説明

塗布方法、及び塗布装置

【課題】基板への連続塗布を行う場合においてもタクトタイムを短縮することのできる塗布方法、及び塗布装置を提供する。
【解決手段】基板Sを浮上させて順次搬送しつつ、順次搬送される複数の基板Sに液状体を連続的に塗布する方法である。基板Sの搬送方向後方側の所定領域を用いて、液状体を吐出するノズルの液状体の吐出状態を管理する、ノズル管理工程を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布方法、及び塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線や電極、カラーフィルタなどの微細なパターンが形成されている。一般的にこのようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板の表面上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルを固定し、当該スリットノズルの下を移動するガラス基板にレジストを塗布する塗布装置が知られている。このような塗布装置においては、均一なレジスト膜を得るために、スリットノズルのコンディションを整える必要があった。例えば、下記特許文献1では、レジスト塗布前にノズルのコンディションを整えることで均一なレジスト膜を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−236092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、レジストを塗布する前にノズル先端のコンディションを整える必要があるため、連続的に複数のガラス基板に処理を行う場合に処理時間が長くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、基板への連続塗布を行う場合においてもタクトタイムを短縮することのできる塗布方法、及び塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗布方法は、基板を浮上させて順次搬送しつつ、順次搬送される複数の前記基板に液状体を連続的に塗布する方法であって、前記基板の搬送方向後方側の所定領域を用いて、前記液状体を吐出するノズルの前記液状体の吐出状態を管理する、ノズル管理工程を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、基板の搬送方向後方側の所定領域でノズルの液状体の吐出状態の管理が行われるため、従来のように塗布処理に先立ち、ノズル先端のコンディションを整えるための処理を行うことなく、順次搬送される基板に対して連続的に液状体を塗布することができる。したがって、複数の基板に連続的に液状体を塗布する処理におけるタクトタイムを大幅に短縮することができる。
【0009】
また、上記塗布方法においては、前記ノズル管理工程においては、前記ノズルに対して前記液状体を供給する供給路を開閉可能とするバルブを閉じた後、前記ノズルが前記基板から離間するのが好ましい。
この構成によれば、液状体がノズルに供給されない状態でノズルが基板から離間するので、ノズルの液状体の吐出状態が良好に保持されたものとなる。
【0010】
また、上記塗布方法においては、前記ノズル管理工程においては、前記供給路内に前記液状体を移送するポンプの駆動を停止した後、前記バルブを閉じるのが好ましい。
この構成によれば、ポンプの駆動停止後にバルブが閉じられるため、供給路内の圧力が上昇するのを防止することをできる。
【0011】
また、上記塗布方法においては、前記ノズル管理工程においては、前記ポンプの駆動を停止するに際し、前記液状体を前記供給路内に引き込んだ状態とするのが好ましい。
この構成によれば、液状体をノズル内部に引き込む所謂サックバックを行った後、ポンプの駆動を停止させるので、ノズル先端に液状体が染み出すといったことが防止される。よって、液状体の吐出状態が良好に管理され、続けて他の基板に対する処理を行うことができる。
【0012】
また、上記塗布方法においては、前記バルブとして、内部容積変化量が0.3cc以下のものを用いるのが好ましい。
この構成によれば、バルブの開閉動作を行った場合に生じる内部容積変化量が抑えられる。よって、バルブ開閉に伴う液状体のノズル先端への染み出し量が抑えられ、ノズル管理工程の信頼性を向上できる。
【0013】
また、上記塗布方法においては、前記ノズル管理工程においては、前記基板の端部から10mm以下の領域を前記所定領域として設定するのが好ましい。
このように基板の端部から10mm以下を所定領域に設定することでノズルの液状体の吐出状態を良好に保つことができる。
【0014】
また、上記塗布方法においては、前記ノズルとして、前記液状体を吐出する開口部が形成された先端部の幅が0.3mm以下のものを用いるのが好ましい。
この構成によれば、ノズルの先端部の幅が0.3mm以下となっているので、先端部に保持される液状体の量が少なくなる。よって、上記ノズル管理工程においてノズル先端を安定化させるために必要とされる液状体の塗布距離を抑えることができる。
【0015】
本発明の搬送装置は、基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備える塗布装置であって、前記塗布部に設けられ、前記液状体を吐出するノズルと、前記基板搬送部により順次搬送される複数の前記基板に対して前記ノズルから前記液状体を連続的に塗布する際に、前記基板における搬送方向後方側の所定領域を用いて前記ノズルにおける前記液状体の吐出状態を管理する管理制御部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の塗布装置によれば、管理制御部によって基板の搬送方向後方側の所定領域でノズルの液状体の吐出状態の管理が行われるため、従来のように塗布処理に先立ち、ノズル先端のコンディションを整えるための処理を行うことなく、順次搬送される基板に対して連続的に液状体を塗布することができる。したがって、複数の基板に連続的に液状体を塗布する処理のタクトタイムを大幅に短縮できる。
【0017】
また、上記塗布装置においては、前記管理制御部は、前記ノズルに前記液状体を供給するための供給路を開閉可能とするバルブを閉じた後、前記基板から前記ノズルを離間させるのが好ましい。
この構成によれば、液状体がノズルに供給されない状態でノズルが基板から離間するので、ノズルの液状体の吐出状態が良好に保持された状態となる。
【0018】
また、上記塗布装置においては、前記供給路内に前記液状体を移送し、且つ前記管理制御部によって駆動が制御されるポンプを有し、前記管理制御部は、前記ポンプの駆動を停止した後、前記バルブを閉じることで前記供給路を閉塞するのが好ましい。
この構成によれば、ポンプの駆動停止後にバルブが閉じられるため、供給路内の圧力が上昇するのを防止することをできる。
【0019】
また、上記塗布装置においては、前記管理制御部は、前記供給路内に前記液状体を引き込んだ後、駆動を停止させるように前記ポンプを制御するのが好ましい。
この構成によれば、液状体をノズル内部に引き込む所謂サックバックを行った後、ポンプの駆動を停止させるので、ノズル先端に液状体が染み出すといったことが防止される。よって、液状体の吐出状態が良好に管理され、続けて他の基板に対する処理を行うことができる。
【0020】
また、上記塗布装置においては、前記バルブは、内部容積変化が0.3cc以下であるのが好ましい。
この構成によれば、上記バルブの開閉動作を行った場合に生じる内部容積変化量が抑えられる。よって、バルブ開閉に伴う液状体のノズル先端への染み出し量が抑えられ、ノズル管理工程の信頼性を向上できる。
【0021】
また、上記塗布装置においては、前記ノズルは、前記液状体を吐出する開口部が形成された先端部の幅が0.3mm以下であるのが好ましい。
この構成によれば、ノズルの先端部の幅が0.3mm以下となっているので、先端部に保持される液状体の量が少なくなる。よって、上記ノズル管理工程においてノズル先端を安定化させるために必要とされる液状体の塗布距離を抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ノズル先端のコンディションを整える処理を行うことなく、順次搬送される基板に連続的に液状体を塗布できるので、タクトタイムを大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】塗布装置の一実施形態に係る構成を示す斜視図である。
【図2】塗布装置の正面図である。
【図3】塗布装置の平面図である。
【図4】塗布装置の側面図である。
【図5】搬送機構の変形例に係る構成を示す図である。
【図6】ノズルにおけるレジストの供給系を説明するための図である。
【図7】塗布装置の動作を示す図である。
【図8】同、動作図である。
【図9】同、動作図である。
【図10】ノズル先端の状態を示す図である。
【図11】塗布装置の駆動タイミングチャートを示す図である。
【図12】図8に続く、動作図である。
【図13】他の形態に係る駆動タイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本実施形態に係る塗布装置1の斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素としている。この塗布装置1は、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0025】
図2は塗布装置1の正面図であり、図3は塗布装置1の平面図であり、図4は塗布装置1の側面図である。これらの図を参照して、塗布装置1の詳細な構成を説明する。以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、XYZ座標系を用いて図中の方向について説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向とする。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向とする。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向とする。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0026】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、図2、3に示されるように、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0027】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する領域であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24上のY方向中央部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0028】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0029】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0030】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材を有しており、搬入側ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0031】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の基板搬入位置の裏面側に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0032】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。また、処理ステージ27の内部には、エア噴出孔27a及びエア吸引孔27bを通過する気体の圧力に抵抗を与えるための図示しない溝が複数設けられている。この複数の溝は、ステージ内部においてエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bに接続されている。
【0033】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。また、処理ステージ27においては、エア噴出孔27aとともにエア吸引孔27bが密に設けられている。これにより、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0034】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の基板搬出位置の裏面側に設けられており、例えばフレーム部24に支持されている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0035】
搬送機構23は、図4に示すように、第一搬送機構60と、第二搬送機構61とを備えている。なお、図3においては、第一搬送機構60が基板Sを保持した状態を示し、第一搬送機構60の下方に配置されている第二搬送機構61の図示を省略している。
【0036】
第一搬送機構60は、搬送機(保持部)60aと、真空パッド(吸着部)60bと、レール60cと、搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上を移動可能とする移動機構(退避機構)63とを有している。また、第二搬送機構61は、搬送機(保持部)61aと、真空パッド(吸着部)61bと、レール61cと、搬送機61aを昇降可能とする昇降機構(退避機構)62とを有している。レール60c,61cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在している。
【0037】
搬送機60a,61aは、内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機60a,61aがレール60c,61c上を移動することで各ステージに沿って移動できるようになっている。すなわち、搬送機60a,61aは、基板Sを保持する保持部としての機能と、該保持部を駆動する駆動部としての機能とを備えたものとなっている。搬送機60a,61aは、所定の部分60d、61dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるようになっている。この基板Sに重なる部分60d、61dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に配置されるようになっている。
【0038】
第二搬送機構61は、図4に示すように第一搬送機構60と比べて、フレーム部24の階段状の段差部24cの下段に配置されている。また、平面的に視ると、第二搬送機構61は、第一搬送機構60に対してステージ側に配置されている。
【0039】
図4に示されるように、第二搬送機構61は、上記昇降機構62により搬送機61aを上昇させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。一方、第一搬送機構60は、上記移動機構63により搬送機60aを基板Sの搬送面と平行な面上で水平移動させることで基板Sにアクセス可能(進退可能)となっている。第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとは、それぞれ独立して移動可能となっている。
【0040】
また、例えば、第一搬送機構60が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第二搬送機構61の搬送機61aは、昇降機構62が下降することによって下方に待機し、第一搬送機構60(搬送機60a)の搬送経路から退避している。また、第二搬送機構61が基板Sを保持している場合、基板Sを保持していない第一搬送機構60の搬送機60aは、移動機構63によって−Y方向に移動し、第二搬送機構61(搬送機61a)の搬送経路から退避している。
【0041】
図3に示すように、真空パッド60bは、搬送機60aのうち上記基板Sに重なる部分60dに基板Sの搬送方向に沿って複数(本実施形態では3個)配置されている。この真空パッド60bは、基板Sを真空吸着するための吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド60bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。これら真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に本実施形態では、搬送機60aは、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離Wが80mm以内となるように基板Sを保持している。これにより搬送機60aにより基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、基板Sを均一に浮上させた状態で搬送することができる。したがって、基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止している。
【0042】
なお、第二搬送機構61における搬送機61aの構造は、図3では図示されていないものの、上記搬送機60aと同一構成を有している。すなわち、搬送機61aにおける真空パッド61bは、上記基板Sに重なる部分に基板Sの搬送方向に沿って3個配置されている。
【0043】
なお、本実施形態では、上記第一搬送機構60及び第二搬送機構61が、それぞれ搬送機60a、61aを一個ずつ備えた構成について説明するが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、図5に示すように、第一搬送機構60としてレール60cに搬送機60aが3個設けられた構成とすることができる。なお、図5においては、図示を省略するものの、第二搬送機構61についても搬送機61aを3個備えた構成とすることができる。また、ここででは、搬送機60a、61aが3個ずつ備える構成について説明するが、本発明はこれに限定されることは無く、搬送機60a、61aを2個ずつ、或いは4個以上ずつ備える構成についても適用可能である。
【0044】
以下、基板Pの搬送方向上流側から順に第1の搬送機161、第2の搬送機162、第3の搬送機163と称し、総称して搬送機161、162、163と呼ぶこともある。
これら搬送機161、162、163は、基板Sの搬送時においてはそれぞれが同期した状態でレール60c上を移動する。また、各搬送機161、162、163は、基板Sの非搬送時においては、レール60c上でそれぞれ独立に移動可能となっている。この構成によれば、搬送する基板Sの長さに応じて各搬送機161、162、163における基板Pの保持位置を任意に設定することができる。
【0045】
搬送機161の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向前方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機161は、基板Sの搬送方向前方の端部から真空パッド60bまでの距離W1が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0046】
また、搬送機163の真空パッド60bは、基板Sの搬送方向後方側の端部から250mm以内を保持するのが好ましく、80mm以内とするのが望ましい。具体的に搬送機163は、基板Sの搬送方向後方の端部から真空パッド60bまでの距離W2が80mm以内となるように基板Sを保持している。
【0047】
これら搬送機161、162、163により基板Sが均一に保持されて、基板端部が垂れ下がることが防止され、大型の基板Sを均一に浮上させた状態で搬送可能となる。したがって、大型の基板S上に塗布されるレジストを乾燥固化させた膜にムラが生じるのを防止できる。
【0048】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31とノズル32とを有している。
【0049】
ここで、ノズル32におけるレジストの供給系について説明する。図6に示されるように、ノズル32は、レジストが貯留された貯留タンク80とチューブ(供給路)90を介して接続されている。チューブ90には貯留タンク80からノズル32にレジストを搬送するための搬送用ポンプ91が接続されており、搬送用ポンプ91とノズル32との間におけるチューブ90には、チューブ90の内部流路を開閉可能とするバルブ92が設けられている。これら搬送用ポンプ91及びバルブ92には、塗布装置1の駆動全体を制御する制御部(管理制御部)60が電気的接続され、これによりそれぞれの駆動が制御されている。なお、本実施形態に係るバルブ92としては、開閉時における内部容積変化量が0.3cc以下のものを用いた。
【0050】
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、昇降機構31cを介して当該支柱部材31aに対して昇降可能に取付けられている。また、昇降機構31cには制御部100が電気的に接続されており、この制御部100によって架橋部材31bに取付けられたノズル32の昇降動作が制御されるようになっている。
【0051】
この門型フレーム31は移動機構34に接続されている。移動機構34は、レール部材35及び駆動機構36を有している。レール部材35はフレーム部24のうち−Y方向側の側部24a及び+Y方向側の側部24b上に1本ずつ設けられており、それぞれX方向に延在している。2本のレール部材35の−X方向の端部は、それぞれフレーム部24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられている。駆動機構36は、門型フレーム31に接続され塗布部3をレール部材35に沿って移動させるアクチュエータである。また、駆動機構36には制御部100が電気的に接続されており、この制御部100によって門型フレーム31の移動が制御されるようになっている。
【0052】
レール部材35がフレーム部24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられていることにより、塗布部3は搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。塗布部3の移動に伴って、当該塗布部3に設けられたノズル32についても搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。また、この門型フレーム31は、図示しない移動機構によりZ方向にも移動可能になっている。
【0053】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支柱部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル先端32cと当該ノズル先端32cに対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。このセンサ33はY方向に沿って例えば3つ設けられている。
【0054】
(管理部)
管理部4の構成を説明する。管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2のうち塗布部3に対して−X方向側に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構41と、ディップ槽42と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部を保持する保持部材45とを有している。
【0055】
予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。予備吐出機構41は、レジストを予備的に吐出する部分である。当該予備吐出機構41は塗布部3が塗布処理領域21上に配置されている状態でノズル32に最も近くなる位置に設けられている。ディップ槽42は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32a近傍をリンス洗浄する装置であり、Y方向に移動する図示しない洗浄機構と、当該洗浄機構を移動させる図示しない移動機構とを有している。この移動機構は、洗浄機構よりも−X方向側に設けられている。ノズル洗浄装置43は、移動機構が設けられる分、予備吐出機構41及びディップ槽42に比べてX方向の寸法が大きくなっている。なお、予備吐出機構41、ディップ槽42、ノズル洗浄装置43の配置については、本実施形態の配置に限られず、他の配置であっても構わない。
【0056】
収容部44のY方向の寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が収容部44を超えてX方向に移動できるようになっている。また、門型フレーム31は、収容部44内に設けられる予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43について、これらの各部を跨ぐようにアクセスできるようになっている。
【0057】
保持部材45は、管理部移動機構46に接続されている。管理部移動機構46は、レール部材47及び駆動機構48を有している。レール部材47は、フレーム部24のうち−Y方向側の側部24a及び+Y方向側の側部24b上に1本ずつ設けられており、それぞれX方向に延在している。各レール部材47は、塗布部3の門型フレーム31に接続される2本のレール部材35の間に配置されている。2本のレール部材47の−X方向の端部は、それぞれフレーム部24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられている。駆動機構48は、保持部材45に接続された管理部4をレール部材47上に沿って移動させるアクチュエータである。また、駆動機構48には上記制御部100が電気的に接続されており、この制御部100によって管理部4の移動が制御されるようになっている。
【0058】
このレール部材47がフレーム部24の側部24a及び24bの−X方向の端部まで設けられていることにより、管理部4が搬入側ステージ25の−X方向の端部まで移動可能になっている。また、各レール部材47がレール部材35の間に配置されているため、管理部4は塗布部3の門型フレーム31をくぐるように移動することになる。
【0059】
(塗布動作)
次に、本実施形態に係る塗布装置1の動作について説明する。
図7〜図9、図12は、塗布装置1の動作過程を示す断面図である。
本説明に係る動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。このとき、本実施形態では複数の基板Sに対してレジスト塗布を連続的に行うに際し、従来のような基板毎の塗布に先立ちノズル先端のコンディションを整えるための所謂プライミング処理を不要としている。以下、各部分における詳細な動作を説明する。なお、図7〜図9、図12中においては図示を簡略化するため、ノズル32及びステージ面70(搬入側ステージ25、処理ステージ27、搬出側ステージ28)のみを図示している。
【0060】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に搬送機23aを配置させ、真空パッド23bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0061】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。この昇降部材26aの動作により、基板Sが昇降ピン26bに持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0062】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された第一搬送機構60の移動機構63により搬送機60aの真空パッド60bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させることができる(図3)。真空パッド60bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機60aをレール60cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機60aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール60cに沿ってスムーズに移動する。
【0063】
制御部100は、昇降機構31cを駆動することで架橋部材31bに取付けられたノズル32の開口部32aを基板Sの表面に近接する高さに位置させる。基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図7に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機60a(図3参照)によって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、図8に示すように基板S上にレジスト膜が塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。図9に示されるようにレジストの塗布が終了すると、制御部100は、昇降機構31cを駆動することで架橋部材31bに取付けられたノズル32を上昇させる。
【0064】
ところで、順次搬送される複数の基板Sに対して連続的にレジストの塗布を行う場合においては、基板Sにレジストを塗布した後、ノズル32を上昇すると開口部32a内に例えば気泡が入り込むことでノズル先端32cにおけるレジスト保持量が変化することで、続けて搬送される基板にレジストを塗布した場合、形成されるレジスト膜の膜厚がばらつくおそれがある。
【0065】
本発明者は鋭意研究の結果、ノズル32が基板Sから離間する際における搬送用ポンプ91及びバルブ92の動作タイミング、搬送用ポンプ91及びノズル32の動作タイミングをコントロールすることで、ノズル32のレジスト液の吐出状態を所定状態に管理できるとの知見を得た。具体的には、基板S上にレジストを塗布する前後において、ノズル先端に保持されるレジストの量を一定に保つことができれば、従来のようなプライミング処理を行うことなく、複数の基板Sに対してレジスト塗布を行うことができるとの知見を得た。
【0066】
ノズル先端32cの面積が大きくなると、ノズル先端32cに保持されるレジストの量のばらつきが大きくなることが確認できた。そこで、本実施形態に係るノズル32は、図9に示すように開口部32aが形成されたノズル先端32cの幅Wを0.3mm以下、より望ましくは0.1mm以下としている。このようにノズル先端32cの面積を小さくすることで、当該ノズル先端32cに保持されるレジスト量のばらつきを抑えることが可能となる。したがって、本実施形態では、後述するノズル管理工程を行うことにより、図9に示したようにノズル先端32cに均一な量のレジストを保持することが可能にしている。
【0067】
本実施形態に係る塗布装置1では、基板Sの搬送方向後方側の所定領域を用いることで、ノズル32のレジストの吐出状態を管理するノズル管理工程を行っている。本実施形態では、例えば、基板Sの搬送方向後側の端部から10mm以下の領域を用いてノズル先端32cにおけるレジストの保持量を均一に保つノズル管理工程を行っている。なお、基板Sの端部から10mm以下の領域は、有効なレジスト形成領域でないことから仮に塗布されるレジスト膜の膜厚などが均一でなくても問題はない。
【0068】
塗布装置1は、基板Sの搬送方向後方側の端部から10mm以下の領域においてレジストの塗布を終了するとともに基板Sからノズル32を離間させるようにしている。具体的には、図11に示すタイミングチャートに基づいてノズル32の昇降動作、搬送用ポンプ91の駆動、及びバルブ92の開閉を行うようにしている。
【0069】
図11中において、T1はノズル32がレジスト塗布に際し、下降動作を開始するタイミングを示すものである。また、T2はノズル32の下降動作を終了するタイミングを示すものである。また、T3は搬送用ポンプ91が駆動を開始するタイミングを示すものである。また、T4は搬送用ポンプ91の駆動が定常状態となるタイミングを示すものである。また、T5は搬送用ポンプ91が駆動を停止するタイミングを示すものである。また、T6は搬送用ポンプ91の駆動が完全に停止するタイミングを示すものである。また、T7はバルブ92を閉じるタイミングを示すものである。また、T8はバルブ92が閉じられたことでノズル32にレジストが供給されなくなるタイミングを示すものである。また、T9はノズル32が上昇動作を開始するタイミングを示すものである。また、T10はノズル32が上昇動作を終了するタイミングを示すものである。なお、ノズル管理工程は、少なくともレジストの塗布を開始したタイミングT4以降であり、且つ搬送用ポンプ91の駆動を停止するタイミングT5までの間で行われる。
【0070】
図11に示されるように、制御部100は、バルブ92を閉じた後、ノズル32を基板Sから離間させるように制御する。これにより、レジストがノズル32に供給されない状態で基板Sからノズル32が離間されることとなり、ノズル先端32cに均一量のレジストが保持された状態でノズル32を基板Sから離間させることができる。よって、基板Sから離間した後のノズル32は、図10に示したようにレジストの吐出状態が良好に保持されたものとなる。
【0071】
さらに、制御部100は、チューブ90内にレジスト液を供給する搬送用ポンプ91の駆動を停止した後、バルブ92を閉じている。これにより、搬送用ポンプ91とノズル32との間のチューブ90内の圧力上昇を防止することができ、ノズル先端32cに保持されるレジスト量が変化するのを防止できる。
【0072】
本実施形態においては、上記バルブ92は、上述のように開閉動作を行った場合に生じる内部容積変化量が低く(0.3cc以下、より望ましくは0.15cc以下)抑えられたものとなっている。したがって、バルブ開閉に伴うレジストのノズル先端32cへの染み出し量が抑えられ、ノズル管理工程の信頼性を向上させることができる。
【0073】
なお、上述のように本実施形態に係るノズル32は、そのノズル先端32cの面積を小さくしているので、ノズル先端32cに保持されるレジスト量の振れを短時間で安定させることが可能である。したがって、基板Sの搬送方向後方側の端部から10mm以下という限られたスペースにおいても従来のプライミング処理と同様の効果を得ることができるのである。
【0074】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機60aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、基板搬出位置まで基板Sが搬送される。
【0075】
なお、本実施形態では、第一搬送機構60により搬送される基板Sに対してレジスト塗布を行っている途中において、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から基板搬入位置に他の基板Sを受け渡すようにしている。これにより、連続塗布処理におけるタクトタイムを短縮している。基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容することで、基板S´はエアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。
【0076】
基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Z方向側に配置された第二搬送機構61の昇降機構62により搬送機61aを上昇させ、真空パッド61bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。
【0077】
このように本実施形態では、第一搬送機構60の搬送機60aと第二搬送機構61の搬送機61aとがそれぞれ独立して移動可能となっているので、第一搬送機構60によって搬送される基板Sに対するレジスト塗布の処理が終了する前に、第二搬送機構61により他の基板Sをステージ上に搬送することができる。よって、片持ち状態で順次搬送する基板S上にレジストを良好に塗布することができ、レジスト塗布処理において高いスループットを得ることができる。
【0078】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド60bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。すると、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、第一搬送機構60は、移動機構63により搬送機60a(真空パッド60b)を基板Sの下方から退避し、他の基板Sを搬送している第二搬送機構61の搬送経路(移動経路)から退避する。
【0079】
また、図12に示すようにノズル32を下降させることで、第二搬送機構61により順次搬送される基板Sに対するレジスト塗布の準備を行う。そして、ノズル32の開口部32aの直下を流れてくる基板Sに対してレジストを塗布する。
【0080】
一方、第一搬送機構60は、再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻り、次の基板が搬送されるまで待機する。このとき、第二搬送機構61に搬送される基板Sに対してレジスト塗布が行われているが、第一搬送機構60は、上述のように第二搬送機構61の搬送経路から退避しているので、第二搬送機構61に接触して他の基板Sの搬送を妨げることが無く、搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻ることができる。
【0081】
また、第一搬送機構60により搬送された基板Sが基板搬出位置に到達したら、同様に外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。そして、再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻り、次の基板Sが搬送されるまで待機する。
【0082】
このように、本実施形態に係る塗布装置1においては、次の基板Sに対するレジスト塗布を連続的に行うに際し、ノズル先端のコンディションを整えるための所謂プライミング処理を行う必要が無い。よって、複数の基板Sに連続的にレジストを塗布する処理に関するタクトタイムを大幅に短縮できる。
【0083】
ところで、バルブ92を閉じる場合、ノズル32の開口部32aからレジスト液が垂れるおそれがある。そこで、搬送用ポンプ91の駆動を停止する際、レジスト液をチューブ90内に引き込んだ状態とする、所謂サックバック(吸引)を行うのが好ましい。
図13に示すタイミングチャートは、図11に示したタイミングチャートにおいて搬送用ポンプ91がサックバックを行うようにしたものを表している。
【0084】
図13中において、T11はノズル32がレジスト塗布に際し、下降動作を開始するタイミングを示すものである。また、T12は下降動作を終了するタイミングを示すものである。また、T13は搬送用ポンプ91が駆動を開始するタイミングを示すものである。また、T14は搬送用ポンプ91の駆動が定常状態となるタイミングを示すものである。また、T15はノズル32の開口部32a内にレジスト液を引き込むサックバックを開始するタイミングを示すものである。また、T16はサックバック時の搬送用ポンプ91における吸引圧を一定に保持し始めるタイミングを示すものである。また、T17はサックバックが終了して搬送用ポンプ91の駆動を停止するタイミングを示すものである。また、T18は搬送用ポンプ91の駆動が完全に停止するタイミングを示すものである。また、T19はバルブ92を閉じるタイミングを示すものである。また、T20はバルブ92が閉じられたことでノズル32にレジストが供給されなくなるタイミングを示すものである。また、T21はノズル32が上昇動作を開始するタイミングを示すものである。また、T22はノズル32が上昇動作を終了するタイミングを示すものである。
【0085】
図13に示されるように、制御部100は、所謂サックバックを行った後、搬送用ポンプ91の駆動を停止する。これにより、レジストがチューブ90内に引き込まれた状態でノズル32が上昇するので、ノズル先端32cにレジストが染み出すといったことが無く、ノズル先端32cに保持されるレジスト量のばらつきを防止できる。したがって、図11に示したタイミングチャートに比べ、より信頼性の高いノズル管理を行うことができる。
【0086】
なお、必要に応じて、塗布装置1はノズル32のメンテナンスを行う。
メンテナンスを行うタイミングとしては、例えば最初の基板Sに対してレジストを塗布する際、或いは複数の基板Sへの連続塗布工程が終了した際等を例示できる。
【0087】
メンテナンス時には、塗布部3はレール部材35によって門型フレーム31を管理部4の位置まで移動させる。管理部4の位置まで門型フレーム31を移動させた後、門型フレーム31の位置を調整してノズル32の先端をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル先端32cを洗浄する。
【0088】
ノズル先端32cの洗浄後、当該ノズル32を予備吐出機構41にアクセスさせる。予備吐出機構41では、開口部32aと予備吐出面との間の距離を測定しながらノズル32の先端の開口部32aをZ方向上の所定の位置に移動させ、ノズル32を−X方向へ移動させながら開口部32aからレジストを予備吐出する。
【0089】
予備吐出動作を行った後、門型フレーム31を元の位置に戻す。そして、基板Sが搬送されてきたら、ノズル32を所定の位置まで下降させる。このようなメンテナンスを定期的に行うことで基板Sには常に良質なレジスト膜Rが形成されることとなる。
【0090】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。上記実施形態では、基板Sを浮上させて搬送する塗布装置1を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、基板を搬送させつつ塗布を行う塗布装置であれば、浮上搬送型以外の塗布装置、例えば搬送ローラなどの搬送機構によって基板を搬送する塗布装置であっても本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0091】
1…塗布装置、2…基板搬送部、3…塗布部、32…ノズル、60…制御部(管理制御部)、90…チューブ(供給路)、91…搬送用ポンプ、92…バルブ、S…基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を浮上させて順次搬送しつつ、順次搬送される複数の前記基板に液状体を連続的に塗布する方法であって、
前記基板の搬送方向後方側の所定領域を用いて、前記液状体を吐出するノズルの前記液状体の吐出状態を管理する、ノズル管理工程を備えることを特徴とする塗布方法。
【請求項2】
前記ノズル管理工程においては、前記ノズルに対して前記液状体を供給する供給路を開閉可能とするバルブを閉じた後、前記ノズルが前記基板から離間することを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記ノズル管理工程においては、前記供給路内に前記液状体を移送するポンプの駆動を停止した後、前記バルブを閉じることを特徴とする請求項2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記ノズル管理工程においては、前記ポンプの駆動を停止するに際し、前記液状体を前記供給路内に引き込んだ状態とすることを特徴とする請求項3に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記バルブとして、内部容積変化量が0.3cc以下のものを用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項6】
前記ノズル管理工程においては、前記基板の端部から10mm以下の領域を前記所定領域として設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項7】
前記ノズルとして、前記液状体を吐出する開口部が形成された先端部の幅が0.3mm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項8】
基板を浮上させて搬送する基板搬送部と、当該基板搬送部によって搬送させつつ前記基板に液状体を塗布する塗布部とを備える塗布装置であって、
前記塗布部に設けられ、前記液状体を吐出するノズルと、
前記基板搬送部により順次搬送される複数の前記基板に対して前記ノズルから前記液状体を連続的に塗布する際に、前記基板における搬送方向後方側の所定領域を用いて前記ノズルにおける前記液状体の吐出状態を管理する管理制御部を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
前記管理制御部は、前記ノズルに前記液状体を供給するための供給路を開閉可能とするバルブを閉じた後、前記基板から前記ノズルを離間させることを特徴とする請求項8記載の塗布装置。
【請求項10】
前記供給路内に前記液状体を移送し、且つ前記管理制御部によって駆動が制御されるポンプを有し、
前記管理制御部は、前記ポンプの駆動を停止した後、前記バルブを閉じることで前記供給路を閉塞することを特徴とする請求項9に記載の塗布装置。
【請求項11】
前記管理制御部は、前記供給路内に前記液状体を引き込んだ後、駆動を停止させるように前記ポンプを制御することを特徴とする請求項10に記載の塗布装置。
【請求項12】
前記バルブは、内部容積変化が0.3cc以下であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の塗布装置。
【請求項13】
前記ノズルは、前記液状体を吐出する開口部が形成された先端部の幅が0.3mm以下であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−83748(P2011−83748A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240588(P2009−240588)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】