説明

基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システム

【課題】基礎杭用の掘削穴の途中や下部に根固め球根部を造築する基礎杭施工において、造築された根固め球根部の形状を的確に確認することができる、基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システムを提供する。
【解決手段】掘削治具Kに取り付けられた拡大翼変化計測記憶手段21によって、拡大翼4の拡径・縮径状態の経時的変化を直接計測して記憶し、その直接計測された拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化と、拡大翼深度計測記憶手段22によって計測された拡大翼の深度の経時的変化とを統合することによって、根固め球根部50の形状を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎杭用の掘削穴の途中や下部に根固め球根部を造築する基礎杭施工において、造築された根固め球根部の形状を確認するための、基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基礎杭の施工方法は、中堀方式(インサイドボーリング方式)やプレボーリング方式などのいくつかの方式があるが、いずれも最下部の掘削ロッドの先端に掘削ビットを取付け、また、掘削の進捗に合わせて掘削ロッドを順次継ぎ足しながら、地盤を所定の深度(支持層)まで、土砂を汚泥化しつつ掘削して掘削穴を構築する。更に、杭の支持力を大きくするために、掘削ロッドの下部に支持され且つ拡大掘削用刃物を有する拡大翼を、上記支持層で拡翼(拡径)して掘削することで拡大根固め球根部用の拡大掘削部を形成する。そして、拡大掘削部において、噴射した根固め液(セメントミルク)と掘削土砂とを混合攪拌することで拡大根固め球根部を築造する。
【0003】
基礎杭の施工においては、この根固め球根部を築造は非常に重要な作業であり、各種の技術が提案されている。
【0004】
例えば、上記拡大翼については、特許文献1〜4に、回転方向を変えることで拡大翼を機械的に拡径・縮径(拡翼・縮翼)可能な機械式の機構のものが開示されている。また、特許文献5、6に、油圧シリンダ装置で拡大翼を拡径・縮径可能な油圧式の機構のものが開示されている。
【0005】
一方、地中での施工状態の検知を行う手法としては、特許文献7に、掘削機器に機器の状態を検知するセンサを取り付けておき、それを地上にあるAD変換機構を有するコンピュータに取り込んで施工状態を可視化する手法が示されている。
【0006】
また、中堀根固め工法の施工管理に関しては、特許文献8に、セメントミルクの注入量、オーガ(掘削機)の変位速度・負荷電流・変位計測手段をモニタ上に表示することで、施工管理を容易にする方法が示されている。
【0007】
なお、一般的な掘削溝についてその形状を知るための手段としては、特許文献9に、掘削溝にセンサを下ろして溝壁の形状(鉛直度等)を計測する手段が示されている。
【特許文献1】特開2003−035083号公報
【特許文献2】特開2003−106082号公報
【特許文献3】特開2005−023561号公報
【特許文献4】特開2005−029988号公報
【特許文献5】特開2001−073664号公報
【特許文献6】特開2005−315053号公報
【特許文献7】特開2005−240284号公報
【特許文献8】特開2000−240058号公報
【特許文献9】特開平08−219778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
根固め球根を所定の寸法で築造することは非常に重要であるが、実際に根固め球根部の施工状態を目視にて直接確認することができないことから、拡大翼を拡翼したつもりが、地中でそれがうまくいかずに施工を完了してしまい、そのために支持力不足になると、上部構造も含めた構造物・建造物全体の問題になる。したがって、基礎杭の品質・性能を保証する意味でも、拡大翼が所定の深度で拡翼して、根固め球根部が設計通りに築造できていることを確認する手段が求められている。
【0009】
しかし、前記特許文献1〜7に記載の技術では、拡大翼が所定の位置で拡翼して、根固め球根部が設計通りに築造できていることを的確に確認することが難しい。
【0010】
すなわち、前記特許文献1〜4に記載の機械式の拡大翼の場合には、拡翼する際の二重管構造の軸の伸縮に応じた掘削ロッドの変動を地上部で検知することで、拡大翼の拡翼を間接的に確認することが可能である。しかし、拡大翼の拡翼を直接的に確認しているわけではなく、拡翼に伴う地上部での掘削ロッドの変動によって間接的に判断するものであるので、確認の正確性に問題がある。
【0011】
また、前記特許文献5、6に記載の油圧式の拡大翼の場合には、油圧によって拡大翼の開度(拡翼量)を判定する方法が想定されるが、検出する油圧は、拡大掘削部での土圧や拡大翼の受ける外力(特に岩などの存在によって異なる)によって一定でないため、油圧の値によって拡大翼の開度を判定しようとすると、その判定精度が良くない。
【0012】
一方、地中での施工状態の検知を行う手法として提案されている特許文献7においては、拡大翼の開度(拡翼量)を知るためのセンサについては仕様が示されておらず、その記載からだけでは実際のシステムを構築することは困難である。
【0013】
また、中堀り根固め工法の施工管理を謳って提案されている特許文献8においては、拡径掘削についての施工管理については一切記述されておらず、この工程について何ら問題提起が為されていない。
【0014】
また、掘削溝の形状の計測手法である特許文献9については、あくまでも上方が開放されている掘削溝にのみ使用できる手法であり、根固め球根部のように、掘削中で泥水の満たされた孔であり、かつ、掘削後ソイルセメントで充填され固化されるため、開放されることのない掘削穴においては適用できない。
【0015】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、基礎杭用の掘削穴の途中や下部に根固め球根部を造築する基礎杭施工において、造築された根固め球根部の形状を的確に確認することができる、基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0017】
[1]掘削ロッドの先端部に対し拡径可能に支持されると共に拡大掘削用刃物が取り付けられた拡大翼を備えた基礎杭施工用の掘削治具を使用し、上記拡大翼を拡径させて掘削することで掘削穴の途中若しくは下部に根固め球根部を築造する基礎杭施工において、築造された根固め球根部の形状を確認するための、基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システムであって、
前記掘削治具に取り付けられて、前記拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼変化計測記憶手段と、
地上に設置されて、前記拡大翼が位置する深度の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼深度計測記憶手段と、
前記掘削治具が地上に引き上げられた際に、前記拡大翼変化計測記憶手段に記憶されている計測結果を取り出す拡大翼変化計測結果取得手段と、
前記拡大翼深度計測記憶手段によって計測された拡大翼の深度の経時的変化と、前記拡大翼変化計測結果取得手段手段によって取り出された拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化とを統合し、それによって得られる深度と掘削径の関係に基づいて、根固め球根部の形状を検知する根固め球根部形状検知手段と
を備えていることを特徴とする基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明においては、掘削治具に取り付けられた拡大翼変化計測記憶手段によって、拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化を直接計測して記憶し、その直接計測された拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化と、拡大翼深度計測記憶手段によって計測された拡大翼の深度の経時的変化とを統合することによって、根固め球根部の形状を検知するようにしているので、造築された根固め球根部の形状を的確に確認することができる。
【0019】
したがって、本発明によって、造築された根固め球根部の形状が設計通りできていないことが明らかになった場合は、掘削機(掘削治具)を再投入して再掘削することで、設計通りの根固め球根部を確実に構築することができる。これにより、基礎杭施工に関する品質管理を適切に行うことが可能となる。また、旧来の手法では、根固め球根部の形状が設計通りできていなくて、最悪の場合、後日、支持力不足が発覚した際に、上部構造の撤去および基礎の再構築ならびに基礎の再構築に伴う機材の手配・運搬に伴うコストが発生していたが、本発明により、このコストが削減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1〜図5は、本発明の一実施形態において、最下部の掘削ロッド1の先端に取り付けられる掘削治具Kの一例を示すものである。図1と図3と図5は後述する拡大翼4が縮径(縮翼)した時の側面図と平面図と断面図であり、図2と図4は拡大翼4が最大径まで拡径(拡翼)した時の側面図と平面図である。
【0022】
図1〜図5に示すように、この掘削治具Kは、掘削ロッド1から回転トルクが伝達される駆動軸2と、該駆動軸2にスプライン結合して該駆動軸2と一緒に共回りする掘削軸3とを備えている。
【0023】
そして、上記掘削軸3の先端部には軸掘り用掘削翼6がスクリュー状に形成され、その掘削翼6の下端部に複数の刃物7が取り付けられて、軸掘り用刃物を構成している。
【0024】
また、その掘削軸3の外径面には、後述の補助リンク12を取り付けるための円筒状の回動ブラケット9が駆動軸2と同軸に取り付けられている。この回動ブラケット9は、上下軸廻りに回動変位可能な状態で上記掘削軸3に支持されている。
【0025】
上記駆動軸2は、図5に示すように、筒体から構成され、その駆動軸2内に掘削軸3の上部が同軸に挿入されている。また、駆動軸2と掘削軸3とは、上下方向(軸方向)に相対変位可能にスプライン結合している。なお、掘削軸3も筒体から構成される。
【0026】
上記スプライン結合の構成について説明すると、図6に示すように、駆動軸2の内径面から内径方向に菱形状のキー11が突出し、掘削軸3の外径面には、上記キー11を上下に案内するためのキー溝10が形成されている。上記キー溝10は、円周方向に展開した状態の外径側からみた部分拡大図である図7(a)に示すように、掘削軸3の軸線Pに対し所定角度θだけ傾斜した斜め方向に延在、つまり、掘削軸3の内径面に沿って螺旋状に上下に延びている。上記キー溝10の傾斜方向は、掘削軸3が正回転する方向に向かうにつれて上方に変位するように設定されている。上記軸線Pは駆動軸2の軸線(回転軸)でもある。なお、上記キー溝10の傾斜角θは、軸線Pに対し例えば20度程度に設定されている。
【0027】
そのキー溝10の幅は、中央部分10Cは、キー11の幅の約2倍弱程度の寸法であるが、上側部分10Aは、第1幅広部を構成し、キー11の幅の約3倍の溝幅に設定され、上側部分10Aと中央部分10Cとの境界部には、キー11の下端部と下側から対向可能な水平面(突き当て面10a)を形成する段部を有する。上記段部は、拡大翼4を縮径した状態で外径側から見て左側、つまり駆動軸2が正回転する際にキー11が押し付けられる左側壁10b側に拡幅している。また、上記キー溝10の下側部分10Bは、第2幅広部(ロック機構)を構成し、キー11の幅の約3倍の溝幅に設定され、下側部分10Bと中央部分10Cとの境界には、キー11の上端部に上側から対向可能な水平面(突き当て面10d)を形成する段部を有する。上記段部は、拡大翼4を拡径した状態で外径側から見て右側、つまり駆動軸2が逆回転する際にキー11が押し付けられる右側壁側に拡幅している。
【0028】
また、上記駆動軸2の外径面には、支持ブラケット13が設けられ、その支持ブラケット13に対し、拡大翼4の上端部が上下方向にのみ回動可能に支持されている。
【0029】
この拡大翼4は、図3及び図4に示すように、駆動軸2の軸線(回転軸)及び拡大翼4の上端取付け点L1を含む垂直な仮想平面F上を上下に旋回するように、当該拡大翼4の上端部が上記支持ブラケット13に支持されている。これによって、上記拡大翼4は、縮径時には、駆動軸2の軸線と略平行に配置され、拡径するにつれて上記仮想平面Fに沿って駆動軸2の径方向外方に向けて旋回する。また、上記拡大翼4の上部には、拡大掘削用の刃物8が取り付けられている。
【0030】
また、各拡大翼4の延在方向中途部には、第2支持部材14が設けられている。その第2支持部材14を構成する同一の回動軸に対して、2本の補助リンク12の上端部が上下方向に回動可能に連結している。その2本の補助リンク12の下端部は、それぞれ上記回動ブラケット9に対して、上下方向にのみ回動可能に連結されている。上記2本の補助リンク12は、図3及び図4に示すように、上記仮想平面Fに対して面対称となる位置に設定されている。この実施形態では、上記仮想平面F及び上記駆動軸2の軸線の両方に直交する直線上に、上記2本の補助リンク12の下端部取付け点L2を配置している。もっとも、これに限定されない。要は、上記仮想平面Fに対して面対称となるように配置されていればよい。ただし、本実施形態の方がモーメントの腕を長く設定できる。
【0031】
そして、本実施形態では、上記構成の拡大翼4及び補助リンク12の組が、軸対称に2組設けた場合を示している。すなわち、同一の仮想平面F上を2本の拡大翼4が上下に移動可能に配置されている。上記構成の拡大翼4及び補助リンク12の組を、上面視で等間隔となるようにして3組以上設けても良い。また、本実施形態では、回動ブラケット9への4本の補助リンク12における下端取付け部の取付け点L2を左右2点となるように、上述のように、上記仮想平面F及び上記駆動軸2の軸線の両方に直交する直線上に、各補助リンク12の下端取付け点L2を設定している。
【0032】
また、掘削軸3には、拡大翼4が最大径まで拡径したときに、上記駆動軸2の下端面が当接して、それ以上、駆動軸2が下方に相対移動つまり拡大翼4がそれ以上、上方に移動することを規制する当接部3aを備えている。
【0033】
ここで、符号16は、セメントミルクの噴射穴であって、図5に示すように、上記掘削軸3及び駆動軸2内を上下に延びる配管路17に連通し、該配管路17を通じてセメントミルクが噴射穴16から噴射可能となっている。その配管路17の上部は、駆動軸2の上端部に取り付けられたプラグ18内の挿通路に挿入されている。
【0034】
次に、上記の掘削治具Kを用いて基礎杭施工を行う手順について説明する。
【0035】
なお、ここでは、掘削施工として中堀方式を採用する場合で例示する。ただし、プレボーリング方式でも、拡大掘削部分の施工に限定してみると、ほぼ同じ作業となる。
【0036】
まず、図8(a)のように、上記掘削治具Kを先端部に取り付けた掘削ロッド1を挿入した下杭を立て込む。この状態では、上記掘削治具Kは吊り下げた状態となり、掘削軸3に対し駆動軸2が上方に変位した状態となり、拡大翼4は下方に旋回して縮径した状態となっている。すなわち、この状態では、駆動軸2に設けたキー11は、キー溝10の上側部分10Aに位置(図7(a)参照)する。なお、上記キー11のキー溝10に対する上下方向の移動範囲は、上記当接部3a、拡大翼4、及び補助リンク12で規制される。
【0037】
続いて、内側オーガと掘削ロッド1を接続し、図11(b)に示すように、駆動軸2に回転トルクが伝達されて、軸掘り状態になると、上記キー11は図7(b)のように、左側に回転(正回転)して、外径方向からみてキー溝10の左側の側壁10bに押し付けられることで、キー11及び該側壁10bを介して、駆動軸2から掘削軸3にトルクの伝達が行われ、掘削軸3が回転して、上記軸掘り用の刃物による地盤の掘削が行われる。すなわち、掘削・攪拌しながら杭(鋼管)の回転沈設を行う。図中、符号19は杭を回転沈降するための回転装置である。
【0038】
このとき、下方へ掘削を進めるために、駆動軸2に対しては上方から下向きの外力を作用させ、また、掘削軸3に地盤からの反力として上向きの外力が作用することで、キー11は、キー溝10に沿って下方に移動しようとするが、キー11は、段部の水平面(突き当て面10a)に当接することで、下方への移動が阻止、つまり、拡大翼4が拡径することが防止される。これによって、拡大掘削機構を備えても杭内に沿って軸掘りの掘削が可能となる。またこのとき、上記縮径している一対の拡大翼4は、図1及び図3に示すように、それぞれ駆動軸2に沿って上下に延びるように配置されることで、平面視において、杭内の空間における当該拡大翼4が占める領域が小さい。このため、軸掘り時の掘削土は、上記拡大翼4にさほど妨げられることなく、上方に移動することが可能となり、当該拡大翼4位置での土砂が詰まることが防止される。
【0039】
また、このとき、図8(c)のように、順次、上下の掘削ロッド1を接続する作業、及び杭の継手施工が行われ、図8(d)のように、所定深度にある支持層まで掘削・攪拌しながら、杭の回転沈設作業を行う。
【0040】
次に、図8(e)のように、杭先端位置から更に、拡大掘削部分について、下方に向けて正回転で、所定深さ(例えば杭径の2.25倍以上)まで先行掘削を行う。これは、本実施形態では、逆堀で拡大掘削を行うためである。
【0041】
次に、以下のようにして、根固め球根部のための拡大掘削を行う。
【0042】
まず、駆動軸2を逆方向に回転させる。これによってキー11は、外径方向からみた図7(c)に示すように、円周方向右側に移動してキー溝10の外径方向からみて右側の側壁10cに当接する。続いて、逆回転しながら駆動軸2に下向きの荷重を掛けることで、図7(d)に示すように、キー11はキー溝10の右側壁10cに押し付けられ、該右側壁10cに沿って下方に変位する。上記のように、キーがキー溝10の右側壁10cに移動するにつれて、掘削軸3が駆動軸2に対して上方へ相対変位し、拡大翼4は徐徐に上方に回動して拡径する。このとき、上記キー溝10が駆動軸2の逆回転方向に傾いて螺旋状に延びていることから、キー11がキー溝10の右側壁10cに押し付けられる際の反力によって、キー溝10の側壁からキー11に下方に向かう外力が作用するので、キー11とキー溝10の右側壁10cとの間の圧力が大きい場合でも、キー11がキー溝10の右側壁10cに沿って下方に移動しやすくなる、つまり拡大翼4が開き易くなる。また、拡大翼4を上下に回動させることで拡径するので、閉じた状態で杭内径よりも小さく縮径可能としても、拡大翼4の拡径時の最大径を大きくすることができる。
【0043】
図2のように、拡大翼4の拡径が完了すると、キー11は、図7(d)のように、外径方向から見て右側に移動して第2幅広部の段部に入り、突き当て面10dによって、上方への移動が規制される。ここで、逆回転のときは、掘削軸3は下方に移動しない(掘削しない)ため、拡大翼4の上方への回動と同期をとって、駆動軸2が下方に移動することから、拡大翼4の先端(下端)を、ほぼ水平な軌道を描いて移動(掘削)させることができる。すなわち、拡大翼4を拡径する際の掘削量が少なくて済むので、拡大翼4を拡径するための仕事量が効率的となる。また、拡径のための上記掘削も、掘削軸3に対する駆動軸2の縮み量に応じて徐徐に地盤に入り込んで行くため、地盤が硬くても確実に拡大翼4を拡径することができる。
【0044】
続いて、図8(f)のように、逆回転(左回転)を続けながら上方に引っ張り上方に向けて拡大掘削を行う。このとき、上記キー11が第2拡幅部の突き当て面に当接することによって駆動軸2に対し掘削軸3が下方に変位することが防止されて、つまり拡大翼4を拡径状態のままに保持できる。
【0045】
次に、上記拡大掘削が完了して、根固め球根部用の空間50が形成されたら、噴射穴16からセメントミルクを当該空間に噴射する。このとき、逆回転させながら、上記掘削軸3を上下に往復移動させて、攪拌を行う。このとき、逆回転させながら掘削治具Kを上下に移動させるので、キー11がキー溝10の右側壁10cに押し付けられ、上記ロック機構で拡大翼4が縮径することが防止される。
【0046】
次に、駆動軸2の回転を右回転することで、図7(d)→(e)のように、キー11が移動する。その状態から、上方に引き上げると、掘削軸3の自重によって相対的にキー11はキー溝10に沿って上方に移動する結果、図8(g)のように、拡大翼4が縮径した状態となり、杭内を通過可能となる。すなわち、掘削ロッド1を正回転して拡大翼4を縮径させて引き上げる。
【0047】
このようにして、根固め球根部が築造されたら、次に、図11(h)に示すように、鋼管杭の下端部を拡大掘削部に回転圧入させて定着させ、続いて、掘削ロッド1を引き上げる。
【0048】
そして、本実施形態においては、上記のようにして築造された根固め球根部50の形状を確認するために、根固め球根部形状確認システムを備えている。
【0049】
この根固め球根部形状確認システムは、図9に示すように、
(A)拡大翼14の拡翼を直接観測できる個所(例えば、拡大翼4自体)に取り付けられて、拡大翼14の拡径・縮径状態の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼変化計測記憶手段21と、
(B)地上に設置されて、拡大翼4が位置する深度の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼深度計測記憶手段22と、
(C)拡大翼4が地上に引き上げられた際に、拡大翼変化計測記憶手段21に記憶されている計測結果を取り出す拡大翼変化計測結果取得手段23と、
(D)拡大翼深度計測記憶手段22によって計測された拡大翼4の深度の経時的変化と、拡大翼変化計測結果取得手段23によって取り出された拡大翼4の拡径・縮径状態の経時的変化とを統合し、それによって得られる深度と掘削径の関係に基づいて、根固め球根部50の形状を検知する根固め球根部形状検知手段24と
を備えている。
【0050】
ここで、上記の拡大翼変化計測記憶手段21は、拡大翼4の拡径・縮径状態を計測するための拡大翼変化検出センサ30と、拡大翼変化検出センサ30が計測した拡径・縮径状態とその計測時刻を記憶・格納するためのメモリ21aを備えた、拡大翼変化検出センサ付き記録用コンピュータ(以下、マイコンと称す)である。
【0051】
また、拡大翼深度計測記憶手段22は、既に多くの施工現場で実施されているが、地上において、掘削ロッド1の長さをもって拡大翼4の位置する深度とし、その長さと計測時刻をロガーに記録する装置である。
【0052】
また、拡大翼変化計測結果取得手段23は、マイコン21のメモリ21aに格納されている計測結果を取り出して、モニタに表示させたり、あるいは、外部メモリに移送したりする装置である。
【0053】
そして、根固め球根部形状検知手段24は、拡大翼深度計測記憶手段22が計測した拡大翼4の深度の経時的変化(時刻−深度関係)と、拡大翼変化計測結果取得手段23が取り出した拡大翼4の拡径・縮径状態の経時的変化(時刻−拡径・縮径状態遷移)とを用いて演算処理を行う演算処理コンピュータである。ちなみに、上記の外部メモリには、この演算処理コンピュータ24が備えているメモリを用いる。
【0054】
以下に、上記の各手段を詳説する。
【0055】
(A)拡大翼変化計測記憶手段21
拡大翼変化計測記憶手段21を構成する拡大翼変化検出センサ30は、拡大翼4が拡径・縮径する際の可動部に取り付けられ、その可動部の可動変化を検出することで、拡翼の拡径・縮径の状況を検出するものである。この翼変化検出センサ30は、少なくとも拡大翼4が拡径していることを検出可能であればよい。精度は、例えば、最小の分解能(例えば、0=縮翼、1=拡翼)で拡翼か縮翼かを検出する程度のものであってよいし、ある程度の多段階の分解能(例えば、0=縮翼、15=完全に拡翼、その間は1刻みで6度おきに開度)で拡翼状況を検出するものであってもよい。
【0056】
以下に、拡大翼変化検出センサ30の例を示す。
【0057】
(A−1)傾斜センサの使用
模式図である図10(a)、(b)に示すように、拡大翼4の延在方向中途部の上面側に傾斜センサ31が設置されている。この傾斜センサ31は、傾斜角度が所定角度以下となるとスイッチング出力する。すなわち、ある傾斜角を境として、所定傾斜角を超えているとスイッチがオフ、所定角度以下となるとオンになって信号を出力するものを使用する(信号の出力は反対の構成でも構わない。)。すなわち、拡大翼4は閉じているときには下方を向いて傾斜角が大きいが、拡翼するにつれて、上方の回転ピン部分を中心として上方に回転しながら広げられて傾斜角が小さく成り、所定角度以上拡翼すると、傾斜センサ31はスイッチがオンとなる。
【0058】
なお、拡大翼4の拡径状態をより細かく検出する場合には、上述のようにある程度の分解能を持ったセンサを使用し、例えば傾斜角度に応じて信号を1度ごとに出力するセンサを用いればよい。
【0059】
ちなみに、ここでは、傾斜センサ31を、拡大翼4に固定しているが、補助リンク12に傾斜センサ31を設置してもよい。
【0060】
(A−2)回転センサの使用
模式図である図11(a)、(b)に示すように、拡大翼4若しくは補助リンク12の端部の回動部に対して回転センサ32を設置して、拡大翼4若しくは補助リンク12の回動を検出する。縮径位置を初期値として回転を検出すればよい。簡便には、ピン埋め込み型の回転センサ32を使用する。この場合には、回転時にピンも回転するため、ピンに回転センサ32を埋め込んでおき、回転角がある値を上回った時点で拡径と見なせばよい。
【0061】
(A−3)近接センサの使用
拡大翼4が拡径する際に、シャフト42の伸縮によって、駆動軸2の下端部に対して、掘削軸3の下部及び回動ブラケット9が接近する構造となっている場合には、例えば、図12(a)、(b)に示すように、当該駆動軸2の下端部と回動ブラケット9との間に近接センサ33を設置して、拡大翼4の拡翼状態・縮翼状態を検出すればよい。近接度合いについて、ある程度の分解能を要する場合には、超音波距離センサを用いることで近接距離を計測することが可能となる。
【0062】
(A−4)近接センサの使用
上記(A−3)と同様に、シャフト42の伸縮により拡大翼4が拡径するような構造になっている場合には、図13(a)、(b)に模式図を示し、図13(a’)、(b’)にその部分拡大図を示すように、シャフト42の格納部41に近接センサ34を設置して、格納部41に設けたセンサ用穴41bから近接センサ34でシャフト格納用空間41aを観測して、シャフト42の伸縮状態を検知することにより、拡大翼4の拡翼状態・縮翼状態を判別することが可能である。(A−3)と同様シャフト42を監視している点は同じだが、掘削機内部のシャフト格納用隙間におけるシャフト位置を観測している点が異なる。この方法は、(A−3)に比べて、掘削機にセンサ用穴41bを設ける必要があるものの、センサ部が掘削時に泥水に触れることがなく精度が安定する。
【0063】
なお、シャフト42は鉄やステンレスなどで製作されていることが多く、この場合、これら一般の金属を対象とした近接センサを用いることができる。
【0064】
仮に、シャフト42が金属ではない場合や、通常の近接センサが適用無い金属であった場合には、シャフト42に磁気バンドを巻き、近接センサとして磁力センサを用いることで、帯磁したシャフト上端(磁気バンド)が近接してきたことを確認することが可能となり、シャフト42が所定の位置まで上がり、拡径したことを判別することが可能になる。
【0065】
(B)拡大翼深度計測記憶手段22
前述したように、拡大翼深度計測記憶手段22は、地上において、掘削ロッド1の長さをもって拡大翼4の位置する深度として記録(計測・記憶)するものである。
【0066】
これは、現在、杭基礎の構築を行う多くのケースで取られている手段であり、自動的にロガーに基礎杭の打設深さ(拡大翼の深度)と時刻が併せて記録されることが多い。中には、基礎杭の打設深さと時刻を手帳に記録することもあるが、これでも、時刻と深度の関係が明らかになっている限りこの情報を使うことは可能である。
【0067】
すなわち、最低限、(ア)時刻、(イ)深度に関する情報が取得され、電子化可能であることとしている。
【0068】
(C)拡大翼変化計測結果取得手段23
前述したように、拡大翼変化計測結果取得手段23は、マイコン21のメモリ21aに格納されている計測結果を取り出して、モニタに表示させたり、あるいは、外部メモリに移送したりするものである。
【0069】
掘削機(掘削治具K)を地上に引き上げた際に、マイコン21の機側のスイッチにより、拡大翼4の拡翼・縮翼の発生状況と発生時刻を表示可能とする。一回の掘削において複数回の拡翼・縮翼の状況発生がありうるため、連番で記録するものとする。
【0070】
従って、必要となる情報は、(あ)連番、(い)時刻、(う)拡翼・縮翼状況を示す数値(例えば、縮径→拡径:1、拡径→縮径:0)の三種類である。
【0071】
なお、これ以降の処理の簡便さを考えると、前述したように、上記データを機側のインターフィスから演算処理コンピュータ24のメモリに転送することが好ましい。
【0072】
(D)根固め球根部形状検知手段24
前述したように、根固め球根部形状検知手段24は、拡大翼深度計測記憶手段22が得た時刻−深度データと、拡大翼変化計測結果取得手段23が得た時刻−拡翼・縮翼状態データとに基づいて、根固め球根部の形状を検知するものである。
【0073】
すなわち、まず、時刻−拡翼・縮翼状態データについて、掘削機の仕様(通常径(拡大翼縮径時の掘削径)と拡大径(拡大翼拡径時の掘削径))から、時刻−掘削径データに変換する。そして、その時刻−掘削径データと時刻−深度データとを統合して、深度−掘削径データを得る。これによって、地上に居る施工者がアクセスできない地中の根固め球根部の出来形を検知する。
【0074】
そして、このような根固め球根部形状確認システムを用いて基礎杭施工を行う際には、図14に示すように、以下のような手順で実施する。
【0075】
(S1)施工開始:拡大翼深度計測記憶手段22が、掘削機(拡大翼)の深度データを施工開始直後から随時記録する。
【0076】
(S2)根固め球根部築造対象である支持層に到達:拡大翼深度計測記憶手段22が、支持層の位置データと到達時刻を記録する。
【0077】
(S3)掘削機の径を拡大(拡翼):マイコン21の拡大翼変化検出センサ30が拡翼状態を検出し、この時の時刻と状態のデータを内部メモリ21aに記憶する。
【0078】
(S4)根固め球根部の築造:拡大翼4を拡翼した状態で掘削(拡大掘削)を行う。
【0079】
(S5)掘削機の径を縮小(縮翼):マイコン21の拡大翼変化検出センサ30が縮翼状態を検出し、この時の時刻と状態のデータを内部メモリ21aに記憶する。
【0080】
(S6)掘削終了:地上に掘削機を戻す。
【0081】
(S7)マイコンの確認とデータ取得:拡大翼変化計測結果取得手段23を用いて、マイコン21の内部メモリ21aにデータが記憶されていることを確認し、そのデータを取得する。
【0082】
(S8)深度・拡翼状況データ統合:根固め球根部形状検知手段24が、時刻−深度データと時刻−拡翼状況データを統合して、深度−掘削径データに変換する。これによって、根固め球根部の形状(掘削形状)が検知される。
【0083】
(S9)掘削形状の確認:検知された掘削形状が設計通りであるか否か(すなわち、拡径が所定の深度でなされているか否か)を確認する。その結果、掘削形状が設計通りであれば、施工終了(S10)とする。一方、拡大翼4が予定通り拡翼しなかったとか深度が違っていたとかで、掘削形状が設計通りでない場合には、再施工(S11)とする。
【0084】
このようにして、本実施形態においては、以下のような効果を得ることができる。
【0085】
(1)目視・アクセスが不可能な根固め球根部の出来形が確認可能
拡大翼変化検出センサ30を拡大翼4の可動部に設置して拡大翼4の状態を検出するようにしているので、オペレータが直接確認できない地中の掘削形状(根固め球根部の出来形)を的確に確認することができる。その結果、造築された根固め球根部の形状が設計通りできていないことが明らかになった場合は、掘削機(掘削治具)を再投入して再掘削することで、設計通りの根固め球根部を確実に構築することができる。これにより、基礎杭施工に関する品質管理を適切に行うことが可能となる。また、旧来の手法では、根固め球根部の形状が設計通りできていなくて、最悪の場合、後日、支持力不足が発覚した際に、上部構造の撤去および基礎の再構築ならびに基礎の再構築に伴う機材の手配・運搬に伴うコストが発生していたが、本実施形態では、このコストが削減される。
【0086】
(2)低コスト
また、本実施形態では、拡大翼4が機械式であるので、拡大翼4を拡径するために油圧ジャッキなどを掘削機器に組み込む必要がない。この油圧を利用した掘削機器は硬くて乱されない状態の地盤を掘削するためのものであり、掘削中は大きな振動や当初の掘削計画には無い不慮の岩質地盤等の存在により損傷することも多い。また、現場作業ではこうした機器は手荒く扱われるため故障の可能性も高い。このような機器に油圧機構を導入することはコストの面からも難しく、また、故障・地中残置などのリスクもあるため、コスト的には困難である。この点、本実施形態では、回転方向により機械式で拡大翼4の拡径・縮径を制御できるので、このような欠点を回避でき、また、拡大翼変化検出センサ自体は安価な製品の組み合わせであり、コスト的に有利である。
【0087】
なお、本発明が適用できるのは、本実施形態で用いた機械式の拡大翼に限定されるものではなく、それ以外の機械式の拡大翼であっても構わない。また、油圧式の拡大翼であってもよい。
【実施例1】
【0088】
本発明の実施例として、前述の実施形態に基づいて本発明を実施した結果の一例を以下に示す。
【0089】
まず、拡大翼深度計測記憶手段22によって得られた時刻−深度データを表1に示す。また、それをグラフ化したものを図15に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
次に、拡大翼変化計測記憶手段(マイコン)21と拡大翼変化計測結果取得手段23によって得られた時刻−拡大翼状態データを表2に示す。また、それをグラフ化したものを図16に示す。
【0092】
【表2】

【0093】
このデータから、ここでは、拡翼が、14:21〜14:22と14:25〜14:50の間で発生していることが判る。
【0094】
そして、図15に示した時刻−深度図と、図16に示した時刻−拡大翼状態図を重ね合わせたものを図17に示す。これによって、拡径状態にあった時の深度と、その深度における掘削機の滞在時間(回転時間:ソイルセメント攪拌に要した時間)が判る。
【0095】
そして、掘削機の仕様から、時刻−拡大翼状態データを時刻−掘削径データに変換し、その時刻−掘削径データと時刻−深度データとを統合することによって得られた深度−掘削径データを表3に示す。また、その深度−掘削径データを図示化したものを図18に示す。
【0096】
【表3】

【0097】
これによって、オペレータが直接確認できない地中の掘削形状(根固め球根部の出来形)が設計通りに築造されていることを的確に確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の一実施形態における掘削治具の縮径時の側面図である。
【図2】本発明の一実施形態における掘削治具の拡径時の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態における掘削治具の縮径時の平面図である。
【図4】本発明の一実施形態における掘削治具の拡径時の平面図である。
【図5】本発明の一実施形態における掘削治具の縮径時の断面図である。
【図6】掘削治具のスプライン結合を示す断面図である。
【図7】掘削治具のスプライン結合状態の変化を示す図である。
【図8】基礎杭施工を説明する図である。
【図9】本発明の一実施形態における根固め球根部形状確認システムの構成を示す図である。
【図10】傾斜センサの設置を説明する図である。
【図11】回転センサの設置を説明する図である。
【図12】近接センサの設置を説明する図である。
【図13】近接センサの設置を説明する図である。
【図14】本発明の一実施形態における基礎杭施工の手順を説明する図である。
【図15】本発明の実施例における時刻−深度図である。
【図16】本発明の実施例における時刻−拡大翼状態図である。
【図17】本発明の実施例において時刻−深度図と時刻−拡大翼状態図を重ね合わせた図である。
【図18】本発明の実施例において掘削形状を図示化した図である。
【符号の説明】
【0099】
1 掘削ロッド
2 駆動軸
3 掘削軸
4 拡大翼
6 掘削翼
7 刃物(軸堀り用刃物)
8 刃物(拡大掘削用刃物)
9 回動ブラケット
10 キー溝
10A 上側部分
10B 下側部分
10C 中央部分
10a 突き当て面
10b 左側壁
10c 右側壁
10d 突き当て面
11 キー
12 補助リンク
13 支持ブラケット
14 第2支持部材
15 第3支持部材
16 噴射穴
17 配管路
18 プラグ
21 拡大翼変化計測記憶手段(マイコン)
21a メモリ
22 拡大翼深度計測記憶手段
23 拡大翼変化計測結果取得手段
24 根固め球根部形状検知手段(演算処理コンピュータ)
30 拡大翼変化検出センサ
31 傾斜センサ
32 回転センサ
33 近接センサ
34 近接センサ
41 シャフト格納部
41a シャフト格納用空間
41b センサ用穴
42 シャフト
50 根固め球根部
F 仮想平面
K 掘削治具
L1 拡大翼の上部取付け点
L2 補助リンクの上部取付け点
L3 補助リンクの下部取付け点
P 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削ロッドの先端部に対し拡径可能に支持されると共に拡大掘削用刃物が取り付けられた拡大翼を備えた基礎杭施工用の掘削治具を使用し、上記拡大翼を拡径させて掘削することで掘削穴の途中若しくは下部に根固め球根部を築造する基礎杭施工において、築造された根固め球根部の形状を確認するための、基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システムであって、
前記掘削治具に取り付けられて、前記拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼変化計測記憶手段と、
地上に設置されて、前記拡大翼が位置する深度の経時的変化を計測し、その計測結果を記憶する拡大翼深度計測記憶手段と、
前記掘削治具が地上に引き上げられた際に、前記拡大翼変化計測記憶手段に記憶されている計測結果を取り出す拡大翼変化計測結果取得手段と、
前記拡大翼深度計測記憶手段によって計測された拡大翼の深度の経時的変化と、前記拡大翼変化計測結果取得手段手段によって取り出された拡大翼の拡径・縮径状態の経時的変化とを統合し、それによって得られる深度と掘削径の関係に基づいて、根固め球根部の形状を検知する根固め球根部形状検知手段と
を備えていることを特徴とする基礎杭施工における根固め球根部の形状確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−41315(P2009−41315A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209456(P2007−209456)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】