説明

基板間接続コネクタ構造

【課題】低背化を達成しつつ、合体した回路基板の脱着を容易にするとともに、一旦合体した回路基板が自然状態で分離するのをより確実に阻止できる基板間接続コネクタ構造を得る。
【解決手段】
第1および第2の回路基板10、20の一方に、先端部に径の大きさが首部23aよりも大きな頭部23bを有する係止突起23を突設する一方で、第1および第2の回路基板10、20の他方に、前記係止突起23を受容する係止穴15を形成する。そして、この係止穴15を、係止突起23の頭部23bよりも幅狭に形成され当該係止突起23の首部23aを挿通させつつ前記頭部23bを抜け止めする長穴15aと、当該長穴15aの両側部に設けられ長穴15aの長手方向に沿って延在する一対のスリット15bとによって形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの回路基板どうしを脱着可能に合体させる基板間接続コネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパソコンなどの電子機器は小型化や高性能化への要求が高まってきており、その電子機器に構築される回路は、回路基板どうしを合体させる基板間接続コネクタの低背化(薄型化)を可能とすることにより、小型化を達成することができる。
【0003】
そのような基板間接続コネクタの低背化の要求に応じて、従来では一方の回路基板に形成されるメス型端子部を、絶縁フィルムに形成した貫通孔と、この貫通孔に連通してパッド部に形成した小孔とで形成する一方、他方の回路基板に形成されたオス型端子部を、上記メス型端子部の小孔に挿入する導電性突起で形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4059522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の基板間接続コネクタ構造では、メス型端子部の小孔とオス型端子部の導電性突起とによって2つの回路基板の合体が行われるため、回路基板の脱着を反復して行った場合に、小孔が形成されたパッド部に弾性劣化が生じてしまう。このように弾性劣化が生じると、導電性突起の保持性が悪化して合体した2つの回路基板の接続強度が低下されるとともに、メス型とオス型の両端子部間の導通不良を起こしてしまう恐れがある。
【0006】
また、上記特許文献1には、オス型端子部を設けた回路基板に、上記導電性突起とは別に、柱状ガイドや穴付き柱状ガイドを突設する一方、メス型端子部を設けた回路基板にそれらガイド突起を受け入れるメス型のガイドが形成される旨が開示されている。
【0007】
このようにガイド突起をメス型のガイドに挿入することにより、2つの回路基板の固定位置を安定できるのであるが、この場合、メス型のガイドは、回路基板側に形成された開口部であると見なすことができる。
【0008】
しかし、開口部(メス型のガイド)が形成される回路基板は可撓性を有するといえども、ガイド突起をガイドするためにある程度の剛性を備えることが要求される。また、ガイド突起を開口部に位置決めしつつ嵌合するためには、それら両者の嵌合精度を高くする必要がある。このため、2つの回路基板を合体させる際に、ガイド突起の開口部への挿入がきつくなって接続し辛くなるという不具合がある。また、特許文献1に示された柱状ガイドや穴付き柱状ガイドのように、それらガイド突起の外周が全長に亘って単に同径に形成されている場合、開口部に挿入したガイド突起が外部からの振動入力などによって抜け易くなり、合体させた回路基板が自然状態で分離してしまう恐れがあった。
【0009】
そこで、本発明は、低背化を達成しつつ、回路基板の脱着を容易にするとともに、一旦合体した回路基板が自然状態で分離するのをより確実に阻止できる基板間接続コネクタ構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するために、本発明の基板間接続コネクタ構造にあっては、メス型端子部およびオス型端子部の一方が形成された第1の回路基板と、メス型端子部およびオス型端子部の他方が形成された第2の回路基板とを備え、前記メス型端子部と前記オス型端子部とを接触させつつ、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを合体させる基板間接続コネクタ構造であって、前記第1および第2の回路基板の一方に突設され、先端部に径の大きさが首部よりも大きな頭部を有する係止突起と、前記第1および第2の回路基板の他方に形成され、前記係止突起を受容する係止穴とを備え、前記係止穴が、前記係止突起の頭部よりも幅狭に形成され当該係止突起の首部を挿通させつつ前記頭部を抜け止めする長穴と、当該長穴の両側部に設けられ長穴の長手方向に沿って延在する一対のスリットとにより形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の基板間接続コネクタ構造によれば、第1の回路基板および第2の回路基板は、一方に突設された係止突起を、他方に形成された係止穴に挿入することによって合体される。このとき、一方の回路基板に突設された係止突起は、他方の回路基板に形成された係止穴に挿入されるため、基板間接続コネクタの低背化を達成できる。
【0012】
また、係止突起は先端部に径の大きさが首部よりも大きな頭部を有している一方、長穴はその頭部よりも幅狭となっているため、長穴に係止突起が一旦挿入された後は、頭部が弾性復帰した長穴の外周縁部に係止されて、合体された第1の回路基板と第2の回路基板とが自然状態で分離するのを阻止できる。
【0013】
さらに、長穴の両側部には長穴の長手方向に沿って延在する一対のスリットが形成されているため、長穴が幅方向に変形し易くなって係止突起の挿入を容易に行うことができるとともに、合体した第1の回路基板と第2の回路基板とを分離する際にも、長穴から頭部を容易に抜け出すことができる。
【0014】
したがって、本発明の基板間接続コネクタ構造によれば、低背化を達成しつつ、合体した回路基板の脱着を容易にするとともに、一旦合体した回路基板が自然状態で分離するのをより確実に阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる基板間接続コネクタ構造に用いられる第1の回路基板を示した図であり、(a)は(b)の幅方向(左右方向)に沿う側面図、(b)は平面図、(c)は(b)の長さ方向(上下方向)に沿う側面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる基板間接続コネクタ構造に用いられる第2の回路基板を示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)の幅方向(左右方向)に沿う側面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態にかかる基板間接続コネクタ構造の組付け状態を示した図である。
【図4】図4は、図1(b)中I部の拡大図である。
【図5】図5は、図4のA−A断面図である。
【図6】図6は、図2(a)のB−B断面図である。
【図7】図7は、図1に示す第1の回路基板に形成された係止穴の模式的な拡大平面図である。
【図8】図8は、図3中J部の係止突起と係止穴の係止状態を示す断面図である。
【図9】図9は、図7に示す係止穴の第1変形例を示した図である。
【図10】図10は、図7に示す係止穴の第2変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1から図8は本発明にかかる基板間接続コネクタ構造の一実施形態を示しており、図1に示す第1の回路基板10と、図2に示す第2の回路基板20とを合体させることによって、図3に示す基板間接続コネクタ1が構成されるようになっている。
【0018】
第1の回路基板10は、図1(a)〜(c)に示すように、ポリイミド樹脂などの絶縁フィルムからなる第1絶縁基板11の一側面(同図(a)中下面)11aに、複数条の導体回路12をパターニングしてFPC基板として形成される。導体回路12の端末には、メス型端子部としての十字状スリット13がそれぞれ設けられている。
【0019】
十字状スリット13は、図4に示すように、導体回路12の端末に設けられた幅広の十字状パッド部12aの中心部に同心状に形成されている。このとき、十字状スリット13は、図5に示すように、十字状パッド部12aおよび第1絶縁基板11を貫通している。
【0020】
第1絶縁基板11は、本実施形態では図1(b)中、上下方向に延在する長尺となっている。そして、複数の十字状スリット13は、その第1絶縁基板11の幅方向(図中左右方向)と長さ方向(図中上下方向)に沿って矩形状の各辺を成すように配置される。本実施形態では、幅方向の一辺に6箇所、長さ方向の一辺に4箇所の十字状スリット13が設けられて矩形状配列となっている。
【0021】
なお、以下に述べる第2の回路基板20にあっても、第1絶縁基板11の幅方向に沿った方向を幅方向、長さ方向に沿った方向を長さ方向として述べるものとする。
【0022】
また、第1の回路基板10は、図1(a)から(c)に示すように、第1絶縁基板11の他側面(同図(a)中上面)11bには、十字状スリット13の形成領域を包含するように補強板14が一体に設けられている。この補強板14は、第1絶縁基板11の幅方向両端部に後述する係止穴15が形成される関係上、第1絶縁基板11の一般部分の幅W1よりもW3だけ大きな幅W2で形成される。また、補強板14は、平面形状が次に述べる第2絶縁基板21の平面形状とほぼ同一形状となっている。
【0023】
第2の回路基板20は、図2(a)、(b)に示すように、合成樹脂などの絶縁材料で形成されて四隅を面取りした矩形状の第2絶縁基板21を備え、この第2絶縁基板21の一側面(同図(b)中上面)21aにオス型端子部としての柱状バンプ22を突設して形成される。この第2絶縁基板21は、上述したように補強板14とほぼ等しい幅W2となっている。
【0024】
また、柱状バンプ22は、第1の回路基板10の十字状スリット13のそれぞれの形成位置に対応して矩形状の各辺を成すように配列され、図2(a)に示すように、幅方向の一辺に6本、長さ方向の一辺に4本の柱状バンプ22が設けられている。
【0025】
柱状バンプ22は、第1の回路基板10の十字状スリット13に、この十字状スリット13の周縁部を第1絶縁基板11とともに変形させつつ挿入(圧入)される径をもって円柱状に形成されている。このとき、柱状バンプ22は、十字状スリット13を周方向で等しく押し開くには断面円形となった円柱状が好ましいが、特に、その断面形状は円形に限ることなく楕円や多角形などの非円形であってもよい。
【0026】
また、柱状バンプ22は、金属や導電性樹脂などの導電材料によって形成され、その柱状バンプ22の基部22aは、図6に示すように、第2絶縁基板21に形成された挿通孔23に貫通して植設されている。第2絶縁基板21の一側面21aから突出した柱状バンプ22は、第2絶縁基板21に植設された基部22aとオフセットされており、それら柱状バンプ22と基部22aとは、第2絶縁基板21の一側面21aに沿って配置される亜鈴形状の連結板22bによって連結される。
【0027】
柱状バンプ22の基部22aは、第2絶縁基板21の他側面21bから若干突出され、その突出端部に鍔状の係止部22cが形成される。そして、この係止部22cによって基部22aおよび柱状バンプ22が第2絶縁基板21から抜止めされるとともに、その係止部22cの露出した先端面が図示省略した他の回路基板や電子部品との接点となる。
【0028】
ここで、本実施形態では、図2(b)に示すように、第2の回路基板20が第1の回路基板10に対向する側、つまり、第2絶縁基板21の一側面21aに複数の係止突起23を突設してある。本実施形態では、係止突起23を、図2(a)に示すように、第2絶縁基板21aの幅方向および長さ方向にそれぞれ離間して4つ配置させている。係止突起23は金属や高剛性の合成樹脂などで形成され、図示省略した基部が第2絶縁基板21に植設されて一体化されている。
【0029】
また、係止突起23の先端部には、径の大きさが首部23aよりも大きな頭部23bが形成されている。この頭部23bは、先端面がキノコの傘状に球面となっており、係止突起23はいわゆるマッシュルームバンプとして形成される。
【0030】
さらに、このように第2の回路基板20に係止突起23が設けられるのに対して、第1の回路基板10にはその係止突起23が挿通される係止穴15が形成されている。これら係止穴15は、係止突起23の突設位置にそれぞれ対応しており、図1(b)に示すように、第1絶縁基板11の幅方向および長さ方向にそれぞれ離間して合計4箇所設けられている。
【0031】
係止穴15は、図7にも示すように、係止突起23の頭部23bよりも幅狭となる長穴15aと、この長穴15aの両側部にその長穴15aの長手方向に沿って延在する一対のスリット15bと、によって形成される。すなわち、図2(a)に示すように係止突起23の頭部23bの直径をd1とし、図1(b)に示すように長穴15aの穴幅をwとすると、d1>wの関係となっている。なお、スリット15bの幅は、係止突起23を挿入する際に長穴15aの両側部を適度な剛性に低下させることができるように設定される。
【0032】
また、上述した4本の係止突起23にそれぞれ対応した4箇所の長穴15aは、図1(b)に示すように、図中X1とX3で示す1つの対角関係にある2箇所が幅方向に延設され、図中X2とX4で示す残りの2箇所が長さ方向に延設されている。もちろん、それら幅方向および長さ方向にそれぞれ延設された長穴15aに沿ってスリット15bが形成されている。
【0033】
この場合、長穴15aの穴幅wと係止突起23との関係は、上述したように頭部23bが長穴15aの周縁部に係止されるためにはd1>wの関係で十分であるが、さらに、長穴15aの穴幅wは、係止突起23の首部23aの直径d2よりも幅狭(d2>w)とされる。これにより係止突起23の長穴15aに対する相対位置精度が高められるようになっている。
【0034】
このとき、第1の回路基板10の補強板14には、長穴15aとスリット15bとの形成位置に対応して、それら長穴15aとスリット15bの全体を囲むように開口部14aが形成されている。
【0035】
そして、このように形成された第1の回路基板10および第2の回路基板20は、第1絶縁基板11の一側面11aと第2絶縁基板21の一側面21aとを、係止突起23を係止穴15の長穴15aに位置させつつ対向させる。この状態で第2絶縁基板21を第1絶縁基板11a側に押し付けることにより、係止突起23が長穴15aに挿通され、次いで柱状バンプ22が十字状スリット13に挿入される。このとき、長穴15aに挿通された係止突起23の先端部は補強板14の開口部14a内に納まる。なお、柱状バンプ22が十字状スリット13を貫通してその先端部が第1絶縁基板11から突出される場合は、補強板14に柱状バンプ22よりも大径の透孔を形成しておけばよい。
【0036】
係止突起23が長穴15aに挿通される際、図8に示すように、頭部23bおよび首部23aが長穴15aの周縁部を変形させつつ貫通される。このように貫通された頭部23bは、長穴15aの外側(他側面11b側)周縁部に係止されて抜止めされるとともに、長穴15aの両側に密接した首部23aによって、係止突起23は長穴15aの幅方向に精度良く位置決めされる。
【0037】
また、係止突起23が長穴15aに挿通される際、その長穴15aの両側部のスリット15bが潰れるため、長穴15aの幅方向の変形量が大きくなり頭部23aや首部23bの通過が容易になる。
【0038】
このように係止突起23が長穴15aに挿通された状態で、第1の回路基板10と第2の回路基板20とは図3に示すように合体されて基板間接続コネクタ1が構成される。そして、第1の回路基板10と第2の回路基板20との合体によって、十字状スリット13と柱状バンプ22とは相互に嵌合されて導通され、第1の回路基板10と第2の回路基板20とが電気的に接続される。
【0039】
なお、図3に示す基板間接続コネクタ1では、第1の回路基板10と第2の回路基板20との間が若干離間されて示されているが、実際は導体回路12や十字状パッド部12aおよび柱状バンプ22の連結板22bの厚さは極薄いものであり、第1の回路基板10と第2の回路基板20とはほぼ密着状態となっている。
【0040】
以上の構成により、本実施形態の基板間接続コネクタ構造によれば、第2の回路基板20に設けた係止突起23を第1の回路基板10に設けた係止穴15の長穴15aに挿入することによって、第1の回路基板10と第2の回路基板20とが合体される。また、この合体と同時にメス型端子部である十字状スリット13とオス型端子部である柱状バンプ22とが互いに嵌合(接触)されて電気的に導通される。
【0041】
このとき、第2の回路基板20に突設された係止突起23は、第1の回路基板10に形成された長穴15aに挿入されるため、係止突起23が厚さ方向にほとんど嵩張ることが無い。これにより第1の回路基板10と第2の回路基板20とを合体させた基板間接続コネクタ1の低背化を達成できる。
【0042】
また、係止突起23は先端部に径の大きさが首部よりも大きな頭部23bを有している一方、長穴15aはこの頭部23bよりも幅狭となっているため、係止突起23を長穴15aに挿入する際、頭部23bが長穴15aの周縁部を弾性変形しつつ挿入されることになる。これにより長穴15aに係止突起23が一旦挿入された後は、頭部23bが弾性復帰した長穴15aの外周縁部に係止されて容易に抜け辛くなる。したがって、係止突起23は長穴15aに挿入された状態が強固に維持され、ひいては合体された第1の回路基板10と第2の回路基板20とが自然状態で分離するのを阻止できる。
【0043】
また、長穴15aの両側部には長穴15aの長手方向に沿って延在する一対のスリット15bが形成されているため、係止突起23の頭部23bを長穴15aに挿入する際、そのスリット15bが潰れて長穴15aが幅方向に変形し易くなる。これにより係止突起23の挿入がさらに容易になり、ひいては第1の回路基板10と第2の回路基板20との組み付けを容易にできる。また、合体した第1の回路基板10と第2の回路基板20とを人的に分離する際は、スリット15bの潰れにより長穴15aから頭部23bを容易に抜け出すことができる。
【0044】
したがって、本発明の基板間接続コネクタ1は、低背化を達成しつつ、合体した回路基板10、20の脱着を容易にするとともに、一旦合体した回路基板10、20が自然状態で分離するのをより確実に阻止できる。
【0045】
また、本実施形態では、係止突起23は、第2の回路基板20の幅方向および長さ方向にそれぞれ離間して4つ設けられている。そして、それら係止突起23にそれぞれ対応する長穴15aは、X1、X3に示す2箇所が幅方向に延設され、残りのX2、X4に示す2箇所が長さ方向に延設されている。そのため、第1の回路基板10と第2の回路基板20との位置決めを容易に行うことができる。
【0046】
特に、本実施形態では、それぞれ長穴15aが係止突起23の首部23aよりも幅狭に形成されているため、係止突起23がそれぞれの長穴15aに挿入された際に、X1、X3の長穴15aによって係止突起23が長さ方向に精度良く位置決めされ、X2、X4の長穴15aによって係止突起23が幅方向に精度良く位置決めされる。これにより第1の回路基板10と第2の回路基板20とを高精度に合体させることができ、ひいては十字状スリット13と柱状バンプ22とを精度良く嵌合させて導通不良の発生を抑制できる。
【0047】
ところで、上記実施形態に示す基板間接続コネクタ構造1では、図7に示すように、一対のスリット15bは全長に亘ってほぼ一定幅とされ、かつ、そのスリット15bと長穴15aとの間隔L0が、長穴15aの全長でほぼ一定とされている。これに対して、図9に示すように、スリット15cと長穴15aとの間は、係止突起23が主に挿入される長穴15aの挿通部16で、スリット15cと長穴15aとの間隔が狭くなるように形成されるのが好ましい。
【0048】
本実施形態では、上記挿通部16が長穴15aの長手方向略中央部であり、スリット15cと長穴15aとの間隔L1が長手方向略中央部で狭く、長手方向両端部で広くなる間隔L2(L2>L1)としている。この場合、スリット15cは長穴15aの長手方向略中央部を頂点とするほぼ三角形状となっている。
【0049】
このように、スリット15cと長穴15aとの間隔を、長穴15aの係止突起23が挿通される挿通部16で狭くすれば(L2>L1)、スリット15cと長穴15aの間のビーム部17(長穴15aの両側部)における長穴15aの挿通部16に隣接する部分の剛性を低くすることができる。そのため、係止突起23を長穴15に挿入し易くなる。
【0050】
また、長穴15aの係止突起23が挿通される挿通部16を、スリット15cと長穴15aの間のビーム部17の最も変形しやすい部分である長手方向略中央部にし、長手方向略中央部におけるスリット15cと長穴15aとの間隔L1を狭くすることで、スリット15cと長穴15aの間のビーム部17における長穴15aの挿通部16に隣接する部分の剛性をより一層低くすることができる。そのため、係止突起23を長穴15により挿入し易くできる。
【0051】
なお、図10に示すように、スリット15dを、長穴15aの長手方向略中央部が頂点となる連続した三角形状となるように形成しても同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、メス型端子部およびオス型端子部は十字状スリット13および柱状バンプ22に限ることなく、互いに嵌合により電気的に導通される端子部構造であればよい。
【0053】
また、メス型端子部(十字状スリット13)を第1の回路基板10に設け、オス型端子部(柱状バンプ22)を第2の回路基板20に設けたが、それらを逆に設けてあってもよい。
【0054】
さらに、メス型端子部およびオス型端子部を第1の回路基板10および第2の回路基板20の中央部に有効に配置するため、係止突起23および係止穴15を回路基板の両端部に形成したが、係止突起23および係止穴15の形成位置はこれに限ることは無く、各端子部との兼ね合いで任意な位置に設けることができる。
【0055】
さらにまた、係止穴15を第1の回路基板10に設け、係止突起23を第2の回路基板20に設けたが、それらを逆に設けてあってもよい。
【0056】
また、係止突起23および係止穴15は、回路基板10、20の幅方向および長さ方向にそれぞれ離間して4本および4箇所が設けられるが、それ以上の数を設けることもできる。
【符号の説明】
【0057】
1 基板間接続コネクタ
10 第1の回路基板
13 十字状スリット(メス型端子部)
15 係止穴
15a 長穴
15b、15b、15c、15d スリット
20 第2の回路基板
22 柱状バンプ(オス型端子部)
23 係止突起
23a 首部
23b 頭部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メス型端子部およびオス型端子部の一方が形成された第1の回路基板と、メス型端子部およびオス型端子部の他方が形成された第2の回路基板とを備え、前記メス型端子部と前記オス型端子部とを接触させつつ、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを合体させる基板間接続コネクタ構造であって、
前記第1および第2の回路基板の一方に突設され、先端部に径の大きさが首部よりも大きな頭部を有する係止突起と、
前記第1および第2の回路基板の他方に形成され、前記係止突起を受容する係止穴とを備え、
前記係止穴が、前記係止突起の頭部よりも幅狭に形成され当該係止突起の首部を挿通させつつ前記頭部を抜け止めする長穴と、当該長穴の両側部に設けられ長穴の長手方向に沿って延在する一対のスリットとにより形成されることを特徴とする基板間接続コネクタ構造。
【請求項2】
前記係止突起および係止穴は、前記第1および第2の回路基板の幅方向および長さ方向にそれぞれ離間して少なくとも4つ以上設けられており、
前記係止突起に対応するそれぞれの前記係止穴は、少なくとも2箇所が前記幅方向に延設され、残りの少なくとも2箇所が前記長さ方向に延設されることを特徴とする請求項1に記載の基板間接続コネクタ構造。
【請求項3】
前記スリットは、前記長穴の前記係止突起が挿通される挿通部で、当該スリットと前記長穴との間隔が狭くなるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の基板間接続コネクタ構造。
【請求項4】
前記長穴の挿通部が当該長穴の長手方向略中央部であり、
前記スリットは、前記長穴との間隔が長穴の長手方向略中央部で狭く、長手方向両端部で広くなるように形成されることを特徴とする請求項3に記載の基板間接続コネクタ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−59506(P2012−59506A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201061(P2010−201061)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】