説明

基板載置装置及び基板載置方法

【課題】従来の基板載置装置では、基板の平坦性を向上させることが困難である。
【解決手段】基板17が載置される面である載置面6aを有するテーブル6と、載置面6aよりも突出した状態で基板17を支持し、テーブル6内に退避した状態で基板17を載置面6aに載置させる複数のリフトピン8と、複数のリフトピン8に対向して設けられていて、基板17に向けて圧空を吹きかける圧空ノズル12と、を有する、ことを特徴とする基板載置装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板載置装置及び基板載置方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のリフトピンに支持されている基板上から、この基板のリフトピン間に向けて空気を吹き付けた状態で、複数のリフトピンを降下させ、基板をテーブルに載置させる基板載置装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−45944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された基板載置装置を大型基板に適用すると、吹き付けられる空気の力によって基板がたわみやすい。この状態でリフトピンを降下させると、たわんだ基板とテーブルとの間に空気が閉じ込められやすくなる。このため、テーブルに載置された基板の平坦性が損なわれやすくなる。
つまり、従来の基板載置装置では、基板の平坦性を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]基板が載置される面である載置面を有するテーブルと、前記載置面よりも突出した状態で前記基板を支持し、前記テーブル内に退避した状態で前記基板を前記載置面に載置させる複数のリフトピンと、前記リフトピンに対向して設けられていて、前記基板に向けて気体を吹きかける吹き出し部と、を有する、ことを特徴とする基板載置装置。
【0007】
この適用例の基板載置装置は、テーブルと、複数のリフトピンと、吹き出し部と、を有する。
テーブルは、基板が載置される面である載置面を有する。
複数のリフトピンは、載置面よりも突出した状態で基板を支持する。また、複数のリフトピンは、テーブル内に退避した状態で基板を載置面に載置させる。
吹き出し部は、複数のリフトピンのそれぞれに対応して設けられている。
この基板載置装置では、吹き出し部は、リフトピンに対向していて、基板に向けて気体を吹きかける。このため、基板に気体を吹きかけることによって基板にテーブルに向かう力を作用させることができる。これにより、基板をテーブル側に向かって押し付けることができるので、基板をテーブルに載置させるのにかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、この基板載置装置では、基板に吹きかけられる気体の力をリフトピンで受けることができる。これにより、吹きかけられる気体の力による基板のたわみを低く抑えやすくすることができる。この結果、基板の平坦性を向上させやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の基板載置装置であって、前記気体が空気である、ことを特徴とする基板載置装置。
【0009】
この適用例では、気体が空気であるので、基板に空気を吹きかけることによって基板をテーブル側に向かって押し付けることができる。
【0010】
[適用例3]基板が載置される面である載置面を有するテーブルの前記載置面よりも突出した複数のリフトピンで前記基板を支持し、前記リフトピンに対向する吹き出し部から、前記基板に向けて気体を吹きかけながら、前記複数のリフトピンを前記テーブル内に退避させることによって、前記基板を前記載置面に載置する、ことを特徴とする基板載置方法。
【0011】
この適用例の基板載置方法では、テーブルの載置面よりも突出した複数のリフトピンで基板を支持し、リフトピンに対向する吹き出し部から、基板に向けて気体を吹きかけながら、複数のリフトピンをテーブル内に退避させる。
この基板載置方法では、基板に気体を吹きかけることによって基板にテーブルに向かう力を作用させることができる。これにより、基板をテーブル側に向かって押し付けることができるので、基板をテーブルに載置させるのにかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、この基板載置方法では、基板に吹きかけられる気体の力をリフトピンで受けることができる。これにより、吹きかけられる気体の力による基板のたわみを低く抑えやすくすることができる。この結果、基板の平坦性を向上させやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の基板載置方法であって、前記気体が空気である、ことを特徴とする基板載置方法。
【0013】
この適用例では、気体が空気であるので、基板に空気を吹きかけることによって基板をテーブル側に向かって押し付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】描画装置の構成を示す模式図。
【図2】基板載置装置の構成を示し、(a)は平面図、(b)は側断面図。
【図3】リフトピンおよび貫通穴の詳細図。
【図4】基板吸着機構の詳細図。
【図5】基板載置装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】基板載置装置の動作におけるタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせている。
【0016】
まず、描画装置の構成について説明する。図1は、描画装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、描画装置1は、吐出ヘッド(図示せず)が搭載されたキャリッジ5と、基板17を載置するテーブル6を備えた基板載置装置7等を備えている。キャリッジ5は、キャリッジX軸2上に設けられ、X軸方向に移動可能である。基板載置装置7は、テーブルY軸3上に設けられ、Y軸方向に移動可能である。そして、テーブル6上に基板17が載置された基板載置装置7をY軸方向に移動させるとともに、キャリッジ5をX軸方向に移動させながら、所定のタイミングで吐出ヘッドから基板17に向けて機能液を吐出させることにより、基板17上に機能液を塗布することができる。本実施形態の描画装置1は、例えば、カラーフィルター等の製造に用いられる。
【0017】
次に、基板載置装置7の構成について説明する。図2は、基板載置装置の構成を示し、図2(a)は、平面図であり、同図(b)は、側断面図である。図2(a),(b)に示すように、基板載置装置7は、基板17を載置する載置面を有するテーブル6と、テーブル6に形成された貫通穴9と、貫通穴9を通るリフトピン8と、圧空を吹き出す複数の圧空ノズル12と、圧空ノズル12への圧空の供給を制御する圧空制御弁14と、を備えている。本実施形態の基板載置装置7は、例えば、カラーフィルターに用いられる基板等を載置する装置に適用することができる。
【0018】
図2(a),(b)に示すように、基板載置装置7は、テーブルY軸3上にテーブル台16が設置され、テーブル台16上にθ軸15が配置され、θ軸15上にテーブル6が設置されている。θ軸15には第1モーターが接続され、当該第1モーターを駆動させることによりテーブル6を回転させることができる。これにより、テーブル6に載置された基板17の位置をアライメントカメラ(図示せず)等の情報をもとに補正することができる。
【0019】
テーブル6には複数の貫通穴9が形成されている。本実施形態における貫通穴9は、円柱形状の穴を有している。また、各貫通穴9を通じるリフトピン8が配置されている。本実施形態におけるリフトピン8は円柱形状を有している。図3に具体的な寸法例を示す。図3は、リフトピンおよび貫通穴の詳細図である。図3に示すように、例えば、貫通穴9の直径D1は12mmである。また、リフトピン8の直径D2は10mmである。そして、貫通穴9とリフトピン8の間に隙間40が形成される。本実施形態では、リフトピン8の周囲1mmの隙間40が形成されている。
【0020】
各リフトピン8は、リフトピン昇降部18に接続されている。リフトピン昇降部18には、図示しない第2モーターが接続されており、当該第2モーターを駆動させることにより、リフトピン昇降部18が昇降移動する。そして、リフトピン昇降部18の昇降移動に伴い、リフトピン8が昇降移動するように構成されている。
【0021】
複数の圧空ノズル12は、基板17の上方に設けられている。各圧空ノズル12は、リフトピン8に対応して設けられている。各圧空ノズル12は、基板17を挟んで各リフトピン8に対向する位置に設けられていて、複数の圧空ノズル12から吹き出される空気はそれぞれ対応するリフトピン8の方向に向けられている。本実施形態では、基板17が載置されていない状態において、各圧空ノズル12は、各リフトピン8に圧空を吹き付けることができる。圧空ノズル12は、圧空源13から圧空制御弁14を介して圧空を吹き出すことができる。これにより、圧空ノズル12とリフトピン8との間の基板17に、この基板17の上方から外力を加えることが可能となる。
【0022】
また、基板載置装置7は、テーブル6の載置面で基板17を吸着させる基板吸着部10を備えている。図4は、基板吸着機構の詳細図である。図4に示すように、基板吸着部10は、テーブル6の載置面に形成された吸着溝10aと、テーブル6を貫通する吸着穴10bと、吸着穴10bに接続された真空発生機器10c等で構成されている。そして、真空発生機器10cを駆動させることにより、吸着溝10a及び吸着穴10bから空気が吸引され、基板17がテーブル6の載置面に載置された状態で、基板17を載置面に固定することができる。また、図4に示すように、例えば、吸着溝10aの溝幅G1が0.2mmであり、溝深さG2が0.2mmである。また、吸着穴10bの穴径H1が1mmである。このような構成により、例えば、0.7mm程度の薄いガラス素材の基板17を吸着した場合であっても、基板17の変形を防ぐことができる。また、これにより、基板17に対して、正確な位置に機能液を塗布させることができる。また、基板吸着部10における吸引圧力は、基板が変形しない程度の圧力に設定されている。
【0023】
次に、基板載置装置7の電気的構成について説明する。図5は、基板載置装置7の電気的構成を示すブロック図である。基板載置装置7は、制御部50を備えている。制御部50は、圧空制御弁14、リフトピン昇降部18に接続された第2モーター、θ軸15に接続された第1モーター、及び基板吸着部10に接続された真空発生機器10cのそれぞれの駆動を制御する。制御部50は、CPU50aやメモリー50b等を備え、例えば、メモリー50bに格納された動作プログラムに基づいて、CPU50aが各種演算を行い、各部材に駆動信号を送信し、各部材を駆動させる。
【0024】
次に、基板載置装置7の動作について説明する。図6は、基板載置装置7の動作におけるタイミングチャート(一部)である。
【0025】
まず、リフトピン8を上昇させる。具体的には、リフトピン昇降部18に接続された第2モーターを駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで上昇させる。これにより、リフトピン昇降部18に接続されているリフトピン8が所定の位置まで上昇する。
【0026】
次いで、基板17を搬送する基板搬送装置(図示せず)を駆動させ、基板17をリフトピン8の頂部に載せる。
【0027】
次いで、リフトピン8を降下させる。具体的には、リフトピン昇降部18に接続された第2モーターを駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで降下させる。これにより、リフトピン昇降部18に接続されているリフトピン8が基板17とともに所定の位置まで降下する。
リフトピン8を降下させながら、圧空供給部11の圧空制御弁14を開くとともに、基板吸着部10の真空発生機器10cを駆動させ、空気を吸引させる。これにより、テーブル6の載置面側から吸着溝10aや吸着穴10bを介して載置面とは反対側の面に向かって空気が吸引される。
【0028】
ここで、リフトピン8の降下開始地点から基板17がテーブル6の載置面に載置される手前地点まで、例えば基板17の面とテーブル6の載置面との間がおよそ5mmまでは、比較的高速(例えば、100mm/sec)でリフトピン8を降下させる。そして、その後、基板17がテーブル6の載置面に載置されるまでの間は、比較的低速(1mm/sec)でリフトピン8を降下させる。基板17とテーブル6との間の空気による抵抗力を低減させるためである。このようにして、基板17がテーブル6の載置面に載置される。ここで、必要に応じて、θ軸15の第1モーターを駆動させ、基板17の位置ズレを補正する。
【0029】
また、このとき、各圧空ノズル12から圧空が吹き出しているので、基板17には、テーブル6に向かって力が加えられている。これにより、基板17をテーブル6側に向かって押し付けることができるので、基板17をテーブル6に載置させるのにかかる時間を短縮しやすくすることができる。
また、この基板載置装置7では、基板17に吹き付けられる圧空の力をリフトピン8で受けることができる。これにより、吹き付けられる圧空の力による基板17のたわみを低く抑えやすくすることができる。この結果、基板17の平坦性を向上させやすくすることができる。
【0030】
次いで、リフトピン昇降部18に接続された第2モーターの駆動を停止させるとともに、圧空供給部11の圧空制御弁14を閉じる。なお、基板吸着部10の真空発生機器10cの作動は維持させる。これにより、基板17をテーブル6上に保持することができる。
【0031】
その後、基板17に描画等が行われる。そして、基板17を基板載置装置7から除材する場合には、基板吸着部10の真空発生機器10cの作動を停止させ、リフトピン昇降部18に接続された第2モーターを駆動させ、リフトピン昇降部18を駆動させ、リフトピン昇降部18を所定位置まで上昇させる。これにより、基板17とともにリフトピン8が所定位置まで上昇する。そして、基板17を搬送する基板搬送装置(図示せず)を駆動させ、基板載置装置7から基板17を除材させる。
【0032】
なお、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例が挙げられる。
【0033】
(変形例1)上記実施形態では、複数の圧空ノズル12から一律に圧空を吹き出す構成が採用されているが、圧空を吹き出す態様は、これに限定されない。圧空を吹き出す態様としては、例えば、基板17を複数のエリアに区分してそのエリアごとに圧空を吹き出す態様も採用され得る。この態様によれば、例えば、各々の圧空ノズル12から圧空を吹き出すタイミングを、圧空ノズル12ごとに異ならせることができる。これにより、例えば、基板17がテーブル6に載置されるまでは、テーブル中央部の圧空ノズル12から圧空を吹き出し、圧空を吹き出させる圧空ノズル12を徐々に基板17の端部側に広げていくことができる。このようにすれば、基板17とテーブル6との間の空気を排出しやすくすることができるので、基板17を降下させた際の空気抵抗をさらに下げることができる。
【0034】
(変形例2)上記実施形態では、圧空ノズル12から吹き出させる圧空の圧力が、複数の圧空ノズル12間で一様であるが、圧空を吹き出す態様は、これに限定されない。圧空を吹き出す態様としては、例えば、流量調整弁等を用いて、圧空ノズル12から吹き出す圧空の圧力を、圧空ノズル12ごとに異ならせる態様も採用され得る。この態様によれば、例えば、各々の圧空ノズル12から吹き出す圧空の圧力を、圧空ノズル12ごとに異ならせることができる。これにより、例えば、基板17がテーブル6に載置されるまでは、テーブル中央部の圧空ノズル12から高圧力の圧空を吹き出し、徐々に基板17の端部側の圧空ノズル12へと順次に低圧力の圧空を吹き出すことができる。このようにすれば、基板17とテーブル6との間の空気を排出しやすくすることができ、基板17を降下させた際の空気抵抗をさらに下げることができる。
【0035】
(変形例3)上記実施形態において、テーブル6の周囲に、空気を吸引する吸引ダクト(図示しない)を併設した構成も採用され得る。この構成によれば、基板17とテーブル6との間の空気を吸引ダクトを介して吸引させることができる。これにより、例えば、圧空ノズル12が圧空を吹き出している間で、且つ基板17がテーブル6に載置されるまでの間において、基板17とテーブル6との間の空気を吸引ダクトから吸引させることができる。このようにすれば、基板17とテーブル6との間の空気を排出しやすくすることができ、基板17を降下させた際の空気抵抗をさらに下げることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…描画装置、2…キャリッジX軸、3…テーブルY軸、5…キャリッジ、6…テーブル、7…基板載置装置、8…リフトピン、9…貫通穴、10…基板吸着部、11…圧空供給部、12…圧空ノズル、13…圧空源、14…圧空制御弁、15…θ軸、16…テーブル台、17…基板、18…リフトピン昇降部、40…隙間、50…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が載置される面である載置面を有するテーブルと、
前記載置面よりも突出した状態で前記基板を支持し、前記テーブル内に退避した状態で前記基板を前記載置面に載置させる複数のリフトピンと、
前記リフトピンに対向して設けられていて、前記基板に向けて気体を吹きかける吹き出し部と、を有する、
ことを特徴とする基板載置装置。
【請求項2】
前記気体が空気である、ことを特徴とする請求項1に記載の基板載置装置。
【請求項3】
基板が載置される面である載置面を有するテーブルの前記載置面よりも突出した複数のリフトピンで前記基板を支持し、前記リフトピンに対向する吹き出し部から、前記基板に向けて気体を吹きかけながら、前記複数のリフトピンを前記テーブル内に退避させることによって、前記基板を前記載置面に載置する、ことを特徴とする基板載置方法。
【請求項4】
前記気体が空気である、ことを特徴とする請求項3に記載の基板載置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−160630(P2012−160630A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20420(P2011−20420)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】