説明

塗布物展延装置および塗布物展延方法

【課題】簡単な構造で、平坦でない被塗布物の表面にスピンコーティング法により塗布物を塗布するための、塗布物展延装置および塗布物展延方法を提供することを目的とする。
【解決手段】回転軸R回りに回転する回転軸部30と、塗布物88が供給された被塗布物80を固定支持し、回転軸部30に支持され、回転軸部30の回転に伴い回転しながら回転軸Rの方向と交差する方向の回動軸D回りに回動する載置台10とを備える塗布物展延装置1。被塗布物80の表面に塗布物88を供給する工程と、塗布物88が供給された被塗布物80を回転軸R回りに回転し、塗布物88を展延する工程と、塗布物88を展延する工程において、回転軸Rの方向と交差する方向の回動軸D回りに被塗布物80を回動し、被塗布物88の回転軸Rに対する角度Tを変える工程とを備える塗布物展延方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布物展延装置および塗布物展延方法に関し、特に、平坦でない被塗布物の面上に塗布物を所望の厚さに展延する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板の表面にフォトレジスト材料を塗布するには、プリント配線基板の表面に液状のフォトレジスト材料を供給した後に、高速で回転することにより、高速回転の遠心力を利用してフォトレジスト材料をプリント配線基板の表面に展延する方法がしばしば用いられている(例えば、特許文献1参照)。このように、プリント配線基板などの被塗布物に液状の塗布物を供給した上で、高速回転させて遠心力を利用して展延する方法はスピンコーティング法として、塗布物の膜厚を均一に所望の厚さに塗布することができることから、CD(コンパクトディスク)などの光ディスクへの保護膜あるいは接着剤の塗布などの分野で広く用いられている。
【特許文献1】特開2001−339144号公報(第2−3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、高速回転させて遠心力を利用して展延する方法は、従来はプリント配線基板や光ディスクなどの平坦な表面を有する被塗布物に対して用いられてきた。ところが、スピンコーティング法の膜厚を均一に所望の厚さに塗布する能力に鑑み、曲面や直角に近いような角度で接続する二面を有するなど、平坦でない被塗布物の表面にもスピンコーティング法により塗布物を塗布することへの要求は高い。ただし、かかる平坦でない被塗布物をスピンコートする装置として、複雑な構造とするのであれば、装置のコストも高く、信頼性も低下してしまう。そこで、本発明は、簡単な構造で、平坦でない被塗布物の表面にスピンコーティング法により塗布物を塗布するための、塗布物展延装置および塗布物展延方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る塗布物展延装置は、例えば図1に示すように、回転軸R回りに回転する回転軸部30と;塗布物88が供給された被塗布物80を固定支持し、回転軸部30に支持され、回転軸部30の回転に伴い回転しながら回転軸Rの方向と交差する方向の回動軸D回りに回動する載置台10とを備える。
【0005】
このように構成すると、被塗布物を固定支持する載置台が、回転軸部が回転する回転軸と交差する回動軸回りに回動するので、回転軸回りに回転する載置台の回転面の回転軸との垂直面に対する角度(以降、「傾斜角」ともいう)Tを変化させることができる。したがって、簡単な構造で、被塗布物が回転することにより塗布物が展延される、被塗布物上での位置を変えることができ、平坦でない被塗布物に供給された塗布物を所望の厚さに展延することができる。
【0006】
また、本発明の第2の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図3に示すように、本発明の第1の態様に係る塗布物展延装置において、回転軸部30が、載置台10の重心位置Gからずれた位置(回動軸Dの位置)で載置台10を支持してもよい。なお、「重心位置からずれた位置」とは、載置台の重心を回転軸に垂直な平面上に投影した場合、重心を投影した位置とはずれた位置に投影される位置をいう。
このように構成すると、載置台が重心位置からずれた位置で支持されて、回転されることになるので、回転速度に応じて、載置台が回動軸回りに回動し、載置台の回転面の回転軸に対する角度を変化させることとなる。
【0007】
また、本発明の第3の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図1に示すように、本発明の第1の態様または第2の態様に係る塗布物展延装置1において、回転軸部30の回転速度は可変であり;回転軸部30の回転速度を制御する制御装置46を備えてもよい。
このように構成すると、制御装置により回転軸部の回転速度を制御するので、所望の回転速度で、あるいは、回転速度を変化させながら、被塗布物を回転させることができ、塗布物の展延を調整しやすい。特に、載置台が重心位置からずれた位置で支持される場合には、回転速度を制御することで、傾斜角を変化させることもでき、回転速度を適宜制御することにより、塗布物を所望の厚さに展延することができる。
【0008】
また、本発明の第4の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図4に示すように、本発明の第1の態様ないし第3の態様のいずれかの態様に係る塗布物展延装置において、載置台10を回動軸D回りに回動する回動駆動装置70を備えてもよい。
このように構成すると、傾斜角を任意に変化させることができるので、塗布物を所望の厚さに展延しやすい。
【0009】
また、本発明の第5の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図2(a)、(b)に示すように、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかの態様に係る塗布物展延装置において、載置台10から突出し、被塗布物80を吸着して固定する吸着部20を複数備え、吸着部20は被塗布物80の形状に合わせるため載置台10から突出する高さhが可変であってもよい。
このように構成すると、載置台で平坦でない被塗布物を確実に固定支持することができる。
【0010】
また、本発明の第6の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図2(c)に示すように、本発明の第1の態様ないし第4の態様のいずれかの態様に係る塗布物展延装置において、載置台14が、回転軸Rに交差する方向に押圧することにより被塗布物82を固定支持してもよい。
このように構成すると、載置台が回転軸に交差する方向に押圧することにより被塗布物を固定支持するので、被塗布物が押圧される面を有する場合に、被塗布物を容易に確実に固定支持することができる。
【0011】
また、本発明の第7の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図5に示すように、本発明の第1の態様ないし第6の態様のいずれかの態様に係る塗布物展延装置において、回転軸部35が、回転軸R回りに回転しながら回転軸Rの方向および回動軸Dの方向と交差する方向の可動軸K回りに回動してもよい。
このように構成すると、回転軸部が回転軸および回動軸と交差する可動軸回りに回動できるので、被塗布物を傾斜角と異なる方向にも傾斜させて回転させることができ、塗布物が展延する方向を変化させることができる。
【0012】
前記目的を達成するため、本発明の第8の態様に係る塗布物展延方法は、例えば図3および図6に示すように、被塗布物80の表面に塗布物88を供給する工程(S1)と;塗布物88が供給された被塗布物80を回転軸R回りに回転し(S3)、塗布物88を展延する工程(S4、S7)と;塗布物88を展延する工程(S4、S7)において、回転軸Rの方向と交差する方向の回動軸D回りに被塗布物80を回動し、被塗布物88の回転軸Rに対する角度Tを変える工程(S6)とを備える。
【0013】
このように構成すると、被塗布物を回転軸回りに回転しながら、回転軸と交差する回動軸回りに回動し、被塗布物の回転軸に対する角度を変えるので、被塗布物が回転することにより展延される塗布物の、被塗布物上での位置を変えることができ、平坦でない被塗布物に供給された塗布物を所望の厚さに展延することができる。
【0014】
また、本発明の第9の態様に係る塗布物展延装置では、例えば図3および図6に示すように、本発明の第8の態様に係る塗布物展延方法において、塗布物88を展延する工程(S4、S7)において、被塗布物80が回転軸R回りに回転する回転速度を変える工程(S5)を備えてもよい。
このように構成すると、被塗布物が回転軸回りに回転する回転速度を変えるので、塗布物の展延を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塗布物展延装置が、回転軸回りに回転する回転軸部と、塗布物が供給された被塗布物を固定支持し、回転軸部に支持され、回転軸部の回転に伴い回転しながら回転軸の方向と交差する方向の回動軸回りに回動する載置台とを備えるので、被塗布物を固定支持する載置台が、回転軸部が回転する回転軸と交差する回動軸回りに回動し、回転軸回りに回転する載置台の傾斜角を変化させることができる。そのため、被塗布物が回転することにより塗布物が展延される、被塗布物上での位置を変えることができる。したがって、簡単な構造で、平坦でない被塗布物の表面にスピンコーティング法により塗布物を塗布するための塗布物展延装置を提供することができる。
【0016】
また本発明によれば、塗布物展延方法が、被塗布物の表面に塗布物を供給する工程と、塗布物が供給された被塗布物を回転軸回りに回転し塗布物を展延する工程と、塗布物を展延する工程において回転軸の方向と交差する方向の回動軸回りに被塗布物を回動し被塗布物の回転軸に対する角度を変える工程とを備えるので、被塗布物が回転することにより展延される塗布物の、被塗布物上での位置を変えることができる。したがって、簡単な構造で、平坦でない被塗布物の表面にスピンコーティング法により塗布物を塗布するための塗布物展延方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一または相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態としての塗布物展延装置1について説明する。図1は、塗布物展延装置1の構成を説明する模式図である。塗布物展延装置1は、被塗布物80を固定支持する載置台10と、載置台10から突出し、被塗布物80を吸着して固定する複数の吸着部20(複数の吸着部を個別に参照するときはには添え字a、b、cをつける)と、載置台10を支持して回転軸R回りに回転する回転軸部30と、回転軸部30を回転する駆動装置としての電動モータ40と、回転する被塗布物80を囲み、被塗布物80上から漏れた塗布物88を捕捉するコーターハウス50と、コーターハウス50から塗布物88を回収する樹脂回収装置60と、電動モータ40の回転速度を制御する制御装置46とを備える。
【0019】
回転軸部30は、その回転軸Rを実質的に鉛直上下方向と一致する方向にして配置される。回転軸部30の下端は電動モータ40のモータ軸部42に接続され、電動モータ40の作動により、回転軸R回りに回転する。回転軸部30あるいは、モータ軸部42がベアリング(不図示)等で回転可能に支持され、回転軸Rの傾きや振動が防止される。
【0020】
載置台10は、回転軸部30がモータ軸部42に接続される下端とは逆の上端で、水平な回動軸D回りに回動可能に、回転軸部30に支持される。回動軸Dは水平ではなく、傾斜していてもよい。すなわち、回転軸Rと回動軸Dとは互いに交差する方向である。ここで、回転軸Rと直交する回動軸D回りに載置台10が回動することにより、回動する角度と後述するその作用との関係が明快になり操作しやすく、かつ、回動する角度により表れる作用が大きくなるので、好ましい。
【0021】
載置台10の回転軸部30に支持される側とは反対側の上面から、複数の吸着部20a〜cが突出する。複数の吸着部20a〜cは、平坦でない被塗布物80の形状に合わせるように、突出する高さha〜c(図2参照)を変えている。突出部20は、突出した先端の接触部24を被塗布物80に接触させ、被塗布物80に固着する。
【0022】
ここで、図2を参照して、載置台10および吸着部20について説明する。図2(a)、(b)は図1に示す載置台10および吸着部20を説明する断面図で、(a)は図1と同方向に見た断面図、(b)は(a)と直交する垂直断面での断面図、図2(c)は被塗布物82を押圧することにより固定支持する載置台14を説明する側面図、図2(d)は載置治具19にて被塗布物80を固定支持する載置台18を説明する断面図である。
【0023】
まず図2(a)および(b)を参照すると、載置台10は、回転軸部30の頂部を貫通する丸棒状のセンター軸12と、センター軸12の両端に接続する2枚の厚板状の両側板11を含んで構成される。センター軸12は、回転軸部30の軸受32により軸回りに回るように支持されている。すなわち、載置台10はセンター軸12を中心に回動可能な構成となっている。センター軸12には、軸方向に貫通する吸引管28が形成され、吸引管28は載置台10が回動する範囲内で回転軸部30に形成された吸引管38と連通する。回転軸部30に形成された吸引管38は、不図示の真空ポンプと連接しており、吸引管28は、吸引管38を介して負圧に減圧される。
【0024】
両側板11は、矩形の厚板であり、センター軸12の軸方向に対し垂直に接続する。両側板11は、矩形の長辺を水平方向に近い角度で配置し、すなわち、載置台10が回動するときに、水平方向に伸びた腕を上下するように動く。吸引管28は、2枚の両側板11内にも延伸し、2つに分岐して長辺に沿って延在する。両側板11には、吸着部20を収納する複数の穴13が形成され、吸引管28はそれぞれの穴13に導かれる。図2(a)に示すように、3個の穴13が、両側板11の長辺方向に均等に分布して配置される。なお、穴13の個数は3個に限られず、また、必ずしも均等に配置されなくてもよく、穴13に収納されて配置される吸着部20により被塗布物80を固着支持できればよい。
【0025】
吸着部20は、穴13に出入り可能に収納される軸部22と、軸部22の突出する先端に配置され、被塗布物80と接触して固着する接触部24と、穴13の中に配置され、軸部22を突出する方向に付勢するばね26とを有する。軸部22には吸引管28と連通する貫通孔(不図示)が形成され、吸引管28と連通する。すなわち、軸部22の外表面が穴13と気密に構成されることにより、軸部22に貫通孔が形成されれば、貫通孔内は、吸引管28・38を介して、不図示の真空ポンプにより負圧に減圧される。
【0026】
接触部24は、例えばゴムのような弾性材料で形成された略円筒形の部材で、被塗布物80に接触し、吸引管28・38を介して減圧された負圧により、被塗布物80に吸着する。すなわち、被塗布物80は吸着部20に固着される。ばね26は、軸部22を穴13から突出する方向に付勢することで、平坦でない被塗布物80にそれぞれの接触部24を当接させる。図2(a)に示す例では、湾曲する被塗布物80の形状に合わせ、ばね26aが圧縮されて吸着部20aは穴13に深く入り込み、ばね26bは伸長して吸着部20bは穴13から大きく突出し、ばね26cは圧縮されて吸着部20cは穴13に深く入り込む。なお、吸着部20の突出する高さを変化させる構成は、軸部22を穴13に嵌入し、ばね26で付勢する構成ではなく、他の周知の構成を用いてもよい。このように、負圧に減圧して吸着することで被塗布物80を吸着部20に固着すると、負圧とすることで吸着部20は被塗布物80に固着し、負圧を開放することにより容易に固着を解除でき、簡単に被塗布物80を載置台10に固着して固定支持され、また、取り外すことができる。
【0027】
次に、図2(c)を参照すると、上記とは別の手段により被塗布物82を載置台14に固定支持する例が示されている。載置台14は、回転軸部30の頂部を貫通する丸棒状の伸縮軸部15と、伸縮軸部15の両端に接続する2個の比較的柔らかい素材で形成された押え部16を含んで構成される。ここで、「比較的柔らかい」とは被塗布物82を構成する素材より変形し易いことを指し、典型的には被塗布物82が金属やガラス、硬質プラスチックの硬質な素材で形成されるので、それらの素材より僅かに変形し易い素材(例えば、軟質プラスチック、ゴムなど)で形成されるのがよい。丸棒状の伸縮軸部15は、上記のセンター軸12と同様に軸回りに回るように支持されており、載置台14は伸縮軸部15を中心に回動可能な構成となっている。
【0028】
押え部16と伸縮軸部15との接続は、例えば、ネジ継手となっており、押え部16と伸縮軸部15とで、伸縮可能となっている。あるいは、伸縮軸部15が押え部16に形成された穴(不図示)に挿入され、伸縮可能となり、更に、穴にはばねが収納されて、ばねにより押え部16が突出する方向(載置台14が全体として長くなる方向)に付勢されてもよい。
【0029】
被塗布物82は、本例では、円筒を半分に切断した中空のかまぼこ形をしており、その両端面83の内側が広がる方向に載置台14により押圧される。押え部16と伸縮軸部15とがネジ継手で接続されている場合にはネジで調整して、押え部16がばねで付勢されている場合には付勢力により、押え部16が端面83を押圧するようにする。押え部16が端面83を押圧することで、押圧することにより生ずる押え部16と端面83との摩擦力で被塗布物82が載置台14に固定支持される。押え部16が比較的柔らかい素材で形成されると、特に押え部16が端面83にしっくりと馴染むので、滑りにくく、確実に固定され、好ましい。被塗布物82は、円筒の外周に相当する側面84が湾曲しているが、載置台14の回動に伴い湾曲する方向に回動できる。なお、載置台14は、その上に被塗布物82を載置するのではないが、端面83を押圧することで被塗布物82を固定支持するので、載置台の概念に含まれる。端面83を押圧することで載置台14が被塗布物82を固定支持すると、簡単な構造で固定支持できるので、好適である。ただし、端面83に相当する押圧される平行な2平面を被塗布物82が有していることが条件となる。なお、図2(c)に示す例では、載置台14は内側から端面83を押圧しているが、外側から挟み込むようにして押圧する構成としてもよい。
【0030】
次に、図2(d)を参照すると、載置台18は、被塗布物80を載置する側の上面は平坦に形成され、その平坦な面に載置治具19を固定し、載置治具19が被塗布物80を固定支持する例が示されている。載置治具19と被塗布物80との固着は、周知のいかなる方法により固着してもよく、同様に載置台18と載置治具19との固着もいかなる方法でもよい。載置台18が、載置治具19を介して被塗布物80を固定支持する構成とすることにより、種々の形状の被塗布物に対しても、載置治具19を取り替えるだけで容易に対応することができ、好適である。
【0031】
図1に戻り、塗布物展延装置1の説明を続ける。コーターハウス50は、回転軸部30、載置台10、吸着部20および被塗布物80を囲む上部が開放されたほぼ円筒形の容器である。円筒形の側面に相当する側壁52の上縁は、内側に傾斜するように曲げられ、被塗布物80の回転により飛散する塗布物88がコーターハウス50の外部に漏れにくい構造となっている。コーターハウス50の底板54の中央部をモータ軸部42が貫通し、底板54の下に配置された電動モータ40とコーターハウス50の内部に配置された回転軸部30とを連接している。また、底板54には、他にも孔が形成され、樹脂回収装置60の回収管62が接続して開口する。
【0032】
樹脂回収装置60は、被塗布物80の回転により飛散する塗布物88を回収する装置で、コーターハウス50の底板54に接続する回収管62と、回収管62の下端に接続し、回収する塗布物88を貯留する容器である樹脂溜め64と、樹脂溜め64の上部に接続し、樹脂溜め64から空気を排出することにより、コーターハウス50から回収管62、樹脂溜め64から外部への空気の流れを作る排気管66および排気管66に配置された排気ファン68とを有する。コーターハウス50で捕捉された塗布物88は、典型的には樹脂であるが、排気ファン68により引き起こされるコーターハウス50内から樹脂回収装置60への空気の流れに押されて、回収管62に流れる。回収管62に流れた塗布物88は、樹脂溜め64内に流入し、その底部に溜まる。一方、排気管66は樹脂溜め64の上部に接続しているので、樹脂溜め64から空気だけを排出し、塗布物88は樹脂溜め64内に貯留される。
【0033】
電動モータ40の作動、すなわち起動、停止と回転速度の調整は、制御装置46により制御される。電動モータ40は信号ケーブル44により制御装置46と接続され、制御装置46からの信号に応じて作動する。制御装置46にはタイマ(TM)48が内蔵され、作動時間を計測できる。
【0034】
続いて、図3をも参照して、塗布物展延装置1の作用、特に回転軸部30の回転と載置台10の回動による作用について説明する。図3は載置台10が回転軸部30の回転に伴って回転しながら回動し被塗布物80上の塗布物88を展延する様子を説明する模式図で、(a)は初期に低速で回転している場合、(b)は回転速度を上げ、載置台10が回動して傾斜角Tが小さくなってきた場合、(c)は回転速度を更に上げ、載置台10が回動して傾斜角Tがほぼ0(ゼロ)に、すなわち、ほぼ水平になった場合を示す。塗布物88が供給された被塗布物80を吸着部20を介して載置台10に固定支持させる。塗布物88は、典型的には被塗布物80の塗布すべき表面全面に、しかし、所望の厚さにではなく塗布されている。塗布物88は、被塗布物80の表面の一部にまとめて供給されていてもよい。なお図3中、「A」、「B」、「C」は、被塗布物80の図3における断面方向を大略3部分に分けたA部、B部、C部を示す。
【0035】
被塗布物80が固定された載置台10は、重心G位置が、載置台10が回転軸部30に支持される位置と、典型的には回動軸Dと、載置台10の両側板11(図2参照)の長辺方向でずれている。ここで、「重心G位置」とは、載置台10の重心Gを回転軸方向に投影した位置である。重心G位置が回動軸Dとずれているので、載置台10は、被塗布物80と一緒に傾斜する。すなわち、重心G側が下方となる。なお、ここでいう重心Gは、厳密には、載置台10、吸着部20および塗布物88が供給された被塗布物80を一体としての重心であるが、他の部材に比べて載置台10の質量が大きいので、載置台10の重心として考えても実質的に問題はない。載置台10の質量が大きくないなど、特殊な事情がある場合には、「載置台10の重心G」を「載置台10、吸着部20および塗布物88が供給された被塗布物80を一体としての重心G」と読み替えることとする。
【0036】
図3(a)に示すように、制御装置46からの信号に応じて電動モータ40が低速で回転する。低速で回転する間は、載置台10が回転軸R回りに回転する回転面と回転軸Rに垂直な平面との角度としての傾斜角Tの変化は小さい。すなわち、載置台10は回動軸D回りにほとんど回動しない。なお、傾斜角Tは、載置台10の上面と回転軸Rとの垂直面とのなす角で代表する。そこで、被塗布物80はA部周りでは塗布物88が塗布された面をほぼ水平として、つまり回転軸Rに垂直に近い角度にして回転し、B部周りあるいはC部周りでは、塗布物88が塗布された面を回転軸Rに近い角度にして回転する。その結果、回転軸Rに垂直に近い角度で回転するA部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致して展延されるが、B部周りあるいはC部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致せずあまり展延されない。
【0037】
次に、図3(b)に示すように、制御装置46からの信号に応じて電動モータ40が回転速度を上げて回転する。回転速度を上げることにより、載置台10(厳密には、吸着部20および塗布物88が供給された被塗布物80を加えた一体)に作用する遠心力が増し、傾斜角Tが小さくなる。すなわち、水平に近づく。そこで、被塗布物80の塗布物88が塗布された面の角度は、A部周りでは回転軸Rの垂直面から離れ、B部周りでは回転軸Rの垂直面に近づき、C部周りでは回転軸Rの垂直面に近づくものの依然として回転軸Rに近い角度である。その結果、回転軸Rに垂直に近い角度で回転するB部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致して展延されるが、A部周りあるいはC部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致せずあまり展延されない。
【0038】
次に、図3(c)に示すように、制御装置46からの信号に応じて電動モータ40が回転速度を更に上げて回転する。回転速度を更に上げることにより、載置台10に作用する遠心力が更に増し、傾斜角Tが小さくなる。傾斜角Tは、回動軸Dと重心Gとが略水平となるまで小さくなる。そこで、被塗布物80の塗布物88が塗布された面の角度は、A部周りあるいはB部周りでは回転軸Rの垂直面から離れ、C部周りでは回転軸Rの垂直面に近づく。その結果、回転軸Rに垂直に近い角度で回転するC部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致して展延されるが、A部周りあるいはB部周りの塗布物88は、遠心力の方向と塗布物88が展延される方向が一致せずあまり展延されない。
【0039】
以上のように、載置台10の傾斜角Tを変化させて回転軸R回りに回転することにより、被塗布物80に供給された塗布物88が展延される部分を、変化させることができる。よって、簡単な構造で、湾曲した被塗布物80の、あるいは平坦でない他の形状の被塗布物の表面に供給された塗布物88を、所望の厚さ、典型的には均一な厚さに展延することが可能となる。特に、重心G位置が、載置台10が回転軸部30に支持される回動軸Dとずれているために、載置台10の回転速度に応じて傾斜角Tが変化する、すなわち、回転速度が変化することで回動軸D回りに回動すると、回転速度を変えるだけで済むので、極めて簡単に所望の厚さに展延でき、好適である。ただし、回転速度が大きい場合には、展延の進み具合も速く、回転速度が遅い場合には展延の進み具合が遅くなるので、回転する時間は調整する必要がある。そこで、回転速度と回転時間とを制御装置46で制御するように構成することで、確実に所望の厚さに展延し易くなる。
【0040】
次に図4を参照して、遠心力ではなく、載置台10を回動させる駆動装置としての回動駆動装置70により載置台10を回動させる構成について説明する。図4は、載置台10が回転軸30の回転にともなって回転しながら、回動駆動装置70により回動し被塗布物80上の塗布物88を展延する例を説明する模式図で、(a)は初期に傾斜角Tが大きな状態で回転している場合、(b)は傾斜角Tが小さく、ほぼ0(ゼロ)となって回転している場合、(c)は初期とは逆方向に傾斜角Tが大きくなって回転している場合を示す。
【0041】
回動駆動装置70は、載置台10の回動軸Dから離間した位置から鉛直下方に垂下する剛な直線状の棒である支持ロッド76と、支持ロッド76の下端を支持し、鉛直上下に移動する回転軸Rを中心とした円環平板のドーナッツ板72と、ドーナッツ板72を上下に移動させるアクチュエータ74とを備える。支持ロッド76は、上端は載置台10に回転軸Rを中心とした放射方向に回動可能に支持され、下端はドーナッツ板72上を移動可能に支持される。支持ロッド76が上端を回転軸Rを中心とした放射方向に回動可能に支持されるので、載置台10の傾斜角Tに関わらず、下端をドーナッツ板72上に配置することができる。また、下端は、ドーナッツ板72上を移動可能であるので、載置台10は回動駆動装置70に邪魔されることなく回転でき、また、ドーナッツ板72およびアクチュエータ74は、回転する必要がない。
【0042】
アクチュエータ74は、空気圧式、油圧式などの流体圧シリンダ、ボールネジなどの機械式昇降手段などを含む、周知の装置でよい。アクチュエータ74によりドーナッツ板72が上昇すると、支持ロッド76の下端が押し上げられ、したがって、上端も押し上げられ、上端に接続する載置台10が持ち上げられる。支持ロッド76が垂下される位置が回動軸Dから離間しているので、載置台10は回動軸Dを中心に回動する。逆に、ドーナッツ板72を下降させると、載置台10は逆方向に回動する。支持ロッド76が垂下される位置が回動軸Dから大きく離れていると、小さな力で載置台10を回動することができるが、支持ロッド76が垂下される位置が回動軸Dから近いと、支持ロッド76の、すなわちアクチュエータ74の小さな動きで載置台10を大きく回動することができる。
【0043】
載置台10を回動させるのに回動駆動装置70を備えると、図4(c)に示すように、載置台10は、回動軸D回りに大きな角度で回動することが可能となり、図3で説明した遠心力により回動する場合と異なり、回動軸Dと重心Gとが略水平となる傾斜角Tまでに制限されることがない。また、傾斜角Tが回転速度に依存しないので、例えばコンスタントな回転速度とするなど、回転速度を任意に設定することができる。したがって、より任意な形状の平坦でない被塗布物80の表面に供給された塗布物を、簡単な構造で、より効率よく所望の厚さに展延することが可能となる。この場合には、電動モータ40(図1参照)の回転速度やアクチュエータ74の作動を、制御装置46(図1参照)で制御することが好ましい。制御装置46で制御することにより、複雑な回転速度の調整およびアクチュエータ74の動作を精確に制御することができる。なお、回動駆動装置70は、他の構成でもよく、例えば、ステップモータ(不図示)により直接的に載置台10を回動してもよい。
【0044】
次に、図5を参照して、回転軸Rの方向および回動軸Dの方向と交差する方向の可動軸K回りに回動することが可能な回転軸部35を有する場合について説明する。図5(a)は載置台10、回転軸部35等の正面図、(b)は側面図を示す。回転軸部35は回転軸上部36と回転軸下部37とを有し、回転軸上部36は載置台10を回動軸D回りに回動可能に支持し、回転軸下部37は、モータ軸部42(図1参照)に接続する。そして、回転軸下部37と回転軸上部36とは、可動軸K回りに回動可能に接続する。可動軸Kは、典型的には、回転軸Rおよび回動軸Dと直交する方向の軸である。また、可動軸Kの位置、すなわち、回転軸上部36と回転軸下部37との長さの比は任意であるが、回転軸上部36が長いと、可動軸K回りに傾けたときに、回転軸R回りに回転させたときの偏心質量が大きくなり、振動等の問題を生じる可能性が高まるので、回転軸上部36は短くするのが好ましい。
【0045】
回転軸下部37と回転軸上部36とは、電動モータ40(図1参照)で回転軸R回りに回転中に、例えばサーボモータ機構などの周知の手段で可動軸K回りに回動してもよく、あるいは、電動モータ40が停止中に、手動で回動軸K回りに回動して回転軸部35の曲がりの角度を定めた後に、可動軸K回りの回動をネジなどで固定し、電動モータ40の作動中は回動しないような構成としてもよい。回転軸部35が可動軸K回りに回動し、回転軸上部36が角度を変えることにより、被塗布物80上の塗布物88に作用する遠心力の方向・大きさを変えることができ、すなわち展延する方向および速度が変わるので、複雑な形状の被塗布物80でも、塗布物88を所望の厚さに展延することが可能となり、よって、簡単な構造で、塗布物展延装置1(図1参照)の適用範囲を広くすることができる。なお、電動モータ40が停止中に手動で回動軸K回りに回動する構成とすると、極めて簡単な構成で、回転軸Rの方向および回動軸Dの方向と交差する方向の可動軸K回りに回動することが可能な回転軸部35となる。
【0046】
ここで図6のフローチャートを参照して、これまで説明した塗布物展延方法の基本的な流れを説明する。なお、塗布物展延装置としては図1を参照するが、図6のフローチャートに示す塗布物展延方法を実行するのは、本実施の形態における塗布物展延装置1には限られず、他の態様でもよい。図6は、被塗布物を回転する回転軸と交差する方向の回動軸回りに被塗布物を回動する工程を備える塗布物展延方法を説明するフローチャートである。まず、塗布物88を被塗布物80の表面に供給する(ステップS1)。塗布物88が供給された被塗布物80を載置台10に固定する(ステップS2)。なお、被塗布物80を載置台10に固定した後に、塗布物88を供給してもよい。被塗布物80を載置台10に固定すると、被塗布物80は傾斜する。すなわち、載置台10の被塗布物80を載置する面は、水平ではなく、傾斜角Tで傾斜している。
【0047】
被塗布物80を固定した載置台10を第1の回転速度で回転させる(ステップS3)。第1の回転速度で回転することにより傾斜角Tはある傾斜角T1(図示しない)となる。その状態で、被塗布物80の第1の部分(例えば、図3のA部分)の塗布物88が主に展延され、他の部分の塗布物88はほとんど展延されない(ステップS4)。次に、回転速度を加速する(ステップS5)。回転速度が加速されることにより、載置台10等に作用する遠心力の影響で、載置台10傾斜角Tが変化して、ある傾斜角T2(図示しない)となる(ステップS6)。そこで、被塗布物80の塗布物88が主に展延される部分が、第1の部分から第2の部分(例えば、図3のB部分)へと変わる(ステップS7)。このように、回転速度を変えることにより塗布物88が展延される被塗布物80上の位置が変わるので、適宜回転速度を変え、ステップS5〜S7を繰り返すことにより、被塗布物80上の全面で塗布物88を展延することができ、所望の厚さに展延できる。
【0048】
塗布物88を所望の厚さに展延したならば、載置台10および被塗布物80の回転を止める(ステップS8)。そして、塗布物88が紫外線硬化樹脂である場合には、紫外線照射により紫外線硬化樹脂である塗布物88を固化し、形状を安定させる(ステップS9)。なお、紫外線照射は、被塗布物80を載置台10に固定したまま、あるいは回転したまま行ってもよい。載置台10に固定したまま紫外線照射をすることで、所望の厚さに展延した直後に、振動等を与えて塗布物88を変形させることなしに、塗布物88を固化できるので、所望の厚さを維持し易い。更に、回転させながら、紫外線照射を行うことができると、塗布物88が所望の厚さになった時点で紫外線照射を行い固化することができるので、より所望の厚さを維持し易い。この場合には、塗布物展延装置1に紫外線ランプ(不図示)が備えられる。ただし、被塗布物80を載置台10から取り外し、別の場所で紫外線照射を行うと、処理時間の長い塗布物88の展延と、紫外線照射とを別個の装置で行うことになり、塗布物展延装置1の処理能力がアップする。また、被塗布物80を所定の位置に静止した状態で紫外線を照射できるので、紫外線ランプと塗布物88との距離を任意に調整でき、弱い紫外線ランプでも十分に使用することができる。
【0049】
上記の図6のフローチャートを参照した説明では、載置台10が回転による遠心力で回動軸D回りに回動するものとして説明したが、回動軸D回りに回動するのは回動駆動装置70(図4参照)等、他の機構であってもよい。また、第1の回転速度から次の回転速度へ階段状に加速するように説明したが、回転速度の変化は滑らかに行われてもよく、また、加速するだけではなく、階段状にあるいは滑らかに減速してもよい。
【実施例1】
【0050】
次に、図7に示すような、湾曲した面(B’、C’部)と、湾曲した面から折れ曲がる面(A’部)とを有する被塗布物90上の塗布物92を回動軸R回りに回動させて回転して展延する場合と、従来通りに回動させずに回転して展延する場合とで、展延後の塗布物92の厚さの比較実験を行った。供給した塗布物92は、粘性が0.04Pa・s(25℃)の塗料である。塗付物92を供給した被塗布物90を図7に示すように載置台10により吸着部20を介して固定支持し、回転軸部30を回転した。
【0051】
図8に実施例として回転した回転速度vと時間tとの関係をグラフ化して示す。本実施例では、v1、v2、v3と3段階に回転速度を変化させた。また、回転速度の低いv1で回転する時間を長く、v2、v3と回転速度が高くなるにつれ、回転する時間を短くし、均一な膜厚になるようにした。ここで、v1は500(1/分)、v2は1250(1/分)、v3は2000(1/分)であり、t1は回転開始(t0)後8秒、t2は回転開始(t0)後12秒、t3は回転開始(t0)後13秒である。
【0052】
比較例として、同じ被塗布物90に同じ塗付物92を供給し、載置台10の被塗布物90を載置する上面を水平に保ち、回転速度1500(1/分)で6秒間回転し、塗付物92を展延した。
【0053】
図9に実施例と比較例の展延後の塗付物の膜厚を、位置A’、B’、C’ごとにまとめて示す。図9でも明らかなように、被塗布物90を水平に固定したまま回転する従来の塗布物展延方法による比較例に対し、回転しながら回動軸R回り回動する本発明に係る塗布物展延方法によれば、展延後の塗布物92の膜厚をより均一にできる。すなわち、所望の膜厚が得られることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】塗布物展延装置の構成を説明する模式図である。
【図2】(a)、(b)は図1に示す載置台および吸着部を説明する断面図で、(a)は図1と同方向に見た断面図、(b)は(a)と直交する垂直断面での断面図、(c)は被塗布物を押圧することにより固定支持する載置台を説明する側面図、(d)は載置治具にて被塗布物を固定支持する載置台を説明する断面図である。
【図3】載置台が回転軸部の回転にともなって回転しながら回動し被塗布物上の塗布物を展延する様子を説明する模式図で、(a)は初期に低速で回転している場合、(b)は回転速度を上げ、載置台が回動して傾斜角が小さくなってきた場合、(c)は回転速度を更に上げ、載置台が回動してほぼ水平になった場合を示す。
【図4】載置台が回転軸の回転に伴って回転しながら、回動駆動装置により回動し被塗布物上の塗布物を展延する例を説明する模式図で、(a)は初期に傾斜角が大きな状態で回転している場合、(b)は傾斜角が小さく、ほぼ0(ゼロ)となって回転している場合、(c)は初期とは逆方向に傾斜角が大きくなって回転している場合を示す。
【図5】回転軸の方向および回動軸の方向と交差する方向の可動軸回りに回動することが可能な回転軸部を説明する図で、(a)は載置台、回転軸部等の正面図、(b)は側面図を示す。
【図6】被塗布物を回転する回転軸と交差する方向の回動軸回りに被塗布物を回動する工程を備える塗布物展延方法を説明するフローチャートである。
【図7】実施例および比較例で用いた被塗布物の形状を説明する図である。
【図8】実施例として被塗布物を回転した塗布物を展延した回転速度と時間との関係をグラフ化して示す図である。
【図9】実施例と比較例の展延後の塗付物の膜厚を、位置ごとにまとめて示す図である。
【符号の説明】
【0055】
1 塗布物展延装置
10 載置台
11 両側板
12 センター軸
13 穴
14 載置台
15 伸縮軸部
16 押え部
18 載置台
19 載置治具
20(20a、20b、20c) 吸着部
22 (吸着部の)軸部
24 (吸着部の)接触部
26(26a、26b、26c) ばね
28 吸引管
30 回転軸部
32 軸受
35 回転軸部
36 回転軸上部
37 回転軸下部
38 吸引管
40 電動モータ(駆動装置)
42 モータ軸部
44 信号ケーブル
46 制御装置
48 タイマ
50 コーターハウス
52 側壁
54 底板
60 樹脂回収装置
62 回収管
64 樹脂溜め
66 排気管
68 排気ファン
70 回動駆動装置
72 ドーナッツ板
74 アクチュエータ
76 支持ロッド
80 被塗布物
82 被塗布物
83 端面
84 側面
88 塗布物
90 被塗布物
92 塗布物
A、B、C、A’、B’、C’ 被塗布物上の位置
D 回動軸
G 重心位置
h(ha、hb、hc) 載置台から突出する高さ
K 可動軸
R 回転軸
T 傾斜角(回転軸周りに回転する載置台の回転面の回転軸に対する角度)
t 時間
v 回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸回りに回転する回転軸部と;
塗布物が供給された被塗布物を固定支持し、前記回転軸部に支持され、前記回転軸部の回転に伴い回転しながら前記回転軸の方向と交差する方向の回動軸回りに回動する載置台とを備える;
塗布物展延装置。
【請求項2】
前記回転軸部が、前記載置台の重心位置からずれた位置で前記載置台を支持する;
請求項1に記載の塗布物展延装置。
【請求項3】
前記回転軸部の回転速度は可変であり;
前記回転軸部の回転速度を制御する制御装置を備える;
請求項1または請求項2に記載の塗布物展延装置。
【請求項4】
前記載置台を前記回動軸回りに回動する回動駆動装置を備える;
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の塗布物展延装置。
【請求項5】
前記載置台から突出し、前記被塗布物を吸着して固定する吸着部を複数備え、前記吸着部は被塗布物の形状に合わせるため前記載置台から突出する高さが可変である;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗布物展延装置。
【請求項6】
前記載置台が、前記回転軸に交差する方向に押圧することにより前記被塗布物を固定支持する;
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗布物展延装置。
【請求項7】
前記回転軸部が、前記回転軸回りに回転しながら前記回転軸の方向および前記回動軸の方向と交差する方向の可動軸回りに回動する;
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の塗布物展延装置。
【請求項8】
被塗布物の表面に塗布物を供給する工程と;
前記塗布物が供給された被塗布物を回転軸回りに回転し、前記塗布物を展延する工程と;
前記塗布物を展延する工程において、前記回転軸の方向と交差する方向の回動軸回りに前記被塗布物を回動し、前記被塗布物の前記回転軸に対する角度を変える工程とを備える;
塗布物展延方法。
【請求項9】
前記塗布物を展延する工程において、前記被塗布物が回転軸回りに回転する回転速度を変える工程を備える;
請求項8に記載の塗布物展延方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−22920(P2009−22920A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−190618(P2007−190618)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000103976)オリジン電気株式会社 (223)
【Fターム(参考)】