変位検出装置、及び、前置増幅器
【課題】 可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が反比例する変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ること。
【解決手段】 前置増幅器は、第1クロック信号とオペアンプQ1から帰還された振幅変調信号とを増幅し、第1出力信号を出力し、第2クロック信号と振幅変調信号とを増幅し、第2出力信号を出力するクロック増幅手段3a、第1出力信号が供給されるコンデンサC1と、第2出力信号が供給されるコンデンサC2と、反転入力端子が第1コンデンサ及び第2コンデンサに接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子がクロック増幅手段の入力に接続されているオペアンプQ1とを備える。
【解決手段】 前置増幅器は、第1クロック信号とオペアンプQ1から帰還された振幅変調信号とを増幅し、第1出力信号を出力し、第2クロック信号と振幅変調信号とを増幅し、第2出力信号を出力するクロック増幅手段3a、第1出力信号が供給されるコンデンサC1と、第2出力信号が供給されるコンデンサC2と、反転入力端子が第1コンデンサ及び第2コンデンサに接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子がクロック増幅手段の入力に接続されているオペアンプQ1とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位検出用コンデンサを用いた変位検出装置、及び、前置増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
固定部分と可動部分とで構成される機械システムにおいて、その相対的位置又は変位量を検出する方法として、固定部分および可動部分にそれぞれ電極を配置し、その間の静電容量又は静電容量の変化を計測する方法がとられる。
【0003】
図10は、本構造の模式図を示す。図10(a)においては、左右方向に移動する可動部分に可動電極Cが設けられ、移動しない固定部分に固定電極Aおよび固定電極Bが設けられている。固定電極Aと可動電極Cとによって変位検出用コンデンサC1が形成され、固定電極Bと可動電極Cとによって変位検出用コンデンサC2が形成されている。可動部分の左右方向の変位に応じて、電極Aと電極Cとの対向面積、電極Bと電極Cとの対向面積が変化し、コンデンサC1、C2の一方の静電容量が増加し、他方の静電容量が減少するよう動作する。電極の対向面積は可動部分の変位に比例するので、コンデンサC1、C2の静電容量の変化はそれぞれ可動部分の変位に対して直線的に変化(比例)する。
【0004】
図10(b)においては、左右方向に移動する可動部分に可動電極Cが設けられ、移動しない固定部分に固定電極Aおよび固定電極Bが設けられている。固定電極Aと可動電極Cによって変位検出用コンデンサC1が形成され、固定電極Bと可動電極Cによって変位検出用コンデンサC2が形成されている。可動部分の左右方向の変位に応じて、電極Aと電極Cとの間の距離、電極Bと電極Cとの間の距離が変化し、コンデンサC1、C2の一方の静電容量が増加し、他方の静電容量が減少するよう動作する。静電容量は電極間距離に反比例するので、コンデンサC1、C2の静電容量は、可動部分の変位に対して直線的な変化とならず、双曲線的な変化となる。
【0005】
図10においては、可動部分が直線的に変位する場合を示しているが、可動部分が回動する回転系システムについてもその回転角を測定するために対向面積変化型あるいは距離変化型のコンデンサを生成することができる。
【0006】
変位量又は変位角を計測するためには、一般的に、図11に示すようなロックインアンプ形式の測定回路が使用される。本回路においては、前置増幅器は、測定すべき変位の周波数(例えば、数100Hz以下)よりも充分に高い周波数(例えば、数10kHz以上)のクロック信号es、es(−)が供給され、これらのクロック信号から、変位に比例した振幅変調信号を生成し、出力する。乗算器は、振幅変調信号とクロック信号esとを乗算し、変位量に比例した出力電圧を生成する。
【0007】
本回路のクロック信号には正弦波が用いられるが、アナログ回路で正弦波を生成することは、比較的困難である。また、乗算器をアナログ回路で実現することも容易ではない。
【0008】
図12は、図11に適用される前置増幅器の一例を示す回路図である。この前置増幅器によると、下記式のように、コンデンサC1、C2の静電容量の差に比例した出力を生成することができる。
【数1】
【0009】
コンデンサC1、C2が図10(a)に示すように、静電容量の変化が可動部分の変位に対して直線的である場合、コンデンサC1、C2の容量は下記式で表すことができる。
【数2】
ここで、εoは真空の誘電率、Aは電極の面積(つまり、固定電極A又はBが、可動電極Cと完全に対向する際の対向面積)、doは固定電極A又はBと可動電極Cとの間の距離、yoは基準位置(中央位置)からの最大変位(つまり、固定電極A又はBが、可動電極Cと完全に対向する際の可動部分の変位量)、yは基準位置からの可動部分の変位量である。
【0010】
この式を上記Voの式に代入すると、以下の通りになる。
【数3】
【0011】
従って、感度(単位変位量に対する出力電圧の変化量)Koは、次式になる。
【数4】
従って、Koは変数yを含まず、定数のみを含むので、線形な変位出力を得ることができることが分かる。
【0012】
一方、図10(b)においては、コンデンサC1、C2の容量は次式で表される。
【数5】
【0013】
従って、C1−C2、Voは次式のようになる。
【数6】
【0014】
従って、感度Koは、次式の通りになる。
【数7】
従って、Koは変数yを含むので、変位量に対して出力電圧は非線形となり、図10(b)においては図12の回路を適用できないことが分かる。
【0015】
図10(a)(b)のどちらの変位検出用コンデンサも適用できる前置増幅器として図13に示す回路が考えられる。ここで、コンデンサCoは、実際のコンデンサが配線されているのではなく、オペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分を現している。この回路における出力電圧Voは、次式の通りになる。
【数8】
【0016】
ここで、以下の周波数領域においては、
【数9】
Voは次式に変形される。
【数10】
【0017】
ここでCo=0の場合を考えると、さらに次式に変形される。
【数11】
【0018】
従って、出力電圧は(コンデンサC1、C2の容量差/コンデンサC1、C2の容量和)に比例する。この時、上記と同様にコンデンサC1、C2の容量を規定すると、感度Koは、図10(a)(b)のどちらの場合にも以下の通りとなる。
【数12】
従って、Koは変数yを含まず、定数のみを含むので、線形な変位出力を得ることができることが分かる。
【0019】
しかし、実際には容量Coが存在するので、次に通りとなる。つまり、図10(a)においては、感度Koは次式の通りとなるので、感度の低下はあるものの、感度Koは変数yを含まずに、線形性は保たれている。
【数13】
【0020】
一方、図10(b)においては、次式の通りとなり、感度Koは、変数yを含み、非線形な応答となってしまう。
【数14】
【0021】
これを防止するために、Coの影響をできるだけ減らす目的で、図14に示すように、ガードを用いた配線が行われることになる。ガードはCoに電流を流さないようにするための配線である。しかし、オペアンプの非反転入力端子にコンデンサC1、C2が接続されていることが原因となり、ガードの電位は接地電位ではなく、振幅変調された高周波信号であるので、ガードに流れる高周波信号が他の回路に飛び込み、他の回路を誤動作させる危険性がある。これを防止するためにはガードのさらに外側にシールドを設ける必要があり、特殊な配線が必要となる。また、ガードを用いたとしても増幅器として使用されるオペアンプには入力端子と内部正負電源間に保護ダイオードが設けられているのが普通であり、その接合容量の影響、さらにオペアンプでは非反転入力端子(3番ピン)と負側電源入力端子(4番ピン)とが隣接しており、その間にガードを設けることはできないので、Coの影響を完全に無しにすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2009−222654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の好ましい実施形態による変位検出装置は、第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する前置増幅回路と;前記振幅変調信号が供給され、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第3出力信号と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第4出力信号との差を算出し、その低域成分を出力する同期検波回路と;を備える。
【0025】
本実施形態によると、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することができる。
【0026】
好ましい実施形態においては、前記クロック増幅手段が、第1〜第8抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの反転入力端子が前記第3抵抗を介して前記第2オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第4抵抗を介して前記第8抵抗に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第1コンデンサの第1電極に接続され、前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの反転入力端子が前記第7抵抗を介して前記第3オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第8抵抗を介して前記第4抵抗に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第2コンデンサの第1電極に接続されている。
【0027】
前記前置増幅器は、前記回路構成を有することによって、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力することができる。
【0028】
好ましい実施形態においては、前記クロック増幅手段が、第1抵抗と、第2抵抗と、第5抵抗と、第6抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第2オペアンプの反転入力端子と、前記第1コンデンサの第1電極に接続され、前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第3オペアンプの反転入力端子と、前記第2コンデンサの第1電極に接続されている。
【0029】
前記前置増幅器は、前記回路構成を有することによって、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力することができる。
【0030】
好ましい実施形態においては、前記第2抵抗に並列に第3コンデンサが接続されており、前記第6抵抗に並列に第4コンデンサが接続されている。
【0031】
本実施形態では、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がり応答性を改善することができる。
【0032】
好ましい実施形態においては、前記同期検波回路が、第9〜第12抵抗と、第5、第6コンデンサと、第4オペアンプと、第1アナログスイッチと、第2アナログスイッチとを含み、前記第4オペアンプの非反転入力端子が、前記第9抵抗を介して前記第1アナログスイッチに接続され、前記第10抵抗を介して接地電位に接続され、前記第5コンデンサを介して接地電位に接続され、前記第4オペアンプの反転入力端子が、前記第11抵抗を介して前記第2アナログスイッチに接続され、前記第12抵抗を介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第6コンデンサを介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第1アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に、前記第9抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第9抵抗を接地電位に接続させ、前記第2アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に、前記第11抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第11抵抗を接地電位に接続させる。
【0033】
本実施形態では、背景技術のようにアナログの乗算器を使用する必要がなく、安価なアナログスイッチを使用して、検出信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0034】
可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい実施形態による変位検出装置1を示す回路ブロック図である。
【図2】変位検出用コンデンサの可動部分の変位と、変位検出装置1の各部の電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の好ましい実施形態による前置増幅器3の回路図である。
【図4】図3の前置増幅器3についてシールド配線を示す回路図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による同期検波回路4の回路図である。
【図6】本発明の別の好ましい実施形態による前置増幅器31の回路図である。
【図7】本発明の別の好ましい実施形態による前置増幅器32の回路図である。
【図8】変位検出装置1の各部の電圧波形を示すタイミングチャートであり、Voに生じるセトリングタイムと、セトリングタイムをマスキングするための第1、第2クロック信号を示す。
【図9】セトリングタイムをマスキングするためのクロック整形回路を示す回路図である。
【図10】変位検出用コンデンサC1、C2の構成を示す図である。
【図11】背景技術による変位検出装置を示す回路ブロック図である。
【図12】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【図13】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【図14】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施形態による変位検出装置について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0037】
図1は、本実施形態の変位検出装置1を示すブロック図である。変位検出装置1は、クロック発生回路2と、前置増幅器3と、同期検波回路4とを備える。図2は、変位検出装置1の各部の波形を示すタイミングチャートである。
【0038】
クロック発生回路2は、図2(c)に示す第1クロック信号eclkと、第1クロック信号eclkに対して位相が反転された第2クロック信号eclk(−)とを生成し、前置増幅器3および同期検波回路4に供給する。なお、クロック発生回路2は、変位検出装置1の外部に設けられてもよい。
【0039】
前置増幅器3は、図10に示すような変位検出用コンデンサC1、C2を使用し、クロック発生回路2から供給される第1クロック信号eclkと第2クロック信号eclk(−)とを振幅変調し、振幅変調信号を同期検波回路4に供給する。つまり、図2(a)に示すような変位y(図10の可動部分の基準位置からの変位)に対して、前置増幅器3は、図2(b)に示すような振幅変調信号Voを出力する。
【0040】
図3は、前置増幅器3を示す回路図である。前置増幅器3は、クロック増幅手段3aと、変位検出用コンデンサC1、C2と、オペアンプQ1とを含む。クロック増幅手段3aは、第1クロック信号と、第2クロック信号とが供給され、第1クロック信号を非反転増幅してコンデンサC1の固定電極に供給し、第2クロック信号を非反転増幅してコンデンサC2の固定電極に供給する。
【0041】
詳細には、オペアンプQ1の出力信号である振幅変調信号Voがクロック増幅手段3aの信号入力端に帰還されており、振幅変調信号Voに応じて、クロック増幅手段3aに入力される信号が変化するようになっている。つまり、クロック増幅手段3aは、第1クロック信号及び振幅変調信号に基づく信号を増幅して出力信号を出力し、かつ、第2クロック信号及び振幅変調信号に基づく信号を増幅して出力信号を出力する。詳細は後述するが、オペアンプQ1の出力信号をクロック増幅手段3aに帰還させることによって、オペアンプQ1の反転入力端子にコンデンサC1、C2の可動電極を接続させ、オペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分の影響を受けないようにしているにも関わらず、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる。
【0042】
クロック増幅手段3aは、オペアンプQ2、Q3と、抵抗R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4bを含む。R1aとR1bとの抵抗値は共にR1であり、R2aとR2bとの抵抗値は共にR2であり、R3aとR3bとの抵抗値は共にR3であり、R4aとR4bとの抵抗値は共にR4である。
【0043】
オペアンプQ2の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R1aを介して第1クロック信号が供給され、抵抗R2aを介して抵抗R2bとオペアンプQ1の出力端子とに接続されている。オペアンプQ2の反転入力端子(−端子)は、抵抗R3aを介してオペアンプQ2の出力端子に接続され、抵抗R4aを介して抵抗R4bに接続されている。オペアンプQ2の出力端子は、コンデンサC1の固定電極Aに接続されている。従って、オペアンプQ2は、非反転入力端子に第1クロック信号と、オペアンプQ1の出力信号Voが供給され、これらの信号を非反転増幅し、コンデンサC1に供給する。
【0044】
オペアンプQ3の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R1bを介して第2クロック信号が供給され、抵抗R2bを介して抵抗R2aとオペアンプQ1の出力端子とに接続されている。オペアンプQ3の反転入力端子(−端子)は、抵抗R3bを介してオペアンプQ3の出力端子に接続され、抵抗R4bを介して抵抗R4aに接続されている。オペアンプQ3の出力端子は、コンデンサC2の固定電極Bに接続されている。従って、オペアンプQ3は、非反転入力端子に第2クロック信号と、オペアンプQ1の出力信号Voが供給され、これらの信号を非反転増幅し、コンデンサC2に供給する。
【0045】
変位検出用コンデンサC1、C2は、図10(a)または(b)に記載のものが採用され、詳細な構成は上記背景技術で説明した通りである。つまり、変位検出用コンデンサは、固定部分と、固定部分に対して変位する可動部分とを有する。固定部分は、固定電極A、及び、固定電極Bを含み、可動部分は、固定電極A及び固定電極Bに対向する部分に可動電極Cを含む。固定電極Aと可動電極CとによりコンデンサC1が構成され、固定電極Bと可動電極CとによりコンデンサC2が構成されている。コンデンサC1、C2の一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する。なお、固定部分と可動部分とが逆になっていてもよく、この場合、電極AおよびBが可動電極となり、電極Cが固定電極となる。図10(a)は、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサであり、図10(b)は、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサである。
【0046】
コンデンサC1の可動電極Cと、コンデンサC2の可動電極Cとは接続されている。オペアンプQ1の反転入力端子(−端子)は、コンデンサC1、C2の可動電極Cに接続され、抵抗Rzを介してオペアンプQ1の出力端子に接続されている。オペアンプQ1の非反転入力端子(+端子)は接地電位に接続されている。オペアンプQ1の出力端子は、抵抗R2aを介してオペアンプQ2の非反転入力端子に接続され、かつ、抵抗R2bを介してオペアンプQ3の非反転入力端子に接続されている。この接続構成によって、コンデンサC1、C2、オペアンプQ1、抵抗Rzは微分回路を構成している。詳細は後述するが、オペアンプQ1は、コンデンサC1の容量とコンデンサC2の容量との差を、コンデンサC1の容量とコンデンサC2の容量との和で除算した値に比例する振幅変調信号Vo(図2(b))を出力する。
【0047】
コンデンサC1の可動電極Cと、コンデンサC2の可動電極Cとは、オペアンプQ1の反転入力端子に接続され、仮想接地として動作する。つまり、オペアンプQ1の非反転入力端子が接地電位に接続され、かつ、オペアンプQ1の反転入力端子と非反転入力端子との間の電位差が0であるので、オペアンプQ1の反転入力端子に接続される信号ラインは実質的に接地電位に接続されていると見なせる。従って、図13にCoで示したようなオペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分が図3の前置増幅器3に存在する場合であっても、オペアンプQ1の反転入力端子に接続される信号ラインが仮想接地であるので、Coには電流が流れずに、以下でVoを計算する際にCoの影響を無視することができる。従って、図3の前置増幅器3によると、ガードが不要となり、図4に示すように、他回路の誤動作を防止するために単純なシールド線のみを使用して配線することができる。
【0048】
図1に戻って、同期検波回路4は、前置増幅器3から振幅変調信号Voが供給され、クロック発生回路2から第1クロック信号および第2クロック信号が供給され、振幅変調信号Voを第1クロック信号および第2クロック信号を使用し、両波同期検波を実行する。つまり、第1クロック信号及び第2クロック信号の内の一方が所定値よりも大きい期間(電圧が正(ハイレベル)の期間)に振幅変調信号Voであり、それ以外の期間に接地電位である第1出力と、第1クロック信号及び第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間(電圧が正(ハイレベル)の期間)に振幅変調信号Voであり、それ以外の期間に接地電位である第2出力との差をとることによって、両波同期検波信号が得られる。
【0049】
同期検波回路4を使用することによって図11のように乗算器を使用する必要がなくなる。また、同期検波回路4は、両波同期検波信号からLPFによって低周波数成分のみを抽出することによって、図2(e)に示すような検出信号Vdを出力する。同期検波回路4が単波同期検波ではなく両波同期検波することによって、前置増幅器3で生じた1/fノイズが第1出力と第2出力との差をとることによって相殺されるという効果がある。
【0050】
図5は、同期検波回路4を示す回路図である。同期検波回路4は、オペアンプQ4と、抵抗R5a、R5b、R6a、R6b、コンデンサC3a、C3b、スイッチSW1、SW2を含む。R5aとR5bとの抵抗値は等しく、R6aとR6bとの抵抗値は等しく、C3aとC3bとの容量は等しい。スイッチSW1、SW2は安価なアナログスイッチを使用するができるので、コスト削減に寄与する。
【0051】
オペアンプQ4の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R5aを介してスイッチSW1に接続され、抵抗R6aを介して接地電位に接続され、コンデンサC3aを介して接地電位に接続されている。オペアンプQ4の反転入力端子(−端子)は、抵抗R5bを介してスイッチSW2に接続され、抵抗R6bを介してオペアンプQ4の出力端子に接続され、コンデンサC3bを介してオペアンプQ4の出力端子に接続されている。
【0052】
スイッチSW1は、第2クロック信号によって制御される。スイッチSW1は、第2クロック信号が正の期間に、抵抗R5aを前置増幅器3の出力に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5aへと供給する。一方、スイッチSW1は、第2クロック信号が負の期間に、抵抗R5aを接地電位に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5aへと供給しない。(なお、スイッチSW1を第1クロック信号によって制御し、第1クロック信号が負の期間に、抵抗R5aを前置増幅器3の出力に接続させ、第1クロック信号が正の期間に、抵抗R5aを接地電位に接続させてもよい。)
【0053】
スイッチSW2は、第1クロック信号によって制御される。スイッチSW2は、第1クロック信号が正の期間に、抵抗R5bを前置増幅器3の出力に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5bへと供給する。一方、スイッチSW2は、第1クロック信号が負の期間に、抵抗R5bを接地電位に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5bへと供給しない。(なお、スイッチSW2を第2クロック信号によって制御し、第2クロック信号が負の期間に、抵抗R5bを前置増幅器3の出力に接続させ、第2クロック信号が正の期間に、抵抗R5bを接地電位に接続させてもよい。)
【0054】
オペアンプQ4、抵抗R5a、R5b、R6a、R6b、コンデンサC3a、C3bによって差動型のLPF(ローパスフィルタ)が構成されており、スイッチSW1を介して抵抗R5aに供給される信号から、スイッチSW2を介して抵抗R5bに供給される信号を減算して増幅し、低周波数成分のみを抽出することで、検出信号Vdを出力する。
【0055】
以下、本実施形態の変位検出装置1(前置増幅器3)によると、図10(a)又は(b)のいずれの変位検出用コンデンサC1、C2を使用する場合でも、可動部分の変位に比例した出力信号が得られることを説明する。図3の前置増幅器3の各ノードにおける電圧V1〜V4および振幅変調信号Voは次式で表される。
【数15】
【0056】
上式よりVoを求めると、以下の式になる。
【数16】
【0057】
ここで、次式を満足するようにクロック周波数を選択する。
【数17】
【0058】
すると、Voは以下の式に変形される。
【数18】
【0059】
抵抗R1〜R4は定数であるので、Voは、図13においてCo=0と仮定して説明した場合と同様に、(コンデンサC1、C2の容量差/コンデンサC1、C2の容量和)に比例する。従って、感度K0は、変数yを含まない。その結果、図10(a)の変位検出用コンデンサ、図10(b)の変位検出用コンデンサのどちらを使用しても、可動部分の変位に比例した出力信号を得ることができる。
【0060】
図6は、別の実施形態による前置増幅器31を示す回路図である。これは、上記式において、R3=0、R4=∞とした回路である。つまり、オペアンプQ2の反転入力端子はオペアンプQ2の出力端子に接続され、オペアンプQ3の反転入力端子はオペアンプQ3の出力端子に接続されている。ここで、R1a=R1b=R2a=R2bとすれば、V0は以下の式で表される。
【数19】
【0061】
上記と同様に、Koを算出すると、以下の式になる。
【数20】
【0062】
従って、感度K0は、変数yを含まない。その結果、図10(a)の変位検出用コンデンサ、図10(b)の変位検出用コンデンサのどちらを使用しても、可動部分の変位に比例した出力信号を得ることができる。
【0063】
図7は、さらに別の好ましい実施形態による前置増幅器32を示す回路図であり、図6と比較して、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がり応答性を改善した回路である。前置増幅器32では、コンデンサC4a、C4bが追加されており、コンデンサC4aは抵抗R2aに並列接続され、コンデンサC4bは抵抗R2bに並列接続されている。コンデンサC4aとコンデンサC4bとの容量は等しい。コンデンサC4a、C4bは、第1クロック信号および第2クロック信号に対してLPFとして機能し、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がりを遅らせるように機能する。また、コンデンサC4a、C4bは、オペアンプQ1の出力端子から帰還される振幅変調信号Voに対してはHPF(ハイパスフィルタ)として機能し、スピードアップの役割を果たす。なお、コンデンサC4a、C4bを図3の前置増幅器3に設けてもよい。
【0064】
なお、上記の各前置増幅器において、オペアンプQ1の出力をクロック増幅手段3aの入力に帰還させているので、矩形波応答にある程度のセトリング時間を必要とする。このセトリング時間内の電圧は最終出力に誤差を与えることになる。従って、同期検波回路4において、図8に示すように、セトリング期間をマスキングする方が精度の点で好ましい。そのためには、同期検波回路4で使用する第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がりをセトリング時間だけ遅延させる必要がある(ただし立下りは遅らさない)。図9は、そのためのクロック整形回路の実施例を示し、同期検波回路4の前段に設けられる。図9ではコンデンサCdへの充放電時定数を変えることでそれを実現しているが、同様なパルス整形が実現できる限り、図9の回路に限定されない。
【0065】
以上のように、本実施形態によると、以下の効果が得られる。
(1)同期検波回路4を使用することで、安価なアナログスイッチを使用することができる。アナログの乗算器を使用する必要がない。
(2)オペアンプQ1の反転入力端子に変位検出用コンデンサC1、C2を接続し、非反転入力端子は接地電位に接続される。従って、図13のCoに相当する容量に電流が流れないので、Coの影響を無視できる。そして、オペアンプQ1の出力をオペアンプQ2、Q3の入力に帰還させることにより、オペアンプQ1の出力は(C1−C2)/(C1+C2)に比例する。従って、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる。
(3)Coの影響を無視できるので、図14のようなガードや、ガードをさらに覆うシールド等の特殊で複雑な配線を設ける必要がない。
(4)上記の前置増幅器3、同期検波回路4によると、クロック信号は正弦波だけではなく矩形波を使用することができる。従って、クロック生成回路2は、矩形波のクロック信号を生成するものであればよいので、安価、かつ、容易に構成することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。上記の変位検出装置に適用される前置増幅器または同期検波回路という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、変位検出装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0068】
1 変位検出装置
2 クロック発生回路
3 前置増幅器
3a クロック増幅手段
4 同期検波回路
Q1 オペアンプ
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位検出用コンデンサを用いた変位検出装置、及び、前置増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
固定部分と可動部分とで構成される機械システムにおいて、その相対的位置又は変位量を検出する方法として、固定部分および可動部分にそれぞれ電極を配置し、その間の静電容量又は静電容量の変化を計測する方法がとられる。
【0003】
図10は、本構造の模式図を示す。図10(a)においては、左右方向に移動する可動部分に可動電極Cが設けられ、移動しない固定部分に固定電極Aおよび固定電極Bが設けられている。固定電極Aと可動電極Cとによって変位検出用コンデンサC1が形成され、固定電極Bと可動電極Cとによって変位検出用コンデンサC2が形成されている。可動部分の左右方向の変位に応じて、電極Aと電極Cとの対向面積、電極Bと電極Cとの対向面積が変化し、コンデンサC1、C2の一方の静電容量が増加し、他方の静電容量が減少するよう動作する。電極の対向面積は可動部分の変位に比例するので、コンデンサC1、C2の静電容量の変化はそれぞれ可動部分の変位に対して直線的に変化(比例)する。
【0004】
図10(b)においては、左右方向に移動する可動部分に可動電極Cが設けられ、移動しない固定部分に固定電極Aおよび固定電極Bが設けられている。固定電極Aと可動電極Cによって変位検出用コンデンサC1が形成され、固定電極Bと可動電極Cによって変位検出用コンデンサC2が形成されている。可動部分の左右方向の変位に応じて、電極Aと電極Cとの間の距離、電極Bと電極Cとの間の距離が変化し、コンデンサC1、C2の一方の静電容量が増加し、他方の静電容量が減少するよう動作する。静電容量は電極間距離に反比例するので、コンデンサC1、C2の静電容量は、可動部分の変位に対して直線的な変化とならず、双曲線的な変化となる。
【0005】
図10においては、可動部分が直線的に変位する場合を示しているが、可動部分が回動する回転系システムについてもその回転角を測定するために対向面積変化型あるいは距離変化型のコンデンサを生成することができる。
【0006】
変位量又は変位角を計測するためには、一般的に、図11に示すようなロックインアンプ形式の測定回路が使用される。本回路においては、前置増幅器は、測定すべき変位の周波数(例えば、数100Hz以下)よりも充分に高い周波数(例えば、数10kHz以上)のクロック信号es、es(−)が供給され、これらのクロック信号から、変位に比例した振幅変調信号を生成し、出力する。乗算器は、振幅変調信号とクロック信号esとを乗算し、変位量に比例した出力電圧を生成する。
【0007】
本回路のクロック信号には正弦波が用いられるが、アナログ回路で正弦波を生成することは、比較的困難である。また、乗算器をアナログ回路で実現することも容易ではない。
【0008】
図12は、図11に適用される前置増幅器の一例を示す回路図である。この前置増幅器によると、下記式のように、コンデンサC1、C2の静電容量の差に比例した出力を生成することができる。
【数1】
【0009】
コンデンサC1、C2が図10(a)に示すように、静電容量の変化が可動部分の変位に対して直線的である場合、コンデンサC1、C2の容量は下記式で表すことができる。
【数2】
ここで、εoは真空の誘電率、Aは電極の面積(つまり、固定電極A又はBが、可動電極Cと完全に対向する際の対向面積)、doは固定電極A又はBと可動電極Cとの間の距離、yoは基準位置(中央位置)からの最大変位(つまり、固定電極A又はBが、可動電極Cと完全に対向する際の可動部分の変位量)、yは基準位置からの可動部分の変位量である。
【0010】
この式を上記Voの式に代入すると、以下の通りになる。
【数3】
【0011】
従って、感度(単位変位量に対する出力電圧の変化量)Koは、次式になる。
【数4】
従って、Koは変数yを含まず、定数のみを含むので、線形な変位出力を得ることができることが分かる。
【0012】
一方、図10(b)においては、コンデンサC1、C2の容量は次式で表される。
【数5】
【0013】
従って、C1−C2、Voは次式のようになる。
【数6】
【0014】
従って、感度Koは、次式の通りになる。
【数7】
従って、Koは変数yを含むので、変位量に対して出力電圧は非線形となり、図10(b)においては図12の回路を適用できないことが分かる。
【0015】
図10(a)(b)のどちらの変位検出用コンデンサも適用できる前置増幅器として図13に示す回路が考えられる。ここで、コンデンサCoは、実際のコンデンサが配線されているのではなく、オペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分を現している。この回路における出力電圧Voは、次式の通りになる。
【数8】
【0016】
ここで、以下の周波数領域においては、
【数9】
Voは次式に変形される。
【数10】
【0017】
ここでCo=0の場合を考えると、さらに次式に変形される。
【数11】
【0018】
従って、出力電圧は(コンデンサC1、C2の容量差/コンデンサC1、C2の容量和)に比例する。この時、上記と同様にコンデンサC1、C2の容量を規定すると、感度Koは、図10(a)(b)のどちらの場合にも以下の通りとなる。
【数12】
従って、Koは変数yを含まず、定数のみを含むので、線形な変位出力を得ることができることが分かる。
【0019】
しかし、実際には容量Coが存在するので、次に通りとなる。つまり、図10(a)においては、感度Koは次式の通りとなるので、感度の低下はあるものの、感度Koは変数yを含まずに、線形性は保たれている。
【数13】
【0020】
一方、図10(b)においては、次式の通りとなり、感度Koは、変数yを含み、非線形な応答となってしまう。
【数14】
【0021】
これを防止するために、Coの影響をできるだけ減らす目的で、図14に示すように、ガードを用いた配線が行われることになる。ガードはCoに電流を流さないようにするための配線である。しかし、オペアンプの非反転入力端子にコンデンサC1、C2が接続されていることが原因となり、ガードの電位は接地電位ではなく、振幅変調された高周波信号であるので、ガードに流れる高周波信号が他の回路に飛び込み、他の回路を誤動作させる危険性がある。これを防止するためにはガードのさらに外側にシールドを設ける必要があり、特殊な配線が必要となる。また、ガードを用いたとしても増幅器として使用されるオペアンプには入力端子と内部正負電源間に保護ダイオードが設けられているのが普通であり、その接合容量の影響、さらにオペアンプでは非反転入力端子(3番ピン)と負側電源入力端子(4番ピン)とが隣接しており、その間にガードを設けることはできないので、Coの影響を完全に無しにすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2009−222654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の好ましい実施形態による変位検出装置は、第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する前置増幅回路と;前記振幅変調信号が供給され、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第3出力信号と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第4出力信号との差を算出し、その低域成分を出力する同期検波回路と;を備える。
【0025】
本実施形態によると、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することができる。
【0026】
好ましい実施形態においては、前記クロック増幅手段が、第1〜第8抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの反転入力端子が前記第3抵抗を介して前記第2オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第4抵抗を介して前記第8抵抗に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第1コンデンサの第1電極に接続され、前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの反転入力端子が前記第7抵抗を介して前記第3オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第8抵抗を介して前記第4抵抗に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第2コンデンサの第1電極に接続されている。
【0027】
前記前置増幅器は、前記回路構成を有することによって、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力することができる。
【0028】
好ましい実施形態においては、前記クロック増幅手段が、第1抵抗と、第2抵抗と、第5抵抗と、第6抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第2オペアンプの反転入力端子と、前記第1コンデンサの第1電極に接続され、前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第3オペアンプの反転入力端子と、前記第2コンデンサの第1電極に接続されている。
【0029】
前記前置増幅器は、前記回路構成を有することによって、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力することができる。
【0030】
好ましい実施形態においては、前記第2抵抗に並列に第3コンデンサが接続されており、前記第6抵抗に並列に第4コンデンサが接続されている。
【0031】
本実施形態では、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がり応答性を改善することができる。
【0032】
好ましい実施形態においては、前記同期検波回路が、第9〜第12抵抗と、第5、第6コンデンサと、第4オペアンプと、第1アナログスイッチと、第2アナログスイッチとを含み、前記第4オペアンプの非反転入力端子が、前記第9抵抗を介して前記第1アナログスイッチに接続され、前記第10抵抗を介して接地電位に接続され、前記第5コンデンサを介して接地電位に接続され、前記第4オペアンプの反転入力端子が、前記第11抵抗を介して前記第2アナログスイッチに接続され、前記第12抵抗を介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第6コンデンサを介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第1アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に、前記第9抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第9抵抗を接地電位に接続させ、前記第2アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に、前記第11抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第11抵抗を接地電位に接続させる。
【0033】
本実施形態では、背景技術のようにアナログの乗算器を使用する必要がなく、安価なアナログスイッチを使用して、検出信号を出力することができる。
【発明の効果】
【0034】
可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる変位検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の好ましい実施形態による変位検出装置1を示す回路ブロック図である。
【図2】変位検出用コンデンサの可動部分の変位と、変位検出装置1の各部の電圧波形を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の好ましい実施形態による前置増幅器3の回路図である。
【図4】図3の前置増幅器3についてシールド配線を示す回路図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態による同期検波回路4の回路図である。
【図6】本発明の別の好ましい実施形態による前置増幅器31の回路図である。
【図7】本発明の別の好ましい実施形態による前置増幅器32の回路図である。
【図8】変位検出装置1の各部の電圧波形を示すタイミングチャートであり、Voに生じるセトリングタイムと、セトリングタイムをマスキングするための第1、第2クロック信号を示す。
【図9】セトリングタイムをマスキングするためのクロック整形回路を示す回路図である。
【図10】変位検出用コンデンサC1、C2の構成を示す図である。
【図11】背景技術による変位検出装置を示す回路ブロック図である。
【図12】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【図13】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【図14】背景技術による前置増幅器を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好ましい実施形態による変位検出装置について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0037】
図1は、本実施形態の変位検出装置1を示すブロック図である。変位検出装置1は、クロック発生回路2と、前置増幅器3と、同期検波回路4とを備える。図2は、変位検出装置1の各部の波形を示すタイミングチャートである。
【0038】
クロック発生回路2は、図2(c)に示す第1クロック信号eclkと、第1クロック信号eclkに対して位相が反転された第2クロック信号eclk(−)とを生成し、前置増幅器3および同期検波回路4に供給する。なお、クロック発生回路2は、変位検出装置1の外部に設けられてもよい。
【0039】
前置増幅器3は、図10に示すような変位検出用コンデンサC1、C2を使用し、クロック発生回路2から供給される第1クロック信号eclkと第2クロック信号eclk(−)とを振幅変調し、振幅変調信号を同期検波回路4に供給する。つまり、図2(a)に示すような変位y(図10の可動部分の基準位置からの変位)に対して、前置増幅器3は、図2(b)に示すような振幅変調信号Voを出力する。
【0040】
図3は、前置増幅器3を示す回路図である。前置増幅器3は、クロック増幅手段3aと、変位検出用コンデンサC1、C2と、オペアンプQ1とを含む。クロック増幅手段3aは、第1クロック信号と、第2クロック信号とが供給され、第1クロック信号を非反転増幅してコンデンサC1の固定電極に供給し、第2クロック信号を非反転増幅してコンデンサC2の固定電極に供給する。
【0041】
詳細には、オペアンプQ1の出力信号である振幅変調信号Voがクロック増幅手段3aの信号入力端に帰還されており、振幅変調信号Voに応じて、クロック増幅手段3aに入力される信号が変化するようになっている。つまり、クロック増幅手段3aは、第1クロック信号及び振幅変調信号に基づく信号を増幅して出力信号を出力し、かつ、第2クロック信号及び振幅変調信号に基づく信号を増幅して出力信号を出力する。詳細は後述するが、オペアンプQ1の出力信号をクロック増幅手段3aに帰還させることによって、オペアンプQ1の反転入力端子にコンデンサC1、C2の可動電極を接続させ、オペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分の影響を受けないようにしているにも関わらず、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる。
【0042】
クロック増幅手段3aは、オペアンプQ2、Q3と、抵抗R1a、R1b、R2a、R2b、R3a、R3b、R4a、R4bを含む。R1aとR1bとの抵抗値は共にR1であり、R2aとR2bとの抵抗値は共にR2であり、R3aとR3bとの抵抗値は共にR3であり、R4aとR4bとの抵抗値は共にR4である。
【0043】
オペアンプQ2の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R1aを介して第1クロック信号が供給され、抵抗R2aを介して抵抗R2bとオペアンプQ1の出力端子とに接続されている。オペアンプQ2の反転入力端子(−端子)は、抵抗R3aを介してオペアンプQ2の出力端子に接続され、抵抗R4aを介して抵抗R4bに接続されている。オペアンプQ2の出力端子は、コンデンサC1の固定電極Aに接続されている。従って、オペアンプQ2は、非反転入力端子に第1クロック信号と、オペアンプQ1の出力信号Voが供給され、これらの信号を非反転増幅し、コンデンサC1に供給する。
【0044】
オペアンプQ3の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R1bを介して第2クロック信号が供給され、抵抗R2bを介して抵抗R2aとオペアンプQ1の出力端子とに接続されている。オペアンプQ3の反転入力端子(−端子)は、抵抗R3bを介してオペアンプQ3の出力端子に接続され、抵抗R4bを介して抵抗R4aに接続されている。オペアンプQ3の出力端子は、コンデンサC2の固定電極Bに接続されている。従って、オペアンプQ3は、非反転入力端子に第2クロック信号と、オペアンプQ1の出力信号Voが供給され、これらの信号を非反転増幅し、コンデンサC2に供給する。
【0045】
変位検出用コンデンサC1、C2は、図10(a)または(b)に記載のものが採用され、詳細な構成は上記背景技術で説明した通りである。つまり、変位検出用コンデンサは、固定部分と、固定部分に対して変位する可動部分とを有する。固定部分は、固定電極A、及び、固定電極Bを含み、可動部分は、固定電極A及び固定電極Bに対向する部分に可動電極Cを含む。固定電極Aと可動電極CとによりコンデンサC1が構成され、固定電極Bと可動電極CとによりコンデンサC2が構成されている。コンデンサC1、C2の一方の容量が増加するときに、他方の容量が減少する。なお、固定部分と可動部分とが逆になっていてもよく、この場合、電極AおよびBが可動電極となり、電極Cが固定電極となる。図10(a)は、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサであり、図10(b)は、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサである。
【0046】
コンデンサC1の可動電極Cと、コンデンサC2の可動電極Cとは接続されている。オペアンプQ1の反転入力端子(−端子)は、コンデンサC1、C2の可動電極Cに接続され、抵抗Rzを介してオペアンプQ1の出力端子に接続されている。オペアンプQ1の非反転入力端子(+端子)は接地電位に接続されている。オペアンプQ1の出力端子は、抵抗R2aを介してオペアンプQ2の非反転入力端子に接続され、かつ、抵抗R2bを介してオペアンプQ3の非反転入力端子に接続されている。この接続構成によって、コンデンサC1、C2、オペアンプQ1、抵抗Rzは微分回路を構成している。詳細は後述するが、オペアンプQ1は、コンデンサC1の容量とコンデンサC2の容量との差を、コンデンサC1の容量とコンデンサC2の容量との和で除算した値に比例する振幅変調信号Vo(図2(b))を出力する。
【0047】
コンデンサC1の可動電極Cと、コンデンサC2の可動電極Cとは、オペアンプQ1の反転入力端子に接続され、仮想接地として動作する。つまり、オペアンプQ1の非反転入力端子が接地電位に接続され、かつ、オペアンプQ1の反転入力端子と非反転入力端子との間の電位差が0であるので、オペアンプQ1の反転入力端子に接続される信号ラインは実質的に接地電位に接続されていると見なせる。従って、図13にCoで示したようなオペアンプの入力容量や配線の浮遊容量成分が図3の前置増幅器3に存在する場合であっても、オペアンプQ1の反転入力端子に接続される信号ラインが仮想接地であるので、Coには電流が流れずに、以下でVoを計算する際にCoの影響を無視することができる。従って、図3の前置増幅器3によると、ガードが不要となり、図4に示すように、他回路の誤動作を防止するために単純なシールド線のみを使用して配線することができる。
【0048】
図1に戻って、同期検波回路4は、前置増幅器3から振幅変調信号Voが供給され、クロック発生回路2から第1クロック信号および第2クロック信号が供給され、振幅変調信号Voを第1クロック信号および第2クロック信号を使用し、両波同期検波を実行する。つまり、第1クロック信号及び第2クロック信号の内の一方が所定値よりも大きい期間(電圧が正(ハイレベル)の期間)に振幅変調信号Voであり、それ以外の期間に接地電位である第1出力と、第1クロック信号及び第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間(電圧が正(ハイレベル)の期間)に振幅変調信号Voであり、それ以外の期間に接地電位である第2出力との差をとることによって、両波同期検波信号が得られる。
【0049】
同期検波回路4を使用することによって図11のように乗算器を使用する必要がなくなる。また、同期検波回路4は、両波同期検波信号からLPFによって低周波数成分のみを抽出することによって、図2(e)に示すような検出信号Vdを出力する。同期検波回路4が単波同期検波ではなく両波同期検波することによって、前置増幅器3で生じた1/fノイズが第1出力と第2出力との差をとることによって相殺されるという効果がある。
【0050】
図5は、同期検波回路4を示す回路図である。同期検波回路4は、オペアンプQ4と、抵抗R5a、R5b、R6a、R6b、コンデンサC3a、C3b、スイッチSW1、SW2を含む。R5aとR5bとの抵抗値は等しく、R6aとR6bとの抵抗値は等しく、C3aとC3bとの容量は等しい。スイッチSW1、SW2は安価なアナログスイッチを使用するができるので、コスト削減に寄与する。
【0051】
オペアンプQ4の非反転入力端子(+端子)は、抵抗R5aを介してスイッチSW1に接続され、抵抗R6aを介して接地電位に接続され、コンデンサC3aを介して接地電位に接続されている。オペアンプQ4の反転入力端子(−端子)は、抵抗R5bを介してスイッチSW2に接続され、抵抗R6bを介してオペアンプQ4の出力端子に接続され、コンデンサC3bを介してオペアンプQ4の出力端子に接続されている。
【0052】
スイッチSW1は、第2クロック信号によって制御される。スイッチSW1は、第2クロック信号が正の期間に、抵抗R5aを前置増幅器3の出力に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5aへと供給する。一方、スイッチSW1は、第2クロック信号が負の期間に、抵抗R5aを接地電位に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5aへと供給しない。(なお、スイッチSW1を第1クロック信号によって制御し、第1クロック信号が負の期間に、抵抗R5aを前置増幅器3の出力に接続させ、第1クロック信号が正の期間に、抵抗R5aを接地電位に接続させてもよい。)
【0053】
スイッチSW2は、第1クロック信号によって制御される。スイッチSW2は、第1クロック信号が正の期間に、抵抗R5bを前置増幅器3の出力に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5bへと供給する。一方、スイッチSW2は、第1クロック信号が負の期間に、抵抗R5bを接地電位に接続させ、振幅変調信号Voを抵抗R5bへと供給しない。(なお、スイッチSW2を第2クロック信号によって制御し、第2クロック信号が負の期間に、抵抗R5bを前置増幅器3の出力に接続させ、第2クロック信号が正の期間に、抵抗R5bを接地電位に接続させてもよい。)
【0054】
オペアンプQ4、抵抗R5a、R5b、R6a、R6b、コンデンサC3a、C3bによって差動型のLPF(ローパスフィルタ)が構成されており、スイッチSW1を介して抵抗R5aに供給される信号から、スイッチSW2を介して抵抗R5bに供給される信号を減算して増幅し、低周波数成分のみを抽出することで、検出信号Vdを出力する。
【0055】
以下、本実施形態の変位検出装置1(前置増幅器3)によると、図10(a)又は(b)のいずれの変位検出用コンデンサC1、C2を使用する場合でも、可動部分の変位に比例した出力信号が得られることを説明する。図3の前置増幅器3の各ノードにおける電圧V1〜V4および振幅変調信号Voは次式で表される。
【数15】
【0056】
上式よりVoを求めると、以下の式になる。
【数16】
【0057】
ここで、次式を満足するようにクロック周波数を選択する。
【数17】
【0058】
すると、Voは以下の式に変形される。
【数18】
【0059】
抵抗R1〜R4は定数であるので、Voは、図13においてCo=0と仮定して説明した場合と同様に、(コンデンサC1、C2の容量差/コンデンサC1、C2の容量和)に比例する。従って、感度K0は、変数yを含まない。その結果、図10(a)の変位検出用コンデンサ、図10(b)の変位検出用コンデンサのどちらを使用しても、可動部分の変位に比例した出力信号を得ることができる。
【0060】
図6は、別の実施形態による前置増幅器31を示す回路図である。これは、上記式において、R3=0、R4=∞とした回路である。つまり、オペアンプQ2の反転入力端子はオペアンプQ2の出力端子に接続され、オペアンプQ3の反転入力端子はオペアンプQ3の出力端子に接続されている。ここで、R1a=R1b=R2a=R2bとすれば、V0は以下の式で表される。
【数19】
【0061】
上記と同様に、Koを算出すると、以下の式になる。
【数20】
【0062】
従って、感度K0は、変数yを含まない。その結果、図10(a)の変位検出用コンデンサ、図10(b)の変位検出用コンデンサのどちらを使用しても、可動部分の変位に比例した出力信号を得ることができる。
【0063】
図7は、さらに別の好ましい実施形態による前置増幅器32を示す回路図であり、図6と比較して、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がり応答性を改善した回路である。前置増幅器32では、コンデンサC4a、C4bが追加されており、コンデンサC4aは抵抗R2aに並列接続され、コンデンサC4bは抵抗R2bに並列接続されている。コンデンサC4aとコンデンサC4bとの容量は等しい。コンデンサC4a、C4bは、第1クロック信号および第2クロック信号に対してLPFとして機能し、第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がりを遅らせるように機能する。また、コンデンサC4a、C4bは、オペアンプQ1の出力端子から帰還される振幅変調信号Voに対してはHPF(ハイパスフィルタ)として機能し、スピードアップの役割を果たす。なお、コンデンサC4a、C4bを図3の前置増幅器3に設けてもよい。
【0064】
なお、上記の各前置増幅器において、オペアンプQ1の出力をクロック増幅手段3aの入力に帰還させているので、矩形波応答にある程度のセトリング時間を必要とする。このセトリング時間内の電圧は最終出力に誤差を与えることになる。従って、同期検波回路4において、図8に示すように、セトリング期間をマスキングする方が精度の点で好ましい。そのためには、同期検波回路4で使用する第1クロック信号および第2クロック信号の立ち上がりをセトリング時間だけ遅延させる必要がある(ただし立下りは遅らさない)。図9は、そのためのクロック整形回路の実施例を示し、同期検波回路4の前段に設けられる。図9ではコンデンサCdへの充放電時定数を変えることでそれを実現しているが、同様なパルス整形が実現できる限り、図9の回路に限定されない。
【0065】
以上のように、本実施形態によると、以下の効果が得られる。
(1)同期検波回路4を使用することで、安価なアナログスイッチを使用することができる。アナログの乗算器を使用する必要がない。
(2)オペアンプQ1の反転入力端子に変位検出用コンデンサC1、C2を接続し、非反転入力端子は接地電位に接続される。従って、図13のCoに相当する容量に電流が流れないので、Coの影響を無視できる。そして、オペアンプQ1の出力をオペアンプQ2、Q3の入力に帰還させることにより、オペアンプQ1の出力は(C1−C2)/(C1+C2)に比例する。従って、可動部分の変位に容量が比例する変位検出用コンデンサ、及び、可動部分の変位に容量が比例しない変位検出用コンデンサのいずれを用いる場合でも、可動部分の変位に比例する検出出力を得ることができる。
(3)Coの影響を無視できるので、図14のようなガードや、ガードをさらに覆うシールド等の特殊で複雑な配線を設ける必要がない。
(4)上記の前置増幅器3、同期検波回路4によると、クロック信号は正弦波だけではなく矩形波を使用することができる。従って、クロック生成回路2は、矩形波のクロック信号を生成するものであればよいので、安価、かつ、容易に構成することができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。上記の変位検出装置に適用される前置増幅器または同期検波回路という形態で提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、変位検出装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0068】
1 変位検出装置
2 クロック発生回路
3 前置増幅器
3a クロック増幅手段
4 同期検波回路
Q1 オペアンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、
前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、
第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、
反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、
前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する前置増幅回路と;
前記振幅変調信号が供給され、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第3出力信号と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第4出力信号との差を算出し、その低域成分を出力する同期検波回路と;を備える、変位検出装置。
【請求項2】
前記クロック増幅手段が、第1〜第8抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、
前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの反転入力端子が前記第3抵抗を介して前記第2オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第4抵抗を介して前記第8抵抗に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第1コンデンサの第1電極に接続され、
前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの反転入力端子が前記第7抵抗を介して前記第3オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第8抵抗を介して前記第4抵抗に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第2コンデンサの第1電極に接続されている、請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記クロック増幅手段が、第1抵抗と、第2抵抗と、第5抵抗と、第6抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、
前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第2オペアンプの反転入力端子と、前記第1コンデンサの第1電極とに接続され、
前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第3オペアンプの反転入力端子と、前記第2コンデンサの第1電極とに接続されている、請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記第2抵抗に並列に第3コンデンサが接続されており、
前記第6抵抗に並列に第4コンデンサが接続されている、請求項2または3に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記同期検波回路が、第9〜第12抵抗と、第5、第6コンデンサと、第4オペアンプと、第1アナログスイッチと、第2アナログスイッチとを含み、
前記第4オペアンプの非反転入力端子が、前記第9抵抗を介して前記第1アナログスイッチに接続され、前記第10抵抗を介して接地電位に接続され、前記第5コンデンサを介して接地電位に接続され、前記第4オペアンプの反転入力端子が、前記第11抵抗を介して前記第2アナログスイッチに接続され、前記第12抵抗を介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第6コンデンサを介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、
前記第1アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に、前記第9抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第9抵抗を接地電位に接続させ、
前記第2アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に、前記第11抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第11抵抗を接地電位に接続させる、請求項1〜5のいずれかに記載の変位検出装置。
【請求項6】
第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、
前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、
第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、
反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、
前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する、前置増幅回路。
【請求項1】
第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、
前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、
第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、
反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、
前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する前置増幅回路と;
前記振幅変調信号が供給され、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第3出力信号と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に前記振幅変調信号であり、それ以外の期間に接地電位である第4出力信号との差を算出し、その低域成分を出力する同期検波回路と;を備える、変位検出装置。
【請求項2】
前記クロック増幅手段が、第1〜第8抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、
前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの反転入力端子が前記第3抵抗を介して前記第2オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第4抵抗を介して前記第8抵抗に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第1コンデンサの第1電極に接続され、
前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの反転入力端子が前記第7抵抗を介して前記第3オペアンプの出力端子に接続され、かつ、前記第8抵抗を介して前記第4抵抗に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第2コンデンサの第1電極に接続されている、請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記クロック増幅手段が、第1抵抗と、第2抵抗と、第5抵抗と、第6抵抗と、第2オペアンプと、第3オペアンプとを含み、
前記第2オペアンプの非反転入力端子が前記第1抵抗を介して前記第1クロック信号が供給され、かつ、前記第2抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第2オペアンプの出力端子が前記第2オペアンプの反転入力端子と、前記第1コンデンサの第1電極とに接続され、
前記第3オペアンプの非反転入力端子が前記第5抵抗を介して前記第2クロック信号が供給され、かつ、前記第6抵抗を介して前記第1オペアンプの出力端子に接続され、前記第3オペアンプの出力端子が前記第3オペアンプの反転入力端子と、前記第2コンデンサの第1電極とに接続されている、請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記第2抵抗に並列に第3コンデンサが接続されており、
前記第6抵抗に並列に第4コンデンサが接続されている、請求項2または3に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記同期検波回路が、第9〜第12抵抗と、第5、第6コンデンサと、第4オペアンプと、第1アナログスイッチと、第2アナログスイッチとを含み、
前記第4オペアンプの非反転入力端子が、前記第9抵抗を介して前記第1アナログスイッチに接続され、前記第10抵抗を介して接地電位に接続され、前記第5コンデンサを介して接地電位に接続され、前記第4オペアンプの反転入力端子が、前記第11抵抗を介して前記第2アナログスイッチに接続され、前記第12抵抗を介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、前記第6コンデンサを介して前記第4オペアンプの出力端子に接続され、
前記第1アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の一方が所定値より大きい期間に、前記第9抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第9抵抗を接地電位に接続させ、
前記第2アナログスイッチが、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の内の他方が所定値より大きい期間に、前記第11抵抗を前記前置増幅器の出力に接続させ、そうでない期間に前記第11抵抗を接地電位に接続させる、請求項1〜5のいずれかに記載の変位検出装置。
【請求項6】
第1クロック信号と、前記第1クロック信号に対して位相が反転された第2クロック信号と、第1オペアンプから出力される振幅変調信号とが供給され、前記第1クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第1出力信号を出力し、かつ、前記第2クロック信号及び前記振幅変調信号に基づく信号を増幅して第2出力信号を出力するクロック増幅手段と、
前記クロック増幅手段からの前記第1出力信号が第1電極に供給される第1コンデンサと、
第2電極が前記第1コンデンサの第2電極に接続され、前記クロック増幅手段からの前記第2出力信号が第1電極に供給される第2コンデンサと、
反転入力端子が前記第1コンデンサの第2電極及び前記第2コンデンサの第2電極に接続され、非反転入力端子が接地電位に接続され、出力端子が前記クロック増幅手段の入力に接続されている前記第1オペアンプとを含み、
前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との差を、前記第1コンデンサの容量と前記第2コンデンサの容量との和で除算した値に比例する前記振幅変調信号を前記第1オペアンプから出力する、前置増幅回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−247847(P2011−247847A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124019(P2010−124019)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(710014351)オンキヨー株式会社 (226)
【Fターム(参考)】
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