指示で前記搬送系から受け取ったFOUPについて、前記複数台の基板処理装置に対して処理をシミュレーションさせる過程と、前記いずれの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または両方を求める過程と、前記最適装置と前記最適順序装置のいずれか一方または両方に基づき、前記装置前バッファが前記搬送系に対してFOUPの搬送指示を行う過程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、装置前バッファが、複数台の基板処理装置に対して処理をシミュレーションさせる。そして、受け取ったFOUPをどの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または最適装置及び最適順序装置に基づいて搬送系に搬送指示を行うので、基板処理装置の状況を考慮でき、生産性を高めることができる。
【0015】
また、本発明において、前記最適装置を求める過程は、前記装置前バッファが、前記複数台の基板処理装置で各FOUPを処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の基板処理装置によって前記最適装置とすることが好ましい(請求項6)。
【0016】
また、本発明において、前記最適順序装置を求める過程は、前記装置前バッファが、前記複数台の基板処理装置ごとに各FOUPを処理するにあたり、各FOUPの投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置によって前記最適順序装置とすることが好ましい(請求項7)。
【0017】
また、本発明において、前記シミュレーションさせる過程は、前記装置前バッファが、前記搬送系から次なるFOUPを受け取って前記シミュレーションを行わせる際に、既に受け取ってシミュレーションが完了している当該FOUPについては、当該FOUPのシミュレーションを再び実行するのに要するシミュレーション時間と、当該FOUPを先のシミュレーション結果に基づき搬送開始するまでの残り時間とを比較して、シミュレーション時間の方が長い場合には、当該FOUPを再シミュレーションの対象外とすることが好ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る基板処理システムによれば、装置前バッファは、ホストコンピュータの指示で搬送系からFOUPを受け取った後、まず複数台の基板処理装置に対して、受け取ったFOUPをどの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または最適装置及び最適順序装置を求める。その結果に基づき、装置前バッファは、搬送系に対してFOUPの搬送指示を行うので、基板処理装置の状況を考慮でき、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例に係る基板処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】装置前バッファの動作を示すフローチャートである。
【図3】処理の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係る基板処理システムの概略構成を示すブロック図である。
【0021】
本実施例に係る基板処理システムは、例えば、三台の基板処理装置1(1A,1B,1C)と、ホストコンピュータ3と、装置前バッファ5と、搬送系7とを備えている。
【0022】
基板処理装置1(1A,1B,1C)は、基板Wを処理する機能を備えている。基板Wは、FOUP(Front-Opening Unified Pod)9に収容された状態で搬送される。基板処理装置1は、FOUP9を搬入し、レシピに応じて予め作成されたスケジュールにしたがって基板Wに対する処理を行う。処理を終えた基板Wは、再びFOUP9に収容されて搬出される。また、後述するように、装置前バッファ5からシミュレーション要求があった場合には、スケジュールを作成し、その終了予定時刻と開始予定時刻とを送信する。
【0023】
ホストコンピュータ3は、製造実行システム(MES:Manufacturing Execution System)及び搬送制御システム(MCS:Material Control System)を含む。このホストコンピュータ3は、処理対象のFOUP9に対する搬送などの指示を搬送系7に対して行う。
【0024】
装置前バッファ5は、基板処理装置1(1A,1B,1C)の上流側に配置されている。この装置前バッファ5は、ホストコンピュータ3から指示を受け、搬送系7から搬送されたFOUP9について、各基板処理装置1A〜1Cへ基板Wの処理をシミュレーションさせる。このシミュレーションとは、基板処理装置1(1A,1B,1C)におけるFOUP9(処理上、ロットと称することもある)のスケジュールのことをいう。シミュレーションを要求された各基板処理装置1A〜1Cは、指示されたFOUP9とレシピに基づきスケジュールを作成する。また、指示された複数のFOUP9の投入順序を変えつつスケジュールを作成する。そして、作成したスケジュールによる処理の開始予定時刻及び終了予定時刻を装置前バッファ5に対して送信する。
【0025】
シミュレーション結果を受け取った装置前バッファ5は、その中で終了予定時刻が最も早い基板処理装置1(1A〜1C)を、複数個のFOUP9のうちのいずれかのFOUP9の「最適装置」として選択する。また、複数個のFOUP9を順次に処理する場合、どのような順序でどの装置に投入すれば最適かを示す「最適順序装置」として選択する。これらの最適装置及び最適順序装置は、いずれか一方だけを考慮して選択するのではなく、両方を考慮する。そして、その結果に基づき、搬送系7及び基板処理装置1(1A〜1C)に対してシミュレーション結果の開始予定時刻までにFOUP9を搬送することを知らせ、それまでに処理が開始できるように準備させる。
【0026】
搬送系7は、ホストコンピュータ3及び装置前バッファ5の指示により、FOUP9を各部へ搬送する。搬送系7としては、例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle)、OHT(Overhead Hoist Transport)などのAMHS(Automated Material Handling Systems)が挙げられる。
【0027】
次に、図2及び図3を参照して、上述した装置前バッファ5の動作について説明する。なお、図2は、装置前バッファの動作を示すフローチャートであり、図3は、処理の流れを示す模式図である。
【0028】
以下の説明では、3個のFOUP9(9A〜9C)が三台の基板処理装置1(1A〜1C)を備えた基板処理システムで処理されるものとして説明する。
【0029】
ステップS1
ホストコンピュータ3は、搬送系7を操作して、処理内容とともに各FOUP9(9A〜9C)を装置前バッファ5に順次搬送させる。
【0030】
ステップS2
装置前バッファ5は、内部にFOUP9があるか否かで処理を分岐する。ここでは、FOUP9が存在しないものとして説明する。つまり、最初にFOUP9を受け取った場合である。ここでは、FOUP9Aを受け取った状態であるとする。
【0031】
ステップS3
装置前バッファ5は、各基板処理装置1A〜1Cに対してFOUP9Aを処理する場合のスケジュールをシミュレーションするように要求する。シミュレーションの組み合わせは以下のようになる。そして、各基板処理装置1A〜1Cによるシミュレーション結果のうち、開始予定時刻及び終了予定時刻を受け取る。
【0032】
装置 処理対象
基板処理装置1A FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9A
【0033】
ステップS4
装置前バッファ5は、各基板処理装置1A〜1Cから受け取った各終了予定時刻を比較して、「最適装置」を決定する。つまり、終了予定時刻が最も早いものを最適装置として選択する。例えば、最適装置として基板処理装置1Aが選択される。
【0034】
ステップS5
装置前バッファ5は、最適装置の基板処理装置1Aに対して、FOUP9Aを処理するように指示を行う。但し、この指示は予約的な意味合いであって、FOUP9Aは、搬送系7ですぐに搬送されるわけではなく、シミュレーションされたスケジュールの開始予定時刻の所定時間前になって搬送が実際に開始される。それまでは装置前バッファ5内にFOUP9Aは止め置かれる。
【0035】
次に、FOUP9Bが装置前バッファ5に搬送されてきた場合について説明する。
【0036】
ステップS1,S2
装置前バッファ5は、処理指示を受信(ステップS1)した後、FOUP9があるか否かを判断(ステップS2)して処理を分岐する。ここでは、既にFOUP9Aがあるので、ステップS6以降に分岐する。
【0037】
ステップS6〜S8
装置前バッファ5は、既にシミュレーションを行ったFOUP9Aについて再びシミュレーションが可能か否かにより処理を分岐する。具体的には、FOUP9Aのシミュレーション結果により、その処理の開始予定時刻に対して所定時間前には搬送系7による搬送が開始される。シミュレーションには数秒から数十秒の時間を要するので、その時間を考慮しないと、シミュレーションを行っている間に先のスケジュールによる実行が不可能となる。そこで、開始予定時刻までの残り時間と、シミュレーション時間とを比較して、シミュレーション時間の方が長い場合には、ステップS7へ分岐してFOUP9Aをシミュレーション対象から除外する。一方、残り時間の方がシミュレーション時間よりも長い場合には、先のシミュレーション(スケジュール)による処理は行わないので、ステップS5で送信した処理指示をキャンセルする。これにより、先のシミュレーションが無駄になるのを防止するとともに、先に受け取ったFOUP9Aの搬送が遅れる等の不都合が生じることを防止できる。
【0038】
ステップS9
シミュレーション対象となっているFOUP9について各基板処理装置1(1A〜1C)についてシミュレーションを要求する。ここでは、FOUP9A,9Bがともにシミュレーションされるものとする。これにより、各基板処理装置1(1A〜1C)からシミュレーション結果(開始予定時刻、終了予定時刻)を受信する。
【0039】
ステップS10
上述したステップS4と同様に、終了予定時刻に基づき最適装置を選択する。但し、ここではFOUP9が二個(FOUP9A,9B)であるので、次のような順序を考慮した6通りの組み合わせと、各装置で1個のFOUP9を処理する6通りの組み合わせでシミュレーションが行われる。したがって、どの装置でどの順序で処理するのが最も早いかを示す「最適順序装置」または「最適装置」が選択される。
【0040】
装置 1番目処理 2番目処理
基板処理装置1A FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1A FOUP9B FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9B FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9B FOUP9A
【0041】
装置 処理対象
基板処理装置1A FOUP9A
基板処理装置1A FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9B
【0042】
ステップS11
装置前バッファ5は、最適順序装置または最適装置に基づき各部に処理を指示する。
【0043】
次に、FOUP9Cが装置前バッファ5に搬送されてきた場合について説明する。但し、装置前バッファ5には、FOUP9A,9Bがあるものとする。つまり、装置前バッファ5には、3個のFOUP9A〜9Cが存在する。
【0044】
上述したステップS2からステップS11を経て処理の指示がなされる。但し、シミュレーションは次の順序を考慮した18通りの組み合わせと、9通りの組み合わせが実行される。この中から、「最適装置」または「最適順序装置」が選択される。
【0045】
装置 1番目処理 2番目処理 3番目処理
基板処理装置1A FOUP9A FOUP9B FOUP9C
基板処理装置1A FOUP9B FOUP9C FOUP9A
基板処理装置1A FOUP9C FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1A FOUP9C FOUP9B FOUP9A
基板処理装置1A FOUP9A FOUP9C FOUP9B
基板処理装置1A FOUP9B FOUP9A FOUP9C
基板処理装置1B FOUP9A FOUP9B FOUP9C
基板処理装置1B FOUP9B FOUP9C FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9C FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9C FOUP9B FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9A FOUP9C FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9B FOUP9A FOUP9C
基板処理装置1C FOUP9A FOUP9B FOUP9C
基板処理装置1C FOUP9B FOUP9C FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9C FOUP9A FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9C FOUP9B FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9A FOUP9C FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9B FOUP9A FOUP9C
【0046】
装置 処理対象
基板処理装置1A FOUP9A
基板処理装置1A FOUP9B
基板処理装置1A FOUP9C
基板処理装置1B FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9C
基板処理装置1C FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9C
【0047】
装置前バッファ5は、上記の組み合わせの中から、終了予定時刻に基づいて最適な順序及び装置を選択し、各部に処理を指示する。
【0048】
上述した処理の流れを装置間で示したのが、図3である。この図3から、装置前バッファ5が各基板処理装置1(1A〜1C)の状況を判断してから処理を指示することがわかる。
【0049】
上述したように、本実施例によると、装置前バッファ5は、ホストコンピュータ3の指示で搬送系7からFOUP9を受け取った後、まず各基板処理装置1(1A〜1C)に対して、受け取ったFOUP9をどの基板処理装置1(1A〜1C)で処理するのが最適かを表す「最適装置」、または複数個のFOUP9をどのような順序で、どの基板処理装置1(1A〜1C)で処理するのが最適かを表す「最適順序装置」のいずれか一方、または「最適装置」及び「最適順序装置」を求める。その結果に基づき、装置前バッファ5は、搬送系7に対してFOUP9の搬送指示を行うので、基板処理装置1(1A〜1C)の状況を考慮でき、生産性を高めることができる。
【0050】
また、装置前バッファ5は、複数台の基板処理装置1(1A〜1C)で各FOUP9を処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUP9を処理するのに最も早い終了予定時刻となる基板処理装置1で最適装置を判断する。したがって、最適装置にFOUP9を搬送することにより、最も早くFOUPの処理を終えることができ、生産性を向上できる。
【0051】
さらに、装置前バッファ5は、各FOUP9の投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUP9を処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置1を判断する。したがって、最適順序装置に最適な投入順序でFOUP9を搬送することにより、最も早く全てのFOUP9の処理を終えることができ、生産性を向上できる。特に、最適順序装置では、FOUP9の処理順序を考慮するので、特定のFOUP9を処理する前には処理槽内の処理液を必ず新液に交換する「段取り」が行われるような場合であっても生産効率を低下させずに済むので好適である。
【0052】
なお、各基板処理装置1(1A〜1C)が1個のFOUP9だけを処理するようにホストコンピュータ3が指示を行う場合には、上述した最適装置だけを考慮すればよい。具体的には、3個のFOUP9A〜9Cの各々を三台の基板処理装置1A〜1Cのいずれか一台だけで処理する場合には、次のような組み合わせの中から「最適装置」を選択すればよい。
【0053】
装置 処理対象
基板処理装置1A FOUP9A
基板処理装置1A FOUP9B
基板処理装置1A FOUP9C
基板処理装置1B FOUP9A
基板処理装置1B FOUP9B
基板処理装置1B FOUP9C
基板処理装置1C FOUP9A
基板処理装置1C FOUP9B
基板処理装置1C FOUP9C
【0054】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施できる。
【0055】
(1)上述した実施例では、図1に示した構成を備えた基板処理システムを例にとって説明したが、本発明は上述した機能を備えた装置前バッファ5を備えていれば、この構成に限定されるものではない。
【0056】
(2)上述した実施例では、ステップS6で再シミュレーションの可否を判断して、シミュレーション対象外にする場合があるが、このような判断を行わずに、必ず再シミュレーションを実施する構成としてもよい。
【0057】
(3)上述した実施例では、FOUP9が3個である場合(換言すると3ロット)の処理を例にとって説明したが、本発明は1個や2個の場合や、4個以上であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 … 基板処理装置
1A〜1C … 基板処理装置
3 … ホストコンピュータ
5 … 装置前バッファ
W … 基板
7 … 搬送系
9 … FOUP
9A〜9C … FOUP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FOUPに収容された基板を処理する基板処理システムにおいて、
FOUPを搬入して、レシピに応じたスケジュールにしたがって基板に対する処理を行う複数台の基板処理装置と、
処理対象のFOUPに対する搬送指示を行うホストコンピュータと、
前記複数台の基板処理装置の上流側に配置された装置前バッファと、
前記ホストコンピュータの指示に基づいて、前記装置前バッファへFOUPを搬送するとともに、及び前記装置前バッファから前記複数台の基板処理装置へFOUPを搬送する搬送系と、
を備え、
前記装置前バッファは、前記ホストコンピュータの指示で前記搬送系から受け取ったFOUPについて、前記複数台の基板処理装置に対して処理をシミュレーションさせ、前記いずれの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または両方に基づいて前記搬送系に対してFOUPの搬送指示を行う
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理システムにおいて、
前記装置前バッファは、前記複数台の基板処理装置で各FOUPを処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の基板処理装置によって前記最適装置を判断する
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理システムにおいて、
前記装置前バッファは、前記複数台の基板処理装置ごとに各FOUPを処理するにあたり、各FOUPの投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置によって前記最適順序装置を判断する
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理システムにおいて、
前記装置前バッファは、前記搬送系から次なるFOUPを受け取って前記シミュレーションを行わせる際に、既に受け取ってシミュレーションが完了している当該FOUPについては、当該FOUPのシミュレーションを再び実行するのに要するシミュレーション時間と、当該FOUPを先のシミュレーション結果に基づき搬送開始するまでの残り時間とを比較して、シミュレーション時間の方が長い場合には、当該FOUPを再シミュレーションの対象外とする
ことを特徴とする基板処理システム。
【請求項5】
FOUPに収容された基板を処理する基板処理システムの制御方法において、
FOUPを搬入して、レシピに応じたスケジュールにしたがって基板に対する処理を行う複数台の基板処理装置と、
処理対象のFOUPに対する搬送指示を行うホストコンピュータと、
前記複数台の基板処理装置の上流側に配置された装置前バッファと、
前記ホストコンピュータの指示に基づいて、前記装置前バッファへFOUPを搬送するとともに、及び前記装置前バッファから前記複数台の基板処理装置へFOUPを搬送する搬送系と、
を備え、
前記装置前バッファが、前記ホストコンピュータの指示で前記搬送系から受け取ったFOUPについて、前記複数台の基板処理装置に対して処理をシミュレーションさせる過程と、
前記いずれの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適装置、または複数個のFOUPをどのような順序で、どの基板処理装置で処理するのが最適かを表す最適順序装置のいずれか一方、または両方を求める過程と、
前記最適装置と前記最適順序装置のいずれか一方または両方に基づき、前記装置前バッファが前記搬送系に対してFOUPの搬送指示を行う過程と、
を備えていることを特徴とする基板処理システムの制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理システムの制御方法において、
前記最適装置を求める過程は、前記装置前バッファが、前記複数台の基板処理装置で各FOUPを処理する場合のスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、各FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の基板処理装置によって前記最適装置とする
ことを特徴とする基板処理システムの制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の基板処理システムの制御方法において、
前記最適順序装置を求める過程は、前記装置前バッファが、前記複数台の基板処理装置ごとに各FOUPを処理するにあたり、各FOUPの投入順序を変えつつスケジュールをシミュレーションさせ、各シミュレーション結果に基づき、全FOUPを処理するのに最も早い終了予定時刻の投入順序及び基板処理装置によって前記最適順序装置とする
ことを特徴とする基板処理システムの制御方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載の基板処理システムの制御方法において、
前記シミュレーションさせる過程は、前記装置前バッファが、前記搬送系から次なるFOUPを受け取って前記シミュレーションを行わせる際に、既に受け取ってシミュレーションが完了している当該FOUPについては、当該FOUPのシミュレーションを再び実行するのに要するシミュレーション時間と、当該FOUPを先のシミュレーション結果に基づき搬送開始するまでの残り時間とを比較して、シミュレーション時間の方が長い場合には、当該FOUPを再シミュレーションの対象外とする
ことを特徴とする基板処理システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−77136(P2011−77136A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224678(P2009−224678)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】