基板処理装置
【課題】少ない雰囲気ガスの量でチャンバー内の不純物を効率的に除去することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、チャンバー4と、噴出口部5と、吸入口部6とを備えている。チャンバー4は、複数の側面2を有する側面部3を含む。噴出口部5は、チャンバー4に雰囲気ガス7を供給するためのものである。吸入口部6は、チャンバー4から雰囲気ガス7を排気するためのものである。噴出口部5と吸入口部6とは側面2に沿って配置されている。噴出口部5と吸入口部6との少なくとも一方は線形状であり、かつ側面2の周縁側に配置されている。
【解決手段】基板処理装置1は、チャンバー4と、噴出口部5と、吸入口部6とを備えている。チャンバー4は、複数の側面2を有する側面部3を含む。噴出口部5は、チャンバー4に雰囲気ガス7を供給するためのものである。吸入口部6は、チャンバー4から雰囲気ガス7を排気するためのものである。噴出口部5と吸入口部6とは側面2に沿って配置されている。噴出口部5と吸入口部6との少なくとも一方は線形状であり、かつ側面2の周縁側に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、不純物(水分、酸素、パーティクルなど)が製造装置の内部に侵入すると、成膜されるエピタキシャル層に不純物が取り込まれることによりエピ特性が大きく劣化する。そのため、半導体プロセスにおいては、不純物が製造装置の内部へ侵入することを防止することが強く求められる。
【0003】
特開2003−224079号公報(特許文献1)には、気相成長装置の反応室へ侵入する水分量を低減させるために、反応室の前室である搬送室をテープヒータなどで加熱することによって、搬送室内の水分を除去する方法が開示されている。
【0004】
また、不純物が製造装置の内部に侵入することを防止するために、たとえば気相成長装置などにはグローブボックスが併設されている場合が多い。
【0005】
特開平5−104481号公報(特許文献2)には、チャンバーの側面の中央付近に雰囲気ガスの給気口と排気口を有するグローブボックスが記載されている。また、特開平9−168992号公報(特許文献3)には、チャンバーの底面の中央付近に雰囲気ガスの排気口を有するグローブボックスが記載されている。さらに、特開2002−282712号公報(特許文献4)および特開平9−168993号公報(特許文献5)には、雰囲気ガスの給気側と排気側に雰囲気ガスが通過する板やスクリーンを配置して、雰囲気ガスを層流としてチャンバーの内部に均一に流すことができるブローブボックスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−224079号公報
【特許文献2】特開平5−104481号公報
【特許文献3】特開平9−168992号公報
【特許文献4】特開2002−282712号公報
【特許文献5】特開平9−168993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2〜特許文献5に記載のグローブボックスは、雰囲気ガスをチャンバー内全体に流すために、雰囲気ガスの使用量が非常に多く高コストであった。特に、基板が大型化している昨今においては、グローブボックスも大型化する必要があり、雰囲気ガスの消費量は益々増大する傾向にある。
【0008】
そこで、本発明の主な目的は、少ない雰囲気ガスの量で不純物を除去することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基板処理装置は、チャンバーと、噴出口部と、吸入口部とを備えている。チャンバーは、複数の側面を有する側面部を含む。噴出口部は、チャンバーに雰囲気ガスを供給するためのものである。吸入口部は、チャンバーから雰囲気ガスを排気するためのものである。噴出口部と吸入口部とは側面に沿って配置されている。噴出口部と吸入口部との少なくとも一方は線形状であり、かつ側面の周縁側に配置されている。
【0010】
本発明に係る基板処理装置によれば、雰囲気ガスがチャンバーの側面に沿って流されることで、チャンバーの側壁に付着している不純物を除去することができるので、少ない雰囲気ガスの量でチャンバー内の不純物が効率的に除去される。
【0011】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部と吸入口部とは、側面の周縁側であって互いに対向する位置に配置されている。
【0012】
これにより、噴出口部から噴出された雰囲気ガスが側面全体に沿って流されるために、効率的にチャンバー内の不純物が除去される。
【0013】
上記の基板処理装置において好ましくは、側面部は一辺を共有する第1の側面と第2の側面とを含む。噴出口部は一辺に沿って配置され、第1の側面に沿って雰囲気ガスを噴出する第1の噴出口と、第2の側面に沿って雰囲気ガスを噴出する第2の噴出口とを有する。
【0014】
これにより、2つの側面に雰囲気ガスを流すための噴出口部を共有することができるために装置構成を簡略化することができる。
【0015】
上記の基板処理装置において好ましくは、吸入口部は側面の周縁側であって側面の周縁を囲うように配置されている。噴出口部は側面の中央側に配置されている。
【0016】
これにより、雰囲気ガスを側面の中央側から周縁側に流すことによって、側面全体に雰囲気ガスが流されて不純物が効率的に除去される。
【0017】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部は、吸入口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口を有している。
【0018】
これにより、雰囲気ガスが複数の方向へ噴出されるために、効率良く側面全面に雰囲気ガスが流されてチャンバー内の不純物が除去される。
【0019】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部は側面の周縁側であって側面の周縁を囲うように配置されている。吸入口部は側面の中央側に配置されている。
【0020】
これにより、雰囲気ガスを側面の周縁側から中央側に流すことによって、側面全体に雰囲気ガスが流されて不純物が効率的に除去される。
【0021】
上記の基板処理装置において好ましくは、吸入口部は、噴出口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口を有している。
【0022】
これにより、雰囲気ガスが複数の方向から吸入されるために、効率良く側面全面に雰囲気ガスが流されてチャンバー内の不純物が除去される。
【0023】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部と吸入口部とは、チャンバーの全ての側面に沿って配置されている。
【0024】
これにより、チャンバーの全ての側面全体に雰囲気ガスが流されるので、チャンバー内の不純物を効率的に取除くことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板処理装置によれば、雰囲気ガスがチャンバーの側面に沿って流されることで、少ない雰囲気ガスの量でチャンバー内の不純物を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る基板処理装置の他の例の概略斜視図である。
【図3】実施の形態2に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図4】図3に示す基板処理装置の噴出口部の領域IVの拡大図である。
【図5】図3に示す基板処理装置の吸入口部の領域Vの拡大図である。
【図6】実施の形態3に係る基板処理装置の一側面を示す正面模式図である。
【図7】図6の線分VII−VIIにおける断面模式図である。
【図8】実施の形態3に係る基板処理装置の他の例の一側面を示す正面模式図である。
【図9】図8の線分IX−IXにおける断面模式図である。
【図10】比較例に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図11】比較例に係る基板処理装置の概略側面図である。
【図12】実施例に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図13】実施例に係る基板処理装置の概略側面図である。
【図14】チャンバー内の水分濃度と窒素流入時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明については繰り返さない。
【0028】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の基板処理装置の構成について図1および図2を用いて説明する。図1に示すように、基板処理装置1は、チャンバー4と、噴出口部5と、吸入口部6とを主に有している。
【0029】
チャンバー4は、内部に基板を収容するための容器である。チャンバー4は、複数の側面2を有する側面部3に囲まれて形成されている。噴出口部5は、雰囲気ガス7をチャンバー4の内部に導入するための入口である。噴出口部5は複数の噴出口9を有している。吸入口部6は、チャンバー4内の雰囲気ガス7を排気するための出口である。吸入口部6は、複数の吸入口10を有している。チャンバー4には、内部に挿入される基板を外部から操作するためのグローブ用孔8が設けられていてもよい。
【0030】
噴出口部5および吸入口部6は、チャンバー4の上側の側面2に沿って配置されている。具体的には、噴出口部5および吸入口部6は、上側の側面2に接して設けられていてもよいし、上側の側面2から少し離れた位置(たとえば上側の側面2から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。本実施の形態において、噴出口部5は、図中右側の側面2の上端側と下端側にそれぞれ一列に設けられている。また、吸入口部6は、図中左側の側面2の上端側と下端側にそれぞれ一列に設けられている。この場合、雰囲気ガス7は、図中右側から左側に流される。雰囲気ガス7とは、たとえば窒素ガスやアルゴンガスなどである。
【0031】
噴出口部5および吸入口部6は線形状であり、側面2の周縁側に配置されている。本実施の形態1では、噴出口部5および吸入口部6は双方とも線形状であり上側の側面2の周縁側に配置されているが、噴出口部5と吸入口部6との少なくとも一方が線形状であって上側の側面2の周縁側に配置されていればよい。
【0032】
図2に示すように、噴出口部5がチャンバー4の上側の側面2の周縁に設けられており、吸入口部6がチャンバー4の下側の側面2の周縁に設けられていてもよい。噴出口部5は、チャンバー4の上側の側面2の4つの辺に沿って合計4つ設けられている。各々の噴出口部5は複数の噴出口9を有している。同様に、吸入口部6は、チャンバー4の下側の側面2の4つの辺に沿って合計4つ設けられている。各々の吸入口部6は複数の吸入口10を有している。この場合、雰囲気ガス7は図2において上側から下側に向かってチャンバー4の側壁を構成する4つの側面2に沿って流される。
【0033】
基板処理装置1とは、たとえばグローブボックスのことであるがこれに限られない。基板処理装置1とは、たとえば基板を一時収納するためのチャンバー(たとえば搬送室やロードロック室)を有する化学気相成長装置、物理気相成長装置、分子線エピタキシャル装置、蒸着装置なども含まれる。
【0034】
次に、実施の形態1の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態1の基板処理装置1は、チャンバー4の側面2に沿って噴出口部5と吸入口部6とが配置されている。そのため、雰囲気ガス7が側面2に沿って流される。チャンバー4内に含まれる不純物の一つである水分は、チャンバー4の側面に多く付着している。雰囲気ガス7を側面2に局所的かつ集中的に流すことにより、チャンバー4全体に雰囲気ガス7を流すときよりも少ない雰囲気ガス7の量で、チャンバー4内の不純物の濃度を、チャンバー4全体に雰囲気ガスを流したときと同程度の濃度にまで低減することができる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の基板処理装置1の構成について図3〜図5を用いて説明する。図3に示すように、噴出口部5および吸入口部6が、ある側面2の対向する辺に沿ってそれぞれ設けられている。言い換えれば、噴出口部5および吸入口部6のそれぞれは、2つの側面2が共有する辺に沿って設けられている。具体的に説明すると、チャンバー4のある一つの側面2である第1の側面12の下端側に噴出口部5が配置され、上端側に吸入口部6が配置される。また、噴出口部5は第1の側面12の右端部に設けられ、吸入口部6は第1の側面12の左端部に設けられている。いずれの場合も、雰囲気ガス7は、噴出口部5から噴出され第1の側面12の表面に沿って流れ、吸入口部6に吸入されてチャンバー4の外部に排気される。
【0036】
噴出口部5と吸入口部6とは、たとえば筒状をしている。雰囲気ガス7は、たとえば筒状の噴出口部5の端部に設けられた開口部から噴出口部5の内部へ導入可能である。また、雰囲気ガス7は、たとえば筒状の吸入口部6の端部に設けられた開口部から吸入口部6の外部へ排気可能である。本実施の形態2においては、雰囲気ガス7はINの部分から噴出口部5へ導入され、OUTの部分から吸入口部6より排気される。
【0037】
図4に示すように、噴出口部5は円筒形状をしており、円筒の側面部に第1の噴出口14と第2の噴出口15を有していてもよい。第1の噴出口14は、一辺11を共有する第1の側面12と第2の側面13の内の、第1の側面12の表面に沿って雰囲気ガス7を噴出するように設けられている。たとえば、第1の噴出口14は、第1の側面12と平行な方向に向けて設けられている。もしくは、第1の噴出口14は、第1の側面12に雰囲気ガス7を吹き付けることができるように、第1の側面と平行な平面からある所定の角度だけ第1の側面12の方向へ傾いた方向に向けられていてもよい。
【0038】
第2の噴出口15は、一辺11を共有する第1の側面12と第2の側面13の内の、第2の側面13の表面に沿って雰囲気ガス7を噴出するように設けられている。たとえば、第2の噴出口15は、第2の側面13と平行な方向に向けて設けられている。もしくは、第2の噴出口15は、第2の側面13に雰囲気ガス7を吹き付けることができるように、第2の側面13と平行な平面からある所定の角度だけ第2の側面13の方向へ傾いた方向に向けられていてもよい。本実施の形態2では、第1の噴出口14は第2の噴出口15と90度ずれた方向を向いている。そして、噴出口部5の全体において上記第1の噴出口14と第2の噴出口15とが形成されていてもよい。
【0039】
図5に示すように、吸入口部6は円筒形状をしており、円筒の側面部に第1の吸入口16と第2の吸入口17を有していてもよい。第1の吸入口16は、一辺20を共有する第1の側面21と第2の側面22の内の、第1の側面21の表面に沿って噴出された雰囲気ガス7を吸入するように設けられている。たとえば、第1の吸入口16は、第1の側面21と平行な方向に向けて設けられている。同様に、第2の吸入口17は、一辺20を共有する第1の側面21と第2の側面22の内の、第2の側面22の表面に沿って噴出された雰囲気ガス7を吸入するように設けられている。本実施の形態2では、第1の吸入口16は第2の吸入口17と90度ずれた方向を向いている。そして、吸入口部6の全体において上記第1の吸入口16と第2の吸入口17とが形成されていてもよい。
【0040】
また、図3に示すように1つの側面2に対して、対向する噴出口部5および吸入口部6との組を2組配置してもよいが、1つの側面2に対して噴出口部5および吸入口部6を1組だけ配置するようにしてもよい。
【0041】
次に、実施の形態2の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態2の基板処理装置1は、噴出口部5と吸入口部6とがある側面2の互いに対向する辺側に配置されている。そのため、側面2全体に沿って雰囲気ガス7が流されるために、少ない量の雰囲気ガスで効率的にチャンバー4内の不純物を除去することができる。また、噴出口部5は、第1の側面12に沿って雰囲気ガス7を噴出する第1の噴出口14と第2の側面13に沿って雰囲気ガス7を噴出する第2の噴出口15とを有するために、1つの噴出口部5で2つの側面2に対して雰囲気ガス7を流すことできるので、基板処理装置1の構成が簡略化できる。
【0042】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の基板処理装置1の構成について図6〜図9を用いて説明する。
【0043】
図6に示すように、吸入口部6は、側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように配置されている。言い換えれば、吸入口部6は、側面2の4つの辺に沿って側面2の周縁に沿うように配置されている配管である。吸入口部6は、たとえば円筒状であって、円筒の軸線方向に複数の吸入口10が設けられている。吸入口部6は、側面2に接して設けられていてもよいし、側面2から所定の距離だけ離れた位置(たとえば側面から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。
【0044】
噴出口部5は、側面2の中央側19に配置されている。噴出口部5は、たとえば図7に示すように、側面2を貫通するように設けられた円筒状の形状をしている。たとえば円筒の先端はキャップのようなもので封止されており、キャップと側面2との間であって、円筒の噴出口部5の側端部23に噴出口9を有している。噴出口部5は、吸入口部6と対向する側の側端部23に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口9を有している。好ましくは、複数の噴出口9は、円筒状の噴出口部5の周方向に沿って設けられている。
【0045】
また本実施の形態3の他の構成を図8および図9に示す。
図8に示すように、噴出口部5は、側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように配置されている。言い換えれば、噴出口部5は、側面2の4つの辺に沿って側面の周縁に沿うように配置されている配管である。噴出口部5は、たとえば円筒状であって、円筒の軸線方向に複数の噴出口9が設けられている。噴出口部5は、側面2に接して設けられていてもよいし、側面2から所定の距離だけ離れた位置(たとえば側面から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。
【0046】
一方、吸入口部6は、側面2の中央側19に配置されている。吸入口部6は、たとえば図9に示すように、側面2を貫通するように設けられた円筒状の形状をしている。たとえば円筒の先端はキャップのようなもので封止されており、キャップと側面2の間であって、円筒状の吸入口部6の側端部24に吸入口10を有していてもよい。吸入口部6は、噴出口部5と対向する側の側端部24に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口10を有している。好ましくは、複数の吸入口10は、円筒状の吸入口部6の周方向に沿って設けられている。
【0047】
次に、実施の形態3の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態3の基板処理装置1は、噴出口部5および吸入口部6の一方が側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように設けられ、噴出口部5および吸入口部6の他方が側面2の中央側19に配置されている。そのため、雰囲気ガス7は、周縁側18から中央側19または中央側19から周縁側18に向かって側面2全体に流されるために、少ない雰囲気ガス7の量で効率的にチャンバー4内の不純物が除去される。また、中央側19の噴出口部5または吸入口部6は、周縁側18の吸入口部6または噴出口部5と対向する側の側端部23,24に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口9または吸入口10を有している。そのため、雰囲気ガス7が効率的に側面2に沿って流されてチャンバー4内の不純物を効率的に除去することができる。
【実施例】
【0048】
次に実施例について説明する。
実施例として、図12および図13に示すような基板処理装置1を作成した。チャンバー4の高さ(h)、幅(w)、長さ(l)を、それぞれ230mm、350mm、360mmとした。チャンバー4はステンレスで作成した。チャンバー4の一つの側面2の周縁を囲うように噴出口部5を作成した。噴出口部5には、図13に示すように15mm間隔(d)で複数の噴出口9を設けた。対向する側面2には側面2の周縁を囲うように吸入口部6を作成した。吸入口部6には複数の吸入口10を設けた。吸入口10は噴出口9と対向する位置に設けた。噴出口9および吸入口10の直径(内径)は、ともに6.4mmである。
【0049】
比較例として、図10および図11に示すような基板処理装置1を作成した。チャンバー4の形状および材質は、実施例と同じとした。チャンバー4の一つの側面2の中央付近に円筒状の噴出口部5を設け、対向する側面2の中央付近に円筒状の吸入口部6を設けた。噴出口部5の直径(内径)は9.6mmである。吸入口部6の直径(内径)は27.5mmである。
【0050】
実施例および比較例の基板処理装置1に、外部から3.6SLM(毎分3.6リットル)の純化窒素(水分濃度が1ppm未満の窒素)を、25℃、大気圧の条件で供給しながらチャンバー4内の水分濃度の時間変化を計測した。水分濃度の測定は、チャンバー内部の側面部に配置された静電容量式の露点計を用いて行った。なお、水分濃度の測定は、赤外光の吸収度から水分濃度を計測する微量水分計を用いて行うことも可能である。
【0051】
チャンバー4内の水分濃度と窒素を導入してからの経過時間との関係を表1および図14に示す。ここで経過時間とは、容器中がすべて大気となっている条件で、純化窒素を流通開始した時刻から経過した時間である。
【0052】
【表1】
【0053】
表1および図14に示すように、チャンバー4に窒素ガスを導入してから100分経過後は、実施例のチャンバー4の水分濃度は比較例のチャンバー4の水分濃度よりも低いことが示された。言い換えれば、実施例の基板処理装置1は比較例の基板処理装置1と比べて、同じ水分濃度に到達するまでの時間が短いことが示された。すなわち、実施例の基板処理装置1は、比較例の基板処理装置1よりも少ない窒素ガスの量で同等の水分濃度を達成できることが示された。
【0054】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、基板処理装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 基板処理装置、2 側面、3 側面部、4 チャンバー、5 噴出口部、6 吸入口部、7 雰囲気ガス、8 グローブ用孔、9 噴出口、10 吸入口、11 一辺、12 第1の側面、13 第2の側面、14 第1の噴出口、15 第2の噴出口、16 第1の吸入口、17 第2の吸入口、18 周縁側、19 中央側、20 一辺、21 第1の側面、22 第2の側面、23,24 側端部。
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、不純物(水分、酸素、パーティクルなど)が製造装置の内部に侵入すると、成膜されるエピタキシャル層に不純物が取り込まれることによりエピ特性が大きく劣化する。そのため、半導体プロセスにおいては、不純物が製造装置の内部へ侵入することを防止することが強く求められる。
【0003】
特開2003−224079号公報(特許文献1)には、気相成長装置の反応室へ侵入する水分量を低減させるために、反応室の前室である搬送室をテープヒータなどで加熱することによって、搬送室内の水分を除去する方法が開示されている。
【0004】
また、不純物が製造装置の内部に侵入することを防止するために、たとえば気相成長装置などにはグローブボックスが併設されている場合が多い。
【0005】
特開平5−104481号公報(特許文献2)には、チャンバーの側面の中央付近に雰囲気ガスの給気口と排気口を有するグローブボックスが記載されている。また、特開平9−168992号公報(特許文献3)には、チャンバーの底面の中央付近に雰囲気ガスの排気口を有するグローブボックスが記載されている。さらに、特開2002−282712号公報(特許文献4)および特開平9−168993号公報(特許文献5)には、雰囲気ガスの給気側と排気側に雰囲気ガスが通過する板やスクリーンを配置して、雰囲気ガスを層流としてチャンバーの内部に均一に流すことができるブローブボックスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−224079号公報
【特許文献2】特開平5−104481号公報
【特許文献3】特開平9−168992号公報
【特許文献4】特開2002−282712号公報
【特許文献5】特開平9−168993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2〜特許文献5に記載のグローブボックスは、雰囲気ガスをチャンバー内全体に流すために、雰囲気ガスの使用量が非常に多く高コストであった。特に、基板が大型化している昨今においては、グローブボックスも大型化する必要があり、雰囲気ガスの消費量は益々増大する傾向にある。
【0008】
そこで、本発明の主な目的は、少ない雰囲気ガスの量で不純物を除去することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る基板処理装置は、チャンバーと、噴出口部と、吸入口部とを備えている。チャンバーは、複数の側面を有する側面部を含む。噴出口部は、チャンバーに雰囲気ガスを供給するためのものである。吸入口部は、チャンバーから雰囲気ガスを排気するためのものである。噴出口部と吸入口部とは側面に沿って配置されている。噴出口部と吸入口部との少なくとも一方は線形状であり、かつ側面の周縁側に配置されている。
【0010】
本発明に係る基板処理装置によれば、雰囲気ガスがチャンバーの側面に沿って流されることで、チャンバーの側壁に付着している不純物を除去することができるので、少ない雰囲気ガスの量でチャンバー内の不純物が効率的に除去される。
【0011】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部と吸入口部とは、側面の周縁側であって互いに対向する位置に配置されている。
【0012】
これにより、噴出口部から噴出された雰囲気ガスが側面全体に沿って流されるために、効率的にチャンバー内の不純物が除去される。
【0013】
上記の基板処理装置において好ましくは、側面部は一辺を共有する第1の側面と第2の側面とを含む。噴出口部は一辺に沿って配置され、第1の側面に沿って雰囲気ガスを噴出する第1の噴出口と、第2の側面に沿って雰囲気ガスを噴出する第2の噴出口とを有する。
【0014】
これにより、2つの側面に雰囲気ガスを流すための噴出口部を共有することができるために装置構成を簡略化することができる。
【0015】
上記の基板処理装置において好ましくは、吸入口部は側面の周縁側であって側面の周縁を囲うように配置されている。噴出口部は側面の中央側に配置されている。
【0016】
これにより、雰囲気ガスを側面の中央側から周縁側に流すことによって、側面全体に雰囲気ガスが流されて不純物が効率的に除去される。
【0017】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部は、吸入口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口を有している。
【0018】
これにより、雰囲気ガスが複数の方向へ噴出されるために、効率良く側面全面に雰囲気ガスが流されてチャンバー内の不純物が除去される。
【0019】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部は側面の周縁側であって側面の周縁を囲うように配置されている。吸入口部は側面の中央側に配置されている。
【0020】
これにより、雰囲気ガスを側面の周縁側から中央側に流すことによって、側面全体に雰囲気ガスが流されて不純物が効率的に除去される。
【0021】
上記の基板処理装置において好ましくは、吸入口部は、噴出口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口を有している。
【0022】
これにより、雰囲気ガスが複数の方向から吸入されるために、効率良く側面全面に雰囲気ガスが流されてチャンバー内の不純物が除去される。
【0023】
上記の基板処理装置において好ましくは、噴出口部と吸入口部とは、チャンバーの全ての側面に沿って配置されている。
【0024】
これにより、チャンバーの全ての側面全体に雰囲気ガスが流されるので、チャンバー内の不純物を効率的に取除くことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板処理装置によれば、雰囲気ガスがチャンバーの側面に沿って流されることで、少ない雰囲気ガスの量でチャンバー内の不純物を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態1に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る基板処理装置の他の例の概略斜視図である。
【図3】実施の形態2に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図4】図3に示す基板処理装置の噴出口部の領域IVの拡大図である。
【図5】図3に示す基板処理装置の吸入口部の領域Vの拡大図である。
【図6】実施の形態3に係る基板処理装置の一側面を示す正面模式図である。
【図7】図6の線分VII−VIIにおける断面模式図である。
【図8】実施の形態3に係る基板処理装置の他の例の一側面を示す正面模式図である。
【図9】図8の線分IX−IXにおける断面模式図である。
【図10】比較例に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図11】比較例に係る基板処理装置の概略側面図である。
【図12】実施例に係る基板処理装置の概略斜視図である。
【図13】実施例に係る基板処理装置の概略側面図である。
【図14】チャンバー内の水分濃度と窒素流入時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明については繰り返さない。
【0028】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の基板処理装置の構成について図1および図2を用いて説明する。図1に示すように、基板処理装置1は、チャンバー4と、噴出口部5と、吸入口部6とを主に有している。
【0029】
チャンバー4は、内部に基板を収容するための容器である。チャンバー4は、複数の側面2を有する側面部3に囲まれて形成されている。噴出口部5は、雰囲気ガス7をチャンバー4の内部に導入するための入口である。噴出口部5は複数の噴出口9を有している。吸入口部6は、チャンバー4内の雰囲気ガス7を排気するための出口である。吸入口部6は、複数の吸入口10を有している。チャンバー4には、内部に挿入される基板を外部から操作するためのグローブ用孔8が設けられていてもよい。
【0030】
噴出口部5および吸入口部6は、チャンバー4の上側の側面2に沿って配置されている。具体的には、噴出口部5および吸入口部6は、上側の側面2に接して設けられていてもよいし、上側の側面2から少し離れた位置(たとえば上側の側面2から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。本実施の形態において、噴出口部5は、図中右側の側面2の上端側と下端側にそれぞれ一列に設けられている。また、吸入口部6は、図中左側の側面2の上端側と下端側にそれぞれ一列に設けられている。この場合、雰囲気ガス7は、図中右側から左側に流される。雰囲気ガス7とは、たとえば窒素ガスやアルゴンガスなどである。
【0031】
噴出口部5および吸入口部6は線形状であり、側面2の周縁側に配置されている。本実施の形態1では、噴出口部5および吸入口部6は双方とも線形状であり上側の側面2の周縁側に配置されているが、噴出口部5と吸入口部6との少なくとも一方が線形状であって上側の側面2の周縁側に配置されていればよい。
【0032】
図2に示すように、噴出口部5がチャンバー4の上側の側面2の周縁に設けられており、吸入口部6がチャンバー4の下側の側面2の周縁に設けられていてもよい。噴出口部5は、チャンバー4の上側の側面2の4つの辺に沿って合計4つ設けられている。各々の噴出口部5は複数の噴出口9を有している。同様に、吸入口部6は、チャンバー4の下側の側面2の4つの辺に沿って合計4つ設けられている。各々の吸入口部6は複数の吸入口10を有している。この場合、雰囲気ガス7は図2において上側から下側に向かってチャンバー4の側壁を構成する4つの側面2に沿って流される。
【0033】
基板処理装置1とは、たとえばグローブボックスのことであるがこれに限られない。基板処理装置1とは、たとえば基板を一時収納するためのチャンバー(たとえば搬送室やロードロック室)を有する化学気相成長装置、物理気相成長装置、分子線エピタキシャル装置、蒸着装置なども含まれる。
【0034】
次に、実施の形態1の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態1の基板処理装置1は、チャンバー4の側面2に沿って噴出口部5と吸入口部6とが配置されている。そのため、雰囲気ガス7が側面2に沿って流される。チャンバー4内に含まれる不純物の一つである水分は、チャンバー4の側面に多く付着している。雰囲気ガス7を側面2に局所的かつ集中的に流すことにより、チャンバー4全体に雰囲気ガス7を流すときよりも少ない雰囲気ガス7の量で、チャンバー4内の不純物の濃度を、チャンバー4全体に雰囲気ガスを流したときと同程度の濃度にまで低減することができる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2の基板処理装置1の構成について図3〜図5を用いて説明する。図3に示すように、噴出口部5および吸入口部6が、ある側面2の対向する辺に沿ってそれぞれ設けられている。言い換えれば、噴出口部5および吸入口部6のそれぞれは、2つの側面2が共有する辺に沿って設けられている。具体的に説明すると、チャンバー4のある一つの側面2である第1の側面12の下端側に噴出口部5が配置され、上端側に吸入口部6が配置される。また、噴出口部5は第1の側面12の右端部に設けられ、吸入口部6は第1の側面12の左端部に設けられている。いずれの場合も、雰囲気ガス7は、噴出口部5から噴出され第1の側面12の表面に沿って流れ、吸入口部6に吸入されてチャンバー4の外部に排気される。
【0036】
噴出口部5と吸入口部6とは、たとえば筒状をしている。雰囲気ガス7は、たとえば筒状の噴出口部5の端部に設けられた開口部から噴出口部5の内部へ導入可能である。また、雰囲気ガス7は、たとえば筒状の吸入口部6の端部に設けられた開口部から吸入口部6の外部へ排気可能である。本実施の形態2においては、雰囲気ガス7はINの部分から噴出口部5へ導入され、OUTの部分から吸入口部6より排気される。
【0037】
図4に示すように、噴出口部5は円筒形状をしており、円筒の側面部に第1の噴出口14と第2の噴出口15を有していてもよい。第1の噴出口14は、一辺11を共有する第1の側面12と第2の側面13の内の、第1の側面12の表面に沿って雰囲気ガス7を噴出するように設けられている。たとえば、第1の噴出口14は、第1の側面12と平行な方向に向けて設けられている。もしくは、第1の噴出口14は、第1の側面12に雰囲気ガス7を吹き付けることができるように、第1の側面と平行な平面からある所定の角度だけ第1の側面12の方向へ傾いた方向に向けられていてもよい。
【0038】
第2の噴出口15は、一辺11を共有する第1の側面12と第2の側面13の内の、第2の側面13の表面に沿って雰囲気ガス7を噴出するように設けられている。たとえば、第2の噴出口15は、第2の側面13と平行な方向に向けて設けられている。もしくは、第2の噴出口15は、第2の側面13に雰囲気ガス7を吹き付けることができるように、第2の側面13と平行な平面からある所定の角度だけ第2の側面13の方向へ傾いた方向に向けられていてもよい。本実施の形態2では、第1の噴出口14は第2の噴出口15と90度ずれた方向を向いている。そして、噴出口部5の全体において上記第1の噴出口14と第2の噴出口15とが形成されていてもよい。
【0039】
図5に示すように、吸入口部6は円筒形状をしており、円筒の側面部に第1の吸入口16と第2の吸入口17を有していてもよい。第1の吸入口16は、一辺20を共有する第1の側面21と第2の側面22の内の、第1の側面21の表面に沿って噴出された雰囲気ガス7を吸入するように設けられている。たとえば、第1の吸入口16は、第1の側面21と平行な方向に向けて設けられている。同様に、第2の吸入口17は、一辺20を共有する第1の側面21と第2の側面22の内の、第2の側面22の表面に沿って噴出された雰囲気ガス7を吸入するように設けられている。本実施の形態2では、第1の吸入口16は第2の吸入口17と90度ずれた方向を向いている。そして、吸入口部6の全体において上記第1の吸入口16と第2の吸入口17とが形成されていてもよい。
【0040】
また、図3に示すように1つの側面2に対して、対向する噴出口部5および吸入口部6との組を2組配置してもよいが、1つの側面2に対して噴出口部5および吸入口部6を1組だけ配置するようにしてもよい。
【0041】
次に、実施の形態2の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態2の基板処理装置1は、噴出口部5と吸入口部6とがある側面2の互いに対向する辺側に配置されている。そのため、側面2全体に沿って雰囲気ガス7が流されるために、少ない量の雰囲気ガスで効率的にチャンバー4内の不純物を除去することができる。また、噴出口部5は、第1の側面12に沿って雰囲気ガス7を噴出する第1の噴出口14と第2の側面13に沿って雰囲気ガス7を噴出する第2の噴出口15とを有するために、1つの噴出口部5で2つの側面2に対して雰囲気ガス7を流すことできるので、基板処理装置1の構成が簡略化できる。
【0042】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3の基板処理装置1の構成について図6〜図9を用いて説明する。
【0043】
図6に示すように、吸入口部6は、側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように配置されている。言い換えれば、吸入口部6は、側面2の4つの辺に沿って側面2の周縁に沿うように配置されている配管である。吸入口部6は、たとえば円筒状であって、円筒の軸線方向に複数の吸入口10が設けられている。吸入口部6は、側面2に接して設けられていてもよいし、側面2から所定の距離だけ離れた位置(たとえば側面から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。
【0044】
噴出口部5は、側面2の中央側19に配置されている。噴出口部5は、たとえば図7に示すように、側面2を貫通するように設けられた円筒状の形状をしている。たとえば円筒の先端はキャップのようなもので封止されており、キャップと側面2との間であって、円筒の噴出口部5の側端部23に噴出口9を有している。噴出口部5は、吸入口部6と対向する側の側端部23に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口9を有している。好ましくは、複数の噴出口9は、円筒状の噴出口部5の周方向に沿って設けられている。
【0045】
また本実施の形態3の他の構成を図8および図9に示す。
図8に示すように、噴出口部5は、側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように配置されている。言い換えれば、噴出口部5は、側面2の4つの辺に沿って側面の周縁に沿うように配置されている配管である。噴出口部5は、たとえば円筒状であって、円筒の軸線方向に複数の噴出口9が設けられている。噴出口部5は、側面2に接して設けられていてもよいし、側面2から所定の距離だけ離れた位置(たとえば側面から5mm程度離れた位置)に設けられていてもよい。
【0046】
一方、吸入口部6は、側面2の中央側19に配置されている。吸入口部6は、たとえば図9に示すように、側面2を貫通するように設けられた円筒状の形状をしている。たとえば円筒の先端はキャップのようなもので封止されており、キャップと側面2の間であって、円筒状の吸入口部6の側端部24に吸入口10を有していてもよい。吸入口部6は、噴出口部5と対向する側の側端部24に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口10を有している。好ましくは、複数の吸入口10は、円筒状の吸入口部6の周方向に沿って設けられている。
【0047】
次に、実施の形態3の基板処理装置1の作用効果について説明する。
本実施の形態3の基板処理装置1は、噴出口部5および吸入口部6の一方が側面2の周縁側18であって側面2の周縁を囲うように設けられ、噴出口部5および吸入口部6の他方が側面2の中央側19に配置されている。そのため、雰囲気ガス7は、周縁側18から中央側19または中央側19から周縁側18に向かって側面2全体に流されるために、少ない雰囲気ガス7の量で効率的にチャンバー4内の不純物が除去される。また、中央側19の噴出口部5または吸入口部6は、周縁側18の吸入口部6または噴出口部5と対向する側の側端部23,24に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口9または吸入口10を有している。そのため、雰囲気ガス7が効率的に側面2に沿って流されてチャンバー4内の不純物を効率的に除去することができる。
【実施例】
【0048】
次に実施例について説明する。
実施例として、図12および図13に示すような基板処理装置1を作成した。チャンバー4の高さ(h)、幅(w)、長さ(l)を、それぞれ230mm、350mm、360mmとした。チャンバー4はステンレスで作成した。チャンバー4の一つの側面2の周縁を囲うように噴出口部5を作成した。噴出口部5には、図13に示すように15mm間隔(d)で複数の噴出口9を設けた。対向する側面2には側面2の周縁を囲うように吸入口部6を作成した。吸入口部6には複数の吸入口10を設けた。吸入口10は噴出口9と対向する位置に設けた。噴出口9および吸入口10の直径(内径)は、ともに6.4mmである。
【0049】
比較例として、図10および図11に示すような基板処理装置1を作成した。チャンバー4の形状および材質は、実施例と同じとした。チャンバー4の一つの側面2の中央付近に円筒状の噴出口部5を設け、対向する側面2の中央付近に円筒状の吸入口部6を設けた。噴出口部5の直径(内径)は9.6mmである。吸入口部6の直径(内径)は27.5mmである。
【0050】
実施例および比較例の基板処理装置1に、外部から3.6SLM(毎分3.6リットル)の純化窒素(水分濃度が1ppm未満の窒素)を、25℃、大気圧の条件で供給しながらチャンバー4内の水分濃度の時間変化を計測した。水分濃度の測定は、チャンバー内部の側面部に配置された静電容量式の露点計を用いて行った。なお、水分濃度の測定は、赤外光の吸収度から水分濃度を計測する微量水分計を用いて行うことも可能である。
【0051】
チャンバー4内の水分濃度と窒素を導入してからの経過時間との関係を表1および図14に示す。ここで経過時間とは、容器中がすべて大気となっている条件で、純化窒素を流通開始した時刻から経過した時間である。
【0052】
【表1】
【0053】
表1および図14に示すように、チャンバー4に窒素ガスを導入してから100分経過後は、実施例のチャンバー4の水分濃度は比較例のチャンバー4の水分濃度よりも低いことが示された。言い換えれば、実施例の基板処理装置1は比較例の基板処理装置1と比べて、同じ水分濃度に到達するまでの時間が短いことが示された。すなわち、実施例の基板処理装置1は、比較例の基板処理装置1よりも少ない窒素ガスの量で同等の水分濃度を達成できることが示された。
【0054】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、基板処理装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 基板処理装置、2 側面、3 側面部、4 チャンバー、5 噴出口部、6 吸入口部、7 雰囲気ガス、8 グローブ用孔、9 噴出口、10 吸入口、11 一辺、12 第1の側面、13 第2の側面、14 第1の噴出口、15 第2の噴出口、16 第1の吸入口、17 第2の吸入口、18 周縁側、19 中央側、20 一辺、21 第1の側面、22 第2の側面、23,24 側端部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側面を有する側面部を含むチャンバーと、
前記チャンバーに雰囲気ガスを供給するための噴出口部と、
前記チャンバーから前記雰囲気ガスを排気するための吸入口部とを備え、
前記噴出口部と前記吸入口部とは前記側面に沿って配置されており、
前記噴出口部と前記吸入口部との少なくとも一方は線形状であり、かつ前記側面の周縁側に配置されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記噴出口部と前記吸入口部とは、前記側面の前記周縁側であって互いに対向する位置に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記側面部は一辺を共有する第1の側面と第2の側面とを含み、
前記噴出口部は前記一辺に沿って配置され、前記第1の側面に沿って前記雰囲気ガスを噴出する第1の噴出口と、前記第2の側面に沿って前記雰囲気ガスを噴出する第2の噴出口とを有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記吸入口部は前記側面の前記周縁側であって前記側面の周縁を囲うように配置されており、
前記噴出口部は前記側面の中央側に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記噴出口部は、前記吸入口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口を有している、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記噴出口部は前記側面の前記周縁側であって前記側面の周縁を囲うように配置されており、
前記吸入口部は前記側面の中央側に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記吸入口部は、前記噴出口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口を有している、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記噴出口部と前記吸入口部とは、前記チャンバーの全ての前記側面に沿って配置されている、請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項1】
複数の側面を有する側面部を含むチャンバーと、
前記チャンバーに雰囲気ガスを供給するための噴出口部と、
前記チャンバーから前記雰囲気ガスを排気するための吸入口部とを備え、
前記噴出口部と前記吸入口部とは前記側面に沿って配置されており、
前記噴出口部と前記吸入口部との少なくとも一方は線形状であり、かつ前記側面の周縁側に配置されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記噴出口部と前記吸入口部とは、前記側面の前記周縁側であって互いに対向する位置に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記側面部は一辺を共有する第1の側面と第2の側面とを含み、
前記噴出口部は前記一辺に沿って配置され、前記第1の側面に沿って前記雰囲気ガスを噴出する第1の噴出口と、前記第2の側面に沿って前記雰囲気ガスを噴出する第2の噴出口とを有する、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記吸入口部は前記側面の前記周縁側であって前記側面の周縁を囲うように配置されており、
前記噴出口部は前記側面の中央側に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記噴出口部は、前記吸入口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の噴出口を有している、請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記噴出口部は前記側面の前記周縁側であって前記側面の周縁を囲うように配置されており、
前記吸入口部は前記側面の中央側に配置されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記吸入口部は、前記噴出口部と対向する側の側端部に互いに異なる方向に向けられた複数の吸入口を有している、請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記噴出口部と前記吸入口部とは、前記チャンバーの全ての前記側面に沿って配置されている、請求項1〜7のいずれかに記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−67846(P2013−67846A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209124(P2011−209124)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]