説明

基板収納容器

【課題】振動や衝撃で保持片や保持溝が回転するのを抑制し、保持溝から基板が外れて磨耗、汚染、破損するおそれを排除できる基板収納容器を提供する。
【解決手段】複数枚の半導体ウェーハ1を整列収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面部を着脱自在に開閉する蓋体とを備え、この蓋体の半導体ウェーハ1に対向する対向内面に、複数枚の半導体ウェーハ1を保持する基板保持具30を装着する。また、基板保持具30を、蓋体の半導体ウェーハ1に対向する対向内面方向から半導体ウェーハ1に接近する第一、第二の保持片34A・34Bと、この第一、第二の保持片34A・34Bにそれぞれ形成されて半導体ウェーハ1の周縁部2前方を保持する保持溝36とから構成し、各保持溝36の半導体ウェーハ1の周縁部2前方との接触部39を第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの範囲内に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板の収納、搬送、輸送に使用される基板収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の基板収納容器は、図示しないが、複数枚の半導体ウェーハを整列収納する容器本体と、この容器本体の開口した正面部をガスケットを介して着脱自在に開閉する蓋体とを備えて構成され、半導体ウェーハの収納、保管、搬送、輸送に使用されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
容器本体は、所定の成形材料を使用してフロントオープンボックスタイプに成形され、両側壁の一部がそれぞれ内方向に向けて傾斜形成されており、この傾斜した各側壁の内面に半導体ウェーハの周縁部側方が接触する。この容器本体の両側壁内面には、半導体ウェーハの周縁部側方を水平に支持するティースがそれぞれ対設され、この左右一対のティースが容器本体の上下方向に所定のピッチで配列されている。
【0004】
蓋体は、所定の成形材料を使用して容器本体の開口した正面部に嵌合可能な形に成形され、半導体ウェーハに対向する対向内面に、半導体ウェーハを保持する基板保持具が装着されている。
【0005】
基板保持具は、図9に部分的に示すように、蓋体方向から半導体ウェーハ1方向に伸びる弾性の保持片34Dと、この保持片34Dに形成されて半導体ウェーハ1の周縁部2前方を保持する保持溝36Aとから形成されている。保持溝36Aは、保持片34Dの肉厚の中心部から半導体ウェーハ1の周縁部2前方に対向する表面側に偏位して断面V字形に切り欠かれ、保持片34Dの肉厚の中心部から離れた箇所で半導体ウェーハ1の周縁部2前方を水平に保持する。
【0006】
係る基板収納容器の容器本体に半導体ウェーハ1を整列収納して蓋体を嵌合し、容器本体を閉鎖すると、半導体ウェーハ1の周縁部2前方に基板保持具の保持溝36Aが前方から嵌合して保持する。そして、嵌合した蓋体が容器本体方向に圧入されると、一対のティース上から半導体ウェーハ1が容器本体の傾斜した側壁内面にガイドされつつ浮き上がり、半導体ウェーハ1が容器本体の傾斜した側壁内面と基板保持具の保持溝36Aとに支持される。
【0007】
以上のように半導体ウェーハ1は、一対のティースから浮いた状態で基板収納容器により輸送され、ティースとの接触に伴い擦れて磨耗したり、損傷して破損するおそれが未然に防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−353301号公報
【特許文献2】特開2005−320028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来における基板収納容器は、以上のように構成され、保持片34Dの肉厚の中心部から離れた箇所で半導体ウェーハ1の周縁部2前方を保持溝36Aが保持するので、輸送時の振動や衝撃の作用する力点が保持片34Dの肉厚の中心部から離れた箇所に存在することとなる。したがって、輸送時の振動や衝撃で保持片34Dが捩れて回転する(図10参照)と、保持溝36Aも同方向に回転するので、この保持溝36Aから半導体ウェーハ1が外れてティースと接触し、その結果、半導体ウェーハ1が擦れて磨耗したり、汚染を招いたり、あるいは破損するおそれがある。
【0010】
本発明は上記に鑑みなされたもので、振動や衝撃で保持片や保持溝が回転するのを抑制し、保持溝から基板が外れて磨耗、汚染、破損するおそれを排除することのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記課題を解決するため、基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を開閉する蓋体とを備え、この蓋体の基板に対向する対向面には、基板を保持する基板保持具を設けたものであって、
基板保持具は、基板に接近する保持片と、この保持片に形成されて基板の周縁部を保持する保持溝とを含み、この保持溝の基板の周縁部との接触部を保持片の肉厚の範囲内に位置させるようにしたことを特徴としている。
【0012】
なお、基板保持具は、筐体の対向内面に設けられ、容器本体に収納された基板の周縁部に保持片を接近させる一対の保持ブロックと、各保持ブロックに設けられて基板の周縁部に接近する保持片とを含み、これら複数の保持片に、基板の周縁部を保持する保持溝をそれぞれ形成することができる。
また、基板保持具は、筐体の対向内面に設けられる支持枠体を含み、この支持枠体の相対向する両側部間に、基板の周縁部に接近する保持片を架設し、この保持片に保持溝を形成することができる。
【0013】
また、保持片の基板の周縁部に対向する表面とその反対側の裏面とにそれぞれ突出部を形成し、この複数の突出部に保持溝を形成してその最深の谷部を保持片の裏面を越えた箇所に位置させることが可能である。
さらに、保持溝と基板の周縁部との接触部を保持片の肉厚の略中心線上に位置させることも可能である。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくともφ200、φ300、φ450mmの半導体ウェーハ、ガラス基板、マスクガラス等が含まれる。この基板は、撓み量や単数複数の数を特に問うものではない。また、容器本体と蓋体とは、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。
【0015】
容器本体は、フロントオープンボックスタイプ、上部の開口したトップオープンボックスタイプ、底部の開口したボトムオープンボックスタイプでも良い。この容器本体の上部、後部、側部には、基板観察用の透視窓や物流管理用のICタグ等を取り付けることができる。また、基板保持具の保持片は、単数複数を特に問うものではない。保持溝は、断面略U字形、略V字形、略Y字形等に適宜形成することができる。
【0016】
本発明によれば、保持溝と基板との接触部が保持片の肉厚の範囲内に位置するので、振動や衝撃の作用する力点が保持片の肉厚の中心部から離れた箇所に存在するのを防ぐことができる。
すなわち、振動や衝撃が基板収納容器に作用し、基板が移動しようとしても、力点が保持片の肉厚の範囲内にあるので、保持片が捩れて変形するのを抑制することができ、保持溝から基板が外れて磨耗したり、汚染を招いたり、あるいは破損するおそれを排除することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、振動や衝撃で保持片や保持溝が回転するのを抑制し、保持溝から基板が外れて磨耗、汚染、破損するおそれを排除することができるという効果がある。
また、保持溝と基板の周縁部との接触部を保持片の肉厚の略中心線上に位置させれば、保持片が捩れて回転変形し、保持溝から基板が外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す全体斜視説明図である。
【図2】本発明に係る基板収納容器の実施形態における容器本体と蓋体とを模式的に示す分解斜視説明図である。
【図3】本発明に係る基板収納容器の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態における保持片、保持溝、及び半導体ウェーハの関係を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態における保持片の保持溝に半導体ウェーハの周縁部前方が適切に保持された状態を模式的に示す説明図である。
【図6】図5の保持片に振動や衝撃等が作用する状態を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の実施形態における保持片、保持溝、及び半導体ウェーハとの関係を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態における蓋体を模式的に示す説明図である。
【図9】従来の保持片、保持溝、及び半導体ウェーハの関係を模式的に示す説明図である。
【図10】従来の保持片の保持溝から半導体ウェーハが外れる状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明に係る基板収納容器の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図7に示すように、複数枚の半導体ウェーハ1を収納する容器本体10と、この容器本体10の開口した正面部を開閉する着脱自在の蓋体20と、この蓋体20に装着されて複数枚の半導体ウェーハ1を弾発的に保持する基板保持具30とを備え、この基板保持具30の保持溝36と半導体ウェーハ1との接触部39を第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの範囲内に位置させるようにしている。
【0020】
半導体ウェーハ1は、図2や図3に示すように、例えばφ300mmの薄く脆いシリコンウェーハからなり、周縁部2に図示しない位置合わせや識別用のノッチが平面半円形に切り欠かれており、容器本体10に25枚あるいは26枚の枚数で整列して収納される。
【0021】
容器本体10と蓋体20とは、所定の樹脂を含有する成形材料によりそれぞれ射出成形される。この成形材料の所定の樹脂としては、例えば力学的性質や耐熱性等に優れるポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、あるいは環状オレフィン樹脂、これらのアロイ樹脂等があげられる。この樹脂には、カーボン、カーボン繊維、金属繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、帯電防止剤、又は難燃剤等が必要に応じて適宜添加される。
【0022】
容器本体10は、図1ないし図3に示すように、正面部が横長に開口した透明のフロントオープンボックスに形成され、正面部を水平横方向に向けた状態で図示しない半導体加工装置や気体置換装置上に位置決めして搭載されたり、輸送される。この容器本体10は、両側壁の一部がそれぞれ内方向に向けて傾斜形成され、この傾斜した各側壁の内面に半導体ウェーハ1の周縁部2側方が接触して位置決めされる。
【0023】
容器本体10の両側壁内面には、半導体ウェーハ1の周縁部2側方を水平に支持するティース11がそれぞれ対設され、この左右一対のティース11が容器本体10の上下方向に所定のピッチで配列される。各ティース11は、特に限定されるものではないが、例えば半導体ウェーハ1の周縁部2側方に沿うよう平面略半円弧形の平板に湾曲形成され、蓋体20の嵌合圧入時には、従来例と同様に接触していた半導体ウェーハ1と非接触の関係になる。
【0024】
容器本体10の底板の前部両側と後部中央とには、基板収納容器を位置決めする位置決め具がそれぞれ螺着され、容器本体10の天板の中央部には、工場の天井搬送機構に把持される搬送用のトップフランジが螺着される。また、容器本体10の正面部の周縁には、外方向に張り出すリムフランジ12が膨出形成され、このリムフランジ12内に蓋体20が図示しない蓋体開閉装置により自動的に嵌合される。
【0025】
容器本体10の正面部両側には、蓋体20係止用の係止突部13がそれぞれ外方向に向けて突出形成される。また、容器本体10の背面壁の内面には、複数枚の半導体ウェーハ1の周縁部2後方をそれぞれ水平に遊嵌支持するリヤリテーナ14が上下に並べて形成される。
【0026】
蓋体20は、図1ないし図3に示すように、容器本体10の開口した正面部のリムフランジ12内に着脱自在に嵌合される横長の筐体21により構成される。この筐体21は、基本的には浅底の断面略皿形に形成され、中央部には、表面側に位置する左右一対の補強用リブ22が間隔をおいて対設されており、この一対の補強用リブ22の間が半導体ウェーハ1の周縁部2前方に沿うよう半円弧形に湾曲形成される。各補強用リブ22は、上下方向に細長い棒形に形成される。
【0027】
筐体21の半導体ウェーハ1に対向する対向内面23である裏面の周縁部には、枠形のシールガスケット24が嵌合され、このシールガスケット24が容器本体10のリムフランジ12内に圧接変形することにより、基板収納容器のシール性が確保される。また、筐体21の両側部には、横長の係止片25がそれぞれ前後方向に回転可能に軸支され、この一対の係止片25の係止孔が容器本体10の係止突部13にそれぞれ嵌合係止することにより、容器本体10に嵌合した蓋体20が取り外し不能に固定される。
【0028】
基板保持具30は、図2ないし図7に示すように、筐体21の対向内面23の両側部にそれぞれ配設され、容器本体10に収納された半導体ウェーハ1の周縁部2前方を第一の保持片34Aの保持溝36に挟んで保持させる左右一対の保持ブロック31と、各保持ブロック31に設けられる複数の第二の保持片34Bと、各第二の保持片34Bに形成されて半導体ウェーハ1の周縁部2前方を挟んで保持する保持溝36とを備えて成形される。
【0029】
基板保持具30の成形材料としては、例えばポリエーテルエーテルケトン、環状オレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂、これらのアロイ樹脂、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系の各種熱可塑性エラストマー等が該当する。係る樹脂には、カーボン、カーボン繊維、金属繊維、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー、帯電防止剤、又は難燃剤等が必要に応じて添加される。
【0030】
基板保持具30の各保持ブロック31は、筐体21の外側に位置して半導体ウェーハ1の周縁部2前方に接近する長片32と、筐体21の内側に位置して半導体ウェーハ1の周縁部2前方に接近する短片33とを備え、これら長片32と短片33との端部間に、保持片34である第一の保持片34Aが半導体ウェーハ1の周縁部2前方に沿うよう屈曲して複数架設されており、各第一の保持片34Aに保持溝36が一体形成される。
【0031】
第一の保持片34Aは、図4に示すように、弾性を有する細長い板形に形成され、半導体ウェーハ1の周縁部2前方に対向する表面とその反対側の裏面とにそれぞれ鋭利な突出部35が形成されており、この複数の突出部35に保持溝36が断面略V字形に切り欠かれるとともに、この保持溝36の最深の谷部37が裏面を越えて筐体21の対向内面23方向に指向する。
【0032】
保持溝36の傾斜角度と谷部37の位置は、保持溝36の傾斜面38と半導体ウェーハ1の周縁部2前方との接触部39が第一の保持片34Aの肉厚Tの範囲内、好ましくは第一の保持片34Aの肉厚Tの中心線上に位置するよう調整される。保持溝36の傾斜角度は、例えば水平面に対して片側20°〜60°の範囲で定められる。
【0033】
第二の保持片34Bは、図4に示すように、第一の保持片34A同様、弾性を有する細長い板形に形成され、保持ブロック31の短片33から半導体ウェーハ1の周縁部2前方に屈曲して伸長されており、膨出した先端部に保持溝36が一体形成される。この第二の保持片34Bの半導体ウェーハ1の周縁部2前方に対向する表面とその反対側の裏面とにはそれぞれ鋭利な突出部35が形成され、この複数の突出部35に保持溝36が断面略V字形に切り欠かれており、この保持溝36の最深の谷部37が第二の保持片34Bの裏面を越えて筐体21の対向内面23方向に指向する。
【0034】
保持溝36の傾斜角度と谷部37の位置は、保持溝36の傾斜面38と半導体ウェーハ1の周縁部2前方との接触部39が第二の保持片34Bの肉厚Tの範囲内、好ましくは第二の保持片34Bの肉厚Tの中心線上に位置するよう調整される。保持溝36の傾斜角度は、例えば水平面に対して片側20°〜60°の範囲で定められる。
【0035】
上記構成によれば、第一、第二の保持片34A・34Bの表面側に保持溝36が位置するのではなく、第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの範囲内に保持溝36の傾斜面38と半導体ウェーハ1の周縁部2前方との接触部39が位置する(図5参照)ので、輸送時の振動や衝撃の作用する力点が第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの中心部から離れた箇所に存在するのを有効に防止することができる。
【0036】
すなわち、輸送時の振動や衝撃が基板収納容器に作用(図6参照)し、半導体ウェーハ1が上下方向に移動しようとしても、力点が第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの範囲内にあるので、保持片34が捩れて変形するのを有効に抑制(図7参照)することができ、保持溝36から半導体ウェーハ1が外れて下方のティース11に接触することがない。
【0037】
したがって、基板収納容器の輸送時等に半導体ウェーハ1が擦れて磨耗したり、汚染を招いたり、あるいは破損するおそれを有効に排除することができる。特に、保持溝36の傾斜面38と半導体ウェーハ1の周縁部2前方との接触部39が第一、第二の保持片34A・34Bの肉厚Tの中心線上に位置する場合には、第一、第二の保持片34A・34Bが捩れて回転変形するのをきわめて有効に抑制することが可能になる。
【0038】
次に、図8は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、蓋体20を、容器本体10のリムフランジ12内に着脱自在に嵌合される筐体21と、この筐体21の開口した表面(正面)を被覆する表面プレートとから構成し、これら筐体21と表面プレートとの間には、蓋体20用の施錠機構50を内蔵しており、筐体21の対向内面23の中央部に基板保持具30を装着するようにしている。
【0039】
施錠機構50は、特に限定されるものではないが、例えば筐体21の内部両側に軸支されて外部から回転操作される左右一対の回転プレート51と、各回転プレート51の周縁部上下に連結され、回転プレート51の回転に伴い蓋体20の内外方向に直線的にスライドする複数のスライド板52と、筐体21の周縁部と各スライド板52の先端部とにそれぞれ揺動可能に軸支され、スライド板52の突出により容器本体10のリムフランジ12内周面の係止孔に干渉する出没可能な係止爪53とを備えて構成される。
【0040】
基板保持具30は、筐体21の対向内面23の中央部に装着される縦長の支持枠体40を備え、この支持枠体40の両側部間に、半導体ウェーハ1の周縁部2前方に接近する弾性の保持片34Cが上下に並んだ状態で複数架設されており、各保持片34Cの両側部に保持溝36が間隔をおいてそれぞれ一体形成される。
【0041】
保持片34Cは、弾性を有する細長い板形に形成され、半導体ウェーハ1の周縁部2前方に対向する表面とその反対側の裏面とにそれぞれ鋭利な突出部35が形成されるとともに、この複数の突出部35に保持溝36が断面略V字形に形成されており、この保持溝36の最深の谷部37が裏面を越えて筐体21の対向内面23方向に位置する。その他の部分については、上記実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、施錠機構50と基板保持具30とが相互に干渉するのを防止し、しかも、基板保持具30の構成の多様化を図ることができるのは明らかである。
【0043】
なお、上記実施形態の容器本体10の正面部に嵌合した蓋体20を磁石等により固定しても良い。また、上記実施形態では容器本体10を単に示したが、容器本体10の底板に、複数の位置決め具をそれぞれ露出させるボトムプレートを水平に螺着しても良い。このボトムプレートには、搬送用のコンベヤレールを形成したり、複数の識別孔を穿孔し、この複数の識別孔に着脱自在の情報識別パッドを選択的に挿入しても良い。
【0044】
また、第一の保持片34Aに複数の保持溝36を形成することもできる。また、蓋体20の対向内面23から半導体ウェーハ1の周縁部2前方に第二の保持片34Bを伸長形成することもできる。さらに、保持溝36の傾斜角度は、一様な角度に限定されるものではない。例えば、保持溝36の開口側の角度を谷部37側の角度よりも大きくして半導体ウェーハ1の位置合わせ範囲を拡大し、谷部37側の角度を小さくして半導体ウェーハ1の保持を安定させることもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体ウェーハ(基板)
2 周縁部
10 容器本体
11 ティース
12 リムフランジ
20 蓋体
21 筐体
23 対向内面
30 基板保持具
31 保持ブロック
34 保持片
34A 第一の保持片
34B 第二の保持片
34C 保持片
34D 保持片
35 突出部
36 保持溝
37 谷部
38 傾斜面
39 接触部
40 支持枠体
50 施錠機構
T 肉厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を開閉する蓋体とを備え、この蓋体の基板に対向する対向面には、基板を保持する基板保持具を設けた基板収納容器であって、
基板保持具は、基板に接近する保持片と、この保持片に形成されて基板の周縁部を保持する保持溝とを含み、この保持溝の基板の周縁部との接触部を保持片の肉厚の範囲内に位置させるようにしたことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
保持片の基板の周縁部に対向する表面とその反対側の裏面とにそれぞれ突出部を形成し、この複数の突出部に保持溝を形成してその最深の谷部を保持片の裏面を越えた箇所に位置させるようにした請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
保持溝と基板の周縁部との接触部を保持片の肉厚の略中心線上に位置させた請求項1又は2記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−199354(P2010−199354A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43416(P2009−43416)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】