説明

塗布方法および塗布装置

【課題】塗布開始時の厚塗りを簡便な方法で防止する
【解決手段】 下記(1)〜(3)の工程によりスライドビードコータ80を用いてウェブ15の表面に塗布膜層を形成させる。
(1)スライドビードコータ80のスライド面に塗布液を流下させて、膜流を形成させる工程、
(2)塗布液のウェブ15への移送がスライドビードコータ80の膜流移送部70の幅方向片端70Rから開始するように、スライドビードコータ80の膜流移送部70をウェブ15に相対的に接近させる工程、
(3)塗布液の移送をウェブ15の幅方向全域まで広げて、ウェブ15の表面に塗布膜層を形成させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドビードコータを用いて、紙、コーテッド紙(紙の表面に顔料、ラテックス等を塗工したもの)、ポリオレフィン系樹脂から作られた複層構造の合成紙、プラスティックフィルム、これらの複合シート等のウェブの表面に塗布膜層を形成する塗布方法および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブの表面に塗布膜を形成したものとしては、例えば、プラスティックフィルムの表面に、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに保護層を順次形成させた感熱記録体などがある。感熱記録体は、比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで、且つその保守も比較的容易であるなどの理由から、ファクシミリ、各種計算機等の記録媒体をはじめ、CRT医療診断、X線画像用プリンター、CAD用のプロッター等の記録媒体としても使用される。
【0003】
感熱記録体の形成にはスライドビード型塗布装置が使用される。スライドビード型塗布装置は、スライドビードコータおよびバックアップロールを備える装置である。スライドビードコータは、塗布液を吐出する吐出スリットと、この吐出スリットから吐出された塗布液が流下するスライド面と、スライド面先端の膜流移送部とを備える。また、バックアップロールは、スライドビードコータのスライド面の先端近傍に設けられ、ウェブを巻き掛けて一定方向に搬送するためのものである。
【0004】
この装置においては、スライドビードコータの吐出スリットから塗布液を吐出してスライド面に沿って流下させた状態で、バックアップロールによって搬送されるウェブに接近させ、スライドビードコータの膜流移送部と支持体との間に塗布液架橋(塗布ビード)を形成して塗布する。しかし、この装置で塗布を開始する際には、塗布液が被塗布物に過剰に付着した部分(厚塗り部)が形成される。厚塗り部は、乾燥工程内で乾燥が不十分で、未乾燥のままで残ってしまうことがあり、これが乾燥工程後のロールに付着するなど、様々な問題を引き起こす。このため、従来、厚塗り部の不具合を解消する様々な方法が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、塗布開始時に発生する厚塗り部に吸収ローラを当接させ、過剰な塗布液を吸収させる方法が提案されている。また、特許文献2には、被塗布物における塗布液の塗り始めの部分に向かって、被塗布物の搬送方向とは略反対の方向から気体を吹付け、厚塗り部を均す方法が提案されている。特許文献3には、スライドビードコータのスライド面上に、平板等のガイド部材を設置し、このガイド部材で塗布液を集液する事によってスライド面上の塗布液の流れを変化させ、液盛り上がり部を形成し、これにより架橋点が形成され、それを塗布開始点とし、厚塗り部を減少させる方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−294663号公報
【特許文献2】特開2002−273299号公報
【特許文献3】特開2006−26500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および2に記載される方法は、塗布工程後に、吸収ローラ或いはエアの吹付け手段等を用いた別工程を追加するために装置が大型化するという問題があった。また、特許文献3の方法は、スライド面上に平板等を設置するため、スライド面上を傷つける恐れがあった。
【0008】
本発明は、流量、乾燥工程内での乾燥速度等の条件を変えることなく、また、冶具などを一切使うことなく、塗布開始時に発生する厚塗り部を減少させる塗布方法および塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、下記の(A)〜(C)に示す塗布方法および(D)に示す塗布装置を要旨とする。
【0010】
(A)スライドビードコータを用いてウェブの表面に塗布膜層を形成させる方法であって、下記(1)〜(3)の工程を備えることを特徴とする塗布方法。
(1)スライドビードコータのスライド面に塗布液を流下させて、膜流を形成させる工程、
(2)塗布液のウェブへの移送がスライドビードコータの膜流移送部の幅方向片端から開始するように、スライドビードコータの膜流移送部をウェブに相対的に接近させる工程、
(3)塗布液の移送をウェブの幅方向全域まで広げて、ウェブの表面に塗布膜層を形成させる工程。
【0011】
(B)上記(A)の塗布方法の(2)の工程において、スライドビードコータの膜流移送部を、その幅方向片端が他端より先行するようにウェブに相対的に接近させる塗布方法。
【0012】
(C)上記(A)または(B)の塗布方法の(2)の工程において、膜流移送部の幅方向片端付近から減圧のための空気吸引を行いつつ、スライドビードコータの膜流移送部をウェブに相対的に接近させる塗布方法。
【0013】
(D)塗布液を吐出する吐出スリットと、この吐出スリットから吐出された塗布液が流下するスライド面と、スライド面先端の膜流移送部とを備えるスライドビードコータと、ウェブを巻き掛けて一定方向に搬送するバックアップロールとを有し、スライドビードコータをバックアップロールに接近させることによりスライドビードコータの膜流移送部からバックアップロール上のウェブに膜流を移送する塗布装置であって、スライドビードコータをバックアップロールに対して左右独立に移動させる移動手段を有し、スライドビードコータの膜流移送部を、その幅方向片端が他端より先行するようにウェブに接近するよう制御する制御手段を有する塗布装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、塗布液のウェブへの移送がスライドビードコータの膜流移送部の幅方向片端から開始するように、スライドビードコータの膜流移送部をウェブに相対的に接近させることとしているので、吸収ローラ、治具等を用いることなく、塗布液がウェブに過剰に付着するのを防ぐことができ、塗布開始時の厚塗りそのものを減少させることができる。従って、厚塗りによる未乾燥の発生がなくなり、塗布工程後のロール等を汚すことがなく、工程を安定化させることができる。また、乾燥の負荷も軽減できるので、生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明に係る塗布装置の例を模式的に示す全体構成図である。図1に示すように、製造ライン10においては、巻き出し装置16および巻き取り装置19によって、所定の速度でウェブ15が搬送されている。巻き出し装置16は、例えば、テンション制御機構を有し、巻き出されたウェブ15の走行性が確保される。次に、巻き出されたウェブ15は、例えば、異物除去装置(ウェブクリーナ)17および内部電荷除去装置18を通過した後、バックアップロール25に到達する。
【0016】
異物除去装置17としては、例えば、外側2本の粘着ロールと、内側2本のゴムロールを用い、内側のゴムロール同士をニップするとともに、ゴムロールと粘着ロールとをニップして構成したものを用いることができる。異物除去装置17では、ウェブ15上の異物を内側のゴムロール間で転写し、これをさらに外側の粘着ロールで吸い付けて、異物を除去することができる。また、内部電荷除去装置18は、ウェブ15の帯電による塗布工程時のビード破壊など塗工面障害を防止するためのものである。
【0017】
これらの工程を経たウェブ15は、バックアップロール25に巻き掛けられ、塗布装置20により塗布液が塗布された後、乾燥工程30により乾燥され、冷却手段を備えているアウトフィードロール35を経た後、巻き取り装置19で巻き取られる。なお、図1では、6基の乾燥装置30を設置したものを例示したが、このような構成に限定されない。
【0018】
図2は、本発明に係る塗布装置の構成を例示した模式図である。図2に示すように、本発明に係る塗布装置は、ウェブ15が巻き掛けられているバックアップロール25と、そのバックアップロール25に隣接配置されたスライドビードコータ80とで構成されている。スライドビードコータ80は、台座66に固定されており、台座66は、例えば、図中の(F)の方向に対して移動可能なようにスライドレール63に設置されている。台座66の後端は、左右のボールネジ69L、69R、更には、支柱68L、68Rを介して、ボールネジ69L、69Rそれぞれを独立して回転させる左右のモータ67L、67Rに接続されている。そして、これらの部材は全てステーション台座55上に配置されており、モータ67L、67Rを制御することにより、スライドビードコータ80をウェブ15に接近させたり、離したりすることができる。
【0019】
なお、図に示す例では、スライドレール、ボールネジ、モータ等を用いた例を説明したが、このような構成に限定されない。例えば、スライドビードコータの移動経路を制御できれば、スライドレールに替えて、単なる溝、平板などを用いてもよい。また、ボールネジに替えて、歯車と平歯の組み合わせ、油圧または電動で動作するシリンダ、なども採用できる。
【0020】
図3は、スライドビードコータの装置構成を例示した模式図である。なお、図3に示す例では、4層の塗布液をウェブに塗布するため、キャビティが4つあるスライドビードコータを示しているが、このような態様には限定されず、ウェブ上の塗布薄膜の数に合わせてキャビティの数を設定することができる。
【0021】
図3に示すように、スライドビードコータ80の上面は、スライド面(傾斜面)80Sとなっており、スライド面80Sの先端には膜流移送部70が配置されている。スライドビードコータ80の内部には、吐出スリット92a〜92dに連通したキャビティ90a〜90dがあり、キャビティ90a〜90dには、それぞれ1層目(最上層)〜4層目(最下層)を構成する塗布液95a〜95dがそれぞれ貯留されている。キャビティ90a〜90d内の塗布液95a〜95dは、送液装置(図示しない)によってそれぞれ吐出スリット92a〜92dからスライド面80Sに流出され、膜流移送部70から流下する。そして、膜流移送部70とウェブ15との間隔が広いときには、膜流移送部70からバキュームボックス100内の廃液室96に塗布液が流下するが、膜流移送部70とウェブ15との間隔を狭めることにより膜流をウェブ15上に転移することができる。
【0022】
図4は、バキュームボックスの例を示した上面図であり、(A)は上面図、(B)はA−A断面図である。図4に示すように、例えば、バキュームボックスは、仕切り板98により廃液室96および減圧室97に分けられている。そして、廃液室96に流下した塗布液は、廃液ライン96Aに流れていき、排出処理される。減圧室97は、バックアップロール25と、バックアップロール25のR(曲線)に先端部が面した仕切り板98、99によって構成されており、減圧室97内が減圧ライン97Aによって減圧された状態で、塗布が行われる。減圧室97は、スライドビードコータ80の膜流移送部70とバックアップロール25との間に空気の流れを作ることにより、塗工中の空気同伴によるビード破壊を防ぎ、均一なビードを形成させることなどを目的とするものである。
【0023】
本発明に係る塗布装置は、スライドビードコータ80の膜流移送部70をウェブ15に接近させるに際し、塗布液のウェブ15への移送がスライドビードコータ80の膜流移送部70の幅方向片端から開始するように制御することを最大の特徴としている。以下、具体的に説明する。
【0024】
図5は、移送開始時におけるウェブの塗布状況をウェブの上部から示した図であり、(A)は移送開始直後の状態、(B)は、移送開始後、ある程度塗布が進行した状態、(C)は、塗布液の移送をウェブの幅方向全域まで広げた状態をそれぞれ示している。図5(A)に示すように、本発明においては、例えば、ウェブ15の幅方向の右端15Rで移送開始点が形成され、移送が開始される。以下、この点を移送開始点Sという。端部Rに移送開始点Sが形成された後は、ウェブ15が走行しているために塗布液95は、図5(B)に示すように、斜めに塗り広げられる。この塗れ拡がった部分を拡がり部という。この拡がり部が図5(C)に示すように、反対側の端部15Lまで拡がり、ウェブ15の幅方向全域の塗布が開始される。
【0025】
このように、本発明においては、移送開始点Sが膜流移送部70の片端の1点に限られるため、それほどに多量の過剰の塗布液が転移されることがない。即ち、移送開始点においては、他の部分より多少厚塗りの状態となるが、その範囲が狭いため、移送開始点Sからの拡がり部の厚さも薄くなり、さらに最終点である端部Lまで厚塗りが抑制される。また、ウェブの全域に塗布されていない移送開始点Sの付近は、製品としては使用されない箇所であるため、多少未乾燥であったとしても製品に影響がない。また、塗布開始時における塗布液95の厚塗りを抑制することができるので、塗布後の乾燥工程における負荷を軽減することができ、結果として所定のライン速度を変えることなく生産性、操業性を向上させることができる。
【0026】
上記のように、特定のウェブの片端に移送開始点Sを形成するためには、スライドビードコータ80の膜流移送部70を、その幅方向片端が他端より先行するようにウェブ15に接近させるのがよい。以下、詳しく説明する。
【0027】
図6は、本発明に係る塗布装置の動作状態を例示した上面図であり、(A)〜(D)は、塗布待機〜塗布開始〜移送開始点形成〜安定塗布の動作状態を順に示す。図6(A)に示すのは、スライドビードコータ80をウェブ15へ接近させる前の基本となる待避状態である。この状態において、塗布液(前掲の例では4層の塗布液)は、スライドビードコータのスライド面80S上で膜流を安定して形成し、膜流移送部70を流下し、バキュームボックスの廃液室(図示しない)へ注がれている。この状態を保ったまま、図6(B)に示すように、移送開始点を形成させる側の膜流移送部の片端70(図6に示す例では右端70R)を、他端(図6に示す例では左端70L)に対して、一定の距離、例えば、0.2mm先行する形でウェブ15に近づけるように接近させていく。このような一定の距離の調整は、例えば、モータ67L、67Rを制御して行う。
【0028】
図6(C)に示すように、上記の一定距離を保ったまま、スライドビードコータ80の膜流移送部70をウェブ15に接近させ、その片端70Rで移送開始点を形成する。移送開始点は、塗布液の種類、膜厚などの条件によるが、例えば、膜流移送部70の片端70Rとウェブ15との隙間が0.25mm程度の距離になったときに形成される。スライドビードコータ80は、更にウェブに接近し、移送開始点からビードが拡がり、やがてウェブ15の幅方向全面に塗布液が移送される。このとき、膜流移送部の片端70Rは、ウェブ15との隙間が例えば0.15mmに到達した時に停止し、その後も、膜流移送部の他端70Lは接近させるが、ウェブ15との隙間が例えば0.15mmに到達した時に停止することで、安定した塗布状態に移行する。図6(D)はこの安定した塗布状態を示すものである。
【0029】
なお、図6に示す例では、一旦、膜流移送部70をウェブ15に対して傾けた状態で、ウェブ15に接近させる例を示したが、例えば、膜流移送部70をウェブ15と平行となる状態で、接近させた後、ウェブ15の間近になってから、膜流移送部70の片端(例えば左端70L)のみの移動を停止させ、他端(例えば、右端70R)をさらにウェブ15に接近させ、移送開始点を形成した後、その移動を停止させ、停止させておいた片端70Lをウェブ15との間隔が他端70Rと同じになるまで移動させることもできる。
【0030】
塗布液のウェブ15への移送がスライドビードコータ80の膜流移送部70の幅方向片端(例えば、70L)から開始するようにする方法としては、前掲の図4に示す、減圧室97内の減圧ライン97Aを用いる方法を採用することができる。即ち、減圧ライン97Aによる吸引力を高めることにより、膜流移送部70を流下する膜流とウェブ15との間隔を、減圧ライン97Aが存在しているサイドを広げることができる。従って、減圧ライン97Aが存在していないサイドで、移送開始点を形成することができる。
【実施例】
【0031】
塗布液として、最下層一層目にロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する水系感熱層、二層目に二種の接着剤を含有する水系中間層、三層目に水系保護層を用い、この塗布液を厚さ0.175mmの透明PETフィルムに塗布する実験を行った。
【0032】
塗布は、ライン速度7m/min、送液量、一層目180cc/min、二層目30cc/min、三層目40cc/minで行った。乾燥は、計6台の乾燥装置(上下垂直風。スリットノズル隙間4mm。)を使用し、ノズル風速および温度をそれぞれ下記の通り設定して行った。
1台目乾燥装置:5.6m/sec、85℃
2台目乾燥装置:3.3m/sec、85℃
3台目乾燥装置:2.9m/sec、80℃
4台目乾燥装置:2.7m/sec、80℃
5台目乾燥装置:2.7m/sec、75℃
6台目乾燥装置:3.0m/sec、75℃
【0033】
以上の条件下で、スライドビードコータをバックアップロールに接近させる方式を代えて、下記の2種類の方法で塗布を実施し、厚塗り部の乾燥具合および厚塗り部の幅、厚塗り部の厚みを測定した。
【0034】
比較例: 前掲の図6(A)の待避状態から、膜流移送部の両端70L、70Rとウェブ15との距離が同じになるように、バックアップロールに接近させて膜流の移送を行い、塗布を実施した。比較例では、ウェブ15上に幅50mm、厚さ0.6mmの厚塗り部が形成された。そして、この厚塗り部は、乾燥工程によって完全に乾燥することができなかった。
【0035】
本発明例: 前掲の図6(A)の待避状態から、図6(B)に示すように、移送開始点を形成させる側の膜流移送部の右端70Rを、左端70Lに対して0.2mm先行させた状態で、スライドビードコータ80の膜流移送部70をウェブ15に接近させ、右端70Rとウェブ15との距離が0.15mmとなった時点で右端70Rの移動を停止し、右端70R側に移送開始点を形成させ、その後、膜流移送部の左端70Lとウェブ15との隙間が0.15mmに到達した時に左端70Lの移動も停止することで、膜流の移送をウェブ15の全幅に及ばせることにより、塗布を実施した。
【0036】
本発明例では、ウェブ15上に幅4mm、厚さ0.2mmの厚塗り部が形成されたが、この厚塗り部は、乾燥工程によって完全に乾燥することができた。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、厚塗りによる未乾燥の発生を防止できるとともに、乾燥の負荷を軽減することができる。従って、スライドビードコータを用いた塗布技術における工程を安定化できるととともに、生産効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る塗布装置の例を模式的に示す全体構成図
【図2】本発明に係る塗布装置の構成を例示した模式図
【図3】スライドビードコータの装置構成を例示した模式図
【図4】バキュームボックスの例を示した上面図 (A)上面図、(B)A−A断面図
【図5】開始時におけるウェブの塗布状況をウェブの上部から示した図 (A)移送開始直後の状態、(B)移送開始後、ある程度塗布が進行した状態、(C)塗布液の移送をウェブの幅方向全域まで広げた状態
【図6】本発明に係る塗布装置の動作状態を例示した上面図 (A)〜(D):塗布開始〜移送開始点形成〜安定塗布の動作状態
【符号の説明】
【0039】
10 製造ライン
15 ウェブ
16 巻き出し装置
17 異物除去装置(ウェブクリーナ)
18 内部電荷除去装置
19 巻き取り装置
20 塗布装置
25 バックアップロール
30 乾燥工程
35 アウトフィードロール
55 ステーション台座
63R,63L スライドレール
66 台座
67R,67L モータ
68R,68L 支柱
69R,69L ボールネジ
70R,70L 膜流移送部
80 スライドビードコータ
90a,90b,90c,90d キャビティ
92a,92b,92c,92d 吐出スリット
95a,95b,95c,95d 塗布液
96 廃液室
96A 廃液ライン
97 減圧室
97A 減圧ライン
98 廃液側仕切り板
99 大気側仕切り板
(a) ウェブ流れ方向
(F) スライドビードコータ稼動方向
(S) 移送開始点
R 塗布装置、ウェブを正面から見た場合の右側
L 塗布装置、ウェブを正面から見た場合の左側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドビードコータを用いてウェブの表面に塗布膜層を形成させる方法であって、下記(1)〜(3)の工程を備えることを特徴とする塗布方法。
(1)スライドビードコータのスライド面に塗布液を流下させて、膜流を形成させる工程、
(2)塗布液のウェブへの移送がスライドビードコータの膜流移送部の幅方向片端から開始するように、スライドビードコータの膜流移送部をウェブに相対的に接近させる工程、
(3)塗布液の移送をウェブの幅方向全域まで広げて、ウェブの表面に塗布膜層を形成させる工程。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布方法の(2)の工程において、スライドビードコータの膜流移送部を、その幅方向片端が他端より先行するようにウェブに相対的に接近させることを特徴とする塗布方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の塗布方法の(2)の工程において、膜流移送部の幅方向片端付近から減圧のための空気吸引を行いつつ、スライドビードコータの膜流移送部をウェブに相対的に接近させることを特徴とする塗布方法。
【請求項4】
塗布液を吐出する吐出スリットと、この吐出スリットから吐出された塗布液が流下するスライド面と、スライド面先端の膜流移送部とを備えるスライドビードコータと、ウェブを巻き掛けて一定方向に搬送するバックアップロールとを有し、スライドビードコータをバックアップロールに接近させることによりスライドビードコータの膜流移送部からバックアップロール上のウェブに膜流を移送する塗布装置であって、スライドビードコータをバックアップロールに対して左右独立に移動させる移動手段を有し、スライドビードコータの膜流移送部を、その幅方向片端が他端より先行するようにウェブに接近するよう制御する制御手段を有する塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−18277(P2009−18277A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184072(P2007−184072)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】