変位計測装置、及び変位計測システム
【課題】簡易な構成で三方向の変位を計測することができる変位計測装置、及び変位計測システムを提供する。
【解決手段】変位計測装置1は、基体としての床2と、当該床2に対向して形成された変位検出対象物としての建物の天井3とで構成される層4間に設置されている。これにより、変位計測装置1は、例えば地震等の災害によって、天井3の水平方向H及び鉛直方向zへの変位を、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて検出し得るように構成されている。
【解決手段】変位計測装置1は、基体としての床2と、当該床2に対向して形成された変位検出対象物としての建物の天井3とで構成される層4間に設置されている。これにより、変位計測装置1は、例えば地震等の災害によって、天井3の水平方向H及び鉛直方向zへの変位を、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて検出し得るように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位計測装置、及び変位計測システムに関し、例えば建物の柱・はりや床等の構造部分の変位を検出する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の災害によって建物の構造部分が傾く等の被害が生じたか否かを測定する場合には、図9に示すように、構造物101の天井部分102に対し振動方向に平行に出射したレーザ光103によって、振動方向の変位を計測するレーザ変位計測装置100が知られている。ところが、このレーザ変位計測装置100は、計測できる変位が一方向のみであって、当該一方向と直交する他方向や、鉛直方向の変位を計測することができないだけでなく、当該レーザ変位計測装置100を保持するための固定台104が大型となるため、取り付け場所が制約されるという問題があった。
【0003】
これに対し、例えばレーザ光と撮像手段とを用いて、観測点から見た変位検出対象物の観察軸と垂直平面上との変位、或いは垂直平面の傾きを測定している計測システムが知られている。このような計測システムでは、変位検出対象物に向けて照射したレーザ光の入射部位の光点位置を、カメラ等の撮像手段で撮像し、得られた画像に所定の画像処理を施して変位検出対象物の三方向の変位を計測し得るようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2970867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記計測システムでは、撮像手段による撮像と、コンピュータを用いた画像処理技術とを組み合わせて計測しているため、その構成が複雑化して大規模になるとともに、コストが増大し、処理負担が大きく高速処理し難いという問題があった。
【0006】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構成で三方向(水平方向x、y及び鉛直方向z)の変位を計測することができる変位計測装置、及び変位計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測装置であって、前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、前記第1光線及び前記層間を一往復した前記第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、前記第1照射光源は放射状に伝搬する光を発する光源からなり、前記変位検出部は、前記光を受光して集光させる集光部と、前記集光部を透過した集光を受光して、当該集光の受光位置を検出する受光部が配置された基板とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、前記第1光線と前記第2光線とは、それぞれを識別できる状態に光変調されており、前記変位検出部は、受光した前記第1光線及び第2光線をそれぞれデコードする処理部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る発明は、基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測システムであって、前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、前記第1光線及び前記層間を一往復した第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部とを備える変位計測装置を前記層に複数設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1及び請求項4に係る発明によれば、第1光線及び第2光線の受光位置のずれに基づいて、変位検出対象物の3次元的な変位を同時に計測することができるので、撮像手段による撮像や、コンピュータを用いた画像処理技術等が不要となり、その分だけ構成を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の評価を行った実験装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の実験結果を示すグラフであり、第1照射光源の変位と、受光部の出力との関係を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の実験結果を示すグラフであり、周波数0.1Hz、振幅40mmの変位を第1照射光源に加えた場合における変位の実測値と時間との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の使用状態(1)を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の使用状態(2)を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る変位計測システムの使用状態(1)を示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る変位計測システムの使用状態(2)を示す模式図である。
【図9】従来例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(1)第1実施形態
(全体構成)
図1に示す変位計測装置1は、基体としての床2と、当該床2に対向して形成された変位検出対象物としての建物の天井3とで構成される層4間に設置されている。これにより、変位計測装置1は、例えば地震等の災害によって天井3に生じる水平方向H(図中、方向x及びy)及び鉛直方向zへの変位を、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて検出し得るように構成されている。
【0015】
この変位計測装置1は、第1光線L1を層4間の一方から他方へ出射する第1照射光源5と、第2光線L2を層4間の他方から一方へ出射する第2照射光源6と、層4間の一方へ出射された前記第2光線L2を層4間の一方から他方へ反射し得るように層4間の一方へ配置された反射体7と、前記第1光線L1と前記第2光線L2とを受光して受光位置を検出し、当該受光位置のずれに基づいて天井3の変位を計測する変位検出部8とから構成されている。尚、第1光線L1及び第2光線L2は、例えば強度変調、周波数変調、パルス幅変調等の変調技術を用いて、それぞれを識別できる状態に光変調されている。
【0016】
本実施形態では、第1照射光源5は、放射状に伝搬する光を発する光源、例えば発光ダイオードで構成され、鉛直下方に向かって第1光線L1を出射するように天井3に設置されている。当該第1照射光源5の鉛直下方には、変位検出部8が設置されている。
【0017】
変位検出部8は、床2に設置された基板9と、当該基板9上に設けられた受光部10と、当該受光部10を囲むように立設された円筒状の検出部本体11と、光変調された第1光線L1及び第2光線L2をデコードする処理部(図示しない)と、当該処理部によってデコードされたデータに基づいて受光部10における受光位置の位置座標を算出する算出部(図示しない)とを有する。受光部10は、種々のものを選択することができるが、例えば、光位置センサ(PSD; Position Sensitive Detector)や、四分割フォトダイオードを好適に用いることができる。
【0018】
検出部本体11には、上部に集光部としての集光レンズ12が設けられている。集光レンズ12は、凸レンズからなり、一面で第1光線L1及び第2光線L2を受光すると、当該第1光線L1及び第2光線L2が透過して他面からそれぞれの集光を出射し得るようになされている。また、検出部本体11には、受光部10と集光レンズ12との間に、可視光を吸収し赤外光を透過する赤外線フィルター(図示しない)を設けてもよい。
【0019】
第2照射光源6は、第2光線L2として直進性を有するレーザ光を出射する可視光半導体レーザ装置からなる。本実施形態では、第2照射光源6は、鉛直上方に向かって第2光線L2を出射するように、床2に設置された変位検出部8の基板9上に取り付けられている。当該第2照射光源6の鉛直上方の天井3には、反射体7が設置されている。当該反射体7は、第2照射光源6から反射体7に向かって出射された第2光線L2を検出部本体11の集光レンズ12に向かって反射し得るように構成されている。
(作用及び効果)
以上の構成において、変位計測装置1は、第1照射光源5及び第2照射光源6からそれぞれ第1光線L1及び第2光線L2を出射する。第1光線L1は第1照射光源5の鉛直方向zの下方に設けられた変位検出部8の集光レンズ12によって受光部10の表面で受光される。一方、第2光線L2は、鉛直方向zの上方に向かって出射された出射光OL2が天井3に到達する。そうすると第2光線L2は、当該天井3に設けられた反射体7で反射され(反射光EL2)、当該反射光EL2が変位検出部8に到達する。当該変位検出部8では、反射光EL2が集光レンズ12を介して受光部10の表面で受光される。
【0020】
ここで、予めそれぞれ識別できる状態に光変調された第1光線L1及び第2光線L2を受光部10で受光すると、処理部(図示しない)が第1光線L1及び第2光線L2をデコードすることにより、単一の受光部10でそれぞれ受光位置が同時に検出され得るように構成されている。尚、天井3が床2に対し、変位していない場合において、第1光線L1の受光位置を第1原点、第2光線L2の受光位置を第2原点と呼ぶ。尚、第1原点及び第2原点は、共に受光部10の中心に位置するように設定することとしてもよい。
【0021】
まず、天井3が水平方向Hへ変位した場合、天井3と共に第1照射光源5の位置も水平方向Hへ変位する。従って、第1照射光源5から出射される第1光線L1の受光位置(第1変位位置)は、第1原点に対しずれることになる。算出部は、この第1変位位置の位置座標を特定し、これにより水平方向Hの変位を算出して、その結果が予め定められたしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。
【0022】
ここで、第1照射光源5として、本実施形態では、放射状に伝搬する光を発する光源を用いることとしたことにより、第1光線L1は、鉛直方向zの下方へ向かって四方八方へ広がっていく。従って、変位計測装置1では、天井3の変位が大きい場合、すなわち第1照射光源5の光軸が受光部10に対し大きくずれた場合であっても、第1光線L1をより確実に受光部10に入射させ得る。また、変位検出部8には、集光レンズ12を設けたことにより、拡散した第1光線L1をより確実に受光部10に集光させることができる。さらに、集光レンズ12は、天井3の変位を、縮小して受光部10に第1光線L1を集光させるので、より大きい変位を計測することができる。
【0023】
尚、地震により変位が生じた場合、地震の最中における水平方向変位及び鉛直方向変位の時刻歴、及び、それぞれの最大値を記録することとしてもよい。
【0024】
図2に示す実験装置20を用いて、水平方向Hの変位に対する受光部10の出力について、確認した。実験装置20は、長さ3mの木製の柱状部材21に対し、一端21aに変位検出部8を固定し、他端21bに第1照射光源5を水平方向Hに移動自在に設けて、構成されている。変位検出部8の受光部10にはPSDを、集光レンズ12には直径50mm(焦点距離f=100)のレンズを用い、第1照射光源5には発光ダイオード(出力0.3W)を用いた。この実験装置20において、第1照射光源5に対しマイクロメータ(図示しない)で変位を与え、第1光線L1を受光部10の表面に投影し、変位に対する出力電圧を測定した。その結果を図3に示す。本図から明らかなように、本実験装置20に係る構成において、水平方向Hの変位に対して受光部10の出力が線形性を有することが確認できた。
【0025】
また、変位検出部8に振動を与え、高さ8.8mの距離に固定した第1照射光源5から第1光線L1を変位検出部8に向かって出射することにより、動的応答について確認した。振動は、0.1Hzの正弦振動とし、振幅は±40mmとした。また、比較例として、レーザ変位計測装置(LK-G405, KEYWNCE Corp.)により変位検出部8の変位を測定した。尚、サンプリングレートは2万サンプル/秒、分解能は16bitで収録した。図4に示すように、本実施形態に係る変位検出装置による実測値は、水平方向Hの変位測定において、比較例であるレーザ変位計測装置の実測値とほぼ完全に一致し、高い測定精度が得られることが確認できた。
【0026】
次に、天井3が鉛直方向zに変位した場合について説明する。変位計測装置1は、第2照射光源6、出射光OL2が反射体7に当たる点(光点)13、及び、反射光EL2の受光位置14を頂点とする第2光線L2の経路で形成される三角形(図1)において、光点13を頂角とする内角をθ、第2照射光源6と受光位置との距離をDとして、三角法を用いることにより、床2と天井3との距離Lを算出することができる。
【0027】
すなわち、図5に示すように、天井3が鉛直方向zへ変位した場合、天井3と共に光点13の位置も鉛直方向zへ変位する。この場合の光点の鉛直方向zの変位をΔvとする。そうすると、変位後の天井3aに向かって出射された第2光線L2の反射光EL2の受光位置(第2変位位置)は、変位前の天井3に向かって出射された第2光線L2の反射光EL2の受光位置である第2原点に対しずれる。算出部は、この第2変位位置の位置座標を特定することにより、内角θ’を算出すると共に、この内角θ’から距離Lを算出する。次いで、算出部は、その結果がしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。
【0028】
また、水平方向Hの変位と鉛直方向zの変位とが同時に生じた場合、図6に示すように、本実施形態に係る変位計測装置1では、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて、天井3の3次元的な変位を同時に計測することができる。計測の結果、水平方向Hの変位ΔHと鉛直方向zの変位ΔVの両者あるいはどちらかがしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。このように、撮像手段による撮像や、コンピュータを用いた画像処理技術等が不要となり、その分だけ構成を簡易にできる。
【0029】
尚、本実施形態では、天井3が床2に対し変形した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、床2が鉛直方向zに変位した場合であっても、同様に当該変位を計測し得る。
【0030】
(2)第2実施形態
図7に示す30は、変位計測システムを示し、層4間に変位計測装置1を複数(本図では、2個)配置して構成されている。本図において、層4間には、複数の柱が設けられており、層4は広い床面積を有する。このような層4において、変位計測装置1は、両端に各1個ずつ配置されている。この層4において、天井3が傾いた場合、すなわち、図中時計回転方向へ天井3が傾いた場合、層4の左側では天井3が上方へ変位すると共に、層4の右側では天井3が下方へ変位する。
【0031】
ここで、変位計測装置1は、床2と天井3との距離Lを計測することができるので、各設置箇所における床2と天井3との距離Lを計測することにより、天井3が傾いているか否かを検出し、また、傾きの絶対値、例えば、天井3の傾き角度を計測することができる。このように、変位計測システム30では、層4間に複数の変位計測装置1を配置することにより、天井3の傾きや、曲げ変形など、建物全体の変形を計測することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る変位計測システム30は、施工中の建築物35において、床レベルの水平施行管理を行うことができる。すなわち、図8に示すように、層4を鉛直方向zの上方へ積み重ねて形成される建築物35において、施行階が増すにつれ、変化する柱の縮み量を変位計測装置1で各層ごとに計測する。次いで、計測した柱の縮み量に基づき補正した長さを有する柱を用いることにより、床2の水平を保つ施行管理を行うことができる。
【0033】
(3)変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、変位検出対象物としての天井3に第1照射光源5及び反射体7を設置し、基体としての床2に変位検出部8及び第2照射光源6を設置した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、天井3に変位検出部8及び第2照射光源6を設置し、床2に第1照射光源5及び反射体7を設置してもよく、この場合であっても変位検出部8及び第2照射光源6自体が天井3と共に水平方向H及び鉛直方向zへ変位することにより受光位置がずれ、当該天井3が変位したことを検出することができる。
【0034】
また、上記した実施形態では、第2光線L2を反射体7で変位検出部8へ向かって反射する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、天井3の表面で第2光線L2を反射できれば足り、必ずしも反射体7を天井3とは別体の構成として設ける必要はない。
【0035】
さらに、上記した実施の形態においては、建物において天井3や支柱の床2に対する変位を測定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、変位検出対象物の基体に対する変位を計測したいものであれば、例えば橋や鉄塔等の建造物だけでなく、各種機械に内蔵させて部品の位置ずれ検査等に適用しても良いし、各種実験において対象となる試験体の基体に対する変位を計測するのみならず、試験体外の計測基準点を基体と考えれば、これに対する試験体の変位を計測することも有用な計測機能となる。
【0036】
さらに、上記した実施の形態においては、直進性を有するレーザ光を照射する第2照射光源6を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は光に直進性を有すれば種々の光を照射する照射光源を用いても良い。
【0037】
さらに、上記した実施形態においては、変位検出対象物の基体に対する変位を計測する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、変位対象物が基体に対し変位したか否かのみを検出することとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 変位計測装置
2 床(基体)
3 天井(変位検出対象物)
4 層
5 第1照射光源
6 第2照射光源
7 反射体
8 変位検出部
10 受光部
12 集光部
30 変位計測システム
L1 第1光線
L2 第2光線
【技術分野】
【0001】
本発明は、変位計測装置、及び変位計測システムに関し、例えば建物の柱・はりや床等の構造部分の変位を検出する場合に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の災害によって建物の構造部分が傾く等の被害が生じたか否かを測定する場合には、図9に示すように、構造物101の天井部分102に対し振動方向に平行に出射したレーザ光103によって、振動方向の変位を計測するレーザ変位計測装置100が知られている。ところが、このレーザ変位計測装置100は、計測できる変位が一方向のみであって、当該一方向と直交する他方向や、鉛直方向の変位を計測することができないだけでなく、当該レーザ変位計測装置100を保持するための固定台104が大型となるため、取り付け場所が制約されるという問題があった。
【0003】
これに対し、例えばレーザ光と撮像手段とを用いて、観測点から見た変位検出対象物の観察軸と垂直平面上との変位、或いは垂直平面の傾きを測定している計測システムが知られている。このような計測システムでは、変位検出対象物に向けて照射したレーザ光の入射部位の光点位置を、カメラ等の撮像手段で撮像し、得られた画像に所定の画像処理を施して変位検出対象物の三方向の変位を計測し得るようになされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2970867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記計測システムでは、撮像手段による撮像と、コンピュータを用いた画像処理技術とを組み合わせて計測しているため、その構成が複雑化して大規模になるとともに、コストが増大し、処理負担が大きく高速処理し難いという問題があった。
【0006】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、簡易な構成で三方向(水平方向x、y及び鉛直方向z)の変位を計測することができる変位計測装置、及び変位計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る発明は、基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測装置であって、前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、前記第1光線及び前記層間を一往復した前記第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、前記第1照射光源は放射状に伝搬する光を発する光源からなり、前記変位検出部は、前記光を受光して集光させる集光部と、前記集光部を透過した集光を受光して、当該集光の受光位置を検出する受光部が配置された基板とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る発明は、前記第1光線と前記第2光線とは、それぞれを識別できる状態に光変調されており、前記変位検出部は、受光した前記第1光線及び第2光線をそれぞれデコードする処理部を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る発明は、基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測システムであって、前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、前記第1光線及び前記層間を一往復した第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部とを備える変位計測装置を前記層に複数設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1及び請求項4に係る発明によれば、第1光線及び第2光線の受光位置のずれに基づいて、変位検出対象物の3次元的な変位を同時に計測することができるので、撮像手段による撮像や、コンピュータを用いた画像処理技術等が不要となり、その分だけ構成を簡易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の全体構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の評価を行った実験装置を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の実験結果を示すグラフであり、第1照射光源の変位と、受光部の出力との関係を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の実験結果を示すグラフであり、周波数0.1Hz、振幅40mmの変位を第1照射光源に加えた場合における変位の実測値と時間との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の使用状態(1)を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る変位計測装置の使用状態(2)を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る変位計測システムの使用状態(1)を示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る変位計測システムの使用状態(2)を示す模式図である。
【図9】従来例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】
(1)第1実施形態
(全体構成)
図1に示す変位計測装置1は、基体としての床2と、当該床2に対向して形成された変位検出対象物としての建物の天井3とで構成される層4間に設置されている。これにより、変位計測装置1は、例えば地震等の災害によって天井3に生じる水平方向H(図中、方向x及びy)及び鉛直方向zへの変位を、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて検出し得るように構成されている。
【0015】
この変位計測装置1は、第1光線L1を層4間の一方から他方へ出射する第1照射光源5と、第2光線L2を層4間の他方から一方へ出射する第2照射光源6と、層4間の一方へ出射された前記第2光線L2を層4間の一方から他方へ反射し得るように層4間の一方へ配置された反射体7と、前記第1光線L1と前記第2光線L2とを受光して受光位置を検出し、当該受光位置のずれに基づいて天井3の変位を計測する変位検出部8とから構成されている。尚、第1光線L1及び第2光線L2は、例えば強度変調、周波数変調、パルス幅変調等の変調技術を用いて、それぞれを識別できる状態に光変調されている。
【0016】
本実施形態では、第1照射光源5は、放射状に伝搬する光を発する光源、例えば発光ダイオードで構成され、鉛直下方に向かって第1光線L1を出射するように天井3に設置されている。当該第1照射光源5の鉛直下方には、変位検出部8が設置されている。
【0017】
変位検出部8は、床2に設置された基板9と、当該基板9上に設けられた受光部10と、当該受光部10を囲むように立設された円筒状の検出部本体11と、光変調された第1光線L1及び第2光線L2をデコードする処理部(図示しない)と、当該処理部によってデコードされたデータに基づいて受光部10における受光位置の位置座標を算出する算出部(図示しない)とを有する。受光部10は、種々のものを選択することができるが、例えば、光位置センサ(PSD; Position Sensitive Detector)や、四分割フォトダイオードを好適に用いることができる。
【0018】
検出部本体11には、上部に集光部としての集光レンズ12が設けられている。集光レンズ12は、凸レンズからなり、一面で第1光線L1及び第2光線L2を受光すると、当該第1光線L1及び第2光線L2が透過して他面からそれぞれの集光を出射し得るようになされている。また、検出部本体11には、受光部10と集光レンズ12との間に、可視光を吸収し赤外光を透過する赤外線フィルター(図示しない)を設けてもよい。
【0019】
第2照射光源6は、第2光線L2として直進性を有するレーザ光を出射する可視光半導体レーザ装置からなる。本実施形態では、第2照射光源6は、鉛直上方に向かって第2光線L2を出射するように、床2に設置された変位検出部8の基板9上に取り付けられている。当該第2照射光源6の鉛直上方の天井3には、反射体7が設置されている。当該反射体7は、第2照射光源6から反射体7に向かって出射された第2光線L2を検出部本体11の集光レンズ12に向かって反射し得るように構成されている。
(作用及び効果)
以上の構成において、変位計測装置1は、第1照射光源5及び第2照射光源6からそれぞれ第1光線L1及び第2光線L2を出射する。第1光線L1は第1照射光源5の鉛直方向zの下方に設けられた変位検出部8の集光レンズ12によって受光部10の表面で受光される。一方、第2光線L2は、鉛直方向zの上方に向かって出射された出射光OL2が天井3に到達する。そうすると第2光線L2は、当該天井3に設けられた反射体7で反射され(反射光EL2)、当該反射光EL2が変位検出部8に到達する。当該変位検出部8では、反射光EL2が集光レンズ12を介して受光部10の表面で受光される。
【0020】
ここで、予めそれぞれ識別できる状態に光変調された第1光線L1及び第2光線L2を受光部10で受光すると、処理部(図示しない)が第1光線L1及び第2光線L2をデコードすることにより、単一の受光部10でそれぞれ受光位置が同時に検出され得るように構成されている。尚、天井3が床2に対し、変位していない場合において、第1光線L1の受光位置を第1原点、第2光線L2の受光位置を第2原点と呼ぶ。尚、第1原点及び第2原点は、共に受光部10の中心に位置するように設定することとしてもよい。
【0021】
まず、天井3が水平方向Hへ変位した場合、天井3と共に第1照射光源5の位置も水平方向Hへ変位する。従って、第1照射光源5から出射される第1光線L1の受光位置(第1変位位置)は、第1原点に対しずれることになる。算出部は、この第1変位位置の位置座標を特定し、これにより水平方向Hの変位を算出して、その結果が予め定められたしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。
【0022】
ここで、第1照射光源5として、本実施形態では、放射状に伝搬する光を発する光源を用いることとしたことにより、第1光線L1は、鉛直方向zの下方へ向かって四方八方へ広がっていく。従って、変位計測装置1では、天井3の変位が大きい場合、すなわち第1照射光源5の光軸が受光部10に対し大きくずれた場合であっても、第1光線L1をより確実に受光部10に入射させ得る。また、変位検出部8には、集光レンズ12を設けたことにより、拡散した第1光線L1をより確実に受光部10に集光させることができる。さらに、集光レンズ12は、天井3の変位を、縮小して受光部10に第1光線L1を集光させるので、より大きい変位を計測することができる。
【0023】
尚、地震により変位が生じた場合、地震の最中における水平方向変位及び鉛直方向変位の時刻歴、及び、それぞれの最大値を記録することとしてもよい。
【0024】
図2に示す実験装置20を用いて、水平方向Hの変位に対する受光部10の出力について、確認した。実験装置20は、長さ3mの木製の柱状部材21に対し、一端21aに変位検出部8を固定し、他端21bに第1照射光源5を水平方向Hに移動自在に設けて、構成されている。変位検出部8の受光部10にはPSDを、集光レンズ12には直径50mm(焦点距離f=100)のレンズを用い、第1照射光源5には発光ダイオード(出力0.3W)を用いた。この実験装置20において、第1照射光源5に対しマイクロメータ(図示しない)で変位を与え、第1光線L1を受光部10の表面に投影し、変位に対する出力電圧を測定した。その結果を図3に示す。本図から明らかなように、本実験装置20に係る構成において、水平方向Hの変位に対して受光部10の出力が線形性を有することが確認できた。
【0025】
また、変位検出部8に振動を与え、高さ8.8mの距離に固定した第1照射光源5から第1光線L1を変位検出部8に向かって出射することにより、動的応答について確認した。振動は、0.1Hzの正弦振動とし、振幅は±40mmとした。また、比較例として、レーザ変位計測装置(LK-G405, KEYWNCE Corp.)により変位検出部8の変位を測定した。尚、サンプリングレートは2万サンプル/秒、分解能は16bitで収録した。図4に示すように、本実施形態に係る変位検出装置による実測値は、水平方向Hの変位測定において、比較例であるレーザ変位計測装置の実測値とほぼ完全に一致し、高い測定精度が得られることが確認できた。
【0026】
次に、天井3が鉛直方向zに変位した場合について説明する。変位計測装置1は、第2照射光源6、出射光OL2が反射体7に当たる点(光点)13、及び、反射光EL2の受光位置14を頂点とする第2光線L2の経路で形成される三角形(図1)において、光点13を頂角とする内角をθ、第2照射光源6と受光位置との距離をDとして、三角法を用いることにより、床2と天井3との距離Lを算出することができる。
【0027】
すなわち、図5に示すように、天井3が鉛直方向zへ変位した場合、天井3と共に光点13の位置も鉛直方向zへ変位する。この場合の光点の鉛直方向zの変位をΔvとする。そうすると、変位後の天井3aに向かって出射された第2光線L2の反射光EL2の受光位置(第2変位位置)は、変位前の天井3に向かって出射された第2光線L2の反射光EL2の受光位置である第2原点に対しずれる。算出部は、この第2変位位置の位置座標を特定することにより、内角θ’を算出すると共に、この内角θ’から距離Lを算出する。次いで、算出部は、その結果がしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。
【0028】
また、水平方向Hの変位と鉛直方向zの変位とが同時に生じた場合、図6に示すように、本実施形態に係る変位計測装置1では、第1光線L1及び第2光線L2の受光位置のずれに基づいて、天井3の3次元的な変位を同時に計測することができる。計測の結果、水平方向Hの変位ΔHと鉛直方向zの変位ΔVの両者あるいはどちらかがしきい値を超えていた場合、図示しない通知装置へ送出することにより、当該通知装置が音声や画像等によりユーザに対し特定結果を通知し得るようになされている。このように、撮像手段による撮像や、コンピュータを用いた画像処理技術等が不要となり、その分だけ構成を簡易にできる。
【0029】
尚、本実施形態では、天井3が床2に対し変形した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、床2が鉛直方向zに変位した場合であっても、同様に当該変位を計測し得る。
【0030】
(2)第2実施形態
図7に示す30は、変位計測システムを示し、層4間に変位計測装置1を複数(本図では、2個)配置して構成されている。本図において、層4間には、複数の柱が設けられており、層4は広い床面積を有する。このような層4において、変位計測装置1は、両端に各1個ずつ配置されている。この層4において、天井3が傾いた場合、すなわち、図中時計回転方向へ天井3が傾いた場合、層4の左側では天井3が上方へ変位すると共に、層4の右側では天井3が下方へ変位する。
【0031】
ここで、変位計測装置1は、床2と天井3との距離Lを計測することができるので、各設置箇所における床2と天井3との距離Lを計測することにより、天井3が傾いているか否かを検出し、また、傾きの絶対値、例えば、天井3の傾き角度を計測することができる。このように、変位計測システム30では、層4間に複数の変位計測装置1を配置することにより、天井3の傾きや、曲げ変形など、建物全体の変形を計測することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る変位計測システム30は、施工中の建築物35において、床レベルの水平施行管理を行うことができる。すなわち、図8に示すように、層4を鉛直方向zの上方へ積み重ねて形成される建築物35において、施行階が増すにつれ、変化する柱の縮み量を変位計測装置1で各層ごとに計測する。次いで、計測した柱の縮み量に基づき補正した長さを有する柱を用いることにより、床2の水平を保つ施行管理を行うことができる。
【0033】
(3)変形例
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、変位検出対象物としての天井3に第1照射光源5及び反射体7を設置し、基体としての床2に変位検出部8及び第2照射光源6を設置した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、天井3に変位検出部8及び第2照射光源6を設置し、床2に第1照射光源5及び反射体7を設置してもよく、この場合であっても変位検出部8及び第2照射光源6自体が天井3と共に水平方向H及び鉛直方向zへ変位することにより受光位置がずれ、当該天井3が変位したことを検出することができる。
【0034】
また、上記した実施形態では、第2光線L2を反射体7で変位検出部8へ向かって反射する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、天井3の表面で第2光線L2を反射できれば足り、必ずしも反射体7を天井3とは別体の構成として設ける必要はない。
【0035】
さらに、上記した実施の形態においては、建物において天井3や支柱の床2に対する変位を測定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、変位検出対象物の基体に対する変位を計測したいものであれば、例えば橋や鉄塔等の建造物だけでなく、各種機械に内蔵させて部品の位置ずれ検査等に適用しても良いし、各種実験において対象となる試験体の基体に対する変位を計測するのみならず、試験体外の計測基準点を基体と考えれば、これに対する試験体の変位を計測することも有用な計測機能となる。
【0036】
さらに、上記した実施の形態においては、直進性を有するレーザ光を照射する第2照射光源6を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は光に直進性を有すれば種々の光を照射する照射光源を用いても良い。
【0037】
さらに、上記した実施形態においては、変位検出対象物の基体に対する変位を計測する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、変位対象物が基体に対し変位したか否かのみを検出することとしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 変位計測装置
2 床(基体)
3 天井(変位検出対象物)
4 層
5 第1照射光源
6 第2照射光源
7 反射体
8 変位検出部
10 受光部
12 集光部
30 変位計測システム
L1 第1光線
L2 第2光線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測装置であって、
前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、
前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、
前記第1光線及び前記層間を一往復した前記第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の変位計測装置。
【請求項2】
前記第1照射光源は放射状に伝搬する光を発する光源からなり、
前記変位検出部は、
前記第1光線及び前記第2光線を受光して集光させる集光部と、
前記集光部を透過した集光を受光して、当該集光の受光位置を検出する受光部が配置された基板と
を有することを特徴とする請求項1記載の変位計測装置。
【請求項3】
前記第1光線と前記第2光線とは、それぞれを識別できる状態に光変調されており、
前記変位検出部は、受光した前記第1光線及び第2光線をそれぞれデコードする処理部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項4】
基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測システムであって、
前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、
前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、
前記第1光線及び前記層間を一往復した第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部と
を備える変位計測装置を
前記層に複数設けたことを特徴とする変位計測システム。
【請求項1】
基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測装置であって、
前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、
前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、
前記第1光線及び前記層間を一往復した前記第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部と
を備えることを特徴とする請求項1記載の変位計測装置。
【請求項2】
前記第1照射光源は放射状に伝搬する光を発する光源からなり、
前記変位検出部は、
前記第1光線及び前記第2光線を受光して集光させる集光部と、
前記集光部を透過した集光を受光して、当該集光の受光位置を検出する受光部が配置された基板と
を有することを特徴とする請求項1記載の変位計測装置。
【請求項3】
前記第1光線と前記第2光線とは、それぞれを識別できる状態に光変調されており、
前記変位検出部は、受光した前記第1光線及び第2光線をそれぞれデコードする処理部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の変位計測装置。
【請求項4】
基体と、前記基体に対し所定間隔を隔てて設けられた変位検出対象物とを備える層における、前記変位検出対象物の前記基体に対する相対的な変位を計測する変位計測システムであって、
前記層間の一方向に向かって第1光線を出射する第1照射光源と、
前記層間の他方向に向かって第2光線を出射し、当該第2光線が前記層間を一往復するように設けられた第2照射光源と、
前記第1光線及び前記層間を一往復した第2光線を受光して前記変位検出対象物の変位を計測する変位検出部と
を備える変位計測装置を
前記層に複数設けたことを特徴とする変位計測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−197282(P2010−197282A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43798(P2009−43798)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [研究集会名] 第69回秋季応用物理学会[主催者名] 社団法人応用物理学会[開催日] 平成20年9月2日
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り [研究集会名] 第69回秋季応用物理学会[主催者名] 社団法人応用物理学会[開催日] 平成20年9月2日
【出願人】(899000068)学校法人早稲田大学 (602)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】
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